平成22年度「地域ブランド戦略の推進事業」 における...

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平成22年度「地域ブランド戦略の推進事業」 における「ものづくりコラボレーション」事業、 すみだ地域ブランドPR、ブランドマネジメント に関する業務報告書 平成233

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平成22年度「地域ブランド戦略の推進事業」

における「ものづくりコラボレーション」事業、すみだ地域ブランドPR、ブランドマネジメント

に関する業務報告書

平成23年3月

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1.事業の概要_______________________2

2.すみだ地域ブランドPR_________________4(1)雑誌掲載____________________4(2)メディアプロモーション_____________5(3)オンラインプロモーション____________8

3.ものづくりコラボレーションの実施____________9(1)概要______________________9(2)新商品開発部門________________12(3)トライアル部門________________17(4)流通・マーケティング部門___________20(5)商品開発勉強会________________23(6)平成23年度事業の募集____________24

4.ブランドマネジメントの実施______________25(1)すみだ地域ブランド推進協議会の運営______25(2)すみだブランド認証事業の実施_________27(3)平成23年度事業の募集____________33(4)すみだ地域ブランドホームページ掲載記事の作成_36(5)SKYプロジェクトとの調整__________37

目次

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1.事業の概要

↑ブランドロゴマーク ↑ブランドステートメント

「江戸~明治~現代、DNAを受け継いでいく。今も息づく、江戸の粋や遊び心、下町の人情やふれあい。伝統工芸から近代産業まで、高度な技術を支える職人技と妥協を許さない職人魂。すみだ地域ブランドは、時を越えても変わることのない「すみだのDNA(遺伝子)」を受け継いでいきます。

地域の文化を、次世代へ届けていく。相撲、隅田川の花火、葛飾北斎、墨堤の桜などの歴史や文化。和菓子やちゃんこ鍋などの豊かな食文化。さらに、小さな博物館や工房ショップ、町工場などの産業文化。すみだ地域ブランドは、すみだが育んできた独自の「地域文化」を伝えていくとともに、次世代に引き継いでいきます。

ものづくりを通して、生活に彩りを約束する。優れた技術力とデザイン力に支えられた、暮らしを豊かにする様々な製品。ものづくりの街「すみだ」が創り出す製品は、東京はもちろん日本全国、さらに世界で使われている本物たち。すみだ地域ブランドは、すみだならではの「ものづくり」をさらに磨き、広く届け、人々の生活に豊かな彩りを約束します。

人々の交流を通して、コミュニティを育む。多くの史跡・文化施設、小さな博物館や工房ショップ、個だわりショップ、町工場、ものづくり体験の場などの観光拠点。そして、新タワー「東京スカイツリー」のもとに訪れるたくさんの人たち。すみだ地域ブランドは、「訪れる人、住む人、働く人」の交流を活発にし、新しいすみだの地域社会を育てます。

「すみだモダン」宣言。

【事業の目的】

東京スカイツリーの開業を一つの契機として、墨田区の知名度を高め、その付加価値を向上させるとともに広く内外に認知してもらうことを目的として、すみだの地域ブランド戦略を推進する。

平成22年度は、東京スカイツリー開業年に向けて段階的に盛り上げていき注目を高め、成功例を波及させていくための取組を行う。

【すみだ地域ブランドが目指すこと】

すみだと聞いて、顧客が選択する(モノ・サービスを買う・利用する)はっきりした理由が浮かぶもの・ことがたくさんあること。

【すみだ地域ブランドを構築するために】

他の地域(の商品)とは差別化された、すみだならではの強みを明確にし、それを中核としたまちづくりや商品づくり、情報発信を行わなければならない。

【ブランド価値規定・ ブランドロゴマーク】

一昨年度策定したブランドロゴマーク、ブランドステートメント、ブランド価値規定(「すみだモダン宣言。」)をベースに、すみだ地域ブランド戦略を推進していく。

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1.事業の概要

【主な事業】すみだの強み・特徴である「ものづくり」を核として、地域の魅力を発信し、地域のブランド価値を高めていく。

キャンペーン事業

キャンペーン事業

ものづくりコラボレーションものづくりコラボレーション

実はすみだが支えてる*実はすみだが支えてる*

シンポジウム*シンポジウム*

映像・雑誌等による情報発信

映像・雑誌等による情報発信

ブランド認証ブランド認証

SKYプロジェクト(「すみだ もの処」)

SKYプロジェクト(「すみだ もの処」) 関

連事業

関連事業

*「実はすみだが支えてる」「シンポジウム」は別業務であり、各々の報告書参照。

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2.すみだ地域ブランドPR

(1)雑誌掲載

【概要】

雑誌に、すみだ地域ブランド戦略全体や、平成21年度「ものづくりコラボレーション」事業の成果、3M運動、「実はすみだが支えてる」、平成22年度ブランド認証事業の成果、ブランド認証事業者、すみだ個だわりショップを紹介する記事を掲載し、すみだ地域のPRを実施。

【経緯】

平成22年7月発行の、「monoスペシャル 職人モノ No.1」と、平成23年1月発行の、 「monoスペシャル 職人モノ No.2」に記事を掲載。

【成果】

平成22年7月 monoスペシャル 職人モノ No.1

平成23年1月 monoスペシャル 職人モノ No.2

【課題】

特集記事として、詳しくすみだ地域ブランド戦略を紹介してもらうことには成功したものの、主に30代~40代男性向けにターゲット設定した媒体に掲載したため、女性が主なターゲットであるブランド認証商品やものづくりコラボレーション事業で開発した商品には、対応しきれていない。

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2.すみだ地域ブランドPR

(2)メディアプロモーション

【概要】

すみだ地域ブランド戦略の各種事業の進捗に合わせて、区による広報と共同しプレスリリース作成・発信や、マスメディア各社にプロモーションを行い、新聞掲載、テレビ放映等を実現した。

【経緯】

平成22年度「ものづくりコラボレーション」事業スタート時、ブランド認証事業の審査時や発表時、シンポジウム開催時等に、メディアに対して発信。

【成果】

新聞掲載日付 メディア名 内容

4月16日 朝日新聞(東部) すみだセレクション6月10日 朝日新聞 ブランド認証審査

6月10日 東京新聞 ブランド認証審査

7月27日 産経新聞 ブランド認証発表

7月27日 朝日新聞 ブランド認証発表

7月27日 東京新聞 ブランド認証発表

7月27日 読売新聞 ブランド認証発表9月1日 産経新聞すみだ特報版 ヒロタグラスクラフト、マルサ斉藤ゴム等1月13日 朝日新聞 都内版 都内版 地域ブランドの将来像考えよう 15日にシンポ

1月16日 朝日新聞 都内版 すみだで地域ブランド戦略のシンポ開催

1月24日 ガラス新聞 尾崎製鏡花びん出展 墨田・ものづくりコラボ展

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テレビ・ラジオ放送

6月9日 NHK「首都圏ニュース」 ブランド認証審査7月26日 NHK「首都圏845」 ブランド認証発表

7月26日NHK「首都圏ネットワーク」

ブランド認証発表

7月27日テレビ朝日「ワイドスクランブル」

ブランド認証発表

7月27日 NHK「首都圏ニュース」 ブランド認証発表(塩澤製作所、サンエー)8月22~28日

JCOM ブランド認証(アヅマ製氷、古河)

9月2日NHK「ゆうどきネットワーク」

松徳硝子株式会社

9月5日テレビ東京「モヤモヤさまあ~ず2」

アヅマ製氷冷蔵

9月17日 JCOM「街ネタ!ワイド」 塩澤製作所

10月9日テレビ東京「出没!アド街ック天国」

「本所吾妻橋」正本総本店、かざり工芸三浦

10月 JCOMブランド特集(アヅマ製氷、紗蔵、めうがや、伊藤バインダリー)

11月2日 NHK「首都圏ニュース」 商談会、廣田硝子

11月13日 JWAVE 「すみだ もの処」1月15日 NHK ニュース/首都

圏ニュース墨田区 スカイツリー開業に向け地元ものづくりPR

J:COM

雑誌掲載

6月 ユナイテッド航空機内誌 ものづくりコラボレーション「スコッチグレイン」開発商品

11月「月刊パーソナルギフト」(11月号)

ブランド認証、SKYプロジェクト

2月1日 月刊ファッション雑貨 物語りを生むモノづくりが、生き残る2月号 コロンブス 墨田区発「スカイツリーdeまちおこし」!!-経済波及

効果880億円!!「東京スカイツリー」周辺が熱い!!

2.すみだ地域ブランドPR

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【掲載例】

10月 東京ウォーカー

6月10日 朝日新聞 7月27日 東京新聞

8月12日 読売新聞

【課題】

話題性のあるブランド認証には、発信力の強いテレビ媒体を多数プロモートすることに成功したが、エンターテイメント性の低いシンポジウムには、NHK・J:COMのみしか成功しなかった。より発信性を高めるためには、話題性を確保したイベント企画を行う必要がある。

1月15日 NHK「首都圏ニュース」

2.すみだ地域ブランドPR

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2.すみだ地域ブランドPR

(3)オンラインプロモーション

【概要】すみだ地域ブランド戦略関係の各種情報に関して、ツイッターでの書き込みや、関係者へのメールでの情報発信を複数回にわたって実施。メール配信先やツイッターのフォロワーは、メディア関係者や高感度層、マーケティング関係の学生などが主な対象。メール、ツイッター後に電話フォロー、及びシンポジウムではDM送付も実施。

【経緯・成果】■発信方法:・メール:4名から計400名に発信(JIDF(日本文化デザインフォーラム)会員104名(代表幹事日比野克彦氏以下、アーティスト、デザイナー、文化人等)、TV・ラジオ・新聞・雑誌等メディア関係者、マーケティング関係の学生等、約300名)・ツイッター:3名からフォロワー約400名に発信(リツイートで拡大)

(1)すみだブランド認証「すみだモダン」2010認証商品発表時期:2010年7月下旬内容:すみだブランド認証事業の認証商品発表と、すみだ地域ブランドのウェブページへの商品掲載発信。(2)「すみだ もの処」オープン時期:2010年8月下旬内容: すみだブランド認証事業の認証商品や、ものづくりコラボレーション事業の開発商品等が展示即売される「すみだ もの処」オープンを発信。(3)ものづくりコラボレーション開発商品のグッドデザイン賞受賞時期:2010年11月上旬内容:ものづくりコラボレーション事業で、(株)伊藤バインダリーが開発した「典型 ドローイングパッド&上質メモブロック」が2010年度のグッドデザイン賞受賞と、スパイラル等の販路を発信。(4)ものづくりコラボレーション開発商品の伝統的工芸品チャレンジ大賞受賞時期:2010年11月上旬内容:ものづくりコラボレーション事業で(有)塩澤製作所と赤池コラボレーターが共同で開発した「花まとい」の、「平成22年度 第6回東京の伝統的工芸品チャレンジ大賞」の「大賞(都知事賞)」受賞を発信。(5)すみだ地域ブランド戦略商談会開催時期:2010年11月上旬内容:すみだ地域ブランド戦略事業の一環として開催された商談会開催と、すみだブランド認証商品やものづくりコラボレーション事業開発商品などの出展内容を発信。(6)すみだ地域ブランド戦略シンポジウム開催時期:2011年1月上中旬内容:すみだブランド認証商品やものづくりコラボレーション事業開発商品の展示発表と、パネルディスカッション開催を発信。(7)「すみだ東京ものづくり計画」のギフトショー出展・セミナー開催時期:2011年1月末~2月初頭内容:すみだブランド認証事業の認証事業者5社が結成した事業者グループ「すみだ東京ものづくり計画」(略称:STMK(ストマック))の、ギフトショー出展とセミナー開催を発信。

※関連プロモーション・北日本新聞(富山県約25万部)の墨田区特集内に取材記事を確保し、すみだ地域ブランド戦略に関するコメントを掲載。(2010年6月)・シンポジウムに関して、関係者約1600名にDM送付。主な宛先はアーチスト、デザイナー、プランナー、メディア関連、文化人、事業者等。(2011年1月)

【成果・課題】機会を捉えて、発信を行い、すみだ地域ブランド戦略の活動の認知を広げることができた。今後、情報発信先が、自主的に情報を発信して、さらに情報を拡散する仕掛けが必要。

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3.ものづくりコラボレーションの実施

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(1)概要

墨田区の事業者と日本を代表するコラボレーター(デザインプロデューサー)の方々が共同作業をすることで、すみだにふさわしい消費者向け自社ブランド商品を創造・発信していく、「ものづくりコラボレーション」事業を実施。平成22年度は「新商品開発部門」、「トライアル部門」、「流通マーケティング部門」の3部門に加え、事業者に商品企画から商品化までのプロセスを学んでいただく「商品開発勉強会」を設けた。

【部門・コラボレーター/講師と選定理由】

・新商品開発部門コラボレーターとの共同により、商品開発テーマに合った自社ブランド商品開発のために試作品作成を目指す部門。

安次富隆氏(プロダクトデザイナー/(有)ザートデザイン取締役社長)

選定理由地域の特性を活かしたコラボレーションを行うことができ、伝統工芸から家電までの広い領域を手がけた実績があり、すみだの幅広い産業分野に適合する。また、デザイン業界での知名度は非常に高い。

橘田洋子氏(シトラス主宰/クリエイティブディレクター)

選定理由和とモダンをテーマに商品開発を行うことが可能で、伝統工芸の職人等と話し合いながら商品開発を手がけた経験があり、墨田区の文化を活かした開発を期待できる。また、金沢や横浜等で地場産業とのコラボレーションの経験があり、地域の特性にあったコラボレーションが可能である。また、リビングデザインセンターOZONEの開設に参画しており、デザイン業界内での幅広いネットワークを持ち、すみだ地域ブランドの展開に有効である。新商品開発部門における依頼の範囲内ではないが、取締役を務めるジオクラフトの販路で商品販売が可能で、その他複数の販路に商品紹介ができる。

松田朋春氏(プランナー/「典型プロジェクト」代表)

選定理由古くから日用品を中心として多種多様なものづくりを行っている区内産業の歴史・製品・技術の特性を活かし、無理なく開発を進めることのできる「典型」というテーマで開発に取組むことが可能。平成21年度のものづくりコラボレーションで多数の企業と企画を商品化し、スパイラルマーケット等で発売した実績を持つ。

・トライアル部門デザイナー集団「SOON」のデザイナーに対して、具体的な自社商品の企画・コンセプト、自社の製造技術、その商品の販路イメージ等を、墨田区の事業者が積極的に提案し、マッチングを目指す部門。

日原佐知夫氏+SOON(創造意匠Hihara Industrial Design Office代表 SOON JAPAN DESIGN PROJECT代表 )

選定理由100名近くいる多彩なSOONのデザイナーは、家具等を中心に、様々な素材を活かしたプロダクトやアパレル等のデザインが可能であり、様々な分野で生活に密着した商品を生み出しているすみだの特性にふさわしい。平成21年度は、50名近いデザイナーがすみだに興味を示し、参加の意思を表明した実績がある。

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3.ものづくりコラボレーションの実施

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・流通マーケティング部門特定の販路での販売を目指し、商品流通を得意とするコラボレーターとの共同により、消費者ニーズを反映した新商品の開発や、既存商品・試作品のリメイク・改善を行う部門。

名児耶秀美氏(デザインプロデューサー/アッシュコンセプト(h concept)代表取締役)

選定理由h concept(アッシュコンセプト)代表取締役として、デザイナーブランド+d の世界販売を手がけており、この実績により、東急ハンズ・ソニープラザ・フランフラン・伊東屋等、大規模で質の高い販路との強いコネクションを培っている。また、デザインコンサルタント・商品開発コンサルタントを多数手がけた実績をもつとともに、区内企業マーナの代表取締役社長名児耶美樹氏を兄に持ち、自身も墨田区生まれ。墨田区を深く理解した上で商品開発を行うことが可能である。

山田遊氏(株式会社method代表取締役)

選定理由国立新美術館ミュージアムショップ「スーベニアフロムトーキョーバイシボネ」のサポートディレクター、新丸ビル内のショップ「デリエイデー」のバイイング、デザインタイド2007/タイド ‘スーパー’ マーケットのディレクションを手掛け、バイヤーとしての手腕が高く評価されており、特に高感度なショップに強いコネクションを持つ。また、自身で「TOKYO」をテーマにしたクリエイティブディレクションを行っており、「東京―墨田」を表現した商品開発が可能。

・商品開発勉強会コラボレーションの中でマッチングが成り立たなかった事業者などを対象に、消費者ニーズ・流通イメージ等を的確に捉え、商品企画から商品化までのプロセスを学んでいく勉強会。

影山恭英氏(国産株式会社代表取締役)

選定理由区内事業者とイデア等セレクトショップを繋いだ実績があり、商品開発の全工程に知見が高い。さらに、区内企業の商品開発における課題や特徴に精通している。「デザイン力を活かしたものづくり産業支援事業」において蓄積された、商品開発の各工程において発生する課題や、区内企業の具体的事例を、地域ブランド戦略で有効活用し事業効果を高めることができる。

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3.ものづくりコラボレーションの実施

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【経緯】

●参加事業者公募・説明会開催

平成22年3月26日(金)~4月20日(火)までの期間で、平成22年度ものづくりコラボレーション事業の公募を行った。平成22年3月24日(水)と3月25日(木)に、ものづくりコラボレーション事業を区内事業者に周知するため、コラボレーターによる説明会を開催した。24日は約80名、 25日は約60名の方々にご参加いただいた。

●参加事業者選定

公募の結果、食品・伝統工芸・紙加工・プラスチック加工・金属加工などの様々な業種から申込みがあり、93企画をご応募いただいた。4月23日(金)に、コラボレーターを委員とした選定委員会を開催し、事業者の選定を行った。その結果、新商品開発部門に20事業者、トライアル部門に14事業者、流通マーケティング部門に22事業者、延べ56事業者が選定された。※1 複数のコラボレーターから選定された企業がある。※2 新商品開発部門・流通マーケティング部門から、商品開発勉強会にご参加いただいた上で、トライアル部門へ移行いただくことを可能にした。

●選定事業者向け説明会開催

平成22年度ものづくりコラボレーション事業に選定された事業者に向けて、今後の進め方をお伝えする説明会を開催した。

・新商品開発部門・流通マーケティング部門説明会

5月17日(月)に開催した新商品開発部門・流通マーケティング部門参加者向けの説明会には、33社の企業にご参加いただいた。

・トライアル部門説明会

5月19日(水)に開催したトライアル部門参加者向けの説明会には、11社の企業とコラボレーター日原氏をはじめとした4名のデザイナーにご参加いただいた。

●マッチング・試作品開発

5月に開催された説明会以降、墨田区の事業者とコラボレーターが共同作業を行い、すみだにふさわしい消費者向け自社ブランド商品を創造・発信するために、マッチングや試作品の開発を行った。

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3.ものづくりコラボレーションの実施

(2)新商品開発部門コラボレーターとの共同により、商品開発テーマに合った自社ブランド商品開発のために試作品の完成を目指す部門。

<コラボレーター:安次富 隆(あしとみ たかし)氏 プロダクトデザイナー/(有)ザートデザイン取締役社長>

【概要】4事業者とマッチングを行い、尾崎製鏡株式会社 、有限会社和光印刷 (TAZAWAアートフラワー)とコラボレーションを実施した。前者では板硝子のフラワーベース3種(一(ICHI)、三(SAN) 、四(YON) ) 、後者では紙製のアートフラワー(ホワイト・フラワー)を制作。

【経緯】●5~7月:マッチング実施。●8月~10月:尾崎製鏡、和光印刷 (TAZAWAアートフラワー)の各製品の基本形を製作。●11月~12月:1月のシンポジウム出展に向けて、安次富氏制作図面によるフラワーベースの展開形の制作、アートフラワーの展示方法検討等。●1月:すみだ地域ブランドシンポジウムに出展。

【成果】●尾崎製鏡:鏡業界団体の代表である事業者からの要望であった、板ガラスの特性を活かした、シンボル的製品が完成し、板硝子の魅力を発信する契機づくりを可能とした。●和光印刷 (TAZAWAアートフラワー):事業者のセンスを活かし、単なるクラフト製作者でなく、アーティストとしてデビューさせることで付加価値を生みだすという取り組みは、事業者のモチベーションと製品のデザイン向上に貢献した。●両事業者が、相互に商品を組み合わせてPRする関係を創出し、相乗的効果を生んだ。

【課題】●尾崎製鏡:量産可能な製品ではなく、事業性が問題となるが、ホテルのオーナメントなど、比較的高価格のプロ向け流通を想定し、シンボル的に販売していく方針。●和光印刷 (TAZAWAアートフラワー):今回の取り組みを契機に、工房をショールームに模様替えすることも含め、作家的側面と工房主宰者的側面をうまくバランスさせて、発展させることが課題となる。

尾崎製鏡株式会社 板硝子のフラワーベース「四(YON)」と有限会社和光印刷 ホワイトフラワー

(撮影:池田マサカズ)

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3.ものづくりコラボレーションの実施

<コラボレーター:橘田 洋子(きつだ ようこ)氏 シトラス主宰/クリエイティブディレクター>

【概要】10事業者とマッチングを行い、下記7事業者とのコラボレーションを実施した。有限会社岩井金属金型製作所、株式会社片岡屏風店、有限会社塩澤製作所、株式会社タナカ、東京彫刻工業株式会社、Heath、廣田硝子株式会社

【経緯】●5~9月:マッチング実施。●9月~12月:商品企画の提案・検討、試作品の制作。●1月:すみだ地域ブランドシンポジウムに出展。

【成果】●株式会社片岡屏風店「自分で作る からくり屏風 -北斎編-」・・・現在ワークショップで提供している”からくり屏風”をキットとして、商品化。北斎をモチーフに、ミュージアムグッズとして、大人が楽しめる商品としてリメイク。「スーベニアスクリーン -四季-」・・・貼り方や風合いを生かしながら、暖炉の上、窓辺、壁面アート等として、現代生活に生かせるよう、デザイン・形状を検討。四季をモチーフに、万国共通の吉祥文様をデザインし、1年を通じて、楽しめるようにした。たたむとコンパクトで、海外ギフトにも可能なサイズに仕上げた。「スーベニアスクリーン -百寿-」・・・100パターンの「寿」の文字をあしらい、風水にならったカラーバリエーションを取り入れ、商品化した。めでたい寿で生活に福を呼び込み、海外ギフトとしても使える。文字の監修は、法政大学の王敏教授。●株式会社タナカ「多様筥シリーズ 切り溜筥」・・・昔つかわれていた切り溜の現代版。重ねて飾っても美しく、未使用時に入れ子で収納できる。ステーショナリー、装飾品、おやつ、家族それぞれの身の回り品、おけいこ道具等を収め、取り出しやすく作った。●東京彫刻工業株式会社「『Carved Seal』キット」・・・刻印をより身近に感じてもらうために、誰でも簡単に手打刻印を楽しめるキットを作成。好みのプレートに名前や生年月日等を打ち込み、世界にひとつだけのオリジナルプレートを作ることができる。●Heath(ヒース)「向島焼button 小物入れ、ヘアーアクセ」・・・陶器のボタンをいろいろな形で活用したシリーズ。革の小物入れは、カード・診察券・チケットなど、こまごましたバックの中の収納袋として活躍。ヘアーアクセは、モダンな髪留めのシュシュ、バングルなどさまざまなアレンジを楽しめる。「向島焼 My茶器セット」・・・革の袋に入れて持ち運びやすい形状の茶器セット。日本のモダンな吉祥文をオリジナルデザイン。●廣田硝子株式会社「東京復刻ガラス “brunch”シリーズ」・・・廣田硝子が保有していた昔のパンフレットの木版を活用し、ポスター・パンフレットや、スポンジワイプを制作。さらに、その木版に掲載されていた商品を“東京復刻ガラス”として復刻した。

●有限会社岩井金属金型製作所茶葉入れと茶漉しの開発を進めていたが、試作中断。●有限会社塩澤製作所茶托と箸置きの開発を進めようとしたが、中断。

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3.ものづくりコラボレーションの実施

その他、11月にサントリー美術館で行われた「その名は蔦谷重三郎」展において、併設するミュージアムショップで、下記各社の商品を販売した。●有限会社塩澤製作所北斎マグネット 約50個/北斎トンボピンバッチ 約35個/ミラーペンダント 約20個/根付 約25個●株式会社片岡屏風店北斎屏風 約40曲●廣田硝子株式会社北斎小皿 約160枚/北斎ペーパーウェイト 約190個

【課題】前記成果を上げたが、試作品製作に時間を要し、有限会社岩井金属金型製作所とのコラボレーションが進まなかった。有限会社塩澤製作所とは、十分に打合せ回数を持つことができなかった。また、試作や商品化した事業者とも、今後引き続き流通開拓のために精度向上や商品展開方法検討が必要である。

株式会社片岡屏風店自分で作る からくり屏風-北斎編-

株式会社片岡屏風店スーベニアスクリーン-四季-

株式会社片岡屏風店スーベニアスクリーン-百寿-

株式会社タナカ多様筥シリーズ 切り溜筥

東京彫刻工業株式会社「Carved Seal」キット

Heath向島焼button 小物入れ、ヘアーアクセ

Heath向島焼 My茶器セット

廣田硝子株式会社東京復刻ガラス“brunch”シリーズ

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3.ものづくりコラボレーションの実施

<コラボレーター:松田 朋春(まつだ ともはる)氏 プランナー/「典型プロジェクト」代表>

【概要】10事業者とマッチングを行い、下記6事業者とのコラボレーションを実施した。サンエー株式会社、株式会社山恵、墨田革漉工業株式会社、白石布帛製品株式会社、根岸産業有限会社、矢田製帽有限会社

【経緯】●5~7月:マッチング実施。●7月~11月:商品企画の提案・検討、試作品の制作。●11月~12月:試作品精度向上。●1月:すみだ地域ブランドシンポジウムに出展。●2月~3月:試作品精度向上、商品化

【成果】●吾妻橋 美膳(サンエー株式会社)「幕の内弁当」・・・ 幕の内弁当の「三種の神器」といわれる焼魚、玉子焼、蒲鉾を中心に、地域の食材、季節の食材を加え、飽きのこない幕の内弁当を開発。食材を選び抜き、日本のお弁当の「典型」を目指して商品化。価格1,000円(税込1,050円)●株式会社山恵「ファイル」・・・全て手作業で作られた丈夫なファイル。左右の扉でファスナー位置を変え、縦方向にも、横方向にもA4サイズの書類を留められる。価格1,800円(税込1,890円)●白石布帛製品株式会社「ハンカチ」・・・サイズはマリー・アントワネットが定めたとされるスタンダードの45cm角で作ったハンカチ。高品質のリネン100%で、太縁と細縁の2種を製作。縁は手縫いの三折りで布を奥まで寄せることで、機械縫いのように縁の中に段差がでないように作った。価格未定●墨田革漉工業株式会社「革袋」「革トートバッグ」・・・パソコンや情報デバイスのためのカバーとして、シンプルにピッグスキンの本革で作った袋。丈夫でかさばらず、妥当な価格を目指している。価格未定●根岸産業有限会社新しい典型を目指した形状の如雨露を試作したが、職人のご病気のため中断。●矢田製帽有限会社「帽子」・・・夏は涼しく、冬は圧迫感がない快適な帽子。実用面では、風で飛ばない、畳んで持ち運べることも重視。デザインはコスチュームアーティスト・ひびのこづえ。価格5,800円(税込6,090円)

その他、11月に開催されたデザインタイドに「典型プロジェクト」として出展し、下記商品を展示・販売した。●株式会社山恵「ファイル」(販売)●矢田製帽有限会社「帽子」(販売)●白石布帛製品株式会社「ハンカチ」(展示)●墨田革漉工業株式会社「スリッパ」(展示)

【課題】上記成果を上げたが、白石布帛製品株式会社は、商品化の体力がなく、試作品開発に留まってしまった。また、根岸産業は開発が順調に進んでいたにも関わらず、職人である社長のご病気で開発がストップしてしまった。後継者育成の課題が浮き彫りになった。試作や商品化した事業者とも、今後引き続き流通開拓のために精度向上や商品展開方法等の検討が必要である。

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3.ものづくりコラボレーションの実施

白石布帛製品株式会社ハンカチ

サンエー株式会社吾妻橋 美膳幕の内弁当

株式会社山恵ファイル

墨田革漉工業株式会社革袋・革トートバッグ

矢田製帽有限会社帽子

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3.ものづくりコラボレーションの実施

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(3)トライアル部門デザイナー集団「SOON」のデザイナーに対して、具体的な自社商品の企画・コンセプト、自社の製造技術、その商品の販路イメージ等を、墨田区の事業者が積極的に提案し、マッチングを目指す部門。

<コラボレーター:日原 佐知夫(ひはら さちお)氏+SOON創造意匠Hihara Industrial Design Office代表 SOON JAPAN DESIGN PROJECT代表>

【概要】トライアル講習会に加えて、2回のプレゼンテーション大会を行い、21事業者とSOONデザイナーのマッチングを図った。紗蔵、テルタ株式会社、株式会社平澤製作所、株式会社稲葉、株式会社吾嬬製作所、株式会社FLAGS、有限会社田中幸商店、東京製革業産地振興協議会、株式会社斉藤ステンレス製作所、有限会社サンテック、有限会社塩澤製作所、株式会社片岡屏風店、株式会社エスアールエス・スガヤ、有限会社ヒラメキ工房、橋本印刷株式会社、ヤシマ照明製作所、株式会社モリセイ、ヒノデワシ株式会社、有限会社サトウ化成、株式会社ヨシズミプレス、和紙工房 和

【経緯】

●トライアル講習会開催

5月19日(水)、トライアル部門説明会につづき、トライアル部門参加事業者に対して、企画力を身につけていただくための講習会を開催した。講師を商品開発勉強会講師の影山氏に務めていただいた。

●第1回プレゼンテーション大会開催

6月21日(月)、トライアル部門に参加されている事業者が、SOONのデザイナーに対して、開発していきたい自社商品企画のプレゼンテーションを行い、マッチングに役立てていただく会を開催した。12社の企業と20名のデザイナーにご参加いただいた。

●第2回プレゼンテーション大会

10月12日(火)、トライアル部門に参加されている事業者が、SOONのデザイナーに対して、開発していきたい自社商品企画のプレゼンテーションを行い、マッチングに役立てていただく会を開催した。10社の企業と17名のSOONデザイナーにご参加いただいた。終了後は参加事業者とSOONのデザイナーの親睦を深めるために、懇親会を開催した。 10社の企業と6名のSOONデザイナーにご参加いただいた。

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3.ものづくりコラボレーションの実施

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【成果】下記14事業者に対して、SOONデザイナーからの提案があった。紗蔵、テルタ株式会社、株式会社平澤製作所、株式会社稲葉、株式会社吾嬬製作所、有限会社田中幸商店、有限会社サンテック、有限会社塩澤製作所、株式会社片岡屏風店、株式会社エスアールエス・スガヤ、有限会社ヒラメキ工房、ヤシマ照明製作所、ヒノデワシ株式会社、Heath

さらに、7事業者とSOONデザイナーとのコラボレーションにより試作品が完成した。

●株式会社吾嬬製作所「Crater clock」・・・クレーターをイメージさせる形状の壁掛け時計。壁と一体化して室内空間の一部となる。新幹線や航空機などに使用されている耐衝撃性に優れた素材を使用している。デザイナー:大森謙一郎●紗蔵「free form」・・・統一された円周のリング状のパーツをファスナーで付け外しでき、ユーザーの任意で容量を増減出来るアイテムシリーズ。デザイナー:渡辺仙一郎「江戸ノ金魚」・・・夜店の金魚すくいの光景が薄れている現在に、下町情緒を再現、残したいという思いから、その光景を、高級革素材、エコレザーの端材でキーホルダーや携帯ストラップにして江戸のお土産品として企画。デザイナー:KAZUMI abe DESIGN 阿部和美●有限会社田中幸商店「彼岸花シリ-ズ」・・・彼岸花をモチ-フにしたデザインをエコレザ-・オルガノにファニ-クプリントした。エコレザ-・オルガノは人にも環境にも優しいタンニン鞣しを行っており、30年以上経験を積んだ国内袋物職人の技により作られている。デザイナー:佐戸川美穂「CAISUシリ-ズ」・・・CAISUは、Suicaなどパスカ-ドで自動改札をストレスなく通過できるよう、フック部分を指に挟むことで手との一体感を追求し、落とすことへの不安を解消した。手もみバッファロー革を使用している。デザイナー:梶本博司●Heath「花端(ハナバナ)」・・・革の端材から生まれたテーブルアクセサリー。ものを慈しむ心が暮らしの彩を与えることを狙った。デザイナー:T&O STUDIO「TOGURT」・・・ちょっと懐かしいガラス瓶入りヨーグルトの形状を小物入れに仕上げた。使うほどに味わいがでる革(上蓋)と陶器(ガラス瓶)で作ることで、見慣れた形に特別な印象をもたらした。ヨーグルトと陶を革でグルっと巻いている形を掛け合わせてトーグルトと名付けた。デザイナー:南政宏●株式会社平澤製作所「ステンレス花器」・・・ステンレスの直線フレームが空間を引き締める高級感のある花器。花をより美しく演出し花を飾っていない時もオブジェのように楽しめる。大きさ形状の違うアイテムを並べる事でより存在感を出すことができる。デザイナー:梅野聡「ワイヤー花器」・・・既製品のボトルやビン等、捨てられて行く物を形にして「ワイヤーを巻き付ける」事で形状を作り出す花器を開発。アバウトな間隔でワイヤーを巻き、ECOな感覚を刺激できる。デザイナー:梅野聡●ヤシマ照明製作所・株式会社片岡屏風店「システム“あかり”のある屏風」・・・日本の伝統ある屏風に有機ELの新光源を組み込み試作化した。デザイナー:福島賢二

その他、11月に開催されたIFFT/インテリア ライフスタイル リビングに「SOON JAPAN DESIGN PROJECT」として出展し、下記商品を展示した。●株式会社吾嬬製作所「Crater clock」●紗蔵「free form」 「江戸ノ金魚」●株式会社平澤製作所「ステンレス花器」 「ワイヤー花器」

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3.ものづくりコラボレーションの実施

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【課題】トライアル部門参加者の多くは、商品開発勉強会に参加し、デザイナーに対するプレゼンテーション方法や、商品開発に当たってどのようなことを意識すべきかについて学ぶことができ、マッチングをゴールとした部門であるにも関わらず、前項のように試作品開発に至る成果を上げた。しかし、商品開発にチャレンジしたことのない事業者にとって、あくまでデザインを行うデザイナーとのマッチングであるため、試作以降の商品化の工程で、具体的にどのように行動すればよいかわからない事業者が多々見受けられた。デザイナーとの出会いの中で、事業者に、自社商品開発を行っていくべきか、それとも別の方法を模索すべきか、提案等を待つだけではなく自ら活動する重要性について気づきを得ていただくことも必要である。

株式会社吾嬬製作所Crater clock

紗蔵Free form

紗蔵江戸ノ金魚

有限会社田中幸商店彼岸花シリーズ

有限会社田中幸商店CAISUシリーズ

Heath花端(ハナバナ)

HeathTOGURT

株式会社平澤製作所ステンレス花器

ヤシマ照明製作所・株式会社片岡屏風店システム“あかり”のある屏風

株式会社平澤製作所ワイヤー花器

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3.ものづくりコラボレーションの実施

(4)流通・マーケティング部門特定の販路での販売を目指し、商品流通を得意とするコラボレーターとの共同により、消費者ニーズを反映した新商品の開発や、既存商品・試作品のリメイク・改善を行う部門 。

<コラボレーター:名児耶 秀美(なごや ひでよし)氏 デザインプロデューサー/アッシュコンセプト(h concept)代表取締役>

【概要】9事業者とマッチングを行った結果、株式会社イー・ビー・アイ、株式会社マルサ斉藤ゴム、株式会社ヨシズミプレスの3社とコラボレーションを実施した。各々、ベジタブレア(レタスのかさ)、三角ふうせん/四角ふうせん、ナンバーフックマグネットなどを制作。また、久米繊維工業株式会社とはH23年度に向け継続して検討を進めることとなった。

【経緯】●5~8月:マッチング実施。●8月~10月:3社の商品企画の可能性を幅広く検討し、絞り込む。●11月~12月:1月のシンポジウム出展に向けて、各社で製品化の精度を上げる。●1月:すみだ地域ブランドシンポジウムに出展。

【成果】●イー・ビー・アイ:非常に斬新で魅力的な商品が完成。特に「見せ筋」として力を発揮することが期待される。●マルサ斉藤ゴム:風船の常識を超えた多角形の風船などを企画制作することで、風船メーカーとして新しい分野を開拓。●ヨシズミプレス:主業務である部品製造から、エンドユーザー向け商品の製造に一歩踏み出すことを体験できた。●いずれもアッシュコンセプトを通じての販売を検討中である。

【課題】●イー・ビー・アイ:原価と適正売価のバランスの調整が課題。●マルサ斉藤ゴム:大きく膨らますとやや丸くなってしまう点など製品特性の向上。●ヨシズミプレス:同社自体の商品として製造販売するのはリスクが予想されたため、アッシュコンセプトが主体となっての事業化を検討。今後の自社事業化への発展が課題。

株式会社イー・ビー・アイベジタブレア

株式会社マルサ斉藤ゴム三角ふうせん/四角ふうせん

株式会社ヨシズミプレスナンバーフックマグネット

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3.ものづくりコラボレーションの実施

<コラボレーター:山田 遊(やまだ ゆう)氏 株式会社method代表取締役>

【概要】14事業者とマッチングを行い、下記8事業者とのコラボレーションを実施した。株式会社NACAMURA(旧有限会社中村断裁所)、株式会社二宮五郎商店、株式会社古河、有限会社柳澤商店、有限会社鈴木化工、サンエー株式会社、久米繊維工業株式会社、株式会社ヘクセンハウス。

【経緯】●5~8月:マッチング実施。●7月~12月:商品企画の検討、試作品の製作、販路の開拓(既存商品を含む)。●1月:すみだ地域ブランドシンポジウムに出展。(山田氏プロデュースによる展示企画「美技礼賛~すみだのモノづくりはウマイ」を「すみだ もの処」で開催、一部商品を展示。)●1~3月:試作品の精度向上、生産準備。

【成果】●株式会社NACAMURA「ORIGAMI for CRANE」…折り鶴を意識して図柄を配した折り紙。アートディレクションはHIROCOLEGEディレクター高橋理子氏。シンポジウム、「すみだ もの処」展示に出展。サンプル開発中、出来次第営業開始。●株式会社二宮五郎商店「革の風呂敷」…ユナイテッドアローズ(UA)の日本文化をテーマとした新ブランド「TABAYAMONO」の1商品として開発。10月23日UA原宿本店ウィメンズ館リニューアルオープン時に発売開始。価格32,000円(税込33,600円)。UA他店でも発売予定。メーカーが開発コストを負担したため、UA以外でのチャネルでも発売可能。シンポジウムに出展。「革の帯」(仮)…革の風呂敷の生産時に出る端切を活用した商品。UA和装部門で取り扱い決定。4月中旬納品予定。●株式会社古河「製本マーブル紙のぽち袋」…伝票の背貼りテープ等に使われるマーブル紙を使用したぽち袋。「製品マーブル紙の水のりつきペーパーテープ」…マーブル紙を使用した水のりつきペーパーテープ。上記2品はシンポジウム、「すみだ もの処」展示に出展。「製本マーブル紙の封筒」(仮)…開発中。上記3品は4月中旬発売予定。監修は文房具ブランド「水縞」。●有限会社柳澤商店「生ちくわぶ」…東京土産を目指した高級ちくわぶ。パッケージをシンポジウムに出展。サンプル開発中。パッケージデザインはEDING:POST代表加藤智啓氏。●有限会社鈴木化工「コードリール」…試作品完成。発売元候補ベロシティと交渉中。ベロシティ社以外の展開方法も検討中。●サンエー株式会社「ちゃんこ巻」の流通開発…相撲部屋への営業を行っていたが、八百長問題のため中断。菓子の商品開発…岡山の菓子メーカーとのコラボを予定、工場を見学。来年度に取り組み開始予定。●久米繊維工業株式会社流通開発…大図まこと氏とのコラボTシャツ「もこもこパンダ」(既存品)のエキュート上野の店舗「rezept」(12月オープン)での取り扱い開始。事業構造=ブランド=ウェブサイトの整理をアドバイス。今後商品開発も計画。●株式会社ヘクセンハウス「お菓子の家」のオリジナル商品の開発・販売を進めていたが、中止。

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3.ものづくりコラボレーションの実施

その他、下記各社のサポートを実施した。●株式会社ヒキフネ金属工芸「スワンシリーズ」の流通開発…西武池袋店での取り扱いを目指したが、最終的には成立せず。「すみだ もの処」展示に出展。●鈴木合金工業株式会社「すみだ焼き器」の流通開発…川島蓉子氏にPR協力を依頼。「すみだ もの処」展示に出展。

以上、年度内に販売1社、試作品4社、新流通開拓1社の成果が上がった。

【課題】上記成果を上げたが、1年間の活動では量的な販売成果を上げるためには期間が短く、今後引き続き試作品の精度向上と量産準備、流通開拓が必要である。

株式会社NACAMURAORIGAMI for CRANE

株式会社二宮五郎商店革の風呂敷

株式会社古河製本マーブル紙のぽち袋製本マーブル紙の水のりつきペーパーテープ

有限会社柳澤商店生ちくわぶ

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3.ものづくりコラボレーションの実施

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(5)商品開発勉強会

トライアル部門参加者に加え、コラボレーションの中でマッチングが成り立たなかった事業者なども対象に、消費者ニーズ・流通イメージ等を的確に捉え、商品企画から商品化までのプロセスを学んでいく勉強会。

【概要】

トライアル部門参加事業者を中心とした下記21事業者を対象にして、3回シリーズの勉強会を実施した。

紗蔵、テルタ株式会社、株式会社平澤製作所、株式会社稲葉、株式会社吾嬬製作所、株式会社FLAGS、有限会社田中幸商店、東京製革業産地振興協議会、株式会社斉藤ステンレス製作所、有限会社サンテック、有限会社塩澤製作所、株式会社片岡屏風店、株式会社エスアールエス・スガヤ、有限会社ヒラメキ工房、橋本印刷株式会社、ヤシマ照明製作所、株式会社モリセイ、ヒノデワシ株式会社、有限会社サトウ化成、株式会社ヨシズミプレス、和紙工房 和

【経緯】

平成22年8月18日(水)、26日(木)、9月2日(木)の3日間、消費者ニーズ・流通イメージ等を的確に捉え、商品企画から商品化、さらには地域ブランド化を目指すまでのプロセスを共同で学んでいく、実践プログラムも盛り込んだ勉強会を開催した。

<講師:影山 恭英(かげやま やすひで)氏 国産株式会社 代表取締役>

●第1回商品開発勉強会

日時:8月18日(水)17:30~19:30場所:墨田区役所12階 122会議室テーマ:商品企画初動のコツ:知恵のたな卸し

~付加価値の源泉である企画アイディア力の抽出方法11社の企業と1名のSOONデザイナーにご参加いただいた。

●第2回商品開発勉強会

日時:8月26日(木)17:30~19:30場所:墨田区役所12階 122会議室テーマ:コンセプトデザイン力の強化:製品から商品へ

~何故今デザインか?ビジネスをデザインする力の必要性12社の企業にご参加いただいた。

●第3回商品開発勉強会

日時:9月2日(木)17:30~19:30場所:墨田区役所13階 131会議室テーマ:デザイナー活用方法

~どのようにデザイナーへ業務を依頼するのが効果的か?9社の企業にご参加いただいた。

【成果・課題】

3.トライアル部門参照

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3.ものづくりコラボレーションの実施

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(6)平成23年度事業の募集

平成23年度「ものづくりコラボレーション」事業開催にあたり、墨田区内事業者の募集を開始した。

【概要】

事業者募集のために、チラシを制作するとともに、東京商工会議所墨田支部から会員にFAXを送り、事業者説明会への参加を促した。

【経緯】

3月上旬:チラシ制作・配布開始

3月9日:東京商工会議所墨田支部から会員にFAX送付

【成果】

チラシ3000部を制作し、商工会議所会員の内1398件にFAXを送った。

※3月11日に発生した「東北地方太平洋沖地震」の影響を考慮し、事業説明会、募集期間等スケジュールを見直し、再度周知を図る予定。

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4.ブランドマネジメントの実施

すみだ地域ブランド戦略の推進母体として、平成21年度に設立した「すみだ地域ブランド推進協議会」を理事会によって運営し、すみだブランド認証事業を中心に、ブランドマネジメント全般を推進した。

(1)すみだ地域ブランド推進協議会の運営

【概要】

平成21 (2009)年度に設立した「すみだ地域ブランド推進協議会」を理事会によって運営。すみだブランド認証事業を中心とする協議会の実施事業や組織運営のあり方等の検討を行った。

<理事会メンバー(敬称略、理事は五十音順)>理事長 水野 誠一 元すみだブランド検討委員会委員長、(株)IMA代表取締役副理事長 阿部 貴明 一般社団法人墨田区観光協会理事長、丸源飲料工業(株)代表取締役社長理事 赤池 学 元すみだブランド検討委員会副委員長、(株)ユニバーサルデザイン総合研究所代表取締役所長

理事 小林 俊介 (株)東あられ本舗会長、元すみだブランド検討委員会委員理事 鈴木 一義 国立科学博物館科学技術史グループ長理事 鈴木 俊雄 東京商工会議所墨田支部副会長、元すみだブランド検討委員会委員、

鈴木興産(株)代表取締役社長理事 藤巻 幸夫 (株)シカタ代表取締役プロデューサー

事務局は墨田区産業観光部産業経済課におき、事務局長は産業観光部長とした。

【経緯】●第二回理事会:平成22年6月28日 14時~16時 墨田区役所7階庁議室<議決事項>・すみだブランド認証事業「すみだモダン」2010の審査結果を検討し、24事業者、28商品を認証することを議決。その際、認証の対象に関して、個々の商品か技術全般か、シリーズ商品かなどの点、また「あたらしくある」という基準との合致などについて検討された。

<協議事項>・認証結果の発表方法について協議し、発表会での展示は、デザイナーやコーディネーターの参加が提案された。

・応募企業フォロー策として、事業者の意欲を尊重し、理事もアドバイスを行う方針を協議。<その他>・認証マーク使用規程についてと、ものづくりコラボレーション事業の進捗について確認。

●第三回理事会:平成22年11月17日 15時~17時 墨田区役所7階庁議室<協議事項>・戦略の今後のあり方については、発信方法として、モノづくりをする人へのフォーカス、国際化対応、エリア観光との関係付け、東京スカイツリー開業時のブームではなく平常時のトレンドとしてブランドを育てることなどが提案された。

・次年度以降の認証対象については、飲食を入れるべきとの意見、従来の名品的な商品を積極的に対象とすべきとの意見、また、伝統的商品も新たなストーリー付けをして、現代的価値を持たせるべきという意見などがあった。

・認証の管理方法については、認証品の派生商品の追加申請に関して、ブランド全体の品揃えを広げる観点から認める意見と、厳密性を尊重し次年度の再申請を求める意見が出され、審査委員会での検討を踏まえることとなった。

・その他、認証事業への区民参加方法、1月開催のシンポジウムに関する確認がなされた。

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4.ブランドマネジメントの実施

●第四回理事会:平成23年3月18日3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震による諸般への影響を受けて、第四回理事会に関しては、次年度のすみだブランド認証事業の方針などの協議内容を上記期日に文書にて理事に送付し、検討いただき、事業方針を決定した。

【成果】すみだブランド認証事業を中心に、すみだブランド戦略事業の実施事業を開始した。すみだブランド認証事業では、初回を実施し、検討を踏まえて、審査・認証の基本的方針を決定した。認証範囲の変更方針について、方針を決定した。また、次年度の認証事業の方針について多様な意見で協議することで、事業内容を決定した。

【課題】(1)すみだブランド認証事業について●東京スカイツリー開業後であり、すみだ地域ブランドのキャンペーン期間終了後の平成24年度以降の事業のあり方を、継続的なブランド運営という視点から、より具体的に検討策定していく必要がある。(2)組織運営について●上記を踏まえて事業を進めるために、協議会として自立的運営を行う組織形態への移行に関する検討・実施が、次年度に持ち越された。

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4.ブランドマネジメントの実施

(2)すみだブランド認証事業の実施

【概要】

すみだブランド認証事業「すみだモダン」2010(第1回の認証事業)を実施した(募集は前年度3月より開始)。事業の概要は下記の通り。

1)目的・効果

①認証商品の持つ輝きにより、墨田区のものづくり全体や文化・地域全体を照らし、区内外からの墨田区の認知度やイメージを高める。

②ブランド認証により商品価値が高まり、販売が促進される。

③区内の事業者にとって、さらに良いものづくりへの目標とし、意欲をますます喚起し、さらなる技術力の向上につなげてもらう。

2)認証対象

墨田区内の事業者による応募(自薦)。

区内の事業者が企画・販売し、認証決定時に購入可能なもの(単品又はシリーズ)。

平成22年度(2010年度)は第1回であり、継続的に行う予定。第1回はモノのみとするが、サービス、事業など、範囲の拡大については、すみだ地域ブランドの認知度の高まりなどを見ながら、今後検討していく。

3)認証基準

①ブランド価値規定との合致度(すみだらしさ)

・すみだの産業の歴史や伝統、文化や技術を受け継いでいる。

・人々の生活への新しい提案や革新性がある。

②ブランド力向上への貢献度

・すみだブランドの知名度・イメージアップへの貢献が期待できる。

・消費者ニーズに合致しており、市場性が高い。

すみだモダン

祭を感じる

日々を彩る

粋に触れる 味に出会う

街と語らう

花火・花見・祭等のイベントや地域に伝えられる文化

生活用品・ファッション等を中心とする商品

現代的な価値を持つ伝統工芸江戸の文化を活かした新しい商品

下町ならではの飲食店や食品・食文化

史跡・文化施設・ショップ等の観光スポット

*今年度は飲食店は除く

【認証対象】

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4.ブランドマネジメントの実施

③独自性

・同業他社の商品等よりデザイン・利便性・快適性の面で優位性がある。

④信頼性・品質

・高い信頼性を持った商品・サービスである。

・質の高さを維持・向上するための取組みや裏付けがある。

⑤理念・姿勢・背景(①~④の前提)

・すみだでものづくりをすることへの想いを持つ企業である。

・すみだの地域活性化に意欲を持つ企業である。

4)認証審査会

すみだ地域ブランド推進協議会の認証審査会が上記の認証基準に基づき審査し、協議会(理事会)が認証する。

認証審査会のメンバーは下記の通り(敬称略・五十音順)。

宮田 亮平 東京藝術大学学長(委員長)

井川 遥 女優

小澤 弘 江戸東京博物館都市歴史研究室長

川島 蓉子 伊藤忠ファッションシステム(株)マーケティングマネジャー

高橋 正実 MASAMI DESIGN主宰/デザイナー

瀧 勝巳 タキカツミ アンド プロデューサーズ 主宰

田中 一雄 (株)GKデザイン機構代表取締役社長

出口 由美 「婦人画報」編集長

橋本 雅治 (株)イデアインターナショナル代表取締役社長

5)認証のメリット

①すみだの想いを伝える、「いちおしの商品」として、ウェブ、雑誌、動画などによって区・すみだ地域ブランド推進協議会が特別なPRを行う。

②認証された商品(商品本体、商品パッケージ、商品タグなど)およびそのプロモーション(広告、ウェブ、パンフレット、チラシ、ポスター、プロモーション映像、イベント会場など)で認証マークを表示できる。

③平成22年度(2010年度)、「SKYプロジェクト」として設置予定の施設ならびに平成24年(2012年)開業のスカイツリーの商業街区に設置予定の(仮称)観光プラザ、区主催の商談会などにおいて、優先的な取扱いを行う予定。

【認証マーク】

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4.ブランドマネジメントの実施

【経緯】

1)募集

3月24日に企業向けの説明会をすみだリバーサイドホールにて実施し、26日より4月16日まで募集を行った。71社より144商品の応募があった。

2)書類審査

事務局にて応募資格が不適格な企業・商品の除外を行い、審査会の審査対象は69社の142商品となった。

また、5月18日に東京商工会議所墨田支部推薦者等により、応募商品に対する推薦コメントを付与していただいた。

3)協議会理事及び審査委員による交流会

日時・場所:5月24日 11:30~13:30 すみだ産業会館第3会議室

議事内容:認証基準・審査方法に関する説明と質疑応答・意見交換

事業の主旨と審査方法の共有を図る目的で、理事と審査委員による交流会を実施した。認証基準及び審査手順について確認が行われた。江戸以来の歴史や伝統と、現代における提案性や評価をどうミックスするかが審査のポイントとされた。また、PRの重要性に関する指摘もあった。

※各会議体の配布資料・発言要旨等は資料編参照。

4)すみだブランド認証審査会

日時・場所:6月9日 10:30~12:30 すみだリバーサイドホール2Fイベントホール

議事内容:投票と議論による認証候補の選定

審査会には審査委員9名全員に加え、オブザーバーとして理事6名が参加。会場に並べられた応募商品の実物を見ながら、審査委員は1名20点までを選定・投票し、その集計結果に基づき、宮田委員長の進行のもと審査を行い、認証候補商品を選定した。なお、審査会の冒頭(審議に入る前)はPRのためにマスコミに公開した。

審査の過程で議論になった主なポイントは下記の通り。

・伝統があり、よいモノだが、新規性や現代性が不十分なモノをどう評価するのか、明確にする必要がある。

・商品を作っている企業のストーリー・背景を考えて選ぶのがよい。

・認証品でも改善すべき点があるモノもあり、事後の指導やフォローアップが重要である。

・使い手の視点で審査を行うためには、全てパッケージを剥いて触れるようにするとよい。

5)第二回理事会

日時・場所:6月28日 14:00~16:00 墨田区役所7F庁議室

議事内容:審査会による認証候補より認証商品の決定

24社28件を認証した。認証商品は下記の通り。

<粋に触れる>

・001錺(かざり)かんざし(かざり工芸三浦)

・002名刺入れ「鏨の息吹」(有限会社塩澤製作所)

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4.ブランドマネジメントの実施

・003マグネット「日本お持ち帰り」(有限会社塩澤製作所)

・004江戸小紋着尺「鮫小紋」・訪問着「鮫柄」(有限会社大松染工場)

・005御誂え足袋(向島めうがや)

<日々を彩る>

・006東京職人(一部商品)(株式会社イー・ビー・アイ)

・007久米繊維謹製 色丸首(久米繊維工業株式会社)

・008「すまいるスイム」シリーズ(フットマーク株式会社)

・009水中運動用ゆったりキャップシリーズ(一部商品)(フットマーク株式会社)

・010北斎シリーズ(紗蔵(さくら))

・011銅製如雨露(根岸産業有限会社)

・012まとまるくん(ヒノデワシ株式会社)

・013ペーパークラフトシリーズ(株式会社古河)

・014Mマークシリーズ(一部商品)(松山油脂株式会社)

・015典型浴用石けん・典型洗顔石けん(松山油脂株式会社)

・016江戸前すり口醤油注ぎ(岩澤硝子株式会社)

・017e-glassシリーズ(松徳硝子株式会社)

・018江戸木箸 五角・七角・八角削り箸(有限会社大黒屋)

・019江戸木箸 究極相棒(携帯箸)(有限会社大黒屋)

・020江戸硝子しょう油差し(廣田硝子株式会社)

・021江戸切子「粋と技シリーズ」(有限会社ヒロタグラスクラフト)

・022和庖刀・洋庖刀(一部商品)(株式会社正本総本店)

<味に出会う>

・023アラレカフェ(株式会社東あられ本舗)

・024キングアイス(アヅマ製氷冷蔵株式会社)

・025江戸砂糖漬(株式会社梅鉢屋)

・026ハム・ソーセージ(一部商品)(株式会社桑原ハム)

・027すみだ一等米せんべい&だんご(一部商品)(有限会社坂本せん餅)

・028すみだちゃんこ巻(サンエー株式会社)

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4.ブランドマネジメントの実施

6)すみだブランド認証「すみだモダン」2010発表会

日時・場所:7月26日 10:30~13:00(式典は11:00まで) すみだリバーサイドホール・ミニシアター及び会議室

認証事業者へ認証書を授与する式典を行うとともに、認証商品を展示しマスコミに公開、取材に対応した。

7)認証事業者説明会

日時・場所:8月17日 18:00~19:00 墨田区役所13階131会議室

議事内容:認証商品の今後へ向けた取組についての説明と質疑応答

ブランド認証事業の意義を確認するとともに、PR・販売促進活動、商品力の向上、品質管理等、認証事業者に期待する取組のお願いを行った。また、認証マークの使用方法について説明した。

<ブランド認証メッセージカード> ※その他の配布資料は資料編参照。

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4.ブランドマネジメントの実施

【成果】

140件以上の応募を得て、28件の認証が行えたことは、第1回目の取組としては十分な成果を上げたと考えられる。

審査会、発表会を中心に多くのメディアが取材に来場し、事業や認証商品が報道された。また、「すみだ もの処」での展示・販売やシンポジウムでの展示を行った。

これらの結果、認証事業者に対するアンケートによれば、商品の売上、問合せについては半数程度が増加した、企業の知名度については2/3が向上したと回答しており、一定のPR・販促効果を上げたと考えられる。(資料編参照)

【課題】

ブランド認証事業及び認証商品に対する区内外での認知度はまだ低いと言わざるを得ず、認知拡大は不可欠である。

前述アンケートによれば、認証事業者の多くは販路拡大に認証を積極的に活用していると回答しているが、認証マークの利用が少数にとどまっている等、より一層の販促への活用の働きかけが必要である。

理事、審査委員の間で認証基準に対する理解にややばらつきがあり、来年度は認証基準の共有化が不可欠である。また、認証事業者の有限会社大松染工場より商品の追加申請があったが、ルールが曖昧であったために対応への意見が割れた。この点も含めて、認証に関わるルールの明確化が必要である(→来年度の実施に向けてルールを明確化した。次節参照)。

今年度は持ち帰り可能な食品を含む商品を認証対象としたが、今後範囲の拡大が必要である(→来年度は飲食店メニューに対象を拡大することとなった。次節参照)。

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4.ブランドマネジメントの実施

(3)平成23年度事業の募集

【概要】

すみだブランド認証事業「すみだモダン」2011(第2回の認証事業)を企画した。年度内に説明会を実施、募集を開始する予定であったが、東北地方太平洋沖地震の発生に伴い、募集は来年度に延期することとなった。事業の内容(主な変更点)は下記の通り。

1)部門・認証対象

①以下2部門とする。

商品部門:商品及び持ち帰り可能な食品(22年度と同じ)

飲食店メニュー部門:店舗名+代表メニューで認証する。

②1社あたり複数の商品(シリーズ含む。)、メニュー(単品)を応募可。また、1社あたり複数の商品が認証されることも可能。

2)審査方法

①区民参加の仕組み:すみだブランド調査隊を募集

区民・区内通勤者・区内通学者・区内産業団体・個だわりすみだ発掘隊員*から、30名程度募集する。(性別・年齢層を考慮して決定)

*個だわりすみだ発掘隊:区内在住の消費者(主婦中心)から成る調査隊を組織し、こだわりを持った個店を発掘しPRする区の事業。発掘隊自身及び区民から個店情報を集め調査している。

②商品部門の審査

区民(調査隊)による投票は、「参考」票とし、審査委員が選定した上で、理事会が議論の上決定する。

③飲食店メニュー部門の審査

商品部門とは、審査内容の性質が異なることから、審査方法も異なるものとする。

区民(調査隊)による書類審査・試食結果を受けて、理事会が議論の上決定する。

商品部門の審査委員は、協力いただける方のみ特別調査隊員となり意見をいただくという位置づけとする。

※認証審査会審査委員は、飲食店メニュー部門については審査会で審査を行うのではなく、協力可能な方のみ調査隊に参加していただく。

④審査会には、理事がオブザーバー参加する。発言は行うが、投票は行わない。

3)認証方法・方針、発表など

①売り場、品揃えを意識した認証を行う。

②部門ごとに、審査方法・性質が異なるため、差異感を出す発表とする。名称案は以下のとおり。

・商品部門:すみだブランド「すみだモダン」2011 認証

・飲食店メニュー部門:すみだブランド「すみだモダン グルメセレクション」2011 認証

4)認証範囲の変更等

・審査会を経ており、審査会で商品・商品シリーズそのものが認められなかったものを理事会で認証することは行わない。

・プロモーション上の理由がある場合、審査会で認証候補としたものを理事会で認証しないことは可能とする。

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4.ブランドマネジメントの実施

・理事会が妥当と判断した場合は、事業者に了解を得た上で、複数の単品を商品シリーズと見なすことができることとする。

・商品シリーズの場合、シリーズへのアイテム追加・削減は理事会の権限で行う。

・認証発表後、商品シリーズではなく、コンセプト・用途・機能・素材等の全く異なる派生商品が申請された場合は、再応募を求める。

【経緯】

3月17日開催の第四回理事会にて来年度ブランド認証事業の内容を検討・承認の予定だったが、東北地方太平洋沖地震の発生に伴い、書類持ち回りにて決定した。

今後のスケジュール案は、下記の通り。

4月下旬 事業者への説明会

~5月末 募集

6月 書類審査

5月下旬~6月上旬 すみだブランド調査隊募集(6月下旬 決定・発表)

7月上旬 すみだブランド調査隊への説明会

~7月中旬 飲食店メニュー部門への投票

7月下旬 理事会、理事及び審査委員の交流会

8月 調査隊(審査委員)による試食

9月中旬 審査会(認証商品候補の選定)

審査会に先立ち、調査隊による商品部門への投票

9月下旬 理事会(認証決定)

11月下旬 発表

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4.ブランドマネジメントの実施

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【平成23年度すみだブランド認証事業チラシ】

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4.ブランドマネジメントの実施

(4)すみだ地域ブランドホームページ掲載記事の作成

【概要】「すみだブランド認証事業」「ものづくりコラボレーション事業」に関して、すみだ地域ブランドホームページの元となる情報をとりまとめた。(「すみだブランド認証事業のホームページ)

【経緯】●平成22年7月:「すみだブランド認証事業」の発表内容をとりまとめた。●平成23年3月:「ものづくりコラボレーション事業」の開発成果等をとりまとめた。以上の情報はいずれも、すみだ地域ブランドホームページの制作担当者により、ホームページによりまとめられ掲載された。

【成果】●すみだ地域ブランド戦略の主要施策である上記事業の成果を、継続的に誰もが見ることができる条件を整備することで、ブランドのPRに貢献した。

【課題】●すみだブランドのイメージを確立するとともに、販売促進に結び付けるため、一層商品の背景にあるストーリーをくみ上げ、使用する生活者の使用ニーズに訴えるような記事内容とすることを心がける必要がある。

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4.ブランドマネジメントの実施

(5)SKYプロジェクトとの調整

【概要】別事業であるSKY(Sumida Kick-off Year)プロジェクトとの調整を行いながら、「地域ブランド戦略の推進事業」を進めた。具体的には、SKYプロジェクトで設置運営した展示・販売施設「すみだ もの処」での展示・販売の企画・実施に、当事業で進める「ものづくりコラボレーション事業」開発商品や「すみだブランド認証事業」の認証商品を反映させ、ものづくりコラボレーションのプロデューサーを参加させるなどの調整を行った。(「すみだ もの処」オープン時写真)

【経緯】●平成22年8月~:上記施設が「すみだ もの処」として8月に開店。以降、ものづくりコラボレーション開発商品やすみだブランド認証の認証商品を展示・即売。●平成23年1月:「ものづくりコラボレーション事業」のコラボレーターである山田遊氏をプロデューサーとする展示企画「美技礼賛~すみだのモノづくりはウマイ」の企画を山田氏と調整し、実施。同時期に開催したすみだ地域ブランド戦略の一環である「すみだ地域ブランド戦略シンポジウム」での紹介を行い、シャトルバスで両会場を結んだ。(「美技礼賛」展示風景写真 撮影:塚田 比呂子)

【成果】●SKYプロジェクトとの連携により、本事業で開発・認証した商品を実際にお客様に見ていただき購入いただくことが継続的に可能となった点は、すみだ地域ブランドを発信して具体的イメージを形成する意味で非常に大きな意義がある。●同じく、本事業で開発・認証した商品の販売促進という点からも大きな意義がある。

【課題】●「すみだ もの処」は東京スカイツリー(R)の直近に位置することもあって、すみだへの来場者にすみだのイメージを伝える大きな役割を果たしているが、区外ですみだブランドのイメージを伝え、区外に商品を販売していく点も強化する必要がある。