2020年に向けたリユース食器、 リユースカップの...
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東京都『「持続可能な資源利用」に向けたモデル事業』
2020 年に向けたリユース食器、
リユースカップの利用促進事業報告書
平成 30 年 2 月
一般財団法人地球・人間環境フォーラム
.
はじめに
東京 2020 オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、東京 2020 大会)では
1,000 万人以上が来場すると予想されており、膨大な廃棄物が排出される。オリンピッ
ク・パラリンピック競技大会の運営においては持続可能性への配慮が不可欠となって
おり、中でも持続可能な資源利用に積極的に取り組むことが求められる。
東京 2020 大会では、リユース食器を 3R の取り組みの象徴として導入することによ
り、廃棄物を大幅に削減すると同時に、国内外からの来場者に向けて、もったいない
精神、スポーツ観戦マナー等を伝える機会にもなり得る。また、リユース食器の洗浄
現場では知的障害者が多く働いており、環境と福祉をつなぐ取り組みとしても注目さ
れていることから、東京 2020 大会が環境、福祉、人権等にも配慮したエシカルオリン
ピックの象徴的な取り組みとしての評価にもつながる。
東京都が東京 2020 大会とその後を見据えた施策をとりまとめた「東京都資源循環・
廃棄物処理計画~Sustainable Design TOKYO~(以下、循環計画)」においても、持続
可能な資源利用を実現させるために「都内で行われる大規模イベント時にリユース容
器の使用等を促す「ガイドライン」を作成することなどにより、区市町村や事業者と
協力して使い捨て型製品の使用を抑制していく」ことが明記されている。東京 2020 大
会を控え、今後さらに数多くのイベントが開催されると予想される中、東京都内での
リユース食器の利用を促進し、環境に配慮したイベントを定着させていくことが急務
である。
国内では 2003 年頃から一部のイベントやお祭り、サッカー場等でリユース食器が利
用されているが、食器の洗浄・輸送やオペレーションにかかるコスト、衛生面に関す
る懸念が課題となり、大幅な利用拡大には至っていない。一方で、フランスでは一部
自治体でイベントにおける使い捨て容器の使用を禁止する条例が制定され、デザイン
性の高いオリジナルカップを来場者の 8 割が記念品として持ち帰って活用するという
方式で、年間 7,000 万個が利用され、ごみの減量に効果をあげている。2015 年ラグビ
ーW 杯英国大会、EURO2016 フランス大会等の国際的なスポーツイベントでも利用さ
れている。
本報告書では、東京 2020 大会に向けてリユース食器の利用促進を図り、持続可能な
資源利用を進めるために、東京都と共同で当財団がフランスの取り組みを参考にした
日本初のリユースカップ導入実証試験を実施するとともに、リユース食器の衛生管理
に関する専門家検討会を開催した結果をまとめたものである。
本実証実験の実施にあたり多大なるご協力をいただいた株式会社東京スタジアム、
東京新聞、公益財団法人日本ラグビーフットボール協会に心より感謝申し上げる。
平成 30 年 2 月
一般財団法人地球・人間環境フォーラム
理 事 長 炭 谷 茂
5
目次
第 1 章 リユースカップ導入実証試験【プレ試験】 ........................................................... 1
1.イベント概要 ................................................................................................................... 1
2.キッチンカーでの実証試験 ........................................................................................... 1
3.給水所での運用 ............................................................................................................... 7
4.ブース出展とアンケート調査 ....................................................................................... 9
5.プレ試験の検証 ............................................................................................................. 15
<参考資料> ............................................................................................................................. 16
第 2 章 リユースカップ導入実証実験【本試験】 ............................................................. 23
1.イベント概要 ................................................................................................................. 23
2.実施概要 ......................................................................................................................... 23
3.結果 ................................................................................................................................. 26
4.本実証実験の検証 ......................................................................................................... 33
<参考資料> ......................................................................................................................... 36
第 3 章 リユース食器の衛生管理検討会 ............................................................................. 40
1.概要 ................................................................................................................................. 40
2.議事要旨 ......................................................................................................................... 40
<参考資料>リユース食器の衛生管理検討会配布資料 ................................................. 43
1
第 1 章 リユースカップ導入実証試験【プレ試験】
1.イベント概要
名称:味の素スタジアム 6 時間耐久リレーマラソン
日時:2017 年 11 月 4 日(土)8:00~17:00
場所:味の素スタジアム(東京都調布市西町 376−3)
主催:東京都、東京陸上競技協会、東京新聞
子供と保護者がスタジアム内を走るファミリーランの他、2~10 人までを 1 チーム
として 6 時間走った距離を競う「6 時間リレーマラソン」と、フルマラソンの距離を
走ったタイムで競う「42.195km リレーマラソン」が実施された。リレーマラソンには
約 1400 チームが参加し、スタジアム内と外周をあわせた 1 周 2km のコースを周回し
た。
スタジアム内の下層スタンドが開放され、ランナーや、ランナーの応援を行う約 2
万人が集う中、北澤豪氏など特別ゲストによるトークショーやミニライブ等がステー
ジで行われた。スタジアムのコンコースにはキッチンカーによる飲食出店、スポンサ
ー・スポーツ用品等のブース出展など、様々な催しが行われた。
リユースカップの実証試験は飲食ゾーンに設置されたキッチンカーと、ランナー向
け給水所のそれぞれで異なる方法で実施した。
キッチンカーの出店管理者や給水所の担当者との連絡調整、リユースカップの搬入
搬出、当日の運用に係る人員・備品の手配・運営、各キッチンカーや給水所の回収所
での使用数・回収数等の把握等については、野外音楽イベントでの環境対策の取り組
みの実績がある NPO iPledge に委託しして実施した。
2.キッチンカーでの実証試験
(1)実施概要
味の素スタジアムのコンコースに設置された飲食ゾーンに出店したキッチンカーに
おいて、アルコール飲料に限定してリユースカップを導入し、100 円のデポジットを
かけて販売した。
来場者にはリユースカップを気に入った場合は持ち帰って活用してもらうことを推
奨し、不要な場合はキッチンカーに返却できる(100 円を返金する)という仕組みで
運用を行った。
2
①リユースカップのデザイン
東京の街並みを背景にお祭やイベントが開催される様子
をイメージした「Enjoy 東京 cup」(右写真)を新たに
デザインし、株式会社台和に委託して、450ml サイズの
カップ 2,000 個を製造した。
これまでリユースカップの印刷は既製品のカップを手
作業で1つ1つ機械にかけて印刷を施すシルク印刷が行
われていたが、 大で 2 色までしか使用できなかった。
また、細かく複雑なデザインはつぶれたり、目詰まりす
ることがあり、グラデーションやぼかしなど、色が交じ
り合うような表現も再現できなかったことから、デザイ
ンに制約があった。
本試験では、グラデーションや写真のような複雑なデザインも印刷可能な、フィル
ム転写方式というフルカラーで印刷したフィルムをリユースカップに貼りつける印刷
方法を採用した。
②キッチンカーでの運用
◆導入店舗:全 12 店のうちアルコール飲料を扱う下記の 8 店舗
(括弧内は主要メニュー)
ダイナマイト酒場 (名物ビフテキ丼)
coedo (北海丼)
長城菜館 (台湾まぜそば)
PINOS (ビーフステーキ&ベイクドボテト)
Bear’s CAMP Café (キャンプドッグ)
富士山食堂 (富士宮やきそば)
ベラクルス (デラックスタコス)
塩だれ本舗 (東京豚丼)
◆導入飲料:アルコール飲料(生ビール、缶ビール、チューハイ類)
※缶に入ったアルコール飲料はカップに移し替えて販売するという出店条件が定
められていたため、リユースカップを利用する条件に切り替えた。ソフトドリ
ンクはペットボトル入りの状態のまま販売された。
導入したリユースカップ
3
◆カップ代金(デポジット):100 円(各飲料には販売価格が指定されており、対象
飲料を販売する際に、リユースカップ代として 100 円を上乗せて販売した)
◆キッチンカーでのアルコール飲料販売価格
種類 販売価格(指定価格+カップ代)
生ビール 700 円(飲料代 600 円+カップ代 100 円)
缶ビール 600 円(飲料代 500 円+カップ代 100 円)
チューハイ類 500 円(飲料代 400 円+カップ代 100 円)
◆広報ツール
リユースカップを導入する各キッチンカーには、「リユースカップでごみ減量
中!!」という文言を入れたのぼりを掲示し、リユースカップの導入を PR した。ま
た、「リユースカップで販売されているものには、カップ代 100 円が含まれていま
す」という文言と仕組みをイラストで表したポップを掲示した。
◆利用者へのアナウンス
キッチンカーの販売員はアル
コール飲料を購入する利用者に
対して、気に入った場合はリユ
ースカップを持ち帰って構わな
いこと、不要な場合はキッチン
カーに戻すと 100 円を返金する
ことを伝え、持ち帰るか返却す
るかは利用者の判断にゆだねる
こととした。
利用者の混乱を避けるため
に、iPledge のスタッフを 2 店舗につき 1 人、合計 4 人配置し、取り組みを紹介したち
らしを用いながら利用者への説明を行った。
◆イベント終了後
キッチンカーごとにリユースカップの使用数をカウントし、デポジットの精算を行
った。リユースカップの販売数よりも回収数が少ないキッチンカーには、デポジット
分を返金してもらい、販売数よりも回収数が多いキッチンカーにはデポジット分を支
払った。
販売数 = 納品数 - 未使用数 - 汚れて販売に使用しなかったカップ数※
(※ビールサーバーがほぼ空の状態のときにビールが噴出しカップが汚れた場合)
4
販売数 > 回収数 = キッチンカーに返金
販売数 < 回収数 = キッチンカーに請求
各キッチンカーに対して、リユースカップ導入に際して、利用者への周知、カップ
の回収など追加的に発生した作業に対して、1 店舗につき 5,000 円の協力金を支払っ
た。
③洗浄
リユースカップはクリーンルームで製造されていないことから、使用する前に必ず
洗浄しなければならない。キッチンカーに納品したリユースカップ、回収したリユー
スカップは全てきょうされんリサイクル洗びんセンター(東京都昭島市)に洗浄を委
託し、専門の洗浄設備において前洗浄を行った。回収した使用済みのリユースカップ
も同センターで洗浄を行った。
(2)実験結果
①リユースカップ使用数と回収数
各店舗 200 杯程度の販売見込みを想定し、合計 1,600 個リユースカップを納品した
が、リユースカップを使用したアルコール飲料の販売数は合計 490 杯だった。
そのうち、利用者がキッチンカーに使用済みのリユースカップを返却した数(回収
数)は 297 個(60.61%)。キッチンカーに戻ってこなかった(持ち帰られた)リユー
スカップは 193 個(39.39%)だった。
リユースカップを導入した各店舗の販売数、回収数は下記の通り。
納品数 返品数 販売数 回収数 デポジット※
ダイナマイト酒場 200 180 20 30 ¥ -1,000
Coedo 200 100 100 75 ¥ 2,500
長城菜館 200 160 40 10 ¥ 3,000
PINOS 200 123 77 52 ¥ 2,500
Bear’s CAMP Café 200 194 6 8 ¥ -200
富士山食堂 200 175 25 19 ¥ 600
ベラクルス 200 8 192 83 ¥ 10,900
塩だれ本舗 200 170 30 20 ¥ 1,000
合計 1,600 1,110 490 297 ¥ 19,300
5
スタジアムのコンコースに設置されてい
る常設の 6 カ所のごみ箱の横に、給水所で
使用したカップを回収する目的で、リユー
スカップ専用の回収箱を設けたところ(右
写真)、キッチンカーで導入したリユース
カップが 53 個混入していた。
イベント終了後にスタジアムの清掃員に
協力を得て、スタジアムのごみ箱の中に捨
てられていたリユースカップを回収したと
ころ、37 個あった。
キッチンカーで販売された 490 個のリユー
スカップのうち、キッチンカーに返却されな
かったリユースカップが 193 個あった。その
うち 53 個は会場内に設置した回収箱に返
却、37 個は会場内に放置又は捨てられてい
たことから、利用者がスタジアムから自宅等
に持ち帰った数は 103 個(販売数の 21.02%、キッチンカーに返却されなかったカップ
の 53.36%)と推計される。
◆リユースカップ使用状況
1.キッチンカーに返却されたリユースカップ 297 個 60.61%
2.キッチンカーに返却され
なかったリユースカップ
回収箱に返却 53 個 10.82%
ごみ箱に廃棄 37 個 7.55%
家等に持ち帰り? 103 個 21.02%
合計(1+2) 490 個 100%
キッチンカーに返却
297個
61%
回収箱に返却
53個
11%
ごみ箱やスタン
ド等に放置 37
個
7%
家等に持ち帰り?
103個
21%
リユースカップ使用状況
6
キッチンカーで購入したリユースカップをキッチンカーに返却すれば 100 円が返金
される仕組みが利用者に確実に伝わっていなかったこと、給水所でもサイズは異なる
が同じ「Enjoy 東京 cup」デザインのリユースカップを導入しており、コンコースに
あるごみ箱の横に設置した回収箱に「Enjoy 東京 cup」の写真を掲載していたことな
どから、キッチンカーで購入したリユースカップも回収箱に返却しなければならない
と誤解を招いたこと等が予想される。
③利用者、キッチンカーの反応
出店管理者がキッチンカーにリユースカップを使った感想についてヒアリングした
結果は下記の通り。
◆返金代金の¥100 が不足する可能性がある。
今回は問題なかったが、リユース返金用に 100 円を用意しておかないとつり銭切れ
になるかもしれない。
◆返却されたリユースカップの置き場所について、スペースがあまりない現場の場
合、返却されたリユースカップの置き場所に困ると思った。今後、認知度も上がっ
て返却数が増えれば尚更スペースが厳しくなると思う。
◆リユースカップの事を知らず、代金がちょっと高いとの声が 3~4 件あった。
◆販売時は、カップに注いでいる間にリユースカップの説明はほぼ全員に可能だっ
たが、もしも混雑していたら回収は負担になりそう。
◆並んでいるお客の横からカップを返却に来るので、接客中、会計中にカップを受
取り、100 円返することになる。7、8 人同時に返却に来る事もあったので、注文中
のお客を少し待たせしてしまった。
◆回収はゴミ箱の横などに担当者が立ち、声がけと回収 BOX に回収してもらえれ
ば、お店側は助かる。
他にも、普段使用している紙コップと大きな差がなく利用することができたとの声
が多く聞かれた。また普段は 1 個 14~15 円の紙コップを購入して使用していたので、
カップ代が不要になる上に、カップをイベント会場に運んで来なくて良いので助かる
という声が聞かれた。
一方で、リユースカップは紙コップよりも丈夫だが、冷たいビールがぬるくなりや
すく感じるといった感想や、缶ビールを移し替えるには 450ml サイズは小さく、普段
は 18 オンス(約 532ml)の紙コップを使用しているので、同サイズが良いなどの要望
があった。
7
今回はアルコール飲料にのみリユースカップを導入し、ソフトドリンクはペットボ
トル入り飲料が販売されたが、ソフトドリンクを購入した利用者からリユースカップ
に入れてもらえないのかという質問も寄せられていた。
また、お客さんはメニュー表を集中してみているので、リユースカップの実験に関
する掲示は見ておらず、販売時にリユースカップに関する取り組みを一から説明する
こととなり、PR の方法に工夫が必要ではないかという意見もあった。
今回は一律で全店舗に各 5,000 円の協力金を支払ったが、回収数や販売数に応じて 1
個 10 円でも十分だという声や、今回のように店舗ごとに差の出ない一律料金が良いと
いう意見があった。協力金よりも、回収に対応するための人員を配置してほしいとい
う声も寄せられた。リユースカップの導入数が多くなる場合は、人手やデポジット用
の釣銭が足りなくなることを心配する意見もあった。
3.給水所での運用
(1)実施概要
同イベントにおいて、 も多く使い捨て容器が使用されているのは、ランナーの給
水用のカップである。近年のマラソンブームの影響もあり、東京マラソンをはじめ、
各地で様々なランニングイベントが開催されているが、給水用に大量の使い捨てカッ
プが使用され、廃棄されていることから、ランニングイベントにおけるリユースカッ
プ導入に関する検証も合わせて実施した。
1 周 2km のマラソンコース内に設置された給水所 2 カ所のうち、スタジアム内に設
置された給水所において、リユースカップを導入。デポジットをかけずに、給水所の
近くに回収所を設置して、使用済みのリユースカップを回収した。
①導入カップ
下記 2 種類の 280ml サイズのリユースカップ合計 2 万 2,000 個を運用した。
カップの種類 入手方法 個数
ハートのロゴカップ 地域環境デザイン研究所 ecotone からレンタル 12,000 個
Enjoy 東京 cup 新たに製造 10,000 個
8
リユースカップを保有して、お祭やイベント向けに
貸し出している NPO 等から、給水所で必要となる 2 万
2,000 個のリユースカップをレンタルすることを検討し
た。しかし、都内で貸し出しを行っている 2 団体には
在庫が少ないことから、祇園祭等で使用する大量のリ
ユースカップを保有している京都にある地域環境デザ
イン研究所 ecotone からハートのロゴカップ(右写真)
を 1 万個レンタルし、残り 1 万 2,000 個を新たに製造
した。
②運用方法
給水所は地元のバレーボールチームに所属する小学生がボランティアでランナーに
リユースカップに入った水を手渡すことが定例となっており、本実験において、リユ
ースカップを導入した給水所においてもバレーボールチームが運営を行った。
ホースで流し込んだポリバケツの水をひしゃく
ですくい、テーブルに並べたリユースカップに流
し込む作業を保護者が行い、小学生たちが水の入
ったリユースカップを「回収にご協力ください」
と声掛けながら、ランナーに手渡していった(右
写真)。
2 種類のリユースカップはハートのロゴカップ
から使用し、在庫がなくなると、Enjoy 東京 cup を使用した。使用済みのリユースカ
ップは、給水所の両脇に設置した回収所で回収した。iPledge のスタッフが 1 か所の給
水所に 2 名立ち、ランナーから使用済みのリユースカップを受け取った。
③洗浄
給水所で導入した Enjoy 東京 cup はきょうされんリサイクル洗びんセンター(東京
都昭島市)で前洗浄を行い、回収した Enjoy 東京 cup も同センターで洗浄を行った。
ハートのロゴカップは京都にある地域環境デザイン研究所 ecotone に返却し、同研究所
が洗浄を行った。
(2)実験結果
①リユースカップの使用・回収数
給水所では合計 2 万 250 個のリユースカップを使用した。給水所横に設置した回収
所に 2 万 169 個、コンコースの常設ごみ箱の横に設置した回収箱に 43 個、合計 2 万
9
169 個を回収した(回収率 99.6 %)。ハートカップの紛失数は 16 個(回収率
99.87%)、東京カップの紛失数は 47 個(回収率(99.33%)と高い回収率であった。
◆リユースカップ納品数、使用数
カップの種類 納品数 未使用数 使用数
ハートカップ 12,000 0 12,000
東京カップ 10,000 1,750 8,250
合計 22,000 1,750 2,250
◆リユースカップの回収数、紛失数
カップの種類
回収数 紛失数
回収所 常設
ごみ箱横 合計
ごみ箱に
廃棄
その他 合計
ハートカップ 11,954 27 11,984 3 13 16
東京カップ 8,179 16 8,194 8 47 55
合計 20,126 43 20,169 11 60 71
4.ブース出展とアンケート調査
キッチンカーの近くに設置されたブースゾー
ンの一角で、ブース出展を行い、さまざまなデ
ザインのリユースカップを展示し、リユースカ
ップの PR を行った。
また、リユースカップの認知度、妥当なデポ
ジット金額等を問うアンケートを行った。アン
ケートの協力を得るために、アンケート回答者
にはもれなくリユースカップまたは醤油さし
を、さらに抽選で 22 名に象印製のボトルをプ
レゼントした。
合計で 560 人の回答を得た。アンケートの回
答は下記の通り。
10
問1では、リユースカップの認知度を調べた。「今日初めて知った」割合が 77%
(434 人/560 人)、これまでに使ったことがある人はわずか 5%(27 人/560 人)
と、ほとんど知られていないことが明らかになった。
問 2 では、どのようなデザインであれば、カップを持ち帰ろうと思うのかを尋ね
た。下記の A~D の 4 種類のデザイン見本のリユースカップサンプルを作成し、回答
者に現物を見てもらいながら、どのカップを選択するかを選んでもらった。
B と C を選択する割合が 36%、35%と多く、A と D がいずれも 14%あった。
A ロゴのみ B ロゴ+マラソンモチーフの背景
C マラソンモチーフの背景のみ D リユースロゴと取り組みのメッセージ
77%
18%
5% 0%
問1.リユースカップを知っていましたか?
1.今日はじめて知った
2.これまでに聞いたことがあった
3.これまでに使ったことがあった
4.その他
11
問 3 では、問2のカップを選んだ理由について質問した。A と B を選んだ人は
「1.イベントのロゴが入っている」を選択した割合が高く、C と D を選んだ人は
「2.普段使いできるデザインだから」を選んだ割合が高かった。
問 4 では、持ち帰ろうと思うリユースカップの設定金額について質問を行った。100
円が も多く 67%を占めた。
1.100円67%
2.200円20%
3.300円7%
4.500円2%
5.その他
4%
問4.問2で選んだカップがいくらだったら、返却せずに持ち帰ろうと思
いますか?
1.イベントのロ
ゴ、日付等が入っ
ているから
44%2.普段使いでき
るデザインだから
42%
3.取り組みの
メッセージが明確
に入っているから
7%
4.その他
7%問3.問2で選んだ理由は何ですか?
1.A14%
2.B36%
3.C35%
4.D14%
5.その他
1%
問2.どのリユースカップを記念に持ち帰りたいと思いますか?
12
問 5 では、リユースカップ代が、環境保護活動やマラソンの振興に活用される場
合、いくらだったら持ち帰ろうと思うか、設定金額について再度質問を行った。問 4
と同じ金額を選ぶ人が 63%、問 4 よりも多い金額を選択した人が 29%、減らした人が
4%いた。イベントの主催者や関連の取り組みの振興、環境保護活動に活用されると
なると、カップ代をさらに追加して払うと考える人が多くいることがわかった。
問 6 ではリユースカップに関する感想、意見を自由に記述いただいた。回答は下記
の通り。
◆デザインが良い
・おしゃれ、かっこいい、かわいい 17 人
・記念になる 2 人
・豊富で良い 3 人
◆機能が良い
・しっかりとした作りでよい 4 人
・使いやすい 3 人
◆環境に良い 21 人
・エコで良い、環境保護に有効
・無駄がでなくて良い
・ごみにならなくて良い
・給水所で使っているのを見て感動した
・使い捨てカップを減らし、
リユースカップを増やしてほしい
1.100円
51%2.200円29%
3.300円14%
4.500円4%
5.その他
2%
問5.リユースカップの代金が環境保護活動や、マラソンの振興等
に活用される場合、問2で選んだカップがいくらだったら、返却せ
ずに持ち帰ろうと思いますか?
13
◆その他
・とても良い、素晴らしい取組 39 人
・面白い取り組み 3 人
・すごい、えらい 3 人
・もっと広がるとよいのに 9 人
◆要望
・色つきだと良い 1 人
・デザインを豊富にして欲しい 3 人
・デザインが変えられると良い 1 人
・デザイン性をもっと高めて欲しい 2 人
・ネットで自分でデザインできると良い 1 人
・フタがあると良い 2 人
・折りたたみやストラップ付きが良い 2 人
・名前が書けると良い 1 人
・小さいと持ち運べるのに 3 人
・長く使えるよう丈夫にしてほしい 2 人
◆意見
・値段が高いと難しい 1 人
・原材料を知りたい 2 人
・紙の方がきれいな気がする 1 人
・返却時の衛生面の説明が必要 2 人
リユースの取り組みについて好意的な意見が寄せられた。一方で、形状やデザイン
について様々な意見が寄せられたほか、一部値段や衛生面について質問や意見が寄せ
られた。
14
なお、本アンケート回答者の属性は下記の通り。
男性
61%
女性
39%
性別~9才
6% 10代8%20代14%
30代30%
40代26%
50代13%
60代2%
70代以上
1%
年齢
1.ランナーと
して
88%
2.ランナーを
応援するため
10%
3.ステージや
ブースなどの催
しを見に来た
2% 4.偶然通りか
かった
0%
本日味の素スタジアムに来た理由は?
15
5.プレ試験の検証
キッチンカーでの持ち帰り率は 39%と、ほとんどのリユースカップが持ち帰られな
かった。導入したリユースカップがイベントオリジナルのデザインではないこと、同
イベントの給水所で同じデザインのリユースカップを導入し、回収をよびかけていた
ことなどが影響しているのではないか。
リユースカップの導入数、回収数が増えるとキッチンカーで回収するには負担が大
きいため、回収のためのスタッフを配置するなど、回収にかかるオペレーションを検
討する必要がある。
給水所での運用は回収率が非常に高く、オペレーションについても大きな混乱なく
スムーズに実施できた。利用者からも好評だった。
同じイベント内で持ち帰りを推奨する仕組みと回収を呼び掛ける仕組みを併用した
こと、ブースで「要返却」と書かれたリユースカップを配布したことなど、様々なリ
ユースカップを様々な方法で使用したことから、利用者が混乱した可能性が高い。
リユースカップの認知度は非常に低く、普及啓発が必要。良い取り組みだという声
は多い。
デザイン性にすぐれたイベントオリジナルロゴ入りリユースカップを導入すれば、
利用者は持ち帰り、活用する可能性が高い。カップ代が環境保護活動や社会貢献につ
ながるのであれば販売価格が高くなっても購入するという声も多く、カップのデザイ
ンと販売収益の活用方法について検討すれば、参加者の理解も得られ、カップデザイ
ンの満足度も高くなり、持ち帰り率がもっと高くなるのではないか。
16
<参考資料>
①リユースカップを導入したキッチンカー、給水所の場所
リユースカップを
導入した給水所
リユースカップを導入したキッチンカーは
②③④⑥⑦⑧⑨⑩の 8 店舗
いずれも 100 円のデポジットをかけて販売した
17
②のぼり
18
③ちらし(リユースカップ運用方式の説明ちらし)
19
20
④アンケート
21
⑤参考写真 キッチンカー
22
⑥参考写真 給水所