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巻末に重要な注意事項を記載していますので、ご参照下さい。 2016 11 8 Japan Equity Research Theme: 社長交代と株式投資 企業が抱える課題を踏まえて、社長を評価できる企業を探る これまで東京市場では社長交代に対する株価反応が必ずしも大きくな い。しかし、1990 年代後半以降、日本経済が低成長に陥って横並び的 な経営が通用しなくなると共に、経済グローバル化や IT を中心に技術 革新が進む中で、社長の役割は大きくなっている。また、コーポレート ガバナンス改善への取組みの一環として、指名委員会を設置する企業が 大幅に増加している。 今回のレポートでは、2013 年以降に社長が交代した企業のうち、当社 のアナリストが注目する企業について、「事業と収益の変遷を踏まえて、 現在、会社がどのような課題を抱えており、その中で新しい社長(CEO) はどのような役割を果たすと期待されるか」をコメントした。 銘柄一覧 エクイティリサーチ部 03-6627-5340 三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社(以下、「MUMSS」)は、2016 7 21 日に公表された、株式会社小松製作所(以下「コマツ」)による Joy Global Inc.(以下「JOY」)の買収案件に関して、コマツの ファイナンシャル・アドバイザーを務めています。本案件の成立には、当局及び JOY の株主総会による承認が取得されること、およびその他通常の前提条件を充足することが条件とされております。 本レポートおよび本レポートに含まれている情報は、本案件への賛同の勧誘その他の助言を投資家に提供することを意図するものではありません。 コマツは MUMSS に対し、アドバイザリー・サービスの報酬を支払うことに同意しています。 コード 銘柄名 アナリスト 1812 鹿島建設 水谷 敏也 2181 テンプホールディングス 新井 勝己 2607 不二製油グループ本社 角山 智信 3116 トヨタ紡織 岩井 3401 帝人 仲田 育弘 4183 三井化学 尾脇 庸仁 6841 横河電機 山﨑 みえ 6849 日本光電工業 葭原 友子 7248 カルソニックカンセイ 八木 7261 マツダ 杉本 浩一 7701 島津製作所 小宮 知希 7735 SCREENホールディングス 宮本 武郎 7956 ピジョン 川本 久恵 8058 三菱商事 永野 雅幸 8308 りそなホールディングス 笹島 勝人 9684 スクウェア・エニックス・ホールディングス 村上 宏俊 9843 ニトリホールディングス 小場 啓司 参考資料2

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Page 1: 7261 マツダ 杉本 浩一 Japan Equity Research Theme: 社長 ......7261 マツダ 輸送用機器 6627-5313 sugimoto-kouichi@sc.mufg.jp 杉本 浩一 28 7701 島津製作所 精密機器

巻末に重要な注意事項を記載していますので、ご参照下さい。

2016 年 11 月 8 日

Japan Equity Research

Theme: 社長交代と株式投資

企業が抱える課題を踏まえて、社長を評価できる企業を探る

これまで東京市場では社長交代に対する株価反応が必ずしも大きくな

い。しかし、1990 年代後半以降、日本経済が低成長に陥って横並び的

な経営が通用しなくなると共に、経済グローバル化や IT を中心に技術

革新が進む中で、社長の役割は大きくなっている。また、コーポレート

ガバナンス改善への取組みの一環として、指名委員会を設置する企業が

大幅に増加している。

今回のレポートでは、2013 年以降に社長が交代した企業のうち、当社

のアナリストが注目する企業について、「事業と収益の変遷を踏まえて、

現在、会社がどのような課題を抱えており、その中で新しい社長(CEO)

はどのような役割を果たすと期待されるか」をコメントした。

銘柄一覧

エクイティリサーチ部

03-6627-5340

三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社(以下、「MUMSS」)は、2016 年 7 月 21 日に公表された、株式会社小松製作所(以下「コマツ」)による Joy Global Inc.(以下「JOY」)の買収案件に関して、コマツの

ファイナンシャル・アドバイザーを務めています。本案件の成立には、当局及び JOY の株主総会による承認が取得されること、およびその他通常の前提条件を充足することが条件とされております。

本レポートおよび本レポートに含まれている情報は、本案件への賛同の勧誘その他の助言を投資家に提供することを意図するものではありません。

コマツは MUMSS に対し、アドバイザリー・サービスの報酬を支払うことに同意しています。

コード 銘柄名 アナリスト

1812 鹿島建設 水谷 敏也

2181 テンプホールディングス 新井 勝己

2607 不二製油グループ本社 角山 智信

3116 トヨタ紡織 岩井 徹

3401 帝人 仲田 育弘

4183 三井化学 尾脇 庸仁

6841 横河電機 山﨑 みえ

6849 日本光電工業 葭原 友子

7248 カルソニックカンセイ 八木 亮

7261 マツダ 杉本 浩一

7701 島津製作所 小宮 知希

7735 SCREENホールディングス 宮本 武郎

7956 ピジョン 川本 久恵

8058 三菱商事 永野 雅幸

8308 りそなホールディングス 笹島 勝人

9684 スクウェア・エニックス・ホールディングス 村上 宏俊

9843 ニトリホールディングス 小場 啓司

参考資料2

Page 2: 7261 マツダ 杉本 浩一 Japan Equity Research Theme: 社長 ......7261 マツダ 輸送用機器 6627-5313 sugimoto-kouichi@sc.mufg.jp 杉本 浩一 28 7701 島津製作所 精密機器

2 巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。

2016 年 11 月 8 日

目次

投資戦略 6627-5241 [email protected] 芳賀沼 千里 3

銘柄紹介一覧

1812 鹿島 建設業 6627-5253 [email protected] 水谷 敏也 9

2181 テンプホールディングス サービス業 6627-5288 [email protected] 新井 勝己 11

2607 不二製油グループ本社 食料品 6627-5263 [email protected] 角山 智信 13

3116 トヨタ紡織 輸送用機器 6627-5312 iw [email protected] 岩井 徹 16

3401 帝人 繊維製品 6627-5293 [email protected] 仲田 育弘 18

4183 三井化学 化学 6627-5297 ow [email protected] 尾脇 庸仁 20

6841 横河電機 電気機器 6627-5311 [email protected] 山﨑 みえ 22

6849 日本光電 電気機器 6627-5267 [email protected] 葭原 友子 24

7248 カルソニックカンセイ 輸送用機器 6627-5314 [email protected] 八木 亮 26

7261 マツダ 輸送用機器 6627-5313 [email protected] 杉本 浩一 28

7701 島津製作所 精密機器 6627-5277 [email protected] 小宮 知希 31

7735 SCREENホールディングス 電気機器 6627-5272 [email protected] 宮本 武郎 33

7956 ピジョン その他製品 6627-5265 kaw [email protected] 川本 久恵 35

8058 三菱商事 卸売業 6627-5302 [email protected] 永野 雅幸 37

8308 りそなホールディングス 銀行業 6627-5248 [email protected] 笹島 勝人 39

9684 スクウェア・エニックス・ホールディングス 情報・通信業 6627-5284 [email protected] 村上 宏俊 41

9843 ニトリホールディングス 小売業 6627-5260 [email protected] 小場 啓司 43

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巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。 3

2016 年 11 月 8 日

1. Overview: 企業の課題と社長の役割を考える

チーフストラテジスト 芳賀沼 千里

企業経営における社長の重要性は誰もが認めるが、東京市場では社長交代に対する

株価反応が必ずしも大きくない。その一因として、1990 年代中頃まで大企業は社長

交代で企業経営が大きく変わる可能性が低かったことが挙げられよう。1995 年の時

価総額の上位銘柄は、セブンイレブンを除くと、金融機関や電機・自動車など業界

団体の影響力が強い伝統的な「大企業」が占める(図表 1-1)。当時、日本経済は比較

的高い成長を享受し、企業経営も欧米に追いつく過程にあったため、取るべき戦略

がある程度はっきりしており、大企業の社長が特別な判断に迫られることは少なか

った。社長には社内の調和を維持して現場力を活かすことが求められたと言える。

日本企業の社長は次世代の経営者に「バトンを繋ぐ」ことが重要であり、しばしば

「社員の担ぐ神輿に乗る」という表現も使われた。

しかし、社長に求められる役割は 1990 年代後半から変わり出しているとみる。日本

経済が低成長に陥って、横並び的な経営が通用しなくなり、業績が悪化した企業は

人員削減や事業撤退など痛みを伴うリストラを迫られるようになった。日本企業が

欧米企業を模倣する過程が終わり、フロントランナーに立った苦しみもあるだろう。

また、経済グローバル化や IT を中心に技術革新が社長の役割の変化に影響している

だろう。2005 年や 2015 年の時価総額の上位をみると、民営化した国有企業と共に、

ソフトバンクやファーストリティリングなど創業者企業が含まれている。産業構造

が変わる中で、経営トップの判断により中長期的な企業の収益に大きな格差が生じ

た可能性を示唆している。

図表 1-1:東京市場の時価総額の上位企業

注:各年とも東証 1 部上場企業のうち時価総額の上位 20 位に入る銘柄。設立年は登記上設立年を示す。尚、可能な限り、当時の社名を表示。

出所:AstraManager、日経 BULK データより MUMSS 作成

<1995年末> <2005年末> <2015年末>

コード 会 社 名 時価総額 設立年 コード 会 社 名 時価総額 設立年 コード 会 社 名 時価総額 設立年

(10億円) (年) (10億円) (年) (10億円) (年)

6501 日立製作所 3,462 1920 3382 セブン&アイ・ホールディングス 6,799 2005 2914 日本たばこ産業 8,942 1985

6502 東芝 2,604 1904 4502 武田薬品工業 5,674 1925 3382 セブン&アイ・ホールディングス 4,920 2005

6752 松下電器産業 3,523 1935 4689 ヤフー 5,408 1996 4502 武田薬品工業 4,793 1925

7011 三菱重工業 2,773 1950 6752 松下電器産業 5,581 1935 6178 日本郵政 8,393 2006

7203 トヨタ自動車 8,192 1937 6758 ソニー 4,823 1946 6902 デンソー 5,144 1949

8183 セブン-イレブン・ジャパン   2,756 1939 6902 デンソー 3,598 1949 7182 ゆうちょ銀行 7,875 2006

8264 イトーヨーカ堂         2,639 1913 7201 日産自動車 5,402 1933 7201 日産自動車 5,784 1933

8302 日本興業銀行          7,360 1902 7203 トヨタ自動車 22,093 1937 7203 トヨタ自動車 25,348 1937

8311 第一勧業銀行 6,335 1897 7267 本田技研工業 6,248 1948 7267 本田技研工業 7,083 1948

8313 東京銀行            3,693 1946 7751 キヤノン 6,132 1937 7751 キヤノン 4,902 1937

8314 さくら銀行           4,549 1948 8058 三菱商事 4,391 1950 8306 三菱UFJフィナンシャル・グル 10,727 2001

8315 東京三菱銀行 7,000 1919 8306 三菱UFJフィナンシャル・グル 17,093 2001 8316 三井住友フィナンシャルグループ 6,513 2002

8317 富士銀行 6,606 1923 8308 りそなホールディングス 9,889 2001 8411 みずほフィナンシャルグループ 6,280 2003

8318 住友銀行 6,879 1912 8316 三井住友フィナンシャルグループ 10,316 2002 9020 東日本旅客鉄道 4,494 1987

8320 三和銀行 6,092 1933 8411 みずほフィナンシャルグループ 12,434 2003 9022 東海旅客鉄道 4,450 1987

8321 東海銀行            2,922 1941 8604 野村ホールディングス 4,443 1925 9432 日本電信電話 10,138 1985

8322 あさひ銀行           3,019 1945 9432 日本電信電話 8,437 1985 9433 KDDI 8,487 1984

8604 野村証券 4,417 1925 9437 NTTドコモ 8,766 1991 9437 NTTドコモ 10,149 1991

9432 日本電信電話 13,287 1985 9501 東京電力 3,876 1951 9983 ファーストリテイリング 4,523 1963

9501 東京電力 3,734 1951 9984 ソフトバンクグループ 5,252 1981 9984 ソフトバンクグループ 7,371 1981

社長は次世代に「バトンを繋ぐ」ことが重要

1990年代以降、経営の判断で企業の収益に格差

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4 巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。

2016 年 11 月 8 日

株価の反応が小さいもう一つ理由として、社長交代と収益の関係が弱かったことが

挙げられよう。日本企業でも業績が悪化すると、経営者が責任を取る傾向があるが、

米国企業と異なり、経営者が変わっても、収益は明確に改善しなかった。「社長交代

と企業パフォーマンス:日米比較分析」(RIETI、2015年 6月)では、日本・米国企業

の 2000~07 年の経営者交代を分析し、「社長強制交代前は日米両企業でパフォーマ

ンスが悪化し、交代後はアメリカ企業でのみパフォーマンスが改善しており、日本

企業ではそのような改善が見られなかった」と指摘している。

この傾向は 2008 年以降も大きく変わっていないとみられる。TOPIX500 採用銘柄の

うち代表者が交代した企業の ROAを業種平均(東証 17 業種)と比べると、業種調整後

ROA は交代年度の 2 年前から低下して、交代後に上昇するが、業種平均まで改善し

ていない(分析期間:2000~2015 年、図表 1-2)。業績が好調でも、社長が 4~6 年の

任期で交代する企業が多く、ROA 格差は大きくないとみる。但し、収益が悪化して

社長が交代する場合、悪化に歯止めが掛かるが、明確に改善しているとは判断しに

くい。ほぼ同様の傾向が業種調整後の ROEでも確認できる(図表 1-3)。

RIETI の分析によると、「アメリカ企業では社長強制交代後に資産規模と従業員規模

が大きく縮小し、日本企業では負債比率が低下している」。これまで日本企業の社長

交代は金融機関が債権を保全する目的が強く、交代後に株主価値を高める経営改革

が十分に進められなかった可能性がある。しかし、現在、コーポレートガバナンス

改善の取組みが進むに連れて、日本企業は企業価値・株主価値を重視し始めている。

今後、新しい社長の経営戦略の下で収益が変化する企業も現れてこよう。

図表 1-2:社長交代企業の ROA の変化 図表 1-3:社長交代企業の ROE の変化

注: 対象は TOPIX500 採用企業。分析期間は 2000 年~2015 年。社長交代

企業の ROA とその企業が属する業種の ROA(中央値)との差を、交代年度

を含む前後各々3 年間について集計。尚、社長交代は会社の代表者の交代を示

す。

出所:日経 Value Search より MUMSS 作成

注: 対象は TOPIX500 採用企業。分析期間は 2000 年~2015 年。社長交代

企業の ROE とその企業が属する業種の ROE(中央値)との差を、交代年度

を含む前後各々3 年間について集計。尚、社長交代は会社の代表者の交代を示

す。

出所:日経 Value Search より MUMSS 作成

-0.4

-0.3

-0.2

-0.1

0.0

0.1

3年前

2年前

1年前

当該年度

1年後

2年後

3年後

全期間

< 業種調整後ROA >

2007年まで

2008年以降

2010年以降

(%pt)

-0.5

-0.4

-0.3

-0.2

-0.1

0.0

0.1

3年前

2年前

1年前

当該年度

1年後

2年後

3年後

全期間

< 業種調整後ROE >

(%pt)

2007年まで

2008年以降

2010年以降

日本企業は社長交代と収益の関係が弱かった

ROAが業種平均まで改善する企業は多くない

社長交代後に負債比率が低下する傾向

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巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。 5

2016 年 11 月 8 日

特に、日本では 2015 年の会社法改正による監査等委員会設置会社と、コーポレート

ガバナンス・コードの導入を受けて、指名委員会(任意を含む)を設置する企業が大幅

に増加した。東証 1 部上場では全体の 27.2%に相当する 535 社が指名委員会を設置

している(日本取締役協会、2016 年 8月 1日集計、図表 1-5)。日本でのコーポレート

ガバナンスの取組みにおいて、社長・CEO の選任・解任の透明性の確保、後継者の

育成や登用は重要な課題であり、そこでは指名委員会が重要な役割を果たすと期待

される。

指名委員会はその名称から社長や経営陣を指名するイメージがある。しかし、現実

には指名委員会が存在しても、社外取締役が次期社長を決めることにはならない。

次期社長候補に関する圧倒的に多くの情報は社内に存在するので、社外取締役もそ

の情報に基づいて判断を行う。指名委員会の社外取締役の役割は、具体的な社長の

人選ではなく、社長を選ぶプロセスの明確化である。重要な点は事業環境の変化を

認識して、会社の直面する課題と経営陣に求められる資質や能力を明確にすること

であると考える。(ストラテジー・テーマ「人を遺すは上なり」9月 6 日、P8・2段落)

指名委員会の広がりに伴って、企業が直面する課題や社長の選任・解任の透明性を

高めれば、投資判断の一つの情報として、株式市場でも社長交代への注目度が高ま

ろう。

図表 1-4:指名委員会等設置会社などへの移行企業数 図表 1-5:指名・報酬委員会の設置状況

注: 対象は東証 1 部上場企業。

出所:日本取締役協会の資料より MUMSS 作成

注: 対象は東証 1 部上場企業。2016 年 8 月 1 日時点で集計。

出所:日本取締役協会の資料より MUMSS 作成

0

50

100

150

200

250

300

350

400

04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16

指名委員会等設置会社

監査等委員会設置会社

(年)

(社)

会社数両方設置

指名

委員会のみ

報酬

委員会のみ

両方設

置していない

合計

A+B A B

東証1部全体 519 16 72 1,363 1,970

任意

(監査役設置会社)377 13 59 1,103 1,552

任意

(監査等委員会

設置会社)

81 3 13 260 357

法定

(指名委員会等

設置会社)

61 0 0 0 61

指名委員会を設置する企業が大幅に増加

役割は会社の課題と社長に必要な資質の明確化

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6 巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。

2016 年 11 月 8 日

もちろん、経営者の資質や社長交代を評価することは極めて難しい。これは極めて

慎重に扱うべき問題であるため、企業の部外者が十分な情報を得られる訳ではない。

更に、指名委員会など形式的な要件が整ったとしても、常に望ましい経営トップを

選任できるとは限らない。

しかし、企業が置かれた事業環境や直面する課題を検討して、求められる経営者を

考えることは必要であろう。最近、サラリーマン経営者が批判されることが多い。

但し、古い例になるが、戦後、サラリーマン経営者がオーナー経営者より優れてい

るという見方も存在した。手堅く家業を守るオーナー経営者は高成長経済に対応で

きず、サラリーマン経営者が積極経営を行った。その象徴が 1950 年に千葉製鉄所を

造った川崎製鉄(現 JFE)社長の西山弥太郎氏であった。時代や企業が置かれた環境と

共に、経営者に求められる素養が変わると考えられる。

今回のレポートでは、2013 年以降に社長が交代した企業のうち、当社のアナリスト

が注目する企業について、「事業と収益の変遷を踏まえて、現在、会社がどのような

課題を抱えており、その中で新しい社長(CEO)はどのような役割を果たすと期待され

るか」をコメントした。

経営者の資質の評価は極めて難しいが・・・

経営者に必要な素養は時代や環境と共に変わる

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巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。 7

2016 年 11 月 8 日

本レポートに掲載している銘柄の目標株価の算出について

本レポートに掲載している銘柄の目標株価の算出方法とリスクについては、以下を

参照のこと。

(1812) 鹿島建設:

今後 12 ヵ月間の目標株価の算出方法とリスクは 2016年 9月 9日付のレポートをご

参照ください。

(2181) テンプホールディングス:

今後 12 ヵ月間の目標株価の算出方法とリスクは 2016 年 8 月 15 日付のレポートを

ご参照ください。

(2607) 不二製油グループ本社:

今後 12 ヵ月間の目標株価の算出方法とリスクは 2016 年 8 月 10 日付のレポートを

ご参照ください。

(3116) トヨタ紡織:

今後 12 ヵ月間の目標株価の算出方法とリスクは 2016 年 9 月 30 日付のレポートを

ご参照ください。

(3401) 帝人:

今後 12 ヵ月間の目標株価の算出方法とリスクは 2016 年 8 月 16 日付のレポートを

ご参照ください(但し、2016 年 10 月 1 日の 5 株から 1 株への株式併合に伴い 9 月

28 日付のレポートで目標株価を調整)。

(4183) 三井化学:

今後 12 ヵ月間の目標株価の算出方法とリスクは 2016 年 8 月 22 日付のレポートを

ご参照ください。

(6841) 横河電機:

今後 12 ヵ月間の目標株価の算出方法とリスクは 2016 年 8 月 23 日付のレポートを

ご参照ください。

(6849) 日本光電工業:

今後 12 ヵ月間の目標株価の算出方法とリスクは 2016 年 8 月 22 日付のレポートを

ご参照ください。

(7248) カルソニックカンセイ:

今後 12 ヵ月間の目標株価の算出方法とリスクは 2016 年 8 月 31 日付のレポートを

ご参照ください。

(7261) マツダ:

今後 12 ヵ月間の目標株価の算出方法とリスクは 2016 年 7 月 29 日付のレポートを

ご参照ください。

Page 8: 7261 マツダ 杉本 浩一 Japan Equity Research Theme: 社長 ......7261 マツダ 輸送用機器 6627-5313 sugimoto-kouichi@sc.mufg.jp 杉本 浩一 28 7701 島津製作所 精密機器

8 巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。

2016 年 11 月 8 日

(7701) 島津製作所:

今後 12 ヵ月間の目標株価の算出方法とリスクは 2016 年 8 月 16 日付のレポートを

ご参照ください。

(7735) SCREENホールディングス:

今後 12 ヵ月間の目標株価の算出方法とリスクは 2016 年 8 月 10 日付のレポートを

ご参照ください(但し、2016 年 10 月 1 日の 5 株から 1 株への株式併合に伴い 9 月

28 日付のレポートで目標株価を調整)。

(7956) ピジョン:

今後 12 ヵ月間の目標株価の算出方法とリスクは 2016年 10月 20日付のレポートを

ご参照ください。

(8058) 三菱商事:

今後 12 ヵ月間の目標株価の算出方法とリスクは 2016 年 8 月 18 日付のレポートを

ご参照ください。

(8308) りそなホールディングス:

今後 12 ヵ月間の目標株価の算出方法とリスクは 2016年 4月 5日付のレポートをご

参照ください。

(9684) スクウェア・エニックス・ホールディングス:

今後 12 ヵ月間の目標株価の算出方法とリスクは 2016 年 8 月 19 日付のレポートを

ご参照ください。

(9843) ニトリホールディングス:

今後 12 ヵ月間の目標株価の算出方法とリスクは 2016 年 10 月 5 日付のレポートを

ご参照ください。

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巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。 9

2016 年 11 月 8 日

(1812) 鹿島建設: 「押味」買い

シニアアナリスト 水谷敏也

レーティング: Overweight

株価 (11/4): 692 円

今後 12 ヵ月間目標株価: 980 円

事業・利益の振り返りと社長の系譜

同社は鉄道土木、原子力発電所、超高層ビル施工でのパイオニア的存在。自他とも

に認めるゼネコン業界の盟主としての役割を果たしてきた。収益の源泉は国内建設

事業であるが、ゼネコンデベロッパーとして不動産事業にも積極的展開しているこ

とが特徴の一つとなっている。

過去の収益動向をみると、バブル崩壊後の 90 年代半ばから 2000 年代半ばに掛けて

は、建設投資の縮減を背景に収益水準が大きく低下した。さらに、06/3 期以降、国

内及び海外での低採算案件の影響で収益が大きく毀損し、収益長期低迷を余儀なく

されてきた。その後、16/3 期には懸案の国内及び海外赤字案件の収益マイナスイン

パクトが一巡したため、営業利益水準が一気に改善した。

同社は元々同族色の強い会社であったが、1990 年に就任した建設省出身の宮崎氏以

降、現在の押味氏に至るまで四代連続で創業家以外から社長を選出している。前任

者の中村社長までは、非創業家が経営の舵取りをすることによる収益改善効果は表

れなかった。

図表 1-1:歴代社長・会長と営業利益・株価の推移

注:予想は MUMSS。

出所:AstraManager、各社資料より MUMSS 作成

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営業利益(左軸)

株価(右軸)

(10億円) (円)

(年度)

石川六郎

1978/2 - 1984/2

鹿島昭一

1984/2 - 1990/6

宮崎明1990/6 - 1996/6

梅田貞夫1996/6 - 2005/6

中村満義2005/6 - 2015/6

押味至一2015/6 - 現在

渥美健夫1978 - 1984

石川六郎1984- 1994

梅田貞夫2005/6 - 2012/5

中村満義2015/6 - 現在

会長

社長

予想

ゼネコン業界の盟主

バブル崩壊後の収益は長期低迷を余儀なくされた

四代続けて創業家以外から社長を選出

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10 巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。

2016 年 11 月 8 日

ガバナンス体制を強化し、現場第一主義の徹底を推進する

同社は 1840 年に創業後、長きにわたって創業家(鹿島家、石川家、渥美家)がトッ

プマネジメントの責務を果たしてきた。その後、1990 年以降、現在に至るまで創業

家以外から社長を選出している。宮崎氏は建設省出身、梅田氏は土木畑出身、中村

氏は営業畑出身と多彩な顔ぶれであった。15 年 6 月に就任した、現社長の押味氏は

同社初めての建築畑出身であり、「土木の鹿島」から「建築の鹿島」への変革を印象

付けるトップ人事であったといえよう。そもそも同社の利益動向をみると、既に建

築が土木を大きく上回っている状況が続いており、建築畑出身者が経営トップに就

任するのも遅きに逸した印象ですらある。

現社長である押味氏は現場所長の経験が長く、「現場第一主義」を掲げている。勿論、

同社は従来から現場を重視し、現場が収益の源泉であるという考えのもとで、経営

を進めてきたことは紛れもない事実であろう。しかしながら、2005 年以降、国内・

海外での大型赤字工事によって収益を大きく毀損してきた。本年 8 月には懸案の「ア

ルジェリア高速道路工事」からの撤退をリリースしており、このことは大型赤字工

事からの決別を意味する象徴的な出来事であったといえよう。押味氏は、「現場第一

主義」を実現するために、「フロントローディング」という考えに言及している。フ

ロントローテイングとは、施工の初期工程にリソースを投入することで、コスト競

争力・品質を高めるという考え方である。確かに、施工現場での想定外の収益悪化

は後工程に集中していた。このため、初期工程を改善することで、現場全体の収益

が改善するという取り組みが重視されるようになってきた。但し、フロントヘビー

になってしまっては元も子もないので、様々な工程での連携が必要となる。こうし

た考え方を実践できるのも、現場経験の長い押味氏ならではの感覚である。

弊社では、15年 6 月に選任した社外取締役の人選を目の当たりにして、「会社の意識

が大きく変わった」との印象を強く持った。すなわち、当時、社外取締役は 2 名体

制というのが市場コンセンサスであったのに対して同社は 3名体制としたのである。

しかも、社外取締役の人選がサプライズであった。第一に、建設機械最大手の小松

製作所の社長を歴任した坂根氏を招聘したことである。同氏は小松製作所をグロー

バル企業に引き上げた経営手腕に加えて、建設業界にも明るく、マネジメントに対

しても恐らく忌憚のない意見をぶつけてくるものと思われた。第二に、三菱商事や

三菱自動車の経営トップを歴任した古川氏の招聘である。同社と三菱グループはど

ちらかといえば距離感のある印象であり、同業他社にみられるような身内からの招

聘という印象がなかった。さらに、ジェイ・ボンド東京短資社長の齋藤氏の招聘で

ある。齋藤氏は女性経営者であるが、投資銀行等マーケットに近い立場での経歴が

長く、鹿島建設には似つかわしくない印象であった。三名の社外取締役は取締役会

にほぼ皆勤しており、これまでの経験と見識を背景に、コーポレートガバナンス改

革の一翼を担っているものと想像される。会社側では、社外取締役は株主としての

視点で経営を監督する立場にあるとしており、このことはコーポレートレポート等

からも窺い知ることが出来る。

押味氏は建築畑出身としては初めての社長

押味氏は「現場第一主義」を掲げている

社外取締役の人選は同社ガバナンス改革姿勢の表れとの印象

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巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。 11

2016 年 11 月 8 日

(2181) テンプホールディングス: 環境変化に応じた社長交代から高い利益成長を実現

シニアアナリスト 新井 勝己

レーティング: Overweight

株価 (11/4): 1,761 円

今後 12 ヵ月間目標株価: 2,100 円

事業・利益の振り返りと社長の系譜

同社は 2008 年 10 月に、旧テンプスタッフと旧ピープルスタッフが経営統合して発

足した持株会社。テンプスタッフ創業者である篠原社長体制下の当時は大きな逆風

が吹いていた。リーマンショック以降の人材需要低迷に加え、2009年には民主党(現

民進党)への政権交代により、労働者派遣法に対する規制議論が高まった。結果、

持株会社発足後から業績は低迷。しかし、営業の強化とコストダウンを進めた結果、

13/3 期営業利益は 98 億円と、持株会社発足直後の 09/3 期 89 億円を上回る水準まで

業績回復。篠原体制下での堅実路線が利益回復を可能にしたといえよう。

2012 年に自民党への政権交代が起こると、派遣法の規制緩和や人手不足が顕在化す

るなど、経営環境は一転して追い風となった。こうした環境下で 2013 年 6月から社

長を引き継いだのが現水田社長である。同年 2013 年には、インテリジェンスとの大

型 M&Aを実施。同社は大きな外部・内部環境変化への対応として、水田新体制に移

行したと弊社では考えている。営業利益は 13/3 期 98 億円から直近 16/3 期において

は 281億円と約 3倍まで利益水準を拡大。同期間において株価も大きく上昇した。

図表 1-1:歴代社長・会長と四半期営業利益・株価の推移

注:予想は MUMSS。会長の篠原欣子氏は、2011 年 6 月~2013 年 6 月「代表取締役会長兼社長」、2013 年 6 月~2014 年 6 月「代表取締役会長」、2014

年 6 月~2016 年 6 月「取締役会長」、2016 年 6 月~「名誉会長」。出所:AstraManager、各社資料より MUMSS 作成

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3E

営業利益

株価(右目盛)

篠原 欣子2008/10-2013/6

篠原 欣子氏2011/6~会長

社長水田 正道2013/6~

(百万円) (円)

逆風下での篠原体制では堅実路線で収益維持

順風下での水田体制では積極路線で収益拡大

Page 12: 7261 マツダ 杉本 浩一 Japan Equity Research Theme: 社長 ......7261 マツダ 輸送用機器 6627-5313 sugimoto-kouichi@sc.mufg.jp 杉本 浩一 28 7701 島津製作所 精密機器

12 巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。

2016 年 11 月 8 日

バランスの良い高い利益成長が今後も可能

既述の通り、同社は外部環境が逆風から追い風になる中で、堅実経営の篠原体制か

ら、積極経営の水田体制に移行したことが今日の利益拡大の礎になったと弊社では

考えている。図表 1-2 は人材派遣大手 3 社の営業利益推移を示したもの。逆風下の

2008年~2012年の間で収益重視を行ったことで、同じ事務派遣中心のパソナグルー

プ(2168)が利益低迷するなかで一定の利益を確保。更に 2013年以降は、インテリ

ジェンス買収を初めとする積極路線により同業比でも高い利益成長を実現させてい

る。

図表 1-3 は同社の 16/3 期の営業利益内訳を示したもの。間接雇用型ビジネス(派遣・

BPO、ITO、エンジニアリング)が 76%、直接雇用支援型ビジネス(リクルーティン

グ)が 24%となっている。国内大手人材上場企業で、この 2 つの異なるビジネスモ

デルの事業をバランスよく有する会社は、非人材領域も有するリクルートホールデ

ィングス(6098)等を除くピュアな人材関連銘柄では同社のみであろう。このバラ

ンスのよい事業ポートフォリオが今後も同社の安定成長を支えていこう。

同社は今年 5月に中期経営計画を発表。20/3 期売上 7,500 億円(CAGR+10%)、営業

利益 450 億円(CAGR+13%)を数値目標としている。具体的な戦略は以下の 5 点。

(1)グループ認知度の向上、(2)更なる事業成長に向けたシステム投資や生産性改

善、(3)グループシナジーの創出及びグループ経営の推進、(4)アジア・パシフィ

ック地域におけるプレゼンス向上、(5)M&Aによる積極的な事業基盤強化及びサー

ビス領域の拡大。既存事業での成長に関しては、間接雇用型ビジネス領域における

積極的な M&Aの展開、直接雇用支援型ビジネス領域においては、既存派遣拠点等を

活用した人材紹介サービスの拡充や新たなコンサル非対面型人材紹介等の寄与に期

待。これら既存成長事業領域では水田社長体制変更以降の成功の延長線上として十

分に収益拡大が期待できる。今後一段の成長のためには、海外の事業拡大、更にや

や苦戦しているバイト求人広告のメディア事業等の成長に期待したい。

図表 1-2:人材派遣大手 3 社営業利益推移(百万円) 図表 1-3:テンプ HD(2181)16/3 期営業利益内訳

出所:各社資料より MUMSS 作成、テンプ HD、メイテックは 3 月決算、

パソナグループは 5 月決算、FY07 のテンプ HD 営業利益は旧テンプスタッフ

出所:会社資料より MUMSS 作成、全社調整項目を除く営業利益で計算

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FY07 FY08 FY09 FY10 FY11 FY12 FY13 FY14 FY15

テンプHD(2181)

パソナグループ(2168)

メイテック(9744)

派遣・BPO63%

ITO7%

エンジニアリ

ング6%

リクルーティン

グ24%

その他事業0%

タイミングのよい社長交代により同業比で高い利益成長を遂げる

収益バランスのよい事業ポートフォリオが強み

既存事業の安定成長に加え、海外やメディア事業等の拡大にも期待したい

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巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。 13

2016 年 11 月 8 日

(2607) 不二製油グループ本社:『強みの技術力』を『稼ぐ力』につなげる

シニアアナリスト 角山 智信

レーティング: Overweight

株価 (11/4): 2,020 円

今後 12 ヵ月間目標株価: 2,400 円

17/3期は、10/3期以来の過去最高営業利益更新を予想

国内加工油脂の最大手。油脂メーカーとしては 1950年創業の後発組に当たる。後発

組であるがゆえに、早くから他社が使用していなかった南方系原材料(パーム油)

等の研究開発を進め、差別化された技術・商品開発力を築き上げ、現在の国内加工

油脂最大手の地位へ、成長を遂げてきた。

2000 年代前半同社の業績は、01/3 期に当時の過去最高営業利益更新以降、低迷期を

迎えた。低迷の主要因は、主原料のパーム油価格の上昇によるマージンの悪化であ

った。その後、同社の業績は 07/3 期の営業利益 71 億円をボトムに急回復、10/3期営

業利益は 180 億円と一気に過去最高益を更新した。遅れていた価格転嫁が進んだこ

とと、リーマンショックを機に、パーム油市況が急落し製造マージンが拡大したこ

とが要因である。

10/3 期以降は、再び業績は一進一退で推移してきた。ただし、弊社では 17/3 期予想

営業利益を 200 億円とし、10/3 期以来の過去最高利益更新を予想している。主原材

料コストが低位で安定していることと、同社が主要なターゲットとしているチョコ

レートや冷菓市場の拡大を背景とした強いトップライン成長が、増益要因になろう。

図表 1-1:歴代社長と営業利益・株価の推移

注:E は MUMSS 予想

出所:AstraManager、会社資料より MUMSS 作成

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FY3/01 FY3/02 FY3/03 FY3/04 FY3/05 FY3/06 FY3/07 FY3/08 FY3/09 FY3/10 FY3/11 FY3/12 FY3/13 FY3/14 FY3/15 FY3/16 FY3/17E FY3/18E FY3/19E

最高益

浅原社長2002/4~2007/3

清水社長2013/4~

海老原社長2007/4~2013/3

革進・実行2010

Global & Quality

2013

ルネサンス不二2016

中期経営計画→

株価

(円、右軸)

営業利益(十億円、左軸)

ルネサンス不二2017

パーム油価格の上昇

によるマージンの悪

化が継続

パーム価格

下落とCBE

事業の拡大

により業績

急改善

タイに進出

パーム油高と

CBEの需要低下

により業績悪化

CBE事業が復調

ブラジル

ハラルド社買収

ルネサンス不二2018

大豆たんぱく事業の

業績悪化

1950年創業の後発油脂メーカー

2000年代前半は、パーム油高を主要因に業績は低迷期

17/3期は 10/3期以来の過去最高営業利益の更新を予想

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14 巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。

2016 年 11 月 8 日

『強みである技術力』を『稼ぐ力』につなげる

2002 年 4 月の浅原和人氏の社長就任以降、同社の代表取締役社長は海老原善隆氏と

現在の清水洋史氏の 3 氏が務めてきた。製造技術や研究開発力に強みを持つ同社の

歴代の社長は、製造部門や研究開発部門出身者から主に選ばれてきた。浅原氏は油

脂事業生産部長、海老原氏は食品研究所油脂開発部長を経験している。

しかしながら、現在の清水社長は、大手の製菓メーカーや乳業メーカーなどを顧客

とした営業担当者を長年経験した後、新素材販売部長や大阪支店長などを歴任する

など、営業経験が豊富である。清水社長は、社長就任時より、不二製油は研究開発

に強みがある反面、それを事業や商売につなげることは必ずしも上手くはないと自

社を評価してきた。また、強みである研究開発部門においても、食品素材メーカー

である同社は、従来のような「モノづくり」のための研究開発を進めるだけではな

く、「コトづくり」と称し、いかに価値を創造するかが重要とし、顧客のニーズ・最

終製品を意識した研究開発をする必要があるとしている。このように清水社長は、

『自社の強みである技術力』を『稼ぐ力』につなげることで、新しい価値が創造で

きるとし、このメッセージを就任以来、社内外に発信し続けている。

また清水氏は、同社のグローバルビジネスの主要拠点である中国不二製油(張家港)

有限公司の総経理を経験するなど、グローバルな経営視点を持ち合わせている点も

強みであろう。

グローバル経営のスピード化を目指しグループ本社体制へ

2015年 10月より、同社はグループ本社体制へ移行した。移行の目的は以下の 3 点。

①新規事業や M&Aを含むグループ経営の戦略立案機能を強化し、グループ経営資源

の配分を最適化する

②各地域の状況に応じた価値創造力を発揮するために、日本・アジア・米州・欧州、

ブラジルのグループ会社に権限と責任を委譲し、意思決定の迅速化を図り各地域の

ニーズに合致した商品・サービスの創造力を高める

③不二製油グループの成長戦略を担う経営者人材の育成

株式市場では、同社の高い技術力とグローバルな収益基盤に対する期待が大きい。

しかしながら、これまで同社が実行してきた成長投資に対して戦略性が乏しいと見

られていたことや、原材料コストの変動などの外部環境の変化に対応するスピード

の遅さ、さらに低採算事業の存在などがリスクととらえられてきた。

同社は、グループ本社体制へ移行させることで、スピード感を持って課題の解決に

取り組む意思を示している。同社の成長機会は、グローバルな製菓・製パン市場の

拡大により、ますます増大している。同社はこの成長機会を、外部環境に頼るだけ

ではなく、技術力や顧客とのリレーションなど同社の強みを活かして、戦略的に刈

り取る体制を整えようとしている。

弊社では、短期的な業績モメンタムの強さに加えて、こうしたガバナンス体制の変

化による中長期的な同社の変化の可能性にも期待している。

歴代の社長は製造部門や研究開発部門出身者が務めてきた

営業出身の清水社長は、強みである技術力を、収益にいかに結び付けるかを課題としている

中国張家港の総経理を経験

2015年 10月よりグループ本社体制へ移行

経営スピードを向上させ、成長機会を取り込むことが期待される

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巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。 15

2016 年 11 月 8 日

図表 1-2:不二製油グループ本社(2607)概念図

出所:会社資料より MUMSS 作成

グループ会社

(不二製油グループ全体の経営戦略を策定)

不二製油不二富吉(上海)企業管理

フジオイルアジア

フジ ベジタブルオイル

フジオイルヨーロッパ

事業会社(世界各地域の事業を執行)

日本 中国 アジア 米州 欧州 ブラジル

CEO

2015年6月グループ会社化

地域統括会社 地域統括会社 地域統括会社 地域代表会社 地域代表会社 ハラルド

グループ本社

不二製油グループ本社株式会社(上場会社)

株主総会

取締役会 監査役会

Page 16: 7261 マツダ 杉本 浩一 Japan Equity Research Theme: 社長 ......7261 マツダ 輸送用機器 6627-5313 sugimoto-kouichi@sc.mufg.jp 杉本 浩一 28 7701 島津製作所 精密機器

16 巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。

2016 年 11 月 8 日

(3116) トヨタ紡織: 更なる再編に向けた辣腕発揮に注目

シニアアナリスト 岩井 徹

レーティング: Overweight

株価 (11/4): 2,684 円

今後 12 ヵ月間目標株価: 2,800 円

事業・利益の振り返りと社長の系譜

トヨタ紡織は 2004 年にグローバル内装システムサプライヤーを目指し、豊田紡織、

アラコ、タカニチが合併して発足した。社長には旧アラコの社長であった本並正直

氏が就任した。2006 年にはトヨタ自動車株式会社の初代会長豊田英二の三男である

豊田周平氏が社長に就任。トヨタ自動車を経て 2004年に同社に入社し、社長として

9 年間に渡り同社を率いた。その後リーマン・ショック、東日本大震災などが発生。

在任後半には北米での改善施策は功を奏しつつあったが、生産性悪化や不採算受注

による欧米地域の赤字も重石となり、低調な業績推移を余儀なくされた。

2015年 6 月には石井克政社長が就任。石井社長は 1976年にトヨタ自動車に入社し国

内営業に従事。北米部、経理部原価計算課を経験した後、米国で販売金融やマーケ

ティングなどに従事。欧州でもマーケティングを経験。その後は営業企画担当役員、

トヨタファイナンシャルサービス社長を経て 2015年に同社社長に就任した。経歴か

ら判断する限り、営業経験による行動力、経理実践による財務分析力に加え、国際

感覚も合わせ持っている。3 月には 16/3 期まで 6 期連続で営業赤字であった欧州で

のリストラを発表。買収から 5 年で売却を決断するなど日本企業のマネジメントで

はあまり見られない、大胆かつスピード感も有している。今後の新社長の更なる辣

腕に注目したい。

図表 1-1:歴代社長・会長と営業利益・株価の推移

注:予想は MUMSS

出所:AstraManager、各社資料より MUMSS 作成

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営業利益(左軸)

株価(右軸)

(10億円) (円)

(年度)

本並正直2004/10 - 2006/5

豊田周平

2006/6 - 2015/5石井克政

2015/6 - 現在

好川純一

2004/10 - 2008/5

浦西徳一2008/6- 2010/5

箕浦輝幸

2010/6 - 2012/5

豊田周平

2015/6 - 現在会長

社長

(予)

欧米の長期に渡る赤字に苦しんだ

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巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。 17

2016 年 11 月 8 日

新フレームとリストラ断行を評価

新フレームの導入による付加価値上昇と想定以上のリストラ断行による成長シナリ

オの確度が高まっている。同社の業績は、連結全体こそ黒字を確保していたが、北

中南米は 15/3 期まで 7期連続で営業赤字、欧州は 16/3期まで 6 期連続で営業赤字で

あった。だが、2016 年度は新フレーム投入と欧米でのリストラ断行により、北中南

米は黒字定着、欧州は下期から黒字転換の見通しである。2004 年 10 月の豊田紡織、

アラコの内装事業、タカニチの 3社合併によりトヨタ紡織が誕生してしてから 12 年

目となり、更なる再編への機は熟してきた感がある。

ADAS、自動運転を視野に入れると 3社統合のメリットは大きい

2015 年 6 月に就任した石井克政社長は、トヨタグループの室内を担う会社にしたい

との意向も示している。トヨタグループでの主要な内装メーカーは同社の他に豊田

合成と東海理化が挙げられる。この 2 社は豊田合成がエアバッグ、東海理化がシー

トベルトと競合他社と異なりセーフティシステムを別個に生産しておりトータルソ

リューションを提供出来ないなど不利な面がある。ADAS 及び自動運転を視野に入

れた場合、人間と直接接し種々の情報を入手出来るのはシートとステアリングが主

である。ステアリングは事業整理を進めてきたが、依然東海理化が Tier2 として Tier1

の豊田合成に製品を納入している。3社統合によるシナジー効果への期待は一段と高

まってきている。

図表 1-2:内外装主要サプライヤー売上高比較(2015 年)

注:自動車部品事業のみ。赤いグラフは海外サプライヤー

出所:会社資料を基に MUMSS 作成

更なる業界再編の素地が整う

トヨタグループの室内を担う会社にしたいとの意向

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18 巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。

2016 年 11 月 8 日

(3401) 帝人 : 構造改革から発展成長へ転換を担う鈴木社長の手腕に注目

シニアアナリスト 仲田 育弘

レーティング: Neutral

株価 (11/4): 1,964 円

今後 12 ヵ月間目標株価: 1,950 円

事業・利益の振り返りと社長の系譜

帝人は、戦時中はレーヨン最大手として、戦後はポリエステル繊維を始めとした合

繊繊維の大手として、東レと並ぶ業界の雄であった。しかし、04/3 期に営業利益で

東レに再逆転されると、それ以降は営業利益も時価総額も差をつけられていった。

2012 年 2 月に中長期経営ビジョンを発表し、16/3 期営業利益 1,000 億円という目標

を掲げた。しかしながら、事業環境の悪化により社長交代発表時(14/3 期)の営業利益

計画は 200 億円に留まっていた。業績悪化を受け、設備休止や人員削減などの構造

改革策を打ち出してはいたものの、市況製品の採算悪化の影響を受け続けており、

もう一段踏み込んだ構造改革が望まれていた。

こうした状況の中、帝人は 2014 年 1 月に大八木社長(当時)が代表権のない会長に退

き、取締役の中で最年少だった鈴木常務(同)が新社長に就く人事を発表した。当時の

状況から考えると、構造改革のスピードアップと課題である成長戦略の策定が期待

されていたであろう。社長人事発表当時、鈴木氏は高機能繊維・複合材料を管掌し

ていた。しかしながら、キャリアの大半は医薬部門である。大八木氏に続き、2代続

けて医薬畑から社長が誕生したことになる。

鈴木社長の成果

鈴木氏が社長に就任すると、ポリカーボネートのシンガポール工場やフィルムの岐

阜工場の閉鎖を決めるなど構造改革を加速させ、2014年 11月に修正中計を発表した。

その成果に加え、ポリカーボネートなどでの外部環境の好転もあり、16/3 期営業利

益は 671 億円と修正中計の目標である 17/3 期営業利益 500 億円を 1 年前倒しで超過

達成した。

最年少取締役から社長に

構造改革を加速

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巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。 19

2016 年 11 月 8 日

今後の課題

今後は、構造改革の仕上げと発展成長戦略の策定と実行が経営課題であると考える。

素材分野での構造改革を加速させた鈴木社長であるが、ヘルスケアの課題に対して

はアクションが遅れている。それは、①赤字が続く米国在宅事業への抜本的対策と、

②347 億円を投じて株式(19.12%)を取得したキョーリン(4569)との具体的な戦略的提

携関係の構築である。どちらも大八木社長時代のアクションであるため、過去との

柵を断つことができるかどうか、についても今後の重要なチェックポイントである。

過去 20 年程を振り返ると、帝人はスピード感を持って構造改革を実行するものの、

成長戦略が十分に結実していない。M&Aでは、アラミド繊維でのアコーディス買収

は上手くいったが、炭素繊維での東邦テナックスやアコーディスの買収効果では後

に減損損失を計上している。ポリエステル繊維では、100 万トン構想を打出し拡大路

線を進めたが成長事業とはならなかった。現在は、「複合化」と「融合」による「ソ

リューション提供」を実現することで利益成長を果たそうとしており、これまでの

量的拡大路線からの転換を図っている。18/3 期から始まる次期中計で具体的な戦略

が描かれると弊社では考えており、これまでとの違いとその実現性が注目点になる

だろう。

図表 1-1:歴代社長と営業利益・株価の推移

出所:AstraManager、各社資料より MUMSS 作成。予想は MUMSS。敬称略

   

    

2005 2006 2010 2014プラザ合意     リーマンショック東日本大震災・円高

   

   バブル崩壊 アジア通貨危機石油危機   ←外部環境

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

1,600

1,800

0

50

100

150

200

250

78/3 83/3 88/3 93/3 98/3 03/3 08/3 13/3 18/3E

帝人営業利益

東レ営業利益

帝人時価総額

東レ時価総額

(時価総額、十億円)(営業利益、十億円)

大屋

日覺

榊原

平井

前田

伊藤

井川

藤吉

鈴木

大八木

長島

安居

板垣

岡本

徳末

東レ

帝人

前田CEO

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

-20

0

20

40

60

80

100

120

140

160

78/3 83/3 88/3 93/3 98/3 03/3 08/3 13/3 18/3E

(十億円)格差営業利益

格差時価総額

(時価総額、十億円)

(営業利益、十億円)

構造改革の仕上げ

発展成長戦略が課題

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20 巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。

2016 年 11 月 8 日

(4183) 三井化学: 新社長のミッションは明確、安定収益体質転換の完遂

シニアアナリスト 尾脇庸仁

レーティング: Neutral

株価 (11/4): 470 円

今後 12 ヵ月間目標株価: 480 円

事業・利益の振り返りと社長の系譜

三井化学は 2014年 2月、先代の田中社長が大掛かりな構造改革案を発表すると同時

に、田中氏から現社長の淡輪氏への社長交代人事案を発表した。こうした経緯を考

えると、田中前社長がまとめた構造改革案を着実に実行することが淡輪社長のミッ

ションといえよう。

三井化学の目指す構造改革を一言でまとめると、「市況変動の激しいコモディティ領

域のエクスポージャを減らし、安定成長が期待できる高付加価値製品を拡大させる

こと」である。コモディティ領域の規模削減としては、TDI 鹿島工場の閉鎖、千葉

フェノールの生産停止、京葉エチレンからの離脱などが挙げられる。

高付加価値製品については、田中前社長時代に、「モビリティ、ヘルスケア、フード

&パッケージ」の 3 つを重点 3 領域と設定し、独ヘレウス社の歯科材料事業買収、

XDI プラントの新設、エボリューのシンガポール新工場建設などが決定された。

図表 1-1:歴代社長・会長と営業利益・株価の推移

注:予想は MUMSS

出所:AstraManager、各社資料より MUMSS 作成

0

200

400

600

800

1000

1200

-60

-40

-20

0

20

40

60

80

100

120

97 99 01 03 05 07 09 11 13 15 17

営業利益

株価

(10億円) (円)

(年度)

中西 宏幸1999/6 - 2005/6

淡輪 敏2014/4 - 現在

藤吉 建二2005/6 - 2009/6 2009/6 - 2014/4

会長

社長

予想

田中 稔一

中西 宏幸

2003/6 - 2009/62001/6 -2003/6

渡邊 五郎

佐藤 彰夫

1997/10 - 1999/6

幸田 重教

1997/10 - 2001/6

藤吉 建二

2009/6 - 2014/4

淡輪社長就任の経緯

構造改革

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巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。 21

2016 年 11 月 8 日

当面の業績はまだコモディティの市況変動影響を受ける

弊社では、17/3 期営業利益を前年比 121 億円増の 830 億円と大幅な増益を予想して

いる。ただしセグメント別に見ると、基盤素材部門が TDI やエチレンといったコモ

ディティの市況上昇を背景に 179 億円の増益となる一方、重点 3 領域は 16/3 期に原

料安メリットが大きかった反動で 47億円の減益と予想している。

また弊社では、この市況上昇は同業他社トラブルなどの一時的要因によるところが

大きいことから長続きしないと考え、18/3 期営業利益は減益となる 760 億円と予想

している。

つまり現在の収益構造は、基盤素材部門も重点 3 領域も、依然としてコモディティ

の市況変動の影響を一定程度受けている。したがって今後の経営課題は、重点 3 領

域のさらなる拡大と利益率向上につきるといえよう。

そうした観点で淡輪社長就任以降の主な意思決定案件を見ると、不織布の増設、PP

コンパウンドの増設、海外農薬事業の拡大などいずれも重点 3 領域の拡大を志向す

るものであり、その方向性に違和感はない。今後は、ヘレウス社歯科材料事業、XDI、

エボリューなど田中前社長時代の意思決定案件も含めて、これらを着実に高収益事

業とすることが求められる。

このうち、パイプラインが充実している農薬事業や、高級紙おむつ向け不織布は、

中長期的な拡大ストーリーの確度は高いと思われる。一方で、ヘレウス社歯科材料

事業はまだ基本的な収益構造を立て直し中であり、エボリューは将来有望とはいえ

新工場は 30 万トン/年という大規模設備のため、短期間でのフル稼働は難しいと考え

られるなど、課題がないわけではない。今後は、事業縮小や大規模投資といった大

きな意思決定だけでなく、既に意思決定した投資案件の収益化というより実務的な

対応も重要となってこよう。

図表 1-2:三井化学(4183)セグメント別実績・予想

注:17/3 期からセグメント変更。16/3 期についても新基準での会社公表値

出所:会社資料より MUMSS 作成。予想は MUMSS

(百万円)

通期 通期 通期 通期 通期

実績 MUMSS予 会社予 MUMSS予 MUMSS予

売上高 1,343,900 1,210,000 1,174,000 1,250,000 1,280,000

モビリティ 318,200 300,000 295,000 307,000 316,000

ヘルスケア 161,100 151,000 142,000 157,000 163,000

フード&パッケージング 195,200 191,000 182,000 204,000 210,000

基盤素材 630,800 526,000 516,000 538,000 543,000

その他 38,600 42,000 39,000 44,000 48,000

営業利益 70,926 83,000 88,000 76,000 82,000

モビリティ 44,900 39,800 40,000 38,800 40,900

ヘルスケア 11,600 13,200 15,000 14,000 14,800

フード&パッケージング 20,300 19,100 19,000 21,400 23,400

基盤素材 1,000 18,900 22,000 10,400 11,500

調整/その他 -6,900 -8,000 -8,000 -8,600 -8,600

営業利益成長率 - 17.0% 24.1% -8.4% 7.9%

モビリティ - -11.4% -10.9% -2.5% 5.4%

ヘルスケア - 13.8% 29.3% 6.1% 5.7%

フード&パッケージング - -5.9% -6.4% 12.0% 9.3%

基盤素材 - 1790.0% 2100.0% -45.0% 10.6%

その他 - - - - -

18/3 19/316/3 17/3

17/3期は大幅増益だが、18/3期は一転減益と予想

重点 3領域のさらなる安定収益化がこれからの課題

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22 巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。

2016 年 11 月 8 日

(6841) 横河電機:新たな制御事業モデルへの変革を期待

アナリスト 山﨑 みえ

レーティング: Neutral

株価 (11/4): 1,444 円

今後 12 ヵ月間目標株価: 1,490 円

事業・利益の振り返りと社長の系譜

同社は、リーマンショック以降の事業構造改革を経て、15/3 期には営業利益で 07/3

期ぶりに過去最高益を更新、16/3 期も連続して更新した(16/3期 396億円)。弊社で

は、19/3期営業利益を 407億円と予想し、再び最高益の更新を予想する。

リーマンショック後、同社の業績回復と成長を牽引したのは、主力の制御事業への

選択と集中による、大胆な事業構造改革である。2000 年以降に、多角化目的で半導

体テスタ事業や新規事業へ参入したものの不採算が続き、リーマンショック後の 09/3

期、10/3 期には、テスタ事業だけで 100 億円超の営業損失を計上。これを受け、前

社長の海堀氏は、2011 年以降同事業からの順次撤退を実施、制御中心の事業構造へ

転換を図った。制御事業に特化した戦略で、製品力強化や、海外サポート体制の拡

充に取り組み、プロセス・オートメーション業界の大手一角の地位を築いた。

現社長の西島剛志氏は 2013 年 4 月に就任。同氏は、課題である制御事業の収益性改

善のため、2014 年には国内事業で 1,000 人を超える早期退職を実施。また、現中計

では、従来までの製品志向から、プラントのアセットマネジメント(「ソリューショ

ンビジネス」)へ、制御事業のビジネスの根幹を変革する取り組みを進めている。

図表 1-1:歴代社長・会長と営業利益・株価の推移

注:予想は MUMSS。

出所:AstraManager、各社資料より MUMSS 作成

0

500

1000

1500

2000

(6)

4

14

24

34

44

80 82 84 86 88 90 92 94 96 98 00 02 04 06 08 10 12 14 16 18

営業利益

株価

(10億円) (円)

(年度)

山中卓 美川 英二 西島 剛志2013/4 - 現在

会長

社長

予想

海堀 周造

2007/4 - 2013/4

内田 勲

1999/6 - 2007/41993/6 - 1999/61988/6 - 1993/61974/11 - 1988/6

横河 正三

1988/6 - 1993/6

横河 正三 山中卓1993/6 - 1997/6

内田 勲

2007/4 - 2011/6

海堀 周造

2013/4 -2016/6

リーマンショック以降の業績変化

前社長:多角化の失敗を受け、制御事業への選択と集中を実行

現社長:「製品志向」から「ソリューション志向」へ、ビジネスの転換を図る

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巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。 23

2016 年 11 月 8 日

中期経営計画、ガバナンス、中長期的な企業の戦略

多角化の失敗を経たコア事業(制御事業)への回帰、また国内中心から海外中心の

事業構造の変化に伴い、経営陣の意識も大きく変化したと考える。企業価値向上に

対する経営者の意識の高まりが、徐々に株式市場に浸透し、高い評価につながって

いると考える。弊社では、①中期経営計画、②コーポレート・ガバナンスの観点か

ら考察する。

①中期経営計画:同社は、現行の 3 カ年中計「Transformation 2017(16/3 期-18/3 期)」

の中で、ROE 経営を軸に、最終年度 18/3 期 ROE11%以上(ROA6%以上)を全社経

営目標としてコミットしている。前中計では収益性の面で課題が残ったことに加え、

これまでの事業構造改革によって、財務基盤が健全化したことから、攻めの戦略へ

の転換時期と、経営陣が判断したためと推測する。現中計期間の 3 年間は、レバレ

ッジを活用した累計 500億円の戦略投資に加え、200億円のコスト削減を実施するこ

とで、成長と効率性を追求する方針。

弊社では、18/3期 ROE を 9.4%、ROAを 5.7%と予想し、目標達成にはハードルが高

い。中期経営計画での目標達成のためには、資本構成の改善が ROE 上昇のポイント

となる可能性が高いと考える。同社は 15/3 期以降ネットキャッシュの状態が継続し

ており、資本政策に対しての余裕度は高いと推測、株主還元の更なる強化があれば

ポジティブだろう。

②コーポレート・ガバナンス:同社では、西島社長就任以来、ガバナンスの強化に

取り組んでいる。2014 年度には、社外役員独立性基準を制定し、現在は、取締役 10

名中 4 名の社外取締役全てが独立役員である。また、同年には買収防衛策を廃止し

た。2016 年度には取締役への譲渡制限付株式報酬制度を導入。中計目標数値の達成

度に応じた譲渡制限の解除が行われる仕組みで、中計目標の ROE11%を超える 14%

が 100%解除の条件となっている点が特徴。

同社の顧客や競合は、ほとんどがグローバル企業であり、おのずと同社経営陣の目

線も、それに合わせて価値形成された可能性がある。特に、同社の競合は、Emerson、

Honeywell、GE、Siemens など、欧米の巨大複合企業であることを考えると、グロー

バルでのタフな競争環境が、同社の危機感を促し、上述の改革の原動力となった可

能性が高いと考える。

中長期的には、弊社では、「ソリューションビジネス」を軸とした、新たな事業領域

(プロセスオートメーションの上流)への拡大が、今後の成長ドライバーと考える。

同社は、現状の DCS(Distributed Control System;分散制御システム)やフィールド

機器といった事業領域から、MES(Manufacturing Execution System;製造実行システ

ム)のようなシステムの上位の領域への拡大志向を強め、プラントオーナー(経営

層)のコンサルティングに強い KBC社を買収している。当面は、投資先行的な側面

が強いと推測するため、3ヵ年の弊社予想には織り込んでいないが、中期的な動向に

注目している。

企業価値向上に対する経営者の意識変化

①中期経営計画:ROE経営

②ガバナンス:現体制下で取り組み強化

グローバル競争下での危機感が改革の原動力

中長期的な成長ドライバー

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24 巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。

2016 年 11 月 8 日

(6849) 日本光電工業 :病床再編が迫る国内市場での改革に期待

アナリスト 葭原 友子

レーティング: Neutral

株価 (11/4): 2,515 円

今後 12 ヵ月間目標株価: 2,720 円

事業・利益の振り返りと社長の系譜

鈴木前社長(15 年 6 月に代表取締役社長から代表取締役会長に就任)から荻野現社

長の期間は、主に 1)生産・開発体制の刷新、2)海外事業の強化に注力してきた。

生産体制の刷新については、15 年 5 月に新工場の稼働を開始させた。従来の生産体

制は、2 工場に分割されており、効率が低かった。新工場は、プリント基板生産から

最終組み立てまで一貫して行える、効率性の高い生産ラインの構築を実現した。

開発体制の刷新については、現在、所沢に新しい総合技術開発センターを建設中で、

16 年秋に完成予定である。新しい開発センターでは、生体計測機器や治療機器など

の商品群ごとに行ってきた開発体制を改め、商品群の枠組みを超えた開発体制の構

築を目指す。また、米国では生体情報モニタの開発体制の重点化強化を実施し、国

内外での開発力向上を推進している。

海外事業の強化では、搬送用モニタといった新製品群の投入に加えて、海外現地法

人の人事を刷新。米国、ドイツなどの現地法人社長を日本人から外国人に変更し、

各地域の特徴に即した経営が行える体制を構築した。特に米国では、機器の購買に

おいて影響力の大きい GPO(集中購買機構)や IDN(総合医療ネットワーク)など

との関係強化を目指し、外部から人材を登用するなど、抜本的な改革を進めた。円

安の恩恵もあったが、欧米事業の好調により、国内市場の低迷による影響をこなし

て、14/3期以降、業績は安定的に推移している。

15 年 6 月より社長に就任した荻野社長の重要課題は、国内事業の再構築であると弊

社ではとらえている。連結売上高の 73.6%(16/3 期実績)を占める国内事業は、政府

が推進する病床再編に伴い、中長期的には急性期病院数・病床数の減少が機器稼働

台数の縮小を招く可能性があろう。また、病院から在宅医療へのシフトも中長期的

には進むと考えられる。同社は、クリニック向けの販売強化に着手しており、対策

は講じている。しかし、大病院の手術室や病棟からクリニックまで幅広いユーザー

をカバーするために固定費が相対的に高くなってしまうリスクもあり、今後の国内

事業についてはこれまでとは異なる取り組みが求められよう。

同社は、2020年のあるべき姿として、長期ビジョン「The CHANGE 2020 - The Global

Leader of Medical Solutions -」を策定。また、その第 2ステージとして 17/3 期を最終

年度とする 4ヵ年中期経営計画を策定している(図表 1-2)。

同社の業績は、海外事業の拡大により緩やかな成長が期待できると弊社ではみてい

る。一方、国内事業は、病床再編によるマイナス影響により今後高い成長は期待で

きないと考える。しかし、米国やアジア地域での製品ラインアップ拡充や販売体制

の強化が奏功し、業績は増益基調で推移しよう。ただ、現状の株価は中期的な成長

を織り込んだ水準にあると考えられ、レーティングは Neutral としている。

生産・開発体制の刷新、 海外事業の強化

生産体制

開発体制

海外事業強化: 新製品投入、人事の刷新

課題は国内事業

長期ビジョンと 中期経営計画

業績見通し

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巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。 25

2016 年 11 月 8 日

図表 1-1:歴代社長と営業利益・株価の推移

注:予想は MUMSS、2015/4 月に株式分割を実施したため、過去の株価を遡求

出所:AstraManager、各社資料より MUMSS 作成

図表 1-2:長期ビジョンと中期経営計画

出所:会社資料をもとに MUMSS 作成

1981/3/1

1981/4/1

1981/5/1

1981/6/1

1981/7/1

1981/8/1

1981/9/1

1981/10/1

1981/11/1

1981/12/1

1982/1/1

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1982/4/1

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1982/8/1

1982/9/1

1982/10/1

1982/11/1

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1000

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2500

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30

40

50

00 02 04 06 08 10 12 14 16 18

営業利益

株価

(10億円) (円)

(年度)

荻野 博一

2015/6 -現在社長

(予)

鈴木 文雄

2008/6 - 2015/6

荻野 和郎

1989/6 - 2008/6

2015年4月

株式分割を実施

1:2

83.2%

16.8%

74.0%

26.0%

SPEED UP Ⅲ

Strong Growth 2017

The CHANGE 2020- The Global Leader of Medical Solutions -

2013年3月期売上高 :1,325億円営業利益 : 134億円営業利益率: 10.2%

2017年3月期

売上高:1,705億円

営業利益:170億円

営業利益率:10.0%

2020年3月期

売上高:2,000億円以上

営業利益:250億円以上

営業利益率:12.5%

第2ステージ (2013/4~2017/3)

第1ステージ

長期ビジョン (2010/4~2020/3)

65.0%35.0%

海外

国内

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26 巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。

2016 年 11 月 8 日

(7248) カルソニックカンセイ:新社長就任後、業績は大幅改善

アナリスト 八木 亮

レーティング: Neutral

株価 (11/4): 1,316 円

今後 12 ヵ月間目標株価: 810 円

事業・利益の振り返りと社長の系譜

カルソニックカンセイは、2000 年にカルソニック株式会社と株式会社カンセイが合

併して誕生。カルソニックとカンセイの合併後、カルソニックカンセイの 1 代目社

長にはカンセイ出身の高木社長が就任(カルソニック出身の大野社長は会長)。高木

社長も大野会長も元々日産自動車出身である。その後 2 代目社長に日産自動車出身

の北島社長が就任。08 年 6 月に就任した 3 代目社長は日産自動車出身ではなく、日

本興業銀行に入行後 GEキャピタル、GEフリートサービスと金融業界を中心に歩ん

できた呉社長が就任した。その後 4 代目社長として再び日産自動車出身の森谷社長

になっている。

13 年 4 月に森谷社長が就任して以降、3 期連続(14/3 期~16/3 期)で最高利益を更

新している。円安進行、現中計(12/3 期~17/3 期)で実施した海外事業展開などの

各種施策が回収期に入ったこと、自社及び日産自動車と共同で実施している原価低

減活動、13/3 期に発生した北米での生産混乱の収束、及び安定した生産体制の構築

等が寄与した。この中で、各種施策の成果を着実に利益に結びけることができた点

に関して、森谷社長の貢献も大きいと考える。

森谷社長は、日産自動車時代は主に購買部品を歩んできた。カルソニックカンセイ

転籍後は、欧州事業の責任者、国内での営業責任者といった、購買以外の経験を積

んだ後に社長に就任している。加えて、現中計(12/3 期~17/3 期)は森谷社長が役

員時代に前社長と共に策定したものであり、国内外を含めた同社の状況について、

十分把握した上で社長に就任している。そのため、リーダーシップを発揮し各部署

が実行すべき事に対して明確に指示を出せたと推察され、その結果として各種施策

の成果が着実に利益に結びついたと考える。

呉社長を除き全員が日産自動車出身の社長

森谷社長就任後 3期連続で最高利益更新

各種施策を着実に成果に結びつけた

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2016 年 11 月 8 日

図表 1-1:歴代社長と営業利益・株価の推移

注:予想は MUMSS、出所:各社資料より MUMSS 作成

課題及び今後の事業戦略

16/3 期まで着実に業績拡大が継続してきた一方で、現在の課題は日産自動車以外の

売上構成比の拡大であろう。日産自動車向け売上構成比は 84.1%(16/3 期)と高水準

で、同社の業績は日産自動車のグローバル生産台数変動の影響を大きく受ける。新

製品効果等で日産自動車以外への拡販は着実に進んでいるものの、ルノー向けも多

く、日産・ルノーグループ以外への拡販は、同社の売上規模を考慮するとまだまだ

限定的である。

この課題解決のための今後の事業戦略の軸は、現中計期間中(12/3 期~17/3期)に投

入したコンプレッサー等の新製品の活用による日産自動車以外への新規受注の獲得

となろう。実際に、小型・軽量化した固定容量コンプレッサーの受注が好調である

等、一定の成果もでてきている。また同社は、今後市場の拡大が見込まれる HMI(ヒ

ューマンマシンインターフェインス)に力を入れていく模様であり、同分野で協業

等を含めた戦略にも注目したい。

投資対象としての評価

同社の株価変動要因は、現状では業績推移よりも、日産自動車が保有する全株式の

売却に関する追加情報に焦点が集まっていると考える。売却自体まだ事実として確

定された訳ではないが、先日の日経報道によると、米投資ファンドが、同社株式に

対し TOBを実施し、日産自動車が保有する約 41%の株式を含めた全株式の取得を目

指すとのことである。TOB実施の有無を含め、今後の動向が注目される。

0

100

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営業利益(百万円:左軸) 株価(円:右軸)

森谷弘史社長(日産自動車)

2013/4~現在

呉文精社長(日本興業銀行)

2008/6~2013/3

北島孝社長(日産自動車)

2003/6~2008/5

現中期経営計画

(CK GX4 T10)

12/3期~17/3期

中期ビジョン中期経営計画

06/3期~08/3期

時期 対象期間 内容 結果

中期経営計画 06/3期~08/3期08/3期 売上高 7,000億円、営業利益350億円、営業利益率5%、内製売上高利益率6%以上

売上高8,335億円、営業利益142億円、営業利益率1.7%、内製売上高利益率2.5%

中期ビジョン08年5月に公表だが対象期間の明記はなし

目指す姿:13/3期に売上高1兆円、付加価値売上7,000億円、付加価値営業利益率5%

中期経営計画(CK GX4 T10)

12/3期~17/3期 売上高1兆円以上、付加価値営業利益率7% -

高木孝一社長(日産自動車)

~2003/5

現在の課題は日産自動車以外の売上構成比の拡大

HMI分野での協業等を含めた戦略にも注目

日産自動車が保有する全株式の売却に関する追加情報が焦点

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2016 年 11 月 8 日

(7261) マツダ:「攻めの社長人事」で独自の成長戦略追及へ

シニアアナリスト 杉本 浩一

レーティング: Overweight

株価 (11/4): 1,570 円

今後 12 ヵ月間目標株価: 2,300 円

事業・利益の振り返りと社長の系譜

マツダの歴史は生き残りのための闘争史そのものである。1960 年に乗用車事業に本

格参入後は、1967 年に初のロータリーエンジン搭載車を発売するなど独自技術をベ

ースに先行する大手メーカー等との製品の差別化を試みた。しかし、オイルショッ

ク等もあって販売不振となり、1979 年には松田家以外での初の社長である山崎氏が

フォードとの資本提携に踏み切る。1980 年発売の「ファミリア」の大ヒット等を経

て、1981年には防府新工場(山口県)を操業、1987年には米国生産を開始し、国内

販売網の 5 チャンネル化(1989 年~1992 年)、米国高級ブランド新設(実現前に中

止)など積極拡大路線を進めるが 90年代に経営不振に陥った。社長は通産省出身の

古田氏から住友銀行(当時)出身の和田氏へ 1991年に交代した。

1996 年以降は筆頭株主のフォード出身の社長のもと経営再建を図った。2000 年 11

月には宇品第 2 工場閉鎖計画(最終的には、替わって本社工場を閉鎖)や早期退職

優遇プランを含む中期計画「ミレニアムプラン」を発表。2004 年には 16 年振りの「生

え抜き」社長で生産部門出身である井巻氏が就任し、中期計画「マツダモメンタム」

を発表。当時の目標は 07/3 期連結営業利益 1,000 億円(1 年前倒しで達成)。08/3 期

連結営業利益は過去最高(当時)である 1,621 億円となった。2007 年 3 月には、10

年先を見据えた長期戦略と中期計画「マツダアドバンスメントプラン」(11/3期連結

目標営業利益 2,000 億円)を発表。

その後マツダは、世界同時不況進行に伴う販売不振と円高進行の中、12/3 期まで 4

期連続の純損失を計上するのだが、この危機を乗り切るべく 2008 年 11 月に社長に

就任したのが企画管理出身の山内氏である。2 回の増資(10/3 期 735 億円、12/3 期

700億円の劣後ローンを含め 2,142 億円)に踏み切るなど、主に財務の立て直しに奔

走した「守りの名手」であった。これは、2011 年に発表したメキシコ工場新設など

その後の成長戦略に必要な資金確保の意味合いもあった。2010 年 4 月には「中長期

施策の枠組み」を発表。16/3 期営業利益 1,700 億円(その後の円高等を踏まえ、2012

年 2月発表の「構造改革プラン」では目標値は 1,500 億円へ下方修正)を目標に据え

た。

2013年には生産部門出身である小飼氏が社長に就任した。「中長期施策の枠組み」の

中で謳われていた(1)ブランド価値向上、(2)モノづくり革新、(3)スカイアクテ

ィブを含む環境安全技術の推進といった、マツダ独自の成長戦略に取り組むための

「攻めの人事」と言えよう。円安効果もあって 16/3 期には営業利益が過去最高水準

である 2,268 億円に到達した。17/3期には創業以降初めてネットキャッシュに転じる

マツダの歴史:生き残りのための闘争史

リストラクチャリングを経て生え抜き社長のもと、08/3期に過去最高益計上

リーマンショック後:「守りの名手」へバトンタッチ

生産技術出身の小飼社長:ブランド価値向上、モノづくり革新、環境安全技術開発など攻めの経営へ

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巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。 29

2016 年 11 月 8 日

見通し。弊社では、「CX-9」「CX-4」など新モデルの投入効果に注目してレーディン

グを Overweight としているが、その背景には構造改革の成果(以下の 4 点)がある

ことを強調したい。

(1)新世代の高効率エンジンの採用で、燃費性能などで『他社と差別化』できるよ

うになった。新型の個性的な高圧縮比の直噴ガソリンエンジン(圧縮比 14.0)や低

圧縮比の新型ディーゼルエンジン(圧縮比 14.0)など、新世代のマツダを象徴する

技術を会社側は「スカイアクティブ・テクノロジー」と名付けており、性能がさら

に進化する第二世代の開発にも着手している点が重要。

(2)製品の開発面で、会社側が『一括企画』と呼ぶ開発革命によって、車両の基本

骨格・基本システムを、プラットフォームを跨いで共通化・相似化した。従来の車

格別の開発ではなく、車格が異なるモデル間でも、自動車部品や生産設備の調達面

を含め、コモンアーキテクチャーというくくりでとらえた新発想のビジネスモデル

を全社で展開。この結果、開発、調達、生産など各方面で従来以上にシナジーが出

るようなビジネスモデルを、他社に先駆けて追及・実現した点が重要なポイントで、

「スカイアクティブ」技術をフル搭載した「CX-5」(2012 年 2 月発売)以降の新型

モデルは、円安効果もあって台当たり利益が大幅にアップしている。

(3)前田育男デザイン本部長などの指揮の下、共通デザインテーマである『魂動(こ

どう)、Soul of Motion』に基づく一貫した商品戦略が実を結んできた。「CX-5」、「マ

ツダ 6」、「マツダ 3」など「スカイアクティブ」技術をフル搭載している最近のマツ

ダ車は、性能が飛躍的にアップし、品質が良い洗練された外観のクルマとなってお

り、適正な価格で提供する個性的なブランドとしての認知度が世界的に向上してい

る。このようなマツダのポジティブなトレンドが今後も続くと予想。

(4)マツダにとって初体験となる売り方改革による販売マージンのアップが期待で

きる点も、従来にはなかった変革点である。最近のマツダは『正価販売』を旗印に、

短期的なマーケットシェアよりも、台あたりの採算や中長期のブランドイメージを

重視する販売戦略を採っている。生産分野でのコスト革新だけでなく、販売分野で

の「販売革新」が台当たりの販売利益の上昇に寄与してくる点が、過去のマツダに

は見られなかった動きで前向きに評価できよう。このような戦略が可能なのは、経

営陣や幹部社員が、自社の製品、デザイン、技術などに大きな自信を持っているこ

とが大きいと我々は考えている。

ポイント 1:高圧縮ガソリンエンジンなど他社と差別化できる「スカイアクティブ」技術群

ポイント 2:一括企画と呼ぶ開発革命

ポイント 3:優れたデザイン戦略

ポイント 4:販売改革、正価販売への挑戦

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30 巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。

2016 年 11 月 8 日

図表 1-1:歴代社長・会長と営業利益・株価の推移

注:予想は MUMSS。

出所:AstraManager、会社資料より MUMSS 作成

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営業利益

株価

(10億円) (円)

(年度)

山崎芳樹1977/12 - 1984/11

山本健一1984/11 -1987/12

古田徳昌1987/12 - 1991/12

和田淑弘1991/12 - 1996/6

フォード出身者 4人1996/6 - 2003/8

小飼雅道2013/6 - 現在

井巻久一2003/8 - 2008/11 2008/11 - 2013/6

会長

社長

予想

山内孝

渡辺一秀2000/6 - 2006/6

井巻久一2006/6 - 2010/6 2010/6 - 2014/6

山内孝2014/6 - 現在

金井誠太和田淑弘

竹林守1996/6 - 2000/6

古田徳昌

1992/12 - 1996/6

山本健一

1987/12 - 1992/121984/11- 1987/12

渡辺守之岩澤正二

1980/1 - 1984/11

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巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。 31

2016 年 11 月 8 日

(7701) 島津製作所: 株価再上昇への準備は整った

シニアアナリスト 小宮 知希

レーティング: Overweight

株価 (11/4): 1,459 円

今後 12 ヵ月間目標株価: 2,350 円

事業・利益の振り返りと社長の系譜

2000年以降、同社社長が大きな変革をもたらしたのは 1998年就任の航空機器出身の

矢嶋英敏氏に遡る。矢嶋氏は、慶応大学卒業後、防衛庁(現防衛省)、日本航空機製

造を経て同社に入社した異例の経歴を持つ経営者。02/3 期の業績悪化、営業赤字転

落に際しては、前例にとらわれない「選択と集中」で同社初の人員削減を含む収益

構造改革に取り組み、同社の経営改革を成し遂げ業績を V 字回復させた。

矢嶋氏の後を継いで 2003年に社長に就任した服部重彦氏以降、中本晃氏、上田輝久

氏(現社長)と 3 代連続で計測機器出身である。計測機器の売上比率は服部氏就任

時の 55%程度から 16/3 期には 60%を超える水準まで高まっており、利益面でも過去

最高営業利益を 16/3 期に更新するなど、服部氏以降の計測機器出身の社長により同

事業を中心に業績を拡大させてきたことがうかがえる。服部氏が退任した 08/3 期に

は過去最高営業利益 276億円(当時)を達成した。

服部氏以前の社長は、矢嶋英敏氏(1998年~2003年)は航空機器、藤原菊男氏(1992

年~1998 年)は国際本部(当時)、西八條實氏(1986 年~1992 年)は航空機器、横

地節男氏(1981 年~1986年)は営業本部(国内営業、当時)出身である。

構造改革後、1 年の任期を残して退任した矢嶋氏の後を受けた服部氏が「①計測中心

の成長、②海外市場での事業拡大加速」を明確に示し大きく同社経営の舵を切った。

この方針転換が現在までの順調な同社の利益成長につながったといえよう。

図表 1-1:歴代社長と営業利益・株価の推移

出所:AstraManager、各社資料より MUMSS 作成、予想は MUMSS

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営業利益 (左軸)

株価 (右軸)

(10億円) (円)

(年度)

予想

社長矢嶋 英敏

1998/6 - 2003/6

服部 重彦

2003/6 - 2009/6上田 輝久

2015/6 - 現在

中本 晃2009/6 - 2015/6

藤原 菊男

1992/6 - 1998/61986/6 - 1992/6

西八條 實横地 節男1981/6 - 1986/6

1998年就任の矢嶋英敏社長による収益構造改革で業績は V字回復

矢嶋氏の後任の服部重彦氏以降、計測機器出身社長が続く

服部氏以前の社長はいずれも計測機器以外の出身

服部社長の方針転換が現在までの利益成長につながった

Page 32: 7261 マツダ 杉本 浩一 Japan Equity Research Theme: 社長 ......7261 マツダ 輸送用機器 6627-5313 sugimoto-kouichi@sc.mufg.jp 杉本 浩一 28 7701 島津製作所 精密機器

32 巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。

2016 年 11 月 8 日

2010年以降、計測機器事業が全社業績を牽引、財務戦略の選択肢も広がる

2010 年以降の質量分析計の内製化加速を中心とした製品競争力の改善により、同社

の収益構造は大きく改善してきた。2015年 6 月に就任した上田輝久社長は、2011年

より分析計測事業部長として計測機器の事業拡大を牽引してきた。ただ、同事業の

ハードウエアのラインナップの拡大や収益性の改善は既に目処がつきつつあり、次

の成長ステージに向け長年の懸案であった消耗品の事業ポートフォリオへの取り込

みを本格的に行う段階にある。上田社長は、分析計測機器事業部長時代よりハード

以外の事業拡大に積極的に取り組んできたが、社長就任でこの動きが加速すると弊

社では考える。

また、同社の課題であった非主力事業(航空機器事業、医用機器事業)の収益性改

善も既に終わっている。最も収益性改善が遅れていた医用事業の構造改革も終了し、

16/3期には全事業で黒字となった。

加えて、キャッシュフローの改善を背景にバランスシートも改善してきており、株

主還元を含めた財務戦略の選択肢は広まった。2015年には目標総還元性向 30%、増

配に加え初の自己株取得の方針を示した。資金使途の優先順位は 1)成長投資、2)

配当、3)自己株取得であり、現状は成長投資に向けた取り組みで自己株取得は実施

されていないが、成長投資一巡後の自己株取得実施の時期はそう遠くないと弊社で

は考えている。

カタリスト不足である今こそ、投資タイミングとして適切と考える

株価は、2015 年に利益成長による過去最高益更新期待を背景に大幅に上昇したが

2016年に入り調整局面にある。弊社では 18/3 期を初年度とする次期中期経営計画に

より中期的な利益ターゲットが示されることが株価上昇のきっかけとなると考えて

いる。また、従来全社業績拡大の足を引っ張ってきた医用事業と航空事業の構造改

革が終了したことから、18/3 期からは、計測事業の安定成長(先進国での安定した

市場環境と用途拡大、新興国市場での引き続き堅調な環境規制関連需要、同社製品

ラインナップ拡大による製品シェア上昇)が、全社業績に素直に反映しやすくなり、

過去最高益を連続して更新していくと予想する。この点も株価にはポジティブに作

用しよう。17/3 期下期には、株式市場ではこれらの中期経営計画への期待や、18/3

期の成長路線回帰に対する期待が高まると考える。

計測機器市場は、先進国、新興国ともに安定している。マクロ環境の不透明感が増

す中で相対的に魅力的な事業環境にあるといえる。また赤字事業の梃入れ終了や、

主力の計測機器でのシェア上昇など外部環境に左右されずに安定的な利益成長を達

成することが可能になってきている点も株価にはポジティブに作用するだろう。

株価が前回の上場来高値である 1,640 円を下回る株価水準近辺で推移している現在

の状況は、今後の過去最高益更新を考慮すると投資タイミングとして適切であると

考える。

計測機器は質量分析計の内製化加速で収益性改善

消耗品事業の取り込みを本格化

財務体質改善で財務戦略の選択肢は広がり自己株取得も視野

18/3期からは計測機器の成長が全社業績を牽引し過去最高益連続更新へ

株価上昇のきっかけは次期中期経営計画の開示

計測機器市場は先進国、新興国ともに安定

現状株価は投資タイミングとして適切

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巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。 33

2016 年 11 月 8 日

(7735) SCREENホールディングス: 市場を味方につけた垣内体制

シニアアナリスト 宮本 武郎

レーティング: Neutral

株価 (11/4): 6,910 円

今後 12 ヵ月間目標株価: 4,900 円

事業・利益の振り返りと社長の系譜

1943年設立の大日本スクリーン製造株式会社は、1943年の初代社長石田敬三氏、1947

年の二代目社長石田徳次郎氏、1989 年の三代目石田明氏と、創業家社長が続いた。

石田明氏は 1995 年に事業部制を導入、その後 IT バブル崩壊による業績低迷とバラ

ンスシートの悪化を受け 2001 年から会長職を兼務しつつ社長職を継続し、のちに次

期社長となる橋本正博氏を大和銀行(現りそな銀行)から招聘し常務財務本部長に

任命。2002年にはカンパニー制を導入した。

財務改善に一定の目途がついた 2005年に橋本氏が創業家外の初の社長に就任したが、

リーマンショックを経て再び財務は悪化。この間、石田明氏は会長兼 CEO として経

営意思決定に関与を続けた。

再び財務の改善が見えてきた 2014年に垣内永次氏が社長に就任したが、当初は COO

であり、石田明氏が会長兼 CEO を続けた。同年、大日本スクリーン製造株式会社か

ら持株会社制へと移行し、社名を株式会社 SCREEN ホールディングスに変更。2016

年に石田明氏は CEO 職を辞めて会長職に専念し、垣内氏が社長兼 CEO となる体制

に移行した。

図表 1-1:歴代社長・会長と営業利益・株価の推移

注:予想は MUMSS。

出所:AstraManager、各社資料より MUMSS 作成

0

600

1200

1800

(25)

(15)

(5)

5

15

25

35

80 82 84 86 88 90 92 94 96 98 00 02 04 06 08 10 12 14 16 18

営業利益 株価

(10億円) (円)

(年度)

石田 徳次郎

1947/5 - 1989/6 1989/6 - 2005/6

会長

社長

予想

石田 明 橋本 正博 垣内 永次

2005/6 - 2014/4 2014/4 - 現在

石田 明

2001/6 - 現在

創業家からの移行と財務改善

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34 巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。

2016 年 11 月 8 日

垣内社長の就任は、財務問題の改善目途が立ち、その先の成長戦略に軸足を移す転

換点と重なると弊社では考えている。社名変更や持株会社化など、同社の歴史の中

でも大きな変化であろう。まずは目先の中計を達成し、さらにその先の成長路線を

描き、戦略を遂行していくことが求められていよう。

垣内氏の経歴の特徴は、同社の祖業である印刷関連機器事業(現株式会社 SCREEN

グラフィックス&プレシジョンソリューションズ)の経験が長い生え抜きであるこ

と、広報・IR を担当していたことから社長就任前から投資家と直接的な対話を繰り

返してきていることであろう。

今期は、創業 70周年の 2013 年に固められた中期 3カ年計画「Challenge2016」(2014

年 4月~2017年 3月)の最終年度に当たる。中計で目指す方向性は「高収益体質へ」

「新規領域での事業化」「財務体質強化」の 3つであり、それぞれを具体化させた中

計目標は

(1) 収益構造改革の完遂: 17/3 期の営業利益率 10%以上

(2) 新規領域での事業化: 4つの新規事業領域での黒字化

(3) 財務体質の強化: 17/3 期の自己資本比率 50%以上

の 3点となる。

この中計目標の達成がまずは垣内社長に課せられたミッションであり、その達成確

度は高いと弊社では見ている。16/3 期営業利益率は 9.1%であり、SPE 受注が強い足

元の状況を考えると 17/3 期に 10%超の営業利益率を達成することは可能だろう。新

領域ではエネルギー、ライフサイエンス、検査計測、プリンテッドエレクトロニク

スの領域に取り組んでおり、事業化フェーズに入ってくると見られる。財務体質に

関して、16/3期末の自己資本比率は 44.3%であり、運転資本の最適化や政策保有株式

の流動化など既に予定されている資本効率化施策を組み合わせることで、自己資本

比率 50%超の達成は可能であろう。

弊社では、現中計の先の成長戦略を立案・遂行するにあたって垣内氏のバックグラ

ウンドが生きてくると見ている。収益の柱である半導体製造装置事業は業界再編の

動きが活発である。過去 2 年間、大手同士の合併計画は規制当局の反対により失敗

に終わっており、今後の業界再編は大手企業による中堅企業の吸収という方向に向

かうと弊社では予想している。そのような事業環境の中、洗浄装置で世界 40%とい

う高いシェアを持ちつつも事業規模の小さい同社の半導体製造装置事業をどのよう

に成長させていくかが注目される。

また、資本市場との対話に積極的な点は、垣内氏の合理的な意思決定の一助となる

可能性がある。投資家から生の意見を聞くことで、内輪の論理に引きずられること

無く、同社株主にとって最善の選択肢を検討する姿勢が強まるであろう。持株会社

化されたことで、半導体製造装置事業、FPD 機器事業、印刷関連機器事業などそれ

ぞれに最適な事業提携関係を構築可能になっている。必要に応じて事業構造を大胆

に変化させられる体制を整えており、垣内氏を中心とする経営チームの手腕に注目

していきたい。

転換点での社長就任

生え抜き、かつ、投資家の声をよく聞く

中計目標

中計達成の確度は高い

半導体製造装置業界は再編の動きが活発

事業構造の大胆な変化の可能性も

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巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。 35

2016 年 11 月 8 日

(7956) ピジョン: 成長と還元を基軸に企業価値向上経営を推し進める

アナリスト 川本久恵

レーティング: Overweight

株価 (11/4): 2,828 円

今後 12 ヵ月間目標株価: 3,430 円

事業・利益の振り返りと社長の系譜

ピジョン(7956)は、(1)国内ベビー・ママ事業において哺乳瓶乳首などに代表さ

れるブランド力と市場優位性にもとづく競争力と、(2)中国やインドなどの海外成

長市場での広範囲展開による高収益化をもとに、利益の質にこだわる収益構造の改

善と資本効率の向上、そして株主還元の実施による企業価値向上経営を推し進めて

いる。特に同社の中国事業は、主要病産院との提携と母乳育児に関する啓発活動を

強みにしており、富裕層に対して高付加価値商品を販売し、ECの拡大に対応。また、

国内でのインバウンド需要は 17/1 期も旺盛であり、中国人消費者に対して、(1)リ

アル店舗、(2)EC、(3)インバウンド需要などの多様な販路において接点が広がっ

ている。

現社長山下氏は、海外でタイ、米国でのマネジメント経験があり、前社長大越氏か

らの信頼が厚く 2013 年より社長に就任している。山下氏の功績については、

(1)社是、経営理念を Pigeon Wayという形式で提言し、グローバルで共有

(2)企業価値向上経営を重視し、ROE、ROIC、CCCなど KPI指標改善の強化

を推し進めている点といえよう。

図表 1-1:歴代社長と営業利益・株価の推移

注:予想は MUMSS。

出所:AstraManager、各社資料より MUMSS 作成

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

8,000

9,000

円百万円

営業利益(百万円) 調整済終値(円)(右軸)

第2次中計(06-08/1期) 第3次中計(09-11/1期) 第4次中計(12-14/1期) 第5次中計(15-17/1期)

松村社長(2000年‐) 大越社長(2007年‐) 山下社長(2013年‐)

インド進出

ベビーカー事業の本格参入

ランシノ社をグループ化

ピジョン上海製造開始

ランシノ上海設立

企業価値向上経営を推し進める

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36 巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。

2016 年 11 月 8 日

社是や経営理念は抽象的であったが、山下氏が提言した Pigeon Wayにおいては、使

命や、基本となる価値観、行動原則を具体的に定めており、世界に通じるブランド

力育成のため、全社で同社の経営理念と Value を共有することが可能となった。同社

は 12 の課題(図表 1-4)を掲げており、特にキャッシュフロー経営(PVA)を各部

門で精緻に分析し開示することで、(1)問題点の見える化、(2)経営理念の部門レ

ベルへの浸透、(3)投資家に対する情報開示の透明性を高めていると考える。

中長期的な企業業績の見通し

中長期的な企業業績の見通しとして、(1)商品構成改善による粗利率の一層の上昇

による利益率上昇、(2)富裕層をターゲットとした商品戦略による売上成長を予想

する。同社は高粗利率商材を拡販し、過去 10 年で+10pt の粗利率上昇を達成し、今

後も改善を図る(図表 1-3)。17/1 期は円高による業績目減りを見込むが、18/1 期は

円高一巡と中国事業の EC強化、国内ベビー・ママ事業の堅調から、増益幅の拡大を

予想する。

図表 1-2:ピジョン(7956)PVA ツリー 17/1 期 2Q 累計

出所:会社決算説明会資料より MUMSS 作成。

注:PVA(Pigeon Value Added)

図表 1-3:ピジョン(7956)収益構造と営業利益 図表 1-4:ピジョン(7956)企業価値向上への 12 の課題

出所:会社資料より MUMSS 作成。予想は MUMSS 出所:会社資料より MUMSS 作成

PVA

スプレッド

ROIC

WACC

税前ROIC

税率

営業利益率

投下資本回転率

原価率

販管費率

運転資本比率

固定資産比率

現金他資産・負債比

全社連結

計画 10.0%

実績 11.5%

前期 10.5%

計画 15.0%

実績 16.5%

前期 15.5%

計画 25.2%

実績 27.9%

前期 26.2%

計画 14.7%

実績 16.8%

前期 16.6%

計画 52.6%

実績 53.4%

前期 53.1%

計画 32.7%

実績 29.8%

前期 30.2%

計画 1.7

実績 1.7

前期 1.6

計画 18.9%

実績 18.1%

前期 20.4%

計画 26.9%

実績 25.8%

前期 27.9%

計画 12.4%

実績 16.3%

前期 15.1%

共通 5.0%

共通 40.7%

上:FY17/1期2Q計画

中:FY17/1期2Q実績

下:FY16/1期2Q実績

0.0

5.0

10.0

15.0

20.0

25.0

0.0

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

60.0

70.0

80.0

10億円

営業利益(右軸) 粗利率% 販売管理費率% 営業利益率%

%グローバル

情報システム

論理的

ワークプロセス

給与水準向上

グローバル

人材育成

グローバルで

経営理念・

Valueを共有

世界に通じる

ブランド力開発力

成功の為の

ビジネスモデル

キャッシュフロー

経営(PVA)

グローバル

キャッシュ

マネジメント

ダイバーシティ

・女性経営層グローバルSCM

World class BusinessExcellence

継続的な発展

社員のやる気、満足感、自信、誇り、帰属意識の醸成

18/1期は円高一巡も寄与し、増益率が拡大しよう

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巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。 37

2016 年 11 月 8 日

(8058) 三菱商事 勝ちパターンの大転換、積極的なグロス投資戦略からの決別

シニアアナリスト 永野 雅幸

レーティング: Overweight

株価 (11/4): 2,252 円

今後 12 ヵ月間目標株価: 2,300 円

事業・利益の振り返りと社長の系譜

資源分野に加えて、非資源での機械、生活産業、化学品などの伝統的な非資源分野、

新しい時代に対応するために新設した新産業金融、地球環境・インフラ事業など先

進的な非資源分野、どの分野においても三菱商事の競争力は高かった。その競争力

の高さを生かして、積極的な新規投資によりバリューチェーンを構築するという金

科玉条のもとにポートフォリオを拡大し、総合的な競争力を更に高めるというのが

それまでの三菱商事の勝ちパターンであったと言えよう。

14/3 期頃から総合商社業界他社が様々な事情からグロス投資を削減させる中、三菱

商事は(資産売却を積極化させてキャッシュフロー改善には注力するものの)グロ

ス投資の規模は前中計期間中(14/3 期~16/3 期)も前々中計期間中(11/3 期~13/3

期)と同等レベルの年間約 8,000 億円を維持。過去 6期(11/3期~16/3 期)合計でグ

ロス投資額は約 5兆円(資源に 2.3兆円、非資源に 2.7 兆円)に上った。

しかし、16/3期には純利益-1,494 億円を計上、戦後の財閥解体を経て現体制になった

1954 年以来の初の赤字に転落した。赤字転落の主因は多額の減損の計上。16/3 期は

金属資源-3,170 億円・エネルギー資源-680 億円、非資源-410億円の合計-4,260 億円に

上った。00/3 期から 15/3 期まで 15期連続で純利益規模第 1位を誇っていた三菱商事

は、16/3 期には総合商社業界で最大の赤字を記録した。この 16/3 期はそれまでの三

菱商事の勝ちパターンの終焉とも言えよう。

垣内現社長の社長指名発表は 2015年 12月、社長就任は 2016年 4 月である。新しい

勝ちパターンの確立と三菱商事を名実ともに第 1 位に復活させるのが、垣内社長の

使命であろう。

その垣内社長が、社長指名から熟考し練り上げたのが新中計「中期経営戦略 2018」

~新たな事業経営モデルへの挑戦~(17/3 期~19/3 期)である。向こう 3 カ年の経

営の考え方として、(1)「資源」と「非資源」のバランス見直し(資源分野は投融資

残高を一定に保つ)、(2)キャッシュフロー重視の経営(キャッシュフロー創出額の

範囲内で、投資と株主還元を実行=株主還元後 FCF をプラス化させる)、(3)「事業

投資」から「事業経営」へのシフト、(4)「事業のライフサイクル」を踏まえた入替

の加速、を掲げる。それまでの積極的なグロス投資戦略から決別、かつ、ポートフ

ォリオも単純に規模を拡大するのではなくて、ポートフォリオの適度な頻度での入

れ替えを志向するもので、新しい勝ちパターン構築の方向性が明確に見て取れよう。

積極的な新規投資によるバリューチェーン構築が勝ちパターンだった

過去 6期合計でグロス投資額は約 5兆円に上る

16/3期に-4,260億円の減損計上、これまでの勝ちパターンの終焉

新しい勝ちパターンの確立が垣内社長の使命

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38 巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。

2016 年 11 月 8 日

「事業投資」から「事業経営」へのシフトとは何か。「事業投資」とは経営への関与

により価値を高める、「事業経営」とは主体的に強みや機能を発揮し事業価値を創出、

と三菱商事は定義する。言い換えれば、「事業投資」とは商社の金融機能(投融資機

能)によって利益成長(新規投資による収益増大・既存事業効率改善による収益拡

大)を目指すビジネスモデルであるのに対して、「事業経営」とは商社の経営機能(必

ずしも投融資を伴わなくても、経営人材を派遣し、その経営人材の主体的な創意工

夫による付加価値創出することで利益成長を目指す、というものであろう。

「事業環境の変化により常に事業は変質しうる」ということ、どんな事業にもライ

フサイクル(創生期・成長期・安定期・成熟期)があるということを大前提に、事

業を 5 つ(インキュベーション、成長、基盤、効率化、ピークアウト)に区分。こ

の区分によって、入替(新規投資や撤退)を判断する。この入替を加速することに

よって、「事業投資」から「事業経営」へのシフトを実現する。

17/3期~19/3期の 3期間のFCF目標は株主還元後 FCFをプラス化させるというもの。

キャッシュフローの基本計画(3 期間合計)は、営業 CF1.0 兆円、投資 CF-0.7 兆円

(グロス投資-1.6 兆円、投資回収+0.9 兆円)、株主還元-0.3 兆円と弊社は推計。キャ

ッシュフロー経営をより強化するために、事業グループ(各セグメント)レベルで

も、”配当後”FCF の黒字化を徹底する。

「事業投資」から「事業経営」へのシフト、それによる三菱商事の「人材」「経営力」

の変革の方向性、垣内社長の実行力と意思の強さ、は高く評価できよう。総合商社

という製造業ではない、人材の力で成り立っている業態においては、経営者が誰か

というだけで、大きく変化する傾向が強いと思う。三菱商事の変革のポテンシャル

は高いと判断する。

図表 1-1:歴代社長・会長と当期純利益・株価の推移

注:予想は MUMSS。

出所:AstraManager、各社資料より MUMSS 作成

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

4,000

(200)

(100)

0

100

200

300

400

500

600

86 88 90 92 94 96 98 00 02 04 06 08 10 12 14 16 18

純利益

株価

(10億円) (円)

(年度)

槙原 稔

1992/6 - 1998/3

会長

社長

(予)

諸橋 晋六

1986/11 - 1992/5

佐々木 幹夫

1998/4 - 2004/3

小島 順彦

2004/4 - 2010/5

小林 健

2010/6 - 2016/3

垣内 威彦

2016/4 - 現在

諸橋 晋六

1992/6 - 1998/3

三村 庸平

1986/6 - 1992/5

槙原 稔

1998/4 - 2004/3

佐々木 幹夫

2004/4 - 2010/5

小島 順彦2010/6 - 2016/3

小林 健

2016/4 - 現在

「事業投資」から 「事業経営」へのシフト

「事業のライフサイクル」を踏まえた入替の加速

CF経営の徹底: 各セグメントでも配当後FCF黒字化

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巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。 39

2016 年 11 月 8 日

(8308) りそなホールディングス: 公的資金完済後も残るDNA

シニアアナリスト 笹島 勝人

レーティング: Overweight

株価 (11/4): 449.3 円

今後 12 ヵ月間目標株価: 590 円

事業・利益の振り返りと社長の系譜

りそな HD の事業・利益の変遷は、公的資金の注入と返済を抜きには語れない。長

い間、収益力強化など企業努力は、悲願の公的資金完済の早期実現への努力でもあ

った。りそな HD の公的資金は、2003 年 6 月の 1 兆 9,600 億円の注入直後は、1990

年代末の大手銀行への一斉注入分を合わせ、ピークで 3 兆 1,280 億円あった。

公的資金完済は 2015 年 6 月、2003 年の注入から 12 年の歳月が流れ、純粋な民間企

業に戻った。特筆すべきはリーマンショックの時ですら、他の大手銀行と異なり当

期損益の黒字を維持したこと。公的資金の注入と同時に JR東日本から移籍・就任し

た細谷 英二会長が、徹底した不良債権処理と保有株式の削減、を断行したため。04/3

期の巨額の当期損失 1 兆 6,640 億円と引き換えに、堅実なバランスシートを得た。

東 和浩社長は、2012 年 11月の細谷会長の急逝後、2013年 4月に就任した。当時報

道は、大手銀行グループのトップで最年少の 55歳、主に企画畑との紹介が多い。公

的資金返済で得た企業体質が、企業価値に反映するのか、堅実経営の DNAが環境悪

化時に活きるのか、経営トップの手腕と真価が問われている。

図表 1-1:歴代社長・会長と当期利益・株価の推移

注:予想は MUMSS

注 2:株価は過去の株式分割・併合を現在の株式数に合わせ調整

出所:AstraManager、各社資料より MUMSS 作成

(1,500)

(1,000)

(500)

0

500

1,000

1,500

2,000

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3,500

4,000

4,500

5,000

(200)

(100)

0

100

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300

400

500

600

700

02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18

当期利益

株価(右軸)

(10億円) (円)

(年度)

檜垣 誠司

2007/6 - 2013/3東 和浩

2013/4 - 現在

細谷英二(故人)

2003/6 - 2012/11会長

社長

(予)

勝田 泰久

2003/3 - 2007/5

-837 -1,664

公的資金の完済を支えた堅実経営

ポスト公的資金で経営手腕の真価が問われる

Page 40: 7261 マツダ 杉本 浩一 Japan Equity Research Theme: 社長 ......7261 マツダ 輸送用機器 6627-5313 sugimoto-kouichi@sc.mufg.jp 杉本 浩一 28 7701 島津製作所 精密機器

40 巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。

2016 年 11 月 8 日

公的資金の返済努力が戦略・ガバナンス・株主還元に反映

銀行は公的資金を完済するまで、経営健全化計画の提出が義務付けられる。返済原

資である資本を積み上げるため、利益を安定的に確保する必要があり、最も管理し

やすい経費は抑制気味となる。大株主の国による究極のガバナンスでもある。

りそな HD の戦略は、公的資金の返済を進めつつ、顧客基盤の拡大や効率化を目指

した自然な結果とみている。リテール No.1を掲げ、オムニチャンネル戦略を打ち出

している。ネット(IT)とリアル(対面)を融合し、事務処理を省力化しコンサル型営業

の強化を進めている。最近の話題は、銀行取引の象徴の印鑑を不要とする口座開設

を、店頭だけでなくスマートフォンにも広げている。さらに、年中無休・夜 7 時営

業の店舗を 17/3期中に 11→15拠点とし、住宅ローンや投資商品の拡大を図っている。

日本の銀行では、初の指名委員会等設置会社となった。2003年の公的資金注入時に、

委員会等設置会社に移行、当時から指名・報酬・監査の 3 委員会とも、社外取締役

が過半数を占める。

2016 年 5 月の決算発表時、1 株当り年間配当を 16/3 期 17 円→17/3 期 19 円と公表し

た。17/3 期中に取得・消却する社債型優先株の配当を原資に、普通株に振り向ける

形である。公的資金優先株の返済を進める過程でも、同様の方針をとってきた。

17/3期 1Qの当期利益は前年比 11.0%減。さらに業務純益(連結粗利益-営業経費)は

同 17.2%減。資金利益では利ザヤ縮小、役務取引等利益のうち不動産仲介は堅調だ

が金融商品販売が低迷した。

国内業務が中心のため、海外悪化の影響を直接受けにくい反面、マイナス金利によ

る利ザヤ悪化により収益の拡大は期待しにくい。中期的な業績は、低迷を予想して

いる。公的資金の返済努力を通じて刷り込まれた、効率経営の DNAが活かされると、

悪化の度合いを軽減できるかもしれない。

図表 1-2 優先配当のシフトを通じ普通配当の増額を実現

出所:会社資料より MUMSS 作成

注:図表カッコ内の配当単位は円

400

200

0

200

400

2005/3 2006/3 2007/3 2008/3 2009/3 2010/3 2011/3 2012/3 2013/3 2014/3 2015/3 2016/3 2017/3

普通配当

優先配当

(@0) (@10) (@10) (@10) (@10) (@10) (@12) (@12) (@12) (@15)

394(@17)

394(@17)

441(@19)

73 62

(計画)

(億円)

経営戦略はリテール No.1、IT活用とコンサル営業

ガバナンス、株主還元への意識高い

当面の業績はマイナス金利に苦しむ

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巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。 41

2016 年 11 月 8 日

(9684) スクウェア・エニックス・ホールディングス: 経営手腕で新たな収益成長路線へ

シニアアナリスト 村上 宏俊

レーティング: Overweight

株価 (11/4): 3,455 円

今後 12 ヵ月間目標株価: 5,550 円

事業・利益の振り返りと社長の系譜

前任の和田社長は、野村證券からの転身組。元金融マンらしく、AM 施設運営大手の

タイトー、海外大手ソフトメーカーのアイドスなどの買収で事業領域を広げ、一時

的に過去最高の営業利益(10/3 期 282 億円)を確保したものの、最終年度(13/3 期)は 61

億円の営業赤字に転落した。和田氏は 2013年 6月に持株会社社長を辞任、事業会社

スクウェア・エニックスの取締役会長を 2014 年 6 月まで務めた。10 期間(04/3 期~

13/3期、合併前を含めると 12 期間(02/3期~13/3 期))の和田長期政権が終焉した。

現在の松田社長は、三井生命、監査法人からの転身組。社長就任の初年度の 14/3 期

にリストラ等で 105 億円の営業黒字へと転換させた。3 期目の 16/3 期は、その経営

手腕をフルに発揮、営業利益 260億円は過去最高(10/3 期 282億円)に少し及ばなかっ

たものの、過去最高の売上高と当期利益を達成した。

その経営手腕の決め手は、開発者の人心掌握力にあると考える。ソフトメーカーの

競争力の源泉は、開発力である。具体的には優秀な開発者の育成システムの構築、

開発者のやる気を出す方法の確立、人事評価システムの整備などにより開発力を高

めることである。これに加えて同氏は、事業環境に対する目利き力、効果的な事業

戦略の実施などにより、同社を新たな収益成長路線に導いていったのである。

図表 1-1:歴代社長と営業利益・株価の推移

注:予想は MUMSS。

出所:AstraManager、各社資料より MUMSS 作成

0

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営業利益 (左軸)

株価 (右軸)

(10億円) (円)

(年度)

社長

予想

和田 洋一

2003/4 - 2013/6

松田 洋祐

2013/6 - 現在

前任の和田社長による 10期間の長期政権が終焉

現在の松田社長は経営手腕をフルに発揮し、収益成長路線に導く

経営手腕の決め手は、開発者の人身掌握力にある

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42 巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。

2016 年 11 月 8 日

中長期的な企業の戦略

今後の中期目標は、売上高 3,000~4,000 億円、営業利益 500億円である。

主な取り組み方針は以下の通りである。

(1) 今後も継続する取り組み

①パッケージゲーム事業は、大型タイトルの発売で柱となるブランドを更に強化、

②オンラインゲームとモバイル・コンテンツ事業は、更なる利益の積み上げを図る

(2) 将来に向けての取り組み

①スマホ向け有料ゲーム、②VR/AR ゲーム、③新興地域への取り組み(重点地域:中

南米、中東、インド)

投資対象としての評価

同社の評価ポイントは、ゲームコンテンツ業界において、収益の極大化を目指せる

体制になっていること。

ゲームコンテンツ業界の事業領域は、①コンシューマ(ゲーム専用機)、②モバイル、

③PC オンラインの 3 領域に分類され、各領域共に約 3 兆円、合計約 9 兆円(2016 年

International Development Group 予想)の市場規模がある。大手ソフトメーカーは、1

つのコンテンツをこれら 3 領域で事業展開することにより収益の極大化を達成でき

ることは分かっているものの、領域毎に特有のノウハウなどがあり、全ての領域で

一定規模以上の収益を確保できている企業は限定されている。その数少ない企業が

スクウェア・エニックスであり、これが同社の強みである。

図表 1-2:部門別営業利益動向 図表 1-3:ゲームコンテンツ市場規模動向

出所:会社資料を基に MUMSS 作成、E は MUMSS 予想 出所:会社資料を基に MUMSS 作成、International Development Group 予想、

(注)1$=105 円換算

-20,000

-10,000

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

70,000

80,000

12/3 13/3 14/3 15/3 16/3 17/3E 18/3E 19/3E

消去又は全社

ライツ・プロパティ

出版

アミューズメント

デジタルエンタテインメント

(百万円) (10億円) 2014 2015予 2016予 2017予 2018予 2019予

モバイルコンテンツ 2,363 2,888 3,245 3,528 3,780 3,927

コンシューマ (パッケージ+DLC) 2,268 2,594 2,667 2,783 2,804 2,688

小計 4,631 5,481 5,912 6,311 6,584 6,615

PCオンライン 2,594 2,772 2,867 2,835 2,793 2,793

合計 7,224 8,253 8,778 9,146 9,377 9,408

YoY (%) 2014 2015予 2016予 2017予 2018予 2019予

モバイルコンテンツ 53.1 22.2 12.4 8.7 7.1 3.9

コンシューマ (パッケージ+DLC) -8.9 14.4 2.8 4.3 0.8 -4.1

小計 14.8 18.4 7.9 6.7 4.3 0.5

PCオンライン -14.2 6.9 3.4 -1.1 -1.5 0.0

合計 2.4 14.2 6.4 4.2 2.5 0.3

Wtg. (%) 2014 2015予 2016予 2017予 2018予 2019予

モバイルコンテンツ 32.7 35.0 37.0 38.6 40.3 41.7

コンシューマ (パッケージ+DLC) 31.4 31.4 30.4 30.4 29.9 28.6

小計 64.1 66.4 67.3 69.0 70.2 70.3

PCオンライン 35.9 33.6 32.7 31.0 29.8 29.7

合計 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0

中期目標の営業利益500億円

収益極大化の体制が整う

ゲームコンテンツ業界の市場規模約 9兆円

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巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。 43

2016 年 11 月 8 日

(9843) ニトリホールディングス: 29期連続増収増益でもなお変革スピードは衰えず

シニアアナリスト 小場 啓司

レーティング: Neutral

株価 (11/4): 12,330 円

今後 12 ヵ月間目標株価: 13,400 円

事業・利益の振り返りと社長の系譜

ニトリホールディングスでは 16 年 2 月 21 日付で、似鳥社長が会長に、また白井副

社長が社長に昇役した。

同社創業者である似鳥氏は、「生産・物流・販売までの一貫体制」「家具からインテ

リア商品まで自社商品の品揃えの充実と商品内容の改善」を図り、家具・ホームフ

ァッション業界で他にみられないビジネスフォーマットを構築、全国に店舗展開を

進めることで、これまで 29 期連続増収増益を続けてきた。白井氏はまだチェーン化

を始めて間もない 79年に同社に入社、長期間にわたりビジネスフォーマットの見直

し・改善に貢献してきた。

同社はこれだけ長い間業績好調を続けているが、なお変革スピードが落ちていない

ことが特徴。弊社では、同社は、現在、「高品質商品の品揃え」「都市部展開」「小型

フォーマットの展開」「海外事業」といった分野で試行錯誤、改善を進めているとみ

ている。新たな成長領域を見極め事業に乗り出す過程で意思決定の迅速化は欠かせ

ないが、似鳥会長が方向性を定め白井社長が最適な方法と手順を選択することでさ

らに改革スピードの向上を図り、早期に新成長領域を確立することが期待される。

図表 1-1:歴代社長・会長と営業利益・株価の推移

注:予想は MUMSS。

出所:AstraManager、会社資料より MUMSS 作成

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4,000

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120,000

FY2

/19

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19

営業利益(左軸)

調整済株価(右軸)

(予)(円)

似鳥昭雄1972/3-2016/2

白井俊之2016/2-現在

似鳥昭雄2016/2-現在

会長

社長

(百万円)

カリスマ創業者から社長を引き継いだ白井社長

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44 巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。

2016 年 11 月 8 日

為替予約レートの影響はあるものの好調な業績が続く見込み

弊社では、17/2 期営業利益は会社予想を上回る前年同期比+22.9%の 898 億円、18/2

期は同+8.4%の 973 億円を予想している。17/2 下期から 18/2 上期にかけては為替予

約レートの影響でやや成長率が鈍化する可能性はあるが、同社の増収増益基調は持

続するとみている。

弊社では、同社の新たな成長ドライバーとして、(1)高品質商品の品揃え、(2)都市部

展開、(3)小型フォーマットの展開、(4)海外事業、を想定している。このなかで、(1)

高品質商品の品揃えに関しては、すでに機能性やデザイン性の高い商品の投入と

TVCM などを通じたブランド認知度向上により、既存店売上好調に大きく寄与しは

じめている。また、(2) 都市部展開、(3) 小型フォーマットの展開についても、今下

期には 23区内立地や百貨店内店舗の出店が目白押しで、新たな立地・業態の立ち上

がりや業績寄与等が確認されることになる。

このように同社では業績好調ななかでも変革のスピードは衰えていない。さらに、

株式市場では、(4)海外展開についても中国での黒字化・出店加速など海外での成長

がいつごろから本格化するか、すでに注目し始めているとみられる。

図表 1-2: ニトリホールディングス(9843)連結業績(単位:百万円、%)

出所:会社資料より MUMSS 作成、予想は MUMSS

FY2/13 FY2/14 FY2/15 FY2/16 FY2/17E FY2/18E FY2/19E

売上高 348,789 387,605 417,285 458,140 521,800 559,900 583,200

(前年比伸び率) 5.3 11.1 7.7 9.8 13.9 7.3 4.2

売上総利益 192,616 201,656 218,337 243,543 280,000 306,000 324,600

(売上高総利益率) 55.2 52.0 52.3 53.2 53.7 54.7 55.7

販管費 131,066 138,583 152,029 170,503 190,200 208,700 223,600

(売上高販管費率) 37.6 35.8 36.4 37.2 36.5 37.3 38.3

営業利益 61,550 63,073 66,307 73,039 89,800 97,300 101,000

(売上高営業利益率) 17.6 16.3 15.9 15.9 17.2 17.4 17.3

経常利益 62,195 63,474 67,929 75,007 91,500 98,500 102,400

(売上高経常利益率) 17.8 16.4 16.3 16.4 17.5 17.6 17.6

当期利益 35,811 38,425 41,450 46,969 59,700 64,300 66,900

(売上高当期利益率) 10.3 9.9 9.9 10.3 11.4 11.5 11.5

為替予約レートの影響は受けるが増収増益基調が続くとみる

今下期は、高品質商品の品揃えのほか、都市部展開・小型フォーマット展開の業績寄与も注目されよう

中期的にはやはり海外での成長がポイントに

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巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。 45

2016 年 11 月 8 日

Appendix A

アナリストによる証明

本レポート表紙に記載されたアナリストは、本レポートで述べられている内容(複数のアナリストが関与している場合は、それぞれ

のアナリストが本レポートにおいて分析している銘柄にかかる内容)が、分析対象銘柄の発行企業及びその証券に関するアナリスト

個人の見解を正確に反映したものであることをここに証明いたします。また、当該アナリストは、過去・現在・将来にわたり、本レ

ポート内で特定の判断もしくは見解を表明する見返りとして、直接又は間接的に報酬を一切受領しておらず、受領する予定もないこ

とをここに証明いたします。

三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券株式会社(以下「MUMSS」)及びその関連会社等は、次の会社の発行済み普通株式等総数の

1%以上を保有しています:鹿島建設、パソナグループ、テンプホールディングス、不二製油グループ本社、トヨタ紡織、セブン&

アイ・ホールディングス、帝人、東レ、三井化学、キョーリン製薬ホールディングス、ジェイ エフ イー ホールディングス、

リクルートホールディングス、小松製作所、横河電機、日本光電工業、東海理化電機製作所、日産自動車、トヨタ自動車、三菱自

動車工業、カルソニックカンセイ、マツダ、豊田合成、島津製作所、SCREENホールディングス、ピジョン、三菱商事、りそ

なホールディングス、東日本旅客鉄道、スクウェア・エニックス・ホールディングス、ニトリホールディングス、ファーストリテ

イリング、ソフトバンクグループ

MUMSS 及びその関連会社等は、次の会社の発行済み普通株式等総数の 0.5%以上を保有しています:鹿島建設、パソナグループ、

テンプホールディングス、不二製油グループ本社、トヨタ紡織、セブン&アイ・ホールディングス、帝人、東レ、三井化学、キョ

ーリン製薬ホールディングス、ジェイ エフ イー ホールディングス、リクルートホールディングス、小松製作所、横河電機、

日本光電工業、東海理化電機製作所、日産自動車、トヨタ自動車、三菱自動車工業、カルソニックカンセイ、マツダ、豊田合成、

島津製作所、SCREENホールディングス、ピジョン、三菱商事、りそなホールディングス、東日本旅客鉄道、スクウェア・エ

ニックス・ホールディングス、ニトリホールディングス、ファーストリテイリング、ソフトバンクグループ

上記保有開示について、上場から 1 ヵ月以内の会社については有価証券募集要綱(Offering Memorandum)の記載によります。また、

保有割合は米国の適用法令に基づく計算方式により計算します。

MUMSS 及びその関連会社等は過去 12 ヵ月間に、次の会社の有価証券の募集又は売出し等に際し、主幹事又は共同幹事を務めたこ

とがあります:リクルートホールディングス、日産自動車、トヨタ自動車、三菱商事、東日本旅客鉄道、ファーストリテイリング、

ソフトバンクグループ

MUMSS 及びその関連会社等は過去 12 ヵ月間に、次の会社に提供した投資銀行業務の対価として、当該企業から報酬を受領してお

り及び/又は対価を得て投資銀行業務を提供するような契約を締結しています:不二製油グループ本社、帝人、リクルートホール

ディングス、日産自動車、トヨタ自動車、SCREENホールディングス、三菱商事、りそなホールディングス、東日本旅客鉄道、

ファーストリテイリング、ソフトバンクグループ

MUMSS 及びその関連会社等は今後 3 ヵ月以内に、次の会社に提供した投資銀行業務の対価として、当該企業から報酬を受領する

ことを見込んでいるか、もしくは得ようとすることを予定しています:鹿島建設、パソナグループ、テンプホールディングス、不

二製油グループ本社、トヨタ紡織、セブン&アイ・ホールディングス、帝人、東レ、三井化学、キョーリン製薬ホールディングス、

ジェイ エフ イー ホールディングス、リクルートホールディングス、小松製作所、横河電機、日本光電工業、東海理化電機製

作所、日産自動車、トヨタ自動車、三菱自動車工業、カルソニックカンセイ、マツダ、豊田合成、島津製作所、SCREENホー

ルディングス、ピジョン、三菱商事、りそなホールディングス、東日本旅客鉄道、スクウェア・エニックス・ホールディングス、

ニトリホールディングス、ファーストリテイリング、ソフトバンクグループ

重要な開示事項

三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券レーティングシステム:

個別銘柄に対するレーティングの定義

Overweight (OW) 当社が定めるサブセクター内において、当該銘柄の投資成果が上位であるとアナリストが予想する場合

Neutral (N) 当社が定めるサブセクター内において、当該銘柄の投資成果が中位であるとアナリストが予想する場合

Underweight (UW) 当社が定めるサブセクター内において、当該銘柄の投資成果が下位であるとアナリストが予想する場合

NR レーティング及び目標株価を付与しない

RS 一時的にレーティング及び目標株価を付与しない

中小型に分類された銘柄に対するレーティングの定義

Buy 絶対株価が上昇するとアナリストが予想する場合

Hold 絶対株価の変化が小さいとアナリストが予想する場合

Sell 絶対株価が下落するとアナリストが予想する場合

NR レーティング及び目標株価を付与しない

RS 一時的にレーティング及び目標株価を付与しない

本レポートに目標株価が記載されている場合、特に断りがない限り、その達成の予測期間は今後 12 ヵ月間です。

Page 46: 7261 マツダ 杉本 浩一 Japan Equity Research Theme: 社長 ......7261 マツダ 輸送用機器 6627-5313 sugimoto-kouichi@sc.mufg.jp 杉本 浩一 28 7701 島津製作所 精密機器

46 巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。

2016 年 11 月 8 日

免責事項

本レポートは、MUMSS が、本レポートを受領される MUMSS 及びその関連会社等のお客様への情報提供のみを目的として作成した

ものであり、特定の証券又は金融商品の売買の推奨、勧誘又は申込みを目的としたものではありません。

本レポート内で MUMSS に言及した全ての記述は、公的に入手可能な情報のみに基づいたものです。本レポートの作成者は、インサ

イダー情報を使用することはもとより、当該情報を入手することも禁じられています。MUMSS は株式会社三菱 UFJ フィナンシャル・

グループ(以下「MUFG」)の子会社等であり、MUMSS の方針に基づき、MUFG については投資判断の対象としておりません。

本レポートは、MUMSS が公的に入手可能な情報のみに基づき作成されたものです。本レポートに含まれる情報は、正確かつ信頼でき

ると考えられていますが、その正確性、信頼性が客観的に検証されているものではありません。本レポートはお客様が必要とする全て

の情報を含むことを意図したものではありません。また、MUMSS 及びその関連会社等は本レポートに掲載された情報の正確性・信頼

性・完全性・妥当性・適合性について、いかなる表明・保証をするものではなく、一切の責任又は義務を負わないものとします。本レ

ポートに含まれる情報は、金融市場や経済環境の変化等のために、最新のものでない可能性があります。本レポート内で示す見解は予

告なしに変更されることがあり、また、MUMSS は本レポート内に含まれる情報及び見解を更新する義務を負うものではありません。

MUMSS は関連会社等と完全に独立してレポートを作成しています。そのため、本レポート中の意見、見解、見通し、評価及び目標株

価は、異なる情報源及び方法に基づき関連会社等が別途作成するレポートに示されるものと乖離する場合があります。

本レポート内で直接又は間接的に取り上げられている株式は、株価の変動や発行体の経営・財務状況の変化及びそれらに関する外部評

価の変化、金利・為替の変動等の要因により、投資元本を割り込むリスクがあります。

本レポートは、お客様に対し税金・法律・投資上のアドバイスとして提供する目的で作成されたものではありません。本レポートは、

特定の個人のための投資判断に向けられたものではなく、本レポートを受領される個々のお客様の財務状況、ニーズもしくは投資目的

を考慮して作成されているものではありません。本レポートで言及されている証券・関連投資は、全ての投資家にとって適切とは限り

ません。お客様は、独自に特定の投資及び戦略を評価し、本レポートに記載されている証券に関して投資・取引を行う際には、専門家

及びファイナンシャル・アドバイザーに法律・ビジネス・金融・税金その他についてご相談ください。

MUMSS 及びその関連会社等は、お客様が本レポートを利用したこと又は本レポートに依拠したことによる結果のいかなるもの(直

接・間接の損失、逸失利益及び損害を含むがこれらに限られない)についても一切責任を負わないと共に、本レポートを直接・間接的

に受領するいかなる投資家に対しても法的責任を負うものではありません。最終投資判断はお客様自身においてなされなければなら

ず、投資に対する一切の責任はお客様にあります。

三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券のレーティング分布(2016 年 11 月 7 日付)

レーティング項目 全対象銘柄 投資銀行部門顧客*

Buy (Overweight, Buy) 36.8% 33.7%

Hold (Neutral, Hold) 52.4% 29.8%

Sell (Underweight, Sell) 7.3% 13.9%

その他 3.5% 29.4%

当該レーティング項目において、「Buy」は「Overweight」(個別銘柄)と「Buy」(中小型株)の合計、「Hold」は「Neutral」(個別銘柄)

と「Hold」(中小型株)の合計、「Sell」は「Underweight」(個別銘柄)と「Sell」(中小型株)の合計に該当します。

*投資銀行部門顧客は過去 12 ヵ月間のデータに基づいて抽出され、レーティング項目ごとの投資銀行部門顧客比率を計算して表示しています。

その他開示事項

MUMSS は、MUMSS のリサーチ部門・他部門間の活動及び/又は情報の伝達、並びにリサーチレポート作成に関与する社員の通

信・個人証券口座を監視するための適切な基本方針と手順等、組織上・管理上の制度を整備しています。

MUMSS の方針では、アナリスト、アナリスト監督下の社員、及びそれらの家族は、当該アナリストの担当カバレッジに属するい

ずれの企業の証券を保有することも、当該企業の、取締役、執行役又は顧問等の任務を担うことも禁じられています。また、リサ

ーチレポート作成に関与し未公表レポートの公表日時・内容を知っている者は、当該リサーチレポートの受領対象者が当該リサー

チレポートの内容に基づいて行動を起こす合理的な機会を得るまで、当該リサーチに関連する金融商品(又は全金融商品)を個人

的に取引することを禁じられています。

アナリストの報酬の一部は、投資銀行業務収入を含む MUMSS の収益に基づき支払われます。

MUMSS 及びその関連会社等は、本レポートに記載された会社が発行したその他の経済的持分又はその他の商品を保有することがあり

ます。MUMSS 及びその関連会社等は、それらの経済的持分又は商品についての売り又は買いのポジションを有することがあります。

MUMSS の役員(以下、会社法(平成 17 年法律第 86 号)に規定する取締役、執行役、又は監査役又はこれらに準ずる者をいう)は、

次の会社の役員を兼任しています:三菱UFJフィナンシャル・グループ、カブドットコム証券、三菱倉庫

本レポートの開示情報は以下のリンクにある WEB ディスクロージャーよりご参照ください。

https://www.er.sc.mufg.jp/disclosure/disclosure.php

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巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。 47

2016 年 11 月 8 日

過去のパフォーマンスは将来のパフォーマンスを示唆し、又は保証するものではありません。特に記載のない限り、将来のパフォーマ

ンスの予想はアナリストが適切と判断した材料に基づくアナリストの予想であり、実際のパフォーマンスとは異なることがあります。

従って、将来のパフォーマンスについては明示又は黙示を問わずこれを保証するものではありません。

MUMSS・その他 MUFG 関連会社、又はこれらの役員、提携者、関係者及び社員は、本レポートに言及された証券、同証券の派生商

品及び本レポートに記載された企業によって発行されたその他証券を、自己の勘定もしくは他人の勘定で取引もしくは保有したり、本

レポートで示された投資判断に反する取引を行ったり、マーケットメーカーとなったり、又は当該証券の発行体やその関連会社に幅広

い金融サービスを提供しもしくは同サービスの提供を図ることがあります。本レポートの利用に際しては、上記の一つ又は全ての要因

あるいはその他の要因により現実的もしくは潜在的な利益相反が起こりうることをご認識ください。なお、MUMSS は、会社法第 135

条の規定により自己の勘定で MUFG 株式の売買を行うことを禁止されています。

本レポートで言及されている証券等は、いかなる地域においても、またいかなる投資家層に対しても販売可能とは限りません。本レポ

ートの配布及び使用は、レポートの配布・発行・入手可能性・使用が法令又は規則に反する、地方・州・国やその他地域の市民・国民、

居住者又はこれらの地域に所在する者もしくは法人を、対象とするものではありません。

英国及び欧州経済地域: 本レポートが英国において配布される場合、本レポートは MUFG のグループ会社である MUFG Securities

EMEA plc. (以下「MUS(EMEA)」。電話番号:+44-207-628-5555)により配布されます。MUS(EMEA)は、英国で登録されており、Prudential

Regulation Authority(プルーデンス規制機構、「PRA」)の認可及び Financial Conduct Authority(金融行動監視機構、以下「FCA」)と

PRA の規制を受けています(FS Registration Number 124512)。本レポートは、professional client(プロ投資家)又は eligible counterparty

(適格カウンターパーティー)向けに作成されたものであり、FCA 規則に定義された retail clients(リテール投資家)を対象としたも

のではありませんので、誤解を回避するため、同定義に該当する顧客に交付されてはならないものです。MUS(EMEA)は、本レポート

を英国以外の欧州連合加盟国においても professional investors(若しくはこれと同等の投資家)に配布する場合があります。本レポー

トは、MUS(EMEA)の組織上・管理上の利益相反管理制度に基づいて作成されています。同制度には投資リサーチに関わる利益相反を

回避する目的で、情報の遮断や個人的な取引・勧誘の制限等のガイドラインが含まれています。本レポートはルクセンブルク向けに配

布することを意図したものではありません。

米国: 本レポートは Mitsubishi UFJ Morgan Stanley Securities Co., Ltd. (以下「MUMSS」)によって作成されたものです。MUMSS は

日本で証券業務の認可を取得しております。本レポートが米国において配布される場合、本レポートは MUFG のグループ会社である

MUFG Securities Americas Inc. (以下「MUSA」。電話番号:+1-212-405-7000) により配布されます。MUSA は、United States Securities

and Exchange Commission(米国証券取引委員会)に登録された broker-dealer(ブローカー・ディーラー)であり、Financial Industry

Regulatory Authority(金融取引業規制機構、「FINRA」)による規制を受けています(SEC# 8-43026; CRD# 19685)。本レポートが MUSA

の米国外の関連会社等により米国内へ配布される場合、本レポートの配布対象者は、1934 年米国証券取引所法の規則 15a-6 に基づ

く major U.S. institutional investors(主要米国機関投資家)に限定されております。MUSA 及びその関連会社等は本レポートに言及さ

れている証券の引受業務を行っている場合があります。本レポートは証券の売買及びその他金融商品への投資等の勧誘を目的としたも

のではありません。また、いかなる投資・取引についてもいかなる約束をもするものでもありません。本レポートが米国で大手機関投

資家以外の個人に配布される限りにおいて、MUSA は以下の条件のもとでその内容について責任を負っています。本レポートの執筆

者であるアナリストは、リサーチアナリストとして FINRA への登録ないし FINRA の資格取得を行っておらず、MUSA の関係者では

ない場合があります。したがって、調査対象企業とのコミュニケーション、パブリックアピアランス、アナリスト本人の売買口座に関

する FINRA の規制に該当しない場合があります。FLOES は MUSA の登録商標です。

IRS Circular 230 Disclosure(米国内国歳入庁 回示 230 に基づく開示):MUSA は税金に関するアドバイスの提供は行っておりません。

本レポート内(添付文書を含む)の税金に関する記述は MUSA 及び関連会社以外の個人・法人が本レポートにおいて研究する事項に

関する勧誘・推奨を行う目的、又は米国納税義務違反による処罰を回避する目的で使用することを意図したものではなく、これらを目

的とした使用を認めておりません。

日本: 本レポートが日本において配布される場合、その配布は MUFG のグループ会社であり、金融庁に登録された金融商品取引業者

である MUMSS(電話番号:03-6627-5340)が行います。

シンガポール: 本レポートがシンガポールにおいて配布される場合、本レポートはMUFGのグループ会社であるMUFG Securities Asia

(Singapore) Limited (以下「MUS(SPR)」。電話番号:+65-6232-7784)とのアレンジに基づき配布されます。MUS(SPR)はシンガポール

政府の承認を受けた merchant bank であり、Monetary Authority of Singapore(シンガポール金融管理局)の規制を受けています。本

レポートの配布対象者は、Financial Advisers Regulation の Regulation 2 に規定される institutional investors、 accredited investors、

expert investors に限定されます。本レポートは、これらの投資家のみによる使用を目的としており、それ以外の者に対して配布、転

送、交付、頒布されてはなりません。本レポートが accredited investors 及び expert investors に配布される場合、MUS(SPR)は

Financial Advisers Act の次の事項を含む一定の事項の遵守義務を免除されます。第 25 条:一定の投資商品に関してファイナンシャル・

アドバイザーが全ての重要情報を開示する義務、第 27 条:ファイナンシャル・アドバイザーが合理的な根拠に基づいて投資の推奨を

行う義務、第 36 条:ファイナンシャル・アドバイザーが投資の推奨を行う証券に対して保有する権利等について開示する義務。本レ

ポートを受領されたお客様で、本レポートから又は本レポートに関連して生じた問題にお気づきの方は、MUS(SPR)にご連絡ください。

香港: 本レポートが香港において配布される場合、本レポートは MUFG のグループ会社である MUFG Securities Asia Limited (以下

「MUS(ASIA)」。電話番号:+852-2860-1500)とのアレンジに基づき配布されます。MUS(ASIA)は Hong Kong Securities and Futures

Ordinance に基づいた認可、及び Securities and Futures Commission(香港証券先物取引委員会;Central Entity Number AAA889)の

規制を受けています。本レポートは Securities and Futures Ordinance により定義される professional investor を配布対象として作成

されたものであり、この定義に該当しない顧客に配布されてはならないものです。

その他の地域: 本レポートがオーストラリアにおいて配布される場合、MUS(ASIA)又は MUS(SPR)により配布されています。

MUS(ASIA)は Australian Securities and Investment Commission (ASIC) Class Order Exemption CO 03/1103 に基づき、Corporations

Act 2001 が定める金融サービスの提供者によるオーストラリア金融業免許の保有義務を免除されています。MUS(SPR)は ASIC Class

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48 巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。

2016 年 11 月 8 日

Order Exemption CO 03/1102 により同様に義務を免除されています。本レポートはオーストラリアの Corporations Act 2001 に定義さ

れる wholesale client のみを配布対象としております。本レポートがカナダにおいて配布される場合、本レポートは MUS(EMEA)又は

MUSA により配布されます。MUS(EMEA)および MUSA は international dealer exemption の措置により次の各州において金融取引業

者としての登録を免除されています:アルバータ州、ケベック州、オンタリオ州、ブリティッシュ・コロンビア州、マニトバ州

(MUS(EMEA)のみ)。本レポートはカナダにおける National Instrument 31-103 によって定義された permitted client のみを配布対象

としております。

又は本レポートは、インドネシアにおいて複製・発行・配布されてはなりません。また中国(中華人民共和国「PRC」を意味し、PRC

の香港特別行政区・マカオ特別行政区、及び台湾を除く)において、複製・発行・配布されてはなりません(ただし、PRC の適用法

令に準拠する場合を除きます)。

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国内株式の売買取引には、約定代金に対して最大 1.404%(税込み)(ただし約定代金 193,000 円以下の場合は最大 2,700 円(税込

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の全部もしくは一部を変更、複製・再配布し、もしくは直接的又は間接的に第三者に交付することはできません。

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