2011年度活動報告書 - 名古屋ngoセンター2011年度活動報告書 2012年4月15日...

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2011 年度活動報告書 2012 年 4 月 15 日 特定非営利活動法人 イカオ・アコ 1 スタディーツアー事業 1.1 第 63 回スタディーツアー 5 月 1 日~5 月 7 日 ネグロス開催 1.2 第 64 回スタディーツアー 8 月 21 日~27 日 ネグロス開催 1.3 第 65 回スタディーツアー(第1回 NICE と共催のワークキャンプ) 9 月 2 日~9 日 ボホール開催 1.4 第 66 回スタディーツアー 2 月 16 日~22 日 ネグロス開催 1.5 第 1 回地球の歩き方国際ボランティアツアー2 月 27 日~3 月 1 日 ネグロス開催 1.6 第 2 回 NICE と共催のワークキャンプ 2 月 24 日~3 月 4 日 ボホール開催 2 フェアトレード事業 3 JICA 草の根パートナー事業 4 緑の募金事業 5 国際ボランティア貯金事業 6 企業連携 6.1 ニチバン 6.2 アストモスガス 7 インターン・ボランティア受け入れ 8 植林実績 9 国内活動 10 会計報告 11 監査報告 12 寄付者一覧 13 編集後記

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Page 1: 2011年度活動報告書 - 名古屋NGOセンター2011年度活動報告書 2012年4月15日 特定非営利活動法人 イカオ・アコ 目 次 1 スタディーツアー事業

2011 年度活動報告書

2012 年 4 月 15 日

特定非営利活動法人 イカオ・アコ

目 次

1 スタディーツアー事業

1.1 第 63 回スタディーツアー 5 月 1 日~5 月 7 日 ネグロス開催

1.2 第 64 回スタディーツアー 8 月 21 日~27 日 ネグロス開催

1.3 第 65 回スタディーツアー(第1回 NICE と共催のワークキャンプ)

9 月 2 日~9 日 ボホール開催

1.4 第 66 回スタディーツアー 2 月 16 日~22 日 ネグロス開催

1.5 第 1 回地球の歩き方国際ボランティアツアー2 月 27 日~3 月 1 日 ネグロス開催

1.6 第 2 回 NICE と共催のワークキャンプ 2 月 24 日~3 月 4 日 ボホール開催

2 フェアトレード事業

3 JICA 草の根パートナー事業

4 緑の募金事業

5 国際ボランティア貯金事業

6 企業連携

6.1 ニチバン

6.2 アストモスガス

7 インターン・ボランティア受け入れ

8 植林実績

9 国内活動

10 会計報告

11 監査報告

12 寄付者一覧

13 編集後記

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1.スタディーツアー事業

2011 年度は、合計 4 回のスタディーツアーを開催し、合計 52 人の参加者がありました。今年

度は、東日本大震災の影響により全体的にボランティア目的で渡航する人が減り、イカオ・アコ

のスタディーツアーへの参加者も、例年より少し減少しました。フィリピンの現地でもあの映像

が毎日のように流れていましたので、それを見た村の人たちは、間接的にマングローブの植林活

動にも影響が出るのではと心配していました。しかし、イカオ・アコとしては、現地で育成途中

のマングローブや果樹の苗を放棄することはできません。そこで、現地の人たちと励まし合いな

がら、マングローブの植林活動を続けることにしました。地震直後の 5月のツアーにも、イカオ・

アコの役員・会員が参加したおかげで、なんとかツアーの体裁をとることができました。現地の

人たちからは、日本が大変な中、フィリピンまで来てくれてありがとうという声が聞かれました。

津波の対策として、日本にもマングローブを植えたらいいのにという人もいました。東北にマン

グローブはもちろん育ちませんが、それだけ現地にもマングローブの大切さが浸透しているとい

うことでしょうね!

ツアーの参加者の確保に苦しむ中、今年度は、新たな連携がうまれました。一つは、NPO 法人

NICE との連携です。第 65 回ツアーがその始まりでした。(NICE さんは、スタディーツアーではな

く、ワークキャンプとしてこのツアーをとらえていることと、今後とも継続してワークキャンプ

の受け入れを行うことが決まったことから、第 2 回の共催ツアーからは、イカオ・アコのスタデ

ィーツアーとしてカウントするのをやめ、NICE と共催のワークキャンプとしてとらえることにな

りました。)ワークキャンプとスタディーツアーとの違いは、キャンパー(参加者)たちが現地で

主体となって、目標を達成するための「ワーク」をすることで、ワークキャンプでは、参加者の

主体性がより強調されます。また、キャンプなので、無料の宿泊施設(村役場やボランティアの

家など)に寄宿し、食事も基本的には自炊です。今回、NICE さんと共催でワークキャンプを行う

ことにより、ワークキャンプの考え方や運営の仕方を学ぶことができました。イカオ・アコのツ

アーにも取り入れられるところは取り入れていきたいと思います。

二つ目は、地球の歩き方国際ボランティアツアーの受け入れです。このツアーは、海外で何か

ボランティアをしたいけど、どうやって始めていいかわからないという若者が気軽にツアーに参

加してボランティアができるというコンセプトのもので、いろいろな国で開催されています。同

じフィリピンでは、セブの孤児院を訪ねるというものが人気だそうで、毎週満員御礼だそうです。

そんな中、ネグロスで植林というツアーを企画していただき、1月~3月の間にツアーを募集して

くださりました。5つ日程を組んでいただいた中、2月末の 1つのみ定員に達し、実際にツアーを

受け入れさせていただくことができました。人数は少なかったものの、旅行会社さんにも参加者

の方々にも大満足していただける良いツアーとなりました。来年度も継続してツアーの企画・募

集をしていただけることになっています。植林ツアーが満員御礼の日が来るのも夢ではないかも

しれません!!!

以下、各ツアーの概略を報告させていただきます。

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第 63 回スタディーツアー

開催日時:5月 1日~7日 主な開催場所:シライ市、マナプラ郡、イログ郡

参加者:後藤、鈴村夫妻、石川、奥村、菅野 計 6名 担当:倉田

主な日程:

5 月 1 日

5 月 2 日 午前

午後

5 月 3 日 午前

午後

5 月 4 日 午前

午後

5 月 5 日 午前

午後

5 月 6 日 午前

午後

5 月 7 日

ネグロス到着 シライ泊

パタッグにて植林

日本神社・スカイライン竣工式

交流イベント パタッグ泊

スカイライン試乗、植林

ボンゴール村にてマングローブの植林 シライ泊

オーガニックファーム見学

マナプラ郡にてマングローブの植林 シライ泊

カバンカラン市市長表敬訪問

イログ郡ボカナ村にてマングローブの植林

交流イベント ボカナ泊

ボカナ村にてマングローブの植林

ショッピング

クロージングセレモニー シライ泊

帰国

植樹本数:合計 9327 本

内訳(パタッグ村 527 本、ボンゴール村 1500 本、マナプラ 1400 本、ボカナ 5900 本)

コメント:

東日本大震災の影響で、日本からは役員のみの参加となった。現地からは、職員の奥村と

協力隊員の菅野さんが参加した。ツアーとしては初めて、マナプラで植樹をすることがで

きた。空港があるシライ市から車で 1時間以内に植樹地につけるので、行きやすい。また、

現地の住民や子供たちは、日本人と触れ合う機会がこれまでにあまりなかったため、お互

いにとってとても新鮮な活動であった。また、ゴールデンウィークの並びがよく、いつも

より長く開催できたことから、ボカナ村にも足をのばし、たくさんのマングローブを植え

ることができた。

*参加者には、一部参加や現地参加、担当以外の役員・職員を含みます。

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第 64 回スタディーツアー

開催日時:8月 21 日~27 日 主な開催場所:シライ市、イログ郡ボカナ村

参加者:桜ヶ丘高校生 12 名、板橋先生、後藤、二角、奥村 計 18 名 担当:倉田

主な日程:

8 月 21 日

8 月 22 日 午前

午後

8 月 23 日 午前

午後

8 月 24 日 午前

午後

5 月 25 日 終日

5 月 26 日 終日

5 月 27 日

ネグロス到着

ボンゴール村にて、小学生とマングローブの植林

ドニャモンセラータ高校にて交流、市内観光

パタッグ村にてパタッグ高校の高校生と植林

交流会、滝へのハイキング

ブエノスアイレス・マウンテンリゾート

パナアドフェスティバル下見、SM でお買い物

OISCA50 周年記念イベント参加

(パナアド会場で植林、たこ焼きの実演販売)

OISCA50 周年記念ディナーパーティー出席

第 7回パガパットフェスティバル

(ハンディークラフトのお土産品コンテスト、

バラリン村ロゴコンテスト、料理コンテスト、

マングローブの植樹、展示館竣工式)

クロージングセレモニー

帰国

植樹本数:合計 9800 本

内訳(パタッグ村 500 本、ボンゴール村 1000 本、バラリン村 2500 本、ボカナ 5800 本)

コメント:

代表の後藤は、一部ツアーを脱退し、ボホールの事業に従事した。その間、国内インター

ンの二角が、ツアーの引率をした。桜ヶ丘高校の生徒の参加者も若干少なかったが、現地

の高校生とマンツーマンの交流ができ、短い間であったが、パートナーと深い絆ができた。

残念ながら天候が悪く、カービンリーフに行くことができなかったため、バゴ市に新しく

できたマウンテンリゾートに行先を変更した。また、OISCA さんの 50 周年という大きな行

事があったため、同じネグロスで活動する日本の NGO として協力させてもらった。今年で 7

年目を迎えたパガパットフェスティバルには、シライの上流部の高校生も参加し、流域の

連携をアピールする活動となった。

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第 65 回スタディーツアー(第1回 NICE と共催のワークキャンプ)

開催日時:9月 2日~9日 主な開催場所:ボホール島ウバイ郡

参加者:ワークキャンプ参加者 9名、倉田、二角 計 11 名 担当:奥村

主な日程:

9 月 2 日 午後

9 月 3 日 午前

午後

9 月 4 日 午前

午後

9 月 5 日 午前

午後

9 月 6 日 午前

午後

9 月 7 日 午前

午後

9 月 8 日 終日

9 月 9 日 午前

タグビララン空港に集合

マングローブの植樹(パンパン村)

第 1回マングローブコンテスト

*マングローブに関する衣装、クイズ、パフォーマンスを審査

マングローブの植樹(フーマイフーマイ村)

文化交流(フーマイフーマイ村)*現地住民がスイカワリに挑戦

マングローブの植樹(シナンティガン村)

文化交流(シナンティガン村)

*日本とフィリピンの歌、ダンスを小学生と一緒に披露

海水浴

ホームスティ(トレスレイエス島)

マングローブ植樹(パンパン村)

さよならパーティ(パンパン村)*日本料理を振る舞った

ボホール島の観光 *夜はワークキャンプの振り返り

タグビラランのホテルにて解散

植樹本数:22,654 本

内訳(パンパン村 15,010 本、フーマイフーマイ村 5,000 本、シナンティガン村 2,644 本)

コメント:

特活 NICE(日本国際ワークキャンプセンター)と初めての

共催ワークキャンプを実施しました。このワークキャンプ

では、現地の人々と国際交流をし、受け身ではない参加者

主体のボランティア活動をすることを目的としています。

各自寝袋を持参し、みんなで協力し合いながら自炊をした

り、文化交流の内容などを話し合ってもらったりしました。

今回のワークキャンプは、パンパン村の役場を借りて寝泊まりし、現地ボランティアとし

てパンパン村から 3 名を選出し、常に参加者とともに行動をしました。これらの活動を通

して、参加者は日本と全く異なる環境に触れ、違う考えや文化を持つ現地の人々と交流す

ることにより、多くのことを学ぶのと同様に、現地の人々も参加者から多くのことを学ぶ

ことができたのではないかと感じています。また、環境教育の一環として第 1 回マングロ

ーブコンテストをパンパン村にて開催しました。マングローブとともに生きる住民にとっ

て、マングローブに関する知識が少しでも増えればと思います。

シナンティガン村にて→

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第 66 回スタディーツアー

開催日時:2月 16 日~22 日 主な開催場所:シライ市、イログ郡ボカナ村

参加者:後藤、浅井、鈴木、周東、小林 計 5 名 担当:倉田

主な日程:

2 月 16 日

2 月 17 日 午前

午後

2 月 18 日 午前

午後

2 月 19 日 午前

正午

午後

2 月 20 日 午前

午後

2 月 21 日 午前

午後

2 月 22 日

ネグロス到着

パタッグ村にてパタッグ高校の高校生と植林

交流会、日本神社参拝、バスケットボール

サガイ市カービンリーフで海水浴

イカリング工場見学

現地事務所見学、ダンスの練習

ダプダプ村でマングローブの植林

MOFA 立ち上げミーティング

スポーツフェスティバル

(VMG 発表会、ミニ運動会、ダンスコンテスト)

イログへ移動

ボカナ村でマングローブの植樹

マングローブナナイコンテスト

ボカナ村でマングローブの植樹

ビーチリゾートでバーベキュー、シライ市へ移動

クロージングプログラム

帰国

植樹本数:合計 3550 本

内訳(パタッグ村 500 本、ダプダプ村 400 本、ボカナ 2650 本)

コメント:

イカオ・アコツアー史上初めて、参加者が男性のみというツアーであった。男性も国際協

力の分野に目が向いてきたのであろうか?今回のメインイベントのスポーツフェスティバ

ルは、JICA プロジェクトの一環として、上下流の住民の交流に重点を当てた活動で、上流

から約 50 名、下流から約 80 名の住民が参加した。さらに約 30 名の高校生がボランティア

で参加し、現地の日本人も 20 名ほど加わり、スタッフも入れると総勢 200 名のビックイベ

ントとなった。満水競争や二人三脚など日本のゲームを取り入れ、大いに盛り上がった。

また、参加者の浅井君と鈴木君は、ツアー後、東海支部の立ち上げに関わっている。

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第1回地球の歩き方国際ボランティアツアー

開催日時:2月 27 日~3月 1日 主な開催場所:シライ市

参加者:参加者 5名、KIS 添乗員、(現地添乗員) 計 6名 担当:周東、小林、倉田

主な日程:

2 月 27 日 午前

午後

2 月 28 日 午前

午後

2 月 29 日 午前

午後

3 月 1 日 午前

セブからにネグロス到着、シライ市内観光

ブリーフィング、リサイクル工場見学、製糖工場見学

パタッグ村にてパタッグ高校の高校生と植林

日本神社参拝、学校の通路の屋根づくり、バレーボール

バラリン村でマングローブの植林

DADDJIS 高校で文化交流

さよなら夕食会

(シライ市音楽隊・ダンスチームによる民族舞踊の夜)

セブへ移動

植樹本数:合計 360 本

内訳(パタッグ村 60 本、バラリン村 300 本)

コメント:

初めての、地球の歩き方国際ボランティアツアーの受け入れであったが、これまでのツア

ーの経験を生かし、 適なスケジュールを用意した。このツアーには、中期ボランティア

の周東君と小林君が積極的に準備に関わった。特に、DADDJIS 高校での交流会は、二人が企

画・運営をした。二人には良い経験になったと思うし、66 回ツアーとの間も短かったので、

駐在員としても助かった。ツアー中 DADDJIS とドニャモンセラータ・パタッグ分校で交流

活動を行ったが、どちらの高校にも参加者から寄付があり、現地の要望に応えて、DVD プレ

ーヤーとキャノピー(通路の屋根)をプレゼントすることができた。さよなら夕食会は、

シライ市の協力で、約 20 名の学生が集まり演奏とダンスを披露された。参加者の皆さんは、

歓迎ぶりに感動していた。また、参加者は意識の高い若者たちであったため、参加者通し

の交流や意見交換の時間も作り、充実した 3日間となった。地球の歩き方さんのツアーは、

現地の実情に柔軟に対応してくださり、イカオ・アコの理念も理解してくださっているこ

とから、今後とも継続して受け入れを行っていきたい。

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第 2 回 NICE と共催のワークキャンプ

開催日時:2 月 24 日~3 月 4 日 主な開催場所:ボホール島ウバイ郡

参加者:日本人 6 名 担当:奥村

主な日程:

2 月 24 日 午後

2 月 25 日 午前

午後

2 月 26 日 午前

午後

2 月 27 日 午前

午後

2 月 28 日 午前

午後

2 月 29 日 午前

午後

3 月 1 日 午前

午後

3 月 2 日 午後

3 月 3 日 終日

3 月 4 日 午前

タグビララン空港に集合

マングローブの植樹

食材の買い出し

マングローブの苗木集め

環境教育授業の準備

交流会準備

文化交流 *日本とフィリピンのダンス、歌を小学生と一緒に披露

マングローブの植樹 *小学生、高校も一緒に

ホームスティ

ホームスティ

海水浴

環境教育授業の準備

シナンティガン村の小学校にて環境教育の授業

*テーマは「マングローブと地球温暖化の関係性について」

ホーリーチャイルドアカデミー(高校)にて環境教育の授業

*テーマは「マングローブと地球温暖化の関係性について」

さよならパーティ*日本料理を振る舞った

ボホール島の観光

*夜はワークキャンプの振り返り

タグビラランのホテルにて解散

植樹本数:合計:5,960 本(シナンティガン村)

コメント:特活 NICE と第2回の共催ワークキャンプを実施しまし

た。第 1 回と同様に一緒に寝泊まりをし、自炊をしてもらいまし

た。今回のワークキャンプでは、さらに現地の人々との交流を深

めるために、シナンティガン村を中心にマングローブの植樹や文

化交流を実施しました。また、参加者に環境教育の授業内容を話

し合ってもらい、「マングローブと地球温暖化」をテーマに小学校と高校で授業をしてもら

いました。その事前準備として、参加者同士で「なぜマングローブを植えるのか」を議論

し、お互いの考えを共有することができました。授業の 後に「地球温暖化防止のために

できること」を高校生に書いてもらいましたが、授業の成果がそこに出ていると感じるほ

ど、多くの素晴らしいコメントが見受けられました。また、他の NGO からフィリピン人ス

タッフが参加し、お互いにとっていい刺激となりました。

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2.フェアトレード事業

2011 年度の売り上げは 311,017 円でした。2010 年度の 140,484 円に比べると倍増しました。売

り上げのうち 25%が卸機能を持つハロハロプロダクツさんで、残りは個人や組織による購入でし

た。個人のうちネットショップ経由が 6 名で、金額では全体の 5%でした。今年度の売上げ額の

上昇には、ハロハロプロダクツさんによる定期的な発注が大きく貢献しました。

2010年度から始めた、パタッグネイティブコーヒーの売り上げは、広報の不足から動きが鈍く、

売り上げ全体に占める割合は 10%でした。

(今後の課題)

・卸業者との取引が 1 社に限定されているので、多様なチャンネルを開拓する必要がある。東急

ハンズなど大手小売にも声をかけましたが、断られた。

・現在のネットショップはカート使用料が無料であるのはありがたいが、デザイン性に欠き、モ

ール自体も繁華街から外れたところにある。有料のサイトでも売り上げを伸ばせる可能性があれ

ば、移転を考えたい。

・メンバーや購入者などの口コミも威力があるので、情報拡散をお願いすると共に、利用時の感

想などのフィードバックがいかせる仕組みを構築したい。

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3.JICA 草の根パートナー事業

エコツーリズムを導入した流域単位での森林再生と環境教育事業

3 年プロジェクトの 1.5 年が経過しました。このプロジェクトでは、流域単位でのエコツーリ

ズムを軸とした、森林再生と環境教育を行うことによって、効果的に森林を再生・拡大させ、森

林の保全事業に市民及び観光客の参加を促すことを目標としています。ほぼ計画通り事業が進ん

でおり、成果も見え始めてきました。以下、JICAに提出した第 2 年次の事業完了報告書を転

載します。

プロジェクト目標:

上・下流地域における持続可能な森

林再生モデルが形成される。

定量的達成 定性的達成

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成果1 住民が主体となって森林再生を行う体制が整う。 活動1-1 ナーサリーを建設する。 活動1-2 住民の環境に対する意識調査(ベースラインとエンドライン調査)をする。 活動1-3 住民が主体となって、上流部 30haで果樹等の植樹、下流部で3haのマングローブの植樹を学生や観光客と共に行う。 活動1-4 上下流の住民団体が交流して住民主体の森林再生の体制づくりに関して、意見交換をする。 活動1-5 上流部・下流部ともに継続的にメンテナンス活動を行う。

指標1 上流部 30ha、下流部3haに植樹される 指標1-1 ナーサリーが計画通り建設されたか。 指標1-2 住民の環境に対する意識調査(ベースラインとエンドライン調査)を行ったか。 指標1-3 住民が主体となって、上流部 30haで果樹等の植樹、下流部で3haのマングローブの植樹を学生や観光客と共に行ったか。 指標1-4 上下流の住民団体が交流して住民主体の森林再生の体制づくりに関して、意見交換を行ったか。 指標1-5 上流部・下流部ともに継続的にメンテナンス活動を行っているか。

指標1指標 1-1 ・Patag村、Lantawan村に、キャパシティーがそれぞれ 1 万本及び 5 千本のナーサリーが建設され、苗木を育成中である。・Bongol 村で、3 箇所にそれぞれキャパシティーが 2,000 本程度(合計 6000 本)のナーサリーが建設され、苗木を育成中である。 ・Dapdap村に2000本程度のナーサリーが建設され、苗木を育成中である。 指標 1-2 ・環境教育プログラムに参加した学生を対象にアンケートを行い、233人から回答を得た。 ・上流部、下流部の住民それぞれ 100 名を対象に流域のつながりに関する対面式のアンケート調査を行い、200 名から回答を得た。 指標1-3 ・ 上 流 部 で は 、 Patag 村 とLantawan 村の21ha の土地に11,800 本の果樹等の苗木を住民(BAFA, LAFA)が主体となって学生や観光客と共に植樹した。 ・下流部では、Balaring 村とBongol 村、Dapdap 村の 2.5haの土地に 20,488 本のマングローブの苗木を住民(BAMPA, BoMPA, DYAMP)が主体となって学生や観光客と共に植樹した。 指標1-5 ・Dapdap 村では、2011 年 10 月~2012 年 3 月にかけて、述べ約 1,300 人が海岸清掃やマングローブのメンテナンスに携わった。 ・Bongol村では、2012年1月から 2012 年 3 月にかけて、述べ約 300 人が海岸清掃やマングローブのメンテナンスに携わった。

指標 1-1 ・Balaring 村では、以前からあるナーサリー等でマングローブの苗を育てている。一部破損したナーサリーでは修理を行って利用している。 指標 1-2 ・アンケート調査のほかにも、ミーティングの際に住民に聞き取りを行ったり、植樹活動の際に学生に聞き取りを行ったりした。 指標 1-3 植樹場所や苗木の準備等は、住民が自主的に行い、住民の意向に沿って植樹を行っている。学生や観光客の受け入れに対しても、始めは植え方が雑になるなど後ろ向きな意見があったが、住民を巻き込んだアクティビティーをするなど、住民と学生が交流するプログラムをとりいれることで、住民も学生等の受け入れに対して前向きになってきた。 指標 1-4 ・下流部の住民(BAMPA)が上流部の住民(BAFA)と共に Patag 村で植樹をした。(2010 年 9 月) ・上流(Patag)の高校生が下流の住民(BoMPA)と共に Bongol 村でマングローブの植樹をした。(2011 年 1月) ・下流(DADDJIS)の高校生が上流(BAFA)の住民と共に Patag 村で植樹をした。(2011 年 2 月) ・下流部の住民(BoMPA)が上流部の住民(BAFA)と共に Patag 村で植樹をした。(2011 年 5 月) ・上流部の高校生(Guimbala -on村 、 Patag 村 ) が 下 流 部 の 住 民(BAMPA、BoMPA)と共に Balaring村でマングローブの植樹をした。(2011 年 8 月) ・下流部の住民(DYAMP)が上流部の住民(LAFA)と共に Lantawan 村で植樹をした。(2011 年 12 月) ・上流部の住民(BAFA,LAFA)と下流 部 の 住 民 ( BAMPA, BoMPA, DYAMP)とイカオ・アコのボランティアが一堂に会すスポーツフェスティバルを開催した。団体の目標や活動内容などを発表したり、スポーツを通した交流をしたりした。(2012 年2 月) 指標 1-5 Patag 村、Lantawan 村では、各土地の所有者が自分の土地のメンテナン ス を 行 っ て い る 。 Balaring 村 、Bongol 村では、1 日に 2 人ずつが、Dapdap 村では、1 日に 4 人ずつが交代で植樹地のメンテナンスを行っている。各団体とも、月に 1 度の定例ミーティングを行っている。

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成果2 学校が積極的に流域の森林再生に携わる体制が整う。 活動 2-1 上・下流で植樹・メンテナンス活動を高校生が体験するプログラムを作成する 活動 2-2 環境教育マニュアルが作成され、体験プログラム実施者を育成する。 活動 2-3 プログラムに沿って授業を実施する。

指標 2 流域管理に関する環境教育マニュアル・および教材が作成される。 指標 2-1 上・下流で植樹・メンテナンス活動を高校生が体験するプログラムを作成したか。 指標 2-2 環境教育マニュアルが作成され、体験プログラム実施者を育成したか。 指標 2-3 プログラムに沿って授業を実施したか。

指標 2-1以下の表の通り各高校等を対象に上下流で植樹・メンテナンス活動を体験するプログラムを試験的に実施した。

高校名 上

参 加

延 べ

人数

DMMHS 上 11 659

下 6 507

DMLMHS

Patag Ext.

上 4 96

下 2 64

DADDJIS 上 2 51

下 4 117

Guimbala

-on NH

上 1 69

下 1 6

RATI 上 1 27

下 1 54

Lantawan

IS

上 1 73

Salapan 上 1 41

Bongol

Elem.

下 8 170

SI 下 1

指標 2-1 ・上流と下流の繋がりと、双方の自然環境及び住民の暮らし方の違いを意識させるため植樹活動の他に、以下のような試みを行った。 <上流部での活動> ・清流(川)で、水浴び ・表現活動(歌、踊り、演劇、絵などで学んだことを表現) ・ジェスチャーゲーム ・食べられる野草探し ・自然や環境問題に関するクイズ <下流部での活動> ・ゴミ拾い ・ゴミは上流部や住宅地から流れてくるので、身の回りをきれいにしましょうという講義 ・ロゴ作成コンテスト ・お土産品クラフトコンテスト ・クッキングコンテスト 指標 2-2 ・マニュアル作成に関して、担当の先生と打ち合わせをした。 *活動 2-2、2-3 は上記の活動を踏まえて、2012 年度以降に実施する予定

成果3 都市からの観光客が植林に参加できる体制が整う。 活動 3-1 エコミュージアムの建設、路網の整備を行う。 活動 3-2 観光客が植樹を体験できる体制を整え、実施者(ガイド)を育成する。 活動 3-3 観光地のガイドマップ・チラシ等を作成する。

指標 3 観光客を対象としたガイドマップやチラシ等が作成されたか。 指標 3-1 エコミュージアムの建設、路網の整備を行ったか。 指標 3-2 観光客が植樹を体験できる体制を整え、実施者(ガイド)を育成したか。指標 3-3 観光地のガイドマップ・チラシ等を作成したか。

指標 3-2・上流部での植樹イベントの際には、各回バランガイタノッド(村警察)2 名以上、また、参加者が多い場合は、バンタイブキッド(山岳警備隊)もガイドとして雇い、学生及び観光客のガイドのトレーニング(OJT)を行った。(延べ 88 人) ・ BAFA 、 LAFA 、 BAMPA 、BoMPA、DYAMP のメンバー(合計 120 名)に対して、学生及び観光客が植樹活動を行った際に植樹の説明の仕方及び各地域の見どころの説明の仕方を指導し、解説の役割を徐々に団体へ移譲した。 指標 3-3 ・本プロジェクトの全体像と趣旨、上・下流のエコツーリズムの拠点地を紹介する 3 つ折りのリーフレットを作成し、5000部印刷し、すでに 3300 部配布した。植樹に参加した学生たちやエコパークに訪れた観光客に配布した。

指標3-1 ・Patag エコパーク内の歩道及び周辺のランドスケープの整備を行った・Patag 村で川を挟んで反対側の植樹地へ渡るためのスカイラインを建設した ・Patag 村にミーティングをしたり、共有の道具を保管したり、農産物の貯蔵、加工、販売を行ったりする多目的施設を建設した ・Lantawan 村に植樹に参加した学生や観光客が利用できる公衆トイレを建設した ・Balaring エコパーク内の竹の橋の修理及び休憩小屋の建設を行った・Balaring エコパーク内にマングローブ林や沿岸の自然について学べる展示館を建設した ・Dapdap 村で植樹地へ行くための橋の建設と道の整備を行った ・Dapdap 村にミーティングをしたり、講義をしたり、共有の道具を保管したりする小屋とトイレを建設した。

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4.緑の募金事業

テーマ:西ネグロス州中部における水源涵養林と魚付き林の整備

今年度から始まった、3 年計画のプロジェクトである。沿岸部のイログ郡ボカナ村は、西ネグ

ロス州イログ郡の中で も南に位置し、海岸線は約 1km ある。この地域には、イカオ・アコがオ

ーガナイズしてできた Bocana Mangrove Lovers Association(BMLA)という団体がある(メンバ

ー数 50 人)。この団体は、主に、マングローブの育苗・植樹・メンテナンス活動を行っている。

これまでに、イカオ・アコと共に 5 万本以上のマングローブを植樹してきた。このメンバーは、

収入を漁業に依存しており、1 日の収入が 3 ドル程度の貧困家庭である。しかし、マングローブ

の植樹活動には意欲的で、将来の漁業の活性化、地域の活性化につながるということから、将来

を見据えた活動を継続している。2011 年度の事業により、計画通り 2万本の植樹が完了した。

一方、上流部のカバンカラン市ロコタン村ロワグ地域は、イログに流れる川の上流部に位置し、

カバンカラン市の中心部から 57km 離れている。公共交通機関も途中の村までしか届いておらず、

小学校のあるロワグ地域に行くには、バイクの後ろ乗りで行くしか方法がない、山奥である。こ

の地域の住民は、収入を農業に頼っているが、土壌の質が悪く、旱魃が続くこともあり、収穫は

安定していない。そのため、臨時収入として違法に木を伐採して炭を焼く人も少なくない。森林

は荒廃しており、水源涵養林としての役割が弱っている。また、土砂崩れも多発しており、雨が

降ると川の水が茶色くなるほど土砂が流出している。この地域には、組合等がなく、住民が経済

活動を行う基盤ができていない。

本地域で、2011 年度に事業を行い、約 1,000 本の苗木を作り、有機肥料を作るためミミズを利

用したコンポストを設置した。しかし、地域住民の関心がサトウキビ栽培にあり、サトウキビ栽

培で忙しいことと、サイトが遠く、モニタリングがしにくいということから、事業が思うように

進んでいない。そこで、第 2 年次はボカナ村の上流域にあたる別の地域を選定し(現在選定中)、

第 1年次に計画したものと同様の事業を行う予定。

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5.国際ボランティア貯金事業

実施期間:2011 年 4 月 1 日~2012 年 3 月 31 日

対象地域:ボホール島ウバイ群シナンディガン村、トレスレイエス島、パンパン村、

フーマイフーマイ村、アチラ村、トリニダッド郡タグムサール村

■概要

2010 年度に、国際ボランティア貯金からの助成事業を受けて植樹を行った、シナンティガン村、

トレスレイエス島のマングローブ生存率は 70%に上っています。このマングローブの維持管理・

技術指導が行えるように、代替産業の育成事業(養豚・海藻)も実施しました。

今年度は 50,000 本の植樹を目指し、新規にパンパン村、フーマイフーマイ村、アチラ村でも開

始しました。

■活動内容

(1)マングローブ植樹事業

7月にパンパン村、フーマイフーマイ村、10 月にアチ

ラ村の3ヶ所で、住民に対して苗木作りの講習会を実施

しました。その際には、初めて植樹をする住民に対して、

すでに本事業を始めているシナンティガン村の住民グル

ープからマングローブの種類、苗木、育て方、メンテナ

ンス方法などを分かりやすく説明してもらいました。住

民はマングローブの育成に関する質問を積極的にしてお

り、関心の高さが伺えました。

2012 年 3 月末までに 50, 000 本の植樹を行い、900 名

を上回る住民が参加しました。

(2)海藻事業

現地専門家の指導のもと、11 月にトレスレイエス島に

て海藻の付着を行う研修をしました。研修に参加した住民

たちは、参加できなかった住民にも海藻について教えたい

と意気込んでいました。また、それを見た周辺の住民たち

からも多数の問い合わせが来ました。

しかし、この海藻については、12 月下旬から除々に海

藻が減少してしまい、ほとんどのものが収穫に至りません

でした。原因を現地専門家に相談したところ、「塩分濃度」

「水温」「太陽光」「養分」のバランスが影響し、生育が遅

くなったり、溶けてしまったりすることがあるようです。 真剣に耳を傾ける住民

講習会を行うシナンティガン村の住民

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今年度は異常気象のため悪天候に見舞われることが多かったために、海藻の減少を食い止めるこ

とが困難でした。

(3)養豚事業

初めに各エリアにいるリーダーが希望する住民に先行

して事業を行い、どれくらいの収益があるのかを検証し

ました。検証後に、各リーダーに確認したところ、豚代

が約 2,000 ペソ、餌代が約 1,500 ペソと報告を受けまし

た。それによって、希望する住民が費用に不安を抱える

ことなく本事業に関わると判断することができました。

その後、7月より希望する住民に対して研修を行い、12

月にはさらに 30 頭を配布しました。

本事業では、豚代、餌代を差し引いても、6,000 ペソ

以上の収入が残る見込みであり、その金額は平均的な住民

の年間収入の 20%以上に該当します。

外部からの援助が終了した後でも、住民が主体的となって養豚を継続していくために、議論を

重ね、さまざまな取り組みを行っています。こういった取り組みの中には、マングローブの維持

管理を行うための資金を積み立てることも含まれています。

本事業の参加希望者は 200 世帯以上にのぼり、村の 70%以上の住民が本事業に期待を寄せてい

ました。また、研修を繰り返し行ってきたことで、養豚に関する知識や関心を持つようになった

住民も多くなりました。

■今後の展望

マングローブ植樹事業の活動が周辺地域にも広がっていき、事業地域外からも参加したいとの

問い合わせが来るようになりました。数年後、マングローブが大きく成長するだけでなく、漁獲

量が増えるなどの成果がでればと思います。

(ダグムサール村に関しては、土地の問題や DENR(環境天然資源省)などの影響により、今年度

は見合わせました。)

養豚事業の外部からの援助は今年度で終了しますが、住民たちは自主的に養豚を継続していく

ために、さまざまな取り組みを行っています。団体としても住民の思いを大切にていけるように、

できる限りのサポートをしていきます。

養豚研修を受ける住民

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6.企業連携

6.1 ニチバン株式会社

キャッチフレーズ:ニチバン巻心エコキャンペーン

ニチバン株式会社は、もちろんセロハンテープなど粘着テープの製造メーカーです。2010 年度

にニチバンさんと共に、使用済みテープの「巻心」(芯じゃなくて、ココロなんです)を資源回収

して、ダンボールに再生した収益金をイカオ・アコに寄付していただく仕組みを作りました。

参加した団体は 580、個人参加は 1,031、集まった巻芯は 74,522 本、寄付金は 105,580 円。そ

の資金で 5 月に 2,012 本の植林をボカナ村で実施しました。

全国の小学校に以下のようなキャンペーンのチラシなどが配布され、ある学校での取り組みが

新聞記事掲載されました。

キャンペーンのパンフレット 全国の小学校に配布された 12 ページもののチラシ

2011 年度は、段ボールの販売収益に加えて、巻心 1 本につき 5 円(10 本でマングローブ 1 本

分)を寄付していただくことになり、合計 19,934 本分の寄付を頂くことになりました。この分は、

2012 年度に植樹します。

テープの巻心を集めて緑の地球を守ろう!

http://www.nichiban.co.jp/campaign/makisin-eco/

ニチバン株式会社プレス発表

http://www.nichiban.co.jp/news/10-10/01.htm

今まで廃棄するしかなかった巻芯を回収して、資源化するとは目から鱗ですね!

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6.2 アストモスエネルギー株式会社

活動期間:2010 年 5 月~2012 年 4 月(継続予定)

対象地域:ボホール島ウバイ郡シナンティガン村、トレスレイエス島、パンパン村、

フーマイフーマイ村、トリニダッド郡ダグムサール村

植樹本数:37,449 本

■概要

アストモスエネルギー(株)からイカオ・アコに連

携の要望があり、2010 年度から「あすをともす森づ

くり」活動が始まりました。この活動は、アストモ

スガスグループ各社だけはなく、アストモスガスを

利用している顧客とともに「あすをともす森づくり」

活動を行うことを目指し、オレンジレター(アンケ

ートはがき)の返信1枚につき 1 本の植樹を行って

います。今年度は 32,000 本の植樹をすることを目標

としてきました。

アストモスエネルギー(株)

「あすをともす森づくり」

http://www.astomos.com/mori/asumori.html

■活動内容

今年度は上記の方法に基づき、37,449 本の植樹が行われました。具体的な植樹本数は下記の通

りです。

≪植樹本数≫

2011/ 7/ 2 パンパン村 5,595 本

2011/ 9/ 3 パンパン村 10,010 本

2011/ 9/ 4 フーマイフーマイ村 5,000 本

2011/ 9/ 5 シナンティガン村 2,644 本

2011/ 9/ 7 パンパン村 5,000 本

2011/11/ 4 シナンティガン村 2,500 本

2012/ 2/25 シナンティガン村 1,000 本

2012/ 2/28 シナンティガン村 4,100 本

2012/ 2/28 シナンティガン村 860 本

2012/ 3/25 シナンティガン村 740 本

11 月 4 日にアストモスエネルギー(株)の社員および関連会社の社員の方達が社内旅行の一環

植樹参加賞を町長から渡してもらい、全員で記念撮影

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として、植樹支援をしていただいている村のひとつであるシナンティガン村を訪問しました。そ

の際には、現地住民と一緒に 2,500 本の植樹を行いました。植樹活動を行った後には、ウバイ郡

の町長、職員、沿岸資源管理課(イカオアコのカウンターパート)の職員らとともに食事をし、

交流を深めました。

■今後の展望

今年度、目標であった 32,000 本の植樹を達成することができました。また、新規にパンパン村、

フーマイフーマイ村も対象地域となり、大きな被害もなくマングローブは順調に成長しています。

来年度もアストモスエネルギー(株)との連携を継続し、マングローブの植樹を実施していきま

す。

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7. インターン・ボランティア受け入れ

2011 年度は、ツアーの参加者は少なかったのですが、短期・中期のボランティアは比較的たく

さん受け入れることができました。また、以下の記録には載せていませんが、この 1 年でバコロ

ド市に住む(または英語留学で一時的に滞在する)日本人の若者の数が急増し、現地からイカオ・

アコの活動に参加する日本人も増えました。今後ともさまざまな形で、現地でのボランティアの

受け入れを行っていきたいです。

また、今年度から国内活動の充実のため、国内インターンの受け入れを始めました。現地にも

2度赴き、現地の活動も知った上でイカオ・アコの活動を国内で支えてくれました。

以下、インターン・ボランティアの受け入れ状況を報告します。

現地・短期ボランティア(1ヶ月未満)

お名前 期間 日数

田村さん(会員) 6 月 18 日~19 日 2 日間

佐藤さん(協力隊) 6 月 27 日~7月 2日 6 日間

坪井さん 7 月 1 日~9日 9 日間

田中さん(元インターン) 8 月 12 日~13 日 2 日間

濱田さん 9 月 19 日~24 日 6 日間

TOM さん(会員) 10 月 22 日~24 日 3 日間

田村さん(会員) 2 月 3 日~4日 2 日間

佐藤さん(交換留学生) 3 月 29 日~4月 1日 4 日間

*お名前は、本人の希望により一部匿名で表記しています。

現地・中期ボランティア(1~6ヶ月)

お名前 期間 月数

周東 直毅さん 1 月 15 日~3月 9日 2 ヶ月

小林 隆秀さん 1 月 18 日~3月 2日 1.5 ヶ月

国内・インターン

お名前 期間 月数

二角 智美さん 2011 年 3 月~2012 年 3 月 12 ヶ月

*外務省 NGO インターン・プログラム適用

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8.植林実績

2011 年度の植樹本数は、ネグロス島で 51,988 本、ボホール島で 87,449 本、合計 139,437 本で

した。主に、Silay は JICA プロジェクト、Ilog は緑の募金とニチバン、Manapla は緑の募金によ

るものです。ボホールはボランティア貯金が約 5 万本、アストモスが約 3 万本です。植樹サイト

別、月別の植樹本数は以下の通りです。

植樹地 Silay Ilog Manapla

Sinandi

‐gan

Tres

Reyes

Pangpang

Humay-hu

may Acila 合計

月 Negros Bohol

4

-

-

-

-

-

-

-

-

-

5

4,054

5,900 4,200 4,000

-

-

-

- 18,154

6

100 - 200 -

-

-

-

- 300

7

2,168

1,100 - - - 26,445

5,500 - 35,213

8

4,300

5,800 - 1,948 6,141 - - - 18,189

9

2,500 - - 2,644 - 15,010

5,000 - 25,154

10

1,800 - - - - - - 7,400 9,200

11

300 - - 2,500 - - - - 2,800

12

1,400

2,750 - - - 955

570 - 5,675

1

4,100

2,666 - 2,276 - -

360 - 9,402

2

2,400

2,650 - 5,960 - - - - 11,010

3

1,000

2,600 - 740 - - - - 4,340

合計

24,122

23,466 4,400 20,068 6,141 42,410

11,430 7,400 139,437

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9.国内活動

主な活動

4 【東日本大震災】赤ちゃん用品等の物資の支援(7 月まで)

付属高校にて総合学習支援

5 桜丘高校にて総合学習支援

6 【東日本大震災】被災地の小学校へフェアトレード商品の送付

フィリピンに古着を送付

7 桜丘高校にてツアー説明会

日福オープンキャンパスにてエコグッズを販売

フィリピンに古着を送付

8 「広報力」研修を通してボランティアの獲得へのアプローチ(2 月まで)

9 桜丘高校にてアクションプランコンテスト支援

10 桜丘高校学園祭にてエコグッズを販売

付属高校学園祭にてエコグッズを販売

11 付属高校にて講演

愛知大学にて講演

12 国際協力カレッジの出展(JICA 中部・名古屋 NGO センター共催)

1 副代表 鈴村の日本福祉大学での講演

【東日本大震災】震災復興活動報告会にてスピーチ(名古屋 NGO センター主催)

2 国際交流セミナーの開催

フィリピンサイドの議長レオ・カンソンを熊野古道に案内

レオ・カンソンの JICA 中部へ表敬訪問

JICA 草の根ネットワーク協議会

3 第 2ホームページの完成 http://mangrove.jimdo.com/

総会準備

東海学生支部設立準備

その他の継続的な活動

・植林ツアーの企画、参加者の募集、説明会の開催など

・イカオ・アコをサポートする異業種交流クラブ「Green Knights」の交流会参加(毎月開催)

・プロジェクト提案書、報告書などの作成

・国内関係機関との打合せなど

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第 10 号議案

2011 年度会計報告

平成22年度「特定非営利活動・その他事業に係る事業会計」収支計算書

特定非営利活動法人イカオ・アコ

単位:円

科目 予算額 決算額 差異 備考

(資金収支の部)

Ⅰ経常収入の部

1会費・入会金収入 15,000 1,000 △ 14,000

1)入会金収入 0 0

2)正会員会費収入 15,000 1,000 △ 14,000

3)賛助会員会費収入 0 0

2事業収入 5,050,000 2,867,805 △ 2,182,195

1)スタディツアー事業 4,500,000 2,556,788 △ 1,943,212 桜丘高校など

2)フェアトレード事業 500,000 311,017 △ 188,983

3)ロゴグッズ販売事業 50,000 0 △ 50,000

0 0

0 0

3補助金等収入 15,000,000 17,233,660 2,233,660

1)民間補助金収入 5,000,000 6,711,580 1,711,580 緑の募金、ボラ貯

2)受託収入 10,000,000 10,522,080 522,080 JICA

4寄付金収入 500,000 6,186,978 5,686,978

1)寄付金収入 500,000 6,186,978 5,686,978 アストモス、エコポイント

2)募金収入 0 0

5雑収入 3,000 313,833 310,833

1)受取利息 3,000 1,216 △ 1,784

2)雑収入 0 312,617 312,617

経常収入合計 20,568,000 26,603,276 6,035,276

Ⅱ経常支出の部

1事業費 5,050,000 1,107,691 3,942,309

1)スタディツアー事業 4,500,000 828,996 3,671,004

2)フェアトレード事業 500,000 278,695 221,305 仕入れなど

3)ロゴグッズ販売事業 50,000 0 50,000

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21

0 0

0 0

2管理費 14,700,000 20,035,126 △ 5,335,126

1)役員報酬 0 0

2)給料手当 0 0

3)臨時雇賃金 5,000,000 4,465,523 534,477 現地の雇用

4)福利厚生費 0 22,032 △ 22,032

5)会議費 200,000 77,043 122,957 現地での講習会開催など

6)旅費交通費 3,000,000 4,457,435 △ 1,457,435 国内出張費、海外渡航費

7)通信運搬費 100,000 159,252 △ 59,252 海外宅配便、国内送付料

8)消耗什器備品費 3,000,000 4,741,741 △ 1,741,741 現地でのアクセス道整備

9)消耗品費 300,000 120,405 179,595 事務関連の消耗品

10)印刷製本費 100,000 618,408 △ 518,408 バナーなど印刷

11)光熱水料 0 4,421 △ 4,421

12)賃借料 0 43,400 △ 43,400 車やボートのレンタル

13)車両関係費 0 0 現地用車両

14)諸謝金 0 0

15)租税公課 0 1,468 △ 1,468

16)雑費 3,000,000 5,323,998 △ 2,323,998 その他経費(含:マングロ

ーブ苗)

3予備費 0 0

1)予備費 0 0

経常支出合計 19,750,000 21,142,817 △ 1,392,817

経常収支差額 818,000 5,460,459 4,642,459

Ⅲその他資金収入の部

1固定資産売却収入 0 0

1)什器備品売却収入 0 0

2繰入金収入 0 0

1)繰入金収入 0 0

3借入金収入 0 0

1)長期借入金収入 0 0

その他資金収入合計 0 0

Ⅳその他資金支出の部

1固定資産取得支出 0 0

1)車両運搬具購入支出 0 0

2)電話加入権購入支出 0 0

2借入金返済支出 0 0

1)長期借入金返済支出 0 0

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その他資金支出合計 0 0

当期収支差額 818,000 5,460,459 4,642,459

前期繰越収支差額 570,182 570,182 0

次期繰越収支差額 1,388,182 6,030,641 4,642,459

(正味財産増減の部)

Ⅴ正味財産増加の部

1資産増加額 1,388,182 5,460,459 4,072,277

1)当期収支差額 1,388,182 5,460,459 4,072,277

2)車両運搬具購入額 0

3)電話加入権購入額 0

2負債減少額 0 0

1)長期借入金返済額 0

Ⅵ正味財産減少の部 0

1資産減少額 0 0

1)什器備品売却額 0

2)車両運搬具減価償却

額 0

3)什器備品減価償却額 0

2負債増加額 0 0

1)長期借入金増加額 0 0

当期正味財産増加額 1,388,182 5,460,459 4,072,277

前期繰越正味財産額 992,237 992,237 0

当期正味財産合計 2,380,419 6,452,696 4,072,277

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平成23年度合計財産目録

平成24年3月31現在

特定非営利活動法人イカオ・アコ

単位:円

科目・摘要 金額

I資産の部

1流動資産

現金預金

現金 現金手許有高 47,107

普通預金三菱東京 UFJ 銀行武豊支店 2,277,447

普通預金 ゆうちょ銀行0八九店 4,128,142

未収金

0

前払費用

0

流動資産合計 6,452,696

2固定資産

車両運搬具 0

什器備品

電話加入権

固定資産合計 0

資産合計 6,452,696

Ⅱ負債の部

1流動負債

0

流動負債合計 0

2固定負債

長期借入金 0

固定負債合計 0

負債合計 0

正味財産 6,452,696

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第 11 号議案

2011 年度会計監査報告

2011 年 4 月 1 日から 2012 年 3 月 31 日までの 2011 年度会計年度における会計及び

業務の監査に際し、関係書類を調査した結果、すべてが適正に処理されており、遺漏、

過誤のないことを確認しました。

2012 年 4 月 10 日

監 事

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12.寄付者一覧

50 音順、敬称略

企 業

団 体

個 人

アストモスエネルギー(株)

アップフロンティア(株)

ニチバン(株)

パルミエ

AMD

エコポイント事務局

グリーンナイツ

メイクミラクルズ

ユナイテッドピープル

環境パートナー

桜丘高校

名古屋 NGO センター

日福大学付属高校 KGU

OK English Academy

コグネトモヒロ

タナカアキ

タムラマサシ

ドイハルカ

ワタナベアケミ

ありがとうございました!

13.編集後記

2011 年度を振り返ってみると、1 年間 1 度も日本に帰らなかったことに気づきます。この 1 年、シライに住み

続けて感じたことは、目まぐるしい発展です。今、ネグロス特にバコロドはフィリピンの中でも急成長している

エリアといえるのではないでしょうか?次々にビルが建ち、国道沿いにファーストフード店やちょっとおしゃれ

な喫茶店などが開店しています。その勢いは半端なく、住んでいる私でさえ発展に取り残されそうになっていま

す。こんなに高級な店をだれが利用するのかと不思議なのですが、スターバックスが平日から繁盛しているとこ

ろや、週末は国道に高級車がずらっと止まっているところを見ると、富裕層が増えていることは確かなようです。

一方で、山村・漁村の人の暮らしは相変わらずのんびりとしています。住んでいる身としては、普段は田舎での

んびり過ごし、たまには街でおいしい料理を食べたり、みんなで飲みに行ったりしたいという欲張りな要望が満

たされるので、バコロドから 14 ㎞のシライ市は住みやすい街だと思います。

こういった発展に伴ってか、バコロド周辺に住む日本人の若者が増えています。特に、韓国人が経営する英語

学校に留学する日本人の増加が目覚ましいです。2012 年の西ネグロス日本人会の新年会にも、10 名程度の留学生

が参加していました。彼らのバコロドの評判がとても良いので、今後も日本人の数が増えることは間違いないで

しょう。彼らをうまくイカオ・アコの活動に巻き込んでいくことは、今後の活動にプラスに働くことでしょう。

イカオ・アコの職員となってから(社会人となってから)早くも 4 年がたちました。1 年目、2 年目、3 年目と

確実に実績を上げてきた中で、さらに何か新しいことを考えるのは難しかったのですが、今年一番の成果は、2年

目に入った JICA プロジェクトを軌道に乗せられたことでしょうか。現地スタッフと共に多くの現地の高校生に流

域のつながりを意識させるため、山と海という異なる環境で植樹を通した体験学習を実施できたことは、大きな

成果だと思います。これまでは、日本人ボランティアの来比に合わせて植樹を行ってきましたが、現地の高校生

が植樹に参加することにより、より計画的に植樹活動が行え、また山村と都市(といってもシライは田舎ですが)

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の交流が進められるので、現地の住民にとってのメリットが大きい活動となりました。もちろん、日本とフィリ

ピンの交流のもとで植樹を行っていきたいという理念は貫きたいところですが、それに関しても幸いなことに、

短期ボランティアや現地の日本人の参加により、ほとんどの現地の高校生を対象とした植林活動に、1~2 人の日

本人(私を除く)に加わってもらうことができました。毎週のように活動を行っていると、活動に参加しやすい

ということもあるのでしょうね。

また、今年度は、近場の日系 NGO との連携を強め、実践に移した年でした。イロイロの LOOB さんとは、LOOB さ

んが主催された東日本大地震の復興記念イベント Bangon Japan というイベントに参加させていただきました。

(LOOB さんとは、2006 年のギマラスタンカー座礁事件の時からお付き合いがあります。)バゴ市の OISCA さんと

は、OISCA さんの 50 周年記念イベントに参加させていただいたり、OISCA さんがスポーツフェスティバルやイロ

グでのマングローブ植林に参加していただいたりしました。1980 年代から活動されており、2010 年にラ・カルロ

ータ市に兼重ファーム(実践型農業学校)を展開された APLA さんとは、農家交流を行ったり、APLA のスタディー

ツアーのお客さんをシライで案内させていただいたり、現地駐在の大橋さんにスポーツフェスティバルの審査員

をしていただいたりしました。また、NGO ではありませんが、英語学校のスタッフが生徒さんをマングローブの植

林やイカオ・アコのイベントに連れてきてくださったり、協力隊の方々がツアーに参加してくださったりと、近

場に住む日本人の方々との連携も始めています。

JICA フィリピンさんには、マニラで草の根事業実施者交流会というのを開いていただき、草の根事業を行って

いる他の NGO の活動が知れたり、スタッフと知り合いになれたりしました。フィリピンも 4 年目なので、マニラ

周辺でも NGO の知り合いが増え、イカオ・アコの認知度も高まってきたと思います。ただ、遠方の NGO とは今の

ところ情報交換のみで、共同して何かということにはなっていません。今後、マニラ周辺の NGO との連携の強化

も検討していきたいです。

さて、来年度の も大きな課題は、JICA プロジェクト PhaseⅡへ応募することです。現在のプロジェクトが半

分終了し、課題が明らかになってきました。この課題を解決するためには、PhaseⅡの実施が不可欠です。ただ漫

然と移行するのではなく、新たに浮かび上がってきた課題を解決するための効果的な活動の立案を、今年度中に

行うことが求められています。二つ目の課題は、もっとたくさんの人を巻き込むということです。イカオ・アコ

の年間予算はこれだけ増えており、活動も増えてきていますが、スタッフの数はそれほど増えていません。現地

の活動を活性化するにも、イカオ・アコの理念を理解し、現地で活動を進める現地スタッフ(フィリピン人スタ

ッフ)を増やしていくことが重要であると思います。現地スタッフの採用は、現地の雇用促進にもつながります

し、日本人がフィリピン人に指導するよりもフィリピン人の専門家が指導する方が地元の住民に伝わるというメ

リットもあります。もちろん、日本人のインターン・ボランティアの力も借り、現地でフィリピン人と日本人が

共同してプロジェクトを運営していく体制を強化していきたいです。また、資金集め、人集めの根幹を担う日本

国内の活動の方を充実していくためには、国内組織の充実も図りたいです。これには、スタディーツアーに参加

した若者たちが中心となってくれることと期待しています。三つ目の課題は、事業展開です。現地での格差が広

がる中、社会的弱者(低学歴、原資の不足など)の雇用の場が求められています。また、Non-Profit の活動にも

自己資金が不可欠です。さらに、急成長しているバコロドに今注目が集まっているところです。今こそ、ネグロ

スでソーシャルビジネスを立ち上げるチャンスだと思います。このチャンスをうまくつかめるかどうかは、これ

からのイカオ・アコの発展を大きく左右すると思います。このような意気込みで、2012 年度も現地での活動を続

けていきたいと思いますので、皆さん、応援をよろしくお願いします!!! (倉田)