4.グループインタビュー活用事例 定性調査でできること
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グループインタビュー活用事例 ~定性調査でできること~
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本日のテーマ
■はじめに 定量調査と定性調査 ■グループインタビューとは ■グループインタビューの流れ ■グループインタビュー活用事例
はじめに 定量調査と定性調査
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はじめに 定量調査と定性調査
現状把握 原因把握
仮説検証 仮説構築
定量情報 定性情報 ・・・
数値、○○%、率、シェア・・・ ことば、テキスト、画像、映像・・・
・現状の大枠を把握する
・傾向をつかむ
・原因のアタリをつける
・少数意見は捨てられる
・背景や原因を把握する
・直感や発想が生まれやすい
・たったひとつの言葉も拾われる
マーケティング目的によって、ふさわしいデータは異なり、それぞれ活用方法が異なります。 目的を明確にした上で、最適な調査を使い分けることが必要になります。
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はじめに 定量調査と定性調査
・ネットリサーチ
・ネットグルイン®
・MROC
・(ネットリサーチ)
・CLT
・ホームユーステスト
・グループインタビュー
・パーソナルインタビュー
・日記調査
・データ開発
デジタル
アナログ
定性情報 定量情報
定量情報と定性情報、それぞれを収集するための代表的な手法があります。
グループインタビューとは
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グループインタビューとは
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グループインタビューとは
インタビューは、併設のバックルームで観察することができます。 <ミラールーム>
インタビュールーム バックルーム
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インタビュールーム バックルーム
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グループインタビューとは
インタビューは、併設のバックルームで観察することができます。 <モニタールーム>
カメラ
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グループインタビューとは
ある共通点をもつ集団に対し、
調査目的に関係する中立的な質問を行うことで、
マーケティング目的達成のヒントを得るための調査手法
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グループインタビューでできること
他の人の発言を聞くことや、会話をしているうちに、昔のことを思い出したりアイディアが浮かぶ、日ごろ潜在的に思っていたことが顕在化するといった相乗効果があります。
参加者同士の相乗効果(グループダイナミズム)があります
自分と同じ境遇の人がいることで共感が生まれ、安心して本音を話しやすくなります。
本音を話しやすい環境を提供できます
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グループインタビューでできること
決められた時間に、フローに沿って、6人前後の話を一度に集中して聞くことで、膨大なデータを手当たり次第に読み込むよりも、効率的に、より理解や解釈がしやすい形でユーザーの実態や評価を把握することができます。
ユーザーの声を、解釈しやすい形で効率的に収集できます
定量調査では、どのくらいの人が評価をしたのかを把握できますが、定性調査では「なぜ」そのような評価をしたかを追求します。評価された/されなかった要因はどこにあるのかが、使った人の生活背景や商品評価の理由を深堀りすることで明らかになります。
定量調査では捉えきれない、消費者の潜在的な ニーズを探ることができます
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グループインタビューのポイント①
仮説
構築
仮説
検証
インタビューだからといって、相手に答えを求めない 検証のための”結果”ではなく、仮説構築・仮説探索のための“プロセス“が大事
対象者の発言や行動をじっくり見聞きすることで、「なるほど、こうすればいいのかもしれない」と思い巡らすことに繋がります。これが、仮説の構築や仮説を確信するプロセスとなります。
グループインタビューで検証したいという話を聞いたり、参加者の回答を後から集計している分析を見かけますが、グループインタビューは対象者の話を聞きながら、調査実施側がその対象者の価値観や思考の構造を分析することが目的です。
マーケティング目的達成のヒントを得ることが目的です。
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グループインタビューのポイント②
よく見る:観察
Observation
よく聴く:傾聴
Listening
直接訊ねる
Asking
インタビューだからといって、相手に直接訊ねない 相手を本当に理解するためには、「観察」「傾聴」の姿勢が最も大事
「この新しい商品が発売されたら買いますか?」というような、ずばり調査目的そのものの質問をしたくなってしまいますが、新しければ新しいほど生活者はその商品が実際に自分の生活にどう役立つのか想定がつきません。
グループインタビューの中では、まさに今困っていることや気に入って使っている商品のことなど、調査目的に関係する日常の生活の事実を聞くことで、新商品が受け入れられるかどうか、受け入れられるならどのような生活にフィットしそうかを判断するのは、調査する側の責任です。
つまり調査対象者が「買いたい」「買いたくない」という表面上の言葉から判断するのではなく、「買いたい」「買いたくない」といった理由や文脈を総合的に分析し、本当にその新商品が消費者にとって価値のあるものかどうかを判断する必要があるということです。
調査目的に関する中立的な質問による、生活実態の積み上げから発見が得られます。
グループインタビューの流れ
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グループインタビューの流れ
調査全体設計 インタビューフロー
設計
対象者条件決定 リクルーティング
実査
発言録作成
レポート作成 (オプション)
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対象者の設定・リクルーティング
いかに「共感」を生みやすい集団するかがポイント
デモグラフィック属性(性別/年代/職業/未既婚/子どもの有無)
→生活背景が似ている属性同士でまとめると、共感が生まれやすい
商品関与・評価度合い(商品の使用有無/商品への評価/知識の有無)
→テーマに対する情報量が似ている属性同士でまとめると、共感が生まれやすい
調査全体設計 インタビューフロー
設計
対象者条件決定 リクルーティング
実査
発言録作成
レポート作成 (オプション)
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インタビューフロー設計
調査全体設計
対象者条件決定 リクルーティング
実査
発言録作成
レポート作成 (オプション)
インタビューフロー 設計
実物イメージ
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インタビューフロー設計
調査課題から調査項目を考え、フロー(投げかけ)に落とし込む
フローの流れ
導入
実態・背景情報
テーマの導入
テーマの深堀
趣旨説明、自己紹介 人物像を象徴するような背景情報の収集
テーマ周辺の行動・意識についての実態把握
テーマに関してまずは大きく投げかけ、次第に重点項目へと追及していく
調査全体設計
対象者条件決定 リクルーティング
実査
発言録作成
レポート作成 (オプション)
インタビューフロー 設計
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インタビュー実施
調査全体設計
対象者条件決定 リクルーティング
発言録作成
レポート作成 (オプション)
インタビューフロー 設計
実査
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発言録作成
グループC:50代以上既婚女性
項目 内容 Cー1 Cー2 Cー3 Cー4
一日の流れと夕食の位置づけ
夕食作りの中で時間を掛けたいもの
「夕食を食べる」は、意外と早く食べ終わってしまう。子どもが小さい時に急いで食べていたから、引き続き自分が早食いになっている。時間を掛けて作ったのに、もう食べちゃったという感じ。
「夕食を作る」に時間を掛けたくないけど、結果的に時間が掛かっている。誰かが作ってくれて、ゆっくりと夕食を食べたい。私がメニューを決めて、買い物もするから、女中さんや誰かに作って欲しい。夫や子どもが作るのは現実的に無理。
「夕食を作る」に時間を掛けたいし、頭を使う。主人と私が家にいると、3食は私の料理を食べるから、全部が和食でもなく、中華でも洋食でもなく、リズム感を大事にしている。昨夜は、グラタンっぽいものとサラダ、インスタントのシジミのお味噌汁に、イワシの佃煮があったから、主人のおつまみに出した。毎日、和食だと不満が出るのは間違いない。メニューが決まれば簡単だけど、「エーッ」と言われることが一番腹が立つ。
「夕食を食べる」について
(主人は)ほどよくいるのがいい。
毎日、1人ご飯が続くと寂しくなる。週末も主人が自分の趣味に行って、また1人なの?となることが多い。
毎日(主人が)いるようになると、1人になりたい。飲みに行くと言うと、行ってらっしゃいとなる。
夕食作りの中で手抜きをしたいもの
買い物はわざわざ買いに行かないで、生協で1週間まとめ買いをしている。ある物を中心にしてメニューを考える。
「夕食を作る」は、一番労力がかかるから、手抜きをしたい。
実物イメージ
調査全体設計
対象者条件決定 リクルーティング レポート作成 (オプション)
インタビューフロー 設計
実査
発言録作成
グループインタビュー活用事例
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リサーチテーマの設定
調査目的
※「定性調査がわかる本」(林美和子、肥田安弥女著・同友館)より抜粋
調査課題
インタビューフロー
結論・考察
分析結果
発言の整理
マーケティング課題 意思決定
マーケティング目的
発言/反応
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活用事例:リサーチテーマ
マーケティング課題
マーケティング目的
⇒現在の段階と今後の目指す方向や次のステップ これまでどのようなマーケティングを進めてきて、 これからどのような方向に進もうとしているのか?
⇒目指す方向や次のステップのために、 抱えている問題点・理解したいこと
今何が問題で、この調査でどのようなことを解決したいのか、 何が分かれば次に進めるのか?
ノンアルコールビールの売上が好調に推移している。
今後、まだ取り込めていない層も取り込んでいけるような商品コンセプトやより響く訴求内容を明確にして、市場におけるシェアをさらに拡大していきたい。
ユーザーがそもそもこちらが想定したシーンで飲んでいるのか、今まで飲んでいた何かの代替なのか、それともまったく新しい飲用シーンが創出されているのか・・どんなシーンで、なぜ飲まれているのかが分からない。
何が好調の要因となっているのかをしっかり把握できていない。
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活用事例:リサーチテーマ
調査課題
調査目的
⇒「マーケティング課題」に対して的確な情報を 提供すること どのような生活者に、どのようなことを探ることで、 何を考察・結論付けるのか?
⇒調査目的のために解決するべきハードル クリアにしなければならない仮説
調査目的で明示した考察・結論付けのためには、 どのような点を明確にするのか、 何を理解したら結論付けられるのか?
現ユーザーや競合ユーザーの飲用シーン、飲んでいる理由や目的、飲んでいる時の気持ちといった実際の飲用実態を明らかにすることで、商品に求められているウォンツを探り、商品の新たな飲用シーンや魅力を掘り起こすためのヒントに繋げる。
より有効なコンセプトや訴求内容の方向性を考察する。
作り手側からは想像し得ない、生活背景に即した新たな飲用シーンやウォンツがあるのではないか/この商品カテゴリーに対して、どのようなイメージを持ち、どのようなベネフィットを感じたのか/現在のコンセプトや訴求と、実際の飲用シーンやウォンツにギャップはないか、そのギャップを埋めれば響くのか・・等
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活用事例:レポーティング
事実集約の コツ
消費者(ノンアルコールビール飲用者)のウォンツと 商品の価値を分けて、再構成する
誰が? 男性?女性? 年代は
いつ? 自宅?外食?
何が したくて?
なにが実現 できるから?
具体的な評価 ポイントは?
消費者 商品
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活用事例:レポーティング
O オケージョン
W ウォンツ
B ベネフィット
A アトリビュート
温泉に 出かけた
お風呂上がり
自動車で 外食をした時
平日の ランチ
家事の合間
お酒を飲んでいる 気分になれる
アルコール 0%
ビール テイスト
強めの 炭酸
低カロリー 手頃な 価格
120円~
ビールに 似た
パッケージ 350ml缶
茶色い 小瓶
お酒と比較すると 体によい
ビールの味で炭酸が 強いので甘くない
甘くない、大人向けの 炭酸飲料でのどの渇きを
潤したい 楽しい気分を持続したい
お酒を飲んでいる 気分になりたい
お酒を飲み始める前 (夫が帰ってくる前)
引け目なく 楽しい気分になりたい
(自分が)お酒を飲んでいる途中
ノンアルコール なので酔わない
気軽に 楽しむことができる
T ターゲット
• 自身が主婦であるという意識が強く、自身の仕事は家事であると捉えている。 • 「家事=仕事」であるため、たとえ自宅で食事をする時であっても、食後の片付けのことを頭の片隅に置きつつ、お酒をたしなんでいる。
• 日中の家事の合間など、比較的自由な時間があるもの、仕事(家事)の合間であるという認識と、周りの目が気になり、昼間からお酒を飲むことはあまりない。お酒は、普段から日常的に飲んでおり、「達成感があるときは、高めのビールを飲む」「気分落ち込んでいるときは、アルコール度数の強いお酒」のようにシーンによって様々のお酒を飲み分けている。
■40代~50代専業主婦
W ウォンツ
O オケージョン
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活用事例:レポーティング
【+】
【-】
お酒の雰囲気は楽しみたいが、お酒を飲んでしまうと、次の行動に支障をきたしてしまう。
お酒を一刻も早く楽しみたいが、外で働いている夫より先に晩酌を開始してしまうのは申し訳ない。
お酒を楽しく、長く飲み続けたいが、飲み続けてしまうと、途中で気持ち悪くなってしまう。
甘すぎず、炭酸のある飲料を飲むことで、まったり・長く楽しみたい。
ノンアルコール ビールの飲用
お酒の飲用
お酒を飲み続けた場合 飲みすぎると、
逆に気持ち悪くなってしまう
【+】
【-】
【+】
【-】
【+】
【-】
ノンアルコール ビールの飲用
お酒の飲用
ノンアルコール ビールの飲用
酔っていないので すぐに次の行動に 移ることができる
•運転予定のある時の食事 •家事の合間 •平日のランチ
•夫の帰りを待っている時 •お酒を飲んでいる途中 •家事の合間 •気持ちを切り替えたい時
ノンアルコール ビールの飲用
気持ちのバロメーター
甘くない、大人向けの 炭酸飲料でのどの渇きを
潤したい 楽しい気分を持続したい
お酒を飲んでいる 気分になりたい
引け目なく 楽しい気分になりたい
■新たな訴求の方向性として
ノンアルコールビールのみで完結するのではなく、前後にビール等のお酒と一緒に飲むことで、 お酒の良さも、ノンアルコールの良さもどちらも活かし、最大限の効用を感じることができる。
→アルコールが飲めない人・飲めない時のためだけではなく、飲める人がもっと楽しく飲めるシーンの訴求