4.5 山形県の気候の変化...4.5 山形県の気候の変化 - 121 -...

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4.5 山形県の気候の変化 - 120 - 4.5 山形県の気候の変化 4.5.1 山形県の地勢と気候 山形県は、東北地方の南西部に位置し、県の北 西側が日本海に面している。北は秋田県、東から 南は宮城、福島の両県、南西は新潟県にそれぞれ 隣接し、東西約100km、南北約160km、総面積は約 9,323km 2 で全国第9位の広さである(図4.5-1)。 東の県境には標高1000mから2000mに及ぶ奥羽山 脈が南北に走り、山形県が日本海側の気候に属 する要因となっている。また、中央部には県を内 陸部(最上、置賜、村山)と沿岸部(庄内)に分 ける形で、出羽山地・月山・朝日山地が南北に延 びる。北の秋田県境には鳥海山(2236m)、南の新 潟県境と福島県境には飯豊山地・吾妻連峰が連 なる。山形県の母なる川である最上川は、福島県 境の吾妻連峰に源を発し、置賜地方、村山地方を 北流し、西に流れを変え、最上地方、出羽山地を 横切り、庄内平野を流れ、酒田市で日本海に注 ぐ。 山形県の気候は、日本海に面する沿岸部と奥 羽山脈西側の内陸部に大別される。沿岸部の庄 内地方は海洋性気候の特徴を持ち、多雨多湿で 冬季には北西の季節風が強い。内陸部は一日の 最高気温と最低気温の差が大きい。山形市を中 心とする村山地方の平野部は雨、雪ともに少な いが、山間部は多雪地帯となっている。新庄市 を中心とする最上地方は冬の積雪が多く、米沢 市を中心とする置賜地方は比較的穏やかな気 候だが、山間部は多雪地帯となっている。 山形県の四季 厳しい寒さをもたらす冬の季節風は、3月に入 ると急速に衰える。時折、名残の寒波が入るが、 3月から4月にかけて急速に季節が進んでいく。 本当に春らしくなるのは、雪が消え黒々とした 大地が現れる時で、庄内地方など早い所では3月 半ばから下旬には積雪がなくなる。4月中旬にな る頃には、平地の雪は消え、桜の便りが話題に上 り始める。春の天気は周期的に変化するが変化 が激しく、低気圧が日本海を発達しながら通過 すると強風が吹き春雷を起こす。5月も半ばにな ると平均気温は15℃に達し、1年で最も日照時間 が多い時期でもあり、農作業の適期となる。 白鷹町 紅花 紅花は梅雨の頃に花を咲かせ、鮮やかな紅色の染料 に加工される。江戸時代、最上川流域は全国有数の紅 花の産地で、収穫された紅花は最上川を下り、北前船 で京都や大阪に運ばれ、大いに珍重されたという。 図4.5-1 山形県の地勢と観測地点(2018年1月現在) 図中に観測所の位置を示す。赤◎は地方気象台、青◎は 特別地域気象観測所(旧測候所)、緑○はアメダス。 酒田 山形 新庄 ※この地図は、国土地理院『数値地図50mメッシュ(標高)平成13年5月1日』および、国土交通省国土政策局『国土数値情報 (行政区域データ)平成28年』をもとに、仙台管区気象台が加工・作製した。

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Page 1: 4.5 山形県の気候の変化...4.5 山形県の気候の変化 - 121 - 6月半ばに梅雨入りすると、内陸部では曇りや雨 の天気が続くが、庄内地方は比較的日照時間が多

4.5 山形県の気候の変化

- 120 -

4.5 山形県の気候の変化

4.5.1 山形県の地勢と気候

山形県は、東北地方の南西部に位置し、県の北

西側が日本海に面している。北は秋田県、東から

南は宮城、福島の両県、南西は新潟県にそれぞれ

隣接し、東西約100km、南北約160km、総面積は約

9,323km2で全国第9位の広さである(図4.5-1)。

東の県境には標高1000mから2000mに及ぶ奥羽山

脈が南北に走り、山形県が日本海側の気候に属

する要因となっている。また、中央部には県を内

陸部(最上、置賜、村山)と沿岸部(庄内)に分

ける形で、出羽山地・月山・朝日山地が南北に延

びる。北の秋田県境には鳥海山(2236m)、南の新

潟県境と福島県境には飯豊山地・吾妻連峰が連

なる。山形県の母なる川である最上川は、福島県

境の吾妻連峰に源を発し、置賜地方、村山地方を

北流し、西に流れを変え、最上地方、出羽山地を

横切り、庄内平野を流れ、酒田市で日本海に注

ぐ。

山形県の気候は、日本海に面する沿岸部と奥

羽山脈西側の内陸部に大別される。沿岸部の庄

内地方は海洋性気候の特徴を持ち、多雨多湿で

冬季には北西の季節風が強い。内陸部は一日の

最高気温と最低気温の差が大きい。山形市を中

心とする村山地方の平野部は雨、雪ともに少な

いが、山間部は多雪地帯となっている。新庄市

を中心とする最上地方は冬の積雪が多く、米沢

市を中心とする置賜地方は比較的穏やかな気

候だが、山間部は多雪地帯となっている。

山形県の四季

厳しい寒さをもたらす冬の季節風は、3月に入

ると急速に衰える。時折、名残の寒波が入るが、

3月から4月にかけて急速に季節が進んでいく。

本当に春らしくなるのは、雪が消え黒々とした

大地が現れる時で、庄内地方など早い所では3月

半ばから下旬には積雪がなくなる。4月中旬にな

る頃には、平地の雪は消え、桜の便りが話題に上

り始める。春の天気は周期的に変化するが変化

が激しく、低気圧が日本海を発達しながら通過

すると強風が吹き春雷を起こす。5月も半ばにな

ると平均気温は15℃に達し、1年で最も日照時間

が多い時期でもあり、農作業の適期となる。

白鷹町 紅花

紅花は梅雨の頃に花を咲かせ、鮮やかな紅色の染料

に加工される。江戸時代、最上川流域は全国有数の紅

花の産地で、収穫された紅花は最上川を下り、北前船

で京都や大阪に運ばれ、大いに珍重されたという。

図4.5-1 山形県の地勢と観測地点(2018年1月現在)※

図中に観測所の位置を示す。赤◎は地方気象台、青◎は

特別地域気象観測所(旧測候所)、緑○はアメダス。

酒田

山形

新庄

※この地図は、国土地理院『数値地図50mメッシュ(標高)平成13年5月1日』および、国土交通省国土政策局『国土数値情報

(行政区域データ)平成28年』をもとに、仙台管区気象台が加工・作製した。

Page 2: 4.5 山形県の気候の変化...4.5 山形県の気候の変化 - 121 - 6月半ばに梅雨入りすると、内陸部では曇りや雨 の天気が続くが、庄内地方は比較的日照時間が多

4.5 山形県の気候の変化

- 121 -

6月半ばに梅雨入りすると、内陸部では曇りや雨

の天気が続くが、庄内地方は比較的日照時間が多

い。空梅雨は時として干害を引き起こす。梅雨明

け後は、太平洋高気圧に覆われて晴天が続く。山

形、米沢盆地では山岳を越えて吹き下ろす南風で

フェーン現象が起こり、異常な暑さを記録するこ

とがある(コラム「『歴史的のあつさ』日本一の最

高気温」参照)。8月末には早くも秋の気配が漂い

始める。

秋は台風シーズンであり、台風が日本海を通過

すると雨は少ないものの暴風に見舞われることが

ある。ぐずついた秋雨の時期が過ぎると爽やかな

秋晴れの晴天が周期的に訪れ、秋は日増しに深ま

っていく。10月に入ると初冠雪や初霜の便りも聞

こえ始め、一雨ごとに寒さが加わり、冬の季節風

のはしりの北西風が吹き始める。10月は内陸の盆

地で霧がもっとも多い時期でもある。秋も終わり

に近づく11月は、平地でも初雪を見るようになる。

冬は、北西の季節風が吹き荒れ、庄内地方では1月、2月に地吹雪が起こる。庄内地方の平野部や山形

盆地は比較的雪が少ないが、最上、置賜地方は雪が多い。特に、月山、朝日山地沿いでは積雪が3m以上

となり、全国有数の豪雪地帯となっている。

山形県の気象観測

山形県内の観測地点として、1889年7月に観測を開始した山形地方気象台(以下、山形と記載)と、

酒田特別地域気象観測所(1937年1月観測開始)、新庄特別地域気象観測所(1957年9月観測開始)があ

る(以下、酒田、新庄と記載。酒田、新庄は旧測候所で、現在は無人化され自動観測となっている)。

また、1974年からアメダス(地域気象観測システム)の運用を開始しており、2019年1月現在、県内28

地点(山形、酒田、新庄含む)で観測を行っている。

山形の月平均気温、月降水量、月間日照時間の平年値を図4.5-2に示す。

酒田市 山居倉庫

山居倉庫は、明治26(1893)年に旧藩主の酒井家に

よって建てられ、今も現役の農業倉庫として利用さ

れている。日よけと風よけのため建物の西側に植え

られたケヤキが、真夏の日射しを浴びて、倉庫に濃い

影を落とす。

図4.5-2 山形の月平均気温、月降水量、月間日照時間の平年値

左図は日平均気温・日最高気温・日最低気温の月平均値(℃)、中図は月降水量(mm)、右図は月間日照時間(時

間)。平年値は1981~2010年の30年平均値。日照時間は1986年に測器変更があったため、変更前の値を補正して

いる(気象庁,2005a)。

山形 山形 山形

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4.5 山形県の気候の変化

- 122 -

4.5.2 山形県の気温の長期変化

年平均気温の長期変化

山形、酒田、新庄の年平均気温の推移を図4.5-

3に示す。

山形では100年あたり1.3℃の割合で、酒田では

50年あたり1.2℃の割合で、新庄では50年あたり

0.9℃の割合でそれぞれ3地点とも上昇している。

山形では長期的な変化傾向を除くと1900年代半

ばから1910年代初めと、1920年代半ばから

1940年代の終わりにかけて低温の期間が見られ

る。1950年代の終わりから1960年代初めに高温の

時期があり、1980年代の低温の時期を経て、1980

年代の終わりに大きく気温が上昇し、1990年頃か

ら高温の年が多くなっている。

地点名 統計期間 長期変化傾向 備考(観測所移転等に伴う統計切断等)

山形 1890~2018年 1.3℃/100年

酒田 1937~2018年 1.2℃/50年 1970年3月に観測所を移転したため、移転の影響を取り除く

補正を行っている。

新庄 1958~2018年 0.9℃/50年 1985年11月に観測場所を移転したため、移転の影響を取り

除く補正を行っている。

図4.5-3及び付表 山形、酒田、新庄の年平均気温の推移

図の青線は各年の年平均気温(℃)、赤線は5年移動平均値、直線は長期変化傾向を表す。付表の長期変化傾向

で、無印の値は信頼度水準99%で統計的に有意な値、*を付加した値は95%で有意な値、**を付加した値は90%で有

意な値であることを示し、「-」となっているところは、統計的に有意な長期変化傾向が見られないことを示

す。

大蔵村 蕎麦畑

月山のふもとに白い花畑が広がる。蕎麦の花は夏の

終わりから咲き始め、9 月中旬に満開を迎える。名物

の新蕎麦の季節まであと少しである。

山形 酒田

新庄

変化率:1.2℃/50年

変化率:0.9℃/50年

信頼度水準 99%で有意

信頼度水準 99%で有意 信頼度水準 99%で有意

変化率:1.3℃/100年

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4.5 山形県の気候の変化

- 123 -

季節別平均気温の長期変化

山形の季節別平均気温の推移を図4.5-4に示す。

山形では、すべての季節の気温が、上昇してお

り、春の上昇傾向が100年あたり1.6℃と比較的大

きい。春は1984年の低温が顕著であり、夏は

1993年、2003年の冷夏、2010年の暑夏など数年おき

に低温と高温が現れている。秋(100年あたり1.2℃

上昇)の変動幅は他の季節に比べ小さく、1989年

頃の大きな上昇は他の季節に比べ明瞭である。冬

(100年あたり1.4℃上昇)は1945年の寒冬、1949年

と1989~1993年の暖冬が顕著で、夏と同様に数年

おきの変動が大きい。

季節 統計期間 長期変化傾向 備考(観測所移転等に伴う統計切断等)

春(3~5月) 1890~2018年 1.6℃/100年

夏(6~8月) 1890~2018年 1.0℃/100年

秋(9~11月) 1889~2018年 1.2℃/100年

冬(12~2月) 1890~2018年 1.4℃/100年

図4.5-4及び付表 山形の季節別平均気温の推移

図の折線は季節別平均気温(℃)とその5年移動平均値、直線は長期変化傾向を表す。春は3月~5月、夏は6月~

8月、秋は9月~11月、冬は前年12月~2月の3か月平均値である。付表の長期変化傾向で、無印の値は信頼度水準

99%で統計的に有意な値、*を付加した値は95%で有意な値、**を付加した値は90%で有意な値であることを示し、

「-」となっているところは、統計的に有意な長期変化傾向が見られないことを示す。

変化率:1.2℃/100年 山形

変化率:1.6℃/100年

飯豊町 散居村

飯豊町には屋敷林に囲まれた家々が田園の中に点

在する昔ながらの散居集落が残る。

山形 変化率:1.0℃/100年 山形

変化率:1.4℃/100年

山形

信頼度水準 99%で有意

信頼度水準 99%で有意

信頼度水準 99%で有意 信頼度水準 99%で有意

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4.5 山形県の気候の変化

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酒田、新庄の季節別平均気温の推移を図4.5-5に示す

酒田ではすべての季節の気温が上昇している。また、新庄では夏・秋の気温は上昇しており、冬の気

温には上昇傾向が現れている。そして、春の気温は上昇しているとみられる。

酒田

酒田

酒田

酒田

新庄

新庄

新庄

新庄

変化率:1.5℃/50年

信頼度水準 99%で有意

変化率:0.9℃/50年 信頼度水準 99%で有意

信頼度水準 99%で有意

変化率:1.4℃/50年

変化率:1.2℃/50年

信頼度水準 99%で有意

変化率:1.0℃/50年

信頼度水準 99%で有意

信頼度水準 99%で有意

変化率:1.2℃/50年

信頼度水準 95%で有意

変化率:0.7℃/50年

変化率:0.7℃/50年

信頼度水準 90%で有意

Page 6: 4.5 山形県の気候の変化...4.5 山形県の気候の変化 - 121 - 6月半ばに梅雨入りすると、内陸部では曇りや雨 の天気が続くが、庄内地方は比較的日照時間が多

4.5 山形県の気候の変化

- 125 -

地点名(季節) 統計期間 長期変化傾向 備考(観測所移転等に伴う統計切断等)

酒田(春) 1937~2018年 1.5℃/50年 1970年3月に観測所を移転したため、移転の影響を取

り除く補正を行っている。 酒田(夏) 1937~2018年 0.9℃/50年

酒田(秋) 1937~2018年 1.4℃/50年

酒田(冬) 1938~2018年 1.2℃/50年

新庄(春) 1958~2018年 0.7**℃/50年 1985年11月に観測場所を移転したため、移転の影響

を取り除く補正を行っている。 新庄(夏) 1958~2018年 1.0℃/50年

新庄(秋) 1957~2018年 1.2℃/50年

新庄(冬) 1958~2018年 0.7*℃/50年

図4.5-5及び付表 酒田、新庄の季節別平均気温の推移

図の折線は季節別平均気温(℃)とその5年移動平均値、直線は長期変化傾向を示す。春は3月~5月、夏は6

月~8月、秋は9月~11月、冬は前年12月~2月の3か月平均値である。付表の長期変化傾向で、無印の値は信頼

度水準99%で統計的に有意な値、*を付加した値は95%で有意な値、**を付加した値は90%で有意な値であるこ

とを示し、「-」となっているところは、統計的に有意な長期変化傾向が見られないことを示す。

雷の年間日数※は、東北地方の日本海側で増

加傾向が認められる。例えば、酒田では、雷の年間

日数が、1937~2008年において10年あたり3.6日の

割合で増加している。雷は一般的に夏に発生するイ

メージがあるが、日本海に面する酒田では冬に多く

発生している。これは、冬の日本海は対馬暖流の影響

で暖かいため、上空に強い寒気が流れ込むと大気の

状態が不安定となり、雷をもたらす積乱雲が発生し

やすいからである。雷日数が増加している原因に

ついては、現時点では明らかではない。

※雷日数は、雷電(電光と雷鳴)または雷鳴(遠雷を除く)のいずれかを観測した日数。

電光のみまたは通常遠雷と認められる程度の雷鳴のみは含めない。

図 酒田の雷日数の推移(1937~2008年)

棒グラフは各年の年間雷日数、直線は

長期変化傾向を表す。酒田は2009年10月1

日に無人化され雷の観測を終了した。

まめコラム

酒田の雷が増えている

変化率:3.6日/10年

信頼度水準 99%で有意

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4.5 山形県の気候の変化

- 126 -

4.5.3 山形県の雨・雪の長期変化

年・季節別降水量の長期変化

山形、酒田、新庄の年降水量の推移を図4.5-6に示す(脚注1)。

山形、酒田、新庄の年降水量に、変化傾向は見られない。季節別降水量では、山形では図4.5-7に示

すように冬の降水量に減少傾向が現れているが、春、夏、秋の降水量に変化傾向は見られない(図略)。

また、酒田、新庄では、すべての季節の降水量について変化傾向は見られない(図略)。なお、冬の降

水は主に雪によるものである(脚注2)。

地点名 統計期間 長期変化傾向 備考(観測所移転等に伴う統計切断等)

山形 1890~2018年 -

酒田 1937~2018年 -

新庄 1958~2018年 - 2002年の値は資料不足値のため用いない。

図4.5-6及び付表 山形、酒田、新庄の年降水量の推移

図の棒グラフは各年の年降水量(mm)、折線は5年移動平均値を示す。欠測年は横軸を灰色にしている。付表の

長期変化傾向で、無印の値は信頼度水準99%で統計的に有意な値、*を付加した値は95%で有意な値、**を付加し

た値は90%で有意な値であることを示し、「-」となっているところは、統計的に有意な長期変化傾向が見られな

いことを示す。

山形 酒田

新庄

脚注1)1968年1月に転倒ます型雨量計の観測開始により、観測値の最小位数を 0.1mm 刻みから 0.5mm 刻みに変更した(気

象庁,2005a)。なお、冬期は加熱装置付きの機器を使用している。

脚注2)降水量の観測は、円筒型の雨量計に捕捉された雨の量(雪の場合、溶かした水の量)を測定することにより行われる

が雪の捕捉率は風速が大きくなると低下し、少なめに観測される。その割合は測器の形状によって異なると指摘されてい

る(横山ら,2003)。なお、ここでは測器の形状及び風速による降水量の補正は行っていない。

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4.5 山形県の気候の変化

- 127 -

地点名(季節) 統計期間 長期変化傾向 備考(観測所移転等に伴う統計切断等)

山形(春) 1890~2018年 -

山形(夏) 1890~2018年 -

山形(秋) 1889~2018年 -

山形(冬) 1890~2018年 -41.7*mm/100年

酒田(春) 1937~2018年 -

酒田(夏) 1937~2018年 -

酒田(秋) 1937~2018年 -

酒田(冬) 1938~2018年 -

新庄(春) 1958~2018年 -

新庄(夏) 1958~2018年 -

新庄(秋) 1957~2018年 - 2002年の値は資料不足値のため用いない。

新庄(冬) 1958~2018年 - 2003年の値は資料不足値のため用いない。

図4.5-7及び付表 山形の冬の降水量の推移

図の棒グラフは山形の冬の3か月合計降水量(mm)、折線は5年移動平均値、直線は長期変化傾向を表す。春は3月

~5月、夏は6月~8月、秋は9月~11月、冬は前年12月~2月の3か月合計値。付表には山形、酒田、新庄のそれぞれ

の季節別降水量についても記載する。付表の長期変化傾向で、無印の値は信頼度水準99%で統計的に有意な値、*を

付加した値は95%で有意な値、**を付加した値は90%で有意な値であることを示し、「-」となっているところは、

統計的に有意な長期変化傾向が見られないことを示す。

信頼度水準 95%で有意

変化率:-41.7mm/100年 山形

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4.5 山形県の気候の変化

- 128 -

年最大日降水量の長期変化

山形、酒田、新庄の年最大日降水量の推移を図4.5-8に示す。

3地点とも変化傾向は見られない。山形の年最大日降水量はおおむね40mmから80mmの間で変動してい

るが、まれに150mmを超える大雨が発生している。1913年8月27日は、台風が東北地方を縦断したため暴

風雨となり、山形では日降水量217.6mmを観測した。この大雨で、山形市内の河川が氾濫し、県庁前(当

時)の水深は約2.4mに達した。また、最上川の堤防が各所で決壊し、田畑流失、家屋浸水など大きな被

害を出した(気象庁,1972)。

地点名 統計期間 長期変化傾向 備考(観測所移転等に伴う統計切断等)

山形 1890~2018年 -

酒田 1937~2018年 -

新庄 1958~2018年 - 2002年の値は資料不足値のため用いない。

図4.5-8及び付表 山形、酒田、新庄の年最大日降水量の推移

図の棒グラフは各年の年最大日降水量(mm)、折線は5年移動平均値を示す。欠測年は横軸を灰色にしている。

付表の長期変化傾向で、無印の値は信頼度水準99%で統計的に有意な値、*を付加した値は95%で有意な値、**を

付加した値は90%で有意な値であることを示し、「-」となっているところは、統計的に有意な長期変化傾向が見

られないことを示す。

山形 酒田

新庄

Page 10: 4.5 山形県の気候の変化...4.5 山形県の気候の変化 - 121 - 6月半ばに梅雨入りすると、内陸部では曇りや雨 の天気が続くが、庄内地方は比較的日照時間が多

4.5 山形県の気候の変化

- 129 -

大雨日数の長期変化

山形、酒田、新庄の日降水量50mm以上の年間日数の推移を図4.5-9に示す。

山形では日降水量50mm以上の年間日数に増加傾向が現れているが、酒田と新庄では、変化傾向は見

られない。

地点名 統計期間 長期変化傾向 備考(観測所移転等に伴う統計切断等)

山形 1890~2018年 0.8*日/100年

酒田 1937~2018年 -

新庄 1958~2018年 - 2002年の値は資料不足値のため用いない。

図4.5-9及び付表 山形、酒田、新庄の日降水量50mm以上の年間日数の推移

図の棒グラフは各年の日降水量50mm以上の年間日数、折線は5年移動平均値、直線は長期変化傾向を表す。欠

測年は横軸を灰色にしている。付表の長期変化傾向で、無印の値は信頼度水準99%で統計的に有意な値、*を付加

した値は95%で有意な値、**を付加した値は90%で有意な値であることを示し、「-」となっているところは、統

計的に有意な長期変化傾向が見られないことを示す。

変化率:0.8日/100年

信頼度水準 95%で有意

山形 酒田

新庄

Page 11: 4.5 山形県の気候の変化...4.5 山形県の気候の変化 - 121 - 6月半ばに梅雨入りすると、内陸部では曇りや雨 の天気が続くが、庄内地方は比較的日照時間が多

4.5 山形県の気候の変化

- 130 -

無降水日数の長期変化

山形、酒田、新庄の無降水日(日降水量1.0mm未満)の年間日数の推移を図4.5-10に示す。

山形では100年あたり10.1日の割合で増加している。一方で、酒田と新庄の無降水日数には変化傾向

が見られず、2.2.5項で述べた東北地方で現れている特徴とは異なっている。

地点名 統計期間 長期変化傾向 備考(観測所移転等に伴う統計切断等)

山形 1890~2018年 10.1日/100年

酒田 1937~2018年 -

新庄 1958~2018年 - 2002年の値は資料不足値のため用いない。

図4.5-10及び付表 山形、酒田、新庄の無降水日の年間日数の推移

図の棒グラフは各年の無降水日(日降水量1.0mm未満)の年間日数、折線は5年移動平均値、直線は長期変化傾

向を表す。欠測年は横軸を灰色にしている。付表の長期変化傾向で、無印の値は信頼度水準99%で統計的に有意

な値、*を付加した値は95%で有意な値、**を付加した値は90%で有意な値であることを示し、「-」となっている

ところは、統計的に有意な長期変化傾向が見られないことを示す。

変化率:10.1日/100年

信頼度水準 99%で有意

山形 酒田

新庄

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4.5 山形県の気候の変化

- 131 -

アメダスで見た大雨発生回数の長期変化

山形県内のアメダスは、1974年に運用を開始し、2019年1月現在、県内28地点で観測を行っている(気

象台、特別地域気象観測所を含む)。山形や酒田では70年以上の観測データがあるのに比べるとアメダ

スでの観測年数は40年余りで短いが、地点数が多いことから、気象台等のデータだけを用いるよりも

局地的大雨等を適切に捉える事ができる。そこで、山形県内の観測地点のうち、1979年~2018年まで降

水量の観測を継続している22地点のデータから1時間降水量30mm以上、1時間降水量50mm以上の短時間

強雨及び日降水量100mm以上の大雨の年間発生回数を集計した。図4.5-11に示すように、いずれも年ご

とのばらつきが大きいものの、1時間降水量30mm以上の短時間強雨の発生回数は10年あたり3.6回の割

合で増加している。1時間降水量50mm以上と日降水量100mm以上の発生回数は、いずれも年ごとの変動

が大きく、変化傾向が見られない。

一般に、大雨の発生回数は年ごとの変動が大きく、それに対してアメダスの運用期間は比較的短い

ことから、長期変化を確実に捉えるためには今後のデータの蓄積が必要である(気象庁,2015)。

年間発生回数 統計期間 長期変化傾向

1時間降水量30㎜以上 1979~2018年 3.6回/10年

1時間降水量50mm以上 1979~2018年 -

日降水量100㎜以上 1979~2018年 -

図4.5-11及び付表 山形県内の1時間降水量30mm以上、1時間降水量50mm以上、日降水量100mm以上の年間発生回

数の推移

山形県内で1979年から2018年まで降水量の観測を継続している22地点のデータから集計した1時間降水量30mm

以上の年間発生回数(上左図)、1時間降水量50mm以上の年間発生回数(上右図)と、日降水量100mm以上の年間発

生回数(下左図)。直線は長期変化傾向を表す。付表の長期変化傾向で、無印の値は信頼度水準99%で統計的に有意

な値、*を付加した値は95%で有意な値、**を付加した値は90%で有意な値であることを示し、「-」となっていると

ころは、統計的に有意な長期変化傾向が見られないことを示す。

山形県

山形県

変化率:3.6回/10年

信頼度水準 99%で有意

山形県

Page 13: 4.5 山形県の気候の変化...4.5 山形県の気候の変化 - 121 - 6月半ばに梅雨入りすると、内陸部では曇りや雨 の天気が続くが、庄内地方は比較的日照時間が多

4.5 山形県の気候の変化

- 132 -

降雪の深さと最深積雪の長期変化

山形、酒田、新庄の降雪の深さの寒候年合計値の推移を図4.5-12に示す(脚注)。

山形、酒田は2005年10月、新庄は1998年3月に降雪の深さの観測を雪板による観測から積雪計による

自動観測に変更しており、観測データがこの前後で均質ではないため、雪板による観測データを対象

として変化傾向を調べた。山形、酒田では降雪の深さの合計値に変化傾向は見られず、2.2.7項で述べ

た東北日本海側と同様である。新庄は減少しているとみられる。山形ではおおむね300cm前後で変動し

ているが、1981年には545cmを記録している。また、酒田ではおおむね200㎝前後で変動している。新庄

では1960年代から1980年代半ばにかけて1000cmを超える年が度々あったが、1980年代の終わりに急減

し、1990年代の終わりまで少ない時期が続いた。

地点名 統計期間 長期変化傾向 備考(観測所移転等に伴う統計切断等)

山形 1954~2018寒候年 - 観測方法の変更に伴う統計切断のため、長期変化傾向は

1954~2005寒候年を調べた。

酒田 1954~2018寒候年 - 観測方法の変更に伴う統計切断のため、長期変化傾向は

1954~2005寒候年を調べた。

新庄 1959~2018寒候年 -48.4**㎝/10年 観測方法の変更に伴う統計切断のため、長期変化傾向は

1959~1997寒候年を調べた。

図4.5-12及び付表 山形、酒田、新庄の降雪の深さの寒候年合計値の推移

図の棒グラフは各年の降雪の深さの寒候年合計値(cm)、折線は5年移動平均値を表す。図中の破線は統計切

断時期を示す。付表の長期変化傾向で、無印の値は信頼度水準99%で統計的に有意な値、*を付加した値は95%

で有意な値、**を付加した値は90%で有意な値であることを示し、「-」となっているところは、統計的に有意

な長期変化傾向が見られないことを示す。

山形 酒田 新庄

信頼度水準 90%で有意

変化率:-48.4cm/10年

Page 14: 4.5 山形県の気候の変化...4.5 山形県の気候の変化 - 121 - 6月半ばに梅雨入りすると、内陸部では曇りや雨 の天気が続くが、庄内地方は比較的日照時間が多

4.5 山形県の気候の変化

- 133 -

山形、酒田、新庄の寒候年最深積雪の推移を図4.5-13に示す(脚注)。

3地点とも寒候年最深積雪に変化傾向は見られず、2.2.7項で述べた東北日本海側と同様である。山

形ではおおむね50cm前後で変動しているが、まれに100cm以上積もる年があり、1981年1月には113cmを

記録している。酒田ではおおむね30cm前後で変動している。新庄では1980年代半ばまで150cm以上積も

る年が度々あったが、1980年代の終わりに急減し、その後は100cm前後の年が続き、2010年以降は150㎝

以上の年が多い。

地点名 統計期間 長期変化傾向 備考(観測所移転等に伴う統計切断等)

山形 1894~2018寒候年 -

酒田 1938~2018寒候年 -

新庄 1958~2018寒候年 -

図4.5-13及び付表 山形、酒田、新庄の寒候年最深積雪の推移

図の棒グラフは各年の寒候年最深積雪(cm)、折線は5年移動平均値を表す。付表の長期変化傾向で、無印の値

は信頼度水準99%で統計的に有意な値、*を付加した値は95%で有意な値、**を付加した値は90%で有意な値である

ことを示し、「-」となっているところは、統計的に有意な長期変化傾向が見られないことを示す。

山形 酒田

新庄

脚注)1990年代以降、積雪の深さの観測を雪尺を用いた目視観測から積雪計による自動観測に変更した。積雪計への切替時

期は、山形1997年3月、酒田1998年3月、新庄1992年12月(気象庁,2005a)。

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4.5 山形県の気候の変化

- 134 -

山形、酒田、新庄の日最深積雪5cm以上の年間日数(寒候年)の推移を図4.5-14に示す。

3地点とも変化傾向は見られず、2.2.7項で述べた東北日本海側の特徴とは異なっている。

地点名 統計期間 長期変化傾向 備考(観測所移転等に伴う統計切断等)

山形 1894~2018寒候年 -

酒田 1938~2018寒候年 -

新庄 1958~2018寒候年 -

図4.5-14及び付表 山形、酒田、新庄の日最深積雪5cm以上の年間日数(寒候年)の推移

図の棒グラフは各年の日最深積雪5cm以上の年間日数(寒候年)、折線は5年移動平均値を表す。付表の長期変

化傾向で、無印の値は信頼度水準99%で統計的に有意な値、*を付加した値は95%で有意な値、**を付加した値は

90%で有意な値であることを示し、「-」となっているところは、統計的に有意な長期変化傾向が見られないこと

を示す。

山形 酒田

新庄

山形蔵王の樹氷

地蔵山頂からは、見事な樹氷群と遠く朝日山地の山並みが見渡せる。樹氷は「アイスモンスター」とも呼ば

れ、蔵王の冬の風物詩として知られる。

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4.5 山形県の気候の変化

- 135 -

雪の初終日の長期変化

山形、酒田の雪の初日(初雪)、雪の終日の推移を図4.5-15に示す。

新庄は1992年4月に夜間の目視観測を廃止、1998年3月に目視観測を廃止したことにより、それぞれ

雪の初終日の統計を切断しており、調査に必要なデータが十分にないため長期変化傾向は算出してい

ない(図略)。酒田では雪の初日が遅くなっているとみられる。山形の雪の初終日と酒田での雪の終日

に変化傾向は見られない。山形の初雪の平年値は、11月18日だが、3地点とも12月まで雪を観測しない

年もある。山形の初雪の最早は10月25日(1918年)である。

また、山形の雪の終日の平年値は4月8日だが、酒田は3月下旬の年も珍しくなく、新庄は4月中旬の年

も多い。山形の雪の終日の最晩は5月2日(1892年)である。

地点名(要素) 統計期間 長期変化傾向 備考(観測所移転等に伴う統計切断等)

山形(雪の初日) 1891~2018寒候年 -

山形(雪の終日) 1891~2018寒候年 -

酒田(雪の初日) 1971~2018寒候年 2.3**日/10年 目視観測の終了(2009年10月1日)に伴う統計切断の

ため、1971~2009寒候年の長期変化傾向を調べた。 酒田(雪の終日) 1971~2018寒候年 -

図4.5-15及び付表 山形、酒田、雪の初終日(寒候年)の推移

左図は雪の初日(初雪)、右図は雪の終日。上から山形、酒田。赤線は5年移動平均値、破線は統計切断時期、

直線は長期変化傾向を表す。酒田は2009年10月1日に、新庄は1998年3月1日に無人化され、目視による観測を終

了した。付表の長期変化傾向で、無印の値は信頼度水準99%で統計的に有意な値、*を付加した値は95%で有意な

値、**を付加した値は90%で有意な値であることを示し、「-」となっているところは、統計的に有意な長期変化

傾向が見られないことを示す。

変化率:2.3日/10年

信頼度水準 90%で有意

山形 山形

酒田 酒田

Page 17: 4.5 山形県の気候の変化...4.5 山形県の気候の変化 - 121 - 6月半ばに梅雨入りすると、内陸部では曇りや雨 の天気が続くが、庄内地方は比較的日照時間が多

4.5 山形県の気候の変化

- 136 -

4.5.4 山形県の真夏日・真冬日などの階級別日数の長期変化

山形、酒田、新庄の夏日(日最高気温25℃以上)の年間日数の推移を図4.5-16に、真夏日(日最高気

温30℃以上)の年間日数の推移を図4.5-17に示す。

酒田は1970年3月に観測場所を移転しており、観測データが移転前後で均質ではない可能性があるた

め、1970年以降の変化傾向を調べた(以下、熱帯夜、猛暑日は1970年以降、冬日、真冬日は1971年以降)。

新庄は1985年11月に観測場所を移転しており、移転後の観測期間が短いため変化傾向を算出していな

い。山形では10年あたり1.0日の割合、酒田では10年あたり6.2日の割合で、それぞれ夏日日数が増加し

ている。真夏日日数は、3地点とも年ごとのばらつきが大きいが、山形では増加しているとみられ、酒

田では10年あたり3.0日の割合で増加している。2010年は全国的に記録的な猛暑となり、県内の真夏日

日数は、山形で67日、酒田で49日、新庄で55日といずれも観測開始以来最多を記録した。

地点名 統計期間 長期変化傾向 備考(観測所移転等に伴う統計切断等)

山形 1890~2018年 1.0日/10年

酒田 1937~2018年 6.2日/10年 観測所移転(1970年3月)に伴う統計切断のため、1970~2018

年の長期変化傾向を調べた。

新庄 1958~2018年 - 観測場所移転(1985年11月)に伴う統計切断があり、移転後の

観測期間が短いため変化傾向を算出していない。

図4.5-16及び付表 山形、酒田、新庄の夏日(日最高気温25℃以上)の年間日数の推移

図の棒グラフは各年の夏日(日最高気温25℃以上)の年間日数、折線は5年移動平均値、直線は長期変化傾向、

破線は統計切断時期を表す。付表の長期変化傾向で、無印の値は信頼度水準99%で統計的に有意な値、*を付加した

値は95%で有意な値、**を付加した値は90%で有意な値であることを示し、「-」となっているところは、統計的に

有意な長期変化傾向が見られないことを示す。

変化率:1.0日/10年 変化率:6.2日/10年

信頼度水準 99%で有意 信頼度水準 99%で有意

山形 酒田

新庄

Page 18: 4.5 山形県の気候の変化...4.5 山形県の気候の変化 - 121 - 6月半ばに梅雨入りすると、内陸部では曇りや雨 の天気が続くが、庄内地方は比較的日照時間が多

4.5 山形県の気候の変化

- 137 -

地点名 統計期間 長期変化傾向 備考(観測所移転等に伴う統計切断等)

山形 1890~2018年 0.6**日/10年

酒田 1937~2018年 3.0日/10年 観測所移転(1970年3月)に伴う統計切断のため、長期変化傾

向は1970~2018年を調べた。

新庄 1958~2018年 - 観測場所移転(1985年11月)に伴う統計切断があり、移転後の

観測期間が短いため変化傾向を算出していない。

図4.5-17及び付表 山形、酒田、新庄の真夏日(日最高気温30℃以上)の年間日数の推移

図の棒グラフは各年の真夏日(日最高気温30℃以上)の年間日数、折線は5年移動平均値、直線は長期変化傾向、

破線は統計切断時期を示す。付表の長期変化傾向で、無印の値は信頼度水準99%で統計的に有意な値、*を付加した

値は95%で有意な値、**を付加した値は90%で有意な値であることを示し、「-」となっているところは、統計的に

有意な長期変化傾向が見られないことを示す。

変化率:0.6日/10年 変化率:3.0日/10年

信頼度水準 90%で有意

信頼度水準 99%で有意

山形 酒田

新庄

Page 19: 4.5 山形県の気候の変化...4.5 山形県の気候の変化 - 121 - 6月半ばに梅雨入りすると、内陸部では曇りや雨 の天気が続くが、庄内地方は比較的日照時間が多

4.5 山形県の気候の変化

- 138 -

山形、酒田の熱帯夜(ここでは日最低気温25℃

以上の日を便宜的に熱帯夜と呼ぶ)の年間日数の

推移を図4.5-18に示す。

山形では100年あたり0.5日の割合で、酒田では

10年あたり1.0日の割合でそれぞれ増加している。

新庄では熱帯夜が現れることはまれで、1958年以

降で9回現れただけである(図略)。山形と酒田の

変化率は、1桁異なるが、そもそもの出現頻度が酒

田の方が多い(平年値:山形(0.4日)、酒田(3.0

日))ことと、酒田の変化傾向を調べた期間が近年

に偏っていることなども影響していると考えら

れる。

地点名 統計期間 長期変化傾向 備考(観測所移転等に伴う統計切断等)

山形 1890~2018年 0.5日/100年

酒田 1937~2018年 1.0日/10年 観測所移転(1970年3月)に伴う統計切断のため、長期変化傾

向は1970~2018年を調べた。

図4.5-18及び付表 山形、酒田の熱帯夜(日最低気温25℃以上)の年間日数の推移

図の棒グラフは各年の熱帯夜(ここでは日最低気温25℃以上とする)の年間日数、折線は5年移動平均値、直線

は長期変化傾向を、破線は統計切断時期を表す。付表の長期変化傾向で、無印の値は信頼度水準99%で統計的に有

意な値、*を付加した値は95%で有意な値、**を付加した値は90%で有意な値であることを示し、「-」となっている

ところは、統計的に有意な長期変化傾向が見られないことを示す。

変化率:1.0日/10年 変化率:0.5日/100年

信頼度水準 99%で有意 信頼度水準 99%で有意

飯豊町 どんでん平ユリ園

7月中旬、広大な園内に150品種50万本のユリが咲き

誇る。風のない昼下がり、ユリの香りが辺りに立ちこ

めている。

山形 酒田

Page 20: 4.5 山形県の気候の変化...4.5 山形県の気候の変化 - 121 - 6月半ばに梅雨入りすると、内陸部では曇りや雨 の天気が続くが、庄内地方は比較的日照時間が多

4.5 山形県の気候の変化

- 139 -

山形、酒田、新庄の猛暑日(日最高気温35℃以上)の年間日数の推移を図4.5-19に示す。

3地点とも年ごとのばらつきが大きい。山形では10年あたり0.4日の割合で増加しており、酒田では

増加傾向が現れている。1929年は7月、8月と高温少雨が続き、山形の猛暑日日数は19日に達した。県の

南東部を中心にひどい干ばつに苦しみ、住民らが集まり雨乞いを行ったという(気象庁,1972)。

地点名 統計期間 長期変化傾向 備考(観測所移転等に伴う統計切断等)

山形 1890~2018年 0.4日/10年

酒田 1937~2018年 0.4*日/10年 観測所移転(1970年3月)に伴う統計切断のため、長期変化傾

向は1970~2018年を調べた。

新庄 1958~2018年 - 観測場所移転(1985年11月)に伴う統計切断があり、移転後の

観測期間が短いため変化傾向を算出していない。

図4.5-19及び付表 山形、酒田、新庄の猛暑日(日最高気温35℃以上)の年間日数の推移

図の棒グラフは各年の猛暑日(日最高気温35℃以上)の年間日数、折線は5年移動平均値、直線は長期変化傾向、

破線は統計切断時期を表す。付表の長期変化傾向で、無印の値は信頼度水準99%で統計的に有意な値。*を付加した

値は95%で有意な値、**を付加した値は90%で有意な値であることを示し、「-」となっているところは、統計的に

有意な長期変化傾向が見られないことを示す。

変化率:0.4日/10年

信頼度水準 95%で有意

山形 酒田

新庄

信頼度水準 99%で有意

変化率:0.4日/10年

Page 21: 4.5 山形県の気候の変化...4.5 山形県の気候の変化 - 121 - 6月半ばに梅雨入りすると、内陸部では曇りや雨 の天気が続くが、庄内地方は比較的日照時間が多

4.5 山形県の気候の変化

- 140 -

山形、酒田、新庄の冬日(日最低気温0℃未満)の年間日数の推移を図4.5-20に、真冬日(日最高気

温0℃未満)の年間日数の推移を図4.5-21に示す(脚注)。

山形では10年あたり2.5日の割合で、酒田では10年あたり6.3日の割合で、冬日日数が減少している。

山形の真冬日日数に変化傾向はみられないが、酒田では減少傾向が現れている。1945年は真冬日日

数が山形で44日、酒田で40日と突出して多く、この年の1月の山形の月平均気温は-5.0℃まで下がり、

顕著な寒冬・多雪となった(気象庁,1972)。

地点名 統計期間 長期変化傾向 備考(観測所移転等に伴う統計切断等)

山形 1890~2018年 -2.5日/10年

酒田 1937~2018年 -6.3日/10年 観測所移転(1970年3月)に伴う統計切断のため、長期変化傾

向は1971~2018年を調べた。

新庄 1958~2018年 - 観測場所移転(1985年11月)に伴う統計切断があり、移転後の

観測期間が短いため変化傾向を算出していない。

図4.5-20及び付表 山形、酒田、新庄の冬日(日最低気温0℃未満)の年間日数の推移

図の棒グラフは各年の冬日(日最低気温0℃未満)の年間日数、折線は5年移動平均値、直線は長期変化傾向、破

線は移転時期を表す。付表の長期変化傾向で、無印の値は信頼度水準99%で統計的に有意な値、*を付加した値は

95%で有意な値、**を付加した値は90%で有意な値であることを示し、「-」となっているところは、統計的に有意

な長期変化傾向が見られないことを示す。

変化率:-6.3日/10年 変化率:-2.5日/10年

信頼度水準 99%で有意

信頼度水準 99%で有意

脚注)日最低気温の日界(1日の区切り時刻)は現在では00時であるが、1939年までは日界を22時としており、1953~1963年

は09時としていた。09時日界及び22時日界による冬日日数は、00時日界によるものと比べ北日本平均でそれぞれ6.7日/年

と2.3日/年少なく、09時日界及び22時日界による熱帯夜日数は、00時日界によるものと比べ北日本平均でそれぞれ0.1日

/年と0.02日/年多いと指摘されている(藤部,2000)。

山形 酒田

新庄

Page 22: 4.5 山形県の気候の変化...4.5 山形県の気候の変化 - 121 - 6月半ばに梅雨入りすると、内陸部では曇りや雨 の天気が続くが、庄内地方は比較的日照時間が多

4.5 山形県の気候の変化

- 141 -

地点名 統計期間 長期変化傾向 備考(観測所移転等に伴う統計切断等)

山形 1890~2018年 -

酒田 1937~2018年 -1.0*日/10年 観測所移転(1970年3月)に伴う統計切断のため、長期変化傾

向は1971~2018年を調べた。

新庄 1958~2018年 - 観測場所移転(1985年11月)に伴う統計切断があり、移転後の

観測期間が短いため変化傾向を算出していない。

図4.5-21及び付表 山形、酒田、新庄の真冬日(日最高気温0℃未満)の年間日数の推移

図の棒グラフは各年の真冬日(日最高気温0℃未満)の年間日数、折線は5年移動平均値、直線は長期変化傾向、

破線は移転時期を表す。付表の長期変化傾向で、無印の値は信頼度水準99%で統計的に有意な値、*を付加した値は

95%で有意な値、**を付加した値は90%で有意な値であることを示し、「-」となっているところは、統計的に有意

な長期変化傾向が見られないことを示す。

4.5.5 山形県のサクラ開花・カエデ紅葉への影響

サクラの開花やカエデの紅葉などの植物の季節現象

は気温と密接な関係がある(気象庁,2015)。ここでは、

春の現象としてサクラ開花日、秋の現象としてカエデ紅

葉日に着目し、その変化と気温の変化を確認する。図

4.5-22に、山形、酒田、新庄のサクラ(ソメイヨシノ)

開花日(脚注1)とサクラ開花と相関が高い2月~4月の

3か月平均気温(脚注2)の推移を示す。

酒田と新庄のサクラ開花日には変化傾向は見られな

い。山形では早くなる傾向が現れている。山形では1980

年代の終わりまでは4月中旬から4月下旬に開花してい

たが、1989年以降は4月上旬の開花も見られるようになり、2002年には観測開始以来最早の4月3日に開

花した(最晩は1984年の4月29日)。山形と酒田では2月~4月の3か月平均気温が上昇しており、山形で

は10年に0.2℃の割合で、酒田では10年に0.3℃の割合で上昇している。

変化率:-1.0日/10年

信頼度水準 95%で有意

脚注1)1953年に気象庁で「生物季節観測指針」が制定され、全国で一定の基準による観測業務が開始されたが、これ以前は、

官署ごとに独自の観測を行っていたため、観測データの品質に差がある可能性がある(仙台管区気象台,2005)。そこで、

1952年以前の観測値は参考値とし、1953年以降の観測値から変化傾向を調べた。

脚注2)異常気象レポート2014(気象庁,2015)では、全国のサクラの開花日平年差と2月~3月平均気温平年差との間に負の

相関(相関係数-0.90)があると述べているが、東北地方においてサクラの開花日は全国の中では比較的遅めで、4月に開花

することが多いため、異常気象レポート2005(気象庁,2005b)と同様に、2月~4月の気温との比較を行った。

山形市 ソメイヨシノ満開

山形地方気象台敷地内のサクラ標本木。

山形 酒田

新庄

Page 23: 4.5 山形県の気候の変化...4.5 山形県の気候の変化 - 121 - 6月半ばに梅雨入りすると、内陸部では曇りや雨 の天気が続くが、庄内地方は比較的日照時間が多

4.5 山形県の気候の変化

- 142 -

地点名(要素) 統計期間 長期変化傾向 備考(観測所移転等に伴う統計切断等)

山形(サクラの開花日) 1923~2018年 -0.8*日/10年 統一基準(前頁脚注1)による観測は1953年以降。

1952年以前の値は参考値。長期変化傾向は1953~

2018年を調べた。

山形(2~4月の平均気温) 1890~2018年 0.2℃/10年 上記に合わせ、長期変化傾向は1953~2018年を調

べた。

酒田(サクラの開花日) 1937~2009年 - 統一基準(前頁脚注1)による観測は1953年以降。

1952年以前の値は参考値。無人化(2009年10月

1日)に伴う観測終了のため、長期変化傾向は1953

~2009年を調べた。

酒田(2~4月の平均気温) 1937~2018年 0.3℃/10年 上記に合わせ、長期変化傾向は1953~2009年を調

べた。

新庄(サクラの開花日) 1958~1997年 - 無人化(1998年3月1日)に伴う観測終了のため、

長期変化傾向は1958~1997年を調べた。

新庄(2~4月の平均気温) 1958~2018年 - 上記に合わせ、長期変化傾向は1958~1997年を調

べた。

図4.5-22及び付表 山形、酒田、新庄のサクラ開花日と2月~4月の3か月平均気温の推移

図の赤線はサクラ開花日、青線は2月~4月の3か月平均気温(℃)。直線は長期変化傾向を表す。山形、酒田の

1952年以前の値(○)は参考値である。付表の長期変化傾向で、無印の値は信頼度水準99%で統計的に有意な値、

*を付加した値は95%で有意な値、**を付加した値は90%で有意な値であることを示し、「-」となっているところ

は、統計的に有意な長期変化傾向が見られないことを示す。

変化率:-0.8日/10年

変化率:0.2℃/10年

信頼度水準 95%で有意

信頼度水準 99%で有意

変化率:0.3℃/10年

信頼度水準 99%で有意

Page 24: 4.5 山形県の気候の変化...4.5 山形県の気候の変化 - 121 - 6月半ばに梅雨入りすると、内陸部では曇りや雨 の天気が続くが、庄内地方は比較的日照時間が多

4.5 山形県の気候の変化

- 143 -

図4.5-23に山形、酒田、新庄のカエデ(イロハカエデ)紅葉日と、カエデの紅葉と相関が高い9月~

11月の3か月平均気温(脚注)の推移を示す(気象庁,2015)。

カエデ紅葉日は、山形では10年あたり3.5日の割合で、酒田では10年あたり5.8日の割合でそれぞれ

遅くなっており、新庄では遅くなる傾向が現れている。9月~11月の3か月平均気温は山形、酒田では同

期間において上昇しており、気温の上昇が紅葉を遅らせている原因の一つと考えられる。一方、新庄の

気温は同期間において、変化傾向は見られない。

地点名(要素) 統計期間 長期変化傾向 備考(観測所移転等に伴う統計切断等)

山形(カエデの紅葉日) 1957~2018年 3.5日/10年 1972~1973年、1996年は欠測。

山形(9~11月の平均気温) 1890~2018年 0.3℃/10年 カエデ紅葉日の統計期間に合わせ、長期変化傾

向は1957~2018年を調べた。

酒田(カエデの紅葉日) 1953~2008年 5.8日/10年 無人化(2009年10月1日)に伴う観測終了のため、

長期変化傾向は1953~2008年を調べた。1957~

1958年、1985年、1995年、1998~1999年、2004年

は欠測。

酒田(9~11月の平均気温) 1937~2018年 0.3℃/10年 上記に合わせ、長期変化傾向は1953~2008年を

調べた。

新庄(カエデの紅葉日) 1958~1997年 2.2*日/10年 無人化(1998年3月1日)に伴う観測終了のため、

長期変化傾向は1958~1997年を調べた。1974年

は欠測。

新庄(9~11月の平均気温) 1957~2018年 - 上記に合わせ、長期変化傾向は1958~1997年を

調べた。

図4.5-23及び付表 山形、酒田、新庄のカエデ紅葉日と9月~11月の3か月平均気温の推移

図の赤線はカエデ紅葉日、青線は9月~11月の3か月平均気温(℃)。直線は長期変化傾向を表す。付表の長期変

化傾向で、無印の値は信頼度水準99%で統計的に有意な値、*を付加した値は95%で有意な値、**を付加した値は90%

で有意な値であることを示し、「-」となっているところは、統計的に有意な長期変化傾向が見られないことを示

す。

変化率:3.5日/10年 変化率:5.8日/10年

変化率:0.3℃/10年

変化率:0.3℃/10年

変化率:2.2日/10年

信頼度水準 99%で有意 信頼度水準 99%で有意

信頼度水準 95%で有意

信頼度水準 99%で有意 信頼度水準 99%で有意

脚注)異常気象レポート2014(気象庁,2015)では、全国のカエデの紅(黄)葉日平年差と10月~11月平均気温平年差との間

に相関(相関係数0.88)があると述べているが、東北地方においてカエデの紅(黄)葉日は全国の中では比較的早めで、10

月上旬に紅(黄)葉することもあるため、異常気象レポート2005(気象庁,2005b)と同様に、9月~11月の気温との比較を

行った。