6講 熱的宇宙 - 大阪大学osksn2.hep.sci.osaka-u.ac.jp/~naga/kogi/konan-class06/ch...第6 講...
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1
第6講 熱的宇宙
6.1 宇宙膨張による温度変化
スケールの温度依存性 エネルギー保存則 (??)
d(ρV)+PdV = 0 (6.1)
を輻射 (P = ρrad/3)に適用すると、dρrad
ρrad+4
daa
= 0 (6.2)
ρrad ∝ T4であるからdTT
+daa
= 0 → T ∝1a
(6.3)
すなわち、宇宙膨張に従い輻射温度はスケールに逆比例して下がってゆく。
物質優勢時の温度とスケールの関係 物質と輻射が共存する場合 (フォトン切り離し以前)を考えよう。物質の数密度を nとし、理想気体の状態方程式に従うとすれば
ρm = n
(m+
12
mv2)
= n
(m+
32
T
), P = nT (6.4)
であるので、式 (6.1)は、
d
[(nm+
32
T +AT4)
a3]
= −(
nT +13
AT4)
da3 (6.5a)
A = g∗π2
30:式 (84b) (6.5b)
総質量は保存する (nma3 =一定)ことを考慮して、変形すると
dTT
= −1+B12 +B
daa
, B≡ 4AT3
3n(6.6)
切り離し後のフォトン温度は、T ∝ a−1であり、n ∝ a−3を考慮すれば、Bは aに依存しない。従ってB(a) = B(a0)である。
B(a0) =4AT3
0
3n0=
43nB
g∗π2
30T3
0 =π4
45ζ(3)g∗
nγ
nB≃ 1010 (6.7)
は、非常に大きい数であるので、式 (6.6)から、物質と輻射が共存する時期でも
dTT
+daa
= 0 → T ∝1a
(6.8)
が成り立つ。
第 6講 熱的宇宙 2
フォトン切り離し以降 フォトンとバリオンは切り離されるので、フォトン温度 Tγとバリオン温度 TB
は独立となる。バリオンについての式 (6.4)を式 (6.1)に入れれば
d
[(nm+
32
nTB
)a3
]+nTBda3 = 0 (6.9)
na3 =一定を使えば、この式は
TBV3/2 = TBVγ−1 = const. or TBa2 = const. (6.10)
すなわち理想気体の断熱膨張の式になる。
スケールとハッブル定数の時間依存性 フリードマン方程式
H2 =8π3c2Gρ− kc2
a2 , ρ = ρm+ρr +ρΛ (6.11)
から、物質優勢、輻射優勢、真空優勢 ρΛ >> ρm,ρr について時間依存性を導こう。簡単のため平坦宇宙(k=0)とする。物質優勢ならば ρm ∝ 1/a3なので、H = a/aを考慮して (6.11)を書き直せば
dadt
=A√a
→ a ∝ t2/3 (6.12)
輻射優勢ならば、同様にして a ∝ t1/2
真空優勢ならば、
a ∝ eHΛt , HΛ =
√8πG
3ρΛ =
√Λ3
(6.13)
aの時間依存性が判れば、ハッブル定数 H = a/aの時間依存性も判る。まとめると
物質優勢 a ∝ t2/3 H =23
1t
(6.14a)
輻射優勢 a ∝ t1/2 H =12
1t
(6.14b)
真空優勢 a ∝ eHΛt H = HΛ (6.14c)
H−1をハッブル時間という。
6.2 地平線
観測者に影響を及ぼすことのできる (因果関係にある)事象位置の最大半径を (粒子)地平線という。これは r方向に伝播する光の到達距離として知られる。実際の距離は共同座標系での距離にスケール因子a(t)
を掛けて得られるから、光の経路 ds2 = 0を考慮すると
dH(t) = a(t)Z r
0
dr√1−kr2
= a(t)Z t
0
cdt′
a(t ′)=
2ct = cH−1 輻射優勢
3ct = 2H−1 物質優勢(6.15)
第 6講 熱的宇宙 3
6.3 輻射優勢期
フリードマン方程式 (6.11)を眺めれば、ρm ∝ a−3,ρ ∝ a−4,ρΛ ∼一定,曲率項 (kのある項) ∝ a−2のスケール依存性を持つ。従って十分過去にさかのぼれば輻射エネルギーが優勢になる。この時期を輻射優勢期という。式 (79)
ρr = g∗π2
30T4, g∗ = ∑
B,F
(gB +
78
gF
)*1) (6.16)
を式 (6.11)に入れれば、
H(t) = αT2, α =
√4π3
45g∗G≈ 1.66g1/2
∗MPl
(6.18)
を得る。MPl = G−1/2 = 1.22×1019GeVはプランク質量であり、gB, gBは温度 Tで存在するボソンとフェルミオン粒子の自由度である (式 (84c)参照)。次に、輻射優勢期のH = 1/2tを入れれば温度の時間依存性が解ける。t & 1s(T . 1MeV)のみを考慮することにすれば、寄与する粒子種はニュートリノとフォトンのみで g∗ = 3.36である。この場合
T =[
90g∗32π3G
]1/4
t−1/2 ≃ 1.33×1010K
(t/sec)1/2≃ 1.15MeV
(t/sec)1/2(T . 1MeV) (6.19)
定性的な議論には、最初の3分間は
T =1MeV√
t(s)=
1010K√t(s)
(6.20)
として十分良い近似である。
6.4 熱平衡ニュートリノ
6.4.1 ニュートリノ切り離し温度
温度 T ∼ 1MeVでは、ほとんど全ての粒子は対消滅をして残っているのは、ニュートリノと電子 (陽電子を含む)とフォトンそしてごくわずかの核子である*2) 。起こっている反応種は
ν+e ↔ ν+e (6.21a)
ν+ ν ↔ e− +e+ ↔ γ+ γ (6.21b)
νe+n ↔ e− + p (6.21c)
νe+ p ↔ e+ +n (6.21d)
* 1) T >> 2mk で粒子種”k”が寄与する。例えば、電子が寄与するのは T >> 2me ∼ 1MeVである。T << 1MeVで寄与するのは、フォトンとニュートリノのみである。gγ = 2、ニュートリノは2成分で3種あるので
g∗ = 2+78×2×3×
(411
)4/3
= 3.36 T << 1MeV (6.17)
最後の因子はニュートリノ温度による補正である。* 2) 核子数のフォトン数に対する比 η ∼ 6×10−10は、まだ理論的な算出法は確定していない。ここでは与えられたものとする。
第 6講 熱的宇宙 4
特にニュートリノ種を指定しないときは、ν = νe,νµ,ντおよび反ニュートリノ全てを指す。もし、ニュートリノの反応率 Γν = nνσνvνが、宇宙の膨張率Hより小さくなると、ニュートリノの関与する反応は起こらなくなる (ニュートリノの切り離し)。次元解析から σν ∼ G2
FT2が言え、また
nν = gν34
ζ(3)π2 T3 ∼ T3, vν = 1 (6.22)
であるので、
Γν ≃ G2FT5
D = H = αT2D ≃ 1.66g1/2
∗MPl
T2D (6.23)
と置いて切り離し温度 TDを概算すると、TD ∼ 1MeVとなる。全ての反応を取り入れたポアソン方程式による詳しい数値計算によれば、TD ≃ 0.72MeVである*3) 。
6.4.2 ニュートリノ温度
T ≃ 0.72MeVで、ニュートリノが切り離された直後、T ≃ me/3≃ 0.17MeVで、対生成が起こらなくなり、対消滅が一方方向に進行する。電子と陽電子が持っていたエネルギーが全てフォトンに与えられるので、フォトン温度が上昇する。温度変化は、対消滅前後でエントロピー S= sV = V(ρ+P)/T が保存することを使う。相対論的粒子では P = ρ/3であるので
43
VT
(ρe− +ρe+ +ργ)∣∣∣∣be f ore
=43
VT
ργ
∣∣∣∣a f t
(6.24)
ρe− +ρe+ = 2× (7/8)×ργ, ργ ∝ T3を入れると
114
(Tbe f ore)3 = (Ta f t)3 → Tbe f ore=(
411
)1/3
Ta f t = 0.714Ta f t (6.25)
この時点でニュートリノは既に切り離されて自由粒子なので。ニュートリノ温度は Tν ∼ 1/aのように変化している*4) 。対消滅以前は Tν = Tγであったが、以後は Tν = (4/11)1/3Tγとなる。すなわち対消滅の結果生じたエネルギーが、フォトン温度を高めるのに対し、ニュートリノはその分け前にあずからない分だけ温度が低い。現在のニュートリノ温度は
Tν,0 = 0.714Tγ,0 ≃ 1.92K (6.26)
従って、ビッグバンから取り残された化石ニュートリノ数は、式 (78)を使えば
nν = 110/flavor/cm3 → ∑nν = 330/cm3 (6.27)
となる。
* 3) [?]D.N.Schramm amd M.S.Turner: ReV. Mod. Phys.,70 (1998) 303* 4) ニュートリノは自由粒子で熱平衡状態にはないので、厳密に言えば温度は定義できないが、温度 Tの黒体輻射の式に従いながら、赤方遷移をするので、T ∝ 1/aをそのまま適用して良い。
第 6講 熱的宇宙 5
6.4.3 輻射-物質拮抗時期
輻射優勢時代が物質優勢時代に変わる時期 teqを求めてみよう。t0を現在時刻とすると、物質/輻射のエネルギー密度 ρm/ρradと宇宙スケール aは、それぞれ
ρm(t0)a3(t0) = ρm(teq)a3(teq) (6.28)
ρrad(t0)a4(t0) = ρrad(teq)a4(teq) (6.29)
の関係式を満たすから ρ(teq) = ρrad(teq)と置けば
1+zeq =a0
a(teq)=
ρm(t0)ρrad(t0)
=ρm(t0)
ργ,0 +ρν,0=
ρcΩm0
ρcΩrad,0=
Ωm0h2
4.14×10−5 = 3250 (6.30)
上の計算では、下記の定数を使った。
ργ0 =π2
15T4
0
∣∣∣∣T=2.725K
= 2.00×10−15eV4 = 0.2603eV/cm3 (6.31a)
ρrad,0 = ργ0 +ρν0 =g∗2
ργ0 = 1.68ργ0 = 0.4373eV/cm3 (6.31b)
Ωrad,0 =ρrad,0
ρc=
0.4373eV/cm3
1.0537×105h2 eV/cm3 = 4.15×10−5h−2 (6.31c)
Ωm0h2 = 0.135±0.009, → Ωm0 = 0.27±0.04 (6.31d)
輻射と物質エネルギーが等しくなるこの時期の温度は
Teq = T0(1+zeq) = (2.725±0.001K)×3250∼ 8860K, or 0.76eV (6.32)
teq =1
H0
1
(1+z)3/2∼ 13.6Gyr×3250−3/2 ∼ 74,000yrs (6.33)
6.5 再結合温度
再結合 (recombination=宇宙の晴れ上がり)の温度は次のようにして決められる。電子、陽子と水素原子は、温度が高いときフォトンと次のような平衡状態にある。ヘリウムはとりあえず無視する。
e− + p↔ H + γ (6.34)
フォトンの化学ポテンシャルはゼロであるので、平衡状態では次の関係式が成立する。
µe+µp = µH (6.35)
非相対論的粒子の数密度 (81a)
n = g
(mT2π
)3/2
e−(m−µ)/T (6.36)
を使って (6.35)から、化学ポテンシャルを消去すると
nH = nenp
[gH
gegp
][mH
mp
2πmeT
]3/2
eB/T B = me+mp−mH = 13.6 eV (6.37)
第 6講 熱的宇宙 6
ここで、
Xe ≡ne
nB=
np
nB, nB = ηBnγ, ηB = 2.75×10−8(ΩBh2) = 6.1±0.2×10−10 (6.38a)
nγ = 2ζ(3)π2 T3, ζ(3) ≃ 1.202 (6.38b)
を導入し、gH = 4, gp = ge = 2, mH ≃ mpを入れれば
nHnB
npne=
1−Xe
X2e
= nB
[meT2π
]−3/2
eB/T =4√
2ζ(3)√π
ηB
[Tme
]3/2
eB/T = 3.84ηB
[Tme
]3/2
eB/T (6.39)
これを、熱平衡状態におけるイオン結合のサハの式という。T = T0(1+ zrec) = 2.725(1+ zrec) としてXe = 0.5になる温度を再結合温度 (Trec)とすると
1+zrec ≃ 1370, Trec = 0.323eV = 3740K (6.40)
を得る。T = 0.308eVを越えると Xeは急速に減少し、T ≃ 0.26eV = 3030Kあたりで Xe ≃ 10−4 ∼ 10−5
くらいに落ち着く。これを切り離し時刻 tdcとすると、
zdc = 1100, Tdc = 3000K (6.41a)
tdc = H−10 (1+zdc)−3/2 = 375,000年 (6.41b)
我々が観測する宇宙マイクロ波はこの時刻のフォトンの雲である。
6.6 バリオン合成
6.6.1 宇宙における物質創生
デカルト曰く「我存在す。ゆえにCPの破れあり。」
宇宙における物質創生 われわれの宇宙は物質「バリオン(陽子+中性子)と電子」でできており、反物質の量はごくわずかである。大統一理論発達以前の標準宇宙理論では、初期仮定として与えなければならなかったバリオン数非対称、すなわち宇宙初期、何らかの理由でバリオンの数 (B)が反バリオン(B)よりわずかに多かったという事実*5)
∆BB
=B− B
B∼ nB
nγ≡ ηB ≃ 6×10−10 (6.42)
は、大統一理論を使えば自然な帰結として説明できる。∆B/Bの ∆Bは今日宇宙に存在するバリオン数密度より推察できる。分母の Bは、宇宙が熱平衡に合った初期におけるバリオン数密度であり、、それは現在残っている宇宙背景輻射より計算可能な初期フォトン数密度 nγと同程度である。この非対称を説明するシナリオの中で、現在受け入れられている説明は、宇宙初期の大統一温度 (T ∼ 1015GeV)から冷える際に、バリオン数非保存過程によりバリオン数過剰が発生したというものである。ただし、最初の提案はその後、電弱統一温度 (∼ 1TeV)の相転移時にインスタントン効果により、バリオン数が保存せず、
* 5) T ≫ ΛQCD ≈ 200MeVではバリオンはクォークに分解されているので、本当はクォーク数を扱うのが正しいが、歴史的な理由でバリオン数という名称をそのまま使う。
第 6講 熱的宇宙 7
一度作られたバリオン数非対称が完全に消えてしまうことがわかった。従って最初の提案はそのままでは成立しない。しかし、レプトン数との差B−Lは保存するので、大統一時にたとえばSO(10)でレプトン数非対称が発生し、電弱相転移時にバリオン数非対称に転換されたという Lepto−genesis説が有力となった。しかし、レプトン数発生のメカニズムはバリオン数発生と同じであるので、以下は当初の大統一時バリオン数発生の議論で行う。 1967年にはサハロフ [1]が、ビッグバンから現在のバリオン過剰の物質宇宙を導くには、宇宙初期において物質が反物質よりわずかに(100億個に対し1個)過剰に生成されなければならないこと、そのためにはCP非保存効果が必要であることを示した。この宇宙におけるわれわれ自身の存在を保証する要因として、CP対称性の破れは不可欠なのである。バリオン数過剰が生じるためには次の3条件が必要である。
(1)バリオン数保存を破る基本過程の存在(2)CP非保存の存在(3)バリオン数を破る過程が進行中に熱平衡が破れる。
これらの条件が必要な理由を明らかにするために、ビッグバンの火の玉の中にある原始エネルギーの塊(Xボソンと呼ぼう)を考える。非常に重いXボソン(と反Xボソン X)がバリオン数 B1(B1)と B2(B2)で特徴付けられる過程に分岐比 b(b)及び 1−b(1−b)で崩壊すると仮定する。
Γ(X → B1)Γ(X → All)
= b,Γ(X → B2)Γ(X → All)
= 1−b
Γ(X → B1)Γ(X → All)
= b,Γ(X → B2)Γ(X → All)
= 1−b (6.43)
CPT定理よりΓ(X → All) = Γ(X → All) (6.44)
であるから、最初にXと Xの数が等しかったとすれば、バリオン数非対称は
∆B = (b−b)B1 +(1−b)− (1−b)B2 = (B1−B2)(b−b) (6.45)
B1 , B2は、バリオン数保存の破れを必要とし、b, bは CP非保存を意味する。条件(3)は次のようにして言える。CPT保存とユニタリティのみを使い、
∑r
Γ(B→ r) = ∑r
Γ(B→ r) = ∑r
Γ(B→ r) (6.46)
が言える。第2式はCPT保存から、第3式は全ての粒子についての和であるから r を r で置き換えられる。上式にCPT変換を施せば、
∑r
Γ(r → B) = ∑r
Γ(r → B) (6.47)
熱平衡状態では全てのr状態は同じ数だけあるから、仮に条件(1)と(2)が満たされていても非対称は生じないのである。したがって宇宙の膨張により熱平衡が破れるという条件が不可欠なのである。具体的な数値はモデルに依存するが、大統一理論を使えば、バリオン数非保存と CP非保存のの妥当な値を使用して、今日存在するバリオン数を再現できるとされている [2]。
第 6講 熱的宇宙 8
6.6.2 元素合成
: nucleo-synthesis(D.N.Schramm and M.S.Turner: Rev. Mod. Phys.,70 (1998) 303)宇宙初期、温度がT ≪ ΛQCD∼ 200MeV以下に下がると、前節で議論したわずかなクォークの生き残りの凝縮が起こり、ハドロン (バリオン)が形成される。しかし、温度が 10MeVを大きく上回るときは、陽子と中性子は遊離しており、自由粒子として飛び回っている。温度が原子核の結合エネルギー程度 (数MeV/核子)に下がってくると、元素合成が行われるようになる。陽子 pと中性子 nから原子核 Aを合成するときの熱平衡式は
Zp+(A−Z)n↔ A (6.48)
であるので、化学ポテンシャルについては µA = Zµp +(A−Z)µnが成立する。従って
eµA/T = eZµp+(A−Z)µn/T (6.49)
ここで、バリオン数 nBを
nB = nn +np +∑A
AnA ≡ nγηB = ηB
[2ζ(3)
π2 T3]
(6.50)
とし、各粒子のバリオン数に対する重量比を
XA =AnA
nB, Xp =
np
nB, Xn =
nn
nB(6.51)
で定義する。各粒子の温度 Tにおける数密度の式 (81a)
nk = gk
[mT2π
]3/2
e(µ−m)/T (6.52)
を入れて、化学ポテンシャルを消去すれば
XA =gA
2AA5/2XZp XA−Z
n
[nB
(2π
mNT
)3/2
eBA/[(A−1)T]
]A−1
(6.53a)
BA = Zmp +(A−Z)mn−mA (6.53b)
を得る。[· · · ]A−1の中の指数関数の係数は、nB = nγηB ≃ (6.1±0.3)×10−10(2ζ(3)/π2)T3を入れて計算すると、
∼ 8.13×10−14(
TMeV
)3/2
≪ 1 (6.54)
となって、BA/[(A−1)T]因子により指数関数がこの数を相殺する低温 (T ∼ 1−0.1 MeV)になるまでは元素合成が進まない。以下、もう少し系統的に段階を追ってみよう。輻射優勢の時代であり、全輻射エネルギーは、熱力学の公式とフリードマン方程式より
ρrad = g∗π2
30T4 =
332πG
t−2 (6.55)
第 2式は、H = (2t)−1, H2 = (8πG/3)ρradを入れれば導ける。T . 1MeVでは良い近似で
T ≃ 1 MeV
(t/秒)1/2≃ 1010K
(t/秒)1/2(6.56)
が成り立つから、温度と時間の関係が判る。
第 6講 熱的宇宙 9
第1段階 : T ≫ 10MeV, t ≪ 1秒この時期、ニュートリノ、電子、陽電子は相対論的であり、豊富にかつ同数程度存在するが、バリオンの数はわずかである。この段階では弱い相互作用と電磁相互作用による反応で熱平衡が成立している。
νe+n ↔ e− + p (6.57a)
νe+ p ↔ e+ +n (6.57b)
νe+ νe ↔ e− +e+ (6.57c)
e− +e+ ↔ γ+ γ (6.57d)
既に述べたように、T ≫ 0.72MeVでは、弱い相互作用反応率が十分高く熱平衡が成立している。反応 (6.57a)を考えると、化学ポテンシャル間には
µν +µn = µe+µp (6.58)
が成立する。レプトンの化学ポテンシャルは無視できる。なぜならば、宇宙は電気的に中性とすれば、
n(e−) = n(e+)+np (6.59)
が成立し、また式 (6.57d)より µ(e+)+µ(e−) = 0が成立する。従って
n(e−)n(e+)
= e[µ(e−)−µ(e+)]/T ∼ 1+np
n(e+)∼ 1+ηB (6.60)
から、2µe/T ∼ ηBとなって無視できることが判る。ニュートリノについては推測するしかないが、電子と同じと考えればやはり無視できるであろう。レプトンの化学ポテンシャルを無視すれば
µn = µp → nn
np=
Xn
Xp= e−Q/T , Q = mn−mp = 1.293MeV (6.61)
T ≫ QであるからXn = Xp = 0.5 (6.62)
重水素については、式 (6.53a)で A = 2とし、
gD = 3, BD = mp +mn−mD = 2.22MeV (6.63)
を入れれば
XD = 4.07×[
TmN
]3/2
ηBe2.22/T(MeV) ≃ 6×10−12 (6.64)
であるので、陽子や中性子に比べて重水素成分は無視できる。
第 2段階 : T ≃ 1 MeV, t ≃ 1秒T ∼ 0.72MeVで弱い相互作用による熱平衡反応が切り離される。その時点から、陽子と中性子が反応して入れ替わることがなくなる。ニュートリノ切り離しの時点の温度を TDとすると
nn
np= e−Q/TD ≃ 1
6, Xn ∼
17, Xp ∼
67, XD ≃ 10−12 (6.65)
である。重水素は合成されても、光分解反応 γ+D → p+nが圧倒的に優勢で数が増えない。トリチウムやヘリウムの数はさらに少ない。
第 6講 熱的宇宙 10
図 6.1:核子あたりの結合エネルギー。鉄、ニッケルの結合エネルギーが一番大きく最も安定な状態である。原子質量 A = 5, 8に穴が空いていることに注意しよう。
第 3段階 :T = 0.3 MeV→ 0.1 MeV t= 1秒→ 3分この段階では、重水素やそれより重い核は、反応速度は十分大きいものの合成のための材料の数が少なくて ((6.53a)の ηA−1
B 因子)、合成される核子の数は増えない。この間、中性子は平均寿命 885.7±0.8secで崩壊してゆく。T = 0.07MeVになると温度が十分低くなり、軽い核の中では結合エネルギーの大きく (B(He) = 28.3 MeV)安定なヘリウムを作る反応
D+D → n+3 He, D+3 He→ p+4 He
D+D → p+3 H, D+3 H →4 He
が一方的にかつ急速に進む。ヘリウムより重くて安定な核も存在するが、A = 5,6の安定核がないこと(図 6.1)、素材となる軽い核の数がそもそも少ないこと、温度が低くなるとクーロン障壁が大きくなるなどの理由で、それ以上重い核が合成されることはない。これら時間発展の様子を図 6.2の左図に示す(Kolb and Turner; The Early Universe)。
最終的に落ち着く値と観測値との比較を図 6.2に示す。 ヘリウムが合成されれる段階での中性子 (陽子)
の数を n(p)とすると n/pは∼ 1/7である。これからヘリウム成分の重量比は
Y ≡ 2nn+ p
=2(n/p)1+n/p
=2/78/7
≃ 14
(6.67)
となる。宇宙の元素組成の75%が水素で25%がヘリウムであることは観測に裏付けられている。ビッグバン元素合成の提唱者ガモフは、当初ビッグバン時に全ての元素が作られると提案したが (G.Gamow:Phys.
Rev.,73 (1948) 803)、今日では、ヘリウムより重い元素は星の中で、あるいは超新星として爆発する際に作られることが知られている。ビッグバン時に作られるのは軽い元素のみである。重水素 (D)やヘリウム3 (3He)、7Liは作られるが圧倒的に少ない。しかし、このわずかな量を上記のシナリオを精密化して計算した値が、観測値をよく再現したことでビッグバン宇宙論の信頼性を大いに高めた。調整すべきパラメターはほとんど ηB = nB/nγのみであり、D/H観測値と合わせることにより、宇宙におけるバリオン全成分を精度良く決めることができた。
ΩBh2 = 0.017−0.024 (6.68a)
ηB = 4.7−6.5×10−10 (6.68b)
第 6講 熱的宇宙 11
図 6.2:元素合成が発展する様子。横軸は温度であるが、矢印を付けたところは時刻 (1分、3分、1時間)
も示してある。縦軸は水素に対する成分比。右図は軽元素組成の理論値 (D.N.Schramm and M.S.Turner: Rev. Mod. Phys.,70 (1998) 303)と観測値 (白い四角形)。元素合成より決められた値は、背景輻射より決められた値 η ∼ 6−10とほぼ合っている。
最近、背景輻射ゆらぎを冷たい暗黒物質モデルを使って解析した結果は、
ΩBh2 = 0.0223±0.0008 → ΩB = 0.043 (6.69a)
ηB ∼ 6.1±0.3×10−10 (6.69b)
とほぼ合っている。宇宙マイクロ波の温度ゆらぎから、バリオン重量比が求められるのは次の理由による。温度ゆらぎはエネルギー密度のゆらぎを反映している。フォトン-電子-バリオン結合系は、いわばばねでつながれた調和振動子のように振る舞い、密度ゆらぎは音波として伝わるが、重力はこの系全体に外力として働き、バリオンの密度圧縮を助長し、伸縮を妨げる。この結果、密度の疎と密の部分で非対称が生じ、奇数次と偶数次の最大振幅が異なる。特に第一の山 (最大圧縮部)と第二の山 (最大伸張部)でその差が顕著に出るので、その比からバリオン重量比が求められるのである。全く異なる観測量を解析した結果が一致したことで、ビッグバン+冷たい暗黒物質モデルは、信頼すべきモデルとして今や標準モデルとなった。
6.7 ニュートリノ種数
宇宙論からの制約 宇宙論からニュートリノ種の数に制約を付けることができる。ニュートリノは初期宇宙 (数秒から数分程度)のエネルギー密度に寄与し、余分なニュートリノの存在は膨張速度を変えるので ((6.18)の g∗を変える)、ニュートリノ切り離し時の温度 TDを変え、結果としてヘリウムの成分比も変える。
Y =2e−Q/T
1+e−Q/T(6.70)
第 6講 熱的宇宙 12
図 6.3:左図:ニュートリノ数を重水素成分比の関数として表す (G.Steigman; Neutrino06)。D/Hと Y(He)
の帯は 2σ許容範囲を示す。右図:WMAPの背景輻射のパワースペクトルの Nνによる変化。最適値はNν = 2.75である。
であるから (式 (6.67))、
∆Y ≃Y
(1− Y
2
)QTD
∆TD
TD(6.71)
(6.23)(84c)を参照すれば
∆Td
TD=
16
∆g∗g∗
(6.72a)
g∗ = gγ +78(3gν +ge− +ge+) = 2+
78(3×2+2+2) = 10.75 (6.72b)
Nν = 3→ 3+∆Nνに変えると∆g∗ = (7/4)∆Nνとなるので、これらの値を (6.72a)に入れれば∆Y≃ 0.007∆Nν
となる。ここでの議論は、エネルギー密度に対する寄与を論じ、ニュートリノの性質 (左巻き、Zに結合するなど)は問題にしないので、あらゆる種類のニュートリノが対象となり、従って標準理論以外のニュートリノの存在を検証するのに向いている。宇宙の中の軽元素存在率は、宇宙膨張速度の他にバリオン重量比 ΩB(= ρB/ρc, ρc = 3H2
0/8πG)の関数であり、宇宙の軽元素存在率、特に D/H 比は ΩBに敏感である。図 6.3左は、D/Hの関数としてニュートリノ数に対する制限の変化や感度を描いた図である。一方、WMAPのCMB音波の解析から、ΩBの値がより精密に決まった。ΩBの値は、D/Hの値に敏感である。WMAPの温度ゆらぎパワースペクトルのニュートリノ数に対する感度 (図 6.3右)は、それほど良くないが、D/H = 2.6±0.4×10−5およびY = He/H(重量比)= 0.238±0.005に対する制限を組み合わせると、Nν = 1.7−3.0 (2σ極限)が得られ、通常の3種以外の余分なニュートリノの入る余地はほとんどないことが示された*6) 。
* 6) V.Barger et al., Phys. Lett. B566(2003) 8-18 hep-ph/0305075
第 6講 熱的宇宙 13
6.8 初期宇宙の主な出来事
表 6.1:
出来事 赤方遷移 温 度 時 刻 ニュートリノ切り離し – 0.72 MeV, 0.6×1010K ∼ 1sec
軽元素合成 – 0.07 MeV, 0.6×109K ∼3分物質輻射同値 3250 0.76 eV, 8860K 74,000年再結合 1370 0.323 eV, 3740K 270,000年晴れ上がり 1100 0.26 eV, 3030K 37,5000年
.1 補遺: 熱力学の基本公式
ボルツマン定数 k = 1および自然単位を使う。
n (数密度) =g
(2π)3
Z
f (p)d3p (73)
ρ (エネルギー密度) =g
(2π)3
Z
ε f (p)d3p (74)
P (圧力) =n < pv>
3=
g(2π)3
Z |p|2
3εf (p)d3p (75)
f (p) = [exp((ε−µ)/T)±1]−1, ε =√
p2 +m2 (76)
gはスピン自由度であり、フォトンや電子は g = 2である。±の符号はフェルミ・ディラック (FD)統計およびボーズ・アインシュタイン (BE)統計に対応する。µは化学ポテンシャルであり、化学的に平衡状態にある化学ポテンシャルの和は等しい。
i + j ↔ k+ j ⇒ µi +µj = µk +µl (77)
化学ポテンシャルは、粒子数密度やエネルギー密度が判れば決められる。フォトンの化学ポテンシャルはゼロである*7) 。粒子の化学ポテンシャル (µ−)と反粒子の化学ポテンシャル (µ+)に違いがあると、粒子数と反粒子数に差が出るが、初期宇宙の粒子数の非対称度は小さいので、µ− = µ+として良い。相対論的粒子 (T ≫ m,ε ≫ m)
Eまたは T ≫ mの粒子集合を輻射と呼ぶ。 非縮退の場合 (T ≫ µ)
n = gζ(3)π2 T3×
1 : BE
3/4 : FD ζ(3) = 1.202· · ·(78)
ρ = gπ2
30T4×
1 : BE
7/8 : FD(79)
P =ρ3
(80)
* 7) 理由1:初期宇宙では、e− +e+ ↔ 2γで、粒子数非対称は非常に小さい (∼ 10−9)。 理由2:背景輻射の観測スペクトルから、µ< 9×10−6が言える。D.J.Fixsen et al.: Astro. Phys. J.473(1996), 576
第 6講 熱的宇宙 14
BEはボーズ・アインシュタイン粒子、FDはフェルミ・ディラック粒子を意味する。宇宙マイクロ輻射については、Tγ,0 = 2.725±0.001を入れると nγ,0 = 2ζ(3)
π2 T30 = 410.4±0.5/cm3, Ωγ,0 =
ργ,0/ρc = (2.471±0.004)×10−5/h2となる。非相対論的粒子 (T ≪ m,ε ≪ m)(BE, FD)
n = g
(mT2π
)3/2
e−(m−µ)/T (81a)
ρ = n
(m+
12
mv2)
= n
(m+
32
T
):理想気体 (81b)
P = nT ≪ ρ (81c)
エントロピー
dS =dQT
(82)
s =SV
=ρ−µn+P
T(83)
宇宙のエントロピー 宇宙論では µ= 0として良い。ただし、元素合成やフォトン再結合時の時など特別に問題にすることはある。相対論的粒子が熱平衡にあるときのエントロピー密度とエネルギー密度は
s=ρ+P
T=
43
ρT
=2π2
45g∗sT
3 =π4g∗s
45ζ(3)nγ (84a)
ρ = g∗π2
30T4 (84b)
g∗s = g∗ = ∑gB +78 ∑gF T ≫ 1MeV (84c)
g∗s = 2+ 78 ×3×2×
(411
)3/3 = 3.91
g∗ = 2+ 78 ×3×2×
(411
)4/3 = 3.36
T ≪ 1MeV (84d)
s(t0)k
= 7.04nγ = 2889.2
(T0
2.725
)3
cm−3 (84e)
図 4:標準理論 SU(3)×SU(2)×U(1)における相対論的粒子の実効自由度
第 6講 熱的宇宙 15
g∗s, g∗は温度 Tにおける gの実効値で、熱平衡にある全ての相対論的粒子の自由度を考慮した値である。温度と共に変わる量であり、素粒子標準理論 SU(3)×SU(2)×U(1)における概略を図に示す。g∗sと g∗が T ∼ meを境に値が異なってくるのは、ニュートリノが切り離され、T ≪ me(現代)では Tν = (4/11)Tγ
となるからである (本文??参照)。エントロピー密度は (??)、(??)を参照すれば、相対論的粒子数に比例する量であることが判る。現在のエントロピー密度 s0はほぼ背景輻射のフォトンとニュートリノ数で決まっている。共動体積内の全エントロピーは不変に保たれる。
S∼ sR3 ∼ (TR)3 ∼ const (85)
証明:式 (75)を Tで微分して部分積分すれば得られる式
dPdT
=ρ+P−µn
T→ dP=
ρ+P−µnT
dT (86)
を、熱力学第一法則TdS= d(ρV)+PdV = d[(ρ+P)V]−VdP (87)
に入れると
dS=1T
d[(ρ+P)V]− (ρ+P−µn)VdTT2 = d
[(ρ+P)V
T+定数
]−µnV
dTT2 (88)
化学ポテンシャルをゼロと置く近似 (等方宇宙では良い近似)では、この式は、エントロピーが
S=(ρ+P)V
T+定数項 (89)
と書けることを意味する。他方、一様等方宇宙でのエネルギー保存則 (式 (87))は TdSがゼロであることを要求するから、dS= 0が成り立ち、S=定数であることを保証する。
.1.1 ヴィリアル定理
ヴィリアル定理は、空間的に孤立した系で、構成要素間に働く力が座標の同次関数である保存力の時、全系の運動エネルギーKとポテンシャルエネルギーUの時間的平均に関する関係式を与える。今、N個の質点 (質量mk)からなる系を考える。各粒子の位置を r kとして、次式で定義される慣性モーメントから出発する。
I =12
N
∑k=1
mk|r k|2 (90)
dIdt
= ∑mkr k · r k = ∑ r k ·pk (91a)
d2Idt2
= ∑[r k ·pk + r k ·
dpk
dt
]= 2K +∑ r k ·Fk = 2K−∑ r k ·∇kU (91b)
n次の同次ポテンシャルの場合
U(ar1,ar2, · · ·) = anU ⇒ ∑ r k ·∇kU(r1, r2, · · ·) = nU (92)
第 6講 熱的宇宙 16
が成り立つから、この式を (91b)に入れれば
d2Idt2
= 2K−nU (93)
ここで長時間平均を取れば、左辺は⟨d2Idt2
⟩=
1t
⟨dIdt
∣∣∣∣t− dI
dt
∣∣∣∣0
⟩, 注:< (· · ·) >=
1t
Z t
0dt(· · ·) (94)
周期関数であればこれはゼロとなる量であり、周期関数でなくとも十分時間が経てば、乱雑系で第1項と第2項は打ち消し合うと考えられる。これをヴィリアル化した状態という。従って
< K >=12
n < U > (95)
エネルギー保存則E = K +U (96)
と合わせると
< K >=n
n+2E, < U >=
2n+2
E (97)
Nが十分大きく、かつ十分に時間が経っていれば、熱力学的平衡状態にあると考えられるから、温度をTとすると
32
kT =12
< mkv2k >=
< K >
N=
n < U >
2N=
n2
< u > (98)
式 (98)で定義される温度をヴィリアル温度といい、完全な熱力学的平衡状態と言えない系にも適用する。 ポテンシャルが重力の場合は n = −1であるので、
< K >= −12
< U >= −E (99)
例1:星の持つエネルギー: 星の持つ全エネルギーは、負で全ポテンシャルエネルギーの 1/2、星を構成する粒子の運動エネルギーは全エネルギーの絶対値に等しい。分子雲ガスが星になる場合、元々の重力エネルギーはほぼゼロであるが、星になると負の重力ポテンシャルを持つ。星の全エネルギーは、この 1/2であるから、残りのエネルギーは電磁波や光という形で解放されることになる。例2:銀河団の質量: 系の全質量がMで半径がRの球状に一様に拡がった銀河団を考えると、熱力学的平衡条件が成立するという条件で
< u > = −35
GmMR
=12
< mv2 > (100a)
< v2 > =< v2r > + < v2
θ > + < v2φ >= 3 < v2
r > (100b)
∴ M = Mvirial ≡5R< v2
r >
G(100c)
< v2r >は視線方向の速度分散で観測量である。従って、銀河団の平均速度分散< v2 >、平均距離Rを測
ることにより、銀河団全体の質量を計算できる。上の定義による質量をヴィリアル質量という。
17
関連図書
[1] A.D.Sakharov,Pizma ZhETF,5(1967)32.
[2] M.Yoshimura ;Phys. Rev. Lett.,41(1978)281