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1 7.Outpatient Stroke Rehabilitation Rpbert Trasell MD,Norine Foley MSc,Sanjit K.Bhogal MSc,Mark Speechley PhD Key Points 早期退院支援は,費用削減につながるかどうかは不確かであるが,入院患者のリハビリテーション と比較して軽度の脳卒中患者にとっても同様の結果が得られる. 病院で行う外来患者のリハビリテーションは短期間での機能改善をもたらす. 追加的なホームプログラムは機能改善をもたらさない. 在宅リハビリと病院でのリハビリの効果は等しい.

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Page 1: 7.Outpatient Stroke Rehabilitationa.matsuo/pdf/a07.pdf7.1 Hospital versus Community-Based Rehabilitation 患者主導のケア対治療者主導のケアに対する増加した関心は,脳卒中患者が病院でのリハビリ(入院と外来)

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7.Outpatient Stroke Rehabilitation

Rpbert Trasell MD,Norine Foley MSc,Sanjit K.Bhogal MSc,Mark Speechley PhD

Key Points

早期退院支援は,費用削減につながるかどうかは不確かであるが,入院患者のリハビリテーション

と比較して軽度の脳卒中患者にとっても同様の結果が得られる.

病院で行う外来患者のリハビリテーションは短期間での機能改善をもたらす.

追加的なホームプログラムは機能改善をもたらさない.

在宅リハビリと病院でのリハビリの効果は等しい.

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Table of Contents

Key Points ...........................................................................................................................1

7. Outpatient Stroke Rehabilitation....................................................................................3

7.1 Hospital versus Community-Based Rehabilitation................................................................3

7.2 Early Supported Discharge.......................................................................................................4

7.2.1 Potential For Cost Savings.................................................................…………………………….……...15

7.2.2 Effective Elements of an ESD Program.................................................................................................17

7.3 Outpatient Therapy..................................................................................................................17

7.3.1 Hospital-Based Outpatient Stroke Rehabilitation Versus Standard Care……………..…….................19

7.3.2 Home Therapy vs. Routine Care……………………………....................................................................22

7.3.3 Home-Based Therapy vs. Hospital-Based Outpatient Therapy………………………….........................31

7.4 Summary...................................................................................................................................36

References............................................................................................... ...........................37

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7.Outpatient Stroke Rehabilitation

高齢化と脳卒中患者の増加に伴って,入院リハビリの代わりとなり少ない費用で行える外来での脳卒中リハ

ビリテーションへの関心が高まっている.本章では,外来でのリハビリテーションの 3 つの形態の効果を評価

する.3 つの形態を以下のように定義する.

Hospital-Based:病院内で行われる外来患者への脳卒中リハビリテーション(クリニックまたは外来病院)

Community-Based:自宅やコミュニティ・センターで行われる外来患者への脳卒中リハビリテーション.

Early Support Discharge:患者が本来なら脳卒中リハビリテーションユニットに入院している期間に,自宅

や地域で受ける学際的なリハビリテーション.

7.1 Hospital versus Community-Based Rehabilitation

患者主導のケア対治療者主導のケアに対する増加した関心は,脳卒中患者が病院でのリハビリ(入院と外来)

または地域でのリハビリ(たいていは在宅リハビリ)のどちらを受けるべきかについての議論を起こしている.

Young(1994)と Lincoln(1994)が最初にイギリスでこの議論を始めた.Young(1994)は,地域でのリハビリは

脳卒中患者を最大限の潜在能力まで到達させると主張し,「病院でのケアが地域サービスにとって代わるべき

ではないと思うが,能力を達成させるためには病院の限界を認識させたり,患者や家族に地域でのリハビリの

必要性を伝えたりといったより適切なバランスが必要である.」としている.Anderson は,脳卒中のリハビリ

は最初の発症から少なくても 3~5 年程度の長期間の介入が必要であると提案している.彼らは,地域でのリ

ハビリは脳卒中によって生じるハンディキャップを扱ったり,心理社会的問題に対処するための多くの機会を

提供すると主張している.地域でのアプローチはまた,より患者に関係する方法に関しての問題を対処するた

めにより効果的で効率的であると主張されている.

対照的に,Lincoln(1994)は,病院は統合されたケアを受けることができることから必要とされる治療を提供

するための最良の場所であり,提供されたサービスは脳卒中に特化されていないという理由から統合されたリ

ハビリテーションに極めて重要なのは,地域の環境において“実践する難しさ”であると主張している.脳卒

中に特化したリハビリユニットの利点は,5 章ですでに議論されている.脳卒中リハビリに特化した施設は,

また研究する事と同様に新しい脳卒中リハビリの臨床家の教育と指導をより簡単にさせる.

たくさんの筆者は,自宅でのリハビリの有利さを示している(Gladman et al.1993,Rudd et al.1997,Gilbertson et

al.2000).動物研究の結果から,活動が増加し,社会的相互関係の豊富であると定義づけられる豊かな環境は,

よりよいアウトカムに貢献するということはよく知られている(Johansson & Ohlsson,1996).しかしながら,

リハビリテーションユニットで脳卒中患者が費やす時間のほとんどは,活動していない時間と,1 人で過ごす

時間の両方である.驚くべき事に,治療に費やされている時間はほとんど僅かである(Lincoln et al.1996).

それゆえに,他の疾患で入院している患者のリハビリに比べて脳卒中患者のリハビリユニットでは理論的には

より豊富な環境が提供されるべきであるが,自宅環境の方が実はより刺激的であるかもしれない.脳卒中リハ

ビリユニットで学習した能力は自宅での動作に転移しないかもしれない(Forester&Young 1992,Corr&Bayer

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1995,Indredavik et al.2000).

Wade(2003)は,最近地域でのリハビリテーションの定義が一般的に受け入れられていないと主張している.

その結果,地域でのリハビリテーションは,病院以外で提供される他の治療サービスと混同して表現されうる.

ケアの標準化が欠如していることが懸念されており,魅力的な経済的側面から病院外でのリハビリテーション

サービスを受けたいという欲求の増加が質の低下を招き,より効率的でないサービスをもたらす.Geddes と

Chamberlain(2001)らによって行われた地域でのリハビリテーションサービスに関しての調査は,介入が行わ

れるタイミングと強度に大きな多様性があることを明らかにした.彼らは以下のような地域での介入の定義付

けを使用する事で分類化されたシステムが整合性を生み出すと提案した.:1)早期退院支援リハビリテーション

は,入院期間の短縮と病院でのリハビリの代わりを探すことを目的としている.2)退院後のリハビリテーショ

ンは,追加的なリハビリテーションを提供するためと,病院から地域への移行を容易にするためである.3)一

般的な治療者によって提供されるリハビリは病院でのリハビリの代わりとなるものとして提供される.4)最近

の地域に基づいたリハビリテーション.

7.2 Early Supported Discharge

早期退院支援のプログラムの起源は,脳卒中後患者は自宅に帰る事を好むことと,入院中の総合的なリハビ

リテーションが最良のアウトカムと関係しないかもしれないという認識から生じた.仮に治療のゴールが自宅

環境で適応できる能力を確立することとすれば,そのような能力を学習するのに適している場所はまさに自宅

環境自体なのではないだろうか?早期退院支援の批判はほとんどの患者が自宅での動作が実行可能にすでに

なっている状態で退院していると主張している.Lincoln(1994)は,体系づけられて高度に専門化した治療の本

質が提供され,これらの重要な特徴が地域では提供されないと主張していることから,脳卒中ユニットでのリ

ハビリは,回復への最良の機会を提供すると主張している.Young(1994)は,脳卒中後の自宅でのリハビリと

して定義づけられる場所があると主張している.この議論は最初に行われてから,たくさんの RCT といくつ

かのメタアナリシスが発表され,それらは自宅でのリハビリが安全で効果的かどうか,どちらが患者にとって

最も有益であるかという問題を解決する事を手助けしている.

3 つの過去のシステマティックレビューまたはメタアナリシスがこの問題を調査している.早期退院支援

(ESD)によって評価される急性期患者の早期退院支援の有効性はまず,2001 年に発表され 2005 年に更新され

ている.このレビューの目的は,ESD が従来の入院患者へのリハビリと同様の効果があるかどうか決定づけ

るためである.ESD 介入は,病院から自宅への移行を加速するためにデザインされた.含まれた研究を表 7.1

に示す.

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研究のうち 6 つは,患者の自宅においてバランスのとれた専門分野をもつチームによって提供された.1 つ

の研究(Ronning&Guldvog 1998)は,中央に調整されていない広範囲のサービスを受けた.

アウトカムの多様さは,3~12 ヶ月のフォローアップのスケジュールの終わりでの ESD と通常のケアとの

比較で評価した.結果を表 7.2 に示す.

ESD プログラムは,最初の病院でのより短い期間に関係する一方で,介護者の幸福感への影響度は知られ

ていない.著者は,「介入のタイプに関係するリスクと利益は明らかにならないままである」と結論付けてお

り,継続中の研究の結果を待つとしている.費用のデータは 2 つの研究でのみ使用され,どちらも ESD プロ

グラムが費用削減につながったと報告している.しかしながら,著者はコスト削減の推奨が作られる前にさら

なるデータが必要であると提案している.

Langhorne ら(2005)は,患者の特性による影響や,死亡と依存度のアウトカムにおけるサービス提供のレベ

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ルの違い(よりバランスのとれたものかより体系化されていないものか)を調査した彼ら独自のコクランレビ

ューから追加的な患者レベルの解析を報告している.出版されていない研究の結果はこの解析に含まれている.

サービスのレベルは以下のように示される.

1. 病院からの退院や退院後の支援を行うバランスのとれた ESD チームと多角的な専門的チームは,自宅での

リハビリを提供する.

2. ESD チームのバランスのとれた退院と迅速な退院後のプランは多角的ケアチームによって組み立てられた

が,リハビリは地域に基づいた機関で提供された.

3. ESD チームのバランスのとれた退院でない群は,バランスの取れていない地域サービスまたは,健康なケ

アボランティア―が提供された.

著者が立てた仮説としては,よりバランスのとれたサービスはアウトカムの改善に関係する.(表 7-3 参照)

フォローアップ終了時点での死亡または自立の患者の年齢層(75 歳以上または 75 歳以下),性別,介助者

の有無,ESD チーム(病院での奉仕活動または地域での奉仕活動)またはコントロール群(脳卒中ユニット

または他の病棟)の割合に違いはなかった.初期に重症度が中等度の脳卒中患者(BI 10-20 点)の乏しいアウ

トカムの割合は減少したが,ESD を受けていない群と比較して重症脳卒中患者(BI 9 点以下)と,多角的な

ESD チームによるケアを受けた患者では減少しなかった.この研究の結果に基づき,よりバランスのとれた

ESD を受けている中等度の脳卒中患者の選ばれた群は,脳卒中ユニットに入院している患者に比べてよりよ

いアウトカムを達成しうるということを示している.Langhorne(2003)は研究において ESD 群の方が優れたア

ウトカムを示した理由は ADL スキルの再学習のためのおそらくもっとも適した場所であろう自宅環境の効果

であろうと提案している.

病院の代わりに自宅で多角的なリハビリテーションを提供する早期退院支援は,病院の脳卒中リハビリユニ

ットと同じような効果を提供するらしいが,この概念は重症な機能障害を持つ脳卒中患者にはほとんど試され

ていない.Anderson(2002)は ESD プログラムは平均 13 日の入院期間を短縮し,入院リハビリと比較して平

均 15%のコスト削減に関係すると報告している.

Canadian Coordinating Office of Health Technology Assessment(CCOHTA)は,通常のケアと比較した ESD

のレビューを行った.このレビューは,1995 年から 2002 年の 7 月までに発表された RCT から作られた.5

つの RCT を意味する 9 つの研究が彼らの選択基準と合致した.(表 7.4)

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5 つの RCT は合計で 940 名の患者で行われた.脳卒中の重症度は中等度であった.6 ヶ月のフォローアッ

プの時点で死者数と施設でのケアはグループ間で類似していた.2 つの研究では,ほとんどの ESD 群の患者

がコントロール群に比べて自立スコア(BI 19 点以上)とみられていたが,平均のバーセルインデックスのス

コアにおける 2 グループ間での有意差はみられなかった.ESD の患者はコントロール群の患者に比べて有意

に在院日数(約 10 日間)が短かった.

Individual Studies 個々の研究

20 の研究が脳卒中後の ESD の効果について評価している.結果を表 7.5 に示す.ESD を受けた患者のアウ

トカムに関しての研究の結果を調べる際は,患者を包含する過程について考える事が重要である.もし,適応

基準がとても制限されていたり,たくさんの可能性のある患者を除外していたら,選択の結果は,結果の一般

化可能性の影響の点で偏りができる.

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Discussion 議論

介入を受ける為に作為化された患者の割合または,全ての急性期脳卒中患者の入院の中から無作為化された

患者の割合を表 7.6 に示す.報告されている割合のばらつき(7~70%)はおそらく,タイミングや ESD であ

ると考えられている広義のカテゴリーの下で提供されている介入の種類の違いによるものである. ESD に加

えて,Askim(2004 年)は病院の急性期において,ケアの改良された要素も提供した.2 群のアウトカムの硬

貨の区別は難しいけれども,研究の結果は他の研究と一致しており,この研究の完全性が示されている.

全てが良い品質とされている 11の RCT は,患者を ESD プログラムまたは自宅での脳卒中リハビリのプロ

グラムへランダム化しており,それらを従来のまたは通常の脳卒中リハビリテーションと比較し,機能的なア

ウトカムを評価した.

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イギリス・スウェーデン・ノルウェー・カナダ・オーストラリアの RCT の結果はかなり厳選されており,

中等度の障害を有する脳卒中患者は多角的なチームによって自宅でうまく管理され,入院患者のケアと比較し

て同様の結果が得られ得ることを示している.不幸なことに,効果的な ESD のプログラムの特徴の必要な要

素は不確かなままである.さらに,このような研究に含まれる脳卒中患者は研究開始の入院の時点で高い自立

度を達成しているということを主張することは重要である.それにもかかわらず,患者は病院でのケアに比べ

てより満足しており,よりやる気を持っている.Von Koch(1998)は,自宅でリハビリを受けている患者は病院

でリハビリを受けている患者に比べ,より高い自発性をもと,ケアへの信頼があるということを発見した.治

療はまた,課題指向性と文脈的アプローチを主張している.しかしながら,患者の機能は高いレベルに達して

いるが,Anderson(2000a)は,介助者の精神的ストレスは早期退院支援群の方が有意に高いことを発見した.

中等度または重度な脳卒中患者において,Anderson ら(2000b)は,ESD は効果は脳卒中の重症度に反比例

するため,費用効率が高くないまたは特になるものではないと提案している.Bautz-Holter(2002)は ESD を受

けた中等度の脳卒中患者と入院での従来のリハビリを受けた中等度の脳卒中患者とで 3ヶ月と6カ月の両方の

時点での Nottingham Extended ADL スコアにおいて有意な違いはみられなかったと報告している.

Kalra(2000)は,脳卒中ユニットケアの有効性を脳卒中チームと早期脳卒中リハビリの自宅間で調査し,中等度

から重度の脳卒中患者において,脳卒中ユニットケアが死亡率を減らすことと組織化されたケアと自立度の必

要性へのより高い効果があった.さらに,自宅へランダム化された患者のリハビリは,さまざまな治療の理由

からランダム化が脳卒中ユニット入院後 2 週間以内に行われたために,153 の患者のうち 3 分の 1 が困難であ

ることがわかった.

ESD プログラムを評価する 2 つの研究は,5年のフォローアップを実施した.(Thorsen.2005,Fjartoft.2011)

これらの研究の両方において,少なくとも評価項目(Katz extended ADLとmRSスコア)の 1つにおいては ESD

に関係する有益な効果があった.もちろん,両郡の患者において介入期間中にどんな追加的なサービスを受け

ているかを知ることは不可能である.

ESD は,健康関連 QOL の改善には関係しないということが 2 つの研究で評価された.

(Donnelly.2004,Ytterberg.2010)1 と 5 年の終わりにおいて,研究ではグループでの SF-36を含む HRQOL と

EuroQOL または Sickness Impact Profile において有意差はみられなかった.

2 つの研究は統合分析として使用可能である.データが使用可能なレビュー研究と 6 またはそれ以上の

PEDro スコアの全てに使用されている,6 ヶ月と 1 年での ADL の自立度に関しての組み合わされたオッズ比

は,1.45 である.(95% CI0.92 から 2.30,p=0.11)(図 7.1 参照)結果は,2 つの治療の条件間での ADL 自立の

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達成している患者の特性に有意な違いがなかったことを示している.

7.2.1 Potential For Cost Saving 費用削減における可能性

上記のレビューを含んだいくつかのRCTはESDが費用削減に関係するかどうかの検証のために研究の中に

経済的要素を含んでいる.Beech(1999)は,ESD群は従来のリハビリ群に比べて費用が 8%少なかったことを

発見したけれども,著者は,早期の地域への退院は「経済的な節約につながり得ない」し,その本来の利益は

限られた病院のベッドの収容可能数を増加させることであると結論付けている.ESD による比較的少しの経

費削減は,地域でのリハビリの増加している費用によって補正されるだろう.地域でのリハビリの費用は,以

下の項目に依存する.(1)地域のリハビリ再組織化された既存のスタッフによる施設によって導入されているか

どうかと,(2 地域での健康と社会的サービスに対しての増加した要求が)既存のスタッフの中で吸収されてい

るかどうかである.

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Mayomの研究のフォローアップ研究である Teng の研究は,3 ヶ月後の自宅ケア群に関連した全ての費用は

通常のケア群よりも少ないことを発見した.(カナダの 7.784$に対して 11.065$,p<0.0001)(図

7.2)Fjaertoft(2005

)は,52 週後の入院日数は有意に減少している(ESUSにおいて 66 日に対して,OSUSにおいて 85 日,p=0.012

)が,これはすべての費用における対応する統計的な有意な減少と関連しなかった(ESUSにおいて 18.937

ユーロに対して,OSUSにおいて 21.824 ユーロ)と報告している.

いくつかのシステマティックレビューは,またこうも結論付けている.Brady(2006)は,費用のデータを含

んだ 8 週間の RCT の結果を含んだ ESD サービスの経済的な評価を発表した.より高い方法の室を持った 6

つの研究からのデータを使用して,ESDは 4~30%の費用削減に関係するが,費用削減は 1つの研究(Teng2003)

においてのみ統計学的有意差に達したことが明らかになった.著者は,サービスには多様性があるため,これ

らの発見を生み出すことは困難であると示している.たとえば,自宅でのリハビリの強度は 4 週間から 4 ヶ月

にかけて変化する.しかし,軽度から中等度の障害を持つ患者にとって,入院リハビリと比較して ESD がよ

り少ない費用でサービスを提供しうると彼らは結論付けた.

Larsen ら(2006)は,他の介入(ほとんどが入院リハビリ)と比較して費用に関する調査を含んだ ESD のシ

ステマティックレビューを行った.5 つの過去に発表された RCT の結果を使用して,11週の自宅での治療の

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平均を含んだ自宅でのリハビリの平均的なコストは,一人あたり米ドルで 1.340$であることが明らかになっ

た.著者は入院リハビリに関係するコストを提供していないが,著者は一人当たり米ドルで 140$かかる入院

日数と老人ホームへの入院日数において平均的費用が削減されたことを報告している.この著者は,ESD は

コスト削減とアウトカムの改善の両方に関係するため,有効な介入であると結論付けている.

Saka(2009)はまた,過去の研究のデータ(Rudd,1997)を使用し,ESD を組み合わせた脳卒中ユニットの費用

効果を調査した.著者は報告している.10 年の終了時点で,脳卒中ユニットのケアと ESD の組み合わせは

ESD なし群に比べてより費用効果があった.増加分の費用効果の比は,イギリスにおける£30,000 の基準の支

払い意欲に沿っていた£17.721 であった.この研究の著者は,通常でない方法で BI のスコアを健康関連 QOL

の評価に変換した.結果は,慎重に解釈されるべきである.

ESD の結論

急性期病院から早期に退院した中等度の障害を持つ脳卒中患者は,多角的なリハビリテーションチームによる

地域におけるリハビリを受けることができ,入院リハビリを受けていた患者と似たような機能的なアウトカム

を達成することは強い根拠(レベル 1a)がある.

通常のケアと比較して ESDの方がより少ない費用になることは矛盾した根拠(レベル 4)である.

2 つの RCT からの部分群解析に基づいて,死亡/自立の比と組織化は,地域に退院した中等度から重症の脳卒

中患者の間でより大きいことは強い根拠(レベル 1a)がある.

7.2.2 Effective Elements of an ESD Program

最近の世論の識者の調査の結果,ESD は最近提案されている.(Fisher,2011)RCT の著者である 10 名を含ん

だ識者は,コクランの ESD のレビューを含んでいる.改訂版 Delphi process は,誰が ESD チームに属するべ

きかと,どんな特徴が含まれるべきかを決定するために使用されている.チームのメンバーが脳卒中に特化し

た知識を持っており,チームが多くの専門分野にわたっており,理学療法士,作業療法士,看護師を含んでい

るということは,強い賛成(たとえば 100%)がある.ESD チームは病院に基づいており,チームのコーディネ

ーターによって編成され,患者はキーパーソンからバランスのとれたケアへと割りつけられることもまた強い

賛成がある.さらに,ESD チームは基本的に週に 1 回話合いをするということも強い賛成がある.世論の賛

成(75%以上)は識者の投票によって 56 の声明の 47 が作られた.

7.3 Outpatient Therapy外来患者の治療

脳卒中の亜急性期の時期(発症後 4-8 週)における外来での治療は,しばしば脳卒中リハビリユニットから退

院後に規定されている.治療の継続は,病院に基づいた日中の病院プログラムまたは自宅でのリハビリかもし

れない.

ESDは、中等度の障害を持つ脳卒中患者において入院リハビリと似たようなアウトカムを提供する

が、コスト削減に関係するかどうかは不確かである。

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脳卒中後の機能的なアウトカムに影響する要因のレビューでは,Cihuと Stewart(1999)が自宅でのリハビリ

を受ける群と病院での外来治療を受ける群における機能的なアウトカムの違いを調査した 3 つの中等度の質

を持つ RCT 報告している.(Gladman と Lincoln,1994.Tangeman,1990.Young と Forster,1992)著者は以下のよ

うに結論付けている.「全体的に,利用可能な文献は外来と自宅での健康と,日中のリハビリテーションプロ

グラムは,脳卒中後の機能的なアウトカムの改善に強い関係性があるということを示している.この文献は,

入院でないリハビリのタイプ間での違いを明らかにしていないが,自宅健康サービスは日中のリハビリサービ

スと比較して,僅かに 6 ヶ月の機能的な改善に関係するかもしれない

The Outpatient Service Trialist(2002)では,患者が専門的な外来治療に基づいた介入(通常の理学療法や作業

療法または歩行や更衣などといった課題指向性トレーニングに大部分の焦点を当てた作業療法のみ)もしくは

通常通りでない治療に無作為に振り分けられた,合計 1617 人の患者による 14 の研究を確認している.治療

の大半は患者の自宅で提供された(表 7.8 参照).

外来患者の治療はフォローアップ終了時点での ADL と EADL の機能の改善に関連付けられるが,死亡者数

や自立度の減少,介助者の評価のアウトカムとは関連付けられない.(表 7.9)

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外来での作業療法の効果(個人の ADL と余暇活動の増加)を評価するために個々の患者のレベルのデータを

使用している他の最近のメタアナリシス(Walker.2004)は,追加的な治療を受けた患者は介入終了時点でより高

い自立度を示すことを報告している.この調査は図 7.10 に示されている.

次の 3 つの小区分は,3 つの条件と比較した外来リハビリの効果を示すだろう.3 つの条件とは,

1. 病院での外来リハビリと通常のケア

2. 自宅でのケアと通常のケア

3. 自宅での治療と病院での外来リハビリ

7.3.1 Hospital-Based Outpatient Stroke Rehabilitation Versus Standard Care

病院での外来リハビリ対通常のケア

脳卒中後の追加的なリハビリ(6 ヶ月以上の)の有効性を調査した 15の RCT の結果を含んでいる最近のメタ

アナリシス(Ferrarello.2011)研究の大部分は外来患者に理学療法を提供している.介入の長さは,6 から 52 時

間の範囲である.全てのアウトカムによって評価された組み合わせた治療の効果は,0.29であった.0.14 か

ら 0.45 の信頼区間の 95%であり,小さい効果を示している.ADL に関連付けられる治療効果は僅かで,有意

差は見られなかった.(0.08,p=0.58)

8 つの研究は病院の外来リハビリを受けている患者のアウトカムを評価した.(4 つが RSTで4つが RCT で

ない)

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Discussion 議論

通常の入院リハビリを終えてから病院での追加的なリハビリを受けた患者の機能的なアウトカムを評価し

た 5 つの RCT がある.(表 7.12 参照)1 つのケースにおいて,追加的なリハビリは老人ホームにて行われた.

(Sackley.2007)大半のケースにおいて,コントロール条件は退院後追加的なリハビリを行っていない.結果は,

通常のケアに比較して機能的なアウトカムの短期間での改善を示した.しかしながら,これらの違いは長期的

にみると消失する.ポジティブな効果時間がたつことによって失われる原因が,獲得した機能が失われるため

なのか,コントロール郡の改善が遅れて生じるためなのかどうかははっきりしない.

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Conclusions Regarding Hospital-Based Outpatient Stroke Rehabilitation

病院での脳卒中患者のリハビリの結論

追加的な病院でのリハビリは短期間において通常のケアと比較して機能的なアウトカムを改善させることは

強い根拠(レベル 1a)がある.しかしながら,効果は,長期間は持続しない

7.3.2 Home Thearapy vs. Routine Care 自宅でのリハビリ対通常のケア

i) Intervention Delivered Within 6 Mounth of Stroke 6か月以内の介入

Individual Studies 個々の研究

18 の RCT は,発症 6 か月以内の脳卒中患者を対象として自宅でのリハビリを受けた患者と通常のケアを受

けた患者の機能を評価した.(図 7.13 参照)コントロール条件は,入院リハビリ後に追加的なリハビリを行わな

かった.

追加的な 3 つの RCT は発症から 1 年以上経過している万世紀の脳卒中患者を対象として自宅でのリハビリ

の効果を評価した.結果は,セクションごとに個々に示す.

病院での外来リハビリは,短期間での機能改善を示す.

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Discussion 議論

16 の研究は良い質であるとされた.(PEDro>6)Gilbertson(2000)と,Gilbertson と Langhorne の研究は,

Walker(1999)と,Walker(2001)と Anderson(2001,2002)の研究と同様に単回調査とされた.全ての研究でたい

てい ADL スケールを用いて機能的なアウトカムが評価されたが,両条件と評価されたアウトカムにおいて大

きな変化があった.研究のうち 6 つは,先行研究では他の ADL スコアや,他のアウトカムを評価していたが,

両条件で Barthel Index のスコアを評価した.結果は表 7.14 に要約している.機能的なアウトカムを Barthel

Index で評価した 6 つの RCT による根拠は,追加的な自宅でのリハビリの効果を示さなかった.しかしなが

ら,介入は特定の激しい強度で行われておらず,BI の天井効果や鈍感さはよく知られていることである.クロ

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スオーバーデザインを使用し,Corr(2004)は患者を 6 ヶ月間地域で週に 1 回提供されるデイリハビリプログラ

ムを受ける群と遅れた介入の群とに無作為化した.介入は患者の自宅や,病院では行われなかったが,自宅で

行われるリハビリが最も適当であるとしている.

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Conclusions Regarding Home Therapy 自宅でのリハビリに関しての結論

自宅でのリハビリは,通常のケアと比較して BIで評価されるような全体的な機能的なアウトカムには関係し

ないという強い根拠(Level 1a)がある.しかしながら,この結果は提供された介入の低い強度に由来してい

る可能性もある.

ii) Interventin Deliverd Following 6 Months of Stroke 6か月以降の介入

最近のコクランレビュー(Aziz,2008)は,脳卒中後 1 年以上経過してから開始されたリハビリの効果を評価し

ている.5 つの研究は,487 の課題を含んでいる.

(Green,2002.MUlder,1989.Sackley,2006.Wade,1992.Werner,1996)解析に使用された要訳された結果は,図

7.15 に示されている.著者は治療が通常のケア(たいてい追加的なケアを行わない群)と比較してより優れた効

果があることを示すのには不十分な根拠であることを結論付けている.

我々の基準を使用して,我々は脳卒中後少なくとも 1 年以上 ADL や動作に関しての困難さを未だ経験して

いる患者の自宅でのリハビリの効果を評価した 3 つの RCT を定義づけた.(図 7.16)

脳卒中発症 6か月以内の追加的な自宅でのリハビリは機能的なアウトカムの改善を示さない。

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Discussion 議論

3 つの良い質の研究は,慢性期の脳卒中患者での自宅でのリハビリの効果を評価した.Green(2004)は,全

部で 264 の患者のデータを含むWade(1992)と Green(2002)の研究からデータを蓄積した.3 ヶ月での介入群

とコントロール群の間で Revermead Mobility Index において小さいが統計的に有意な差があった.BI と

Frenchay Activity Index,Hospital Anxiety&Depression Scale において,ベースラインと 3ヶ月の変化に違いは

みられなかった.著者はこれらのネガティブな結果の理由は提供される介入の強度が低かったことと 2 つの研

究での患者の不均等さのためであると推測している.

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Conclusions Regarding Home Therapy One-Year Following Stroke 発症後 1年以上経過した脳卒中の自

宅でのリハビリに関しての結論

3 つの RCT の結果に基づき,慢性期の脳卒中患者への自宅でのリハビリは動作の改善に関係するということ

は対立する根拠(Level 4)がある.

7.3.3 Home-Based Therapy vs. Hospital-Based Outpatient Therapy

自宅でのリハビリ対病院での外来リハビリ

Individual Studies 個々の研究

自宅でのリハビリを受けている患者と病院での外来リハビリを受けている患者の機能的なアウトカムの比

較を評価した 9 つの RCT がある.結果は図 7.18 に示している.

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Gladman(1993)(図 7-3 のような DOMINO 研究)は 327 の退院後(高齢者の健康ケア(HCE)または一般的な病

院または脳卒中ユニットからの)に自宅でのリハビリをうけるか病院での外来リハビリを受けるかを無作為化

した脳卒中患者を対象とした研究をした.著明な障害を持つ脳卒中患者がこの研究の参加条件(急性期に病院

に入院していたかどうか,自宅に退院したかどうか,中断的なケアが必要でないかどうか,同意が得られるか

どうか)に適合している.全体的に,この研究では 3 カ月または 6 ヶ月後の機能的なアウトカム(患者の健康,

社会参加,自宅・地域・病院間の介助者の満足度)に有意差が見られなかったと報告している.しかしながら,

全体的に病院での外来リハビリは低コストである.

これらの患者はまた,6 ヶ月と 1 年後のフォローアップ研究において追跡調査されている.(Gladman.1994)

患者の大部分は,高齢者の健康ケア(HCE)から転院していた.この患者は高齢で虚弱であり,死亡率がより高

く,1 年での入所期間(自宅でのリハビリ群の 38%,病院でのリハビリ群の 24%)がほかの二つの施設に比べて

より長かった.しかしながら,病院でのデイサービスのコストは 26%高いと見積もられる.患者の第 2 のグ

ループは,脳卒中ユニットから退院し,自宅でのリハビリ治療を受けた後より家事や余暇活動を充実させてい

た.これらの患者は,たいてい若く,広範囲の神経学的関係を持っていた.ここでは,自宅でのリハビリは

2.6 倍コストがかかった.一般的な病院から退院した第 3 の患者は中年であり,通常の病院でのケアを受けた

病院の外来リハビリのコストは自宅でのリハビリのたった 56%であったが,アウトカムにおいて違いは見ら

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れなかった.この研究は脳卒中患者の異なる群は異なるリハビリテーションを必要としているということを示

している.

Discussion 議論

病院での外来リハビリを受けた群と自宅でのリハビリを受けた群の機能的アウトカムを評価した 7 つの良

い質の研究がある.結果は図 7.19 に要約している.研究の大部分は治療群間で違いはないことを示しており,

治療の形態による効果は等しいと示している.

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Conclusions Regarding Home-Based vs. Hospital-Based Stroke Rehabilitation

病院でのリハビリ対自宅でのリハビリの結論

入院リハビリ後の自宅でのリハビリと病院でのリハビリの ADL獲得への効果は等しいという強い根拠

(level1a)がある.

虚弱な高齢者において病院での外来リハビリは自宅でのリハビリよりも優れているという制限された根拠

(level2)がある.

自宅でのリハビリは若年者や重度の障害をもつ患者にとって病院での外来リハビリよりも優れているという

制限された根拠(level2)がある.

読者は社会支援と外来ケアに関係している余暇治療のレビューを Module19 で参照する.

自宅でのリハビリと病院での外来リハビリの効果は、等しい。

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7.4 Summary 要約

1.急性期病院から早期退院した高いレベルの脳卒中患者は多角的な脳卒中リハビリチームにおけるリハビリ

で成功するという強い根拠(level1a)がある.このようなプログラムは,約 1 週間の入院期間を短縮する.

2.集中的なリハビリと,退院支援は中等度から重症の脳卒中患者の機能的アウトカムを改善させるという中

等度の根拠(level1b)がある.さらに,集中的なリハビリを受けた脳卒中患者は,入院期間が短くなり,自宅退

院の可能性が大きくなる.

3.2 つの RCT のサブグループ研究に基づいて,死亡/自立の割合と入所日数が早期退院支援を受けて自宅に帰

った重度の脳卒中患者においてより高いという強い根拠(levell1a)がある.自宅での介入が通常の介入に比べて

安いという対立する根拠(level4)がある.

4.病院での外来リハビリは通常のケアに比べて短期間での機能改善をもたらすという中等度の根拠(level1b)

がある.しかしながら,効果は長期間持続しない.

5.脳卒中発症 6 ヶ月以内という回復段階にいる患者への自宅での追加的なリハビリは通常のケアと比較して

BI で測定されるような機能的なアウトカムの改善を生じないという強い根拠(level1a)がある.慢性期の脳卒中

患者への自宅でのリハビリは動作の改善に関係するという対立する根拠(level4)がある.

6.入院リハビリ終了後の自宅でのリハビリと病院での外来リハビリプログラムの ADL 改善への効果は等しい

という強い根拠(level1a)がある.

7.脳卒中患者の小集団は異なるリハビリアプローチ(高齢で虚弱な患者は病院のデイサービスで死亡率と入所

日数が減少し,一方若い脳卒中患者では自宅でのリハビリが機能と QOL を向上させる)によって効果を得るか

もしれないという制限された根拠(level2)がある

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