20140328 nihon chirigakkai2

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OpenStreetMapとオープンデータ の関わり2 ODCデータライセンスの詳細~ 2014.3.28 日本地理学会 OpenStreetMap Foundation Japan 事務局長 Open Knowledge Foundation Japan 事務局長 Georepublic Japan 修作(Shu Higashi/@higa4)

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Page 1: 20140328 nihon chirigakkai2

OpenStreetMapとオープンデータの関わり2

~ODCデータライセンスの詳細~

2014.3.28 日本地理学会

OpenStreetMap Foundation Japan 事務局長Open Knowledge Foundation Japan 事務局長

Georepublic Japan東 修作(Shu Higashi/@higa4)

Page 2: 20140328 nihon chirigakkai2

目次

1.ODCとは

2.ODCのライセンスとその特徴

3.OpenStreetMap による導入例

4.主要キーワード

5.よくある質問と回答

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Page 3: 20140328 nihon chirigakkai2

ODC(OpenDataCommons)とは

◆Open Knowledge Foundation のプロジェクト

◆オープンデータを推進するための法的なツールとしてライセンスを整備

3http://opendatacommons.org/

Page 4: 20140328 nihon chirigakkai2

OKFによる「オープン」準拠ライセンス

4http://opendefinition.org/licenses/

ライセンス 領域 表示 継承 コメント

Creative Commons CCZero (CC0)コンテンツ、データ

N NDedicate to the Public Domain (all rights waived)

Open Data Commons Public Domain Dedication and Licence (PDDL)

データ N NDedicate to the Public Domain (all rights waived)

Creative Commons Attribution 4.0 (CC-BY-4.0)

コンテンツ、データ

Y N

Creative Commons Attribution (CC-BY)

コンテンツ Y NAll versions 1.0-3.0, including jurisdiction “ports”

Open Data Commons Attribution License (ODC-BY)

データ Y N Attribution for data(bases)

Creative Commons Attribution Share-Alike 4.0 (CC-BY-SA-4.0)

コンテンツ、データデータ

Y Y

Creative Commons Attribution Share-Alike (CC-BY-SA)

コンテンツ Y Y

All versions 2.0-3.0, including jurisdiction “ports”; version 1.0 is little used and not recommended because it is incompatible with future versions

Open Data Commons Open Database License (ODbL)

データ Y YAttribution-ShareAlike for data(bases)

Free Art License (FAL) コンテンツ Y Y

Page 5: 20140328 nihon chirigakkai2

オープンデータの「オープン」とは

1)利用できる、そしてアクセスできる

◆データ全体を丸ごと使えないといけないし、再作成に必要以上のコストがかかってはいけない。

◆望ましいのは、インターネット経由でダウンロードできるようにすることだ。

◆また、データは使いやすく変更可能な形式で存在しなければならない。

5http://opendatahandbook.org/ja/what-is-open-data/

Page 6: 20140328 nihon chirigakkai2

オープンデータの「オープン」とは

2)再利用と再配布ができる

◆データを提供するにあたって、再利用や再配布を許可しなければならない。

◆また、他のデータセットと組み合わせて使うことも許可しなければならない。

6http://opendatahandbook.org/ja/what-is-open-data/

Page 7: 20140328 nihon chirigakkai2

オープンデータの「オープン」とは

3)誰でも使える

◆誰もが利用、再利用、再配布をできなければならない。

◆データの使い道、人種、所属団体などによる差別をしてはいけない。

◆たとえば「非営利目的での利用に限る」などという制限をすると商用での利用を制限してしまうし「教育目的での利用に限る」などの制限も許されない。

7http://opendatahandbook.org/ja/what-is-open-data/

Page 8: 20140328 nihon chirigakkai2

目次

1.ODCとは

2.ODCのライセンスとその特徴

3.OpenStreetMap による導入例

4.主要キーワード

5.よくある質問と回答

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Page 9: 20140328 nihon chirigakkai2

OKF(ODC)、3つのライセンス

・Public Domain Dedication and License (PDDL)- データ向けのパブリックドメインライセンス

・Attribution License (ODC-By)

- データ向けの表示ライセンス

・Open Database License (ODC-ODbL) - データ向けの表示・継承ライセンス

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Page 10: 20140328 nihon chirigakkai2

ライセンスのカバー範囲ライセンスとは – 法的に保護された権利の利用を他者に許諾するもの

著作権に対するライセンス:

◆著作物全般~CC0、CC BY等

◆オープンソース~GPL、BSD等

◆ドキュメント~GFDL等

データベース権に対するライセンス:

◆データ~ODbL、ODC-by等10

Page 11: 20140328 nihon chirigakkai2

著作権とデータベース権

著作権:

◆著作物に対する権利。創作性の無い事実情報を単純に並べたものなどは対象外。

データベース権:

◆著作権でカバーされない事実情報であっても、相応のコストを掛けて収集したデータの集合に一定の権利を認めるもの。

◆EU発祥で、日本やアメリカではまだ認められていない。

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Page 12: 20140328 nihon chirigakkai2

日本の著作権から見たデータベース

データベースとは

◆「論文、数値、図形その他の情報の集合物であって、それらの情報を電子計算機を用いて検索できるように体系的に構成したもの」(2条1項10号の3)

データベースの著作物

◆「情報の選択又は体系的な構成」に創作性があるかどうかで著作物に該当するかどうかを判断(12条の2第1項)

12データベース権とは違う

Page 13: 20140328 nihon chirigakkai2

データベースに含まれるもの

・数値(多くは事実情報の単純な並びであり、非著作物のデータ)

・文字(〃)

・文章(多くは著作物)

・画像(〃)

・動画(〃)

・音声(〃)

→データベースのライセンスには著作物(コンテンツ)とデータ双方に対するものが必要

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Page 14: 20140328 nihon chirigakkai2

目次

1.ODCとは

2.ODCのライセンスとその特徴

3.OpenStreetMapによる導入例

4.主要キーワード

5.よくある質問と回答

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Page 15: 20140328 nihon chirigakkai2

地図(絵柄)とソフトウェアとデータ

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<OSM地理データベース>・道路・地形・POI(Point Of Interest)・植生・電力線・禁煙/喫煙・車椅子利用可否・…

OSMでは完全に別物

ソフトウェア

Page 16: 20140328 nihon chirigakkai2

ライセンシング

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<OSM地理データベース>・道路・地形・POI(Point Of Interest)・植生・電力線・禁煙/喫煙・車椅子利用可否・…

ソフトウェア

CC BY-SA等 ODbL/DbCLGPL等

Page 17: 20140328 nihon chirigakkai2

なぜODbLに切り替えたのか

◆データに対するライセンスである

◆OSMFが代表して許諾できる

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Page 18: 20140328 nihon chirigakkai2

登場人物

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投稿者(マッパー) OSMF 利用者

投稿規約(CT)に基づ

き管理を委託

ODbL/DbCLの下に利用

許諾

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他のライセンスにしなかった理由

◆2番目に有力な案はパブリック・ドメインにする案であったが、かつてライセンス侵害に対する改善の申し入れを完全に無視されたケースがあったことなどから、最終的には自由でオープンであり続けることを強制するライセンスを選択。

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Page 20: 20140328 nihon chirigakkai2

20注)日本語訳は暫定版http://opendatacommons.org/licenses/odbl/summary/

Page 21: 20140328 nihon chirigakkai2

21注)日本語訳は暫定版http://opendatacommons.org/licenses/odbl/summary/

Page 22: 20140328 nihon chirigakkai2

目次

1.ODCとは

2.ODCのライセンスとその特徴

3.OpenStreetMap による導入例

4.主要キーワード

5.よくある質問と回答

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Page 23: 20140328 nihon chirigakkai2

コンテンツ

◆本データベースの内容物を意味し、情報、独立した著作物、その他の資料であってデータベース内に収集されたものが含まれる。例えば、データベースのコンテンツとしては、事実データ、又は画像、視聴覚資料、テキスト、若しくは音声などのような著作物が挙げられる。

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Page 24: 20140328 nihon chirigakkai2

データベース

◆系統的又は組織的な方法で分類した資料(コンテンツ)の集合体であって、電子的方法あるいはその他本ライセンス条項に基づき提供される方法によって個別にアクセスが可能なものを意味する。

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Page 25: 20140328 nihon chirigakkai2

データベース権

◆データベース指令(その修正、及び加盟国による国内法への置き換えを含む。)の第3章(スイ・ジェネリス特別権)に基づく権利を意味し、コンテンツの全体又は実質的部分の抽出及び再利用、並びに第10.4条に基づいて関連する法域で行使可能な類似の権利を含む。

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データベース権

◆EUの「データベース権」はデータベースコンテンツの獲得、認証、提供に対して、質的または量的な投資が行われている場合に認められます。認められた結果として、コンテンツの全部、あるいは実質的な部分に対して、抽出または再利用することを防止する権利がデータベース作成者に付与されます。

◆日本では(米国も)この「データベース権」が存在しないため、翼システム事件などのデータベースに関わる裁判では著作権法やその他の法令とのあわせ技による判例がいくつかあります。

参考: http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Watcher/20090827/336140/

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実質的

◆「実質的」とは、量、質、又はその両方に関して相当な程度であることを意味する。コンテンツのわずかな部分であっても、その部分の抽出又は再利用が反復的及び系統的に行われた場合には、コンテンツの実質的部分の抽出又は再利用に該当する場合がある。

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Page 28: 20140328 nihon chirigakkai2

集合データベース

◆改変を受けていない本データベースが、独立したデータベース集合体の一部となった場合において、一体的な統一体として構築されたその集合体を意味する。集合データベースを構成する著作物は、派生データベースとはみなされない。

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集合データベース

◆ ODbLを継承する必要が無いケースを明らかにするための概

念のひとつ。何をもって「集合データベース」と判断するかは、まだ合意形成の途上。

◆現在のところ、Leagal FAQ (http://wiki.openstreetmap.org/wiki/JA:Legal_FAQ/ODbL) の3c.にあるように「名前」や「位置」のようなシンプルな判断基

準だけで他の地理データベースとゆるやかに連携している場合は「集合データベース」と考えられる、とされています。

◆OSMと他の地理データベースを組み合わせたサービス提供

等を考える場合には、「集合データベース」とみなされる使い方から外れると、他の地理データベースにもODbLを適用する必要があるため重要なポイントです。

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派生データベース

◆本データベースに基づくデータベースを意味し、本データベース、又はコンテンツの実質的な部分についての翻訳、翻案、調整、改変、その他の変更が含まれる。これには、コンテンツの全体又は実質的な部分を新規のデータベースにおいて抽出又は再利用することなどが含まれるが、これに限定されるものではない。

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Page 31: 20140328 nihon chirigakkai2

派生データベース

◆「派生データベース」とは、著作物でいえば二次的著作物に相当し、OSM地理データの利用形態としては「集合データベース」と対をなす概念で、ODbLの継承が必須となります。まるごとコピーして改変した場合だけでなく、実質的な部分であれば一部の利用であっても該当します。

(Legal FAQ の3b.参照: http://wiki.openstreetmap.org/wiki/JA:Legal_FAQ/ODbL )

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Page 32: 20140328 nihon chirigakkai2

製作著作物

◆本データベース、派生データベース、又は集合データベースの一部分としての本データベースについて、そのコンテンツの全体又は実質的部分を使用することによって発生した著作物(画像、視聴覚資料、テキスト、又は音声など)を意味する。

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Page 33: 20140328 nihon chirigakkai2

製作著作物

◆Workには「作品」の訳語もありますが、データベースではないことを明確化するために「著作物」の訳を当てています。ODbLの文脈で頭にProducedと付いているのは、データベースを元に製作された著作物の意味合いがあります。この用語もかなり重要で、例えば画像としてのマップ(Mapnikのタイル画像など)を指し、データベースではないのでODbLの継承条項は及びません。製作した人が、自由にライセンスを設定することができます。OSM地理データベースがODbLに移行した後も、OSMのMapnik画像はCC BY-SA 2.0のままです。日本ではヤフーさんがOSM地理データベースを元に独自にレンダリングしたタイルを配信されていますが、このタイルのライセンスは何であっても構いません。

Leagal FAQ (http://wiki.openstreetmap.org/wiki/JA:Legal_FAQ/ODbL) の3c.を参照。

参考: http://wiki.openstreetmap.org/wiki/JA:Open_Data_License/Produced_Work_-_Guideline

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Page 34: 20140328 nihon chirigakkai2

目次

1.ODCとは

2.ODCのライセンスとその特徴

3.OpenStreetMap による導入例

4.主要キーワード

5.よくある質問と回答

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Page 35: 20140328 nihon chirigakkai2

よくある質問と回答

Q1. OSMをLODとして使いたい

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Page 36: 20140328 nihon chirigakkai2

よくある質問と回答

A1.

◆単に情報をたどれるような連携をさせたいのであればOSMデータベースを元に、例えばRDF化した「派生データベース」を作成し、これを「集合データベース」といわれる、名前や位置などによりゆるやかにリンクする形式で他のデータベースと連携する利用法を推奨します。例えば同じデータベース内で密に統合するような使い方をすると「派生データベース」とみなされ、統合したデータは全てODbLを継承しなければなりません。

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Page 37: 20140328 nihon chirigakkai2

よくある質問と回答

Q2. CC BYライセンスのデータをODbLライセンスのデータベースに投入しても良いのか。

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よくある質問と回答A2.

◆現在のCC BYやCC BY-SAライセンスはデータには及ばないとする考え方に従えば、まずその「データ」が著作権を認められる「データベース」に相当するかどうか判断する必要があります。

◆例えばデータ発生日時など、ごくありふれた順序で並んだ事実情報の羅列であるCSVファイルやXMLファイルの場合には、CC BYライセンスと明記されていても著作物のデータベースとは考えにくいので、元々CC BYのライセンスは及んでいないものと考えられます。従ってODbLのデータベースに投入してもライセンス侵害は無いものと思われます。

◆ただし、そのライセンサーの意図と食い違う可能性もあるので、ライセンサーに確認した方がベターでしょう。

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よくある質問と回答

Q3.オープンなデータに付与するライセンスって、結局どれが良いのでしょうか?

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よくある質問と回答A3.自由なライセンスは無条件、表示、表示・継承の3つに大別されます。

◆無条件に誰にでも自由に使って欲しい場合にはパブリック・ドメイン系の「CC0」が最も汎用的です。このライセンスは著作物とデータの両方に及ぶ、とされています。ODCにも「PDDL」がありますが、こちらはデータのみが対象です。

◆出典(クレジット、帰属)表示を求める場合は2014年にリリースされた「CC BY 4.0」がは著作物とデータの双方をカバーしているため、最も適しています。著作物系には「CC BY 3.0」以前、データ系には「ODC by」が適当と思われます。データは更新・追加される性質があるので、履歴をたどったり、整合性を確認したい場合には出典表記があった方が分かりやすい場合が多いと思われます。

◆表示に加え、派生物にも同じライセンスを適用したい場合には「CC BY-SA 4.0」が適しています。著作物系では「CC BY-SA」、データ系では「ODbL」となります。強制力の強いライセンスなので、ライセンス間の互換性は上記ライセンスと比べて低くなります。自由な利用を広げることを優先したい場合などに使われます。

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リファレンス

◆ODbL/DbCL

原文:http://opendatacommons.org/licenses/odbl/

英日対訳例:

https://docs.google.com/file/d/0BxvlrTvfS0RAN01oZ1dJa3g0aUU/edit◆ODC By

原文:

http://opendatacommons.org/licenses/by/英日対訳例:https://docs.google.com/file/d/0BxvlrTvfS0RAWjR1SGRMT2ZHTUE/edit

◆PDDL原文:

http://opendatacommons.org/licenses/pddl/

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Page 42: 20140328 nihon chirigakkai2

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ご清聴ありがとうございました。

ご注意:本資料にはCC0を適用しておりますが、一部それ以外の利用ライセンスの画像等を

含む場合があります。その場合は個々の利用ライセンスに従ってご利用ください。