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無菌製剤用精製水の管理
2015.9.25
千代田テクノエース株式会社
香川 忠三
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項 目
1.製薬用水
2.製造装置
3.設備運用管理
4.装置設計
5.工事管理
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1.製薬用水
1-1. 各種 法規/ガイドライン
○薬局方:製薬用水の品質及び
試験方法を規定
○GMP:医薬品製造の法規
(バリデーションを含む)
○政府/公共機関のガイドライン
○民間のガイドライン
各国の薬局方関連情報
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1.製薬用水
1-2. 各国の薬局方
薬局方(国名) /版(2015年度)
・JP (日本) /16 第2追補
・USP (米国) /38 1stEd
・EP(PhEur)(欧州)/8.5
・Ph. Int. (WHO) /4th Ed._4thSup.
JPは5年毎更.新その間第一、第二追補を発行
各国の薬局方関連情報
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1.製薬用水
1-3. 日本薬局方(JP)収載の水
〇常水 (JP規定なし、水道水基準)
〇精製水 ・バルク ・容器入り
〇滅菌精製水 ・容器入り
〇注射用水 ・バルク ・容器入り
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1.製薬用水
1-4. 米国薬局方(USP38)
〇Drinking Water (EPA NPOWER)〇Purified Water〇Sterile Purified Water○Water for Injection〇Sterile Water for Injection○Bacteriostatic Water for Injection○Sterile Water for Irrigation○Sterile Water for Inhalation
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1.製薬用水
1-5. EU薬局方(PhEur)
〇Potable Water〇Purified Water〇Highly Purified Water○Water for Injection
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1.製薬用水
1-6. WHO薬局方(International Pharmacopiea)
〇Drinking-Water〇Purified Water〇Highly Purified Water○Water for Injection
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1.製薬用水概要
1-7.(1/2) 無菌製剤用精製水
●無菌製剤の製造
〇代表的な無菌製剤としては・注射剤、 ・点眼剤、 ・眼軟膏剤、・吸入剤のうち,噴霧用の液状製剤・透析用剤(腹膜透析用剤,血液透析用剤)
がある。
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1.製薬用水概要
1-7.(2/2) 無菌製剤用精製水
●無菌製剤の製造
〇注射剤等の無菌製剤の製造には,微生物に併せてエンドトキシンを厳しく管理する必要のある「注射用水」(又は「注射用水(容器入り)」)を用いる.
〇点眼剤や眼軟膏剤などの無菌製剤の製造には微生物による汚染に注意が必要な,生菌数を低く抑えた「精製水」(又は「精製水(容器入り)」)を用いることができる.
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12出典:日局16における製薬用水関連の改定店と今後の課題 小嶋茂雄 EPDM H23/05/16
2.製造装置
2-1.製薬用水製造装置
●装置構成システム
○前処理装置
○精製水 製造装置/供給装置
○UF水 製造装置/供給装置
○蒸留水 製造装置/供給装置
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2.製造装置
2-2.原水前処理&精製水製造装置のフロー図
出典:浅井克也 原薬製造用の製造設備 化学装置 2010年7月号
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2.製造装置
2-3.精製水供給装置のフロー図
出典:浅井克也 原薬製造用の製造設備 化学装置 2010年7月号
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2.製造装置
2-4.UF水製造装置のフロー図
出典:NGK Home Page
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2.製造装置
2-5.注射用水&PS製造装置のフロー図
出典:浅井克也 原薬製造用の製造設備 化学装置 2010年7月号
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出典:NGK Home Page
2.製造装置
2-6.(1/2) 前処理装置の要件
●考慮事項・原水の重金属,遊離塩素,有機物質,微生物,
コロイド状粒子等の量を調査の上,目的とする用水規格が恒常的に維持管理でき,かつ設備の処理効率,寿命等が 大となるようにする.
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2.製造装置
2-6.(2/2) 前処理装置の要件
●考慮事項
・採水原による水質⇒水道水、井水、湧水
・季節変動⇒渇水期や梅雨時
・異常気象⇒台風、大雨など
・工場内⇒引き込み配管劣化
・使用量⇒連休などの変動
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2.製造装置
2-7. 精製水の供給水質
● 精製水の供給水質は「常水」基準に適合しなければならない。
・常水の規格及び試験方法は,日本薬局方の医薬品各条で規定されている。
・水道法第4条に基づく水質基準.
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2.製造装置
2-8. 前処理装置
●構成装置内容原水水質により不要な装置もある。
・プレフィルター⇒SS除去
・加熱器⇒ RO膜の透過率安定
・軟水器⇒硬度成分除去
・活性炭ろ過器⇒脱塩素/有機系SS除去
・MF膜⇒微粒子除去(遊離カーボン除去含む)
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2.製造装置
2-9. 精製水製造装置
●使用目的で配置変更や不要な装置もある。
・UV殺菌器1⇒RO膜に付着する微生物を除去
・RO膜⇒イオン系溶解物除去
・脱気膜(真空)
⇒RO水に含まれる不溶化性ガス除去
・EDI(連続再生式イオン交換装置)⇒脱イオン
・UV殺菌器2⇒精製水の微生物コントロール
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2.製造装置
2-10. 精製水供給装置
・精製水タンク/ポンプ
・UV殺菌器3
・熱殺用熱交換器
・TOC計
・導電率計
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2.製造装置
2-11. UF水製造装置/供給装置
○製造装置
・UF膜
・熱殺用熱交換器
○供給装置
・UFポンプ
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2.製造装置
2-12. WFI製造装置/供給装置
・供給ポンプ ・プレヒーター
・脱気筒 ・蒸発缶
・蒸留水タンク ・加熱用熱交換器
・TOC計 ・導電率計
・ローカルクーラー
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3.設備運用管理
3-1. 原水処理装置要件
●原水が井水又は工業用水の場合・各施設において原水から「常水」を製造
する場合は,適切な処理と管理を行うことで,水道法第4条の基準に併せる。さらにアンモニウム「0.05mg/L以下」の規格に適合することが求められる.
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3.製造装置管理
3-2. 常水装置
●製造装置・一定期間保存して用いる場合は,微
生物の増殖抑制を図ることが必要.
●用途・「精製水」や「注射用水」製造用の
原水として用いられる,
・原薬中間体の製造や製造設備の予備洗浄にも用いられる.
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3.製造装置管理
3-3. 精製水製造装置/供給装置
●JPの精製水基準を満たす。・原水として「常水」を用いる。
・イオン交換,蒸留,逆浸透(RO)又は限外ろ過(UF)などにより製造する.
・定期的な殺菌処理.
・適切な微生物管理.
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3.製造装置管理
3-4. UF水製造装置
・「精製水」を微生物及び分子量約6000以上の物質を除去できる限外ろ過(UF)などを単独であるいは組み合わせて用いたシステムにより製造する
.・蒸留水及びPS装置の供給水。
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3.製造装置管理
3-5. 注射用水製造装置(1/36)
・定期的にピュアスチームを用いて,滅菌を行うことを可能にする.
・耐熱性等の問題によりピュアスチームによる滅菌を行うことができない場合は,熱水又は薬品による殺菌が可能とする.
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3.製造装置管理
3-5. 注射用水製造装置(2/36)
●蒸留器蒸留法には単効用缶式,多重効用缶式,蒸気圧縮式等がある。用途及び使用量等に応じ3つの蒸留方式を適切に選定.
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3.製造装置管理
3-5. 注射用水製造装置(3/36)
●蒸留器設計要求に見合った供給水の前処理(イオン交換,RO,UF等)を組み合わせ,飛沫同伴の防止,濃縮による硬度スケールの発生防止の排水量設定等を考慮.
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3.製造装置管理
3-5. 注射用水製造装置(4/36)
●逆浸透膜処理装置二酸化炭素及びアンモニアガスをRO処理前に脱気,中和,イオン交換等により除去.
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3.製造装置管理
3-5. 注射用水製造装置(5/36)
●逆浸透膜処理装置供給水の前処理段階で,微生物の管理とモニタリングプログラムに係る設備を組み入れる。
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3.製造装置管理
3-5. 注射用水製造装置(6/36)
●逆浸透膜処理装置・常温においての操作でピンホール等
によるリークで,二次側を汚染する可能性があるので,直列二段構成とする.下流はUV殺菌,加熱処理等を行い,微生物増殖の抑制を行う.
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3.製造装置管理
3-5. 注射用水製造装置(7/36)
●限外ろ過膜装置・UFを利用するに当たっては,分画分子量
6,000Da程度以上の有機物を除去する目的に合致するグレードのUF膜を利用するものが望ましい.
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3.製造装置管理
3-5. 注射用水製造装置(8/36)
●注射用水等の貯蔵設備・水槽は内面が平滑な密封型
・水槽からのノズルの数は必要 小限で可能な限り短いものとする.
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3.製造装置管理
3-5. 注射用水製造装置(9/36)
●注射用水等の貯蔵設備・滞留部分を生じず,内部の洗浄が
容易。完全に排水することが可能な構造.
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3.製造装置管理
3-5. 注射用水製造装置 (10/36)
● 貯蔵設備・水槽は,水の入れ替わり(Turnover)
ができる限り早くなるように適切な容量のものとすること.水槽内での長期間の貯留はその期間をバリデーションにより定める.
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3.製造装置管理
3-5. 注射用水製造装置 (11/36)
●貯蔵設備・通気口には,微生物及び異物の侵入を
防ぐために,疎水性の孔径0.2/0.22㎛のベントフィルターを取り付けること.ベントフィルターは取り付け前及び定期的にその完全性を確認する.
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3.製造装置管理
3-5. 注射用水製造装置(12/36)
●貯蔵設備・貯水タンク内に熱水が供給される場合
蒸気の凝縮によるベントフィルターの閉そくを防止にベントフィルターの周りにヒーターを設置するのが望ましい。
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3.製造装置管理
3-5. 注射用水製造装置(13/36)
●貯蔵設備・熱水で殺菌を行う場合は,上部も
含め水槽内全体に熱が行き渡るような機構を付加する.
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3.製造装置管理
3-5. 注射用水製造装置 (14/36)
●貯蔵設備・安全弁はサニタリー式の安全弁を採用
するか,破裂板(Rupture Disc Valve)を併用する.
・破裂板を用いる場合は,破れたときに知らせる警告装置の設置が望ましい.
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3.製造装置管理
3-5. 注射用水製造装置(15/36)
●貯蔵設備・水槽内面の気液界面は微生物の繁殖
防止,腐食防止で,頂部も含め流水により常に流動させ,水槽内全体に流水が行き渡ることが望ましい.
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3.製造装置管理
3-5. 注射用水I製造装置(16/36)
●配管構造・基本的には,水が常時流れないバイパス
配管及び枝管は可能な限り設けない。
・注射用水は,微生物及び有機物の定着を防ぐため80℃以上に加温。十分な乱流となる流速で常時循環させることが望ましい.循環させない場合は水質維持が可能となるよう排水し,水を入れ替える。
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3.製造装置管理
3-5. 注射用水製造装置(17/36)
●配管構造・常温で循環するラインは,微生物増殖
防止のための方法を考慮する.例えば,途中にUVランプ(紫外線滅菌灯)を設置する.
・ループ内はユースポイントからの逆流がないように圧力を維持するなど対策を講じる.
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3.製造装置管理
3-5. 注射用水製造装置(18/36)
●配管構造・循環しない方式を採用する場合には,
使用前に高温水による洗浄やスチーム滅菌により微生物汚染を防止できるようにする.
・横引き配管には排水時及び滅菌時の水の滞留を防止できるように可能な限り1/100以上の勾配を設ける.
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3.製造装置管理
3-5. 注射用水製造装置(19/36)
●配管構造・ドレインの排出が容易にできるように
排出口を設ける。逆流を防止する構造とする.
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3.製造装置管理
3-5. 注射用水製造装置(20/36)
●配管構造・飛散しやすく,微量で過敏症反応を
示す製品等又は交叉汚染することにより他の製品に重大な影響を及ぼす恐れのある製品等の製造に使用する供給配管については,それに係る場所の配管と,設備の停止時,異常時,保守点検時を含めて交差汚染が起こるリスクに対して特段の配慮を行う.
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3.製造装置管理
3-5. 注射用水製造装置(21/36)
●配管構造・その他の製品等に係る配管と別系統に
するのが望ましいが,同一のラインとならないようにする.
・同一ラインとなる場合は,交叉汚染リスクが 小とするような措置を講じる.
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3.製造装置管理
3-5. 注射用水製造装置(22/36)
●熱交換器・熱媒体のリークによる供給水の
汚染を防止する.
・二重管(Double Tube)又は二重管板型(Double Tube SheetType)のシェルアンドチューブを
採用する.
・注射用水ラインにプレート型熱交換器を使用しない.
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3.製造装置管理
3-5. 注射用水製造装置(23/36)
●熱交換器・その他の型の熱交換器を使用する
場合は,供給水側が熱媒体に汚染されない型式を選定する.
・供給水側への汚染のリスクが想定される場合は,供給水側の圧力が常に熱媒体側より高くなるようにし,その圧力差の監視を行うことができるように計器及び警報を取り付ける.
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3.製造装置管理
3-5. 注射用水製造装置(24/36)
●ユースポイント・滅菌フィルターを取り付けること
は,設備中の微生物汚染モニタリングを困難なものとし,フィルターに捕捉された微生物や,フィルター部分で増殖した死骸からエンドトキシンが放出されることから,原則として行わない.
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3.製造装置管理
3-5. 注射用水製造装置(25/36)
●ユースポイント・やむを得ず滅菌フィルターの取付けを
行うときは,当該滅菌フィルターの殺菌・滅菌や交換頻度を,バリデーションを実施して定める.
・供給ループ中にはフィルターを設置しないことが望ましい.
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3.製造装置管理
3-5. 注射用水製造装置(26/36)
●サンプリングポイント・ユースポイントにおいてサンプリング
することができない場合は,できるだけその近傍にサンプリング口を設置する.
・サンプリング口の設置及びサンプリングを行うことのデメリットの方が大きいと考えられる場合は,この限りでない.
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3.製造装置管理
3-5. 注射用水製造装置(27/36)
●サンプリングポイント・サンプリング箇所は,サンプリング
前の初期ブロー及びサンプリング容器の制約を受けないようにする.
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3.製造装置管理
3-5. 注射用水製造装置(28/36)
●バルブ及び計器類 (1/2)・製薬用水に係る設備に設置するダイ
ヤフラム式等のバルブ,計器,検出器等は,液が滞留する部分及びデッドセクションがないものを選定する.
・バルブは,サニタリー構造仕様とする.
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3.製造装置管理
3-5. 注射用水製造装置(29/36)
●バルブ及び計器類 (2/2)・水の化学的品質のモニタリングプロ
グラムを適時行うことを可能とするため,導電率計並びにTOC計をインラインに設置することが望ましい.
・取付け位置は,当該局部配管内の水質を代表する場所を選定する.
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3.製造装置管理
3-5. 注射用水製造装置(30/36)
●バルブ・バルブは,サニタリー構造仕様とする.・水の化学的品質のモニタリングプログ
ラムを適時行うことを可能とするため,導電率計並びにTOC計をインラインに設置することが望ましい.
・取付け位置は,当該局部配管内の水質を代表する場所を選定する.
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3.製造装置管理
3-5. 注射用水製造装置(31/36)
●ポンプ・汚染防止が可能なシール構造を持つ
サニタリー仕様とし,熱水による殺菌及びピュアスチームによる滅菌を考慮.
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3.製造装置管理
3-5. 注射用水製造装置(32/36)
● ポンプ・ステンレス製遠心ポンプが多用され
るが,水の 大瞬間消費量,流速等,水槽からユースポイントまでの配管構成,対象とする配管に係る諸事項を勘案した上で,揚程,吐出能力,水接触面粗度(表面の平滑度),シール性等の性能等が適切なポンプを選定することが望ましい.
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3.製造装置管理
3-5. 注射用水製造装置(33/36)
● UV(紫外線)殺菌用ランプ・増殖した微生物の殺菌のために,
流水配管中にUVランプを設置することも可能であるが,UVランプの能力には限界があるため,その原理をよく理解した上で使用する.
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3.製造装置管理
3-5. 注射用水製造装置(34/36)
● UV(紫外線)殺菌用ランプ・目的が殺菌のときは通常254nmの
波長の紫外線を照射するが,照射波長の近傍においてのみ殺菌効果があることに注意する.
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3.製造装置管理
3-5. 注射用水製造装置(35/36)
● UV(紫外線)殺菌用ランプ・殺菌効率は温度,流速,照射強度,
対象への照射時間,対象とする微生物の種類等により変動し,UV照射を受けた微生物は一部に光回復,暗回復の現象が見られる。完全に死滅しないことを認識する.
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3.製造装置管理
3-5. 注射用水製造装置(36/36)
● UV(紫外線)殺菌用ランプ・殺菌を目的とするUVランプを循環
ループ内に設置する場合は,その有用性を十分考慮して,適切な位置を選定する.
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4.装置設計/工事管理
4-1. 製薬用水設備の基本設計の留意点
・要求される品質に適合する製薬用水を
恒常的に製造するため,製薬用水設備,
製造管理及び品質管理に関する手順並
びにその他の方法を,あらかじめ明確
に定めてから基本設計を行う.
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4.装置設計/工事管理
4-2. 基本設計の要点(1/10)
・製薬用水の種類及び規格,量及び管理方法を明確にすること.
・季節的な変動を含め原水の水質を把握すること
・ 大瞬間使用量,使用時間,使用頻度,ユースポイントでの諸条件(温度,取出し箇所数,分枝管や管径などの配管規格)等を設定する.
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4.装置設計/工事管理
4-2. 基本設計の要点(2/10)
・微生物管理を確実にするための殺菌又は滅菌を考慮した設備とする.
・当該規格の水質が恒常的に得られるように適切な監視を行うために必要なサンプリング位置を充分に検討する.
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4.装置設計/工事管理
4-2. 基本設計の要点(3/10)
・サンプリングは,ユースポイントだけでなく,製薬用水の製造工程の重要な個所においても行う.
・水質評価が必要な箇所では,適切なサンプリング操作が行える構造である.
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4.装置設計/工事管理
4-2. 基本設計の要点(4/10)
・構造的にサンプリング口を設けることが困難な場合は,できる限りユースポイントに近い場所にサンプリング口を設けることが望ましい.
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4.装置設計/工事管理
4-2. 基本設計の要点(5/10)
・ユースポイントへの水の供給は循環方式を原則とするが,循環しない場合は水質が維持できるよう手段を講じること.
・精製水設備の下流工程では,菌増殖の可能性を考慮し,フィルターは利用しないこと.
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4.装置設計/工事管理
4-2. 基本設計の要点(6/10)
・精製水設備の上流側では,不純物除去目的に適切なフィルターを選定し,設置することがある.(例:活性炭塔出口の保護フィルター等)
・ユースポイントからの逆流がないように圧力差,弁の開閉の順序などを考慮する.
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4.装置設計/工事管理
4-2. 基本設計の要点(7/10)
・製薬用水設備に使用する材質は目的とする水質を維持管理できる材質を選定する.
・注射用水の接触箇所では,例えばSUS316系のように耐食性の強い材質を選定し,表面の平滑性にも配慮し適切な材質を選定すること.
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4.装置設計/工事管理
4-2. 基本設計の要点(8/10)
・ピュアスチームによる滅菌や
高温循環配管は不働態化処理
を実施することが望ましい.
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4.装置設計/工事管理
4-2. 基本設計の要点(9/10)
・当該設備内配管は容易に排水できるような勾配を設ける.
・主配管がチ-ズ管(T字管)などで分枝し,その先にバルブなどの閉止機構があるようなデッドレグは,水が滞留しやすくなるので,主管の中心から枝管の先の閉止機構までの距離が枝管内径の6倍以内にする.可能であれば3倍以内が好ましい.
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4.装置設計/工事管理
4-2. 基本設計の要点(10/10)
・計器類は滞留がないようなサニタ
リータイプを選定する.
・管内流体の方向及びその種類を,
人がアクセス可能な箇所の管外面
に適当な間隔で表示する.
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4.装置設計/工事管理
4-3. システム設計
〇蒸発缶制御
〇WFI採水制御
〇熱交換器温度制御
○タンク廻り制御
○タンク陽圧制御
○タンクレベル制御
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4.装置設計/工事管理
4-4.バリデーション(1/2)①VMP作成(Validation Master Plan)
※バリデーションの全体計画を決定
②DQ実施(Design Qualification)※設計仕様 が顧客要求・GMP適合か確認
③IQ実施(Installation Qualification)※機器・設備が設計仕様 通りに据付られているか確認
④OQ実施(Operation Qualification)※機器・設備が設計仕様 通りに動作するか確認
⑤PQ実施(Performance Qualification)
※稼動状態を確認(施主範囲)
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4.装置設計/工事管理
4-4. バリデーション(2/2)
前記載以外
・要求仕様書(URS)
・リスクアセスメント
・キャリブレーション
・FAT/SAT
・CSV
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4.装置設計/工事管理
4-5.不具合事例
・ルージュ発生
・配管漏れ(フェルールジョイント)
・不適切なパッキン取付
・サンプリング場所
・原水水質変化
・供給量不足
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5.まとめ
「重要事項」
○製薬用水の理解:局方とガイドラインの理解
○リスクを分析理解する。(過去の不具合事例)
○原水の品質を把握。 (水質は変動する)
○製造機器の役割を理解する。メーカーと協力
○工事による欠陥をなくす。重要管理項目を明確化
○運用で品質の変化を見つける。システム
○当局への報告・記録。バリデーション記録
御清聴ありがとうございました。
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