茨城大学・茨城学・水戸市担当分 “雑貨のまち”水戸とその背景
水戸市 市長公室 みとの魅力発信課 課長補佐 沼田 誠
自己紹介 地域の魅力を発信するには 水戸は”雑貨のまち” 水戸はなぜ”雑貨のまち”なのか まとめ(課題解決に必要な準備)
京都→札幌→名古屋⇄東京→水戸 2000年水戸市役所に入庁
mito.life
アプリ ブログ 連動
イメージアップ係 ・SNS(Twitter,Facebookページ,LINE@)
・動画(YouTube,ニコニコ動画) ・ブログ
・フィルムコミッション
①お客様は誰か? ②地域の資源は何か? ③どのように編集するか?
(潜在的な)お客様
リーチ
お客様への情報提供が 手薄になる ↑
非効率!
不特定多数へ情報発信すると…
情報を必要としない人にまで情報を届けてしまっている
↑ ムダな労力!
(潜在的な)お客様
リーチ
テレビの場合
より多くのお客様には届くがロスも多い
強い影響力⇄効果は放送中に限定 ↑
・費用対効果の検討 ・効果を継続させる仕掛けも合わせる
(潜在的な)お客様
リーチ
「リーチ=お客様」が理想
お客様を意識して情報発信
誰に届けるかが明確であるほど 媒体や表現・デザインが絞られてくる
地域の資源=地域にとって当たり前のもの
水戸は手掛かりが多い 文献・写真/映像・語り手
地域の人たちの話はよく聞くべき しかし
そのまま受け取ってはいけない ↑
お客様目線に耐えうるものか?
集めたネタを組み合わせて物語をつくる ↓
お客様に届きやすくなる
水戸は”歴史のまち” ↓
歴史ネタは愛好者向け そのままでは一般受けしない
”歴史のまち”水戸の戦略 ↓
今ある地域資源+背景として歴史を描く
「どのように編集するか?」の事例として ”雑貨のまち”水戸
CAUTION!! 今日の話は学術的に検証された話ではない
↑ 文献+聞き取り+想像力で得た仮説
|| 歴史学ではなく歴史ロマン
BeLLY BUTTONオープン時のメンション 「“雑貨のまち”水戸にまた新しい店がオープン!!」
↓ 根拠を探す
同規模の自治体の中で 水戸市は雑貨店が多い
特例市名 雑貨店店舗数 備考
1位 長岡市 84店 日用雑貨店が76店
2位 水戸市 73店 日用雑貨店が37店
3位 福井市 64店
4位 松本市 63店
5位 甲府市 58店
(2012年iタウンページ調べ)
松本市…クラフトフェアまつもと ⇅
水戸市…あおぞらクラフトいち ↓
松本市が”クラフトのまち”なら 水戸市も”雑貨のまち”?
①クラフト系 ②輸入雑貨系
× ③飲食店やイベントスペース等を併設
①クラフト系 地元の雑貨作家の作品を中心に品揃え ・K’s Lively Forest ・kokous ・lollipop cowboy ・アプラウド ・MYA-ZUKI →雑貨店・作家のネットワークの核
miyazono spoon (宮薗なつみ・茨城大学2008年卒)
②輸入雑貨系 海外で直接買付けし輸入 ・タイ工藝ムラカ(タイ) ・LA ROSA MIXICANA(メキシコ) ・MINERVA(ヨーロッパ) ・トネリコ(北欧) (・STRAY SHEEP(ヨーロッパ)) →街の多様性を演出
③飲食店やイベントスペース等を併設 ・MINERVA(ギャラリー+カフェ) ・オカエリ(カフェ(+酒屋)) ・BeLLY BUTTON(ランチ提供) ・hanatoco(カフェ(+花屋)) ・アプラウド(ギャラリー) ・タイ工藝ムラカ(ワークショップ開催) →店を場としてコミュニティを形成
①あおぞらクラフトいち ②マルシェ・ド・ノエル ③水戸雑貨商店街
①あおぞらクラフトいち ・甲高さん(デザイン会社・雑貨店経営) ・作り手とユーザー・作り手同士をつなぐ場 ・2009年~ ・現在はGWと9月の2日間×年2回開催 ・会場…水戸芸術館広場 ・全国から120店超の出店者が集まる ・2日間で10,000人の集客 ・次回…9月19日(土)・20日(日)
②マルシェ・ド・ノエル ・オカエリ他数店舗で主催 ・フランスのクリスマスマーケットをイメージ ←飾り付けは全て手作り ・2012年~ ・現在は11月・4日間開催 ・会場…茨城県近代美術館テラス+芝生広場 ・県内を中心に◯◯店が出店 ・4日間で12,000人の集客
水戸市からの要請により 七ツ洞公園のイベントにも参画
・不思議の国のティーパーティ(春~初夏) ・ケルティック・ハロウィーン(秋)
③水戸雑貨商店街 ・K’s Lively Forest(mitoZakkaZ) ・水戸の雑貨文化を盛り上げたい ・2012年~ ・水戸まちなかフェスティバル+不定期開催 ・地元作家中心
水戸まちなかフェスティバル ・水戸市(商工課)主催の街の文化祭 ・2012年~ ・年に1回(1日間)の開催 ・会場…国道50号(郵便局前~大工町) ・1日で74,000人の集客 ・次回…10月25日(日)開催予定
水戸まちなかフェスティバル 七ツ洞公園のイベント
↑ 市民の取組みを見て行政が協力を要請
市民と行政で協働して行う
商店会などの既存の市民団体ではなく SNSで繋がる新しい市民団体が担い手
イベントのみで街は活性化するか? ↑
“街の活性化”とは具体的に何か?
・街を歩く人が増える? ・テナントである商店が儲かる? ・不動産賃料が上がる(固定資産税が増える)? ・もっと他の何か?
↓ “活性化”の定義が明確でないと 労力や税金がムダになりかねない
西ノ内和紙 (常陸大宮市山方)
・非常に丈夫な紙 →水府提灯:丈夫さを売り ⇄美濃提灯・八女提灯 ・書いた字がにじまない →大日本史などの書物にも使用 ←印刷のための版木 →印刷業や印鑑職人へと転換
水戸黒 ・(青)黒い染物:黒紋付羽織などに使われる ←光圀公が亀屋清兵衛に命じて作らせる →2つの謎 ❶なぜ下野国(栃木県)から移転してきた ばかりの染物屋に命じたのか? ❷なぜ藩主になってすぐ作らせたのか? ・現在は2軒の染物屋が製法を保存
水戸金工 ・佐竹氏が京都から金細工の職人を誘致 ←木葉下(あぼっけ)金山 ・刀の鍔の細工 ←日本刀が実用品から装飾品へ転換 →長州と並ぶ二大生産地になる ・明治維新後、置物などに転換
うなぎの串 ・うなぎの蒲焼 →1800年前後に江戸で流行 →水戸で最初のうなぎの蒲焼…中川楼 ・役人になれば鰻が喰われるが、 役人にならなければ鰻串を削らねばならぬ →後の水戸藩の混乱は食物の恨み? ・「うなぎの串は水戸に限る」 →最高級とされ高値で取引された
七面焼・谷中の桶・水戸押絵・水戸彫・農人形… 様々な工芸があったが衰退・消滅
工芸・内職は廃れてきているが ハンドメイドの文化やセンスは生きている
↓ 現在水戸が”雑貨のまち”になっている背景
①水戸藩は財政難だった ②水戸藩は学問が盛んだった
石高が低い ⇅
徳川御三家としての見栄 光圀公の始めた歴史編纂事業の負担
↑ 現物経済から貨幣経済への変化
財政難だった水戸藩 ↓
農民への年貢の負担が大きい 度々家臣から給与を借り上げ
何でも自分たちで作る +
内職で家計を支える
真面目な人格形成 高い教養レベル
↓ 質の高い工芸・内職を生み出す素地
①水戸藩は財政難だった ②水戸藩は学問が盛んだった
↑ どちらも光圀公が発端
光圀公(水戸黄門)が 水戸を”雑貨のまち”にした!!
まとめ (課題解決のために必要な準備)
中身
課題解決のためには 知識と知識を使うための器が必要
器知識
今のこの状況になっていること ↑
必ず経緯がある
彰往考来 往時(昔)を彰(あきら)かにして未来を考える
↓ 彰考館
大日本史を編纂するなど歴史研究の中心施設
水戸は手掛かりが多い 文献・写真/映像・語り手
みんな=×多くの人 みんな=◯多様な人
ひとりでは考えない できるだけ多様な人の意見に耳を傾ける
↓ より正解に近づくことができる
人のネットワークの中で 意識してハブを演じる
⇅ 情報が自分を
経由するようになる
ぜひ水戸の街で 自分の課題を見つけてみてください
ご清聴ありがとうございました! またどこかでお会いしましょう!!
Facebook:沼田 誠 Twitter:@kafkah [email protected]