☆4-1 実践研修テキストpdf...報 】 1. の ぞ む さ ん の 基 本 情 報 ( 情 報...

35
-行動援護を利用した外出時の支援の手順書を作成する- 克也 国立障害者リハビリテーションセンター学院 2日目 13:30 【演習】 障害特性の理解とプランニングⅡ この時間の目的 【ポイント】 ① アセスメントや検討した支援計画が「正しい」かどうか を問題にする時間ではありません。 ② 外出時の支援で特に気をつけなければいけないポイント を押さえましょう。 ③ 経験の比較的浅いヘルパーに指示を出す際の留意点を整 理しましょう。 屋内での日中活動の支援とは異なり、外出時の支援には特有 の配慮が必要となります。この時間は、「高崎のぞむさん」 が行動援護を利用して外出する場面を想定し、自閉症や知的 障害の障害特性に配慮した外出時の「支援の手順書」を作る プロセスを学びます。 この時間の流れ 13:30 13:40 14:15 14:35 15:35 〔全体〕 事例の説明 10分 〔グループ〕 演習① 35分 〔全体〕 発表 20分 〔グループ〕 演習② 60分 〔全体〕 発表とまとめ 25分 演習1:行動援護を利用した外出時を想定して、障害特性の 把握と支援の計画を立てましょう。 演習2:立案した支援の計画を経験の浅い職員に伝えるため の「支援の手順書」を作成し、実際に伝えましょう。 のぞむさんの休日 ある天気のいい土曜日の午後のことです。のぞむさんは行動援護 事業所のヘルパーと一緒に路線バスに乗って15分くらいのところ にある大学構内に散歩に出かけました。 あまり人のいない静かな構内の散歩道を歩き、学生食堂前にある 自動販売機でジュースと小さなお菓子を買う。乗り物好きで食べ ることも大好きなのぞむさんの、休日のささやかな楽しみです。 長年続いていた週末のドライブがお父さんのケガで続けられなく なったのをきっかけに、継続可能な週末の過ごし方を考えようと、 この散歩を取り入れてから早2ヶ月が経ちました。 毎回、出発時に外出の流れを写真カードを使いながら丁寧に説明 していることもあり、のぞむさんもだいぶ慣れたようです。今で はヘルパーが訪問すると、嬉しそうにリュックサックを背負って 家から出てくるようになりました。

Upload: others

Post on 13-Oct-2020

1 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: ☆4-1 実践研修テキストPDF...報 】 1. の ぞ む さ ん の 基 本 情 報 ( 情 報 シ ー ト P 1-P 8 ) 2. の ぞ む さ ん の 外 出 に つ い て ( 情

-行動援護を利用した外出時の支援の手順書を作成する-

林克也

国立障害者リハビリテーションセンター学院

2日目

13:30

【演習】

障害特性の理解とプランニングⅡ

この時間の目的

【ポイント】

①アセスメントや検討した支援計画が「正しい」かどうか

を問題にする時間ではありません。

②外出時の支援で特に気をつけなければいけないポイント

を押さえましょう。

③経験の比較的浅いヘルパーに指示を出す際の留意点を整

理しましょう。

屋内での日中活動の支援とは異なり、外出時の支援には特有

の配慮が必要となります。この時間は、「高崎のぞむさん」

が行動援護を利用して外出する場面を想定し、自閉症や知的

障害の障害特性に配慮した外出時の「支援の手順書」を作る

プロセスを学びます。

この時間の流れ

13:30

13:40

14:15

14:35

15:35

〔全体〕

事例の説明

10分

〔グループ〕

演習①

35分

〔全体〕

発表

20分

〔グループ〕

演習②

60分

〔全体〕

発表とまとめ

25分

演習1:行動援護を利用した外出時を想定して、障害特性の

把握と支援の計画を立てましょう。

演習2:立案した支援の計画を経験の浅い職員に伝えるため

の「支援の手順書」を作成し、実際に伝えましょう。

のぞむさんの休日

ある天気のいい土曜日の午後のことです。のぞむさんは行動援護

事業所のヘルパーと一緒に路線バスに乗って15分くらいのところ

にある大学構内に散歩に出かけました。

あまり人のいない静かな構内の散歩道を歩き、学生食堂前にある

自動販売機でジュースと小さなお菓子を買う。乗り物好きで食べ

ることも大好きなのぞむさんの、休日のささやかな楽しみです。

長年続いていた週末のドライブがお父さんのケガで続けられなく

なったのをきっかけに、継続可能な週末の過ごし方を考えようと、

この散歩を取り入れてから早2ヶ月が経ちました。

毎回、出発時に外出の流れを写真カードを使いながら丁寧に説明

していることもあり、のぞむさんもだいぶ慣れたようです。今で

はヘルパーが訪問すると、嬉しそうにリュックサックを背負って

家から出てくるようになりました。

Page 2: ☆4-1 実践研修テキストPDF...報 】 1. の ぞ む さ ん の 基 本 情 報 ( 情 報 シ ー ト P 1-P 8 ) 2. の ぞ む さ ん の 外 出 に つ い て ( 情

のぞむさんの外出|バスのルート

自宅

目的地

(大学)

乗車時間:約15分

寺尾

三丁目

市役所

市民

病院前

のぞみ

大学前

和田橋

寺尾

一丁目

のぞむさんの外出|大学の構内

左上:バス停

右上:食堂前の広場

左下:自動販売機

あるヘルパーの悩み

のぞむさんの外出を担当しているヘルパーにはとても困っている

ことがあります。それは、のぞむさんが降りる停留所ではないの

に降車ボタンを押してしまうことです。

ボタンを押してしまうと降りずにはいられません。仕方なく手前

のバス停で降りることになり、混乱するのぞむさんを目の前にし

て途方にくれたこともあります。

今のところ、その場しのぎでボタンを隠したり遮ったりもしてい

ますが、のぞむさんがイライラするだけであまり効果はありませ

ん。ただ座って着くのを待つのが苦手なようで、着くのを今か今

かと待っている様子も見られます。

のぞむさんは子どもの声も苦手です。バスの中でうまく過ごせず

イライラしているときに、もしバスに小さな子どもが乗ってきた

ら…。悩む日々が続いています。

演習①|バス内の過ごし方を考える

テキストに沿って、のぞむさんのバスの中での過ごし方につい

て支援計画を考えましょう。

「司会」「発表者」「記録」を決めてください。

【演習の流れ】

【使用する情報】

1.のぞむさんの基本情報(情報シート

P1-P8)

2.のぞむさんの外出について(情報シート

P9)

3.スライド「あるヘルパーの悩み」

〔全体〕

演習の説明

5分

〔グループ〕

支援計画作成

30分

〔全体〕

発表とまとめ

20分

Page 3: ☆4-1 実践研修テキストPDF...報 】 1. の ぞ む さ ん の 基 本 情 報 ( 情 報 シ ー ト P 1-P 8 ) 2. の ぞ む さ ん の 外 出 に つ い て ( 情

演習①|支援計画の作成(30分)

①~④のステップに沿って、グループで話し合いながら支援の計画

を立てましょう。適宜、ワークシート(WS-5)を使ってください。

演習①|発表とまとめ(20分)

1.2~3グループに発表してもらいます。

2.発表者は、4つのプロセスに沿って、どのような結論

になったのかを簡潔にご報告ください。

演習①|記入例

言葉の理解が難しい(降りるバス停とそうでないバス停

の区別が視覚的に示されていない、「押してはダメ」

等と否定的な指示が言葉で伝えられている)。

何もしないで待つことが難しい(車内で待つための方

法が用意されていない)。

子どもの声が苦手(子どもが乗ってくることが予期でき

ず、静かにしてもらうこともできない)

降りるバス停までの見通しが視覚的に示されてい

れば理解できる。

視覚的に伝えられれば理解しやすい。

肯定的で短い言葉(「次ですよ」等)で伝えられ

れば抵抗なく受け入れられる。

好きなことをしていれば30分以上は待てる。

家では、ヘッドフォンを使って音楽を聞いて過ごし

ており、お気に入りの曲であれば30分程度は聞い

ていられる。

スケジュールでの予定の把握が可能

短い、単語での指示であれば理解しやすい

バス停を通過する毎に「バス停の写真」を剥がして

いくスケジュールを作り、視覚的に見通しを持たせ

る。車中は好きな音楽をイヤホンで聞く。

降りるときには、スケジュールの降車ボタンカードを

示して、「次ですよ」と声をかける。

目的地より手前のバス停で降車ボタンを押し、実際にそのバス停で降りてしまう。

小さな子どもが乗ってきたときに、声に反応して押す・声をあげる等の行動が出るおそれがある。

生じている問題、生じうるリスクを具体的に記載

①背景の障害特性を推測|氷山モデル

②障害特性を「強み」の表現に変換

③他の場面から「強み」のリスト追加

④「強み」を活かした新たな環境

演習②|支援の計画を伝える

テキストに沿って、考えた支援計画を「支援の手順

書」にまとめ、他のヘルパーに伝えましょう。

3人の小グループに分かれて、役割を決め、互いに伝

達し合います。

【演習の流れ】

〔全体〕

演習の説明

5分

〔小グループ〕

作戦タイム

30分

〔グループ〕

ロールプレイ

10分

〔グループ〕

ディスカッション

15分

Page 4: ☆4-1 実践研修テキストPDF...報 】 1. の ぞ む さ ん の 基 本 情 報 ( 情 報 シ ー ト P 1-P 8 ) 2. の ぞ む さ ん の 外 出 に つ い て ( 情

演習②|支援の計画を伝える

①支援の説明

③内容の確認

②予想されるトラ

ブルへの対応等

ヘルパーA

ヘルパーB

報告者

(中堅)

ヘルパーA

ヘルパーB

報告者

(中堅)

グループA-1

グループA-2

演習②|作戦タイム(30分)

1.小グループの中で「報告者」「ヘルパーA」「ヘルパー

B」を決めてください。

2.演習①で考えた支援の計画をもとに、「支援の手順書」

を作成しましょう。適宜、ワークシート(WS-6)を使っ

てください。

3.「支援の手順書」を使って3分間で相手グループのヘル

パーに説明する準備をします。少なくとも「根拠を示し

て」「わかりやすく」の2点には留意しましょう。

演習②|ロールプレイ(10分)

1.どちらの小グループから報告するのかを決めてください。

2.報告者は、作戦どおりに相手グループのヘルパーに説明をしま

しょう。時間は3分間です。

3.報告を受けた小グループのヘルパーは、報告者に対して質問や

確認をしましょう。報告者は質問に対して簡潔に答えましょう。

ヘルパーA:具体的な状況をあげて、トラブルが起きたときの対応

について質問しましょう。

例)急に腹痛になったときにはどうしたらいいですか

ヘルパーB:支援の手続きについて整理して、「◯◯ということで

すね」と確認をしましょう。

4.小グループを交代して、同じように1~3を行ってください。

演習②|支援の計画を伝える

①支援の説明

③内容の確認

②予想されるトラ

ブルへの対応等

ヘルパーA

ヘルパーB

報告者

(中堅)

ヘルパーA

ヘルパーB

報告者

(中堅)

グループA-1

グループA-2

Page 5: ☆4-1 実践研修テキストPDF...報 】 1. の ぞ む さ ん の 基 本 情 報 ( 情 報 シ ー ト P 1-P 8 ) 2. の ぞ む さ ん の 外 出 に つ い て ( 情

演習②|ディスカッション(15分)

1.ヘルパー役の人は、相手の説明が「わかりやすかった

か」「根拠が示されていたか」という観点から、感想を

述べてください。報告者役の人は、報告するうえで「難

しかった点」をあげてください。

2.その他、気がついた点があれば共有したうえで、支援の

手順をうまく伝えるために重要だと感じたポイントを整

理しましょう。

演習②|発表とまとめ(25分)

1.2~3グループに発表してもらいます。

2.発表者は各グループで話し合われた内容を全体に報告

してください。

演習②|手順書の作成・説明の例

例えば次のような内容、流れが考えられます。

手順書

報告者(サービス提供責任者等)が作成したプランに沿って何

回か試し、わかっていること・そうでないことを明確に。

乗車から降車までのステップと、各ステップでの注意点を簡潔

に記載する。

説明 1回目は報告者が引き継ぎのヘルパーと一緒に同行して、支援

の手順を実際に示す。

手続きを決めた理由と、その通りにやる重要性、緊急時対応、

留意点、記録等について補足の説明をする。

まとめ|(外出時の)支援のポイント

【外出で失敗しないために】

障害特性や本人の行動特性に配慮した事前準備を念入

りに

常に先手の支援で行動障害の予防

本人の疲労度に配慮

→疲労に起因する行動障害

次回の外出に対するモチベーションに配慮

日常生活に戻るまで支援は終わらない

etc.

Page 6: ☆4-1 実践研修テキストPDF...報 】 1. の ぞ む さ ん の 基 本 情 報 ( 情 報 シ ー ト P 1-P 8 ) 2. の ぞ む さ ん の 外 出 に つ い て ( 情

まとめ|伝えるときのポイント

【手順書と説明のチェックポイント】

手順はシンプルか(対応が細か過ぎたり、複雑な手順

が必要だったりしないか)

課題となる行動への対応方法が具体的に伝えられてい

るか

なぜそのような方法になったのかという意味(理由)

が伝わっているか

本人の行動と支援の流れが整理されているか

記録の内容と方法が決められているか

2人で付くときの役割分担が決められているかetc.

観察・予測|日々の生活状況やアセスメントシート等から情報を収集

①背景の障害特性を推測|氷山モデル

生じている問題・生じうるリスクを具体的に記す

まとめ|手順書の作成プロセス

②障害特性を「強み」の表現に変換

③他の場面から「強み」のリスト追加

行動の背景にある障害特性(生物学的・心理的)と環境要

因を推測し、リストアップする。

リストアップした障害特性を「強み」の表現に変換する。

他の場面の観察から、リストされていない「強み」を加える。

④「強み」を活かした新たな環境

生じている問題・生じうるリスクのある場面で、「強み」のリストを活かした環境づ

くり(構造化)の計画を立てる。

Page 7: ☆4-1 実践研修テキストPDF...報 】 1. の ぞ む さ ん の 基 本 情 報 ( 情 報 シ ー ト P 1-P 8 ) 2. の ぞ む さ ん の 外 出 に つ い て ( 情

資料

情報シート

ヒントシート

ワークシート:WS-1~WS-6

運営の手引き 2014年10月ver.

強度行動障害支援者養成研修のねらい

強度行動障害に関する研究と支援の歴史

Page 8: ☆4-1 実践研修テキストPDF...報 】 1. の ぞ む さ ん の 基 本 情 報 ( 情 報 シ ー ト P 1-P 8 ) 2. の ぞ む さ ん の 外 出 に つ い て ( 情

「高

崎の

ぞむ

」さ

んは

26歳

の男

性で

す。

現在

は、

父親

と母

親と

一緒

に自

宅で

生活

して

いま

す。

のぞ

むさ

んに

は4

歳上

の姉

がい

ます

。姉

は2

前に

結婚

し、

家を

出て

いま

す。

ぞむ

さん

は、

大柄

で、

身長

が172セ

ンチ

体重

が105キ

ロあ

りま

す。

体重

につ

いて

は、

10

年程

前は

60キ

ロ少

々で

した

が、

毎年

コン

スタ

トに

増え

てき

てい

ます

。最

近は

、高

血圧

気味

で、

かか

りつ

けの

内科

医か

らは

、食

事制

限や

運動

する

よう

に指

導さ

れて

いま

すが

、家

庭で

対応

るこ

とは

難し

くな

って

きて

いま

す。

まれ

たば

かり

のの

ぞむ

さん

は、

元気

な赤

ん坊

で、

母親

は姉

より

も手

のか

から

ない

子だ

思っ

てい

まし

た。

しか

し、

発語

が遅

く、

1歳

にな

って

も大

声で

泣き

続け

るか

、口

をモ

グモ

する

だけ

で、

言葉

を発

する

こと

はあ

りま

せん

した

。小

児科

や保

健師

の紹

介で

、市

内の

療育

練や

相談

窓口

に通

い、

3歳

から

は同

じよ

うな

害の

ある

幼児

たち

が通

う通

園施

設に

毎日

行く

とに

なり

まし

た。

医師

から

、知

的な

発達

の遅

と自

閉症

と診

断さ

れた

のは

4歳

の時

でし

た。

単な

単語

を話

すよ

うに

なっ

たの

は、

小学

に通

い始

めた

頃か

らで

す。

学校

は、

当初

、地

の学

校の

特別

支援

学級

に通

って

いま

した

が、

ラス

メー

トと

同じ

よう

に学

習が

でき

なか

った

で、

5年

生か

らス

クー

ルバ

スを

使っ

て特

別支

学校

に通

うよ

うに

なり

まし

た。

当時

を振

り返

と、

道路

工事

現場

や子

ども

の泣

き声

とい

った

端に

嫌い

なこ

とも

あり

まし

たが

、家

族と

して

は、

話す

単語

が限

られ

るこ

と、

他の

子ど

もた

ちと

緒に

行事

に参

加す

るこ

とが

難し

いこ

とな

ど、

来に

対し

て漠

然と

した

不安

を感

じて

いた

よう

す。

活が

変わ

った

のは

、特

別支

援学

校の

中等

部の

2年

生か

らで

す。

近所

のコ

ンビ

ニで

、親

で買

物に

来て

いた

3歳

位の

子ど

もを

突き

飛ば

高崎

のぞ

むさ

んの

生育

して

、ケ

ガを

させ

てし

まっ

たの

です

。ケ

ガは

ちろ

んで

すが

、3

歳の

子ど

もと

その

母親

の恐

心は

相当

のも

のだ

った

よう

で、

店舗

内は

大騒

ぎ、

警察

もや

って

きて

母親

が事

情聴

取を

受け

るこ

にな

りま

した

。の

ぞむ

さん

は、

事の

重大

さを

かっ

てい

る素

振り

もあ

りま

せん

でし

た。

家族

は、

のぞ

むさ

んを

連れ

て近

所に

買い

物や

散歩

に出

けら

れな

くな

りま

した

。外

出は

、月

に1

~2

回、

車で

ドラ

イブ

に出

かけ

、比

較的

広々

とし

た郊

で少

し散

歩を

する

こと

がや

っと

でし

た。

第に

、学

校や

家庭

で断

続的

に唸

るよ

うな

大声

をあ

げた

り、

ドン

ドン

と床

を強

く踏

み鳴

した

りす

るよ

うに

なり

、高

校生

にな

った

頃に

は、

先生

や親

に頭

突き

をし

たり

腕や

肩を

強く

つね

行為

が目

立つ

よう

にな

って

きま

した

。大

人数

集団

が苦

手な

のぞ

むさ

んは

、高

校を

卒業

して

ら毎

日10数

人が

通っ

てく

る比

較的

小さ

な作

業所

に通

いは

じめ

まし

た。

しか

し、

そこ

でも

大声

あげ

床を

強く

踏み

鳴ら

した

り、

他の

利用

者へ

突き

をす

るな

どの

他害

行為

が続

いた

ため

、1

半で

退所

する

こと

にな

りま

した

。そ

して

しば

く在

宅生

活を

送っ

た後

、20歳

から

現在

まで

新し

くで

きた

生活

介護

事業

所「

あじ

さい

」に

通う

うに

なり

まし

た。

じさ

いで

は、

のぞ

むさ

んの

行動

に対

して

専門

的に

どの

よう

な対

応が

可能

であ

るか

を、

剣に

職員

同士

で検

討し

て支

援を

行っ

てい

まし

た。

通所

中や

家庭

内で

は、

以前

より

少し

ずつ

行動

落ち

着い

てい

ます

。の

ぞむ

さん

の両

親は

、の

むさ

んに

深い

愛情

があ

り、

今も

、親

とし

てで

る限

りの

こと

をや

り続

けた

いと

考え

てい

ます

愛情

の深

さは

、の

ぞむ

さん

の日

々の

服装

や、

ち物

に書

かれ

てい

る名

前を

見る

とわ

かり

ます

また

、の

ぞむ

さん

のた

めの

週末

ドラ

イブ

は、

10

年以

上た

った

今も

続け

られ

てい

ます

情報

シー

サー

ビス

等利

用計

画【

要約

高崎

のぞ

イン

テー

(情

報の

収集

・整

理)

アセ

スメ

ント

評価

プラ

ンニ

ング

支援

計画

●26歳

男性

閉症

度知

的障

●身

長172セ

ンチ

体重

105キ

●高

等部

卒業

後、

8年

間で

45キ

ロ体

増加

●高

血圧

(100-1

60)

●14歳

の時

に近

所の

コン

ビニ

で3歳

子を

突き

飛ば

し怪

我を

させ

てい

●そ

の後

も学

校や

施設

の外

出中

に幼

の方

に向

かっ

てい

く場

面を

数回

制止

して

いる

●子

ども

の泣

き声

はテ

レビ

から

聞こ

ても

不機

●外

出は

、施

設の

送迎

と父

親が

ドラ

ブに

連れ

てい

く以

外に

外出

経験

なし

●D

VD

カセ

ット

のセ

ット

作業

や洗

濯ば

さみ

の袋

詰作

業な

ど、

単純

な工

程の

仕事

が可

●書

類や

チラ

シの

封入

等、

手先

の巧

性が

求め

られ

る作

業は

手順

の学

習は

可能

だが

、製

品と

して

の完

成は

難し

●個

別化

され

た作

業環

境だ

と、

一度

20分

から

日に

よっ

ては

1時

間近

く継

続し

て作

業に

取り

組む

こと

が可

●休

憩時

間は

他の

利用

者や

職員

の動

が見

える

環境

だと

落ち

着か

なく

なる

ため

、静

養室

のソ

ファ

ーで

横に

なっ

てい

る場

合が

多い

●静

養室

での

活動

は特

にな

く、

長時

休憩

が続

くと

不穏

状態

にな

り、

頻繁

に静

養室

を出

入り

し、

床を

強く

踏み

なら

しは

じめ

●写

真を

使っ

た指

示で

活動

がい

くつ

理解

でき

てい

●と

きど

き笑

顔を

見せ

、支

援員

に近

って

くる

こと

があ

るが

、し

ばら

くし

てか

ら興

奮状

態に

なる

場合

もあ

●入

浴や

歯磨

き(う

がい

)が1時

間以

上た

って

も終

わら

ない

こと

が多

々見

られ

●2か

月前

、歯

磨き

の中

止を

指示

した

父親

に、

コッ

プを

投げ

つけ

、目

に大

けが

を負

わせ

る(そ

の後

休日

のド

ライ

ブが

行け

てい

ない

生物

的な

こと

疾患

や障

害、

病気

など

①ダ

イエ

ット

と生

活習

慣病

予防

②支

援付

きの

外出

手段

の確

③穏

やか

に日

中活

動の

時間

を過

ごす

④定

期的

なシ

ョー

トス

テイ

の利

○昼

食に

満腹

感を

与え

る低

カロ

リー

メニ

ュー

○日

中活

動に

毎日

散歩

の時

間を

組み

入れ

る(時

間や

歩行

距離

は計

画的

増や

す)

○休

憩時

間に

個別

に深

呼吸

の練

○相

談支

援事

業と

行動

援護

利用

の調

整(早

急の

サー

ビス

開始

に向

けて

)

○行

動援

護事

業所

と具

体的

な支

援方

法の

確認

(支援

員が

複数

回同

行予

定)

○1

日に

作業

1種

類、

自立

課題

6種

類を

準備

○1

日単

位の

個別

のス

ケジ

ュー

ルを

当面

固定

○ス

ケジ

ュー

ルの

伝達

方法

を調

・ス

ケジ

ュー

ルの

提示

場所

は静

養室

・3

つ程

度の

活動

を写

真・

カー

ドで

提示

・静

養室

の休

憩時

間の

終わ

りは

タイ

マー

○ス

ケジ

ュー

ルの

変更

時に

は家

庭に

連絡

・家

庭で

の影

響を

確認

○月

に2

回(各

1泊

)生活

介護

事業

併設

のシ

ョー

トス

テイ

を活

用(要

調

整) ・

曜日

の固

・他

の利

用者

との

調整

・宿

泊時

に必

要な

もの

を確

・夜

間と

早朝

のス

ケジ

ュー

ルを

確認

・最

初の

実施

●中

学生

から

強度

行動

障害

の状

態が

続い

てい

る重

度の

知的

障害

のあ

自閉

●生

活習

慣病

の対

策が

必要

●健

康・

衛生

に配

慮し

た詳

細な

援助

は行

いづ

らい

●と

っさ

に乳

幼児

を突

き飛

ばす

リス

クが

ある

●女

性や

子ど

もの

甲高

い声

は嫌

●混

乱し

興奮

する

と数

時間

単位

で不

穏状

態が

続き

、場

合に

よっ

ては

囲の

人が

ケガ

をす

るリ

スク

があ

心理

的な

こと

(不

安、

葛藤

、希

望、

感情

など

)

●一

人で

行う

作業

や自

立課

題は

20

分程

度集

中し

て取

り組

●と

っさ

に何

らか

の慣

れ親

しん

だ行

動を

取ろ

うと

する

時に

静止

する

興奮

する

こと

が多

い(大

声・

床を

みな

らす

・頭

突き

等に

表れ

る)

●周

囲の

人の

とっ

さの

動き

に反

応し

興奮

する

こと

があ

●刺

激が

少な

い場

所で

、一

人で

いる

こと

を好

むが

、30

分以

上続

くと

興奮

する

こと

があ

●笑

顔や

人と

の関

わり

を求

める

行動

がか

なら

ずし

も快

適な

状況

の表

とは

限ら

ない

●歯

磨き

や入

浴と

いっ

た活

動の

終了

が理

解き

ない

社会

的な

こと

家庭

、施

設、

学校

、地

域資

源な

ど)

●両

親は

愛情

をも

って

接し

てい

が、

今後

も長

期間

この

生活

を続

るこ

との

困難

さを

感じ

てい

●家

庭以

外で

の外

泊経

験は

15

年以

上経

験し

てい

ない

●2

年を

目処

に複

数箇

所の

ケア

ホー

ムの

設置

が検

討さ

れて

いる

(行動

害対

応が

可能

か不

確定

)

Page 9: ☆4-1 実践研修テキストPDF...報 】 1. の ぞ む さ ん の 基 本 情 報 ( 情 報 シ ー ト P 1-P 8 ) 2. の ぞ む さ ん の 外 出 に つ い て ( 情

サー

ビス

等利

用計

画【

週間

計画

表】

利用

者名

のぞ

障害

程度

区分

分5

談支

援事

業者

相談

支援

セン

ター

かわ

せみ

障害

福祉

サー

ビス

受給

者証

番号

****************

計画

作成

担当

希美

地域

相談

支援

受給

者証

番号

****************

計画

開始

2014

年7

・祝

6:0

0

8:0

0

10:0

0

12:0

0

14:0

0

16:0

0

18:0

0

20:0

0

22:0

0

00:0

0

02:0

0

04:0

0 8

主な

日中

生活

上の

活動

単位

以外

のサ

ービ

父親

の怪

我で

外出

(ド

ライ

ブ)

が出

来な

くな

って

以来

、外

機会

が極

端に

少な

い。

生活

介護

への

通所

は安

定し

てい

る。

食前

の空

き時

間に

自立

課題

を実

施す

る。

2ヶ

月に

1回

、精

神科

医に

通院

する

。通

院は

保護

者の

送迎

よる

。月

に2

回、

生活

介護

事業

所併

設の

ショ

ート

ステ

イを

用す

る。

サー

ビス

提供

によ

って

実現

する

生活

の全

体像

日中

活動

には

安定

した

通所

が可

能で

ある

が、

他害

等が

時折

見ら

れて

おり

、1

日を

穏や

かに

ごせ

るよ

うに

なる

には

まだ

課題

があ

る。

生活

介護

での

安定

した

日中

活動

への

取り

組み

を図

とと

もに

、週

末の

行動

援護

、月

2回

のシ

ョー

トス

テイ

の利

用を

進め

るこ

とで

、家

庭と

生活

護以

外の

場へ

の生

活の

広が

りが

期待

でき

る。

家族

のレ

スパ

イト

とし

ても

重要

であ

り、

本人

含め

た家

庭全

体の

安定

を図

る。

起床

朝食

事業

所の

迎え

事業

所の

送り

生活

介護

あじ

さい

起床

朝食

事業

所の

迎え

生活

介護

あじ

さい

業所

の送

朝食

起床

朝食

事業

所の

迎え

朝食

生活

介護

あじ

さい

業所

の送

起床

朝食

事業

所の

迎え

朝食

生活

介護

あじ

さい

業所

の送

起床

朝食

事業

所の

迎え

朝食

生活

介護

あじ

さい

業所

の送

行動

援護

朝食

昼食

夕食

就寝

就寝

就寝

就寝

就寝

行動

援護

(ド

ライ

ブ等

起床

起床

昼食

個別

支援

計画

利用

者名

のぞ

障害

程度

区分

分5

談支

援事

業者

生活

介護

事業

あじ

さい

利用

開始

2008

年5

月10

計画

作成

担当

あき

モニ

タリ

ング

実施

2014

年6

月10

計画

開始

2014

年7

月1

利用

者及

びそ

の家

族の

生活

に対

する

意向

(希

望す

る生

活)

・自

傷や

他害

が少

なく

なっ

て欲

しい

(穏

やか

に生

活を

送っ

てほ

しい

)。

・体

重が

気に

なる

ので

、ダ

イエ

ット

をし

て痩

せて

欲し

い。

・外

出が

でき

てい

ない

ので

外出

させ

てあ

げた

い。

でき

れば

、外

で色

々な

こと

を体

験さ

せて

あげ

たい

総合

的な

援助

方針

ぞむ

さん

の障

害特

性や

現在

有し

てい

る能

力・

スキ

ルを

活用

した

支援

を提

供し

、①

落ち

着け

る(

心で

きる

)生

活環

境の

中、

②自

立的

に活

動を

過ご

せる

よう

支援

を行

う。

長期

目標

心で

き自

立的

に活

動で

きる

よう

支援

を行

い、

併せ

て自

傷や

他害

とい

った

行動

の生

起数

を半

にす

る。

アホ

ーム

での

生活

を視

野に

入れ

、よ

り自

立的

に過

ごせ

るよ

う支

援を

行う

(Ex.

歯磨

き、

トイ

レ、

余暇

等、

生活

内で

の様

々な

場面

)。

短期

目標

作業

を自

立的

に実

施で

きる

よう

、(環

境調

整を

含め

)支

援を

行う

。目

標と

して

は、

15

分間

継続

して

作業

に取

り組

める

よう

支援

する

業に

関し

ては

2週

間に

1回

のミ

ーテ

ィン

グを

行い

、実

施状

況を

確認

する

と共

に、

必要

支援

方法

を検

討し

準備

、実

践を

行う

(計

4回

の実

施を

予定

)。

普段

の引

き継

ぎ、

情報

共有

の手

段と

して

「作

業記

録・

引継

ぎ帳

」を

使用

する

事制

限+

散歩

(運

動)

を実

施し

、半

年間

で5

~10

㎏の

減量

を目

標と

する

ニー

支援

目標

ービ

ス内

頻度

・時

提供

先・

担当

ダイ

エッ

トと

生活

習慣

病予

(医

学的

ニー

ズ)

体重

の減

量(

ダイ

エッ

ト)

を目

標と

し、

併せ

生活

習慣

病の

予防

を行

昼食

に、

満足

感を

与え

る低

ロリ

ーメ

ニュ

ーの

提供

日中

活動

に散

歩の

時間

を入

(時

間や

歩行

距離

は、

計画

に増

やす

休憩

時間

に、

個別

に深

呼吸

練習

を行

昼食

(毎

日)

13:0

0~

13:4

5

(毎

日)

休憩

時間

(休

憩時

毎)

●生

活介

護事

業所

・栄

養士

・調

理師

・看

護師

・支

援員

(主

に②

③)

穏や

かに

日中

活動

の時

間を

過ご

(家

族の

ニー

ズ)

(関

係者

のニ

ーズ

穏や

かに

生活

が過

ごせ

るよ

う、本

人に

適し

た環

境調

整や

日中

活動

を提

供す

作業

、及

び自

立課

題の

提供

個別

のス

ケジ

ュー

ルの

提示

スケ

ジュ

ール

伝達

方法

の調

・1

回の

提示

数は

3枚

程度

・ス

ケジ

ュー

ル変

更時

は、保

護者

に連

絡を

行う

毎日

適時

●生

活介

護事

業所

・支

援員

・(保

護者

Page 10: ☆4-1 実践研修テキストPDF...報 】 1. の ぞ む さ ん の 基 本 情 報 ( 情 報 シ ー ト P 1-P 8 ) 2. の ぞ む さ ん の 外 出 に つ い て ( 情

生活

介護

事業

所「

あじ

さい

9:1

0

事業

所公

用車

にて

送迎

(自

宅玄

関で

待つ

9:3

0~

15:0

0

「あ

じさ

い」

にて

活動

15:0

0

事業

所公

用車

にて

自宅

へ送

迎(

自宅

到着

後、

保護

者へ

引き

継ぎ

生活

介護

事業

所「

あじ

さい

」全

静養

室(

ソフ

ァー

多目

的ホ

ール

廊下

(静

養室

⇔作

業室

業室

時間

サー

ビス

手順

9:3

0-1

0:0

0

来所

スケ

ジュ

ール

1:

朝の

準備

10:0

0-1

0:4

5

班別

活動

スケ

ジュ

ール

2:

DV

D組

み立

て】

10:4

5-1

1:0

0

お茶

休憩

スケ

ジュ

ール

3:

お茶

休憩

11:0

0-1

1:4

5

班別

活動

スケ

ジュ

ール

4:

DV

D組

み立

て】

11:4

5-1

2:4

5

昼食

・昼

休み

スケ

ジュ

ール

5:

昼食

12:4

5-1

3:3

0

散歩

スケ

ジュ

ール

6:

散歩

13:3

0-1

4:3

5

自立

課題

スケ

ジュ

ール

7:

自立

課題

×2

回】

14:3

5-1

5:0

0

帰り

スケ

ジュ

ール

8:

帰宅

支援

の留

意点

①(

期間

:2014

年7

月1

日~

10

月1

日)

ーク

シス

テム

高さ

190cm

のパ

ーテ

ーシ

ョン

を3 方

向に

設置

● 座

席の

背面

は100cm

の長

さの

カー

テン

● ワ

ーク

中は

、原

則パ

ーテ

ーシ

ョン

の入

り口

のカ

ーテ

ンを

閉じ

て外

から

見守

● 左

の3 段

の棚

のト

レイ

のワ

ーク

を上

から

1つ

ずつ

実施

し、

「お

わり

の箱

」に

入れ

● す

べて

のワ

ーク

が「

おわ

りの

箱」

に入

った

時点

で休

憩の

場所

に移

業・

自立

課題

1 回

の作

業や

自立

課題

は15 ~

20 分

程度

● 作

業量

(D

VD

ケー

ス組

み立

て60 ケ

ース

、洗

濯バ

サミ

の袋

詰め

は40 袋

● 自

立課

題(

1 課

題5 分

から

10 分

のも

のを

3 課

題)

● 通

所前

に作

業1 種

類、

自立

課題

6 種

類を

セッ

トし

て教

材棚

に入

れて

おく

個室

の静

養室

を専

用の

休憩

場所

とす

● 休

憩の

修了

の合

図は

アラ

ーム

(休

憩開

始時

に支

援員

がタ

イマ

ーセ

ット

● ス

ケジ

ュー

ルは

静養

室に

設置

ケジ

ュー

スケ

ジュ

ール

は写

真で

半日

程度

(通

所前

と昼

食時

にス

ケジ

ュー

ルを

セッ

ト)

● 写

真は

確認

した

らボ

ード

下の

ポケ

ット

に入

れる

● 室

内の

目的

の場

所や

物に

目印

とし

てス

ケジ

ュー

ルと

同じ

写真

を貼

って

おく

(指

差し

で確

認)

ミュ

ニケ

ーシ

ョン

1m

くら

いに

近づ

き、

視界

に入

った

こと

を確

認し

てか

ら言

葉が

けを

する

● 言

葉が

けは

落ち

着い

た声

で「

高崎

さん

」「

スケ

ジュ

ール

」「

手洗

い」

等、

単語

● 各

活動

の動

作が

分か

らな

くな

って

いる

とき

は、

名前

を呼

んで

手本

を示

● ワ

ーク

や休

憩中

に声

が大

きく

・激

しく

なっ

てき

たら

、「

落ち

着い

て」

と深

呼吸

を促

● 落

ち着

かず

床を

叩い

たり

、頭

突き

が見

られ

たら

、「

休憩

」と

指示

して

静養

室に

移動

、様

子を

見守

(落

ち着

いて

きた

ら「

落ち

着い

て」

と深

呼吸

を促

し、

更に

5 分

程休

憩し

て次

のス

ケジ

ュー

ル)

● 落

ち着

かな

い時

間が

しば

らく

続い

た場

合、

その

時間

のス

ケジ

ュー

ルは

省く

Page 11: ☆4-1 実践研修テキストPDF...報 】 1. の ぞ む さ ん の 基 本 情 報 ( 情 報 シ ー ト P 1-P 8 ) 2. の ぞ む さ ん の 外 出 に つ い て ( 情

追加

情報

保護

者よ

り、

自宅

での

余暇

の過

ごし

方に

つい

て教

えて

いた

だき

まし

た。

余暇

の過

ごし

のぞ

むさ

ん宅

では

、余

暇を

過ご

すも

のを

【余

暇グ

ッズ

】と

呼ん

でい

まし

下の

余暇

グッ

ズの

右側

括弧

内の

数字

は、

過ご

せる

目安

の時

間だ

そう

です

余暇

グッ

ズ一

D

VD

お母

さん

と一

緒」

のよ

うな

児童

向け

のも

のも

見る

が、

10

分程

度で

どこ

かに

行っ

てし

う。

以下

のD

VD

が現

在は

大好

きで

、最

初か

ら最

後(

字幕

)ま

で見

てい

る。

ただ

し途

中で

終わ

れな

いの

で時

間が

ある

とき

しか

、本

人に

見る

かど

うか

を聞

かな

い。

・「モ

ータ

ース

ポー

ツD

VD

WR

Cで

証明

した

ラリ

ーパ

ワー

「ス

バル

イン

プレ

ッサ

WR

X」

改訂

復刻

版」(

48

分)

・「ザ

・建

設の

スペ

シャ

ルバ

ージ

ョン

」(45

分)

CD

30

分以

内で

あれ

ば、

曲が

終わ

るま

で聞

いて

いる

・AKB48

・童

謡(

最近

のお

気に

入り

は「

ブン

バボ

ン」。

ただ

し、

曲に

合わ

せて

跳ぶ

との

こと

在、

外出

を想

定し

てポ

ータ

ブル

CD

プレ

ーヤ

ーを

家で

も使

って

いる

。ま

た「

イヤ

ーマ

フの

代わ

にも

なる

かな

」と

の母

親の

考え

でヘ

ッド

フォ

ンを

試行

。結

果的

にポ

ータ

ブル

CD

プレ

ーヤ

ーと

ヘッ

ドフ

ォン

を家

でも

使っ

てい

る。

ッサ

ージ

機(

20

分:

全身

リラ

ック

スコ

ース

ゴブ

ロッ

ク(

長い

とき

で30

分程

度)

によ

って

は、

急に

ブロ

ック

が入

って

いる

容器

(バ

ケツ

)ご

と投

げ散

らか

すこ

とが

ある

誌め

くり

(5

分程

度(

1冊

))

ニカ

ーの

車輪

を回

す(

5~

10

分)

だし

、新

しい

ミニ

カー

だと

20

分ぐ

らい

して

いる

こと

があ

る。

ルバ

ムめ

くり

(10~

40

分)

分の

写真

を見

てい

る。

新し

い写

真が

アル

バム

に入

った

日は

、長

い時

間見

てい

る。

ムボ

ール

(?

分)

家で

は)

持っ

てい

ると

安心

する

のか

、食

事や

お風

呂、

寝る

とき

以外

は持

って

いる

こと

多い

。た

だ、

家の

外に

持っ

て行

こう

とす

るこ

とは

ない

動援

護計

成年

月日

2014

1日

提供

責任

和雪

担当

ヘル

パー

妙義

、浅

間、

大山

、榛

障害

種別

的障

害、

自閉

障害

程度

区分

利用

者氏

高崎

のぞ

性別

生年

月日

19

88

7月

********************************

電話

番号

*****************

長期

目標

ス停

から

自宅

まで

の往

復を

安全

に移

動で

きる

バス

移動

(乗

降、

及び

車中

の過

ごし

方)

をス

ムー

ズに

実施

でき

る。

サ ー ビ ス 内 容

曜日

間帯

ービ

ス内

14:0

0~

17:0

0

動援

護(

余暇

支援

ご 本 人 の 希 望

ご 家 族 の 希 望

■外

出が

でき

てい

ない

ので

外出

させ

てあ

げた

い。

きれ

ば、

外で

色々

なこ

とを

体験

させ

てあ

げた

い。

■体

重減

量の

ため

にも

、運

動を

させ

て欲

しい

ニー

ズ・

課題

期目

サー

ビス

内容

・留

意点

①外

出の

予定

が分

から

ない

と不

安に

なり

他害

が起

きる

こと

があ

②バ

スの

中で

降車

ボタ

ンを

押し

り、

急に

動い

たり

おり

よう

とす

るこ

とが

ある

③バ

ス降

車の

切替

えが

スム

ーズ

出来

ない

こと

があ

④運

動(

散歩

)の

実施

⑤バ

ス降

車後

の安

全確

(そ

の他

身支

度の

手伝

見通

しを

持っ

て安

心し

て外

出を

う。

車中

の1

5分

間を

、快

適に

過ご

す。

バス

の降

車を

スム

ーズ

に行

う。

キャ

ンパ

ス内

を散

歩す

る(

約3

0分

×2

)。

降車

後、

自宅

まで

安全

に案

内す

る。

スケ

ジュ

ール

(写

真)

で予

定を

お伝

えし

す。

又、

具体

物や

高崎

様が

理解

され

てい

単語

を使

って

コミ

ュニ

ケー

ショ

ンを

行い

す。

危険

が無

いよ

う常

に近

くで

見守

り、

もし

は手

をつ

なぎ

、場

合に

よっ

ては

行動

を制

しま

す。

危険

が無

いよ

う常

に近

くで

見守

り、

もし

は手

をつ

なぎ

、場

合に

よっ

ては

行動

を制

しま

す。

「の

ぞみ

大学

」キ

ャン

パス

内を

散歩

しま

す。

その

際目

的地

を学

生食

堂前

の自

販機

とし

す(

片道

30

分の

コー

ス)。

自販

機に

て、

ュー

ス又

はア

イス

クリ

ーム

を買

いま

す。

バス

降車

後、

支援

者が

車道

側を

歩き

徒歩

て自

宅ま

で案

内を

行い

ます

バス

出発

の4

0分

前に

自宅

へ伺

い、

スケ

ュー

ルの

再確

認、

及び

身支

度が

調っ

てい

い場

合、

お手

伝い

をし

ます

Page 12: ☆4-1 実践研修テキストPDF...報 】 1. の ぞ む さ ん の 基 本 情 報 ( 情 報 シ ー ト P 1-P 8 ) 2. の ぞ む さ ん の 外 出 に つ い て ( 情

行動

援護

を利

用し

たの

ぞむ

さん

の外

自宅

から

約15

分間

、バ

スに

乗り

「の

ぞみ

大学

」へ

キャ

ンパ

ス内

で散

歩し

た後

、食

堂前

の自

動販

売機

でジ

ュー

スと

アイ

スク

リー

ムを

購入

学生

食堂

前の

広場

でお

やつ

を食

べて

、バ

スに

乗っ

て帰

りま

「の

ぞみ

大学

」行

きの

バス

車内

ス停

「の

ぞみ

大学

前」

学生

食堂

前の

広場

動販

売機

Page 13: ☆4-1 実践研修テキストPDF...報 】 1. の ぞ む さ ん の 基 本 情 報 ( 情 報 シ ー ト P 1-P 8 ) 2. の ぞ む さ ん の 外 出 に つ い て ( 情
Page 14: ☆4-1 実践研修テキストPDF...報 】 1. の ぞ む さ ん の 基 本 情 報 ( 情 報 シ ー ト P 1-P 8 ) 2. の ぞ む さ ん の 外 出 に つ い て ( 情

強度

行動

障害

支援

者養

成研

修(

基礎

・実

践研

修)

運営

の手

引き

(2014

年10

月ve

r.)

独立

行政

法人

国立

重度

知的

障害

者総

合施

設の

ぞみ

の園

1.

基本

的な

考え

(1

研修

の目

(2

都道

府県

研修

に期

待す

るこ

2.

研修

会開

催準

(1

運営

スケ

ジュ

ール

(2

運営

体制

と予

(3

会場

と開

催日

(4

募集

方法

(5

受講

の確

定と

事前

通知

の方

(6

研修

会資

料等

の準

3.

研修

プロ

グラ

ムの

作成

(1

国基

(2

講師

・発

表者

の調

4.

研修

会の

運営

(1

スタ

ッフ

と役

割分

(2

事前

のリ

ハー

サル

(3

研修

会運

営の

基本

5.

継続

的な

連携

体制

の構

築に

向け

(1

継続

的な

研修

実施

と連

携体

(2

研修

に関

する

要望

・意見

につ

いて

Page 15: ☆4-1 実践研修テキストPDF...報 】 1. の ぞ む さ ん の 基 本 情 報 ( 情 報 シ ー ト P 1-P 8 ) 2. の ぞ む さ ん の 外 出 に つ い て ( 情

1.

基本

的な

考え

(1

研修

の目

強度

行動

障害

とは

、自

分の

体を

叩い

たり

食べ

られ

ない

もの

を口

に入

れる

、危

険に

つな

がる

飛び

出し

など

本人

の健

康を

損ね

る行

動、

他人

を叩

いた

り物

を壊

す、

大泣

きが

何時

間も

続くな

ど周

囲の

人の

くら

しに

影響

を及

ぼす

動が

、著

しく高

い頻

度で

起こ

るた

め、

特別

に配

慮さ

れた

支援

が必

要に

なっ

てい

る状

態の

こと

を言

いま

す。

適切

専門

的な

支援

を行

う必

要が

あり

、医

療を

含め

た強

度行

動障

害に

関す

る総

合的

な支

援体

制を

構築

する

とと

もに

障害

者福

祉施

設等

の従

事者

が、

専門

的な

知識

や技

術を

身に

付け

、本

人の

生活

の質

を向

上さ

せる

こと

が求

めら

れて

いま

す。

強度

行動

障害

支援

者養

成研

修(基

礎・実

践研

修)と

は、

入所

、通

所、

居宅

、相

談等

、強

度行

動障

者の

障害

福祉

サー

ビス

に携

わる

あら

ゆる

職員

を対

象に

、今

後、

従事

者と

して

身に

付け

るべ

く「基

礎的

な知

識」と

「初

歩的

な支

援計

画の

立案

方法

」を

学ぶ

場で

す。

基礎

研修

と実

践研

修の

目的

な内

容の

詳細

は、

テキ

スト

の「強

度行

動障

害支

援者

養成

研修

のね

らい

」「強

度行

動障

害支

援者

養成

研修

の内

容」「実

践研

修の

ポイ

ント

」を

ご参

照下

さい

(2

都道

府県

研修

に期

待す

るこ

上記

の基

本的

な考

え方

に加

え、

各都

道府

県に

おけ

る研

修に

おい

て、

以下

の2

点を

考慮

し、

プロ

グラ

ムの

画・運

営を

行っ

て欲

しい

と考

えて

いま

す。

道府

県に

おけ

る研

修プ

ログ

ラム

につ

いて

は、

実際

に強

度行

動障

害の

ある

人の

支援

経験

が豊

富な

を中

心と

した

チー

ム(実

行委

員会

)を

組ん

で、

この

実行

委員

会が

主体

的に

研修

の企

画・運

営に

あた

習や

講義

(特

に事

例報

告)に

つい

ては

、可

能な

限り

地域

の事

例に

則し

た、

具体

的な

もの

を提

供す

また

、都

道府

県研

修の

企画

・運

営を

行う

実行

委員

会等

を通

して

、各

地域

で、

障害

福祉

サー

ビス

体系

や所

属法

人等

を超

え、

広域

で強

度行

動障

害者

支援

ノウ

ハウ

に関

する

情報

交換

がで

きる

よう

なネ

ット

ワー

クづ

くり

を行

い、

地域

にお

いて

強度

行動

障害

者支

援体

制の

構築

が進

むこ

とを

期待

して

いま

す。

2.

研修

会開

催準

(1

運営

スケ

ジュ

ール

各都

道府

県に

おい

て、

強度

行動

障害

支援

者養

成研

修(基

礎・実

践研

修)を

開催

する

にあ

たっ

ての

大ま

かな

営ス

ケジ

ュー

ルは

下記

の図

の通

りで

す。

研修

規模

やプ

ログ

ラム

内容

の調

整、

準備

期間

が変

わっ

てくる

と思

いま

す。

下記

のス

ケジ

ュー

ルは

、概

ねモ

デル

プロ

グラ

ムに

準じ

た運

営を

行っ

た場

合の

目安

です

(2

運営

体制

と予

強度

行動

障害

支援

者養

成研

修(基

礎・実

践研

修)の

運営

体制

は、

「事

務局

」と

「実

行委

員」を

分け

たほ

うが

まし

いと

考え

ます

務局

:研

修の

準備

から

報告

まで

の進

行管

理と

事務

一般

を取

り扱

う部

所・組

織、

そし

て担

当者

。可

能で

あれ

ば、

複数

年事

務局

を継

続す

るこ

とに

より

、地

域の

強度

行動

障害

者支

援に

関す

るネ

ット

ワー

クづ

くり

や支

援体

制構

築に

向け

ての

事務

局機

能を

果す

行委

員:主

に日

々行

動障

害の

ある

人の

支援

に携

わっ

てお

り、

支援

のノ

ウハ

ウや

経験

が比

較的

多い

材を

、複

数の

法人

等か

ら募

り、

研修

プロ

グラ

ム作

りや

、依

頼す

る講

師の

選定

、具

体的

な研

修の

進行

を行

なう

。研

修プ

ログ

ラム

の内

容の

向上

を図

り、

地域

のネ

ット

ワー

ク構

築の

中核

メン

バー

とな

もち

ろん

、地

域の

実情

に合

わせ

た別

の運

営体

制が

適当

な場

合も

あり

ます

し(例

:他

領域

も含

め総

合的

な実

者研

修の

実施

体制

が存

在す

る)、

さら

に都

道府

県が

本研

修の

実施

主体

につ

いて

別途

法人

を指

定し

て一

括実

する

場合

は(例

:委

託)、

その

実施

法人

が作

成し

た運

営体

制に

なる

もの

と考

えら

れま

す。

Page 16: ☆4-1 実践研修テキストPDF...報 】 1. の ぞ む さ ん の 基 本 情 報 ( 情 報 シ ー ト P 1-P 8 ) 2. の ぞ む さ ん の 外 出 に つ い て ( 情

予算

に関

して

は、

運営

主体

が都

道府

県で

ある

場合

、指

定法

人で

実施

する

場合

によ

り異

なり

、さ

らに

指定

法人

で実

施す

る場

合も

都道

府県

から

の委

託料

の有

無等

によ

り大

きく異

なる

こと

が予

想さ

れま

す。

もち

ろん

、事

務局

実行

委員

会の

規模

や事

前準

備の

頻度

、講

師・ト

レー

ナー

の謝

金、

会場

費、

開催

案内

とそ

の配

布等

によ

り支

出が

決ま

って

きま

す。

この

手引

書で

は、

具体

的な

モデ

ル案

は提

示し

ませ

んが

、受

講者

の自

己負

担額

をど

の程

度に

定す

るか

は本

研修

にお

いて

重要

な事

項で

す。

(3

会場

と開

催日

研修

の支

出額

に大

きな

影響

を及

ぼす

のが

、研

修会

場の

確定

です

。都

道府

県主

催で

、公

的な

会場

の利

用が

可能

なら

、費

用を

かけ

ずに

会場

の確

保が

でき

ます

。一

方、

比較

的大

きな

定員

を想

定し

た場

合、

基礎

と実

践を

わせ

て4

日間

(連

続日

程で

ある

必要

はな

い)会

場を

おさ

える

には

、早

い段

階か

ら企

画を

立案

する

必要

があ

りま

す。

会場

を確

定す

るこ

とで

、募

集定

員が

自ず

と確

定し

ます

。ま

た、

演習

の運

営方

法次

第で

定員

も変

わっ

てき

ます

ので

慎重

に判

断し

てくだ

さい

国研

修(指

導者

研修

)で

は、

基礎

研修

、実

践研

修と

もに

2日

間連

続の

研修

を実

施し

てい

ます

。都

道府

県研

にお

いて

は、

必ず

しも

2日

間連

続開

催で

なくて

もか

まい

ませ

ん。

可能

な限

り、

受講

生(所

属組

織)に

とっ

て参

加し

やす

い日

程を

組ん

でい

ただ

けれ

ばと

思い

ます

(例:◯

月の

第2

火曜

日と

第4

火曜

日に

基礎

研修

開催

、△

月の

第2

金曜

日と

第4

金曜

日に

実践

研修

開催

)。

(4

募集

方法

障害

福祉

サー

ビス

事業

所や

施設

等に

おい

ても

、強

度行

動障

害と

いう

こと

ばか

らイ

メー

ジす

る状

態像

は、

必ず

しも

ひと

つで

はあ

りま

せん

(「強

度行

動障

害支

援者

養成

研修

の内

容」を

参照

)。

就労

系の

事業

所で

、集

団生

活か

ら逸

脱す

る行

動が

時々

みら

れる

人の

こと

を強

度行

動障

害と

考え

てい

たり

、地

域活

動支

援セ

ンタ

ーに

時々

やっ

きて

他の

多くの

メン

バー

を不

安に

させ

る境

界性

人格

障害

が疑

われ

る人

を、

強度

行動

障害

では

ない

か?

と考

え、

受講

され

る人

もい

るは

ずで

す。

また

、か

つて

の強

度行

動障

害特

別処

遇事

業の

対象

者の

みを

イメ

ージ

し、

強度

動障

害判

定基

準表

で10

点以

上の

人が

複数

いる

にも

かか

わら

ず、

「当

方に

は強

度行

動障

害は

いな

い」と

研修

応募

しな

いか

もし

れま

せん

。こ

のよ

うな

誤解

が、

すぐ

に無

くな

るこ

とは

あり

ませ

ん。

都道

府県

研修

を継

続的

に実

する

こと

が、

強度

行動

障害

の正

確な

理解

をも

たら

す、

もっ

とも

有効

な方

法の

ひと

つだ

と私

たち

は考

えて

いま

す。

とに

かく、

はじ

めて

、あ

るい

は初

期の

都道

府県

研修

では

、入

所系

・通

所系

・居

宅系

、そ

して

相談

支援

等、

多く

の事

業所

に研

修の

開催

要項

につ

いて

情報

が行

き届

くよ

うな

方法

を工

夫し

てくだ

さい

。代

表的

な募

集方

法は

、下

記の

通り

です

。必

ず複

数の

方法

を組

み合

わせ

て広

報を

行っ

てくだ

さい

ラシ

を印

刷し

配布

する

(郵

送・FA

X)

害福

祉サ

ービ

ス事

業所

の管

理者

・従事

者が

集ま

る研

修会

やイ

ベン

トで

チラ

シを

配布

業者

が必

ず閲

覧す

るW

EB

ペー

ジに

掲載

業者

間の

メー

リン

グリ

スト

で送

(5

受講

の確

定と

事前

通知

の方

受講

申込

から

受講

の確

定ま

での

サン

プル

とし

て、

平成

26年

度強

度行

動障

害支

援者

養成

研修

(基

礎研

修(指

導者

研修

))の

流れ

を以

下に

まと

めま

す。

チラ

シな

らび

に申

込書

の発

送(5

月1

2日

申込

受付

の締

切日

(6

月1

6日

受講

決定

書と

事前

提出

書類

の発

送(6

月2

0日

事前

提出

書類

の締

切日

(6

月3

0日

研修

会開

催(7

月1

0日

~1

0日

国研

修で

は、

受講

者を

「都

道府

県か

らの

推薦

」と

して

いる

ため

、申

込書

以外

に事

前提

出書

類(現

場で

抱え

いる

事例

の紹

介)の

提出

を求

めて

いま

すが

、都

道府

県研

修で

は申

込書

の書

式に

より

詳細

な情

報の

記載

を求

るこ

とも

可能

です

。ま

た、

申込

書等

によ

り得

られ

る受

講者

の情

報は

、グ

ルー

プワ

ーク

の班

編成

等に

おい

て非

常に

重要

な情

報に

なり

ます

(6

研修

会資

料等

の準

今回

の国

研修

(指導

者研

修)で

準備

した

研修

会資

料等

は概

ね次

の通

りで

す。

修テ

キス

修テ

キス

トの

補足

資料

(講義

のP

P・演

習用

のワ

ーク

シー

ト、

研修

アン

ケー

ト等

度行

動障

害支

援者

養成

研修

運営

の手

引(こ

の手

引の

こと

です

イン

ダー

(受講

生用

のテ

キス

ト・資

料等

をひ

とま

とめ

にす

る)

席表

札(受

講者

用・イ

ンス

トラ

クタ

ー事

務局

用)

加者

・ト

レー

ナー

等名

簿

習教

材(ワ

ーク

シー

ト、

演習

シナ

リオ

、マ

ーカ

ー他

付セ

ット

一式

(参加

者名

簿、

文房

具、

領収

書、

つり

銭)

了証

ート

パソ

コン

(液晶

プロ

ジェ

クタ

ー接

続用

ケー

ブル

録用

器具

(デジ

タル

カメ

ラ、

ビデ

オカ

メラ

、三

脚、

記録

媒体

の他

事務

用品

(梱

包用

具、

紙コ

ップ

、)

Page 17: ☆4-1 実践研修テキストPDF...報 】 1. の ぞ む さ ん の 基 本 情 報 ( 情 報 シ ー ト P 1-P 8 ) 2. の ぞ む さ ん の 外 出 に つ い て ( 情

会場

の設

備に

よっ

ては

、音

響機

器、

液晶

プロ

ジェ

クタ

ー・ス

クリ

ーン

、看

板等

の準

備が

必要

にな

りま

す。

なお

今回

の国

研修

(指

導者

研修

)に

おけ

る研

修会

資料

等の

準備

では

、短

期間

のテ

キス

ト作

成が

求め

られ

まし

たの

で、

その

他の

事務

負担

を可

能な

限り

減ら

そう

と努

力し

まし

た。

「強

度行

動障

害者

支援

者養

成研

修(基

礎研

修)受

講者

用テ

キス

ト」は

、平

成26

年6

月よ

りの

ぞみ

の園

にお

いて

1

冊1,2

00

円で

有償

頒布

を行

って

いま

す(消

費税

・送料

込み

)。

ただ

し、

料金

の支

払い

は、

のぞ

みの

園指

定の

銀行

に振

込と

なり

ます

。振

込手

数料

は申

し訳

あり

ませ

んが

振込

者負

担で

お願

いし

てい

ます

。ま

た、

受講

者用

テキ

スト

の前

のバ

ージ

ョン

のも

の(表

の一

部変

更、

誤字

等多

い)に

つい

ては

、の

ぞみ

の園

のホ

ーム

ペー

ジ(下

記U

RL)で

公開

して

いま

す。

ただ

し、

フル

カラ

ーA

4版

で200

ペー

ジ近

くあ

るテ

キス

トで

す。

すべ

ての

ペー

ジを

コピ

ーす

るだ

でも

かな

りの

金額

にな

りま

す。

ぞみ

の園

ホー

ムペ

ージ

で公

開さ

れて

いる

、前

のバ

ージ

ョン

の受

講者

用テ

キス

【本

htt

p:/

/ww

w.n

ozo

mi.g

o.jp

/pub

licat

ion/

PD

F/H

25_k

yodo

%20T

ext_

01.p

df

【資

料編

htt

p:/

/w

ww

.nozo

mi.g

o.jp

/pub

licat

ion/

PD

F/H

25_k

yodo

%20T

ext_

02.p

df

償刊

行物

の購

入方

のぞ

みの

園研

究部

に下

記の

情報

を記

載の

上、

FA

Xで

お申

込み

下さ

い。

①氏

名、

②注

文冊

数、

③送

付先

住所

(郵便

番号

含む

)、

④電

話連

絡先

、⑤

領収

書の

宛名

FA

X番

027

-320

-139

1

また

、巻

末の

サポ

ート

デス

クへ

のメ

ール

でも

注文

を受

け付

けま

す。

3.

研修

プロ

グラ

ムの

作成

(1

国基

強度

行動

障害

支援

者養

成研

修(基

礎研

修)の

カリ

キュ

ラム

につ

いて

は、

平成

26

年10

月現

在、

以下

の基

準が

示さ

れて

いま

す(詳

しくは

、平

成26

年1

月31

日厚

生労

働省

社会

・援

護局

障害

保健

福祉

部長

通知

「強

度行

動障

害支

援者

養成

研修

(基

礎研

修)事

業の

実施

につ

いて

(運営

要領

)を

参照

のこ

と)。

都道

府県

研修

にお

いて

も、

この

科目

、内

容、

時間

数を

想定

して

プロ

グラ

ムを

組む

こと

にな

りま

す(テ

キス

ト106P

参照

)。

科目

時間

内容

6

強度

行動

障害

があ

者の

基本

的理

2.5

①強

度行

動障

害と

研修

の対

象と

なる

行動

障害

度行

動障

害の

定義

度行

動障

害支

援の

歴史

的な

流れ

的障

害/

自閉

症/

精神

障害

とは

動障

害と

家族

の生

活の

理解

機管

理・緊

急時

の対

②強

度行

動障

害と

医療

度行

動障

害と

精神

科の

診断

度行

動障

害と

医療

的ア

プロ

ーチ

祉と

医療

の連

強度

行動

障害

に関

する

制度

及び

支援

術の

基礎

的な

知識

3.

5

③強

度行

動障

害と

制度

立支

援給

付と

行動

障害

(例

)支

援区

分と

行動

関連

項目

・重

度訪

問介

護の

対象

拡大

・発

達障

害者

支援

体制

整備

・強

度行

動障

支援

者養

成研

④構

造化

造化

の考

え方

造化

の基

本と

手法

造化

に基

づく

支援

のア

イデ

ィア

⑤支

援の

基本

な枠

組み

と記

援の

基本

的な

枠組

援の

基本

的な

プロ

セス

セス

メン

ト票

と支

援の

手順

書の

理解

録方

法と

チー

ムプ

レイ

で仕

事を

する

大切

⑥虐

待防

止と

身体

拘束

待防

止法

と身

体拘

束に

つい

度行

動障

害と

虐待

⑦実

践報

童期

にお

ける

支援

の実

人期

にお

ける

支援

の実

演習

6

内容

基本

的な

情報

収集

記録

等の

共有

1

①情

報収

集と

チー

ムプ

レイ

の基

報の

入手

とそ

の方

録と

その

まと

め方

と情

報共

セス

メン

トと

行動

障害

があ

る者

固有

のコ

ミュ

ニケ

ーシ

ョン

の理

2.5

②固

有の

コミ

ュニ

ケー

ション

々な

コミ

ュニ

ケー

ション

方法

ミュ

ニケ

ーシ

ョン

の理

解と

表出

ルー

プ討

議/

まと

行動

障害

の背

景に

ある

特性

の理

2.5

③行

動障

害の

景に

ある

もの

覚・知

覚の

特異

性と

障害

特性

動障

害を

理解

する

氷山

モデ

ルー

プ討

議/

まと

合計

12

Page 18: ☆4-1 実践研修テキストPDF...報 】 1. の ぞ む さ ん の 基 本 情 報 ( 情 報 シ ー ト P 1-P 8 ) 2. の ぞ む さ ん の 外 出 に つ い て ( 情

また

、強

度行

動障

害支

援者

養成

研修

(実践

研修

)のカ

リキ

ュラ

ムは

、国

基準

につ

いて

作成

準備

中で

す(平

26

年度

中に

確定

予定

です

)。平

成26

年10

月時

点の

カリ

キュ

ラム

案は

、研

修テ

キス

トの

「強度

行動

障害

支援

養成

研修

の内

容」を

ご参

照下

さい

本研

修は

、重

度訪

問介

護に

おけ

る行

動障

害を

有す

る者

への

対応

(基礎

研修

)、

なら

びに

行動

援護

従業

者養

成研

修(基

礎・実

践研

修)を

想定

した

カリ

キュ

ラム

です

ので

、研

修プ

ログ

ラム

作成

に際

して

は、

国基

準の

時間

数に

準拠

して

くだ

さい

(2

講師

・発

表者

の調

講義

・演

習の

大部

分は

、原

則「実

行委

員会

」の

メン

バー

が分

担し

、実

施す

るこ

とが

望ま

しい

と考

えま

す。

また

国研

修に

おい

ても

この

原則

に沿

った

運営

をし

てい

ます

。た

だし

、都

道府

県に

よっ

ては

、様

々な

サー

ビス

体系

にお

いて

強度

行動

障害

者支

援の

経験

豊富

な人

材を

募る

こと

が難

しい

場合

も想

定さ

れま

す。

その

よう

な場

合は

、ぜ

ひ、

国研

修の

事務

局で

ある

「の

ぞみ

の園

研究

部」に

ご相

談、

ご連

絡を

いた

だけ

れば

と思

いま

す。

「受

講者

用テ

キス

ト」以

外の

資料

につ

いて

は、

講師

・発

表者

に事

前に

作成

依頼

し、

当日

まで

に印

刷し

てお

く必

要が

あり

ます

。指

導者

研修

(国

研修

)で

用い

たパ

ワー

ポイ

ント

等は

、デ

ータ

で配

布い

たし

ます

(デ

ータ

の配

布方

等に

つい

ては

のぞ

みの

園サ

ポー

トデ

スク

にご

連絡

下さ

い)。

4.

研修

会の

運営

(1

スタ

ッフ

と役

割分

強度

行動

障害

支援

者養

成研

修(基

礎・実

践研

修)当

日の

運営

は、

事務

局と

実行

委員

が協

働で

運営

する

こと

なり

ます

。特

に、

実行

委員

には

、講

義や

演習

のイ

ンス

トラ

クタ

ーだ

けで

なく、

運営

スタ

ッフ

とし

ても

活躍

して

もも

らい

ます

。今

回の

国研

修(指

導者

研修

)の

役割

分担

は、

以下

のよ

うに

設定

しま

した

。ス

タッ

フ数

が多

い場

合は

、事

に役

割分

担だ

けで

なく、

詳細

な研

修ス

ケジ

ュー

ル等

を作

成し

、進

行管

理す

る必

要が

りま

す。

付(出

納担

当兼

務)

部講

師接

待(受

付・統

括と

兼務

場設

営・案

響・機

材操

録(写

真等

(2

事前

のリ

ハー

サル

本研

修で

は、

演習

内容

等に

おい

て難

しい

運営

が求

めら

れる

こと

の無

いよ

うに

計画

した

つも

りで

す(グ

ルー

プ・

ディ

スカ

ッシ

ョン

のフ

ァシ

リテ

ータ

ーの

配置

なし

)。

それ

でも

、講

義や

演習

にお

いて

タイ

トな

時間

設定

され

てい

る研

修の

運営

には

、そ

れな

りの

経験

が必

要で

す。

可能

な限

り、

事務

局と

実行

委員

で、

会場

設営

や機

材の

使い

方を

め、

簡易

なリ

ハー

サル

を実

施し

てお

くこ

とを

勧め

ます

また

、ス

ムー

ズに

事前

準備

や当

日の

進行

がで

きる

よう

、「演

習マ

ニュ

アル

」を

作成

し、

事務

局な

らび

に実

行委

委員

全員

に周

知し

てい

ます

(3

研修

会運

営の

基本

研修

会を

運営

する

側は

、ど

うし

ても

研修

内容

や受

講者

の反

応が

気に

なる

とこ

ろで

す。

しか

し、

比較

的長

い時

間「集

団生

活」の

場を

提供

して

いる

こと

を忘

れて

はい

けま

せん

。健

康管

理や

事故

・怪

我、

ある

いは

自然

災害

の可

能性

等は

、原

則、

受講

者の

個人

責任

では

あり

ます

が、

事務

局と

実行

委員

は、

安全

で安

心で

きる

研修

会の

運営

心が

ける

必要

があ

りま

す。

Page 19: ☆4-1 実践研修テキストPDF...報 】 1. の ぞ む さ ん の 基 本 情 報 ( 情 報 シ ー ト P 1-P 8 ) 2. の ぞ む さ ん の 外 出 に つ い て ( 情

5.

継続

的な

連携

体制

の構

築に

向け

(1

継続

的な

研修

実施

と連

携体

今回

の国

研修

(指

導者

研修

)と

都道

府県

研修

の役

割の

違い

につ

いて

は、

下の

図の

よう

に考

えて

いま

す。

特に

都道

府県

研修

の事

務局

・実

行委

員に

なる

人に

は、

研修

終了

後も

、次

年度

以降

に向

けて

、継

続的

な地

域連

携の

体制

構築

と強

度行

動障

害者

支援

の質

の向

上を

目指

した

取り

組み

を、

ぜひ

行っ

てい

ただ

きた

いと

願っ

てい

ます

さら

に、

地域

にお

ける

連携

や質

の向

上の

きっ

かけ

とな

るス

テッ

プア

ップ

研修

とし

て、

国立

障害

者リ

ハビ

リテ

ショ

ンセ

ンタ

ー主

催の

「行

動障

支援

者研

修会

」や発

達障

害者

支援

実地

研修

事業

とし

て実

施し

てい

る「強

度行

動障

害研

修」の

他、

他機

関で

もい

くつ

かの

研修

が行

われ

てい

ます

(2

研修

に関

する

要望

・意見

につ

いて

国立

のぞ

みの

園で

は、

強度

行動

障害

支援

者養

成研

修(基

礎研

修・実

践研

修)の

国研

修(指

導者

研修

)の

事務

局を

継続

的に

行っ

てい

く予

定で

す。

同研

修、

ある

いは

その

他強

度行

動障

害者

支援

に関

する

様々

な問

い合

わせ

ご意

見や

ご要

望に

つい

ては

、下

記事

務局

(サ

ポー

トデ

スク

)ま

でご

連絡

下さ

い。

「強

度行

動障

害支

援者

養成

研修

事務

局 (サ

ポー

トデ

スク

) 」

立行

政法

人国

立重

度知

的障

害者

総合

施設

のぞ

みの

園事

業企

画局

研究

(略

称:国

立の

ぞみ

の園

研究

部/

こくり

つの

ぞみ

のそ

のけ

んき

ゅう

ぶ)

TEL

027-

320-

1741

FA

X

027-320

-144

5

担当

:志

賀・五

味・信

E-m

ail no

buhar

a-ka

zu@

nozo

mi.g

o.jp

Page 20: ☆4-1 実践研修テキストPDF...報 】 1. の ぞ む さ ん の 基 本 情 報 ( 情 報 シ ー ト P 1-P 8 ) 2. の ぞ む さ ん の 外 出 に つ い て ( 情

【資

料】

強度

行動

障害

支援

者養

成研

修の

ねら

強度

行動

障害

とは

1.

強度

行動

障害

の定

自分の体を叩いたり食べられないものを口に入れる、危険につながる飛び出しなど本人の健康を損ねる

行動、他人を叩いたり物を壊す、大泣きが何時間も続くなど周囲の人のくらしに影響を及ぼす行動が、

著しく高い頻度で起こるため、特別に配慮された支援が必要になっている状態のこと。

強度行動障害とは、上記のような状態像の人のことを言います。そして、強度行動障害者とは、強度

行動障害

の状態像

をもつ人

のこと

です(以

降、ここ

では便

宜上、強

度行動障

害者と

記した場

合、児童

を含めたものとします)。

強度行動障害という名称は、今から

25年程前、

1980

年代後半に誕生しました。当時、知的障害児入

所施設において、これまで出会ったことのない「極端な自傷や他害を示す」「

支援が非常に困難な子ども

たち」に

直面し、

その支援

のあり

方を考え

る実践的

な研究

がはじま

りました

。また

、強度行

動障害の

態にある

人の大多

数は、重

度(あ

るいは最

重度)の

知的障

害を伴う

自閉症あ

るいは

自閉症ス

ペクトラ

圏域の人でした。

2.

判定

基準

と強

度行

動障

強度行動障害の状態像を、数値化し、その重篤さを判定する尺度はいくつか存在します。平成

26年

度から、

障害福祉

サービス

等の必

要性を明

らかにす

るツー

ルとして

「障害者

支援区

分」が新

たに設け

れました。この障害者支援区分の中の行動関連項目

11項目と医師の意見書によるてんかん発作の頻度か

ら、行動障害の重篤さを判定するようになりました。この判定基準は、「

強度行動障害判定基準表」と呼

ばれるものです(本文末資料参照)。

この基準表の合計点が

10点以上の場合、著しい行動障害ありと判

断され、

障害福祉

サービス

におい

て手厚い

支援が提

供され

る仕組み

になって

います

。具体的

には、行

援護が利

用でき、

施設入所

支援や

短期入所

、共同生

活介護

における

重度障害

者支援

加算の対

象になり

す。ちなみに、現在、行動援護の利用者ならびに重度障害者支援加算の対象者は、合計で

2.5万人近くい

るものと推測されます。

ところが、強度行動障害判定基準表で

10点以上の人が、すべて上記の強度行動障害の定義に当ては

まる状態

像である

かという

と、そ

うではあ

りません

。定義

に書かれ

ているよ

り、い

くらか穏

やかな行

障害を示

す人がか

なり含ま

れます

。強度行

動障害の

厳密な

定義やア

セスメン

ト方法

に関する

学術的な

究は、今

後も引き

続き実施

されま

す。研究

の成果に

合わせ

、強度行

動障害の

定義も

将来、変

わるかも

れません

。現時点

で、強度

行動障

害とは、

行動障害

が若干

穏やかな

状態にあ

る人も

含めた、

強度行動

害判定基準表で

10点以上の人たちを呼ぶことにします。

しかし、例外も存在します。強度行動障害判定基準表で

10点以上の人の中には、知的障害の程度が

ない、あ

るいは軽

度で、触

法や虞

犯等のい

わゆる反

社会的

行動を示

す人、急

性期の

精神科疾

患(例:

合失調症

)や非常

に不安定

な状態

像(例:

強い自殺

念慮)

による混

乱を示す

人、成

人になっ

てからの

故や疾病

により認

知機能が

極端に

低下(高

次脳機能

障害等

)するこ

とによる

行動上

の問題を

示す人が

まれる可

能性があ

ります。

障害者

自立支援

法が施行

されて

から、障

害福祉の

対象者

が急激に

広がり、

のような

反社会的

行動や急

性期の

精神科症

状等を示

す人が

、地域の

相談支援

事業所

を訪れる

ようにな

ました。

しかし、

このよう

な行動

上の問題

は、上記

の強度

行動障害

の定義と

状態像

が異なり

ます。そ

て、その支援方法についても、異なると考えられます。

強度行動障害支援者養成研修は、重度(あるいは最重度)の知的障害を伴う自閉症あるいは自閉症ス

ペクトラム圏域の人を中心に、強度行動障害判定基準で

10点以上の人を想定して、研修プログラムを作

成しています。

.専

門領

域に

よっ

て異

なる

強度

行動

障害

のイ

メー

重度(あるいは最重度)の知的障害を伴う自閉症あるいは自閉症スペクトラム圏域の人を中心とした

強度行動

障害者の

支援には

、多く

の職種・

専門領域

の人が

関わって

います。

そして

、支援を

行ってい

施設・組

織の特徴

や実際に

支援に

関わって

きた経験

から、

同じ強度

行動障害

と言っ

ても、全

く異なる

態像をイ

メージし

ているこ

とがわ

かってき

ました(

先に記

した、反

社会的行

動や急

性期の精

神科症状

は除く)。

例えば、放課後等デイサービスや学齢期を中心に行動援護を行っている事業所では、最初のページに

記した強度行動障害の定義より、やや穏やかな状態像の人たちをイメージしています。全国で、概ね

2.5

万人(あ

るいはそ

れ以上)

いると

考えられ

る人たち

です。

一方、都

道府県に

おいて

強度行動

障害支援

中核的な

役割を担

っている

障害者

支援施設

では、強

度行動

障害の定

義に非常

に近い

状態像の

人たちの

とをイメー

ジしています。このよう

な状態像の人は、療育手

帳交付者

の1%

程度、つ

まり全国に概ね

8千

人いる

ことがわ

かってい

ます。

さらに、

かつて強

度行動

障害特別

処遇事業

を実施

していた

施設や重

の知的障

害者の入

院治療を

行って

いる公立

の精神科

病院等

では、医

療と福祉

サイド

で協力し

、できう

限りの集

中的かつ

専門的な

支援を

一定期間

提供して

も、状

態像の改

善がわず

かな(

あるいは

ほとんど

られない)、

いわゆる難治群と考えられる人を連想するようです。

専門領域により異なる強度行動障害のイメージを、別の表現で説明します。最初の

2.5万人の強度行

動障害者

は、支援

の基本的

な枠組

みを丁寧

に行えば

、数ヶ

月で行動

上の問題

が軽減

し、障害

特性への

慮はある程度継続するものの、以前の生活環境に比較的容易に戻ることが可能な人たちかもしれません。

2番目の、

8千人の強度行動障害者は、支援の基本的な枠組みを丁寧に長期間(ほぼ一生)提供できる体

制があれ

ば、行動

上の問題

は軽減

し、安定

した日常

生活が

過ごせる

人たちか

もしれ

ません。

さらに、

治群と考

えられる

人は、構

造化を

中心とし

た支援の

枠組み

を長期間

提供し続

けるこ

とで、い

くぶん安

した生活

は送れる

ものの、

行動上

の問題の

劇的な改

善は難

しく、医

療との密

接な連

携を常に

欠かせな

人たちかもしれません。

強度行動障害者に対する医療や福祉サービスに長期間携わってきた何人もの専門家が、強度行動障害

にはいくつかのタイプが存在することを、経験則として語っています。つまり、重度(あるいは最重度)

Page 21: ☆4-1 実践研修テキストPDF...報 】 1. の ぞ む さ ん の 基 本 情 報 ( 情 報 シ ー ト P 1-P 8 ) 2. の ぞ む さ ん の 外 出 に つ い て ( 情

の知的障害

を伴う

自閉症あ

るいは自

閉症ス

ペクトラ

ム圏域の

人を中

心とした

強度行動

障害者

といって

も、

非常に多様なグループが存在しており、さらには個別性が非常に大きいとも推測されます。

強度

行動

障害

のあ

る人

への

支援

の基

1.

行動

障害

が生

まれ

る原

因(

その

仮説

乳幼児期から、強度行動障害の状態である人は、誰もいません。これまでの調査からは、思春期後半

以降、多くは中等教育(中学・高校の年代)あるいはそれ以降

20歳代の前半に、強度行動障害の状態に

なることがわかっています。つまり、ある一定の発達過程を辿ることで生じる状態像です。

この発達過程には、いわゆる生物学的な「障害特性」に加え、周囲の支援体制やかかわり方といった

「環境要因」が、相互に関係してきます。そして、強度行動障害とは、障害特性と環境要因のネガティブ

な相互作用が、比較的長期間継続し、蓄積することで、その状態が固定すると推測されています。逆に、

行動障害

を起こさ

ないよう

にする

取り組み

は、障害

特性を

正確に理

解し、適

切な環

境要因を

作り上げ

ことで、ポジティブな相互作用を継続することです。

ここでしっかりと覚えて欲しいことがあります。それは、意図的にネガティブな相互作用を繰り返し、

強度行動

障害に育

て上げて

きた人

は、誰も

いないと

いうこ

とです。

強度行動

障害と

呼ばれて

いる人の

くは、乳

幼児期か

ら思春期

、そし

て青年期

・成人期

に至る

まで、両

親・家族

の愛情

に育まれ

、保育士

教師、そ

して児童

福祉サー

ビス従

事者や医

療機関の

従事者

の献身的

なかかわ

りを受

けてきた

はずです

愛情や献

身的かか

わりは、

強度行

動障害者

の支援に

とって

、もっと

も基本的

なこと

であり、

欠かすこ

ができな

いもので

す。とこ

ろが、

強度行動

障害があ

る人は

、ほとん

どが重度

(ある

いは最重

度)の知

障害を伴

う自閉症

あるいは

自閉症

スペクト

ラム圏域

の人で

す。さら

に、非常

に極端

な感覚過

敏・鈍麻

際立った

注意欠如

、衝動性

、そし

て頑健な

固執性等

を併せ

持ってい

る可能性

があり

ます。そ

の障害特

を理解し

、適切な

かかわり

方や周

辺環境を

調整する

方法を

見つけ出

すことは

、容易

なことで

はありま

ん。通常

の子育て

や教育・

支援、

多くの知

的障害者

の療育

方法を応

用しよう

として

も、ネガ

ティブな

互作用に

至ってし

まう可能

性があ

るのです

。さらに

、知的

障害や自

閉症の専

門家が

、ネガテ

ィブな相

作用を断

ち切り、

障害特性

を正確

に理解し

、適切な

環境調

整を行え

るように

なるま

で、これ

まで随分

長い時間を費やしてしまったのです。

2.

基本

的な

支援

の枠

組み

既に

25年の歴史のある強度行動障害研究の成果として、「

どのような方法で支援を行うべきか」が概

ね固まってきています。今から

10年程前、強度行動障害のある児童・成人に対して先駆的な実践を行っ

てきた施設

(財団

法人鉄道

弘済会

弘済

学園、社

会福

祉法人侑

愛会〔

おしまコ

ロニー

〕、社

会福祉法

人旭

川荘等)

が中心と

なり、事

例検討

をベース

とした、

実証的

かつ詳細

な研究が

行われ

ました。

そして、

の事例研

究から、

基本的な

枠組み

の骨格が

生まれま

した。

これこそ

が、ネガ

ティブ

な相互作

用を断ち

り、強度

行動障害

のある人

に対し

て継続的

でポジテ

ィブな

相互作用

を提供で

きる方

法のはじ

めての提

だったの

です。そ

の成果を

基本に

、当研修

では、以

下の6

点を「基

本的な支

援の枠

組み」と

呼び、強

調

しています。

構造

化さ

れた

環境

の中

医療

と連

携し

なが

リラ

ック

スで

きる

強い

刺激

を避

けた

環境

一貫

した

対応

をで

きる

チー

ムを

作り

自尊

心を

持ち

ひと

りで

でき

る活

動を

増や

地域

で継

続的

に生

活で

きる

体制

づく

りを

進め

至ってシンプルな枠組みですが、これを継続的かつ実直に実践することは容易なことではありません。

それぞれ

の枠組み

の背景に

関する

専門的な

知識があ

る程度

必要にな

ります。

また、

一人ひと

りの強度

動障害者

の状態像

に合わせ

、知識

を実際の

支援方法

に応用

できなく

てはいけ

ません

。その上

、支援に

わるチー

ム全体が

歩調を合

わせる

必要があ

ります。

残念な

がら、全

国の多く

の障害

福祉サー

ビス事業

では、基

本的な支

援の枠組

みに沿

った実践

が行えな

いでい

ます。ま

た、複数

の事業

所等が基

本的な枠

みに沿って、連携して支援を組み立てている地域は非常に少ないのが現状です。

.強

度行

動障

害の

ある

人と

生活

する

家族

から

基本的な支援の枠組みは既に固まっています。問題は、全国の多くの施設・事業所・地域で、それを

実践でき

る体制を

構築する

段階で

す。適切

な支援を

提供し

ている施

設・事業

所・地

域の少な

さは、強

障害のある人の生活に多大な負担をもたらします。直接、本人からの意見を聞き取ることは困難ですが、

強度行動障害のある子どもを育ててきた家族の話を以下に紹介します。決して、昔の話ではありません。

現在の話です。

27

才になる自閉症の息子も幼児期、学齢期から飛び出しや破壊行為が続き、専門施設の入所を経験し、

視覚的なサポートを使いながら暮らしておりましたが、

23才頃から破壊や自傷が急に増え、

24才の

秋には家での生活が破綻し緊急入院となりました。その後、家に戻っても同じことの繰り返しになる

ことは目に見えていましたし、二度と家には戻りたくないという本人の強い要求がありましたので、

彼の生活の場を探し始めました。県内外の入所施設にあたってみましたが、受け入れ先がないのです。

行政の担当者も努力してくださいましたがなかなか見つかりません。病院からは医療としてできるこ

とはもうないので一日も早く退院をと迫られ、家に帰されたら二人で死ぬしか無いのではというギリ

ギリの状態でした。一番入所施設の助けを必要とする時に門を閉じられるのだという現実を突きつけ

られ愕然としました。

※かがやき

2014

年10

号(自閉症協会指導誌) 木村ひとみさんの原稿より抜粋

Page 22: ☆4-1 実践研修テキストPDF...報 】 1. の ぞ む さ ん の 基 本 情 報 ( 情 報 シ ー ト P 1-P 8 ) 2. の ぞ む さ ん の 外 出 に つ い て ( 情

このような家族の想いは、決して極端なものではありません。障害者支援施設だけではなく、グルー

プホーム

、通所の

事業所、

さらに

はヘルパ

ー系の事

業所で

あっても

、強度行

動障害

のある人

の受け入

を躊躇す

る実態は

、珍しい

ことで

はありま

せん。結

果的に

、家族に

過剰な負

担を強

い、そし

て本人に

する適切な支援が提供できず、行動障害がますます悪い方向に向かってしまいます。

強度

行動

障害

支援

者養

成研

修の

内容

研修

が目

指す

もの

1.

最終

的な

目標

私たちは、全国の多くの施設・事業所・地域で、強度行動障害のある人に適切な支援が提供できるこ

とを目指しています。そのためには、以下の3つが必要だと考えています。

ある程度広域単位(人口

30万人~

50万人以上規模)で強度行動障害に対する支援体制の構築

都道府県単位で強度行動障害支援者養成研修の継続的な開催と各地域の実情にあった現実的な人

材養成の仕組みづくり

③ 強度行動障害のライフサイクルを見通した地域の実情にあった資源の開発

2.

広域

を前

提に

強度行動障害判定基準表で

10点以上の人は、少なくとも

2.5万人いると推測されています。人口

10万人あたり

20人前後の強度行動障害者がいることになります。強度行動障害研究がはじまった

25年前

に想定していた状態像の人は

8千人いると推測されています(概ね療育手帳交付数の1%)。人口

10万

人あたり

6人ということになります。どちらにしても、強度行動障害とは、比較的稀な状態像であるこ

とに間違

いありま

せん。人

口規模

が数千人

から数万

人の市

町村で、

強度行動

障害者

支援のノ

ウハウの

積を図ろ

うとして

も、現実

的では

ありませ

ん。まし

てや1

つの組織

、1つの

事業所

だけで、

強度行動

害者支援を行うことは無謀です(きっかけ作りとしては非常に大切だと思いますが)。

ある程度の人口規

模のある圏域で、支援体制を検討することが現実的です。人

口30

万人規模の圏域であれば

18人~

60人、

人口

50万人規模であれば

30人~

100人の支援内容を検討できますし、そのノウハウの蓄積も可能とな

ります。さらに、その成果から、地域の実情にあった支援体制の企画や構築が検討できるはずです。

研修

のス

キー

1.

都道

府県

地域

生活

支援

事業

平成

25年度より、強度行動障害支援者養成研修が、都道府県地域生活支援事業に位置づけられまし

た。同時に、強度行動障害支援者養成研修(基礎研修(指導者研修))

が実施され、平成

26年度には強

度行動障害支援者養成研修(実践研修(指導者研修))も新たにスタートします。強度行動障害支援者養

成研修のスキームは、次頁のとおりになります。

Page 23: ☆4-1 実践研修テキストPDF...報 】 1. の ぞ む さ ん の 基 本 情 報 ( 情 報 シ ー ト P 1-P 8 ) 2. の ぞ む さ ん の 外 出 に つ い て ( 情

実 務 経 験 計 5 年 以 上

( 経 過 措 置 に よ り 3 年 以 上 )

サー

ビス

管理

責任

者※

行動

障害

を有

する

者に

対応

する

事業

所の

サー

ビス

管理

責任

者及

びサ

ービ

ス管

理責

任者

養成

研修

を受

講し

よう

とす

る者

は、

強度

行動

障害

支援

者養

成研

修を

受講

する

こと

が望

まし

い。

サー

ビス

提供

責任

サー

ビス

管理

責任

者養

成研

修(

3日

間)

共通

講義

(理

論編

分野

別演

習(

実践

編)

介護

地域

生活

(身

体)

地域

生活

(知

的・

精神

)就

労児

強度

行動

障害

支援

者養

成研

修(

実践

研修

(国

研修

))

※指

導者

養成

研修

指導

相互

の人

材活

用相

互の

人材

活用

相互

の人

材活

用相

互の

人材

活用

実務

経験

に関

わら

ず行

動援

護従

業者

養成

研修

又は

強度

行動

障害

支援

者養

成研

修(

都道

府県

研修

)受

講必

須を

検討

(行

動援

護)

行動

援護

従業

者今

後、

行動

援護

従業

者養

成研

修と

強度

行動

障害

支援

者養

成研

修(

基礎

研修

・実

践研

修(

都道

府県

研修

))

の内

容を

統合

する

こと

を検

強度

行動

障害

支援

者養

成研

修(

基礎

研修

(国

研修

))

※指

導者

養成

研修

指導

25

年度

26

年度

強度行動障害支援者養成研修(基礎研修(都道府県研修))

(重

度訪

問介

護従

業者

養成

研修

(行

動障

害を

有す

る者

に対

応す

る研

修)

と同

内容

とす

る)

(【

受講

者】

知的

障害

・障

害児

を支

援す

る者

が主

な対

象)

強度行動障害支援者養成研修((実践研修(都道府県研修))

(【

受講

者】

知的

障害

・障

害児

を支

援す

る者

が主

な対

象)

相互

の人

材活

用相

互の

人材

活用

一 定 の 実 務 経 験 等

一 定 の 実 務 経 験 等

施設系・居住系(障害者・障害児)

入所

職員

GH

・CH

職員

通所

職員

相談

支援

専門

訪問系

行動

援護

ヘル

パー

その

他の

訪問

系ヘ

ルパ

ー重

度訪

問介

護(

行動

障害

を有

する

者に

対応

する

ヘル

パー

相談

支援

従事

者初

任者

研修

(講

義部

分・

11.5

時間

※平成

26年春時点の強度行動障害支援者養成研修のスキーム図(厚労省資料)

強度行動障害者の支援に関する研修は、これまで先駆的な取り組みを行ってきた施設・事業所を中心

に、事例

検討や研

究事業・

研修が

実施され

てきまし

た。一

部の有志

と有識者

を中心

とした、

不定期で

小さな人

数を対象

とした専

門的研

修であっ

たと考え

られま

す。都道

府県地域

生活支

援事業に

位置づき

全国で大

規模で強

度行動障

害者の

支援に関

する研修

が開催

されるの

は、強度

行動障

害支援者

養成研修

はじめてです。

2.

行動

援護

従業

者養

成研

修・

重度

訪問

介護

にお

ける

行動

障害

を有

する

者へ

の対

応研

平成

18年にのぞみの園において「行動援護従業者養成研修中央セミナー」が実施された後、全国で

広く行動

援護従業

者養成研

修が開

催される

ようにな

りまし

た。この

研修は、

行動援

護の従業

者確保の

点から「

従業者資

格要件」

が見直

され、同

研修を修

了する

ことで、

サービス

提供責

任者およ

びサービ

提供者(

ヘルパー

)の資格

要件が

緩和され

ることも

あり、

多くの人

が受講・

修了し

ています

。行動援

従業者養

成研修に

おいても

、想定

される支

援の対象

は強度

行動障害

(広義の

、定義

より穏や

かな行動

害を示す人が中心)です。しかし、平成

26年より重度訪問介護の対象拡大により、行動障害有する人に

対する居

宅内での

アセスメ

ントや

環境調整

の役割が

行動援

護従業者

に求めら

れるよ

うになり

ました。

れまでの外出中心の支援と異なる専門性が必要になります。そこには当然、生活介護等の日中活動支援、

グループ

ホームや

短期入所

、さら

には相談

支援等と

の連携

が欠かせ

ません。

行動援

護従業者

養成研修

プログラ

ムについ

ても一部

修正が

必要にな

ってきて

おりま

す。下の

図は、行

動援護

従業者養

成研修の

リキュラムです。

時間

改訂

版テ

キス

ト(H

21版

)時

Ⅰ 

講義

66

1 

制度

及び

サー

ビス

2①

 行

動援

護を

理解

する

2人

間理

解の

在り

よう

と21世

紀の

課題

2 

障害

特性

と障

害理

解2

障害

とは

なに

3 

支援

技術

2医

学モ

デル

と社

会モ

デル

自立

の意

知的

障害

とは

発達

障害

とは

精神

障害

とは

障害

につ

いて

の基

本認

障害

のあ

る人

達か

ら学

心身

障害

と行

動障

精神

疾患

と行

動障

② 

行動

援護

の基

本Ⅰ

・Ⅱ

2地

域生

活と

めざ

した

い地

域生

活支

援サ

ービ

スの

かた

行動

援護

は何

を担

うサ

ービ

スか

障害

者自

立支

援法

の到

達点

と課

行動

援護

の対

象像

と法

令上

の規

行動

援護

サー

ビス

の展

開像

と法

令上

の規

自閉

症体

験(固

有の

感覚

自閉

症を

理解

する

ヒン

③ 

行動

理解

の基

礎2

自閉

症と

行動

障害

の背

景に

潜む

障害

特性

(氷

山モ

デル

自閉

症と

コミ

ュニ

ケー

ション

感覚

の特

異性

その

他特

性(細

部・転

導性

・組

織化

・同

一性

・般

化)

自閉

症の

記憶

構造

Ⅱ 

演習

14

14

1 

事例

検討

4①

 行

動援

護の

技術

Ⅰ3

アセ

スメ

ント

とは

2 

行動

の理

解の

実際

3ア

セス

メン

トと

支援

計画

3 

事例

分析

4ア

セス

メン

トの

必要

性(不

十分

なア

セス

メン

トの

危険

4 

事例

分析

の検

討3

② 

行動

援護

の技

術Ⅱ

4安

心な

社会

生活

を送

るた

めの

ステ

ップ

行動

援護

にお

いて

支援

する

行為

予定

を伝

える

行動

支援

計画

を作

成す

③ 

事例

分析

3介

入の

4つ

のポ

イン

予防

的介

軌道

修正

的介

危機

回避

的介

啓発

的介

④ 

まと

めと

問題

提起

4身

体を

有効

に使

う対

迷わ

ず揺

るが

ない

対応

対応

を振

り返

謝罪

・説

明・協

力依

視覚

支援

基本

カリ

キュ

ラム

※ 行動援護従業者養成研修の基本カリキュラムと平成

21年改定の中央セミナーテキストの項目

強度行動障害支援者養成研修の「基礎研修」は、実戦経験1年程度の新任職員を主な対象です。また、

「基礎研修」は、平成

26年

4月からの重度訪問介護の対象拡大に対応し、行動障害を有する者への支援

を行うための専門性確保の研修として推奨されている内容となっています(

12時間)。

次頁の図は、「

礎研修」

のカリキ

ュラムの

概要で

す。この

図の右端

の「行

動援護対

応」の欄

は、前

頁の行動

援護従業

養成研修のカリキュラムに相当する記号を示してあります。

Page 24: ☆4-1 実践研修テキストPDF...報 】 1. の ぞ む さ ん の 基 本 情 報 ( 情 報 シ ー ト P 1-P 8 ) 2. の ぞ む さ ん の 外 出 に つ い て ( 情

時間

行動

援護

対応

Ⅰ 

講義

6

1 

強度

行動

障害

があ

る2.5

①強

度行

動障

害と

は本

研修

の対

象と

なる

行動

障害

Ⅰ-2

  

者の

基本

的理

解強

度行

動障

害の

定義

Ⅰ-2

強度

行動

障害

支援

の歴

史的

な流

れⅠ

-1

知的

障害

/自

閉症

/精

神障

害と

はⅠ

-2

行動

障害

と家

族の

生活

の理

解Ⅰ

-2

危機

管理

・緊

急時

の対

応Ⅰ

-3

②強

度行

動障

害と

医療

強度

行動

障害

と精

神科

の診

断Ⅰ

-2

強度

行動

障害

と医

療的

アプ

ロー

チⅠ

-2

福祉

と医

療の

連携

Ⅰ-2

2 

強度

行動

障害

に関

す3.5

①強

度行

動障

害の

制度

自立

支援

給付

と行

動障

害 

他Ⅰ

-1

  

る制

度及

び支

援技

術②

構造

化構

造化

の考

え方

Ⅰ-3

  

の基

本的

な知

識構

造化

の基

本と

手法

Ⅰ-3

構造

化に

基づ

く支

援の

アイ

ディ

アⅠ

-3

③支

援の

基本

的な

枠組

みと

記録

支援

の基

本的

な枠

組み

Ⅰ-2

支援

の基

本的

なプ

ロセ

スⅠ

-3

アセ

スメ

ント

票と

支援

の手

順書

の理

解Ⅰ

-3

記録

方法

とチ

ーム

プレ

イで

仕事

をす

る大

切さ

Ⅰ-3

⑥虐

待防

止と

身体

拘束

虐待

防止

法と

身体

拘束

につ

いて

Ⅰ-1

強度

行動

障害

と虐

待Ⅰ

-1

⑦実

践報

告児

童期

にお

ける

支援

の実

際Ⅰ

-3

成人

期に

おけ

る支

援の

実際

Ⅰ-3

Ⅱ 

演習

6

1 

基本

的な

情報

収集

と1

①情

報収

集と

チー

ムプ

レイ

の基

本情

報の

入手

とそ

の方

法Ⅱ

-1

  

記録

等の

共有

記録

とそ

のま

とめ

方と

情報

共有

・ア

セス

メン

トⅡ

-1

2 

行動

障害

があ

る者

の2.5

②固

有の

コミ

ュニ

ケー

ション

様々

なコ

ミュ

ニケ

ーシ

ョン

方法

Ⅱ-2

  

コミュニケーション

の理

解コ

ミュ

ニケ

ーシ

ョン

の理

解と

表出

Ⅱ-2

グル

ープ

討議

/ま

とめ

Ⅱ-2

3 

行動

障害

の背

景に

あ2.5

③行

動障

害の

背景

にあ

るも

の感

覚・知

覚の

特異

性と

障害

特性

Ⅱ-2

  

る特

性の

理解

行動

障害

を理

解す

る氷

山モ

デル

Ⅱ-3

グル

ープ

討議

/ま

とめ

Ⅱ-3

科目

名内

※ 強度行動障害支援者養成研修(基礎研修)のカリキュラムと行動援護従業者養成研修との対応

また「実践研修」は基礎研修を修了し、3年から5年程度の強度行動障害者支援の経験のある人を想

定してカリキュラムが組まれています。「

基礎研修」と「実践研修」を合わせたカリキュラムは(合計

24時間)、

行動援護従業者養成研修のカリキュラムをすべて含むものとして作成されています。強度行動障

害支援者

養成研修

の「基礎

研修」

と「実践

研修」を

修了し

たことで

、行動援

護従業

者養成研

修が修了

たこととして読み替えられるかどうかは、現時点では結論が出ていません(平成

26年度中に結論が出る

予定)。しかし、強度行動障害支援者養成研修は、行動援護従業者養成研修のカリキュラム内容をすべて

網羅し、制度改正による新たなニーズに対応した内容を目指して作成しています。

強度行動障害支援者養成研修(実践研修)のカリキュラム(案)の内容と行動援護従業者養成研修と

の対応については、次頁の図を参照して下さい。

時間

行動

援護

対応

Ⅰ 

講義

41

 強

度行

動障

害の

ある

2チ

ーム

によ

る支

援の

重要

性 

 者

への

チー

ム支

援支

援の

6つ

の原

則地

域で

強度

行動

障害

の人

を支

える

2 

強度

行動

障害

と2

①行

動障

害の

ある

人の

生活

と行

動障

害の

ある

人の

家族

の想

い 

 生

活の

組み

立て

援の

実際

日中

活動

場面

にお

ける

支援

夕方

から

朝に

かけ

ての

支援

外出

場面

にお

ける

支援

Ⅱ 

演習

81

 障

害特

性の

理解

と2.5

①障

害特

性と

アセ

スメ

ント

障害

特性

の理

解Ⅱ

-1

  

アセ

スメ

ント

障害

特性

に基

づくア

セス

メン

トⅡ

-1

行動

の意

味を

理解

する

Ⅱ-1

2 

環境

調整

によ

る強

度3.5

①構

造化

の考

え方

と方

法強

みや

好み

を活

かす

視点

Ⅱ-1

構造

化の

考え

方Ⅱ

-3

構造

化の

方法

Ⅱ-3

②支

援の

手順

書の

作成

日中

活動

場面

にお

ける

支援

の手

順書

Ⅱ-4

外出

場面

にお

ける

支援

の手

順書

Ⅱ-4

3 

記録

に基

づく支

援の

1①

記録

の収

集と

分析

行動

の記

録の

方法

Ⅱ-4

  

評価

記録

の整

理と

分析

Ⅱ-4

再ア

セス

メン

トと

手順

書の

修正

Ⅱ-4

4 

危機

対応

と虐

待防

止1

①危

機対

応と

虐待

防止

危機

対応

の方

法Ⅱ

-3

虐待

防止

と身

体拘

束Ⅱ

-3

科目

名内

①強

度行

動障

害支

援の

原則

※ 強度行動障害支援者養成研修(実践研修)のカリキュラム(案)と行動援護従業者養成研修との対応

3 基

礎研

修と

実践

研修

の役

下の図は、強度行動障害支援者養成研修の「基礎研修」と「実践研修」の内容をまとめたものです。

【講

義】

○強

度行

動障

害と

は(

地域

で強

度行

動障

害者

に支

援す

る体

制を

構築

する

重要

性)

○様

々な

強度

行動

障害

者支

援の

取り

組み

(実

践報

告・

家族

の提

言・

医療

との

連携

)○

PD

CA

サイ

クル

の重

要性

(構

造化

、記

録と

再計

画)

基礎

研修

【演

習】

○気

付き

:障

害特

性の

理解

の重

要性

(コ

ミュ

ニケ

ーシ

ョン

理解

と様

々な

手が

かり

)○

探索

:行

動の

背景

を考

える

(氷

山モ

デル

【講

義】

○チ

ーム

支援

の基

本(

チー

ムで

同じ

方向

に向

かっ

て支

援す

るこ

との

重要

性)

○様

々な

強度

行動

障害

者支

援の

取り

組み

(実

践報

告・

家族

の提

言・

医療

との

連携

実践

研修

【演

習】

○プ

ラン

①:

障害

特性

に配

慮し

た支

援計

画の

立案

(4

つの

プロ

セス

)○

プラ

ン②

:支

援の

手順

書の

作成

○記

録:

効果

的な

情報

収集

の方

法・

チー

ムで

支援

する

ため

の報

障害

特性

を理

解し

た支

援が

大切

であ

るこ

と、

個人

プレ

イに

走ら

ずチ

ーム

で取

り決

めた

支援

方法

を丁

寧に

実施

する

大切

さを

学ぶ

障害

特性

に配

慮し

た具

体的

な支

援計

画を

立案

し、

チー

ムで

協力

して

支援

を続

ける

ため

に努

力す

るこ

との

大切

さを

学ぶ

※ 基礎研修と実践研修の目指すものと講義・演習内容

基礎研修は「チームで支援するための最低限の知識を知ること」、実践研修は「チームで支援するため

の具体的

な方法を

立案する

こと」

が、各研

修の目指

すゴー

ルです。

そして、

このゴ

ールが実

現できる

う、講義と演習合計

12時間のプログラムが組まれています。

Page 25: ☆4-1 実践研修テキストPDF...報 】 1. の ぞ む さ ん の 基 本 情 報 ( 情 報 シ ー ト P 1-P 8 ) 2. の ぞ む さ ん の 外 出 に つ い て ( 情

日々

の支

援計

画の

重要

2つの研修の違いを、別の角度から説明したものが、下の図です。

サー

ビス

等利

用計

画:

相談

支援

専門

利用

する

サー

ビス

をよ

り計

画的

に、

そし

て生

活の

質を

さら

に向

上さ

せる

ため

に作

成す

る 個別

支援

計画

:サ

ービ

ス管

理責

任者

当該

サー

ビス

事業

所に

おい

て、

サー

ビス

等利

用計

画に

則り

、適

切な

支援

内容

等の

取り

決め

を明

文化

した

もの

支援

手順

書・

記録

フォ

ーム

個別

支援

計画

の内

容か

ら、

具体

的な

活動

とそ

のス

ケジ

ュー

ル、

必要

な構

造化

の方

法等

を詳

細に

記載

した

もの

支援

の実

施・

記録

とそ

の整

支援

手順

書の

内容

を理

解し

、実

施す

る。

また

その

結果

を記

録し

、定

期的

に記

録を

整理

し、

報告

する

実 践 研 修 基 礎 研 修

※ 事業所等の業務内容に照らした2つの研修の目指すものの違い

障害福祉サービスを利用する際、「

サービス等利用計画」の作成が必要になります。この文書は、地域

の相談支

援事業所

の相談支

援専門

員が、障

害のある

人なら

びに関係

者の意向

を聴き

取り、可

能な限り

の高い生

活に向け

、実現可

能なプ

ランを記

したもの

です。

通所や居

住等の施

設・事

業所は、

このサー

ス等利用

計画に沿

った形で

、事業

所が行う

べきサー

ビス内

容を具体

的に記し

た「個

別支援計

画」を作

します。

この文書

を作成す

るのは

、事業所

のサービ

ス管理

責任者で

あり、こ

の個別

支援計画

を元に、

害のある人と施設・事業所は利用契約を締結します。ちなみに、訪問系の事業所の場合「居宅介護計画」

と呼ばれ、主にサービス提供責任者が作成することになります。

強度行動障害支援者養成研修(実践研修)においては、このサービス管理責任者が作成した個別支援

計画(あるいはサービス提供責任者が作成した居宅介護計画)を読み込み、詳細な支援手順書を作成し、

支援の担

当者にそ

の方法を

正確に

伝達でき

ることを

目指し

ています

。また、

日々の

支援結果

の記録方

について

も、的確

に指示し

、担当

者の疑問

に答える

ことも

目標にな

ります。

さらに

、一定期

間同一の

順で実施

した支援

の結果を

取りま

とめ、サ

ービス管

理責任

者と相談

し、支援

方法の

変更や継

続につい

議論でき

ることが

求められ

ます。

ここで強

調してお

きたい

ことは、

強度行動

障害の

ある人の

支援にお

ては、「

サービス等利用計画」や「個別支援計画(居宅介護計画)」

の立案と同等、あるいはそれ以上に、

「支援手順書・記録フォーム」の立案ができること、さらにチーム全体で「支援手順書・記録フォーム」

で記され

た内容を

実直に、

繰り返

し実施で

きるよう

支援の

担当者に

伝達・モ

ニター

すること

が重要で

るということです。

一般に、個別支援計画は、日々のあるいは週間・月間単位で、チームとしてどのような支援を行うか

を詳細に

取り決め

、場合に

よって

は頻繁に

改定する

文書と

して適し

たもので

はあり

ません。

強度行動

害者の支

援におい

ては、頻

繁な改

定が前提

の、日々

のある

いは週間

・月間単

位の詳

細な取り

決め、さ

には支援を行った結果としての記録の取り方が重要になります。そして、「

支援手順書・記録フォーム」

の作成に

は、障害

特性に関

する専

門的な知

識や経験

が必要

になりま

す(一般

的な個

別支援計

画作成よ

はるかに難

易度が

高いと考

えられま

す)。「実

践研修

」を受講

すれば

、すぐに

適切で意

味ある

「支援手

書・記録フォーム」が作成できるわけではありません。

「基礎研修」は、「

支援手順書・記録フォーム」に記されている内容とその根拠を理解し、詳細な日々

の支援手

順まで注

意を払い

、実直

にチーム

プレイを

徹底す

ることを

学ぶ機会

です。

強度行動

障害者支

の担当者

に求めら

れるのは

、これ

までの経

験則や思

想信条

に則った

臨機応変

の対応

ではなく

、実直に

ームプレ

イに徹す

ることな

のです

。そして

、この重

要性を

理解する

ために、

強度行

動障害者

支援の重

性と固有の障害特性に関する知識を学び、新たな気づきの体験を基礎研修において提供します。

Page 26: ☆4-1 実践研修テキストPDF...報 】 1. の ぞ む さ ん の 基 本 情 報 ( 情 報 シ ー ト P 1-P 8 ) 2. の ぞ む さ ん の 外 出 に つ い て ( 情

実践

研修

のポ

イン

支援

手順

書を

作成

する

基本

的な

プロ

セス

強度行動障害支援者養成研修(実践研修)においては、障害特性に配慮した具体的な支援計画、つま

り「支援

手順書・

記録フォ

ーム」

を作成す

るための

演習が

中心にな

ります。

そして

、具体的

な支援計

作成のプロセスとして、私たちは下の図の「4つのステップ」を提案します。

観察

・予

生じ

てい

る問

題・

生じ

うる

リス

クを

具体

的に

記す

行動

の背

景に

ある

障害

特性

(生

物学

的・

心理

的)

と環

境要

因を

推測

し、

リス

トア

ップ

する

①背

景の

障害

特性

を推

測(

氷山

モデ

ル)

リス

トア

ップ

した

障害

特性

を「

強み

」の

表現

に変

換す

る。

例え

ば、

「同

じ手

順に

過剰

に執

着す

る」

は「

同じ

手順

を確

実に

こな

す」

とい

った

表現

に言

い換

える

②障

害特

性を

「強

み」

の表

現に

変換

他の

場面

の観

察か

ら、

リス

トさ

れて

いな

い「

強み

」を

加え

る。

③他

の場

面か

ら「

強み

」の

リス

ト追

生じ

てい

る問

題・

生じ

うる

リス

クの

ある

場面

で、

「強

み」

のリ

スト

を活

かし

た環

境づ

くり

(構

造化

)の

計画

を立

てる

④「

強み

」を

活か

した

新た

な環

計画

の実

※ 支援手順書・記録フォーム作成のための4つのステップ

日々の生活の中で、支援の対象者の大きな行動上の問題の発生が観察されるか、そのリスクが高いと

想定され

る場合は

、まず、

その背

景に存在

する、い

わゆる

生物学的

、あるい

は心理

・対人関

係上の特

を想像しま

す。「基礎研

修」

の演習で

扱った

氷山モデ

ルです。

表面化

した問題

行動のみ

に着目

せず、『①

背景の障害特性を推測する』ことが最初のステップです。

次のステップは、推測した『②障害特性「強み」の表現に変換』します。例えば、「

状況の全体像を把

握するの

が難しい

」といっ

た特性

を「特定

の刺激(

例:色

)を確実

に注目す

る」と

いったこ

とばに言

換えます。いわゆる、リフレーミングと呼ばれるステップです。

3つ目のステップは、対象者の「強み」をさらに膨らませます。特定の行動上の問題やリスクが推測

される場面だけでなく、日常生活全般の様子から、強みのリストを補強します。『

③他の場面から「強み」

のリストを追加』の過程です。

そして最後のステップで、『

④「強み」を活かした新たな環境』を計画します。その際、基礎研修の講

義で紹介

した、構

造化の技

法(物

理的構造

化、スケ

ジュー

ル、ワー

クシステ

ム、決

まった手

順や習慣

視覚的構造化)が非常に役立ちます。構造化に限らず、強度行動障害の日々の支援を立案する際には、「

み」を活かす方法を採用するのが基本です。

2 意

味あ

る計

画作

成に

は経

験が

大切

1.

OJT

が可

能な

環境

強度行動障害支援者養成研修(実践研修)の演習は、4つのステップを踏みながら、具体的な支援計

画の作成

プロセス

を学ぶこ

とです

。しかし

、研修で

、この

プロセス

の重要さ

と具体

的な方法

を学び、

ループ討

議を行っ

たからと

いって

、強度行

動障害者

にとっ

て、すぐ

に意味あ

る「支

援手順書

・記録フ

ーム」が作成できるわけではありません。

模擬的な事例ではなく、現場に戻り、実際のケースを通して、強度行動障害者の支援の経験が豊富で、

知的障害

者や自閉

症に関す

る知識

や各種支

援技法の

理論を

学んだ人

と一緒に

、具体

的な支援

計画の作

を繰り返し経験することが必要です。そして、当然、施設・事業所・地域等

におい

て、

OJT

(オン・ザ

ジョブ・トレーニング:支援の現場で経験を通した教育訓練)が行える環境が必要になります。

2.

研修

とネ

ット

ワー

クづ

くり

私たちは、全国の多くの施設・事業所・地域で、強度行動障害のある人に適切な支援が提供できるこ

とを目指

し、その

最初のス

テップ

として強

度行動障

害支援

者養成研

修を企画

してい

ます。で

すから、

広域単位

、②継続

的な人材

養成、

③地域の

資源開発

が平行

して進め

られるこ

とで、

はじめて

この企画

成果が現れるものと考えています。

強度行動障害支援者養成研修(基礎研修・実践研修)は、四半世紀前に強度行動障害者研究がスター

トし、社

会的な問

題として

浮上し

てから、

はじめて

誕生し

た全国レ

ベルの対

策です

。全国の

すべての

道府県で、強度行動障害支援者養成研修が継続的に実施されることを強く望みます。

ただし、この研修を継続的に実施するだけで、最終的な目標に到達できる訳ではありません。強度行

動障害と

は比較的

稀な状態

像であ

り、ある

程度の広

域を前

提にしな

いと、そ

の支援

のノウハ

ウを蓄積

きないと先に述べました。市町村の枠組みを超えた広域のネットワークづくりには、「

中核となる人材・

組織」や「ネットワークを支える仕組み(財源)」

が必須になります。その上、地域の状況(精神科医療

や障害福

祉サービ

ス資源、

特別支

援教育、

当事者活

動等)

に応じて

、最善の

方法を

考え、実

施・検証

るには、「他の圏域の実践者との詳細な意見交換」が欠かせません。

強度行動障害支援者養成研修(基礎研修・実践研修)は、ひとりでも多くの人に、強度行動障害の現

Page 27: ☆4-1 実践研修テキストPDF...報 】 1. の ぞ む さ ん の 基 本 情 報 ( 情 報 シ ー ト P 1-P 8 ) 2. の ぞ む さ ん の 外 出 に つ い て ( 情

状の厳し

さを知っ

てもらい

、障害

特性を理

解する方

法と基

本的な支

援の枠組

みを理

解し、さ

らにチー

で適切な

支援体制

を組むた

めの最

低限の知

識を学ぶ

ための

カリキュ

ラムを提

供して

います。

強度行動

害者支援

のスーパ

ーバイザ

ー養成

や地域の

支援体制

構築の

中核メン

バーの養

成を行

うもので

はありま

ん(今の

ところ、

スーパー

バイザ

ーや地域

のリーダ

ー養成

の研修プ

ログラム

は存在

しません

。いくつ

の地域や専門家が試行的に始めた段階です)。

しかし、強度行動障害支援者養成研修は、地域の強度行動障害者支援の最前線で奮闘している、実践

者が中心

となり企

画・実施

するこ

とを推奨

していま

す。研

修の企画

・運営の

主体が

どこであ

れ、強度

動障害者

の実戦経

験が乏し

い、地

方自治体

の研修担

当者や

大学や専

門学校の

教員が

中心にプ

ログラム

実施する

ことは、

この研修

の本来

の主旨か

ら外れま

す。強

度行動障

害支援者

養成研

修は、都

道府県単

で(人口規模の小さな県では近隣の県と協同開催も検討して下さい)、

最前線で奮闘している支援員が一

同に会し

、研修プ

ログラム

の企画

・運営を

議論する

と同時

に、定期

的にお互

いの支

援内容や

課題を共

できる場

として、

活用して

欲しい

のです。

モデル研

修(カ

リキュラ

ム)の中

に、様

々な支援

現場の実

報告や家

族からの

情報提供

を加え

ている理

由は、こ

のよう

な地域の

事業所・

支援員

同士の情

報交換を

発化し、ネットワーク作りの促進を図りたいと考えているからです。

私たちの目指す目標は、あまりにも現実離れした、理想が高すぎる空論かもしれません。しかし、支

援の方法

論が概ね

固まって

いるの

に、強度

行動障害

があり

通常では

考えられ

ない生

活上の困

難さを抱

ている人

が全国に

かなりの

数いる

にもかか

わらず、

適切な

支援がで

きずに受

け入れ

拒否に直

面してい

当事者・

家族がた

くさんい

ること

を忘れて

はいけま

せん。

さらに、

1つの組

織・事

業所に、

強度行動

害者支援

を集約す

ることに

よる、

悲惨な暴

行(虐待

)事件

が繰り返

し起きて

いるこ

とも、私

たちは知

ました。

どんなに

高い理想

であっ

ても、歩

みを進め

ずして

、強度行

動障害者

が安心

した生活

は送れま

ん。そして、その地域における障害者の権利擁護や差別解消に向けての文化醸成もあり得ません。

表1

. 強

度行

動障

害判

定基

準表

障害

支援

区分

調査

項目

0点

2点

3-3

コミ

ュニ

ケー

ショ

1.

日常

生活

に支

障が

ない

. 特

定の

者で

あれ

ばコ

ミュ

ニケ

ショ

ンで

きる

3.

会話

以外

の方

法で

コミ

ュニ

ケー

ショ

ンで

きる

4.

独自

の方

法で

コミ

ュニ

ケー

ショ

ンで

きる

5.

コミ

ュニ

ケー

ショ

ンで

きな

3-4

説明

の理

1.

理解

でき

2.

理解

でき

ない

.理

解で

きて

いる

か判

断で

きな

4-7

大声

・奇声

を出

1.

支援

が不

2.

稀に

支援

が必

3.

月に

1回

以上

の支

援が

必要

4.

週に

1回

以上

の支

援が

必要

.ほ

ぼ毎

日(週

5日

以上

の)支

が必

4-16

異食

行動

1.

支援

が不

2.

稀に

支援

が必

3.

月に

1回

以上

の支

援が

必要

4.

週に

1回

以上

の支

援が

必要

.ほ

ぼ毎

日(週

5日

以上

の)支

が必

4-19

多動

・行動

停止

1.

支援

が不

2.

稀に

支援

が必

3.

月に

1回

以上

の支

援が

必要

4.

週に

1回

以上

の支

援が

必要

.ほ

ぼ毎

日(週

5日

以上

の)支

が必

4-20

不安

定な

行動

1.

支援

が不

2.

稀に

支援

が必

3.

月に

1回

以上

の支

援が

必要

4.

週に

1回

以上

の支

援が

必要

.ほ

ぼ毎

日(週

5日

以上

の)支

が必

4-21

自ら

を傷

つけ

る行

1.

支援

が不

2.

稀に

支援

が必

3.

月に

1回

以上

の支

援が

必要

4.

週に

1回

以上

の支

援が

必要

.ほ

ぼ毎

日(週

5日

以上

の)支

が必

4-22

他人

を傷

つけ

る行

1.

支援

が不

2.

稀に

支援

が必

3.

月に

1回

以上

の支

援が

必要

4.

週に

1回

以上

の支

援が

必要

.ほ

ぼ毎

日(週

5日

以上

の)支

が必

4-23

不適

切な

行為

1.

支援

が不

2.

稀に

支援

が必

3.

月に

1回

以上

の支

援が

必要

4.

週に

1回

以上

の支

援が

必要

.ほ

ぼ毎

日(週

5日

以上

の)支

が必

4-24

突発

的な

行動

1.

支援

が不

2.

稀に

支援

が必

3.

月に

1回

以上

の支

援が

必要

4.

週に

1回

以上

の支

援が

必要

.ほ

ぼ毎

日(週

5日

以上

の)支

が必

4-25

過食

・反す

う等

1.

支援

が不

2.

稀に

支援

が必

3.

月に

1回

以上

の支

援が

必要

4.

週に

1回

以上

の支

援が

必要

.ほ

ぼ毎

日(週

5日

以上

の)支

が必

てん

かん

発作

の頻

(医

師意

見書

によ

る。

) 1

.年

に1

回以

2.

月に

1回

以上

.週

に1

回以

Page 28: ☆4-1 実践研修テキストPDF...報 】 1. の ぞ む さ ん の 基 本 情 報 ( 情 報 シ ー ト P 1-P 8 ) 2. の ぞ む さ ん の 外 出 に つ い て ( 情

【資

料】

強度

行動

障害

に関

する

研究

と支

援の

歴史

この

資料

の目

的と

結論

強度

行動

障害

とい

う名

称は

、19

88年

にス

ター

トし

た行

動障

害児

(者

)研究

会に

おい

て命

名さ

れた

もの

です

1)。

繁な

自傷

や他

害等

の行

動ゆ

えに

、強

度に

適応

行動

障害

を見

せる

障害

児(者

)と

いう

意味

から

この

名称

が採

用さ

まし

た。

当時

の定

義は

、「精

神科

的な

診断

とし

て定

義さ

れる

群と

は異

なり

、直

接的

他害

(噛

みつ

き、

頭突

き等

)や、

間接

的他

害(睡

眠の

乱れ

、同

一性

の保

持等

)、

自傷

行為

等が

通常

考え

られ

ない

頻度

と形

式で

出現

し、

その

養育

環境

では

著し

く処

遇の

困難

な者

」と

され

てい

ます

。ま

た、

「家

庭に

あっ

て通

常の

育て

方を

し、

かな

りの

養育

努力

があ

って

も著

しい

処遇

困難

が持

続し

てい

る状

態」と

付け

加え

られ

てい

ます

行動

障害

児(者

)研究

がス

ター

トす

るさ

らに

20年

前、

1960

年代

後半

より

、行

動障

害が

著し

い人

たち

に対

する

援の

困難

さと

、何

らか

の施

策の

必要

性が

訴え

られ

てい

ます

。年

代に

より

、障

害の

原因

や特

性に

関す

る専

門的

見、

福祉

や教

育の

仕組

み、

療育

や支

援技

法の

発展

、障

害の

ある

人の

権利

に対

する

考え

方、

そし

て政

治・経

済状

況等

、大

きく

異な

りま

す。

「行

動障

害が

著し

く支

援が

困難

であ

る」と

問題

提起

され

てき

た対

象者

が、

過去

45年

間、

一の

状態

像の

人た

ち(グ

ルー

プ)を

指し

てい

ると

は限

りま

せん

この

資料

は、

これ

まで

の強

度行

動障

害あ

るい

は関

連す

る、

資料

・文

献を

中心

に、

強度

行動

障害

なら

びに

その

近隣

領域

の障

害者

に対

する

研究

や支

援方

法の

発展

につ

いて

、歴

史的

な経

過か

らま

とめ

るこ

とを

目的

とし

ます

。ま

た、

可能

な限

り、

平易

な表

現を

用い

るこ

とを

心が

けま

す。

全国

の強

度行

動障

害支

援者

養成

研修

(実

践研

修)の

考資

料と

して

ご活

用し

てい

だけ

れば

幸で

す。

なお

、こ

の資

料の

概要

は、

以下

の5

つに

まと

める

こと

がで

きま

す。

強度

行動

障害

とは

、本

人の

(生

物学

的、

心理

発達

的)障

害特

性と

環境

との

相互

作用

によ

り生

まれ

ると

考え

られ

てお

り、

適切

な支

援が

継続

的に

行わ

れる

こと

で、

多く

は改

善傾

向が

みら

れる

強度

行動

障害

に関

する

実践

的研

究に

より

、適

切な

支援

の基

本的

な枠

組み

は10

年前

に提

案さ

れて

おり

、そ

の内

容は

、今

に至

るま

でほ

とん

ど変

わっ

てい

ない

。し

かし

、全

国の

多く

の障

害福

祉関

係機

関で

は、

この

基本

的な

枠組

みに

沿っ

た対

応を

継続

して

実施

する

こと

が難

しい

約20

年前

に「強

度行

動障

害判

定基

準表

」が作

成さ

れて

以降

、障

害福

祉サ

ービ

ス利

用に

おけ

る行

動障

害の

判定

基準

が活

用さ

れて

いる

が、

制度

改正

によ

り評

定項

目や

カッ

トオ

フ値

が変

更さ

れ、

度行

動障

害を

対象

とし

た施

策の

対象

者が

大幅

に増

えて

いる

。初

期の

強度

行動

障害

研究

の対

者と

、現

在判

定さ

れる

対象

者と

では

、状

態像

や支

援の

必要

性が

大き

く異

なる

可能

性が

存在

する

発達

障害

支援

法の

施行

、障

害者

自立

支援

法に

よる

3障

害一

元化

、罪

を犯

した

障害

者の

福祉

的支

援等

、最

近、

障害

福祉

サー

ビス

の対

象の

変化

に伴

い、

相談

支援

を中

心と

した

障害

福祉

サー

ビス

事業

所等

では

、こ

れま

でと

は異

なる

行動

障害

への

対応

が求

めら

れて

いる

(例:反

社会

的行

動や

殺念

慮等

)。

この

よう

な新

たな

課題

に関

する

支援

のあ

り方

につ

いて

は研

究段

階で

あり

、今

後の

大き

なテ

ーマ

であ

る。

強度

行動

障害

者支

援者

養成

研修

では

、強

度行

動障

害に

対す

る基

本的

な支

援の

枠組

みが

固ま

てい

る、

重度

の知

的障

害と

自閉

症を

併せ

持つ

強度

行動

障害

者(児

)を

中心

に、

支援

方法

の周

知を

測り

、地

域に

おけ

る支

援体

制が

構築

され

るこ

とを

目指

す。

強度

行動

障害

の名

称が

生ま

れる

前(

1960年

代~

1980年

代)

(1

)動く

重症

児対

強度

行動

障害

とい

うこ

とば

が誕

生す

る以

前か

ら、

同等

の問

題を

抱え

る人

たち

の支

援の

難し

さが

指摘

され

てい

す。

1960

年代

後半

にな

ると

、「動

く重

症児

」とい

うこ

とば

が登

場し

、何

らか

の対

策が

必要

であ

ると

議論

され

てい

ます

2)。

重症

心身

障害

児の

専門

施設

が設

立さ

れ、

その

後、

全国

の国

立療

養所

にお

いて

も、

重症

心身

障害

児者

の受

が開

始さ

れた

頃で

す。

そし

て、

1970

年に

は、

中央

児童

福祉

審議

会が

、「動

く重

症児

」に関

して

以下

の様

な意

見具

申を

行っ

てい

ます

「動

く重

症児

」とは

「①精

神薄

弱で

あっ

て著

しい

異常

行動

を有

する

もの

、②

精神

薄弱

以外

の精

神障

害で

あっ

て著

しい

異常

行動

を有

する

もの

」で、

「い

ずれ

も身

体障

害を

伴うも

のを

含む

」とし

て、

①に

該当

する

のに

つい

ては

、「重

度精

神薄

弱児

収容

棟」に

おい

て、

また

、こ

れに

肢体

不自

由を

伴う

もの

につ

いて

は、

重症

心身

障害

児施

設に

おい

て、

特に

精神

医療

につ

いて

の機

能の

充実

によ

り、

医療

と保

護指

導を

図る

もの

とし

、②

に該

当す

るも

のに

つい

ては

、小

児精

神病

院に

おい

て治

療を

行う

必要

があ

る。

「動

く重

症児

」につ

いて

は、

重症

心身

障害

児者

施設

ない

し精

神薄

弱児

者施

設の

重度

棟に

入所

する

にし

ても

最新

の医

療的

な対

応、

特に

より

濃厚

な精

神医

療が

なけ

れば

、保

護が

不可

能と

考え

られ

てい

まし

た3)。

なお

、こ

の意

見具

申の

後も

、「動

く重

症児

」に

対し

て有

効な

手立

てを

見出

すこ

とが

でき

ず、

「全

国重

症心

身障

害児

(者

)を守

会」に

おい

て、

その

後も

要望

書で

「動く

重症

児対

策の

確立

」を

毎年

掲げ

てい

ます

4)。

なお

、当

時「動

く重

症児

」の医

療や

支援

に携

わっ

た関

係者

から

のイ

ンフ

ォー

マル

な聴

き取

りで

は、

「動

く重

症児

と強

度行

動障

害は

明ら

かに

状態

像が

異な

る」と

明言

する

人が

いる

一方

、「重

症心

身障

害児

の病

棟に

多動

で行

障害

が顕

著な

、今

だと

自閉

症と

診断

され

る子

ども

がい

た」と

振り

返る

人も

いま

す。

(2

)精神

科医

療を

中心

とし

たモ

デル

事業

ほぼ

同じ

頃、

「動

く重

症児

」とは

別の

方向

から

、強

度行

動障

害と

想定

され

る児

童へ

のア

プロ

ーチ

が始

まっ

てい

す。

1969

年に

モデ

ル的

に、

東京

都(梅

ヶ丘

病院

)、

大阪

府(中

宮病

院)、

三重

県(高

茶屋

病院

)の公

立病

院に

自閉

症児

施設

が整

備さ

れ、

翌年

から

は、

この

自閉

症児

施設

にお

ける

療育

費用

に対

して

国が

助成

を行

うこ

とと

して

、厚

Page 29: ☆4-1 実践研修テキストPDF...報 】 1. の ぞ む さ ん の 基 本 情 報 ( 情 報 シ ー ト P 1-P 8 ) 2. の ぞ む さ ん の 外 出 に つ い て ( 情

生事

務次

官通

知が

出さ

れて

いま

す4)。

この

モデ

ル施

設は

、精

神医

療を

中心

に、

教育

、心

理、

介護

、看

護等

のチ

ーム

ワー

クで

療育

を行

う機

関で

す。

ころ

が、

専門

の自

閉症

療育

施設

のひ

とつ

であ

る梅

ヶ丘

病院

の当

時の

状況

を記

した

資料

があ

りま

す。

当時

、藤

は、

『昭

和40

年以

降梅

ヶ丘

病院

に入

院を

予約

して

いた

131名

の精

神薄

弱児

につ

いて

入院

を希

望す

る理

由を

調べ

てみ

ると

、そ

の多

い方

から

・・・

落ち

着き

なく

多動

・乱

暴な

行動

が多

い・不

潔行

為(失

禁、

弄便

など

)・反

抗的

・不

眠・

亢奮

・集団

に入

れず

いた

ずら

が多

い・言

葉が

ない

・生活

全部

介助

を要

する

・周

囲へ

無関

心・極

めて

自閉

的・て

かん

発作

頻発

・家

から

の飛

び出

し、

遠出

する

・奇声

大声

をあ

げる

・・・と

いう

順に

なる

。知

能の

程度

はIQ

30以

下の

症例

が大

部分

であ

った

。』と

記し

てい

ます

。さ

らに

、『両

親と

して

精神

病院

より

精薄

施設

を希

望す

るほ

うが

多い

が、

精薄

施設

側で

はな

るべ

く重

症や

落ち

着き

なく

動き

の多

い子

はさ

けて

「こ

れは

精神

病院

でな

いと

無理

であ

る」と

断ら

れて

しま

う』と

、治

療効

果を

期待

され

ない

入院

が多

数存

在し

てい

たこ

とが

うか

がわ

れま

す5)。

動く

重症

児対

策と

して

、濃

厚な

精神

医療

の提

供の

重要

性が

指摘

され

てい

まし

たが

、精

神医

療を

中心

に、

モデ

ル的

に多

職種

のチ

ーム

ワー

クで

行う

療育

の現

場で

は、

行動

障害

が著

しい

重度

・最重

度の

知的

障害

児者

の対

応に

懐疑

的で

あっ

たと

考え

られ

ます

。な

お、

この

モデ

ル的

な自

閉症

療育

のそ

の後

の変

遷は

、19

80年

の児

童福

祉法

改正

によ

り、

医療

型の

第一

種自

閉症

児施

設、

福祉

型の

第二

種自

閉症

児施

設に

区分

され

、現

在に

至っ

てい

ます

(3

)自閉

症の

療育

と強

度行

動障

今で

は、

強度

行動

障害

の多

くは

自閉

症(あ

るい

は自

閉症

スペ

クトラ

ム)で

ある

こと

が知

られ

てい

ます

。し

かし

、動

く重

症児

や初

期の

自閉

症対

策が

スタ

ートし

た段

階で

は、

重度

・最重

度の

知的

障害

児者

に自

閉症

の診

断が

つく

こと

は、

ほと

んど

あり

ませ

んで

した

自閉

症の

診断

基準

につ

いて

は、

専門

家の

間で

も長

らく

一致

を見

てい

ませ

んで

した

。日

本で

最初

の自

閉症

の症

例報

告が

され

たの

が19

52年

です

。そ

して

、19

78年

に、

よう

やく

厚生

省か

ら「自

閉症

の診

断の

手引

(案)」が

発表

され

てい

ます

。内

外の

自閉

症研

究の

成果

から

、専

門家

間で

概ね

自閉

症の

障害

の本

質や

診断

基準

につ

いて

コン

セン

サス

が得

られ

るま

で、

四半

世紀

の時

間が

必要

でし

た。

当時

、中

根(

1978

)は

、『《ま

ず自

閉症

とい

うも

のが

あっ

て、

れを

基礎

に言

語・知

能・行

動面

に障

害が

起こ

って

くる

》とい

う考

えか

ら《他

の、

より

基本

的な

障害

-た

とえ

ば言

語や

認知

の障

害を

もた

らす

であ

ろう

障害

-の

ため

に自

閉的

とい

われ

る行

動上

の障

害が

起こ

って

くる

ので

あり

、自

閉も

状の

一つ

にす

ぎな

い》と

する

考え

への

見方

の変

換で

ある

。い

わば

天動

説か

ら地

動説

へと

いう

コペ

ルニ

クス

的転

であ

り・・・』と

記し

てい

ます

。「自

閉症

とは

発達

期か

らの

認知

機能

の障

害が

中核

であ

る」と

専門

家間

でコ

ンセ

ンサ

を得

られ

るま

で、

長い

時間

を要

して

おり

、そ

れゆ

え、

治療

や支

援の

現場

で様

々な

混乱

が生

じて

いま

した

。と

ころ

が、

1978

年出

版の

中根

の論

文に

おい

ても

、重

度・最

重度

の知

的障

害児

者を

「自

閉症

」と

診断

する

こと

は困

難で

ると

記さ

れて

いま

す6)。

強度

行動

障害

と自

閉症

との

関連

性が

明ら

かに

なっ

たの

は、

1980

年代

に入

って

から

です

。自

閉症

児親

の会

国協

議会

(現、

一般

社団

法人

日本

自閉

症協

会)が

行っ

た最

初に

大規

模調

査に

おい

ては

、15

歳以

上の

自閉

症児

者24

9人の

うち

、20

%は

決ま

った

所に

一人

で外

出す

るこ

とが

でき

ない

、15

%は

新し

い場

所に

適応

する

こと

がで

きな

い、

そし

て12

%は

常に

「異

常行

動」が

ある

と回

答し

てい

ます

7)。

また

、行

動障

害児

(者

)研究

会が

1989

年に

行っ

た全

国の

児童

相談

所な

らび

に更

生相

談所

を対

象と

した

調査

では

、強

度行

動障

害の

うち

自閉

症と

診断

され

てい

たの

は、

それ

ぞれ

25%

、18

%で

した

8)。

1980

年代

は、

自閉

症を

中心

とし

た心

身障

害児

に対

して

、個

別性

の高

い、

多様

な療

育技

法が

開発

され

、そ

の効

果が

検討

され

た時

代で

もあ

りま

した

。佐

々木

(19

82)は

、「従

来の

心理

治療

(遊戯

療法

)主

導で

あっ

た時

代の

予後

が、

多く

は悲

観的

であ

った

こと

の反

省を

含め

て、

早期

から

の感

覚運

動統

合訓

練、

神経

心理

学や

学習

理論

に基

く各

種の

認知

学習

や社

会適

応上

の生

活指

導な

ど、

幅広

い治

療法

の開

拓と

実践

と成

果の

確認

が進

行中

であ

り、

のあ

たり

の問

題を

整理

・検

討す

る必

要が

ある

」と

記し

てい

ます

10) 。

1970

年代

初期

に重

度精

神薄

弱児

収容

棟や

重症

心身

障害

児施

設で

支援

が難

しい

とさ

れた

「動く

重症

児」、

神医

療を

中心

とし

た多

職種

の専

門チ

ーム

によ

るモ

デル

的な

病院

にお

いて

「治

療効

果が

期待

され

ない

重症

例」に

対し

て、

1980

年代

にな

ると

、自

閉症

の障

害の

本態

に関

する

新た

な理

解の

広が

りと

同時

に開

発さ

れた

様々

な療

技法

が試

みら

れる

時代

へと

変化

して

きた

ので

す。

残念

なが

ら、

この

段階

では

、行

動障

害が

著し

い重

度の

知的

障害

者の

問題

解決

に向

けて

の、

有効

な手

がか

りが

見つ

かっ

た訳

では

あり

ませ

ん。

そし

て、

80年

代後

半に

なり

、よ

うや

く単

独の

療育

では

なく

、総

合的

・全

体的

なア

プロ

ーチ

の重

要性

に気

づき

、強

度行

動障

害児

(者)研

究会

がス

ター

トし

まし

た。

「明

らか

に強

度行

動障

害問

題は

『複

合的

』な

問題

なの

であ

る。

強度

行動

障害

児(者

)への

、真

に有

効な

対応

は、

それ

らの

様々

な課

題に

対し

て総

合的

・全体

的に

対応

しう

るも

ので

なけ

れば

なら

ない

。そ

れゆ

え、

我々

は、

この

福祉

、医

療、

教育

の立

場を

統合

し、

家庭

や本

人に

好ま

しい

あり

方を

実現

する

こと

、こ

れら

を強

度行

動障

害問

題へ

の基

本的

な立

場と

した

。」と

は、

どう

研究

会ス

ター

ト時

に基

本的

スタ

ンス

です

(4

)障害

児を

とり

まく

大き

な社

会の

変化

行動

障害

が著

しい

人へ

の問

題が

表面

化し

た19

60年

代後

半か

ら、

強度

行動

障害

とい

うこ

とば

が誕

生し

た19

80

年代

後半

まで

の約

20年

の間

に、

障害

児を

とり

まく

社会

的な

環境

は大

きく

変化

しま

した

その

ひと

つは

、19

79年

の学

校基

本法

改正

です

。養

護学

校の

義務

化が

実現

し、

どん

な障

害が

あっ

ても

、す

べて

の子

ども

たち

が学

校に

通うよ

うに

なり

まし

た。

以前

は就

学免

除さ

れて

いた

、行

動障

害の

著し

い知

的障

害児

が学

に通

うよ

うに

なっ

たの

です

。見

方を

変え

ると

、少

なく

とも

義務

教育

の9

年間

、安

全で

健康

的な

活動

を保

障し

た「日

の通

い場

所」が

全国

に整

備さ

れた

ので

す。

これ

以降

、児

童期

に精

神科

病院

へ入

院、

ある

いは

施設

へ入

所を

希望

する

知的

障害

者は

明ら

かに

減少

して

いま

す。

例え

ば、

知的

障害

児入

所施

設の

入所

者数

は、

1975

年時

点で

2.7

万人

を越

えて

いま

した

が、

1990

年台

には

1.9

万人

まで

減っ

てい

ます

。施

設に

は18

歳以

上の

加齢

児が

かな

り存

して

いた

と推

測さ

れま

すの

で、

純粋

に児

童期

の入

所者

数の

減少

は、

この

数字

以上

だと

考え

られ

ます

もう

ひと

つの

大き

な変

化は

、19

81年

の国

際障

害者

年で

す。

私た

ちの

国に

おい

ても

、「完

全参

加と

平等

」の実

に向

けて

の長

期計

画が

策定

され

る時

代に

なっ

たの

です

。こ

の年

が、

障害

者の

権利

の尊

重と

差別

禁止

に向

かうタ

ーニ

ング

ポイ

ントで

あり

、同

時に

保護

政策

から

地域

生活

を支

える

仕組

みづ

くり

に向

かっ

た時

期で

もあ

りま

す。

専門

的な

医療

・福

祉の

実現

を目

指し

てい

た自

閉症

対策

も、

この

間に

大き

く変

容し

てい

きま

した

。特

に、

自閉

の専

門的

な療

育機

関と

して

設置

され

た医

療型

の自

閉症

児施

設(第

1種

自閉

症施

設)は

、実

際に

施策

が動

き出

た19

80年

頃に

は、

「医療

から

、教

育・福

祉の

対策

へ」と

いう

時代

に変

わろ

うと

して

いま

した

Page 30: ☆4-1 実践研修テキストPDF...報 】 1. の ぞ む さ ん の 基 本 情 報 ( 情 報 シ ー ト P 1-P 8 ) 2. の ぞ む さ ん の 外 出 に つ い て ( 情

強度

行動

障害

児(者

)研究

は、

先駆

的に

研究

と実

践に

取り

組ん

でき

た、

弘済

学園

、あ

した

ば中

野学

園(次

度、

かし

わ学

園)、

秩父

学園

とい

った

知的

障害

児の

入所

施設

が中

心に

スタ

ートし

まし

た。

1980

年台

後半

、全

国の

児童

入所

施設

の利

用者

数が

減っ

てい

く中

、先

駆的

な実

践で

成果

をあ

げて

いた

施設

では

、自

宅や

地域

での

生活

が困

難に

なっ

た強

度行

動障

害の

ある

子ど

もの

入所

者が

増え

てい

たよ

うで

す(特

に、

施設

に隣

接し

た場

所に

養護

校が

設置

され

た施

設で

は、

その

傾向

が顕

著で

した

)。

当時

、行

動障

害が

著し

い子

ども

たち

が地

域生

活を

続け

てい

くに

は、

教育

なら

びに

福祉

の支

援が

不十

分で

あっ

たと

推測

され

ます

。そ

の根

拠と

して

、行

動障

害児

(者

)研究

(19

89)の

調査

結果

で、

当時

の施

設の

種別

に強

度行

動障

害の

ある

者の

割合

をま

とめ

てい

ます

(表

1)。

この

表か

ら、

強度

行動

障害

が在

籍し

てい

ると

考え

られ

た4

種類

の施

設の

うち

、施

策と

して

拡大

しな

かっ

た自

閉症

施設

を除

き、

度行

動障

害の

割合

が明

らか

に高

いの

は知

的障

害児

入所

施設

(13

.7%

)であ

るこ

とが

わか

りま

す1)。

表1

.研

究初

期段

階に

おけ

る各

施設

の強

度行

動障

害の

割合

:行

動障

害児

(者

)研

究会

(198

9)よ

施設

種別

度行

動障

害数

籍数

知的

障害

児入

所施

977

7,1

13

13.7

知的

障害

者入

所更

生施

1,5

77

20,0

66

7.9

自閉

症施

設(1

種・2

種)

162

384

42.2

重心

施設

(国

療重

心委

託含

む)

663

8,4

52

7.8

合計

3,

379

36,0

15

9.4%

(5

)こ

こま

での

整理

行動

障害

が著

しい

知的

障害

児者

の存

在と

、そ

の支

援の

難し

さに

つい

ては

1960

年代

後半

から

指摘

され

てい

す。

しか

し、

強度

行動

障害

とい

った

名称

を提

案し

、特

別な

グル

ープ

とし

て支

援の

あり

方が

研究

され

たの

は、

その

20年

近く

経っ

てか

らで

す。

その

間に

自閉

症の

中核

障害

は認

知機

能に

あり

、教

育や

福祉

の役

割が

重視

され

るよ

うに

なっ

障害

の重

い子

ども

たち

が学

校に

通い

地域

で生

活す

る時

代に

変化

した

行動

障害

が著

しい

子ど

もた

ちが

地域

で生

活を

続け

るに

十分

な教

育・福

祉の

資源

がな

く、

知的

障害

児入

施設

を希

望す

る人

が増

えて

いた

単独

の効

果的

な療

育技

法は

存在

せず

、経

験則

とし

て総

合的

・全

体的

な支

援が

必要

であ

るこ

とに

気づ

た。

1960

年代

後半

から

1980

年代

まで

の経

過を

まと

めた

もの

が図

1で

す。

その

後、

強度

行動

障害

のあ

る人

の支

のあ

り方

につ

いて

は、

予防

を含

め効

果的

な支

援技

法の

開発

地域

生活

を続

けて

いく

ため

の仕

組み

づく

とい

った

、2

つの

方向

に進

んで

いく

こと

とな

りま

す。

コン

セン

サス

が得

られ

た支

援技

法(

1990年

代~

現在

(1

強度

行動

障害

を対

象と

した

施策

の誕

強度

行動

障害

に関

する

研究

成果

を受

け、

厚生

省(現

厚労

省)で

は、

いく

つか

の施

策を

実施

して

いま

す。

これ

外に

も、

地方

自治

体単

位で

、独

自の

仕組

みが

存在

して

いた

と思

われ

ます

。図

2は

、強

度行

動障

害研

究が

スタ

ート

して

から

強度

行動

障害

支援

者養

成研

修に

至る

まで

の、

国の

施策

につ

いて

概略

図と

して

まと

めた

もの

であ

る。

ちな

みに

、強

度行

動障

害研

究が

スタ

ートし

たき

っか

けに

つい

て、

高橋

は次

のよ

うに

記し

てい

ます

11) 。

「こ

んな

話が

残っ

てい

ます

・・・昭

和63

年(

1988

)年6月

、保

護者

から

届い

た一

通の

私信

をテ

ーマ

に、

当時

の厚

生省

障害

祉課

長浅

野史

郎氏

が弘

済学

園を

訪れ

まし

た。

氏は

、そ

こで

観た

『異常

行動

の激

しい

子ど

もた

ち』の

ビデ

オに

痛く

触発

され

、取

り組

みの

緊急

性を

痛感

した

と・・・

そし

て、

浅野

氏が

、強

度行

動障

害の

名付

け親

であ

った

そうで

す。

行動

障害

児(者

)研究

の成

果を

受け

て、

最初

に誕

生し

たの

が「強

度行

動障

害特

別処

遇事

業」で

あり

、19

93年

ら5

年間

実施

され

まし

た。

この

事業

は、

強度

行動

障害

児・者

を対

象に

、精

神薄

弱児

施設

、第

2種

自閉

症児

施設

精神

薄弱

者施

設等

にお

いて

、①

個室

等の

建物

設備

(各施

設定

員4人

)、

②指

導員

・精

神科

医・心

理療

法士

等の

専門

指導

員配

置、

③個

別の

支援

プロ

グラ

ム作

成に

よる

3年

間の

集中

的・有

期限

支援

とい

う際

立っ

た特

徴の

ある

Page 31: ☆4-1 実践研修テキストPDF...報 】 1. の ぞ む さ ん の 基 本 情 報 ( 情 報 シ ー ト P 1-P 8 ) 2. の ぞ む さ ん の 外 出 に つ い て ( 情

業で

した

。し

かし

、入

所施

設に

おけ

るこ

の事

業は

、一

人あ

たり

の報

酬単

価が

当時

の精

神薄

弱者

援護

施設

の倍

度で

あっ

たに

も関

わら

ず、

事業

実施

施設

は当

初の

3施

設か

ら、

最終

年で

ある

1997

年に

おい

ても

、全

国17

施設

に留

まっ

てい

まし

た。

わが

国最

初の

、強

度行

動障

害を

対象

とし

た画

期的

な事

業に

つい

は、

結局

5年

で廃

止さ

れ、

1998

年か

らは

、強

度行

動障

害特

別処

遇加

算費

とし

て一

般予

算化

され

てい

ます

。そ

の後

、20

03年

の支

援費

制度

にお

おて

も、

知的

害児

・者施

設に

おい

て同

様の

加算

の仕

組み

が引

き継

がれ

、20

06年

の障

害者

自立

支援

法以

降は

、重

度障

害者

援費

加算

(Ⅱ)と

して

入所

施設

にお

ける

重複

加算

が引

き継

がれ

まし

た12

) 。

在宅

サー

ビス

にお

いて

、強

度行

動障

害を

想定

した

施策

は、

現在

、行

動援

護と

短期

入所

・共同

生活

介護

にお

る重

度障

害者

支援

費加

算が

存在

しま

す。

そし

て、

2013

年よ

り、

強度

行動

障害

支援

者養

成研

修の

プロ

グラ

ムを

作成

し、

都道

府県

地域

生活

支援

事業

のメ

ニュ

ー項

目と

して

加え

られ

まし

た。

なお

、在

宅サ

ービ

スが

生ま

れた

経過

につ

いて

は、

後述

しま

す。

(2

)実践

的な

研究

から

生ま

れた

ベス

ト・プ

ラク

ティ

強度

行動

障害

を対

象と

した

実践

的な

研究

は、

いく

つか

の研

究班

にお

いて

、現

在に

至る

まで

継続

的に

実施

され

てい

ます

。初

期の

研究

では

、強

度行

動障

害の

ある

人の

実態

と著

しい

生活

上の

課題

やそ

の背

景を

明確

にす

るこ

を目

的と

して

いま

した

。ま

た、

典型

的な

強度

行動

障害

の事

例に

対し

て、

先駆

的な

支援

を行

って

いる

事業

所の

実践

とそ

の効

果の

評価

も行

われ

てい

ます

飯田

らは

、19

98年

より

厚生

(労働

)科学

研究

とし

て強

度行

動障

害の

支援

に関

する

実践

的な

研究

を、

2006

年ま

3期

9年

間継

続し

て行

って

いま

す。

その

経過

にお

いて

、主

任・分

担研

究者

の実

践フ

ィー

ルド

であ

る、

弘済

学園

、第

二お

しま

学園

、旭

川児

童院

間で

、継

続的

かつ

頻繁

な事

例検

討を

通し

て、

強度

行動

障害

支援

にと

って

特に

有効

あっ

た支

援の

洗い

出し

が行

われ

まし

た。

結果

とし

て、

明ら

かに

なっ

た有

効な

支援

方法

は、

表2

のよ

うに

まと

めら

れて

いま

す13

) 。科

学的

な証

明が

決し

て十

分と

はい

えな

いま

でも

、現

在で

も、

強度

行動

障害

の支

援に

精通

した

多く

の施

設等

で納

得で

きる

ベス

ト・プ

ラク

ティ

スで

す。

表2

.強

度行

動障

害に

共通

して

有効

であ

ると

考え

られ

る支

援方

法(有

効度

の高

い順

から

構造

化を

図る

こと

で本

人に

了解

しや

すい

環境

整備

話し

こと

ばに

依存

しな

い視

覚的

なコ

ミュ

ニケ

ーシ

ョン

方法

の活

薬物

療法

を代

表と

しる

医療

との

連携

キー

パー

ソン

を中

心に

信頼

を回

復で

きる

対人

環境

静穏

環境

を整

え知

覚過

敏へ

の予

生活

のリ

ズム

を整

え生

理的

な快

適さ

を生

み出

す等

をあ

げて

いる

自立

して

でき

る活

動を

見つ

け成

功経

験を

積む

十分

な時

間を

かけ

て対

応す

この

ベス

ト・プ

ラク

ティ

スに

、最

も大

きな

影響

を与

えた

ひと

つが

、米

国ノ

ース

カロ

ライ

ナ州

にお

いて

全州

規模

で実

施さ

れて

いた

自閉

症の

包括

的な

支援

プロ

グラ

ムで

ある

、T

EA

CC

Hプ

ログ

ラム

の日

本に

おけ

る普

及で

す。

前項

で記

した

通り

、19

70年

代か

ら80

年代

にか

けて

、日

本に

おい

て自

閉症

に関

する

様々

な療

育プ

ログ

ラム

が開

発(あ

るい

は欧

米か

らの

輸入

)さ

れ、

それ

ぞれ

の成

果の

確認

と統

合・整

理が

試み

られ

てき

まし

た。

TE

AC

CH

プロ

ラム

では

初期

段階

から

、「自

閉症

とは

、人

間の

コミ

ュニ

ケー

ション

をは

じめ

、認

知的

、社

会的

、そ

して

行動

上の

機能

に大

きな

混乱

や影

響を

及ぼ

す複

合的

な障

害で

あり

、こ

の重

症性

と複

合性

に対

応す

るた

めの

療育

は、

従来

の各

治療

法を

単純

に組

み合

わせ

るだ

けの

アプ

ロー

チで

はま

った

く不

十分

であ

る」と

考え

てい

まし

た。

行動

障害

児(者

研究

会に

おい

ても

、当

初か

ら、

強度

行動

障害

に対

して

「総合

的・全

体的

に対

応し

うる

もの

でな

けれ

ばな

らな

い」と

明記

して

おり

、T

EA

CC

Hプ

ログ

ラム

の影

響を

うけ

るの

は必

然の

流れ

であ

った

と考

えら

れま

す。

ちな

みに

、19

90年

前半

、T

EA

CC

Hプ

ログ

ラム

を支

える

哲学

と理

論は

次の

7つ

にま

とめ

られ

てい

ます

14) 。

自閉

症の

障害

の本

質は

中枢

神経

系を

含む

器質

的な

問題

であ

り、

それ

が周

囲の

世界

や状

況の

見通

しに

混乱

や影

響を

及ぼ

して

いる

療育

は両

親と

専門

家が

密接

な協

力関

係を

維持

しな

がら

実施

する

療育

者は

スペ

シャ

リス

トで

はな

く、

それ

を超

えて

ジェ

ネラ

リス

トで

なけ

れば

なら

ない

療育

プロ

グラ

ムは

包括

的に

調整

され

なけ

れば

なら

ない

全生

涯に

わた

って

支援

し続

ける

療育

は必

ず個

別的

な理

念の

もと

に実

施す

治療

や教

育は

構造

化の

方法

を応

用す

るこ

とが

効果

的で

ある

Page 32: ☆4-1 実践研修テキストPDF...報 】 1. の ぞ む さ ん の 基 本 情 報 ( 情 報 シ ー ト P 1-P 8 ) 2. の ぞ む さ ん の 外 出 に つ い て ( 情

また

、日

本の

強度

行動

障害

者支

援の

ベス

ト・プ

ラク

ティ

スは

、入

所施

設を

中心

とし

たも

ので

あっ

たが

、T

EA

CC

Hプ

ログ

ラム

は家

庭や

グル

ープ

ホー

ムを

基盤

にし

た地

域社

会を

日常

生活

して

いる

点に

大き

な違

いが

あり

まし

た。

(3

)入所

施設

から

地域

生活

支援

に向

けて

制度

とし

ての

強度

行動

障害

特別

処遇

事業

から

10年

、岡

山県

の旭

川荘

にお

ける

ベス

ト・プ

ラク

ティ

スに

よる

成果

を中

島は

次の

ように

まと

めて

いま

す15

) 。

最重

度の

知的

障害

と自

閉症

を併

せ持

つ強

度行

動障

害に

対す

る処

遇事

業に

おい

て多

くの

対象

者は

行動

問題

が改

善さ

れ施

設内

で安

定し

た生

活を

送っ

てい

事業

にお

いて

児童

相談

所・厚

生相

談所

・福

祉事

務所

など

の行

政関

係者

を交

えた

定期

的な

連絡

調整

会議

を開

催す

るこ

とで

圏域

の強

度行

動障

害対

策の

重要

性の

認識

が深

まっ

圏域

の関

係機

関で

任意

の事

例検

討会

を開

催す

る中

で、

自閉

症成

人の

暮ら

しの

QO

Lを

検討

し、

施設

の役

割や

専門

性を

問い

直す

意識

改革

が行

われ

た。

一方

、処

遇事

業で

行動

が改

善さ

れた

にし

ても

、在

宅生

活を

可能

にす

るよ

うな

地域

資源

の絶

対的

不足

を課

題と

して

あげ

てい

ます

。そ

の理

由と

して

、「3

年の

特別

処遇

の環

境下

では

かろ

うじ

て行

動問

題は

改善

した

とし

ても

、良

状態

の維

持の

ため

には

それ

以後

も特

別処

遇と

同程

度に

構造

化さ

れた

特別

支援

を必

要と

する

こと

、さ

らに

知的

最重

度で

自立

度が

低け

れば

介護

にも

マン

パワ

ーを

必要

とす

る実

態が

ある

」と

記し

てい

ます

ここ

で、

在宅

生活

を支

えて

いく

施策

の歴

史を

簡単

に振

り返

りま

す(図

2参

照)。

1970

年台

後半

より

、在

宅重

度心

身障

害児

(者)緊

急保

護事

業が

スタ

ートし

まし

た。

これ

は、

介護

者の

傷病

、出

産、

冠婚

葬祭

等に

より

、一

時的

に施

設入

所を

可能

とす

る事

業の

こと

です

。こ

の緊

急保

護の

対象

者が

、「介

護疲

の休

養」等

の私

的理

由に

おい

ても

利用

がで

きる

ように

なっ

たの

は、

1989

年か

らで

す。

ちょ

うど

その

頃、

レス

パイ

トサ

ービ

スの

理念

が欧

米よ

り紹

介さ

れま

した

。レ

スパ

イトと

は「障

害の

ある

人の

ケア

を家

族か

ら一

時的

に代

行す

るこ

とに

よっ

て障

害の

ある

本人

と家

族に

もうひ

とつ

の時

間と

機会

を提

供す

る家

族支

援サ

ービ

スの

一形

態」の

こと

です

。当

時、

学校

が完

全週

5日

制に

段階

的に

移行

する

時期

でも

あり

、こ

のレ

スパ

イトサ

ービ

スの

理念

は、

障害

児者

の家

や地

域福

祉関

係者

に瞬

く間

に広

まり

まし

た。

緊急

一時

保護

とい

う名

称よ

り、

ショー

トス

テイ

(短

期入

所)と

いう

呼び

が広

く使

われ

るよ

うに

なっ

てき

たの

もこ

の頃

です

16) 。

一方

、身

体障

害者

への

ガイ

ドヘ

ルパ

ー制

度が

、知

的障

害者

に拡

大し

たの

が19

98年

です

。ガ

イド

ヘル

パー

は、

障害

のあ

る人

の外

出を

支援

する

こと

で、

積極

的に

社会

参加

の促

進を

目指

す制

度で

す。

行動

障害

のあ

る人

とっ

ては

、ガ

イド

ヘル

パー

と外

出す

るこ

とで

、そ

の間

、家

族の

休息

や家

事等

を保

障す

る機

能が

あり

まし

た。

つま

り、

レス

パイ

トで

す。

この

制度

は、

移動

介護

、そ

して

移動

支援

と名

称を

変え

、20

06年

以降

は市

町村

地域

支援

事業

のひ

とつ

とし

て全

国で

展開

され

てい

ます

。そ

して

、強

度行

動障

害の

ある

人に

特化

した

、よ

り専

門的

なス

キル

を持

った

イド

ヘル

パー

が外

出等

のサ

ービ

スを

提供

する

事業

とし

て、

行動

援護

が20

05年

に登

場し

まし

た。

現在

、強

度行

動障

害に

特化

した

在宅

サー

ビス

施策

は、

行動

援護

以外

に、

短期

入所

(シ

ョー

トス

テイ

)と共

同生

活介

護(ケ

アホ

ーム

)に

おけ

る重

度障

害者

支援

加算

であ

りま

す。

2006

年に

障害

者自

立支

援法

が施

行さ

れて

から

、十

分と

は言

えな

いま

も、

強度

行動

障害

のあ

る人

を地

域で

支え

る仕

組み

が少

しず

つ整

備さ

れて

きて

おり

、安

定し

た地

域生

活へ

向け

ての

実践

が報

告さ

れる

ように

なっ

てき

まし

た17

) 18

) 。

(4

)障害

者虐

待と

行動

障害

に対

する

適切

な支

2012

年10

月よ

り障

害者

虐待

防止

法が

施行

され

てい

ます

。過

去、

施設

等に

おい

て、

行動

障害

が著

しい

知的

害者

の虐

待事

件が

起き

てお

り、

これ

らが

法整

備の

背景

にな

って

いる

と言

われ

てい

ます

。虐

待防

止と

いっ

た視

点か

ら、

強度

行動

障害

への

支援

の重

要性

が強

調さ

れる

理由

は、

いく

つか

の資

料か

ら明

らか

にな

って

いま

す。

厚生

労働

省で

は、

平成

25年

度障

害者

虐待

防止

・権

利擁

護指

導者

養成

研修

を開

催し

てお

り、

その

研修

プロ

ラム

の中

に「強

度行

動障

害の

ある

人へ

の身

体拘

束・行

動制

限の

防止

」が加

わっ

てい

ます

。ま

た、

法施

行後

最初

半年

間の

障害

者虐

待の

実態

調査

結果

から

は、

養護

者虐

待認

定件

数の

うち

、強

い行

動障

害の

人は

、9.

2%(

122

人)、

行動

障害

のあ

る人

は15

.7%

(209

人)、

施設

従事

者等

虐待

のう

ち、

強い

行動

障害

の人

は6.

8%(

12人

)、

動障

害の

ある

人は

11.9

%(

21人

)存在

して

いま

した

19) 。

さら

に、

法施

行後

2ヶ

月目

に、

知的

障害

児施

設に

おい

強度

行動

障害

のあ

る入

所者

が支

援員

の暴

行に

より

死亡

する

事件

が発

生し

まし

た。

この

問題

の検

証委

員会

の中

報告

にお

いて

も下

記の

通り

、強

度行

動障

害の

ある

人が

虐待

を受

ける

リス

クを

指摘

して

いま

す20

) 。

虐待

(暴行

)の原

因の

一つ

には

、個

人の

問題

とし

て、

支援

スキ

ルが

不十

分で

あり

、ま

た、

虐待

防止

につ

いて

の基

礎的

知識

がな

い、

と言

うこ

とが

挙げ

られ

る。

この

ため

、支

援に

行き

詰ま

り、

行動

障害

抑え

るた

めに

暴行

に至

った

面が

ある

こと

は否

定で

きな

い。

支援

に行

き詰

まり

かけ

てい

た段

階で

、始

めは

緊急

避難

的な

過剰

防衛

とし

ての

力を

行使

して

いた

考え

られ

るが

、だ

んだ

んと

その

方が

通常

の支

援よ

り楽

だと

思い

、通

常の

適切

な支

援の

実施

に努

ずに

、安

易に

暴行

を行

うこ

とを

繰り

返し

てい

た。

自ら

外部

に暴

行を

受け

たこ

とを

訴え

る能

力が

ある

と判

断で

きる

利用

者に

対し

ては

暴行

を行

わず

通常

の支

援を

選択

して

おり

、暴

行の

対象

とな

った

のは

、自

らの

声を

外部

に伝

える

こと

ので

きな

い利

用者

であ

った

(5

)こ

こま

での

整理

強度

行動

障害

に関

する

研究

がス

ター

トし

てか

ら25

年が

経過

しま

した

。そ

の間

、強

度行

動障

害を

想定

した

事業

もい

くつ

か誕

生し

てお

り、

支援

の基

本的

な枠

組み

、ベ

スト・プ

ラク

ティ

スも

10年

程ま

えか

らほ

ぼ固

まっ

てい

ます

。し

かし

、全

国の

多く

の障

害福

祉関

係機

関で

は、

この

よう

なベ

スト・プ

ラク

ティ

スを

実施

する

こと

が容

易で

はな

い現

実が

あり

ます

。そ

して

、強

度行

動障

害の

ある

人を

対象

に、

不幸

な虐

待・暴

行が

無く

なり

ませ

ん。

この

よう

な現

状を

踏ま

え、

厚生

労働

省で

は、

施設

入所

支援

、日

中活

動支

援、

在宅

サー

ビス

とい

った

あら

ゆる

害福

祉サ

ービ

スに

おけ

る、

強度

行動

障害

者に

対応

する

専門

的な

人材

の育

成を

急務

の課

題と

考え

てい

ます

。そ

て、

2013

年度

より

強度

行動

障害

への

対応

を中

心と

した

研修

体系

の整

備に

着手

する

こと

にな

りま

した

Page 33: ☆4-1 実践研修テキストPDF...報 】 1. の ぞ む さ ん の 基 本 情 報 ( 情 報 シ ー ト P 1-P 8 ) 2. の ぞ む さ ん の 外 出 に つ い て ( 情

行動

障害

をめ

ぐる

これ

から

の課

(1

)判定

基準

の変

更と

対象

者の

拡大

研究

から

具体

的な

福祉

施策

に移

行す

る際

、大

きな

課題

にな

るの

は、

その

対象

者を

明確

に説

明(区

分け

)する

根拠

です

。強

度行

動障

害に

関し

ては

、事

業や

年代

によ

り、

対象

者を

判定

する

基準

が異

なっ

てい

ます

。図

3は

、事

業と

年代

によ

る、

強度

行動

障害

の判

定基

準の

変化

をま

とめ

たも

ので

す。

2003

年の

支援

費制

度、

2006

年の

障害

自立

支援

法、

そし

て20

13年

に障

害者

総合

支援

法と

、最

近は

短期

間に

障害

福祉

サー

ビス

の体

系が

大き

く変

化し

いま

す。

その

流れ

の中

、強

度行

動障

害の

判定

基準

も比

較的

短期

間の

間に

変化

して

いま

す。

国に

おけ

る最

初の

事業

であ

る、

1993

年の

強度

行動

障害

特別

処遇

事業

は、

この

利用

者を

判定

する

ため

に「強

度行

動障

害判

定基

準表

」とい

う11

項目

で各

項目

3つの

選択

肢か

らな

る評

価尺

度を

作成

しま

した

。こ

の判

定基

は、

2012

年の

障害

者自

立支

援法

の改

正時

まで

、入

所施

設や

短期

入所

・共同

生活

介護

の加

算と

して

活用

され

てい

ます

。た

だし

、得

点の

カッ

トオ

フ値

は、

当初

の20

点以

上か

ら、

2012

年の

段階

で15

点以

上に

引き

下げ

られ

まし

た。

もう

ひと

つの

判定

基準

は、

2005

年か

らス

ター

トし

た行

動援

護の

ため

に採

用さ

れた

もの

です

(正確

には

、新

たな

判定

基準

は20

06年

より

採用

)。

これ

は、

自立

支援

給付

の仕

組み

で採

用さ

れた

106項

目の

障害

程度

区分

の中

から

「行

動関

連項

目」を

11項

目抜

き出

し、

独自

に得

点化

した

もの

です

。こ

ちら

のカ

ットオ

フ値

は、

行動

援護

のス

ター

ト段

階で

10点

以上

と定

めら

れま

した

が、

2008

年よ

り8

点以

上に

引き

下げ

られ

てい

ます

。ま

た、

2012

年よ

り重

度障

害者

援費

加算

にお

いて

も、

同様

の行

動関

連項

目8

点以

上が

カッ

トオ

フ値

とし

て採

用さ

れま

した

。な

お、

強度

行動

障害

判定

基準

表と

行動

関連

項目

のど

ちら

の判

定基

準も

、問

診や

観察

で、

1件15

分以

内で

記述

可能

なチ

ェッ

クリス

トで

あり

、そ

の得

点化

も容

易で

す。

そして、

2014

年度より「障害者支援区分」が新たに設けられました。この障害者支援区分の中の行

動関連項目

11項目と医師の意見書によるてんかん発作の頻度から、行動障害の重篤さを判定するように

なりました。新しい「強度行動障害判定基準表」です。この基準表の合計点が

10点以上の場合、著しい

行動障害ありと判断され、障害福祉サービスにおいて手厚い支援が提供される仕組みになりました。具

体的には、行動援護が利用でき、施設入所支援や短期入所、共同生活介護における重度障害者支援加算

の対象になります。

判定

基準

とカ

ットオ

フ値

が対

象者

数に

どの

よう

な影

響を

与え

るか

は、

いく

つか

の調

査研

究が

あり

ます

。代

表的

なも

のと

して

、鳥

取県

にお

ける

障害

者支

援施

設、

障害

福祉

サー

ビス

事業

所、

特別

支援

学校

を対

象と

した

大規

模な

調査

結果

を表

2に

紹介

しま

す21

) 。こ

の調

査か

らは

、強

度行

動障

害判

定基

準表

で20

点以

上の

人は

、障

害福

祉サ

ビス

等を

受け

てい

る障

害者

のう

ち0.

9%(2

6人)程

度の

発生

率で

あり

、一

方、

行動

関連

項目

で8

点以

上の

人は

1.9%

(52

人)に

上昇

しま

す。

なお

、他

の調

査よ

り発

生率

が少

ない

理由

とし

ては

、障

害福

祉サ

ービ

スを

利用

して

いる

身体

障害

者や

精神

障害

者が

含ま

れて

いる

ため

です

(身

体障

害や

精神

障害

を中

心に

サー

ビス

提供

して

いる

事業

所に

は強

度行

動障

害に

相当

する

人は

存在

しな

かっ

た)。

表2

.強

度行

動障

害の

判定

基準

とカ

ット

オフ

値に

よる

対象

者数

の変

化(N

=2,8

09)

動関

連項

合計

15点

以上

8~

14点

強度

行動

障害

判定

基準

20点

以上

12 (0.4

%)

14 (0.5

%)

26 (0.9

%)

10~

19点

3 (0.1

%)

23 (0.8

%)

26 (0.9

%)

合計

15 (0.5

%)

37 (1.3

%)

52 (1.9

%)

ここ

では

、強

度行

動障

害の

判定

方法

の詳

細や

その

基準

の妥

当性

につ

いて

は触

れま

せん

。し

かし

、強

度行

障害

者の

施策

がス

ター

トす

ると

、そ

の対

象者

の基

準は

緩和

され

、拡

大し

てき

たの

は事

実で

す。

厚生

労働

省が

公表

して

いる

、サ

ービ

ス利

用状

況な

らび

に加

算対

象者

数に

おい

ても

、こ

の拡

大傾

向は

明ら

かに

なっ

てい

ます

。施

設入

所支

援の

重度

障害

者支

援加

算(Ⅱ

)は

、行

動関

連項

目に

変更

する

前は

全国

で2,

432人

(20

11年

4月)に

過ぎ

なか

った

が、

新基

準で

14,9

01人

(201

4年4月

)に増

えて

いま

す。

また

、行

動援

護に

つい

ても

、行

動関

連項

目10

点の

2007

年11

月で

3,20

4人で

あっ

たが

、8点

に引

き下

げら

れる

と7,

013人

に増

えて

いま

す(2

014年

4月)。

振り

返る

と、

研究

から

施策

が生

まれ

、実

際の

運用

段階

にな

ると

、様

々な

理由

から

、対

象者

の基

準が

緩和

され

きま

した

。強

度行

動障

害者

とし

て支

援を

受け

てい

る数

は確

実に

増え

てい

ます

。正

確な

数字

を現

段階

では

推計

でき

ない

が、

施設

入所

だけ

を取

り上

げて

も拡

大傾

向は

明ら

かで

す。

日本

知的

障害

者福

祉協

会は

、平

成15

年・

16年

階で

施設

利用

者の

3%

、約

4,90

0人が

強度

行動

障害

に相

当す

ると

見積

もっ

てい

ます

22) 。

しか

し、

現時

点で

は、

施設

入所

だけ

でそ

の3

倍以

上の

約1.

5万人

が強

度行

動障

害と

して

加算

を受

けて

いま

す。

2014

年度

から

スタ

ートし

た、

「強度行動障害判定基準表

」に

おい

ても

、こ

の拡

大傾

向は

継続

する

もの

と考

えら

れま

す。

慎重

に推

移を

見守

る必

要が

あり

ます

強度

行動

障害

の対

象者

が増

える

こと

が問

題で

はあ

りま

せん

。問

題は

、継

続的

な実

践研

究に

より

まと

めら

れた

スト・プ

ラク

ティ

スが

、拡

大し

た対

象者

に有

効で

ある

かど

うか

を検

証す

るこ

とで

す。

強度

行動

障害

に関

する

研究

がス

ター

トし

た当

初、

ある

いは

入所

施設

を中

心と

した

ベス

ト・プ

ラク

ティ

スが

固ま

った

時点

から

、強

度行

動障

害と

判定

れる

人は

何倍

にも

拡大

して

きて

いま

す。

初期

の実

践的

な研

究の

積み

重ね

で生

まれ

たベ

スト・プ

ラク

ティ

スは

、支

Page 34: ☆4-1 実践研修テキストPDF...報 】 1. の ぞ む さ ん の 基 本 情 報 ( 情 報 シ ー ト P 1-P 8 ) 2. の ぞ む さ ん の 外 出 に つ い て ( 情

を行

う側

の高

い専

門性

と絶

え間

ない

努力

が求

めら

れる

もの

です

。一

方、

新し

い強

度行

動障

害の

中に

は、

そこ

まで

徹底

した

支援

がな

くて

も、

一定

の地

域生

活が

可能

な人

も多

いと

推測

され

ます

。せ

っか

く作

り上

げ、

高い

専門

性と

え間

のな

い努

力が

求め

られ

るベ

スト・プ

ラク

ティ

スが

全国

に広

がら

ず、

安易

な支

援に

終始

して

しま

うと

、結

局、

強度

行動

障害

特別

処遇

事業

にお

ける

対象

者相

当の

人を

、施

設や

地域

で支

える

こと

がで

きな

くな

って

しま

いま

す。

強度

行動

障害

者の

事業

所に

おけ

る受

け入

れ拒

否は

、今

もっ

て珍

しい

こと

では

あり

ませ

ん。

(2

)施設

等に

おけ

る支

援の

理想

と現

対象

者の

拡大

以外

にも

、ベ

スト・プ

ラク

ティ

スに

影響

を与

える

社会

的要

因は

存在

しま

す。

ひと

つは

、障

害者

権利

擁護

と差

別禁

止の

浸透

です

決し

てネ

ガテ

ィブ

な変

化で

はあ

りま

せん

。と

ころ

が、

強度

行動

障害

の支

援で

は、

従来

から

、居

室の

施錠

、立

入り

空間

の制

限、

ミトン

等に

よる

自傷

行動

の予

防と

いっ

た、

いわ

ゆる

身体

拘束

や行

動制

限に

相当

する

対応

を多

の現

場で

行っ

てき

てい

ます

。代

替的

な対

処方

法が

考え

られ

ず、

第三

者の

意見

が反

映さ

れる

委員

会等

にお

ける

認を

経て

いた

にし

ても

、長

期間

この

よう

な身

体拘

束を

継続

して

いる

現状

は、

大き

な権

利侵

害で

す。

理想

は、

間違

いな

く身

体拘

束ゼ

ロで

す。

しか

し、

先駆

的な

実践

研究

にお

いて

も、

医療

と密

接に

連携

した

集中

的な

支援

プロ

グラ

ムを

実施

して

も、

難治

性行

動障

害と

想定

され

る者

が一

定数

存在

する

こと

が指

摘さ

れて

いま

す15

) 。

権利

擁護

の最

大限

の尊

重と

福祉

的な

支援

の可

能性

とそ

の限

界性

を知

るこ

と、

そし

て何

より

も、

支援

を提

供す

施設

等の

実力

を自

ら冷

静に

判断

する

こと

は、

大切

です

。し

かし

、こ

の判

断は

、あ

まり

にも

難し

い課

題で

す。

その

上、

施設

等の

運営

にお

いて

は、

資金

の管

理と

いっ

た、

経営

的な

セン

スが

求め

られ

ます

。理

想と

現実

との

乖離

に折

り合

えが

付け

られ

ない

施設

等は

、ベ

スト・プ

ラク

ティ

スを

継続

しよ

うと

する

ワー

クモ

チベ

ーシ

ョン

が低

下し

、同

時に

虐待

発生

する

リス

クが

高ま

って

しま

うか

もし

れな

いの

です

(3

)障害

福祉

サー

ビス

とし

ての

新た

な行

動障

害対

行動

障害

の著

しい

人へ

の障

害福

祉サ

ービ

スと

して

、も

うひ

とつ

重要

な課

題が

残っ

てい

ます

。そ

れは

、知

的障

が軽

度な

いし

知的

障害

のな

い人

の行

動障

害に

つい

てで

す。

契機

とな

った

のは

、20

05年

の発

達障

害者

支援

法の

施行

です

。こ

れ以

降、

成人

期の

知的

障害

のな

い「生

活に

きづ

らさ

をも

つ」発

達障

害者

の支

援が

社会

的な

課題

にな

りま

した

23)

24) 。

発達

障害

と診

断さ

れた

、あ

るい

はそ

の疑

いの

ある

人の

中に

は、

他者

への

危害

や自

傷行

為(例

:自殺

念慮

)等の

行動

障害

を繰

り返

し行

う人

が含

まれ

ます

また

、障

害者

自立

支援

法以

降、

障害

福祉

サー

ビス

は3

障害

を一

元化

した

こと

によ

り、

従来

精神

保健

分野

の対

象で

あっ

た精

神障

害者

(例:統

合失

調症

、境

界性

パー

ソナ

リテ

ィ障

害等

)の支

援も

増え

てい

ます

。さ

らに

、20

09年

より

厚生

労働

省で

は「地

域生

活定

着支

援事

業」が

スタ

ートし

まし

た。

罪を

犯し

、矯

正施

設(刑

務所

、少

年刑

務所

、留

所、

少年

院等

)を

退所

した

障害

者の

地域

生活

支援

を、

障害

福祉

サー

ビス

が積

極的

に担

う時

代に

変わ

って

きた

です

のぞ

みの

園で

は2

年間

にわ

たり

、地

域の

相談

支援

事業

所が

、精

神科

病院

入院

した

知的

障害

者に

どの

よう

な相

談を

行っ

てい

るか

を探

索的

に調

査し

てい

ます

25) 。

結果

は、

81事

例の

うち

80%

は、

知的

障害

の程

度が

中度

・軽度

あり

、過

去25

年の

研究

や支

援が

行わ

れて

きた

、い

わゆ

る強

度行

動障

害者

は少

数派

でし

た。

現在

、相

談支

援事

が支

援に

携わ

って

いる

行動

障害

の多

くは

、妄

想幻

覚等

の急

性期

症状

のあ

る人

、暴

行・窃

盗・放

火と

いっ

た反

社会

的行

動を

繰り

返す

人で

ある

こと

が明

らか

にな

りま

した

。こ

のよ

うな

新し

い行

動障

害の

ある

人に

対す

る、

福祉

サー

ビス

のあ

り方

につ

いて

は検

討が

始ま

った

段階

に過

ぎず

、ま

だ十

分な

研究

も行

われ

てい

ませ

ん。

これ

から

検討

され

るべ

き課

題で

す。

[文

献]

1)

行動

障害

児(者

)研

究会

(19

89)

強度

行動

障害

児(者

)の

行動

改善

およ

び処

遇の

あり

方に

関す

る研

究.

財団

法人

キリン

記念

財団

2)

岡崎

英彦

(19

68)

講座

:行動

のあ

る重

症児

(上)(下

).両

親の

集い

,14

4-14

5号

3)

小林

提樹

(19

71)

講座

:いわ

ゆる

「動く

重症

児」の

問題

(上

)(中

)(下

).

両親

の集

い,

178-

180

号.

4)

遠藤

浩(

2014

国立

コロ

ニー

開設

に至

る道

のり

.10

周年

記念

紀要

(のぞ

みの

園).

5)

藤原

豪(

1973

精神

病院

にお

ける

精神

薄弱

問題

につ

いて

.臨

床精

神医

学,

2(12

),79

-84.

6)

中根

晃(

1978

自閉

症研

究.

金剛

出版

7)

淀野

寿夫

(19

82)

自閉

症児

者療

育の

縦断

的研

究.

平成

57年

度厚

生省

心身

障害

研究

班報

告書

(班

長 佐

木正

美)「自

閉症

の本

態、

原因

と治

療法

に関

する

研究

」.

163-

182.

8)

行動

障害

児(者

)研

究会

(19

90)

強度

行動

障害

児(者

)の

行動

改善

およ

び処

遇の

あり

方に

関す

る研

究(Ⅱ

).

財団

法人

キリン

記念

財団

10)

佐々

木正

美(

1982

平成

57年

度厚

生省

心身

障害

研究

班報

告書

(班

長 佐

々木

正美

)「自

閉症

の本

態、

因と

治療

法に

関す

る研

究」.

11)

高橋

潔(

2014

) 強

度行

動障

害へ

の取

り組

みの

歴史

と現

状.

かが

やき

2014

年10

月号

,43

-45.

12)

大塚

晃(

2011

強度

行動

障害

者の

サー

ビス

体系

につ

いて

.平

成22

年度

厚生

労働

科学

研究

費補

助金

障害

者対

策総

合研

究事

業報

告書

(主

任研

究者

上雅

彦)「強

度行

動障

害の

評価

尺度

と支

援手

続き

に関

する

究」.

5-14

13)

飯田

雅子

(200

4)

強度

行動

障害

を中

核と

する

支援

困難

な人

たち

への

支援

につ

いて

.さ

ぽー

と11

月号

,45

-

51.

14)

朝日

新聞

厚生

文化

事業

団(

1994

ノー

スカ

ロラ

イナ

州に

みる

自閉

症治

療教

育:T

EA

CC

Hプ

ログ

ラム

(朝

福祉

ガイ

ドビ

デオ

解説

集).

15)

中島

洋子

(20

03)

行動

障害

をも

つ自

閉症

の地

域生

活支

援:医

療・療

育施

設の

立場

から

.さ

ぽー

と8

月号

26-3

0.

16)

独立

行政

法人

国立

重度

知的

障害

者総

合施

設の

ぞみ

の園

(20

13)

地域

にお

ける

短期

入所

(シ

ョー

トス

テイ

の利

用体

制の

構築

に関

する

調査

につ

いて

.平

成24

年度

厚生

労働

省障

害者

総合

福祉

推進

事業

報告

書.

17)

荒井

龍一

(20

13)

障害

の重

い人

のグ

ルー

プホ

ーム

での

生活

:個

別に

支援

を受

けな

がら

暮ら

して

いく

こと

.手

をつ

なぐ

,69

4.16

-17.

18)

村岡

美幸

他(2

013)

度の

知的

障害

児者

が在

宅を

快適

に過

ごす

ため

に必

要な

サー

ビス

につ

いてⅢ

:家

庭、

Page 35: ☆4-1 実践研修テキストPDF...報 】 1. の ぞ む さ ん の 基 本 情 報 ( 情 報 シ ー ト P 1-P 8 ) 2. の ぞ む さ ん の 外 出 に つ い て ( 情

学校

、福

祉サ

ービ

スの

実際

を通

して

.紀

要第

6号

(のぞ

みの

園),

67-7

9.

19)

厚生

労働

省(

2014

平成

24年

度都

道府

県・市

区町

村に

おけ

る障

害者

虐待

事例

への

対応

状況

等に

関す

調査

結果

報告

書.

20)

千葉

県社

会福

祉審

議会

・千

葉県

社会

福祉

事業

団(

2014

千葉

県社

会福

祉事

業団

によ

る千

葉県

袖ヶ

浦福

祉セ

ンタ

ーに

おけ

る虐

待事

件問

題、

同事

業団

のあ

り方

及び

同セ

ンタ

ーの

あり

方に

つい

て(中

間報

告).

21)

信原

和典

(20

11)

鳥取

県に

おけ

る強

度行

動障

害を

有す

る方

への

現状

等に

関わ

る調

査:「施

設・事

業所

にお

ける

強度

行動

障害

のあ

る方

への

、現

状等

に係

る調

査」.

22)

財団

法人

日本

知的

障害

者福

祉協

会(

2005

平成

15・1

6年

度全

国知

的障

害児

・者施

設実

態調

査報

告書

23)

近藤

直司

(201

1)

青年

期・成

人期

の発

達障

害者

への

ネッ

トワ

ーク

支援

に関

する

ガイ

ドラ

イン

.平

成23

年厚

労働

科学

研究

障害

者対

策総

合研

究事

業(主

任研

究者

藤直

司)「青

年期

・成

人期

の発

達障

害に

対す

る支

援の

現状

把握

と効

果的

なネ

ットワ

ーク

支援

につ

いて

のガ

イド

ライ

ン作

成に

関す

る研

究」.

24)

本田

秀夫

(20

13)

子ど

もか

ら大

人へ

の発

達精

神医

学:自

閉症

スペ

クトラ

ム・A

DH

D・知

的障

害の

基礎

と実

践.

金剛

出版

25)

志賀

利一

他(

2013

精神

科病

院に

入院

して

いる

知的

障害

者の

実態

と医

療と

福祉

の連

携に

関す

る研

究Ⅲ

紀要

第6

号(の

ぞみ

の園

),

80-8

8.