000総合講義憲法ブック - amazon s3 · 2018. 8. 2. · <参政権に関して>...

5
参政権に関して> 最判平 7.2.28【百選Ⅰ4】 旧H19-1 プレ12,司H23-14-ア,H25-1-イ,予H29- 5-イ 事案:Xらは永住者の地位を有する在日韓国人であるが,定住外国人は憲法上地 方公共団体における選挙権を保障されているはずであるから,自分たちが選 挙人名簿に登録されていないのは不当であるとして,選挙管理委員会に対し て,選挙人名簿に登録することを求める異議の申出をした。これに対して, 選挙管理委員会が却下の決定をしたため,Xはその却下決定の取消しを求め て出訴。 要旨:「憲法第3章の諸規定による基本的人権の保障は,権利の性質上日本国 民のみをその対象としていると解されるものを除き,我が国に在留する外国 人に対しても等しく及ぶ ……。そこで,憲法15条1項にいう公務員を選定 罷免する権利の保障が我が国に在留する外国人に対しても及ぶものと解すべ きか否かについて考えると,憲法の右規定は,国民主権の原理に基づき,公 務員の終局的任免権が国民に存することを表明したものにほかならないと ころ,主権が『日本国民』に存するものとする憲法前文及び1条の規定に照 らせば,憲法の国民主権の原理における国民とは,日本国民すなわち我が国 の国籍を有する者を意味する……。そうとすれば,公務員を選定罷免する権 利を保障した憲法15条1項の規定は,権利の性質上日本国民のみをその対 象とし,右規定による権利の保障は,我が国に在留する外国人には及ばない ……。以上のように解すべきことは,当裁判所大法廷判決(最高裁昭和53年 10月4日判決(注: マクリーン事件判決)……)の趣旨に徴して明らかであ る。」 「……93条2項にいう『住民』とは,地方公共団体の区域内に住所を有す る日本国民を意味するもの……であり,右規定は,我が国に在留する外国人 に対して,地方公共団体の長,その議会の議員等の選挙の権利を保障したも のということはできない 。」 「憲法第8章の地方自治に関する規定は,民主主義社会における地方自治 の重要性に鑑み,住民の日常生活に密接な関連を有する公共的事務は,その 地方の住民の意思に基づきその区域の地方公共団体が処理するという政治形 態を憲法上の制度として保障しようとする趣旨に出たものと解されるから, 我が国に在留する外国人のうちでも永住者等であって,その居住する区域 の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至ったと認められるもの につい て,その意思を日常生活に密接な関連を有する地方公共団体の公共的事務の 処理に反映させるべく,法律をもって,地方公共団体の長,その議会の議員 等に対する選挙権を付与する措置を講ずることは,憲法上禁止されているも のではない ……。しかしながら,右のような措置を講ずるか否かは,専ら国 の立法政策にかかわる事柄であって,このような措置を講じないからといっ て違憲の問題を生ずるものではない。」 本判例は,外国人に選挙権は保障されないとしつつ,地方自治の憲法的 保障のうち,住民自治の原理を重視し,傍論ながら,地方レベルの選挙権 において許容説的な説示をしており,地方自治の本旨によって,国民主権 原理が一定程度相対化されることを認めている 判例を読み解く( 最判平 7.2.28【百選Ⅰ4】) 18

Upload: others

Post on 05-Feb-2021

1 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

  • < 参政権に関して>

    最判平 7.2.28【百選Ⅰ4】 旧H19-1 プレ12,司H23-14-ア,H25-1-イ,予H29-5-イ

    事案:Xらは永住者の地位を有する在日韓国人であるが,定住外国人は憲法上地方公共団体における選挙権を保障されているはずであるから,自分たちが選挙人名簿に登録されていないのは不当であるとして,選挙管理委員会に対して,選挙人名簿に登録することを求める異議の申出をした。これに対して,選挙管理委員会が却下の決定をしたため,Xはその却下決定の取消しを求めて出訴。

    要旨:「憲法第3章の諸規定による基本的人権の保障は,権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるものを除き,我が国に在留する外国人に対しても等しく及ぶ……。そこで,憲法15条1項にいう公務員を選定罷免する権利の保障が我が国に在留する外国人に対しても及ぶものと解すべきか否かについて考えると,憲法の右規定は,国民主権の原理に基づき,公務員の終局的任免権が国民に存することを表明したものにほかならないところ,主権が『日本国民』に存するものとする憲法前文及び1条の規定に照らせば,憲法の国民主権の原理における国民とは,日本国民すなわち我が国の国籍を有する者を意味する……。そうとすれば,公務員を選定罷免する権利を保障した憲法15条1項の規定は,権利の性質上日本国民のみをその対象とし,右規定による権利の保障は,我が国に在留する外国人には及ばない……。以上のように解すべきことは,当裁判所大法廷判決(最高裁昭和53年10月4日判決(注:�マクリーン事件判決)……)の趣旨に徴して明らかである。」「……93条2項にいう『住民』とは,地方公共団体の区域内に住所を有する日本国民を意味するもの……であり,右規定は,我が国に在留する外国人に対して,地方公共団体の長,その議会の議員等の選挙の権利を保障したものということはできない。」「憲法第8章の地方自治に関する規定は,民主主義社会における地方自治の重要性に鑑み,住民の日常生活に密接な関連を有する公共的事務は,その地方の住民の意思に基づきその区域の地方公共団体が処理するという政治形態を憲法上の制度として保障しようとする趣旨に出たものと解されるから,我が国に在留する外国人のうちでも永住者等であって,その居住する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至ったと認められるものについて,その意思を日常生活に密接な関連を有する地方公共団体の公共的事務の処理に反映させるべく,法律をもって,地方公共団体の長,その議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講ずることは,憲法上禁止されているものではない……。しかしながら,右のような措置を講ずるか否かは,専ら国の立法政策にかかわる事柄であって,このような措置を講じないからといって違憲の問題を生ずるものではない。」

    本判例は,外国人に選挙権は保障されないとしつつ,地方自治の憲法的保障のうち,住民自治の原理を重視し,傍論ながら,地方レベルの選挙権において許容説的な説示をしており,地方自治の本旨によって,国民主権原理が一定程度相対化されることを認めている

    �判例を読み解く(�最判平 7.2.28【百選Ⅰ4】)

    18

  • <公務就任権に関して> 旧H9-1,H19-1事案:東京都(Y)に保健婦(現在では保健師)として採用された韓国籍の特別永住者Xは,課長級の管理職選考試験の受験を,国籍条項を理由に拒否された。これに対して,XはYに対し,管理職選考受験資格の確認を求めると共に,国家賠償法1条1項に基づき,慰謝料の支払を請求した。

    東京高判平 9.11.26 ~東京都管理職試験事件(原審)~ ⑴ 外国人の公務就任権要旨:「憲法第15条第1項又は憲法第93条第2項の規定による保障が我が国に在住する外国人にも及ぶことを前提として,我が国に在住する外国人も,憲法上,国又は地方公共団体の公務員に就任する権利が保障されているということはできない。もっとも,憲法のこれらの規定は,右のとおり,我が国に在住する外国人に対して国及び地方公共団体の公務員を選定罷免し,又は公務員に就任する権利を保障したものではないけれども,我が国に在住する外国人について,公務員に選任され,就任することを禁止したものではないから,国民主権の原理に反しない限度において我が国に在住する外国人が公務員に就任することは,憲法上禁止されていない……。」「我が国に在住する特別永住者は,『日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法』により,我が国に永住する資格を付与された者であるが,これにより日本国籍を有するに至ったわけではないから,特別永住者であることをもって,憲法上の主権者すなわち日本国民と同視することはできない。したがって,我が国に在住する特別永住者も,国民主権の原理に反しない限度において国又は地方公共団体の公務員に就任することができるにすぎない……。」「憲法第三章の諸規定による基本的人権の保障は,権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるものを除き,外国人にも等しく及び,憲法第22条第1項の職業選択の自由,第13条の幸福追求の権利,第14条第1項の平等原則の規定についても,原則として,その保障が及ぶ……。」「憲法は,国民主権の原理を国家統治の基本原則として採用している。このことは,……我が国の統治作用が実質的に主権者である日本国民によって行われること,すなわち,我が国の統治作用の根本に関わる職務に従事する公務員は日本国民をもって充てられるべきことを要請している……。」

     ⑵ 外国人の公務員就任の限度要旨:「国の公務員をその職務内容に即してみてみると,国の統治作用である立法,行政,司法の権限を直接に行使する公務員(例えば,国会の両議院の議員,内閣総理大臣その他の国務大臣,裁判官等)と,公権力を行使し,又は公の意思の形成に参画することによって間接的に国の統治作用に関わる公務員と,それ以外の上司の命を受けて行う補佐的・補助的な事務又はもっぱら学術的・技術的な専門分野の事務に従事する公務員とに大別することができる。」「第一の種類の公務員は,国の統治作用に直接に関わる公務員であるから,これに就任するには日本国民であることを要し,法律をもってしても,外国人がこれに就任することを認めることは,国民主権の原理に反するものとして,憲法上許されない……。」「第二の種類の公務員については,その職務の内容,権限と統治作用との関わり方及びその程度を個々,具体的に検討することによって,国民主権の原理に照らし,外国人に就任を認めることが許されないものと外国人に就任を認めて差支えないものとを区別する必要がある。」「第三の種類の公務員は,その職務内容に照らし,国の統治作用に関わる

    蓋然性及びその程度は極めて低く,外国人がこれに就任しても,国民主権の原理に反するおそれはほとんどない……。そして,このようにみてみると,国の公務員にも我が国に在住する外国人の就任することのできる職種が存在するものというべきであり,この我が国に在住する外国人が就任することのできる職種の公務員については,我が国に在住する外国人に対しても,これへの就任について,憲法第22条第1項,第14条第1項の各規定の保障が及ぶ……。」「右に説示したところは,当然に,我が国に在住する外国人の地方公務員就任についても,原則的に妥当する……。ただ,憲法第8章の地方自治に関

    第2.人権の享有主体 19

    第1編 基本的人権 1 基本的人権総論

  • する規定は,民主主義社会における地方自治の重要性にかんがみ,住民の日常生活に密接な関連を有する公共的事務は,その地方の住民の意思に基づいてその区域の地方公共団体が処理するという政治形態を憲法上の制度として保障しようとする趣旨に出たものと解され,右趣旨にかんがみれば,我が国に在住する外国人であって特別永住者等その居住する区域の地方公共団体と特段に密接な関係を有するものについては,その意思を日常生活に密接な関連を有する地方公共団体の公共的事務の処理に反映させ,また,自らこれに参加していくことが望ましい……。したがって,我が国に在住する外国人,特に特別永住者等の地方公務員就任については,国の公務員への就任の場合と較べて,おのずからその就任し得る職務の種類は広く,その機会は多くなる……。」

     ⑶ 課長級の管理職への昇任の途を閉ざしたことの違法性要旨:「憲法は,我が国に在住する外国人が国民主権の原理に反しない限度で地方公務員に就任することを禁止するものではないが,地方公務員の中でも,管理職は,地方公共団体の公権力を行使し,又は公の意思の形成に参画するなど地方公共団体の行う統治作用に関わる蓋然性の高い職であるから,地方公務員に採用された外国人が日本国籍を有する者と同様当然に管理職に任用される権利を保障されているとすることは,国民主権の原理に照らして問題がある……。しかしながら,地方公務員の担当する職務は,地方自治全般にわたり広範多岐であり,したがって,管理職の職務も広範多岐に及び,地方公共団体の行う統治作用に関わる,特に,公の意思の形成に参画するといっても,その関わり方及びその程度は広狭・強弱様々なものがあり得るのであり,中には,管理職であっても,専ら専門的・技術的な分野においてスタッフとしての職務に従事するにとどまるなど,公権力を行使することなく,また,公の意思の形成に参画する蓋然性が少なく,地方公共団体の行う統治作用に関わる程度の弱い管理職も存在する……。したがって,……すべての管理職について,国民主権の原理によって外国人をこれに任用することは一切禁じられていると解することは相当でなく,ここでも,職務の内容,権限と統治作用との関わり方及びその程度によって,外国人を任用することが許されない管理職とそれが許される管理職とを分別して考える必要がある。そして,後者の管理職については,我が国に在住する外国人をこれに任用することは,さきに公務員就任について検討したところと同様,国民主権の原理に反するものではなく,したがって,憲法第22条第1項,第14条第1項の規定による保障が及ぶ……」「課長級の管理職の中にも,外国籍の職員に昇任を許しても差支えのないものも存在するというべきであるから,外国籍の職員から管理職選考の受験の機会を奪うことは,外国籍の職員の課長級の管理職への昇任の途を閉ざすものであり,憲法第22条第1項,第14条第1項に違反する違法な措置である……」。

    最大判平 17.1.26【百選Ⅰ5】~東京都管理職試験事件~ 司H18-15,H23-1,予H29-5-ア

     ⑴ 職員に採用した在留外国人の処遇と憲法14条1項要旨:「地方公務員法は,一般職の地方公務員(以下『職員』という。)に本邦に在留する外国人(以下『在留外国人』という。)を任命することができるかどうかについて明文の規定を置いていないが……,普通地方公共団体が,法による制限の下で,条例,人事委員会規則等の定めるところにより職員に在留外国人を任命することを禁止するものではない。普通地方公共団体は,職員に採用した在留外国人について,国籍を理由として,給与,勤務時間その他の勤務条件につき差別的取扱いをしてはならないものとされており(労働基準法3条……),給与に関する条例で定められる昇格……等も上記の勤務条件に含まれる……。しかし,上記の定めは,普通地方公共団体が職員に採用した在留外国人の処遇につき合理的な理由に基づいて日本国民と異なる取扱いをすることまで許されないとするものではない。また,そのような取扱いは,合理的な理由に基づくものである限り,憲法14条1項に違反するものでもない。管理職への昇任は,昇格等を伴うのが通例であるから,在留外国人を職員に採用するに当たって管理職への昇任を前提としない条件の下でのみ就任を認めることとする場合には,そのように取り扱うことにつき合理

    20

  • 的な理由が存在することが必要である。」 ⑵ 公権力行使等地方公務員の任用制度と憲法14条1項要旨:「地方公務員のうち,住民の権利義務を直接形成し,その範囲を確定するなどの公権力の行使に当たる行為を行い,若しくは普通地方公共団体の重要な施策に関する決定を行い,又はこれらに参画することを職務とするもの(以下『公権力行使等地方公務員』という。)については,次のように解するのが相当である。すなわち,公権力行使等地方公務員の職務の遂行は,住民の権利義務や法的地位の内容を定め,あるいはこれらに事実上大きな影響を及ぼすなど,住民の生活に直接間接に重大なかかわりを有する……。それゆえ,国民主権の原理に基づき,国及び普通地方公共団体による統治の在り方については日本国の統治者としての国民が最終的な責任を負うべきものであること(憲法1条,15条1項参照)に照らし,原則として日本の国籍を有する者が公権力行使等地方公務員に就任することが想定されているとみるべきであり,我が国以外の国家に帰属し,その国家との間でその国民としての権利義務を有する外国人が公権力行使等地方公務員に就任することは,本来我が国の法体系の想定するところではない……。」「そして,普通地方公共団体が,公務員制度を構築するに当たって,公権力行使等地方公務員の職とこれに昇任するのに必要な職務経験を積むために経るべき職とを包含する一体的な管理職の任用制度を構築して人事の適正な運用を図ることも,その判断により行うことができる……。」「そうすると,普通地方公共団体が上記のような管理職の任用制度を構築

    した上で,日本国民である職員に限って管理職に昇任することができることとする措置を執ることは,合理的な理由に基づいて日本国民である職員と在留外国人である職員とを区別するものであり,上記の措置は労働基準法3条にも,憲法14条1項にも違反するものではない……。そして,この理は,……特別永住者についても異なるものではない。」

     ⑶ 本件の管理職任用制度と憲法14条1項要旨:「Xは,東京都人事委員会の実施する平成6年度及び同7年度の管理職選考……を受験しようとしたが,東京都人事委員会が上記各年度の管理職選考において日本の国籍を有しない者には受験資格を認めていなかったため,いずれも受験することができなかった……。……当時,Yにおいては,管理職に昇任した職員に終始特定の職種の職務内容だけを担当させるという任用管理を行っておらず,管理職に昇任すれば,いずれは公権力行使等地方公務員に就任することのあることが当然の前提とされていた……から,Yは,公権力行使等地方公務員の職に当たる管理職のほか,これに関連する職を包含する一体的な管理職の任用制度を設けている……。」「そうすると,Yにおいて,上記の管理職の任用制度を適正に運営するために必要があると判断して,職員が管理職に昇任するための資格要件として当該職員が日本の国籍を有する職員であることを定めたとしても,合理的な理由に基づいて日本の国籍を有する職員と在留外国人である職員とを区別するものであり,上記の措置は,労働基準法3条にも,憲法14条1項にも違反するものではない。」

    第2.人権の享有主体 21

    第1編 基本的人権 1 基本的人権総論

  • 泉裁判官の反対意見「特別永住者は,地方公務員となることにつき,日本国民と平等に扱われるべきであるということが,一応肯定されるのである」ことを前提として,本件を特別永住者に対する権利制限の問題と把握した上で,14 条1項と 22 条1項の保障が特別永住者にも及ぶとし,厳格な合理性の基準をもって判断すべきであるとしている

    滝井裁判官の反対意見「公権力行使等地方公務員」に位置付けられる公務員の範囲が明らかではないとした上で,管理職の職務の内容等を考慮して一定の職への就任につき資格を制限するというのであればともかく,すべての管理職から一律に外国人を排除することとしていたYの措置に合理性があるとはいえない

    藤田裁判官の補足意見以下の通り,多数意見の論理を補足している①�特別永住者に対して異なる取扱いをしないことについて,「我が国現行法上,地方公務員への就任につき,特別永住者がそれ以外の外国籍の者から区別され,特に優遇さるべきものとされていると考えるべき根拠は無く,そのような明文の規定が無い限り,事は,外国籍の者一般の就任可能性の問題として考察されるべき」であるとする②�また,外国人の公務就任権に触れていないことについて,原審を,外国人の就任が憲法上禁止されていない(許容されている)ということと,それが憲法上保障されていることとは同義ではないなどと批判した上で,本件は,「外国籍の者が新規に地方公務員として就任しようとするケースではなく,既に正規の職員として採用され勤務してきた外国人が管理職への昇任の機会を求めるケースであ」るとする③ �Y が一般的に管理職への就任資格として日本国籍を要求したことについて,「外国籍の者についてのみ常に……特別の人事的配慮をしなければならないとすれば,全体としての人事の流動性を著しく損なう結果となる可能性がある」とし,「それが人事政策として最適のものであったか否かはさておくとして」と留保を付しつつも,「なお,その行政組織権及び人事管理権の行使として許される範囲内にとどまるものであった」とする

    a 原審は,職業選択の自由(22Ⅰ)又は幸福追求権(13)の問題と(も)捉えているのに対し,最高裁はこの点に触れていない→最高裁は,外国人が公権力行使等地方公務員に就任する憲法上の権利を否定した上で,既に公務員として採用されている外国人に対する国籍に基づく差別(区別)の当否を問題としている

    b 多数意見は,特別永住者を特別視していないが,この点については泉反対意見と藤田補足意見を参照

    �判例を読み解く(�最大判平 17.1.26【百選Ⅰ5】)

    22