機械力学1講義 - 東京大学13:00~16:40 7章ラグランジュの方程式...

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機械力学1講義 102007.1.9 13:0016:40

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Page 1: 機械力学1講義 - 東京大学13:00~16:40 7章ラグランジュの方程式 回転と並進が混在する系では,力の釣合いから運動方程式を 導くのが難しい.そのような系では,エネルギ保存則の利用が

機械力学1講義

第10回

2007.1.913:00~16:40

Page 2: 機械力学1講義 - 東京大学13:00~16:40 7章ラグランジュの方程式 回転と並進が混在する系では,力の釣合いから運動方程式を 導くのが難しい.そのような系では,エネルギ保存則の利用が

7章 ラグランジュの方程式

回転と並進が混在する系では,力の釣合いから運動方程式を導くのが難しい.そのような系では,エネルギ保存則の利用が有効である.エネルギはスカラー量のため向きを考えなくてよく,また,静止摩擦のように仕事をしない力は考慮しなくてよいからである.

しかし,エネルギ保存則d(T+U)/dt=0は,1自由度系の自由振動でしか使えない.なぜなら,強制振動ではエネルギが保存されず,また,エネルギ保存則からは1つの式しか導かれないからである.

これに対して,強制振動や2自由度系にも適用できる方法がラグランジュの方程式である.ラグランジュの方程式は,どのような座標系で記述しても同じ形になるという特徴があり,さらに,電気回路を含む系にも適用できるという強力な解析手法である.

前回の復習

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fxm =&&

xUf∂∂

−=

xU

xT

dtd

∂∂

−=

∂∂&

7.1 直角座標におけるラグランジュの方程式

ニュートンの運動方程式(保存系の場合)

運動方程式のエネルギによる表現

mgxU =重力

221 kxU =ばね

外力fをポテンシャルエネルギUにより表現

( )

∂∂

=

∂∂

==xT

dtdxm

xdtdxm

dtdxm

&&

&&&& 2

21

慣性力を運動エネルギT により表現

f:重力,ばね力などの保存力

mgf −=

kxf −=

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xU

xL

∂∂

−=∂∂

xT

xL

&& ∂∂

=∂∂

UTL −=

0=∂∂

∂∂

xL

xL

dtd

&

xU

xT

dtd

∂∂

−=

∂∂&

運動方程式のエネルギによる表現

ラグランジュ関数LでTとUを置き換える

ラグランジュの方程式

(保存系の場合)

xとx’を独立と考える

221 kxU =2

21 xmT &=

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0=∂∂

∂∂

qL

qL

dtd

&

UTL −=

QqL

qL

dtd

=∂∂

∂∂&

QqD

qL

qL

dtd

=∂∂

+∂∂

∂∂

&&

2

21 qcD &=

種々の運動におけるラグランジュの方程式

(1) 保存系

q:一般座標.x,y,r,θなど

(2) 外力が働く場合

並進:Qは力

回転:Qはモーメント

(3) 減衰がある場合

D:散逸関数

c

q

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rrrr

QqD

qL

qL

dtd

=∂∂

+∂∂

∂∂

&& Nr ~1=

FxL

xL

dtd

=∂∂

∂∂&

ε=∂∂

∂∂

qL

qL

dtd

&

em WWUTL −+−=

(4) 多自由度系

(5) 電気回路を含む場合

磁界のエネルギ

電界のエネルギ

q:電荷 ε:電源電圧

種々の運動におけるラグランジュの方程式

2

21 LIWm =

2

21 CVWe =

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9. ラグランジュの方程式(自由振動)問9.1 微小振動の固有角振動数を求めよ.

Mmr

kk

y y

x

θm

図9.1.2

(1) y,θをxで表す(2)T,Uをx,y,θで表し,さらに,xだけで表す(3)自由度をxとして,保存系のラグランジュの方程式に代入

2

21 mrI =

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7.2 2次元極座標におけるラグランジュの方程式7.2.1 ニュートンの方程式の極座標表示

回転運動では,ニュートンの方程式においても極座標表示の方が便利であり,ラグランジュの方程式を用いるとさらにそれが簡略化される.本項では,ラグランジュの方程式導出の前段階として,極座標におけるニュートンの方程式を導く.(中略)

実際の振動問題を解く立場からは,本項と次項を読まなくても差し支えなく,簡便に学習したい人は7.3節へ飛んでよい.

教科書p.125

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変数変換 (x,y)→(r,θ)

直角座標の運動方程式(外力がある場合)

xUFxm x ∂∂

−=&&

yUFym y ∂∂

−=&&

ポテンシャルによる力(ばね,重力)

(7.11)

(7.12)

θθθθθθθ sincossin2cos 2 &&&&&&&&& rrrrx −−−=

θθθθθθθ cossincos2sin 2 &&&&&&&&& rrrry +−+=

θcosrx = θsinry =(7.13) (7.14)

(7.16)(7.17)

xUFFrrrrm r ∂∂−−=−−− θθθθθθθθθ θ sincos)sincossin2cos( 2 &&&&&&&

yUFFrrrrm r ∂∂−+=+−+ θθθθθθθθθ θ cossin)cossincos2sin( 2 &&&&&&&

θθ θ sincos FFF rx −= θθ θ cossin FFF ry +=

xU∂∂

− x

y

rFθF

xF

yF

r

F

yU∂∂

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変数変換後の運動方程式

①×cosθ

( ) θθθ sincos2

yU

xUFrrm r ∂

∂−

∂∂

−=− &&&

(7.21)

xUFFrrrrm r ∂∂−−=−−− θθθθθθθθθ θ sincos)sincossin2cos( 2 &&&&&&&

yUFFrrrrm r ∂∂−+=+−+ θθθθθθθθθ θ cossin)cossincos2sin( 2 &&&&&&&

r方向の釣合い

y方向の釣合い

x方向の釣合い

)cossincoscossin2cos( 222 θθθθθθθθθ &&&&&&& rrrrm −−−( ) θθθθ θ coscossincos2 xUFFr ∂∂−−=

)cossinsincossin2sin( 222 θθθθθθθθθ &&&&&&& rrrrm +−+

( ) θθθθ θ sincossinsin2 yUFFr ∂∂−+=

②×sinθ

①×cosθ+②×sinθ

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rU

ry

yU

rx

xU

yU

xU

∂∂

=∂∂

∂∂

+∂∂

∂∂

=∂∂

+∂∂ θθ sincos

θθθ sincos2

yU

xUFmrrm r ∂

∂−

∂∂

−=− &&&

θcosrx =

θsinry =

θcos=∂∂rx

θsin=∂∂ry

(rとθは独立)

偏微分にける合成微分の公式

rUFmrrm r ∂∂

−=− 2θ&&&

Uxy r

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rUFmrrm r ∂∂

−=− 2θ&&&

xUFxm x ∂∂

−=&&

yUFym y ∂∂

−=&& y方向の釣合い

x方向の釣合い

×sinθ

の意味

θθ sincos yxr FFF +=

θ

FyF

xF

θcosxF

θsinyF

慣性力,外力,ポテンシャル力ともにr方向成分r方向の力の釣合い=r方向の運動方程式

×cosθ+

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xUFxm x ∂∂

−=&&

yUFym y ∂∂

−=&& y方向の釣合い

x方向の釣合い①

①×cosθ +②×sinθ rUFmrrm r ∂∂

−=− 2θ&&& r方向の釣合い

①×sinθ ー②×cosθ

θ

rF

θF

xF

yF F

θθθ cossin yx FFF +−=

θsinxF

θcosyFθ

θ方向の釣合い

を作ってみる

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変数変換後の運動方程式

(7.21)

xUFFrrrrm r ∂∂−−=−−− θθθθθθθθθ θ sincos)sincossin2cos( 2 &&&&&&&

yUFFrrrrm r ∂∂−+=+−+ θθθθθθθθθ θ cossin)cossincos2sin( 2 &&&&&&&y方向の釣合い

x方向の釣合い

)sinsincossin2sincos( 222 θθθθθθθθθ &&&&&&& rrrrm −−−

)cossincoscos2sincos( 222 θθθθθθθθθ &&&&&&& rrrrm +−+

( ) θθθθ θ sinsinsincos 2 xUFFr ∂∂−−=

( ) θθθθ θ coscossincos 2 yUFFr ∂∂−+=

①×sinθ

②×cosθ

①×sinθ ー②×cosθ

( ) ( ) θθθθ θ cossin2 yUxUFmrrm ∂∂+∂∂−−=−− &&&&

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①×sinθ ー②×cosθ

( ) ( ) θθθθ θ cossin2 yUxUFrmmr ∂∂−∂∂+=+ &&&&

θθθθθ

∂∂

−=∂∂

∂∂

−∂∂

∂∂

−=∂∂

−∂∂ U

ry

yU

rx

xU

ryU

xU 111cossin

θcosrx =

θsinry =

θθ

sinrx−=

∂∂

θθ

cosry=

∂∂

θθ

∂∂

−=x

r1sin

θθ

∂∂

=y

r1cos

θθθ θ ∂

∂−=+

Ur

Frmmr 12 &&&&

θ方向の運動方程式

Uxy θ

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ニュートンの方程式の極座標表示

θθ ∂∂

−U

rF 1

rUFr ∂∂

−トータルのr方向の力→ Frと書く

トータルのθ方向の力→ Fθと書く

θθθ Frmmr =+ &&&& 2rFmrrm =− 2θ&&& (外力はポテン

シャル力を含む)(7.26)

(7.27)

θθθ θ ∂

∂−=+

Ur

Frmmr 12 &&&& θ方向の運動方程式

rUFmrrm r ∂∂

−=− 2θ&&& r方向の運動方程式

①×sinθ ー②×cosθ

①×cosθ +②×sinθ

その他の外力

ポテンシャル力

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ニュートンの方程式の極座標表示

θθθ Frmmr =+ &&&& 2

rFmrrm =− 2θ&&& (7.26)

(7.27)

mに加わるr方向の力Frは,r方向の加速度に比例するのではなく,それに を加えたものに比例.付加される力は遠心力.

mに加わるθ方向の力Fθは,θ方向の加速度に比例するのではなく,それに を加えたものに比例.付加される力はコリオリ力.

2θ&mr−

θ&&rm2

x

ym

θ

rFθF

r

r方向加速度

θ方向加速度

遠心力 外力

コリオリ力 外力

r方向に移動すると,θ方向の力(加速度)が発生する.

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θθθ Frmmr =+ &&&& 2 (7.27)

θ方向の運動方程式の意味

θθ rFmrdtd

=)( 2 &

( ) NIdtd

=θ&

(7.28)

(7.29)

2mrI =

ωθ II =& 角運動量

慣性能率

( )θθθθθ &&&&&&&&& rmmrrrmrmrmrdtd 22)( 22 +=+=

θrFN =トルク

角運動量の法則

回転する質点(図2.3改)

rm回転

中心

θ&rv =トルクN

外力Fθ

回転する質点の場合

NI =θ&&Iが一定,すなわち,rが変化せ

ず,コリオリ力が発生しないときに成り立つ.

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r r&

t∆ωωr

trr ∆= & r&( )ωtrr ∆+ &

回転棒上を移動する物体

t=0

t=Δt

m

(a) の向きの変化r&

r&

t∆ω

速度変化の分解

(b) の増加ωr

tr ∆ω&

tr∆&tr ∆ω&ωr

ωr&2

コリオリ力

コラム14 コリオリ力の起源

ωr&加速度

ωr&加速度

θθθ Frmmr =+ &&&& 2

質点がr方向に移動すると

きに発生するθ方向の力

r方向の移動により,合計で だけθ方向の加速が生じている.

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ブランコ(コリオリ力ゼロ) 通常の回転(角速度一定)

11ωrvr =&

r& 22ωr

11ωr

θ

θr& θr&

θ12ωr

θr&

r&

θr&

11ωr

コリオリ力=0→水平速度一定

+vの角度変化+rの減少

↓ωが増大

vr =&

ω一定+rの減少+

vの角度変化↓

水平速度が減少↓

コリオリ力(減速)発生

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ωθ =& 0=θ&&

02 =− ωmrrm &&

θω Frm =&2 コリオリ力(=棒が輪を押す力)がrから求まる

回転する棒上の輪

θFr

0=rFm

θ

02 ==− rFmrrm θ&&&

02 ≠=+ θθθ Frmmr &&&&

運動方程式

輪は棒上を移動

tt eer ωω −= ,

(7.27)

(7.26)

θ方向は拘束あり

r方向は自由

一定回転(ω=const)

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( )22

21

21 θ&& rmrmT +=

rmrT

dtd

&&&

=

∂∂

rUF

rT

rT

dtd

r ∂∂

−=∂∂

∂∂&

7.2.2 ラグランジュの方程式の極座標表示

慣性力 をTで表す

ニュートンの方程式(ポテンシャル力を分離した形)

θθθ θ ∂

∂−=+

Ur

Frmmr 12 &&&&

rUFmrrm r ∂∂

−=− 2θ&&&

2θ&mrrT=

∂∂

rmrT

&&=

∂∂

r方向

θ方向

x

y

θ

r&θ&rr

v

図7.2 極座標における速度成分

( )222 θ&& rrv +=

運動方程式のエネルギによる表現

(7.21)

(7.32)

(7.31)

(7.33)

(7.35)

(7.23)

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θθ

&&

2mrT=

∂∂

θθ θ ∂∂

−=

∂∂ UrFT

dtd

&

( )22

21

21 θ&& rmrmT +=

ニュートンの方程式(θ方向)

θθθ θ ∂

∂−=+

Ur

Frmmr 12 &&&&

( )θθθθθ

&&&&&&&&& rmmrrrmrmrT

dtd 222 +=+=

∂∂

慣性力 をTで表す

運動方程式のエネルギによる表現

(7.31)

(7.23)

(7.36)

(7.34)

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運動方程式のエネルギによる表現

θθθ ∂∂

−∂∂

=∂∂ UTL

θθθ &&& ∂∂

−∂∂

=∂∂ UTL

rU

rT

rL

&&& ∂∂

−∂∂

=∂∂

rU

rT

rL

∂∂

−∂∂

=∂∂

ラグランジュの方程式(極座標と直角座標で同じ形)

NrFLLdtd

==∂∂

∂∂

θθθ&rFrL

rL

dtd

=∂∂

∂∂&

UTL −=Uは速度によらないTはθによらないTはrに依存

(外側ほど早い)

( )22

21

21 θ&& rmrmT +=

θθθrFUT

dtd

=∂∂

+

∂∂&rF

rU

rT

rT

dtd

=

∂∂

−∂∂

∂∂&

(7.41) (7.42)

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質点がr方向に移動すると運動エネルギが増加.それを補うために,遠心力とコリオリ力が発生.

( )22

21

21 θ&& rmrmT +=

2θ&mrrT=

∂∂

θθθ

&&&&& rmrmrT

dtd 22 +=

∂∂

見かけの力(遠心力,コリオリ力)は,Tのr依存項から発生

直角座標では,Tは位置によらない.見かけの力は発生しない

0≠∂∂

rT

遠心力r方向の式

θ方向の式 コリオリ力

(7.33)

(7.34)

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ラグランジュの方程式の極座標表示

ニュートン(極座標)

ニュートン(直角座標)座標変換

θcosrx = θsinry =

ラグランジュの方程式 ( )22

21

21 θ&& rmrmT +=

rUFr ∂∂

−=θθ ∂

∂−=

Ur

F 1

UTL −=

慣性力と外力をエネルギで表示

xFxm =&& yFym =&&

θθθ Frmmr =+ &&&& 2rFmrrm =− 2θ&&&

NrL

rL

dtd

=∂∂

∂∂&

rFLLdtd

=∂∂

∂∂

θθ&

θθ θ sincos FFF rx −=

θθ θ cossin FFF ry +=

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コラム15 任意の座標系におけるラグランジュの方程式

ニュートン(任意座標)

ニュートン(直角座標)

ラグランジュの方程式(任意座標)

22

21

21 ymxmT && +=

111 qyF

qxF

qU

yx ∂∂

−∂∂

−=∂∂

UTL −=

xFxm =&& yFym =&& 座標変換 21,, qqyx →

1111 qyF

qxF

qyym

qxxm yx ∂

∂+

∂∂

=∂∂

+∂∂

&&&&

111

QqL

qL

dtd

=∂∂

∂∂& 2

22Q

qL

qL

dtd

=∂∂

∂∂&

2222 qyF

qxF

qyym

qxxm yx ∂

∂+

∂∂

=∂∂

+∂∂

&&&&

慣性力と外力をエネルギで表示

(理解しなくてよい)

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7.4.3 台車と振子 2自由度系の自由振動

xvxl =+ && θθ cos

k Mx

θ

m θ&lyvl =θθ sin&

UTL −=

0=∂∂

∂∂

xL

xL

dtd

&

0=∂∂

∂∂

θθLL

dtd

&

ラグランジュの方程式

( )θcos121 2 −+= mglkxU

ポテンシャルエネルギ

xlvx && += θθ cos θθ sin&lv y =

θθθ cos2222222 xlxlvvv yx &&&& ++=+=

( )θθθ cos221

21

21

21 222222 xlxlmxMmvxMT &&&&&& +++=+=

運動エネルギ

g

x&

(保存系)

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0=∂∂

∂∂

xL

xL

dtd

&

( )

+++

∂∂

=∂∂

=∂∂ θθθ cos2

21

21 2222 xlxlmxM

xxT

xL

&&&&&&&&

( )θθθθ sincos 2&&&&&&&&

llxmxMxL

dtd

−++=

∂∂

( ) kxmglkxxx

UxL

−=

−+

∂∂

−=∂∂

−=∂∂ θcos1

21 2

( ) 0sincos 2 =+−++ kxllxmxM θθθθ &&&&&&&

( )θcos121 2 −+= mglkxU

( )θθθ cos221

21 2222 xlxlmxMT &&&&& +++=

UTL −=xに関する運動方程式

( )θθ cos&&& lxmxM ++=

(7.70)

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0=∂∂

∂∂

θθLL

dtd

&

( )

+++

∂∂

=∂∂

=∂∂ θθθ

θθθcos2

21

21 2222 xlxlmxMTL

&&&&&&&&

( )θθθθθ

sincos2 xlxllmLdtd

&&&&&&& −+=

∂∂

0sincos =++ θθθ gxl &&&&

θに関する運動方程式

( )θcos121 2 −+= mglkxU

( )θθθ cos221

21 2222 xlxlmxMT &&&&& +++=

UTL −=

( )θθ cos2 xllm && +=

θθθ ∂∂

−∂∂

=∂∂ UTL

θθθ sinsin mglxml −−= &&

( ) ( )

−+

∂∂

+++

∂∂

= θθ

θθθθ

cos121cos2

21

21 22222 mglkxxlxlmxM &&&&&

(7.71)

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( ) 0sincos 2 =+−++ kxllxmxM θθθθ &&&&&&&

0sincos =++ θθθ gxl &&&&

xの運動方程式

θの運動方程式

kx xM &&x

θ

m

θ&&l

θθ cos&&l

x&&

図7.7x方向の運動方程式の意味

θ

g

x&&θ&&l

図7.8θ方向の運動方程式の意味

θsing

θcosx&&

台車移動 θθ sin2&l

2θ&l遠心力

(7.70)(7.71)

台車移動

重力

振子の振れ

台車移動

振子の振れ

x&&

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( ) 0sincos 2 =+−++ kxllxmxM θθθθ &&&&&&&

0sincos =++ θθθ gxl &&&&

xの運動方程式

θの運動方程式

遠心力が消失.遠心力はθの3次の微小量

( ) 0=+++ kxlxmxM θ&&&&&&

0=++ θθ gxl &&&&

θ<<1により線形化

θθ =sin 1cos =θ

xの運動方程式

θの運動方程式

=

+

+00

00

1 θθx

gkx

lmlmM

&&&&

1

1

0

θ

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7.4.4 回転する棒上の質点

( )[ ]222

21

21 ωrrmmvT +== &

TUTL =−=0=U

o

ωr v

r&rθ

図7.9 回転する棒上のリング

ωθ ,m

r

0=∂∂

∂∂

rL

rL

dtd

&

自由度はrのみ.外力0

( ) rmrmdtd

rL

dtd

&&&&

==

∂∂ 2ωmr

rL=

∂∂

2ωmrrm =&& 慣性力=遠心力

θは拘束運動なので,自由度なし

ニュートンの方程式(r方向)と同じ

(7.77) tt eer ωω −= ,

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この系では,コリオリ力Fθが働き,棒から質点にエネルギが供給される.しかし上記では,r方向の自由度のみ考

え外力をゼロとした.これは保存系の式と同じである.コリオリ力とそれによるエネルギ供給はどこに反映されているのだろうか.これは,次の例題で解説する.

ωθ rmF &2=

図7.9 回転する棒上のリング

ω m

r

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7.4.5 摩擦のある棒上の質点

( )[ ]22

21 θ&& rrmT +=

UTL −=0=U

ω

θF

r

θµFFr −=

m

tωθ =

図7.10 摩擦のある棒上のリング

摩擦係数μ

摩擦力Frはコリオリ力Fθにより決定

前問と同じ

Fθはr方向の方程式には出てこない.Fθ を求めるにはθ方向の方程式が必要.

しかしθは自由度ではない.

rFrL

rL

dtd

=∂∂

∂∂&

(摩擦力)

自由度はr.外力が存在する非保存系.

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モータ

トルクN∝I(t)

I(t)

実際には輪のθ方向の「変位θが既知」,「力Fθが未知」だがθ:未知 Fθ :既知r :未知 Fr:既知

として運動方程式を立ててみる.このとき輪の自由度はrとθとなる.

モータに電流を時間の関数として与える.トルクすなわちrFθが既知の時間の関数となる.

回転速度はリングの運動により変わり,未知量となる.

電流制御

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rFrL

rL

dtd

=∂∂

∂∂&

r方向の運動方程式

rmrL

dtd

&&&

=

∂∂ 2θ&mr

rL=

∂∂

rFmrrm =− 2θ&&&

θθθrFLL

dtd

=∂∂

∂∂&

θ方向の運動方程式

θθθ

&&&&& rmrmrL

dtd 22 +=

∂∂

0=∂∂θL

θθθ rFrmrmr =+ &&&& 22

Fr,Fθを与えてr,θを求める式.

( )[ ]22

21 θ&& rrmT +=

0=U

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Fθを時間の関数として与えたら,

偶然ωが一定になったとする..const==ωθ&

2ωmrFrm r +=&&

(3) 摩擦力Frを与えてrを求める式.Fr既知,r未知.

式(1) →

rmF &ωθ 2=

(4) コリオリ力 Fθを与えて,θ(ω)求める式. Fθ既知.ω未知.

式(2) →

r方向の運動方程式

θ方向の運動方程式

rFmrrm =− 2θ&&&

θθθ rFrmrmr =+ &&&& 22

(1)

(2)

(3)

(4)

→所望のωを与えるFθを求める式と考えてもよい.→ ω からFθを求める式.ω既知, Fθ未知とも言える.→未知か既知か関係なし. ω,Fθどちらが未知でも成り立つ

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02 2 =−+ ωωµ mrrmrm &&&

を用いて式(3)と(4)を結合する.

(7.87)

2ωmrFrm r +=&&rmF &ωθ 2=

(3)(4)

r方向の釣合い

θ方向の釣合い

(何が未知か,何が既知かに関係なく成立)

未知:r,Fθ ,Fr 既知:ω

( ) 22 ωωµ mrrmrm +−= &&&

( )rmFFr &ωµµ θ 2−=−=

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以上の手順を振り返ると,まず未知のコリオリ力を求めるために,実際には確定しているθを未知として扱い,θ方向の運動方程式を立てた.運動方程式は,力と変位の関係を与える式であり,強制的に変位を与え,それに必要な力を求める場合と,決まった外力を与え,それによる変位を求める問題とで,何ら変わることがないから上記が行えるのである.

次に,摩擦がない系では,実際にはコリオリ力が働くにも関わらず,それを考えることなくr方向の運動方程式が得られた.これは,r方向の式にFθが含まれないからである.

p.141

2ωmrrm =&& (7.77)

ただし,ωすなわちはθの微分は含まれており,r方向の運動とθ方向の運動は連成している.すなわちコリオリ力は,θを介してr方向の式に影響している.θ方向の式が不要であったのは,θの値が,運動方程式を解くまでもなく与えられていたからである.ただし,本例のように,未知の力を求める場合には,変位が既知であっても運動方程式が必要となる.

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・摩擦のない問題でθの式を立てると,押し付け力が求まる.

・押し付け力が不要な場合は,自由度方向の式だけでよい.

・変位が欲しい場合:変位が未知の自由度の方程式を立てる

・力が欲しい場合:力が未知の自由度の方程式を立てる

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m

2ωmk −=ωµmc 2=

r

図7.11 回転棒上の質点に等価な振動系

図5.6

θω &=

θµFFr =

m

rθF

( ) ( ) 02 2 =−++ rmrmrm ωωµ &&&

ばねが負なので,無限遠に遠ざかる

02 2 =−+ ωωµ mrrmrm &&&

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ωθ =& 0=θ&&

rFmrrm =− 2ω&&

θω Frm =&2

θµFFr −=

02 2 =−+ ωωµ mrrmrm &&&

Fr:摩擦力

Fθ:コリオリ力

Fr,Fθを消去

ニュートンの方程式による解法

ω

θFr

θµFFr −=m

θ

rFmrrm =− 2θ&&&

θθθ Frmmr =+ &&&& 2

運動方程式(極座標表示)

輪は棒上を移動

摩擦力と押し付け力の関係

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1/9(火) 13:00開始

1/15(月) 休講

1/22(月) 通常通り

1/29(月) 予備日

3/5(月) 期末試験