3 fpdを用いた全脊椎長尺撮影の検討fpd dr-id 600pu(fuji film) fcr ip long view...

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学術大会 埼玉放射線・Vol.63 No.2 2015 簿154 (57) 1 .背景 現在、当院の全脊椎撮影は長尺 CR を使用して 撮影を行っている。 今年度の FUJI FILM 社製画像処理ユニット、 アプリケーションのバージョンアップにより半切 FPD を使用して長尺撮影が可能になった。 2 .目的 長尺 CR を使用した検査では画像の読み取りに 時間を要し、検査時間が長くなる傾向にあった。 FPD は読み取りに時間を要さず、検査時間の 短縮が期待される。そこで、FPD による全脊椎 撮影の導入に向けて検討を行った。 3 .使用機器 FPD DR-ID 600PU(FUJI FILM) FCR IP LONG VIEW CASSETTE (FUJI FILM) X 線発生装置(SHIMADZU) 画像処理ユニット DR-ID 300CL (FUJI FILM) 線量計 Unfors Xi(Unfors) タフウォーターファントム(東京科学) Image J 4 .実験方法 方法 1- ① FPD 使用時の実験配置 ・遮蔽板で照射野の下半分を遮蔽する ・FPD のみを上に動かし、FPD 両下端に十字の マーカーが入るように合わせる ・照射野の縦の大きさを絞りで適切に絞って 2 回 目の撮影をする 方法 1- ② 撮影時間測定 方法 1- ① FPD 撮影の実験配置、及び当院 CR 使用時の撮影手順に基づき、撮影時間の測定を 行った。 撮影準備時間、ポジショニング時間、読み出し 時間、画像処理時間について当院の診療放射線技 師 10 名を対象とし測定した。 読み出し時間については 2 連、3 連の CR で画 像が出力されるまでの時間とした。画像処理時間 については FPD 使用時にマーカーを用いての手 動合成の時間を測定した。 方法 2 当院で使用している全脊椎長尺撮影の条件をも とに、FPD で撮影した際、同等の画質となる線 量について NNPS を用いて検討した。 タフウォーターファントムを CR、FPD の前に 設置し撮影した。 撮影条件 管電圧:80kV 撮影距離:2m mAs:C R 12、FPD 12、6.3、4、2.2、1.1 得られた画像および入出力特性から求めたグラ ジエントから image J を使用し、NNPS を算出 した。 5 .結果 5-1 撮影時間測定 FPD を使用した際、撮影準備、ポジショニン グの時間は増加したが、CR の画像の読み出し時 間より画像合成の時間が短いため、2 連のカセッ テでおよそ 40 秒、3 連のカセッテでは約 1 分 40 秒、総時間が短縮した。 5-2 撮影条件の検討 CR と FPD を使用した場合における NNPS の 比較より、CR12mAs と FPD2.2mAs でほぼ同等 の NNPS となることが分かった。 6 .考察 FPD を使用することで撮影時間が短縮された ため、画像を提供するまでの時間を短縮すること が出来ると考えられる。 2 回撮影による被験者の体動が予想され、位置 のズレの可能性や検査者の主観的要因も大きいこ とから、臨床での導入にはさらなる検討が必要で あると考えられる。 条件設定のため、NNPS 以外の物理、視覚評価 を含めた検討が必要になると考えられる。 7 .結語 FPD を使用した長尺撮影の撮影時間は CR を 使用した場合に比べ、短縮された。 FPD を使用することで大幅に被ばく線量を低 減できると考えられる。 今回の検討で体動や主観的要因が問題とされ た。今後はアプリケーションを用いた自動合成に ついても検討すると共に 撮影条件についても検 討したい。 3 FPD を用いた全脊椎長尺撮影の検討 AMG 上尾中央総合病院 ○井上 直美 小川 智久 小島 久実 吉澤 俊佑 吉野 和広 鹿又 憲仁 吉井 章

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Page 1: 3 FPDを用いた全脊椎長尺撮影の検討fpd dr-id 600pu(fuji film) fcr ip long view cassette (fuji film) x線発生装置(shimadzu) 画像処理ユニットdr-id

学 術 大 会埼玉放射線・Vol.63 No.2 2015

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1 .背景 現在、当院の全脊椎撮影は長尺CRを使用して撮影を行っている。 今年度の FUJI FILM 社製画像処理ユニット、アプリケーションのバージョンアップにより半切FPDを使用して長尺撮影が可能になった。2 .目的 長尺CRを使用した検査では画像の読み取りに時間を要し、検査時間が長くなる傾向にあった。 FPDは読み取りに時間を要さず、検査時間の短縮が期待される。そこで、FPDによる全脊椎撮影の導入に向けて検討を行った。3 .使用機器FPD DR-ID 600PU(FUJI FILM)FCR IP LONG VIEW CASSETTE (FUJI FILM)X線発生装置(SHIMADZU)画像処理ユニットDR-ID 300CL (FUJI FILM)線量計 Unfors Xi(Unfors)タフウォーターファントム(東京科学)Image J4 .実験方法方法 1- ① FPD使用時の実験配置・遮蔽板で照射野の下半分を遮蔽する・FPDのみを上に動かし、FPD両下端に十字のマーカーが入るように合わせる・照射野の縦の大きさを絞りで適切に絞って 2回目の撮影をする方法 1- ② 撮影時間測定 方法 1- ① FPD 撮影の実験配置、及び当院 CR使用時の撮影手順に基づき、撮影時間の測定を行った。 撮影準備時間、ポジショニング時間、読み出し時間、画像処理時間について当院の診療放射線技師 10 名を対象とし測定した。 読み出し時間については 2連、3連の CRで画像が出力されるまでの時間とした。画像処理時間については FPD使用時にマーカーを用いての手動合成の時間を測定した。

方法 2 当院で使用している全脊椎長尺撮影の条件をもとに、FPDで撮影した際、同等の画質となる線量についてNNPS を用いて検討した。 タフウォーターファントムをCR、FPDの前に設置し撮影した。撮影条件 管電圧:80kV 撮影距離:2mmAs:C R 12、FPD 12、6.3、4、2.2、1.1 得られた画像および入出力特性から求めたグラジエントから image J を使用し、NNPS を算出した。5 .結果5-1 撮影時間測定 FPDを使用した際、撮影準備、ポジショニングの時間は増加したが、CRの画像の読み出し時間より画像合成の時間が短いため、2連のカセッテでおよそ 40 秒、3 連のカセッテでは約 1分 40秒、総時間が短縮した。5-2 撮影条件の検討 CRと FPD を使用した場合におけるNNPS の比較より、CR12mAs と FPD2.2mAs でほぼ同等のNNPS となることが分かった。6 .考察 FPDを使用することで撮影時間が短縮されたため、画像を提供するまでの時間を短縮することが出来ると考えられる。 2回撮影による被験者の体動が予想され、位置のズレの可能性や検査者の主観的要因も大きいことから、臨床での導入にはさらなる検討が必要であると考えられる。 条件設定のため、NNPS 以外の物理、視覚評価を含めた検討が必要になると考えられる。7 .結語 FPD を使用した長尺撮影の撮影時間は CRを使用した場合に比べ、短縮された。 FPDを使用することで大幅に被ばく線量を低減できると考えられる。 今回の検討で体動や主観的要因が問題とされた。今後はアプリケーションを用いた自動合成についても検討すると共に 撮影条件についても検討したい。

33 FPDを用いた全脊椎長尺撮影の検討

AMG 上尾中央総合病院○井上 直美 小川 智久 小島 久実 吉澤 俊佑

吉野 和広 鹿又 憲仁 吉井 章