平成27年度 森町マイクロ水力発電実証事業 報 告 書 · (3)推計結果...

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平成27年度 森町マイクロ水力発電実証事業 報 告 書 平成28年3月 森町企画振興課

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Page 1: 平成27年度 森町マイクロ水力発電実証事業 報 告 書 · (3)推計結果 前述の手法をもとにした、「新エネルギー賦存量推計システム」による中小水力発電の推計

平成27年度

森町マイクロ水力発電実証事業

報 告 書

平成28年3月

森町企画振興課

Page 2: 平成27年度 森町マイクロ水力発電実証事業 報 告 書 · (3)推計結果 前述の手法をもとにした、「新エネルギー賦存量推計システム」による中小水力発電の推計

目 次

第1章 マイクロ水力発電実証事業の目的と内容

1-1 事業の目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1

1-2 森町の中小水力発電の賦存量・利用可能量・・・・・・・・・・・・・1

1-3 森町地域新エネルギービジョンにおける中小水力の利活用について・13

1-4 事業の内容・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16

1-5 事業のスケジュール・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19

第2章 マイクロ水力発電の基礎知識

2-1 マイクロ水力発電の定義・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20

2-2 マイクロ水力発電の特徴・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20

2-3 水力発電計画の立案・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22

2-4 発電力・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23

2-5 発電電力量・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23

2-6 水車の種類・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24

2-7 許認可手続き・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25

2-8 河川法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26

第3章 マイクロ水力発電実証事業

3-1 青葉ヶ丘公園の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27

3-2 設置場所と水車発電機の選定・・・・・・・・・・・・・・・・・・29

3-3 水車・発電装置の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33

3-4 実証実験概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・43

3-5 発電実績データ収集・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・46

3-6 撤去作業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・51

第4章 マイクロ水力発電を用いた普及啓発

4-1 普及啓発の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・52

4-2 普及啓発の取組みを学ぶ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・52

第5章 まとめと今後の課題

5-1 実証事業の検証と今後の課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・59

5-2 森町での水力発電の普及促進に向けて・・・・・・・・・・・・・・61

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第1章 マイクロ水力発電実証事業の目的と内容

1-1 事業の目的

現在我が国は、エネルギー資源に乏しく、石油やLPGなど化石燃料のほとんどを外国から

輸入している。一方で、エネルギーの消費量は、生活スタイルの変化による冷暖房需要の増加

や社会活動の24時間化、物流需要の増加等により大きく増大している。

また、化石燃料を大量に消費することで二酸化炭素などの温室効果ガスが増加し、地球の表

面温度が上昇する地球温暖化が国内外で問題となっている。地球温暖化が進むと、気温や海水

温の上昇や海面の上昇がおこり、干ばつや豪雨などの異常気象の発生する回数が増加するなど

自然環境に大きな影響を及ぼすこととなる。

この地球温暖化による自然環境の変化により、今後森町の基幹産業である農業や水産業に大

きな影響がでることが考えられる。また、蚊などの病原菌の媒介動物の地域が拡大し、いまま

でにない伝染病の発生も懸念される。

森町では、これらのエネルギー問題と地球温暖化問題に対応するため、「森町地域新エネル

ギービジョン」を策定し、新エネルギーの導入を推進している。

ビジョンの重点プロジェクトの一つとして、新エネルギー導入の推進に向けた普及啓発事業

を掲げており、地域住民や子どもたちの憩いの場である青葉ヶ丘公園の親水広場水路にマイク

ロ水力発電装置を設置し実証実験を行い、環境にやさしい水力発電の普及啓発を図るととも

に、稼働データを収集することで維持管理面の課題を抽出する。

1-2 森町の中小水力発電の賦存量・利用可能量

①森町中小水力発電の賦存量

森町の中小水力発電の賦存量は、北海道の「新エネルギー賦存量推計システム(H24.3)」を活

用して推計する。中小水力発電の賦存量は以下の算定式で推計する。

賦存量(kWh)=9.8×流量(㎥/s)×落差(m)×総合効率※

※総合効率:発電機効率及び水車効率を考慮したもの。ここでは 0.72とする(「平成 21年度再生可能エネ

ルギー導入ポテンシャル調査」

本ツールの賦存量の算定方法は、環境省の「平成 21年度再生可能エネルギー導入ポテンシャ

ル調査」に従っており、以下にこの調査の流量及び落差の算定方法を整理する。

(1)流量

流量の算定の流れを以下に示す。流況曲線※から年間の稼働率が低くなりすぎないような年

間使用水量を決定する。また、河川の水全てを発電に利用するのではなく、河川維持に必要な

維持流量を考慮している。

流量のデータは国土交通省や各都道府県の観測所データを活用している。

※流況曲線:年間の河川流量を多い順に分布させた曲線。

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図 1-2-1 流量算定の流れ

(環境省 平成 21年度再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査報告書)

図 1-2-2 流況曲線による使用可能水量の設定

(環境省 平成 21年度再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査報告書)

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(2)落差

環境省の「平成 21年度再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査」では、河川に沿って、下

図に示すような仮想発電所という概念を導入し、賦存量の算定を行っている。

落差の設定には、Arc-GISの機能を活用し、国土地理院の数値地図情報などから、高低差

(標高差)を算出している。

図 1-2-3 高低差の算出方法の概念図

(環境省 平成 21年度再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査報告書)

(3)推計結果

前述の手法をもとにした、「新エネルギー賦存量推計システム」による中小水力発電の推計

結果を以下に示す。

森町の合計は 41,200MWhであり、これを中小水力発電の賦存量とする。

表 1-2-4 【参考】4町の中小水力発電の賦存量(年間発電量)

市町村 賦存量(MWh/年)

森 町 41,200

(八雲町) 113,200

(七飯町) 13,000

(鹿部町) 43,500

合 計 210,900

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②森町中小水力発電の利用可能量

(1)利用可能量

「新エネルギー賦存量推計システム」のもととなっている「(環境省)平成 21年度再生可能

エネルギー導入ポテンシャル調査」では、中小水力発電の導入の出力単価をパラメータとし、

利用可能量を算出しており、これは、道路や送電線からの距離などの社会条件を考慮して、導

入地点ごとの概算建設費を算定したもので、出力あたり建設高の区分ごとに水力発電の利用可

能量を推計している。

シナリオⅢの建設単価 260万円/kWは、設備利用率 60%の場合の発電単価 500円/(kWh/年)

に相当し、補助金などを考慮した場合に実現可能性がある数値としている。

結果を以下に示す。ここでは、経済的な閾値を考慮した最大値である、40,743MWh/年を利用

可能量とする。

表 1-2-5 利用可能量推計結果

単位:MWh/年

シナリオⅠ

(100万円/kW未満)

シナリオⅡ

(150万円/kW未満)

シナリオⅢ

(260万円/kW未満)

森 町 0 23,447 40,743

(八雲町) 12,094 21,849 90,856

(七飯町) 0 2,844 11,991

(鹿部町) 0 42,091 43,538

合 計 12,094 90,231 187,126

(2)現地調査

前述の推計値は河川全体の落差及び流量を利用した全河川利用可能量であるため、ここでは

参考として、いくつかの河川を対象として現地調査を行い、地点別の発電量を推計する。

これにより、河川ごとの具体的な発電可能量を把握し、中小水力発電導入にあたっての課題

の抽出に活用する。

ⅰ.調査対象

調査対象として、森町内の河川 9本を対象とする。ここでは、河川利用の中小水力発電の導

入が比較的簡易と考えられる、町管轄の普通河川の中でも比較的規模の大きいものを選定して

これら河川の調査を行い、発電適地の選定や設置に関わる課題の抽出に活用する。

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表 1-2-6 現地調査対象河川

本川 河川名 流域面積

(km2)

流路延長

(km) 備考

濁川 濁川 35.9 10.6

鳥崎川 鳥崎川 72.4 20.8

駒ヶ岳ダム、砂防堰堤、鳥崎渓谷

八景

森川 森川 8.4 9.7 青葉ヶ丘公園横を流れる

茅部中の川 茅部中の川 11.2 9.1

尾白内川 尾白内川 47.9 16.8 上流に砂防堰堤

折戸川

赤井川 44.5 11.2

板小屋沢川(赤井川支流) 5.1 5.4

精神川(赤井川支流) 9.6 8.5

ババ沼川(赤井川支流) 2.7 1.7

図 1-2-7 対象河川位置概要図(国土地理院 電子国土より作成)

尾白内川

鳥崎川

森川 茅部中の川

濁川

赤井川

精神川

板小屋沢川

ババ沼川

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ⅱ.調査地点

森町内の普通河川を対象に、それぞれの河川の現地調査地点の選定は以下の方針で行う。

・道路に近接している地点

・北電柱に近接していると考えられる地点

・電力需要施設に隣接している地点

・湾曲部など短い距離で落差を多くとれる地点

図 1-2-8 現地調査地点位置図 1

3m

濁川 濁-1

濁-2

濁-4

(濁-5)

濁-7

濁-8

濁-9

濁-11

濁-12

濁-3

濁-6

濁-10

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図 1-2-9 現地調査地点位置図 2

図 1-2-10 現地調査地点位置図 3

鳥崎川鳥-1

鳥-2

(鳥-3)

鳥-4

鳥崎川

鳥-5

鳥-6

鳥-7

鳥-8

鳥-9

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図 1-2-11 現地調査地点位置図 4

図 1-2-12 現地調査地点位置図 5

森川

森-2

森-4

森-5

森-6

森-4

森-1

森-3

茅部中の川・尾白内川

尾-2

尾-3

尾-4

尾-5

茅-1

茅-2

(茅-4)

茅-5

茅-3

尾-1

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図 1-2-13 現地調査地点位置図 6

図 1-2-14 現地調査地点位置図 7

尾白内川

尾-6

赤井川 周辺

(バ-2)

バ-1

赤-1

板-2

板-1

精-1

赤-2

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ⅲ.調査結果

各地点の現地調査結果については参考資料 1に記載する。

今回調査対象とした河川においては、短距離で数 m以上の落差を確保できる地点がほとんど

確認できない状況であった。ただし、青葉ヶ丘公園横や町役場近隣の河川水路において、低落

差対応型の縦軸クロスフロー水車等を導入し、普及啓発・環境教育用の設置は可能と考えられ

る。また、鳥崎川河口付近(道管理の二級河川)についても短い距離での大きな落差は確認で

きなかったが、比較的大きな流量が賦存している。

図 1-2-15 鳥崎川河口付近 1

図 1-2-16 鳥崎川河口付近 2

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ⅳ.流量推計

日本の河川の流量観測データは、比較的大きな河川を主な対象として国土交通省の「水文水

質データベース」や、北海道建設部の「雨量・水位・流量年表」で公表されている。

中小水力発電の導入検討にあたって、対象河川の流量データがない場合、近隣河川の流量と

流域面積から推計を行うことが考えられる※。

森町内の河川には観測所が無いため、近隣市町村の観測所を参照する。今回対象としている

河川の流域面積は大きくても数十 km2程度であることを考慮し、ここでは近隣市町村の観測所

のうち、距離が近く、対象としている流域面積が小さい「大野川(図中 C)」の流量データを

活用するものとする。

※「課題の抽出」の部分で詳述しますが、中小水力発電の具体的な検討の際には、導入地点における連続的な流量

観測が必要です。

図 1-2-17 近隣観測所位置

表 1-2-18 大野川観測所諸元

観測所名 大野川

位 置 北斗市清水川 164-2

流域面積 111.1km2

観測期間 昭和 60年~

観測方法 水圧式水位計

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大野川観測所の流量データを以下に示す。

豊水・平水・低水・渇水流量はそれぞれ、年間の河川流量を多い順に並べたときに、それぞ

れ 95日目、185日目、275日目、355日目に相当する。

図 1-2-19 大野川観測所流況(25年平年値)

ⅴ.落差推計

現地調査における対象河川の落差については、地図上で確認できる上流端・下流端の標高差

とし、国土地理院の「電子国土」を用いて推計する。

ⅵ.発電量推計

前述の手法をもとに推計した、対象河川の流量・落差・理論水力推計結果を表に示す。ここ

で「発電出力」及び「根間発電量」は、以下の式に基づいて算出する。

発電出力[kW]=9.8×流量[m3/s]×落差[m]×総合効率[%]

年間発電量[kWh] =発電出力[kW]×年間稼働率[%]

なお、発電量推計の中の落差については、現地調査での対象地点の落差が 5mを超える地点が

なかったため、超低落差※を想定し一律で 5mとして発電量を推計する。

※「中小水力開発促進指導事業基礎調査(新エネルギー財団)」では、低落差を 10m以下、超低落差を 5m以下とし

ている

5.4

3.1 1.9

0.9 0.1

y = 585.82x-1.146

R² = 0.8705

0

5

10

15

20

0 50 100 150 200 250 300 350

流量

[m

3/s]

日数

流量(m3/s)日数 流量(m3/s)

最大流量 1 460.31

豊水流量 95 5.44平水流量 185 3.05低水流量 275 1.87渇水流量 355 0.85最小流量 365 0.10

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表 1-2-20 中小水力発電出力推計値

河川名 低水流量

(m3/s)

想定落差

(m)

総合効率※1

発電出力

(kW)

年間発電量※2

(kWh)

濁川 0.60 5 0.72 21 102,711

鳥崎川 1.22 5 0.72 43 207,139

森川 0.14 5 0.72 5 24,033

茅部の中川 0.19 5 0.72 7 32,044

尾白内川 0.81 5 0.72 28 137,043

赤井川 0.19 5 0.72 7 32,044

板屋沢川 0.09 5 0.72 3 15,450

精神川 0.14 5 0.72 5 24,319

ババ沼川 0.03 5 0.72 1 4,864

※1平成 20年度未利用落差発電包蔵水力調査報告書

※2ここでは稼働率 55%とした。「平成 20年度未利用落差発電包蔵水力調査報告書」

1-3 森町地域新エネルギービジョンにおける中小水力の利活用について

(1)概要

水力発電施設の効率的な導入にあたっては、水平方向に短い距離で、落差を大きくとること

ができ、また、年間を通して安定した流量がある設置場所の検討が重要となる。

森町内の普通河川を中心に現地調査を行ったが、今回の調査の範囲では、短い距離の間で大

きな落差を取得可能な地点は確認できていない。

そのため、住民や小中学生が集まりやすい、市街地周辺や公園直近の河川において、低落差

対応型の水力発電設備を導入することで、新エネルギーの普及啓発・環境教育の効果を図る。

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図 1-3-1 普及啓発を目的としたマイクロ水力発電イメージ

図 1-3-2 青葉ヶ丘公園付近河川状況 1

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図 1-3-3 青葉ヶ丘公園付近河川状況 2

(2)導入にあたっての課題

導入にあたっての課題を以下に示す。

表 1-3-4 マイクロ水力発電導入にあたっての主な課題

区分 課題

設置場所

機器搬入取り付けなどを考慮し、道路近傍など立ち入りが簡易な場所に設

置することが重要。

落葉など周辺環境や河川に流入するものの、発電設備への侵入の防止や定

期的なメンテナンスが重要となる

設置場所によっては景観などについて地域住民との協議が必要

収集運搬

導入規模の検討や、水利権協議の際には設置地点の年間を通じた流量など

の連続測定が必要。

冬期の水車軸や各部の凍結の防止または、運転の停止が必要。

水利権など

二級河川やそれ以上の河川、既存の水利権が設定されている河川の場合、

水利権の協議が必要。協議に当たって流量測定や導入機器の使用などの資

料作成が必要な場合がある。

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1-4 事業の内容

①事業内容

本事業は、平成26年度に森町が策定した「森町地域新エネルギービジョン」において、重

点プロジェクトとして位置付けている「普及啓発・環境教育を目的としたマイクロ水力発電の

整備」を推進するため、青葉ヶ丘公園敷地内の水路にマイクロ水力発電用水車を用いた実証実

験を行い、新エネルギー推進普及にあたっての、導入コストや導入効果、導入・維持管理につ

いての課題を検証する。

表 1-4-1 業務内容

項 目 内 容 備 考

現地調査

・青葉ヶ丘公園への導水路および溜池

部付近の現状把握

・水路施設の寸法確認

1回 事業予定地

水力発電装置の設

計製作据付

導水路(下掛け式)

斜路部(螺旋式)

斜路部(縦軸式)

計 3方式

導水路および森川への

放流用斜路部の計 2地

点に設置する。

普及啓発促進

説明会

・町民を対象とした説明会

(発電方式別エネルギーの説明)

2回

(7月、11月頃)

公園内敷地で実施

(小雨決行)

報告書作成

発電期間全体を通じて得られた発電出

力データーを取りまとめる。

また、期間中における維持管理面の対

応内容を取りまとめる。

連続運転観測

(データ回収 1回/月)

発電データは月別に

集計しグラフ化す

る。

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②計画位置

計画位置図を図 1-4-2に示す。

図 1-4-2 計画位置図

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計画地周辺図を図 1-4-3に示す。

図 1-4-3 計画地周辺図

④検討箇所より上流を見る

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1-5 事業のスケジュール

項目 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 1 月 2 月 備考

計画準備

現地調査

発電計画策定 3 種類の水車選定

発電装置製作 下掛け式、螺旋式、縦

軸式の水車・発電装置

装置据付・

撤去 6 月下旬据付、

12 月上旬撤去

データ収集

・分析 公園内への導水期間

のうち 7 月~8 月(調

整) 9 月~12 月

普及啓発 4回実施

報告書作成 2月下旬納品

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