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2020/5/17 1 鹿児島大学水産学部海岸環境工学研究室 西 隆一郎([email protected]海岸環境工学入門 -海岸・海洋におけるドロ-ンモニタリング- National Maritime (Prime Minister ‘s)Award, Japan Coast Guard Director Award, Japan Red Cross Gold Award 日本の師匠 志布志湾にて アメリカの師匠 ミシシッピ-州 アメリカの友人 フロリダ州(NY Ti mes 新人の皆さん; 良い師匠や すごい先生に出会いましょう 京都賞(鹿児島にて) 第二次世界大戦終結へ 人を育てるのが私の仕事 ドロ-ン(UAV・無人航空機) を使うと、 今までできなかった調査や実験が可能 です。そして、新しい発見も可能です。日 本では、比較的に新しい技術なので、新 人の皆さんも先達になれる可能性大で す。本講義では、水域でのドロ-ンの使 い方を包括的に学びま す。 台風による海岸侵食の現地調査 Hurricane Andrew被災調査 災害調査や災害支援、そして、海岸・海洋調査に空からの情報がとて も役立ちます。 空からの空間・地理情報を迅 速に得るのにドロ-ン(UAV・無 人航空機)は有用です。現場の 俯瞰的・包括的な状況把握にも 最適です。 ・位置情報付き空中写真 ・高精度な動画(4K・位置情報付き赤外画像 ・リスクを抑えた現地調査 (自然災害時、危険個所) ・船を使わない&船からの 調査 ・比較的に迅速な解析 ・高度空間情報(点群デ- タ)作成 ・低コストそして省力化(少 人数化) ・リモ-トセンシングの知 識を用いた小領域・高頻 度型リモセン(4次元情報 化) ドロ-ン関連調査・解析・業務 ・飛行計画(目的・地域・許可 申請・精度等) ・空撮作業(静止画・動画) or 空中調査(赤外系(SS T)、レーザ-(地物測量・測 深))or 薬剤散布等 一次処理(空間データ化) 判読作業 解析作業(データ解析) 報告書作成 海岸環境工学入門 -海岸・海洋におけるドロ-ンモニタリング- 西 隆一郎 [email protected]・もし貴方が鳥の目を持っていたら 、もしドロ-ンを持っていたら あ何ができるでしょうか ? ドロ-ンによるモニタリング(迅速性・省力化・安全性) 1. 位置情報付き空中写真 2. 高精度な動画(4K3. 位置情報付き赤外画像 4. リスクを抑えた現地調査(自然災害 時、危険個所) 5. 船を使わない&船からの調査 6. 比較的に迅速な解析 7. 高度空間情報(点群デ-タ)作成 8. 低コストそして省力化(少人数化) 9. リモ-トセンシングの知識を用いた 小領域・高頻度型リモセン(4次元情 報化) もし鳥の目を持っていたら or もしドロ-ンを持っていたら 何ができるでしょうか ?

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鹿児島大学水産学部海岸環境工学研究室

西 隆一郎([email protected]

海岸環境工学(渚の科学)海岸環境工学入門-海岸・海洋におけるドロ-ンモニタリング-

National Maritime (Prime Minister ‘s)Award, Japan Coast Guard Director Award, Japan Red Cross Gold Award

日本の師匠志布志湾にて アメリカの師匠

ミシシッピ-州

アメリカの友人フロリダ州(NY Times)

新人の皆さん; 良い師匠やすごい先生に出会いましょう

京都賞(鹿児島にて)第二次世界大戦終結へ

人を育てるのが私の仕事

ドロ-ン(UAV・無人航空機)を使うと、今までできなかった調査や実験が可能です。そして、新しい発見も可能です。日本では、比較的に新しい技術なので、新人の皆さんも先達になれる可能性大です。本講義では、水域でのドロ-ンの使い方を包括的に学びます。

台風による海岸侵食の現地調査

Hurricane Andrew被災調査

災害調査や災害支援、そして、海岸・海洋調査に空からの情報がとても役立ちます。

空からの空間・地理情報を迅速に得るのにドロ-ン(UAV・無人航空機)は有用です。現場の俯瞰的・包括的な状況把握にも最適です。

・位置情報付き空中写真・高精度な動画(4K)・位置情報付き赤外画像・リスクを抑えた現地調査(自然災害時、危険個所)・船を使わない&船からの調査・比較的に迅速な解析・高度空間情報(点群デ-タ)作成

・低コストそして省力化(少人数化)

・リモ-トセンシングの知識を用いた小領域・高頻度型リモセン(4次元情報化)

ドロ-ン関連調査・解析・業務

・飛行計画(目的・地域・許可

申請・精度等)・空撮作業(静止画・動画)

or 空中調査(赤外系(SST)、レーザ-(地物測量・測深))or 薬剤散布等・ 一次処理(空間データ化)・ 判読作業・ 解析作業(データ解析)・ 報告書作成

海岸環境工学入門-海岸・海洋におけるドロ-ンモニタリング-西 隆一郎 ([email protected]

・もし貴方が鳥の目を持っていたら、もしドロ-ンを持っていたら さ

あ何ができるでしょうか ?

ドロ-ンによるモニタリング(迅速性・省力化・安全性)

1. 位置情報付き空中写真2. 高精度な動画(4K)3. 位置情報付き赤外画像4. リスクを抑えた現地調査(自然災害時、危険個所)

5. 船を使わない&船からの調査6. 比較的に迅速な解析7. 高度空間情報(点群デ-タ)作成8. 低コストそして省力化(少人数化)9. リモ-トセンシングの知識を用いた小領域・高頻度型リモセン(4次元情報化)

もし鳥の目を持っていたらor

もしドロ-ンを持っていたら何ができるでしょうか ?

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ドロ-ン画像の精度は、???が高いほど良い。

※カメラの画素数を話しているのか、地上(・海上・対象物)分解能を話しているのか、違いを理解する必要があります。

1,200万画素のカメラで高度1mと150mから撮影した静止画像例。高度150m撮影では、何人いるか分かりますが、個体認識(個人識別)できる地上分解能ではありません。高度1m画像は、ケ-スの行先も植物の種類も判読できます。

高度1m

高度150m高度150m

ドロ-ン画像の撮影範囲は、高度が高くなるほど広くなります。

撮影・測定対象物に応じて、適切な飛行高度(・対象物までの飛行距離(側面・斜面撮影))を設定する必要があります。

高度1m(超近接撮影)

高度150m高度150m

高度・(距離)

近接

遠方

撮影面A

撮影面C

撮影領域

小領域(狭い)

広領域(広い)

※使用する撮影(カメラ)システムで、高度Zimの時に画像の横方向Yim、縦方向Ximの表を作成しておくと役に立ちます。

ドロ-ンはリモセンの代替技術ではありません。

ドロ-ンだからこそできる利活用法があるはずです。

通常、空からの写真測量・環境調査は、対象物の上空を通る水平コ-スで行う。対象物に対して、法線方向の撮影・調査が好ましいが一般的に有人航空機では水平コ-ス

火山、原発、聖地、etc. 空域制限やその他の事情で対象物の上空をフライトできないと、調査をあきらめる!!!or 何とかする。

質問; ドロ-ンで何とかならないのか?回答; 空域制限があるので無理なものは無理(本当でしょうか?)

当面のUAV関連調査・解析・業務

1. 飛行計画(目的・地域・許可申請・精度等)2. 空撮作業(静止画・動画) or 空中調査(赤外系(SST)、レーザ-(地物測量・測深))or 薬剤散布等

3. 一次処理(空間データ化)4. 判読作業5. 解析作業(データ解析)6. 報告書作成

簡単に言うと、ある目的に対して、計画を立て、UAVフライトを行い、データ化して、解析を行い、結果をまとめ報告書作成が一般的な流れ。民間業務では、それぞれに専門家がいる。 海岸環境工学研究室では一人で全作業を行っています。

陸・川・海、そして、空(上方)へのドロ-ン利活用

ドロ-ンで様々な事ができそうですが、「行って撮影・調査して来い」で、オペレ-ト(操縦・撮影・データ取得)できるわけではありません。依頼(命令)する方も、オペレ-トする方も、何ができて、何ができなくて、何ができそうか、知っておく必要があります。

そして、具体的には

・目的を明確に(何をしたいのか・現場で何ができるのか)・事前にフライトシミュレ-ション(机上やPC)・機材の準備・現場を良く見ましょう。そして、観天望気が大事です。・チームで打ち合わせ(安全確認、機材確認、フライトプラン確認)

・安全に運行したら、現場でデ-タを確認しましょう・安全、安心なフライトで、良質な画像・デ-タ取得しましょう。

ドロ-ンパイロットも、画像・デ-タ解析がどの様に行われるか知っていれば、最適なフライト・位置取りができます。

ドロ-ンを利活用するには;

1. 安全に運行する技術2. 目的の(質の良い)画像・動画・デ-タを撮る(取る)技術3. 画像や動画を判読し・解析する技術4. 運航に必要な法律の知識5. 頼れるアドバイザ-・頼れる経験6. その他

飛行前に必ず安全運転と声に出しましょう。どんな事があっても、どんな事を頼まれても、何が起きても、「安全運転」遵守。

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安全に運航する技術 i.e. カラスや猛禽類に注意、 温度管理にも注意、強風や雨にも注意、別のドロ-ンにも注意、電線に注意、構造物や人に注意、そして、ほかの有人航空機にも注意、・・・

ドロ-ンの利活用で大事なこと(一人で始めない);・技術的に信頼できる人を探しましょう。・安全な運用(飛行)を手伝ってくれる友人を探しましょう・一にも二にも「安全運転(運航)」

新人さんへのアドバイス

リモ-トセンシング衛星では、任意の場所を任意の

時間に調査(指令)することはほとんどできません。運航権限を持つ人は、この講義室には多分いません。

GPS

個人や組織で

運航権限を持てる(最適なフライ

トプラン・調査プラン(テーラ-メ-ド調査)を立案し実行できる。

民事利用の利活用が進む可能性は高い。

(まずは空飛ぶ高級デジカメ・ビデオの利活用)

ドロ-ンはどこを飛行する?

・軍事利用(低空から高高度)?日本ではほとんど未利用

・民事利用(通常;150m規制)農薬散布(多数派)+写真測量+広報

高度

3万6千km

1万9937~2万130km

300~500km

9~12km

インテルサット

3万5844km BS衛星3万5800km ひまわり

3万5797km

GNSS(全球測位衛星システム)GPS、GLONASS、Gal ileo、準天頂衛星(QZSS)等

スペ-スシャトル

ジェット機

3km以下 プロペラ機

宇宙

宇宙や空にはたくさんのモニタリング用の機材が

図1 サンゴ礁海域の地形(等値線20cm間隔)

図2 サンゴ礁海域の地形段彩図 図3 潜堤のオルソ画像(等値線20cm間隔)

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図4 藻場のオルソ画像

図5 油類漂着状況調査の例

体長11m

図6 マッコウクジラの計測例図7 河口周辺海域のクラゲの様子

A

B

D=5.26m

28°24′ 17.84‘’N129°27′15.02″E

-27.2mが観測時汀線位置

D=1.5m

A

図8 サンゴ礁性海岸の簡易調査例 図9 サンゴ礁地形の段彩図

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7°20′ 19.81″ N 134°27′ 56.83″ E

13.7m

図10 日本軍沈船の様子

図11 国際サンゴ礁研究所付近の海底地形の様子

図12 マングロ-ブ林の調査例

7°20′19.81″ N134°27′56.83″ EL=13.7m

図13 国際サンゴ礁研究所付近の環境調査例

図14 浮体(海面養殖施設)を鳥の視点で撮影した空撮画像 図15 マリ-ナの船舶係留状況と航路埋没の状況

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図16 港口に向かい伝搬中の航跡波の様子図17 海面を漂う油類の状況

図18 浮体構造物と波の干渉の状況

図19 水面反射による色彩情報が欠けた例(その1)

図20 水面反射による色彩情報が欠けた例(その2)図21 反射光により波が識別できる空中写真の例

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図22 時間差と空間位置差で航跡波が消える画像の例(1) 図23 時間差と空間位置差で航跡波が消える画像の例(2)

図24 航跡波の例(その1)図25 空中写真から目視で抽出した航跡波の波峰線(その2)

図26 航跡波の例(その2) 図27 空中写真から目視で抽出した航跡波の波峰線(その2)

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図28 浮体構造物と波の干渉(反射波)の様子

図16 係留された船舶の空中写真(鶴洋丸)

図29 停泊中の船舶の静止画の例(鶴洋丸)

図30 船舶のオルソ画像の例(鶴洋丸)(左右反転)図31 港湾と船舶の三次元化の例(田老漁港)

図19 ドロ-ンにより撮影した船舶の空中写真図32 ドロ-ン空撮時の長さ指標の例

図33 浮体構造物周りの波の様子とGoogle Earthの計測機能で求めた浮体構造物の長さ(10.8m)の比較の例

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質問;

1) ドロ-ンを用いて行いたいことを述べて下さい。

2) 質問1)で述べたことを実行するには、何をどの様に成すべきか、できるだけ具体的な計画を説明して下さい。

3) 図1から図33の中の一枚の画像を取り上げて、画像(図)から読み取れることを200字以上で説明して下さい(判読作業)。

4) 本講義内容の感想を述べて下さい。

提出先は;

西 隆一郎 ([email protected]