20170212やっつけ仕事にしない「研究」ポートフォリオ 進行スライド1218
TRANSCRIPT
やっつけ仕事にしない「研究」ポートフォリオ
~後期研修医ができる臨床研究~ @ 第 12 回 若手医師のための家庭医療学冬期セミ
ナー
日本プライマリ・ケア連合学会研究支援委員会
2
スタッフ 8 名( 50 音順、敬称略)
柏崎元皓 ( 関西家庭医療学センター金井病院 総合診療科 )片岡裕貴(兵庫県立尼崎総合医療センター呼吸器内科)
加藤大祐(三重大学大学院医学系研究科家庭医療学分野 地域医療学講座 大学院生)
草野超夫(京都家庭医療学センター上京診療所副所長 )添野祥子 (白河厚生総合病院総合診療科)
中田理佐(兵庫県立尼崎総合医療センター )長沼透 ( 福島県立医科大学臨床研究イノベーションセンター )西脇宏樹 ( 福島県立医科大学臨床研究イノベーションセンター )花本(中西) 明子(市立福知山市民病院大江分院内科)
福原俊一(京都大学医学研究科社会健康医学系専攻 医療疫学)
3
研究ポートフォリオ難しい!!
4
困難なことはすべて、扱うことができ、解決が必要な部分へと分割せよ
René Descartes 1596-1650
5
「研究」ポートフォリオの作成
研究の実施
省察ポートフォリ
オ作成
今回の WS のスコープ
6
WS トータルの目標
明日から利用できる研究リソースを自分たちのセッティングに導入するプランを立てる
7
Ground rules
BLAME SHAME
8
本 WS は「研究」でもあります
みなさんから提出いただく• アンケート• アクションプランシート(写真を取らせてく
ださい)※ いずれも無記名
→ まとめて、学会誌に報告 ※提出=同意 提出拒否しても WS への参加 OK(兵庫県立尼崎総合医療センター倫理委員会にて承認済)
9
タイムテーブル
・アイスブレイク・グループワーク みなさんの持つ研究実施の問題点・実際の研究例・グループワーク 明日からどうする?積み残しは?・まとめ
アイスブレーク
積み木自己紹介
自己紹介
• 自己紹介• 出身地を伝えるようにしてください
積み木タイム
• ファシリテーターの左隣の人から時計回りに• 左隣の人までの全員分の【出身地+名前】を
紹介した後に、自分の【出身地+名前】
積み木タイム
A B C
積み木タイム
東京都出身の A です。
積み木タイム
東京都出身の A さんの隣の京都府出身の B で
す。
積み木タイム
東京都出身の A さんの隣の京都府出身の B さんの隣の北海道出身の C です。
積み木タイム
• 制限時間
5分• つまったらヒントを出し合って助け合い
ましょう
グループ内で自己紹介
積み木タイム
考えてるだけじゃだめ!
⑤分かちあう ④出来る ③行う ②分かる①知る
橋本市民病院総合内科橋本忠幸先生提供
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グループワーク
アクションシートを元にあなたのセッティングで臨床研究を実施 /指導する際の問題点を班でシェア
8:50 まで
23
レクチャー:実際の研究例
シナリオ1 一人診療所研修
シナリオ 3病院研修・指導者あり
シナリオ 2 病院研修・指導者いない
研究ポートフォリオを自らの学びにつなげるために~世界を科学するという在り方を求めて~三重大学大学院医学系研究科
家庭医療学分野 地域医療学講座加藤大祐
シナリオ1 一人診療所研修
シナリオ 3病院研修・指導者あり
シナリオ 2 病院研修・指導者いない
リサーチマインドを持つ医師が求められている。平成 25 年度 文部科学省
未来医療研究人材養成拠点形成事業 ( 総予算 22.5 億円 )【テーマ B 】リサーチマインドを持った総合診療医の養成
研究を行う能力は、 いつ、どのように、 涵養されるのだろう。
自己紹介• 卒後 7 年目の家庭医今年専門医試験受験• 三重県出身• 三重大学卒業• 卒業後は県外へ
( 初期研修:筑波大学、後期研修:名古屋大学 )• 7 年目の今年、三重大学大学院に進学
自らの経験を振り返って• 研究テーマ大都市郊外の医療モールの患者の受診動機• 手法:質問紙票を用いた観察研究• 対象: 2015 年 5 月 25 日~ 5 月 30 日に A クリニックを受診した患者• 評価項目:受診動機、他院受診の有無、満足度等• 全体的に、研究とはこういうものかなという感覚で行ったもの。ふわっとしていて、学会発表・論文化に至らず。
振り返り
実際に行う上で困ったこと• 研究を指導できる上級医の不足• 研究を実際に行った先輩専攻医の不足→ 臨床だけでなく、研究にも、 supervisor が必要!
プログラム全体としてのサポート• 様々な施設をローテートすることもあり、縦横ともにつながりが弱い• 当時、大学でのリサーチミーティングは、 3 か月に 1 度で、なかなかタイミングが合わない• 専攻医のポートフォリオ発表会 ( 年 4 回開催 ) で、「研究」のポートフォリオが発表されることは、ほぼ皆無→ 研究について学ぶため、各種セミナー、 WS に参加
参加したセミナー、ワークショップ• 日本プライマリ・ケア連合学会「臨床研究デザイン道場」• 會津藩校日新館臨床研究デザイン塾• 医療者のための臨床研究系統的学習プログラム (eMAP)• 医療者教育研究&臨床研究ネットワークリサーチ合宿• JANAMEF 臨床研究トレーニングコース ( 初級 ) 等
学会のサポート• 日本プライマリ・ケア連合学会 研究助成制度• 個人研究の助成 ・ 助成の対象:当学会会員・研究助成期間: 1 年間・助成件数:年間 3 件まで ・ 1 件当たり年間 10 万円 • チーム研究の助成・助成の対象: 2 名以上の研究者グループ(チーム)・研究助成期間: 2 年間・助成件数:年間 6 件まで・ 1 件当たり年間 40 万円(総額 80 万円)
まとめると後期研修プログラムは• 臨床的に総合診療科についての学びを深めること• 実践から得られた疑問をもとに研究を行うこと両方が求められるが、両立はなかなか難しい
その後研究について、もっと学びたいと考え、後期研修終了後、大学院に進学しました。研究は、後期研修中にすべてを学べるものではなく、研修後も、その精度を高める取り組みが必要だと思います。
研究ポートフォリオがなかなか進まない理由
京都家庭医療学センター草野 超夫
シナリオ1 一人診療所研修
シナリオ 3病院研修・指導者あり
シナリオ 2 病院研修・指導者いない
ある専攻医の一週間
月 火 水 木 金 土
午前 病棟 外来(一般)
病棟 外来(救急)
訪問診療 外来(小児)
午後 訪問診療 病棟 公休 病棟 病棟
夜 当直 カンファ外来
(家庭医)
外来 50 人
往診 20 人
病棟 20 人
研究
でき
る余力
があ
りま
せん…
中小病院・診療所では
専攻医は、貴重な
です。
中小病院・診療所では
専攻医は、貴重な
です。労働力
モチベーション??
あなたが研究を行うモチベーションは何ですか??
①やらなければならないから ②ポートフォリオの必須項目になっているから③クリニカルクエスチョン④地位名誉⑤楽しそうだったから
モチベーション??
あなたが研究を行うモチベーションは何ですか??
①やらなければならないから ②ポートフォリオの必須項目になっているから③クリニカルクエスチョン④地位名誉⑤楽しそうだったから
研究デザイン??
PECO ??
研究デザイン??
PICO ??
研究デザイン??
クリニカルクエスチョンに基づいた楽しい研究がしたい!!!
…でも研究ポートフォリオってどこまでやればよいのでしょうか???獲得目標は???
ここまでの流れをまとめてみました
中小規模のグループに属する研修医は、
① 臨床の最前線で日夜頑張っている② 研究のモチベーションに迷いがある③ 研究について指導を受ける機会が少ない
ここまでの流れをまとめてみました
中小規模のグループに属する研修医は、
① 臨床の最前線で日夜頑張っている② 研究のモチベーションに迷いがある③ 研究について指導を受ける機会が少ない
→ 「研究」 優先順位の低下
私はこう「研究」している
中規模( 412 床)市中病院研修中同期他科の専攻医とグループで共同研究
目的:研究デザインを理解し実践指導医、研究熟知した医師の指導
第 5土曜を業務保証、
学習→研究計画立案→データ収集→解析→考察
私はこう「研究」しました
なんとかおわりましたが…課題累積
・業務保証が完璧ではなかった・論文にまとめきれず息切れ・「継続」や「引き継ぎ」できず
私はこう「研究」しました
→ 私なりの考察研究を業務内で進めていくには相当な労力と意識づけが必要。時間、マンパワー、場合によっては予算も必要。指導医の支援だけではモチベーション切れに至らないか。
私はこう「研究」しました
「チーム」を作ることが大切だと感じました。どうしても難しい場合は大学のゼミに短期加えてもらうなど、研究を日常的に遂行している場所で経験するのはいかがでしょう?
頑張っていきましょう!
もし臨床経験ゼロの初期研修医がシステマティックレビューをすることになったら。兵庫県立尼崎総合医療センター
2 年目研修医 中田理佐
自己紹介
宝塚 大阪市立大学
兵庫県立尼崎総合医療センター
シナリオ1 一人診療所研修
シナリオ 3病院研修・指導者あり
シナリオ 2 病院研修・指導者いない
よろしくお願いします。
きっかけ
Systematic Review のハードル ① Systematic Review ってなに ? ②研修医のないだらけ
ハードルとその解決〜初期研修医中田の場合〜
①Systematic Review ってなに ?
Systematic Review ってなに ?
• 臨床的疑問について①既にあるエビデンス(論文)を探す。②探してきたデータを評価する。③評価した結果をまとめる。*資金はほとんどかからない臨床研究。→ SR の手順は?
SR の全体像
リサーチクエッション
プロトコル作成PROSPERO登録
データ収集 解析 & 発表
↑
探す
↑
評価するまとめる
SRWS の概要講義
宿題
SR の理解+プロトコル作成
月 1−2 回の計 9 回
各回ごと個人 → グループ作業
復習 添削 +α
発表
ワークショップが解決• 院内 & 院外の指導者• 配布スライド & 動画• 適度な進行速度と宿題量• SR に役立つツールを知る• 気軽に相談• 宿題をやればプロトコルが作成できる仕組み
セグウェイのようやで
…
SR の全体像
リサーチクエッション
プロトコル作成PROSPERO登録
データ収集 解析 & 発表
②研修医のないだらけ
ないだらけ!• 知識がない• 臨床経験がない• 論文も慣れてない• 余裕がない
日常業務には響かないけど
アンチョコ本も読みた
い とりあえずやってみる精神
ないだらけの葛藤
必要そう
RQ が思いつかな
い
ちょっと休みたい
興味とやる気は無くはない
ないだらけ、の解決
あるだらけ、が解決• 指導者がいる• ワークショップがある• 気軽に相談できる個人的要素では• 指導者がちょうど指導医• グループメンバーが同じローテの同期• 司書さんの力
The sterilization effect and adverse events of chlorhexidine when collecting blood cultures from bacteremic patients
プロ
トコ
ル完
成と
、そ
の後
。
その後。• 指導者と月 1 回の参加者ミーティング• 困ったらメール、医局で相談• 進捗状況の確認• 論文原稿は司書さんに取り寄せ依頼• 自分たちのペースで進行
SR の全体像
リサーチクエッション
プロトコル作成PROSPERO登録
データ収集 解析 & 発表
まとめ・知識がない
・指導者=タイムキーパー
・臨床経験がない
・余裕がない・ワークショップ
・臨床研究ツール・司書
・論文に慣れてない
・宿題形式
あまり関係ない
まとめ~システマティックレビューをやってみて~◯良かった点・ SR と、その過程を知ることができた・論文のポイントを押さえて読む習慣ができた
検索式、文献データベース、臨床試験登録サイト、 GRADE 、資金はほとんど要らない!
まとめ~システマティックレビューをやってみて~◯難しかった点・モチベーションの維持・一人ではできない・知識不足はまだ残る
研修に必須ではない、チーム連携が必要、日 常業務がある… etc
ありがとうございました。
福島県立医科大学白河総合診療アカデミー
総合診療と臨床研究を同時に学ぶ!
革新的な総合診療医養成プログラム
シナリオ1 一人診療所研修
シナリオ 3病院研修・指導者あり
シナリオ 2 病院研修・指導者いない
“ ながら”エクササイズの移動能力への効果ランダム化比較試験
http://www.lacpoissonblanc.ca/wp-content/uploads/2015/03/question.png
高齢の患者さんは入院すると体力が落ちるなあ…
とくに身体抑制を受けるとさらに ADL が下がるような気がするけど、実際どうなんだろう?
背景
#J15101
1980年代〜 身体抑制の有害事象は数多く報告さ
れている。 ADL, 認知機能低下、褥瘡などMed Care. 2009;47;1164-73J Adv Nurs. 2002;40;616-25
身体抑制を減らしても転倒の発生は増えない。Levine, et al. 1995 JAGS PMID 7636102
Tang WS, et al. JBI Libr Syst Rev. 2012;10:307-51
2015年の報告でも、介護施設では 26%が身体抑
制を受けている。 BMJ Geriatr. 2015;15;129
背景
#J15101
日本では?
2000年 介護保険法で身体抑制禁止
2001年「身体抑制ゼロへの手引き」厚生労働省
認知症ケア加算
身体抑制を行った日は 4 割減算される
Clinical Question
#J15101
これまでは ICU や介護施設での研究が多い。
↓急性期の一般病床での実態は?
身体抑制によって ADL は下がるのか?
転倒やデバイス抜去は予防できているのか?
PECO
#J15101
P:「入院の契機となった病名」が肺炎である 65歳以上の患者
E:長期間身体抑制を受けた群
C:身体抑制を受けたが、短期間だった群 O: ADL低下(入院時と退院時の ADL スコアの比較)
方法
#J15101
デザイン:後向きの観察研究
セッティング:白河厚生総合病院
DPC から肺炎で入院した患者を抽出→看護師と協力し、電子カルテ、安全帯使用観察シートの情報を合わせたデータベースを作成し解析する。
対象
#J15101
急性期内科病床の高齢患者( 65歳以上) 「入院の契機となった病名」が肺炎 入院中に身体抑制を受けた
除外基準:とくになし
Exposure
#J15101
身体抑制をされている患者は安全帯観察シートが各勤務帯毎に記入されている。
使用部位:体幹、上肢、下肢使用用具:ひも式リムホルダー、バックルベルトまたはマグネット式リムホルダー、体幹抑制帯、ミトン
主要アウトカム
#J15101http://www.study-channel.com/2015/07/timed-up-and-go.html
ADL低下
Barthel Index
副次アウトカム
#J15101
入院期間
褥瘡
死亡率
4週間以内の計画外の再入院
インシデントレポートから抽出
転倒・転落
デバイス抜去
概念モデル
#J15101
ADL低下身体抑制
入院前の ADL 認知症年齢BMIリハビリ介入アルブミン肺炎の重症度
統計解析
#J15101
重回帰モデル
調整変数
入院前の ADL ( Barthel Index )
認知症
年齢
BMI リハビリ介入
アルブミン
肺炎の重症度
予想される結果
#J15101
入院時 退院時0
102030405060708090
短期間群 長期間群
Barthel Index
Limitation
#J15101
後ろ向きなので測定できる項目が限られている。未測定の交絡因子が多い。
DPC で用いられている肺炎の重症度の評価項目が臨床的な重症度を反映していないことがある。
もともとの ADL が低過ぎる場合など、 Barthel Index が適切な評価の指標でない場合がある。
唐突ですが、質問!臨床研究に必要なものとは?
108
系統的学習
メンター
時間
仲間 全部ある!!
ご応募お待ちしています!
グループワーク:アクションプラン
ここまでの話を受けて自分のセッティングで明日からやることシートを埋める
110
9:40 まで
シェア
班でシェアしてみましょう
111
9:50 まで
112
臨床研究リソース
• 系統的学習プログラムあれこれ• 指導者育成プログラム:未来人材• 情報を検索し、吟味するノウハウ、スキル• 自分の臨床疑問を構造化 →アプリ、メンタリング
113
講評
9: 55 まで
114
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