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経済産業省委託調査 平成27年度 起業・ベンチャー支援に関する調査 起業家精神に関する調査 報 告 書 平成 28 年 3 月 株式会社野村総合研究所

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経済産業省委託調査

平成27年度

起業・ベンチャー支援に関する調査

起業家精神に関する調査

報 告 書

平成 28年 3月

株式会社野村総合研究所

まえがき

企業に寿命がある以上、新しい企業が生まれなければ、経済活動の担い手である企業数

は減少する。また、産業にも栄枯盛衰があり、成長分野の一定割合が新規企業によって担

われるとするならば、創業が少ないことは成長分野の担い手が不足することにつながる。

このような場合、仮に豊富な事業機会があっても、その実現が危ぶまれるのである。

しかし、わが国の起業活動は、世界各国と比較して高水準にあるとはいえず、起業家精神の

高揚が重要な課題となっている。

本調査である、グローバル・アントルプレナーシップ・モニター(Global Entrepreneurship

Monitor:以下、GEM)は、起業活動が国家経済に及ぼす影響について、各国家のデータを用

いて実証研究を行い、各国の政策担当者に重要な政策方針を提供している。GEM調査は、

1999年に日本を含めた10カ国からスタートし、2015年には62カ国(ただし、そのうちトルコにつ

いては調査結果の提出が遅れたため、今回報告書にはデータが反映されていない)の国際比較研究へと拡

大した。

GEM の主要な研究目的は、ベンチャー企業の成長プロセスを解明し、起業活動を活発にする

要因を理解し、その上で国家の経済成長や競争力、雇用などへの影響を定量的に測定すること

にある。最終的には、国家経済の活性化につなげるための政策提言を目的としている。具体的

には、起業活動の水準は、国家間でどのくらい違うのか。どのような政策や方針が、国家の起

業活動の水準を高めるのか。起業活動と経済成長にはどのような関係があるのか。等を研究課

題としている。

このような課題を明らかにするために、GEM は、①一般成人調査 (Adult Population Survey:

APS)と、②専門家調査(National Expert Survey: NES)の2種類の調査を実施しているが、本報

告書は APS によって得られた結果を中心にまとめ、今年度は NES で得られた結果も簡単に報

告することにした。

2015 年調査においては、昨年と比べてわが国の起業活動はやや持ち直した。本年度は、定例

の報告の他に、先に述べた NES 調査を紹介し、そこではわが国の起業活動を取り巻く環境の国

際比較を行っている。そこから明らかになったことは、市場の透明性や物的な経済活動基盤な

どにおいてかなり恵まれた状況にある一方、学校における起業家教育の体制や文化・社会規範

の面では起業活動によって好ましくない状態になっていることである。APS 調査とあわせて

NES 調査についても目を通していただきたい。

また、本年度からはパネルデータを使った WEB 調査および携帯電話の所有者に対する調査

を実施した。従来は、固定電話を所有している世帯のみを調査対象の母集団としていたが、本

年度は全体の約半分に相当する 1,000 件程度を WEB 調査と携帯電話調査を通して集めた。

なお、本報告書の作成にあたっては、調査票の翻訳・作成段階から GEM 日本チーム代表で

ある武蔵大学の高橋徳行教授の指導及び助言を受けている。また、一般にグローバルレポート

と 呼 ば れ て い る 2015 年 調 査 全 体 の 結 果 に つ い て は 、 GEM の ホ ー ム ペ ー ジ

(http://www.gemconsortium.org/)からダウンロードできるので、こちらも参考にしてほしい

1。

最後になったが、本調査の電話アンケート回答協力者の皆様(2027 人)、そして専門家アン

ケート調査に協力いただいた 36 名の専門家の皆様にお礼を申し上げたい。本調査は、数多くの

匿名の協力者なしには実現し得ないものである。

平成 28 年 3 月

株式会社野村総合研究所

1 ただし、ホームページからダウンロードできる 2015 年度のグローバルレポートの APS 調査データを使った分

析には日本が含まれていない。その理由は諸事情によって、グローバルレポートの作成までに APS データを提

出できなかったからである。NES 調査についてはグローバルレポートに含まれている

目 次

Ⅰ はじめに ..................................................... 1

1. 分析のフレームワーク ....................................... 1

2. GEMデータの概要 ............................................ 1

3. 総合起業活動指数(TEA)とは .................................. 3

Ⅱ 起業活動の状況(Activity;行動) ........................ 5

1. TEAと国家の経済力 ......................................... 5

2. 事業機会型起業家と生計確立型起業家 ........................... 9

3. 男女別の起業活動の状況 ...................................... 11

4. 将来の起業計画 .............................................. 14

5. 休業・廃業 .................................................. 16

Ⅲ 起業活動を取り巻く環境(Attitude;態度) ..................... 18

1. 起業活動の社会への浸透 ...................................... 18

2. 失敗に対する怖れ ............................................ 20

3. 事業機会の認識 .............................................. 22

4. 知識・能力・経験 ............................................ 24

5. 起業活動に対する評価 ........................................ 26

6. ビジネスエンジェル(個人投資家) .............................. 31

Ⅳ 専門家調査(NES)から見た起業活動を取り巻く環境 ................ 33

1. 専門家調査(NES)の概要 ..................................... 33

2. 専門家調査(NES)の主な結果 ................................... 34

Ⅴ まとめ .................................................... 39

付属資料(Ⅰ) 一般調査のデータ .............................. Ⅰ-1

付属資料(Ⅱ) 2015年度一般調査の質問票(日本語版) ......... Ⅱ-1

付属資料(Ⅲ) 2015年度専門家調査の質問票(英語版) ....... Ⅲ-1

付属資料(Ⅳ) 日本における GEM調査の集計表 ................. Ⅳ-1

1

第 1 章 はじめに

1.分析のフレームワーク

GEM の調査目的は起業活動と国家の経済成長との関係をとらえ、起業活動を活発にする

ような有効な政策を打ち出すためのフレームワークを作ることである。図表 1-1 は GEM の

理論モデルを視覚化したものである。

これまで国家経済や産業の成長を説明するフレームワークとして、産業組織論の市場構

造→企業活動→経済成果という因果関係モデルが用いられてきた。このフレームワークに

よると、国家を取り巻く一般的な環境(制度や規則、金融市場の効率性、労働市場の流動性、

国内市場の開放度など)が、企業や業界の活動(研究開発や広告宣伝の程度など)に影響し、

その結果として国家の経済成長(国内総生産や雇用など)の水準が決定される。しかし、こ

のフレームワークの重大な欠点は、分析が静的なものに限定されることにある。既存の企業

のどのような活動が、経済成果にどの程度影響するのかを理解することはできる。しかし経

済の成長は、時間の経過や活動のプロセスを無視した現象面だけでは説明できない。経済や

事業を取り巻く環境の変化に反応し、既存の企業が新しい事業に取り組み、なおかつ起業家

が新しい機会を求めて新企業を設立し、ときには環境変化に取り残された企業が消えてゆ

くプロセスやダイナミズムも国家の経済成長に大きく影響する。

特に GEM が注目するのはモデル中の「起業活動」の部分である。この起業活動は、われ

われが3つの A と呼ぶ、「態度(Attitude)」「行動(Activity)」「意欲(Aspiration)」によっ

て構成される。「態度」とは、新しい事業機会が訪れると思っているかどうかや起業家に対

する評価のことをいう。それ以外には、起業リスクの感じ方とか、起業家としての知識・能

力・経験に関連するものがある。「行動」とは、起業プロセスのダイナミズムに注目するも

のである。GEM では起業計画、起業準備、実際の起業、事業継続、休業・廃業など、企業

のライフサイクルごとの状況の把握に努めている。そして最後の「意欲」とは、起業活動の

目標や野心である。成長、海外展開、新製品の開発、社会的価値の創出などさまざまなもの

が考えられる。そしてこのような起業活動が、国家の経済成長やイノベーションに影響する。

図表 1-1 の左端の歴史的・文化的・社会的背景についても、起業分野の専門家に対するアン

ケートを通じて調査している。

本報告書では 3 つの A のうち、その起業段階での問題に焦点を当てるため、「態度」と

「行動」を中心に分析した。

2

図表 1-1 GEMの概念モデル

社会的、文化的、政治的背景

基本的要件

- 制度

- 社会的経済基盤

- マクロ経済の安定

- 健康・初等教育 既存の企業

社会経済的な

発展

(雇用、革新、

社会的価値)

効率向上要因

- 高等教育・訓練

- 財市場の効率性

- 労働市場の効率性

- 金融市場の洗練性

- 技術受容度

- 市場規模

革新と起業活動

- 起業資金の調達

- 政府方針

- 政府の支援プログラム

- 起業家教育

- 研究開発成果の移転

- 国内市場の開放度

- 起業活動に関する物理的

な基盤

- 起業活動に関するビジネ

ス・法律の基盤

- 文化的・社会的規範

態度(Attitude)事業機会認識、知識・能力・経験、

失敗の怖れ、起業活動の地位

意欲(Aspiration)

成長、革新、海外展開の志向、

社会的価値の創出

活動(Activity)

創業・存続・撤退

起業活動

従業員の

起業活動

3

2.GEM データの概要

GEM では、18 歳から 64 歳までの「成人」を対象とした「一般調査」(Adult Population

Survey: APS)を実施している(調査票は付属資料Ⅱを参照)。この調査は、起業活動の程度、

事業機会の認識、起業に必要な知識・能力・経験の有無に加えて、起業家に対する社会的評

価など、起業活動に対する平均的な国民の意識も理解できるように設計されている。また、

回答者の性別、年齢、所得、教育歴などの属性も尋ねている。

2015 年の GEM 調査に参加したのは、日本を含めて 61 カ国である(各国の調査対象者

数は付表1を参照)。ただし、日本は、今年度に限っては、WEB で公開されているグローバ

ルレポートには掲載されていない。これは、APS 調査の実施時期が例年に比べて遅れたた

めである。

日本におけるデータ収集は 2014 年 12 月~2015 年 1 月にかけて行った。調査は 2,027 人

に対して実施、その内訳は男性 995 人、女性 1,032 人である。また年齢層については、18

~24 歳 164 人(8.2%)、25~34 歳 760 人(38.0%)、35~44 歳 330 人(16.5%)、45~54 歳 390

人(19.5%)、55~64 才 358 人(17.9%)である。

昨年調査と比べた時の大きな変化は、若年層のサンプルを数多く取得できたことである。

これは、今年度からは、約半分のサンプルについては、携帯電話とパネルデータを利用した

WEB 調査を取り入れたことによる。ただし、このことによって、総合起業活動指数(TEA)

などの活動指数や、起業態度に関する指数に大きな変化が表れなかった。

図表 1-2 年齢層別サンプル数の比較(2015 年と 2014 年)

年齢層 2015 年調査サンプル数 2014 年調査サンプル数

18-24 164 130

25-34 760 221

35-44 330 475

45-54 390 549

55-64 358 629

3.総合起業活動指数(TEA)とは

GEMの重要な目的の一つは、各国の起業活動の水準を比較するための信頼できる指標を

作成することである。そこで、各国の起業活動の活発さをあらわす指標として「総合起業

活動指数(Total Early-Stage Entrepreneurial Activity: TEA)」という尺度を開発した。こ

の尺度は、「現在、1 人または複数で、何らかの自営業、物品の販売業、サービス業等を

含む新しいビジネスをはじめようとしていますか」、「現在、1 人または複数で、雇用主

のために通常の仕事の一環として、新しいビジネスや新しいベンチャーをはじめようとし

ていますか」、そして「現在、自営業、物品の販売業、サービス業等の会社のオーナーま

4

たは共同経営者の1 人として経営に関与していますか」などの質問に基づき作成されてい

る。

GEMでは、下記のように定義する「誕生期」と「乳幼児期」の合計を各国の起業活動者

としており、これらの起業家が成人人口に占める割合(%)がTEAである(図表1-3)。

「誕生期」は、独立・社内を問わず、新しいビジネスを始めるための準備を行っており、

かつまだ給与を受け取っていないまたは受け取っている場合その期間が3カ月未満である

人、「乳幼児期」はすでに会社を所有している経営者で、当該事業からの報酬を受け取っ

ている期間が3カ月以上3.5年未満の人と定義されている。

図表 1-3 起業活動の指標

潜在的な起業家:事業機会、知識・能力・経験

誕生期:事業の開設準備段階を含む

乳幼児期:(3.5年まで)

既存企業の経営者(3.5年以上)

計画段階 起業 継続

起業活動者

5

第 2 章 起業活動の状況

1.TEA と国家の経済力

GEM の研究によると、経済発展の段階が低い経済では企業への就職機会が少ないために

起業する傾向が強いが(生計確立型起業)、経済発展に伴い起業活動が低下する。これは、

開発が進むにつれて企業による雇用創出が増える結果と考えられる。そしてさらに経済が

発展すると生活のためというよりも事業機会を活かすために起業する傾向が強くなる(事

業機会型起業)。経済の発展段階によって起業活動の質は異なる。

そこで、分析に当たっては、経済の発展段階を勘案するために、要素主導型経済(Factor-

Driven Economies:9 カ国)、効率主導型経済(Efficiency-Driven Economies:27 カ国)、

イノベーション主導型経済(Innovation-Driven Economies:25 カ国・地域)の 3 つの経

済圏に分類した2(図表 2-1)。

図表 2-2 は調査対象国の総合起業活動指数(以下、TEA)をみたものである。日本の TEA

は 4.8%となっており、昨年の 3.8%に比べて上昇した。61 カ国中で、日本よりも低い国

は、マレーシア(2.9%)、ブリガリア(3.5%)、モロッコ(4.4%)、そしてドイツ(4.7%)

の 4 か国である。

図表 2-3 は経済圏ごとに TEA をプロットし直したものである。経済圏ごとの TEA の平

均値は、要素主導型経済 21.4%(2014 年 23.3%、2013 年 21.1%、2012 年 23.7%)、効率

主導型経済 14.7%(2014 年 13.0%、2013 年 14.4%、2012 年 13.1%)、イノベーション主

導型経済 8.3%(2014 年 8.5%、2013 年 7.9%、2012 年 7.1%)であり、経済発展の段階が

低い方が起業活動の水準は高い。また、調査対象国が同一ではないことに留意すべきだが、

要素型主導経済と効率主導型経済では 2013 年と同程度の水準となり、イノベーション主導

型経済では 2014 年に比べて微減となった。

また、イノベーション主導型経済の 25 カ国のなかではカナダが 14.7%と最も高く、米国

は、今回は 11.9%と上から4番目の高さであった。

図表 2-4 は横軸に各国の 1 人あたり GDP(経済発展の段階を示す)を、縦軸に TEA を

プロットして描いたものである。近似曲線からは、先に指摘のとおり、TEA は経済発展の

低い段階では高いが、経済が発展するに伴い低下することが読み取れる。また、日本はこの

近似曲線のかなり下にある。これは日本の TEA は1人あたり GDP の割には低いことを意

味する。経済発展段階以外の要因が日本の TEA を引き下げている可能性が示唆される。

図表 2-5 は米国、日本、ドイツ、イギリス、フランス、イタリア、中国の7カ国(以下「主

要7カ国」)について 2001 年から時系列で比較したものである(ドイツは 2007 年、イタリ

アは 2011 年、中国は 2001 年、2004 年、2008 年、フランスは 2014 年の調査に参加して

いない)。今回の特徴は、米国、イギリス、そして中国という TEA の高い 3 か国が低下し

2 この分類は、Schwab, Klaus, ed. (2013) The World Competitiveness Report 2013-2014, Geneva, World Economic

Forum による。なお、同レポートにおいて要素主導型から効率主導型、効率主導型からイノベーション主

導型への移行段階にあるとされている国々については、GEM の Global Entrepreneurship Monitor 2015 Global Reportと同様、それぞれ要素主導型、効率主導型に分類している。

6

たため、主要7カ国の TEA の差が縮小したことである。

図表 2-1 調査参加国

要素主導型経済

(9 か国)

効率主導型経済

(27 か国)

イノベーション主導型

経済(25 か国)

中南米・カリブ(12か国) アルゼンチン、バルバド

ス、チリ、コロンビア、

エクアドル、グアテマ

ラ、メキシコ、ペルー、

ウルグアイ

パナマ、ブラジル

プエルトリコ

中近東・アフリカ

(11 か国)

ボツワナ、ブルキナファ

ソ、カメルーン、イラン、

セネガル

エジプト、南アフリカ、

モロッコ、チュニジア、

レバノン

イスラエル

アジア・オセアニア

(12 か国)

インド、フィリピン、ベ

トナム、カザフスタン

中国、インドネシア、マ

レーシア、タイ

オーストラリア、日本、

台湾、韓国

EU(22 か国) クロアチア、ハンガリ

ー、ポーランド、ルーマ

ニア、ブリガリア、ラト

ビア、マケドニア

ベルギー、エストニア、

フィンランド、ドイツ、

ギリシャ、アイルラン

ド、イタリア、ルクセン

ブルク、オランダ、ポル

トガル、スロヴェニア、

スロバキア、スペイン、

スウェーデン、イギリス

非EU(2 か国) ノルウェー、スイス

北米(2 か国) カナダ、米国

7

図表 2-2 各国の TEA

図表 2-3 経済圏別各国の TEA

0.00

5.00

10.00

15.00

20.00

25.00

30.00

35.00

40.00

45.00

マレーシア

ブルガリア

モロッコ

ドイツ

日本

イタリア

ノルウェー

スペイン

スロヴェニア

マケドニア

ベルギー

フィンランド

ギリシア

イギリス

スウェーデン

オランダ

台湾

スイス

エジプト

クロアチア

ハンガリー

プエルトリコ

南アフリカ

ポーランド

韓国

アイルランド

ポルトガル

スロバキア

チュニジア

ルクセンブルク

ルーマニア

インド

カザフスタン

イスラエル

米国

オーストラリア

パナマ

中国

イラン

エストニア

ベトナム

タイ

ラトビア

ウルグアイ

カナダ

フィリピン

インドネシア

グアテマラ

アルゼンチン

ブラジル

メキシコ

バルバドス

ペルー

コロンビア

カメルーン

チリ

ブルキナファソ

レバノン

ボツワナ

エクアドル

セネガル

0.00

5.00

10.00

15.00

20.00

25.00

30.00

35.00

40.00

45.00

インド

カザフスタン

イラン

ベトナム

フィリピン

カメルーン

ブルキナファソ

ボツワナ

セネガル

マレーシア

ブルガリア

モロッコ

マケドニア

エジプト

クロアチア

ハンガリー

南アフリカ

ポーランド

チュニジア

ルーマニア

パナマ

中国

タイ

ラトビア

ウルグアイ

インドネシア

グアテマラ

アルゼンチン

ブラジル

メキシコ

バルバドス

ペルー

コロンビア

チリ

レバノン

エクアドル

ドイツ

日本

イタリア

ノルウェー

スペイン

スロヴェニア

ベルギー

フィンランド

ギリシア

イギリス

スウェーデン

オランダ

台湾

スイス

プエルトリコ

韓国

アイルランド

ポルトガル

スロバキア

ルクセンブルク

イスラエル

米国

オーストラリア

エストニア

カナダ

要素主導型経済 効率主導型経済 イノベーション主導型経済

日本

日本

8

図表 2-4 TEA と 1 人あたり GDP の関係

注)縦軸は TEA,横軸は一人当たりの GDP(2014 年)を千 US ドル単位で示している。

図表 2-5 TEA の推移

y = -0.1297x + 16.145

0.00

5.00

10.00

15.00

20.00

25.00

30.00

35.00

40.00

45.00

0.00 20.00 40.00 60.00 80.00 100.00 120.00 140.00

2001

年2002

年2003

年2004

年2005

年2006

年2007

年2008

年2009

年2010

年2011

年2012

年2013

年2014

年2015

米国 11.07 10.51 11.94 11.33 12.44 10.03 9.61 10.76 7.96 7.59 12.34 12.84 12.73 13.81 11.88

フランス 5.72 3.20 1.63 6.03 5.35 4.39 3.17 5.64 4.35 5.83 5.73 5.17 4.57 5.34

イタリア 9.11 5.90 3.19 4.32 4.94 3.47 5.01 4.62 3.72 2.35 4.32 3.43 4.42 4.87

イギリス 6.49 5.37 6.36 6.25 6.22 5.77 5.53 5.91 5.74 6.42 7.29 8.98 7.14 10.66 6.93

ドイツ 6.28 5.16 5.21 4.47 5.39 4.21 3.77 4.10 4.17 5.62 5.34 4.98 5.27 4.70

日本 3.10 1.81 2.76 1.48 2.20 2.90 4.34 5.42 3.26 3.30 5.22 3.99 3.72 3.83 4.80

中国 12.30 11.60 13.70 15.70 16.40 18.80 14.40 24.01 12.83 14.02 15.53 12.84

0.00

5.00

10.00

15.00

20.00

25.00

30.00

日本

9

2.事業機会型起業家と生計確立型起業家

起業活動の動機は多様だが、GEM では事業機会を追求するために起業するタイプ(事業

機会型起業家)と起業以外に選択肢がなく、必要に迫られて起業するタイプ(生計確立型起

業家)に区分している3。調査回答者総数に占める事業機会型起業家、生計確立型起業家の

割合をそれぞれ事業機会型起業活動率、生計確立型起業活動率とし、生計確立型起業活動率

に対する事業機会型起業活動率の比率を図表 2-6 に経済圏別に表した。この数値が高い(低

い)ほど事業機会型起業家(生計確立型起業家)が相対的に多く、この値が1であれば事業

機会型起業家と生計確立型起業家が同数ということになる。

経済圏別の平均をみると、要素主導型経済では 2.5 倍(2014 年 2.6 倍、2013 年 2.9 倍、

2012 年 1.9 倍)、効率主導型経済では 2.8 倍(2014 年 3.3 倍、2013 年 3.0 倍、2012 年 3.2

倍)であり、イノベーション主導型経済の 4.9 倍(2014 年 5.9 倍、2013 年 5.9 倍、2012 年

5.5 倍)を下回る。要素主導型や効率主導型経済では、イノベーション主導型経済と比べて

相対的に生計確立型起業家が多い。ただ、今回はいずれの経済圏でも、この倍率は低下して

いる。

図表 2-7 は主要7カ国の推移を示したものである。日本については、主要7カ国の間で

は、中国を除くと最も低く、相対的に生計確立型起業家が多いことを示している。

図表 2-6 事業機会型 TEA/生計確立型 TEA(倍率)

3 「このビジネスの立ち上げに関わっているのは、ビジネスチャンスを生かすためですか。それとも仕事

に関してこれより良い選択肢がないからですか。」という質問に対して「ビジネスチャンスを生かすた

め」と回答したものを事業機会型起業家、「仕事に関してこれより良い選択肢がない」と回答したものを

生計確立型起業家とした。

0.00

1.00

2.00

3.00

4.00

5.00

6.00

7.00

8.00

9.00

10.00

ベトナム

ボツワナ

カメルーン

イラン

カザフスタン

ブルキナファソ

セネガル

フィリピン

インド

マケドニア

パナマ

グアテマラ

ブラジル

エジプト

クロアチア

中国

コロンビア

南アフリカ

ブルガリア

エクアドル

アルゼンチン

モロッコ

ポーランド

ルーマニア

レバノン

チリ

ペルー

ハンガリー

メキシコ

インドネシア

チュニジア

ウルグアイ

ラトビア

タイ

バルバドス

マレーシア

ベルギー

スロバキア

日本

プエルトリコ

スペイン

ポルトガル

韓国

スロヴェニア

イギリス

ギリシア

イタリア

アイルランド

ドイツ

フィンランド

オランダ

台湾

米国

カナダ

エストニア

イスラエル

オーストラリア

ノルウェー

スウェーデン

スイス

ルクセンブルク

要素主導型経済 効率主導型経済 イノベーション主導型経済

日本

10

図表 2-7 事業機会型 TEA/生計確立型 TEA(倍率)の推移

3. 男女別の起業活動の状況

図表 2-8 は女性の TEA に対する男性の TEA の比率(男性 TEA 比率)を表したものであ

る。この比率が 1 のときは男性と女性の起業家数が同じであることを、1 より小さいときは

女性の起業家が男性のそれを上回ることを示す。

昨年と同様、2015 年もほとんどの国の男性 TEA 比率は1を上回る。男性 TEA 比率が1

を下回っている国は、ベトナム(0.75 倍)、フィリピン(0.76 倍)(以上、要素主導型経

済)、タイ(0.86 倍)、マレーシア(0.95 倍)、ペルー(0.97 倍)、そしてインドネシア

(0.99 倍)(以上、効率主導型経済)の計 6 カ国である。イノベーション主導型経済で1

を下回っている国はない。また、1を下回った 6 カ国のうち 5 カ国は東アジア諸国の国々

である。

経済圏別にみると、要素主導型経済、効率主導型経済、そしてイノベーション主導型経済

になるにつれて、男性の起業活動のウエートが増えている。

図表 2-9 では、横軸に男性 TEA 比率、縦軸に国全体の(男女合計の)TEA をとり、両者

の関係をみている。この図表からは、男性 TEA 比率が低いほど、国・地域全体の TEA も

高いことが読み取れる。

図表 2-10 は先進国における男女別の TEA の推移を示したものである。ほぼすべての年

において女性の TEA は男性と比べて低く、その差が縮小するという傾向はみられない。こ

の点は他の先進国でも同様である。

2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年

米国 7.2 6.3 5.1 6.9 3.0 2.4 3.5 3.5 3.4 6.0 5.7

フランス 1.3 1.6 2.8 8.3 5.7 2.8 5.7 4.4 5.1 5.1

イタリア 5.0 3.4 5.0 5.5 5.5 6.5 4.6 4.0 5.8 4.0

イギリス 6.7 5.3 6.9 5.7 4.7 7.6 4.6 4.3 5.0 6.5 3.1

ドイツ 2.4 1.6 2.7 2.0 2.6 4.0 3.5 4.1 3.3 4.7

日本 4.2 5.5 1.9 3.2 2.3 1.7 3.0 3.6 2.8 4.1 2.7

中国 1.2 1.0 1.6 1.0 1.4 1.4 1.7 1.9 2.0 1.9

0.0

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0

6.0

7.0

8.0

9.0

11

図表 2-8 男性の TEA/女性の TEA

図表 2-9 国全体の TEA と男性 TEA 比率の関係

注)縦軸が男女合計の国全体の TEA であり、横軸が男性 TEA 比率を取っている。

0.00

0.50

1.00

1.50

2.00

2.50

3.00

3.50

ベトナム

フィリピン

セネガル

カメルーン

カザフスタン

ボツワナ

ブルキナファソ

インド

イラン

タイ

マレーシア

ペルー

インドネシア

エクアドル

ブラジル

パナマ

バルバドス

メキシコ

アルゼンチン

チリ

ブルガリア

レバノン

コロンビア

中国

グアテマラ

南アフリカ

クロアチア

ルーマニア

ハンガリー

ラトビア

ポーランド

モロッコ

ウルグアイ

マケドニア

チュニジア

エジプト

カナダ

ギリシア

スペイン

ルクセンブルク

韓国

プエルトリコ

ベルギー

オーストラリア

イスラエル

米国

エストニア

ポルトガル

ドイツ

スイス

イギリス

スウェーデン

ノルウェー

スロバキア

台湾

フィンランド

日本

アイルランド

イタリア

スロヴェニア

オランダ

要素主導型経済 効率主導型経済 イノベーション主導型経済

y = -7.663x + 25.652

0.00

5.00

10.00

15.00

20.00

25.00

30.00

35.00

40.00

45.00

0.00 0.50 1.00 1.50 2.00 2.50 3.00 3.50

日本

12

図表 2-10 性別 TEA の推移

注)緑字は男性 TEA、紫字は女性 TEA である。

4.将来の起業計画

GEMでは、現在の起業活動だけでなく、将来の計画についても尋ねている。図表2-11に

は「今後3年以内に、1 人または複数で、自営業・個人事業を含む、新しいビジネスを計

画している」成人人口の割合(起業計画率)が示されている。経済圏別にみると要素主導

型経済が平均43.3%(2014年43.2%、2013年46.5% 、2012年48.9%)、効率主導型経済が

28.7%(2014年25.2%、2013年 28.3%、2012年年29.0%)、イノベーション主導型経済が

13.9%(2014年14.8%、2013年14.4%、2012年12.7%)となっており、TEAと同様、経済発

展の段階の低い方が高い。

イノベーション主導型経済のなかで起業計画率が高かった国・地域は、台湾、イスラエ

ル、ルクセンブルクなどである。総じて、TEAが高い国では起業計画率も高い。

図表2-12は、将来の起業計画についての主要7カ国の推移である。日本の起業計画率

は、前回5%台に落ち込んだが、やや回復して6%台に戻った。ドイツは、2015年調査で

は、TEAは日本よりも下回ったものの、起業計画率では、日本を大幅に上回っている。

0.00

2.00

4.00

6.00

8.00

10.00

12.00

14.00

16.00

18.00

2001

2003

2005

2007

2009

2011

2013

2015

2002

2004

2006

2008

2010

年2012

年2014

2001

2003

2005

2007

2009

2011

2013

2015

2002

2004

2006

2008

2010

2012

2014

2001

2003

2005

2007

2009

2011

2013

2015

米国 フランス イギリス ドイツ 日本

男性

女性

13

図表 2-11 将来の起業計画

図表 2-12 将来の起業計画の推移

0.00

10.00

20.00

30.00

40.00

50.00

60.00

70.00

80.00

インド

カザフスタン

ベトナム

イラン

カメルーン

フィリピン

ブルキナファソ

ボツワナ

セネガル

ブルガリア

マレーシア

南アフリカ

パナマ

ハンガリー

メキシコ

タイ

クロアチア

ポーランド

ラトビア

ブラジル

中国

マケドニア

バルバドス

モロッコ

インドネシア

アルゼンチン

ルーマニア

ウルグアイ

チュニジア

エジプト

グアテマラ

ペルー

レバノン

エクアドル

コロンビア

チリ

スペイン

ノルウェー

日本

ドイツ

イギリス

スイス

イタリア

韓国

スロヴェニア

スウェーデン

ギリシア

オランダ

ベルギー

フィンランド

プエルトリコ

オーストラリア

米国

カナダ

アイルランド

ポルトガル

スロバキア

エストニア

ルクセンブルク

イスラエル

台湾

要素主導型経済 効率主導型経済 イノベーション主導型経済

2002

年2003

年2004

年2005

年2006

年2007

年2008

年2009

年2010

年2011

年2012

年2013

年2014

年2015

米国 15.27 15.49 13.68 16.37 13.49 14.35 12.39 10.68 10.36 15.77 16.54 16.64 16.23 17.14

フランス 4.20 6.27 14.38 12.98 14.84 16.54 15.17 17.95 15.97 19.76 18.92 13.73 16.00

イタリア 11.93 8.14 11.62 11.07 10.18 12.86 9.16 5.50 4.75 11.82 11.26 13.19 9.58

イギリス 6.30 7.77 9.53 9.00 7.82 7.44 7.07 6.09 6.88 10.37 11.46 7.60 8.92 9.42

ドイツ 7.39 8.79 6.76 7.34 6.70 6.23 7.18 7.83 7.60 8.89 8.90 8.28 9.16

日本 1.57 3.57 1.09 1.56 2.36 5.51 7.95 5.45 4.93 7.14 5.36 7.05 5.29 6.41

中国 34.30 34.70 28.50 31.80 37.20 26.40 30.10 43.36 21.71 16.62 20.24 23.84

0.00

5.00

10.00

15.00

20.00

25.00

30.00

35.00

40.00

45.00

50.00

日本

14

5. 休業・廃業

GEMでは、事業の休業・廃業についても調査している。図表2-13には「過去12カ月以

内に、所有、経営していた何らかの自営業、物品の販売業、サービス業を休業または廃業

しましたか」という質問を基に、休業または廃業したという成人人口の割合(休・廃業

率)を経済圏別に示した。

各経済圏の平均値は、要素主導型経済が5.7%と、効率主導型経済(3.3%)、イノベーシ

ョン主導型経済(1.8%)を大きく上回る。TEAと休・廃業率は正の相関を示しており、要

素主導型経済ではTEAが高く参入が活発な分、休業・廃業も多いといえる。また、経済が

発展しているほど、休・廃業率のばらつきが小さいという傾向も観察できる。

図表2-14の主要7カ国の推移をみると、中国の休・廃業率が2003年以降低下傾向にあっ

たが、今回調査ではやや上昇した。TEAと同様に、主要7カ国については、休業・廃業の

水準の差も縮小する傾向にある。日本は引き続き低い水準である。

図表 2-13 休業・廃業

0.00

2.00

4.00

6.00

8.00

10.00

12.00

14.00

インド

カザフスタン

ベトナム

イラン

ブルキナファソ

カメルーン

セネガル

フィリピン

ボツワナ

マレーシア

ブルガリア

クロアチア

パナマ

モロッコ

中国

マケドニア

ハンガリー

ポーランド

タイ

ラトビア

ルーマニア

インドネシア

グアテマラ

ウルグアイ

チュニジア

バルバドス

南アフリカ

アルゼンチン

レバノン

コロンビア

ブラジル

エジプト

メキシコ

チリ

エクアドル

ペルー

プエルトリコ

日本

ベルギー

スイス

スペイン

韓国

ノルウェー

スロヴェニア

ドイツ

エストニア

イタリア

台湾

フィンランド

イギリス

オランダ

スウェーデン

アイルランド

米国

ポルトガル

カナダ

オーストラリア

ルクセンブルク

ギリシア

スロバキア

イスラエル

要素主導型経済 効率主導型経済 イノベーション主導型経済

日本

15

図表 2-14 休業・廃業の推移

2002

年2003

年2004

年2005

年2006

年2007

年2008

年2009

年2010

年2011

年2012

年2013

年2014

年2015

米国 3.35 3.84 2.25 3.63 2.63 2.99 2.67 2.34 2.71 2.92 2.85 2.47 2.48 2.20

フランス 0.68 1.00 4.23 3.76 3.03 2.01 1.69 1.29 1.30 1.58 1.20 1.27 0.87

イタリア 2.08 1.33 2.22 1.63 1.32 1.22 1.15 0.74 1.07 1.62 1.41 1.60 1.39

イギリス 1.74 2.09 2.04 1.76 2.02 1.24 1.30 1.63 1.34 1.49 1.17 1.38 1.49 1.50

ドイツ 2.17 1.85 2.06 1.27 1.88 1.02 1.29 0.93 1.30 1.15 1.00 0.95 1.28

日本 0.89 0.91 0.78 0.46 1.16 2.00 0.58 1.03 1.07 0.59 0.61 1.15 0.62 0.92

中国 4.90 8.00 5.20 6.90 6.10 0.00 4.30 3.40 3.66 2.43 1.98 0.98 1.85

0.00

1.00

2.00

3.00

4.00

5.00

6.00

7.00

8.00

9.00

16

第3章 起業を取り巻く環境(態度と起業活動への評価)

1.起業活動の社会への浸透

起業活動が活発な国・地域か、そうでないかを探るための指標の一つとして、起業家や起

業家精神の社会への浸透度が考えられる。社会学の制度理論によると、起業家が社会的に認

知され、起業家というキャリアの選択や起業活動それ自体が正当化されていれば、それらの

存在が当然のことだと思われるようになり、結果として、起業活動が活発化する。

加えて、本質問項目は起業家ネットワークの存在についても参考になる。多くの研究が指

摘するように、起業のプロセスにおいて起業家を取り巻くネットワークが重要な役割を果

たす。GEM では起業家の社会への浸透やネットワークの存在、さらにロールモデルとして

の存在を知るために「過去 2 年間に、新しく事業を始めた人を個人的に知っていますか」と

いう質問をした。図表 3-1 は、新しく事業を始めた人を個人的に知っているとする成人人口

の割合(起業活動浸透(ロールモデル)指数)である。

経済圏別に起業活動浸透(ロールモデル)指数をみると、要素主導型経済の平均は 55.4%

(2014 年 49.6%、2013 年 56.6%、2012 年 56.4%)、効率主導型経済が 39.6%(2014 年

39.8%、2013 年 38.9%、2012 年 36.5%)、イノベーション主導型経済が 32.6%(2014 年

31.6%、2013 年 29.7%、2012 年 30.9%)となっており、経済発展が進んでいない経済圏

の方が高い。

イノベーション主導型経済のなかで最も高いのはイスラエル(56.4%)であり、次にフィ

ンランド(45.2%)、エストニア(39.3%)、スウェーデン(38.3%)が続く。他方、最も

低いのはベルギー(17.2%)であり、日本は 18.6%とイノベーション主導型経済の中では下

から 2 番目である。この設問には、「個人的に知っているか」という条件が付いており、メ

ディアを通して知っているだけではイエスという回答にならないことに留意したい。

ちなみに、TEA と起業活動浸透(ロールモデル)指数との相関係数(国レベルのデータ

によるもの。個票ベースではない)は、2015 年調査(今回調査)では 0.578 であり、統計

的にも 1%水準で有意であった。これは、身近に起業家がいるという人の割合が高い国・地

域ほど起業活動が活発であるという結果であり、上記の制度理論と整合的といえる。

図表 3-2 をみると、日本の起業活動浸透(ロールモデル)指数は、2005 年以降ほぼ一貫

して低下した後、2013 年にはやや上昇、2014 年にはやや低下、そして今回調査では再び微

増した。いずれにしても、日本がこの指数においても先進国の中で低い状態であることに変

化はなかった。また、この指数において一貫して高い水準を保っていたフランスは、今回調

査は不参加であったのでデータはない。

17

図表 3-1 起業活動の浸透(ロールモデル指数)

図表 3-2 起業活動の浸透(ロールモデル指数)の推移

0.00

10.00

20.00

30.00

40.00

50.00

60.00

70.00

80.00

インド

イラン

フィリピン

ボツワナ

カメルーン

カザフスタン

セネガル

ベトナム

ブルキナファソ

エジプト

クロアチア

コロンビア

モロッコ

グアテマラ

ハンガリー

ルーマニア

タイ

ラトビア

アルゼンチン

バルバドス

ウルグアイ

南アフリカ

マケドニア

マレーシア

エクアドル

ブルガリア

ポーランド

チリ

メキシコ

ペルー

チュニジア

中国

ブラジル

パナマ

レバノン

インドネシア

ベルギー

日本

ドイツ

プエルトリコ

ギリシア

ポルトガル

イタリア

スイス

イギリス

米国

ノルウェー

カナダ

オランダ

アイルランド

スペイン

オーストラリア

台湾

ルクセンブルク

スロバキア

韓国

スロヴェニア

スウェーデン

エストニア

フィンランド

イスラエル

要素主導型経済 効率主導型経済 イノベーション主導型経済

2001

年2002

年2003

年2004

年2005

年2006

年2007

年2008

年2009

年2010

年2011

年2012

年2013

年2014

年2015

米国 43.51 37.44 38.55 35.80 41.40 34.22 32.50 37.20 32.45 28.77 27.04 28.95 27.21 28.81 29.84

フランス 22.20 29.13 26.34 40.97 45.25 46.62 48.65 32.94 36.42 47.83 43.39 33.83 33.21 35.93

イタリア 33.57 39.24 32.35 34.94 30.80 36.88 38.06 32.00 29.86 30.36 20.12 16.83 24.22 28.20

イギリス 30.14 23.10 24.59 27.63 29.21 27.15 25.65 25.95 23.56 34.24 31.97 30.07 29.25 30.95 29.74

ドイツ 36.25 39.30 36.77 37.88 38.54 33.99 31.12 31.12 29.99 25.47 24.33 25.01 23.97 23.62

日本 16.17 12.88 21.44 29.67 29.33 27.98 22.66 23.24 21.13 17.44 14.91 13.97 16.72 15.59 18.60

中国 58.80 53.40 47.00 51.60 64.50 57.30 59.70 67.75 52.42 48.35 56.00 50.35

0.00

10.00

20.00

30.00

40.00

50.00

60.00

70.00

80.00

日本

18

2. 失敗に対する恐れ

図表 3-3 は、「失敗することに対する怖れがあり、起業を躊躇している」という成人人口

の割合(失敗脅威指数)をみたものである。経済圏別の平均は、要素主導型経済では 33.1%

(2014 年 32.3%、2013 年 30.9%、2012 年 27.8%)、効率主導型経済では 38.1%(2014 年

35.5%、2013 年 38.4% 、2012 年 36.6%)、イノベーション主導型経済では 43.2%(2014

年 42.1%、2013 年 43.2% 、2012 年 44.5%)と、昨年と同様、経済の発展段階が高い国ほど、

失敗に対する怖れによって起業を躊躇している成人人口の割合が高い。他の経済圏よりも

雇用機会が豊富であることがその要因の一つとして挙げられるかもしれない。

イノベーション主導型経済についてみると、昨年および一昨年に引き続いて、ギリシャが

64.2%(2014 年 70.6%、2013 年 69.1%)と、最も高い。このほか、イタリアも依然高く、

今年も 61.9%(2014 年 57.1%、2013 年 56.2%)とギリシャに次いでいる。これらの国で

は、経済危機に襲われた時期からこの数値が一段と高くなった。

図表 3-4 からは、失敗脅威指数が高いほど TEA は低い傾向が読み取れる。

失敗脅威指数の推移を示した図表 3-5 によると、イタリアの上昇傾向は依然として続い

ており、主要国全体でも長期的に上昇傾向がみられる。

図表 3-3 失敗に対する恐れ(失敗脅威指数)

0.00

10.00

20.00

30.00

40.00

50.00

60.00

70.00

セネガル

ブルキナファソ

ボツワナ

カメルーン

インド

フィリピン

イラン

カザフスタン

ベトナム

パナマ

バルバドス

ペルー

アルゼンチン

チリ

マレーシア

エジプト

南アフリカ

メキシコ

ウルグアイ

エクアドル

グアテマラ

中国

コロンビア

レバノン

モロッコ

チュニジア

ラトビア

ブルガリア

マケドニア

ハンガリー

クロアチア

ルーマニア

ブラジル

インドネシア

タイ

ポーランド

プエルトリコ

ノルウェー

米国

スイス

イギリス

韓国

オランダ

スロヴェニア

フィンランド

アイルランド

台湾

スロバキア

スウェーデン

カナダ

スペイン

日本

オーストラリア

ポルトガル

ドイツ

エストニア

ルクセンブルク

ベルギー

イスラエル

イタリア

ギリシア

要素主導型経済 効率主導型経済 イノベーション主導型経済

日本

19

図表 3-4 TEA と失敗脅威指数との関係

注)縦軸が TEA、横軸が失敗脅威指数である。

図表 3-5 失敗脅威指数の推移

y = -0.3929x + 28.567

0.00

5.00

10.00

15.00

20.00

25.00

30.00

35.00

40.00

45.00

0.00 10.00 20.00 30.00 40.00 50.00 60.00 70.00

2001

年2002

年2003

年2004

年2005

年2006

年2007

年2008

年2009

年2010

年2011

年2012

年2013

年2014

年2015

米国 20.54 21.29 22.71 21.21 22.88 20.96 23.06 28.22 32.47 32.22 37.14 37.83 35.02 32.81 31.55

フランス 33.26 36.17 45.39 49.99 51.54 49.65 48.62 50.37 50.88 42.96 43.80 46.73 45.31 42.84

イタリア 34.80 29.88 40.40 40.19 24.70 38.82 42.06 49.41 49.62 44.50 56.61 56.20 57.07 61.94

イギリス 34.20 33.54 33.59 32.92 35.79 35.79 35.71 36.44 36.37 38.91 45.75 40.94 39.84 37.67 37.16

ドイツ 52.90 48.74 49.29 47.71 51.27 46.46 48.65 45.54 44.41 49.92 49.04 48.15 46.37 46.75

日本 22.59 19.18 22.49 22.64 18.56 25.96 36.61 40.62 34.62 35.06 46.97 46.92 47.37 44.40 43.90

中国 26.20 29.10 23.70 23.80 29.50 32.20 32.70 34.94 36.01 35.89 32.24 37.53

0.00

10.00

20.00

30.00

40.00

50.00

60.00

70.00

20

3.事業機会の認識

起業活動とは、有望な事業機会を認識し、そのような事業機会を実現するために人材や

資金などの経営資源を結集し、その結果として新しいビジネスの誕生に導くプロセスであ

る。そこで、GEMでは「事業機会の認識」に関して、「今後6ヶ月以内に、自分が住む地

域に起業に有利なチャンスが訪れると思いますか」を尋ねている。ここでは、このような

チャンスが訪れるとする成人人口の割合(事業機会認識指数)をみていく。

図表3-6で経済圏別に事業機会認識指数をみると、要素主導型経済では平均53.8%(2014

年54.6%、2013年60.8%、2012年63.3%)、効率主導型経済では41.1%、(2014年

42.4%、2013年41.7%、2012年41.5%)、イノベーション主導型経済では38.4%(2014年

38.8%、2013年33.4%、2012年32.1%)となっており、経済の発展段階が低い方が高い。

TEAとの相関係数(国レベルのデータによるもの。個票ベースではない)は、2015年調査

(今回調査)では0.581であり、統計的にも1%水準で有意である。

イノベーション主導型経済では、スウェーデン(70.2%)、ノルウェー(68.9%)、そ

してイスラエル(55.5%)などで高い。逆に、日本(7.6%)やギリシャ(14.2%)の水準

は低く、これらの国々に関する結果は昨年、一昨年と同様である。

図表3-7によると、日本の事業機会認識指数は2006年にひと桁に低下し、それ以降、ふ

た桁になることなく、他の主要7カ国と比べて低い水準が続いている。イタリアでは、

2014年に低下傾向にやや歯止めがかかり、今年はその傾向を維持した。

図表 3-6 事業機会の認識

0.00

10.00

20.00

30.00

40.00

50.00

60.00

70.00

80.00

インド

イラン

カザフスタン

フィリピン

ベトナム

ボツワナ

ブルキナファソ

カメルーン

セネガル

ブルガリア

クロアチア

ハンガリー

マレーシア

中国

ポーランド

ルーマニア

モロッコ

ラトビア

マケドニア

ウルグアイ

南アフリカ

タイ

ブラジル

メキシコ

レバノン

アルゼンチン

エジプト

パナマ

グアテマラ

チュニジア

インドネシア

ペルー

エクアドル

バルバドス

チリ

コロンビア

日本

ギリシア

韓国

スロヴェニア

プエルトリコ

イタリア

スペイン

スロバキア

ポルトガル

台湾

ドイツ

アイルランド

ベルギー

イギリス

スイス

米国

ルクセンブルク

オランダ

フィンランド

オーストラリア

エストニア

カナダ

イスラエル

ノルウェー

スウェーデン

要素主導型経済 効率主導型経済 イノベーション主導型経済

日本

21

図表 3-7 事業機会認識指数の推移

4.知識・能力・経験

事業機会を実際のビジネスとして成立させるためには経営資源を調達し、事業のシステ

ムを構築し、リーダーシップを発揮して組織を運営管理することが必要になる。したがっ

て、起業に当たっては、事業機会を認識するだけではなく、それを実現するための知識・

能力・経験が欠かせない。

GEMでは、知識・能力・経験の指標を作成するために「新しいビジネスを始めるために

必要な知識、能力、経験を持っていますか」という質問を行っている。図表3-8はこれらを

持っているとする成人人口の割合(知識・能力・経験指数)をみたものである。

各経済圏の平均は、要素主導型経済では65.8%(2014年64.7%、2013年68.7%、2012年

70.5%)、効率主導型経済では53.0%(2014年54.9%、2013年51.8%、2012年52.4%)、イ

ノベーション主導型経済では40.7%(2014年42.0%、2013年40.6%、2012年38.3%)であ

る。TEAとの相関係数(国レベルのデータによるもの。個票ベースではない)は、2015年

調査(今回調査)では0.814と非常に強く、統計的にも1%水準で有意である。

図表3-9からは、日本の知識・能力・経験指数は2001年以降一貫して他国を大きく下回

ること、そして上昇傾向がみられないことが読み取れる。2015年調査で、TEAの水準が日

本と同程度であったドイツと比較しても、20ポイント以上の開きがある。

2001

年2002

年2003

年2004

年2005

年2006

年2007

年2008

年2009

年2010

年2011

年2012

年2013

年2014

年2015

米国 34.89 36.67 30.72 33.61 32.32 24.30 25.18 36.57 28.35 34.79 36.25 43.49 47.16 50.85 46.63

フランス 6.89 10.26 9.33 21.13 21.65 20.79 23.26 21.59 24.12 33.87 34.92 37.52 22.87 28.26

イタリア 47.85 40.47 34.10 25.36 14.88 23.20 39.50 29.66 24.73 24.68 19.80 17.34 26.57 25.66

イギリス 23.00 27.09 35.22 35.92 38.75 36.76 39.00 30.18 24.04 29.24 33.30 32.82 35.54 40.99 41.55

ドイツ 23.65 20.46 13.53 13.45 17.48 20.03 23.91 22.18 28.48 35.17 36.16 31.30 37.59 38.27

日本 6.95 5.25 7.47 13.99 16.55 9.15 8.87 7.64 8.00 5.92 6.35 6.37 7.65 7.27 7.62

中国 28.10 39.20 25.50 34.60 39.20 25.30 36.20 48.84 32.24 33.07 31.88 31.71

0.00

10.00

20.00

30.00

40.00

50.00

60.00

22

図表 3-8 知識・能力・経験

表 3-9 知識・能力・経験指数の推移

0.00

10.00

20.00

30.00

40.00

50.00

60.00

70.00

80.00

90.00

100.00

インド

カザフスタン

ベトナム

イラン

フィリピン

カメルーン

ボツワナ

ブルキナファソ

セネガル

中国

マレーシア

ブルガリア

ハンガリー

エジプト

南アフリカ

メキシコ

タイ

ルーマニア

クロアチア

モロッコ

ラトビア

パナマ

マケドニア

ポーランド

ブラジル

コロンビア

チュニジア

グアテマラ

ウルグアイ

アルゼンチン

インドネシア

ペルー

チリ

レバノン

エクアドル

バルバドス

日本

台湾

韓国

イタリア

ノルウェー

ベルギー

ドイツ

スウェーデン

フィンランド

オランダ

イスラエル

イギリス

ルクセンブルク

スイス

エストニア

アイルランド

スペイン

ギリシア

オーストラリア

スロヴェニア

ポルトガル

プエルトリコ

カナダ

スロバキア

米国

要素主導型経済 効率主導型経済 イノベーション主導型経済

2001

年2002

年2003

年2004

年2005

年2006

年2007

年2008

年2009

年2010

年2011

年2012

年2013

年2014

年2015

米国 60.59 56.94 53.90 54.28 52.13 50.21 48.30 55.66 56.16 59.52 55.69 55.88 55.74 53.34 55.71

フランス 20.01 26.27 24.91 33.08 35.98 33.32 33.47 24.66 27.11 37.27 38.43 35.66 33.15 35.44

イタリア 33.36 39.00 35.18 32.63 32.10 44.49 50.51 40.05 41.19 42.42 29.97 29.11 31.31 30.54

イギリス 45.96 45.45 48.38 51.68 50.97 49.62 48.71 49.91 47.02 51.82 42.47 47.13 43.85 46.44 43.57

ドイツ 30.11 35.20 38.21 36.19 40.97 39.00 35.14 39.74 41.63 37.14 37.09 37.72 36.40 36.19

日本 10.98 10.62 11.84 13.52 13.38 15.71 15.16 12.54 13.78 13.71 13.73 9.00 12.86 12.23 12.48

中国 35.60 38.70 32.70 35.20 38.90 35.20 42.30 43.90 37.60 36.29 32.97 27.42

0.00

10.00

20.00

30.00

40.00

50.00

60.00

70.00

日本

23

5.起業活動に対する評価

前述の制度理論を踏まえると、起業家や起業活動に対する社会からの評価が高いほど、

起業活動が活発になると考えられる。そこで、GEMでは「起業家という職業に対する評

価」「起業家の社会的な地位」「メディアによる起業家への注目」といった起業家や起業

活動に対する社会的な評価について調査を行っている4。

図表3-10は、起業家という職業の選択に関する結果であり、「あなたの国の多くの人た

ちは、新しいビジネスを始めることが望ましい職業の選択であると考えている」という記

述に賛成する成人人口の割合を示している。経済圏別の平均は、効率主導型経済

(66.2%)、要素主導型経済(65.7%)、イノベーション主導型経済(51.7%)の順で高

く、起業活動浸透(ロールモデル)指数、失敗脅威指数、事業機会認識指数、そして知

識・能力・経験指数でみられたような経済発展段階による明確な序列は見られない。

TEAとの相関係数(国レベルのデータによるもの。個票ベースではない)は、2015年調

査(今回調査)では0.387と、正の相関がみられ、統計的にも1%水準で有意である。

イノベーション主導型経済のなかでこの割合が高いのはとオランダ(79.2%)が前回と

同様に高い。

日本(26.8%)は、昨年と同様にプエルトリコ(16.7%)に次いで低く、この傾向は最

近続いている。日本では、多くの人が、起業家という職業を肯定的に見ていない。

図表3-11は主要7カ国の推移を示したものである。2003年にこの質問が設けられて以

来、日本の水準は一貫して他国を大きく下回っており、2015年調査でも同じ結果となって

いる。

次に、起業家の社会的な地位に対する評価について、「あなたの国では、新しくビジネ

スを始めて成功した人は高い地位と尊敬をもつようになる」という記述に賛成する成人人

口の割合をみていく。

図表3-12によると、この割合は要素主導型経済では74.4%となっており、2014年と同

様、イノベーション主導型経済(66.4%)、効率主導型経済(66.1%)を上回る。ただ

し、TEAとの相関係数(国レベルのデータによるもの。個票ベースではない)は、2015年

調査(今回調査)では0.254と、それほど強くはなく、統計的にも有意ではない。

イノベーション主導型経済では、イスラエル(86.2%)、フィンランド(84.9%)、ア

イルランド(80.3%)、そしてイギリス(79.2%)などで高い。日本は52.1%と最下位では

ないが、イノベーション主導型経済の平均(66.4%)を12.3ポイント下回る。

時系列で主要7カ国の推移をみた図表3-13によると、2008年以降、日本とそれ以外の国

との差が定着している。日本の半数程度の成人は、新しくビジネスを始めて成功しても高

い地位や尊敬が得られないと感じている。

最後に、図表3-14には、「あなたの国で、あなたは新しいビジネスの成功物語について

4 2011 年以降、米国は「起業活動に対する評価」についての調査に参加していなかった。2014 年調査に

久しぶりに参加したものの、2015 年調査では再び不参加であった。

24

公共放送でしばしば目にする」という記述に賛成するという成人人口の割合を示してい

る。

経済圏別の平均は要素主導型経済が67.6%と最も高く、効率主導型経済が61.4%、イノ

ベーション主導型経済が58.7%と続く。TEAとの相関係数(国レベルのデータによるも

の。個票ベースではない)は、2015年調査(今回調査)では0.363と正の相関があり、1%

水準で統計的にも有意である。

イノベーション主導型経済のなかでこの割合が高いのは台湾(85.6%)、オーストラリ

ア(72.3%)、ポルトガル(71.6%)などであり、低いのはギリシャ(38.0%)、ルクセン

ブルク(44.0%)、スペイン(46.9%)などである。日本は57.8%となっており、イノベー

ション主導型経済の平均値(58.7%)をやや下回る程度である。

図表3-15で時系列の推移をみると、日本ではおおむね50~60%の間で推移しており、他

の指標と比較すると、主要7か国のなかでは決して低くはない。

図表 3-10 職業選択に対する評価

0.00

20.00

40.00

60.00

80.00

100.00

120.00

インド

イラン

カメルーン

ボツワナ

ベトナム

ブルキナファソ

フィリピン

カザフスタン

マレーシア

ハンガリー

メキシコ

ラトビア

ブルガリア

ウルグアイ

ポーランド

クロアチア

エクアドル

アルゼンチン

中国

マケドニア

バルバドス

チリ

モロッコ

チュニジア

タイ

ペルー

コロンビア

ルーマニア

エジプト

南アフリカ

インドネシア

ブラジル

グアテマラ

プエルトリコ

日本

フィンランド

韓国

スイス

ルクセンブルク

スロバキア

ドイツ

アイルランド

スウェーデン

スペイン

エストニア

スロヴェニア

ベルギー

オーストラリア

イギリス

イタリア

ギリシア

ポルトガル

イスラエル

台湾

オランダ

要素主導型経済 効率主導型経済 イノベーション主導型経済

日本

25

図表 3-11 職業選択に対する評価の推移

図表 3-12 起業家の社会的な地位に対する評価

2003

年2004

年2005

年2006

年2007

年2008

年2009

年2010

年2011

年2012

年2013

年2014

年2015

米国 63.21 57.82 59.49 51.31 49.57 62.80 65.92 65.44 64.73

フランス 45.68 59.94 60.60 64.41 64.75 63.08 65.14 65.19 65.76 64.54 55.30 59.05

イタリア 78.57 76.61 46.79 72.67 72.83 67.54 71.65 69.12 66.68 65.55 65.05 60.92

イギリス 51.05 54.29 54.41 53.93 54.82 52.20 47.52 50.98 51.94 49.79 54.06 60.30 57.85

ドイツ 54.91 53.68 55.63 56.21 55.84 53.63 53.07 55.02 48.92 49.40 51.66 50.77

日本 33.52 28.08 31.94 25.35 29.49 25.55 28.11 28.39 26.03 29.67 31.30 30.98 26.76

中国 76.70 74.80 68.80 68.60 66.10 70.00 73.12 71.67 69.61 65.68 65.94

0.00

10.00

20.00

30.00

40.00

50.00

60.00

70.00

80.00

90.00

0.00

10.00

20.00

30.00

40.00

50.00

60.00

70.00

80.00

90.00

100.00

インド

カメルーン

ベトナム

フィリピン

ボツワナ

イラン

ブルキナファソ

カザフスタン

クロアチア

マレーシア

メキシコ

アルゼンチン

モロッコ

ポーランド

ウルグアイ

マケドニア

ラトビア

チリ

エクアドル

ハンガリー

タイ

ペルー

バルバドス

コロンビア

ブルガリア

チュニジア

ルーマニア

南アフリカ

中国

エジプト

グアテマラ

ブラジル

インドネシア

プエルトリコ

スペイン

日本

韓国

ベルギー

エストニア

台湾

ポルトガル

スロバキア

オランダ

スイス

ギリシア

ルクセンブルク

イタリア

スウェーデン

スロヴェニア

オーストラリア

ドイツ

イギリス

アイルランド

フィンランド

イスラエル

要素主導型経済 効率主導型経済 イノベーション主導型経済

日本

26

図表 3-13 起業家の社会的な地位に対する評価の推移

図表 3-14 メディアからの注目

2003

年2004

年2005

年2006

年2007

年2008

年2009

年2010

年2011

年2012

年2013

年2014

年2015

米国 63.54 62.86 60.68 49.70 50.24 74.42 75.35 75.85 76.87

フランス 47.07 70.02 64.35 67.78 69.74 69.62 69.51 67.87 67.95 76.82 70.03 70.43

イタリア 68.44 65.97 49.79 69.41 68.50 63.57 69.17 69.27 69.74 72.43 72.09 68.99

イギリス 71.31 71.25 73.42 72.61 73.57 73.77 73.47 76.71 81.00 76.69 79.33 74.99 79.24

ドイツ 72.19 72.18 75.42 75.11 79.55 74.80 77.12 78.35 76.40 75.23 79.10 75.70

日本 47.27 55.55 51.56 45.14 47.71 55.61 49.59 52.00 54.74 54.79 52.76 55.81 52.14

中国 66.80 66.40 70.80 70.60 77.50 76.90 73.41 76.13 73.53 72.91 77.62

40.00

45.00

50.00

55.00

60.00

65.00

70.00

75.00

80.00

85.00

0.00

10.00

20.00

30.00

40.00

50.00

60.00

70.00

80.00

90.00

インド

イラン

カメルーン

ブルキナファソ

ベトナム

ボツワナ

カザフスタン

フィリピン

ハンガリー

メキシコ

クロアチア

チュニジア

ブルガリア

ポーランド

モロッコ

ラトビア

エジプト

ウルグアイ

チリ

グアテマラ

バルバドス

マレーシア

アルゼンチン

ルーマニア

ペルー

ブラジル

マケドニア

コロンビア

南アフリカ

タイ

中国

エクアドル

インドネシア

ギリシア

ルクセンブルク

スペイン

イタリア

エストニア

ドイツ

スロバキア

ベルギー

イスラエル

オランダ

日本

スイス

スロヴェニア

イギリス

スウェーデン

韓国

アイルランド

プエルトリコ

フィンランド

ポルトガル

オーストラリア

台湾

要素主導型経済 効率主導型経済 イノベーション主導型経済

日本

27

図表 3-15 メディアからの注目の推移

6.ビジネスエンジェル(個人投資家)

起業活動は多くの個人投資家によって支えられている。したがって、個人投資家による

資金供給を促進する税制や風土を生み出すことは、起業活動の活発化につながる可能性が

ある。

図表3-16は、「過去3年間に、他の人がはじめた新しいビジネスに個人的に資金提供を

した」成人人口の割合を示している。経済圏別にこの割合の平均をみると、要素主導型経

済が9.1%と最も高く、効率主導型経済(6.1%)、イノベーション主導型経済(4.2%)と

続く。ここでも厳密な分析が必要だが、要素主導型経済では金融市場が整備されていない

ため、起業に必要な資金を個人投資家に依存するところが大きいと考えることもできる。

ちなみに、TEAとの相関係数は0.382(2015年)と正の関係があり、起業活動が活発な

国・地域では個人投資家の活動も活発であるといえる。統計的にも1%水準で有意であ

る。

次に、個人投資家の割合を時系列でみた図表 3-17 によると、日本では 2000 年代前半に

は 0.5%前後だったが、2000 年代後半以降おおむね 1~2%の間で推移し、昨年(2014

年)調査では再び 1%を割り込んだ。しかし、2015 年には初めて 2%台の水準となった。

2003

年2004

年2005

年2006

年2007

年2008

年2009

年2010

年2011

年2012

年2013

年2014

年2015

米国 64.06 59.12 63.20 54.40 49.97 72.89 66.68 67.84 75.83

フランス 39.04 36.42 36.78 37.51 42.97 48.36 49.57 44.71 46.92 41.08 41.38 38.98

イタリア 46.70 54.99 26.02 45.80 43.93 40.11 44.32 37.74 51.33 48.08 48.28 48.51

イギリス 55.23 55.35 55.03 54.62 56.78 54.26 44.46 52.19 47.30 46.98 49.64 58.36 61.09

ドイツ 52.97 54.25 42.10 46.14 49.80 49.68 49.03 49.74 49.01 49.91 51.41 49.82

日本 60.99 51.40 52.52 53.80 61.06 59.18 61.23 58.54 56.95 52.87 57.62 58.70 57.80

中国 77.90 77.50 74.40 84.40 78.50 77.00 75.89 79.82 71.34 69.28 77.23

20.00

30.00

40.00

50.00

60.00

70.00

80.00

90.00

28

図表 3-16 個人投資家の活動

図表 3-17 個人投資家の活動の推移

0.00

5.00

10.00

15.00

20.00

25.00

30.00

インド

フィリピン

カザフスタン

ブルキナファソ

イラン

ベトナム

ボツワナ

セネガル

カメルーン

ブラジル

モロッコ

南アフリカ

ブルガリア

マレーシア

タイ

クロアチア

パナマ

マケドニア

コロンビア

ポーランド

ハンガリー

グアテマラ

インドネシア

レバノン

ルーマニア

ペルー

エクアドル

バルバドス

アルゼンチン

ウルグアイ

メキシコ

ラトビア

チュニジア

中国

チリ

エジプト

プエルトリコ

イタリア

ポルトガル

イギリス

ノルウェー

日本

ベルギー

韓国

スペイン

ギリシア

スロヴェニア

オランダ

フィンランド

ドイツ

アイルランド

オーストラリア

イスラエル

台湾

スイス

米国

スウェーデン

エストニア

ルクセンブルク

カナダ

スロバキア

要素主導型経済 効率主導型経済 イノベーション主導型経済

2001

年2002

年2003

年2004

年2005

年2006

年2007

年2008

年2009

年2010

年2011

年2012

年2013

年2014

年2015

米国 5.70 4.93 4.92 4.34 3.98 5.96 4.94 5.16 4.05 5.99 4.78 5.44 4.63 6.21 6.03

フランス 1.79 1.23 0.69 4.93 3.62 4.69 5.59 3.82 3.82 3.19 4.63 2.99 3.29 3.36

イタリア 2.78 1.43 1.54 2.99 2.27 1.63 2.96 2.11 1.79 2.99 2.41 1.69 2.79 1.92

イギリス 2.58 1.69 1.63 1.37 1.65 1.58 1.38 1.66 1.13 3.22 2.47 3.08 2.09 2.11 2.21

ドイツ 3.24 3.36 2.73 2.69 2.12 1.70 1.82 1.54 3.60 3.19 3.00 3.43 3.84 3.89

日本 1.46 0.63 0.44 0.32 0.81 0.58 1.78 1.74 1.65 0.89 1.25 1.37 1.30 0.85 2.66

中国 5.00 7.10 6.30 8.10 9.60 6.60 5.50 9.16 5.42 3.65 4.45 12.97

0.00

2.00

4.00

6.00

8.00

10.00

12.00

14.00

日本

29

第 4 章 専門家調査(NES)から見た起業活動を取り巻く環境

1.専門家調査(NES)の概要

GEM では、APS と呼ばれる「一般(成人)調査」(Adult Population Survey: APS)の調

査に加えて、NES と呼ばれる「専門家調査」(National Expert Survey: NES)も実施してい

る。

その大きな理由は、APS 調査では個人の起業活動や起業態度を調査することはできるも

のの、その個人の活動や態度に影響を与える社会的、文化的、そして政治的背景を調べるこ

とができないからである。起業活動や起業態度は、そのような外部環境に影響を受けるもの

であるが、APS 調査ではカバーできない。

実施方法は、国ごとに、①金融部門(Financing)、②政策部門(Governmental policies)、

③政策プログラム部門(Governmental programs)、④教育・トレーニング部門(Education

and training)、⑤研究開発の技術移転部門(R&D transfer)、⑥事業(特に新規事業)が利用

できる制度や環境(Commercial infrastructure)、⑦市場(特に新規事業の市場)の開放性、

アクセスの容易性( Internal market openness )、⑧物的経済生産基盤 (Physical

infrastructure)、⑨文化や社会規範(Cultural and social norms)にかかる 9 つの分野につい

て、1分野から最低 4 名ずつ、計 36 名(4 名×9分野)の専門家に対してのアンケートを

行うというものである。

アンケートは、先に示した 9 つの分野について、1 分野につき 5~6 問から成る質問票に

回答してもらう方式を取っており、調査年によっては特別調査を実施する。質問の内容は、

例えば、金融部門であれば、「(日本では)ベンチャー企業が出資を受けることによって十分

な資金を調達できる」という記述に対して、9 段階(わからない、当てはまらない、という

回答も可)で評価してもらう。「1」が質問票の記述に対して「まったくちがう」であり、

番号が増えるごとに同意度が増し、「9」が「まったくそのとおり」となるように設計して

いる。

アンケート回答者は、調査参加国の GEM チームが選定し、一定の割合で、毎年回答者の

一部を変更することが義務付けられている。しかし、サンプル(回答者)の選び方やサンプ

ル(回答者)数から考えて、さまざまなバイアスを避けられない調査であることは否定でき

ない。

とはいえ、この調査結果から得られる内容は、国ごとの起業環境の違いを考える上で、重

要な情報を提供していると思われるので、今年の報告書では、その概要を次に紹介したい。

2.専門家調査(NES)の主な結果

先に述べたように、NES では9つのカテゴリーの中に 5~6 個の質問が設けられているが、

それらを原則としてカテゴリー単位でまとめたものが、図表 4-3 から図表 4-14 になる。

NES 調査は先に述べたように、サンプル数の少なさに加えて、サンプルの選択に恣意的

な要素が含まれているという欠点はあるが、一つの参加国から最低 36 人の協力を得ている

30

こと、そして何よりも共通のアンケート票を使っているという点で、参考になる点も少なく

ない。

2015 年の NES 調査に参加したイノベーション主導型経済圏に属する国は 25 か国であ

り、その中での日本の順位は次のとおりである(図表 4-1)。この場合、順位の数字が小さい

ほど専門家による評価が高いことを意味する。

また、イノベーション主導型経済の平均値と日本の値を比較したものが図表 4-2 である。

図表 4-1 NES 調査の調査項目別の日本の順位(イノベーション主導型経済 25 か国中の順位)

図表 4-2 イノベーション主導型経済全体と日本の比較

17

7

1820

24

19

8

25

2

1511

19

0

5

10

15

20

25

30

ファイナンス

政策

税制・行政手続き

政策プログラム

起業家教育(学校内)

起業家教育(学校外)

R&

D

移転

企業を取り巻く環境や

制度

市場の透明性

市場の閉鎖性・参入障

物的生産基盤

文化や社会規範

0.01.02.03.04.05.06.07.0ファイナンス

政策

税制・行政手続き

政策プログラム

起業家教育(学校内)

起業家教育(学校外)

R&D移転

企業を取り巻く環境…

市場の透明性

市場の閉鎖性・参入…

物的生産基盤

文化や社会規範

日本 主要7カ国平均

31

今回は 2015 年という単年度における調査結果を紹介しているが、そこから得られたもの

は、APS 調査の結果と符合するものもある。

第1には、学校内における起業家教育に対する評価が低いことである。これは、起業態度

の関連指標の低さの要因になっている可能性がある。

第2には、文化や規範における評価が低いことである。これは、起業家という職業に対す

る評価の低さの要因になっている可能性がある。

第3には、政策に対しての評価や物的経済生産基盤、そして市場の透明性に対する評価の

高さは、起業態度を有するグループの中での TEA の高さを反映していると思われる。

なお、「企業を取り巻く環境や制度」(図表 4-10)での順位では日本は最下位となってい

るが、これは「ベンチャー企業を支援するための十分な外注先、供給者、コンサルタントが

いる」「外注先、供給者、コンサルタントのコストはベンチャー企業にとって負担できる範

囲内だ」「ベンチャー企業が優秀な外注先、供給者、コンサルタントを利用することは簡単

だ」「ベンチャー企業が良い法律や会計サービスを受けることは簡単だ」といった新しく創

業した企業を対象にしたサービス等に特化した質問であることが要因と考えられる。

図表 4-3 起業活動に対するファイナンス

0.00

1.00

2.00

3.00

4.00

5.00

6.00

7.00

イラン

ブルキナファソ

カメルーン

セネガル

カザフスタン

ボツワナ

インド

グアテマラ

ペルー

バルバドス

アルゼンチン

コロンビア

パナマ

クロアチア

エクアドル

ルーマニア

エジプト

チリ

ウルグアイ

トルコ

ブラジル

マケドニア

ハンガリー

南アフリカ

メキシコ

タイ

チュニジア

モロッコ

ブルガリア

ラトビア

ポーランド

中国

インドネシア

レバノン

マレーシア

ギリシア

プエルトリコ

韓国

オーストラリア

イタリア

スペイン

ルクセンブルク

ノルウェー

日本

スロヴェニア

スロバキア

ドイツ

フィンランド

スウェーデン

ポルトガル

台湾

エストニア

イスラエル

カナダ

ベルギー

スイス

イギリス

米国

アイルランド

オランダ

要素主導型経済 効率主導型経済 イノベーション主導型経済

32

図表 4-4 起業活動にかかる政策

図表 4-5 起業活動にかかる税制・行政手続き

0.00

1.00

2.00

3.00

4.00

5.00

6.00

7.00

ブルキナファソ

イラン

セネガル

ボツワナ

カメルーン

カザフスタン

インド

グアテマラ

ハンガリー

パナマ

クロアチア

ブルガリア

アルゼンチン

ペルー

レバノン

エジプト

ウルグアイ

モロッコ

ルーマニア

ブラジル

ラトビア

バルバドス

コロンビア

マケドニア

タイ

チュニジア

南アフリカ

トルコ

チリ

ポーランド

エクアドル

メキシコ

インドネシア

マレーシア

中国

ギリシア

イタリア

オーストラリア

ノルウェー

スロバキア

イスラエル

エストニア

スウェーデン

スペイン

スロヴェニア

プエルトリコ

ドイツ

米国

台湾

イギリス

カナダ

アイルランド

ポルトガル

日本

ルクセンブルク

フィンランド

オランダ

スイス

韓国

ベルギー

要素主導型経済 効率主導型経済 イノベーション主導型経済

0.00

1.00

2.00

3.00

4.00

5.00

6.00

7.00

イラン

カメルーン

インド

ボツワナ

カザフスタン

ブルキナファソ

セネガル

アルゼンチン

クロアチア

ブラジル

ハンガリー

バルバドス

チュニジア

ペルー

エジプト

南アフリカ

エクアドル

グアテマラ

コロンビア

トルコ

ポーランド

ルーマニア

モロッコ

メキシコ

ウルグアイ

ラトビア

タイ

レバノン

インドネシア

中国

マケドニア

ブルガリア

マレーシア

チリ

パナマ

プエルトリコ

ギリシア

イタリア

イスラエル

スロヴェニア

ベルギー

スロバキア

日本

スペイン

ドイツ

スウェーデン

オーストラリア

ノルウェー

イギリス

台湾

韓国

米国

アイルランド

エストニア

フィンランド

カナダ

ルクセンブルク

オランダ

ポルトガル

スイス

要素主導型経済 効率主導型経済 イノベーション主導型経済

33

図表 4-6 起業活動を支援する政策プログラム

図表 4-7 学校における起業家教育

0.00

1.00

2.00

3.00

4.00

5.00

6.00

7.00

イラン

ブルキナファソ

ボツワナ

セネガル

カザフスタン

カメルーン

インド

南アフリカ

クロアチア

ハンガリー

グアテマラ

エジプト

ブルガリア

ブラジル

バルバドス

チュニジア

アルゼンチン

ペルー

パナマ

タイ

ルーマニア

モロッコ

トルコ

レバノン

コロンビア

中国

エクアドル

マケドニア

ポーランド

ラトビア

インドネシア

ウルグアイ

メキシコ

チリ

マレーシア

ギリシア

プエルトリコ

イタリア

スロバキア

イスラエル

日本

米国

台湾

オーストラリア

ノルウェー

スロヴェニア

イギリス

フィンランド

スウェーデン

ポルトガル

ベルギー

スペイン

エストニア

カナダ

韓国

ドイツ

オランダ

アイルランド

スイス

ルクセンブルク

要素主導型経済 効率主導型経済 イノベーション主導型経済

0.00

1.00

2.00

3.00

4.00

5.00

6.00

セネガル

ブルキナファソ

イラン

カメルーン

カザフスタン

インド

ボツワナ

エジプト

チュニジア

モロッコ

クロアチア

パナマ

ウルグアイ

グアテマラ

ブラジル

トルコ

ハンガリー

チリ

ポーランド

メキシコ

ブルガリア

中国

バルバドス

コロンビア

ペルー

アルゼンチン

南アフリカ

マケドニア

タイ

エクアドル

ルーマニア

ラトビア

マレーシア

レバノン

インドネシア

プエルトリコ

日本

ギリシア

ドイツ

韓国

スロヴェニア

台湾

イスラエル

イタリア

ベルギー

スロバキア

スペイン

ルクセンブルク

米国

アイルランド

オーストラリア

スウェーデン

フィンランド

イギリス

ノルウェー

カナダ

エストニア

スイス

オランダ

ポルトガル

要素主導型経済 効率主導型経済 イノベーション主導型経済

34

図表 4-8 学校外における起業家教育・訓練

図表 4-9 研究開発成果の移転(の容易さ)

0.00

1.00

2.00

3.00

4.00

5.00

6.00

7.00

イラン

セネガル

カザフスタン

ブルキナファソ

カメルーン

ボツワナ

インド

エジプト

モロッコ

チュニジア

クロアチア

パナマ

ブラジル

ポーランド

ブルガリア

南アフリカ

ハンガリー

タイ

ルーマニア

バルバドス

ウルグアイ

グアテマラ

アルゼンチン

マケドニア

チリ

レバノン

ペルー

中国

マレーシア

トルコ

コロンビア

ラトビア

メキシコ

インドネシア

エクアドル

スウェーデン

スロヴェニア

韓国

ノルウェー

ドイツ

スロバキア

日本

スペイン

プエルトリコ

オーストラリア

台湾

フィンランド

イタリア

イスラエル

米国

ギリシア

ポルトガル

エストニア

アイルランド

イギリス

カナダ

ベルギー

ルクセンブルク

オランダ

スイス

要素主導型経済 効率主導型経済 イノベーション主導型経済

0.00

1.00

2.00

3.00

4.00

5.00

6.00

7.00

セネガル

ブルキナファソ

イラン

カザフスタン

カメルーン

ボツワナ

インド

チュニジア

グアテマラ

クロアチア

バルバドス

エジプト

ブラジル

ペルー

モロッコ

パナマ

南アフリカ

コロンビア

チリ

ラトビア

ポーランド

ハンガリー

ブルガリア

エクアドル

アルゼンチン

ルーマニア

タイ

中国

マケドニア

メキシコ

トルコ

ウルグアイ

レバノン

インドネシア

マレーシア

プエルトリコ

スロバキア

韓国

オーストラリア

スロヴェニア

ギリシア

フィンランド

イタリア

スペイン

ドイツ

スウェーデン

台湾

米国

イギリス

ノルウェー

カナダ

イスラエル

日本

エストニア

ベルギー

アイルランド

オランダ

ポルトガル

ルクセンブルク

スイス

要素主導型経済 効率主導型経済 イノベーション主導型経済

35

図表 4-10 企業を取り巻く環境や制度

図表 4-11 市場の透明性

0.00

1.00

2.00

3.00

4.00

5.00

6.00

7.00

イラン

ボツワナ

カザフスタン

ブルキナファソ

インド

カメルーン

セネガル

ペルー

コロンビア

グアテマラ

ブラジル

エジプト

クロアチア

中国

ハンガリー

パナマ

ポーランド

チリ

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アルゼンチン

バルバドス

インドネシア

タイ

南アフリカ

エクアドル

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トルコ

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マレーシア

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日本

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ギリシア

ポルトガル

プエルトリコ

スロヴェニア

イギリス

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エストニア

米国

スロバキア

ノルウェー

イスラエル

フィンランド

ドイツ

オランダ

ルクセンブルク

ラトビア

アイルランド

ベルギー

スイス

カナダ

要素主導型経済 効率主導型経済 イノベーション主導型経済

0.00

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4.00

5.00

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8.00

セネガル

カメルーン

ブルキナファソ

ボツワナ

インド

イラン

カザフスタン

ウルグアイ

グアテマラ

チリ

ブルガリア

エクアドル

ペルー

コロンビア

ルーマニア

パナマ

レバノン

バルバドス

南アフリカ

モロッコ

ラトビア

ブラジル

エジプト

メキシコ

ハンガリー

アルゼンチン

トルコ

マケドニア

マレーシア

クロアチア

インドネシア

ポーランド

タイ

チュニジア

中国

ルクセンブルク

カナダ

アイルランド

スロバキア

イスラエル

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プエルトリコ

スペイン

スイス

ドイツ

オーストラリア

ベルギー

イギリス

オランダ

ギリシア

ノルウェー

エストニア

スロヴェニア

フィンランド

ポルトガル

米国

スウェーデン

台湾

日本

韓国

要素主導型経済 効率主導型経済 イノベーション主導型経済

36

図表 4-12 市場の閉鎖性・参入障壁等

図表 4-13 物的な経済生産基盤

0.00

1.00

2.00

3.00

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7.00

イラン

ボツワナ

ブルキナファソ

セネガル

カメルーン

カザフスタン

インド

チュニジア

クロアチア

グアテマラ

ブラジル

メキシコ

バルバドス

マケドニア

モロッコ

アルゼンチン

チリ

ハンガリー

ペルー

エジプト

トルコ

ブルガリア

南アフリカ

ルーマニア

タイ

ウルグアイ

コロンビア

レバノン

エクアドル

中国

パナマ

ラトビア

インドネシア

ポーランド

マレーシア

ギリシア

韓国

イスラエル

プエルトリコ

スロヴェニア

イタリア

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スロバキア

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フィンランド

オーストラリア

イギリス

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ルクセンブルク

スイス

オランダ

0.00

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9.00

ブルキナファソ

ボツワナ

カメルーン

カザフスタン

インド

セネガル

イラン

レバノン

ブラジル

ルーマニア

インドネシア

ペルー

アルゼンチン

南アフリカ

グアテマラ

バルバドス

ハンガリー

コロンビア

ウルグアイ

メキシコ

エジプト

タイ

マケドニア

クロアチア

トルコ

ラトビア

チュニジア

ブルガリア

ポーランド

中国

モロッコ

パナマ

マレーシア

チリ

エクアドル

ポルトガル

スペイン

イタリア

プエルトリコ

イギリス

ギリシア

イスラエル

スロヴェニア

ドイツ

ベルギー

オーストラリア

アイルランド

ルクセンブルク

ノルウェー

日本

カナダ

韓国

スロバキア

米国

台湾

オランダ

スウェーデン

エストニア

フィンランド

スイス

要素主導型経済 効率主導型経済 イノベーション主導型経済

37

図 4-14 起業活動を取り巻く文化や社会規範

0.00

1.00

2.00

3.00

4.00

5.00

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8.00

イラン

セネガル

ボツワナ

カメルーン

ブルキナファソ

カザフスタン

インド

クロアチア

ハンガリー

南アフリカ

ブルガリア

ウルグアイ

モロッコ

エジプト

ブラジル

マケドニア

チュニジア

ルーマニア

グアテマラ

バルバドス

ポーランド

ラトビア

アルゼンチン

ペルー

中国

メキシコ

チリ

コロンビア

パナマ

トルコ

タイ

マレーシア

インドネシア

エクアドル

レバノン

スロヴェニア

スロバキア

イタリア

ギリシア

プエルトリコ

日本

ベルギー

ルクセンブルク

ドイツ

スペイン

フィンランド

ノルウェー

オーストラリア

台湾

韓国

スウェーデン

ポルトガル

イギリス

アイルランド

オランダ

エストニア

スイス

カナダ

米国

イスラエル

要素主導型経済 効率主導型経済 イノベーション主導型経済

38

第 5 章 まとめ

起業活動の状況については、まず、日本の TEA は 4.8%となり、昨年と比べて 1%上昇し

た(2014 年 3.8%)。本報告書の分析対象 61 カ国中では、マレーシア、ブルガリア、モロ

ッコ、そしてドイツに次いで下から 5 番目の水準である。「事業機会型 TEA÷生計確立型

TEA」については、日本については 2014 年には 2005 年に次ぐ高い水準となったものの、

今回は再び低下し、2013 年の水準に戻った。男性 TEA が女性 TEA の何倍であるかの指標

である男性 TEA 比率については 2.20 とイノベーション主導型経済の平均である 1.83 倍を

やや上回る水準で落ち着いた。日本の起業計画率は、前回の 5.3%から 6.4%にやや回復し

た。ただし、イノベーション主導型経済では、ノルウェーとスペインに次いで低い水準であ

る。休業・廃業比率については引き続き低い水準で安定しており、今回は 0.9%と、イノベ

ーション主導型経済ではプエルトリコに次いで低い。

起業を取り巻く環境(態度と起業活動への評価)については、日本の起業活動浸透(ロー

ルモデル)指数は 18.6%であり、61 か国の中でも 2 割に満たない国は、エジプト、ベルギ

ーそして日本の 3 か国に過ぎない。事業機会認識指数も 7.6%であり、1 割に満たない国は、

61 か国中日本だけである。知識・能力・経験指数は 2001 年以降一貫して他国を大きく下回

ること、上昇傾向がみられないことが読み取れる。今回の日本の知識・能力・経験指数は

12.5%であり、日本と TEA の水準が同じドイツでも 36.2%であることと考えると、日本の

水準は非常に低く、これも 61 か国の中で 2 割に満たない国は日本だけである。個人投資家

の活動は調査以来はじめて 2%台になった。しかし、それでもイノベーション主導型経済の

平均である 4.2 には及ばない。

なお、今回は、GEM 調査のもう一つの柱である NES と呼ばれる専門家調査の概要も紹

介した。今回は 2015 年という単年度における調査結果を紹介しているが、そこから得られ

たものは、APS 調査の結果と符合するものもある。

第1には、学校内における起業家教育に対する評価が低いことである。これは、起業態度

の関連指標の低さの要因になっている可能性がある。

第2には、文化や規範における評価が低いことである。これは、起業家という職業に対す

る評価の低さの要因になっている可能性がある。

第3には、政策に対しての評価や物的経済生産基盤、そして市場の透明性に対する評価の

高さは、起業態度を有するグループの中での TEA の高さを反映していると思われる。

なお、「企業を取り巻く環境や制度」(図表 4-10)での順位では日本は最下位となってい

るが、これは「ベンチャー企業を支援するための十分な外注先、供給者、コンサルタントが

いる」「外注先、供給者、コンサルタントのコストはベンチャー企業にとって負担できる範

囲内だ」「ベンチャー企業が優秀な外注先、供給者、コンサルタントを利用することは簡単

だ」「ベンチャー企業が良い法律や会計サービスを受けることは簡単だ」といった新しく創

業した企業を対象にしたサービス等に特化した質問であることが要因と考えられる。