社会分野における「エビデンス」活用

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Page 1: 社会分野における「エビデンス」活用

社会分野における昨今の「エビデンス」活用に関する批判的

考察

SROIをめぐって

津 富 宏静岡県立大学

Page 2: 社会分野における「エビデンス」活用

1 問題意識2  SROIとは3  Arvidson et al.( 2010, 2013)による SROIに対する批判・指摘4 具体例の検討5 討論

Page 3: 社会分野における「エビデンス」活用

1 問題意識

評価研究者としてNPO経営者として

発表の目的

SROIの安易な活用に対して警鐘を鳴らし、より建設的な活用を提案すること

Page 4: 社会分野における「エビデンス」活用

評価研究者として

キャンベル共同計画へ参画 手続き自体に関する徹底したピアレビューに基づく系統的レビューの産出

エビデンスとは 因果命題に関する、実証的検討を踏まえた上での言明

この観点からみて、 SROIの厳密性に対する疑問

Page 5: 社会分野における「エビデンス」活用

NPO経営者として

NPO法人青少年就労支援ネットワーク静岡  http://www.sssns.org/・平成 14年に任意団体として発足・地域ごとにボランティアを組織化(県内で 300名)・地域若者サポートステーション事業などを受託・地域づくりを目指す: 「事業」ではなく、「インフラ」 行政などの資金提供に頼らずに、若者を支えられる地域をつくることを目指す。

この観点からみて、 SROIは、そもそも非営利活動にとって有益なのかという疑問

Page 6: 社会分野における「エビデンス」活用

もう一つの原体験

北欧とイギリスのユースセンターで働くスタッフ(ユースワーカー)の違い

北欧: 公的施設であり、ユースワーカーは競争環境に置かれていない。自由にまったりとした居場所づくりが可能。

イギリス: 民間団体が競争で受託しているユースワーカーは評価される成果に追われて活動し疲弊。

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単純化していえば

SROIは、恣意的なツールであり、その恣意性は、現時点での利害関係者への利益誘導のために使われているのではないかという疑問

Page 8: 社会分野における「エビデンス」活用

2  SROIとはSROI is an evidence-based measurement tool designed to help organizations plan, manage, and understand the social, environmental, and economic value created. --- SROI Canada.

SROI is a standarised approach to ensure that all material costs and benefits – economic, social and environmental – are assigned an approximate and evidence-based value. --- Save the Children.

By Frontiers own admission the estimates in this relatively new evidence based approach to assessing costs and benefits are conservative.--- Royal Voluntary Service (UK).

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SROI( Social Return on Investment:社会的収益投資、社会的投資収益分析、社会的投資収益率)

1990年代にアメリカで開発され、 2000年代になってからイギリスに導入された、非営利セクターの活動を評価するための代表的ツール

イギリス 2009  Office for the Third Sector, Cabinet Officeが、 A guide to social return on investment ( Nicholls et al., 2009)を発刊2012 その改訂版( Nicholls et al., 2012)を発刊非営利活動に対する政府助成プログラム評価の基本手法として位置付けられる

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非営利活動のあらゆる分野で応用

児童養護就労支援再犯予防貧困対策など

Page 11: 社会分野における「エビデンス」活用

SROIの普及

国際的展開SROI network( http://www.thesroinetwork.org/)を通じて、世界各国で急速に普及が図られている。* 同団体の HPを見ると、 2015年 5 月現在、 SROIのガイドブックは、英語に加え、イタリア語、チェコ語、韓国語、フランス語、スペイン語、中国語に翻訳されている。

わが国・ SROIを紹介する章を含む書籍(塚本・関 , 2012)の発刊・特定非営利活動法人 SROIネットワークジャパン( http://www.sroi-japan.org/)の活動・実際の適用事例の報告 ( http://www.sroi-japan.org/?cat=12)

Page 12: 社会分野における「エビデンス」活用

SROIとはCBA( cost-benefit analysis: 費用便益分析)の一種  CBAを、社会的投資( social investment)の観点から、非営利活動を評価するツールとして発展させたもの

社会的価値( social value)を貨幣換算し、それをもとに、費用便益比率である SROI 比率を求めることが目的

非貨幣的な指標、定性的な評価も併用

CBAと比べて、評価におけるステークホルダーの関与を強調

Page 13: 社会分野における「エビデンス」活用

参考) 犯罪学における CBAの展開研究としては取り組まれるが,政策判断への応用については謙抑的

施設処遇は,再犯抑止に関して,社会内処遇に劣ることはすでに示されているが,直ちに,廃止されるわけではない。その他の機能(正義の実現,応報など)がある。

波及効果は読みづらい。犯罪がなくなれば,雇用や経済活動がなくなる。たとえば,刑事司法関係の雇用,警備業,各種保険,メディアなど。つまり,負の波及効果がはかり知れない。多くの刑務所は,仕事のない地域に立地し,地域経済を支えている。

Page 14: 社会分野における「エビデンス」活用

SROIの原則( Nicholls et al., 2009)1 ステークホルダーを巻き込む ステークホルダーを巻き込むことで、何を測定し、それをどのように測定し価値づけるかを共有する

2 何が変化するのかを理解する どのように変化がつくり出されるかを明示し、意図的・非意図的な変化およびプラス・マイナスの変化があることを認識しつつ収集したエビデンスを用いて評価する

3 重要なものだけを評価する アウトカムの価値が認識できるように代替的な金銭指標を用いる。多くのアウトカムは市場で取引されていないため、その価値が認識されていない

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SROIの原則( Nicholls et al., 2009)4 重要なものだけを含む ステークホルダーが、インパクトについて十分に合理的な結論を導けるよう、真実かつ公平な評価となるように、どの情報とエビデンスを計算に含めるのかを決定する

5 過大な主張をしない 組織が創りだしたといえる価値のみを主張する

6 透明性を保つ 分析が正確かつ廉直であるとみなしうる根拠を示し、それをステークホルダーに報告し議論する

7 結果を点検する 適切な独立した確認を行う

Page 16: 社会分野における「エビデンス」活用

SROIの手順( Nicholls et al., 2009)

1 評価対象を決め、ステークホルダーを確定し、どのようにステークホルダーを巻き込むかを決める

2 アウトカムをマッピングする  インパクトマップ(ロジックモデル(インプット→アウトプット→アウトカム→インパクト)をつくる

3 アウトカムについてエビデンスを手に入れ、価値を付ける  アウトカム指標を決めデータを集める、アウトカムを価値づけする

4 インパクトを確定する  死荷重( deadweight:インプットなしでも生じうるアウトカム)、寄与率( attribution:アウトカムに対してインプットが寄与する割合)、置換効果( displacement:インプットのもたらすアウトカムが、他のアウトカムを置き換えてしまう割合)、ドロップ・オフ( drop-off:アウトカムの持続性)を考慮する

5  SROI 比率を計算する  割引率を計算したうえで、総便益を総費用で割り、 SROI 比率を計算する、感度分析を行う

6 結果を報告し活用し内製化する: ステークホルダーに報告する、結果を活用する、結果を点検する

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3  Arvidson et al.( 2010, 2013)による

SROIに対する批判・指摘

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1 便益の価値の貨幣換算

収入の増加など貨幣換算されやすい便益が優先され、主観的な満足度など目に見えにくい( intangible)な便益は、見逃されがちである。

公的セクターの支出削減の想定額を求めることによって貨幣換算することも多いが、受益者本人に対する便益が見逃されがちになるだけでなく、固定費用と(それよりはるかに小さい)変動費用が混同されがちである。

公的費用の支出削減額は長期的に回収されるはずの想定額であって、直ちに削減されるわけではない。

Page 19: 社会分野における「エビデンス」活用

2 ボランティアの価値づけ

非営利組織においては、ボランティアが多く活用されている。しかし、その価値づけは困難である。

第一に、ボランティア活動はインプットであると同時にアウトプット(ボランティアに対する便益)である。第二に、インプットとしてのボランティアを貨幣換算することは困難である。最低賃金で換算するアプローチ、雇用の機会費用あるいは余暇の機会費用で換算するアプローチがあるが、そもそも、金銭換算を好ましくないと考えているからこそ、ボランティア活動は行われる。

Page 20: 社会分野における「エビデンス」活用

3 死荷重、寄与率、置換効果、ドロップ・オフの扱い

死荷重と寄与率を算定するには、本来は、反事実( counterfactual)を入手する必要がある。しかし、それ自体、不可能であり、また、ランダム化比較試験が行われていることもまれであるため、適切な算定が行われない。

置換効果の推定も困難であり、進路支援サービスについて、 80 %~ 90 %の死荷重を想定した例(NatCen et al., 2011)も、 0 %を想定した例(Wright et al., 2009)も報告されるなど、これも恣意的になりがちである。

Page 21: 社会分野における「エビデンス」活用

4 判断と恣意性

SROIにどのインパクトを含めどの指標を用いるのかは、慎重な判断を要する、恣意性が入りやすい。

ステークホルダー間の力関係が反映する/指標の入手可能性、時間的制約、評価に投入しうる資源によって影響される/指標の測定期間について、判断の要素が入りこむ

これらの判断のすべてが、政策動向によって影響を受け、また、政策決定者の意向に影響を与えることを意識して行われる。しかしながら、 SROI 比率が低いということは活動が不成功であることを必ずしも意味しない。

Page 22: 社会分野における「エビデンス」活用

5  SROIの活用と有用性

非営利組織が SROIを用いるもっとも一般的な理由は資金調達のためであり、競争環境におかれた非営利組織は、自らのイメージを向上させるため、マーケティングの手段として SROIを用いる。

SROI 比率を比較することは好ましくないとされているが、このような競争環境においては、 SROIは結局のところ「勝者を選ぶ」ために用いられる。

その結果、非営利組織は、 SROI 比率を誇張したり、インパクトをひいき目に表現したりする誘惑に誘われる。

Page 23: 社会分野における「エビデンス」活用

6 プロセスの軽視

SROIは、どのようにその変化がもたらされたかは十分に明らかにせず、その結果、 SROI率が高くても、介入を改善したり普及したりするのには役立たない。

たとえば、保育サービスが、子どもにどれだけのインパクトをもたらしたかは明らかにできるが、それが、スタッフの質によるのか、施設の設備によるのか、親に対する支援によるのかは明らかにしない。

Page 24: 社会分野における「エビデンス」活用

7 目標のすり替え

数量化されやすい目標に焦点があてられるため、数量化されにくい目標の達成が軽視されがちになる。その結果、組織のミッション自体が、数量化されやすい目標の達成へと(意図せずに)ずれていく。

8  SROIにかかる費用

SROIを行うための研修と時間には相当の費用が掛かる(数千ポンドから数十万ポンドまで)ため、規模の小さな非営利組織では負担できない。

Page 25: 社会分野における「エビデンス」活用

4 具体例の検討

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1  RooP( Routes out of Prison Project)

RooPは、スコットランドで行われた、ライフコーチといわれるメンターによる、刑務所入所中から始まる出所者の支援

RCTによらず、比較群と比して介入群において、再犯率が減少( 4 %)

Jardine and Whyte( 2013)は、 4 %の差をもとに、公的費用の削減想定額についての 4つの推計(刑事司法に掛かる費用、被害者に掛かる費用、加害者本人にかかる費用を算定した162,255ポンドから、刑務所収容費用のみの 33,244ポンドにわたる)と、 4つの寄与率の推定( 100 %から 50 %まで)を組み合わせて SROI 比率を計算

→  SROI 比率は、 4.6から 0.4まで変動

Page 27: 社会分野における「エビデンス」活用

評価

SROI 比率に影響する項目(変数)はもちろんこれらだけに限られない

それらも合わせて、各項目を掛け合わせていけば、上限と下限がさらに離れることになる

推計値の推計誤差を無視して、個々の項目について、特定の推計値を選んで算定されてSROIは恣意的にならざるを得ない

Page 28: 社会分野における「エビデンス」活用

2 「若者 UP プロジェクト」に関する SROI http://koshaken.pmssi.co.jp/upfile/MSYR4.pdf

「若者 UP プロジェクト」は、日本マイクロソフト社が地域若者サポートステーションを運営する就労支援団体に提供した ITスキル講習

SROIについての問題点

・ RCTによらずコントロール・グループを非受講者群としているため、 cream skimmingが生じていると思われる。にもかかわらず、死荷重を考慮していない。・就職決定者の多くが 1年間勤続できるとは想定できないにもかかわらず賃金を年額換算し、ドロップ・オフも考慮していない。・本講習によって、市場における就労可能人口が増えたと想定できないのに、労働市場における置換効果を 0 %と仮定している。・このほか、受講者のみを対象にアンケートを取り、受講者のデータのみを用いて、賃金増分を計算している。

→ 多くの仮定が、 SROI 比率を押し上げる方向で置かれている(その結果、SROI 比率は 13.18)。

Page 29: 社会分野における「エビデンス」活用

評価

現時点では、事業者、評価者(そして、投資者)のすべてにとって、 SROI 比率がより高いことが好ましい。*すべてが社会的投資の推進者となっている

その結果、 SROI 比率算定における恣意性が濫用されて、 inflate された数値が出されやすい

また、団体間には、 SROI 算定のコストの負担能力や SROI評価へのニーズに差がある。数値が inflateされる結果、事業性を志向しない、地域に根差した団体への資源配分が縮小する可能性がある

Page 30: 社会分野における「エビデンス」活用

5 討論

Page 31: 社会分野における「エビデンス」活用

社会的投資は何のためにあるのか

社会のためなのではないか社会=連帯

Page 32: 社会分野における「エビデンス」活用

北欧諸国 イギリス経緯 もともと社会民主主義勢力の

強い国であり、 1970年代の福祉国家の黄金期から女性の就労支援や子育て支援に取り組んでいた

福祉国家の縮減期にあたる1990年代半ばから女性の雇用の活発化に取り組み始めた

社会的投資 21 世紀において社会権を重層的に再構築する取組み

個人を投資対象として位置付け労働市場における商品価値を最大化し国家の生産性を高めるための福祉の効率化の一環

社会的投資のステークホルダー

当事者 投資者濱田( 2014)による整理

社会的投資の位置づけ

Page 33: 社会分野における「エビデンス」活用

北欧らしさ

フィンランドは代表的な福祉国家の一つであるが、1990年代以降学力ランキングを急上昇させた。フィンランドの特徴は学力の学校間格差が世界で最小であることである。学力急上昇の背景には、学校間の競争ではなく、アイディアを共有し問題を一緒に解くことを重視した学校間ネットワークの形成政策( Aquarium Project)がある( Sahlberg, 2011)。

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社会的共通資本 (Social Common Capital)(宇沢)*コモンズから発展させた概念

ゆたかな経済生活を営み,すぐれた文化を展開し,人間的に魅力ある社会を持続的,安定的に維持することを可能に するような自然環境や社会的装置

社会全体とっての共通の財産であり,それぞれの社会的共通資本にかかわる職業的専門化集団により,専門的知見と 職業的倫理観にもとづき管理,運営される

一人一人の人間的尊厳を守り,魂の自立を保ち,市民的自由を最大限に確保できるような社会を志向し,真の意味に おけるリベラリズムの理念を具現化する

Page 35: 社会分野における「エビデンス」活用

SROIが、建設的に利用されるには、活用環境を、投資者優位の競争環境から、当事者優位の協同環境に変えていくことが必要である( cf. 藤井ほか、2013)

しかし、現状においては、 SROIをはじめとする社会的投資のためのツールは,事業体間の競争的な環境を促進しており,社会的共通資本を棄損してしまう

SROIをはじめとする社会的活動の評価は,事業や組織の評価としてではなく(投資対象の選別に役立てる評価としてではなく),セクター全体を支援するために行われるべきである。

Page 36: 社会分野における「エビデンス」活用

個人はそもそも投資対象なのかリターンの低い個人の社会権は守られないの

エビデンスが社会の共有財であるとするならどのように活用されなければならないのか

倫理的な問いに応えるためにはそもそもどのような「環境」をつくらなければならないのか

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文献• Arvidson, Malin, Fergus Lyon, Stephen Mckay, and Domenico Moro. 2010. The

ambitions and challenges of SROI (Third Sector Research Centre Working Paper 49). Third Sector Research Centre.• Arvidson, Malin, Fergus Lyon, Stephen McKay and Domenico Moro. Valuing the

social? The nature and controversies of measuring social return on investment (SROI) Voluntary Sector Review 4(1): 3-18.• 藤井敦史、原田晃樹、大高研道(共編) 2013『闘う社会的企業』勁草書房• 濱田江里子  2014  21 世紀における福祉国家のあり方と社会政策の役割: 社会的投資アプローチ( social investment strategy)の検討を通じて 上智法学論集  58( 1) : 137-58.• Jardine, Cara and Bill Whyte. 2013. Valuing Desistance? A Social Return on

Investment Case Study of a Throughcare Project for Short-Term Prisoners. Social and Environmental Accountability Journal 33(1): 20-32.• 株式会社公共経営・社会戦略研究所  2014 マイクロソフトコミュニティ ITスキルプログラム「若者 UP プロジェクト」(第 4年次 :2013年度)( ITを活用した若者支援プロジェクト) SROIによる第三者評価報告書 

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文献• NatCen (National Centre for Social Research), Institute for Volunteering

Research, University of Southampton, University of Birmingham and Public Zone. 2011. Formative evaluation o v: The National Young Volunteers’ Service: Final repot. London, NatCen.• Nicholls, Jeremy, Eilis Lawlor, Eva Neitzert and Tim Goodspeed. 2009. A guide to

Social Return on Investment. London: Office of the Third Sector, Cabinet Office.• Sahlberg, Pasi . 2011. Finnish Lessons: What Can the World Learn from

Educational Change in Finland? (The Series on School Reform). Teachers College Press.• 塚本一郎、関正雄(編著)  2012 『社会貢献によるビジネス・イノベーション』丸善出版• 宇沢弘文  2000 『社会的共通資本』岩波新書• Wright, Steve, John D. Nelson, James M. Cooper and Stephanie Murphy. 2009.

An evaluation of the transport to employment (T2E) scheme in Highland Scotland using social return on investment (SROI). Journal of Transport Geography 17: 457-67.