4 子供の頃の食生活や今後の食生活に対する考え方...25...

18
22 4 子供の頃の食生活や今後の食生活に対する考え方 (子供の頃の食生活) 若い世代において、小学生、中学生、16~18 歳の頃の食生活を振り返ってもらったところ、 「家では、1日三食いずれも決まった時間に食事をとっていた」、「家では、家族そろって食事 をとっていた」、「家、学校、地域などで、田植え、野菜の収穫など、食の生産に関する体験活 動をした」、「学校で、先生などから食に関する話を聞いたり、指導を受けた」に関して、年代 が上がるにつれて、「あてはまる」と回答した人の割合が減少しました(図表1-17-1、1-17- 2、1-17-3、1-17-4)。 図表 1-17-1 若い世代における1日三食いずれも決まった時間に食事をとっていた人の割合(性別) 30.3 49.2 65.6 32.7 49.4 66.7 25.6 28.2 23.6 22.2 27.2 21.6 15.9 11.8 5.6 13.0 9.9 4.3 16.9 7.7 2.6 13.6 8.0 3.1 9.7 2.1 2.6 18.5 5.6 4.3 0 20 40 60 80 100 16 ~ 18 歳 中学生 女性(n=195)小学生 16 ~ 18 歳 中学生 男性(n=162)小学生 あてはまる どちらかといえばあてはまる どちらともいえない どちらかといえばあてはまらない あてはまらない わからない (%) 資料:農林水産省「食育に関する意識調査」(令和元(2019)年10月実施) 注:本図表は、若い世代に関する結果のみ 図表 1-17-2 若い世代における家族そろって食事をとっていた人の割合(性別) あてはまる どちらかといえばあてはまる どちらともいえない どちらかといえばあてはまらない あてはまらない わからない 23.6 38.5 56.9 21.6 39.5 59.9 25.6 34.9 29.7 20.4 31.5 24.1 23.1 15.9 8.7 23.5 11.7 8.6 17.4 6.2 2.1 16.7 8.6 3.1 9.2 3.6 2.6 17.9 8.0 4.3 0 20 40 60 80 100 16 ~ 18 歳 中学生 女性(n=195)小学生 16 ~ 18 歳 中学生 男性(n=162)小学生 (%) 資料:農林水産省「食育に関する意識調査」(令和元(2019)年10月実施) 注:本図表は、若い世代に関する結果のみ

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4 子供の頃の食生活や今後の食生活に対する考え方(子供の頃の食生活)

若い世代において、小学生、中学生、16~18歳の頃の食生活を振り返ってもらったところ、「家では、1日三食いずれも決まった時間に食事をとっていた」、「家では、家族そろって食事をとっていた」、「家、学校、地域などで、田植え、野菜の収穫など、食の生産に関する体験活動をした」、「学校で、先生などから食に関する話を聞いたり、指導を受けた」に関して、年代が上がるにつれて、「あてはまる」と回答した人の割合が減少しました(図表1-17-1、1-17-2、1-17-3、1-17-4)。

図表1-17-1 若い世代における1日三食いずれも決まった時間に食事をとっていた人の割合(性別)

30.3

49.2

65.6

32.7

49.4

66.7

25.6

28.2

23.6

22.2

27.2

21.6

15.9

11.8

5.6

13.0

9.9

4.3

16.9

7.7

2.6

13.6

8.0

3.1

9.7

2.1

2.6

18.5

5.6

4.3

0 20 40 60 80 100

16 ~ 18歳

中学生

女性(n=195)小学生

16~ 18歳中学生

男性(n=162)小学生

あてはまる どちらかといえばあてはまる どちらともいえないどちらかといえばあてはまらない あてはまらない わからない

(%)

資料:農林水産省「食育に関する意識調査」(令和元(2019)年10月実施)注:本図表は、若い世代に関する結果のみ

図表1-17-2 若い世代における家族そろって食事をとっていた人の割合(性別)

あてはまる どちらかといえばあてはまる どちらともいえないどちらかといえばあてはまらない あてはまらない わからない

23.6

38.5

56.9

21.6

39.5

59.9

25.6

34.9

29.7

20.4

31.5

24.1

23.1

15.9

8.7

23.5

11.7

8.6

17.4

6.2

2.1

16.7

8.6

3.1

9.2

3.6

2.6

17.9

8.0

4.3

0 20 40 60 80 100

16 ~ 18歳

中学生

女性(n=195)小学生

16~ 18歳

中学生

男性(n=162)小学生

(%)

資料:農林水産省「食育に関する意識調査」(令和元(2019)年10月実施)注:本図表は、若い世代に関する結果のみ

特集

若い世代を中心とした食育の推進

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図表1-17-3 若い世代における食の生産に関する体験活動をした人の割合(性別)

13.3

23.1

48.7

13.6

19.8

53.1

9.7

15.9

21.5

6.2

15.4

17.9

11.8

17.9

12.8

11.7

14.2

5.6

22.1

19.0

7.2

16.7

17.3

11.1

41.5

22.1

9.2

50.6

32.1

11.7

0 20 40 60 80 100

16 ~ 18歳

中学生

女性(n=195)小学生

16~ 18歳

中学生

男性(n=162)小学生

(%)

あてはまる どちらかといえばあてはまる どちらともいえないどちらかといえばあてはまらない あてはまらない わからない

資料:農林水産省「食育に関する意識調査」(令和元(2019)年10月実施)注:本図表は、若い世代に関する結果のみ

図表1-17-4 若い世代における学校で食に関する指導を受けた人の割合(性別)

15.9

20.0

28.7

11.1

16.7

31.5

11.8

21.5

32.3

8.0

17.9

22.8

18.5

23.1

23.1

13.0

18.5

17.3

19.5

15.4

7.7

19.1

18.5

13.0

32.8

17.9

5.6

45.7

24.7

12.3

0 20 40 60 80 100

16 ~ 18歳

中学生

女性(n=195)小学生

16~ 18歳

中学生

男性(n=162)小学生

(%)

あてはまる どちらかといえばあてはまる どちらともいえないどちらかといえばあてはまらない あてはまらない わからない

資料:農林水産省「食育に関する意識調査」(令和元(2019)年10月実施)注:1)本図表は、若い世代に関する結果のみ  2)16~18歳については「学校などで食に関する指導を受けたことがあるか」尋ねた。

特集

若い世代を中心とした食育の推進

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(子供の頃の食生活と現在の食生活との関連)「家では、1日三食いずれも決まった時間に食事をとっていた」について、小学生、中学生、

16~18歳のどの年代においても「あてはまる(「あてはまる」及び「どちらかといえばあてはまる」)」と回答した人は、それ以外の人と比べ、現在、朝食を「ほとんど毎日食べる」と回答していました(図表1-18)。

図表1-18 若い世代における子供の頃の食生活(1日三食いずれも決まった時間に食事をとっていた)と現在の朝食摂取との関連(性別)

59.3

77.9

44.0

70.1

11.0

8.7

10.7

10.3

12.1

6.7

14.7

6.9

17.6

6.7

30.7

12.6

0 20 40 60 80 100

それ以外(n=91)

どの年代でも「あてはまる」(n=104)

それ以外(n=75)

どの年代でも「あてはまる」(n=87)

ほとんど毎日 週に 4~ 5日 週に 2~ 3日 ほとんど食べない

(%)

男性

女性

資料:農林水産省「食育に関する意識調査」(令和元(2019)年10月実施)注:本図表は、若い世代に関する結果のみ

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(今後の食生活に対する考え方)ふだんの食生活の中で、今後食育として特に力を入れたいこととして、男女とも「栄養バラ

ンスのとれた食生活を実践したい」をあげた人が最も多く、男性45.1%、女性57.9%でした。また、他の世代に比べ、「栄養バランスのとれた食生活を実践したい」、「規則正しい食生活を実践したい」、「家族や友人と食卓を囲む機会を増やしたい」、「自分で調理する機会を増やしたい」、「調理方法・保存方法を習得したい」をあげた人が多くいました(図表1-19-1、1-19-2)。

図表1-19-1 ふだんの食生活の中で今後力を入れていきたいこと(男性・年代別)

0 10 20 30 40 50

その他

生産から消費までのプロセスを理解したい

食文化を伝承していきたい

家族と調理する機会を増やしたい

調理方法・保存方法を習得したい

地場産物を購入したい

自分で調理する機会を増やしたい

食事の正しい作法を習得したい

地域性や季節感のある食事をとりたい

おいしさや楽しさなど食の豊かさを大切にしたい

食品の安全性について理解したい

食べ残しや食品の廃棄を削減したい

健康に留意した食生活を実践したい

家族や友人と食卓を囲む機会を増やしたい

規則正しい食生活を実践したい

栄養バランスのとれた食生活を実践したい

(%)

0

8.0

11.1

13.6

15.4

15.4

17.9

20.4

21.6

22.8

30.9

34.6

35.8

42.0

42.0

45.1

全体(n=759) 20~39歳(n=162) 40~59歳(n=247) 60歳以上(n=350)

(複数回答)

資料:農林水産省「食育に関する意識調査」(令和元(2019)年10月実施)

特集

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図表1-19-2 ふだんの食生活の中で今後力を入れていきたいこと(女性・年代別)

0

4.6

10.3

21.0

21.5

22.6

23.1

28.7

29.2

32.3

34.9

39.5

46.2

47.7

50.3

57.9

0 10 20 30 40 50 60 70

その他

生産から消費までのプロセスを理解したい

食文化を伝承していきたい

地場産物を購入したい

自分で調理する機会を増やしたい

家族と調理する機会を増やしたい

調理方法・保存方法を習得したい

おいしさや楽しさなど食の豊かさを大切にしたい

地域性や季節感のある食事をとりたい

健康に留意した食生活を実践したい

食事の正しい作法を習得したい

食品の安全性について理解したい

食べ残しや食品の廃棄を削減したい

家族や友人と食卓を囲む機会を増やしたい

規則正しい食生活を実践したい

栄養バランスのとれた食生活を実践したい

全体(n=962) 20~39歳(n=195) 40~59歳(n=310) 60歳以上(n=457)

(%)

(複数回答)

資料:農林水産省「食育に関する意識調査」(令和元(2019)年10月実施)

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若い世代(20歳代及び30歳代)が育った背景コラム○食育の推進とともに

平成17(2005)年に食育基本法が公布・施行されるとともに、児童生徒の栄養の指導及び管理をつかさどることを職務とする栄養教諭の制度が創設されました。当時小学生であった世代が現在の20歳代の大半を占めており、食育の取組が広がる時期に育った世代といえます。小学生の頃の食生活について、食の生産に関する体験活動をした(「あてはまる」と回答)人及び学校で食に関する指導を受けた(「あてはまる」と回答)人の割合は、男女とも20歳代で最も高くなっています(図表1、図表2)。

図表1

小学生の頃、食の生産に関する体験活動をした人の割合(年齢階級別)

図表2

小学生の頃、学校で食に関する指導を受けた人の割合(年齢階級別)

0 50 100

70歳以上(n=484)

60~69歳(n=323)

50~59歳(n=267)

40~49歳(n=290)

30~39歳(n=217)

20~29歳(n=140)

全体(n=1,721)

(%)

44.0

44.0

43.1

44.5

44.7

60.0

45.3

8.7

11.5

13.9

22.1

20.7

18.6

14.6

8.1

8.4

8.2

9.7

9.7

7.9

8.6

32.2

29.7

21.0

15.5

14.3

4.3

22.7

あてはまる どちらかといえばあてはまるどちらともいえない どちらかといえばあてはまらないあてはまらない わからない

7.9

13.1

5.6

5.9

9.3

7.2

9.7

70歳以上(n=484)

60~69歳(n=323)

50~59歳(n=267)

40~49歳(n=290)

30~39歳(n=217)

20~29歳(n=140)

全体(n=1,721)

0 50 100(%)

12.4

13.9

22.5

21.0

24.4

38.6

19.3

10.3

9.9

20.6

21.7

27.2

29.3

17.4

12.4

22.9

19.5

22.8

21.7

18.6

18.9

10.1

11.8

14.2

11.7

12.9

5.7

11.3

47.3

35.9

18.7

19.7

9.2

7.9

28.1

あてはまる どちらかといえばあてはまるどちらともいえない どちらかといえばあてはまらないあてはまらない わからない

資料:農林水産省「食育に関する意識調査」(令和元(2019)年10月実施)

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○食料消費の変化について生鮮食品、加工食品及び外食別の食料支出の構成割合は、全世帯で見ると生鮮食品から加工

食品への移行が進み、食の外部化1が進みました(図表3)。

図表3 世帯類型別の食料支出割合の推移

18.0 17.5 17.4 18.1 18.2

34.2 37.3 41.044.3 50.2

47.9 45.2 41.737.6 31.6

0

20

40

60

80

100(単身世帯)

34.6 32.7 30.3 29.0 27.4

43.6 45.1 47.8 49.7 52.1

21.8 22.2 21.9 21.3 20.5

0

20

40

60

80

100(全世帯)

38.1 36.3 33.8 32.1 30.2

45.6 47.0 49.6 51.3 52.7

16.4 16.7 16.6 16.6 17.1

0

20

40

60

80

100

(1995)(2000)(2005)(2010)(2015) (1995)(2000)(2005)(2010)(2015) (1995)(2000)(2005)(2010)(2015)平成7 12 17 22 27 平成7 12 17 22 27 平成7 12 17 22 27

(二人以上の世帯)

(年)(年) (年)

(%) (%) (%)

外食加工食品生鮮食品

資料:農林水産政策研究所 「我が国の食料消費の将来推計(2019年版)」注:�生鮮食品は、米、生鮮魚介、生鮮肉、牛乳、卵、生鮮野菜、生鮮果物の合計。加工食品は、生鮮食品と外食以外の

品目

○食環境(食べ物や情報の入手しやすさ)の変化について終日営業店舗も多くあるコンビニエンスストア2の国内店舗数は、平成30(2018)年度は、

平成9(1997)年度の2倍近く(5万店舗超)となり、都市部を中心に、時間を問わず容易に食べ物が入手できるようになりました(図表4)。

図表4 コンビニエンスストア店舗数の推移

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000(店舗数)

(年度)

31,550

56,586

平成9(1997)

10(1998)

11(1999)

12(2000)

13(2001)

14(2002)

15(2003)

16(2004)

17(2005)

18(2006)

19(2007)

20(2008)

21(2009)

22(2010)

23(2011)

24(2012)

25(2013)

26(2014)

27(2015)

29(2017)

28(2016)

30(2018)

資料:経済産業省「商業動態統計」

1 共働き世帯や単身世帯の増加、高齢化の進行、生活スタイルの多様化等を背景に、家庭内で行われていた調理や食事を家庭外に依存する状況が見られる。これに伴い、食品産業においても、食料消費形態の変化に対応した調理食品、総菜、弁当といった「中食」の提供や市場開拓等に進展が見られている。こういった動向を総称して「食の外部化」という。2 主として飲食料品を中心とした各種最寄り品をセルフサービス方式で小売する事業所で、店舗規模が小さく、終日又は長時間営業を行う事業所をいう(総務省「日本標準産業分類(平成25(2013)年10月改定)」)。

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また、インターネット、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)等の利用が広がり、料理レシピサイト、ブログ等を通して、様々な「食」に関する情報を手軽に入手できるようになりました。総務省の通信利用動向調査によると、平成9(1997)年に9.2%であったインターネット利用者の割合は、平成30(2018)年に79.8%となりました。ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)の利用者の割合は60.0%であり、13歳から49歳までの各年齢階層では70%以上となっています(図表5、図表6)。

図表6 ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)の利用状況(個人)

16.9

23.6

38.6

59.8

70.6

74.8

78.5

75.0

23.2

60.0

80歳以上(n=355)

70~79歳(n=2,090)

60~69歳(n=4,978)

50~59歳(n=5,268)

40~49歳(n=5,089)

30~39歳(n=4,174)

20~29歳(n=3,199)

13~19歳(n=2,294)

6~12歳(n=1,428)

全体(n=28,875)

(%)0 20 40 60 80 100

資料:総務省「平成30年通信利用動向調査」

図表5 インターネットの利用状況の推移

0

20

40

60

80

100

平成9(1997)

12(2000)

15(2003)

18(2006)

21(2009)

24(2012)

27(2015)

30(2018)

(年度)

(%)

79.8

9.2

資料:�総務省「通信利用動向調査」各年版を基に作成注:1)�平成9~12年の数値は「通信白書(現情報

通信白書)」から抜粋� 2)�インターネット接続機器については、パソ

コン、携帯電話・PHS、携帯情報端末、ゲーム機等あらゆるものを含み(当該機器を所有しているか否かは問わない。)、利用目的等についても、個人的な利用、仕事上の利用、学校での利用等あらゆるものを含む。

� 3)�調査対象年齢については、平成11(1999)年まで15~69歳、平成12(2000)年は15~79歳、平成13(2001)年以降は6歳以上

○女性の社会進出について男女雇用機会均等法が施行された昭和61(1986)年に57.1%であった25~44歳女性の

就業率は、令和元(2019)年には77.7%と約20ポイント上昇しました1。また、女性の年齢階級別労働力率は、「M字カーブ」を描いているものの、以前よりもカーブは浅くなっています(図表7)。

1 総務省「労働力調査(基本集計)」

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30

図表7 女性の年齢階級別労働力率の推移

15~19 20~24 25~29 30~34 35~39 40~44 45~49 50~54 55~59 60~64 65~69

昭和54(1979)年 平成11(1999)年 令和元(2019)年

70~(歳)

(%)

22.122.1

76.376.385.185.1

77.577.5 76.776.7 80.280.2 81.481.4 80.080.074.774.7

59.959.9

39.039.0

11.911.9

0102030405060708090

資料:総務省「労働力調査(基本集計)」より作成注:労働力率は、「労働力人口(就業者+完全失業者)」/「15歳以上人口」×100

女性が職業を持つことに対する意識も変化しています。男女ともに「子供ができたら職業をやめ、大きくなったら再び職業をもつ方がよい」と回答した人の割合が減少し、「子供ができても、ずっと職業を続ける方がよい」と回答した人の割合が増加しており(図表8)、共働き世帯数も年々増加しています。一方、家事に対する負担は依然として女性の方が大きいという現状もあります(図表9)。 図表8 女性が職業を持つことに

対する意識の変化 図表9 家事時間(10歳以上・性別)

0 20 40 60 80 100

0 20 40 60 80 100女性は職業をもたない方がよい結婚するまでは職業をもつ方がよい子供ができるまでは、職業をもつ方がよい子供ができても、ずっと職業を続ける方がよい子供ができたら職業をやめ、大きくなったら再び職業をもつ方がよいその他わからない

(%)

(%)

男性

女性

4.4

2.6

4.0

3.8

5.7

5.9

6.2

6.2

8.3

14.8

6.7

11.7

13.8

11.5

15.1

58.0

43.5

44.0

38.6

19.8

21.1

30.4

27.9

32.4

39.2

令和元(2019)

平成26(2014)

平成21(2009)

平成16(2004)

平成4(1992)

3.5

1.9

3.2

1.7

2.8

3.8

5.6

4.9

5.4

10.8

6.3

11.6

8.0

9.1

11.1

63.7

45.8

47.5

41.9

26.3

19.7

32.4

34.2

37.0

45.4

令和元(2019)

平成26(2014)

平成21(2009)

平成16(2004)

平成4(1992)

(年)

(年)

(時間.分)男性 女性

家事 0.40 2.57食事の管理 0.12 1.28園芸 0.09 0.07住まいの手入れ・整理 0.10 0.35衣類等の手入れ 0.03 0.30その他 0.05 0.16

資料:�総務省「平成28年社会生活基本調査」より作成注:週全体の1日当たり平均時間

資料:�総理府「男女平等に関する世論調査」(平成4年)、内閣府「男女共同参画社会に関する世論調査」(平成16年、21年、令和元年)及び「女性の活躍推進に関する世論調査」(平成26年)より作成

注:�平成26年以前の調査は、20歳以上の者が対象令和元年の調査は、18歳以上の者が対象

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ウェブ調査結果等を踏まえた若い世代向けの 啓発資材の作成コラム

令和元(2019)年度、農林水産省では、栄養バランスに配慮した食生活を実践している人が少ない、朝食を欠食する人が多いなど、食生活上の課題が多い若い世代における食育の推進について検討するため、若い世代に対してウェブ調査及びグループディスカッションを実施しました。また、既存データ(厚生労働省「平成27年国民健康・栄養調査」)の分析を行い、それらの結果を踏まえ、若い世代向けの啓発資材「考える やってみる みんなで広げる ちょうどよいバランスの食生活」を作成しました。

1.ウェブ調査で明らかになった若い世代の食生活の実態令和元(2019)年11月に、18歳から39歳までの男女2,000人を対象に栄養バランスに

配慮した食生活、朝食の摂取、生活時間等に関するウェブ調査を実施しました。

主食・主菜・副菜を組み合わせた食事、朝食は「健康に良い」第3次基本計画では、「主食・主菜・副菜を組み合わせた食事」を栄養バランスに配慮した

食事の目安とし、そのような食生活を実践する若い世代を増やすことを目標としています。また、朝食を欠食する若い世代を減らすことも目標としています。

主食・主菜・副菜を組み合わせた食事については、「健康に良い」といったプラスのイメージが強い一方、「お金がかかる」、「準備するのが面倒」といったマイナスのイメージも持っていることが分かりました(図表1-1)。朝食についても同様に、「健康に良い」、「一日の活力につながる」といったプラスのイメージが強い一方、「作るのは面倒」といったマイナスのイメージも持っていることが分かりました(図表1-2)。

図表1-1 主食・主菜・副菜を組み合わせた食事についてのイメージ 図表1-2 朝食についてのイメージ

4.0

4.0

4.1

4.2

4.2

4.2

4.9

4.9

4.9

5.0

5.3

5.3

0 1 2 3 4 5 6 7

自宅や通勤経路付近に買える、食べられる店があれば実践したい

安く宅配してくれるサービスがあれば、積極的に実践したい

一緒に食べる人がいれば、積極的に実践したい

勤務先等で安く提供されれば、積極的に実践したい

準備する時間がもったいない

同居する家族等とのコミュニケーションに役立つ

準備するのが面倒

お金がかかる

充実した生活を送っていると感じられる

用意されていれば、積極的に実践したい

栄養バランスを良くする

健康に良い

(n=2,000)

(点)

(n=2,000)3.5

3.6

3.8

3.9

3.9

4.1

4.4

4.6

4.6

4.8

4.9

5.0

0 1 2 3 4 5 6 7

自宅や通勤経路付近に買える、食べられる店があれば利用したい

食べる時間がもったいない

勤務先等で安く提供されれば、積極的に利用したい

一緒に食べる人がいれば、毎朝食べたい

同居する家族等とのコミュニケーションに役立つ

お金がかかる

自分で準備することができる

作るのは面倒

充実した生活を送っていると感じられる

準備されていれば毎朝食べたい

一日の活力につながる

健康に良い

(点)

資料:�農林水産省「令和元年度食育活動の全国展開委託事業(食育に関する課題検討及び事例収集)若い世代向けウェブ調査」

注:「とても当てはまる(7点)」から「全く当てはまらない(1点)」までの7段階の回答の平均値

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主食・主菜・副菜を組み合わせた食事について 「言葉も意味も知っている」人は約半数

主食・主菜・副菜を組み合わせた食事について、男性の39.2%、女性の52.3%が「言葉も意味も知っている」と回答しました(図表2)。

朝食の内容は主食のみが半数以上回答当日の朝食の内容について複数回答で選

択してもらったところ、ご飯をあげた人が最も多く、次いでパン、飲み物等でした(図表3-1)。選択された回答を「主食・主菜・副菜」、「主食・主菜」、「主食・副菜」、「主食」、「飲み物等」、

「その他・覚えていない・習慣がない」にパターン化したところ、ご飯、パンなどの主食のみの人が約6割を占めました(図表3-2)。

図表3-1 回答当日の朝食の内容 図表3-2 回答当日の朝食の内容(パターン)

36.7

8.4

31.6

9.54.2 3.3

14.18.415.6

7.7

25.7

3.11.6

17.0

0

10

2030

40(%)

全体(n=2,000) (複数回答)

⑭朝食を食べる習慣がない

⑬覚えていない

⑫その他

⑪飲み物等

⑩果物

⑨牛乳・乳製品

⑧野菜がメインのおかず

 メインのおかず

⑦肉や卵、魚、大豆製品が

⑥めん類

⑤総菜パン

④菓子パン

③パン

②シリアル・グラノーラ

①ご飯

3.63.8

57.5 4.7 21.8

0 20 40 60 80 100

全体(n=1,994)

主食・主菜・副菜主食・主菜主食・副菜主食

飲み物等その他・覚えていない・習慣がない

(%)

8.9

資料:�農林水産省「令和元年度食育活動の全国展開委託事業(食育に関する課題検討及び事例収集)若い世代向けウェブ調査」

注:�図表3-2は、図表3-1の①~⑭の選択肢による複数回答を以下のようにパターン化した。� �主食は①~⑥、主菜は⑦、副菜は⑧、飲み物等は⑨~⑪、その他・覚えていない・習慣がないは⑫~⑭。� �主食・主菜・副菜、主食・主菜、主食・副菜、主食については、飲み物等⑨~⑪とその他⑫の有無は問わない。� �図表3-2については、主食グループの①から④までの全てを選択していた場合、無効回答として除外した。

図表2 主食・主菜・副菜を組み合わせた食事の理解

52.3 39.2 45.7

34.5 41.0

37.8

13.2 19.8 16.6

0 50 100

女性(n=983)男性(n=1,017)全体(n=2,000)

言葉も意味も知っている 意味は知らないが言葉は聞いたことがある言葉も意味も知らない

(%)

資料:�農林水産省「令和元年度食育活動の全国展開委託事業(食育に関する課題検討及び事例収集)若い世代向けウェブ調査」

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朝食をほとんど食べない人の4割は、起床してから外出までの時間が1時間未満朝起きてから仕事に行く(外出する、在宅で

仕事を始める)までの時間は平均1.3時間であり、そのうち、朝食を食べるために使う時間の割合(時間)は約2割(約13分)でした。

起床してから外出するまでの時間について、朝食を「ほとんど食べない」と回答した人の約4割が1時間未満でした(図表4)。

経済状況が厳しい人ほど、朝食欠食者が多く栄養バランスに配慮した食生活の実践者が少ない

経済状況について「生活が苦しく、非常に心配」と回答した人では、その他の人たちに比べ、健全な食生活を「心掛けている(「常に心掛けている」及び「心掛けている」)」と回答した割合、主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を1日に2回以上食べる頻度が「ほとんど毎日」と回答した割合、朝食を食べる頻度が「ほとんど毎日」と回答した割合が少ないという結果になりました(図表5)。

図表5 経済状況と食生活との関連

5.3

2.9

9.6

18.9

25.8

37.1

44.3

50.5

41.1

49.3

39.9

23.5

27.9

10.7

6.2

7.1

0 50 100

生活が苦しく、非常に心配(n=341)

ゆとりがなく、心配(n=653)

ゆとりはないが心配なし(n=810)

ゆとりあり(n=196)

健全な食生活の心掛け

常に心掛けている 心掛けているあまり心掛けていない 全く心掛けていない

41.6

54.2

62.8

62.2

12.9

13.5

11.4

12.8

8.8

10.0

7.0

5.1

36.7

22.4

18.8

19.9

0 50 100

朝食を摂取する頻度

ほとんど毎日 週に4~5日週に2~3日 ほとんど食べない

17.0

19.8

30.6

26.5

15.8

21.9

23.7

28.6

20.5

30.5

25.6

21.4

46.6

27.9

20.1

23.5

0 50 100

ほとんど毎日 週に4~5日週に2~3日 ほとんど食べない

主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を1日2回以上食べる頻度

(%) (%) (%)

資料:�農林水産省「令和元年度食育活動の全国展開委託事業(食育に関する課題検討及び事例収集)若い世代向けウェブ調査」

2.国民健康・栄養調査の2次解析で明らかになった若い世代の食生活の実態栄養素等摂取状況について、厚生労働省「平成27年国民健康・栄養調査」を用いて、20歳

代、30歳代を、朝食を摂取していたグループ(朝食摂取)と摂取していなかったグループ(朝

図表4 朝食の摂取頻度と起床してから外出までの時間との関連

1000 50

ほとんど食べない(n=411)

週に2~3日食べる(n=150)

週に4~5日食べる(n=237)

ほとんど毎日食べる(n=1,074)

1時間未満 1時間~1.5時間 1.5時間以上

(%)

44.8 44.8

28.7 28.7

32.9 32.9

25.9 25.9

28.0 28.0

38.0 38.0

34.2 34.2

36.4 36.4

27.3 27.3

33.3 33.3

32.9 32.9

37.7 37.7

資料:�農林水産省「令和元年度食育活動の全国展開委託事業(食育に関する課題検討及び事例収集)若い世代向けウェブ調査」

注:欠損値を除く

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食非摂取)1の2群に分けて分析しました。朝食非摂取は、朝食摂取に比べ1日のエネルギー摂取量が少ないなど、若い世代の栄養素等摂取量の不足に拍車をかけていました(図表6)。

3.啓発資材の作成このほか、グループディスカッションにおい

て、栄養や食品に関する様々な情報を知っている人が多い一方、偏っていたり断片的であったりするケースが見られました。また、バランスの良い食生活として「野菜をしっかりと食べること」をあげる人が多い一方、「野菜は値段が高い」、「食べる野菜の種類が偏る」といった意見がありました。これらの結果とウェブ調査や国民健康・栄養調査の分析から明らかになった結果を踏まえ、「主食・主菜・副菜を組み合わせた食事」の考え方や旬の野菜を上手に食生活に取り入れるコツ、時間をかけず簡単に準備できる朝食メニューの紹介等を盛り込んだ啓発資材を作成しました。

ライフスタイルが多様化する中で、本資材を通して若い世代が自らの食生活を見直し、自分自身にとって「ちょうどよいバランスの食生活」を考え、主体的に実践する人が増えるよう、そして、その実践の環

わが広がっていくよう、積極的に発信していく予定です。

1 朝食を摂取していなかったグループ(朝食非摂取)は、「平成27年国民健康・栄養調査」で「欠食」とされた者。なお、「平成27年国民健康・栄養調査」での「欠食」は、食事をしなかった場合、錠剤などによる栄養素の補給、栄養ドリンクのみの場合、菓子、果物、乳製品、嗜好飲料などの食品のみを食べた場合

1

食事や栄養に関する情報があふれていますが、正しい情報の見極め、自信ありますか?あなたの知識、チェックしてみましょう!

まずはキホン!「食事の栄養バランス」について

食事の栄養バランスについて、正しいと思うものを選んでください。

①野菜をたくさん食べれば、栄養バランスは完璧。②炭水化物(糖質)はできるだけ摂取しない方がよい。③1日に必要なエネルギー量(カロリー)を超えなければ、どんな食べ方でもOK。④自分のエネルギー摂取量が適切かどうかは、食べたもののエネルギーを計算しないと分からない。

⑤スリムな体型であれば、食事を見直す必要はない。⑥朝食を食べなくても、1日に必要なエネルギー量や栄養素量がとれていれば問題ない。⑦以下の食事は、すべて主食・主菜・副菜を組み合わせた食事である。

焼き魚定食 チキンスープカレー+ライス

 ミートソーススパゲティ+サラダ

ロコモコ丼

主食主食米、パン、めん類などの穀類を主材料とする料理で、主として炭水化物の供給源となる。

主菜主菜魚や肉、卵、大豆製品などを使った副食の中心となる料理で、主としてたんぱく質の供給源となる。

副菜副菜野菜などを使った料理で、主食と主菜に不足するビタミン、ミネラル、食物繊維などを補う重要な役割を果たす。

考える やってみる みんなで広げる

ちょうどよいバランスの食生活仕事や家事・育児、勉強や趣味…

やりたいこと、やらなくてはいけないことで一杯の毎日。健康な心と体は、そんな毎日の資源。

「ちょうどよいバランスの食生活」は、心と体を健康に保つキホンです。

ライフスタイルは人それぞれ。それぞれに、「ちょうどよいバランスの食生活」があるはず。

一緒に考え、実践し、広げてみませんか︖

啓発資材「考える やってみる みんなで広げる ちょうどよいバランスの食生活」

啓発資材に盛り込まれている「主食・主菜・副菜を組み合わせた食事」の例

図表6 エネルギー摂取量の平均値

2293 2264

1738 1683

20001865

15011294

0

500

1000

1500

2000

2500

20歳代男性

30歳代男性

20歳代女性

30歳代女性

朝食摂取 朝食非摂取

(kcal/日)

資料:�摂取量は厚生労働省「平成27年国民健康・栄養調査」データを利用して集計

注:(1)�20歳代男性 朝食摂取n=171、朝食非摂取n=54、30歳代男性 朝食摂取n=258、朝食非摂取n=89

� �20歳代女性 朝食摂取n=164、朝食非摂取n=58、30歳代女性 朝食摂取n=255、朝食非摂取n=50

� (2)摂取量は平均値

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5 若い世代が中心となって取り組む食育食生活の現状からも推察されるように、若い世代が食育への関心を高め、健全な食生活を実

践することができるよう、必要な情報発信をするなど、若い世代への食育を引き続き推進していく必要があります。同時に、将来に向けて、食育の担い手として活動する若い世代を増やしていくことも重要です。食料の生産から消費に至る食の循環(生産、流通、食事、廃棄・保存・再利用の過程)において、若い世代が中心となって積極的に取り組んでいる事例を紹介します。

食料の生産から消費に至る食の循環において、若い世代が中心となって取り組む事例

自然・文化・社会経済

農場漁場畜産場

食料品店等

○事例<農林水産省農業女子プロジェクト>

農業女子プロジェクトメンバーによる次世代に“つなぐ”食育

生産

○事例<株式会社坂ノ途中>

持続可能な農業と社会のかたちをめざして

流通○事例< (宮城学院女子大学)>

おいしくたべよう!災害食

学校職場

飲食店等家庭

食事

廃棄保存再利用

○事例<龍谷大学深尾ゼミナール「かんきょうと」>

食品ロス削減へ学生が取り組む「 」

地域

資料:農林水産省「食育ガイド」を基に作成

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農林水産省が平成25(2013)年から進めている「農業女子プロジェクト」1(以下「プロジェクト」という。)では、女性農業者の知恵を様々な企業の技術等と結びつけ、新たな商品やサービスの開発を行い、社会での女性農業者の存在感を高め、職業としての「農業」を選択する若手女性の増加を図ることを目的としています。取組の一つとして、企業・教育機関と連携した食育イベントや農作業体験等を実施しています。

令和元(2019)年8月31日(やさいの日)には、アミューズメント企業と連携し、日頃農業に触れる機会の少ない都心部に住む未就学児を対象に、農業女子プロジェクトメンバー(以下「メンバー」という。)による野菜クイズや収穫体験、野菜ブーケ作り等を行う「831 やさいフェスタ」を開催しました。子供たちは、ピーマンの収穫を体験するとともに、クイズを通して、種から実になり、食卓に届くまでには様々な人が関わっていることを学びました。また、ピーマン、ニンジン等を使った野菜ブーケ教室で、野菜の種類や切る前の形を見て触れて楽しく学びました。

さらに、同年10月には、プロジェクトに参画している大学生と調理家電メーカーが連携して、「若者にご飯を食べる習慣を身につけてもらうために、仲間と作った美

お味い

しいお米を食べたらどうか?」というアイデアから生まれたイベント「ライスマイル極うま炊飯」を開催しました。その中では、メンバーが育てた「4品種の米の食べ比べ」等を行い、参加者に、品種によって米に味の違いがあることを学ぶ機会を提供しました。メンバーにとって、食育イベント等は消費者の意見を直接聞くことができるため、消費者ニーズを把握できる良い機会となっています。

そのほか、プロジェクトのミッションの一つである「若い女性の職業選択肢に「農業」を加える」ことを目的に、農業を志す学生の発掘、動機付け及び意識の向上のため、高校生や大学生を対象とした農作業体験等の取組も行っています。また、メンバーは毎年増加し、地域グループを立ち上げるなど、全国各地で積極的に活動を展開しています。

女性農業者は、就農する前の職歴が多様で、また子育て世代も多いことから、そのスキルや実体験を生かし、プロジェクトでは、農作業体験等を通じて、「食」と「農業」の大切さをより多くの人に知ってもらい、次の世代に“つなぐ”取組を行っていきたいと考えています。

1 令和2(2020)年3月現在、全国で808人の女性農業者(農業女子メンバー)、33企業、7教育機関が参画

農業女子プロジェクトメンバーによる、次世代に“つなぐ”食育農林水産省農業女子プロジェクト

 

「831やさいフェスタ」の様子

「4品種の米の食べ比べ」の様子

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株式会社坂ノ途中は、「100年先もつづく、農業を。」を目標として掲げ、持続可能な農業の実現を目指しています。関西を中心に若手の新規就農者と連携し、消費者に農産物を直接届ける通信販売を中心とした事業を行っています。新規就農者は、有機農業や低農薬農法など環境負荷の少ない農業への関心が高いことから、彼らの営農が可能な環境づくりをサポートすることで、日本の農業を持続可能なかたちに変えようとするものです。新規就農者は、小規模かつ作業環境の良くない農地からスタートすることが多いため、収穫量が少なく、収入が不安定になりやすいという課題があります。そのような新規就農者と連携し、少ない収穫量であっても消費者に届く流通の仕組みを構築することで、経営が不安定なために農業をあきらめてしまうことが多い新規就農者の現状を変えたいと考えています。

一方で、消費者に向けた普及啓発も行っています。本来、野菜は生き物であり、収穫時期によって野菜の色や状態は変化することを消費者に知ってもらい、その変化を理解し、楽しんでもらいたいと考えています。テレビ番組での野菜紹介や野菜料理教室、子供が遊びながら野菜について学べる「やさいのきもちかるた」の制作等がその活動です。野菜が生き物であることを消費者に理解してもらい、これまで規格外とされて廃棄処分となることの多かった野菜も販売できるようになり、農家の収益増加につながっています。

坂ノ途中の利用者は、新規就農者を支え、持続可能な農業を目指す会社の方針に共感した、30歳代、40歳代と比較的若い世代が多いという特徴があります。そして、社内スタッフも若く、農業以外の様々な分野からの転職者が多く、社内では異文化コミュニケーションが活発です。そのようなバックグラウンドから、再生可能エネルギーと野菜のセット販売など、これまでになかった多角的な視点から持続可能な農業を実現するための取組が作られました。

今後も、新規就農者を支援し、消費者に野菜の本来の味や姿を伝えていくことで、持続可能な農業と、そして、社会の実現を目指していこうと考えています。

持続可能な農業と社会のかたちをめざして株式会社坂ノ途中(京都府)

実際に野菜を生産している農家を訪問

通信販売で扱う野菜の一例

「やさいのきもちかるた」と一例

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「Food and Smile!」(略称FAS)は、宮城学院女子大学で管理栄養士を目指す学生が運営している、食を通じた地域の活性化に貢献することを目指すボランティア団体で、名称には「食を通して笑顔に」という想いが込められています。メンバーのほとんどが東日本大震災を経験しており、東日本大震災で明らかになった災害時の食に関する問題を解決するため、地元企業や地域住民と連携しながら、衛生面や栄養面に配慮し、避難所や家庭にある食材で水道・電気・ガスを極力使わず簡単に調理できる「災害食」レシピの開発や普及に取り組んでいます。

レシピの作成は、顧問の教員の指導を受けながらメンバー全員で取り組んでいます。レシピを考案する際には、地場産物や備蓄食料を活用したり、簡単に調理できてアレンジしやすくしたり、子供や高齢者でも美味しく、楽しく食べられるような工夫をしています。

また、様々な団体の依頼を受け、開発したレシピを紹介する料理教室を県内外で開催し、「災害食」への理解促進と普及を図っています。料理教室は企画・運営を依頼者と学生が一緒に行い、参加者が理解しやすい説明の仕方を考え、リーフレットやレシピなども分かりやすくなるよう工夫を凝らしています。例えば、子供会の料理教室では、チームで協力し、水の使用や洗い物を減らすことができる料理を作り、災害時の調理の工夫について保護者とともに学んでもらうことができました。また、料理教室の参加者が更に地域の料理教室でレシピを紹介するなど、防災意識や「災害食」の知識が地域全体に広がる取組となっています。学生たちも、料理教室の運営を通じて、説明する能力が向上するとともに、先を見通して準備をする等、計画的に行動できるようになったと感じています。

今後も、防災意識の向上と災害時に実際に役立つ食に関するアイデアの普及を図るとともに、学生自身も自ら考え、工夫していくことで成長していきたいと考えています。

おいしくたべよう!災害食FoodandSmile!(宮城学院女子大学)(宮城県)

学生が考案したサバ缶パエリア

子供会での料理教室の様子

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「Kキ ョ ーyo 0

ゼロ m

マ ー ケ ッ トarket」は、多くの食品が手付かずのままゴ

ミになる現状について、「もったいない」という想いを伝える啓発イベントです。龍

りゅうこく谷大学深

ふ か お尾ゼミナール(以下

「深ふか

尾お

ゼミ」という。)では、学生たちが平成29(2017) 年11月に府内のリサイクル施設を見学し、まだ食べられる食品が捨てられる現状を目の当たりにしたことをきっかけに、学生たちが自ら考え行動する「かんきょうと」プロジェクトを立ち上げ、「K

キ ョ ーyo 0

ゼロ m

マ ー ケ ッ トarket」の取組を開始し

ました。深ふか

尾お

ゼミの学生を中心に、大学周辺地域の方々も巻き込んで、食品ロスの削減に取り組んでいます。

イベントでは、何もしなければ捨てられてしまう賞味期限前の食品を集めて、来場者に無料で提供する「もったいないスーパー」、小学生向けの、クイズ形式でリサイクル素材などを学ぶ「食ロスかるた」、食品ロスになる可能性のあったお茶を飲みながら、学生が来場者に食品ロスや生ごみ対策等について紹介する「エコカフェ」等を行っています。「もったいないスーパー」では、使わなかった原因や食品ロスの豆知識を書いた付箋紙をそれぞれの商品に貼るなど、ただ商品を持ち帰るだけでなく、来場者に食品ロスに対する理解を深めてもらえるような工夫をしています。

令和元(2019)年10月には9回目となるイベントを開催し、小学校や幼稚園にチラシを配布するとともに、大学周辺地域以外の方々に対しても、ポスティング、ラジオ番組、SNSなどで呼びかけを行いました。その結果、1,100品以上の食品が集まり、これまでの取組の中でも最大規模のイベントとして開催することができました。このような取組の結果、平成30

(2018)年度から令和元(2019)年10月までの計9回のイベントで、食品2,492品、総エネルギー378万キロカロリー、総重量448 kgの食品を廃棄せず食品として循環させることができました。「もったいないスーパー」の取組がメディアで取り上げられたことにより、食品回収に区役

所の協力が得られたり、行政側から地域のイベントへの出展を提案されたりするなど、取組の輪が確実に広がってきていると感じています。今後も、学生が主体となり、食品ロス削減の取組を進めていきたいと考えています。

食品ロス削減へ学生が取り組む「Kキョーyo0

ゼロmマ ー ケ ッ トarket」

龍りゅうこく谷大学深

ふかお尾ゼミナール「かんきょうと」(京都府)

「もったいないスーパー」に取り組む�学生たちと陳列された食品

「食ロスかるた」で遊びながら�食品ロスについて学ぶ子供たち

特集

若い世代を中心とした食育の推進