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2.設計課題の調査

連続合成桁橋に関しては未確定要素が多く、設計要領や論文等により、設計手法や細部構造について解析・実験等が多く行われている。また、実設計においてもさまざまな設計手法が存在している。

それらを把握し、現状の設計課題を調査する。

2-1.各カテゴリーにおける参考論文内容

連続合成桁をキーワードとする数多い論文において、設計上問題となるであろう以下のカテゴリーにおける、一部分の論文を抽出し、まとめるものとする。

1.補剛材

2.ずれ止め

3.PC床版

4.横ねじり座屈、省力化

5.曲線桁

2-1-1.補剛材

論点・結論

・補剛材の削減 → 製作工数の低減

・水平補剛材省略化、垂直補剛材間隔の拡大

・腹板板厚の薄板化

    補剛材を省略したとき腹板板厚が厚くなる。

    床版による腹板周辺の拘束効果が期待できる。

    腹板の降伏限界幅厚比パラメーターを大きく出来る。

課 題

・合成桁相当のずれ止めを有し、床版の拘束効果が十分期待出来ること。

・せん断応力が小さく、正曲げモーメントが卓越する範囲であること。

・床版のない鋼桁のみ状態において安定の照査が必要。

・限界状態設計法の考え方の整理が必要。

最近の状況

・ 0段配置での腹板板厚の薄板化はJH工事で実績増。

2-1-2.ずれ止め

論点・結論

・連続合成2主桁橋の場合の設計方法橋軸方向のせん断力でずれ止めを設計すれば、ほぼ安全である。偶力による引き抜き力を杭方式として照査する。横桁位置では部分的なスタッド設計の変更が必要となる。  1)スタッドを密に配置する。  2)長尺スタッドを用いる。  3)上フランジ幅を広げ腹板から最外側スタッドまでの距離を大きくする。

・横桁位置では、横桁を充腹形式とし床版を打下す構造とすれば、ずれ止めに作用する引張は激減する。

・コンクリート強度に見合った強度のスタッドを用いた方が合理的である。

・ずれ止めの形状の検討道示ではスタッドを標準としている。

課 題

・2主桁橋のスタッド本数は非常に多くなる。

・実際の構造では、上フランジとの付着が考えられ、検討が必要。

・より合理的にするため、他形式のずれ止めの考案も必要。

・コンクリートの引抜きという観点からの疲労の検討も必要。

・偶力による引抜きの照査としてはRC方式も考えられる。

・せん断力と引張を同時に受ける場合の耐力についても検討が必要。

2-1-3.PC床版

論点・結論

・橋軸直角方向死荷重曲げモーメントの算出方法  

・クリープ・乾燥収縮による経時変化およびプレストレスの損失

課 題

・実挙動にあった橋軸直角方向死荷重曲げモーメントの算出

     → FEM解析 → 多大な労力と費用

・乾燥収縮・クリープによる経時変化の定量的な研究やデータが不足

最近の状況

・垂直補剛材、横桁を考慮した回転バネ支持モデルにより橋軸直角方向死荷重曲げモーメンを算出

2-1-4.横ねじり座屈、省力化

論点・結論

・架設時、完成時において、横構を設けない場合においても、安全性である。

・主桁間隔と支間長の関係により、横倒れ座屈と全体座屈が交互に発生する。

課 題

・横桁取付け部、ジベル等の設計に関して、留意する点が多い。

・その他同様形式の施工方法・照査事例の等のまとめが必要である。

最近の状況

・近年、風荷重における振動は80m級の橋において問題となっており、通達等により支間長  50m以上を対象に風洞実験等が必要となっている。

2-1-5.曲線桁

論点・結論

・曲率の比較的小さい橋においても、少主桁橋が製作コスト等において、優位性がある。

・小主桁に横構を設けた場合、配置によりねじり剛性の向上率が異なる。

課 題

・床版が主桁のねじりを拘束する為、横桁位置連結部での局部応力についての設計方法の確立。

最近の状況

・ 実績のある 1000m程度まで曲率では、施工性等を考慮し曲線桁とする場合が多い

2-2.参考論文一覧

各カテゴリーに対して抽出した論文内容の一覧を以下に示す。

2-2-1.文献一覧表

NO.

文献タイトル

発表年次

発表者

対象橋梁

合成or非合成

内容(Key Word)

1

PC床版2主桁橋の鋼桁補剛材に関する一検討

1997

川崎重工業JH長岡技術大学

千鳥の沢川橋

連続合成

合成桁,2主桁,補剛設計耐荷力,幅厚比パラメータ

土木学会第52回年次学術講演会H9.9

2

局部荷重が作用する補剛された腹板の座屈問題

1997

日本車輌製造新日本技研ヒメノコンサルタント

Atiffened plateElastic bucklingPlate girder web

土木学会第52回年次学術講演会H9.9

3

合成2主桁橋の鋼主桁補剛材設計に関する実験的研究

1998

川崎重工業JH長岡技術大学

千鳥の沢川橋

連続合成

合成2主桁橋,補剛設計極限強度,幅厚比

構造工学論文集 土木学会 Vol.44A pp.1229~1239 1998.3

4

連続合成桁中間支点部の補剛形式の腹板応力分布

2000

東京都立大学東京工大

連続合成

連続合成桁,中間支点部弾塑性有限変位解析補剛設計

土木学会弟55回年次学術講習会H12.9

5

曲げを受ける鋼I形断面の局部座屈強度と限界幅厚比に関する実験的研究

1991

大阪大学

鋼I形断面,降伏限界幅厚比弾塑性有限変位解析,極限強度,極限状態

構造工学論文集 土木学会 Vol.37A pp.135~144 1991.3

6

曲げを受けるI断面はりおよびプレートガーダーの強度設計法の一提案

1993

大阪大学駒井鉄工

設計基準,プレートガダー

構造工学論文集 土木学会 Vol.39A pp.165~174 1993.3

7

少数主桁橋の腹板設計法に関する一考察

1996

川田工業

合成

少数主桁,腹板設計法,省力化,腹板最小厚,垂直補剛材間隔

土木学会第51回年次学術講演会H8.9

8

垂直補剛材長を考慮した腹板パネルの極限せん断強度の評価法

1997

鹿島建設岐阜大学

腹板,せん断,極限強度,設計,FEM

土木学会第52回年次学術講演会H9.9

9

垂直補剛材長を考慮した純せん断を受ける腹板パネルの極限強度

1995

岐阜大学

腹板,垂直補剛材,極限強度せん断

鋼構造年次論文報告集第3巻 1995.11

10

連続合成桁腹板の少補剛設計法に関する研究

1997

川崎重工業

千鳥の沢川橋

連続合成

連続合成桁,少補剛設計法,アスペクト比,耐荷力実験,弾塑性有限変位FEM解析

川崎重工業技報137号 pp.84~89 1998.4

11

合成少数主桁の腹板少補剛設計法に関する解析的研究

2000

JH川崎重工業長岡技術大学大阪大学

千鳥の沢川橋

連続合成

2主桁橋,少補剛設計,弾塑性有限変位解析,幅厚比曲げ強度

土木学会弟55回年次学術講習会H12.9

12

腹板少補剛材(解析パラメータと解析条件)

2000

JH

解析パラメータ,解析条件,アスペクト比,幅厚比,腹板設計法,少補剛薄板化

JH関西支社 資料

NO.

文献タイトル

発表年次

発表者

対象橋梁

合成or非合成

内容(Key Word)

13

連続合成桁中間支点部における水平補剛材の最適取付位置について

2001

八千代エンジニヤリング東京都立大学

連続合成

水平補剛材,中間支点部,連続合成桁橋,弾塑性有限変位解析

土木学会第56回年次技術講習会H13.10

14

連続合成2主桁橋のジャッキアップダウンによるプレストレス導入効果

2001

片山ストラテックJH

大津呂川橋

連続合成

連続合成桁,2主桁,ジャッキアップダウン,プレストレス

土木学会第56回年次技術講習会H13.10

15

ジャッキアップダウン工法によりプレストレスを導入した連続合成桁の長期応力変動確認実験

2001

IHI大阪大学JH高田機工

大津呂川橋

連続合成

連続合成桁中間支点,ジャッキアップダウン,プレストレス,クリープ,乾燥収縮

土木学会第56回年次技術講習会H13.10

16

2主桁橋の施工を移動型枠で

1995

川田工業川田建設日本道路公団

ホロナイ川橋

連続非合成

2主桁、移動型枠

日経コンストラクション 1995.12.8

17

PC床版2主桁橋「ホロナイ川橋」の現場施工

1996

川田工業川田建設日本道路公団

ホロナイ川橋

連続非合成

2主桁橋、場所打ちPC床版、移動型枠、プレファブ鉄筋耐久性、省力化、経済性

橋梁と基礎 96-3

18

横桁の影響を考慮した主桁橋床版の死荷重曲げモーメントに関する一提案

1997

川崎重工業日本道路公団

千鳥の沢川橋

連続合成

長支間床版、床版死荷重曲げモーメント2主桁橋、中間横桁

土木学会第52回年次学術講演会H9.9

19

鋼少数主桁橋の長支間PC床版の移動荷重疲労試験について

1997

日本道路公団試験研究所

PC床版、長支間床版、疲労試験、移動載荷疲労試験鋼少数主桁橋

土木学会第52回年次学術講演会H9.9

20

主桁たわみを考慮した長支間PC床版の断面力に関する解析検討

1997

NKK

長支間PC床版、主桁たわみ、2主I桁橋、FEM解析主桁曲率

土木学会第52回年次学術講演会H9.9

21

長支間床版の設計について

1997

春本鐵工大阪大学

長支間RC床版、床版疲労破壊、S-N曲線、直交異方性

土木学会第52回年次学術講演会H9.9

22

鉄筋コンクリート床版のせん断疲労に関する一試案

1997

春本鐵工大阪大学

床版疲労破壊、S-N曲線、直交異方性

土木学会第52回年次学術講演会H9.9

23

現場打ちPC床版の施工試験

2000

瀧上工業

現場打ちPC床版、プレストレス

土木学会弟55回年次学術講習会H12.9

24

2主桁橋梁の床版死荷重曲げモーメントに関する簡易モデルの提案

2000

片山ストラテック日本道路公団長岡技術科大学

床版死荷重曲げモーメント、2主桁橋、回転バネモデル

土木学会弟55回年次学術講習会H12.9

25

千鳥の沢川橋床版コンクリート供試体の経時計測に関する一考察

2000

川崎重工業日本道路公団

千鳥の沢川橋

連続合成

2主桁橋、連続合成桁、PC床版、経時計測、膨張材

土木学会弟55回年次学術講習会H12.9

26

合成桁中間支点部ひび割れ実験の数値解析

2000

埼玉大学日本道路公団長岡技術科大学

連続合成

連続合成桁、ひび割れ制御、FEM、分布ひび割れモデル

土木学会弟55回年次学術講習会H12.9

NO.

文献タイトル

発表年次

発表者

対象橋梁

合成or非合成

内容(Key Word)

27

連続合成鋼2主桁橋による床版コンクリートの乾燥収縮・クリープ

2000

日立造船大阪大学

連続合成

連続合成鋼2主桁橋、CCL工法、プレストレスリラクセーション、乾燥収縮、クリープ

土木学会弟55回年次学術講習会H12.9

28

連続合成鋼2主桁橋床版中央のT荷重による床版の応力

2000

日立造船大阪大学

連続合成

連続合成2主桁橋、T荷重試験、床版応力、垂直補剛材局部応力FEM解析、肌分かれ

土木学会弟55回年次学術講習会H12.9

29

連続合成鋼2主桁橋プレストレス導入時の床版の応力

2000

日立造船大阪大学

連続合成

連続合成2主桁橋、CCL工法、プレストレス、床版応力FEM解析、緊張力管理

土木学会弟55回年次学術講習会H12.9

30

連続合成鋼2主桁橋ジャッキダウン時の床版の応力

2000

日立造船大阪大学

連続合成

連続合成2主桁橋、ジャッキアップダウン工法、プレストレス床版応力、FEM解析、有効幅

土木学会弟55回年次学術講習会H12.9

31

2主桁橋梁の床版死荷重曲げモーメントに関する計算モデルの提案

2000

片山ストラテック日本道路公団長岡技術科学大学日本大学

床版、死荷重曲げモーメント、2主桁、デザイン

JH関西支社 資料

32

合成2主桁橋の床版結合部の橋軸直角方向応力算出方法の一提案

2001

神戸製鋼所日本道路公団

連続合成

合成2主鈑桁橋、主桁・床版結合部、ずれ止め、応力算出

土木学会第56回年次技術講習会H13.10

33

テンションスティフニングを考慮した連続合成桁中間支点部の鉄筋ひずみの評価

2001

日本道路公団川田工業三菱重工業横河ブリッジ

連続合成

連続合成桁、ひび割れ制御、テンションスティフニング

土木学会第56回年次技術講習会H13.10

34

PC床版合成2主桁橋のずれ止め配置に関する実験研究

千鳥の沢川橋

合成

スタッドの寸法・配置等の設計手法の確立

35

連続合成2主桁橋のずれ止め設計に関する一考察

1997

川崎重工業

連続合成

PC床版、FEM解析、主構造簡易計算、横フレーム計算、ジャッキアップ工法、RC方式、杭方式

鋼構造論文集 第4巻第15号(1997/09)

36

連続合成2主桁橋のずれ止め設計に関する一検討

1997

川崎重工業

連続合成

PC床版、FEM解析、主構造簡易計算、横フレーム計算、ジャッキアップ工法、RC方式、杭方式

土木学会第52回年次学術講演会H9.9

37

40年供用されたプレートガーダー橋の合成性能に関する実験的研究

2000

徳山高専徳山市役所新潟県構造技研

越路橋(新潟県)

非合成

静的曲げ載荷試験、スラブアンカー、RC床版

土木学会弟55回年次学術講習会H12.9

38

連続合成桁のずれ止め配置に関する解析的検討

2000

日本鉄道建設公団川田工業

連続合成

鉄道橋、FEM解析、スタッドジベル、孔あき鋼板、柔ジベル、馬蹄形ジベル

土木学会弟55回年次学術講習会H12.9

NO.

文献タイトル

発表年次

発表者

対象橋梁

合成or非合成

内容(Key Word)

39

連続合成桁の中間支点部におけるコンクリート床版と鋼主桁との合成挙動に関する研究

2000

東京工業大学宮地鉄工所

合成

中間支点部の挙動、鉄筋比の及ぼす影響、コンクリートの引張抵抗力、スタッド、付着

土木学会弟55回年次学術講習会H12.9

40

2主鈑桁橋梁の床版-上フランジ間の荷重伝達機構に関する研究

2000

神戸製鋼所日本道路公団

日計平高架橋

連続合成

荷重伝達、スタッド、垂直補剛材、FEM解析、トラック載荷試験

土木学会弟55回年次学術講習会H12.9

41

TRC床版・サンドイッチ型複合床版を用いた連続合成設計の優位性について

2000

住友金属工業

連続合成

複合床版、連続合成桁設計、鋼重の低減

土木学会弟55回年次学術講習会H12.9

42

FEM解析による連続2主桁の特性に関する一考察

2000

石川島播磨重工業日本道路公団

合成

FEM解析、格子解析、道路橋示方書、有効幅、中間支点部引張域、スタッドの温度応力分布、床版応力の重ね合わせ、床版設計モーメント

土木学会弟55回年次学術講習会H12.9

43

合成桁でのスタッドおよび付着面の挙動に関する研究

2001

東京工業大学東京鉄骨橋梁

合成

合成桁、スタッド、せん断、ずれ、付着

土木学会第56回年次技術講習会H13.10

44

鋼2主桁橋梁架設系の全体座屈に関する検討

H9.9

大阪大学大日本コンサルタント

2主桁橋,全体横ねじれ座屈

土木学会第52回年次学術講演会H9.9

45

少補剛設計した合成2主桁橋の施工時安定性に関する解析的研究

'99.3

日本道路公団長岡技術科学大学川崎重工業

2主桁橋,小補剛,送出し架設

構造工学論文集 土木学会 Vol.45A 1999.3

46

面外荷重作用下の合成2主桁橋の立体挙動に関する検討

H8.9

川崎重工業

省力化,面外力

土木学会第51回年次学術講演会H8.9

47

鋼2主桁橋架設時の横ねじれ座屈に関する一考察

H12.9

日本鋼管日本電子計算

2主桁橋,横ねじれ座屈

土木学会弟55回年次学術講習会H12.9

48

2主桁曲線橋の試設計と合理化への検討

H9.9

北海道大学北日本港湾コンサルタント

2主桁橋,曲線桁,全体製作工数

土木学会第52回年次学術講演会H9.9

49

2主I桁橋の設計における曲線橋への適用性に関する検討

H12.9

佐藤鉄工

2主桁橋,曲線桁

土木学会弟55回年次学術講習会H12.9

50

横構を有する曲線2主桁橋の載荷実験

H12.9

北海道大学ドーピー建設工業

2主桁橋,曲線桁,横構

土木学会弟55回年次学術講習会H12.9

51

2主桁橋の横構省略に対する耐震設計上からの検討

H8.9

日本道路公団川田工業

ねじれ剛性,横構

土木学会第51回年次学術講演会H8.9

52

横荷重を受けた鋼I桁省力化構造の力学特性

H9.9

首都高速道路公団川鉄エンジニアリング

横荷重

土木学会第52回年次学術講演会H9.9

53

鋼橋における省力化・耐久性・経済性の追求

'96.11

日本道路公団

ハイウェイ技術 Bo.1(1995.4)

54

鋼少主桁橋の適用性に関する研究

'95.4

日本道路公団

ホロナイ川橋

日本道路公団試験研究報告 Vol.33(1996.11)

NO.

文献タイトル

発表年次

発表者

対象橋梁

合成or非合成

内容(Key Word)

55

連続合成桁の架設系および完成系の極限強度

H13.10

大阪大学日本鋼管大日本コンサルタント

少補剛,極限強度

土木学会第56回年次技術講習会H13.10

56

FEMによる連続合成桁のひび割れ解析とひび割れ幅の算定に関する研究

H13.10

埼玉大学、長岡技術科学大学、栗本鐡工所駒井鉄工

ひび割れ解析,ひび割れ幅

土木学会第56回年次技術講習会H13.10

2-2-2.文献内容の要約

NO.

文献タイトル

分類

文献内容

結果・課題・疑問点等

PC床版2主桁橋の鋼桁補剛材に関する一検討

補剛材

PC床版連続合成2主桁橋である千鳥の沢川橋における腹板補剛設計の方針の検討内容と確認実験の内容についての紹介である。

合成2主桁橋で代表される少数主桁橋の設計のうえで、鋼桁補剛設計の考え方を整理することとそれを踏まえて限界状態設計法の考え方をまとめることが課題である。

局部荷重が作用する補剛された腹板の座屈問題

補剛材

局部荷重が作用する補剛された腹板の全体パネルについてエネルギー法による弾性座屈解析および数値解析による補剛材およびフランジの剛性の影響について検討した内容の報告である。

局部荷重が作用する補剛された腹板の座屈解析を行った結果、(1)局部荷重が作用する場合の水平補剛材の必要性、(2)フランジ断面のねじり剛性を考慮した場合の座屈荷重について解った。

エネルギー法による解析はFEM解析に比べて簡単にモデル化できるため実務面では有用であると考えられる。

合成2主桁橋の鋼主桁補剛材設計に関する実験的研究

補剛材

PC床版連続合成2主桁形式である千鳥の沢川橋の設計で採用した鋼主桁の腹板補剛設計の検討内容及び確認実験結果の報告である。

アスペクト比α=3,幅厚比β=118,158の断面は1つの照査ケースであり、あらゆる場合について一般性を持たせるために、さらに解析などにより補完する必要がある。

圧縮フランジの寸法が種々変化したときの腹板幅厚比を算出し、設計に使用できるようなテーブルを作成する必要がある。

腹板のアスペクト比α=3程度以上の場合の終局耐力についても、非合成桁であればBaslerの算定式で妥当な値を得ることができるか検討を要す。

幅広の床版を持つ合成2主桁橋のせん断耐力の評価に際して、床版の一部でも有効断面に見込むことができないかを検討する必要がある。

連続合成桁中間支点部の補剛形式の腹板応力分布

補剛材

連続合成桁中間支点部の合理的な設計法の確立を念頭において、補剛形式の違いが腹板の応力分布に与える影響について、弾塑性有限変位解析手法を用いて基礎的検討を行ったことについての報告である。

腹板の後座屈強度を期待するためには、適切な腹板と補剛材の剛比のバランスが必要である。

桁中間支点部の補剛材形式を改良することで、腹板応力分布を改善し腹板幅厚比を大きくすることができる。

解析結果をふまえ今後、適切な補強リブ位置や高さの検討、中間支点部の合理的な設計法の開発について研究を進める予定である。

曲げを受ける鋼I形断面の局部座屈強度と限界幅厚比に関する実験的研究

少補剛材

曲げを受ける鋼I形断面を対象として、断面強度と降伏限界幅厚比に関するフランジとウェブの相互作用の効果を明らかにすることを目的として、フランジとウェブの幅厚比を適切に組み合わせた試験桁を等曲げ実験を行い、極限強度と極限状態近傍における挙動に対するフランジとウェブの相互作用について考察されたものである。また、降伏限界幅厚比について設計基準の規定値と比較を行い、構成板要素の幅厚比による断面の強度区分に関する基礎データを提示されたものである。

鋼I形断面の局部座屈強度と降伏限界幅厚比に関する数値解析結果の妥当性を耐荷力実験によって検証することができた。

曲げを受けるI形断面の局部座屈強度はウェブとフランジの相互拘束効果を強く受け、理想的境界条件の単一板要素の座屈係数を用いて評価されたウェブ幅厚比パラメータとフランジ幅厚比パラメータを用いた降伏限界はウェブとフランジの幅厚比パラメータの相関曲線となる。

断面の降伏限界を与える上記パラメータの関係はほぼ直線となることが明らかになった。

代表的鋼構造設計基準における降伏限界幅厚比は、ウェブとフランジとで個々に規定されており、基準によりまちまちの値が定められているが、実験及び数値解析との比較により、BS5400とAISCを除いた他の基準の規定に統一的な評価を与えることができた。

NO.

文献タイトル

分類

文献内容

結果・課題・疑問点等

曲げを受けるI断面はりおよびプレートガーダーの強度設計法の一提案

少補剛材

はりおよび桁構造に対して道路橋示方書の関連条項を適用することによる問題点を適切に修正し、一般の鋼構造物への適用を目的とした設計基準へのアプローチとして、はりおよびプレートガーダーの曲げ強度の包括的評価について述べている。

曲げ部材について、構造区分を導入することにより塑性設計法を適用できる厚板断面から座屈設計の対象となる薄肉断面までを包括する鋼構造設計法の枠組みを提案している。

断面区分を塑性設計適用断面、塑性強度断面、降伏強度断面および座屈強度断面に分け、板要素の限界幅厚比パラメータに関するデータを示している。

座屈強度断面を対象として水平補剛材を有するプレートガーダーにも適用できる断面強度の設計法を示している。

曲げ部材の横ねじれ座屈に関する基本強度を示し、同一の評価式によって局部座屈と部材座屈の速成座屈強度の評価にも適用できる。

少数主桁橋の腹板設計法に関する一考察

少補剛材

垂直補剛腹板を対象に、圧縮フランジが堅固なPC床版に接合されている支間部に限定して、腹板周辺の拘束効果を期待した腹板の最小厚と垂直補剛材間隔について検討し、考察を述べている。

腹板周辺の拘束効果を期待した最小腹板厚と最大垂直補剛材間隔について検討を行った結果、腹板周辺の拘束効果を期待できれば少数主桁橋の支間部に関しては、腹板厚の薄板化とともに、垂直補剛材間隔の最大値を拡大できる可能性のあることが解った。

床版打設等の架設時に対して別途検討する必要がある。

垂直補剛材長を考慮した腹板パネルの極限せん断強度の評価法

少補剛材

垂直補剛材の長さを変化させたときの腹板パネルの極限せん断強度の数値解析結果に基づいて垂直補剛材長をパラメータとする腹板の極限せん断強度の評価式の提案を行い、腹板パネルの補剛設計のための基礎資料の提示を行っている。

等価幅厚比パラメータを提案し、この等価幅厚比パラメータを用いて垂直補剛材長を考慮した場合の極限せん断強度の推定式を求めている。

垂直補剛材長を考慮した純せん断を受ける腹板パネルの極限強度

少補剛材

純せん断を受ける腹板を対象に、垂直補剛材の長さを変化させたときの腹板の極限強度について、腹板および垂直補剛材の弾塑性挙動を明らかにし、補剛材長さと腹板の極限せん断強度との関係の定量的評価を行うことにより、疲労に有利な補剛設計について検討する基礎資料として述べている。

補剛材長パラメータs/b=0.75のとき、垂直補剛材に大きな曲げ応力度が発生し幅厚比パラメータRτ=1.3で極限強度が低下するがRτ≦1.1ではs/b=1.0の時と比べて極限強度は約5%以内の低下である。

s/b=0.75およびs/b=0.5のとき、極限状態での付加たわみが他の場合と比較して大きくなる。

s/b≦0.5では、補剛材長が短くなるほど、斜め張力場が顕著に現れる。

斜め張力場が顕著に現れるs/b=0.0の場合のほうが極限強度が高い。

疲労を考えた場合、垂直補剛材を短く切り上げることは得策である。省力化の観点からは、Rτを小さくしたり断面変化を極力避けることにより垂直補剛材を省略できる可能性が考えられる。

10

連続合成桁腹板の少補剛設計法に関する研究

少補剛材

日本道路公団・千鳥の沢川橋の設計段階で合成桁の腹板補剛設計に関する考え方を検討し、耐荷力実験や弾塑性有限要素変位FEM解析による検証・確認を行い、実橋に対する適用方法の検討を実施した内容について報告している。

少主桁橋の腹板補剛設計に関して、実験・解析による検討を行い、少補剛薄肉化の合理性と、設計上の安全性照査方法や適用方法を示すことができた。

PC床版2主桁橋で代表される少数主桁橋の設計の上で、鋼桁補剛設計の考え方をもう少し踏み込んで整理し、マニュアル化することと、それを踏まえて限界状態設計法の考え方をまとめることが課題である。

NO.

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文献内容

結果・課題・疑問点等

11

合成少数主桁の腹板少補剛設計法に関する解析的研究

少補剛材

少補剛薄板化設計の基本的考え方を一般的に適用するために、床版を加えた合成断面としての非対称問題として弾塑性有限変位解析を行い、応力勾配をパラメータとして変化させた場合の終局曲げ強度を明確にすることと、合成桁について、曲げとせん断の組み合わせ荷重を受ける腹板パネルの終局強度を明らかにする必要について記述している。

Aw/A’fwを変化させても終局強度に影響を与えない。

応力勾配が小さくなるほど、中立軸が上がるほど、無次元化終局強度は大きくなる。

腹板の幅厚比パラメータRwを1.0から1.6に大きくしても、無次元化終局強度は1割程度しか低下しない。

Rwが一定でR’fを変えても無次元化強度は変わらない。

曲げとせん断の組み合わせ終局強度は、4次式を用いても安全側にある。

12

腹板少補剛材(解析パラメータと解析条件)

少補剛材

JH関西支社において少数主桁橋の腹板補剛設計における解析パラメータと解析条件を既定したものである。

腹板水平補剛材をゼロ段とした場合、下記条件を満足すれば、腹板厚は降伏限界幅厚比の考え方により低減させてもよい。

・合成桁相当のずれ止めを配置しており、床版の拘束効果を十分期待できること。

・せん断応力度が小さく、正曲げモーメントが卓越する範囲であること。

・下フランジ断面決定時の応力勾配ψは、-1.2以下であること。

また、完成時の設計応力状態に対して、曲げとせん断の組み合わせ強度の考え方に基づいた安定性の照査を行わなければならない。

床版のない鋼桁のみの状態において、鋼桁架設時や床版施工時の荷重に対して、理想相当座屈強度に基づいた照査を行うなど、安定性に留意しなければならない。

13

連続合成桁中間支点部における水平補剛材の最適取付位置について

補剛材

連続合成桁中間支点部近傍の1パネルに着目してこのパネルの座屈に対する安全性や補剛材の最適な配置について着目し、解析的な検討について記述したものである。

連続合成桁の中間支点部腹板パネルを弾塑性有限変位解析した結果、腹板厚22mmでh/b=0.24の位置に水平補剛材を取付れば、腹板厚36mmの無補剛と同等の耐力が得られ、腹板厚を約39%低減できた。

結論として、アスペクト比a/b=1、荷重勾配φ=1.25の時に、腹板厚が19mm(b/t=157.9)ではh/b=0.24の時に、22mm(b/t=136.4)ではh/b=0.24の時に、25nn(b/t=120.0)ではh/b=0.23の時に最も耐荷力が高くなることが解った。

14

連続合成2主桁橋のジャッキアップダウンによるプレストレス導入効果

橋軸方向プレストレス導入

大津呂川橋では中間支点付近の床版ひび割れ発生を制御するために、橋軸方向にプレストレスを導入する逐次ジャッキアップダウン工法を採用し逐次合成桁設計を行っているが、実構造物においてその効果を確認するため、中間支点付近の主桁および床版のひずみ量とその経時変化を測定した結果を報告したものである。

ジャッキアップダウンにより導入した橋軸方向プレストレスの経時変化を調査するため、導入直後からの床版及び主桁のひずみを計測した結果、実測値と設計計算値と定性的に合致しており、ジャッキアップダウンによって当初の計画通り中間支点部にプレストレスが導入されていることが分かった。

NO.

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結果・課題・疑問点等

15

ジャッキアップダウン工法によりプレストレスを導入した連続合成桁の長期応力変動確認実験

橋軸方向プレストレス導入

温度・湿度が安定している室内において、連続合成桁をモデル化した模型を用いてジャッキアップダウンを行い、橋軸方向に導入されるプレストレス量の確認と、その長期的変動を計測した結果を示したものである。

中間支点のジャッキダウンによって導入された応力値をみると、床版中央部においては最終目標値とよく一致しており、連続合成桁の中間支点部のジャッキアップダウンによって設計どおり橋軸方向のプレストレスを導入出来ることを確認した。今後、鋼桁・床版の応力を長期計測することで、クリープ・乾燥収縮の経時変化を追跡し、設計の妥当性を検証していく予定である。

16

2主桁橋の施工を移動式の型枠で

施工

日本道路公団 札幌建設局「ホロナイ川橋」の構造及び現場施工の特色が述べてある。

課題は主桁接合方法である。ホロナイ川橋は高力ボルトを使用しているが部材に穴を開けるため強度が落ちる。強度を確保するために母材を厚くする必要があり合理化設計では一部材全てを厚くしなければならない。現場溶接ならそのまま部材を接合出来る。ただ、ムラなく溶接する技術が今後求められる。

17

PC床版2主桁橋「ホロナイ川橋」の現場施工

施工

ホロナイ川橋の架設、維持管理を考えた諸工夫、床版施工を重視した鋼桁の設計、現場打ち床版の省力化システム化された現場施工についての報告である。

プレキャスト床版と場所打ち床版を比較検討し、場所打ち床版を選択しているが、採用にあたっては橋長、工期、施工性、耐久性、品質などトータル的に経済性を追求する事が課題である。

移動支保工は果たして本当に経済的なのか。

18

横桁の影響を考慮した主桁橋床版の死荷重曲げモーメントに関する一提案

床版設計

PC床版2主桁橋の床版死荷重曲げモーメントは張出しを考慮した主桁位置で床版を単純支持したモデルにより算出してきたが、中間横桁の影響を考慮し比較検討を行い、その評価方法を提案する。

現在のJH設計要領第2集の床版死荷重曲げモーメント算出要領の元になった提案である。

19

鋼少数主桁橋の長支間PC床版の移動荷重疲労試験について

PC床版

鋼少数主桁橋の特徴である大きな床版支間に着目して、今後のPC床版の最適設計手法を模索するため、実物大のPC床版供試体による移動載荷疲労試験を実施した報告である。

今回の試験より、現行道示の規定において設計された鋼少数主桁橋の一方向PC床版については十分な疲労強度を有しており設計上は安全であることが確認された。現行の床版設計法は耐荷力設計であるが、長支間PC床版の場合、より合理的な設計法とするには今後疲労限界状態設計法に移行する必要があると考えられる。

20

主桁たわみを考慮した長支間PC床版の断面力に関する解析検討

PC床版

少数主桁橋では、多主桁橋の場合より床版自体の剛性は増加する。一方、鋼桁たわみによって床版に付加される曲げ応力の影響は無視できないことが推測される。そこで、主桁たわみが床版断面力に与える影響についてFEM解析により検討を行った報告である。

等方性版では、主桁たわみによって橋軸方向に大きな付加曲げモーメントが発生する。床版応力と主桁曲率の関係より、付加曲げによる影響を小さくするためには、主桁曲率δ/Lを目安として1/1000程度以下とする必要がある。

異方性版では、主桁たわみを考慮した場合でも直交異方性によって橋軸方向曲げモーメントを橋軸直角方向より小さくできる。合成桁では橋軸方向圧縮力も加わるので、橋軸直角方向に主部材を配置する1方向PC床版でも対応が可能となる。

NO.

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結果・課題・疑問点等

21

長支間床版の設計について

床版設計

少数主桁橋の鉄筋コンクリート床版の支間は、道示の規定範囲を越えることが予想されその設計法の確立が急がれる。道示の規定支間範囲では、床版の疲労破壊はコンクリートのせん断破壊が先行すると考えられるが、支間長が増大すると床版厚が増加しせん断耐力が向上し、疲労破壊はコンクリートのせん断破壊から鉄筋の疲労破壊に移行すると考えられる。よって、これら2種の疲労減少を考慮した疲労設計から最小床版厚を決定すべきだと考え床版支間2~6mの範囲内で試設計を行った。

コンクリートのせん断破壊と鉄筋の疲労破壊から決定される床版厚の比較を行い、厚い方が疲労耐久性を満足する床版厚となる。床版厚が疲労照査により薄く出来る場合、再度設計曲げモーメントに対して応力照査を行うと、許容応力度を越えると予想される。長支間床版では経済性、耐久性を考慮してプレストレスを導入することが一般的であるが、フルプレストレスでなく、その導入量を少なくすることが経済性や施工性の面から求められている。従って、RC構造の検討も基礎的な資料として生かされると考えられる。今回の検討は単純版に限定したが、今後は連続版についても検討を予定している。

22

鉄筋コンクリート床版のせん断疲労に関する一試案

床版設計

床版コンクリートのせん断疲労照査方法はこれまで、短支間のものについて提案されており、長支間床版に対応した方法は今のところ考えられていない。長支間になるとせん断力が向上し、照査の必要が無いと考えられるが、どの程度の床版支間・床版厚になるとせん断疲労から曲げ破壊に移行するのかが不明確である。そこで、既往のせん断疲労に関する実験とそこから得られたS-N曲線を用いて長支間でも疲労照査する方法を考案した。

B活荷重相当の大型車両の交通量が一日あたり1000台とし、着目点を通過すると仮定しても疲労破壊に至るまでは5260年となり、せん断破壊は起こり得ず、逆に鉄筋応力度が支配的になり疲労破断が先行する可能性が考えられる。今回の検討では走行位置や車種の特性など確率的要因を考慮していないので今後検討する予定である。

23

現場打ちPC床版の施工試験

PC床版

場所打ちPC床版において、PCケーブル緊張時に横桁部材が床版の弾性変形を拘束することによるプレストレスの損失の問題が明確にされていない。よって、実橋を対象とした応力測定を実施した。また非合成として設計されているが、実際には床版と鋼桁が合成断面として機能することが予想されるため、載荷試験により合成効果についても確認した。

プレストレス導入試験の結果、PCケーブル緊張後のプレストレス応力分布は、設計値及び解析値との差異はあったものの、床版の性能上は問題がないプレストレスが導入されている。

載荷試験の結果、ひずみ分布がほぼ直線となっていることから、後死荷重および活荷重に対しては完全合成桁として挙動するものと考えられる。なお、床版の有効幅を逆算すると地覆コンクリートを含めたほぼ全幅が有効であると考えることが出来る。

24

2主桁橋梁の床版死荷重曲げモーメントに関する簡易モデルの提案

床版設計

JH設計要領第2集では橋直方向床版死荷重曲げモーメント算出において、横桁の有無により「完全固定モデル」と「単純梁モデル」との2つのモデルにより設計している。しかしながらこれらを同時に満足させるためには水平配置した多くのPC鋼線が必要となり不経済となる。また、実際に生じている曲げモーメントをただしく評価しないと危険側の評価を与える場合がある。ここでは、FEM解析によりPC床版の挙動を把握するとともに、垂直補剛材・横桁などの影響を回転バネに置換した「回転バネ支持モデル」を提案している。

この設計手法は現在JHにおいて採用されているが、主桁間隔が5.5~6m程度、張出し長は2.5~3m程度の一般的な2主桁に限られていると思われる。主桁間隔がもっと広い場合や3主桁においてはこの手法に準じてよいか疑問である。

NO.

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文献内容

結果・課題・疑問点等

25

千鳥の沢川橋床版コンクリート供試体の経時計測に関する一考察

PC床版

PC床版連続合成2主桁橋構造である千鳥の沢川橋では床版コンクリートに膨張材を使用しているが、その乾燥収縮量に対し道示に規定されている200μを採用するのではなく150μを採用して設計を行った。この有効性を適切に評価するために供試体を製作し、これらのクリープ、乾燥収縮や、膨張材の効果を確認・検証するための12ヶ月の経時計測を実施した。

供試体によるクリープ・乾燥収縮経時計測結果から次のことが確認できた。

1 鉄筋はコンクリートの膨張・収縮の挙動を拘束する。

2 膨張材の効果は材令12ヶ月目でも持続する。

3 膨張材はクリープの進行を早める。

今後も引き続き経時計測を継続していく予定である。

26

合成桁中間支点部ひび割れ実験の数値解析

床版設計

連続合成桁の中間支点近傍を取り出した実物大の部分供試体を作成し、負曲げモーメントによる床版のひび割れ性状の観察と、移動輪荷重載荷による疲労性状の検討を行っている。ここでは、負曲げモーメント作用時のひび割れ性状までを有限要素法でシミュレーションし解析結果と実験結果を比較した結果を報告する。

今回の実験のひび割れ性状は、ほぼ同様な挙動がFEM解析でも再現されている。従ってひび割れ時の有効幅の検討等がFEM解析から今後可能になるものと考えられる。また、乾燥収縮・クリープの影響についても今後の課題となる。

27

連続合成鋼2主桁橋による床版コンクリートの乾燥収縮・クリープ

PC床版

合成鋼2主桁橋の床版に導入されたプレストレスがコンクリートの乾燥収縮・クリープによって時間の経過とともにどの程度減少していくのか定量的な研究やデータが非常に少なく、設計上の問題となっている。これらの定量的なデータを得るために1/2縮尺模型を製作し、コンクリート床版の乾燥収縮・クリープの経時変化及びPC鋼材の引張力を長期に計測した結果を報告する。

PC鋼材の引張力の減少は道示でほぼ推定可能だが、床版内部のコンクリートの乾燥収縮・クリープによるひずみ量は道示では橋軸方向が、コンクリート示方書では両方向ともかなり小さいことがわかった。なお、230日間の計測でもまだ収束性が見られないため今後も計測を継続する計画をしている。

28

連続合成鋼2主桁橋床版中央のT荷重による床版の応力

床版設計

標準的な主桁支間6mの合理化連続合成鋼2主桁橋の中間支点部に着目し、橋軸及び橋軸直角方向にプレストレスを導入した床版の主桁支間内にT荷重が作用した場合の床版、スタッド及び垂直補剛材に生じる応力について、1/2模型載荷試験をした結果を報告する。

主桁上は完全固定ではなく、柔節点構造である。また、垂直補剛材位置では鋼桁と床版間に隙間が生じ、垂直補剛材上端に応力集中は見られなかったとあるが、隙間の大きさにより応力集中はどう変わるのか疑問である。

29

連続合成鋼2主桁橋プレストレス導入時の床版の応力

床版設計

実橋の1/2縮尺模型を用いて中間支点上床版にCCL工法による橋軸直角方向プレストレスを導入した場合の模型実験とFEM解析の床版応力結果を報告する。

橋軸直角方向にCCL工法を用いてプレストレスを導入した結果、横桁の拘束効果によって床版下面及び内部応力は24~30%減少する。やはり横桁拘束の影響は大きいため、文献NO.61のモデルを用いる必要があると思われる。

30

連続合成鋼2主桁橋ジャッキダウン時の床版の応力

床版設計

実橋の1/2縮尺模型を用いて中間支点上のジャッキアップダウン工法によって橋軸方向プレストレスを導入した場合の床版応力について模型実験とFEM解析を実施した結果を報告する。

ジャッキアップダウン時の床版応力分布はFEM解析とよく一致した。また、計測値及びFEM解析値から得られた床版有効幅は、道路橋示方書より7.2%程度小さかった。床版有効幅について今後検討する必要がある。

NO.

文献タイトル

分類

文献内容

結果・課題・疑問点等

31

2主桁橋梁の床版死荷重曲げモーメントに関する計算モデルの提案

PC床版

PC床版鋼2主桁橋の橋軸直角方向死荷重曲げモーメントの算出において、床版支間部の設計曲げモーメントは道示では張出部の影響を考慮していないため正側に安全すぎる値となる。JH設計要領では横桁の有無によって2つのモデルを用いて設計する事となっている。しかしながらこれらを同時に満足させるためには多くのPC鋼線が必要となり不経済となる。したがって、ここでは、FEM解析により死荷重が作用した場合のPC床版の挙動を把握するとともに、床版の死荷重曲げモーメントを簡易にかつ適切に評価できる手法を提案する。

解析結果より、床版死荷重曲げモーメント算出時の計算モデルは、垂直補剛材や横桁によって支持された回転バネ支持モデルとした。その際の回転バネは、垂直補剛材および横桁の曲げ変形によるバネと垂直補剛材の局部変形による連成バネとする。ここで提案した計算モデルによる手法と従来の手法とを用いてPC床版の設計を行ってみると、8割程度のPCケーブル量となる。また、固定支持でケーブル間隔および配置を決めて、単純支持で照査した場合、死荷重時に引張応力が作用する事になり、PRC設計の考え方と矛盾することになるが、計算モデルではその様なことはない。

32

合成2主鈑橋の床版結合部の橋軸直角方向応力算出方法の一提案

PC床版

合成2主桁橋において床版と鋼主桁の結合部には面内変形により橋軸直角方向に曲げ応力が働くことが既往の調査・研究より指摘されている。これに対し簡易な作用力計算法が提案されているが、より簡易な手法が必要であると考えられるため、床版結合部の橋軸直角方向応力算出式を提案する。

応力算出方法の提案式は、FEM解析とは良い一致をみたが実測結果とは未だ隔たりがある。今後、結合部の挙動をより詳しく検討すると共に、提案手法の精度向上を行うのが課題である。

33

テンションスティフニングを考慮した連続合成桁中間支点部の鉄筋ひずみの評価

PC床版

連続合成桁の課題のひとつが中間支点部の設計であり、ひび割れ照査方法について土木学会コンクリート標準示方書のひび割れ幅算定式を合成桁に拡張して適用する検討を行った。これらの検討結果のうち、コンクリートが引張力を負担できるとするテンションスティフニングの影響を考慮した中間支点部の鉄筋ひずみの算定式について報告するものである。

設計荷重レベルでは理論式とFEM解析値がほぼ一致しており、土木学会式を合成桁に適用するにあたり、テンションスティフニングの影響を考慮したひび割れ幅の算定方法として位置付けられるものと考えられる。また鉄筋ひずみの評価の中で付着の程度を表す係数βを用いているが、繰り返し荷重を受ける供用時の鉄筋に関してわが国で十分な研究成果がなく、今後の研究が待たれるところである。

34

PC床版合成2主桁橋のずれ止め配置に関する実験研究

ずれ止め

No41参照

No41参照

35

連続合成2主桁橋のずれ止め設計に関する一考察

ずれ止め

No41参照

No41参照

36

連続合成2主桁橋のずれ止め設計に関する一検討

ずれ止め

立体FEM解析の結果から、ずれ止め作用力を明らかにする。また、主構造簡易計算および橋軸直角方向の横フレーム計算を行えば、ずれ止め作用力を評価できる。

照査方法として、スタッド群が偶力を受けるとして、最外側スタッドの引き抜きせん断応力がコンクリート床版の許容せん断力を満たすか否かによる杭方式として照査する。

1 横桁位置の橋軸直角方向偶力によるスタッドの引き抜きには、安全側の評価を得ることができるという観点から杭方式により照査したが、RC方式も考えられるので、その考え方は今後の課題とする。

2 偶力による引き抜き照査の結果から横桁位置では、橋軸方向にさらに密にスタッドを配置する。長尺スタッドを用いる。上フランジ幅を広げる等の部分的なスタッドの設計の変更が必要となる。

NO.

文献タイトル

分類

文献内容

結果・課題・疑問点等

37

40年供用されたプレートガーダー橋の合成性能に関する実験的研究

ずれ止め

40年供用された非合成桁供試体を用いて静的曲げ載荷試験を行い、部材の終局までの挙動ならびにRC床版と鋼桁間のずれを調査し本橋梁の合成性能を考察した。

初期段階では完全合成に近い状態にあり、スラブアンカーのせん断応力度は上昇していったが、(スラブアンカーの許容応力度内で)床版にひび割れが発生したことで、せん断応力度が減少し、最終的には鋼材の座屈が先行して床版の浮き上がりにより破壊に至ることが確認された。

38

連続合成桁のずれ止め配置に関する解析的検討

ずれ止め

鉄道の連続合成桁橋のずれ止めとしてスタッドジベル、孔あき鋼板ジベルH型鋼を利用した柔ジベル、馬蹄形ジベルを様々な組み合わせで配置し、FEM解析を行った。

従来、鉄道橋では馬蹄形ジベルが一般的に用いられており、馬蹄形ジベルと柔ジベルを組み合わせた構造もしばしばある。しかし、解析結果からジベル変化部での卓越したせん断力は大きな問題である。

解析結果から、現状における鉄道橋のずれ止めには、支間部支点部を通して孔あき鋼板を用いることが推奨される一手法である。

39

連続合成桁の中間支点部におけるコンクリート床版と鋼主桁との合成挙動に関する研究

ずれ止め

中間支点部の挙動を把握し今後の設計に反映させていくことを目的に負曲げ領域を再現した桁試験と解析を4タイプのスタッド配置、鉄筋比で行い、その影響について調査を行った。

付着が切れる前までは、スタッドにはほとんど応力は発生せず、ひび割れ幅・ひび割れ間隔・鋼桁および鉄筋のひずみ分布はそれぞれの試験体で同程度であった。

終局状態は、スタッド間隔が狭い場合は、上フランジの降伏であり、スタッド間隔が広い場合は、スタッド周りのコンクリート圧縮破壊であった。

中間支点部でスタッド本数を減らすと、ひび割れ幅が小さくなったが、これはコンクートと鋼桁との負担割合の差によるものと考えられる。

中間支点部では、スタッド本数による終局荷重がそれ程差がない。

40

2主鈑桁橋梁の床版-上フランジ間の荷重伝達機構に関する研究

ずれ止め

現在の少数主桁橋梁では、床版―上フランジ間の剥離、ハンチ部でのひび割れなどの問題も報告されているので、本報では、連続合成2主桁橋に対して活荷重載荷試験および有限要素解析を行い、比較検討することで、床版―上フランジの荷重伝達機構について考察を行う。

G1桁では、スタッド直下に垂直補剛材がある。

G2桁では、スタッド間に垂直補剛材がある。

有限要素解析のモデル

a)完全合成

b)床版と上フラン時間の荷重伝達はスタッドのみ

c)ウェブ上のみを完全合成とし、その他の部分ではスタッドのみで荷重を伝達する。

載荷試験結果の検討

1 垂直補剛材直下にあるスタッドには軸力の作用が認められるが、それ以外では垂直補剛材直上と比べて、スタッドにはほとんど軸力は伝達されない。

2 垂直補剛材への力の伝達は、その上でのスタッドの有無によって異なる。

3 有限要素解析の3モデルの比較より、c)のウェブ上合成モデルが試験結果を定性的に捉えることができる。

この結果は、垂直補剛材の上にスタッドがあるような特殊な断面を除いては、ウェブ上では床版と上フランジは接触し、その他では隙間を生じ、荷重伝達のほとんどはウェブ上で行われていることを示唆するものと考えられる。

NO.

文献タイトル

分類

文献内容

結果・課題・疑問点等

41

TRC床版・サンドイッチ型複合床版を用いた連続合成設計の優位性について

合成床版

合成床版を連続合成桁に適用した際、主桁作用に対する抵抗断面に床版鋼材を算入できることにより主桁の鋼重が軽減できることに着目して、PC床版連続合成設計に対する経済性を検討した。

PC床版連続合成桁に対してTRC床版を適用することで6%程度鋼重を低減できる。

PC床版連続合成桁に対してサンドイッチ型複合床版を適用することで5~8%程度鋼重を低減できる。

42

FEM解析による連続2主桁の特性に関する一考察

解析

連続2主合成桁橋の設計において、格子、FEM両解析の応力比較を行い、FEMにより道路橋示方書などで規定されている合成桁の設計上の仮定について検証している。

・解析手法の検討

格子、FEM両解析方法でほぼ同じ結果が得られた。FEM解析では、支点状態を面支持とした方が実際に即している。

・道路橋示方書との比較

示方書で規定されている仮定(有効幅、中間支点部引張域、スタッドの温度応力分布、床版応力の重ね合わせ、床版設計モーメント)とFEM解析とを比較し、両者はほぼ一致した結果が得られ、FEMによる設計も十分可能であることを示した。

上記より、これまでどおり格子解析で設計を行うことは妥当であるといえる。

43

合成桁でのスタッドおよび付着面の挙動に関する研究

ずれ止め

合成桁のコンクリート鋼桁間の挙動を把握するため、スタッド間隔を飼えた3つの桁供試体を用いて載荷実験を行っている。そして、①荷重、たわみ②床版-フランジ間の相対的ずれ量③中立軸の変化④スタッドのひずみ⑤付着強度を測定している。

1 スタッド間隔を広げても、付着が切れる前は、桁の剛性にはほとんど差がない。

2 衝撃音がして曲げ剛性の低下が起こる荷重付近でずれが発生する。

3 中立軸はずれの発生とともに急に下がる。

4 付着がある場合、スタッドにはせん断力がほとんど作用しない。

5 付着強度は、0.44~0.53Mpaであった。

44

鋼2主桁橋梁架設系の全体座屈に関する検討

横ねじり座屈

支間長と主桁間隔の比(L/B)が大きい鋼2主桁橋梁に着目し、単純桁,連続桁の架設時における安定性の検討したものである

・荷重レベルを上げると全体横ねじれ座屈が生じる。L/Bの小さいモデル(横桁間隔10m)には、全体横ねじれ座屈が生じる荷重より大きい荷重に対してであるが、横桁を拘束点とする主桁の横倒れ座屈が生じる。・単純2主桁橋:L/B=15以上、2径間連続2主桁橋:L/B=20以上の場合では、架設時床版打設直後に全体ねじれ座屈による安定性が問題となる。

45

少補剛設計した合成2主桁橋の施工時安定性に関する解析的研究

横ねじり座屈

千鳥の沢川橋(PC床版連続合成2主桁)の全橋一括送出し架設時および床版施工時における安定性を解析的に検討したものである

解析検討の結果、施工時の安全性は検証できたが、今後同様の構造形式において、施工方法と照査事例の蓄積,整理、設計施工方針等をまとめる必要がある。

46

面外荷重作用下の合成2主桁橋の立体挙動に関する検討

横ねじり座屈

合成2主桁橋の面外荷重による立体挙動をFEM解析をおこない、発生応力等について検討したものである

主桁に関しては風、地震ともに決定ケースとならないが、支点上横桁およびジベル作用力等の部材に関しては留意する必要がある

47

鋼2主桁橋架設時の横ねじれ座屈に関する一考察

横ねじり座屈

横桁間隔および横桁取付け部補剛材のねじり剛度が、鋼2主桁橋の横ねじり座屈に対する安全性に与える影響について検討したものである

横桁間隔および横桁取付け部補剛材のねじり剛性は横ねじり座屈の安全性にかなり影響する。

NO.

文献タイトル

分類

文献内容

結果・課題・疑問点等

48

2主桁曲線橋の試設計と合理化への検討

曲線桁

曲率の比較的小さい曲線桁について製作コストに着目し、少主桁(2主桁)と多主桁(4主桁)の試設計を比較したものである。

製作コストにおいて2主桁橋の優位性が示された、また部材数減少に伴い工数短縮も期待出来る。

49

2主I桁橋の設計における曲線橋への適用性に関する検討

曲線桁

2主I桁橋の曲線橋に対する適用限界を試設計およびFEM解析を行い検討を行ったものである

2主I桁曲線橋では、曲率とたわみの比較のみを基準に適用性は判断出来ない。また、床版は主桁のねじりを拘束する為、横桁位置の結合部での局部応力について設計手法を考える必要がある。

50

横構を有する曲線2主桁橋の載荷実験

曲線桁

2主桁曲線橋において、横構を種々の形式で配置した場合の、ねじり剛性向上の効果を実験的に検討したものである

横構は構造全体のねじり剛性の向上に有効であり、配置方法により効果が異なる。

51

2主桁橋の横構省略に対する耐震設計上からの検討

省力化

横構の有無が2主桁橋の動的な挙動に及ぼす影響について検討したものである

地震に対して2主桁橋では横構の関与は少ない、横構を省略しても安全である。

52

横荷重を受けた鋼I桁省力化構造の力学特性

省力化

従来構造(対傾構,横構有り)と省力化構造(横桁,横構無し)に対して、横荷重が主桁とRC床版取付け部や支点部の横方向補強材に与える影響を立体FEM解析により検討したものである

横荷重の影響は支間部では小さく、支点部近傍では大きくなる傾向がある。また、端対傾構と端横桁では上フランジのせん断力分布が大きく異なる為、省力化構造の主桁とRC床版取付け部の設計には配慮する必要がある。

53

鋼橋における省力化・耐久性・経済性の追求

省力化

鋼2主桁橋(ホロナイ川橋)の概要説明

54

鋼少主桁橋の適用性に関する研究

省力化

少主桁橋の全体構造に関して主桁配置や横方向部材の寸法・配置を概略設計と立体FEM解析の検討結果、主桁と床版の結合部(中間支間)に関して静的及び動的の実験結果、これらの結果より少主桁橋の設計法に関する検討を行ったものである

・主桁本数は3主桁より2主桁が優位であり、幅員16.5m(第二東名・名神)の場合、主桁間隔は10mが適切である。また、横桁取付け位置は中段または下段が有効と判断出来る。・非合成桁の実際の応力挙動は合成桁であり、床版損傷についても合成、非合成で差違はない。・合成桁の中間支点上断面は、鋼+鉄筋断面で照査し、最小鉄筋量およびひび割れ幅について道示レベルであれば十分である。・少主桁橋の主桁設計は、従来の多主桁と同等の設計方法で行なえる。ただし、横桁等についてはフレームモデルによる設計が妥当である。

55

連続合成桁の架設系および完成系の極限強度

補剛材

少補剛の観点から、弾塑性有限変形解析により正曲げ強度,正曲げ・せん断強度,負曲げ・せん断強度の極限強度特性について考察したものである

正曲げ・せん断強度においては安全率確保の面で少補剛設計は無理であるが、正曲げ,負曲げ・せん断強度(特に支間中央部)においては少補剛設計は可能である。

56

FEMによる連続合成桁のひび割れ解析とひび割れ幅の算定に関する研究

床版設計

床版コンクリートひび割れ幅に関して、負曲げ載荷試験とFEM解析の結果より、ひび割れ算出方法を検討したものである

FEM解析により、ひび割れ間隔については実験値とほぼ一致したが、ひび割れ幅についてはモデル化の関係上多少異なる結果となった。ただ、Hanswille理論では行えない橋軸直角方向の変化検討が可能である。

2-3.実設計における設計手法

実設計における設計手法について、アンケートを行った結果を以下に示す。

 2-3-1.連続合成桁における設計手法

1.物理定数

ヤング係数(n)

道示通り(クリープn=14,乾燥収縮n=21,温度差n=7)

100%

最終収縮度(εs)

道示通り(εs=20×10-5)

 

 

82%

膨張コンクリート使用..千鳥の沢川橋等(εs=15×10-5)

18%

2.断面力の算出

支点上付近(0.15L区間)の剛度について

鋼桁設計時

 

合成

0%

鋼断面

100%

床版設計時

 

合成

91%

鋼断面

9%

横桁設計時

 

合成

0%

鋼断面

100%

反力算出時

 

合成

0%

鋼断面

100%

たわみ算出時

 

合成

17%

鋼断面

73%

※参考(橋建) 鋼桁設計時:鋼断面、床版設計時:合成断面

クリープ、乾燥収縮および温度変化による静定力載荷位置

クリープ

 

 

後死荷重正曲げ範囲

82%

全 長

18%

乾燥収縮

 

 

0.15L区間以外

73%

全 長

27%

温度変化

 

 

 

 

全 長

100%

※参考(橋建)

3.断面決定

合成断面と鋼断面との分岐応力度 = 0 N/mm2

100%

※参考(橋建) 分岐応力度 = 0 N/mm2

支間部のアスペクト比(垂直補剛材/腹板高)

道示通り

 

 

 

 

 

36%

その他 (アスペクト比=3以下(3橋),2.47,2以下,1.9 )

64%

 

 

 

 

 

 

 

 

水平補剛材段数

 

0段

73%

1段

17%

水平補剛材0段の場合、支間部の腹板薄板化

行った( 24mm→19mm,22mm→18mm 等 )

55%

行っていない

45%

中間支点床版の応力度制御条件

荷 重

条件(制限)

D+PS+CR+SH+T+L

引張応力を許さない

 

0%

D+PS+CR+SH+T+L

ひび割れを許さない

 

0%

D+PS+CR+SH+T

 

引張応力を許さない

 

0%

D+PS+CR+SH

 

引張応力を許さない

 

36%

D+PS+CR+SH+T

 

ひび割れを許さない

 

18%

D+PS+CR+SH

 

ひび割れを許さない

 

9%

D +CR+SH+T+L

ひび割れ幅を制限

 

18%

参考文献 連続合成2主桁の中間支点部ジャッキアップダウンに関する一考察,

      土木学会第53回年次学術講習会(H10.10)

逐次合成時の打設途中に対する床版許容引張応力度

コンクリート示方書通り

 

 

45%

その他 ( 2.2(2橋),2.35(2橋),2.4 )

 

55%

鉄筋応力度によるひび割れ照査

橋建(ハンスビル式)

 

 

 

36%

コンクリート標準示方書(土木学会式)

 

 

36%

コンクリート標準示方書 + テンションスティフニング効果

 

27%

床版作用と主桁作用の重ね合わせ

道示通り 許容応力度割増し:コンクリート40%,鉄筋20%

18%

橋建通り 許容応力度割増し:コンクリート40%,鉄筋40%

36%

許容応力度割増しなし、L荷重のみ×0.6とする

45%

4.ずれ止め

ずれ止めの種類 = スタッド

 

 

100%

スタッドのサイズ

φ22×150,φ22×200<5>,φ22×250,φ25×140,φ25×200<2>

許容せん断力

道示通り

 

 

 

 

 

64%

鋼構造物設計指針 PART B

 

 

36%

ずれ止め設計力

せん断力

橋 軸

考慮

100%

未考慮

0%

 

橋 直

考慮

100%

未考慮

0%

 

合 成

考慮

55%

未考慮

45%

引き抜き力

 

考慮

82%

未考慮

18%

格点上の配置

一般部より密に配置

 

 

 

45%

一般部と同様

 

 

 

 

45%

2-4.最近の設計課題

 2-4-1.コンクリート床版におけるひび割れ対策について

 現在、JHを中心にPC床版を有する2主鈑桁橋の施工実績が増えてきているが、それまで施工実績が少なく床版施工にかんする施工管理が十分でないことに起因し、多くの橋梁でひび割れ発生が見られることが最近の調査で判明したと聞いている。

 ひび割れ発生の主な要因は、①床版の温度応力による影響、②コンクリートの不的確な配合、③移動型枠による施工時の検討不足などが考えられている。

 これに対する対策は、次のように検討されている。

 ① 施工法

 施工長と工事費との経済性の観点より,施工長180m程度までは固定型枠工法とし,それ以上は移動型枠工法を標準とするが,桁構造,現地施工条件(桁下高,桁下地形等)及び全体工程を考慮して決定する。

 ② 温度応力によるひび割れ対策

 現場打ちPC床版に用いられるコンクリートは,従来のRC床版に比べ強度アップに伴うセメント量の増,施工サイクルの短縮化による早強セメントの採用により,従来のRC床版に比べ水和反応による発熱の大きいものとなっており,この影響(温度応力と称す)を考慮した施工が必要となる。

 温度応力によるひび割れは下記2タイプが考えられ,

a. コンクリート打設後1~2日の温度上昇時期で,床版内の温度差が大きくなる時期に発生するひび割れ

・鋼製型枠のような保温効果の小さい型枠を使用する場合,山間地で外気温の日較差が大きい場所,寒風がコンクリート露出面を直接吹きつける場合等

b.コンクリート打設後3日目頃から10日目前後の時期で部材全体の温度が外気温に近づく時期に発生するひび割れ

・外部拘束度の大きい既設物に隣接する部分にコンクリートを打設する場合で,コンクリート硬化時の内部温度上昇から温度が降下する際の拘束

 対策としては次のことを行う。

a.膨張材を添加し,ケミカルプレストレス効果により水和反応による温度応力を相殺させる(ひび割れ調査結果からも明らかになった)。

・膨張材の添加量としてはコンクリートの強度確保上,収縮補償(30kg/m3)程度が望ましい。

b.最大温度を下げ,温度差を少なくする。

・セメント量を少なくして発熱量を下げる。単位セメント量を350kg/m3(③参照)以下とする。

・AE減水剤を使用し,配合調整(s/aを小さく,スランプを小さく,等)により単位セメント量を少なくする。但し,設計材齢強度は確保すること。

c.コンクリート表面をマット(+シート)養生により被覆し,直射日光を遮り通風を防ぎ環境を改善し,温度の降下を緩やかにする。更に時期によっては給温養生を行うことも検討する。

d.暑中打設の場合には材料の温度上昇を防止し,コンクリートの温度上昇を抑える。また,出来るだけ気温の低い時期に打設して打込み温度を下げる。

 ③ コンクリートの配合

 次を目標配合とする。

  W/C+E(結合材):45程度(含膨張材)

  スランプ      :8~12cm

  単位水量    :150~160kg/m3(高性能AE減水剤等の使用により水量減)

  単位セメント  :350kg/m3以下(膨張材を含まず)

  膨張材       :30kg/m3

 配合については,地域により骨材の品質にバラツキがあるので,施工直前に必ず試験練を実施し所要の品質の確認を行うこと。上記配合にて強度を満足できない場合には,別途検討を行う。

 ④ 移動型枠工法

a.移動型枠重量のひび割れのに与える影響は小さいと判断されるが,リバウンドの影響を小さくするために軽量化に努める。

b.移動型枠は軽量化が望ましいが,剛度不足による床版の変形が大きくならないよう設計する。

c.使用コンクリートは普通セメント+膨張材が好ましいが,施工上工程短縮が必要な場合には早強セメント+膨張材とし,プレストレス導入には3日後(コンクリート圧縮強度32.5N/mm2以上)を標準とする。ただし,水和熱の影響について,事前に十分な検討を要す。

d.5日以上湿潤養生を行う。

 ⑤ 固定型枠工法

a.使用コンクリートは普通セメント+膨張材を標準とする。

b.プレストレス導入はコンクリート圧縮強度32.5N/mm2以上とする。

c.十分な湿潤養生を行う(5~7日)

 ⑥ 鉄筋補強

ひび割れの低減又は発生するひび割れの分散のために打ち継ぎ目及び桁端部には補強鉄筋を適切に配置する。

 ⑦ PC鋼材

PC鋼材は新タイプ(湿気硬化型)を採用するが,施工要領については今後メーカーと充分に詰めた上,適用する。

鋼 桁

床 版

L2

L1

鋼断面

合成断面

合成断面

鋼断面

合成断面

鉄 筋

0.15×L2

0.15×L1

-

+

+

M

M+△M

△M

n=7

n=21

n=14

<温度変化>

<乾燥収縮>

<クリープ>

-

+

0.15L

0.15L

+

-

+

+

後死荷重正曲げ範囲�正曲げ範囲