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第9回 医薬品添加剤と製剤セミナーちとう マスタ タイトルの書式設定 5回 富山県製剤技術研修会 2014年10月17日 株式会社パウレック 技術本部 研究開発部 内田和宏 錠剤コーティングの技術の基礎とその応用

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第9回 医薬品添加剤と製剤セミナーちとう

マスタ タイトルの書式設定第5回 富山県製剤技術研修会

2014年10月17日

株式会社パウレック

技術本部 研究開発部

内田和宏

錠剤コーティングの技術の基礎とその応用

第9回 医薬品添加剤と製剤セミナーちとう

マスタ タイトルの書式設定第5回 富山県製剤技術研修会

基礎技術編

1.錠剤コーティング機の構造­錠剤コーティング機の種類、構造、フローについて

2.錠剤コーティングについて

(1)フィルムコーティングについて­目的、作業工程、操作パラメータの品質への影響­水系コーティング、非水系コーティング­腸溶性、徐放性コーティング

(2)シュガーコーティングについて

はじめに

第9回 医薬品添加剤と製剤セミナーちとう

マスタ タイトルの書式設定第5回 富山県製剤技術研修会

応用技術編

1.フィルムコーティングの不良錠発生メカニズムと対策

2.シュガーコーティングの不良錠発生メカニズムと対策

3.スケールアップについて­コーティング機の熱収⽀の考え⽅­スプレー噴霧条件についての考え⽅­ドラム回転速度についての考え⽅‐スケールアップ実験例

第9回 医薬品添加剤と製剤セミナーちとう

マスタ タイトルの書式設定第5回 富山県製剤技術研修会

基礎技術編

第9回 医薬品添加剤と製剤セミナーちとう

マスタ タイトルの書式設定第5回 富山県製剤技術研修会

基礎技術編

1.錠剤コーティング機の構造­錠剤コーティング機の種類、構造、フローについて

2.錠剤コーティングについて

(1)フィルムコーティングについて­目的、作業工程、操作パラメータの品質への影響­水系コーティング、非水系コーティング­腸溶性、徐放性コーティング

(2)シュガーコーティングについて

第9回 医薬品添加剤と製剤セミナーちとう

マスタ タイトルの書式設定第5回 富山県製剤技術研修会

・パンコーティング機

オニオンパン型 ナシ型

・通気式コーティング機

パウレックコータ ドリアコータ

グラットコータ アクセラコータ

ハイコータ アクアコータ

コーティング機の種類コーティング機の種類

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マスタ タイトルの書式設定第5回 富山県製剤技術研修会

パンコーティング機

オニオンパン型

非通気式傾斜ドラム

・局所通気によるスプレーミストの乱れ

・給気風量増困難

・スプレー噴霧量増困難

・バッフルがなく錠剤の混合効率が低い

・装置全体が開放型であり錠剤層表面部が乾燥されやすく乾燥ムラが起こりやすい

給気排気

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通気式コーティング機

• キャビネット式通気方式では、ドラムと排気チャンバーの摺り合せが重要。給気エアのショートパスが起こりやすい。

• 摺り合せシール部が磨耗しコンタミの原因となる。

• 洗浄面積が広く、大量の洗浄水が必要。

排気 給気

キャビネット式

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通気式コーティング機

• インナーダクト通気方式では、スプレーゾーンへ直接エアが当たり、スプレーミストを乱す可能性がある。

• エアジャケット給排気では、機構上ドラムが回転する事によって空気の流れに脈動が起こりドラム内圧が不安定になりやすい。

• 排気に使用されたエアジャケット内の雰囲気とドラム内雰囲気が同一となる。

インナー給気ジャケット排気 エアジャケット給排気

給気排気

排風機

圧空

スプレー液

熱送風機丸型もしくは多角形ドラム

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パウレックコータGTXシリーズ

W給気システム

•均一な錠剤層への通気

•スプレー噴霧位置後方への給気により、スプレーミストを乱さず、乾燥ゾーンへ効率的に通気。

スプレーゾーン

乾燥ゾーン

通気式コーティング機

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通気式コーティング機

傾斜型ドラム回転軸⽅向給排気

①ドラムからの錠剤⾶び出しなし②スプレーアームへの錠剤落下回避③装置の⼩型化

傾斜型ドラムの利点

パウレックコータ

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給気ファン

熱交換器集塵機 排気ファン

スプレーエアライン

給液タンクポンプ

本体

除湿装置

通気式コーティング機装置フロー図

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錠剤コーティング機に求められる性能

•簡易な作業性→出来る限り力を必要とせずに容易であること。

余裕のある作業スペース。

•乾燥能力に優れ安定した通気→通気の乱れはスプレーにも影響する。効率の低下。

•錠剤の混合性→均一なコーティング皮膜の形成に必要。

•効率の良いミスト噴霧が可能なノズル→スプレーミストの跳ね返り(リバウンド)が少なく、錠剤

層に対して均一にミストを噴霧することができる。

•洗浄性→デッドスポットを無くし確実に水洗できる構造。

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理想的なスプレーノズル

空気量が小さいとき空気量が大きいとき

ダスティング増

コーティング効率の低下

リバウンド大

ダスティング少

コーティング効率の向上

リバウンド小

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特許公報 特許第5595626号

【特許請求の範囲】

【請求項1】

軸線回りに回転する回転ドラム内の粉粒体粒子の転動床に、該転動床との間の距離が所望値となるように向きと高さが調整されたスプレーガンからスプレー液のミストを噴霧してコーティング処理を行うコーティング装置において、前記スプレーガンは、内部に導入された噴霧化空気を外部に噴出させる気体噴出口と、内部に送り込まれたスプレー液を噴出させる液体噴出口とを備え、前記液体噴出口から噴出されるスプレー液と前記気体噴出口から噴出される噴霧化空気との外部混合により、前記スプレー液をミスト化し、かつ、前記噴霧化空気の噴出圧力が0.36MPa以上、0.6MPa以下で、空気流量が120~150Nl/minであることを特徴とするコーティング装置。

【請求項2】

前記噴霧化空気が渦流で噴出されることを特徴とする請求項1記載のコーティング装置

登録日 平成26年8月15日

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特願2013-105248

【特許請求の範囲】

【請求項1】

軸線回りに回転する回転ドラム内の粉粒体粒子の転動床に、該転動床との間の距離が所望値となるように向きと高さが調整されたスプレーガンからスプレー液のミストを噴霧してコーティング処理を行うコーティング装置において、前記スプレーガンは、内部に導入された噴霧化空気を外部に噴出させる気体噴出口と、内部に送り込まれたスプレー液を噴出させる液体噴出口とを備え、前記液体噴出口から噴出されるスプレー液と前記気体噴出口から噴出される噴霧化空気との外部混合により、前記スプレー液をミスト化し、かつ、前記噴霧化空気の噴出圧力が0.36MPa~0.6MPaで、空気流量が80~150Nl/minで、スプレー速度が100~200g/minであることを特徴とするコーティング装置。

【請求項2】

前記噴霧化空気が渦流で噴出されることを特徴とする請求項1記載のコーティング装置

登録日 平成26年8月28日

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洗浄性について

貯洗い、各部CIPによりデッドスポットなく洗浄が可能であること。⽬視確認のしやすさ(内部照明、ディスクスライド機構も装備)確実・容易な洗浄確認作業が可能であること。

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基礎技術編

1.錠剤コーティング機の構造­錠剤コーティング機の種類、構造、フローについて

2.錠剤コーティングについて

(1)フィルムコーティングについて­目的、作業工程、操作パラメータの品質への影響­水系コーティング、非水系コーティング­腸溶性、徐放性コーティング

(2)シュガーコーティングについて

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①服用のしやすさ

不快な味や臭い,苦味などのマスキング。

②主薬の安定化

大気中の水分,酸素,炭酸ガス,光などから薬物を保護し,

主薬の安定性を確保する。

③薬物発現の作用調節

薬物の作用を制御,調節するため,腸溶性,徐放性,複効性がある。

④商品価値の増加

錠剤の外観を美しくすることで商品価値を高める。

⑤識別性の向上

着色により識別性やコンプライアンスを向上させる。

コーティング皮膜は完全に錠剤を包まねばならない

錠剤コーティングの目的

第9回 医薬品添加剤と製剤セミナーちとう

マスタ タイトルの書式設定第5回 富山県製剤技術研修会

錠剤コーティング ハード(液掛け)シュガーコーティング

シュガーコーティング散布式

シュガーコーティング

フィルムコーティング

溶媒系コーティング

水系コーティング

顆粒コーティング

連続シュガーコーティング

コーティングの分類

第9回 医薬品添加剤と製剤セミナーちとう

マスタ タイトルの書式設定第5回 富山県製剤技術研修会

基礎技術編

1.錠剤コーティング機の構造­錠剤コーティング機の種類、構造、フローについて

2.錠剤コーティングについて

(1)フィルムコーティングについて­目的、作業工程、操作パラメータの品質への影響­水系コーティング、非水系コーティング­腸溶性、徐放性コーティング

(2)シュガーコーティングについて

第9回 医薬品添加剤と製剤セミナーちとう

マスタ タイトルの書式設定第5回 富山県製剤技術研修会

錠剤コーティング ハード(液掛け)シュガーコーティング

シュガーコーティング散布式

シュガーコーティング

フィルムコーティング

溶媒系コーティング

水系コーティング

顆粒コーティング

連続シュガーコーティング

コーティングの分類

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① コーティング基剤の水溶液あるいは有機溶媒溶液で連続または非連続にてスプレーし,錠剤表面に付着し拡がった液滴の水分が蒸発すると,コーティング剤の粒子が凝集して皮膜を形成する。

フィルムコーティングの特徴

スプレーミスト

錠剤

コーティング皮膜

② コーティング皮膜量は錠剤重量の1.5~5.0%程度(シュガーコーティングの場合100%前後)で済み,皮膜は薄膜で十分にコーティングが出来るので,シュガーコーティングに比べると,

プロセス時間が速くなる。

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フィルムコーティングの作業工程

スプレー⼯程は転動する錠剤に対し、スプレーと乾燥通気を連続で実施する。

<工程>

①予熱工程

錠剤の予備加熱を行う。

②スプレー工程

コーティング液をスプレーし皮膜形成を行う。

③後乾燥工程

コーティング中に錠剤が吸収した水分、または皮膜を乾燥する。

④冷却工程

加熱された錠剤の冷却を行う。

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マスタ タイトルの書式設定第5回 富山県製剤技術研修会

コーティング 効率について

皮膜固形分(実際に増加した量)=

(水分補正後最終錠剤重量-水分補正後予熱後錠剤重量)×総錠剤数

皮膜固形分(実際に増加した量)

液固形分(スプレーした量)コーティング効率= ×100

水分補正しなければ、真のコーティング効率は算出できない

コーティング効率から何がわかるか??・膜の形成性・スケールアップ時の品質同等性・放出制御製剤における機能性評価・条件の適正・コーティング装置の性能

第9回 医薬品添加剤と製剤セミナーちとう

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錠剤表面

フィルム層断面

ヒプロメロース水系フィルムコーティング処方(固形分6.8[%])

110mgの錠剤に5%コーティングしたもの

35μm

フィルム錠の表面,断面写真

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マスタ タイトルの書式設定第5回 富山県製剤技術研修会

① 製品品質特性

・外観(欠け,肌荒れ,色,艶など)

・皮膜厚(直径,厚み,重量バラツキなど)

・含水率(薬物の安定性に影響を与える水分量)

・薬物の崩壊性及び溶出性

製造管理項目

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② 製品品質に係わる変動因子(パラメータ)

・給気温度・基準空気温湿度・製品温度・ドラム回転速度・スプレー速度・ドラム内圧・スプレー空気量・工程時間

[℃][℃]・[%][℃][min-1][g/min][Pa][L/min][min]

製造管理項目

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コーティング特性

操作制御因子(1) 操作制御因子(2) 製品品質特性/生産性

基準空気

給気温度

給気風量

錠剤仕込量

ドラム回転速度

ドラム内圧

乾燥能力 乾燥バランス制御

混合性能(均一乾燥)

スプレー条件

スプレーミスト

スプレー数・位置

スプレー液圧

スプレー空気量

製品品質

生産性

外観

皮膜厚

含水率

崩壊性

溶出性

収率

コーティング時間

コーティングにおける操作変動因子とその影響

第9回 医薬品添加剤と製剤セミナーちとう

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混合状態

水エタノール

・水溶性色素 、Ti-O2

など

・可塑剤の有無

・固形分濃度(5~15%w/w)

・溶媒の種類

(粘度・比重)

・基準空気(温度・湿度)

・給気温度

・排気温度

・スプレー速度

・ノズル口径

・スプレー空気量

・ノズル距離

・噴霧角度

仕込量 ドラム回転速度

優良なコーティング錠

コーティング溶液

製品温度 ノズル

特性要因図(優良なコーティング錠のために)

第9回 医薬品添加剤と製剤セミナーちとう

マスタ タイトルの書式設定第5回 富山県製剤技術研修会

基礎技術編

1.錠剤コーティング機の構造­錠剤コーティング機の種類、構造、フローについて

2.錠剤コーティングについて

(1)フィルムコーティングについて­目的、作業工程、操作パラメータの品質への影響­水系コーティング、非水系コーティング­腸溶性、徐放性コーティング

(2)シュガーコーティングについて

第9回 医薬品添加剤と製剤セミナーちとう

マスタ タイトルの書式設定第5回 富山県製剤技術研修会

局方精製水を用いる 適用の項 製剤・試液・試薬の調製に使用常水 (水道水・井水) 製薬の原料用水・調剤用水・洗浄水に使用

通常イオン交換を行って脱塩素するため,細菌による汚染注意

水系コーティング

残留溶媒、安全面の観点から有機溶媒系から水系へ移行されている

危険物の規制に関する規則(昭和三十四年九月二十九日総理府令第五十五号)

4 法別表第1備考第13号の組成等を勘案して総務省令で定めるものは、次のものとする。

(1) 1分子を構成する炭素の原子の数が1個から3個までの飽和1価アルコールの含有量が60パーセント未満の水溶液

(2) 可燃性液体量が60パーセント未満であって、引火点及び燃焼点(タグ開放式引火点測定器による燃焼点をいう。以下同じ。)がエチルアルコールの60パーセント水溶液の引火点及び燃焼点を超えるもの

第9回 医薬品添加剤と製剤セミナーちとう

マスタ タイトルの書式設定第5回 富山県製剤技術研修会

非水系コーティング

水100エタノール100

・ダスティングしやすいためノズルと錠剤との距離、温度など条件に注意する必要がある

・水は有機溶媒より表面張力が大きく、霧が微細化され難い→エタノールで表面張力をさげることにより、蒸発容易、

水は高分子との親和性が高く、残留し易い⇒水系よりスプレー速度を速くすることができる

第9回 医薬品添加剤と製剤セミナーちとう

マスタ タイトルの書式設定第5回 富山県製剤技術研修会

コーティング基剤 溶媒

ヒプロメロース 水

EUDRAGIT E 水-アルコール

EUDRAGIT L30 D-55 水分散

HPMCP 50, 55 水-アルコール

EUDRAGIT NE30D 水分散

クエン酸トリエチル

PEG-6000,タルク

組成

PEG-6000,酸化チタン

タルクまたは酸化チタン

PEG-6000,タルク

フィルムコーティングの種類

①水溶性コーティング(赤):pH非依存で溶解

②腸溶性コーティング(青):小腸から大腸にかけて(pH5~7)溶解。

③徐放性コーティング(緑):薬物を消化器官全域で徐々に放出。

紫:可塑剤

第9回 医薬品添加剤と製剤セミナーちとう

マスタ タイトルの書式設定第5回 富山県製剤技術研修会

・セルロース誘導体は柔らかい⇔アクリル系高分子は硬い

・柔軟性に富むフィルムが必要な場合はPEG6000のような可塑剤を添加

・TC-5Eのように粘度の低いグレードに酸化チタンなどの無機物質を多量に添加すると亀裂、剥離を招きやすくなる

・亀裂、剥離防止のため、TC-5M、TC-5Rなど粘度(分子量)の高いグレードを選択する

・エタノール等の単一アルコールには溶けないが水10%以上添加すると溶解水-エタノールを主体とした有機溶媒を使用する場合もある

・造粒(流動層造粒、撹拌造粒)のバインダーにも使用する

・TC-5にHPMCPのように水の不溶解高分子を添加すると、フィルムの溶解を遅らせることが可能

ヒプロメロース(TC-5)

水溶性コーティング

第9回 医薬品添加剤と製剤セミナーちとう

マスタ タイトルの書式設定第5回 富山県製剤技術研修会

5000

1000

100

500

50

10

5

1

2

34

20

3040

200300400

0 2 4 6 8 10 12

TC-5S

TC-5R

20℃

40℃20℃

40℃

TC-5M

20℃

40℃

TC-5E

20℃

40℃

TC-5の濃度-粘度

600800

濃度(Wt.%)

液調整方法

粘度

mP

a-s

水溶液を調製する場合

使用量の1/3程度を80℃以上の熱水にし、攪拌しながらTC-5の全量を投入。TC-5は熱水に溶解しないので分散する。攪拌を続けながら、所定量になるまで水を加える。30℃以下になればコーティング液となる。強力な攪拌機であれば30℃以下の水に徐々にTC-5を投入泡立ちに注意。6~10%濃度では数時間放置で泡は消える

有機溶媒溶液を調製する場合

所定量のエタノールを容器に入れて攪拌しながらTC-5を全量投入均一になったところで水を徐々に添加し攪拌を続ける

水溶性コーティング

第9回 医薬品添加剤と製剤セミナーちとう

マスタ タイトルの書式設定第5回 富山県製剤技術研修会

ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)

水-エタノール系混液にHPMCPを溶解1)HPMCPをエタノールに攪拌しながら分散2)分散後直ちに所定量の精製水を加えて攪拌

80%エタノール液に直接溶解する場合はHPMCPを少量づつ徐々に投入、溶解する

エタノールに直接入れるとゲル化する分散後直ちに水を添加すること

可塑剤 クエン酸トリエチルが効果的セタノール、ヒマシ油など油脂類、モノグリセライド等のグリセリン脂肪酸エステル類などHPMCPをベースに5~10%程度添加する

顔料 酸化チタンをHPMCPをベースに10%以上使用する場合は一般に可塑剤を増量する酸化チタン、レーキ色素等、HPMCPをベースに10%以上添加すると耐酸性が低下する

タルク 流動層による顆粒剤のコーティングには静電気付着防止、粘着防止にタルクを添加が有効添加量はHPMCPをベースに10~30%程度

20%水-80%エタノール溶液

腸溶性コーティング

液調整方法

第9回 医薬品添加剤と製剤セミナーちとう

マスタ タイトルの書式設定第5回 富山県製剤技術研修会

溶媒をエタノールのみでコーティングする場合腸溶性が保持できない

経時的に皮膜にクラックが発生する

HP-55はエタノール:水=8:2にするとき、腸溶性フィルムとなる。

写真は実際に錠剤にコーティングしたフィルムのクラック

(HP-55は、エタノール8~7:水2~3 で溶解する)

×1000

×30

腸溶性コーティング

第9回 医薬品添加剤と製剤セミナーちとう

マスタ タイトルの書式設定第5回 富山県製剤技術研修会

ダスティング気味でコーティングした場合

耐酸性:不適

ダストがコーティング層に埋込まれている

ダストが少ない状態でコーティングした場合

耐酸性:良好

ダストが減少し、表面が円滑

断面写真

表面写真

腸溶性コーティング

第9回 医薬品添加剤と製剤セミナーちとう

マスタ タイトルの書式設定第5回 富山県製剤技術研修会

腸溶性コーティング

Eudragit L30D-55

・アクリル酸系:メタアクリル酸コポリマー・有機溶媒を使わず、水溶媒で腸溶性製剤を作ることができる。・コーティングおよびマトリックス化により、薬物の溶出をコントロールできる。・機械的強度の強い良好な腸溶性製剤

フィルムが硬く割れやすいため添加が必要クエン酸トリエチル、PEGが効果的Eudragit L30D—55(固形分)をベースに10%程度添加する

可塑剤

Eudragit L30D-55 100.0部 (固形分30部)PEG6000 3.0部Tween80 1.5部タルク 9.0部精製水 100部

計 213.5部 (固形分43.5部)Eudragit固形濃度 14%総固形濃度 20%

処方例

第9回 医薬品添加剤と製剤セミナーちとう

マスタ タイトルの書式設定第5回 富山県製剤技術研修会

エトセルの粘度cps特性

0

50

100

150

200

250

エタノー

ル10

0%水

0%

エタノー

ル90

%水

10%

エタノー

ル80

%水

20%

エタノー

ル70

%水

30%

エタノー

ル60

%水

40%

エタノール/水比率粘

度(c

ps)

粘度cps

エチルセルロース(エトセル)

エトセルは無水エタノール或いは局方エタノール単独に溶解するが、水を添加していくと徐々に粘度が上昇し、やがてゲル化し不溶になる。

添加量;溶剤系0~1%水系30~40%)クエン酸トリエチルトリアセチン

水溶性コーティング基剤TC-5と組合せることで、溶出特性を変えることができる。

徐放性コーティング

可塑剤

液調整方法

第9回 医薬品添加剤と製剤セミナーちとう

マスタ タイトルの書式設定第5回 富山県製剤技術研修会

Eudragitコーティング基剤

フィルム形成メカニズム

薬剤表面に分散液をコーティング

粒子が最大充填状態になり、空隙に若干水分が残る

フィルム形成

粒子が毛細管水に起因する収縮力により引き寄せられる

水分の蒸発により粒子が結合する

さらに水分が蒸発することにより粒子が変形融着する

第9回 医薬品添加剤と製剤セミナーちとう

マスタ タイトルの書式設定第5回 富山県製剤技術研修会

徐放性コーティング

水溶性又は腸溶性コーティング剤と水不溶性高分子を混合してコーティングし、形成された皮膜が胃又は腸で部分的に溶解して一種の網目構造となり、薬物を徐々に放出する

水溶性のコーティングを施した薬剤と高pHで溶解するコーティング剤でコーティングを施した薬剤を同時に投与し、それぞれの異なった血中濃度推移のものとを重ね合わせて、全体として長時間薬物の血中濃度を維持させる方法

第9回 医薬品添加剤と製剤セミナーちとう

マスタ タイトルの書式設定第5回 富山県製剤技術研修会

・アクリル酸系:アクリル酸エチル-メタアクリル酸メチルの共重合体乳濁液・有機溶媒を使わず、水溶媒で徐放性製剤を作ることが出来る。・コーティングおよびマトリックス化により、薬物の溶出をコントロールできる。・pHの影響を受けず、機械的強度の強い良好な徐放性製剤・非イオン型コポリマーであるため、薬物および他の添加物との配合安定性に優れる・世界各国で医薬品添加物として使用され、国際化に対応

Eudragit NE30D 100.0部 (固形分30部)タルク 29.0部二酸化チタン 1.0部シリコンエマルジョン(消泡剤) 0.1部精製水 99.9部

計 230.0部 (固形分60.1部)

Eudragit固形濃度 13.%総固形濃度 26%

処方例

Eudragit NE30D

徐放性コーティング

第9回 医薬品添加剤と製剤セミナーちとう

マスタ タイトルの書式設定第5回 富山県製剤技術研修会

基礎技術編

1.錠剤コーティング機の構造­錠剤コーティング機の種類、構造、フローについて

2.錠剤コーティングについて

(1)フィルムコーティングについて­目的、作業工程、操作パラメータの品質への影響­水系コーティング、非水系コーティング­腸溶性、徐放性コーティング

(2)シュガーコーティングについて

第9回 医薬品添加剤と製剤セミナーちとう

マスタ タイトルの書式設定第5回 富山県製剤技術研修会

錠剤コーティング ハード(液掛け)シュガーコーティング

シュガーコーティング散布式

シュガーコーティング

フィルムコーティング

溶媒系コーティング

水系コーティング

顆粒コーティング

連続シュガーコーティング

コーティングの分類

第9回 医薬品添加剤と製剤セミナーちとう

マスタ タイトルの書式設定第5回 富山県製剤技術研修会

•ビタミン剤、栄養剤には糖衣コーティングを採用するケースが多い。

•錠剤形状や処方により、操作条件を変更する必要があり、熟練者の技術が必要。

•工程数・所用時間が長い。

•服用し易い。

•フィルム皮膜と比較して優れた特性を多数有している。

シュガーコーティングについて

第9回 医薬品添加剤と製剤セミナーちとう

マスタ タイトルの書式設定第5回 富山県製剤技術研修会

① 医薬品のシュガーコーティングは,主にこの方法で行われている。

② 砂糖を主原料とした粘性の高い液を何回も重ねて皮膜層を作るため,プロセス時間が非常に長い。

③ 皮膜が砂糖の緻密な層の為,空気や湿気が通りにくく,遮光性・防臭性が高い。これにより有効成分の安定性が非常に高い。

ハード(液掛け)シュガーコーティングの特徴

第9回 医薬品添加剤と製剤セミナーちとう

マスタ タイトルの書式設定第5回 富山県製剤技術研修会

① ガムシロップに砂糖などの粉末を掛け製造されるため,急速に重量を稼ぐことが出来る。

② 粉を掛けて作られるため,皮膜自身が柔らかい

ソフト(粉掛け)シュガーコーティングの特徴

第9回 医薬品添加剤と製剤セミナーちとう

マスタ タイトルの書式設定第5回 富山県製剤技術研修会

連続シュガーコーティング

•フィルムコーティングのように連続噴霧・乾燥にてコーティングを行う。

•処方は、シュガーコーティング用の処方を固形分濃度20%程度に薄めたものを使用。

<長 所>

1)低水分コーティングを行うことができる

2)工程時間の大幅な短縮

3)スケールアップが容易

4)装置のイニシャルコストが低減できる

<短 所>

1)糖衣特有の錠剤形状にならない

2)コーティングロス量の増加

第9回 医薬品添加剤と製剤セミナーちとう

マスタ タイトルの書式設定第5回 富山県製剤技術研修会

工程 主成分 結合剤 懸濁物(フィラー)

防水膜掛け

ヒプロメロース(TC-5)

アクリル酸系

下掛け蔗糖

糖アルコール

HPMC

PVP

ゼラチン

アラビアゴム

タルク

酸化チタン

沈降炭酸Ca中掛け

蔗糖

糖アルコール

色素上掛け

艶出し

カルナウバロウ

タルク

蜜蝋

糖衣液処方成分

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マスタ タイトルの書式設定第5回 富山県製剤技術研修会

素錠

防水膜掛け(2~3%)(Protective Coating)

下掛け(60~70%)(Sub coating)

中掛け(15~20%)(Smoothing)

上掛け(15~20%)(Coloring)

艶だし(Polishing)

・糖衣液中の水分との接触をさける・皮膜に薬物の溶出を防ぐ・腸溶性製剤としての機能付加

・糖衣錠特有の錠剤形成層。・タルクや酸化チタン等で錠剤層を光などから隔離・経時変化による薬物の劣化、変質を防止

・一般的に着色錠糖衣に使われる・下掛け層を滑らかにする・上掛け層の形成を容易にし,着色斑をなくす

・糖衣錠の透湿性、通気性、錠剤色を決定する層・必要に応じ着色する・適度な水分補給を行う

・ワックスを施すことにより、手で持ったとき

など蔗糖がすぐ溶解しないようにする。

糖衣層の役割

第9回 医薬品添加剤と製剤セミナーちとう

マスタ タイトルの書式設定第5回 富山県製剤技術研修会

糖衣錠の断面写真

錠剤断面

保護(Protective Coating)

下掛け(Subcoating)

470μm

中掛け(Smoothing)

上掛け(Coloring)

第9回 医薬品添加剤と製剤セミナーちとう

マスタ タイトルの書式設定第5回 富山県製剤技術研修会

スプレー ポーズ2ポーズ1 ドライ1,2

スプレー工程ドラム内を密閉状態にて粘調な糖衣液を錠剤に噴霧する工程である。錠剤の混合具合によってスプレー循環速度(スプレー時間)を調整し、均一に噴霧する。

ポーズ1工程ドラム内を密閉状態にてスプレー工程で錠剤に噴霧された糖衣液を錠剤に転延させる工程である。

ポーズ2工程糖衣液の水分蒸発によってドラム内の湿度が高くなるので、微少排気をして緩やかに乾燥を行う工程である。ポーズ1を終えた後、すぐ強制乾燥工程を行うと糖衣層のひび割れ、肌荒れ,層厚みの不均一などが生じるので本工程を行うのがパウレック独自の技術。

ドライ1,2工程ポーズで転延・平滑化された糖衣層を温風にて強制乾燥させる工程である。

シュガーコーティングの製造方法

第9回 医薬品添加剤と製剤セミナーちとう

マスタ タイトルの書式設定第5回 富山県製剤技術研修会

応用技術編

第9回 医薬品添加剤と製剤セミナーちとう

マスタ タイトルの書式設定第5回 富山県製剤技術研修会

応用技術編

1.フィルムコーティングの不良錠発生メカニズムと対策

2.シュガーコーティングの不良錠発生メカニズムと対策

3.スケールアップについて­コーティング機の熱収⽀の考え⽅­スプレー噴霧条件についての考え⽅­ドラム回転速度についての考え⽅‐スケールアップ実験例

応用技術編

第9回 医薬品添加剤と製剤セミナーちとう

マスタ タイトルの書式設定第5回 富山県製剤技術研修会

コーティング時の注意点

1)予熱時にはドラム回転速度を遅くする、インチングで動かす程度とする。

2)初期のスプレー速度は遅くしやや高温でコーティングをする

3)1層目を形成すればスプレー速度を速くするコーティング層が厚くなれば、ピーリング防止する目的でドラム回転速度は速くすること

第9回 医薬品添加剤と製剤セミナーちとう

マスタ タイトルの書式設定第5回 富山県製剤技術研修会

スプレーノズル位置が離れすぎている場合

①ミストの付着面積は大きく→離す②離し過ぎてミストのリバウンド→ダスティング③近過ぎ→付着、ピッキング発生など

スプレーノズルと錠剤との距離について

第9回 医薬品添加剤と製剤セミナーちとう

マスタ タイトルの書式設定第5回 富山県製剤技術研修会

1)前加温(予熱)時にドラム回転速度が速く摩損する場合

2)前加温の不足により、スプレー液が素錠に浸透

3)初期のスプレー速度が過剰又はミストが大きい

4)前加温及びコーティング開始時の錠剤の流れが不均一の場合

面荒れ

第9回 医薬品添加剤と製剤セミナーちとう

マスタ タイトルの書式設定第5回 富山県製剤技術研修会

コーティング開始時前加温終了時

・素錠の硬度が低い、摩損度が高い場合・前加温時のドラム回転速度が速い場合・コーティング機内壁は汚れ、錠剤が高く持上がる場合

面荒れ

第9回 医薬品添加剤と製剤セミナーちとう

マスタ タイトルの書式設定第5回 富山県製剤技術研修会

エロ―ジョン(オーバーウェッティング)

・乾燥が不十分

・コーティング溶液(スプレー量)が過剰

・スプレーノズルと錠剤との距離が近い

⇒表面が水で侵食され細かな凹凸になる。

第9回 医薬品添加剤と製剤セミナーちとう

マスタ タイトルの書式設定第5回 富山県製剤技術研修会

剥がれた上にコーティングが施される

スプレー液速度が過剰な時、素錠表面が水分により一部膨潤し、その部分を介して隣接する錠剤と錠剤同士の付着が起こる。

その後、錠剤同士が離れる際に、膨潤部分が剥離して凹みとなる

ピーリング

第9回 医薬品添加剤と製剤セミナーちとう

マスタ タイトルの書式設定第5回 富山県製剤技術研修会

ミスト(液滴)

水分が素錠内に拡散

水分が拡散し僅かな膨潤(膨張)断層 → 空間 剥離

フィルム強度

摩擦

収縮

剥離した破片は他の錠剤に付着

断層から剥離

剥離

対策:PEG6000などを添加し摩擦を減少させる。

対策:ミストを細かくし、水の浸透を抑制する

付着した側が突起、剥離した錠剤が孔あき錠になる場合もある。

ピーリング