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2015 年期 実務補習所考査問題 【税に関する理論及び実務】 Japan Foundation for Accounting Education & Learning <注意> この問題は、実務補習機関一般財団法人会計教育研修機構に設置されている 各実務補習所において実施された考査の問題をまとめたものです。 当機構に無断で、問題を複製・転載し使用することを一切禁じます。 また、問題に関するお問い合わせには応じられません。

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2015年期 実務補習所考査問題

【税に関する理論及び実務】

Japan Foundation for Accounting Education & Learning

<注意>

この問題は、実務補習機関一般財団法人会計教育研修機構に設置されている

各実務補習所において実施された考査の問題をまとめたものです。

当機構に無断で、問題を複製・転載し使用することを一切禁じます。

また、問題に関するお問い合わせには応じられません。

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<法人税>

問 内国法人であるA株式会社は、名古屋市緑区に本社および工場を置く自動車部品製造業を営む非

同族会社である。当期(第 16 期:自平成 27 年 4 月 1 日至平成 28 年 3 月 31 日)の決算における

作成途中の貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、その他所得の金額計算に必要な事項は

「資料」に示すとおりである。

① 「資料」を参照し、当期の法人税申告書(別表一(一)、別表一(一)次葉、別表四、別表五

(一)、別表五(二)、別表六)を作成して、法人税、県民税、市民税、事業税を計算しなさ

い。

② 未払法人税等及び税効果会計に関する決算修正仕訳を示し、当期純利益の金額を計算しなさい。

なお、未払法人税等は、確定未払額と同額を計上すること。

③ ②の決算修正仕訳をいれた決算書に適合するよう、①で作成した別表四、別表五、別表五(一)

に追加記入を行い、また、修正すべき箇所は修正しなさい。なお、修正箇所のうち別表四の

「当期利益又は当期欠損の額(1)」欄は二重線で消して正しい金額を示すこと。

<解答用紙提出に当たっての注意事項>

(1) 解答はボールペンでも鉛筆でもどちらで記載してもよい。

(2) 別表の一つの枠に複数の金額が記入される場合、その合計額で記載すること。

(3) 解答用紙は左上をホチキスで止めて提出すること。

<資料>

1.解答に当たっての注意事項

(1) 税法上適用される方法が2つ以上定められている事項については、当期に納付すべき法人税額が

最も小さくなる方法によること。

(2) 解答に当たって補足すべき事項がある場合には、解答用紙に明記すること。

(3) 問題には一部、実際の制度と整合しない項目があるが、その違いは考慮しないこと。

(4) 消費税は考慮しない。

(5) 復興所得特別税は源泉所得税に含めて別表を記載すること。

2.法人税等算出前の計算書類

(1)貸借対照表

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(2)損益計算書

(3)株主資本等変動計算書

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3. 期首現在の利益積立金および資本金等に関する事項

(前期の法人税申告書別表五(一)より)

利益積立金の額

資本金等の額

4.租税公課に関する事項

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5.棚卸資産に関する事項

仕入計上していたが移送中ため計上漏れとなった原材料(棚卸資産)3,000,000 円があった。

6.賞与引当金に関する事項

賞与引当金の前期繰越額は、全額、夏期賞与の支払いに充当した。なお、賞与引当金の計上に伴い、

これに対応する社会保険料を未払費用勘定に計上している。当該金額は、賞与引当金の 11%である。

7.受取配当金に関する事項

受取配当金 2,000,000 円は全額、完全子会社からの配当金である。

8.交際費に関する事項

損益計算書の接待交際費勘定の金額は 4,200,000 円である(飲食費はない。)。

9.一括償却資産に関する事項

一括償却資産の状況は以下のとおりである。なお、一括償却資産は取得時に消耗品費として処理し

ている。別表四への記載は、加算と減算を別々に記載すること。

第 14 期に取得した一括償却資産の金額 3,300,000 円

第 15 期に取得した一括償却資産の金額 2,700,000 円

第 16 期に取得した一括償却資産の金額 3,300,000 円

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10.税効果会計に関する事項

当社は税効果会計を適用しており、前期末及び当期末の実効税率を 30 %としている。

なお、一括償却資産に対する繰延税金資産は全額「長期繰延税金資産」とする。

11.税率

(1) 法人税

法 人 税:所得金額(千円未満切捨)に対して 23.9%

地方法人税:法人税額(千円未満切捨)に対して 4.4%

(2) 県民税

法人県民税

均等割 :年 136,500 円

法人税割:法人税額(地方法人税を含まない。千円未満切捨)に対して 4.0%

事業税

所 得 割:年 400 万円以下の所得金額 1.714%

年 400 万円を超え年 800 万円以下の所得金額 2.465%

年 800 万円を超える所得金額(千円未満切捨) 3.316%

付加価値割:付加価値額に対して 0.7344%

資 本 割:資本金および資本剰余金(千円未満切捨)に対して 0.306%

地方法人特別税:基準法人所得割額に対して 93.5%

基準法人所得割額とは、標準税率で計算された法人事業税所得割額をいう

(標準税率)

所得割 年 400 万円以下の所得金額 1.6%

年 400 万円を超え年 800 万円以下の所得金額 2.3%

年 800 万円を超える所得金額(千円未満切捨)3.1%

(3) 市民税

法人県民税

均等割 :年 380,000 円

法人税割:法人税額(地方法人税を含まない。千円未満切捨)に対して 11.495%

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計算用紙(提出する必要はない)

(*1)資本金等には、資本準備金が含まれる。

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繰延税金資産および法人税等調整額の算定ワークシート

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問 甲株式会社(平成27年4月1日~平成28年3月31日)の受取配当金等の額は次のとおりである。以下

の<資料>をよく読み、(1)~(4)の問に答えなさい。なお、複数の計算方法がある場合は、甲

株式会社の法人税額を最も少なくする有利な方法によること。

<資料>

銘柄等 区分 配当等の計算期間 配当等の額

A出資 剰余金の分配 H26.8.1~H27.7.31 500,000円

B株式 配当金 H26.1.1~H27.12.31 700,000円

C株式 配当金 H26.10.1~H27.9.30 600,000円

D証券投資信託 収益分配金 H26.10.1~H27.9.30 400,000円

E株式 配当金 H26.1.1~H27.12.31 1,750,000円

F証券投資信託 収益分配金 H26.1.1~H27.12.31 300,000円

G株式 配当金 H26.1.1~H27.12.31 900,000円

H生命保険会社 契約者配当金 ― 150,000円

I株式 配当金 H26.10.1~H27.9.30 450,000円

・A出資は、内国法人A協同組合に対するもの(その出資割合は、数年前より 3%未満である)

であり、剰余金の分配の額の内訳は出資分量配当金 100,000 円及び事業分量配当金 400,000

円である。

・B株式会社は、X国に本店を有する外国法人であり、甲株式会社は数年前にその発行済株式

総数の 40%を取得しており、取得後元本に異動はない。なお、B株式会社は特定外国子会社等

には該当しない。

・C株式の異動状況は次のとおりである。その基準日は毎年 9 月 30日である。また、株式の

保有割合は 1%未満である。

平成 26年 10月 1日現在持株数 20,000株

平成 27年 8 月 10日取得株数 5,000 株

平成 27年 9 月 6日取得株数 15,000株

平成 27年 9 月 24日売却株数 10,000株

平成 27年 10月 17 日取得株数 15,000株

平成 27年 11月 9日売却株数 40,000株

平成 27年 11月 21 日取得株数 5,000 株

・D証券投資信託は、外貨建等証券投資信託である。

・E株式は、内国法人E株式会社が発行する株式であり、甲株式会社は数年前から保有してお

り、その保有割合は 35%である。

・F証券投資信託は、特定株式投資信託(外国株価指数連動型以外)である。

・G株式は、数年前に内国法人G株式会社の発行済株式等を 30%購入により取得したものであ

り、当期末までに元本の異動はない。

・I株式は、内国法人I株式会社が発行する株式であり、甲株式会社は数年前から保有してお

り、その保有割合は 6%である。

・甲株式会社の当期において費用計上した支払利子・割引料の内訳は次のとおりである。

① 社債の利子 500,000円

② J銀行からの手形借入金の利子 600,000円

③ 取引先からの長期借入金(証書借入)の利子 400,000円

④ 売上割引 100,000円

⑤ 受取手形の割引料 300,000円

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・甲株式会社は当期の控除負債利子額の計算方法として原則法を選択した。前期末及び当期末

における総資産の帳簿価額等は次のとおりである。

科目等 総資産の帳簿価額 その他有価証券評

価差益

株式等の帳簿価額

E株式 G株式

前期末 450,000,000 円 1,000,000円 50,000,000円 20,000,000円

当期末 550,000,000 円 1,500,000円 50,000,000円 20,000,000円

(1)益金に算入される短期所有株式等に係る配当等の額を答えなさい。

(2)控除負債利子の対象となる当期の支払利子を答えなさい。

(3)控除負債利子の額を答えなさい。

(4)受取配当等の益金不算入額について、以下の①~④に答えなさい。

なお、該当がなければ「―」と解答すること。

① 関連法人株式等につき受ける配当等の額

② 完全子法人株式等、関連法人株式等及び非支配目的株式等以外の株式等につき受ける

配当等の額

③ 非支配目的株式等につき受ける配当等の額

④ 外国子会社から受ける配当等の額

問 乙株式会社(平成27年4月1日~平成28年3月31日)の受取配当金等について、以下の<資料>

をよく読み、(1)及び(2)の問に答えなさい。なお、複数の計算方法がある場合は、乙株式

会社の法人税額を最も少なくする有利な方法によること。

<資料>

・受取配当等の益金不算入の対象となる配当等の金額は 2,872,000円である。

・当期に支払った支払利子及び割引料の合計額は 3,310,000 円である。その内訳は次のとおり

である。

ア 役員からの証書借入れによる長期借入金の利子 800,000円

イ 固定資産の取得価額に算入した借入金利子 1,500,000円

ウ 法人税の延納の利子税 10,000円

エ 売掛金の回収として取得した手形を割引いた際の売却損 200,000円

オ 割賦購入資産の取得価額に含めずに区分経理した割賦利息 400,000円

カ 売掛金について支払期日前に支払いを受けたことにより支払った割

引料 300,000円

キ 従業員預り金の利子 100,000円

・前期末及び当期末における株式等の帳簿価額は次のとおりである。

区分 前期末 当期末

A株式 18,000,000円 18,000,000円

B株式 25,000,000円 25,000,000円

C株式 ― 37,000,000円

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・前期末及び当期末における総資産等の帳簿価額は次のとおりである。

区分 前期末 当期末

総資産 490,200,000 円 547,800,000 円

特別償却準備金 15,000,000円 15,000,000円

圧縮積立金 ― 10,000,000円

貸倒引当金(注記表示) 800,000円 1,200,000円

・株式はすべて内国法人が発行したものであり、いずれも関連法人株式等に該当する。

・当期末の株式の帳簿価額について、当期の別表四において「有価証券計上もれ 1,000,000円

(加・留)」の税務調整が生じている。

(1)関連法人株式等の控除負債利子を求めるに当たって、以下の算式の①~⑤に該当する数字を

答えなさい。

①当期の支払利子額 ×

②前期末の関連法人株式等の帳簿価額

+③当期末の関連法人株式等の帳簿価額

④前期末の総資産の帳簿価額+⑤当期末の総資産の帳簿価額

(2)益金不算入額を求めなさい。

問 みなし配当・自己株式について、以下の問に答えなさい。

丙株式会社は、所有するX株式 10,000 株(選定した方法に基づく 1 単位当たりの帳簿価額は

300 円)を、発行法人であるX株式会社に対し、相対取引により 1 株当たり 600 円で譲渡した。

譲渡直前のX株式会社の資本金等の額は 400,000,000 円(資本金の額は 200,000,000 円)であ

り、譲渡直前のX株式会社の発行済株式総数は 1,000,000 株であった。

(1)みなし配当の金額を求めなさい。

(2)丙株式会社における税務上の有価証券譲渡損益の金額を求めなさい。なお、有価証券譲渡

損の場合はマイナス(△)を金額の前に付すこと。

(3)仮に丙及びXが同一の 100%グループに属するときに、丙株式会社における増減する資本金

等の額を求めなさい。なお、資本金等の額が減少する場合はマイナス(△)を金額の前に

付すこと。

(4)仮にX株式会社が上場会社であり、本文の取引が証券取引市場を通じて行われたとき、自

己株式取得時のX株式会社の減少する資本金等の額を求めなさい。

(5)X株式会社が 1株当たり 700 円で 10,000株の自己株式を処分したとき、X株式会社の増加

する資本金等の額を求めなさい。

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問 以下の法人税法上の有価証券等の取扱いについて、空欄①~⑩に当てはまる語句を答えなさい。

1) 短期的な価格の変動を利用して利益を得る目的で取得した有価証券として政令で定めるもの

を( ① )有価証券という。法人が事業年度終了の時において有する( ① )有価証券に

ついては、( ② )法により評価した金額をもって、その時における評価額とする。

( ① )有価証券以外の有価証券を( ③ )有価証券いう。( ③ )有価証券につい

ては、( ④ )法により評価した金額をもって、その時における評価額とする。ただし、

( ⑤ )及び( ⑥ )の定めのある有価証券にあっては、帳簿価額と( ⑥ )との差額

のうち当該事業年度に配分すべき金額を加算し、又は減算した金額をもって、その時における

評価額とする。

2) 金融商品取引業者が顧客に信用を供与して行う有価証券の売買その他の取引を( ⑦ )

取引という。また、有価証券が発行される前にその有価証券の売買を行う取引を( ⑧ )

取引という。

法人が、( ⑦ )取引又は( ⑧ )取引の方法により、株式の売付け又は買付けをし、

その後にその株式と銘柄を同じくする株式の買付け又は売付けをして決済をした場合、譲渡利

益額は、その売付けをした株式のその売付けに係る対価の額が、その買付けをした株式のその

買付けに係る対価の額を超える場合における、その超える部分の金額とする。

金利、通貨の価格、商品の価格その他の指標の数値としてあらかじめ当事者間で約定された

数値と、将来の一定の時期における現実の当該指標の数値との差に基づいて算出される金銭の

授受を約する取引、又はこれに類似する取引を( ⑨ )取引という。

( ⑨ )取引を行った場合において、当該( ⑨ )取引のうち事業年度終了の時におい

て( ⑩ )されていないものがあるときは、その時において当該( ⑨ )取引を( ⑩ )

したものとみなして算出した利益の額又は損失の額を、当該事業年度の所得の金額の計算上、

益金の額又は損金の額に算入する。

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問 以下の法人税法における資本的支出と修繕費との判定に関する図中の空欄①~⑤に当てはまる値

を答えなさい。

※1 30 %相当額は修繕費となる。 ※2 支出金額の 30 %と前期末取得価額の 10 %のいずれか少ない金額が修繕費となる。

YES NO

修理改良等のための支出

周期がおおむね(②)年以内か

明らかに価値を高めるものまたは耐久性を増すものか

通常の維持管理のためのものか

災害等により毀損したものを原状に復するためのものか

(③)万円未満又は前期未取得価格の(④)%以下か

災害に伴って支出したものか

割合区分による方法を採用しているか

割合区分による方法を採用しているか

資本的支出 修

繕 費

YES NO

NO

NO

NO

NO

YES

YES

YES

YES

YES NO

YES

YES NO

NO

スタート

( ① ) 万円未満か

(⑤) %相当額 ※ 1

(支出金額-修繕費) ※ 2

実質に よる判定

資本的支出か 修繕費か

NO YES

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問 以下の減価償却資産及び繰延資産に関する文章を読み、空欄①~⑤に当てはまる語句を答えな

さい。また、必要に応じて、「以上」「以下」「未満」を使用すること。

(1) 原則として、取得価額が( ① )の美術品等は減価償却資産して取り扱うことができ

ない。

(2) 取得価額が( ② )及び使用期間が( ③ )の減価償却資産については支出時もしく

は支払時期確定時の損金とすることができる。

(3) 一括償却資産とは取得価額が( ④ )の減価償却資産のことであり、事業年度ごとに一

括して 3 年間で償却できる方法を選択できる。

(4) 繰延資産のうち支出額が( ⑤ )であるものについては、支出事業年度に損金算入が認

められる。

問 電気工事業を営む資本金 5億円の 3月決算の青色申告法人が中古資産を取得して事業の用に供

している。以下の(1)~(3)の問に答えなさい。

(1) 建築後 24 年を経過した建物を取得した。残存耐用年数の見積もりが困難であるため、簡

便法により耐用年数を求めることとした。当該建物の法定耐用年数は 50 年、改良費の支出

が無いとした場合、当該建物の耐用年数を求めなさい。

(2) 上記の建物の取得価額が 100,000,000円、再取得価額が 300,000,000 円であった場合、法

定耐用年数を使用しなければいけなくなるのは、改良費の額がいくらを超える場合か、当該

金額を答えなさい。

(3) 当期中(平成 27 年 4月 1日~平成 28年 3月 31日)に 4 年使用された車両運搬具(取得

価額 800,000円)を購入し、事業供用(平成 27年 10月 5日)に当たり改良費 160,000 円を

支出し、当期の償却費 300,000円とともに当期に全額損金経理している。車両運搬具の耐用

年数を 5 年、償却方法を定額法とした場合、当期における税務調整額を求めなさい。また、

当該車両運搬具の耐用年数は簡便法で求めるものとする。

なお、定額法の償却率は以下のとおりである。

2 年 4 年 5 年 6 年

0.500 0.250 0.200 0.167

問 当社は資本金 1 億円以下の中小企業者等に該当する青色申告法人である。当事業年度(平

成 27 年 4 月 1 日~平成 28 年 3 月 31 日)において、以下の減価償却資産を取得した。償却方

法は定率法とし、事業の用に供したのはいずれも平成 27 年 5 月 1 日とした場合、当期の課税

所得が最少になる損金算入額を求めなさい。

なお、当期には以下の資産以外の取得は無いものとする。

NO 取得資産 取得価額 耐用年数 償却率

① 器具備品(事務机・椅子) 280,000円 15 年 0.133

② 器具備品(パソコン) 180,000円 4 年 0. 500

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問 当社は資本金 7 億円の卸売業を営んでいる青色申告法人である。当期において以下の支出

を行っているが、当期の課税所得が最少になる税務上の損金算入限度額を算出しなさい。

なお、会社の決算期は平成 28年 3月とし、支出は全て平成 27年 4 月に行ったものとす

る。

NO 内容 金額(税抜)

当社が属する業界団体の会館建設費用の負担金である。利用につ

いては会員(負担者)のみに限定されておらず、一般に広く公開

されているもの。なお、当該会館の法定耐用年数は 50 年である。

3,000,000円

事務所の賃借にかかる敷金のうち、退去時に返還されないことが

明らかな部分。なお、契約期間は 4 年間で、契約更新時に同額の

更新料を支払う必要がある。但し、借家権として転売できるもの

ではない。

1,440,000円

従業員のための社宅に関する敷金のうち、退去時に返還されない

もの。契約期間は 2年間で、契約更新時には同額の更新料を支払

う必要がある。但し、借家権として転売できるものではない。

160,000円

当社の取扱商品を得意先に置いてもらうために、冷蔵機能付陳列

棚を購入し、取引先に贈与したもの。なお、法定耐用年数は 6 年

である。

960,000円

問 当社は電気工事業を営む資本金 3億円の青色申告法人である。以下の資産について、当期

(平成 27 年 4月 1日~平成 28年 3月 31 日)における申告調整額を記載しなさい。

事務機器① 事務機器② 事務機器③

取得(事業供用)日 平成 27年 10月 1日 平成 27年 12月 5日 平成 26年 3 月 1日

取得価額 144,000円 180,000円 150,000円

当期減価償却費 144,000円 180,000円 -

法定耐用年数 5 年 5 年 5 年

備考 注 1 注 1 注 2

注 1:事務機器①②は同一の構造、用途、細目に属するものである。

注 2:事務機器③には前期から繰越された「一括償却資産損金算入限度超過額

50,000円(加算・留保)」がある。

注 3:当社の減価償却資産の方法は定率法を選定して届け出ている。

注 4:平成 24年 4月 1 日以降取得した減価償却資産の償却率等

耐用年数 定率法 改定償却率 保証率

5 年 0.400 0.500 0.10800

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問 当社は物品販売業を営む資本金 5 億円の青色申告法人であり、当事業年度(平成 27 年 4 月 1

日から平成 28 年 3 月 31 日)において以下の減価償却資産を所有している。それぞれの資産に

おける当期の税務調整額を解答用紙に従い答えなさい。

なお、当期における税務調整額が発生していないものについては、解答欄に「0」を記入すること。

建物 機械装置 車両

取得(事業供用)日 平成 18年 4 月 1日 平成 24年 1 月 5日 平成 27年 6 月 1日

取得価額 100,000,000 円 18,000,000円 2,000,000円

当期減価償却費 1,600,000円 2,000,000円 800,000円

期末帳簿価額 81,400,000円 6,477,214円 1,200,000円

法定耐用年数 50 年 12 年 6 年

・建物には前期からの繰越超過額が○○○円ある(各自計算せよ)。機械装置には前期からの

繰越超過額は無い。

・当社は減価償却資産の選定の届出を行っていない。

・償却率は下記を使用する。

平成 19年 3月 31日以前に取得をされた減価償却資産の償却率

旧定額法 旧定率法

6 年 0.166 0.319

12 年 0.083 0.175

50 年 0.020 0.045

平成 19年 4 月 1日以後に取得をされた減価償却資産の定額法の償却率等、及び平成 19年 4

月 1日から平成 24 年 3月 31 日までの間に取得をされた減価償却資産の定率法の償却率等

定額法 定率法 改定償却率 保証率

6 年 0.167 0.417 0.500 0.05776

12 年 0.084 0.208 0.250 0.03870

50 年 0.020 0.050 0.053 0.01072

平成 24年 4月 1日以後に取得をされた減価償却資産の償却率

定率法 改定償却率 保証率

6 年 0.333 0.334 0.09911

12 年 0.167 0.200 0.05566

50 年 0.040 0.042 0.01440

問 実務的に多く適用される圧縮記帳の種類(講義テキストにおける圧縮記帳の認められる主な場合)

(①~④)と経理方法(⑤については○または×)を記述せよ。

根拠法令 圧縮記帳の種類 経理方法

損金経理 積立金方式

法人税法

国庫補助金 ○ ○

① ○ ○

② ○ ×

租税特別措置法 ③ ○ ○

④ ○ ⑤

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問 平成 27年度中に X 法人の取得価額 100万円(焼失直前の簿価 20万円)の機械が焼失した。X 法

人は、100万円の保険金を収受して、平成 27 年度末日に代替する機械(取得価額 100万円)を取得

した。X法人は平成 27 年度の決算において損金経理により圧縮限度額相当額の圧縮記帳を行った。

問題を単純化するため、平成 27 年度中には X 法人においてこれ以外の取引はないものとする(し

たがって、滅失経費もないものとする)。また、平成 27 年度は代替して取得した機械の減価償却

は行わないものとする。なお、法人税等の税率は 50%である。

平成 28年度における機械の償却率は定率法 10年(0.206)とする。

① X 法人は平成 27 年度においてなぜ圧縮記帳をするのか、その必要性について、上記事例の数

値を使って説明せよ。

② 圧縮した後(平成 28 年度)はどうなるのか、その効果について、上記事例の数値を使って

説明せよ。なお、平成 28年度中に代替して取得した機械の除売却はない。

問 A商事㈱は B 物産㈱と、次のような資産の交換をした。この交換は、交換する資産同士の時価の

差の要件の判定を除き、それ以外の要件は満たしている。

交換する資産同士の時価の差の要件の判定を行ったうえで、両社の圧縮限度額を示せ。なお、両

社とも譲渡経費はないものとする。

<A商事㈱が B物産㈱に譲渡した資産> 土地 簿価 20,000,000 円(時価 120,000,000 円)

<B物産㈱が A商事㈱に譲渡した資産> 土地 簿価 10,000,000 円(時価 150,000,000 円)

<交換差金> この取引に当たって、A商事㈱は B物産㈱に交換差金として 30,000,000円を支払った。

① 交換する資産同士の時価の差の要件の判定をせよ。

② A 商事㈱の圧縮限度額を示せ。

③ B 物産㈱の圧縮限度額を示せ。

問 C 電機㈱(期末日平成 28 年 3 月 31 日)は、平成 28 年 2 月に工場用建物の取得に充てるための

国庫補助金 16,800,000 円を受入れた。同社は平成 28 年 3 月 1 日に工場用建物(取得価額

28,000,000 円)を建築完成し、同日より事業の用に供した。

同社は、当該工場用建物に対して 17,000,000 円の圧縮記帳を行うため、決算時に繰延税金負債

(6,800,000 円)を計上するとともに圧縮記帳積立金(10,200,000 円)を積み立てた(同社の受け

入れた国庫補助金は圧縮記帳の要件を満たしている)。また、減価償却費 100,000 円を計上してい

る。同社は減価償却方法として定額法を選定しており、建物の耐用年数は 16年(償却率 0.063)で

ある。なお、税効果会計上の法定実効税率は 40%とする。

① 圧縮限度超過額を示せ。

② C 電機㈱が行った決算時における会計上の仕訳を示せ(減価償却費の計上は除く)。

③ 減価償却超過額を示せ。

④ 申告書別表四の調整を記載せよ。

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問 貸倒損失、貸倒引当金について以下の問いに答えなさい。解答にあたっては、貸倒引当金の適用

がある中小法人を想定し、消費税については考慮しなくてよい。

(1) 当社はA社に対して貸付金 10,000,000 円を有していたが、A社の資産状態、支払い能力等か

らみて、その全額が回収できないことが明らかになったので、貸倒損失として 10,000,000 円

を損金経理した。当社は、A社所有の時価 5,000,000円相当の担保物を有しているが、当期

末現在、その処分はしていない。税務上の取扱いを説明をせよ。

(2) 当社はB社に対し、売掛金 3,000,000円を有していたが、今期においてB社に対して民事再

生法の規定による再生計画の認可の決定があり、それにより売掛金の全額が切り捨てられる

事となったが、当社は何ら経理処理を行っていない。当該貸倒について税務上の取り扱いを

説明せよ。

(3) 当社は得意先C社に対して売掛金 15,000,000 円を有しているが、同社は会社更生法の規定に

よる更生手続開始の申立てを行った。なお、当社は得意先C社に対する買掛金 5,000,000円

があるほか、同社に対して支払手形を 3,000,000 円振り出している。当社の貸倒引当金繰入

限度額について計算せよ。

(4) 当社はDカントリークラブのゴルフ会員権を保有しており、貸借対照表上、預託保証金部分

10,000,000円、入会金部分 2,000,000円の合計 12,000,000円を、「その他の資産」に計上し

ている。なお、Dカントリークラブの期末時価は 2,000,000 円である。当社は、期末におい

て時価が 2,000,000 円である事から、まず入会金部分 2,000,000円についてゴルフ会員権評

価損を計上した。さらに、預託金部分については、時価である 2,000,000 円を超える

8,000,000円について貸倒引当金繰入を行った。当該ゴルフ会員権について税務上の申告調整

をしなさい。

問 次の資料に基づき、株式会社 M 社の当期(平成 27 年 4月 1日から平成 28年 3月 31日まで)に

おける別表十一(一)の個別評価金銭債権に係る貸倒引当金の損金算入に関する明細書、及び別表

十一(一の二)の一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の損金算入に関する明細書に記載される以下

の項目について、解答欄にその計算過程を示すとともに、別表四の(ア)から(イ)の空欄に入る

金額を記載しなさい。

<資料>

1. 株式会社 M社は製造業を営む期末資本金 50百万円の会社である。

2. 貸倒引当金繰入額 75,000,000 円 (個別評価に対するもの 60,000,000 円

一括評価に対するもの 15,000,000円)

3. 期末債権の帳簿価額

①受取手形 200,000,000円

うち、B商事に対するものが 20,000,000円ある。

②売掛金 400,000,000円

うち、B商事に対するものが 15,000,000 円ある。

なお、同商事には買掛金 40,000,000円ある。

③貸付金 60,000,000 円

すべてC商事に対するものである。

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なお、同商事は平成 27年 9 月 2日に手形交換所において取引停止の処分を受けたため、

個別評価する金銭債権として、60,000,000 円の貸倒引当金を設定している。

④立替金 5,000,000 円

この中には概算払旅費 1,000,000 円及び前渡交際費 500,000 円が含まれている。

4. 貸借対照表 注記事項

割引手形 20,000,000 円

裏書手形 30,000,000 円

5. 基準年度の一括評価金銭債権の額 (単位:円)

6. 過去の貸倒の発生状況

注)貸倒引当金の個別評価による繰入及び取崩はない。

<別表四> (単位:円)

区分 総額 留保 社外流出

加算 貸倒引当金繰入超過額(個別) (ア) (ア) - -

貸倒引当金繰入超過額(一括) (イ) (イ) - -

問 次の資料に基づき、株式会社 N 社の当期における別表十一(二)の返品調整引当金の損金算入に

関する明細書に記載される以下の項目について、解答欄にその計算過程を示しなさい。

① 返品率の計算

② 売買利益率の計算

③ 売掛金基準による繰入限度額の計算

④ 販売高基準による繰入限度額の計算

⑤ 当期の返品調整引当金の繰入限度超過額(有利な方を採用する。)

1. 株式会社 N社は出版業を営んでおり、書籍の販売に関して得意先との間に無条件買戻し及び

無条件購入の特約を締結している。

2. 株式会社 N社の当期末における貸借対照表の資産の部に計上されている債権等の額(返品調

整引当金控除前の金額)は、次のとおりである。なお、当該債権は全て書籍の販売に係るもので

ある。

(1) 売掛金 15,000,000 円

(2) 受取手形 5,000,000円

3. 前期及び当期の書籍の販売に係る売上高等の状況は次のとおりである。

(単位:円)

事業年度 総売上高 特約に基づく返品高 売上原価 販売手数料

前期 90,000,000 820,000 48,320,000 13,013,300

当期 92,000,000 636,000 50,000,000 13,954,800

4. 当期末以前 2ヶ月間の書籍の売上高は 15,000,000 円である。

5. 株式会社 N社は返品調整引当金として損金経理により 50,000円を繰入れている。

事業年度 一括評価金銭債権の額 実質的に債権と認め

られない額

H27.4.1~H28.3.31 653,500,000 35,000,000

事業年度 一括評価金銭債権 期中の貸倒損失の額 期末の貸倒引当金の額 H24.4.1~H25.3.31 600,000,000 7,000,000 11,300,000 H25.4.1~H26.3.31 650,000,000 8,000,000 13,500,000

H26.4.1~H27.3.31 700,000,000 9,000.000 12,000,000

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問(1)下記の仮設例により、当期の税金関係の計算(税効果含む)をしなさい。

(2)(1)の結果に基づき、法人税申告書(別表一、回、五)を作成しなさい。

【資料 1】納税充当金(未払法人税等)および税効果計上前損益計算書の一部

(単位:円)

税引前当期純利益 42,284,000

法人税、住民税及び事業税 5,734,000

当期利益 36,550,000

※中間納付額と源泉税の合計

【資料 2】租税公課の納付状況 (単位:円)

※前期確定分は、納税充当金(未払税金)の取崩しによる納付をした。

※源泉税は預貯金の受取利息 2,000,000円に対するものである。

【資料 3】租税公課以外の申告調整項目は以下の通りである。

期首残高 当期繰入 当期取崩 期末残高 (単位:円)

賞与引当金 2,400,000 3,000,000 2,400,000 3,000,000

確定納付 中間納付 源泉税

法人税 2,680,000 2,500,000 300,000

住民税

県民税 210,000 200,000 100,000

市民税 490,000 470,000

計 700,000 670,000 100,000

事業税 720,000 2,164,000

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問 法人税の性格に関する考え方に法人実在説と法人擬制説がある。 それぞれの考え方について説

明し、我が国の現行法人税法の立場について述べよ。

問 企業会計上の利益と法人税法上の所得の金額に差異が生じる理由を説明せよ。

問 決算調整事項、申告調整事項について説明せよ。

問 法人税法 22 条の構成について簡単に説明せよ。

問 税務上の処分である更正および決定について簡単に説明し、法人税法上の特則である「いわゆる

粉飾決算」に基づく過大な申告の取り扱いについて述べよ。

問 以下は日本IBMの持ち株会社に関する税務訴訟の概略である。これについて論評せよ。

日本IBMの持ち株会社(設立2002年)は、米IBMから日本IBM株を購入して、購入額よりも安く日本IBM

自身に転売し約4千億円の損失を出した。そのうえで、2008年に連結納税を採用し、グループ全体の

損失として日本IBMの黒字と相殺し、法人税額を圧縮した。

この取引について国税庁は、租税回避であるとして追徴課税をしたが、IBM側は経営上の判断であ

って、税逃れを意図したものではないと反論した。

東京国税局と日本IBMの持ち株会社が、課税処分をめぐって争ったが、控訴審で国側が敗訴した。

着眼点:不公平感の大きな節税策、租税法律主義、経済的合理性、経営者の受託責任

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問 以下の空欄①~⑯に当てはまる語句または数字を答えなさい。

1. ( ① )主義とは、確定申告は決算後の株主総会等で承認された決算書に基づいて行われな

ければならないとする税務上の原則をいう。

2. 法人税の中間申告は、事業年度が一定期間を超える場合に決算年度の期中に当該年度の

( ② )月分の所得を税務申告・納付する制度をいい、その方法としては中間仮決算による申

告と( ③ )の 2 つの方法がある。いずれの方法においても事業年度開始の日以後( ② )カ月

を経過した日から( ④ )カ月以内に中間申告書を提出しなければならない。

前事業年度の法人税額が 100百万円の法人において、当中間期の仮決算による法人税額が

60 百万円であった場合、この法人の中間申告額は( ⑤ )百万円となる。

3. 内国法人は、各事業年度終了の日の翌日から( ⑥ )カ月以内に、確定した決算に基づき所

得の金額及び法人税を計算したうえで確定申告書を提出しなければならない。

なお、確定申告書を提出すべき法人が、会計監査人の監査を受けなければならない等の理

由により申告書を提出期限までに提出できない場合には、法人の申請により提出期限を

( ⑦ )カ月延長、連結納税制度適用法人は( ⑧ )カ月延長することができる。

4. 3 月決算会社が確定申告の納付を行う場合、その納付期限は( ⑨ )月末となる。但し、会

計監査人の監査等の理由で提出期限の延長の特例を受けている場合は納付期限も延長される

が、その延長期間について利息に相当する( ⑩ )が課される。

5. 平成 26 年 3 月 31 日に( ⑪ )法が公布され、平成 26 年 10 月 1 日以後開始する事業年度か

ら法人税の納税義務のある法人は( ⑪ )の納税義務者となった。これは消費税率引上げに伴

い生じる地域間の財源の偏在性を是正し、財政力格差の縮小を図るために地方住民税の一部

を国税化したものである。( ⑪ )の新設にあたり、法人住民税法人税割の税率は消費税率 8%

段階において( ⑫ )%引下げとなる。

6. 納付した税金が還付されるケースとして、Ⅰ.所得税等の還付、Ⅱ.( ⑬ )の還付、Ⅲ.欠

損金の繰戻しによる還付の 3 つがある。

Ⅱ.のケースにおいて、前期の確定申告税額が 200百万円、当期の中間納付額が 250百万

円、当期の確定申告税額 150 百万円であった場合、当期の還付金額は( ⑭ )百万円となる。

7. 欠損金の( ⑮ )ができる法人は、欠損金額が生じた事業年度において青色申告書である確

定申告書を提出し、かつ、その後の各事業年度について連続して確定申告書を提出している

法人である。

また、大法人の場合、各事業年度における控除限度額に制限が設けられている。27年 3 月

期に 100 百万円の欠損金が生じ、28年 3月期に 100百万円の所得が生じた場合に控除できる

欠損金額は( ⑯ )百万円となる。

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問 以下 1~8には資本金 5 億円の丁株式会社(以下、丁社)の確定申告書別表 4 を作成するにあ

たり必要となる情報が記載されている。下記に示された別表 4 のカッコ内に必要な語句及び金額

を記入しなさい。

なお、別表 4に用いる語句については、【語群】ア~サから選択し、カタカナを答えなさい。

また、解答用紙の「留保」「社外流出」へは金額の記載が必要な箇所のみに適切な金額を記入し

なさい。また、資料以外の情報について考慮する必要はない。

1. 当期の損益計算書上の税引前当期純利益は 280,060,000 円、当期純利益は 181,712,620円である。

2. 前期末における未払法人税は 50,000,000 円であった。そのうち 14,000,000 円は事業税にかかるものであり当期に支払済みである。

3. 丁社は期末日に従業員に対する賞与引当金 31,300,000 円を計上した。なお、前期末にも同様に 32,000,000円計上しているが洗い替え処理を行っている。

4. 当期の交際費は 19,600,000 円である。 5. 当期末に計上した未払法人税は 86,781,200円であり、同額が損金経理されている。 6. 決算を締めた後に営業部門より当期に売上げた製品にかかる値上げ 12,000,000 円が確

定した旨の連絡が入ったため、税務上申告調整することとした。 7. 中間申告において法人税 15,000,000 円、県民税及び市民税 3,000,000 円、事業税

9,000,000 円を納付した。また、預貯金の受取利息にかかる源泉所得税及び利子割はそれぞれ 2,600,000円、200,000円であった。

8. 当期の損益計算書計上されている法人税等調整額は 6,193,820円(益)であった。

【語群】

ア:納税充当金から支出した事業税等の金額 キ:損金経理をした法人税、地方法人税及び

復興特別法人税 イ:賞与引当金繰入限度超過額

ウ:賞与引当金繰入限度超過額認容 ク:損金経理をした道府県民税及び市町村民税

エ:交際費等の損金不算入額 ケ:損金経理をした道府県民税利子割額

オ:売上計上もれ コ:法人税額から控除される所得税額

カ:法人税等調整額 サ:損金経理をした納税充当金

[別表 4 所得の金額の計算に関する明細書] (単位:円)

区 分 総 額 処 分

留 保 社 外 流 出

当期利益又は当期欠損の額 ( ) ( ) ( )

( ) ( ) ( ) ( )

( ) ( ) ( ) ( )

( ) ( ) ( ) ( )

( ) ( ) ( ) ( )

( ) ( ) ( ) ( )

( ) ( ) ( ) ( )

( ) ( ) ( ) ( )

小 計 ( ) ( ) ( )

( ) ( ) ( ) ( )

( ) ( ) ( ) ( )

( ) ( ) ( ) ( )

小 計 ( ) ( ) ( )

仮 計 ( ) ( ) ( )

( ) ( ) ( ) ( )

合 計 ( ) ( ) ( )

~ 省 略 ~

所得金額又は欠損金額 ( ) ( ) ( )

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問 以下の条件を読んで戊株式会社(以下、戊社)の平成 27年度(平成 28 年 3月期)の別表五

(一)及び五(二)を完成させなさい。なお、資料以外の情報について考慮する必要はない。

<資料 1> 租税公課の納付状況

(単位:円)

前期分確定納付 中間納付 源泉税

法人税 26,800,000 25,000,000 3,000,000

住民税

県民税 2,100,000 2,000,000 1,000,000

市民税 4,900,000 4,700,000 -

計 7,000,000 6,700,000 1,000,000

事業税 7,200,000 21,640,000 -

*前期確定分は、納税充当金の取崩しによる納付を行っている。

*戊社の会計方針として未払法人税等にタックスクッションは計上しないこととしている。

<資料 2>

課 税 所 得 : 400,000,000 円

付 加 価 値 額 : 4,147,232,300円

資 本 等 の 額 : 1,200,000,000円

計 算 式 :

1.法人税額 課税所得×23.9%(百円未満切捨)

2.地方法人税額 法人税額×地方法人税率(百円未満切捨)

3.住民税(法人税割)

①道府県民税額 法人税額×4.2%(百円未満切捨)

②市町村民税額 法人税額×12.1%(百円未満切捨)

4.住民税(均等割) 道府県民税 1,300,000 円、市町村民税 4,000,000 円

5.事業税

①所得割 4,000,000円×1.6%+4,000,000円×2.3%+(課税所得-

8,000,000円)×3.1%(百円未満切捨)

②付加価値割 付加価値額×0.756%(百円未満切捨)

③資本割 資本等の額×0.315%(百円未満切捨)

6.地方法人特別税 事業税所得割額×93.5%(百円未満切捨)

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問 適格合併となるための要件を、下記のように資本関係別に箇条書きの形で、穴埋めしなさい。

なお、同じアルファベットの部分には同じ語句が入ります。

問 無対価合併であっても、適格合併が認められるパターン(資本関係図)を2つ示しなさい。ただ

し、合併会社を B社、被合併会社を C社とし、その他の登場会社等が必要であれば適当に名づけ、

各会社等間の合併前の資本関係を明示しなさい。

問(1)下記の合併モデルにおいて、各登場会社、株主の課税関係につき下記の表より正しいものを

選び、文言に丸を付しなさい。

<合併モデル>

<表>

合併法人(甲社)

被合併法人(乙社)

合併法人株主(株主A)

被合併法人株主(株主B)

適格合併

・資産及び負債は(簿価・時価)受入・消滅資産の利益積立金を(引き継ぐ・引き継がない)

・資産及び負債を(簿価譲渡として課税なし・時価譲渡として譲渡損益の認識)

・課税関係(あり・なし)

・(乙社株式の簿価を甲社株式に引き継ぎ・乙社からのみなし配当を認識して取得価額増加)

非適格合併

・資産及び負債は(簿価・時価)受入・消滅資産の利益積立金を(引き継ぐ・引き継がない)

・資産及び負債を(簿価譲渡として課税なし・時価譲渡として譲渡損益の認識)

・課税関係(あり・なし)

・(乙社株式の簿価を甲社株式に引き継ぎ・乙社からのみなし配当を認識して取得価額増加)・合併交付金ありの場合は、株式譲渡損益を(認識する・認識しない)

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(2)上記の合併モデルにおいて、下記を前提として、各登場会社、株主において必要とされる

税務仕訳を書きなさい。

①適格合併の場合

②非適格合併の場合

問 いわゆる適格合併における繰越欠損金の引き継ぎ制限につき、制限がかかるケースを一つ例示

し、説明しなさい。また、なぜこのような制度が存在するのか、制度の趣旨を考えて述べなさい。

問 以下の文章の内容が正しければ解答欄に○を、誤っていれば×を記入し、誤っている理由を答

えなさい。

なお、下記文中に特段の記載のない限り、法人は内国法人、個人は日本の居住者であることを

前提とする。

(1)

A社(合併法人)はB社(被合併法人)を吸収合併した。合併に当たり、合併比率の関係で

交付株数には端数が生じたため、A社は後日端数部分の株式数を競売して得た現金を端数割

合に応じて旧B社の株主に交付した。

上記の場合、一連の合併手続きに際して金銭等の交付と株式の売却が行われているため、当

該合併は非適格合併として取扱われることとなる。

(2)

A社はB社の発行済株式の全部を保有しており、今後も全部の保有が継続する見込みであ

る。B社はC社の発行済株式の 80%を保有しており、残り 20%はZ社が保有している。

B社(合併法人)はC社(被合併法人)を吸収合併し、Z社に対してB社株式(自社株式)

及び完全親法人であるA社株式を合併の対価として交付した。

上記の場合、合併の対価として自社株式と完全親法人株式を交付しているため、非適格合併

として取扱われることとなる。

(3)

甲氏(個人)は、A社の発行済株式の全部を保有している。また、甲氏は、B社の発行済株

式数の 92%を保有しており、残りの 8%はB社の従業員持株会(組合形式、組合員はB社の使

用人)が保有している。

B社(合併法人)はA社(被合併法人)を吸収合併し、合併後のB社株主は甲氏の保有割合

が 96%、従業員持株会の保有割合が 4%となり、その保有割合が継続することが見込まれてい

る。

当該合併は、完全支配関係内の合併として、適格合併か否かを判定することとなる。

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(4)

A社はα事業とβ事業の二つの事業を営んでいたが、新設分社型分割によりβ事業をB社

(分割による新設法人)に承継した。

分割時においては、A社とB社株式の完全支配関係の継続が見込まれていたが、分割後にA

社に予期しなかった事件が発生し、A社の財務状況が著しく悪化したため、B社株式の 75%

をZ社に譲渡することで、財務状況を改善させた。

当該B社株式の譲渡が、分割から3年以内に実行された場合は、分割は完全支配関係内の再

編とは認められず、非適格分割として取扱われることとなる。

(5)

U社(外国法人)は、A社とB社の発行済株式の全部を継続保有している。また、C社の発

行済株式は、A社 70%及びB社 30%という保有割合となっている。

C社はこの事業年度において、剰余金の分配を東京都にある不動産(土地及び建物)で行

い、分配後に当該不動産はA社 70%、B社 30%の持分割合での共有財産として不動産登記が

された。

上記の場合、A社、B社及びC社には、同一者(U社)による完全支配関係があるが、同一

者が外国法人であることから、当該現物分配は非適格現物分配として取扱われることとな

る。

(6)

甲氏(個人)は、A社の発行済株式の 80%を保有しており、B社の発行済株式の 20%を保有

していた。また、乙氏(個人、甲氏の弟)は、B社の発行済株式の 60%を保有していた。

A社(株式交換完全親法人)とB社(株式交換完全子法人)は株式交換を実施した。株式交

換後のA社株主の保有割合は甲氏 50%、乙氏 30%、その他の株主 20%となり、その持株割

合が今後も継続する見込みである。また、株式交換直後のB社の株主はA社のみであるが、

株式交換の前からB社の同種の事業を行うZ社との業務提携及び資本提携の開始が予定され

ており、予定どおりにB社の第三者割当増資が実施され、B社株主の保有割合はA社 60%、

Z社 40%となった。

上記の場合、株式交換により生じさせたA社とB社の完全支配関係を消滅させることが見込

まれているものの、A社及びB社の同一者による支配関係の存在及びその継続が見込まれて

いることから、支配関係内の株式交換における適格要件を充足すれば、適格株式交換として

取扱われることとなる。

(7)

A社及びZ社は、それぞれ事業の一つとしてα事業を営んでいる。A社及びZ社は発行済株

式数の 3%ずつの株式を相互に持ち合っているが、それ以外の資本関係はない。

A社(分割法人)とZ社(分割法人)は、共同新設分割によりB社を設立し、それぞれのα

事業をB社に承継させた。B社は分割の対価として自社株式を発行し、A社とZ社に交付し

た。A社の方が事業規模が大きかったため、B社の株主の持株割合はA社 55%、Z社 45%と

して設立された。また、B社の取締役はA社から5名、Z社から4名の出身者とし、代表取

締役にはA社の出身者が就任した。持株割合及び役員構成は、上記の状況が今後も継続する

ことが見込まれている。

上記の場合、A社は設立当初からB社と支配関係が存在し、その継続が見込まれているた

め、A社における分割は支配関係内分割として適格分割か否かを判定し、Z社における分割

は共同事業による分割として適格分割か否かを、其々が判定することとなる。

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(8)

A社(合併法人)はB社(被合併人)を吸収合併し、自社株式を合併対価として交付した。

合併後のA社の株主構成は、合併前A社の株主の持株割合が 80%、合併前B社の株主の持株

割合が 20%という形であり、いずれの株主も合併後にA社株式の全部を継続保有することが

見込まれている。

A社とB社はそれぞれ同種のα事業を主要な事業として営んでおり、α事業にかかるA社の

売上・従業者数は 70億円・80人、B社の売上・従業者数は 15億円・15 人であり、A社の

純資産・資本金の額は 50億円・1億円、B社の純資産・資本金の額は 8億円・1 千万円であ

った。

また、合併における役員人事は、合併前のA社の取締役 5名及び代表取締役 1名はそのまま

継続し、合併前のB社の代表取締役社長 1 名をA社の取締役に選任し、それ以外のB社の取

締役 2名については、合併に伴い退任するというものであった。

なお、合併後において、α事業を継続すること、A社及びB社の従業者(上記退任役員は除

く)は継続してA社で業務従事することが見込まれていた。

上記の場合、実質的に規模の大きいA社が規模の小さいB社を合併という組織再編取引によ

り買収した状況と思われるが、法人税法上は共同事業による適格要件を充足しているものと

して適格合併として判定されることとなる。

(9)

A社とB社には資本関係・持株関係はない。よって、A社(合併法人)がB社(被合併法

人)を吸収合併する場合、適格合併か否かは共同事業要件により判定することになる。共同

事業要件の一つに被合併法人株主の株式継続保有要件があるが、これに関して以下の状況で

あった。

B社の合併直前の株主数は 30 名であり、そのうち合併により交付されるA社株式の全部

を継続保有すると見込まれる株主は 10 名(B社の創業家でありいずれも親族)であった。

また、B社は種類株式発行会社であり、完全無議決権株式を発行していたため、当該 10名

が保有しているB社株式数の発行済株式総数に占める割合は 40%であるものの、議決権割合

は 95%であった。

このケースにおいては、合併により当該全部を継続保有する見込である株主(創業家 10

名)の人数割合及び持株割合は 80%未満であるが、議決権割合が 80%以上であることから、

株式継続保有要件は充足していると判定されることとなる。

(10)

法人税法第 132 条の 2「組織再編成に係る行為又は計算の否認」という規定があるが、これ

は税法が予定しないような組織再編成により租税回避を行うことを防止するための包括的租

税回避防止規定と言われている。

具体的には、法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合には、適格組織

再編成(合併、分割現物出資若しくは現物分配又は株式交換若しくは株式移転)として簿価

引継処理で申告された組織再編成取引を、条文上の適格要件を充足しているにもかかわら

ず、税務署長の職権により非適格再編であったとして処理させる(更正処分する)旨の規定

となっている。

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問 甲社は乙社を吸収合併した。甲社と乙社に資本関係・持株関係はなく、乙社の合併直前の税務上

の貸借対照表(合併にかかる課税計算前)とその他の前提条件は以下のとおりである。

乙社税務貸借対照表

資産 3,000,000 負債 1,790,000 (時価 3,500,000) 資本金等 10,000

利益積立金 1,200,000

甲社は、合併対価として自己の新株のみを交付した。

交付された甲社の新株の時価は 1,420,000 であった。

乙社株主が保有する乙社株式の簿価は 15,000 であった。

法人税等(事業税等は除く)の税率は 30%とし、源泉所得税等の法人税等以外の税金の

処理は無視する。

(1)当該合併が「適格合併」に該当する場合の以下の税務仕訳を完成させ、①~②に当てはまる

金額を解答しなさい。なお、金額が生じない場合(ゼロの場合を含む)は「-」と解答し、小数

点以下の端数が生じる場合は端数を切捨てした整数で解答しなさい。

【甲社の合併受入仕訳】

資産 負債

資本金等 ①

利益積立金 ②

【乙社株主の仕訳】

甲社株式 乙社株式

(2)当該合併が「非適格合併」に該当する場合の以下の税務仕訳を完成させ、③~⑩に当てはま

る金額又は科目を解答しなさい。なお、金額が生じない場合(ゼロの場合を含む)は「-」と解

答し、小数点以下の端数が生じる場合は端数を切捨てした整数で解答しなさい。

【甲社の合併受入仕訳】

資産 ③ 負債

合併による未払税金 ④

( ⑤ ) ⑥

資本金等 ⑦

利益積立金 ⑧

【乙社株主の仕訳】

甲社株式 ⑨ 乙社株式

( ⑩ )

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問 甲社は自社の一部事業を分割して乙社に承継させ、分割の対価として受領した乙社株式の全てを

分割と同時に甲社株主に分配した(甲社は分割型分割を行った)。甲社と乙社に資本関係・持株関

係はなく、甲社の分割直前及び前事業年度末の税務上の貸借対照表とその他の前提条件は以下のと

おりである。

甲社税務貸借対照表

非分割資産 1,200,000 非分割負債 810,000 (時価 1,400,000) 分割負債 390,000

分割資産 1,500,000 資本金等 100,000 (時価 1,200,000) 利益積立金 1,400,000

乙社は、分割対価として自己の新株のみを交付した。

交付された乙社の新株の時価は 850,000 であった。

甲社株主が保有する甲社株式の簿価は 80,000 であった。

分割事業にかかる主要な資産及び負債の全部が乙社に移転している。

法人税等(事業税等は除く)の税率は 30%とし、源泉所得税等の法人税等以外の税金の

処理は無視する。

(1)当該分割が「適格分割」に該当する場合の以下の税務仕訳を完成させ、空欄①~④に当て

はまる金額又は科目を解答用紙に記入しなさい。なお、金額が生じない場合(ゼロの場合を含

む)は「-」と解答し、小数点以下の端数が生じる場合は端数を切捨てした整数で解答しなさ

い。

【乙社の分割承継受入仕訳】

資産 ① 負債

資本金等 ②

利益積立金 ③

【甲社株主の仕訳】

乙社株式 ④ 甲社株式

(2)当該分割が「非適格分割」に該当する場合の以下の税務仕訳を完成させ、空欄⑤~⑩に当

てはまる金額を解答用紙に記入しなさい。なお、金額が生じない場合(ゼロの場合を含む)は

「-」と解答し、小数点以下の端数が生じる場合は端数を切捨てした整数で解答しなさい。

【乙社の分割承継受入仕訳】

資産 ⑤ 負債

( ⑥ ) ⑦ 資本金等 ⑧

利益積立金 ⑨

【甲社株主の仕訳】

乙社株式 ⑩ 甲社株式

( )

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問 以下の場合において、合併事業年度において損金算入できる繰越欠損金の額を答えなさい。

合併法人事業年度

株式買収により支配関係が発生(以後継続) 吸収合併

被合併法人 事業年度(4)事業年度 欠損金△400

繰越欠損金残高△24,400(その他の前提)

・ 吸収合併は完全支配関係内の適格合併であり、「みなし共同事業要件」は充足していない。・ 事業年度(2)~(4)で生じた欠損金は、全て通常の営業損失によるものである。・ 合併事業年度の繰越欠損金控除前の所得金額は70,000である。・ 合併法人及び被合併法人は、設立以来継続して、青色申告書である確定申告書を申告期限内に提出している。・ 合併法人は法人税法上は中小法人等に該当する。

所得金60,000 所得金額30,000 所得金額40,000事業年度① 事業年度② 事業年度③ 合併事業年度

事業年度(1) 事業年度(2) 事業年度(3)欠損金△15,000 欠損金△8,000 欠損金△1,000

問 以下の場合において、合併事業年度において損金算入できる繰越欠損金の額を答えなさい。

合併法人事業年度

株式買収により支配関係が発生(以後継続) 吸収合併

被合併法人 事業年度(4)事業年度 欠損金△400

繰越欠損金残高△24,400(その他の前提)

・ 吸収合併は完全支配関係内の適格合併であり、「みなし共同事業要件」は充足していない。・ 事業年度(2)~(4)で生じた欠損金は、全て通常の営業損失によるものである。・ 合併事業年度の繰越欠損金控除前の所得金額は70,000である。・ 合併法人及び被合併法人は、設立以来継続して、青色申告書である確定申告書を申告期限内に提出している。・ 合併法人は法人税法上は中小法人等に該当する。

欠損金額△60,000 欠損金の当期控除額20,000 欠損金の当期控除額15,000

事業年度① 事業年度② 事業年度③ 合併事業年度

繰越欠損金額残高△40,000 繰越欠損金額残高△25,000

事業年度(1) 事業年度(2) 事業年度(3)欠損金△15,000 欠損金△8,000 欠損金△1,000

問 以下の場合において、合併事業年度において損金算入できる繰越欠損金の額を答えなさい。

合併法人事業年度

株式買収により支配関係が発生(以後継続) 吸収合併

被合併法人 事業年度(4)事業年度 欠損金△400

繰越欠損金残高△116,400(その他の前提)

・ 吸収合併は完全支配関係内の適格合併であり、「みなし共同事業要件」は充足していない。・ 事業年度(2)~(4)で生じた欠損金のうち、△20,000は特定資産譲渡等損失相当額からなる金額である。・ 合併事業年度の繰越欠損金控除前の所得金額70,000である。・ 合併法人及び被合併法人は、設立以来継続して、青色申告書である確定申告書を申告期限内に提出している。・ 合併法人は法人税法上は中小法人等に該当する。

所得金60,000 所得金額30,000 所得金額40,000事業年度① 事業年度② 事業年度③ 合併事業年度

事業年度(1) 事業年度(2) 事業年度(3)欠損金△15,000 欠損金△100,000 欠損金△1,000

問 以下の場合において、特例計算の下で、合併事業年度において損金算入できる繰越欠損金の額を

答えなさい。

合併法人事業年度

株式買収により支配関係が発生(以後継続) 吸収合併

被合併法人 事業年度(4)事業年度 欠損金△1,000

繰越欠損金残高△111,000(その他の前提)

・ 吸収合併は完全支配関係内の適格合併であり、「みなし共同事業要件」は充足していない。・ 事業年度(2)~(4)で生じた欠損金のうち、△80,000は特定資産譲渡等損失相当額からなる金額である。・ 合併事業年度の繰越欠損金控除前の所得金額120,000である。・ (※)の時点において被合併法人の時価純資産超過額(会社全体の含み益)は6,000であった。・ 合併法人及び被合併法人は、設立以来継続して、青色申告書である確定申告書を申告期限内に提出している。・ 合併法人は法人税法上は中小法人等に該当する。

所得金80,000 所得金額50,000 所得金額60,000事業年度① 事業年度② 事業年度③ 合併事業年度

(※)事業年度(1) 事業年度(2) 事業年度(3)

欠損金△15,000 欠損金△100,000 欠損金の当期控除額5,000

繰越欠損金額残高△110,000

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問 以下の場合において、特例計算の下で、合併事業年度において損金算入できる繰越欠損金の額を

答えなさい。

合併法人事業年度

株式買収により支配関係が発生(以後継続) 吸収合併

被合併法人 事業年度(4)事業年度 欠損金△1,000

繰越欠損金残高△111,000(その他の前提)

・ 吸収合併は完全支配関係内の適格合併であり、「みなし共同事業要件」は充足していない。・ 事業年度(2)~(4)で生じた欠損金のうち、△80,000は特定資産譲渡等損失相当額からなる金額である。・ 合併事業年度の繰越欠損金控除前の所得金額は120,000である。・ (※1)の時点において合併法人の時価純資産超過額(会社全体の含み益)は20,000であった。・ (※2)の時点において被合併法人の簿価純資産超過額(会社全体の含み損)は10,000であった。・ 合併法人及び被合併法人は、設立以来継続して、青色申告書である確定申告書を申告期限内に提出している。・ 合併法人は法人税法上は中小法人等に該当する。

事業年度① 事業年度② 事業年度③ 合併事業年度

繰越欠損金額残高△110,000

事業年度(1) 事業年度(2) 事業年度(3)欠損金△15,000 欠損金△100,000 欠損金の当期控除額5,000

欠損金額△60,000 欠損金の当期控除額20,000 欠損金の当期控除額15,000

繰越欠損金額残高△40,000 繰越欠損金額残高△25,000

(※2)

(※1)

問 連結納税の対象法人、開始・加入、離脱等に関する(ア)〜(コ)の記述について、適切なもの

には「○」、不適切なものには「×」を解答欄に記入しなさい。

(ア) 他の内国法人(普通法人)による完全支配関係がある内国法人であっても、当該他の内国法

人が連結納税を選択していなければ、連結親法人となることができる。

(イ) 連結完全支配関係を有しなくなったことにより連結納税の承認を取り消された法人(連結子

法人であった法人)で取消し後5年を経過する日を含む事業年度が終了していない内国法人

は、同じ連結納税グループに再加入することはできない。

(ウ) 外国法人は連結子法人にはなれないが、連結親法人が、完全支配関係のある外国法人を経由

して完全支配関係を有する内国法人(100%保有の外国法人を通じて間接的に 100%保有する

内国法人)は、連結子法人となることができる。

(エ) 連結納税の適用を受けようとする場合、その適用を開始しようとする事業年度開始の日の3

ヶ月前の日までに、連結納税の対象となる全ての法人の連名で承認の申請をすることが必要

である。

(オ) 連結納税の計算期間である連結事業年度は、連結親法人の事業年度開始の日から終了の日ま

でとされているため、連結親法人と事業年度の期間が異なる子法人は、定款を変更して連結

親法人と事業年度を統一しなければ、連結納税に参加できない。

(カ) 株式移転制度により持株会社を設立し、その設立事業年度から連結納税を適用しようとする

場合、設立事業年度開始の日から1ヶ月を経過する日又は設立事業年度終了の日から2ヶ月

前の日のいずれか早い日までに連結納税の承認の申請をすることが必要である。

(キ) 連結親法人と完全支配関係を有することとなり、新たに連結子法人となった内国法人につい

ては、原則として、その完全支配関係を有することとなった日に連結納税の承認があったも

のとみなされ、その日以後の期間について連結納税の効力が発生する。

(ク) 連結納税グループから離脱する連結子法人は、その離脱日の属する連結事業年度開始の日か

ら離脱日の前日までをみなし事業年度として、単体申告を行うこととなる。

(ケ) 連結納税グループから離脱する連結子法人の連結欠損金個別帰属額は、離脱の事由にかかわ

らず、その子法人の繰越欠損金として、離脱後の単体申告において引き続き使用することが

できる。

(コ) 連結納税を取り止めた場合、納税単位が移行するため、連結納税開始・加入時と同様に、一

定の連結子法人の保有資産について時価評価を行う必要がある。

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問 持株会社である内国法人 P社は、P社を連結親法人、S1社及び S2社を連結子法人として、前連結

事業年度(平成 26年 4月1日〜平成 27年 3月 31日)より連結納税を選択し、申告を行っている。

(1) 次の資料に基づき、「2.当連結事業年度(平成 27年4月1日〜平成 28 年3月 31日)の

連結法人税の算定」における①〜⑤の数値を算定しなさい。

なお、「1.前連結事業年度末における控除未済連結欠損金額」のうち、P社の連結納税開始

前の欠損金は、非特定連結欠損金として取り扱われるものであり、S1社及び S2社の連結納税

開始前の欠損金は、全て特定連結欠損金として取り扱われるものである。

1. 前連結事業年度末における各社の控除未済連結欠損金額

P 社 S1 社 S2 社 連結納税グループ計

平成 25年3月期 5,500,000 1,500,000 2,000,000 9,000,000

平成 26年3月期 4,500,000 10,000,000 5,500,000 20,000,000

平成 27年3月期 5,000,000 - - 5,000,000

合 計 15,000,000 11,500,000 7,500,000 34,000,000

2. 当連結事業年度(平成 27年4月1日〜平成 28年3月 31 日)の連結法人税の算定

P 社 S1 社 S2 社 連結納税グループ計

連結欠損金控除前

連結(個別)所得金額 △ 3,000,000 27,000,000 6,000,000 30,000,000

連結欠損金控除額

(個別帰属額) ① ② ? △19,500,000

連結欠損金控除後

連結(個別)所得金額 ? ? ③ 10,500,000

連結法人税(個別帰属額) ④ ⑤ ? 2,509,500

注1:法人税率は 23.9%とし、地方法人税は考慮外とする。

注2:連結欠損金の控除限度額は、控除前連結所得金額の 65%とする。

(2)(1)の算定結果に基づき、P社の連結法人税(個別帰属額)に関する決算整理仕訳を行いな

さい。なお、所得税額控除等はないものとし、勘定科目は以下から選択すること。

(3)

持株

会社

を設立し、傘下に複数の 100%子会社(内国法人)を有する場合、一般的に単体納税よりも連

結納税の方がグループ全体の納税額を減少させることができる場合が多いと考えられるが、そ

れはなぜか。簡潔に説明しなさい。

【勘定科目】

・法人税、住民税及び事業税、・未払法人税等、・未収還付法人税等、・未収入金(S1

社)、・未収入金(S2社)、・未払金(S1社)、・未払金(S2社)

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問 連結所得金額の計算に関する次の記述のうち、最も不適切なものを3つ選択し、番号を解答する

とともに不適切な内容を簡潔に指摘しなさい。

① 連結納税において、連結法人間での連結法人税個別帰属額の精算を行わない場合、連結法人税の

負担額及び減少額を授受しないことは、寄附金の額とされる経済的利益の供与に該当する。

② 連結法人の貸倒引当金の繰入限度額の計算上、連結法人に対して有する金銭債権については、貸

倒引当金の設定対象ならず、一括評価金銭債権に係る貸倒実績率の算定上も考慮しないこととさ

れている。

③ 連結納税において受取配当等の益金不算入額は連結納税グループ全体で計算するため、控除すべ

き負債利子の計算上、受取配当等がない連結法人の負債利子及び総資産の帳簿価額等についても

考慮する必要がある。

④ 連結納税において寄附金の損金不算入額は連結納税グループ全体で計算するため、損金算入限度

額の計算は、連結法人の個別資本金等の額の合計額及び連結法人の個別所得金額の合計額を用い

て行う。

⑤ 連結親法人の資本金等の額が5億円以上の場合、連結納税と単体納税で交際費等の損金不算入額

の計算において特に有利・不利は生じないと考えられる。

⑥ 連結法人間で固定資産等の譲渡損益調整資産を譲渡した場合、その譲渡損益を繰り延べることと

されているが、譲渡直前の含み損益が 10,000 千円未満のものは対象外とされ

ている。

問 内国法人 P社グループは、P 社を連結親法人として従来より連結納税制度を選択し、申告を行っ

ている。次の【前提事項】及び〔資料1〕〜〔資料3〕に基づき、当連結事業年度(平成 27 年4

月1日〜平成 28年3月 31日)(以下「当期」とする。)の法人税における課税標準である連結所

得金額等に関し、各問に答えなさい。

【前提事項】

1. 出資関係図等

P社

A社 B社 C社 D社

100% 100% 100%

A 社は設立時より P 社の 100%子法人であ

ったが、【資料2】のとおり当期中に P社

は A社株式の全てを外部の法人に売却し

た。

D 社は当期首(平成 27 年4月1日)におい

て、P 社が D 社株式の 100%を取得したこと

により、当期から連結納税に加入してい

る。

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2.グループ各社の概要

法人名 業種 資本金等の額 決算日 当期純利益 個別所得金額

P社 卸売業 1,500,000千円 3月 31日 △50,000千

△45,000千

A社 小売業 100,000千円 3月 31日 5,000千円 6,000千円

B社 製造業 150,000千円 3月 31日 35,000千円 50,000千円

C社 製造業 120,000千円 3月 31日 20,000千円 28,000千円

D社 製造業 90,000千円 3月 31日 40,000千円 42,000千円

(注)各法人の当期純利益及び個別所得金額は、〔資料1〕及び〔資料2〕の取引考慮前のものであ

り、A 社の当期純利益及び個別所得金額は、平成 27年4月1日〜平成 28年1月 31 日までの期間

に係るものである。

〔資料1〕連結法人間取引に関する事項

1.P 社から B社への土地・建物の譲渡

平成 27年 10月1日に、P社は B社に賃貸していた土地、建物(工場)及び建物(倉庫)

を B社に譲渡し、B 社は固定資産に計上し自社で引き続き使用している。P社における譲渡直前の帳

簿価額、譲渡価額(時価)、B社における見積り耐用年数は以下のとおりであり、譲渡損益の繰延額

の戻入れは簡便法により計算することとしている。

譲渡資産 P社における

譲渡直前の帳簿価額 譲渡価額(時価)

B社における

見積り耐用年数

土地 200,000千円 250,000千円 -

建物(工場) 90,000千円 75,000千円 20 年

建物(倉庫) 8,000千円 5,000千円 10 年

2.P 社から C社への寄附金

平成 27年1月 31日に、P社は C社に対して 100,000 千円の金銭による贈与を行い、P 社は損益計

算書の寄附金に計上し、C社は受贈益に計上している。

〔資料2〕A 社株式の譲渡に関する事項

平成 27年2月1日に、P社は A社株式の全てを外部の法人に 250,000千円(時価)で売却した。A

社は P社により資本金 100,000 千円で設立された内国法人であり、P社の譲渡直前における貸借対照

表上の A 社株式の帳簿価額は 100,000千円である。A社は設立時から P社を連結親法人とする連結納

税により法人税の申告を行っており、前期末(平成 27 年3月 31日)における連結個別利益積立金額

は 120,000千円であった。

〔資料3〕D 社の連結納税加入に関する事項

平成 27年4月1日に、P社が D社株式の 100%を取得し、D社は当期首から P社を連結親法人とす

る連結納税に加入している。平成 27年3月 31日末における D 社の控除未済欠損金額及び保有資産の

含み損益は以下のとおりであった。

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1. 法人税及び事業税の控除未済欠損金額

発生事業年度 控除未済欠損金額

平成 24年4月1日〜平成 25年3月 31日 120,000千円

2.保有資産の含み損益

勘定科目 内訳 帳簿価額 時価 含み損益

土地 X工場土地 25,000千円 30,000千円 5,000千円

Y工場土地 35,000千円 80,000千円 45,000千円

建物 X工場建物 15,000千円 12,000千円 △3,000千円

Y工場建物 28,000千円 15,000千円 △13,000千円

(1) 〔資料1〕1.の土地、建物(工場)及び建物(倉庫)の譲渡について、P社の連結所得金

額の計算上における譲渡損益の繰延額及び簡便法による譲渡損益戻入額を計算しなさい。なお、

譲渡損失の繰延額及び譲渡利益の戻入額については、数字の前に△を付し、該当がない場合は

「 ― 」を解答欄に記入すること。

(2) 〔資料1〕2.の寄附金及び受贈益について、P社及び C 社における連結所得金額の計算上

の取扱いを簡潔に答えなさい。なお、子会社整理損失について考慮する必要なはい。

(3) 〔資料2〕の A社株式の譲渡について、P社における A社株式に係る法人税法上の帳簿価額

修正額及び連結所得金額の計算における A 社株式の譲渡損益の額を答えなさい。なお、マイナ

スの簿価修正額及び譲渡損失額については、数字の前に△を付すこと。

また、このような帳簿価額修正が必要とされる理由を簡潔に答えなさい。

(4) 〔資料3〕の D社の連結納税加入について、D 社の連結納税開始直前事業年度における単体

申告に関して、次の記述から適切なものを3つ選択し、番号を解答しなさい。

① 法人税の控除未済欠損金額は切捨てとなり、連結納税加入後に控除することはできない。

② 法人税の控除未済欠損金額は、連結納税加入後において、D 社の個別所得金額を限度として

控除することができる。

③ 事業税の控除未済欠損金額は、連結納税加入後においても、D 社の個別所得金額の一定割合

を限度に、引き続き控除することができる。

④ 連結納税加入後において、住民税は個別帰属法人税額を課税標準として計算されるため、特

段の調整計算は必要とされていない。

⑤ 保有資産の含み損益について、D 社の連結納税開始直前事業年度における単体申告において

益金の額に算入される金額は 50,000 千円、損金の額に算入される金額は 16,000 千円である。

⑥ 保有資産の含み損益について、D 社の連結納税開始直前事業年度における単体申告において

益金の額に算入される金額は 45,000 千円、損金の額に算入される金額は 13,000 千円である。

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問 すでに連結納税を適用している連結グループに加入する時の時価評価について以下の空欄に当

てはまる最も適切な用語を記入しなさい。

(1)連結子法人として連結グループに加入する場合においても、以下に該当する場合には課税上弊害が少ないことや法人の事務負担を考慮して、時価評価を行わないこととしている。 a.連結親法人または連結子法人が当該連結親法人又は連結子法人による( 1 )がある法人を( 2 )した場合の当該法人

b.連結親法人または連結子法人が( 3 )により法人の( 4 )を有することとなった場合の当該法人

c.連結親法人が( 5 )または( 3 )により( 1 )を有することとなった場合の法人 d.法令の規定に基づく( 6 )等により、当該連結親法人による( 1 )を有することとなった場合の法人

(2)時価評価の対象となる資産は固定資産、土地、有価証券、金銭債権及び繰延資産のうち、以下

に掲げるものを除いたものであるとされている。 a.前( 7 )年内事業年度において所定の( 8 )の規定の適用を受けた減価償却資産 b.( 9 )有価証券 c.( 10 )有価証券 d.含み損益が他の内国法人の資本金等の額の( 11 )相当額または( 12 )のいずれか少ない金額に満たない場合のその資産

e.-以下省略-

問 平成 28年 3 月期決算に関して、連結所得に対する法人税の税率について以下の表に当てはまる

数字を記入しなさい。なお、復興特別法人税および地方法人税については考慮しなくてよい。

連結親法人の

区分

連結親法人の

資本金額等 連結所得 税率

1 億円超 ( ア )%

普通法人 1 億円以下 800万円超 ( イ )%

1 億円以下 800万円以下 (注)

(注)中小企業等における平成 24年 4 月 1日から平成 29 年 3月 31 日までの間に開始する各連結事業年度の税率は本則が( ウ )%であるが、特例として( エ )%とされている。

問 完全子法人株式等・関連法人株式等・非支配目的株式等の定義を答えなさい。

問 内国法人P社、A社及びB社は、P社を連結親法人、A社及びB社を連結子法人として以前よ

り連結納税制度を選択し、申告を行っている。以下の資料に基づき、当連結事業年度(平成 27年

4 月 1 日~平成 28年 3月 31 日)における連結所得の計算上、損金不算入とされる寄附金の額を

計算するとともに、各連結法人における個別帰属額を求めなさい。なお、個別帰属額の計算上、

円未満の端数が生じたときは四捨五入する。

〔資料〕 (単位:円)

P社 A社 B社 合計

指定寄附金等 2,500,000 1,000,000 - 3,500,000

特定公益増進法人に対

する寄附金 600,000 - 1,400,000 2,000,000

その他の寄附金 17,395,000 4,980,000 3,625,000 26,000,000

小計 20,495,000 5,980,000 5,025,000 31,500,000

完全支配関係がある法

人に対する寄附金 900,000 1,200,000 875,000 2,975,000

支出寄附金合計 21,935,000 7,180,000 5,900,000 34,475,000

連結所得金額仮計 425,000,000 84,690,000 63,511,000 573,201,000

(注)P社の資本金等の額は 300,000,000 円である。

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問 内国法人P社、A社及びB社は、P社を連結親法人、A社及びB社を連結子法人として以前よ

り連結納税制度を選択し、申告を行っている。以下の資料に基づき、当連結事業年度(平成 27年

4 月 1 日~平成 28年 3月 31 日)における連結法人税個別帰属額を算定し、各連結法人の決算整

理仕訳を行いなさい。なお、計算の結果生じた百万円未満の金額は切り捨てる。

〔資料〕 1.税額計算に関する事項(単位:百万円)

P社 A社 B社 合計

連結欠損金控除後 の個別所得金額

4,500 1,500 △2,000 4,000

所得税額控除の 個別帰属額

△5 △11 △8 △24

2.法人税率は24%とする。 3.中間納付及び地方税は考慮外としてよい。

問 連結納税に関する以下の文章の内容が正しいければ解答欄に○を、誤っていれば×を記入

しなさい。

(1) 連結親法人(連結納税を適用しているグループの親法人、以下同じ)が、他の内国法

人の発行済株式のすべてを保有している子法人のうち、規模が小さく、重要性がない子法

人については、届出をすることにより、連結納税の対象に含めないことができる。

(2) 連結親法人(連結事業年度は 4月 1日~3月 31日)が、X1年 5月 15日に内国法人であ

るA社の株式のすべてを取得した場合、A社は原則として、X1年 5月 14日で事業年度を区

切り、X1年 5月 15日より連結納税に加入することとなるが、特例の適用を受ければ、X1

年 5月 31日で事業年度を区切り、X1年 6月 1日より連結納税に加入とすることができる。

(3) 連結親法人(連結事業年度は 4月 1日~3月 31日)が、X1年 9月 15日に連結子法人

であったB社の株式のすべてを連結納税グループ外の法人へ譲渡した場合、B社は原則と

して、X1年 9月 14日で事業年度を区切り、X1年 9月 15日より連結納税を離脱すること

となるが、特例の適用を受ければ、X1年 9月 30日で事業年度を区切り、X1年 10月 1日

より連結納税を離脱とすることができる。

(4) 連結親法人P社が、P社を株式交換完全親法人、C社(株式交換前にはP社が発行済

株式の 80%を保有していた内国法人)を株式交換完全子法人とする適格株式交換により、

C社を 100%子会社化した場合、C社は時価評価対象資産につき、連結納税に加入する直

前の事業年度末において、時価評価を行う必要がある。

(5) 連結納税に加入することとなる子法人が、時価評価を行うこととなる場合に、土地に

ついては棚卸資産であっても時価評価の対象となる。

(6) 連結納税に加入することとなる子法人は、例外なく、法人税の欠損金は切り捨てとな

り、連結納税適用後に使用することができない。

(7) 連結親法人が、連結子法人の株式を譲渡する場合に、当該子法人の株主として連結親

法人は、税務上、当該連結子法人株式の帳簿価額修正をした上で、譲渡損益を計算するこ

ととなる。

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問 連結納税に関する以下の文章の空欄①〜⑤に当てはまる適切な語句又は数字を答えなさい。

(1) 連結事業年度とは、連結( ① )法人の事業年度である。

(2) 連結納税を開始するにあたり、連結納税を適用する最初の連結事業年度開始の日の

( ② )月前の日までに連結親法人となる法人と連結完全支配関係のあるすべての子法人が

連名で連結納税の承認の申請を行うことが必要である。

(3) 連結納税を開始するにあたり、連結親法人となる法人が、連結納税を適用する最初の

連結事業年度の開始の日の( ③ )年前の日から当該開始の日まで継続して連結子法人と

なる法人と完全支配関係がある場合には、当該連結子法人となる法人は時価評価の対象外

である。

(4) 連結親法人との間に完全支配関係を有することとなった連結子法人となる法人で、当

該完全支配関係を有することとなった日以後( ④ )月以内に連結納税の承認の取消し等

の事実が生じることにより当該完全支配関係を有しなくなるもの(連結親法人又は他の連

結子法人を合併法人とする合併により当該完全支配関係を有しなくなるもの及び連結親法

人事業年度終了の日後に当該完全支配関係を有しなくなるものを除く)の保有する資産は、

時価評価の対象から除外されている。

(5) 完全支配関係のある内国法人間で資産を譲渡する場合に譲渡損益の繰延べの対象とな

る固定資産等(譲渡損益調整資産)から、譲渡直前の( ⑤ )が 1,000 万円未満の資産は、

除外されている。

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問 〔資料〕に基づき、当連結事業年度(平成 28年 3月期)における各社の連結欠損金個別

帰属額を算定し、以下の空欄①~⑩欄に当てはまる金額を答えなさい。記載すべき金額が

ゼロの場合は「-」と解答すること。

なお、P社は中小連結親法人には該当せず繰越欠損金の控除限度額の制限(65%)を受

けるものとし、連結子法人S1 社及びS2 社における欠損金はすべて特定連結欠損金に該当

するものとする。

〔資料〕

前連結事業年度終了時における各社の控除未済連結欠損金額(単位:百万円)

発生事業年度 P社 S1社 S2 社 合計

平成 25年 3月期 300 100 400 800

平成 26年 3月期 700 900 300 1,900

平成 27年 3月期 - 300 500 800

合 計 1,000 1,300 1,200 3,500

当連結事業年度における連結欠損金控除前個別所得金額(単位:百万円)

P社 S1社 S2社 合計

1,500 700 300 2,500

連結事業年度 P社 S1社 S2社 合計

平成 25年 3月期 ① ② ③

平成 26年 3月期 ④ ⑤ ⑥

平成 27年 3月期 ⑦ ⑧ ⑨

合 計 ⑩

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<所得税>

問 次の所得のうち、所得税の課税所得となるものをア~エから全て選び、答えなさい。

ア: 養老保険契約が満期を迎えた事により受け入れた満期返戻金

イ: 相続税の納税において、その一部を相続財産である不動産で物納した事による譲渡所得

ウ: 交通事故によって負った心身の障害に基づき支払いを受ける慰謝料及び損害賠償金

エ: 店舗に車が飛び込み、店舗及び商品に生じた損害について、加害者から支払われた損害賠償金

問 確定申告に関連する以下の記述のうち、不適切なものはどれか。ア~エから選びカタカナを記載

するとともに、不適切な理由を答えなさい。

ア: 納税者は、その年の 1 月 1 日から 12 月 31 日までに生じた所得金額を、原則として、翌年の 2

月 16 日から 3 月 15 日までの間に納税地の所轄税務署に確定申告書を提出して、その年の所得

税額を納付する必要がある。

イ: 確定申告をしなければならない者が死亡した場合には、その相続人は、原則として相続の開始

があったことを知った日の翌日から 4 か月以内に、被相続人の所得について確定申告をしなけ

ればならない。

ウ: 居住要件を満たす日本居住者が国外転出をする場合、1 億円以上の有価証券等を所有している

場合には、当該資産の譲渡があったものとみなして所得税の計算を行う。ただし、未決済の信

用取引、デリバティブ取引はこれに含まれない。

エ: 確定申告後、本来納付すべき額よりも多くの税金を納付している事に気づいた時は、原則とし

て申告期限後 5 年以内に限り、更正の請求をすることができる。

問 源泉徴収制度に関する次の記述のうち、適切なものをア~エから全て選び、答えなさい。ただし、

設問中の所得税率には、復興特別所得税 2.1%を含んでいる。

ア: 国内において個人が支払いを受ける預貯金の利子については、原則として、所得税 15.315%、

住民税 5%の源泉徴収がされる。なお、預貯金の利子は源泉分離課税の対象となるので、確定

申告の必要はない。

イ: 税理士に対する報酬について、1 回に支払いを受ける金額が 200 万円の場合は、所得税 20.42%

が源泉徴収される。

ウ: 退職手当等について、「退職所得の受給に関する申請書」を提出しない場合は、所得税

20.42%が源泉徴収される。

エ: 給与の支払者は、給与から源泉徴収した所得税を給与支給日の翌月 10 日までに納付しなけれ

ばならない。ただし、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出する事により、

全ての給与の支払者は年 2回の納付とすることができる。

問 甲氏の平成 27年分の所得が以下のとおりである場合、総合課税の対象となる総所得金額を算定

しなさい。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。

給与所得の金額 450万円

不動産所得の金額 240万円

一時所得の金額 60 万円

退職所得の金額 180万円

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問 所得税における医療費控除に関する次の記述のうち、適切なものをア~エから全て選び、答えなさい。

ア: 健康診断等の費用は、その診断結果により、重大な疾病が発見され、かつ、その診断等に引き

続きその疾病の治療を行った場合には医療費控除の対象となる。

イ: 通院のために利用した自家用車のガソリン代、駐車場代は、医療費控除の対象となる。

ウ: レーシック手術(視力回復レーザー手術)の費用は医療費控除の対象となる。

エ: 手術費を補填する保険金額が、手術費を支払った年分の確定申告書を提出する時までに未確定

の場合には、その保険金額を見積もり、支払った手術費から控除して医療費控除額を算定する。

問 所得税における雑損控除に関する次の記述のうち、適切なものをア~エから全て選び答えなさい。

ア: 山火事によって別荘が全焼した場合、その損失額は雑損控除の対象にならない。

イ: 雑損控除として控除される金額は、「損失額(保険金補填額控除後)-総所得金額等の合計額

×10%」と「損失額(保険金補填額控除後)のうち災害関連支出の金額-5 万円」のうち、い

ずれか多い方の金額となる。

ウ: 納税者が詐欺商法による被害に遭ったことにより生じた損失の金額は、雑損控除の対象となら

ない。

エ: 自宅に泥棒が侵入し、妻(専業主婦)の所有する時価 50 万円相当の指輪(1 個)が盗まれた

場合、その損失額は雑損控除の対象となる。

問 乙氏は、平成 27年 7月に中古住宅(建築後 10年、建物の専有床面積 150㎡)を 4000 万円(全

額 M銀行からの借入金)で購入し、10月より入居した。住宅借入金等特別控除に関する以下記述

のうち、不適切なものはどれか。ア~エから選びカタカナを記載するとともに、不適切な理由を

答えなさい。

ア:取得した中古住宅は、取得の日以前 20 年以内に建築されたものであるので、他の要件を満た

していれば、住宅借入金等特別控除の適用を受けることができる。

イ:平成 27 年の年度末における住宅借入金の残高が 3900万円である場合、他の要件を満たしてい

れば、住宅借入金等特別税額控除額は 39万円となる。

ウ:その後、繰上げ返済を行い、借入金の償還期間が当初の借入日から 10年未満となった場合で

も、他の要件を満たしていれば、償還期限を迎える年分まで住宅借入金等特別控除の適用を受

けることができる。

エ:乙氏は、平成 26年 4月に以前住んでいたマンションを売却し、その際、居住用財産に係る

3000万円の特別控除の特例を利用している。この場合、他の要件を満たしていたとしても、住

宅借入金等特別控除の適用を受けることはできない。

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問 丙氏は個人でカフェを営む(飲食事業)と共に、アパート 6室を賃貸している。

(1) 以下の資料に基づき、当年分の丙氏の青色申告控除後の事業所得金額及び不動産所得金額を計

算しなさい。

なお、丙氏は青色申告の承認を受けており、複式簿記により発生主義で取引を記帳すると共に、

貸借対照表及び損益計算書を作成している。

飲食事業に係る情報

総収入額 6,800,000円

総費用額 5,400,000円

アパート賃貸業に係る情報

総収入額 2,160,000円

総費用額 1,800,000円

(2) 丙氏は以下の生命保険契約を締結している。そこで、当年度の生命保険料控除額を計算しなさい。

保険契約名 年間保険料支払額

A 生命保険契約(旧生命保険契約) 40,000円

B 生命保険契約(旧生命保険契約) 32,000円

C 医療保険契約(介護医療保険契約) 30,000円

D 個人年金契約(旧個人年金契約) 80,000円

(参考)

【青色申告特別控除】

対象青色申告者及び記帳条件 特別控除額

不動産所得又は事業所得を生ずべき事業を営む者で以下の条件を満たす者

・取引を正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳していること。

・貸借対照表及び損益計算書を期限内に提出する確定申告書に添付すること。

・現金主義による処理を選択していないこと。

65 万円

上記の控除を受ける青色申告者以外の青色申告者で不動産所得、事業所得及び山林

所得を生ずべき事業を営む者 10 万円

【生命保険料控除】

平成 24年 1 月 1日以後締結の保険契約等(新契約)

年間の支払保険料等の合計額 所得控除額

20,000円以下 支払保険料等の額

20,000円超 40,000 円以下 支払保険料×1/2+10,000円

40,000円超 80,000 円以下 支払保険料×1/4+20,000円

80,000円超 一律 40,000 円

平成 23年 12月 31 日以前締結の保険契約等(旧契約)

年間の支払保険料等の合計額 所得控除額

25,000円以下 支払保険料等の額

25,000円超 50,000 円以下 支払保険料×1/2+12,500円

50,000円超 100,000円以下 支払保険料×1/4+25,000円

100,000円超 一律 50,000 円

(注)上記の表は一般分、個人年金分及び介護医療保険分のそれぞれについて適用し、各控除額の合

計が 12万円を超える場合には、生命保険料控除額は 12 万円となる。

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問 あなたは税理士として、名古屋市昭和区在住の鈴木一郎から平成 27 年分の所得税確定申告書の

作成を依頼され受任しました。以下の資料から確定申告書を作成し、番号、氏名を税理士欄に署名

しなさい。

1. 以下は、東海株式会社に勤務している鈴木一郎の「平成 27 年分給与所得の源泉徴収票」(年末

調整済)である。なお、申告書作成に必要な情報は源泉徴収票から読み取りなさい。

平成 27年分 給与所得の源泉徴収票(一部抜粋)

支払を受ける者 名古屋市東区 氏名 鈴木 一郎

種別 支払金額 給与所得控除後の金額 所得控除の額の合計額 源泉徴収税額

給料・賞与 8,000,000 6,000,000 2,140,000 213,800

控除対象配偶者の有無 配偶者特別控除 控除対象扶養親族の数 社会保険料等の 住宅借入金等

特別控除の額 有 0 円 特定 1人 金額

摘要 750,000 135,000

国民年金等 O 円 居住開始年月日 H21.02.02 妻 鈴木良子

鈴木太郎 鈴木洋子(年少)

受給者生年月日

昭和 40 年 8 月 15日

支払者 東海 株式会社

2. 鈴木一郎は、12 部屋のアパートを賃貸しており、不動産収入が 3,750,000 円、必要経費

1,240,000 円がある。青色申告を行っており、複式簿記により記帳を行っている。

3. 鈴木一郎は、平成 27 年中に交通事故に遭い、慰謝料 200,000 円を受け取った。

4.鈴木一郎は、15年問掛けてきた甲生命の養老保険(掛け金の保険料累計額は 2,200,000 円)が平成

27 年中に満期となり、満期保険金 3,000,000 円を受け取った。

5.鈴木一朗の家族は、妻の良子(昭和 43 年 10月 13日生)、長男で大学生の太郎(平成 8年 5月 3 日

生)、長女で中学生の洋子(平成 13 年 7 月 10 日生)である。

妻の良子は、パート給与収入が 600,000円であり、平成 27 年中に自分の実家の父から

1,000,000 円の現金を贈与されている。 太郎は東京の大学に通っているため、同居はしていない。

6.所得控除

①平成 27年中の支払医療費 48 万円(医療保険により 12 万円補填された。)

②一朗は平成 27年中に太郎の国民年金保険料 18万円を支払っている。

③新生命保険料 110,000 円及び地震保険料 54,000 円の控除証明書がある。いずれも年末調整し

ていない。

7.第 1期分、第 2 期分の予定納税は、合計 400,000 円であった。

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(条件)

1. 平成 27 年の税制によるものとする。

2. 扶養控除一般 38万円、特定扶養親族 63 万円

3. 納税者番号は 00724833 である。

4. 申告書は申告期限に提出している。土日祝祭日は考慮しなくてよい。

5. 給与所得以外の所得に関する住民税は自分で納付する。

6. 税理士の 30条代理書面が添付されている。

7. 所得税額の速算表(一部)

課税所得 税率 控除額

超 以下

1,950,000 円以下 5%

1,950,000 円 3,300,000 円 10% 97,500円

3,300,000 円 6,950,000 円 20% 427,500 円

6,950,000 円 9,000,000 円 23% 636,000 円

9,000,000 円 18,000,000 円 33% 1,536,000 円

18,000,000 円 40,000,000 円 40% 2,796,000 円

問 居住者である実務太郎氏の平成 27年(以下「本年」という。)分の所得税の計算に関する事項

は、以下の【資料Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ】のとおりである。これらの資料に基づき、実務太郎氏の本年分の各種

所得の金額及び確定申告すべき課税所得金額、所得税額及び復興特別所得税額を、別紙解答用紙に

それぞれの計算の過程を示して答えなさい。

なお、減価償却資産の償却方法についての届出はしていない。また、実務太郎氏は、帳簿書類を

備え付け、事業上の一切の取引を正規の簿記の原則に従って記録し、これに基づいて貸借対照表及

び損益計算書を作成しており、青色申告の承認を受けている。

また、消費税及び地方消費税については考慮する必要はない。

【 資料 Ⅰ】

1 実務太郎氏は、紳士服の製造・販売事業を営んでおり、備付帳簿によれば、本年中の事業による

総収入金額は 191,995,000円であり、必要経費は175,123,000 円である。これとは別に青色事業

専従者給与 5,300,000 円である。

2 上記 1 の総収入金額には、次の金額が含まれている。

(1) 受取利子 300,937円

取引先である A社から店舗改装資金を貸して欲しい旨の依頼に基づいて貸し付けた貸付金に係

る利子 285,000 円と、事業の余剰資金を銀行に預金した定期預金に係る利子 15,937 円(振込額)と

の合計額である。

(2) 生命保険の満期保険金 3,136,000 円

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実務太郎氏は自身を被保険者とする生命保険契約を締結し保険料の支払を行ってきた。本年中

にこの保険契約が満期を向え満期保険金 3,136,000 円を保険会社から受け取った。実務太郎氏が

これまでに支払った保険料の総額は 3,000,000 円であり、このうち当年度分 150,000円は、上記 1

の必要経費に含まれている。

3 上記 1に記載の必要経費には、次の金額が含まれている。

(1) 支払家賃 2,400,000 円

実務太郎氏の父親(実務太郎氏と生計を一にしている。)が所有している紳士服製造工場の用に供

している建物について、1ヶ月 200,000円の賃借料を父親に毎月末日に支払っているものである。

(2) 支払保険料 769,120円

本年 3月 12日に、実務太郎氏の父親が所有している上記の建物について、損害保険の対象にす

る契約を実務太郎氏が締結して支払ったものである。この保険契約の期間は 10年間で、満期返戻

金が支払われる内容となっており、保険料の支払は年に一回払である。なお、この保険契約による

と、今回の支払保険料のうち 240,000円は、積立分の保険料とされている。

(3) 実務太郎氏の父親が所有している建物に係る固定資産税 315,000円

実務太郎氏の父親が所有している上記の建物については、建物に係る固定資産税は実務太郎氏が

支払うことにしているものである。

(4) 小規模企業共済契約に係る掛金として支払った金額 720,000円

4 その他、下記の 2点については、必要な調整をすること

(1)本年 3月 1日に、2,400,000 円で取得して事業の用に供していた普通乗用自動車(耐用年数 6

年)を個人で建設業を営んでいる友人に 2,150,000 円で売却し、本年 12 月 3日に当該自動車を

引き渡した。ただし、この譲渡代金は、本年 12月 31日現在においても支払を受けていない。な

お、この普通乗用自動車の譲渡に際して、中古自動車販売業者による査定では、価額は

1,800,000円であった。支払を受けていないため、この普通乗用車の売却並びに減価償却等につ

いては、帳簿への記帳は何もない状態である。(参考:耐用年数 6年 定額法償却率 0.167)

(2)青色事業専従者である実務太郎氏の長男及び長男の妻に支払ったものであるが、この二人の給

与の支給額は、所轄税務署長に提出した青色事業専従者給与に関する届出書に記載している金額

の範囲内の金額であり、労務の対価として相当な金額である。なお、長男の妻に対しては、本年

1 月から 5月までの 5か月間の対価として、1 月当たり 200,000円の給与を支払っていた。しか

し、本年 6月からは家事に専念し、事業に従事しないことになったため、同月以後の給与は支払

っていない。

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【資料Ⅱ】

実務太郎氏は、本年から新たに不動産の賃貸による収入を得ており、その賃貸の収支の状況は次の通

りである。(不動産所得に係る総収入金額 2,400,000円、不動産所得に係る必要経費 3,200,000円)

必要経費には、本件の不動産所得の基因となる不動産を取得するために借り入れた借入金の利子

928,000円(うち、334,000円は本件に係る土地取得のための借入金に対する利子)が含まれている。

【資料 Ⅲ】

実務太郎氏の生年月日並びに扶養親族等の状況は、下記のとおりであった。

本人 昭和41年10月12日生

配偶者 昭和43年12月26日生(合計所得金額 425,300円)

扶養親族 次男 平成 4年11月22日生(失業中につき、所得なし)

長女 平成 8年 8月 5日生(大学生、所得なし)

社会保険料の支払金額

国民健康保険料 620,000 円(世帯全体・・・介護保険料含む)

国民年金保険料 177,400 円×4 名分(実務太郎氏分、配偶者、次男、長女分)

所得税の速算表

課税される所得金額 税 率 控 除 額

1,950,000円以下 5% ―

1,950,000円超 3,300,000円以下 10% 97,500円

3,300,000円超 6,950,000円以下 20% 427,500円

6,950,000円超 9,000,000円以下 23% 636,000円

9,000,000円超 18,000,000円以下 33% 1,536,000円

18,000,000円超 40,000,000円以下 40% 2,796,000円

40,000,000円超 45% 4,796,000円

所得控除額一覧表(平成 27 年分) ・・・抜粋

区 分 控 除 額

基 礎 控 除 額 380,000円

配 偶 者 控 除 額 一般控除対象配偶者 一般の控除対象配偶者 380,000円

老人控除対象障害者 480,000円

扶 養 控 除 額

一 般 扶 養 親 族 通常 380,000円

特 定 扶 養 親 族

(19歳 以上 23歳未満) 通常 630,000円

配偶者特別控除額

配偶者の合計所得金額

~ 380,000 円

380,001円 ~ 399,999円

400,000円 ~ 449,999円

450,000円 ~ 499,999円

500,000円 ~ 549,999円

(以下、省略)

0円

380,000円

360,000円

310,000円

260,000円

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問 所得の種類について下記の文章を読み、問に答えなさい。

所得税法では、その所得の性格により担税力に差異があることを考慮して、それぞれの所得の生ず

る形態に応じてそれに最も適合した所得金額の計算を行い、その所得に応じた課税を行うために所

得を 10種類に区分している。

1.次の(ア)~(ク)の取引について、10 種類の所得のうち、どの所得に該当するか答えなさい。

(ア)生命保険の満期保険金(保険料負担者=保険金受取人)

(イ)事業用運転資金を預けている普通預金に係る預金利子

(ウ)賃貸用マンションの賃料収入

(エ)賃貸用マンションの譲渡

(オ)国税・地方税の還付加算金

(カ)法人から贈与された金品

(キ)自分が 100%の株式を保有する株式会社から受ける剰余金・利益の配当

(ク)生命保険契約の個人年金

2.所得税は原則として全ての所得に対して課税されるが、社会政策その他の理由により非課税所

得とされるものがある。非課税所得を 3つ挙げなさい。

3.退職金 2,000万円(額面)、在職年数 20 年 4ヵ月の場合の退職所得金額を計算しなさい(退

職事由は、業務上の事故ではなく定年退職によるものである)。なお、計算式も記載すること。

4.事業を営む個人が事業用の固定資産を売却した(短期総合譲渡に該当)。

収入金額 150 万円、取得費 30 万円、譲渡経費 10 万円であった場合の譲渡所得金額を計算しな

さい。なお、計算式も記載すること。

問 青色申告制度について下記の文章を読み、問に答えなさい。

青色申告制度は、正しい基調に基づく適正な申告と納税を推進することを目的とするものである。

一定の帳簿を備え、正しい記帳に基づいて正確に所得を計算する等一定の要件を満たせば、青色申

告を選択することができる。青色申告者については所得金額の計算などについて有利な取扱いが受

けられる青色申告の特典がある。なお、青色申告を選択できるのは、 ① 所得、 ② 所得、ま

たは ③ 所得を生ずべき業務を行う人に限定される。

1.①~③の3つの空欄の所得を埋めなさい。ただし、①~③について、青色申告特別控除の控除

する所得の順序通りに記載すること。

2.青色申告の特典について3つ挙げなさい。

問 総合課税と分離課税について下記の文章を読み、問に答えなさい。

所得税法では、所得の計算方法により、総合課税制度と分離課税制度に区分される。また、分離課

税制度は、申告分離課税制度と源泉分離課税制度に区分することができる。

1.総合課税制度、申告分離課税制度、源泉分離課税制度について、それぞれの制度の異なる点に

注意しその概要を簡潔に述べなさい。

2.申告分離課税制度と源泉分離課税制度それぞれについて、具体例を1つずつ挙げなさい。

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問 損益通算について下記の文章を読み、空欄に適切な語句を埋めなさい。

損益通算とは、各種所得金額の計算上生じた損失のうち一定のもの(不動産所得、 ① 所得、

譲渡所得(総合課税)、 ② 所得)について、一定の順序にしたがって、総所得金額等を計算す

る際に他の各種所得の金額から控除することである。

なお、不動産所得から生じた損失のうち ③ 等を取得するために要した ④ に相当する金額

については、損益通算の対象から除外されている。

問 所得控除について下記の文章を読み、15種類の所得控除のうち、年末調整により控除すること

ができない3種類の所得控除を挙げなさい。

所得の総合と損益通算によって計算された総所得金額、分離課税の譲渡所得金額、分離課税の

商品先物取引に係る雑所得等の金額、山林所得金額および退職所得金額の合計から15種類の控

除を差し引くことが認められている。

給与所得の場合には、年末調整において、源泉徴収義務者である給与支払者に「平成○年分 扶

養 控除等(異動)申告書」や「平成○年分 給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の

配偶者特別控除申告書」等の書類を提出することにより、一定の所得控除を受けることができる。

問 税額の計算について下記の文章を読み、問に答えなさい。

所得税の税額の算定では、課税総所得金額・課税退職所得金額および課税山林所得金額について

は超過累進税率が適用されている。課税山林所得については、超過累進税率の適用を緩和するため

の措置が取られている。

1.課税総所得金額が 800万円の場合の所得税を計算しなさい。

2.課税山林所得金額が 500万円の場合の所得税を計算しなさい。

(参考)所得税の速算表

課税される所得金額 税率 控除額

195万円以下 5% 0 円

195万円を超え 330万円以下 10% 97,500円

330万円を超え 695万円以下 20% 427,500 円

695万円を超え 900万円以下 23% 636,000 円

以下、省略

問 源泉徴収制度について下記の文章を読み、問に答えなさい。

所得税は、所得者自身が、その年の所得金額とこれに対する税額を計算し、これらを自主的に申

告して納付する、いわゆる「申告納税制度」が建前とされているが、これと併せて特定の所得につ

いては、その所得の支払の際に支払者が所得税を徴収して納付する源泉徴収制度が採用されている。

源泉徴収義務者が源泉徴収をした所得税は、原則として源泉徴収の対象となる所得を支払った月

の ① までに納付しなければならない。ただし、給与の支給人員が常時 10人未満である源泉徴

収義務者については、納付手続を簡単にするために、給与や退職手当、税理士等の報酬・料金につ

いて源泉徴収をした所得税を年 2回にまとめて納付する、納期の特例の制度が設けられている。こ

の特例を受けるためには、所轄税務署長に「 ② 」を提出し承認を受ける必要がある。

1.上記空欄に適切な語句を埋めなさい。

2. ② を提出し、納期の特例を受けた場合の納付期限を答えなさい。

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<相続税>

問 以下の設問を読み、空欄①~⑩に当てはまる語句または数字を答えなさい。

(1) 血族相続人には、相続順位がある。第一順位は、子であり、第二順位は( ① )第三順位

は( ② )である。なお、被相続人の( ③ )は、各血族相続人と並んで常に相続人とな

る(民 887、889、890)。

(2) 法定相続人が配偶者と子の場合の配偶者の法定相続割合は( ④ )であり、法定相続人が

配偶者と兄弟姉妹のみの場合の配偶者の法定相続割合は、( ⑤ )である。

(3) 遺産の分割方法には、現物分割、( ⑥ )、( ⑦ )、共有とする分割の 4 種類がある。

(4) 相続の放棄は相続の開始があったことを知った時から( ⑧ )以内に家庭裁判所に申述し

なければならない。

(5) 個人が個人に財産を遺贈した場合に受遺者が課せられる税金は( ⑨ )税であり、個人が

法人に財産を遺贈した場合に受遺者が課せられる税金が( ⑩ )税である。

問 甲(80歳)には、長男の丙(50 歳)、次男の丁(45 歳)がおり、配偶者乙はすでに死亡してい

る。公認会計士であるあなたは、自分自身の相続について対策を考えている甲から以下の(1)

~(4)の相談を受けた。それぞれの問に答えなさい。

<現在(平成 28年 3月 31日)の甲の財産及び債務>

甲の財産 甲の債務

・預金 1億円

・非上場株式 2億円

・自宅土地 1億円

・自宅建物 0.5 億円

・絵画 0.5億円

・借入金 1 億円

①相続税の速算表

各法定相続人の取得金額 税率 控除額

千円以下 千円

10,000 10% ―

30,000 15% 500

50,000 20% 2,000

100,000 30% 7,000

200,000 40% 17,000

300,000 45% 27,000

600,000 50% 42,000

千円超

600,000 55% 72,000

②贈与税の速算表

ア.20歳以上の者が直系尊属から贈与を受けた場合 イ.ア以外の場合

課税価格 税率 控除額 課税価格 税率 控除額

千円以下 千円 千円以下 千円

2,000 10% ― 2,000 10% ―

4,000 15% 100 3,000 15% 100

6,000 20% 300 4,000 20% 250

10,000 30% 900 6,000 30% 650

15,000 40% 1,900 10,000 40% 1,250

30,000 45% 2,650 15,000 45% 1,750

45,000 50% 4,150 30,000 50% 2,500

千円超 千円超

45,000 55% 6,400 30,000 55% 4,000

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(1)「仮に私(甲)が現時点で死亡した場合の相続税額の総額はいくらになるのでしょうか?」

相続税の額を答えなさい。なお、計算過程も記載すること。また、小規模宅地の評価減の特

例は考慮しないものとする。

(2)「贈与税の制度は二つあるように聞いたことがあるのですが、どのように異なっているのです

か?」

それぞれの制度について、解答用紙の表を完成させなさい。

(3)「相続税が高額になりそうなので、今年(平成 28年)中に、預金のうち 1,000万円を長男丙に贈

与したいと考えているのですが、上記の(2)のそれぞれの制度に基づいて計算した場合に贈与税は

いくらになるのでしょうか? なお、これまでに私は丙に贈与をしたことはありません。」

それぞれの制度について、贈与税の額を答えなさい。なお、計算過程も記載すること。

(4)「贈与税もかなりの高額になるのですね。贈与税も含めて私の財産にかかる税額を少なくするた

めには、生前に贈与をした方がいいのでしょうか?もし生前に贈与をした方がいい場合には、上

記(3)のいずれの方法による方が私の場合にはいいのでしょうか?」

以下 a~cの回答のうち、正しいと思うもの選び、記号を答えなさい。また、その理由を記載

すること。

a:「暦年課税制度によって贈与すべきである。」

b:「どちらが有利とも言えない。」

c:「相続時精算課税制度によって贈与すべきである。」

問(1)以下の場合、誰が Z の民法上の相続人となるか。当該相続人の民法上の法廷相続分も答えな

さい。

①相続税法上の基礎控除額を答えなさい。ただし、養子はすべて普通養子である。

②相続税の総額を計算する際に使う孫 H の法定相続分を答えなさい。

問(2)相続人が 4人の場合、相続税の課税対象となる金額を答えなさい。

課税される金額がない場合は 0円と記載しなさい。

①Zが保険料を負担していた死亡保険金 23,000,000 円

②Zが生前に財テク目的で購入していた純金製の仏具(時価 2,500,000 円)

③Zが死亡する 2年前に C(当時養子ではない)に贈与した土地(評価額 2,300,000 円)

④Zが年間保険料 60万円を贈与し負担していた孫 G 契約の保険権利金 2,000,000 円

⑤Zの交通事故死により支払われた保険金 18,000,000 円

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問 以下は、被相続人が死亡した時点で支払われていないものである。

相続税上、債務控除の対象となる債務・葬式費用には○、対象とならないものには×を記入しなさ

い。

①連帯保証債務

②飲み屋のツケ

③準確定申告の所得税

④所得税の修正申告にかかる延滞税

⑤相続した不動産に係る相続登記費用

⑥香典返戻費用

⑦死亡広告費用

⑧領収書がもらえない僧侶お経代

問 妻と子 2 人(甲、乙)を持つ(被相続人(名古屋市中区在住))が、平成 27 年 11月 8日に死亡

した。子はすべて実子である。

(1)この相続の財産の課税価格(基礎控除前)の合計額は 4億円であった。相続税の総額を計算

しなさい。

(2)4 億円のうち、妻が 1億 6 千万円、甲が 1億 4 千万円、乙が 1億円を相続する遺産分割協議が

法定申告期限内に成立した。各人の相続税の納付税額(百円未満切捨)を計算しなさい。

(3)この相続税の申告書はいつまでにどこに提出しなければならないか。

問(1)名古屋市東区の女性は、平成 27年中に昭和区在住の父から 600万円の贈与を受けた。また、

夫(婚姻後 25年)からも居住用不動産 2100 万円の贈与を受けた。贈与税を計算しなさい。た

だし、相続時精算課税や住宅取得資金贈与の特例は受けていないが、贈与税の配偶者控除は受

けている。

(2)贈与税の申告書はいつまでにどこに提出しなければならないか。

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<消費税>

(1)消費税の仕入に係る税額控除について、次の文章の①~⑤に当てはまる最も適当なものを下記

の選択肢ア~シより選択しなさい。

1. 免税事業者が課税事業者となった場合、棚卸資産に係る控除税額の調整について、課税事業

者となった課税期間の ① において有する棚卸資産に係る消費税額を当該課税期間の課税

仕入等の税額とみなして ② する。

2. 調整対象固定資産に係る控除税額の調整において、課税業務用のものを ③ に非課税業務

用に転用した場合または非課税業務用のものを ③ に課税業務用に転用した場合、当該

④ の課税期間において控除税額を調整する。

3. その課税期間の基準期間における課税売上高が ⑤ 以下である事業者について、税務署長

への届出等の必要な要件を満たした場合に簡易課税制度の適用を受けることができる。

(選択肢)

ア 2 年以内 イ 当該事業年度の開始日 ウ 控除

エ 加算 オ 5 年以内 カ 購入時

キ 1 千万円 ク 初日の前日 ケ 5 千万円

コ 転用時 サ 3 年以内 シ 5 億円

(2)問1の下線部につき、下記について答えなさい。

① 届出の正式名称

② 届出の期限

(3)問1の下線部につき、簡易課税制度の事業区分とみなし仕入率について次の空欄に入る最も適

当な数字を答えなさい。ただし 1種類の事業のみを営む事業者を前提とする。

事業の種類 事業区分 みなし仕入率

建設業 第( ① )種事業 ( ④ )%

小売業 第( ② )種事業 ( ⑤ )%

不動産業 第( ③ )種事業 ( ⑥ )%

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問 あなたは税理士として㈱東海産業(名古屋市中区、代表東海太郎)の消費税の確定申告書の作成

を依頼されました。番号、氏名を申告書に署名しなさい。また、課税売上高と課税仕入高の明細表も

作成しなさい。

(条件)

1.売上は、すべて国内から仕入れたものを、すべて国内に販売したものである。

2.「販売費及び一般管理費」の内訳は以下のとおり。消費税の「課否区分」各自一般的に判断のこと。

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3.「賃貸料収入」のうち 180,000 は従業員社宅家賃の収入である。

4.「雑収入」はすべて自動販売機設置収入である。

5.「雑損失」はすべて盗難損失である。

6.固定資産売却損益の内訳は次のとおりである。

7.当期中に取得した固定資産は以下のとおり。(税抜き)

車両運搬具(耐用年数 6年 定率法 平成 28 年 8 月取得) 1,620,000

8.償却債権取立益は、前期平成 27年 10月発生の売掛金を前期に貸倒れ処理したものである。

9.貸倒損失は、前期発生の売掛金につき、得意先の破産によるものである。

10.中間申告納付の消費税及び地方消費税は、合計 800,000 円である。

11.前々期の課税売上高は、160,500千円である。

12.仕入税額控除の方式は、個別対応方式による。「対応」は各自一般的に判断すること。

13.当社の決算書はすべて「税抜き表示」である。

14.申告期日に提出している。

15.税理士の 30 条代理書面の添付がある。

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問 次の消費税の納税義務の判定等に関する記述のうち、明らかに誤っている文章が 3つある。その番

号を答えるとともに、誤っている理由を簡潔に説明しなさい。なお、いずれの事業者も課税期間の短

縮は行っておらず、事業年度は1年とする。(特定期間における課税売上高は考慮しない。)

1. 平成 26 年の課税売上高が初めて 1,000 万円を超えた個人事業主の場合、当該基準期間に基づき

消費税の計算を行う課税期間は平成 28 年である。また、当該基準期間で計算された消費税の納

付期限は平成 28年 3月 31日までとなる。

2. 3 月決算の法人において、平成 26 年 3 月期の課税売上高が 1,000 万円を超えたため、平成 28 年

3 月期は課税事業者となる予定であったが、平成 28年 3月期の業績が急激に悪化し課税売上高が

500万円となったため、平成 28 年 3月期の納税義務は免除された。

3. A さんの平成 26 年(基準期間)の課税売上高が 1,080 万円(税込)であった場合、平成 28 年に

A さんは課税事業者となる。ただし、A さんは平成 26年に免税事業者であった。

4. 基準期間である平成 26 年の課税売上高がクリーニング業 300 万円、写真業 500 万円であった。

さらに事業用固定資産の売却利益が 150 万円(事業用固定資産の売却価額は 300 万円)であった

場合、平成 28年において当該事業者は免税事業者となる。

5. 基準期間である平成 26 年の課税売上高として小売業 850 万円の他、地代収入が 120 万円であっ

た。さらに、下記の家事消費がある場合、平成 28 年において当該事業者は免税事業者となる。

(平成 26年は免税事業者であった。)

平成 26年の家事消費した商品は下記の通りである。

(a) 家事消費した商品の実際の仕入価格の合計額 230 万円

(b) 家事消費した商品の通常の販売価格の合計額 300 万円

問 消費税の申告・納付、届出等について、①~⑨に当てはまる最も適当なものを下記の選択肢ア~

ナより選択しなさい。

1. 消費税の中間申告につき、直税の課税期間の確定消費税額(地方消費税額含まず)が

① 以下の場合、中間申告不要となる。また、当該消費税額が ② 超 4800 万円以

下の場合中間申告は年 3回、4800万円超の場合には年 ③ 回となる。

2. 消費税の確定申告につき、事業者はその課税期間の末日の翌日から ④ 以内に確定申告書

を提出するとともに消費税を納付する。なお、輸入取引については、課税貨物を ⑤ から

引き取る者は引取りの際に申告、納付する。

3. 届出等の手続きにつき、免税事業者が課税事業者となることを選択する場合には、選択しようと

する課税期間の初日の ⑥ までに ⑦ を提出する。

4. 輸出物品販売場の許可を受けた場合には、外国人旅行者等に販売する一定の土産品等について消

費税が ⑧ されるが、輸出物品販売場を開設しようとする事業者は、事前に ⑨ を

2 通提出し、税務署長の許可を受けなければならない。

(選択肢)

ア 消費税課税事業者届出書 イ 前日 ウ 60万円

エ 1000万円 オ 12 カ 400万円

キ 輸出物品販売場許可申請書 ク 3月 ケ 免税

コ 保税地域 サ 48万円 シ 6

ス 翌日 セ 納税地 ソ 2月

タ 11 チ 消費税減免届出書 ツ 消費税課税事業者選択届出書

テ 減額 ト 9 ナ 消費税課税事業者選択不適用届出書

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問 次のような前提条件で、A社の当該課税期間に係る消費税等の納付税額を計算し、計算過程を明

らかにして答えなさい。なお、解答にあたり、仕入控除税額の判定方法を明らかにすること。(中間

納付等、前提条件に記載がない内容は考慮外とする。)

(前提条件)

1. A 社は、小売業と卸売業の 2 種類の事業を営んでいる。

2. 基準期間の課税売上高(税込)は、23,580,000 円である。

3. 当該課税期間において簡易課税制度の適用を受けるものとする。

4. 当該課税期間における課税売上高は、下記のとおりである。

事業区分 課税売上高(税込金額)

小売業 19,440,000 円

卸売業 9,720,000 円

合計 29,160,000 円

5. 消費税の適用税率は 6.3%、地方消費税の適用税率は 1.7%とする。

問 次のような前提条件で、B社の平成 X8年分の課税期間に係る消費税等の納付税額を計算し、計

算過程を明らかにして答えなさい。(中間納付等、前提条件に記載がない内容は考慮外とする。)

(前提条件)

1. 業種は卸売業です。

2. 平成 X6年の課税売上高は、17,500,000 円で、平成 7年までは免税事業者でした。

3. 平成 X7年中に「消費税課税事業者届出書」を所轄税務署に提出しました。

4. 「消費税簡易課税制度選択届出書」は提出していません。

5. 会計処理は税込処理を採用しています。

6. 消費税の適用税率は 6.3%、地方消費税の適用税率は 1.7%とする。

7. B 社の損益の状況は下記のとおりとする。

商品売上高 16,416,000円

商品売上値引高 ※2 700,000 円

商品仕入高及び経費 ※1 9,200,000円

貸倒損失額 ※2 500,000円

※1 商品仕入高及び経費のうち、課税仕入に該当する金額は、7,700,000 円である。

※2 商品値引・貸倒損失額は、平成 X8年の課税資産の譲渡等に係るものである。

問 次の文章は、日本公認会計士協会の「消費税の会計処理に関するプロジェクトチーム」による中

間報告書の一部抜粋・省略した文章である。次の①~⑧に当てはまる最も適当なものを下記の選択

肢ア~ツより選択しなさい。

第 2. 会計処理の基本的考え方

消費税は、 ① に課税するものであり、原則として、資産の譲渡等の都度その対価の額

につき課税を行うこととし、その前段階に課された税額を控除又は ② して調整すること

とされている。このように仕入れ等に係る消費税(以下「仕入税」という。)は、一種の仮払金

ないし売上等に係る消費税(以下「販売税」という。)から控除される一種の通過支出であり、

各段階の納税義務者である企業においては、消費税の会計処理が ③ に影響を及ぼさない

方式(税抜方式)を採用することが適当である。ただし、 ④ が主要な部分を占める企業

等当該企業が消費税の負担者となると認められる場合、簡易課税制度を採用した場合、その他企

業の業種業態等から判断して合理性がある場合には、それに対応する会計処理方式(税込方式)

を採用することができる。

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第 3. 税抜方式

これは、仕入税を仮払消費税等の勘定で、販売税を仮受消費税等の勘定で処理し、課税期間に

係る販売税と仕入税とを ⑤ し、その差額を納付し又は ② を受けるものであり、

企業の ③ に影響を及ぼさない方式である。

第 4. 税込方式

これは、仕入税を資産の取得原価又は費用に含め、販売税を収益に含める方式である。この方

式では、納付税は ⑥ 勘定に、還付税は収益勘定に計上する。

第 5. 財務諸表における表示

Ⅰ. 消費税の会計処理は、会計方針として記載するものとする。

1. 税抜方式を採用している場合の記載例

(1) 資産に係る控除対象外消費税がないとき

消費税の会計処理は、税抜方式によっている。

(2) 資産に係る控除対象外消費税があるとき

① 資産に係る控除対象外消費税を資産の ⑦ に算入することとしているとき

消費税の会計処理は、税抜処理によっている。ただし、固定資産に係る控除対象外消費税

は各々の資産の ⑦ に算入している。

② 資産に係る控除対象外消費税を一括して ⑧ に計上することとしているとき

消費税の会計処理は、税抜処理によっている。ただし、固定資産に係る控除対象外消費税は

⑧ に計上し、〇年間で均等償却を行っている。

③ 資産に係る控除対象外消費税を発生事業年度の期間費用とすることとしているとき

消費税の会計処理は、税抜処理によっている。ただし、資産に係る控除対象外消費税は発生

事業年度の期間費用とする。

2. 税込方式を採用している場合の記載例

消費税の会計処理は、税込方式によっている。

(選択肢)

ア 法人税 イ 取得原価 ウ 資産査定

エ 損益計算 オ 加算調整 カ 租税公課

キ 前払費用 ク 課税取引 ケ 付加価値

コ 付随費用 サ 長期前払消費税 シ 免税

ス 還付 セ 相殺 ソ 雑収入

タ 期間費用 チ 時価評価額 ツ 非課税取引

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問 大阪市中央区に本社がある株式会社A社(設立以来、課税事業者であり簡易課税制度の適用は受

けていない)の平成 27年4月1日から平成 28年3月 31 日までの課税期間の消費税申告に必要な

資料は、以下の通りである。

〔資料〕

1.基準期間の課税売上高(税抜)は、290,999,000 円である。

2.課税期間の損益計算書は次の通りである。なお、この損益計算書に掲げられている金額は、す

べて税抜の金額である。

3.新税率の適用開始日(平成 26年4月1日)前に行われた資産の譲渡等、課税仕入れ及び保税地

域からの課税貨物の引き取りはない。

損 益 計 算 書

自 平成 27 年4月 1日

至 平成 28 年3月 31 日 (単位:円)

科 目 金 額

売 上 高 352,815,570

期 首 商 品 棚 卸 高

仕 入 高

54,917,020

250,546,610

247,200,440 合 計

期 末 商 品 棚 卸 高

305,463,630

58,263,190

売 上 総 利 益 105,615,130

販売費及び一般管理費 73,510,940

営 業 利 益 32,104,190

受 取 利 息

受 取 配 当 金

雑 収 入

453,670

550,000

463,200

1,466,870

支 払 利 息

投 資 有 価 証 券 売 却 損

雑 損 失

2,000,210

964,000

85,400

3,049,610

経 常 利 益 30,521,450

特別利益 固 定 資 産 売 却 益

諸 引 当 金 戻 入 額

147,700

4,580,020

4,727,720

特別損失 固 定 資 産 売 却 損

固 定 資 産 除 却 損

2,500,950

1,320,000

3,820,950

税 引 前 当 期 利 益 31,428,220

法人税、住民税及び事業税 15,000,000

法 人 税 等 調 整 額 △2,115,000 12,885,000

当 期 利 益 18,543,220

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4.損益計算書の売上高の内訳は、次の通りである。

輸出売上高 20,200,000 円

そのほかの課税売上高 332,615,570 円

合 計 352,815,570 円

5.損益計算書の仕入高の内訳は、次の通りである。

輸入仕入高 45,900,000 円

そのほかの課税仕入高 204,646,610 円

合 計 250,546,610 円

なお、輸入仕入に係る輸入消費税額等は、他の仮払消費税等と区分して、輸入仮払消費税等

(地方消費税相当額を含む)勘定に 3,760,000 円集計されている。

損益計算書の販売費及び一般管理費のうち、消費税が課せられているものと課されていないもの

との区分は、次の通りである。

販売費及び一般管理費の内訳 (単位:円)

勘 定 科 目 金 額

左記の内訳

消費税が課されて

いるもの

消費税が課されて

いないもの

役 員 報 酬

給 料 手 当

法 定 福 利 費

福 利 厚 生 費

賞 与 引 当 金 繰 入 額

退 職 金

広 告 宣 伝 費

燃 料 費

旅 費 交 通 費

通 信 費

水 道 光 熱 費

消 耗 品 費

修 繕 費

保 険 料

会 議 費

租 税 公 課

交 際 接 待 費

地 代 家 賃

賃 借 料

支 払 手 数 料

諸 会 費

寄 付 金

貸 倒 損 失

貸 倒 引 当 金 繰 入 額

減 価 償 却 費

雑 費

8,000,000

20,430,080

4,291,500

2,856,320

1,600,000

533,000

2,339,140

2,005,400

1,269,550

1,617,320

1,890,500

2,560,900

666,440

956,200

418,900

4,256,000

2,962,190

2,360,000

1,062,000

320,000

1,093,200

200,000

700,000

836,700

7,738,700

546,900

2,339,140

2,005,400

1,269,550

1,617,320

1,890,500

2,560,900

666,440

418,900

2,927,190

1,062,000

320,000

240,000

546,900

35,000

853,200

合 計 73,510,940 ? ?

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6.損益計算書の販売費及び一般管理費に関して、注意すべき点は次の通りである。

①給料手当のうち通勤手当が、692,000 円含まれる。

②法定福利費はすべて社会保険料である。

③福利厚生費のうち従業員の慶弔禍福費が、130,000円含まれる。

④交際接待費のうち消費税が課されていないものは、得意先に対する慶弔禍福費である。

⑤地代家賃のうち 360,000 円は従業員社宅の家賃であり、残余は事務所の賃借料である。

⑥貸倒損失は、売掛金(消費税が課されていた)を貸倒処理したものである。また、貸

倒引当金繰入額は、売上債権に対してのみ引当てている。

7.損益計算書の営業外収入に関して、注意すべき点は次の通りである。

① 受取利息の中には、貸付金利息が 300,000 円含まれている。

② 雑収入は、すべて包装材料の売却収入である。

8.損益計算書の営業外費用に関して、注意すべき点は次の通りである。

① 雑損失は、現金過不足である。

② 投資有価証券売却損の明細は、次の通りである。

売却価額 帳簿価額 売却損

投資有価証券売却損 6,500,000 円 7,464,000 円 964,000 円

9.損益計算書の固定資産売却益の明細は、次の通りである。(売却価額は税込である。)

摘要 売却価額 帳簿価額 売却益

固定資産売却益 営業用トラック 1,080,000 円 852,300 円 147,700 円

10.損益計算書の固定資産売却損の明細は、次の通りである。

摘要 売却価額 帳簿価額 売却損

固定資産売却損 営業所土地 33,508,000 円 36,008,950 円 2,500,950円

なお、固定資産除却損は、営業所の建物及び建物付属設備の除却によるものである。

11.課税期間中に取得した固定資産の内訳は次の通りである。

車輛運搬具 2,649,500 円(税抜)

12.中間納付額は次の通りである。

消費税 1,450,000 円、地方消費税 362,500 円

上記の資料から、A社の平成 28 年3月期について、①~⑥の各項目の金額もしくは比率を求めなさ

い。その際、仕入税額控除の方法は、一括比例配分方式を採用すること。

注意1 計算過程の一部も採点対象としている。計算過程を必ず明示すること。

注意2 「消費税額」を問うているのか「消費税額及び地方消費税額」を問うているのかに特に留意

すること。

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①課税標準及び課税標準に対する消費税額

・課税標準

・課税標準に対する消費税額

②課税売上割合

・分母の金額

・分子の金額

・課税売上割合(小数点以下切捨※)

③課税貨物に係る消費税額

④控除対象仕入税額

・課税仕入等の額

・控除対象仕入税額

⑤貸倒に係る税額

⑥納付税額(消費税及び地方消費税)

・消費税額

・地方消費税額

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問〔資料〕に基づき、平成 27 年分の消費税及び地方消費税の確定申告書(一般用)を作成しなさい。

〔資料 1〕

会計商店は、物品販売業を営む小売業者である。

○ 平成 27年分の所得は、小売業による事業所得と、業務用固定資産の売却(譲渡所得)以外には

ない。

○ 基準期間である平成 25年分の課税売上高は、19,951,456円である。

○ 消費税及び地方消費税に関する記帳は、税込経理方式で行っている。

○ 平成 26年は免税事業者であった。

○ 平成 27年分の所得税の青色申告決算書の各欄から、課税取引金額計算表へ転記した決算額は

〔資料 2〕のとおりである。

なお、消費税及び地方消費税に関する次の特記事項がある。

・売上(収入)金額 25,280,000円には、課税取引にならないビール券の売上高 350,000 円が

含まれている。

・期首商品棚卸高はすべて免税事業者であった平成 26 年 4月 1日以降に仕入れたもので、す

べて課税取引に係るものである。

・仕入金額 17,470,000円には、課税取引にならないビール券の仕入高 320,000円が含まれて

いる。

・水道光熱費、旅費交通費、通信費、広告宣伝費、接待交際費、修繕費、消耗品費、雑費はす

べて課税取引に係るものである。

・福利厚生費は、すべて労災保険や雇用保険の、雇用主負担分である。

・給料賃金 1,233,000 円には、従業員の通勤手当(課税取引)33,000 円が含まれている。

・地代家賃は、すべて地代(非課税取引)である。

○ このほかに、店舗を改装し、シャッター代 600,000 円と陳列棚代 320,000円を支払っている。

また、配達用の車両を 280,000円で売却した。

○ 売上や仕入に係る返品、値引、割戻しの金額があるが、それらの金額は売上金額または仕入金

額から直接減額する方法で経理処理をしている。

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〔資料 2〕

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〔資料 3〕

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<地方税>

問 法人事業税及び固定資産税に関する説明文の空欄①~④に当てはまる語句を答えなさい。

・ 法人事業税の課税標準は、( ① )の額が 1 億円を超える会社については付加価値割、

資本割及び( ② )の 3種類である。

・ 法人事業税の資本割の課税標準は、資本金等の額と、( ③ )の合計額を比較して、ど

ちらか大きい方となる。

・ 固定資産税の課税客体は固定資産であり、固定資産とは、土地、家屋及び( ④ )を総称

する。

問 以下の場合、法人事業税の付加価値割の算定につき、①収益配分額、②雇用安定控除額及び③

課税標準となる付加価値額はいくらになるか答えなさい。

なお、以下に記載のない事項については考慮しないものとする。

報酬給与額 1,000 百万円

支払利息 500 百万円

受取利息 100 百万円

支払賃借料 100 百万円

受取賃貸料 500 百万円

単年度損益 △380 百万円

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<その他の税>

問 会社員の A 氏が平成 27 年度中に自宅(土地及び建物)を売却した。以下の資料を基に、(1)

~(4)の問に答えなさい。

なお、租税特別措置法第 35 条(3,000 万円控除)及び租税特別措置法第 31条の 3(軽減税率)

の特例の適用については、以下「譲渡資産に関する資料」に記載の事項以外の要件は満たしてい

るものとし、復興所得税については考慮しないものとする。

(1) 取得費及び譲渡費用の合計額を答えなさい。

(2) 譲渡所得金額を答えなさい。

(3) A氏の譲渡所得に係る所得税額の計算に当たって適用される税率を答えなさい。

(4) 譲渡所得に係る所得税額を答えなさい。

<譲渡資産に関する資料>

・売却に関する契約関係

引 渡 日:平成 27 年 10月 15 日

譲渡価額:土地 120,000,000 円、建物 35,000,000円

仲介手数料・収入印紙代:合計で 2,500,000円

・対象資産に関する情報

利用状況:自己の居住用

土 地 :平成 13年 4 月 15 日に 75,000,000 円で取得

建 物 :平成 13年 8 月 22 日に 50,000,000 円で取得

(建物の譲渡時の償却費相当額 17,500,000円)

問 以下の自用地について、路線価方式による評価に関して(1)、(2)について答えなさい。

(1)正面路線は A と Bのいずれになるか答えなさい。

(2)路線価方式による評価額を算定しなさい。

A の地区区分:普通住宅 (路線価:200千円)

B の地区区分:普通住宅 (路線価:100千円)

A:200千円

20m

30m

B:100千円

600㎡

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問 土地の評価明細書(1表)を記入しなさい。

なお、「地形図及び参考事項」欄に正面路線の判定過程を記載しなさい。

<条件>

①所在地:名古屋市東区

②所有者:鈴木一朗

③地 積:1,116㎡

④その他:所有者の自宅

⑤○は普通商業・併用住宅地区、無印は普通住宅地区

問 下記条件に基づいて、(1)類似業種比準価額、(2)配当還元価額 の計算方法の説明及び計算をし

なさい。

類似業種:株価 360円、1 株当たりの配当金 5円、利益金 50円、純資産価額 400 円

評価会社:資本金 20,000,000 円、発行済株式数 20,000株、年間配当金 3 百万円、

年間利益金 4百万円、純資産価額 2億円

ただし、評価会社は、仲介者(斟酌率 0.6)とし、年間配当金及び年間利益金は前期も同額とす

る。

問 次の設例において、以下の<概要>及び<参考資料>を参考にして、(1)~(3)の問に答えなさい。

(1) 同族株主の定義を述べた以下の文章について、空欄①~③に当てはまる語句又は数値を答え

なさい。

「同族株主」とは、課税時期における評価会社の株主のうち、株主の 1 人及びその( ① )

の有する株式の合計数が、その会社の発行済株式数の( ② )%(株主の 1人及びその

( ① )の有する議決権の合計数が最も多いグループの有する議決権の合計数が

( ③ )%超である場合には、( ③ )%超)以上である場合におけるその株主及びその

( ① )をいう。

(2) 補習雅子さんが取得する株式について、①選択すべき評価方式及び②評価額を答えなさい。

なお、解答にあたっては、計算過程も記載しなさい。

(3) 当該事例において、会計和彦さんが当該株式を取得する場合の株式の評価額を答えなさい。

なお、解答にあたっては、計算過程も記載しなさい。

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<概要>

・ 補習雅子さんは、甲株式会社の元取締役であった補習健太さんの妻であり、夫である補習健

太さんが平成 27 年 7 月 12 日に死亡した。

・ 補習健太さんが所有していた甲株式会社の株式は全て補習雅子さんが取得する。

<参考資料>

甲株式会社の状況

● 法人の概要

① 事業内容:製造業(100%)

② 直近事業年度:平成 27年 3月 31日

③ 資本金:18,000 千円(近年増資は行っていない。)

④ 発行済株式総数:180,000 株(すべて普通株式)

⑤ 当該会社は、特定の評価会社には該当しない。

● 株主の状況

平成 27年 7 月 11日現在の株主の状況は以下のとおりである。

● 法人の平成 27年 3 月期の決算等の概要

① 貸借対照表資産の部合計:705,673 千円、純資産の部合計:202,100 千円

② 平成 27年 3 月期 1 年間の取引金額は、778,120千円であった。

③ 平成 27年 3 月期の当期純利益(税引後)は、11,500 千円であった。

④ 平成 27年 3 月期の課税所得金額は、13,850千円であった。

⑤ 平成 27年 3 月末現在の従業員数は、105名(役員、パートタイマー除く)であった。

⑥ 平成 27年 5 月 24日の株主総会で、剰余金の処分

として、総額 1,440 千円(前年と同額)の配当を決議した。

なお、当該配当金支払の効力が生じるのは、平成 27年 5月 25日である。

● 当該会社の相続税評価額

相続税財産評価基本通達に従って、当該評価会社の株式の評価額を算出したところ、次のとお

りとなった。

原則的評価方式による株価 823円/株

特例的評価方式による株価 ?円/株

以 上

氏名 続柄等 役職 株式数 備考

会計 惣一 - 代表取締役 81,000

会計 京子 会計惣一の妻 - 6,750

会計 和彦 会計惣一の長男 常務取締役 18,750

会計 信二 会計惣一の弟 専務取締役 24,900

市谷 肇 - 取締役 13,500

協会 高志 - 取締役 11,250

補習 健太 会計惣一の友人 元取締役 11,250 H25.5 退任

公認 治朗 - 監査役 12,600

計 180,000

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