2014 06 17 takada
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2014 06 17
建築インテリアデザイン
一年次 1441006
高田 歩美
プラタナスの木
私はパビリオンの空間について【それは単に少し離れた、というだけの日常である】と
考えます。
なぜなら、今の世の中当たり前のように、常に目に建物が入ってくることは何の不思議
があるわけではなく、日常の一部であるからです。逆に自分が立っている場所から 360度
見渡してしまえば、ほぼ必ず何かしらの人工物があるのです。
一般に、パビリオン(pavilion)とは展覧会や博覧会などに用いられる仮設の建築物、テント、
展示会の事で、今回の課題の題材である a+u(Architecture and Urbanism)は建築と都市と
いうコンセプトを持っています。都市になればなるほど人口は増え密度は局地的に増減し、
人々の休める夜は、尚のことスペースが必要になってきます。自宅や友人の家、ホテルや
マンガ喫茶。さまざまな場所があげられますがこれは夜に限った話ではありません。
たとえば、このように有名なイソップ物語のひとつに『旅人達とプラタナス』があります。
旅人達とプラタナス
夏の盛りの事だった
遠い国から来たのだろうか
三人の旅人が疲れ果てた足取りで
埃っぽい道を歩いてきた
太陽はちょうど真上にあって
そろそろ一休みの時間だ
三人は道端にある一本のプラタナスを見つけ
さっそくその木陰に入ってごろんと寝ころんだ
木陰を吹く風は爽やかで
汗がすうっとひいていく
三人は何も言わずに空を見上げて
その心地よさに身をまかせていた
「おい、ちょっと見ろよ」
不意に一番若い男が言った
「この木は実がならないんだ役立たずめ!」
残りの男たちも不服そうに
「そうだそうだ!お前の言うとおりだ!この木は人様の役に立たないんだ!」
と口々にしゃべりだしました
「おぉ、何と恩知らずの者たちよ…。」
突然木の上から
静かな声が聞こえてきた
プラタナスが旅人達の
おしゃべりを遮って語りだしたのだ
「…今まさに私の恩恵を受けていながら
私を無用の実のならぬものと言うのか」
イソップ物語「旅人達とプラタナス」より
かつて、人々は地を堀り、穴に住みました。生き物を狩り、木の実を採り、そして食べ
ます。火を使い、食物を調理し、消化を促すことに気が付きます。水を引き、田や畑を作
り互いに分け合います。そして、時には奪い合います。
これはまるで獣のようなものです
なるほど、確かに人は他人をのけ、自分が優位に立とうとしてしまう面があります。「旅
人達とプラタナス」のように、○○できない=役に立たない 後からやってきてそこにい
たプラタナスに不平を申すこの者たちも“けもの”なのです。
しかし、私たちはけものではなく“人”であり、他者を思いやり敬い大切にする気持ちが
必要なのです。
それゆえ、ほんの少し日常から離れた、パビリオンという非日常を見ることでこれらの建
物たちが何のために作られたか、周りの人々がどんな思いでその場にいるかを考え、普段
の生活から一歩下がり日常を見ることができます。