2019 対 照 薬 剤(病害防除)1 対 照 薬 剤(病害防除) 2019年度改訂...

34
─1─ 剤(病害防除) 2019年度改訂 2019 1 月) 処理時期 剤・希 キノンドーフロアブル キノンドー顆粒水和剤 ×1000 ×1000 パスポートフロアブル ×250 ベルクートフロアブル ×1500 オキシラン水和剤 ×600 ×7 チオノックフロアブル ×500 オキシラン水和剤 ベルクートフロアブル ×500 ×1500 ベンレート水和剤 ×20 トップジンMペースト トップジンM水和剤 原液塗布 ×1500 休眠期~生育期 フロンサイドSC ×1000 100200 l/樹 土壌灌注 (胴 菌) チオノックフロアブル トップジンM水和剤 ×500 又は ×1500 デランフロアブル ×1000 オキシラン水和剤 ×500 キノンドー水和剤 40 ×500 ベルクート水和剤 ×2000 ロブラール水和剤 ダコレート水和剤 ×1500 又は ×1000 ホモプシス腐敗病 ダコレート水和剤 ×1000 せん孔細菌病 アグレプト水和剤 ×1000 412 ×30 ジマンダイセン水和剤 ×600 ×1000 100200 l/樹 土壌灌注 フロンサイドSC フリントフロアブル 25 ×2000 トリフミン水和剤 ベルクート水和剤 ×2000 ×10002000 水 和 硫 黄 剤(フロアブル) ×500 ロブラール水和剤 ×1500 マイコシールド水和剤 ×1500 フロンサイドSC ×1000 100200 l/樹 土壌灌注 オーソサイド水和剤 80 ×800 ストロビードライフロアブ ル ×2000 ストロビードライフロアブ ル ×2000 すもも ロブラール水和剤 ×1500 アグレプト水和剤 ×1000

Upload: others

Post on 21-Jul-2020

5 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: 2019 対 照 薬 剤(病害防除)1 対 照 薬 剤(病害防除) 2019年度改訂 (2019年1月) 樹 種 病 害 名 処理時期 対 照 薬 剤・希 釈 倍 数 な

─ 1─

対 照 薬 剤(病害防除)2019年度改訂

(2019年 1月)

樹 種 病 害 名 処 理 時 期 対 照 薬 剤 ・ 希 釈 倍 数

な し

黒 斑 病生 育 期

キノンドーフロアブルキノンドー顆粒水和剤

×1000

×1000

休 眠 期 パスポートフロアブル ×250

黒 星 病

生 育 期 ベルクートフロアブル ×1500

収 穫 後 オ キ シ ラ ン 水 和 剤 ×600

休 眠 期 石 灰 硫 黄 合 剤 ×7

赤 星 病 生 育 期 チオノックフロアブル ×500

輪 紋 病 生 育 期オ キ シ ラ ン 水 和 剤ベルクートフロアブル

×500

×1500

枝 枯 病 生 育 期 ベ ン レ ー ト 水 和 剤 ×20

胴 枯 病 生 育 期トップジンMペーストト ッ プ ジ ン M 水 和 剤

原液塗布×1500

白 紋 羽 病 休眠期~生育期 フ ロ ン サ イ ド S C×1000 100~200 l/樹土壌灌注

心 腐 れ 症(胴 枯 病 菌)

生 育 期チオノックフロアブルト ッ プ ジ ン M 水 和 剤

×500 又は×1500

炭 疽 病 生 育 期 デ ラ ン フ ロ ア ブ ル ×1000

褐 色 斑 点 病 生 育 期 オ キ シ ラ ン 水 和 剤 ×500

も も

縮 葉 病 休 眠 期 キ ノ ン ド ー 水 和 剤 40 ×500

黒 星 病 生 育 期 ベ ル ク ー ト 水 和 剤 ×2000

灰 星 病 生 育 期ロ ブ ラ ー ル 水 和 剤ダ コ レ ー ト 水 和 剤

×1500 又は×1000

ホモプシス腐敗病 生 育 期 ダ コ レ ー ト 水 和 剤 ×1000

せ ん 孔 細 菌 病生 育 期 ア グ レ プ ト 水 和 剤 ×1000

休 眠 期 I C ボ ル ド ー 412 ×30

果 実 赤 点 病 生 育 期 ジマンダイセン水和剤 ×600

×1000 100~200 l/樹土壌灌注

白 紋 羽 病 発 芽 前 フ ロ ン サ イ ド S C

炭 疽 病 生 育 期 フリントフロアブル 25 ×2000

う ど ん こ 病 生 育 期ト リ フ ミ ン 水 和 剤ベ ル ク ー ト 水 和 剤

×2000

×1000~2000

う め

黒 星 病 生 育 期 水和硫黄剤(フロアブル) ×500

灰 色 か び 病 生 育 期 ロ ブ ラ ー ル 水 和 剤 ×1500

か い よ う 病 生 育 期 マイコシールド水和剤 ×1500

白 紋 羽 病 休 眠 期 フ ロ ン サ イ ド S C×1000 100~200 l/樹土壌灌注

す す 斑 病 生 育 期 オーソサイド水和剤 80 ×800

環 紋 葉 枯 病 生 育 期 ストロビードライフロアブル ×2000

う ど ん こ 病 生 育 期 ストロビードライフロアブル ×2000

す も も灰 星 病 生 育 期 ロ ブ ラ ー ル 水 和 剤 ×1500

黒 斑 病 生 育 期 ア グ レ プ ト 水 和 剤 ×1000

Page 2: 2019 対 照 薬 剤(病害防除)1 対 照 薬 剤(病害防除) 2019年度改訂 (2019年1月) 樹 種 病 害 名 処理時期 対 照 薬 剤・希 釈 倍 数 な

─ 2─

樹 種 病 害 名 処 理 時 期 対 照 薬 剤 ・ 希 釈 倍 数

あ ん ず灰 星 病 生 育 期 ロ ブ ラ ー ル 水 和 剤 ×1500

か い よ う 病 生 育 期ス タ ー ナ 水 和 剤マイコシールド水和剤

×1000

×1500

ぶ ど う

晩 腐 病生 育 期 ジマンダイセン水和剤 ×1000

休 眠 期ベ ン レ ー ト 水 和 剤デ ラ ン フ ロ ア ブ ル

×200 又は×200

黒 と う 病生 育 期

ジマンダイセン水和剤デ ラ ン フ ロ ア ブ ル

×1000 又は×1000

休 眠 期ベ ン レ ー ト 水 和 剤デ ラ ン フ ロ ア ブ ル

×500 又は×200

う ど ん こ 病 生 育 期ト リ フ ミ ン 水 和 剤ポ リ ベ リ ン 水 和 剤

×2000* 又は×1000

灰 色 か び 病 生 育 期ポ リ ベ リ ン 水 和 剤ロ ブ ラ ー ル 水 和 剤

×1000

×1500

べ と 病 生 育 期 ジマンダイセン水和剤 ×1000

枝 膨 病生 育 期 デ ラ ン フ ロ ア ブ ル ×1000

休 眠 期 ベ ン レ ー ト 水 和 剤 ×200

褐 斑 病 生 育 期 ジマンダイセン水和剤 ×1000

さ び 病 生 育 期ジマンダイセン水和剤I C ボ ル ド ー 66D

×1000 又は×50

白 腐 病 生 育 期 ロ ブ ラ ー ル 水 和 剤 ×1500

つ る 割 病 休 眠 期 ベ ン レ ー ト 水 和 剤 ×500

か き

炭 疽 病生 育 期 ジマンダイセン水和剤 ×400

休 眠 期 ホ ー マ イ コ ー ト ×50

う ど ん こ 病 生 育 期ベ ル ク ー ト 水 和 剤キノンドーフロアブルト リ フ ミ ン 水 和 剤

×1000又は×800~1000又は×2000*

落 葉 病 生 育 期キノンドーフロアブルキノンドー顆粒水和剤

×800又は×1000

灰 色 か び 病 生 育 期 ゲ ッ タ ー 水 和 剤 ×1000

黒 星 病 生 育 期 ベ ル ク ー ト 水 和 剤 ×1000

す す 点 病 生 育 期ベ ル ク ー ト 水 和 剤ストライド顆粒水和剤

×1000

×3000

いちじく

株 枯 病 定植時及び5~10月 ト ッ プ ジ ン M 水 和 剤 ×500灌注

さ び 病 生 育 期ラ リ ー 水 和 剤アミスター 10フロアブル

×2000 又は×1000

黒 葉 枯 病 生 育 期 アミスター 10フロアブル ×1000

黒 か び 病 生 育 期 ロブラール 500 アクア ×1000

く り 炭 疽 病 生 育 期 ベ ン レ ー ト 水 和 剤 ×2000

* 耐性菌の頻度を考慮して他剤を選定してもよい。

Page 3: 2019 対 照 薬 剤(病害防除)1 対 照 薬 剤(病害防除) 2019年度改訂 (2019年1月) 樹 種 病 害 名 処理時期 対 照 薬 剤・希 釈 倍 数 な

落葉果樹試験における共通事項

1.試験区の設定

委託薬剤区,対照薬剤区,無処理区(無防除区)を設ける。

2.対照薬剤

試験設計書に記載されている「対照薬剤」一覧を参照して,薬剤及び希釈倍数を確認する。

3.展 着 剤

原則として加用しない。やむを得ず加用する場合には,剤名,濃度などを成績書に明記する。

4.薬剤の調製

供試薬剤の希釈時に,懸垂性あるいは水和性を観察して,「実用上支障あり」と判定した場合はその旨成

績書に記載する。殺虫剤等の混用時には無処理区も含めた同一処理とする。なお,混用によって薬液に沈殿

や凝集が生じた場合には記録しておく。

5.薬害の調査

定期的に供試樹における薬害発生の有無を調査する。薬害と判断される異常が認められた場合には,発生

の時期及び部位,気象状況,さらに具体的な症状とその程度を記録する。甚だしい薬害が発生した場合は,

早急に依頼会社の関係者に連絡をとり,その後の試験継続等について相互に協議する。

6.試験成績の取りまとめ

試験終了後に,別本の「薬効・薬害試験研究の手引き」に従い,所定の様式で記載する。

─ 3─

Page 4: 2019 対 照 薬 剤(病害防除)1 対 照 薬 剤(病害防除) 2019年度改訂 (2019年1月) 樹 種 病 害 名 処理時期 対 照 薬 剤・希 釈 倍 数 な

〈ナ シ〉

黒 斑 病

A.生育期試験

1.試 験 方 法

⑴ 供試品種,樹齢

罹病性品種である二十世紀,おさ二十世紀などを供試する。果実を対象に防除効果及び薬害の発生を調査

することがあるので,結果樹齢に達した 5年生以上の樹を供試する。

⑵ 試験の規模,設定,伝染源の設置

10年生未満の幼木または強剪定樹の立木仕立てでは,1区 1樹以上,3区制(連制)とする。10年以上の

慣行栽培樹を供試する場合は,1区 1主枝以上,3区制(連制)とする。

毎年発病の少ないところでは,枝病斑や病芽(腐れ芽)を有する枝を休眠期に採取し,試験開始までに樹

上または太枝に接種源として取り付ける。

⑶ 薬剤散布時期,回数

発病が増加する落花期から梅雨明けに,10日間隔で 4~5回散布する。散布方法は,動力噴霧機を用い,

葉の表裏及び新梢の先端にも薬液が十分量付着するようにする。

2.調 査 方 法

最終散布の 10日後頃に,4~5月の発病初期の試験では果そう葉対象に,また,6~7月の発病盛期の試験

では新梢葉対象に,それぞれ 1樹または 1主枝当たり 10果そうまたは 10新梢について発病の有無を調査

し,発病葉率を算出する。

なお,試験途中で,発病が急に増加するときは,随時発病調査を実施する。

B.休眠期試験

1.試 験 方 法

⑴ 供試品種,樹齢

罹病性品種である二十世紀,おさ二十世紀などを供試する。

⑵ 試験の規模,設定,伝染源の設置

前年の多発園を選定する。幼木または強剪定樹の立木仕立てでは,1区 1樹以上,3区制(連制)とする。

10年以上の成木では,1区 1主枝以上,3区制(連制)とする。

発病の少ないことが予想される場合は,幼木での接種試験を行う。この時,枝病斑を有する切枝や網袋に

入れた病芽(腐れ芽)を,各試験区に均等になるよう,試験樹の太枝部分に取り付けて伝染源とする。

⑶ 薬剤散布時期,回数

原則として,発芽期からりん片脱落期にかけて 1回散布する。試験薬剤散布以降の生育期散布は,休眠期

─ 4─

Page 5: 2019 対 照 薬 剤(病害防除)1 対 照 薬 剤(病害防除) 2019年度改訂 (2019年1月) 樹 種 病 害 名 処理時期 対 照 薬 剤・希 釈 倍 数 な

散布の防除効果を判定するうえで支障を生じる恐れがあるため,一切行わないこととする。散布方法は,動

力噴霧機を使用するが,幼木または苗木ポット試験では,手押し噴霧器を使用しても良い。

2.調 査 方 法

落花期(鳥取では 4月下旬),摘果期(同 5月中~下旬)の 2回,果そう葉を対象に 1樹または 1主枝当

たり 10果そう葉の発病の有無を調査し,発病葉率を算出する。

黒 星 病

A.生育期試験

1.試 験 方 法

⑴ 供試品種

幸水,豊水などの主要品種及び長十郎などがよい。品種により黒星病に対する感受性に違いがあるので,

同一品種で試験を実施する。

⑵ 試験の規模

1区 1樹以上,3区制(連制)とする。棚仕立てでは,1区 25m2以上とする。

⑶ 薬剤散布時期,回数

試験樹での発病を確実にするため,開花終了までは殺菌剤は無散布とする。試験薬剤は,開花後 10日頃

から約 10日間隔で 5~7回散布する。

2.調 査 方 法

最終散布の 10~14日後頃に最終調査を行う。なお,多発傾向に推移しつつある場合や薬剤の時期別効果

を把握したい場合は 4回散布後頃に中間調査を実施することもある。1樹又は面積区割りの全体から,果叢

葉及び新梢葉(先端部の 3葉位程度を除外)を調査対象とする。各区 100枚の成葉について,発病葉率を求

める。なお,下記の基準に従い発病の程度を調査し,発病度を算出することが望ましい。また,少発で推移

した場合には,状況に応じて追加調査を実施することが望ましい。

(指数)

無 0 :発病なし

少 1 :病斑が 1個

多 3 :病斑が 2~3個,又はそれ相当の大きな病斑が 1個

甚 5 :病斑が 4個以上,又はそれ相当の大きな病斑が 2個以上

発病度= (指数×程度別発病葉数)5×調査葉数 × 100

─ 5─

Page 6: 2019 対 照 薬 剤(病害防除)1 対 照 薬 剤(病害防除) 2019年度改訂 (2019年1月) 樹 種 病 害 名 処理時期 対 照 薬 剤・希 釈 倍 数 な

B.休眠期試験

1.試 験 方 法

⑴ 供試品種

幸水や豊水などの主要品種や長十郎などが適する。品種により黒星病に対する感受性に違いがあるので,

同一品種で試験を実施する。

⑵ 試験の規模,設定

1区 1樹以上,3区制(連制)とする。棚仕立てでは,1区 25m2以上とする。この試験では腋花芽の病

斑を防除対象とするので,試験終了まで剪定は行わないことが望ましい。

⑶ 薬剤散布時期,回数

薬剤散布は,萌芽期に 1回またはその 5~7日後にさらに 1回行う。

2.調 査 方 法

開花期に,腋花芽由来の花叢基部を調査対象にして,1樹又は面積区割り当たりの全体から,30~100個

について,それぞれ発病の有無を調査する。また,花叢基部病斑上に形成された分生子の発芽率を,素寒天

培地上の発芽試験(分生子を白金耳等で移植,15℃,48~72時間培養後)で調査する。

C.果実の防除試験(参考)

1.試 験 方 法

⑴ 供試品種

幸水がよい。試験前の黒星病菌による感染を防ぐために,幼果の摘果後直ちに二十世紀用の小袋を掛けて

おく。

⑵ 試験の規模,設定,接種方法

原則として棚仕立ての樹を供試する。1区 20~50果,3区制(連制)とする。

人口接種を前提とし,7月上旬に接種を行う。自然発病した病斑上の分生子を所定濃度の界面活性剤(展

着剤の 5000~10000倍を代用してもよい)を添加した 0.1%ショ糖液に懸濁し,血球計算盤を用いて胞子濃

度を 5×104/mlに調整する。除袋した供試果実に,ハンドスプレーで分生子懸濁液を噴霧接種後,直ちに

ハトロン紙製の防虫大袋を掛ける。

⑶ 薬剤散布時期,回数

薬剤散布は,予防効果試験では接種 5日前,治療効果試験では接種 5日後に行うのを原則とし,必要に応

じて各々接種 3日前や接種 7日後の散布区を追加する。

2.調 査 方 法

収穫適期約 7日前(遅れると調査が困難になることがある)に,果実当たりの病斑数を調査し,発病果率

と果実当たりの平均病斑数を求める。

─ 6─

Page 7: 2019 対 照 薬 剤(病害防除)1 対 照 薬 剤(病害防除) 2019年度改訂 (2019年1月) 樹 種 病 害 名 処理時期 対 照 薬 剤・希 釈 倍 数 な

赤 星 病

1.試 験 方 法

⑴ 供試品種

水秀など抵抗性を示す特殊な品種を除き,幸水,豊水などの主要品種や長十郎などほとんどの品種を供試

できる。また,鉢植えの苗木を用いても良い。

⑵ 試験の規模,設定,伝染源の設置

1区 1樹以上,3区制(連制)とする。棚仕立てでは,1区 25m2以上とする。常発地では自然発病で試

験を行うが,少発地又は無発病地では赤星病に罹病し,菌えいをつけたビャクシン類を試験樹の風上側とな

る位置に 10m程度離して設置する。

⑶ 薬剤散布時期,回数

開花前から落花 20日頃まで,10日間隔で 3回散布する。

2.調 査 方 法

最終散布約 20~30日後の精子器病斑が明瞭になった頃に,各樹から任意に 5~10新梢を選び出し,基部

2~3枚葉や未展開葉を除いた全葉の発病の有無を調査し,発病葉率を求める。また,発病程度を併せて調

査する場合は,下記の基準に従い,発病度を算出する。

(指数)

無 0 :発病なし

少 1 :病斑が 1~5個

多 3 :病斑が 6~15個

甚 5 :病斑が 16個以上

発病度= (指数×程度別発病葉数)5×調査葉数 × 100

輪 紋 病

A.生育期試験

1.試 験 方 法

⑴ 供試品種,樹齢

本病に対する抵抗性品種はなく,いずれの品種でもよいが,赤ナシでは感受性の高い幸水,また青ナシで

は二十世紀が供試品種として適する。供試樹としては,樹上の果実発病調査において 1樹当たり 50果以上

供試できる樹が望ましい。

⑵ 試験の規模,設定,伝染源の設置

供試樹は,同一圃場内に設け,生育の揃った樹を用いる。1区 1~3樹以上,3区制(連制)とする。

─ 7─

Page 8: 2019 対 照 薬 剤(病害防除)1 対 照 薬 剤(病害防除) 2019年度改訂 (2019年1月) 樹 種 病 害 名 処理時期 対 照 薬 剤・希 釈 倍 数 な

試験期間中,樹上に予め多数のいぼ皮病斑を形成した罹病枝(2~5年生枝,長さ約 30 cm,1樹当たり 5

本程度)を伝染源として設置しておくと発病条件を揃えることができる。さらに,供試樹のいぼ皮病斑形成

数も調査し,試験区が均一な条件になるようにする。

また,無散布区は毎年同一樹を使用すると,いぼ皮病斑形成数が増加するため増加するため樹勢の低下が

生じるので,供試樹はローテーションしながら用いる。

⑶ 薬剤散布時期,回数

落花 30~40日後頃から果実肥大後期の 7月下旬頃までの間に,10~14日間隔で 5回程度散布する。

2.調 査 方 法

⑴ 果実発病での防除効果の判定

収穫時に全果について発病の有無を調査し,発病果率及び防除価を算出する。さらに,収穫時に外観健全

な果実を各区 1樹当り 30~50果任意に選び,25℃に保存して 10日後に発病状況を調査し,発病果率を算出

する。

⑵ 枝に形成されたいぼ皮病斑数での防除効果の判定

10~11月に新梢上に形成されたいぼ皮病斑の形成数を調査する。調査は各区 1樹当たり 10~20新梢につ

いて行い,いぼ皮病斑形成枝率及び 1新梢当たりのいぼ皮病斑形成数を算出する。

B.休眠期試験

1.試 験 方 法

⑴ 供試品種

本病に対する抵抗性品種はなく,いずれの品種でもよいが,赤ナシでは感受性の高い幸水,また青ナシで

は二十世紀がそれぞれ供試品種として適する。供試樹としては,樹勢が強く,1樹当たり 10~30本の新梢

が供試できる樹が望ましい。

⑵ 試験の規模,設定

生育期試験に準ずる。

⑶ 薬剤散布時期,回数

3月中~下旬に,供試樹のいぼ皮病斑及び伝染源とするいぼ皮病斑形成枝に 1回散布する。

2.調 査 方 法

⑴ 果実発病での防除効果の判定

生育期試験に準ずる。

⑵ 枝に形成されたいぼ皮病斑数での防除効果の判定

生育期試験に準ずる。

─ 8─

Page 9: 2019 対 照 薬 剤(病害防除)1 対 照 薬 剤(病害防除) 2019年度改訂 (2019年1月) 樹 種 病 害 名 処理時期 対 照 薬 剤・希 釈 倍 数 な

う ど ん こ 病

1.試 験 方 法

⑴ 供試品種

主要品種で例年発生のみられる樹を用いる。

⑵ 試験の規模

1区 1~3樹以上,3区制(連制)とする。なお,発生が安定している場合は 1区 3樹でもよい。

⑶ 薬剤散布時期,回数

新梢発育停止期前後の 7~8月(西日本)又は 8~9月(東日本)に,3~4回散布する。

2.調 査 方 法

最終散布の 10~15日後に,各樹 20新梢(徒長枝)を目通りの高さから任意に選び,これらに着生する全

葉について,発病の有無を調査し,下記の基準に従って発病度を算出する。

(指数)

無 0 :病斑なし

少 1 :病斑面積が葉の 1/4未満

多 3 :病斑面積が葉の 1/4~1/2

甚 5 :病斑面積が葉の 1/2以上

発病度= (指数×程度別発病葉数)5×調査葉数 × 100

胴 枯 病

A.治療効果試験

1.試 験 方 法

⑴ 供試品種,樹齢

罹病性品種の幸水を供試する。樹齢は特に問わない。

⑵ 試験の規模,設定,接種方法

成木樹の主枝または亜主枝の胴枯病斑を 3~5樹から選び出し,1区 10病斑程度を供試する。自然発病の

病斑が得られない場合は,接種病斑を供試する。

接種方法としては,まず,4~5年生の側枝にナイフで 1~2個所付傷する。その付傷部に胴枯病菌の菌糸

片を接種し,病斑を形成させる。接種源は PDA平板培地で 25℃,7日間程度培養した直径 5~6mmの菌

糸片が適当である。病斑形成までに要する日数は,4月で 3~4週間で,30~40mm程度の病斑長となる。

⑶ 薬剤処理時期,回数,方法

休眠期~開花始めの 3~4月に,年 1回薬剤処理を行う。処理方法は,まず,供試した病斑の大きさを測

─ 9─

Page 10: 2019 対 照 薬 剤(病害防除)1 対 照 薬 剤(病害防除) 2019年度改訂 (2019年1月) 樹 種 病 害 名 処理時期 対 照 薬 剤・希 釈 倍 数 な

定し,病斑をナイフで削り取る。その後直ちに,薬剤をハケで塗布するか又は散布する。

2.調 査 方 法

薬剤処理後,6カ月毎に 1~2年間,処理部における病斑の再進展の有無を調査する。再発病した場合,

病斑長を測定して病斑の拡大状況を調査することが望ましい。また,処理部位のカルス形成程度によって治

癒状況を調査する。

B.予防効果試験

1.試 験 方 法

⑴ 供試品種,樹齢

罹病性品種の幸水を供試する。剪定個所数が多くとれる 2年生以上の樹を用いる。

⑵ 試験の規模,設定,伝染源の設置

幼木または鉢植えの苗木 3~5樹から剪定切り口を 1区 10~15カ所ずつ用意し,接種源(伝染源)として,

試験樹の樹上に胴枯病発病枝を設置する。設置する時期は,4月上旬から 7月下旬までとし,降雨により伝

染させる。

発病枝が準備出来ない時は,ナシの剪定枝を 10 cmの長さに切り,オートクレーブで滅菌した後,胴枯

病菌を植え付け,25℃,1カ月間培養し,柄胞子の形成が認められたものを接種源として用いる。接種源は,

3~4月に,剪定切り口に直接取り付けるか,試験樹の樹上に設置する。

⑶ 薬剤散布(処理)時期,回数,方法

胴枯病菌は,4~6月の期間に降雨によって伝染すると言われている。薬剤散布はこの時期に約 10日間隔

で 3~5回実施する。塗布剤の場合は,3~4月の開花前か接種源を取り付ける前までに剪定切り口に塗布す

る。

2.調 査 方 法

9~10月頃に,剪定切り口の発病の有無を下図を参考にして調査する。すなわち,切り口付近の新梢発生

位置を越えて枯込み病斑が形成された場合,発病と判定する(図参照)。しかし,発病が少なく,剪定切り

─ 10 ─

図:胴枯病による剪定切り口部分の発病の有無の判断基準

Page 11: 2019 対 照 薬 剤(病害防除)1 対 照 薬 剤(病害防除) 2019年度改訂 (2019年1月) 樹 種 病 害 名 処理時期 対 照 薬 剤・希 釈 倍 数 な

口の枯れ込み程度も軽い場合は,剪定切り口からの病原菌分離を行って菌の感染割合を求め,防除効果の判

定を行う。

白 紋 羽 病

A.圃場試験

1.試 験 方 法

⑴ 供試品種,樹齢

品種の違いによる発病差はないので,主要な栽培品種を供試する。幼木または成木のいずれでもよいが,

供試樹の品種と樹齢は統一して試験を行う。

⑵ 試験の規模,設定

1区 1樹以上,3区制(連制)とする。対照区として無処理樹を設定する。

⑶ 薬剤処理時期,回数,方法

根部掘り出しによる薬剤灌注法:

休眠期の 3月からナシの開花始めまで,又は,10月下旬~11月末までの間に,原則として年 1回処理す

る。なお,満開期~収穫期の生育期間中の処理は,樹勢の低下につながるので行わない。発病樹主幹部の地

際を半径 1m,深さ 40 cm程度掘り下げ,根部を露出させる。直ちに,根部の被害状況をスケッチし,枯死

根,菌糸付着根および健全根を区別し,根部の被害程度を下記の基準に従って記録する。枯死根は剪定鋏ま

たは鋸で取り除き,根部に付着した菌糸は鎌で削り取っておく。根部に薬液を散布し,土にも薬剤を混ぜな

がら埋め戻す。薬液の使用量は,成木で 200 l,幼木では 50~100 l必要である。

薬剤注入法:

根部を掘り出さず,薬剤を主幹部周辺の土壌に注入する。処理は,3月から 11月末までの生育期間中で

あればいつでも可能であり,原則として年 1回の処理とする。なお薬剤処理前に,供試樹根部の被害程度を

灌注法と同様に調査する。掘り出した土を元通りに埋め戻してから薬剤を処理する。薬剤の注入には注入機

が市販されているので,動力噴霧機に接続して処理する。薬液の使用量は灌注法と同量とする。

2.調 査 方 法

春期に処理した場合は,当年の 10~11月に,秋期に処理した場合は,次年の 10~11月に,根部の土を掘

り出して被害程度を下記の基準に従って調査し,新根の発病状況をスケッチして観察する。

根部の被害程度

(指数)

無 0 :枯死根および菌糸付着根なし

軽症 1 :根部の 1/3未満に枯死根および菌糸付着がある

中症 2 :根部の 1/3~1/2に枯死根および菌糸付着がある

重症 3 :根部の 1/2~2/3に枯死根および菌糸付着がある

重症 4 :根部の 2/3以上に枯死根および菌糸付着がある

─ 11 ─

Page 12: 2019 対 照 薬 剤(病害防除)1 対 照 薬 剤(病害防除) 2019年度改訂 (2019年1月) 樹 種 病 害 名 処理時期 対 照 薬 剤・希 釈 倍 数 な

B.ポット試験(接種試験)

1.試 験 方 法

⑴ 供試品種,樹齢

ヤマナシまたはマンシュウマメナシなどの 1~2年生の実生苗木を用意する。

⑵ 試験の規模,設定

1区 10~15本とし,直径 10 cm×高さ 9 cmのポットであれば苗木 1本を植え込む。

伝染源として,バークチップ(おがくず)又はナシ枝で培養した白紋羽病菌をポットの大きさに応じて接

種する。

⑶ 接種源の調整

バークチップ 15gと水 15mlを広口フラスコ(100ml容量)に入れ,そのままオートクレーブにかける。

次に,予め PDA平板培地で培養した白紋羽病菌の 5~6mm菌叢ディスクをフラスコ当たり 3~5片接種し,

25℃で 14~21日間培養する。接種源として苗木当たり約 5gを接種する。

⑷ 薬剤散布(処理)時期,回数,方法

ポット試験では,処理時期はそれほど限定されないが,厳寒期を除き,休眠期から夏期前までの処理が一

般的である。伝染源を接種したポット植え苗木を,薬液の入ったバットに 1~2時間浸漬処理する。この際,

ポット内の土に十分薬液が浸透したことを確認する(下図参照)。

2.調 査 方 法

薬剤処理後の苗木の生存を 1カ月ごとに調査する。枯死した場合は根部を掘り出して白紋羽病菌の菌糸付

着を確認し,本病による発病かその他の原因による枯死かを区別して調査する。最終調査は処理年の秋期に

行い,供試したナシ苗木を全て掘り出して,根部の菌糸付着の有無で発病樹を診断する。その他,参考とし

て根部の新根発生量や生育量も調査しておく。

─ 12 ─

図:ナシ白紋羽病のポット試験と薬液浸漬処理法

Page 13: 2019 対 照 薬 剤(病害防除)1 対 照 薬 剤(病害防除) 2019年度改訂 (2019年1月) 樹 種 病 害 名 処理時期 対 照 薬 剤・希 釈 倍 数 な

〈セイヨウナシ〉

輪 紋 病

1.試 験 方 法

⑴ 供試品種

ラ・フランスをはじめとして多くの品種が感受性である。

⑵ 試験の規模,設定,伝染源の設置

1区 1樹以上,2区制(連制)以上とする。供試樹に伝染源となるいぼ皮病斑が少ない場合には,セイヨ

ウナシ,リンゴあるいはニホンナシのいぼ皮病罹病枝(2~3年生枝,長さ 50 cm程度,1供試樹あたり 5

本程度)を樹上に設置する。

⑶ 散布時期,回数

感染時期は地域によって異なるが,概ね 6月上旬~6月中旬から 10~14日間隔で 5~6回散布する。

最終散布が早期に終了した場合には,最終散布 12日後以降に袋かけを実施しても良い。

2.調 査 方 法

収穫した全果実について発病の有無を調査し発病果率を算出する。さらに,収穫後に外観健全な果実を

30~50果任意に選び,20~25℃で 14日程度または室温下で 20日程度追熟させ,可食期に達した後,発病

の有無を調査し発病果率を算出する。

〈モ モ〉

灰 星 病

1.試 験 方 法

⑴ 供試品種

品種による感受性の違いは認められないが,梅雨期から梅雨期明けの頃に収穫期となる品種は感染の機会

が多く試験結果が得やすい。試験の継続に支障がない限りは無袋栽培により実施する。

⑵ 試験の規模

1区 1樹以上,2区制(連制)以上とする。供試樹が足りない場合は,主枝ごとに処理することも可能で

ある。

⑶ 薬剤散布時期,回数

収穫開始 20日前頃から果実の感受性が高まるが,試験薬剤の効果を判定するためには収穫開始 30日前頃

から 7~10日間隔で 3~4回散布する。有袋栽培の場合は,除袋直後から散布を始める。

─ 13 ─

Page 14: 2019 対 照 薬 剤(病害防除)1 対 照 薬 剤(病害防除) 2019年度改訂 (2019年1月) 樹 種 病 害 名 処理時期 対 照 薬 剤・希 釈 倍 数 な

2.調 査 方 法

収穫直前から収穫終了時まで樹上の発病果数の調査を行う。調査の開始時期は,無散布区の発病状況を目

安とする。区毎に全果実数に対する発病果率を算出し,防除価を求める。

無病徴果実にも潜伏感染している場合があるので,貯蔵による発病調査も実施する。貯蔵調査では,収穫

果実の中から外観健全果を各区 30~50果選び,これをパック詰めにして段ボール箱に入れて,室内または

定温室(25℃程度)に貯蔵する。収穫 3,5,7日後に発病果を調査し,発病果と判定された果実はその時点

で除去する。調査終了後に累積発病果率を算出し,防除価を求める。

但し,薬効の判断は樹上で十分な発病が認められた場合はその結果から判断し,樹上での発病が十分に得

られなかった場合は貯蔵調査を加味して判断する。樹上での発病が著しく,貯蔵調査に十分な果実が確保で

きない場合は,その旨記載する。

なお,収穫開始 7~10日前になっても果実感染が極めて少ないと判断される場合は,菌液散布または発病

果実などの接種源の樹上設置による処理も可能である。

黒 星 病

1.試 験 方 法

⑴ 供試品種

いずれの品種でもよいが,供試樹はできるだけ無袋栽培とし,同一品種とする。

⑵ 試験の規模

1区 1樹以上,3区制(連制)とする。大木の場合は主枝単位でもよい。

⑶ 薬剤散布時期,回数

果実が親指大~ピンポン玉大(岡山県では 5月上中旬~6月中下旬)に 10~14日間隔で,3~4回散布す

る。有袋栽培の場合は,散布時期を 5月上中旬~袋掛け前とする。

2.調 査 方 法

最終散布の 10~14日後に(岡山県では 7月上中旬),有袋栽培の場合には,収穫期に 1区の全果又は任意

の約 100果について発病程度を調査する。発病果率を求めるとともに,下記の基準(発生予察実施基準)に

従って発病度を算出する。

(指数)

無 0 :病斑なし

少 1 :病斑が 5個以下

中 2 :病斑が 6~20個

多 4 :病斑が 21~50個

甚 6 :病斑が 51個以上

発病度= (指数×程度別発病果数)6×調査果数 × 100

─ 14 ─

Page 15: 2019 対 照 薬 剤(病害防除)1 対 照 薬 剤(病害防除) 2019年度改訂 (2019年1月) 樹 種 病 害 名 処理時期 対 照 薬 剤・希 釈 倍 数 な

縮 葉 病

1.試 験 方 法

⑴ 供試品種

いずれの品種でもよいが,供試樹はできるだけ同一品種とする。

⑵ 試験の規模

1区 1樹以上,3区制(連制)とする。大木の場合は主枝単位でもよい。

⑶ 薬剤散布時期,回数

萌芽期の 3月に 1回散布する。なお,展着剤を加用する。

2.調 査 方 法

4月下旬~5月上中旬に,1区当たり約 300葉叢以上について,発病葉叢数を調査して,発病葉叢率を算

出する。

ホモプシス腐敗病

1.試 験 方 法

⑴ 供試品種,樹齢

品種による感受性の違いは認められないので,いずれの品種を用いても良い。本病に対しては,果実に対

する薬剤の防除効果を見るので,結果樹齢に達した樹を供試する。

⑵ 試験の規模

1区 1~3樹以上,3区制(連制)とする。供試樹数が足りない場合は,主枝ごとに処理することも可能で

ある。

⑶ 薬剤散布時期,回数

主感染時期である 6月中旬から 7月中旬までに,約 10~14日間隔で 3~4回散布する。有袋栽培では感染

しないので,試験期間中は必ず無袋で管理する。散布量は薬液が滴り落ちる程度に十分量散布するが,10 a

当たり 400 lを目安にする。また,灰星病が多発して本病の防除効果を十分評価できない恐れのある場合は,

EBI剤を収穫直前に散布すると有効である。この場合には成績書にその旨を記載する。

2.調 査 方 法

収穫時に外観健全果を各区 30~50果選び,パック詰めにし,段ボール箱に入れて,室内または定温室

(20℃以上)に保存する。発病果の調査は,出荷された状態を想定し,収穫 3, 5, 7日後定期的に実施し,場

合によっては 9日後まで調査する。発病果と判定された場合は,その時点で除去して,調査終了後に累積発

病果率として算出する。発病初期には灰星病の症状と類似し,混同されることがあるが,本病の病斑は淡褐

色を呈するのに対し,灰星病は茶褐色である。また,指で病斑部をえぐり取ると本病の病斑部は健全部から

─ 15 ─

Page 16: 2019 対 照 薬 剤(病害防除)1 対 照 薬 剤(病害防除) 2019年度改訂 (2019年1月) 樹 種 病 害 名 処理時期 対 照 薬 剤・希 釈 倍 数 な

きれいに分かれること等に留意して判別する。また,保存後調査中に,本病より灰星病が早い段階で発病し

てくるため,無散布区における両病の識別が難しく,殺菌剤散布区の方が発病果率が高くなることがあるの

で,防除効果を評価する上で注意を要する。

せん孔細菌病

A.生育期試験

1.試 験 方 法

⑴ 供試品種

品種間には発病程度に若干の差異が認められるが,たいていの品種は供試できる。

⑵ 試験の規模,設定

例年発病の多い園で実施する。また園内の位置によって発病程度に大きな差がみられることが多いので,

例年の発病状況を事前に知り,各区が均一となるように試験区を配置する。1区 1~3樹以上,3区制(連制)

とする。

⑶ 薬剤散布時期,回数

落花直後から,約 10~15日間隔で 5~7回散布するが,供試品種の収穫期の早晩で散布回数を加減する。

散布後の発病が少ない場合には,試験をさらに続行し,必要に応じて追加散布する。果実は薬液が付着しに

くいので,2方向からむらなく散布する。

⑷ 抗生物質の耐性菌分布状況

対照薬剤であるストレプトマイシンの耐性菌が蔓延している地域があるので,試験に当たっては耐性菌検

定を行うことが望ましい。実施に当たっては,解説(尾形正(1994):植物防疫 48(8), 36~38)を参考にする。

2.調 査 方 法

葉と果実の双方について,最終散布の 15~20日後頃をめどに調査を行う。葉の発病は,1樹当たり 20新

梢をランダムに選び,その全葉について発病の有無を調査し,発病葉率を算出する。落葉が激しい場合は,

落葉率も併せて調査する。果実では,1樹当たり 100果について発病の有無を調査し,発病果率を算出する。

B.休眠期試験

1.試 験 方 法

⑴ 供試品種,樹齢

生育期試験に準ずる。

⑵ 試験の規模,設定

生育期試験に準ずる。

⑶ 薬剤散布時期,回数

発芽 10日前から発芽直前頃までに 1回散布する。生育期の防除は慣行とする。

─ 16 ─

Page 17: 2019 対 照 薬 剤(病害防除)1 対 照 薬 剤(病害防除) 2019年度改訂 (2019年1月) 樹 種 病 害 名 処理時期 対 照 薬 剤・希 釈 倍 数 な

2.調 査 方 法

2次感染があまり繰り返されると,休眠期散布の効果がわかりにくくなるので,時期を失しないように,

6月中~下旬に発病調査を行い,十分な発病がみられなかった場合には,7月にもう一度調査する。調査方

法は,生育期試験に準ずる。

炭 疽 病

1.試 験 方 法

⑴ 供試品種,樹齢等

品種による感受性の違いはないと考えられるので,いずれの品種を用いても良いが,できるだけ同一品種

を供試することが望ましい。本病に対しては果実に対する薬剤の防除効果を見るので,結果樹齢に達した樹

を供試し,無袋栽培で実施する。

⑵ 試験の規模

1区 1~3樹以上,3区制(連制)とする。供試樹数が足りない場合は,主枝ごとに処理することも可能で

ある。

⑶ 薬剤散布時期,回数,接種源の設置

果実へは幼果期と成熟期~収穫直前までの感染が考えられるが,果実腐敗をともなった被害が重要と考え

られるので,生育期後半~収穫期における薬剤散布による防除効果で評価する。薬剤散布時期は供試品種の

収穫期予定の 28~35日前頃から約 10~14日間隔で 3回程度散布する。試験期間中は無袋栽培で管理すると

ともに,散布量は薬液がしたたり落ちる程度に十分量散布するが,10 a当たり 400 lを目安にする。なお,

感染源となる病原菌量が少なく,供試薬剤の評価ができなくなる恐れがある場合には,試験期間中,樹上に

病原菌培養枝(以下,枝病斑)などを設置し接種源とすることも可能である。また,試験開始後(初回の散

布日以降)枝病斑を接種源とする代わりに,予め培養し,滅菌水で濃度調整した分生胞子懸濁液を 1~2回

噴霧接種して果実感染を助長させてもよい。噴霧接種はできるだけ曇天日または果実が濡れる程度の弱い降

雨や,1~2時間後に降雨が予想されるような気象条件下で実施し,時間も夕方など噴霧した菌液が乾きに

くい条件が望ましい。この際,噴霧接種に用いた分生胞子懸濁液の胞子濃度を予め測定しておき,接種時の

気象条件,時間などとともに接種源として用いた炭疽病菌の種類を成績書に明示する。

2.調 査 方 法

収穫時に果実発病状況を調査する。また,外観健全果を各区 30~50果を選び,試験区ごとに平詰めのコ

ンテナに並べるかパック詰めにして段ボール箱に入れて,室内又は定温室(約 20~25℃)に保存する。発

病果の調査は収穫 3,5,7日後定期的に実施し,7日後の調査で本病と判定できない果実についてはチェッ

クして 9日後まで保存して判定し,7日後の発病果として加える。なお,収穫直後から灰星病,その後,ホ

モプシス腐敗病などの果実腐敗性病害が重複して発生することが多く,それらの病害と明確に区別できるよ

う観察に留意することが重要である。

─ 17 ─

Page 18: 2019 対 照 薬 剤(病害防除)1 対 照 薬 剤(病害防除) 2019年度改訂 (2019年1月) 樹 種 病 害 名 処理時期 対 照 薬 剤・希 釈 倍 数 な

〈ス モ モ〉

灰 星 病

1.試 験 方 法

⑴ 供試品種

品種による発病差はないが,梅雨末期から 7月中旬に収穫期となる早生・中生品種は感染の機会が高く試

験結果が得やすい。

⑵ 試験の規模

1区 1樹以上,2区制(連制)以上とする。

⑶ 薬剤散布時期,回数

収穫直前を調査開始時と定め,それ以前に 7~10日間隔で,2~3回散布する。

2.調 査 方 法

収穫直前から収穫終了時まで樹上の発病果数の調査を行う。調査の開始時期は,無散布区の発病状況を目

安とする。区毎に全果実数に対する発病果率を算出し,防除価を求める。

無病徴果実にも潜伏感染している場合があるので,貯蔵による発病調査も実施する。貯蔵調査では,収穫

果実の中から外観健全果を各区 30~50果選び,これをパック詰めにして段ボール箱に入れて,室内または

定温室(25℃程度)に貯蔵する。収穫 3,5,7日後に発病果を調査し,発病果と判定された果実はその時点

で除去する。調査終了後に累積発病果率を算出し,防除価を求める。

但し,薬効の判断は樹上で十分な発病が認められた場合はその結果から判断し,樹上での発病が十分に得

られなかった場合は貯蔵調査を加味して判断する。樹上での発病が著しく,貯蔵調査に十分な果実が確保で

きない場合は,その旨記載する。

なお,収穫開始 7~10日前になっても果実感染が極めて少ないと判断される場合は,菌液散布または発病

果実などの接種源の樹上設置による処理も可能である。

ふ く ろ み 病

1.試 験 方 法

⑴ 供試品種

ソルダムは多発するため,試験品種として適する。大石早生も中程度に発病し供試できる。

⑵ 試験の規模,設定

前年に発病のみられた園地で実施する。1区 1~3樹以上,3区制(連制)とするが,発病が均一であれば,

1区(3樹)のみでもよい。

─ 18 ─

Page 19: 2019 対 照 薬 剤(病害防除)1 対 照 薬 剤(病害防除) 2019年度改訂 (2019年1月) 樹 種 病 害 名 処理時期 対 照 薬 剤・希 釈 倍 数 な

⑶ 薬剤散布時期,回数

発芽してからの防除効果は不安定となるので,発芽 10日前頃に 1回散布する。なお,散布回数を多くし

ても防除効果は変わらない。

2.調 査 方 法

時期が遅くなりすぎると発病果が落下するので,満開 1カ月頃に 1樹当たり 200~300果について発病の

有無を調査し,発病果率を算出する。

〈ウ メ〉

か い よ う 病

1.試 験 方 法

⑴ 供試品種

品種による感受性の差は少ないため,主要品種の 5~10年生の樹が望ましい。

⑵ 試験の規模,設定

園地による発生のばらつきが多いため,南~東面傾斜地又は平坦地の常発圃場を用いる。1区 1~2樹以

上,3区制(連制)とするが,風当たりの程度が発病に大きく影響するため,試験区の設定に当たって防風

樹の位置等は特に考慮する。

⑶ 薬剤散布時期,回数

発芽直前(和歌山県では 3月中下旬)から,約 10日間隔で 3~4回散布する。生育期散布で薬害発生の恐

れがある薬剤は,第 1回目のみの散布とし,第 2回目以降はストレプトマイシン剤を散布する。この場合,

対照区として,第 1回目を無散布とし,第 2回目以降にストレプトマイシン剤を散布する区を設ける。散布

量は十分量とし,初期の防除は散布むらのないように注意する。

2.調 査 方 法

最終散布の 15~20日後に果実発病を調査する。樹冠の東西南北から各 25~50果について病斑数を目測

し,発病果率を求めるとともに,下記の基準に従って発病度を算出する。なお,発病が極めて少ない場合は,

樹全体の発病果数を数える。

(指数)

無 0 :病斑なし

少 1 :病斑が 1~5個

中 2 :病斑が 6~15個

多 4 :病斑が 16~30個

甚 6 :病斑が 31個以上又は病斑が集団しひび割れを生じたもの

─ 19 ─

Page 20: 2019 対 照 薬 剤(病害防除)1 対 照 薬 剤(病害防除) 2019年度改訂 (2019年1月) 樹 種 病 害 名 処理時期 対 照 薬 剤・希 釈 倍 数 な

発病度= (指数×程度別発病果数)6×調査果数 × 100

黒 星 病

1.試 験 方 法

⑴ 供試品種,樹齢

品種は地域の主要品種で,樹齢は着果量が十分な成木が望ましい。

⑵ 試験の規模

1区 1~3樹以上,3区制(連制)とする。なお,発生が安定している場合は 1区 3樹でもよい。

⑶ 薬剤散布時期,回数

落花 10日後,落花 20日後,落花 30日後の 3回散布する。その他の期間は全区慣行防除とする。散布は

動力噴霧機で樹冠全体に行い,特に果実に散布むらを生じないように注意する。

2.調 査 方 法

収穫時に 1樹当たり約 100果を任意に選び,下記の基準に従って調査し,発病果率を求めるとともに,発

病度を算出する。

(指数)

無 0 :病斑なし

少 1 :病斑が 1~3個

中 2 :病斑が 4~8個

多 4 :病斑が 9~20個

甚 6 :病斑が 21個以上

発病度= (指数×程度別発病果数)6×調査果数 × 100

す す 斑 病

1.試 験 方 法

⑴ 供試品種,樹齢

小梅などの早生種では発病しないため,収穫時期が 6月下旬以降となる晩生種の主要品種(和歌山県では

南高)で成木~老木樹が望ましい。

⑵ 試験の規模,設定

1区 1~2樹以上,3区制(連制)とする。なるべく谷間の風通しの不良な園地を用いる。

⑶ 薬剤散布時期,回数

黒星病防除の 3回目(和歌山県では 4月中旬頃)から,10~15日間隔で 3~4回散布し,最終散布は収穫

─ 20 ─

Page 21: 2019 対 照 薬 剤(病害防除)1 対 照 薬 剤(病害防除) 2019年度改訂 (2019年1月) 樹 種 病 害 名 処理時期 対 照 薬 剤・希 釈 倍 数 な

の 20~30日前とする。なお,黒星病の 1, 2回目の防除薬剤はトップジンM水和剤又は水和硫黄剤とする。

2.調 査 方 法

収穫後期(6月下旬)に調査する。各樹 100~200果を任意に選び,発病果率を求めるとともに,下記の

基準に従って発病度を算出する。なお,発病が少ない場合は,調査果実を室内に持ち帰り,白い布の上で発

病の有無を調査する。

(指数)

無 0 :発病なし

少 1 :わずかに発病が認められる

中 3 :一見して発病が認められるが果面の 1/2以下

多 6 :果面の 1/2以上に発病が認められる

発病度= (指数×程度別発病果数)6×調査果数 × 100

〈ブ ド ウ〉

晩 腐 病

A.生育期試験

1.試 験 方 法

⑴ 供試品種,樹齢

本病は欧州種および米国種のいずれの品種にも発生するが,雨媒伝染性のため施設栽培のブドウは試験に

適さない。結果樹齢に達し,発病調査において 50果房以上供試できる樹が望ましい。

⑵ 試験の規模

1区 1~3樹以上,2区制(連制)以上とする。平棚仕立てでは,1区 30m2以上とする。

⑶ 薬剤散布時期,回数

一次伝染の時期は主に 6月中旬から 7月中旬までの約 1カ月間である(秋田県)。落花後から約 10日間隔

で 3~4回散布する。降雨が続く時は散布間隔を 7日位に短縮する。

2.調 査 方 法

成熟期に果実の発病状況を下記の調査基準に従って調査し,発病率及び発病度を算出する。

(指数)

無 0 :発病果粒なし

少 1 :1房当たり 5%以下の果粒が発病

中 3 :1房当たり 6~20%の果粒が発病

多 5 :1房当たり 21~50%の果粒が発病

─ 21 ─

Page 22: 2019 対 照 薬 剤(病害防除)1 対 照 薬 剤(病害防除) 2019年度改訂 (2019年1月) 樹 種 病 害 名 処理時期 対 照 薬 剤・希 釈 倍 数 な

甚 7 :1房当たり 51%以上の果粒が発病

発病度= (指数×程度別発病房数)7×調査房数 × 100

B.休眠期試験

1.試 験 方 法

⑴ 供試品種,樹齢

生育期試験に準ずる。

⑵ 試験の規模,設定

前年の発生状況から,越冬菌量の多いと推定される樹を供試する。1区 1~3樹以上,2区制(連制)以上

とする。平棚仕立てでは,1区 30m2以上とする。

⑶ 薬剤散布時期,回数

発芽直前に 1回,樹全体に散布する。休眠期散布後は,無散布とする。着色期前に笠や袋かけを行い,二

次伝染を防ぎ,休眠期散布による一次伝染防止効果を判定する。

2.調 査 方 法

生育期試験に準ずる。

黒 と う 病

A.生育期試験

1.試 験 方 法

⑴ 供試品種,樹齢

発病しやすい巨峰群品種または欧州種を供試する。なお,果実に対する薬剤の影響を観察できるように,

結果樹齢に達した樹を供試することが望ましい。

⑵ 試験の規模,設定,伝染源の設置

毎年発病のみられる樹を供試し,1区 3樹以上,2区制(連制)以上とする。但し発病が安定している場

合は 1区 3樹でもよい。棚仕立てでは,1区 25m2以上,2区制以上とするが,発病が均一である場合は反

復なしでもよい。

接種によるポット試験の場合は,調査新梢数が 20本以上になるようにする。試験開始前に,樹上に罹病

枝(2年生枝,長さ 50 cm程度を 5~6本束にしたもの)を吊り下げて伝染源とする。この場合,伝染源を

含めて薬剤散布する。

⑶ 薬剤散布時期,回数

本病は萌芽時から感染が始まるので,展開初期から 10~14日間隔で 3~4回散布する。なお,無散布区の

発病がみられない場合には状況に応じて試験期間を延長し,追加散布を実施することが望ましい。

─ 22 ─

Page 23: 2019 対 照 薬 剤(病害防除)1 対 照 薬 剤(病害防除) 2019年度改訂 (2019年1月) 樹 種 病 害 名 処理時期 対 照 薬 剤・希 釈 倍 数 な

2.調 査 方 法

最終散布 10~14日後に,1樹当たり 100枚の成葉について,また面積区割りの場合は 1区当たり 300枚

の成葉について,それぞれの発病の程度を調査し,発病葉率を求めるとともに下記の基準に従って発病度を

算出する。なお,少発生に推移した時は,状況に応じて追加調査を実施することが望ましい。

(指数)

無 0 :病斑なし

少 1 :病斑が 10個以下

中 3 :病斑が 11~30個

多 5 :病斑が 31個以上

発病度= (指数×程度別発病葉数)5×調査葉数 × 100

B.休眠期試験

1.試 験 方 法

⑴ 供試品種,樹齢

生育期試験に準ずる。

⑵ 試験の規模,設定,伝染源の設置

生育期試験に準ずる。

⑶ 薬剤散布時期,回数

萌芽直前に 1回散布する。萌芽後は原則として調査時まで殺菌剤無散布とする。

2.調 査 方 法

散布 30~40日後に調査する。調査方法は,生育期試験に準ずる。

べ と 病

1.試 験 方 法

⑴ 供試品種

ネオ・マスカット,巨峰などの発病しやすい品種が望ましい。

⑵ 試験の規模,設定

試験地は同一圃場内に設け,生育の揃った樹を選び,1区 1~3樹以上,2区制(連制)以上とする。棚仕

立てでは,1区 25m2以上とする。

⑶ 薬剤散布時期,回数

本病は 5月頃から晩秋までの長期にわたって発生するが,最も伝染の激しいのは 7月頃までの間である。

したがって 6月中下旬から 10~14日間隔で 3~4回散布する。なお,少発生に推移したときは追加散布を行

う。

─ 23 ─

Page 24: 2019 対 照 薬 剤(病害防除)1 対 照 薬 剤(病害防除) 2019年度改訂 (2019年1月) 樹 種 病 害 名 処理時期 対 照 薬 剤・希 釈 倍 数 な

2.調 査 方 法

7月中下旬~8月下旬に,1樹当たり成葉 50~100葉について,また面積区割りの場合は,1区当たり新梢

20~25枚の成葉について,それぞれの発病の程度を調査し,発病葉率を求めるとともに下記の基準に従っ

て発病度を算出する。

(指数)

無 0 :病斑なし

少 1 :病斑面積が葉の 10%以下

中 2 :病斑面積が葉の 11~30%

多 3 :病斑面積が葉の 31~50%

甚 4 :病斑面積が葉の 51%以上または落葉したもの

発病度= (指数×程度別発病葉数)4×調査葉数 × 100

う ど ん こ 病

1.試 験 方 法

⑴ 供試品種

発病しやすい欧州系品種が望ましいが,巨峰,ピオーネでも差し支えない。供試樹はできるだけ同一品種

とする。

⑵ 試験の規模

1区 50房以上(できれば 100房)が取れる面積で,2~3区制(連制)とする。

⑶ 薬剤散布時期,回数

開花直前~幼果期(ネオ・マスカットでは大豆大,大粒系では約 1 cm大:岡山県では 5月下旬~6月下旬)

に 10~14日間隔で,3~4回散布する。

2.調 査 方 法

最終散布の 14~21日後(岡山県では 7月上中旬)に,全房数について,発病の程度を調査する。発病房

率を求めるとともに,下記の基準に従って発病度を算出する。

(指数)

無 0 :病斑なし

少 1 :1房当たり 10%以下の果粒又は 20%以下の果軸が発病

中 2 :1房当たり 10~20%の果粒又は 21~50%の果軸が発病

多 3 :1房当たり 21~50%の果粒又は 51~80%の果軸が発病

甚 4 :1房当たり 51%以上の果粒又は 81%以上の果軸が発病

発病度= (指数×程度別発病房数)4×調査房数 × 100

─ 24 ─

Page 25: 2019 対 照 薬 剤(病害防除)1 対 照 薬 剤(病害防除) 2019年度改訂 (2019年1月) 樹 種 病 害 名 処理時期 対 照 薬 剤・希 釈 倍 数 な

灰 色 か び 病

1.試 験 方 法

⑴ 供試品種

いずれの品種でもよい。結果樹齢に達し,発病調査において 50果房以上供試できる樹が望ましい。

⑵ 試験の規模,設定

例年の発生状況を考慮して供試樹を選定する。なお,露地栽培よりもハウスや雨除け被覆栽培などの方が

発病しやすい。1区 1~3樹以上,2区制(連制)以上とする。施設栽培の場合は,1区 25m2以上とする。

⑶ 薬剤散布時期,回数

花穂または幼果の発生防止をねらいとし,開花直前および落花直後の 2回,葉や花穂に十分量散布する。

2.調 査 方 法

落花 10日後頃に果穂の発病状況を下記の基準に従って調査し,発病率および発病度を算出する。

(指数)

無 0 :病斑なし

少 1 :1~2本の支梗に発病

中 3 :3~4本の支梗に発病

多 5 :5本以上の支梗および穂軸に発病

発病度= (指数×程度別発病房数)5×調査房数 × 100

褐 斑 病

1.試 験 方 法

⑴ 供試品種

罹病性のキャンベル・アーリーが最適であるが,デラウェア,ネオ・マスカット,巨峰でも中程度ながら

発病するので供試可能である。

⑵ 試験の規模

1区 3樹以上,2区制(連制)以上とする。棚仕立てでは,1区 25m2以上とする。

⑶ 薬剤散布時期,回数

開花直前(5月中旬~6月上旬)から,2週間毎に 5~6回散布する。

2.調 査 方 法

最終散布の 20~30日後に,1区当たり 30本の新梢を選び,基部から 10~15葉位までの成葉について罹

病程度を調査する。発病葉率に加え下記の基準に従って発病度を算出する。

─ 25 ─

Page 26: 2019 対 照 薬 剤(病害防除)1 対 照 薬 剤(病害防除) 2019年度改訂 (2019年1月) 樹 種 病 害 名 処理時期 対 照 薬 剤・希 釈 倍 数 な

(指数)

無 0 :病斑なし

少 1 :病斑が 1~3個

中 2 :病斑が 4~10個

多 3 :病斑が 11個以上又は病斑面積が 1/2以下

甚 4 :病斑面積が 1/2以上及び落葉したもの

発病度= (指数×程度別発病葉数)4×調査葉数 × 100

さ び 病

1.試 験 方 法

⑴ 供試品種

発病しやすい欧米系品種の中で,デラウェア,巨峰が最も望ましい。しかし,ネオ・マスカット,マスカッ

ト・ベーリー A,キャンベル・アーリーなどでも差し支えない。

⑵ 試験の規模

1区 3樹以上,2区制(連制)以上とする。棚仕立てでは,1区 25m2以上とする。

⑶ 薬剤散布時期,回数

初発生の時期が地域によって異なるが,概ね 6月下旬~7月中旬から 10~14日間隔で,3~4回散布する。

2.調 査 方 法

最終散布の 10~14日後に,1樹当たり 50~100枚の成葉について,また,面積区割りの場合は,1区当た

り 20新梢を抽出し,基部から 15葉について,それぞれ発病の程度を調査する。発病葉率を求めるとともに,

下記の基準に従って発病度を算出する。

なお,少発条件に推移したときは,状況に応じて追加調査を実施することが望ましい。

(指数)

無 0 :病斑なし

少 1 :病斑面積が葉の 1~10%

中 3 :病斑面積が葉の 11~40%

多 5 :病斑面積が葉の 41~70%

甚 7 :病斑面積が葉の 71%以上

発病度= (指数×程度別発病葉数)7×調査葉数 × 100

─ 26 ─

Page 27: 2019 対 照 薬 剤(病害防除)1 対 照 薬 剤(病害防除) 2019年度改訂 (2019年1月) 樹 種 病 害 名 処理時期 対 照 薬 剤・希 釈 倍 数 な

枝 膨 病

A.休眠期試験

1.試 験 方 法

⑴ 供試品種,樹齢

罹病性である巨峰群品種を供試する。供試樹は 2年生以上の罹病樹とする。

⑵ 試験の規模,設定

1区 1樹以上,3区制(連制)とする。棚仕立てでは 1区 50本以上の新梢が確保できる樹が望ましい。供

試樹は前年,本病に十分感染した樹を使用する。

⑶ 散布時期,回数

萌芽直前(4月上旬)に 1回散布する。

2.調 査 方 法

6月中旬頃に新梢基部 10 cmの範囲における黒色病斑の発生状況を程度別に調査する。6月中旬頃の調査

で無散布区における発病が十分認められない場合は,7月中旬に追加調査を実施する。発病程度は下記の基

準に従って算出する。

(指数)

無 0 :病斑なし

少 1 :新梢基部の 1/4以下に病斑が認められる

中 3 :新梢基部の 1/2~1/4に病斑が認められる

多 5 :新梢基部の 1/2以上に病斑が認められる

発病度= (指数×該当枝数)5×調査枝数 × 100

B.休眠期~生育初期試験

1.試 験 方 法

⑴ 供試品種,樹齢

休眠期試験に準ずる。

⑵ 試験地の設定,試験の規模,伝染源の設置

1区 1樹以上,3区制(連制)とする。棚仕立てでは新梢が 1区 50本以上確保できる樹が望ましい。供試

樹は前年,本病に十分感染した樹を使用する。このような樹を確保できない場合は,罹病枝(1~2年生枝,

長さ 30 cm程度,1樹当たり 3本程度)を伝染源として樹上に吊るす。罹病枝か否かは節部射出随先端部の

褐変及び節膨れの有無で判定する。

⑶ 散布時期,回数

萌芽直前(4月上旬),展葉 3~4枚(4月中~下旬),展葉 7~8枚(5月上~中旬)に 3回散布する。

─ 27 ─

Page 28: 2019 対 照 薬 剤(病害防除)1 対 照 薬 剤(病害防除) 2019年度改訂 (2019年1月) 樹 種 病 害 名 処理時期 対 照 薬 剤・希 釈 倍 数 な

2.調 査 方 法

休眠期試験に準ずる。

白 腐 病

自然発生ほ場での試験が望ましいが,発生がないか微発生のほ場では接種試験によって効果を判定するこ

ともできる。

1.試 験 方 法(接種試験)

⑴ 供試品種

発病しやすい欧州系品種が望ましいが,巨峰でもよい。同一樹である必要はないが,同一品種を供試する。

⑵ 試験区の規模

1区 30房以上(できれば 50房),できれば反復を設けることが望ましい。

⑶ 接種源の調製

ブドウ白腐病菌を PDA培地で 25℃,2~3週間培養し,形成された柄胞子を胞子濃度 1×106個/mlに調

製し,接種に用いる。

⑷ 接種および薬剤処理

薬剤処理は,幼果期(果粒の大きさが小豆大期及び大豆大期頃)に 2回を行う。

病原菌は主に傷口から感染するため,昆虫針を 10本程度束ねたもので供試果房の穂軸を 2カ所せん刺,

または,穂軸下端や上位の枝梗部分 2カ所程度切除する。付傷処理は原則として薬剤散布直前に行う。接種

を行う場合には,2回目の薬剤散布後,薬液が十分乾いた後に,胞子懸濁液をハンドスプレーで果房全体に

十分量噴霧接種する。接種後は翌日までビニール袋等で果房を覆い,感染を促す。なお,接種やその後のビ

ニール袋の被覆は晴天時を避ける。ビニール袋除去後は最終散布の 10日後を目安に袋かけする。

2.調 査 方 法

発病は,自然感染条件下の多発時には果粒が小豆大期以降,接種試験では接種 5~7日後からみられはじ

め,成熟期まで続く。幼果期の発病果房は成熟期になると本病か否かを確認しにくくなるので,袋かけ前に

全区の発病を調査し,収穫期にも発病の有無を調査して,累計の発病果房率を算出する。穂軸や枝梗の枯死

などの症状で,判断がつきにくいものは組織分離を行い,病原菌が分離されたものを発病とみなす。収穫前

に落果した果房も随時,同様に調査し,調査結果に含める。なお,発病程度に差がある場合は適宜,調査基

準を設け,発病度を算出してもよい。

─ 28 ─

Page 29: 2019 対 照 薬 剤(病害防除)1 対 照 薬 剤(病害防除) 2019年度改訂 (2019年1月) 樹 種 病 害 名 処理時期 対 照 薬 剤・希 釈 倍 数 な

〈カ キ〉

落葉病(円星・角斑)

1.試 験 方 法

⑴ 供試品種

いずれの品種,樹齢でもよいが,極端な衰弱樹は除き,同一品種で試験を実施する。

⑵ 試験の規模,設定,伝染源の設置

試験地は同一圃場内に設け,生育の揃った樹を選び,1区 1樹以上,3区制(連制)とする。

例年発病の少ない圃場では,発病圃場の病落葉を前年秋に採取して保存し,発芽前に供試圃場の地面に均

一にばらまいて伝染源としてもよい。

⑶ 薬剤散布時期,回数

5月中旬~7月中旬の梅雨期を中心に 3~5回,供試樹全体に十分量散布する。

2.調 査 方 法

9月上旬から収穫期までに 1~2回,20~30本の新梢を選び,発病葉率,落葉率を求めるとともに,下記

の基準に従って発病度を算出する。

(指数)

無 0 :病斑なし

少 1 :病斑が散見されるもの

中 2 :病斑が葉面の 1/4以下に分布するもの

多 4 :病斑が葉面の 1/4~1/2に分布するもの

甚 6 :病斑が葉面の 1/2以上に分布するもの

発病度= (指数×程度別発病葉数)6×調査葉数 × 100

う ど ん こ 病

A.生育期試験

1.試 験 方 法

⑴ 供試品種

平核無,刀根早生などと比較して富有が発病しやすく,供試品種として適する。しかし,試験実施地域の

主要栽培品種で発生の認められるものであれば,いずれの品種でもよい。本病は葉にのみ発生するが,薬剤

散布の果実への影響を観察できるように結果樹齢に達したものを供試することが望ましい。

─ 29 ─

Page 30: 2019 対 照 薬 剤(病害防除)1 対 照 薬 剤(病害防除) 2019年度改訂 (2019年1月) 樹 種 病 害 名 処理時期 対 照 薬 剤・希 釈 倍 数 な

⑵ 試験の規模

1区 1樹以上,3区制(連制)とする。発生が安定している場合は 1区 3樹でもよい。

⑶ 薬剤散布時期,回数

初期発病に対する防除効果を検討する場合,4月下旬~5月上旬(子のう胞子飛散時期),6月上旬,6月

下旬(幼果期~生理落果期:和歌山県基準)の 3回散布する。生育期を通じた防除試験では,8月上旬~下

旬にかけて 1~2回追加散布を行う。

2.調 査 方 法

初期発病防除試験では,6月下旬の最終散布から約 30日後に行う。生育期を通じた防除試験では,6月下

旬にも調査を行うが,最終散布後の 1回だけでもよい。調査に際しては,1樹当たり 100葉を任意に選び,

発病葉率を求めるとともに,下記の基準に従って発病度を算出する。

(指数)

無 0 :病斑なし

少 1 :病斑面積が葉の 1/4以下

中 3 :病斑面積が葉の 1/4~1/2

多 6 :病斑面積が葉の 1/2~3/4

甚 10 :病斑面積が葉の 3/4以上

発病度= (指数×程度別発病葉数)10×調査葉数 × 100

B.休眠期試験

1.試 験 方 法

⑴ 供試品種

生育期試験に準ずる。

⑵ 試験の規模

生育期試験に準ずる。

⑶ 薬剤散布時期,回数

萌芽直前に 1回散布する。生育期は慣行防除とするが,うどんこ病を対象とした防除は 6月以降とする。

2.調 査 方 法

7月下旬に 1樹当たり 100葉を任意に選び,生育期試験と同様の基準に従って程度別に発病葉数を調査し,

発病葉率と発病度を算出する。

─ 30 ─

Page 31: 2019 対 照 薬 剤(病害防除)1 対 照 薬 剤(病害防除) 2019年度改訂 (2019年1月) 樹 種 病 害 名 処理時期 対 照 薬 剤・希 釈 倍 数 な

炭 疽 病

A.生育期試験

1.試 験 方 法

⑴ 供試品種,樹齢

富有などの発病しやすい品種を供試する。供試樹は結果樹齢に達し,1樹当たり 50果以上供試できる樹

が望ましい。

⑵ 試験の規模,設定,伝染源の設置

試験地は同一圃場内に設け,生育の揃った樹を選び,1区 1~3樹以上,3区制(連制)とする。発病程度

は第一次伝染源の多少や伝染期間内の気象条件により大きく左右され,十分な自然発病が得られないことが

多い。この場合,8月下旬~9月上旬の最終散布後に,病原菌培養枝を果実上方に 9月末頃まで吊り上げて

接種源とする。

⑶ 接種源の調整

500または 1,000mlの三角フラスコにカキの 1~2年生枝を長さ約 5 cmに切って詰め,底から 1~2 cm

の高さまで水を加えて 120℃で 30分間高圧滅菌する。余分な水を除いた後,予め PDA培地に培養しておい

た病原菌の菌叢を移植し,25℃で約 1カ月間培養する。その後,三角フラスコから取り出した培養枝を日陰

に数週間保持して分生胞子堆を形成させる。この状態の培養枝を果実上方あるいは樹冠頂部に針金で吊す。

⑷ 薬剤散布時期,回数

その地域の慣行散布時期にのっとり,概ね,5月中旬~9月上旬までに 5回程度散布する。

2.調 査 方 法

9月下旬から 10月上旬に,1樹当たり約 50果を任意に選び,発病果率を求めるとともに,下記の基準に

従って発病度を算出する。

(指数)

無 0 :病斑なし

少 1 :少病斑(直径 5mm以下)が 3個以下

中 3 :少病斑が 4~10個または中病斑(直径 5~15mm)が 1個以下

多 5 :指数 3以上の発病

発病度= (指数×程度別発病葉数)5×調査葉数 × 100

B.休眠期試験

1.試 験 方 法

⑴ 供試品種

生育期試験に準ずる。

─ 31 ─

Page 32: 2019 対 照 薬 剤(病害防除)1 対 照 薬 剤(病害防除) 2019年度改訂 (2019年1月) 樹 種 病 害 名 処理時期 対 照 薬 剤・希 釈 倍 数 な

⑵ 試験の規模,設定

生育期試験に準ずる。

⑶ 薬剤散布時期,回数

発芽前の 3月中下旬に 1回散布する。

2.調 査 方 法

6月中旬に 1樹当たり新梢 50~100本,7月上中旬に 1樹当たり約 50果を任意に選び,発病新梢率と発病

果率を算出する。

灰 色 か び 病

1.試 験 方 法

⑴ 供試品種

いずれの品種でもよい。

⑵ 試験の規模,設定

試験地は同一圃場内に設け,1区 1樹以上,3区制(連制)とする。なお,本病は風等による葉の損傷に

よって発病が助長されるので試験区の配置には留意する。

⑶ 薬剤散布時期,回数

開花 1カ月前から開花期にかけて,約 10日間隔で 3~4回散布する。島根県の場合,5月中旬から 6月上旬

にかけて発病が急増するので,5月上旬から散布している。なお,葉がやわらかい時は,強風などによって生じた

傷口から本病原菌が侵入し多発生する恐れがあるので,そのような地域では散布開始をやや早める必要がある。

2.調 査 方 法

原則として最終散布から 7~10日後に,1樹当たり 250葉を調査し,発病葉率を算出する。また,西条等の

発病葉が落葉しやすい品種では,発病葉率が最大となる日に調査するか,落葉率を求めておくことも重要である。

〈イ チ ジ ク〉

株 枯 病

1.試 験 方 法

⑴ 供試品種,樹齢

蓬萊柿または桝井ドーフィンの幼木(1~2年生)を供試する。なお,供試樹には本病の無発生地で育成

された苗木を供試する。また,試験には鉢植えまたはコンテナ植えの苗木を用いてもよい。

⑵ 試験の規模,設定,接種方法

1区 5樹以上,2区制(連制)以上とする。試験地は本病に汚染された圃場が望ましいが,非汚染地で行

─ 32 ─

Page 33: 2019 対 照 薬 剤(病害防除)1 対 照 薬 剤(病害防除) 2019年度改訂 (2019年1月) 樹 種 病 害 名 処理時期 対 照 薬 剤・希 釈 倍 数 な

う場合は,定植後(定植直後から少なくとも 1カ月程度の間)に株枯病菌の胞子懸濁液(5×104個/ml程

度の胞子濃度)を 1樹当たり 100~500ml株元にかん注する。

⑶ 薬剤処理時期,回数

汚染土壌では定植直後,接種土壌では接種後直ちに 1回目の薬液かん注を株元に行う。かん注量は試験計

画書に従う。

処理回数は試験薬剤の試験計画書に従うが,指示されていない場合は目安として 10月までの間に 3回程

度行うようにする。かん注量が少ない場合(5 l/樹未満)には 5回程度まで回数を増やす。

2.調 査 方 法

当年の 8月下旬及び翌年の 8月下旬に,本病の特徴的な病徴である地上部の萎凋,枯死により発病の有無

を調査する。発症樹は主幹の地際部から地下部にかけて褐変病斑を形成するが,本病であることを確認する

ためには削除した病斑部を過湿状態に保ち,子のう殻が形成されるか否かを調査する。さらに 10月中旬以

降に全株を掘り上げ,同様の発病調査を実施するとともに,株を解体し地際部の内部病徴(木質部~髄部の

褐変)の有無も調査する。無処理区の発病が不十分な場合は翌年まで試験を継続する。

〈ク リ〉

実 炭 疽 病

1.試 験 方 法

⑴ 供試品種,樹齢

大和早生,森早生,丹沢,伊吹,国見,筑波,利平などが罹病性品種であるが,なかでも大和早生が最も

感受性が高く供試品種としては適する。しかし,県内の主要品種で例年発生のみられる樹であれば,供試樹

として差し支えない。樹齢は,古いほど発生が多いことから,少なくとも 6年生以上の樹を用いる。

⑵ 試験の規模,設定

1区 3~5樹を基本とするが,粉剤等の試験や樹齢,結果量の関係でさらに多くなる分には差し支えない。

⑶ 薬剤散布時期,回数

7月下旬~8月下旬の間に,約 10日間隔で 3回散布する。散布方法は,動力噴霧機又は散粉機で十分量を

樹冠に散布する。

2.調 査 方 法

収穫時期に予め調査日を定めておいて,それまでは落毬,落果実はそのままにしておく。調査当日に 1樹

当たり 50~100果(1区 150~300果程度)の果実について,発病の有無を調査して発病果率を算出する。

なお,少発生時には,1区 100個の果実を試験区ごとにビニール袋に入れて密封し,25℃又は常温条件下に

置いて 5日後に発病状況を調査する。なお,発病が少ない時は,さらに 10日後にも調査を実施する。

─ 33 ─

Page 34: 2019 対 照 薬 剤(病害防除)1 対 照 薬 剤(病害防除) 2019年度改訂 (2019年1月) 樹 種 病 害 名 処理時期 対 照 薬 剤・希 釈 倍 数 な

落葉果樹「薬剤効果試験法」執筆者(敬称略)

〈ナ シ〉 黒斑病(生育期,休眠期) 渡辺 博幸 (鳥取園試)

黒星病(生育期,休眠期) 梅本 清作 (千葉農試)

赤星病 梅本 清作 (千葉農試)

輪紋病(生育期,休眠期) 冨田 恭範 (茨城園芸研)

うどんこ病 村上 來 (徳島果試)

胴枯病 渡辺 博幸 (鳥取園試)

白紋羽病 渡辺 博幸 (鳥取園試)

〈セイヨウナシ〉 輪紋病 菊池 繁美 (山形園試)

〈モ モ〉 灰星病 寺井 康夫 (山梨果試)

黒星病 那須 英夫 (岡山農試)

縮葉病 那須 英夫 (岡山農試)

ホモプシス腐敗病 尾形 正 (福島果試)

せん孔細菌病 飯島 章彦 (長野果試)

炭疽病 尾形 正 (福島植防)

〈ス モ モ〉 灰星病 寺井 康夫 (山梨果試)

ふくろみ病 飯島 章彦 (長野果試)

〈ウ メ〉 かいよう病 夏見 兼生 (和歌山果樹園試)

黒星病 福士 好文 (青森畑作園試)

すす斑病 夏見 兼生 (和歌山果樹園試)

〈ブ ド ウ〉 晩腐病(生育期,休眠期) 深谷 雅子 (秋田果試)

黒とう病(生育期,休眠期) 田代 暢哉 (佐賀果試)

べと病 今田 準 (果樹試安芸津)

うどんこ病 那須 英夫 (岡山農試)

灰色かび病 深谷 雅子 (秋田果試)

褐斑病 工藤 晟 (果樹試)

さび病 工藤 晟 (果樹試)

枝膨病(休眠期,生育期) 梶谷 裕二 (福岡農総試)

白腐病 近藤 賢一 (長野果試)

〈カ キ〉 落葉病(円星,角斑) 横山 泰裕 (新潟園試)

うどんこ病 島津 康 (和歌山果樹園試)

炭疽病 今田 準 (果樹試安芸津)

灰色かび病 山本 淳 (島根農試)

〈イ チ ジ ク〉 株枯病 梶谷 裕二 (福岡農総試)

〈ク リ〉 実炭疽病 磯田 隆晴 (熊本果樹研)

─ 34 ─