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2010-3-11日機連:リスクアセスメントの推進・定着に関するシンポジウム 『ものづくり安全」から 「安全づくり』へ 向殿政男 明治大学理工学部 1

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2010-3-11日機連:リスクアセスメントの推進・定着に関するシンポジウム

『ものづくり安全」から「安全づくり』へ

向殿政男

明治大学理工学部

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「ものづくり安全」

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ものづくり安全とは?

あらゆる機械・製品等を対象に

・安全な製品を:機械安全、製品安全

・安全な職場で:設備安全、労働安全

・安全に作る :労働安全、作業安全

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ものづくりの安全の指導原理

ものづくり安全は、上流で対応すればするほど効果的、設計の段階でしか出来ないことがある→安全設計の原則

• ガイドライン:ISO/IECガイド51(JIS Z 8051):規格に安全面を導入するためのガイドライン

• A規格

(1) ISO12100(JIS B 9700):機械類の安全性-

基本概念,一般設計原則

(2)ISO14121 (JIS B 9702) :リスクアセスメント

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ISO12100(JIS B 9700)機械類の安全性-基本概念,一般設計原則

(1)本質的安全設計によるリスクの低減

(2)安全防護対策によるリスクの低減

(3)使用上の情報によるリスクの低減

(メーカ側)機械安全

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(ユーザ側)作業安全

(*)訓練、個人用防具、管理によるリスクの低減

安全設計におけるリスク低減方策3ーステップメソッド

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リスクアセスメントの手順(ISO/IECガイド51より)

使用条件及び予見可能な誤使用の明確化

終 了

許容可能リスクは達成されたか?*

危険源の同定hazard identification

リスクの評価risk evaluation

リスクの低減risk reduction リスクの見積り

risk estimation

開 始

リスク分析

risk analysis

リスクアセスメント

risk assessment

はい

いいえ

*リスクは適切に低減されたか? 6

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リスクアセスメントの三つのフェーズ

(1)設計におけるリスクアセスメント(メーカ)(2)設置、組み立て、改善、修理等におけるリスクアセスメント(インテグレータ、ユーザ)

(3)作業者のリスクアセスメント(ユーザ、作業者・・・KYはその一部)

• 考え方、プロセスは同じでも、具体的な手法、表現方法、細かさ等は異なる

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リスクアセスメント導入本格化の時代

厚生労働省• 2001年6月1日「機械の包括的な安全基準に関する指針」:通達に終る

• 2006年3月31日 労働安全衛生法等の一部を改正:リスクアセスメント(危険性又は有害性等の調査等)の導入—

• 2007年7月31日 機械の包括的な安全基準に関する指針の改正

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労働安全と機械安全の連携

• 労働安全衛生法のへのリスクアセスメントの導入

• ユーザのリスクアセスメント実施のためにメーカ側にリスクアセスメントの結果を要求できる

• 機械安全設計のための基準を労働安全衛生から導入した

• 機械産業側としては、はずかしく思うべきである

• 遅くはない! 日本のメーカとユーザは、極めて緊密な関係にあり、連携しやすい(欧米には真似が出来ない:ここに有利な点がある)

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機械工業界横断的リスクアセスメントガイドライン

• 日機連を中心にメーカ側が機械工業会で横断的に使用出来るガイドラインを作成した

• 機械安全側が協力をするようになってきた

• 労働安全と機械安全が手を結ぶべき時代がやっと到来をした!

• 日本の強みを行かせるチャンスである!

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メーカとユーザとの間のリスクコミュニケーション

• 三つのフェーズ(メーカ、インテグレータ、ユーザ)のリスクアセスメントで流れるものは、「残留リスク」情報である

• 「残留リスク」情報を共有することで、メーカとユーザが安全確保で協調できる

• 誇りを以って、機械を製造メーカ名を記して世に出し、お客に怪我をさせない、事故を起させない、という努力をお客と共になすべき時代が来た(我が国が最も先端的に取組める)

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「安全づくり」

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安全づくりとは?~「ものづくり安全」から「安全づくり」へ~

ものづくり安全⇒

安全づくり・信頼される企業の:経営安全、労働安全

・安全な製品を:機械安全、製品安全

・安全に使ってもらい:消費者安全、リスクコミュニケーション

・安心できる社会をつくる:社会安全13

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安全学からの視点~安全を守る四つの柱~

• 技術的側面・・・自然科学・・・合理的

• 人間的側面・・・人文科学・・・合情的

• 組織的側面・・・社会科学・・・合法的

• それを支える理念的側面・・・安全哲学

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科学技術による安全構築

安全コミュニケーション

の確立

安全構築の仕組みづくり

企業・消費者の安全モラル向上

安全づくりプロジェクト

「NIKKEI 安全づくりプロジェクト」

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企業の視点と顧客の視点

*企業は安全の達成を追及している

*顧客は安心を求めている

• 安全は客観的、数量的なアプローチを目指して発展してきた

• 安心は主観的要素が強い

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安全と安心をつなぐ

• 分かるもの、理解できるものは安心

• 使い慣れ、親しいんでいるものは安心

• 長い歴史を経ているものは安心

• ・・・・

• 安全がどういう構造で実現されているかが分かること

• 最悪の場合にはこのような危害が発生するという情報が公開されていること

• 残留リスクについての理解・合意・納得等が得られていること

• リスクコミュニケーションの重要性

• 安全が実現されている+実現している人間・組織を信頼している→安心(安全×信頼=安心)

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企業のトップの責任

• トップのコミットメントが必須

• 止める、公表する、の決断はトップしか出来ない

• 経営理念の明確化、ポリシーの作成

• PDCAをまわせ(人、モノ、金をつけよ )、体制の構築

• 社会的信用は失うと取り返しが付かない

• 安全のダブルスタンダードは人種差別

• 消費者の知る権利

• 情報公開

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安全づくりの新しい方向(1)

• 法規は最低基準で守るのは当たり前、如何に高い安全性を維持するかが社会的責務

• 国の規制、世界基準・業界基準等よりも厳しい社内基準を持つ

• 重大な事故は、一つでも起さない(頻度の無視)・・・可能性があれば数が多い場合は必ず起こる

• 対応スピードの早さ・・・お客とのコミュニケーション力を強化し、対応は常時(いつでも)、即刻(すぐに)

• 情報の収集と公開・・・事故情報・ヒヤリハット情報の積極的収集とトップへの報告のスピード

• メーカはユーザを取り込め、メーカとユーザは一体(B to B でも B to C 同じ)

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安全づくりの新しい方向(2)

• 良い情報から悪い情報まで、積極的に情報開示する

• 疑わしきは罰する・・・原因が分からなくても、責任がなくても回収、告示の対応(遅れれば致命的)

• 疑わしきは公表する・・・隠さない(逆に信頼を高める)• 疑わしきものは使わない(上流へのトレーサビリティ)・・・作った人の顔が見える

• ライフエンドまで責任を持つ(下流へのトレーサビリティ)・・・使っている人の顔が分かる

⇒安全の見える化

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新しい安全の文化創造へ

~より高度な安全の実現に向けて~

安全学の確立• 安全技術の発展• リスクアセスメントの実施• 技術者倫理の確立• 企業トップの安全意識の向上・安全の価値を重視した経営

(安全から安心へ)企業サイドから顧客サイドへの視点の変換

• 消費者力の向上• 報道力の向上• 安全を支援する社会制度の確立(税制・保険・認証・投資等の活用)• 大学における安全教育・安全/保全技術者の育成と待遇改善• 安全文化の向上

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