2014年 雨宮栄一 フリードリヒ・ユストゥス・...
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創業 70 年2014 年
12 月新教出版社 出版通信〒162-0814 東京都新宿区新小川町 9-1 Tel: 03-3260-6148 Fax: 03-3260-6198
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ラディカル・ラブ クィア神学入門
パトリック・S・チェン
著
/工藤万里江訳
ラディカル・ラブ――それは世界に存在するあらゆる境界線を消してしまうほど過
激な愛。それは既成の社会通念からすれば「クィア」なものと見なされてしまうも
の。啓示とはラディカル・ラブなる神のカミング・アウトなのだ。本書は性的少数
者の視点から企てられた神学であり、伝統的な三位一体論の枠組みを大胆に組み替
えて、「クィア」なものとしての福音の本質を鮮明に打ち出す。現代人の信仰入門・
神学入門としても最適の書。
◆A5判・並製・230頁・本体2300円
フリードリヒ・ユストゥス・ペーレルス
雨宮栄一
著 告白教会の顧問弁護士
フリードリヒ・ユストゥス・ペーレルス(1910〜1945)は、ボンヘッファー
の盟友であり、35歳に満たぬ若さでナチに処刑された弁護士である。本書は、法
律家という専門職の立場からドイツ教会闘争、更には反ナチ抵抗運動に参与して
仆れたその生涯を丹念に辿り、従来紹介されることの少なかった信徒の働きを明
らかにした労作である。また法闘争としての教会闘争の一面を明らかにする。激
動の時代を戦った信徒の物語。 ◆四六判・上製・306頁・本体3100円
11月20日発売
11月20日発売
著者はエピスコパル神学校
准教授
11 月の新刊
国家の論理といのちの倫理
現代社会の共同幻想と聖書の読み直し
【新教コイノーニア30】
上村静 編
◆A5判・並製・310頁・本体2200円
気鋭の聖書学者がキリスト教内外の識者に呼びかけ、生命倫理から格差問題、教育制度、天皇制に至るまで、
現代社会の様々な局面で人間の基本権を脅かす諸問題を論じ、それに抗する〈いのちの倫理〉を模索する。
第Ⅰ部
生命倫理――生命はだれのものか:鳥居雅志/島薗�
進/宮本弘典/渡辺和子/飯田篤司/上村�
静
第Ⅱ部
いのちの倫理――「障害者」と「健常者」:鳥居雅志/島しづ子/堀江有里/宮本弘典/上村�
静
第Ⅲ部
功績主義のもたらすもの――格差社会:小倉利丸/なすび/新城せつこ/大庭伸介/松井悠子/上村�
静
第Ⅳ部
人生の「意味」を求めて――教育制度:佐野通夫/赤田圭亮/岡崎�
勝/西山雄二/中島浩籌/上村�
静
第Ⅴ部
アメリカと天皇制:河西秀哉/藤井�
創/菅�
孝行/磯前順一/石川裕一郎/上村�
静
イエスという人の物語
ホセ・イグナシオ・ロペス・ビヒル、マリア・ロペス・ビヒル
著/祐川郁生訳
イエスは腹を空かせながら、額に汗して働いている。そして我々同様、友人を持ち、泣いた
り、笑ったり、落ち込んだりする青年だ。そして洗礼者ヨハネとの出会いを通して、ゆっく
りと自分の召命を見出していく……。ラテンアメリカで話題を呼んだラジオドラマに基づく
福音書の語り直しであり、パトモス島の老ヨハネの回想という形をとった「物語的キリスト論」
の見事な成果。著者は兄妹。兄は元イエズス会士、現在はエクアドルで放送による宣教に従事。
妹はジャーナリストでニカラグア在住。 ◆A5判・並製・1154頁・本体5000円
11月17日発売
11月28日発売
12 月以降の出版予定から
● 10 月の新刊
使徒行伝
中巻
荒井献著 現代新約注解全書
学界最高水準の注解書。上巻から37年
ぶりの続刊。中巻は6章から18章まで
を扱う。
◆A5判・本体9000円
イエスの譬え話1
山口里子著
ぶどう園の主人や放蕩息子などよく知
られた譬えをまったく新しい視点から
再解釈する。
◆A5判・本体2000円
キリスト教思想の形成者たち
キュンク著/片山寛訳
パウロからバルトまで、巨大なパラダ
イムを画した7人の思想の光と影を活
写する。
◆四六判・本体2900円
私の人生のテーマは「現場」
呉在植著/山田貞夫訳
韓国教会の激動の同時代史を生き、エ
キュメニカルな足跡を残した牧師の自
叙伝。
◆四六判・本体2500円
福音と世界
キンドル版
10月号発売中――特集
国家神学する
530円
寺園喜基訳
カール・バルト
滝沢克己書簡集
神学的立場を異にし、緊張関係をはらみながらも、深い信頼関係に結
ばれ、戦前から戦後にかけて30年以上にわたり師弟の交わりを保った二
人の興味尽きない書簡集。
◆四六判・予価3000円
金キム
鎮ジン
虎ホ
著/香山洋人訳
市民K、教会を出る
韓国プロテスタントの成功と失敗、その欲望の社会学
民衆神学第三世代に属する著者が、「メガチャーチ」に代表される韓国
プロテスタント教会のあり方を批判的に分析。市民社会における「批評」
として神学の再構築を試みる。
◆四六判・予価2500円
藤井あけみ著
ママやパパががんになったら
親もこどもも厳しい試練にさらされるとき、どのように共に乗り越えて
いけるのか――。チャイルド・ライフ・スペシャリストとしての豊富な経
験から語る家族のあり方。
◆四六判・予価1500円
アルベルト・クティエ著/八重樫克彦・由紀子訳
僕はルハマを選んだ 神父の愛と召命(仮題)
キューバ亡命者の両親のもとフロリダで育ち、聖職を志してヒスパニック
系住民への司牧に献身する神父が、愛する人と出会い、多くの軋轢を
経つつ、なお召命に忠実であろうと歩む。
◆四六判・予価2500円
編集部から
福音と世界
A5判・80頁・
定価635円・
送料70円
年間予約購読料
(送料共)8460円
2014年
12
レヴィナスの時間論�
………………内田
樹
御子にこの希望をかけて――�
ヨーダー
「終末論なき平和?」再読�
……片野淳彦
典礼と終末�
…………………………平岡仁子
それは希望ではなかったのか?�
――�
ユーカリストからの反問�
…………松島雄一
「終わりの時」の実存的意義�
……来住英俊
終末論と資本主義�
…………………福嶋
揚
人と共に生きた「孤憤のひと」――
『柏木義円史料集』の意義�
……山口陽一
【連載から】
◆南島キリスト教史入門2�
……………一色
哲
◆現代日本の福エヴァンゲリオン
音4�
………………高橋優子
◆新約釈義
第一コリント書9�
…………青野太潮
◆ことばの履歴書9�
……………………佐藤
優
◆詩篇の思想と信仰118�
…………………月本昭男
◆バルト『教会教義学』の世界12(最終回)�
寺園喜基
◆旅する教会―再洗礼派と宗教改革21�
…早川朝子
◆70年の名著・『荊冠の神学』…………�
関田寛雄
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『女性解放とキリスト教』大嶋果織
特集:終末を神学する 真の希望のために
●10月25日に、小社創立70年の記念連
続講演会の最終回を、荒井献先生をお
招きして盛会裡に催すことができまし
た。使徒行伝の最後の記述をめぐる、
あたかも大学の講義のような精密なお
話を通して、聖書を批判的に読むこと
の厳しさと凄みと共に、その大切な意
味を教えられました。71年目を歩き始
めた小社も、今後の出版活動に改めて
活を入れられた思いです。
●8月に刊行したフランクルとラピー
デの対談『人生の意味と神』を読売新
聞の書評欄で取り上げていただきまし
た(10月26日)。評者は若松英輔さん。
「『信仰』の深化はいつも、眼前の他者
への、そして直面する人生の試練への
態度によってのみ実現される。……容
易に受け入れがたい者を含む、他者へ
向かって真摯に行われる不断の呼びか
けのうちに人は、自己が求める人生の
意味を見出すというのである。二人は、
特定の宗派がいう『神』、あるいは神学、
教学が、信じることから人々を遠ざけ
ていると語り、現代における宗教のあ
り方に警鐘を鳴らす。」このような読み
取りをしていただければ本を出した甲
斐があるというものです。
●前号で山口里子さんの『イエスの譬
え話1』の価格表示を誤記しました。
正しくは本体2000円です。謹んで
お詫びし訂正いたします。
もうすぐ出る本――パトリック・S・チェン『ラディカル・ラブ』から
……キリスト教神学は根本的にクィアな試みである。クィア理論と同じよう
に、古典的なキリスト教神学は伝統的に固定されてきた境界やカテゴリーを
打ち壊すことにその真の目的がある。たとえば啓示、創造、受肉の神学は、
不変と思われた神と人とを隔てる境界を打ち壊すものである。また復活と終
末の神学は、同じく不変と思われた生と死とを隔てる境界を打ち壊す。そし
て贖いの神学は、不変と思われた有罪と無罪の境界を打ち壊す。これはあら
ゆる神学の教義について言えることである。