メディアデザイン論2013 03b
TRANSCRIPT
オルタナティブ・
メディア
総論②
メディアデザイン論③
メディアの役割
• 「この世(此岸)」と「あの世(彼岸)」の仲立ち
• 「こちら」と「あちら」に存在した者同士の「出会い」の仲立ち
• 「あなた」と「わたし」(わたしたち)の共有領域の拡大・喜怒哀楽の感情の共有(メディアはもともとソーシャルなもので「出会い系」)
オルタナティヴ・メディア
• 二つの方向性
• 伝統的・原初的なメディアの使い方を見直す
• 新しいメディア(ニューメディア)を率先し,革新者的に用いる
1960年の「敗北」を受けて
• 「高度経済成長」イデオロギーが社会とマスメディアを覆い尽くす
• 一方,都市部への人口流入の結果を受け,公害,農村部の高齢化など,成長の「影」の部分も浮き彫りに(ドキュメンタリー映画の領域)
• 若者は「連帯」を希求
大衆(アトム)化
• 1965年頃まで(三丁目の夕日時代)は,地縁・血縁・学縁・社縁などによる「拡張家族」の時代で,「話さなくてもわかる」。いつの間にか組織の中に組み込まれている
• 大衆化・核家族化が進むと,家族(個人)は集団から切り離される。アトム化した人々を繋ぐのがテレビ
運動体に属さない若者
• 集団就職などで都会に流入し,ノンポリで運動体(学生自治会・労働組合など)に属さない若者は,根なし草(デラシネ)扱いとなる
• そうした若者たちを捕捉する「メディア」が作り出されていく
• (注)むろん,大きな受け皿となったのは新宗教や政党である
歌声喫茶
• 1955~1970年
• リーダーの指揮のもと,店内に集まった不特定多数の客が一緒に歌う
• 伴奏はピアノかアコーディオン
• うたごえ運動の「青年歌集」が必需品だったが,歌声喫茶店が独自に編集したガリ版刷歌集もあった
歌声喫茶の意味
• 1955年,新宿に「カチューシャ」「灯(ともしび)」がオープン。最盛期(65年)には全国で100店舗超
• 組織化されない青年(集団就職者など)を,緩やかに運動に組み込む
• 共産党などが関わり,党員獲得の手段にもしていた「うたごえ」を大衆化した側面もある
べ平連(65~74年)
• ベトナムに平和を! 市民連合
• 規約も会員名簿もなく,何ら
かの形で平和運動に参加した人
・団体を「ベ平連」と括る緩やか
な運動体
• デモ,意見広告(67/4/3,ワシン
トン・ポストなど),ティーチイン
• 「良心的脱走兵」の逃走支援も
殺すな 岡本太郎
Chim↑Pom(2013)
ティーチイン
• 原義は「大学学内
討論集会」
特定のテーマ(ベトナム反
戦運動など)で,多くの立
場の人が集まって,長時
間にわたって議論する
→喫茶店・カフェ文化
ミニコミ「ベ平連ニュース」
• 東京の「ベ平連」発行の
「ベ平連ニュース」のほか,
各地の諸団体がミニコミを
発行(393組織)
393組織
ガリ版による印刷物映画『コクリコ坂から』の時代設定は1963(昭和38)年5月~6月
日本での印刷
• 木版→熟練が必要だが,
浮世絵の多色刷りなど高
度に発展した
活版印刷→使用文字数が
多いので,少部数刊行
物では組版コストが
見合わない
ガリ版(謄写版/孔版)印刷
• エジソンが原理を発明したが,製品を完成したのは,日本(滋賀県)の堀井新治郎(1894年)
• 1970年代半ばまで,職場・教育現場(試験・配布物など)・運動体の中でガリ版が使われた(台本・楽譜など)
• 特殊な原紙を,ヤスリの上で鉄筆で「孔」をあけていく
今も続く「孔版印刷」
• 理想科学は「プリントゴッコ」を発売していた。原稿を専用の原紙に熱で焼き付けて製版し,インクを付けて転写する(2012年末で消える)
リソグラフ
• 本学部でも教員が講義資料の印刷などに用いるのはリソグラフ
• イメージスキャナによる高解像度の謄写印刷機
使用するマスターはガリ版当時のロウ原紙と基本的な原理は同じである
シビルミニマムな印刷手段
• 非常に簡易な印刷装置で小型のものは手で持ち運ぶこともでき、原紙とインクさえあれば電気などがなくても印刷可能なのが特徴
• 電気が安定供給されていない地域への教育援助では,手動式謄写版印刷機がセットになっている