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平成 31 年度 災害廃棄物処理計画策定モデル事業 (近畿ブロック) 大中規模市の災害廃棄物処理計画策定モデル事業 東大阪都市清掃施設組合 令和 2 年 3 月 環境省近畿地方環境事務所

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平成 31 年度

災害廃棄物処理計画策定モデル事業

(近畿ブロック)

大中規模市の災害廃棄物処理計画策定モデル事業

東大阪都市清掃施設組合

報 告 書

令和 2 年 3 月

環境省近畿地方環境事務所

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目 次はじめに

1.対象災害 ...............................................................1

1.1 自治体の概要 ........................................................1

1.2 地震被害想定 ........................................................2

1.3 風水害(洪水) ......................................................3

2.災害廃棄物発生量の推計 .................................................4

2.1 災害廃棄物発生量の推計方法 ..........................................42.1.1 地震災害.........................................................42.1.2 風水害...........................................................8

2.2 災害廃棄物発生量の推計結果 .........................................112.2.1 地震による災害廃棄物発生量の推計 ...............................112.2.2 風水害による災害廃棄物発生量の推計 .............................14

2.3 片付けごみ発生量の推計(試算) .....................................152.3.1 地震災害........................................................152.3.2 風水害..........................................................172.3.3 片付けごみ発生量(試算)推計結果 ...............................18

3.災害廃棄物の処理可能量の検討 ..........................................19

3.1 一般廃棄物処理施設の処理能力の検討 .................................193.1.1 焼却施設........................................................193.1.2 最終処分場......................................................24

3.2 災害廃棄物の処理可能量の検討 .......................................26

4.必要な受援体制(人員やスペース)の検討 ................................30

4.1. 災害廃棄物処理体制の整理 ..........................................304.1.1 災害廃棄物担当課の体制..........................................304.1.2 災害時の担当組織................................................31

4.2. 災害廃棄物処理において受援が必要な事項の検討 ......................344.2.1 災害廃棄物処理において受援が必要な業務内容 .....................344.2.2 災害廃棄物処理において受援が必要な事項 .........................354.2.3 災害事例による受援が必要な事項の整理 ...........................40

4.3. 他自治体等による応援時に必要な受援体制の検討 ......................444.3.1 災害時に必要な受援体制..........................................444.3.2 災害廃棄物処理における受援に必要な事項 .........................514.3.3 災害廃棄物処理の受援体制構築に係る課題 .........................52

5.広報内容と情報伝達方法の検討 ..........................................53

5.1 対象地域における広報内容・情報伝達手段の整理 .......................535.1.1 対象地域における災害廃棄物処理に係る広報内容 ...................535.1.2 対象地域における情報伝達手段 ...................................53

5.2 災害廃棄物処理に係る広報項目の検討 .................................565.2.1 災害廃棄物処理に係る広報項目の事例 .............................565.2.2 災害廃棄物処理に係る広報項目 ...................................57

5.3 災害廃棄物処理の広報内容及び情報伝達手段の検討 .....................585.3.1 災害廃棄物処理の広報内容及び情報伝達手段(災害時) .............585.3.2 災害廃棄物処理の広報内容及び情報伝達手段(平時) ...............615.3.3 災害廃棄物処理の広報内容及び情報伝達手段整備の課題 .............65

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はじめに

◎業務目的

平成 26 年に閣議決定された「国土強靱化基本計画」や「首都直下地震緊急対策推進基

本計画」等において、自治体による災害廃棄物処理計画の策定が求められており、循環基

本計画(平成 30 年6月)における 2025 年度時点での目標(都道府県で 100%、市区町村

で 60%)が掲げられたが、同計画の策定率は依然として低い状況にある。また、計画を策

定している場合でも、実効性が高い計画となっていない場合も見られるところである。

こうした状況を踏まえ、近畿ブロック(滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和

歌山県)内で、「災害廃棄物処理計画」を策定する予定がある地域をモデル地域として選定

し、災害廃棄物発生量の推計や効果的な仮置場の運用等に係る調査・検討を通じて、市町

村、一部事務組合による災害時の廃棄物処理に着目した実効性の高い「災害廃棄物処理計

画」の策定を支援する。

◎業務内容:

業務内容は以下のとおりである。

○災害廃棄物発生量の推計等に係る業務

①災害廃棄物発生量の推計

②災害廃棄物の処理可能量の推計

③仮置場の必要面積の推計及び仮置場の効率的な運用に係る検討

④必要な受援体制(人員やスペース)の検討

⑤発災時における市民・ボランティア等への広報内容と情報伝達方法の検討

※③は本組合の業務対象外のため検討から除外

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1.対象災害

1.1 自治体の概要

東大阪都市清掃施設組合は大阪府東部の内陸部に位置している。周辺には多数の活断

層が存在し、山地部・山麓部を南北に生駒断層が縦走している。また、恩智川・第二寝

屋川・長瀬川が流れ、豪雨や台風による浸水被害も想定される。

図 1.1.1 対象地域(東大阪市、大東市、東大阪都市清掃施設組合)注. ●…対象地域

出典:地理院地図をもとに作成

東大阪都市

清掃施設組合

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1.2 地震被害想定

(1) 地震被害想定

施設が位置する東大阪市においては、「生駒断層帯地震」によって最大震度 7 の強い揺

れが想定されている。東大阪都市清掃施設組合は、震度 7 の高い震度に位置するため、地

震発生の際には施設に大きな被害が発生する可能性がある。また、地震による道路被害も

考えられることから、廃棄物の搬入・搬出に支障をきたす恐れがある。

表 1.2.1 対象地域における想定災害

対象地域 地震 津波

東大阪都市清掃施設組合 生駒断層帯地震(震度 7) なし

出典:「大阪府地震被害想定」(平成 19 年 3 月、大阪府)をもとに作成

図 1.2.1 生駒断層帯地震 震度分布図

出典:「大阪府地震被害想定」(平成 19 年 3 月、大阪府)

東大阪都市

清掃施設組合

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1.3 風水害(洪水)

(1) 浸水想定区域

対象地域においては、東大阪市内南西部を流れる寝屋川等による氾濫が想定されている。

施設においては最大約 0.8m の浸水が想定されており、施設被災に関する事前・事後の

対策や、災害廃棄物受け入れに関する検討を行う必要がある。

表 1.3.1 洪水浸水想定区域の概要

浸水想定 大阪府 洪水リスク表示図

作成者 大阪府

洪水規模 200 年確率降雨

図 1.3.1 淀川水系寝屋川流域洪水浸水想定区域図

出典:「大阪府 洪水リスク表示図」(平成 25 年、大阪府)

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2.災害廃棄物発生量の推計

地震災害及び風水害による被害のうち 2 種類程度の被害想定を設定し、災害廃棄物(片

付けごみ、解体ごみ)の発生量を推計する。

表 2.1 検討対象とする災害

対象被害想定 出典/策定年

地震災害生駒断層帯地震(震度 7)

◎津波:なし大阪府地震被害想定/平成 19 年 3 月、大阪府

風水害 淀川水系寝屋川流域の氾濫 大阪府 洪水リスク表示図/平成 25 年、大阪府

2.1 災害廃棄物発生量の推計方法

2.1.1 地震災害

地震災害による災害廃棄物発生量の算定方法には、地震被害想定等で使用される算定式

(以下、「内閣府が示す方式」という。)と、「災害廃棄物対策指針」及び「巨大災害発生時

における災害廃棄物対策のグランドデザインについて 中間とりまとめ」で示された算定式

(以下、「環境省が示す方式」という。)の 2 つがある。内閣府が示す方式では平均延床面

積、構造別全壊棟数が必要であり、災害時のデータ入手が課題となる。なお、大阪府は大

阪府独自の算出方法で発生量を推計している。本業務では災害時にデータ入手が比較的容

易な「環境省が示す方式」を採用する。参考として、表 2.1.1 に大阪府災害廃棄物処理計

画による災害廃棄物発生量の推計方法を示す。

表 2.1.1 大阪府災害廃棄物処理計画による推計方法(参考)

項目 内容

災害廃棄物処理

計画策定状況令和元年 7 月

発生量

推計

地震 大阪府独自の算出方法

風水害 算出無し

出典:「大阪府災害廃棄物処理計画」(平成 29 年 3 月、大阪府)

(1) 算定式

内閣府が示す方式による算定式は、1 棟当たりの平均延床面積(㎡)に、建物の構造別

(木造、非木造〔鉄筋、鉄骨〕)の発生原単位(t/㎡)と解体建築物の棟数(構造別全壊棟

数・火災焼失棟数)を掛け合わせて、可燃物及び不燃物の発生量を算定している。

◆災害廃棄物発生量(t)=s × q1 × N1

s :1 棟当たりの平均延床面積(平均延床面積)(㎡/棟)

q1 :単位延床面積当たりの災害廃棄物発生量(発生原単位)(t/㎡)

N1 :解体建築物の棟数(解体棟数=構造別全壊棟数・火災焼失棟数)

【内閣府が示す方式】

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環境省が示す方式の算定式は、建物被害棟数(全壊棟数+半壊棟数)に 1 棟当たりから

出てくる災害廃棄物発生量の発生原単位と種類別割合を掛け合わせて、可燃物、不燃物、

コンクリートがら、金属くず、柱角材の発生量を算定している。

(2) 発生原単位及び種類別割合

「環境省が示す方式」では、表 2.1.2 の 2 種類の発生原単位を設定している。

南海トラフ巨大地震の発生原単位は東日本大震災における災害廃棄物処理の実績など

から、首都直下地震の発生原単位は内閣府(2013)による首都直下地震の被害想定に基づい

ている。首都直下地震の発生原単位は関東地域を対象に検討されていることから、近畿地

域における検討には適さないことが想定される。そのため、本検討の全壊・半壊の発生原

単位ならびに被害区分別の種類割合は、南海トラフ巨大地震の値を適用した。

同様に、災害廃棄物発生量の種類別割合を表 2.1.3 のとおり設定している。

<東大阪市>

総務省統計局による「平成 25 年 住宅・土地統計調査」では、対象地域の住家の構造割

合は木造が約 50%(90,210 棟)、非木造が約 50%(89,700 棟)であり、旧耐震基準(昭和

56 年以前)の建物が木造では約 44%、非木造では約 5%を占めている。東日本大震災の被

災割合は、木造が 85~90%、非木造が 10~15%であった。対象地域では、東日本大震災よ

りは非木造の割合が高い。

<大東市>

総務省統計局による「平成 25 年 住宅・土地統計調査」では、対象地域の住家の構造割

合は木造が約 55%(26,860 棟)、非木造が約 45%(21,860 棟)であり、旧耐震基準(昭和

56 年以前)の建物が木造では約 43%、非木造では約 20%を占めている。東日本大震災の

被災割合は、木造が 85~90%、非木造が 10~15%であった。対象地域では、東日本大震災

よりは非木造の割合が高い。

表 2.1.2 被害区分別の発生原単位

被害区分発生原単位

南海トラフ巨大地震 首都直下地震

全壊 117t/棟 161t/棟

半壊 23t/棟 32t/棟

火災焼失木造 78t/棟 107t/棟

非木造 98t/棟 135t/棟

注.全壊・半壊:南海トラフ巨大地震は東日本大震災の処理実績に基づく。首都直下地震は内閣府中央

防災会議首都直下地震対策検討ワーキンググループによる「最終報告(平成 25 年 12 月 19 日公表)」

の被害想定から算定

出典:「災害廃棄物対策指針 技術資料」【技 1-11-1-1】(平成 26 年 3 月、環境省)をもとに作成

◆災害廃棄物発生量(t)=建物被害棟数(棟)×発生原単位(t/棟)×種類別割合(%)

【環境省が示す方式】

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表 2.1.3 被害区分別の種類別割合

被害区分

種類別割合(%)

可燃物 不燃物コンクリートがら

金属くず 柱角材

液状化、

揺れ、津波

南海トラフ巨大地震 18 18 52 6.6 5.4

首都直下地震 8 28 58 3 3

火災焼失木造 0.1 65 31 4 0

非木造 0.1 20 76 4 0

出典:「災害廃棄物対策指針 技術資料」【技 1-11-1-1】(平成 26 年 3 月、環境省)をもとに作成

<東大阪市>

<大東市>

図 2.1.1 対象地域の建築年代

注.合計には建築の時期「不詳」を含まない

出典:「住宅・土地統計調査」(平成 25 年、総務省統計局)をもとに作成

S45以前

4,050棟4%

S46~55

680棟1%

S56以降

84,970棟95%

住家の割合(非木造)89,700棟

S35以前

9,650棟11%

S36~45

12,330棟13%

S46~55

18,060棟20%

S56~H2

13,460棟15%

H3~12

16,040棟18%

H13以降

20,670棟23%

住家の割合

(木造)90,210棟

S35以前

1,510棟6% S36~45

3,200棟12%

S46~55

6,780棟25%

S56~H2

5,300棟20%

H3~12

4,570棟17%

H13以降

5,500棟20%

住家の割合(木造)

26,860棟

S45以前

1,220棟5% S46~55

3,220棟15%

S56以降

17,420棟80%

住家の割合(非木造)21,860棟

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(3) 平成 29 年度災害廃棄物対策推進検討会における算定方法

環境省による平成 29 年度災害廃棄物対策推進検討会において、地域の床面積を反映す

る新たな災害廃棄物推計式の検討が行われた。

東日本大震災時の岩手県、宮城県の平均床面積と比べ、近畿地方では木造住宅の平均床

面積が狭い。そのため、東日本大震災時の処理実績である原単位(全壊 117t/棟、半壊 23t/

棟)と比べ、近畿地方の発生原単位の平均は少し小さくなる(全壊 105t/棟、半壊 21t/棟)。

一方、大阪府においては、非木造住宅の床面積が全国平均の約 1.4 倍あることから、発

生原単位は全壊 125t/棟、半壊 25t/棟となる。このように府県ごとに床面積の特性は変化

することから、本業務では、この新たな災害廃棄物算定方法を使用し、必要に応じてこれ

らの知見に対する修正も加えつつ、建物構造を反映した近畿地方における対象地域ごとの

災害廃棄物発生量の詳細な推計を行う。

検討会では地震による検討は十分になされているが、風水害においては検討段階である

ため、本検討においては地震災害にのみ新算出式を用いて推計を行う。

図 2.1.2 検討会で提示された新たな推計式

注.公物:道路、港湾、官公署・官公立学校の建物など

出典:「資料 1-1(別添 1)災害廃棄物発生量の推計精度向上のための方策検討」(平成 30 年 3 月 6 日、

環境省)

Y = X1×a + X2×a×b + X3×c + X4×d

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2.1.2 風水害

(1) 算定式

風水害は、災害廃棄物対策指針に示された「環境省が示す方式」を採用した。

(2) 発生原単位

災害廃棄物対策指針で示された発生原単位を下表に示す。なお、風水害の被害区分であ

る「床上浸水」及び「床下浸水」による災害廃棄物は、建物解体によるがれき等よりも、

浸水に伴う片付けごみと畳・敷物類等からなる。

表 2.1.4 被害区分別の発生原単位

被害区分 発生原単位

全壊 117t/棟

半壊 23t/棟

床上浸水 4.60t/世帯

床下浸水 0.62t/世帯

注.災害廃棄物対策指針 技術資料において、南海トラフ巨大地震の発生原単位として床上浸水:4.60t/

世帯、床下浸水:0.62t/世帯が示されている。本検討では風水害による発生原単位として、南海ト

ラフ巨大地震の発生原単位として示されている床上浸水、床下浸水の原単位を採用した

出典:「災害廃棄物対策指針 技術資料」【技 1-11-1-1】(平成 26 年 3 月、環境省)をもとに作成

(3) 風水害による被害区分判定方法

下記の①~②をもとに、風水害の被害区分判定の基準とする浸水深を設定した。

表 2.1.5 被害区分判定の基準とする浸水深

被害区分 浸水深

全壊 2.0m 以上

半壊 1.5m 以上 2.0m 未満

床上浸水 0.5m 以上 1.5m 未満

床下浸水 0.5m 未満

出典:「災害廃棄物対策指針 技術資料」【技 1-11-1-1】(平成 26 年 3 月、環境省)をもとに作成

◆災害廃棄物発生量(t)=建物被害棟数(棟)×発生原単位(t/棟)×種類別割合(%)

【環境省が示す方式】

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①災害廃棄物対策指針

災害廃棄物対策指針では、津波による被害として下表に示す区分を示している。

表 2.1.6 浸水深別の被害区分

浸水深 被害区分

1.5m 以上全壊判定、半壊判定については内閣府(2012)資料に記載の考

え方を用いる

0.5m 以上 1.5m 未満 床上浸水

0.5m 未満 床下浸水

出典:「災害廃棄物対策指針 技術資料」【技 1-11-1-1】(平成 26 年 3 月、環境省)をもとに作成

②内閣府(2012)資料

内閣府が平成 24 年 8 月 29 日に発表した「南海トラフの巨大地震に関する津波高、浸

水域、被害想定の公表について」では、津波による建物被害について、図 2.1.3 に示す

内容がまとめられている。

図 2.1.3 東日本大震災で得られた全壊棟数と浸水深の関係

出典:「南海トラフの巨大地震に関する津波高、浸水域、被害想定の公表について 資料 2-2 建物被害・

人的被害の被害想定項目及び手法の概要」(平成 24 年 8 月、内閣府南海トラフ巨大地震対策検討

ワーキンググループ)

(http://www.bousai.go.jp/jishin/nankai/nankaitrough_info.html)をもとに作成

「東日本大震災による被災現況調査結果について(第1次報告)」(国土交通省、平成23年8月4日)による浸水深ごとの建物被災状況の構成割合を見ると、浸水深2.0mを超えると全壊となる割合が大幅に増

加する(従来の被害想定では浸水深2.0m以上の木造建物を一律全壊としており、全体として大きくは変わらない傾向である)。

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(4) 建物被害棟数の推計手順

国土地理院が公表している基盤地図情報の建物データ(令和元年 3 月 24 日時点)と対

象地域の想定浸水深から、建物被害として、全壊、半壊、床上浸水、床下浸水の被害棟数

を推計する。

① 対象地域内の建物形状データを抽出する。

② 建物形状データの中心点をポイント化し、GIS データとして整備する。

③ 作成した建物ポイントと浸水深データを GIS 上で重ね合わせ、建物ポイント位置に

おける浸水深データの浸水深を建物の浸水深として抽出する。

④ 表 2.1.6 浸水深別の被害区分に基づいて各建物の被害区分を行い、被害区分別の

建物棟数を集計する。

【推計手順】

図 2.1.4 被害区分別の建物棟数の推計手順イメージ

浸水域

浸水域外のため

非採用

建物の中心点をポイント化し、ポイント位置の浸水深を採用

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2.2 災害廃棄物発生量の推計結果

大阪府における地震による被害想定の結果のうち、対象地域では津波被害の影響は想定

されないことから対象地域で最も大きい被害が想定される生駒断層帯地震を対象とした。

また、地域内で想定される河川氾濫が発生した場合の災害廃棄物(片付けごみ、解体ご

み)の発生量を推計した。

2.2.1 地震による災害廃棄物発生量の推計

(1) 地震災害による被害想定結果

大阪府が実施した「大阪府地震被害想定」(平成 19 年 3 月、大阪府)による被害想定結

果を下表に示す。

表 2.2.1 生駒断層帯地震による被害想定結果

出典:「大阪府地震被害想定」(平成 19 年 3 月、大阪府)をもとに作成

(2) 地震災害による災害廃棄物発生量の推計

「環境省が示す方式」に基づいて算出した被害区分別の災害廃棄物発生量及び、種類別

の災害廃棄物発生量を下表に示す。

種類別の災害廃棄物発生量は、全壊・半壊を足し合わせた災害廃棄物発生量と、火災焼

失による災害廃棄物発生量にそれぞれ表 2.1.3 被害区分別の種類別割合を掛け合わせる

ことで算出した。表 2.2.2 の推計結果が表 2.2.4 の大阪府推計結果の数値と比べ大きくな

る理由は、大阪府地震被害想定による方法は、建物被害棟数へ構造別平均床面積を掛け合

わせて算出を行っているためである。

表 2.2.2 被害区分別の災害廃棄物発生量

注.四捨五入の関係で合計が一致しない場合がある

全壊棟数 半壊棟数火災焼失

棟数合計

東大阪市 生駒断層帯地震 7 64,328 34,924 31,139 130,391

大東市 生駒断層帯地震 7 13,566 8,512 1,030 23,108

- 77,894 43,436 32,169 153,499合計

構成市 災害種別最大予想

震度

建物被害(棟)

全壊

(土砂除く)半壊 火災焼失 合計

東大阪市 生駒断層帯地震 7,526 803 2,429 10,758

大東市 生駒断層帯地震 1,587 196 80 1,863

9,114 999 2,509 12,622

災害廃棄物発生量(千t)

災害種別

合計

構成市

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表 2.2.3 種類別の災害廃棄物発生量

注.種類別の災害廃棄物発生量は表 2.1.3 の種類別割合に基づき算出

表 2.2.4 参考 大阪府地震被害想定 生駒断層帯による災害廃棄物発生量

(3) 平成 29 年度災害廃棄物対策推進検討会の算定方法による試算結果

平成 29 年度災害廃棄物対策推進検討会において検討された算定方法(以下、「新算出式」

という。)を用いて災害廃棄物発生量の算出を行った。パラメータの設定パターンを表

2.2.5、設定パターン別災害廃棄物発生量の計算式を表 2.2.6、発生量を表 2.2.7 に示す。

発生量として、以下の3パターンによる計算結果を示した。

・パターン1:災害廃棄物対策指針(平成 30 年 3 月、環境省)に示される原単位によ

る発生量(再掲)

・パターン2:新算出式を用いた災害廃棄物対策指針算出式の再現パラメータの設定に

よる災害廃棄物発生量

・パターン3:近年の甚大災害から求まる公物等上乗せ処理量(α)と半壊率(b)の

設定による災害廃棄物発生量

床面積は住宅・土地統計調査による大阪府の平均床面積及び、住宅被害率の内訳は南海

トラフ巨大地震の被害想定から木造 90%、非木造 10%とした。

パターン1、パターン2は、パターン2の発生量が少ない結果となった。パターン1は

東日本大震災による原単位であり、岩手県、宮城県の床面積を反映した原単位である。対

象地域の床面積は岩手県、宮城県平均の床面積(表 2.2.8)より狭いことから、対象地域

の床面積(表 2.2.7)を反映したパターン2はパターン1と比較して発生量が少なく算出

された。

また、パターン3は東日本大震災、平成 28 年熊本地震などの近年の甚大災害による処

理実績から求まる公物等上乗せ処理量、半壊率を考慮した値である。公物等上乗せ処理量

(α)、半壊率(b)の値(α=0.4、b=0.3)がいずれも東日本大震災処理実績による値(α

=0.1、b=0.2)を上回るため、パターン1、2を上回る発生量となった。

対象地域における甚大災害が発生した際に想定される災害廃棄物発生量は、12,228~

16,897 千 t となる。

注.「大阪府地震被害想定」(平成 19 年 3 月、大阪府)は府独自の方式で災害廃棄物発生量を算出

出典:「大阪府地震被害想定」(平成 19 年 3 月、大阪府)をもとに作成

可燃物 不燃物コンクリート

がら金属 柱角材

東大阪市 生駒断層帯地震 1,502 3,076 5,084 647 450 10,758

大東市 生駒断層帯地震 321 373 952 121 96 1,863

1,823 3,449 6,036 768 546 12,622

合計

合計

構成市 災害種別建物解体由来(千t)

全壊棟数 半壊棟数 火災焼失 可燃物 不燃物 合計

東大阪市 生駒断層帯地震 64,328 34,924 31,139 1,584 6,005 7,589

大東市 生駒断層帯地震 13,566 8,512 1,030 306 1,171 1,47777,894 43,436 32,169 1,890 7,176 9,066

建物被害棟数 災害廃棄物発生量(千t)構成市 災害種別

合計

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表 2.2.5 パラメータの設定パターン

注.α:近年の甚大災害から求まる公物等上乗せ量、b:半壊率

表 2.2.6 設定パターン別災害廃棄物発生量計算式

表 2.2.7 設定パターン別災害廃棄物発生量(構成市町合算値)

注.新算出式においては建物被害による全壊と、火災焼失による建物被害の区別を行っていないため、被

害量(棟)における「全壊」は建物被害による全壊棟数と、火災焼失棟数の合計値である

表 2.2.8 参考 岩手県、宮城県の床面積

2 84.5 × 0.7 ×( 95,467 + 34,924 × 0.2 )× 0.9 + 382.6 × 1.3 ×( 95,467 + 34,924 × 0.2 )× 0.1 = 10,5503 84.5 × 1 ×( 95,467 + 34,924 × 0.3 )× 0.9 + 382.6 × 1.6 ×( 95,467 + 34,924 × 0.3 )× 0.1 = 14,5432 84.5 × 0.7 ×( 14,596 + 8,512 × 0.2 )× 0.9 + 382.6 × 1.3 ×( 14,596 + 8,512 × 0.2 )× 0.1 = 1,6783 84.5 × 1 ×( 14,596 + 8,512 × 0.3 )× 0.9 + 382.6 × 1.6 ×( 14,596 + 8,512 × 0.3 )× 0.1 = 2,3542 = 12,2283 = 16,897

対象地パターン

東大阪市

大東市

合計

合計半壊棟数

解体率

非木造被災率

非木造床面積

非木造原単位

全壊棟数

半壊棟数

解体率

木造被災率

木造床面積

木造原単位

全壊棟数

全壊 半壊 木造 非木造 木造 非木造 1 2 3

生駒断層帯地震 110,063 43,436 84.5 382.6 90% 10% 12,622 12,228 16,897

平均床面積(㎡) 住宅被害率(%) パターン(千t)災害種別

被害量(棟)

木造 非木造

岩手 108.1 250.7

宮城 94.3 331.2岩手、宮城平均 101.2 291.0

都道府県名

床面積

(m2)

1

2

3

パターン パラメータ

全壊:117t/棟半壊:23t/棟

α=0.1、b=0.2

α=0.4、b=0.3

特徴

東日本大震災の実績を考慮

地域性(建物構造別床面積)を考慮地域の木造面積狭いと発生量は少なく、木造面積が広いと発生量は多い傾向

甚大災害事例から公物等発生量及び半壊率がパターン2よりも多いため、発生量が多い傾向

災害廃棄物対策指針による方法(再掲)

災害廃棄物対策指針による方法の再現

近年の甚大災害による再現値

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2.2.2 風水害による災害廃棄物発生量の推計

(1) 風水害による被害想定結果

推計結果は下表のとおりであった。

表 2.2.9 風水害による被害想定結果

(2) 風水害による災害廃棄物発生量の推計

風水害による災害廃棄物は、被害が全壊・半壊の場合は建物解体による災害廃棄物が発

生するが、床上浸水及び床下浸水による災害廃棄物は片付けごみと畳によるものである。

そのため、片付けごみと畳以外(建物解体由来のみ)の風水害の種類別の災害廃棄物発生

量は、全壊及び半壊による災害廃棄物発生量をもとに算出した。

なお、床上浸水、床下浸水による片付けごみは、「2.3 片付けごみ発生量の推計(試算)」

において算出した。

一般的に風水害の災害廃棄物は、漂着した片付けごみ、流木等のほか、浸水により使用

できなくなった電気製品や畳、布団などの大型ごみが発生する。水分を多く含んでおり、

腐敗しやすく、悪臭・汚水を発生することに留意が必要である。

「環境省が示す方式」に基づいて算出した被害区分別の災害廃棄物発生量を下表に示す。

風水害による災害廃棄物発生量は約 1,669 千 t となる。

表 2.2.2 の地震による災害廃棄物発生量推計結果と比較すると、対象地域では、「生駒

断層帯地震」の約 12,622 千 t と比べて約 13%程度の災害廃棄物が発生することが推計さ

れた。

表 2.2.10 被害区分別の災害廃棄物発生量【風水害】

表 2.2.11 種類別の災害廃棄物発生量【風水害】(建物解体由来のみ)

注.建物解体由来とは、全壊、半壊の災害廃棄物発生量による

注.四捨五入の関係で合計が一致しない場合がある

全壊 半壊 床上 床下浸水 合計

東大阪市 淀川水系寝屋川流域の氾濫 5,023 10,651 43,864 65,164 124,702

大東市 淀川水系寝屋川流域の氾濫 2,903 7,556 16,425 8,530 35,414

7,926 18,207 60,289 73,694 160,116

災害種別

合計

建物被害(棟)構成市

全壊 半壊 床上浸水 床下浸水 合計

東大阪市 淀川水系寝屋川流域の氾濫 588 245 202 40 1,075

大東市 淀川水系寝屋川流域の氾濫 340 174 76 5 594927 419 277 46 1,669合計

構成市 災害種別災害廃棄物発生量(千t)

可燃物(18%)

不燃物(18%)

コンクリートがら

(52%)

金属(6.6%)

柱角材(5.4%)

合計

東大阪市 淀川水系寝屋川流域の氾濫 150 150 433 55 45 833

大東市 淀川水系寝屋川流域の氾濫 92 92 267 34 28 513242 242 700 89 73 1,346合計

構成市

建物解体由来(千t)

災害種別

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2.3 片付けごみ発生量の推計(試算)

片付けごみは、2.2 に示した災害廃棄物発生量の内数として算出する。

片付けごみとは、災害により発生した廃棄物のうち、全壊・半壊を免れた家屋や浸水に

より被害を受けた家屋などから発生する、災害時に破損したガラス食器類、瓦、ブロック、

畳、家具、家電等を指す。通常の生活ごみや、避難生活者による避難所ごみとは異なる。

発生時期としては、図 2.3.1 に示すとおり、風水害による片付けごみは、浸水による腐

敗等のため、発災直後に多量に排出される傾向があり、地震による片付けごみは風水害と

比べ浸水による腐敗等が無いため発災から 1 箇月程度の間で排出される傾向がある。

片付けごみは発災初期の段階から処理に係るニーズが発生するため、住民への分別方法

や排出方法などの広報の徹底や、必要であればボランティアの要請等を行い、滞りなく処

理を行う必要がある。

図 2.3.1 片付けごみの発生時期イメージ

2.3.1 地震災害

(1) 推計条件

①片付けごみ排出の対象者

地震災害時の片付けごみ量の算出は、当面必要な仮置場の調達等のため、災害発生後

に簡便に試算できることが望ましい。

そのため、避難所の最大時の避難者数を災害により自宅が全壊・半壊・一部損壊した

被災者ととらえ、最大時避難者数を基本として試算する。避難者の自宅の被害状況は

様々であり、発生量の把握は困難であるが、これまでの災害対応からすると、避難者は

数日後には避難所から自宅等に通って整理を行うと想定されるため、避難者の最大数=

片付けごみの対象の避難者数と想定する。

そのうえで、対象地域の平均世帯人員で除すことで、片付けごみの対象世帯数とする。

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②1 世帯当たりから発生する片付けごみの量

片付けごみの特徴を、風水害と地震で比較した場合、風水害による片付けごみは水分

や土砂を含むため、地震による片付けごみと比べ量が多いと推定される。そのため地震

による片付けごみは、風水害による床上浸水の発生原単位である 4.6t/世帯より下回る

と考えられる。

また、平成 28 年に発生した熊本地震による事例では、集合住宅の片付けごみの平均

が約 0.5t/世帯であることが確認されている(なお、一戸建てから発生する、瓦やブロ

ックなど外構等は含まれていない)。

以上より、本検討では片付けごみの発生量に幅を持たせ、下記 2 ケースで検討した。

表 2.3.1 片付けごみの発生想定

ケース 片付けごみ発生想定 発生原単位

1 排出量が最少となる場合:地震災害(集合住宅) 0.5t/世帯

2 排出量が最大となる場合:風水害(床上浸水) 4.6t/世帯

出典:ケース 1・・・熊本地震の現地調査より原単位を作成、ケース 2・・・「災害廃棄物対策指針 技術資料」

【技 1-11-1-1】(平成 26 年 3 月、環境省)をもとに作成

(2) 算定式

地震による片付けごみの発生量は下記の式より算出する。

(3) 推計結果

(1)、(2)で示した方法に基づいて地震による片付けごみの発生量を算出した。地震に

よる片付けごみは、対象地域で 28,976~266,576t の発生量となった。

表 2.3.2 片付けごみの発生量

注.平均世帯人員…「平成 31 年 1 月 1 日住民基本台帳人口」(総務省)より算出し、小数第 3 位を切り

上げて記載

注.四捨五入の関係で合計が一致しない場合がある

出典:避難者数…「大阪府地震被害想定」(平成 19 年 3 月、大阪府)

◆地震による片付けごみ発生量=①被災世帯数 × ②発生原単位

①被災世帯数=避難者数 ÷ 平均世帯人員

平均世帯人員:住民基本台帳人口(総務省)をもとに算出

②発生原単位片付けごみ発生想定ケース 発生原単位

最小 0.5t/世帯

最大 4.6t/世帯

【片付けごみ発生量】

避難者数平均

世帯人員片付けごみ

世帯数

(人) (人/世帯) (世帯) 0.5t/世帯 4.6t/世帯

東大阪市 生駒断層帯地震 97,444 2.07 47,074 23,537 216,542

大東市 生駒断層帯地震 23,494 2.16 10,877 5,438 50,034120,938 - 57,951 28,976 266,576

構成市 災害種別

合計

片付けごみ(t)

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2.3.2 風水害

(1) 推計条件

①対象とする被災建物

片付けごみは、風水害により被災した世帯から発生する。被災の程度は、全壊・半壊・

床上浸水・床下浸水の 4 つの段階が想定される。全壊の建物は全量が解体による廃棄物

として排出されるため、片付けごみの発生はないと想定する。

以上より、本検討では半壊棟数、床上浸水棟数、床下浸水棟数から片付けごみが発生

するものとし、その発生量を推計する。

②1 世帯当たりから発生する片付けごみの量

災害廃棄物対策指針に示された床上浸水、床下浸水の発生原単位を下表に示す。

また、床上以上の浸水が想定されている半壊の建物からは、床上浸水と同様に発生す

ることを想定し、床上浸水と同じ発生原単位 4.6t/世帯を用いることとする。

表 2.3.3 床上浸水、床下浸水の発生原単位

被害想定 発生原単位

床上浸水 4.60t/世帯

床下浸水 0.62t/世帯

出典:「災害廃棄物対策指針 技術資料」【技 1-11-1-1】(平成 26 年 3 月、環境省)をもとに作成

(2) 算定式

風水害による片付けごみの発生量は下記の式より算出する。

◆風水害による片付けごみ発生量=①被災棟数×発生原単位

被災棟数:半壊棟数、床上浸水棟数、床下浸水棟数

※風水害は 1 階部分が被災すると想定し、世帯数=棟数とした

発生原単位被害想定 発生原単位

半壊 4.60t/棟

床上浸水 4.60t/棟

床下浸水 0.62t/棟

注.半壊は、23t/棟のうち 4.6t/棟が片付けごみとして排出されると仮定した

片付けごみ=半壊・床上浸水・床下浸水の建物による片付けごみ発生量

【片付けごみ発生量】

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(3) 推計結果

(1)、(2)で示した方法に基づいて風水害による片付けごみの発生量を算出した。風水

害による片付けごみは、対象地域で 406,772t の発生量となった。

表 2.3.4 片付けごみの発生量(風水害)

注.四捨五入の関係で合計が一致しない場合がある

2.3.3 片付けごみ発生量(試算)推計結果

2.3.1、2.3.2 において、地震災害、風水害に伴い発生する片付けごみ発生量の推計を行

ったが、片付けごみ発生量に関する検討は試算段階であり、下記の問題点がある。

そのため、今後更なる検討が必要である。

●片付けごみ発生量推計における課題

・今回の検討では、全壊棟数は建物解体となるため、片付けごみ発生量検討の対象と

していない。

・避難者の中には全壊家屋の避難者が含まれるため、片付けごみ発生量に含まれてし

まう。

・避難されていない一部損壊家屋からの片付けごみは、発災直後にその棟数把握が困

難であるため、発生量に含まれない。

●発災時のデータの抽出方法に関する統計上の課題

・今回の検討において、地震災害では避難者、風水害では半壊、床上浸水、床下浸水

の棟数より片付けごみを算出している。

・災害時にこれらの数値をいかに早期に収集し、片付けごみ発生量の推計を行うかが

課題となる。

半壊 床上浸水 床下浸水 半壊 床上浸水 床下浸水 合計

東大阪市 淀川水系寝屋川流域の氾濫 10,651 43,864 65,164 48,995 201,774 40,402 291,171

大東市 淀川水系寝屋川流域の氾濫 7,556 16,425 8,530 34,758 75,555 5,289 115,60118,207 60,289 73,694 83,752 277,329 45,690 406,772合計

災害種別構成市片付けごみ(t)被災棟数(棟)

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3.災害廃棄物の処理可能量の検討

前章の推計結果に基づく対象地域における災害廃棄物の処理可能量を組成別に推計す

る。

3.1 一般廃棄物処理施設の処理能力の検討

3.1.1 焼却施設

焼却施設の処理可能量は、施設の稼働年数や処理能力(公称能力)等を考慮した「災害

廃棄物対策指針に示された方法」と、施設を最大限活用することを想定した「施設の稼働

状況を反映する方法」の 2 つの方法で算出した。

(1) 施設概要

対象地域では、東大阪都市清掃施設組合において廃棄物処理を行っている。東大阪都市

清掃施設組合では、新可燃ごみ処理施設(第六工場)(以下、「第六工場」という。)を計画

中である。第六工場は令和 10 年度に本格稼働予定(令和 10 年 3 月竣工予定)であること

から、既存施設、新処理施設それぞれの処理可能量の算出を行う。

①既存施設の施設概要

対象地域内の焼却施設の施設概要は下表のとおりである。

表 3.1.1 施設概要(焼却施設)

注.施設の被災震度は生駒断層帯地震による

出典:「一般廃棄物処理実態調査結果」(平成 31 年 4 月 8 日、環境省)をもとに作成

②新処理施設の施設概要

令和 10 年度以降に稼働予定の新処理施設の施設概要は下表のとおりである。

表 3.1.2 施設概要(新処理施設)

注.施設の被災震度は生駒断層帯地震による

出典:東大阪都市清掃施設組合提供データ、「一般廃棄物処理実態調査結果」(平成 31 年 4 月 8 日、環境

省)をもとに作成

東大阪都市清掃施設組合 第五工場 2016 2 400 ストーカ式 全連続運転 7 0.82

東大阪都市清掃施設組合 第六工場 2027 検討中 検討中 ストーカ式 全連続運転 7 0.54

処理方式 炉型式 被災震度洪水浸水想定(m)

施設名使用開始

年度炉数

処理能力(t/日)

東大阪都市清掃施設組合 第四工場 1981 2 600 ストーカ式 全連続運転 7 0.70

東大阪都市清掃施設組合 第五工場 2016 2 400 ストーカ式 全連続運転 7 0.82

施設名 被災震度洪水浸水想定(m)

使用開始年度

炉数処理能力(t/日)

処理方式 炉型式

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(2) 推計方法

焼却施設の処理可能量の推計方法を①、②に示す。

①災害廃棄物対策指針に示された算出方法

年間処理量(実績)に、分担率を考慮して算出する。分担率は、現状の稼働(運転)

状況に対する負荷を考慮して災害廃棄物等の受け入れに制約となる可能性のある複数

の条件をもとに 3 段階のシナリオ(安全側となる低位シナリオ、災害廃棄物等の処理を

最大限行うと想定した高位シナリオ、その中間となる中位シナリオ)を設定し、算出す

る。

◆処理可能量(t/3 年)※=年間処理量(実績)×分担率

※大規模災害を想定し、3 年間処理した場合の処理可能量(t/3 年)について算出する。ただし、事

前調整等を考慮し実稼働期間は 2.7 年とする。

設定条件低位

シナリオ

中位

シナリオ

高位

シナリオ

①稼働年数

稼 働 年 数 に よ

る 施 設 の 経 年

劣 化 の 影 響 等

に よ る 処 理 能

力 の 低 下 を 想

定し、稼働年数

が 長 い 施 設 を

対象外とする。

20 年超

の施設を

除外

30 年超

の施設を

除外

制約なし

②処理能力

(公称能力)

災 害 廃 棄 物 処

理 の 効 率 性 を

考え、ある一定

規 模 以 上 の 処

理 能 力 を 有 す

る 施 設 の み を

対象とする。

100t/日

未満の

施設を

除外

50t/日

未満の

施設を

除外

30t/日

未満の

施設を

除外

③処理能力

(公称能力)

に 対 す る 余

裕分の割合

あ る 程 度 以 上

の 割 合 で 処 理

能 力 に 余 裕 の

あ る 施 設 の み

を対象とする。

20%未満

の施設を

除外

10%未満

の施設を

除外

制約なし

④年間処理量

の実績に対

する分担率

通 常 時 の 一 般

廃 棄 物 と の 混

焼 で の 受 入 れ

を想定し、年間

処理量(実績)

に 対 す る 分 担

率を設定する。

最大で

5%

最大で

10%

最大で

20%

出典:「災害廃棄物対策指針 技術資料」【技 1-11-2】(平成 26 年 3 月、環境省)をもとに作成

【指針】

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②施設の稼働状況を反映する算出方法(最大利用方式)

施設の実処理能力等の稼働状況を反映する算出方法は、年間最大処理能力から年間処

理量(実績)を差し引くことで算出する。なお、災害廃棄物の処理は、発災後最大で概

ね 3 年間の処理となるが、既往処理施設は、被災の状況により、復旧までに時間を要す

ことが懸念される。そのため、稼働日数を減少させて処理可能量を算定した。

(3) 推計結果

① 既存施設の処理可能量

現在稼働中の焼却施設の処理可能量を示す。災害廃棄物対策指針の算出方法(高位)

では発災後 3 年間で約 112 千 t、最大利用方式では発災後 3 年間で約 227 千 t の処理可

能量が見込まれる。災害時は、施設の能力、稼働状況を考慮し採用する処理可能量を決

定する必要がある。また、施設が被災した場合、発災直後から施設が停止するという点

に留意する必要がある。

表 3.1.3 処理可能量(災害廃棄物対策指針の算出方法)

注.大規模災害を想定し、3 年間処理した場合の処理可能量(t/3 年)について算出するが、事前調整等

を考慮し実稼働期間は 2.7 年を設定する

出典:東大阪都市清掃施設組合提供データ、「一般廃棄物処理実態調査結果」(平成 31 年 4 月 8 日、環境

省)をもとに作成

◆処理可能量(t/3 年)=①災害時対応余力×②年間稼働率〔1 年目〕

+災害時対応余力×2〔2~3 年目〕

①災害時対応余力(t/年)=年間最大処理能力(t/年)-年間処理実績(t/年)

年間最大処理能力(t/年)=日処理能力(t/日)×年間稼働日数(日)

年間稼働日数=実稼働日数

②年間稼働率

施設位置の震度 年間稼働率

震度 6 弱 被災後 1 年間は 97%

震度 6 強以上 被災後 1 年間は 79%

出典:「災害廃棄物対策指針 【技術資料 1-11-2】」

(平成 26 年 3 月、環境省)をもとに作成

③処理期間=3 年

【施設の稼働状況を反映する算出方法(最大利用方式)】

低位 中位 高位第四工場 80,851 600 - - 43,660第五工場 126,924 400 - - 68,539

計 207,775 - - - 112,199

施設名年間処理量(実績)

処理能力(t/日)

処理可能量(t/2.7年)

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表 3.1.4 処理可能量(施設の稼働状況を反映する算出方法(最大利用方式))

注.施設の被災震度は生駒断層帯地震による

注.処理期間は、3 年間処理した場合の処理可能量(t/3 年)について算出するが、事前調整、施設被災

等を考慮し実稼働期間は年間稼働率を掛け合わせ設定する

注.第四工場の日処理能力 600t/日は定格であり、経年劣化により能力を満たさない場合がある

出典:東大阪都市清掃施設組合提供データ、「一般廃棄物処理実態調査結果」(平成 31 年 4 月 8 日、環境

省)をもとに作成

図 3.1.1 一般廃棄物焼却施設処理可能量(既存施設)

②新処理施設(第六工場)稼働の場合の処理可能量

新処理施設(第六工場)稼働の場合の処理可能量を示す。対象地域では、令和 10 年

度以降、第四工場の停止及び新処理施設(第六工場)の本格稼働を予定している。第六

工場の施設規模や災害廃棄物処理見込量については計画中であるが、現時点では第六工

場が本格稼働する令和 10 年度の焼却処理量の 5%として計画している。「東大阪都市清掃

施設組合一般廃棄物処理基本計画(第五期)」(平成 28 年 3 月、東大阪市、大東市、東

大阪都市清掃施設組合)において、令和 10 年度の焼却処理量を約 170,000t として計画

しており、災害廃棄物処理見込量は 8,500t となる。

令和 10 年度以降の処理体制による災害廃棄物処理量と処理期間 2.7 年(処理期間 3

年のうち 3 箇月を事前調整等による施設停止とする。)における処理量を表 3.1.5 に示

す。

「東大阪都市清掃施設組合一般廃棄物処理基本計画(第五期)」による災害廃棄物処

226,618

0 0

112,199

0

50,000

100,000

150,000

200,000

250,000

処理

可能量(焼

却)(

t/年

最大利用方式 低位 中位 高位

第四工場 7 600 269 161,400 80,851 80,549 224,732第五工場 7 400 319 127,600 126,924 676 1,886

計 - 1,000 - 289,000 207,775 81,225 226,618

災害時対応余力

(t/3年)施設名

年間稼働日数(日)

年間最大処理能力(t/年)

年間処理実績

(t/年度)

災害時対応余力(t/年)

被災震度日処理能力(t/日)

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理量は、現在稼働中の既存施設の処理可能量を下回ることから、災害時の処理について

あらかじめ調整を行う必要がある。

表 3.1.5 災害廃棄物処理可能量(令和 10 年度以降の処理体制)

注.令和 10 年以降の体制として、第五工場、第六工場合わせて 170,000t/年の処理量が計画されており、

そのうち 0.5%分(8,500t/年)を災害廃棄物考慮分として見込んでいる

注.大規模災害を想定し、3 年間処理した場合の処理可能量(t/3 年)について算出するが、事前調整等

を考慮し実稼働期間は 2.7 年を設定する

出典:「東大阪都市清掃施設組合一般廃棄物処理基本計画(第五期)」(平成 28 年 3 月、東大阪市、大東

市、東大阪都市清掃施設組合)、東大阪都市清掃施設組合提供データ)、「一般廃棄物処理実態調査

結果」(平成 31 年 4 月 8 日、環境省)をもとに作成

(4) 施設受入条件

施設能力を超える廃棄物の受入れは施設の故障等に繋がるため、十分に注意する必要が

ある。特に災害廃棄物は、通常の体制を超えた搬入が想定されることから、あらかじめ施

設の受入条件を周知しておく必要がある。対象地域における焼却施設の受入条件及び粗大

ごみ処理施設概要を表 3.1.6、表 3.1.7 に示す。

表 3.1.6 受入条件

種別 条件

搬入でき

ないごみ

家庭ごみ

•家電リサイクル法対象品目

•パソコンリサイクル対象品目

•危険物

•処理困難物

•建築廃材

事業所の一般ごみ

•前記の搬入できないごみ

•産業廃棄物

•紙製及び木製以外の粗大ごみ

•テープ状・ロール状のもの 出典:東大阪都市清掃施設組合提供データをもとに作成

表 3.1.7 粗大ごみ処理施設概要

項目 概要

能力 50t/5h(破砕機 40t/5h、切断機 10t/5h)

処理対象 不燃性および可燃性粗大ごみ

出典:東大阪都市清掃施設組合提供データをもとに作成

t/年 t/2.7年

8,500 22,950

施設名

第五工場・第六工場合算値

災害廃棄物考慮分

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3.1.2 最終処分場

最終処分場の処理可能量は、「災害廃棄物対策指針の算出方法」と施設の残余容量に合

わせた「施設の稼働状況を反映した方法」の 2 つの方法で算出した。

(1) 施設概要

対象地域では、最終処分場はなく、不燃物は東大阪都市清掃施設組合で処理を行ってい

る。組合では、焼却灰の処分を大阪湾広域臨海環境整備センターで行っている。

対象地域における、大阪湾広域臨海環境整備センターへの広域処分委託量を表 3.1.8 に

示す。

表 3.1.8 大阪湾広域臨海環境整備センター 広域処分委託量

対象地域 広域処分委託量(t)

東大阪都市清掃施設組合 34,288

出典:「一般廃棄物処理実態調査結果」(平成 31 年 4 月 8 日、環境省)をもとに作成

(2) 推計方法

最終処分場の処理可能量の推計方法を①、②に示す。

①災害廃棄物対策指針の算出方法

年間処理量(実績)に、分担率を考慮して算出する。分担率は、現状の稼働(運転)

状況に対する負荷を考慮して災害廃棄物等の受け入れに制約となる可能性のある複数

の条件をもとに 3 段階のシナリオ(安全側となる低位シナリオ、災害廃棄物等の処理を

最大限行うと想定した高位シナリオ、その中間となる中位シナリオ)を設定し、算出す

る。

◆埋立処分可能量(t/2.7 年)=年間埋立処理量(実績)×分担率

表 一般廃棄物最終処分場の処理可能量試算のシナリオ

設定条件低位

シナリオ

中位

シナリオ

高位

シナリオ

①残余年数 10 年未満の施設を除外

②年間埋立処分量

の実績に対する

分担率

最大で

10%

最大で

20%

最大で

40%

出典:「災害廃棄物対策指針 【技術資料 1-11-2】」

(平成 26 年 3 月、環境省)

【指針】

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②施設の稼働状況を反映した方法(最大利用方式)

残余容量から年間埋立処分量(実績)の 10 年分を差し引くことにより算出する。

(3) 推計結果

対象地域では、不燃物の処理は大阪湾広域臨海環境整備センターで行うこととなる。

生駒断層帯地震による大規模地震が発生した場合、3,449 千 t(東大阪市:3,076 千 t、

大東市:373 千 t)の不燃物が生じる(表 2.2.3 参照)。

そのため、発生した不燃物を大阪湾広域臨海環境整備センターで処理する場合の事前調

整や、処理ができない場合の広域処理または民間廃棄物処理施設での処理の検討が、今後

の課題となる。

◆10 年後残余容量(m3)=①残余容量(m3)-②年間埋立容量(m3/年)×10 年

◆10 年後残余容量(t)=10 年後残余容量(m3)×③不燃物の単位体積重量

①残余容量(m3):現時点での残余容量

②年間埋立容量(m3):現時点での年間埋立量

③不燃物の単位体積重量=1.5(t/m3)

【施設の稼働状況を反映する算出方法(最大利用方式)】

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3.2 災害廃棄物の処理可能量の検討

「生駒断層帯地震」ならびに風水害による災害廃棄物発生量の災害廃棄物処理フローを

示す。発生した可燃物から焼却施設による余力を差し引いた災害廃棄物発生量が対象地域

内で処理ができず広域処理が必要な量となる。

①既存施設の処理可能量

【生駒断層帯地震】

東大阪都市清掃施設組合で処理を行う場合、可燃物の 1,596.2 千 t、不燃物と焼却灰

の 3,494.1 千 t の処理について広域処理等の検討が必要である。

図 3.2.1 生駒断層帯地震の災害廃棄物処理フロー

注.四捨五入の関係で合計が一致しない場合がある注.災害廃棄物における「不燃物」と、通常時の「不燃物」は性状が異なることに留意する

表 3.2.1 選別後の災害廃棄物の搬出先【生駒断層帯地震】

破砕選別後の廃棄物組成

発生量(千 t)

搬 出 先

可燃物 1,823227 千 t を焼却施設で処理可能

1,596 千 t の処理・処分方法について、広域処理等を検討

不燃物 3,449焼却灰とあわせ 3,494 千 t の処理・処分方法について、広域処理等を

検討

コンクリートがら 6,036 全量を再生資材として活用

柱角材 546 全量を木質チップとし、燃料もしくは原料として売却

金属 768 全量を金属くずとして売却

災害時対応余力 【広域処理等】〔焼却施設〕 ⑩ 1,596.2千t

東大阪市 1,502千t 1,823千t ⑦ 226.6千t =➀-⑦大東市 321千t 14% 処理量、処分率 全廃棄物量の12.6%※

⑦ 226.6千t =⑩/⑥可燃物①の12.4%

全廃棄物量の1.8%※東大阪市 3,076千t 3,449千t =⑦/⑥大東市 373千t 27%

焼却灰⑧ 45.3千t

東大阪市 5,084千t 6,036千t 焼却量⑦の20%大東市 952千t 48%

災害時対応余力 【広域処理等】〔最終処分場〕 ⑪ 3,494.1千t

東大阪市 450千t 546千t 0.0千t =②+⑧-⑨大東市 96千t 4% 処理量、処分率 全廃棄物量の27.6%※

⑨ 0.0千t =⑪/⑥全廃棄物量の0.0%※

=⑨/⑥東大阪市 647千t 768千t大東市 121千t 6%

東大阪市 10,758千t 12,622千t 【リサイクル】大東市 1,863千t 100% ⑫ 7,350.3千t

=③+④+⑤全廃棄物量の58.0%※

=⑫/⑥

府内・府外施設での広域処理

④柱角材

産業廃棄物処理施設

破砕選別後の廃棄物組成 一般廃棄物処理施設 要検討

②不燃物

⑤金属

府内・府外施設での広域処理

合計(⑥=Σ➀~⑤)

➀可燃物

産業廃棄物処理施設

仮設処理施設

③コンクリートがら

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【風水害】

東大阪都市清掃施設組合で処理を行う場合、可燃物の 15.7 千 t、不燃物と焼却灰の

287.6t の処理について広域処理等の検討が必要である。

図 3.2.2 風水害の災害廃棄物処理フロー

注.選別後の廃棄物組成の合計は建物解体由来のみ

注.四捨五入の関係で合計が一致しない場合がある注.災害廃棄物における「不燃物」と、通常時の「不燃物」は性状が異なることに留意する

表 3.2.2 選別後の災害廃棄物の搬出先【風水害】

破砕選別後の廃棄物組成

発生量(千 t)

搬 出 先

可燃物 242227 千 t を焼却施設で処理可能

15.7 千 t の処理・処分方法について、広域処理等を検討

不燃物 242焼却灰とあわせ 288 千 t の処理・処分方法について、広域処理等を検

コンクリートがら 700 全量を再生資材として活用

柱角材 73 全量を木質チップとし、燃料もしくは原料として売却

金属 89 全量を金属くずとして売却

災害時対応余力 【広域処理等】〔焼却施設〕 ⑩ 15.7千t

東大阪市 150千t 242千t 226.6千t =➀-⑦大東市 92千t 18% 処理量、処分率 全廃棄物量の1.1%※

⑦ 226.6千t =⑩/⑥可燃物①の93.5%

全廃棄物量の16.3%※

東大阪市 150千t 242千t =⑦/⑥大東市 92千t 18%

焼却灰⑧ 45.3千t

東大阪市 433千t 700千t 焼却量⑦の20%大東市 267千t 52%

災害時対応余力 【広域処理等】〔最終処分場〕 ⑪ 287.6千t

東大阪市 45千t 73千t 0.0千t =②+⑧-⑨大東市 28千t 5% 処理量、処分率 全廃棄物量の21.4%※

⑨ 0.0千t =⑪/⑥全廃棄物量の0.0%※

=⑨/⑥東大阪市 55千t 89千t大東市 34千t 7%

東大阪市 833千t 1,346千t 【リサイクル】大東市 513千t 100% ⑫ 861.5千t

=③+④+⑤全廃棄物量の61.9%※

=⑫/⑥

破砕選別後の廃棄物組成 一般廃棄物処理施設 要検討

➀可燃物

産業廃棄物処理施設②不燃物

仮設処理施設

③コンクリートがら 府内・府外施設での広域処理

④柱角材

産業廃棄物処理施設⑤金属

府内・府外施設での広域処理

合計(⑥=Σ➀~⑤)

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②新処理施設(第六工場)稼働の場合の処理可能量

【生駒断層帯地震】

東大阪都市清掃施設組合で処理を行う場合、可燃物の 1,799.8 千 t、不燃物と焼却灰

の 3,453.3 千 t の処理について広域処理等の検討が必要である。

図 3.2.3 生駒断層帯地震の災害廃棄物処理フロー

注.四捨五入の関係で合計が一致しない場合がある注.災害廃棄物における「不燃物」と、通常時の「不燃物」は性状が異なることに留意する

表 3.2.3 選別後の災害廃棄物の搬出先【生駒断層帯地震】

破砕選別後の廃棄物組成

発生量(千 t)

搬 出 先

可燃物 1,82323 千 t を焼却施設で処理可能

1,800 千 t の処理・処分方法について、広域処理等を検討

不燃物 3,449焼却灰とあわせ 3,453 千 t の処理・処分方法について、広域処理等を

検討

コンクリートがら 6,036 全量を再生資材として活用

柱角材 546 全量を木質チップとし、燃料もしくは原料として売却

金属 768 全量を金属くずとして売却

災害時対応余力 【広域処理等】〔焼却施設〕 ⑩ 1,799.8千t

東大阪市 1,502千t 1,823千t ⑦ 23.0千t =➀-⑦大東市 321千t 14% 処理量、処分率 全廃棄物量の14.3%※

⑦ 23.0千t =⑩/(⑥+⑧)可燃物①の1.3%

全廃棄物量の0.2%※東大阪市 3,076千t 3,449千t =⑦/(⑥+⑧)大東市 373千t 27%

焼却灰⑧ 4.6千t

東大阪市 5,084千t 6,036千t 焼却量⑦の20%大東市 952千t 48%

災害時対応余力 【広域処理等】〔最終処分場〕 ⑪ 3,453.3千t

東大阪市 450千t 546千t 0.0千t =②+⑧-⑨大東市 96千t 4% 処理量、処分率 全廃棄物量の27.4%※

⑨ 0.0千t =⑪/(⑥+⑧)全廃棄物量の0.0%※

=⑨/(⑥+⑧)東大阪市 647千t 768千t大東市 121千t 6%

東大阪市 10,758千t 12,622千t 【リサイクル】大東市 1,863千t 100% ⑫ 7,350.3千t

=③+④+⑤全廃棄物量の58.2%※

=⑫/(⑥+⑧)

合計(⑥=Σ➀~⑤)

⑤金属

府内・府外施設での広域処理

産業廃棄物処理施設②不燃物

③コンクリートがら 府内・府外施設での広域処理

④柱角材

➀可燃物

仮設処理施設

産業廃棄物処理施設

要検討破砕選別後の廃棄物組成 一般廃棄物処理施設

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【風水害】

東大阪都市清掃施設組合で処理を行う場合、可燃物の 219.3 千 t、不燃物と焼却灰の

246.9 千 t の処理について広域処理等の検討が必要である。

図 3.2.4 風水害の災害廃棄物処理フロー

注.選別後の廃棄物組成の合計は建物解体由来のみ

注.四捨五入の関係で合計が一致しない場合がある注.災害廃棄物における「不燃物」と、通常時の「不燃物」は性状が異なることに留意する

表 3.2.4 選別後の災害廃棄物の搬出先【風水害】

破砕選別後の廃棄物組成

発生量(千 t)

搬 出 先

可燃物 24223 千 t を焼却施設で処理可能

219.3 千 t の処理・処分方法について、広域処理等を検討

不燃物 242焼却灰とあわせ 247 千 t の処理・処分方法について、広域処理等を検

コンクリートがら 700 全量を再生資材として活用

柱角材 73 全量を木質チップとし、燃料もしくは原料として売却

金属 89 全量を金属くずとして売却

災害時対応余力 【広域処理等】〔焼却施設〕 ⑩ 219.3千t

東大阪市 150千t 242千t 23.0千t =➀-⑦大東市 92千t 18% 処理量、処分率 全廃棄物量の16.2%※

⑦ 23.0千t =⑩/(⑥+⑧)可燃物①の9.5%

全廃棄物量の1.7%※東大阪市 150千t 242千t =⑦/(⑥+⑧)大東市 92千t 18%

焼却灰⑧ 4.6千t

東大阪市 433千t 700千t 焼却量⑦の20%大東市 267千t 52%

災害時対応余力 【広域処理等】〔最終処分場〕 ⑪ 246.9千t

東大阪市 45千t 73千t 0.0千t =②+⑧-⑨大東市 28千t 5% 処理量、処分率 全廃棄物量の18.3%※

⑨ 0.0千t =⑪/(⑥+⑧)全廃棄物量の0.0%※

=⑨/(⑥+⑧)東大阪市 55千t 89千t大東市 34千t 7%

東大阪市 833千t 1,346千t 【リサイクル】大東市 513千t 100% ⑫ 861.5千t

=③+④+⑤全廃棄物量の63.8%※

=⑫/(⑥+⑧)

合計(⑥=Σ➀~⑤)

産業廃棄物処理施設⑤金属

府内・府外施設での広域処理

➀可燃物

産業廃棄物処理施設②不燃物

仮設処理施設

③コンクリートがら 府内・府外施設での広域処理

④柱角材

破砕選別後の廃棄物組成 一般廃棄物処理施設 要検討

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4.必要な受援体制(人員やスペース)の検討

「受援」体制の確保が必要という観点から、対象自治体の災害廃棄物処理体制について

把握した上で、その課題を整理し、対象地域で処理できない災害廃棄物について、広域連

携に係る標準的な手順及び他の自治体等から応援があった場合に必要な受援体制(人員・

宿泊施設・作業スペースなど)を明らかにした。

4.1. 災害廃棄物処理体制の整理

対象地域の受援に必要な体制を検討するには、災害発生時の廃棄物担当課の役割と人員

の充足状況を確認し、どの時期(いつ)にどの程度(どのような)の受援が必要になるか

明らかにする。

廃棄物担当課の現況の人員、地域防災計画で示された災害対策本部における廃棄物担当

課の役割、業務継続計画が策定されている場合は、廃棄物担当課の参集人数及び業務の必

要人数について情報を収集、整理した。

4.1.1 災害廃棄物担当課の体制

東大阪都市清掃施設組合の災害廃棄物担当課の体制を表 4.1.1 に示す。災害廃棄物対応

は、主に管理課が担当する。人員は計 19 名である。

表 4.1.1 災害廃棄物担当課の体制

出典:「平成 30 年度版ごみ処理施設概要」(平成 30 年、東大阪都市清掃施設組合)、東大阪都市清掃施設

組合提供資料をもとに作成

課 係 役割 人員

計画調査係 災害廃棄物の受入担当 4名

計量係 災害廃棄物の計量担当 7名

リサイクル係 災害廃棄物の受入担当 8名

管理課

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4.1.2 災害時の担当組織

①災害対策本部の体制

地震発生時の対応は、地震対応マニュアルに定められている。災害時の担当組織と役

割を図 4.1.1 に示す。

初期対応においては、緊急対策本部を設置し、本部のもと班体制を組織する。応急対

応としては、復旧対策本部を設置し、本部のもと班体制を組織する。復旧対応において

は、復旧計画書においてごみ搬入計画と運転計画を作成する。

図 4.1.1 災害時の担当組織と役割

出典:「地震対応マニュアル(地震発生時の行動)」(東大阪都市清掃施設組合)をもとに作成

緊急対策本部

●初期対応

①緊急連絡班 施設内人員把握、搬入車両誘導②情報収集班 マスメディア、外部対応、付近状況把握等③緊急対応班 被災者の救助、各工場の被害状況把握、二次被害の防止

復旧対策本部

●応急対応

①連絡調整班 人員確保、常駐体制の確立、メーカー連絡②情報管理班 マスメディア、ライフラインの状況等③復旧対応班 建物詳細点検、プラント詳細点検故障報告書作成

●復旧対応

①被害総括報告書作成(建物、プラント設備、危険個所明確化)②本格復旧計画書作成(メーカーと詳細な打合せと確認後、復旧計画作成

及び復旧工事概算金額算出、ごみ搬入計画と運転計画作成)

③本格復旧工事④本格復旧

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②発災後の対応期間

地域防災計画や業務継続計画においては、廃棄物担当課の職員が発災初動期に避難所

運営などの業務に割り振られ、災害廃棄物の担当人員が不足する事態が想定される。

受援が必要な時期を検討できることから、東大阪都市清掃施設組合の「消防計画」を

もとに、発災後の時期を考慮して体制の推移を整理した。

表 4.1.2 に災害応急対策実施体制を示す。災害廃棄物処理を主に担当する管理課は、

災害発生後第一段階および第二段階ともに施設の整備復旧、受入れ体制の確立に従事す

る。

地震対応マニュアルにおいては、災害発生後に措置すべき事項について定めている。

しかし、災害時において業務に必要である人数を定めていないため、不足人数を把握す

ることが困難である。人員の不足を把握し円滑に補充し業務を進めるために、事前に業

務の必要人数を設定すること、東大阪都市清掃施設組合において対応する業務と支援を

要請する業務を整理する必要がある。

表 4.1.2 災害応急対策実施体制

出典:「消防計画書」(東大阪都市清掃施設組合)をもとに作成

全体を通じて重点を置くべき事項

初期段階に重点を置くべき事項

災害発生直前に措置すべき重点事項

全体を通じて重点を置くべき事項

災害発生直後に措置すべく第一段階に重点を置くべき事項

災害発生後第二段階に重点を置くべき事項

収集活動

事前情報活動の調整

緊急調査班編成の指示

情報収集及びとりまとめ

避難誘導の指示、配置状況の確認

災害状況の収集、災害復旧計画の総合調整

庶 務 係気象情報の収集及び報告

職員への給食 職員への給食 食料品調達斡旋

人事給与係 職員の待機指示職員の配備状況把握及び指揮班への報告

職員の救護所の設置

負傷者の搬送及び処置

職員の救護

管 財 係庁舎警備体制の調整

庁舎の警備自動車、医薬品の確保、応急資材の確保

大量搬入時の用地確保

計画調査係

計 量 係

リサイクル係

業 務 係

技術管理係

第四工場

第五工場

施設警備体制の確認、危険対象物に対する事前指導及び措置

危険対象物の警戒

施設の被害状況調査及び応急措置

関係市の情報収集 ○

施設の警備整備

大量搬入時の受け入れ調整

危険対象物の警戒

大量搬入時の処置

災害発生後に措置すべき事項

施設の被害状況調査及び応急措置

施設の整備及び、工場周辺搬入路の障害物の除去

施設の整備復旧、受入体制の確立

施設の整備復旧

災害発生の事前対策

担当区分事前情報活動体制

指 揮 班

総務課

業務課

施設整備室

受け入れ体制の調整施設警備体制の調整

施設警備体制の調整

施設警備体制の確認、危険対象物に対する事前指導及び措置

施設の警備

石切堆積場の整備点検

管理課

受援対象業務

施設の整備復旧、受入体制の確立

関係市の情報収集

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③災害時の担当組織の役割及び人員

緊急対策本部設置における各係の役割分担を表 4.1.3 に示す。応援要請については、

総務課庶務係が消防・警察・両市・他官庁関係へ必要に応じて応援を依頼する。災害廃

棄物処理については、管理課が廃棄物の受入れに及び搬入車両の誘導等を担当する。

表 4.1.3 緊急対策本部設置での各係の役割分担

出典:「地震対応マニュアル(地震発生時の行動)」(東大阪都市清掃施設組合)をもとに作成

課 係 役割分担

消防・警察・両市・他官庁関係へ必要に応じて応援依頼

テレビ・ラジオ等からの情報伝達

管財係 物品等の調達

計量係 搬入車両等の誘導

破砕設備等の被害状況把握および二次被害防止

減容設備等の被害状況把握および二次被害防止

搬入車両等の誘導

灰クレーン設備等の被害状況把握および二次被害防止

燃料・薬剤等の危険物積載車両の誘導

建物、プラント緊急対応ならびにライフラインの確認

プラント設備、建築設備等の緊急対応ならびに復旧計画および復旧工事対応

復旧工事概算金額算出

工場設備等の被害状況把握および二次被害防止

プラント設備緊急対応

業務課

管理課

総務課庶務係

リサイクル係

業務係

技術管理係

工場運転係

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4.2. 災害廃棄物処理において受援が必要な事項の検討

4.2.1 災害廃棄物処理において受援が必要な業務内容

災害廃棄物対策指針によると、支援要請事項として主に想定されるものとしては、①生

活ごみや避難所ごみ、し尿、片付けごみの収集運搬に係る人的・物的支援、②災害廃棄物

の仮置場の管理・運営に係る人的・物的支援、③災害廃棄物処理に係る事務支援(実行計

画の策定や補助金事務等)とされている。支援要請事項とその特徴を表 4.2.1 に示す。

要請事項の特徴としては、緊急性が高い、人手を多く必要とする、職員が平時に携わる

機会が少ない、組織内に経験者が少なく、経験者の指導が有効である等が考えられる。

また、発生した災害廃棄物は、地域の処理施設にて処理を行うが、災害時のための余力

分を上回る災害廃棄物が発生した場合や被災による施設停止の場合、災害廃棄物の処理に

係る支援を要請することが必要である。

災害廃棄物処理において受援が必要な業務内容を表 4.2.2 に示す。

受援が必要な業務内容は、「人材支援」、「資機材支援」、「処理支援」に区分される。

表 4.2.1 支援要請事項と特徴(主に自治体)

支援要請事項 概要 特徴

①生活ごみや避難所ごみ、

し尿、片付けごみの収集

運搬に係る人的・物的支

ごみやし尿の収集運搬に

必要な人員や収集車・運

搬車等の機材の支援を要

請する。

・生活ごみや避難所ごみには、生ごみ

等の腐敗性廃棄物が含まれるため、

最優先で処理する必要がある。また

し尿は発災直後から迅速な収集運

搬と処理が必要となる。緊急性が高

い。

・作業に人手が多く必要である。

②災害廃棄物の仮置場の

管 理 ・ 運 営 に 係 る 人

的・物的支援

仮置場の管理・運営に必

要な人員、場合によって

は重機等の機材の支援を

要請する。

・仮置場は、生活環境の確保・復旧等

のため災害廃棄物を一時的に集積

し、分別・保管しておく場所であり、

道路啓開や倒壊建築物の撤去のた

めにも必要となるため早期の設置

が望ましい。緊急性が高い。

・作業に人手が多く必要である。

③災害廃棄物処理に係る

事務支援(実行計画の

策定や補助金事務等)

過去の災害において実際

に災害廃棄物処理の経験

や支援経験を有する自治

体職員や専門家による支

援を要請する。

・内容が煩雑である。平時に携わる機

会が少ない。

・組織内に経験者が少ない。経験者の

指導が有効である。

出典:「災害廃棄物対策指針 技術資料」【技 8-3】(平成 31 年 4 月、環境省)をもとに作成、一部加筆

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表 4.2.2 受援が必要な業務内容(一部事務組合)

人材支援 資機材支援 処理支援

●緊急性が高い・人手が多く必要・工場の被害調査・搬入受付・搬入車両誘導・廃棄物の手選別・市民からの問い合わせへの対応●内容が煩雑・組織内に経験者が

少ない・補助金申請・復旧計画作成、施工管理

・燃料(灯油)・薬剤(消石灰等)

・破砕・選別処理・焼却処理・資源化・処理先の確保・処理施設が被災し受入が

できない場合の代替受入

出典:「平成 29 年度災害廃棄物処理計画策定モデル事業・災害時処理困難物適正処理モデル事業(近畿

ブロック)」(平成 30 年 2 月、環境省近畿地方環境事務所)、「災害廃棄物処理に係る市町等初動マ

ニュアル」(広島県)、「平成 28 年熊本地震における東部環境工場の被災と復旧に関する取組」

(http://dwasteinfo.nies.go.jp/archive/interview/kumamoto_city_toubukankyou.html)、東大阪

都市清掃施設組合提供情報をもとに作成、一部加筆

4.2.2 災害廃棄物処理において受援が必要な事項

近畿ブロックモデル事業(H29 年度)報告書によると、災害廃棄物処理の受援を円滑に

行うためには、(1)受援環境の整備、(2)活動に必要な情報の共有、(3)支援状況の情報共有

が必要とされている。

図 4.2.1 受援時に必要な事項のイメージ

出典:「平成 29 年度災害廃棄物処理計画策定モデル事業・災害時処理困難物適正処理モデル事業(近畿

ブロック)」

①受援環境の整備

受援側として人材を受け入れる際の受援環境の整備にあたり配慮すべき事項の例を

表 4.2.3 に示す。

災害の応援には、できる限り受援側の負担軽減を考慮して必要な物資等は準備したう

えで現地入りすることが多い。そのうえで、受援側として整備すべき受援環境は、「ス

ペースの確保」、「資機材等の提供」、「執務環境の整備」、「宿泊場所のあっせん等」が必

要である。

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表 4.2.3 人材の受け入れにあたり配慮すべき事項の例

項目 環境・設備の内容

スペースの確保 ●支援側の現地本部として執務できるスペースや、活動拠点における

作業スペース、待機・休憩スペースを可能な限り提供する

●可能な範囲で、支援側の駐車スペース(作業・移動用車両用等)を

確保する

資機材等の提供 ●執務を行う上で必要な文具や、活動を行う上で必要な資機材を可能

な範囲で提供する

執務環境の整備 ●執務できる環境として、可能な範囲で机、椅子、電話、インターネ

ット回線等を用意する

宿泊場所のあっせ

ん等

●支援職員の宿泊場所の確保については、支援側での対応を要請する

ことを基本とするが、紹介程度は行う。また、必要に応じてあっせ

んする

●被害状況によってホテル等の確保が困難な場合は、避難所となって

いない公共施設や庁舎、焼却施設等の会議室や休憩室、避難所の片

隅等のスペースの提供を検討する

出典:「平成 29 年度災害廃棄物処理計画策定モデル事業・災害時処理困難物適正処理モデル事業(近畿

ブロック)」(平成 30 年 2 月、環境省近畿地方環境事務所)、「市町村ボランティアセンター設置運

営マニュアル作成ガイドライン」(平成 24 年 10 月、社会福祉法人秋田県社会福祉協議会)、「災害

廃棄物対策指針(平成 26 年 3 月、環境省)」をもとに作成

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②活動に必要な情報の共有

災害時の応援は被災地域の状況、被災の状況、災害廃棄物処理の状況が不明確の状態

で被災地に入ることも多い。また、大規模災害で応援が長期にわたる場合、応援自治体

や団体においては、派遣人員を変えて長期的に派遣することも多い。受援側として活動

に必要な情報を共有し、円滑な受援活動を進める必要がある。

関係者で情報を共有すべき事項の例を表 4.2.4 に示す。関係者で共有すべき「全般」

に渡る情報、「災害時処理困難物」、「施設・車両・資機材」に係る情報の提供が必要で

ある。

表 4.2.4 関係者で情報を共有すべき事項の例

情報の内容

全般

災害廃棄物処理計画

想定される災害の種類、被害、災害廃棄物

災害時における各種ごみの分別方法、排出方法、収集体制

災害廃棄物の運搬ルート・運搬手段(道路の被災状況など含む)

災害に係る市町村、府県、民間団体等との協定

災害時

処理困難物

危険物・有害物質の保有に係る状況

アスベストを使用した建築物に係る状況

腐敗性廃棄物の発生予測

上記以外の災害時処理困難物の発生予測

施設・車両・資機材

市町村や一部事務組合が所有する廃棄物処理施設(品目、処理能力、残余容

量等)に係る状況(被災状況など含む)

仮置場候補地に係る状況

民間事業者が所有する一般廃棄物・産業廃棄物処理施設(許可施設:品目、

処理能力、残余容量等)に係る状況(被災状況など含む)

災害時に活用可能な資機材(破砕・選別機等)に係る状況

災害時に活用可能な再資源化施設(製紙化、木材チップ、建設資材、セメン

ト資材、路盤材等)に係る状況

出典:「近畿ブロック大規模災害廃棄物対策行動計画」(平成 29 年 7 月、大規模災害発生時廃棄物対策近

畿ブロック協議会)より一部抜粋・加筆

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③支援状況の情報共有

人材の支援は、一定期間で組織に戻し、適切な休息や回復時間と施設を提供する必要

がある。また、資機材についても、メンテナンスの実施や、壊れたり紛失したりした場

合の修理・交換が必要である。また、薬剤や燃料などの消費する資機材は定期的に追加

する必要がある。これらを円滑に行うためには、支援を行っている組織と状況の報告を

中心とした情報共有を行い、適切なローテーション計画や補充計画を立てることが望ま

れる。共有すべき情報を表 4.2.5 に示し、情報共有手段の例として受援管理帳票を図

4.2.2 に示す。

表 4.2.5 共有すべき支援状況の例

区分 情報の内容

支援側

支援組織・支援個人名

所在地

担当者名

担当者連絡先

支援区分(人的支援、物的支援)

支援内容

数量

派遣・送付先

出発予定・到着予定

終了予定日

支援内容に基づく協定等

有償・無償の区分(有償のものがあれば金額など)

受援側

受信日時

受信部局・受信者名

受信者連絡先

出典:「地方公共団体のための災害時受援体制に関するガイドライン」(平成 29 年 3 月、内閣府(防災担

当))をもとに作成

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図 4.2.2 受援管理帳票

出典:「地方公共団体のための災害時受援体制に関するガイドライン」(平成 29 年 3 月、内閣府(防災担

当))

④支援側が配慮すべき事項

支援側は、受援側の負担軽減を考慮し、可能な限り必要な物資等は準備したうえで現

地入りすることが望ましい。地方公共団体のための災害時受援体制に関するガイドライ

ンによると、支援側が配慮すべき事項としては、宿泊場所の確保、移動車両及び燃料の

確保、携行品及び支援業務に必要な資機材の準備、派遣中の支援職員向けの相談窓口と

して業務に関する情報提供や相談対応の実施、適切な業務の引継ぎを可能とする応援ロ

ーテーション計画の作成管理等があげられる。携行品の例を表 4.2.6 に示す。

表 4.2.6 携行品の例

項目 内容

携行品 食料、飲料水、寝袋、毛布、パソコン、通信機器、デジタルカメラ、地図、車

両等の移動手段及び非常用燃料、個人装備(防寒着、ライト、ヘルメット、手

袋、マスク、筆記用具等)、その他(トイレパック、ウェットティッシュ、充

電器等)

出典:「地方公共団体のための災害時受援体制に関するガイドライン」(平成 29 年 3 月、内閣府(防災担

当))をもとに作成

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4.2.3 災害事例による受援が必要な事項の整理

東日本大震災や熊本地震以降、被災自治体の人員不足や機能不全を防ぐため、近隣自治

体や府県内外、協定締結をした外部団体などからの応援を受入れて災害対応業務を行う受

援の取組みが進められている。総務省は被災地の応援に職員を派遣する「被災市区町村応

援職員確保システム」(災害マネジメント総括支援員)を構築している。

昨年も、平成 30 年 7 月豪雨や大阪北部を震源とする地震、台風第 21 号、台風第 24 号

などの災害により、多くの自治体で応援が行われた。

対象地域や他地域における受援事例を収集・整理した。収集・整理にあたっては、災害

発生時期や応援の対象者などを考慮して行った。

表 4.2.7 に発災後の時期区分の特徴を示す。近年の災害事例においては、発災後初動期

から応急期にかけては収集運搬車両の派遣、仮置場・収集運搬・処理(片付けごみ含む)

に係る調整及び助言に関する支援が多く、応急期以降は、災害廃棄物の処理量の推計作業、

実行計画の策定支援、災害報告書の作成の支援が行われている。処理施設への支援につい

ては、明確な記録は少ないが、被災により稼働が停止した工場において、復旧計画作成や

復旧工事の施工管理等において支援を受けているようである。

処理施設への支援の場合、工場の被害調査、廃棄物の搬入に係る業務、及び工場の復旧

計画及び工事については緊急性が高いため初動期から応急期に受援対象となると考えられ、

補助金の申請については、応急期以降に受援対象となると考えられる。

表 4.2.7 発災後の時期区分の特徴

時期 特徴

初動期人命救助が優先される次期(災害廃棄物処理の体制整備、被害状況の確認、職員

の教育訓練、分別意識の向上等啓発・広報等を行う期間)

応急期前半避難所生活が本格化する時期(主に優先的な処理が必要な災害廃棄物を処理する

期間)

応急期後半人や物の流れが回復する時期(災害廃棄物の本格的な処理に向けた準備を行う期

間)

復旧・復興期避難所生活が終了する時期(一般廃棄物処理の通常業務課が進み、災害廃棄物

の本格的な処理の期間)

出典:災害廃棄物対策指針(平成 30 年 3 月、環境省)

表 4.2.8 近年の災害事例からみた受援が必要な事項

時期 受援が必要な事項

初動期

・収集運搬車両の派遣

・仮置場・収集運搬・処理(片付けごみ含む)に係る調整及び助言

・工場の被害調査

・廃棄物搬入

・工場の復旧計画作成、復旧工事の施工管理

応急期

・災害廃棄物の処理量の推計作業

・実行計画の策定支援

・災害報告書の作成の支援

・補助金申請

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①平成 30 年 7 月豪雨

平成 30 年 7 月豪雨においては、被害が甚大であった岡山県、広島県、愛媛県を中心

に、全国から応援があった。発災初動期には、仮置場、収集運搬に係る支援とともに、

災害廃棄物発生量の推計に係る支援などが行われた。収集運搬は発災当初から複数の自

治体から支援があった。応急・復旧時期には、災害報告書の作成に係る支援が行われた。

表 4.2.9 受援の事例(仮置場、災害報告書作成支援等)

時期 派遣元 数量 内容

岡山市

倉敷市

笹岡市

高梁市

総社市

矢掛町

井原市

広島市

坂町

熊野町

東広島市

竹原市

三原市

尾道市

呉市

三次市

府中市

江田島市

安芸高田市

庄原市

海田町

福山市

宇和島市

大洲市

西予市

鬼北町

松野町

今治市

・災害廃棄物の発生量の推計作業及び処理費の概算算定支援

・片付けごみが集積されている仮置場の解消支援

・災害廃棄物処理実行計画の策定支援

県庁10/17~10/31 延べ3人※2

海田町

三原市

坂町

熊野町

竹原町

派遣先

・災害報告書の作成支援

広島県

県庁7/21~8/10

東京都

延べ14人※2

10/17~

10/31 延べ14人※2

環境省災害廃棄物処理支援ネットワーク

(延べ)40人※1

(延べ)45人※1

(延べ)24人※1

・仮置場に関する支援仮置場の確保に係る調整支援仮置場の管理・運営に関する助言

・収集運搬に係る支援県外自治体及び民間団体によるごみ収集運搬車両の調整

・処理に係る支援災害廃棄物の発生量推計及び処理計画作成に関する助言災害廃棄物の広域処理に係る調整

岡山県

愛媛県

広島県7/10~8/31

7/10~8/13

7/9~8/24

注.※1…出典元「派遣人数(延べ)40 人」「派遣人数(延べ)45 人」「派遣人数(延べ)24 人」の記

載をもとに作成

注.※2…出典元「職員延べ 14 人」「職員延べ 3 人」の記載をもとに作成

出典:「平成 30 年 7 月豪雨における災害廃棄物対策」(環境省中部環境事務所廃棄物・リサイクル対策

課、中部ブロック災害廃棄物対策セミナー、平成 30 年 11 月 20 日)、「平成 30 年 7 月豪雨におけ

る災害廃棄物処理支援を通じた都道府県の役割とあり方について」(令和元年 5 月、東京都環境

局多摩環境事務所)

(https://dwasteinfo.nies.go.jp/archive/interview/tokyo_west_jp_2018.html)をもとに作

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表 4.2.10 受援の事例(収集運搬車両の派遣)

出典:「平成 30 年 7 月豪雨における災害廃棄物対策」(環境省中部環境事務所廃棄物・リサイクル対策課、

中部ブロック災害廃棄物対策セミナー、平成 30 年 11 月 20 日)をもとに作成

②平成 30 年台風第 24 号

平成 30 年台風第 24 号においては、被災状況の確認と災害廃棄物処理に係る助言が行

われた。

表 4.2.11 受援の事例(災害廃棄物処理に係る助言)

派遣元 時期 派遣先 内容

環境省 10/10~ 鹿児島県喜界町・被災状況の確認と災害廃棄物処理に関する技術的

助言

出典:「平成 30 年台風第 24 号における災害廃棄物対策について」(災害廃棄物情報サイト)

(http://kouikishori.env.go.jp/archive/h30_typhoon24/)をもとに作成

時期 派遣元 数量(台)

7/13~ 大阪市 12

7/13~ 赤磐市 5

7/15~ 高松市 2

7/15~ 京都市 3

8/2~ 堺市 6

8/6~ 北九州市 3

8/6~ 鹿児島市 3

8/8~ 新潟市 3

8/11~ 横浜市 13

8/13~ 海老名市 1

8/14~ 厚木市 1

8/20~ 茅ヶ崎市 1

8/20~ 藤沢市 1

総社市 7/14~ 神戸市 9

呉市 7/24~ 川崎市 5

7/19~ 名古屋市 4

8/8~ 浜松市 2

8/14~ 静岡市 4

7/27~ 横浜市 15

8/20~ 福岡市 3

海田町 7/31~ 長崎市 2

7/15~ 大分市 4

7/15~ 熊本市 3

8/6~ 高知市 4

久留米市 7/13~ 福岡市 2

7/14~ 行橋市 5

7/15~ 大牟田市 2

福岡県

派遣先

飯塚市

坂町

東広島市

大洲市

倉敷市岡山県

広島県

愛媛県

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③熊本地震

平成 28 年 4 月に発生した熊本地震における熊本市においては、自治体、協定による

民間団体、環境省、自衛隊の支援を受けた。

自治体の支援は、収集運搬、処理の支援が主体であった。また東部環境工場について

は、復旧に際し他市からの支援を受けた。

表 4.2.12 受援の事例(収集運搬等)

派遣元 内容

他自治体

・収集運搬の支援

・処理の支援

・車両台数

・人員数

36 団体

24 団体

延べ 2,443 台

延べ 7,045 人

災害協定等に基づく支援

・熊本県産業資源循環協会

・熊本市一般廃棄物処理業協同組合

・熊本県解体業協会

・熊本県建築協会

・熊本市造園建設業協会

環境省 ・D.Waste-Net

自衛隊(7 日間)・車両台数

・人員数

延べ 101 台

延べ 518 人出典:「熊本地震における災害廃棄物事業(公費解体)への取組について」(熊本市、令和元年度 公費

解体制度の担当者向け勉強会(近畿ブロック)、2019 年 11 月 7 日)をもとに作成

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44

4.3. 他自治体等による応援時に必要な受援体制の検討

他自治体等による応援があった場合に必要な、対象地域の実態と災害発生時期を考慮し

た受援体制を検討した。

対象地域における 4.1、4.2 の検討結果を踏まえ、災害発生時期別に「受援対象業務」、

「対象者・人員」、「執務環境」、「必要資機材」、「共有が必要な情報」について検討した。

4.3.1 災害時に必要な受援体制

①受援が必要な業務内容

東大阪都市清掃施設組合においては、地震対応マニュアルにおいて災害時の業務内容

を定めているが、各業務に必要な人数を定めていない。

平成 30 年の台風第 21 号の際には、東大阪市及び大東市では、市民からの電話での問

い合わせ対応への人員が不足した。

東大阪都市清掃施設組合において、受援が必要と考えられる業務を表 4.3.1 に示す。

大規模災害の発災時においては、東大阪都市清掃施設組合においても市民からの問い

合わせが増えると考えられる。また、大量の災害廃棄物が発生するため、搬入受付、搬

入車両の誘導、廃棄物の手選別の人員が不足すると考えられる。また、施設の被災時に

は、復旧計画作成及び復旧工事の施工管理の人員が必要となる。

表 4.3.1 災害廃棄物処理において受援が必要な業務内容

発災

時期業務内容

平成 30 年台風

21 号の東大阪

市、大東市の実

績より

他市町村の

事例より

受援が必要

な業務内容

より

初動期~

応急期

・工場の被害調査 ○

・搬入受付 ○

・搬入車両誘導 ○

・廃棄物の手選別 ○

・市民からの問い合わせへの対応 ○ ○

・復旧計画作成、施工管理 ○ ○

復旧・

復興期・補助金申請 ○

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45

②受援の対象者・人員

受援の人数については、業務に必要な人数及び参集人数から不足を算出することとな

るが、災害規模や自治体の職員数等により、業務に必要な人数が異なるため、一律に設

定することが困難な側面がある。先行事例を以下に示す。

1)受援計画における応援人数の試算方法事例

参考例として、三重県試算方法事例を図 4.3.1 に示す。

受援業務のひとつとして考えられる災害廃棄物処理における仮置場管理については、

搬入の管理に 1 箇所あたり 2 名の配置とあるが、車両誘導等は業務委託を想定し、算

定しないものと想定している。

廃棄物処理の担当者の必要人員は、「市町村向け災害廃棄物処理行政事務の手引き」

(東北地方環境事務所)をもとに計 4~6 名及び技術系職員(土木部局)、事務系職員

(総務・財務部局)が必要としている。平時の廃棄物担当者が 4 名に満たない自治体

においては、庁内の職員による対応可能性を検討したうえで、受援の必要性を検討す

ることとなる。

図 4.3.1 応援要請人数試算方法事例

出典:「三重県市町受援計画策定手引書」(平成 31 年 3 月、三重県)

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46

2)災害時の体制事例

災害時の応援人員に関する事例は少ないが、災害時の災害廃棄物処理体制の人員を

もととして、受援の人員を想定する。災害時の体制事例として東日本大震災における

宮城県仙台市、福島県いわき市、宮城県多賀城市、岩手県大船渡市の災害廃棄物処理

体制を表 4.3.2~表 4.3.5 に示す。

各市の災害廃棄物等推計量は仙台市(人口:1,041,974 人(平成 23 年 5 月 1 日時点))

2,717 千 t、いわき市 822 千 t(人口:339,277 人(平成 23 年 4 月 1 日時点))、多賀城

市 305 千 t(人口:61,408 人(平成 23 年 12 月 31 日))、大船渡市 853 千 t(人口:39,097

人(平成 23 年 10 月 1 日時点)であった。

仙台市においては計 52 人であり、平時の体制を「兼任」除く 13 人と仮定すると、

発災約 2 ヶ月時点で平時の 4 倍の人員体制とみることもできる。

いわき市は計 27 人であり、「他市応援」が 3 人、「臨時職員」が 9 人の計 12 人が応

援人員とみられ、平時の約 2 倍の人員で対応したとみられる。

多賀城市は平時の職員数は計 9 人であるが、発災約 9 ヶ月後のピーク時には、平時

の職員数よりも 37 人増の計 46 人となった。内訳は臨時職員 10 人、派遣職員(他自治

体)2 人、派遣職員(他事務所)4 人、併任職員(庁内多課)22 人であり、他自治体

からの応援のほか、庁内他課や臨時職員の雇用などで対処している。平時の約 5 倍の

人員で対応したとみられる。

大船渡市は発災直後 32 人で対応したが、半年後は 20 人増の計 52 人となった。内訳

は正規 25 人、臨時 10 人、支援 17 人であった。平時の約 2 倍の人員で対応したとみら

れる。

災害廃棄物推計量が 305 千t~2,717 千tの事例においては、平時の人員の約 2~5

倍程度の人員により対応したとみられる。

表 4.3.2 宮城県仙台市の体制(環境局震災廃棄物対策室設置時)(平成 23 年 5 月 1 日時点)

担当 人員数 業務分担

総括 2人 ・室長、総括主幹

総務・経理班 4人 ・室内庶務、予算管理、国庫補助申請等事務、庁内外調整

企画契約調整班 3人・損壊家屋等の解体・撤去に係る企画調整・運営、発注・契約

工務調整班 4人・がれき等撤去、損壊家屋等解体・撤去等に係る積算・仕様作

成・支払、現場管理等

兼任 39人・がれき搬入場の運営管理、仮設焼却炉の設置・運営管理、災

害廃棄物等の処理・リサイクル等

出典:「東日本大震災により発生した被災3県(岩手県・宮城県・福島県)における災害廃棄物等の処理

の記録」(平成 26 年 9 月、環境省東北地方環境事務所 一般財団法人 日本環境衛生センター)を

加筆修正

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表 4.3.3 福島県いわき市の体制(平成 24 年度)

担当 人員数 人員数内訳

総括 4人 ・課長、課長補佐(事務、電気)、係長 計4人

災害廃棄物等の

処理3人 ・事務、機械、化学 計3人

損壊家屋等解体 11人・事務(環境整備課1、庁内3、他市応援1、臨時職員5)、建

築(他市応援1) 計11人

基礎解体 9人・事務(環境整備課1、庁内3、他市応援1、臨時職員4) 計

9人

出典:「東日本大震災により発生した被災3県(岩手県・宮城県・福島県)における災害廃棄物等の処理

の記録」(平成 26 年 9 月、環境省東北地方環境事務所 一般財団法人 日本環境衛生センター)を

加筆修正

表 4.3.4 宮城県多賀城市の体制

出典:「多賀城市における災害廃棄物処理について」(宮城県多賀城市 ppt)をもとに作成

年 月 日 職員 非常勤職員 臨時職員派遣職員(他自治体)

派遣職員(他事業所)

併任職員(庁内他課)

合計

環境リサイクル推進係 定数 7 2 9

平成23年 3月11日 4 4

5月 9日 7 2 5 14

5月16日 7 2 12 5 26

災害廃棄物対策係 発足

8月 1日

8月29日 6 2 11 6 4 29

9月 1日 6 2 11 7 4 30

10月 5日 6 2 11 7 4 30

11月 1日 6 2 11 2 4 25

11月10日 6 2 13 2 4 27

12月 6日 6 2 10 2 4 22 46

平成24年 1月16日 6 2 9 2 3 22 44

3月 1日 5 2 9 2 3 22 43

4月 1日 5 6 1 18 30

4月16日 5 6 1 18 30

4月18日 5 6 1 20 32

7月 1日 5 6 1 7 19

10月16日 5 6 1 7 19

平成25年 1月 1日 5 6 1 12

4月 1日 3 2 5

平成26年 2月 1日 3 1 4

災害廃棄物対策係 解散

3月31日

25

1 43

6 2 11 6

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表 4.3.5 岩手県大船渡市の庁内体制

体制 業務内容人員数

発災直後 半年後 1 年後

建設課 ・民有地がれき撤去

・自動車撤去

・建物解体

・一次選別~二次選別~処理(可燃

物・不燃物)

・補助金申請事務等

20 人

正規:25 人

臨時:10 人

支援:17 人

38 人

環境課 ・危険物(アスベスト・PCB 等)処理

・衛生対策(防疫・し尿処理等)

・広域処理のための自治体間協議

6 人

水産課 ・水産廃棄物処理 6 人

災害廃棄物担当全体 32 人 52 人 38 人

出典:「東日本大震災~大船渡市のがれき処理の記録」(大船渡市)を加筆修正

災害時の体制の内訳の事例として、仮置場の設置・運営について示す。仮置場の管

理・指導に必要な人員と役割を表 4.3.6、表 4.3.7 に示す。災害時の体制事例として

仙台市の宮城県仙台市、茨城県常総市の事例を表 4.3.8 に示す。また、「仮置き場に関

する検討結果(案)」(平成 31 年 2 月、東北地方環境事務所 仮置場に関する検討部会)

によると、仮置場に必要な人数は、その面積や分別数や搬入頻度によって変わるが、

仮置場への搬入頻度が高い場合分別品目ごとに荷下ろしの補助をする人数は、1ha 以

上の大きな仮置場の場合では計算上は 15 名程度必要(住民が仮置き場に搬入しない場

合は、荷下ろしの補助の人数は減らすことができる)となり、さらに、仮置場内作業

とは別に仮置場周辺の交通誘導が必要となる場合があるとされている。

表 4.3.6 仮置場の管理・指導に必要な人員

仮置場の指導・管

理の人員

・仮置場の全体管理

・車両案内

・荷降ろし・分別の手伝い

・夜間の警備(不法投棄・盗難防止など)

出典:「市町村向け災害廃棄物処理行政事務の手引き」(平成 29 年 3 月、環境省東北地方環境事務所)

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表 4.3.7 仮置場の管理・指導に必要な人員と役割

人員 役割

現場責任者

○仮置場の全体管理

・場内の安全管理

・空きスペースの把握

・連絡調整 等

誘導員

○交通整理

・出入り口での車両誘導、場内の混雑状況の調整

○排出地域の確認

・搬入車の免許証やナンバープレート、また可能な時期となれば罹災

証明から、被災地域からの搬入であることを確認

補助員

○荷下ろしの補助

・分別区分の区画ごとに複数名配置し、搬入車の荷下ろしを補助

○分別指導

・適切な分別への協力を依頼

出典:「市町村等災害廃棄物担当者向け災害時の廃棄物処理対応マニュアル」(平成 29 年 3 月、栃木県環

境森林部廃棄物対策課災害等廃棄物対策チーム)

表 4.3.8 災害事例における仮置場の体制

自治体 仮置場の体制

宮城県仙台市 ・1 日あたり述べ 20 人

茨城県常総市・3~4 名の作業員、並びにニブラ付きバックホウ、ショベルカー、ロ

ードダンプ等の重機を配置

出典:「東日本大震災 仙台市 震災記録誌―発生から 1 年間の活動記録―」(平成 25 年 3 月、仙台市)、

「平成 27 年 9 月関東・東北豪雨により発生した災害廃棄物処理の記録」(平成 29 年 3 月、環境省

関東地方環境事務所・常総市)をもとに作成

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③共有が必要な情報

災害廃棄物処理に係る市町等初動マニュアルによると、平成 30 年 7 月豪雨災害にお

ける受援においては、要請側が求める業務内容を具体的に示せなかった、応援を受け入

れたにもかかわらず業務遂行に答えられる人員配置ができなかったなどの課題が挙げ

られている。

受援活動に必要な情報の共有には、災害廃棄物処理に係る業務内容の詳細、要請先、

必要な資機材、必要な資格、職種、経験を事前に整理し、受援側と応援側のニーズの不

整合を回避することが重要である。

整理方法の事例として、図 4.3.2 に高砂市の受援対象業務シートを示す。

図 4.3.2 受援対象業務シートの記入例

出典:「高砂市災害時受援計画」(平成 30 年 8 月、高砂市)

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4.3.2 災害廃棄物処理における受援に必要な事項

災害の時期別、受援対象業務別に、受援活動の対象者及び人員、執務環境、必要資機材、

共有が必要な情報を表 4.3.9 に示した。

表 4.3.9 災害廃棄物処理における受援に必要な事項

【初動期~応急期】

受援

対象業務対象者

業務内容・

能力等執務環境 必要資機材 共有が必要な情報

工場の被害

調査

・応援自治体

・協定締結団体

・東大阪市、

大東市

・設備等の

点検

・執務スペース

・休憩スペース

・保護具

・パソコン等

事務機器

・施設情報

搬入受付

・応援自治体

・協定締結団体

・必要書類の

確認

・不適物の確

・休憩スペース

・通信機器

・保護具

・必要書類

・分別方法

・不適物

搬入車両の

誘導― ・保護具

・場内ルート

・分別方法

市民からの

問い合わせ

対応

・電話

・パソコン等

事務機器

・搬入時間

・必要書類

・分別方法

・不適物

復旧計画作

成、施工管

・応援自治体

・協定締結団体

・東大阪市、

大東市・実務経験者 ・執務スペース

・パソコン等

事務機器

・保護具

・施設情報

補助金申請・応援自治体

・協定締結団体

・パソコン等

事務機器・被害状況

【応急~復旧・復興期】

受援

対象業務対象者

業務内容・

能力等執務環境 必要資機材 共有が必要な情報

補助金申請 ・応援自治体 ・実務経験者 ・執務スペース・パソコン等

事務機器・被害状況

注.必要資機材:通信機器・・・携帯電話、無線等、保護具・・・ヘルメット、鉄板入り安全靴、軍手、パソ

コン等事務機器・・・パソコン、プリンター、机、椅子、電話

出典:「平成 29 年度災害廃棄物処理計画策定モデル事業・災害時処理困難物適正処理モデル事業(近畿

ブロック)」(平成 30 年 2 月、環境省近畿地方環境事務所)、「災害廃棄物処理に係る市町等初動マ

ニュアル」(令和元年 5 月、広島県)、市提供資料及び、本検討をもとに作成

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4.3.3 災害廃棄物処理の受援体制構築に係る課題

東大阪都市清掃施設組合における受援体制構築に係る課題を表 4.3.10 に示す。

受援人数の設定について、東大阪都市清掃施設組合の地震対応マニュアルにおいては、

災害時に必要な業務を定めているが、必要な業務の人数を定めていない。東大阪都市清掃

施設組合の状況を勘案した上で、業務に必要な人数及び災害時に災害廃棄物業務に従事可

能な人数を設定することで、受援対象業務及び受援人数の設定が可能となる。

受援に必要な事項の設定について、事前に市において準備可能な事項(人員、執務環境、

必要資機材)を整理し、不足分を受援に必要な事項として設定しておくことが必要である。

表 4.3.10 東大阪都市清掃施設組合における受援体制構築に係る課題

課題 対応

受援対象業務

及び人数の設定

・地域防災計画及び業務継続計画に定める業務について、業務に必要

な人数の設定

・災害廃棄物業務に従事可能な人数の設定

・必要人数、従事可能な人数より、受援対象業務及び受援人数を設定

受援に必要な

事項の設定

・受援に必要な事項(人員、執務環境、必要資機材)の内、東大阪都

市清掃施設組合において準備可能な事項を設定

・準備不可能な事項を受援に必要な事項として設定

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5.広報内容と情報伝達方法の検討

発災直後から必要となる、通常ごみ・資源ごみ等の排出方法の変更や災害に伴う片付け

ごみの排出方法などを市民・ボランティア等に知らせる必要がある。

広報内容と情報伝達方法について検討した。

5.1 対象地域における広報内容・情報伝達手段の整理

対象地域で災害時の活用が想定される広報内容、情報伝達手段について、対象地域から

情報を入手して整理した。

5.1.1 対象地域における災害廃棄物処理に係る広報内容

東大阪都市清掃施設組合において、災害廃棄物処理に関わる広報については定められて

いない。平成 30 年の台風 21 号の際には、大東市ホームページにおいて、東大阪都市清掃

施設組合への直接搬入についての広報を行った。

5.1.2 対象地域における情報伝達手段

災害が発生した場合は、市民に対して迅速かつ適切な広報を行うことが重要である。災

害時に情報伝達が滞ると、市民からの問い合わせが増加し職員が対応に追われ、災害廃棄

物処理の受入等の業務に支障が出ると考えられる。

東大阪都市清掃施設組合の地震対応マニュアルには、災害時の広報については規定され

ていない。

対象地域において想定される一般的な情報伝達手段の特性について、表 5.1.1 及び表

5.1.2 に示す。

情報伝達手段は、それぞれ情報量、伝達範囲、耐災害性が異なる。災害時の広報におい

ては、各媒体の特徴を考慮し、複数の媒体を組み合わせて、地域、年代に関わらずもれの

ない広報を行うことが重要である。特に近年災害情報伝達手段の ICT 化が進んでいるが、

高齢者への伝達を考慮し、デジタル媒体(インターネット、メール等)のみならず、アナ

ログ媒体(広報誌、ちらし、掲示物)、マスメディア(テレビ、ラジオ、新聞)なども活用

すべきと考えられる。

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表 5.1.1 一般的な情報伝達手段と特性(1)

媒体 メリット デメリット

ちらし(回覧板、ポス

ティング、避難所での

掲示など)

・図や表など、比較的多量の情

報を盛り込むことができる

・情報が手元に残るので、正確

な情報で伝達が可能

・必要部数の準備や配布などに時

間と労力を要する

・印刷設備等の被災により対応が

困難な場合がある

インターネット(HP、

メール、SNS、アプリ)

・図や表など、比較的多量の情

報を盛り込むことができる

・情報が手元に残るので、正確

な情報で伝達が可能

・実施にかかる時間と労力が少

ない

・情報の受け手側で端末が使用で

きる環境が必要

報道発表

新聞

・図や表など、比較的多量の情

報を盛り込むことができる

・情報が手元に残るので、正確

な情報で伝達が可能

・高齢者が情報を得やすい

・情報量が制限されやすい

ラジオ・比較的広範囲に一斉に周知可

・即応性がある

・高齢者が情報を得やすい

・状況によっては情報が正確に伝

わりにくい

テレビ・被災により破損している場合が

ある

防災行政無線

(東大阪市)

・比較的広範囲に一斉に周知可

・即応性がある

・実施にかかる時間と労力が少

ない

・状況によっては情報が正確に伝

わりにくい

広報車

・比較的広範囲に一斉に周知可

・即応性がある

・状況によっては情報が正確に伝

わりにくい

・被災により破損している場合が

ある

・人手が必要である

出典:「《市町等災害廃棄物担当者向け》災害時の廃棄物処理対応マニュアル」(平成 29 年 3 月、栃木県

環境森林部廃棄物対策課災害等廃棄物対策チーム)を加筆修正

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表 5.1.2 一般的な情報伝達手段の特性(2)

出典:「災害情報伝達手段の比較」(総務省消防庁)

(https://www.fdma.go.jp/singi_kento/kento/items/kento154_27_sanko4.pdf)に一部加筆

情報伝達形態

通過交通 (PUSH/PULL)

屋内 屋外 屋内 屋外 (車内等)

防災行政無線(屋外スピーカー)

△ ○ △ ○ △ ○ ○ △ ◎ ○ ◎ PUSH

防災行政無線(戸別受信機)

○ ― × ― ― ○ ○ ◎ ◎ ○ ◎ PUSH

緊急速報メール ○ ○ ○ ○ ○ ◎ ○ ◎ ◎ ○ ○ PUSH

自動起動対応の防災ラジオを用いたコミュニティ

FM○ ○ ○ ○ ○ △ ○ ◎ ◎ ○ ◎ PUSH

IP告知放送 ○ ― ― ― ― △ ◎ ◎ ◎ △ △ PUSH

登録制メール ○ ○ ○ ○ ○ ◎ ◎ ◎ △ ○ ○ PUSH(orPULL)

Lアラート ○ ○ ○ ○ ○ ◎ ◎ ◎ ○ ○ ○ PUSH

CATV ○ ― ― ― ― △ ◎ ◎ ◎ △ △ PULL

コミュニティFM ○ ○ ○ ○ ○ △ ◎ ◎ ◎ ○ ◎ PULL

SNS(Twitter、Facebook)

○ ○ ○ ○ ○ ◎ ◎ ◎ △ ○ ○ PULL

市町村ホームページ ○ ○ ○ ○ ○ ◎ ◎ ◎ ○ ○ ○ PULL

◎:広い ◎:詳細

○:普通 ○:限定

△:限定

備考

※相対評価

○:有効 ◎:優れている ※:自動起動機あればPUSH△:あまり適していない ○:普通

×:適していない △:課題あり

―:対象外

災害情報伝達手段

情報の受け手

伝達範囲

情報量

耐災害性

居住者 一時滞在者荒天時 輻そう 停電

断線リスク

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5.2 災害廃棄物処理に係る広報項目の検討

5.2.1 災害廃棄物処理に係る広報項目の事例

【初動時~応急期】

初動期には、主に施設の被害状況、焼却炉の停止状況等の広報が行われている。施設

が停止すると処理が不可能となるため、他施設での処理を行う必要があり、調整に時間

を要する場合がある。処理が進まないことへ市民の理解を求めるために、被害状況を早

期に周知すべきと考える。また場合によっては、早期に生ごみなど腐敗性のもの以外の

ごみの排出抑制を周知する必要もある。

初動期から応急期にかけては、災害ごみの分別方法、受付日時、罹災証明書の取得方

法、問い合わせ窓口、禁止事項の案内などについて広報が行われている。

災害時には、通常よりも受入に不適な廃棄物が増える可能性があり、焼却施設等に不

可をかけると考えられるため、事前に分別方法を周知しておくことが重要である。

禁止事項の案内については、災害時には、災害に起因しない便乗ごみが持ち込まれる

ことがあり、不要な処理量の増加を防ぐため、早期に便乗ごみの禁止について周知すべ

きである。

【復旧・復興期】

施設への持込及び罹災証明書については、復旧・復興期に至るまで広報されている事

例が見られる。事情により早期に持込みができない場合もあるため、持込みについては

長期間広報を継続しておくことが必要と考えられる。また、発災後相当の時間を経たの

ちに便乗ごみが持ち込まれることもあり、罹災証明書についても広報を継続しておくこ

とが重要と考えられる。

①一部事務組合の広報項目事例

一部事務組合は平成 30 年台風第 21 号において、ホームページ上で焼却施設の状況を

広報した。災害発生の初動期(1 日目)に被害状況(停止状況や搬入停止の広報)、応急

期に復旧状況などの広報が行われた。

表 5.2.1 災害廃棄物処理の広報項目事例

(一部事務組合、平成 30 年台風第 21 号)

自治体 媒体 広報時期 項目

大阪広域環境施設組合

・組合ホームページ

初動期(9/5,1 日目)

・被害状況(焼却炉の停止状況)・復旧見込

応急期(9/14,9 日目)

・復旧状況(焼却炉の稼働再開)

泉南清掃事務組合

・組合ホームページ

初動期(9/5,1 日目)

・被害状況(搬入停止)・停電による問合せ対応の遅延可能性

応急期(9/21,16 日目)

・災害証明書、罹災証明書の取得方法(一部事務組合の構成市ホームページにリンク)

注.平成 30 年台風第 21 号は平成 30 年 9 月 4 日に上陸し、9 月 5 日に日本海で温帯低気圧に変わった

出典:大阪広域環境施設組合、泉南清掃事務組合 ホームページ をもとに作成

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5.2.2 災害廃棄物処理に係る広報項目

災害廃棄物処理に必要な広報項目は主に仮置場に関する情報、災害廃棄物に関する情報

に区分されるが、細分化したうえで広報の時期(初動期、応急期、復旧・復興期)別に整

理した。

表 5.2.2 災害廃棄物処理に必要な広報項目

出典:「災害廃棄物処理行政事務の手引き(環境省東北地方環境事務所、平成 29 年 3 月)」「災害廃棄物

処理に係る市町等初動マニュアル」(令和元年 5 月、広島県)をもとに作成

項 目 内 容広報時期

初動 応急復旧・

復興期

災 害 廃 棄物 に 関 する 情 報

災害廃棄物の分別方法

・分別方法・受入不可の廃棄物

● ●

施設への持込方法 ・受付日時、場所 ● ● ●

施設の被害状況・被害箇所・施設の停止、復旧見込

み● ●

禁止事項の案内・便乗ごみ(災害と関係

ないごみ,産廃)の排出禁止

● ●

問合せ窓口 ・施設への問合せ窓口 ● ●

災害廃棄物であることの証明方法

・罹災証明書・電話による申告

● ● ●

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5.3 災害廃棄物処理の広報内容及び情報伝達手段の検討

5.1、5.2 の検討結果を踏まえ、発災時の広報内容及び情報伝達手段を検討した。

検討にあたっては、対象者を明らかにする。対象地域における情報伝達手段の有無によ

り、実施可能性を考慮した。また、発災時だけでなく平時の広報の取組み例を示した。

5.3.1 災害廃棄物処理の広報内容及び情報伝達手段(災害時)

発災直後の初動期から復旧・復興期までの各段階において必要な広報の周知内容、情報

伝達手段を整理した。情報伝達手段の整理においては、対象地域の実態から対応可能な事

項と、今後対応が求められる事項に区分して整理した。

①広報内容

東大阪都市清掃施設組合では、災害廃棄物処理に関わる広報については、定められて

いない。そこで、災害時に必要な広報項目の全てについて、内容の具体例及び対象者を

示す。

表 5.3.1 対応時期別の情報伝達手段・周知内容(例)

項目 対象者 時期 内容

災害廃棄

物の分別

方法

・住民

・ボラン

ティア

初動期

応急期

・搬入時は、以下の通りに分別してください。

(例)可燃ごみ

不燃ごみ

粗大ごみ

受入不可 危険物、産業廃棄物・・・

施設への

持ち込み

方法

・住民

・ボラン

ティア

初動期

応急期

復旧・

復興期

・受付日時:平日○時~○時まで

・事前にホームページで分別方法、受入不可の品目を確認

の上、搬入をお願い致します。

施設の被

害状況

・住民

・ボラン

ティア

初動期

応急期

・地震により、第五工場の焼却炉については通風ダクトの

破損等の被害を受け、稼働を停止しています。復旧には

○○か月かかる見込みです。

・生ごみなどの腐敗性のごみ以外の資源ごみなどは、排出

を控えていただけますようお願い致します。

禁止事項

の案内

・住民

・ボラン

ティア

初動期

応急期・災害に起因しないごみについては持込できません。

問合窓口 ・住民初動期

応急期

災害ごみまた通常ごみの持込については、下記の連絡先に

お問い合わせください。

【ごみの搬入について】

東大阪都市清掃施設組合(清掃工場):○○○-○○○-○○

○○

【ごみの収集について】

東大阪市の方

東大阪市・○○部・○○課:○○○-○○○-○○○○

大東市の方

大東市・○○部・○○課:○○○-○○○-○○○○

災害廃棄

物である

ことの証

明方法

・住民

・ボラン

ティア

初動期

応急期

復旧・

復興期

・災害ごみの搬入には罹災証明書が必要です。

・申請場所:○○市役所(例)

・申請に必要なもの:印鑑、被害状況が判断できる写真、

手数料

出典:「ごみの搬入の仕方と料金」(平成 29 年 8 月、東大阪都市清掃施設組合)

(http://www.higashiosaka-toshiseisou.or.jp/dashikata/index.html)をもとに作成

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②情報伝達手段

情報伝達手段は、地域・年代に関わらずもれなく情報を伝達することを前提とし、か

つその他時期ごとの特徴に応じた適正を持つ媒体を複数選定する。東大阪都市清掃施設

組合が定める地震対応マニュアルにおいては、広報媒体を規定していないため、東大阪

市の地域防災計画に定める媒体より選定する。各時期の特徴を表 5.3.2 に示し、災害廃

棄物の広報に適した情報伝達手段を表 5.3.3 に示す。

表 5.3.2 発災後の時期区分の特徴(再掲)

時期 特徴

初動期人命救助が優先される次期(災害廃棄物処理の体制整備、被害状況の確認、

職員の教育訓練、分別意識の向上等啓発・広報等を行う期間)

応急期前半避難所生活が本格化する時期(主に優先的な処理が必要な災害廃棄物を処理

する期間)

応急期後半人や物の流れが回復する時期(災害廃棄物の本格的な処理に向けた準備を行

う期間)

復旧・復興期避難所生活が終了する時期(一般廃棄物処理の通常業務課が進み、災害廃

棄物の本格的な処理の期間)

出典:災害廃棄物対策指針(平成 30 年 3 月、環境省)

1)初動期

初動期には、広報項目は緊急性の高いものとなり、即時性、広範囲、労力が少ない

という点が重視されると考えられる。そこから、市ウェブサイト、SNS、アプリが媒体

として適していると考えられる。ただし、インターネットは端末を持ち使用が可能で

なければならないため、高齢者等に向け、端末が不要の媒体も同時に選定すべきと考

えられる。加えて、防災行政無線、広報車、ハンドマイク等による広報を選定する。

2)応急期

応急期には、広報の実施に多少の労力をかけることが可能である。媒体としては、

広範囲に伝達が可能であり、情報が記録に残る媒体が適していると考えられる。広範

囲かつ記録に残るという点で市ウェブサイト、SNS、記録に残るという点で指定避難所

等における広報、ボスター等の掲示による広報、ちらし、広報誌等印刷物による広報、

広範囲という点ではテレビ、ラジオ・新聞等の報道機関の協力による広報が適してい

る。また高齢者等に向け、自治会、自主防災組織等を通した広報も必要と思われる。

3)復旧・復興期

復旧・復興期は、災害廃棄物について緊急性の高い広報が落ち着き、情報量が少な

くなっている時期と考えられるため、継続して、災害廃棄物処理の進捗や復旧・復興

に向けた作業の状況を周知することが必要である。媒体としては、広範囲に伝達が可

能であり、情報が記録に残る媒体が適している。広範囲かつ記録に残るという点で市

ウェブサイト、SNS、記録に残るという点でポスター等の掲示による広報、ちらし、広

報誌等印刷物による広報、広範囲という点ではテレビ、ラジオ・新聞等の報道機関の

協力による広報が適している。

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表 5.3.3 災害廃棄物の広報に適した情報伝達手段

広報媒体

初動期 応急期 復興期

●重視すべき主な

特徴

・即時性

・広範囲

・労力が少ない

・端末不要

●事例より

●重視すべき主な

特徴

・広範囲

・情報が残る

・端末不要

●事例より

●重視すべき主な

特徴

・広範囲

・情報が残る

・端末不要

●事例より

・防災行政無線、広報車、ハンド

マイク等による広報○

・指定避難所等における広報 ○

・自治会、自主防災組織等を通し

た広報○

・ポスター等の掲示による広報 ○ ○

・ちらし、広報誌等印刷物による

広報○ ○

・航空機等による広報

・テレビ、ラジオ・新聞等の報道機

関の協力による広報○ ○

・ケーブルテレビ

・市ウェブサイト、SNS、アプリ ○ ○ ○

・L アラート

・緊急速報メール

出典:「災害情報伝達手段の比較」(総務省消防庁)

(https://www.fdma.go.jp/singi_kento/kento/items/kento154_27_sanko4.pdf)、「東大阪市地域

防災計画」、(平成 30 年、東大阪市)に一部加筆

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5.3.2 災害廃棄物処理の広報内容及び情報伝達手段(平時)

災害時の混合ごみや便乗ごみの発生を抑制するためには、平時から廃棄物の分別や便乗

ごみの排出禁止等に関する周知・啓発等を継続的に行うことが重要である。

平時における広報内容及び広報手段の取組み内容例を整理した。

①平時における広報事例

表 5.3.4 に平時における広報事例を示す。

堺市では、災害廃棄物とは何か、災害ごみを処理するまでの流れ、災害ごみを出すと

きにお願いしたいこと、災害ごみをださないために日頃から気をつけることについて記

載している。横浜市では、災害時のごみと資源の分け方・出し方ついて記載している。

八王子市では、災害廃棄物とは何か、ごみの収集と持込み方法、平時からの備えについ

て記載している。

泉南清掃事務組合では、災害時のごみ受入れについて、危険防止のため、ごみ搬入が

不可となる場合あることについて記載している。

これらの事例では、発災時に混乱を起こさないように、災害廃棄物が通常とは異なる

点(ごみとは、品物及び分別方法、処理までの流れ)について事前の周知を目的として

いる。また、分別について平時から周知を行うことで、搬入時の確認の労力を小さくす

ることが可能であり、円滑な搬入が可能となると考えられる。また、受入不可の廃棄物

の混入が少なくなることで、施設に対する不可を減らすことができると考えられる。

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表 5.3.4 平時における広報事例

自治体 広報項目 広報概要 広報手段

堺市

・災害廃棄物とは

・災害がれき

壊れた家から発生した木くずや壊れたコン

クリート、金属くず

・災害ごみ

各家庭や避難所での生活で出てくるごみや、

壊れた家具などの粗大ごみ

・パンフ

レット

・災害ごみを処理す

るまでの流れ

・3 種類の仮置き場を設置

市民仮置場、一時仮置場、二次仮置場

・災害ごみを出すと

きにお願いしたい

こと

・家庭からの災害ごみ

災害発生後、3日以内に収集再開予定、それ

までは家の中で保管を、どうしても急いで捨

てる必要がある壊れた家具などは、道路に置

かずに市民仮置場へ

・避難所からの災害ごみ

避難所ごとに、決められた場所に分別して捨

てる、共同で生活のため、腐って臭いがでる

ものなどは、臭いがもれないように

・発災時こそ、しっかり分別を

・災害ごみをださな

いために日頃から

気をつけること

・家具を固定する、いらないものは捨てておく

横浜市

・災害時のごみと資

源の分け方・出し

・生活ごみ、片付けごみの定義

・生活ごみの分け方は通常通り

・片付けごみの出し方は通常の集積場所とは

別、収集は別途広報する

・パンフ

レット

八王子市

・災害廃棄物とは

・災害廃棄物とは

災害時には大量のがれきや家具、家電などが

一斉に発生、排出時の分別が重要、災害廃棄

物と生活ごみの分別にご協力を・市ホーム

ページ・ごみの収集と持込

み方法

・公園や道路上には投棄禁止

・ごみは指定した場所へ排出

・一時仮置場へ持込

・平時からの備え・不要なものは処分しておく

・家具は固定し転倒しないようにする

泉南清掃

事務組合

・災害時のごみ受入

・台風などによる災害発生時に、危険防止のた

め、ごみ搬入ができない場合がある

・一部事務

組 合 ホ

ー ム ペ

ージ

出典:「~もしものときのごみの手引き~災害廃棄物処理ハンドブック」(平成 29 年 3 月、堺市)、「ごみ

と資源物の分け方・出し方」(令和元年 4 月、横浜市)、「災害時のごみの排出、分別の心構え」(平

成 30 年 11 月、八王子市)、「災害時のごみ受入れについて」(泉南清掃事務組合)

(https://www.sennanseisou.jp/news/%E7%81%BD%E5%AE%B3%E6%99%82%E3%81%AE%E3%81%94%E3%81%

BF%E5%8F%97%E5%85%A5%E3%82%8C%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/)をもとに作成

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②平時における広報内容及び情報伝達手段

1)平時の広報内容

災害時においては、災害廃棄物と生活ごみ等の分別方法・持込みに対する住民の混

乱が想定されるため、そうした通常と異なる方法等に対する理解を平時から促してお

くことが重要である。表 5.3.5 に平時における広報項目を示す。

広報項目は、災害時特有の項目である、災害廃棄物の定義、分別方法、罹災証明書

の申請等の事項が必要である。災害時、搬入を円滑に行うため、分別方法及び搬入手

続きについて、日頃から周知しておくことが重要である。

表 5.3.5 平時における広報項目

広報項目 広報の概要 広報手段

災害ごみとは ・生活ごみ、災害ごみ、避難所ごみとは

・パンフレット

・市ホームページ

・ちらし

・広報誌

・アプリ

災害ごみを搬入する際の

分別・分別方法、受入不可の廃棄物

災害時のごみの受入れ・災害時には、施設の被災により受入がで

きない場合がある

罹災証明書の申請場所・処理施設などの持込時には罹災証明書が

必要、申請場所、方法など

問合せ窓口 ・施設の問い合わせ窓口

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2)平時の広報手段

表 5.3.6 に平時における広報手段を示す。

広報手段は、東大阪都市清掃施設組合では、ホームページ、ちらし、広報誌、アプ

リが適していると考えられる。ホームページについては東大阪都市清掃施設組合のホ

ームページに記載が可能である。また広報誌、アプリについては東大阪市または大東

市のものに情報を追記することができれば比較的容易に広報が可能である。ちらしに

ついては、比較的労力及びコストをかけずに作成可能と考えられる。

表 5.3.6 平時における広報手段

広報手

段広報の方法

東大阪都市清掃施設組合の

実施可能性・留意点

ホ ー ム

ページ

・ホームページのごみの関連に平時から災害廃

棄物処理に係る内容を整理○:施設のホームページに記載

パ ン フ

レット

・災害廃棄物に特化したパンフレットを作成

・家庭ごみの収集カレンダー等を示したパンフ

レットに、災害廃棄物の記事を追記

・役所等の設置、ホームページに PDF 掲載、転

入者の窓口で配布 などにより広報、

△:新規作成の場合、コストが

かかる

ちらし

・災害廃棄物の分別・収集方法等を記載したち

らしを A3 判両面 2 ページ程度で作成

・配布方法はパンフレットと同様

○:比較的安価で作成可能

広報紙

・全国で災害廃棄物が発生した災害ののち、広

報紙において、災害廃棄物の分別・収集方法

等を記載

○:東大阪市等の広報誌に記載

災害発生後、速やかに掲載で

きるように事前に文案作成

アプリ

・自治体が独自にアプリを開発している場合、

防災などの枠組みを追加し、災害廃棄物の分

別・収集方法等を記載

・既存のアプリを利用

○:東大阪市、大東市において分

別アプリを導入している

独自のアプリを使用する場

合、アプリの制作等が必要

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5.3.3 災害廃棄物処理の広報内容及び情報伝達手段整備の課題

東大阪都市清掃施設組合における広報内容及び情報伝達手段整備に係る課題を表 5.3.7

に示す。

情報伝達手段について、東大阪都市清掃施設組合の災害廃棄物処理に係る広報について

は定められた媒体がないため、一般的な広報媒体を勘案するに当たり、東大阪市の地域防

災計画に定める媒体について検討を行った。広報に当たり、東大阪市との協同が必要な媒

体については、事前の調整が必要と考えられる。

広報内容について、災害廃棄物処理に係る広報については、定められた内容がない。検

討結果に基づき、東大阪都市清掃施設組合の状況に左右される各種時間や場所等の項目を

定め、文案を事前に定めておくことが必要である。

表 5.3.7 広報内容及び情報伝達手段整備に係る課題

課題 対応

情報伝達手段の

使用に係る事前

調整

・検討した情報伝達手段について、災害時における使用に向けた東大

阪市との事前調整

広報内容の準備

・文案の準備

・検討結果を踏まえ、東大阪都市清掃施設組合の状況に左右される項

目(受付時間、場所等)を定めておく