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平成23年度後学期・理農工 生徒指導論 03 富田英司 愛媛大学教育学部 1

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平成23年度後学期・理農工生徒指導論

03

富田英司

愛媛大学教育学部

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本日の内容

• 前回の課題について

– 教科書(P.168-183)を読んでくる

• インタビュー3

– 進路について迷っていること,知りたいこと

• 調査発表グループ

• 生徒指導の歴史

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前回のインタビューについて

• 受かるかどうかを懸念する傾向が強い– 現役で受かるかどうかは進路選択に関係ない

– むしろ現場は,受かろうが落ちようが教職に情熱を持った人間を求めている

• 進路は早く決めること

– どちらの道に行くかよりも,決めた道で一心不乱に努力して力をつけることのほうが遥かに重要

• みんなが見つけた,うまくいくコツとは? 3

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インタビュー3

• 進路を決めた理由について聞いてみよう

– 目指す職業は何でしょうか.その理由は何でしょうか.• 1つだけ。

• インタビュー中はメモを見ない,メモしない.

– 前回とは異なる2~3人の人にインタビュー• インタビュー中は筆記用具を使わない。用紙も見ない。

– 意見交換の方法

①挨拶,②自己紹介,③依頼,④意見交換,⑤お礼

※コツ:目が合ったら話しかける,立ち止まらない,ゆっくり動く,ゆっくり丁寧に話す,はっきり話す 4

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米国における生徒指導の始まり• 生徒指導 = Student Guidance

• Personnel and Guidance Service• Guidance Service• Personnel Service/work• Student/Pupil Guidance

• 生徒指導の社会背景– 職業指導運動(1900年代,F.Persons)

• 産業の変化に対応した指導の必要性

– 精神衛生運動(1900年代, C.W.Beers)• 精神障害者の人権を擁護する人道主義

– 教育運動(1930年代,進歩主義教育協会)• 児童中心主義で,民主主義を支える市民を育てる

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Two Essential Elements of progressive education

(1). Respect for diversity, meaning that each individual should be recognized for his or her own abilities, interests, ideas, needs, and cultural identity, and (2). the development of critical, socially engaged intelligence, which enables individuals to understand and participate effectively in the affairs of their community in a collaborative effort to achieve a common good.

http://www.uvm.edu/~dewey/articles/proged.html

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日本の生徒指導の始まり1

• 明治(1868-1912)大正(1912ー1926)

– 明治後期,児童中心主義の導入

– 大正教育運動:臣民教育としての画一的な注入主義教育,

管理主義教育を批判して子どもの自発性や個性の尊重による教育が強調され,自由主義的教育運動が展開(吉田,2006)

例)1917成城小学校設立 1924池袋児童の村小学校

– 綴方教育:文章表現活動を通して社会問題や生活を鋭く観

察し,またその作品を学級集団の場で,みんなで考え合うことを通して,科学的な社会認識を育て問題解決の実践力を育成しようとする民間教育運動(吉田,2006)。

– 大正末期,生活指導としてGuidanceが導入

– 児童相談所,職業相談所が相次いで開設

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日本の生徒指導の始まり2

• 昭和(1926ー1989)

– 戦前・戦中:個性や人格を軽視した全体主義

– S16国民学校令:我が国文化の特質を明らかにする

とともに,東亜および世界の大勢を知らし皇国の地位と使命を自覚させ大国民の資質を啓培する」

– 戦後:アメリカ教育使節団報告書(GHQが作成要請)に基づいてガイダンスの必要性が訴えられる• S23 教師養成研究会の報告書『指導』公刊

• S24 文部省『児童の理解と指導』『中学校・高等

学校の生徒指導』公刊:「児童の要求を理解し,その心身の発達段階に即して指導すべき」

– 初等中等教育局の所掌事務として「生徒指導」が規定

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米国・ガイダンス

1906 全米産業教育振興会 設立

1908 ビアズ『わが魂に出会うまで』

1908 F.パーソンズがボストンの市民厚生館に職業局を開設

1909 「職業の選択」出版

1909 全国精神衛生協会の発足

1920代 児童相談所が全米に開設

1930代 進歩主義教育運動

1958 国家防衛教育法

1978 キャリア教育振興法 施行

2002 No Child Left Behind Act

日本・生徒指導

1915 米国の職業指導が紹介される

1917 久保良英が児童教養研究所を,

三田谷啓が児童相談所を開設

1918 『赤い鳥』創刊→「綴方教育」

1920 大阪市立尐年職業相談所が初の公立指導機関として設立

1920頃 生活指導という語が使われ始める

1937頃 軍国主義下の「錬磨育成」

1949 文部省『児童の理解と指導』

「児童の要求を理解し,その心身の発達段階に即して指導すべき」

1950 生活綴方運動の復興

1965 『生徒指導の手びき』刊行

1978 『生徒指導の手びき』改訂

1981 「生き方の指導」概念の導入

1999 中教審答申に「キャリア教育」

2010 『生徒指導提要』作成9

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近年の動向:規範意識をはぐくむ生徒指導(教科書 P.88~)

– 児童生徒による重大事件の多発• H17 新・児童生徒の問題行動対策重点プログラム

– 「危険物の学校内への持ち込みの禁止をはじめとする学校内の規律の維持とこれを通じた児童生徒の規範意識の醸成」

• H18 教育基本法改正 第6条

– 「教育を受ける者が,学校生活を営む上で必要な規律を重んずる」

• H19 学校教育法改正 第21条

– 規範意識をはぐくむことが義務教育の目標に

– ゼロトレランス• 軽微な違反に対しても規則を厳密に適用し,大きな問題を防ぐ

– 割れ窓理論(ジョージ・ケリング)の教育的応用

– 1994年に米国連邦議会が各州に法案化を義務づけ

– 日本では岡山学芸館高等学校が有名

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キャリア教育

「進路指導」のイメージ

– 「将来なりたい職業」(小学校)

– 就職の斡旋, 進学先の決定支援(中学・高校)

いまは「キャリア教育」

– 「キャリア教育=生き方」の教育

– 学習指導要領(H10年,中学総則)

• 「生徒が自らの生き方を考え主体的に進路を選択することができるよう,学校の教育活動全体を通じ,計画的,組織的な進路指導を行うこと」

– ニート予防のみならず,積極的生徒指導そのもの

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キャリア/キャリア教育とは• キャリアとは(大辞林)

– 経歴。経験。– 職業、特に専門的な知識や技術を要する職業に就いていること。– 日本の中央官庁で、国家公務員試験 I 種合格者の俗称。

• 文部科学省によるキャリアの定義・・・「仕事人生」– 「個々人が生涯にわたって遂行する様々な立場や役割の連鎖及びその過程における自己と働くこととの関係付けや価値付けの累積」

• キャリア教育とは– 「児童生徒一人一人のキャリア発達を支援し、それぞれにふ

さわしいキャリアを形成していくために必要な意欲・態度や能力を育てる教育」ととらえ、端的には、「児童生徒一人一人の勤労観、職業観を育てる教育」とする。http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/career/06122006.htm

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「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について」(答申)より

→社会全体で取り組む必要生:学校はその要

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就業構造基本調査(総務省,平成19

年)

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• 引用元:http://www.mri.co.jp/NEWS/column/thinking/2009/2009015_1801.html

10年間で最頻値が200万円ダウン

理由1:・非正規雇用増加

理由2:・若年層雇用控え

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キャリア発達の理論

• 生涯発達心理学 ・・・E.Erikson

• キャリアの生涯発達 ・・・D.E.Super

–ライフスパンを通じた役割変化と発達課題

• キャリア・アンカー ・・・E.H.Schein

–キャリア志向性の発達

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ライフスパンを通じた発達課題のサイクルとリサイクル(Super他, 1996を藤原(2003)が編集)

14-24歳 25-44歳 45-64歳 65歳以上

解放 趣味への時間を減らす

スポーツへの参加を減らす

本質的活動へ焦点化する

仕事の時間を減らす

維持 現在の職業選択を確かめる

確実な職業地位を気付く

競争に負けない

楽しみ続ける

確立 特定の分野で何かを始める

パーマネントな地位に就く

新たなスキルを開発する

したかったことをする

探索 多くの機会で一層学ぶ

望む仕事の機会を得る

仕事上の新しい問題を見つける

良い引退場所を見つける

成長 現実的な自己概念を発達

他者との関係を学ぶ

自らの限界を受け入れる

仕事以外の役割を開発

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自己洞察

キャリア志向性の形成過程

自己概念を構成する要素– 才能:自分の強みと弱みは何か– 動機:人生において何を望むのか– 価値:自分のやっていることの善し

悪しを判断するものは何か

• キャリアアンカー– 自分が本当にやりたいことをよく考えるための拠り所。難しい選択を迫られたときでも放棄することのない自己概念(Schein, 1990)。

S18

教育日常生活

仕事経験

キャリア選択仕事の捉え方

キャリアアンカー

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調査発表グループの編成

• テーマ一覧

–トーマス・ゴードン『教師学』1~3章

–キャリア教育に関する中教審答申・補足資料

–教科教育における個に応じた指導法研究

•担当者(日程):

–教員採用試験・傾向と対策

•担当者(日程):

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今回の課題

• キャリア教育に関する中教審答申を読む• 分からない部分や疑問に思った部分をツイート

• 次回の内容:

–トーマス・ゴードン『教師学』1・2章紹介

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