‘気づく’を育て伸ばす 臨床キャリア開発...‘気づく’を育て伸ばす...

7
‘気づく’を育て伸ばす 臨床キャリア開発 新潟大学医歯学総合病院 看護職キャリア開発コアセンター 平成21年度採択 看護師の人材養成システムの確立 目的 大学病院における看護のジェネラリストを効率的 に育成するため、各部署で行われている教育・指 導の効率化を図り、観察・判断力―‘気づく力’を 育て伸ばす臨床キャリア開発支援システムを構築 する 大学病院 看護部 医学部 保健学科 ジェネラリストの育成 プロジェクトの4つの柱 「教育力」を 高める研修 医療従事 学内教育参画 各センタープログラム開発担当 (看護部・保健学科兼任) 看護職キャリア開発コアセンター 運営委員会 センター専任看護師 看護職キャリア開発コアセンター 大学病院 看護部 大学院保健学研究科 医学部保健学科看護学専攻 外部評価委員会 内部評価委員会 1.部署教育プログラム 部署教育 <標準化・実質化> 大学院臨床従事コース支援 新人 (学部・大学院生) 教育指導者 ジェネラリスト 教育指導者 (専任) 集合教育 Off-JT 連動・効率化 ・集合教育と部署教育の連動 ・既存の部署教育をもとに、部署 教育の検討と開発を行う 一人前 日々の看護の場で気づき 「行動しつつ考える力」支援 部署教育 OJT プリセプター アソシエイトナース 看護師長 プリセプティ 副看護師長 教育担当者 (兼任)

Upload: others

Post on 13-Jun-2020

7 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: ‘気づく’を育て伸ばす 臨床キャリア開発...‘気づく’を育て伸ばす 臨床キャリア開発 新潟大学医歯学総合病院 看護職キャリア開発コアセンター

‘気づく’を育て伸ばす臨床キャリア開発

新潟大学医歯学総合病院

看護職キャリア開発コアセンター

平成21年度採択 看護師の人材養成システムの確立 目 的

大学病院における看護のジェネラリストを効率的に育成するため、各部署で行われている教育・指導の効率化を図り、観察・判断力―‘気づく力’を育て伸ばす臨床キャリア開発支援システムを構築する

大学病院看護部

医学部保健学科

教育プログラム開発

教育指導者養成

人事交流

キャリアパス構築

ジェネラリストの育成ジェネラリストの育成

プロジェクトの4つの柱

部署教育プログラム

臨床技術トレーニング

プログラム

臨床実践能力セルフ・

モニタリングプログラム

教育指導者

「教育力」を高める研修

大学院

臨床従事コース

保健学科教員

病院

看護職員

医療従事

学内教育参画

各センタープログラム開発担当(看護部・保健学科兼任)

看護職キャリア開発コアセンター運営委員会

センター専任看護師

看護職キャリア開発コアセンター

大学病院看護部

大学院保健学研究科医学部保健学科看護学専攻

外部評価委員会

内部評価委員会

1.部署教育プログラム部署教育 <標準化・実質化>

大学院臨床従事コース支援

新人

(学部・大学院生)

教育指導者

ジェネラリスト

教育指導者(専任)

集合教育Off-JT連動・効率化

・集合教育と部署教育の連動・既存の部署教育をもとに、部署

教育の検討と開発を行う

一人前

日々の看護の場で気づき「行動しつつ考える力」支援

部署教育OJT

プリセプター

アソシエイトナース

看護師長

スタッフナース

プリセプティ

副看護師長

教育担当者(兼任)

Page 2: ‘気づく’を育て伸ばす 臨床キャリア開発...‘気づく’を育て伸ばす 臨床キャリア開発 新潟大学医歯学総合病院 看護職キャリア開発コアセンター

教育指導者が部署教育のPDCAサイクルで得た‘気づき’

・Off-JTとOJTと連動した習得時期や目標設定の明確化

・目標に対する到達度の評価基準の明確化・数値化

・部署で教育育成に関わる看護職員の役割の明確化と明文化

・評価ツールを用いた成長の可視化とそれを用いた教育支援の意義

・プログラム立案・修正の視点の明確化

・業務のステップアップ基準と評価基準の明確化

・看護職としての基本的知識・技術の習得に加え、専門領域の習得プログラム

・新人看護職員やプリセプターへのフィードバック方法

Plan

DoCheck

Assessment

部署教育プログラム 結果

部署教育プログラムの結果・成果

・新人看護職員の実践能力の向上(「看護実践の卓越性自己評価尺度-病棟看護師用-」亀岡智美)

・プリセプターの役割遂行能力の向上(「プリセプター役割自己評価尺度」吉岡美佐江)

評価基準が明確になり、評価者によるばらつきがなくなった

評価について点数化でき可視化ができた

基準に基づき成長を評価することで、個々に応じた教育支援が展開できるようになった

2.臨床実践能力セルフ・モニタリングプログラム

自らの観察力・臨床技術への気づき、支援、自己研鑽を特色とするプログラムである評価ツールの一つである視線解析は自らの観察力を視覚的なイメージで客観的に捉え、臨床判断力を科学的に把握する

「どこを見ているか」-注視点を計測する技術を表し、人間の行動や思考が視線の動きに反映される

視線解析(アイトラッキング)

状況を認識し自ら判断・行動できる力

自分の観察力(視点・思考)

先輩の観察力(視点・思考)気づく・学ぶ

観察不足 判断の誤り

新人 ジェネラリスト

観察・判断力 セルフ・モニタリング支援

モニター アイトラッキングカメラ 被験者

画像の観察

瞳孔を追跡

新人看護師とベテラン看護師の差異

Page 3: ‘気づく’を育て伸ばす 臨床キャリア開発...‘気づく’を育て伸ばす 臨床キャリア開発 新潟大学医歯学総合病院 看護職キャリア開発コアセンター

平成22年度:静止画単純課題

各ラダー別の視線解析による量的評価とインタビューによる質的評価から、新人看護師とベテラン看護師の違いが明確になった

DVD教材の作成:観察意図を学ぶ目的

国公立私立大学病院、看護系大学にアンケート調査による評価実施

DVDを活用した臨床実践能力セルフ・モニタリングプログラム

セルフ・モニタリング

DVD教材:ベテランの‘観察’と考え方「点滴中の観察」

1.観察する視線をアイトラッキングシステムで測定

4.ベテランの観察意図を学ぶ

3.ベテランの視線を確認5.自分の成長を繰り返し測定し確認

2.視線を確認し、観察意図の言語化

<気づきを言葉として表現する>

<書くことによって気づきを確認する>

<いろいろな見方があることに気づく>

共同注視的関わり

一緒に向き合う

いろいろな見方を保障する

言語化

記述化

相対化

・教育プログラム【動画・多重課題】の開発に向けたデータ収集

・装着型アイカメラによる臨床技術トレーニングセンターでのパイロットスタディ

臨床実践能力セルフ・モニタリングプログラム 3.臨床技術トレーニングプログラム

技術トレーニングを擬似病室で行うことで臨場感のある体験学習と、さまざまな状況設定が可能である

擬似病室(臨床技術トレーニングセンター)

看護スキルの気づき支援

新人看護師

技 術 ・ 思 考

ステップⅠ ステップⅡ ステップⅢ

時期 入職時 日勤ひとり立ち~夜勤開始 半年~1年後

到達目標

技術チェック項目に沿って基本技術ができる

患者の個別性を考慮した基本技術の応用ができる

状況を判断しながら適切な技術の応用ができる

臨床場面での応用

ジェネラリスト

2年生

Page 4: ‘気づく’を育て伸ばす 臨床キャリア開発...‘気づく’を育て伸ばす 臨床キャリア開発 新潟大学医歯学総合病院 看護職キャリア開発コアセンター

臨床技術トレーニングプログラムの流れ

目標

対象の状況を把握し,それに基づいた実施を行うことができる

実施内容

対象の状況設定(事例)を提示

学習準備 物品準備 実施 振り返り

実施状況をVTR 撮影

復習Modelを示す

撮影画像を利用(行動画像)

気づき考え 実践

臨床技術トレーニングプログラムー行動映像の撮影

学習準備 物品準備 実施 振り返り

実施状況をVTR 撮影

復習Modelを示す

撮影画像を利用

気づき考え 実践

実施している場面をVTR撮影

天井付きカメラで撮影

臨床技術トレーニングプログラム—振り返り

学習準備 物品準備 実施 振り返り

実施状況をVTR 撮影

復習Modelを示す

撮影画像を利用(行動画像)

気づき考え 実践

撮影画像を見ながらの振り返り(新人看護師と教育担当者)

プログラムの「振り返り場面」で明らかになったこと

新人看護職員が得た‘気づき’

口述による行動の客観視

行動の根拠説明

判断志向性の共通理解

根拠なき行動の認識

日常の疑問の表出

教育担当看護師の‘気づき’を促す支援

吐露しやすい場の環境調整

無意識下を意識化する指導

受容促進しやすい姿勢

平成22年度技術トレーニングプログラム参加者の振り返り場面の質的帰納的研究より

学会発表:「行動画像を用いた振り返り学習による看護技術トレーニング効果」

第42回日本看護学会―看護管理―学術集会(2011.10.13)

Page 5: ‘気づく’を育て伸ばす 臨床キャリア開発...‘気づく’を育て伸ばす 臨床キャリア開発 新潟大学医歯学総合病院 看護職キャリア開発コアセンター

臨床技術トレーニングプログラムの結果

1.技術トレーニングプログラムによる効果

・技術習得度の上昇等

2. その他:環境整備による効果

・センター利用人数の増加

・複数利用者=リピーターの増加等

教育指導者養成当院の部署教育体制

教育指導者(専任)

集合教育Off-JT

連動・効率化

・集合教育と部署教育の連動・既存の部署教育をもとに、部署教育の検討と開発

部署教育

OJT

プリセプター

アソシエイトナース スタッフナース

プリセプティ

副看護師長

教育担当者(兼任)

看護師長

教育指導者(専任)養成の成果

養成プログラムによる教育指導者の成長

「教育的思考」「教育者としての役割認識」

「教育実践能力」等(平成22年度教育指導者の自記式調査より)

教育指導者の成果

担当部署の部署教育育成プログラム

評価の可視化

プログラム立案・修正の視点

教育育成に関わる看護職員の役割の明確化と明文化

業務拡大の基準等

標準化・汎用化

教育担当者研修会

教育担当者(兼任)養成

教育指導者(専任)としての気づきプロセス・根拠等

部署教育担当者の教育力を上げ

る支援

部署教育担当者と情報共有・検討

部署教育の標準化・実質化

反映

伝達

共有

教育担当者(兼任)

Page 6: ‘気づく’を育て伸ばす 臨床キャリア開発...‘気づく’を育て伸ばす 臨床キャリア開発 新潟大学医歯学総合病院 看護職キャリア開発コアセンター

人事交流

看護部⇒医学部保健学科看護学部(講義・演習参画)⇒大学院保健学研究科(講義・演習)

保健学科教員の参画⇒大学病院「認知症看護外来」・・・1名の教員が38日間従事⇒看護部「看護すこやか健康教室」・・・3名の教員が講師担当⇒病棟での従事・・・3名が13部署10日間⇒「看護物忘れ外来」「看護口腔ケア外来」等の協働開設と運営

教育と臨床の とした教育の実質化を図る

GP採択後の新規取り組み(発展的な取り組み) 教育指導者・臨

地実習指導者を中心に

立ち上げ

基礎教育への効果・成果

臨床看護師がケア演習に参画する効果

「豊富な経験に基づく技術指導の強化」「教員の臨床技術に対する理解の深化」「臨地実習指導に繋がる学生理解や関係形成の契機」等

(演習責任者の自記式調査より)

看護専門外来で従事することでの教育効果

「患者にとって不安な状況を作らないケア」

「家族のサポート」「患者の心理」「家族関係性」に注目した講義内容に繋げた

(学生の自記式調査より)

臨床現場への効果・成果

非常勤講師としての講師経験の臨床への活用

「実習における学生とのコミュニケーション」「新人看護師や若い看護師の理解」「根拠に基づきたケアの実施とそれをスタッフに指導すること」等(「臨床看護師による演習講師の指導評価とユニフィケーションの再考」新潟大学医学部保健学科紀要より)

看護専門外来の開設

「看護物忘れ外来」「看護口腔ケア外来」の協働開設・運営

「排尿よろず看護外来」「リンパ浮腫外来」の検討

キャリア構築

キャリアパス実現への支援

早期に自己のキャリアデザイン

を明確化するための支援

役割研修

専門領域・テーマ別研修

スキルアップ支援

ワークライフバランス支援

基礎研修

キャリア開発システム

院内研修

院外研修

ジェネラリスト

新人

キャリアデザイン研修

自己成長のスパイラル

気づき

気づき

気づき

Page 7: ‘気づく’を育て伸ばす 臨床キャリア開発...‘気づく’を育て伸ばす 臨床キャリア開発 新潟大学医歯学総合病院 看護職キャリア開発コアセンター

看護部・外部講師協働で進めるキャリアパス構築支援(デザインの明確化)

名称 対象 テーマ

キャリアデザインⅡ キャリアラダーレベルⅡ 自己に気づき今後の自己目標を設定できる

キャリアデザインⅢ キャリアラダーレベルⅢ 組織における自己の役割を認識し、将来の自己のイメージができる

キャリアデザインⅣ キャリアラダーレベルⅣ

チームメンバーの方向づけや育成を行い、部署の目標達成に貢献できるリーダーを目指す

自らを見つめ直し将来の自己イメージを確立できる

「キャリアデザイン研修」:キャリアデザインの明確化

看護部・外部講師協働で進めるキャリアパス構築支援(キャリアパス実現)

職場環境が整う=育成環境が整うES調査:看護職員職務満足度調査

調査

課題の抽出

施策

立案実施

評価

名称 対象 テーマ

管理研修副看護師長 看護管理者に必要なマネジメントスキル

を向上させる看護師長

看護師長副看護師長

部署の管理者として看護師各々のキャリアデザイン実現に向けた

支援の強化

看護部管理室外部講師

職場環境を分析し、取り組みを支援

公表実績 <新潟看護ケア研究学会 第2回学術集会>「‘気づく’を育て伸ばす臨床キャリア開発」第1報

<第41回日本看護学会―看護管理―学術集会>看護ケア場面における看護師の視線解析

<日本実験力学会 第10回バイオメカニクスカンファレンス>看護師の臨床経験と視線運動との関係

<日本機械学会 第23回バイオエンジニアリング講演会>看護師の視線運動に及ぼす臨床経験の差異

<平成22年度大学教育改革合同フォーラム>

<新潟大学GP保健学研究科・保健学科合同フォーラム>

<第42回日本看護学会―看護管理―学術集会>新規プログラム開発参入過程における中間管理職の役割発揮支援測定用具を活用したプリセプター支援 ―プリセプター役割自己評価尺度を用いて―行動画像を用いた振り返り学習による看護技術トレーニング効果

<第6階日本看護技術学会学術集会>経験の差異がもたらす看護師の視線運動と観察の意図(1)ベッドサイドでの観察経験の差異がもたらす看護師の視線運動と観察の意図(2)注射箋の確認経験の差異がもたらす看護師の視線運動と観察の意図(3)病室退室前の確認

<第6回医療の質・安全学会学術集会>新人看護師の‘観察・判断力’を育てる教育プログラムの開発(1)

―視線運動測定による注視時間の変化―新人看護師の‘観察・判断力’を育てる教育プログラムの開発(2)

―視線運動測定結果からの気づきの分析―

文部科学省大学教育改革合同フォーラムフォーラムにて

看護管理6月号に

事業が紹介されています

NEWS 文部科学省「文部科学時報」3月号に事業が掲載されます

地域の看護職への支援

A病院の看護師研修風景

HP上で施設外の看護職の利用に

ついて公開