機械学習の応用例にみる認知症診断と将来の発症予測

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「機械学習の応用例にみる認知症診断と将来の発症予測」 2回やった文献紹介のダイジェスト版。 口頭での説明メインだったので、スライドはいろいろ手抜き気味。

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Page 1: 機械学習の応用例にみる認知症診断と将来の発症予測

機械学習の応用例にみる認知症診断と将来の発症予測

早水 桃子お昼の論文紹介

Page 2: 機械学習の応用例にみる認知症診断と将来の発症予測

認知症研究と機械学習

• 高齢化、医療費増加–認知症は社会にも個人にも大きな損失

• 神経変性疾患:ハードウェアの異常–完全に壊れてからでは有効な治療方法がない–発症を遅らせる薬の登場• 早期の段階で診断・治療ができたらそれ以上の

進行を食い止めることが出来る• 壊れる前に予測し、予防できたら理想的

• 機械学習の応用研究が活発

Page 3: 機械学習の応用例にみる認知症診断と将来の発症予測

1. SVM による MRI 画像の自動診断アルツハイマー病( AD )患者と健康な高齢者を画像だけで識別する

Page 4: 機械学習の応用例にみる認知症診断と将来の発症予測

SVM による MRI 画像診断

Page 5: 機械学習の応用例にみる認知症診断と将来の発症予測

色々な被験者の脳 MRI 画像を

米国のデータ確定診断された重症 AD 患者

&健康な高齢者

英国のデータ確定診断された重症 AD 患者

&健康な高齢者

米国のデータ臨床的に早期 AD と

思われる患者&

健康な高齢者

確定診断された重症 AD 患者

&FTLD 患者

Page 6: 機械学習の応用例にみる認知症診断と将来の発症予測

SVM を使って 2 クラスに分類する

http://www-kairo.csce.kyushu-u.ac.jp/~norikazu/research.ja.htmlhttp://en.wikipedia.org/wiki/File:Svm_separating_hyperplanes.png

Page 7: 機械学習の応用例にみる認知症診断と将来の発症予測

結果のみどころ

Page 8: 機械学習の応用例にみる認知症診断と将来の発症予測

結果のみどころ

Page 9: 機械学習の応用例にみる認知症診断と将来の発症予測

結果のみどころ

Page 10: 機械学習の応用例にみる認知症診断と将来の発症予測

結果のみどころ

Page 11: 機械学習の応用例にみる認知症診断と将来の発症予測

結果のみどころ

Page 12: 機械学習の応用例にみる認知症診断と将来の発症予測

• SVM は灰白質の領域だけ抜き出した全脳 MRI 画像を、訓練された人間と同程度に AD と健常人に分類できた–感度も特異度も良い–トレーニングとテストのデータにスキャナや

施設の違いがあっても大きく影響されない• アルツハイマー病と FTLD の分類もでき

た–異なるタイプの認知症も鑑別診断できた

結果のみどころ

Page 13: 機械学習の応用例にみる認知症診断と将来の発症予測

• 正しい識別に貢献した領域–訓練された人間から見てもけっこう納得

• 訓練すれば機械でも画像(だけ)で診断が出来る–脳 MRI 画像にはアルツハイマー病診断に必要

な情報がたくさん含まれるらしい

結果のみどころ

Page 14: 機械学習の応用例にみる認知症診断と将来の発症予測

• 初期 AD と健康な高齢者を見わけるのは難しい–(特異度は悪くないが)感度が低い

結果のみどころ

Page 15: 機械学習の応用例にみる認知症診断と将来の発症予測

2. いろいろな MRI 診断手法ADNI のデータセットで検証・比較

Page 16: 機械学習の応用例にみる認知症診断と将来の発症予測

ADNI データベース

• 米国 ADNI– 認知症研究のための大規模データベース– 800 人以上の経時的なデータ

• 構造画像( MRI )・機能画像( FDG-PET 、 PiB-PET)臨床的な様々な因子の有無・血液・尿・ ApoE 遺伝子型・脳脊髄液 Aβ ・臨床診断(人間がつけたラベル)・病理診断(死後に分かった真のラベル)など…

– オープンアクセス(だれでも使える)– 米国だけでなく世界中でデータベースが構築中

• 日本では J-ADNI

– 米国 ADNI はさらに全ゲノムシークエンスを含むビッグデータプロジェクトへ

Page 17: 機械学習の応用例にみる認知症診断と将来の発症予測

これまで提案された色々な手法をADNI データセットで比較する

Page 18: 機械学習の応用例にみる認知症診断と将来の発症予測

健康な人と重症 AD を見わける

多少のばらつきはあるけれど、感度も特異度もわりといい感じ

Page 19: 機械学習の応用例にみる認知症診断と将来の発症予測

健康な人と重症 AD を見わける

色々試したけど結局全脳の情報を全部使った linear SVM がベスト

Page 20: 機械学習の応用例にみる認知症診断と将来の発症予測

健康な人と mild AD を見わける

Mild AD 診断は難しい…特異度はいいけど、明らかに感度が落ちる

Page 21: 機械学習の応用例にみる認知症診断と将来の発症予測

比較の結果

• 重症 AD と健康な高齢者の分類–全脳の情報を全部使った linear SVM がベス

ト• MCI~mild AD/健常人–どの手法でも感度が落ちる

• 将来 AD 発症する MCI/発症しない MCI–どの手法もランダムと同程度…

Page 22: 機械学習の応用例にみる認知症診断と将来の発症予測

3. 軽度認知機能障害がある人の将来を予測する将来 AD を発症するか?将来の認知機能は何点ぐらい?

Page 23: 機械学習の応用例にみる認知症診断と将来の発症予測

• AD の診断基準を満たすほどではないようなグレーゾーンのケースは、とりあえずMCI (軽度認知機能障害)と診断されている

 軽度認知機能障害( MCI )

Page 24: 機械学習の応用例にみる認知症診断と将来の発症予測

• しかし MCI にも2種類のパターンがある1. ずっと MCI のままの人( non-converter )2. やがて認知機能が下がり AD 発症する人

( converter )

 軽度認知機能障害( MCI )

Page 25: 機械学習の応用例にみる認知症診断と将来の発症予測

• 分類– MCI と診断された人が将来 AD を発症する converter

なのか non-converter なのかを正確に見分けたい

• 回帰– 認知機能が将来どのぐらいになるのかを推定したい

大きな未解決の課題

Page 26: 機械学習の応用例にみる認知症診断と将来の発症予測

これ以上どう工夫できる?

• 特徴選択– 脳 MRI 画像は非常に高次元なデータなので

脳領域を予め選択したり訓練データから重要な領域を学習させたほうが良いかもと思いきや…

– AD の SVM 診断では、全脳の情報を使って学習・認識するのが結局一番よかった• 施設や装置の違いに影響されず汎化能力が高くなる• 訓練データから重要な領域を学習させると計算量・計算時間がやたら増える(数日~数週間)だけで良いことはなかった

Page 27: 機械学習の応用例にみる認知症診断と将来の発症予測

これ以上どう工夫できる?

• カーネル関数の選択–良いカーネル関数を使えばうまくいく…?– AD の SVM 診断では結局 linear kernel が一番よかった

Page 28: 機械学習の応用例にみる認知症診断と将来の発症予測

問題解決への糸口

① やっぱり本質的な領域を選択したい– 説明変数はシンプルな方がいい

② 経時的変化を捉える特徴を抽出したい– 一時点のデータしか使っていなかったけど萎縮の経時的変化も考えるのが良さそう

③ MRI だけでなく PET や認知機能検査など多様なモダリティを統合したい– 構造画像も機能画像も実際の現象も、

それぞれに重要性があるはず

Page 29: 機械学習の応用例にみる認知症診断と将来の発症予測

多様な情報源を統合して発症前 AD と将来の認知機能を知る

Page 30: 機械学習の応用例にみる認知症診断と将来の発症予測

ADNI データベースの中から88 人分のデータを使う

Page 31: 機械学習の応用例にみる認知症診断と将来の発症予測

課題

• 分類– AD 発症の 6ヶ月前までのデータを使って学

習– 6ヶ月後に AD 発症しているか否かを識別

• 回帰– ベースライン( 0ヶ月)・ 6ヶ月・ 12ヶ月・ 18ヶ月の画像と認知機能検査のスコアから、 6ヶ月後( 24ヶ月目)のスコアを予測

Page 32: 機械学習の応用例にみる認知症診断と将来の発症予測

方法

① 本質的な特徴の選択– どの時点でも重要になる脳の領域を選択

►L2,1ノルム正則化どの時点でも重要になる脳の領域を

スパースな解として得る

Page 33: 機械学習の応用例にみる認知症診断と将来の発症予測

方法

② 本質的な特徴の選択– どの時点でも重要になる脳の領域を選択

►直交多項式展開画像をt(時点)の多項式と考え、直交多項式展開の係数を特徴ベクトルに含める

萎縮の速度(tの一次式)だけではなく非線形な特徴も抽出できる

Page 34: 機械学習の応用例にみる認知症診断と将来の発症予測

方法

③ 多様な情報源の統合–MRI だけでなく PET や認知症検査など、

様々なモダリティのデータを最大限に活用►マルチカーネル SVM

モダリティごとにカーネル行列を作り、それらを凸結合したものを分類・回帰に使う

それぞれのカーネルの重み付けも最適化(凸最適化なので大域的最適解が求まる)

Page 35: 機械学習の応用例にみる認知症診断と将来の発症予測

結果

Page 36: 機械学習の応用例にみる認知症診断と将来の発症予測

MCI の人が 6ヶ月後にAD 発症するか否かの予測

時系列のデータを使えば、特異度は 78% のままでどの手法でも 50~ 60%台だった感度が 79% に!

Page 37: 機械学習の応用例にみる認知症診断と将来の発症予測

色々な情報源を統合するのが重要

MRI や PET や認知機能検査の情報は互いに相補的なのでそれぞれの検査で得られる情報を統合することで

より正確な予測ができる!

Page 38: 機械学習の応用例にみる認知症診断と将来の発症予測

選択された MRI 画像の領域

Page 39: 機械学習の応用例にみる認知症診断と将来の発症予測

選択された PET 画像の領域

Page 40: 機械学習の応用例にみる認知症診断と将来の発症予測

MRI ・ PET ・認知機能検査・ CSF データなど各モダリティからの情報は相補的なの

Multimodal classification of Alzheimer‘s disease and mild cognitive impairment.Neuroimage. 2011 Apr 1;55(3):856-67. Epub 2011 Jan 12.

Zhang D, Wang Y, Zhou L, Yuan H, Shen D; Alzheimer's Disease Neuroimaging Initiative.

Page 41: 機械学習の応用例にみる認知症診断と将来の発症予測

それぞれのカーネル行列を組み合わせれば

Multimodal classification of Alzheimer‘s disease and mild cognitive impairment.Neuroimage. 2011 Apr 1;55(3):856-67. Epub 2011 Jan 12.

Zhang D, Wang Y, Zhou L, Yuan H, Shen D; Alzheimer's Disease Neuroimaging Initiative.

Page 42: 機械学習の応用例にみる認知症診断と将来の発症予測

より良いカーネル行列が得られる

Multimodal classification of Alzheimer‘s disease and mild cognitive impairment.Neuroimage. 2011 Apr 1;55(3):856-67. Epub 2011 Jan 12.

Zhang D, Wang Y, Zhou L, Yuan H, Shen D; Alzheimer's Disease Neuroimaging Initiative.

Page 43: 機械学習の応用例にみる認知症診断と将来の発症予測

将来の認知機能スコアの regression

Page 44: 機械学習の応用例にみる認知症診断と将来の発症予測

将来の認知機能スコアを推定するには経時的な変化の情報が重要

1 時点のみ 1 時点+その後の 3 時点

Page 45: 機械学習の応用例にみる認知症診断と将来の発症予測

将来の認知機能スコア推定には経時的な変化の情報が重要

経時的な特徴を使えば相関係数は大きく、 RMSE は小さくなった

Page 46: 機械学習の応用例にみる認知症診断と将来の発症予測

将来の認知機能スコア推定には経時的な変化の情報が重要

※ CONCAT異なる時点・モダリティのデータを単につなげて一つの長いベクトルを作り Lasso で特徴選択して SVM にかける

※ アンサンブル学習各時点・各モダリティごとに Lasso で特徴選択し、個別に SVM にかけて多数決で分類・平均で回帰

Page 47: 機械学習の応用例にみる認知症診断と将来の発症予測

今日のまとめ

Page 48: 機械学習の応用例にみる認知症診断と将来の発症予測

今日のまとめ

• SVM は一時点の MRI 画像だけを用いて重症 AD をとても良い感度・特異度で診断できた

Page 49: 機械学習の応用例にみる認知症診断と将来の発症予測

今日のまとめ

• MCI と診断された人が将来どうなるかの予測は一時点の MRI だけでは困難– 訓練された人間の医師のように、

構造画像だけではなく機能画像やカルテに散らばった様々な情報を統合し、現在までの経時的な変化を辿ることが必要そう

Page 50: 機械学習の応用例にみる認知症診断と将来の発症予測

今日のまとめ

• 経時的変化の特徴も抽出し、様々なモダリティの検査データを統合することで6ヶ月後に発症するかどうかを 80%近い感度・特異度で予測できた

Page 51: 機械学習の応用例にみる認知症診断と将来の発症予測

今日のまとめ

• 発症するかどうかだけでなく将来のスコアの推定もある程度できるようになった– 6ヶ月ではなくもっと早期に発症すること

が分かれば、早期の薬物療法開始によって更に効果的な予防につながるかも

Page 52: 機械学習の応用例にみる認知症診断と将来の発症予測

今日のまとめ

• MRI ・ PET ・認知機能検査だけでなくCSF 中の Aβ など他のバイオマーカーを使うともっと正確に予測できそう– 全てのモダリティの検査を受けた患者は

ADNI データベースにもまだ少ないので今後のさらなる充実に期待

Page 53: 機械学習の応用例にみる認知症診断と将来の発症予測

今日のまとめ

• 現時点でグレーに見えても、その中にはやがて黒になる人がいます

• 「グレーに見える黒」を見分けることがその人の将来の明暗を分けることになるかもしれません

Page 54: 機械学習の応用例にみる認知症診断と将来の発症予測

Reference

Page 55: 機械学習の応用例にみる認知症診断と将来の発症予測

Reference• Klöppel S, Stonnington CM, Chu C, Draganski B, Scahill RI,

Rohrer JD, Fox NC, Jack CR Jr, Ashburner J, Frackowiak RS.Automatic classification of MR scans in Alzheimer's disease.Brain. 2008 Mar;131(Pt 3):681-9. Epub 2008 Jan 17.

• Cuingnet R, Gerardin E, Tessieras J, Auzias G, Lehéricy S, Habert MO, Chupin M, Benali H, Colliot O; Alzheimer's Disease Neuroimaging Initiative.Automatic classification of patients with Alzheimer's disease from structural MRI: a comparison of ten methods using the ADNI database.Neuroimage. 2011 May 15;56(2):766-81. Epub 2010 Jun 11.

• Zhang D, Shen D; Alzheimer's Disease Neuroimaging Initiative.Predicting future clinical changes of MCI patients using longitudinal and multimodal biomarkers.PLoS One. 2012;7(3):e33182. Epub 2012 Mar 22.

• Zhang D, Wang Y, Zhou L, Yuan H, Shen D; Alzheimer's Disease Neuroimaging Initiative.Multimodal classification of Alzheimer's disease and mild cognitive impairment.Neuroimage. 2011 Apr 1;55(3):856-67. Epub 2011 Jan 12.

Page 56: 機械学習の応用例にみる認知症診断と将来の発症予測

Reference• 冨岡 亮太・鈴木 大慈・杉山 将

スパース正則化およびマルチカーネル学習のための最適化アルゴリズムと画像認識への応用http://sugiyama-www.cs.titech.ac.jp/~sugi/2010/DAL-jp.pdf

• 杉山 将スパース正則化とマルチカーネル学習http://sugiyama-www.cs.titech.ac.jp/~sugi/2007/Canon-MachineLearning16-jp.pdf

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☻☻☺おしまい