adaptive beamformers for meg source-space...
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アダプティブ空間フィルターPart I
Adaptive beamformers for MEG source-space analysis: Part I
関原謙介
株式会社 シグナルアナリシス
2017-10-14改訂版
• アダプティブ空間フィルターはアダプティブビームフォーマーあるいは単にビームフォーマー(beamformer)と呼ばれる.
• 1960年代に旧ソ連の地下核実験を探知するために開発された手法.70年代ー80年代にレーダーやソナーのセンサーアレイ信号処理技術として発展した.冷戦時代に,北大西洋に設置したソナーアレイによりソ連の原潜を探知するのに用いられたといわれる.最近では携帯電話の通信方式(massive MIMOビームフォーミング)として用いられている.
• MEG分野では,最近非常に研究が盛んな自発脳磁界の信号処理技術として標準的な手法になりつつある.
本スライド(PartIおよびPartII)は以下の参考書 ”Adaptive Spatial Filters for …”の第4章から第9章までについての解説である.
参考書
www.electromagneticbrainimaging.infoに正誤表などのこの書籍に対する情報がアップロードされている.
=
M
y t
t
y t
1( )
( )
( )
y
定義
Tx y y
s t
t t t t[ , ,
( , )
( , ) ( , ) ( , ) ( , )]η η η=
r
r r r r
1
1( ) ( ) ( ) ( )
KT T
k kk
t t t tK =
= = ∑R y y y y
計測データ:
データ共分散行列:
ソース強度:
ソースの向き:
ソースベクトル: t( , )s r (ベクトルは太字で表す)
y
x
l1x l2
x l3x
lMx
z
y
x
l1z l2
z l3z lM
z
z
y
x
l1y l2
y l3y lM
y
z
センサー・リードフィールド位置 r に存在するソース
に対する2番目のセンサーの感度
位置 r に存在する x 方向に向いたソースに対
するセンサーアレイの感度
位置 r に存在するソー
スに対するセンサーアレイの感度
単位強度のソースに対するセンサー応答
磁場の信号源は電流ベクトルであるが,まず,種々の空間フィルター法の導出・説明は信号源がスカラーであると仮定して行う.信号源がベクトル量である場合への拡張は後に議論する.
これは,脳内部の位置 r でソースの向き が決まっていて,既知である場合に相当する.
=
x y zx
yx y z
zM M M
l l l r
r
rl l l
1 1 1( ) ( ) ( ) ( )
( ) ( ) ( ) ( )
( )( ) ( ) ( )
ηηη
=
r r rl r L r η r
r r r
この場合位置 r でのセンサーリードフィールドはリードフィールド
ベクトル l (r) :
を用いて表す.
( )η r
基本的な定式化
MT
M m mm
M
y t
s t t w w w r y t
y t=
= = = ∑
r w r y r r1
11
( )
( , ) ( ) ( ) [ ( ), , ( )] ( ) ( )
( )
weight vector
↑
↓
Estimate of source activityセンサーデータに再構成する場所 r (フィルターポインティング位置) に依存した重みを与えてソース強度を推定する線形推定法.
フィルター重みは位置 r におけるソースの活動 を選択的に計測するーvirtual (仮想)センサー
s tr( , )
空間フィルターとは,任意の位置に局在した感度分布を持つ仮想センサーを信号処理により構成する技術
フィルター出力Ts t t( , ) ( ) ( )=r w r y空間フィルター出力:
TT T Ts t t t2( , ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) = = r w r y w r y w r Rw r
空間フィルター出力パワー:
空間フィルターノイズ出力パワー:T
T T T Tout
22 2( ) ( ) ( ) ( ) ( )σ σ = = = w r ε w r ε w r εε w r w r↑
重みベクトルのノルムがフィルターのノイズゲインである
↓データサンプル共分散行列
T 2σ=εε Iセンサーノイズ共分散行列
Minimum-variance distortionless filter
subject to T
( )
( ) ( ) ( ) ( ) ( ) 1argmin= =T
w rw r w r Rw r w r l r
ユニットゲイン制約と呼ばれる↑
Weight derivation
フィルターウエイトは,ポイント位置からの信号をゲイン1で通しつつ,フィルター出力パワーを最小にすることで求める.
=ポイント位置のソース活動+他の部位でのソース活動+妨害信号やsensor noiseからの寄与
T ( ) ( )w r Rw rフィルター出力パワー
ポイント位置のソース活動はユニットゲインで通過させるが他の「望ましくない成分」は最小限に抑えるフィルターウエイトが求まる.
T
1
1
( )( )
( ) ( )
−
−=
R l rw rl r R l r
T
T
TT
s t1 1
2
2 11
( ) ( ) 1( , ) ( ) ( )
( ) ( )( ) ( )
− −
−−
= = =
R l r RR l rr w r Rw r
l r R l rl r R l r
この制約付き最適化はラグランジェ未定定数法により簡単に解けてフィルターウエイトは以下のように求まる.
Minimum-variance distortionless filter
フィルター出力パワーは以下のように求まる.
導出の詳細は参考書P38に記載されている.
ビームフォーマーアルゴリズムでは2つのことを前提(prerequisite)として仮定する.
1. 信号源活動は無相関である.2. 信号はLow-rank signal (信号源数<センサー数)である.
subject to T
( )
( ) ( ) ( ) ( ) ( ) 1argmin= =T
w rw r w r Rw r w r l r最適化:
の意味を定量的に見てみる.
これらの前提(prerequisite)のもとで,
Q 個の離散的ソースを仮定し,フィルター出力パワーを表してみる.
+ +Q Q
t s t s t1 1
( ) ( , ) ( ) ( , ) ( )=y r l r r l rセンサー出力:
p番目のソースをポイントしているフィルター出力パワーは以下で表される:
)= )
= + + + + )
))
)1 11 2
1 2
1 1 1 1
222
2
( ) ( ( ) ( ) ( ) (
( ) [ ( , ) ( ) ( , ) ( )]
(
( , )
[ ( , )
( ) (
( ) ( , ) ( )] (
( , ) ( , )
(
) (
(( ) ), (
T T Tp p p p
T Tp Q Q Q Q p
p qq p
T Tq q q
Tp p
q
p q
T
q
t t
s t s t s t s t
s t s
s t s t
t≠
≠
=
= + ∑
+
∑
w r Rw r w r y y w r
w r r l r r l r r l r r l r w r
r r
w r l
w r w r l r
r wr
l r
r r
)2 2) (
ql r
ソース活動は無相関の条件より
ユニットゲイン制約条件より )( ) ( 1Tp p
=w r l r
q qs t s t
1 2( , ) ( , ) 0=r r
これらの条件によりフィルター出力パワーは:
まとめると,以下の特性を持つウエイトを得る:
for for
Tp q
q p
q p
( ) ( ) 0
1
= ≠= =
w r l r
)) 2 22
( )( () ( ( , ) ( , )Tp p p q
qp q
p
Ts t s t≠
= + ∑ w r Rw l rr r rr w
Tp q
q p( ) ( ) 0 ( )≈ ≠w r l r
したがって,出力パワー:
)) 2 22
( )( () ( ( , ) ( , )Tp p p q
qp q
p
Ts t s t≠
= + ∑ w r Rw l rr r rr w
を最小化するウエイトは
の特性を持つ.
前提条件2: signal is low rank
for Tq
q Q( ) ( ) 0 1,...,= =w r l r
ソースが存在しない位置 r をポイントしたウエイトは以下の特性を持たなければならない.
( )w rフィルター重みベクトル はノイズ部分空間に存在!!
ノイズ部分空間は空集合であってはならず,M>Q の成立が必要
つまりフィルター重みベクトルは全てのソースのリードフィールドベクトル:
Q1 2( ), ( ),..., ( )l r l r l r と直交する.
Qspan
1 2 ( ), ( ),..., ( )l r l r l r
TQ1
| [ ( ),..., ( )] 0=x x l r l r
信号部分空間:
信号部分空間に直交する空間,すなわち
を満たす全ての x の集合をノイズ部分空間と呼ぶ.
for Tq
q Q( ) ( ) 0 1,...,= =w r l r
for for
Tp q
q p
q p
( ) ( ) 1
0
= == ≠
w r l r
まとめ:重みベクトルの特性
prフィルターがあるソース位置 をポイントしている場合:
フィルターがポイントしている位置がどのソースの位置とも一致しない場合:
subject to T
( )
( ) ( ) ( ) ( ) ( ) 1argmin= =T
w rw r w r Rw r w r l r
2つの仮定のもとで最適化:
によりこのような特性を持つフィルターが得られる.
Focused region
理想的な空間フィルターのBeam response
r
H( )r
1r
Beam response: TH2
1( ) ( ) ( )=r w r l r
Beam response
r1をポイントしているvirtual sensorがrの位置のソースに対して持つ感度.
つまり位置r1 の再構成結果に対する,位置rに存在するソースの漏れこみ(leakage)を表す.
位置r1 にシャープなピーク形成する
148-channel sensor array
z (c
m)
y (cm)0-5 5
-5
-10
-15
空間フィルターに対するビームレスポンス
Beam response for spatial matched filter
Beam response for minimum-variance filter
null-sensitivity regionポインティングしているソース以外のソース位置は感度ゼロの領域(null sensitivity region)に含まれる.ビームフォーマーアルゴリズムはこれをソース位置に関する情報を明示的に用いずに行う.
Comparison between the adaptive and non-adaptive spatial filters
(when a point source is located at )1
r
点像分布関数(Point Spread Function)(点状信号源の再構成結果)制御理論でインパルス応答と呼ばれるものの2次元画像版
No location bias
Point-spread function peaks at r1
1 1 1( , ) ( , )> r r r r
Location bias(位置バイアス)
r1
1( , ) r r
Location bias
( )= ( ) ( )T,1 1
r r w r l r
(ここで,rを固定して,r1を変えたものがビームレスポンス.)
位置バイアスを持たないPSF
位置バイアスを持つPSF
1 1 1( , ) ( , )> r r r r
), ), cos1
( ( ( , ) /T= = =f l r l l r l f l f f l
Minimum-norm
Weight normalized minimum norm
sLORETA
T T1 1− −>f G f l G f
T T
T T
1 1
2 2
− −
− −>
f G f l G f
f G f l G l
T T T1 1 1 2( )( ) ( )− − −>f G f l G l l G f
Spatial matched filter T>f l l f (必ず成立)
Minimum variance 2
cos( , )1
1 [1 cos ( , )]α<
+ −l f
l f
位置バイアスを持たない条件:
(必ずしも成立せず)
(必ずしも成立せず)
(必ず成立)
(必ず成立)
として
種々の空間フィルターに対する点像分布関数コンピュータシミュレーション
Weight-normalized minimum normSpatial matched filter
Minimum norm sLORERA
Minimum variance
y (cm)0-5 5
-5
-10
-15
z (c
m)
ノイズの位置バイアスに与える影響noise power, signal power, input SNR:
22 2 2 20 1 1 0
: : ( / )σ σ α σ σ= f
sLORETA:
2 1
1
[1 ( ) / ]cos ( , | ) 1
[1 ( ) / ]G
Ω αΩ α
−+<
+r
l fr
Minimum variance filter
2
11
1 [1 cos ( , )]α<
+ − l f
2 22 2 2 21 1 1 0 1 1 1 0
( , ) ( ) ( , ) ( )σ σ σ σ+ > +r r w r r r w r
位置バイアスを持たない条件:
sLORETAはノイズの存在下で位置バイアスを持つ.Minimum variance filterはノイズが存在しても位置バイアスを持たない.
(必ずしも成立せず)
(必ず成立)
2 2
21
( )( )
( , )Ω =
f w rr
r rここで
sLORETA Minimum-variance
2
11
1 [1 cos ( , )]α<
+ − l f
M(148)α =
M4 (592)α =
M8 (1184)α =
High SNR
Medium SNR
Low SNR
補足:入力SN比について
noise power, signal power2 20 1
: :σ σ であるとして,
input SNR: 22
21 2 21 02
0
( / )σ
α σ σσ
= =f
f と定義する.
ソースリードフィールドを )1
(=f l r と表せば,
20
σ 21
σは磁場の次元, は電流密度の次元を持つため,入力SN比は
ソース電流の磁場換算値 と との比で定義される.20
σ22
1σ f
Mf f
2 2 21
= + +f と定義されているため,通常の意味でのSN比=1
Mα =の場合 となる.
Minimum Variance Filter: 2[1 cos ( ,
cos( , )( )
1 )]αφ =
+ − lf
fl
r
α はM程度の正値を持つので, この項によりl が f から離れるに従い,点像分布関数が急激に減少する.
Spatial Matched Filter:
1( ) cos( , | )φ −=r l f G
( ) cos( , )φ =r l f
sLORETA:
空間分解能:
1 1 1( ) ( , ) / ( , )φ =r r r r r 規格化された点像分布関数
を用いて比較
cos cos 1 1 1 1( , ) / , ( , | ) / ( )( )T T T T− − − −= =l f l f f l l f G l G f f G f l G l
sLORETA
点像分布関数:計算機実験結果z
(cm
)
y (cm)0-5 5
-5
-10
-15 sLORETA
Spatial matched filter
Minimum variance( = )Mα
Minimum variance( = )2Mα
Minimum variance( = )4Mα
sLORETAMinimum-variance filter
Auditory somatosensory response
脳磁解データ(体性感覚・聴覚データ)での比較
アダプティブ空間フィルター補足:実行に際してはhigh-qualityの時空間データが必要
• アダプティブ空間フィルターは時空間データを用いる.したがってある時間幅T(タイムウィンドーT )のセンサーアレイデータを必要とする.
• タイムウィンドーT のデータから共分散行列を計算する.K点の時間サンプルがあるとしている.
• 十分な精度のサンプル共分散行列を得るには大きなKが必要である.(K>(10ー30)M)
• タイムウィンドーT においてソースは分布を変えないことが条件.つまり,ソースの位置や向きはT の時間幅で不変に保たれる必要がある.
• 複数のソース活動間に(強い)相関がないことももちろん必要.
1(1 / ) ( ) ( )
KT
k kk
K t t=
= ∑R y y
アダプティブとノンアダプティブ空間フィルターの比較(補足)
ノンアダプティブ空間フィルター• 時間情報を用いないため,シングルタイムポイントのデータにも適用できる.ソース活動の相関やソースの動きに対してrobust(頑強)である.
• 理想的な条件でも位置バイアスを持ったり,空間分解能が低いなどの問題があり,基本性能はアダプティブ空間フィルターに比べ劣る.
アダプティブ空間フィルター
• 時間情報を利用するため,あるタイムウィンドーでソース配置に変化が無いこと,ソース活動に強い相関が無いことが必要.さらに十分な時間点が必要.
• 理想的な条件では位置バイアスを持たず,空間分解能が高いなどのノンアダプティブ空間フィルターに比べ性能が良い.
上の理由からノン・ブレイン応用(心磁・脊磁など)ではノンアダプティブ空間フィルターが用いられる.
参考文献
ビームフォーマーの位置バイアスや分解能については,「Adaptive spatial filter..」の第5章に詳細な議論がある.また,以下の論文がこのテーマに関するオリジナル論文である.
フィルター出力のSN比についての考察
フィルター出力のSN比
出力SNR:T T
TTZ
221
2 21 1
0 220 1
20
21
22
1
[ ( ) [ ( ) ]
( )
]
( )
σα
σσ
σΘ= = =
w r f
f w r
w r f
w r
f
21
22
1
[ ( ) ]
( )
T
TΘ =
w r f
f w r
最もシンプルな条件で比較:位置 r1 にソースが1個存在し,センサーノイズが重畳している
入力SNR:
21
σ 20
σfソースのパワー: ソースのリードフィールド: ノイズパワー:
SNR伝達関数:
Minimum variance filters:
Spatial Matched Filter:
Minimum-norm-based filters:
SNR transfer: T
T
21
22
1
[ ( ) ]
( )Θ =
w r f
f w r
, thus 1
( ) / 1Θ= =w r f f
, thus T
G1 2
11 22 1
[ ]( ) 1ς Θ
−−
−= = <
f G fw r ff G f
, thus 1 2
11 2 2
[ ]( ) 1
T
Tξ Θ
−−
−= = =
f R fw r R ff f R f
Schwartz inequality: 221 2 1[ ]T − −<f G f f G f
の種々の空間フィルターでの評価
Problem of array mismatch
Minimum-variance spatial filter はarray mismatchの影響を大きく受ける.
ST TQ Q Q M S N
N
S N
M
1
1 1
0 0
0 00
[ , , | , , ] [ | ]0
0 0
0 0
+
⋅ ⋅ = = ⋅ ⋅
R E E e e e e E E
E E
1 1 1
2 2 2
− −
− −
= +
= +
T
T
TS S S N N
TS S S N N
R
R
データ共分散行列:
array mismatch:フィルターの計算に用いるリードフィールドが実際のリードフィールドと異なることを意味する.
したがって, と書ける.
Te
Te e
TQj j j
TMj Q j j
TQj j j
1 2
2 2
22
1
22 2
12 2
1
[ ]
/
//
Θ
λ
λ
λ
−
−
=
= = +
=
∑ ≈ +∑
∑
f R f
f f R f
f e
e ε ef f
リードフィールドの誤差のため,出力SN比が低下する. このSN比低下は計測データのSN比が高いほど顕著である.
= +( )f f εef真のリードフィールド ではなく,誤差を含むリードフィールドを用いた場合
SNR transfer:
↑
εノイズレベル固有値 は信号レベル固有値 に比べ非常に小さいとすれば,誤差 が小さくてもこの項は非常に大きくなる.(ノイズレベル固有値がリードフィールドの誤差を増幅する.)
1, ,λ λ Q1
, ,λ λ+ Q M
Problem of array mismatch
Application to 37-channel auditory-somatosensory recordingNon-eigenspace projected results
Eigenspace projection
重みベクトルを信号部分空間に投影することにより,array mismatchによるSN比劣化を防ぐことができる.しかし,信号部分空間の同定(固有値に対する閾値の決定)が難しい.
TS S
=w E E w
(non-eigenspace projected)
(eigenspace projected)
TQj j j
T TQ Mj j Qj j j j
22
1
2 22 2 21 1
/
/ /
λΘ
λ λ
=
= = +
∑ = +∑ ∑
f e
f f e ε e
TQj j j
TQj j j
22
1
22 21
/
/
λΘ
λ
=
=
∑ = ∑
f e
f f e
信号部分空間に投影した重みベクトルを用いる:
Application to 37-channel auditory-somatosensory recordingsEigenspace-projection results
Diagonal loading
T
1
1
( ) ( )( )
( )( ) ( )
ττ
−
−
+=
+R I l rw r
l r R I l r
subject to
T
T
( )2
0
( ) ( ) ( ) ( ) ( ) 1argmin
( )
= =
<
T
w rw r w r Rw r w r l r
w r
とする.フィルター重み:
この重みは以下の最適化から求まる:
ノイズゲインを制約しているので,ノイズ低減の効果がある.
共分散行列の対角成分はセンサーノイズ成分であるので,この方法はセンサーノイズを後処理で増やしていることと等価である.したがって,空間分解能が劣化する.
もしノイズレベル固有値 が信号レベル固有値に比べ小さくなければ,つまり,計測データのSN比が悪ければ,アレイミスマッチによる出力のSN比劣化は顕著でない.
Q M1, ,λ λ+
アダプティブ空間フィルターは,自発脳磁界の解析では標準的な手法になりつつあるが,逆に,SN比の良いデータ,(例えば,加算後の誘発脳磁界データの解析)などにはあまり使われない.これは上に述べた理由による.
追記:
重みの計算に用いるリードフィールドに誤差があれば,出力SN比の劣化が起こる.これを防ぐいくつかの方法が提案されているが,それぞれに問題がある.
参考文献
ビームフォーマーの出力SN比については,「Adaptive spatial filter..」の第6章に詳細な議論がある.また,以下の論文にアレイミスマッチについての議論がある.
ソースタイムコースの相関がビームフォーマー出力に与える影響
21
21 1
1 0
21
( , ) ( , )
[ ( ), , ( )] [ ( ), , (
( , )
( , ) ( , ,
)]
) ( )
QT
Q
Q
Q
Q
s t s t s t
s t s t s t
σ
= +
R l r l r l rr r r
r rl
rr I
Influence of source correlation
データ共分散行列
ΣR
ソース活動の相関行列
ソース活動の相関行列:
ソース活動が相関をもつ場合の重みベクトルの性質
pqTp q
pp
1
1
[ ]( ) ( )
[ ]
−Σ
−Σ
=R
w r l rR
:the element of pq
p q1 1[ ] ( , )− −Σ ΣR R
Tpqp q
( ) ( ) δ=w r l r
1
11
[ ]( , ) ( , ) ( , )
[ ]
Qpq
p p qq
pp
s t s t s t−Σ
−=Σ
= + ∑R
r r rR
(Sources are uncorrelated)
(Sources are partially correlated)
重みベクトルはポインティング位置以外のソースからの信号をブロックできずソースタイムコースの再構成は,以下のように,それらからのleakage(もれこみ)を含んでしまう.
leakage
Signal cancellation
s t s t s t
s t s t s t
11 1 2
2
22 1 2
1
( , ) ( , ) ( ) ( , )
( , ) ( ) ( , ) ( , )
α µα
α µα
= −
= − +
r r r
r r r
2 2 21 1
2 2 22 2
( , ) (1 ) ( , )
( , ) (1 ) ( , )
s t s t
s t s t
µ
µ
= −
= −
r r
r r
2個のソースが相関係数 µ で相関している,最も簡単な場合にこれらをビームフォーマーで再構成すると:
=s t s t s t s t2 21 1 2 2 1 2 1 2
( , ) , ( , ) , ( , ) ( , ) /α α µ α α= =r r r r
2(1 )µ−再構成後のソースのパワーは実際のパワーの 倍になる
ソースタイムコース再構成結果:
ソースパワー再構成結果:
2個のソースが相関している場合の再構成実験
-15
0.85 0.98
0.7
0.4
0.6
0
Correltioncoefficient
y (cm)0-5 5
-5
-10 Correlation coefficient
Signal cancellation experiments
参考文献
ビームフォーマーのソース間相関の問題については,「Adaptive spatial filter..」の第9章に詳細な議論がある.また,以下の論文がこのテーマに関するオリジナル論文である.
Coherent Interferenceの影響除去
coherent interference:非常に相関の強い妨害信号.
レーダー信号から飛来する航空機やミサイルの位置を同定する信号処理では重要な課題.70-90年代におびただしい数の論文がある.
コヒーレントな妨害信号があるとsignal cancellationが起こり, 関心対象の信号が消えてしまう.
もし,コヒーレントな妨害信号源の位置がおおまかにでもわかっている場合に適用可能な方法.
Coherent interference suppression spatial filter
Correlation coefficient: 0.92
コヒーレントな妨害信号源の存在領域を感度ゼロ(null sensitivity領域)とする.
Recover the signal source ofinterest
Linearly-constrained minimum-variance (LCMV) beamformer
Minimum-variance beamformer
subject to T ( ) 1argmin= =T
ww w Rw w l r
コヒーレントな妨害信号がr1に有るとき,以下の最適化から重みを求める
subject to T
1
( ) 1argmin
( ) 0
= =
=
T
wT
w w Rw w l r
w l r
1
( ) [ ( ), ( )]=Z r l r l rT1 1 11
( ) ( )[ ( ) ( )]0
− − −
=
w r R Z r Z r R Z r
重みは以下のように求まる(LCMV beamformer):
ここで
コヒーレント妨害信号の位置における感度をゼロにする
subject to T T
T
TN
1
( ) 1argmin
( ) 0
( ) 0
=
=
=
ww Rw w l r
w l r
w l r
Σコヒーレントな妨害信号の位置がピンポイントではわからないが,存在領域 は分かっている場合:
Σ にN個のボクセル を仮定することにより,重みは以下の最適化から求まる:
N1, ,r r
領域内部のボクセル全てにおける感度をゼロにする.
Region constraint
しかし,当然ながら,N が大きい場合には精度のいい解は期待できない.
r1
( ) [ ( ), , , ]=Z r l r u u
Eigenvector Constraint
N1[ ( ), , ( )]Σ =C l r l r
r1, ,u u
にSVDを適用し,ノンゼロレベル特異値に対応したr 個の空間方向特異値ベクトル を求める.
最適化:
フィルター重み:
subject to T T
T
Tr
1
( ) 1argmin
0
0
=
=
=
ww Rw w l r
w u
w u
1 1 1
1
0( ) ( )[ ( ) ( )]
0
T− − −
=
w r R Z r Z r R Z r
ここで
148-channel sensor array
0µ ≈
0.99µ =
0µ ≈ 0.99µ =
0.99µ =
Σ : 1cm cubic region Σ : 2cm cubic region
コンピュータシミュレーション
Auditory-evoked fieldCTF 275 whole-head systemStimulus: binaural white noise
Conventional spatial filter used
Coherent-interference-suppression spatial filter used
両側の1次聴覚野の活動を再構成
両側の1次聴覚野はコヒーレントに活動することが知られている.
参考文献
Coherent source suppressionついては,「Adaptive spatial filter..」の第9章で議論されている.また,以下の論文がこのテーマに関するオリジナル論文である.
ソースが3次元ベクトルである場合への拡張
ソースがベクトルであることを考慮した拡張が必要.
磁場を発生しているソース電流は3次元ベクトル量である.
2種の拡張が提案されている: (1) ベクトル型拡張(2) スカラー型拡張
⇓
ベクトルソースの再構成:ベクトル型拡張
( )( , )
( , ) ( ) ( ) ( ), ( ), ( ) ( ) ( ) ( )
( , ) ( )
Txx
TT T
y y x y zT
z z
s t
s t t t t
s t
= = =
w rrr w r y w r w r w r y W r yr w r
ベクトル型拡張空間フィルター
ベクトル型空間フィルターではソース電流のx,y,z成分をそれぞれ別のウエイトで再構成する.すなわち,重みはM×3の行列となる.
ベクトル型アダプティブ空間フィルター
x y z( ), ( ), ( )w r w r w r重みベクトル は以下の複数制約条件を持つ最適化か
ら導かれる.
subject to argmin
x
T Tx x x x x
Tx yTx z
( ) 1
( ) 0
( ) 0
= =
=
=
ww w Rw w l r
w l r
w l r
x( )w r重み は位置 r に置かれたソースの x 成分をゲイン1で通し,y およ
び z 成分はブロックする.
MEGの分野では,ベクトル型のアダプティブ空間フィルターは(習慣的に)LCMV beamformerと呼ばれる.
yおよびz 方向を向いたコヒーレント信号源に対する感度をゼロとしている
つまり,位置 r にそれぞれx,y,z方向を向いた3つのコヒーレントソースがあると仮定している.
LCMV空間フィルター
y z( ), ( )w r w r重みベクトル についても同様な最適化:
subject to argmin
y
T Ty y y y x
Ty yTy z
( ) 0
( ) 1
( ) 0
= =
=
=
ww w Rw w l r
w l r
w l r
subject to argmin
z
T Tz z z z x
Tz yTz z
( ) 0
( ) 0
( ) 1
= =
=
=
ww w Rw w l r
w l r
w l r
を行い,以下の重み行列を得る.
Tx y z
1 1 1[ ( ), ( ), ( )] ( )[ ( ) ( )]− − −=w r w r w r R L r L r R L r
x y z( ) [ ( ), ( ), ( )]=L r l r l r l rただし
補足説明
subject to argminx
T T T Tx x x x x x y x z( ) 1, ( ) 0, ( ) 0= = = =
ww w Rw w l r w l r w l r
subject to argminy
T T T Ty y y y x y y y z( ) 0, ( ) 1, ( ) 0= = = =
ww w Rw w l r w l r w l r
subject to argminz
T T T Tz z z z x z y z z( ) 0, ( ) 0, ( ) 1= = = =
ww w Rw w l r w l r w l r
subject to [ ] ( )argmin T Ttr= =W
W W RW W L r I
x y z( ) [ ( ), ( ), ( )]=W r w r w r w r
上記の3つの式で表された最適化は
として,
と表せる.
ベクトル型空間フィルターの出力パワー
T T T T
T
1 1 1 1 1 1
1 1
[ ( ) ( )] ( ) ( )[ ( ) ( )]
[ ( ) ( )]
− − − − − −
− −
=
=
W RW L r R L r L r R RR L r L r R L rL r R L r
xxT
y x y z y
z z
s ts t
s t s t s t s t s t
s t s t
2
2
2
( , )( , )
( , ) ( , ), ( , ), ( , ) ( , )
( , ) ( , )
= =
rrW RW r r r r r
r r
Tx y z
T
s t s t
r
t tr
t
s
1 1
2 2 2( , ) ( , ) ( , ) [
[ ( ) ( )
]
]− − =
+ + =
L r R L r
r r r W RW
したがって,出力パワーは以下で与えられる.
2( , , ) ( , ) ( , )argmax argmax Topt
s t= =r w r Rw r
( , , ) ( , ) ( )Ts t t=r w r y
( , ) ( , ) ( ) ( ) ( )T Topt
s t t t= =r w r y w r y
まずソースの位置と向きの両方に依存したフィルター重みを考える.
フィルター出力のパワーを計算し,パワー最大となる向き を求める
求めた を用いて,フィルター重みの向き依存性を消去したものがスカラー型の空間フィルターとなる.
opt
ベクトルソースの再構成:ビームフォーマーのスカラー型拡張
opt
( , ) ( , )argmax Topt
= w r Rw r
フィルター出力のパワー最大となる向きを求める:
= T T T
1 1
1 1
( ) ( )( , )
[ ( ) ( )] [ ( ) ( )]
− −
− −=
R l r R L r ηw r ηl r R l r η L r R L r η
T T T1
1( , ) ( , ) ( ) ( )−
− = w r Rw r η L r R L r η
フィルターパワー出力は:
どのようにして求めるか?
T T 1( ) ( )−η L r R L r ηは行列 を最小にする である.ηoptη
向きを とすれば ( ) ( )=l r L r ηη であるので,位置と向きに依存した
フィルター重みは
T Tmin
1 1min min
1minmin
( ) ( )( )
[ ( ) ( ) ] λ
− −
−= =
R L r u R L r uw r
u L r R L r u
T Ts t 2
1minmin min
1 1( , )
( ) ( ) λ−= =r
u L r R L r u
1argmin [ ( ) ( )]T Topt min
−= =η
η η r r η uL R L である
スカラー型拡張の重みは:
minu
T 1[ ( ) ( )]−L r R L r行列
とすれば:の最小固有値:
minλ
対応する固有ベクトル:
出力パワーは
1 1[ ( ) ( )] [ ( ) ( )]T T T T Topt opt min min min
λ− −= =η L r R L r η u L r R L r uさらに, から
としてもとまる.
=max max T Tmin
SP s t 2
1
1 1( , )
( ) ( ) λ−= =
ηη
rη L r R L r η
スカラー拡張:
max max II T T TV
min
P t t t( ) 2 1ˆ ˆ ˆ[ ( , )] ( , ) ( , )
λ= = =
η ηη s r η s r s r η
ベクトル型拡張:
2つの拡張方式の比較ー出力パワーについて
I TV x y z
jj
P s t s t s t tr3
( ) 2 2 2 1 1
1
1ˆ ˆ ˆ( , ) ( , ) ( , ) ([ ( ) ( )] )
λ− −
== + + = ∑=r r r L r R L r
T 1[ ( ) ( )]−L r R L r min:λの固有値,1 2 3
, , :λ λ λ 最小固有値
したがって, II IS V V
P P P( ) ( )= < である.
理論的には,スカラー型のビームフォーマーの方がパワーの大きい再構成結果を与える.ただし,実際のデータでは大きな差は見出せない.
maxT T
S T TZ
1
2 2
1 [ ( ) ( )]
[ ( ) ( )]σ
−
−=
η
η L r R L r ηη L r R L r η
II maxT T
V T TZ ( )
2
1 [ ]
[ ]σ=
η
η W RW ηη W W η
スカラー型SNR:
ベクトル型SNR:
IT
V T
trZ
tr( )
2
1 [ ]
[ ]σ=
W RWW W
ソース1個の仮定の下で以下の関係がある.
II IS V V
Z Z Z( ) ( ) 11 1
2α α= ≈ + > ≈ +
通常はこの式で評価される.
:α 入力SNR
2つの拡張方式の比較ーSN比について
理論的には,スカラー型のビームフォーマーの方がSN比の高い再構成結果を与える.ただし,実際のデータでは大きな差は見出せない.
参考文献ビームフォーマーのベクトル・スカラー型における出力SN比の比較については,「Adaptive spatial filter..」の第6章で議論されている.また,以下の論文がこのテーマに関するオリジナル論文である.