セラミックおよびハイブリッド材料の堆積成長用材料・試薬 material matters...

20
Vol.1 No.3 sigma-aldrich.com Indispensable in Space and on Earth – ceramic films in action. Chemical Deposition Techniques in Materials Design Savannah ALD System Sol-Gel Science for Ceramic Materials Hermetic Barrier Using Vinyl Triethoxysilane (VTEOS) Silicon-Based Passive and System-in-Package Integration Vacuum Deposited Non- Precious Metal Catalysts for PEM Fuel Cells TM Deposition of Ceramic and Hybrid Materials セラミックおよび ハイブリッド材料の堆積 / 成長

Upload: sigma-aldrich

Post on 27-Jul-2015

734 views

Category:

Documents


1 download

DESCRIPTION

化学蒸着法に関する、世界各国の研究者によるショートレビュー。トピックス:原子層堆積法、ゾルゲル法、ビニルトリエトカエシシランと真空堆積法

TRANSCRIPT

Page 1: セラミックおよびハイブリッド材料の堆積成長用材料・試薬 Material Matters v1n3 Japanese

Vol.1 No.3

sigma-aldrich.com

Indispensable in Space and on Earth – ceramic fi lms in action.

Chemical Deposition Techniques in Materials Design

Savannah ALD System

Sol-Gel Science for Ceramic Materials

Hermetic Barrier Using Vinyl Triethoxysilane (VTEOS)

Silicon-Based Passive and System-in-Package Integration

Vacuum Deposited Non-Precious Metal Catalystsfor PEM Fuel Cells

TM

Deposition of Ceramic and Hybrid Materials

セラミックおよびハイブリッド材料の堆積 /成長

Page 2: セラミックおよびハイブリッド材料の堆積成長用材料・試薬 Material Matters v1n3 Japanese

si

gm

a-

al

dr

ic

h.

co

m/

ja

pa

n

2

Vol. 1 No. 3

TM

表紙について

技術の時代といわれる現代では、あらゆる局面で薄膜やコーティングが必要となります。たとえば、気密バリアとして働く薄膜はマイクロエレクトロニクスや微小電気機械システム、エネルギー変換デバイスに不可欠です。本号の表紙は、化学的な堆積 /成長法によるバリア層作製に利用されるビニルトリエトキシシラン(VTEOS)の分子をイラスト化したものです。VTEOSは多官能性分子であり、重合可能なビニル基をもつ酸化シリコンの複合薄膜の生成を可能にします。無機成分がバリア層となるよう設計されている一方、有機成分は疎水性で、水をはじき、多孔構造を塞ぎます。詳細については、ラトガーズ大学の研究グループの記事(11ページ)をご覧ください。表紙に描かれているとおり、こうした薄膜は、静止衛星に搭載された太陽電池パネルの構成部品を封止して外部環境から保護する目的に用いられます。

はじめにMaterial Matters ™ の第 3号へようこそ。今号では化学的な堆積 /成長法とそのエレクトロニクスおよび代替エネルギーへの応用を特集しています。

まず、シグマ アルドリッチ™ 材料科学部門の Balema博士が、薄膜作製に用いられる化学気相成長法と溶液堆積法について説明し、これらを比較します。Cambridge NanoTech社による記事では、化学気相成長法(CVD)および原子層堆積法(ALD)について考察し、さらに Savannah ALDシステムの利点を示します。米国陸軍研究所の Young博士は、セラミック材料のためのゾル -ゲル科学の基礎を解説します。ラトガーズ大学の Klein教授らは、ビニルトリエトキシシラン(VTEOS)のゾル -ゲルプロセシングによる気密封止バリアの開発に関する論文を紹介します。Philips社のRoozeboom博士とアイントホーフェン工科大学(オランダ)の Kessels教授は、シリコンベースの集積受動部品の製作やシステムインパッケージ集積化における原子層堆積法の適合性について考察します。最後に、Atanasoski博士と O'Neill博士が率いる 3M社の研究グループが、燃料電池用電極材料の作製における真空蒸着法の利用について報告します。今号では、化学的な堆積 /成長法の基礎と応用に役立つ製品群を特集しています。Material Matters ™ およびご興味をお持ちの材料に関するご意見、ご質問、ご要望については[email protected]までお寄せください。

はじめに

好評配布中!

アルドリッチ総合カタログは無料です。最寄の代理店にお問い合わせ下さい。

2007-2008アルドリッチ総合カタログ

最高のツールで研究を簡単に

カタログ表紙:『The Alchemist』Newell Convers Wyeth作(1937年)Chemical Heritage Foundation Image Archivesの厚意による。

Aldrich Handbook of Fine Chemicals

カタログセットには新版Sigma-AldrichLabware Catalogが含まれます。

特集:・化学薬品堆積法/ゾル -ゲルプロセシング・化学気相成長法・導電性高分子・燃料電池 -水素吸蔵材料 -プロトン交換膜(PEM)材料・ナノ粒子 -ナノパウダー &ナノ分散 -官能性ナノ粒子 -量子ドット・エレクトロニクスグレード材料

用途別インデックスに「材料科学」の項目を追加しました。

✔ 35,000品目の材料リスト✔ 2,000品目の新製品✔ 6,100件の引用文献✔ 3,000件のアプリケーションノート

✔充実の用途別インデックス ✔詳細な製品一覧

目 次

セラミックおよびハイブリッド材料の堆積 /成長

材料設計における化学的な堆積 /成長法  _________________________________ 3

Savanish ALDシステム:原子層堆積法の優れたツール ___________ 5

セラミック材料のゾル-ゲル科学 _______ 8

ビニルトリエトキシシラン(VTEOS)およびゾル -ゲルプロセッシングを用いた気密バリア層の開発 ______________________ 11

シリコンベースの受動部品およびシステムインパッケージの集積化:原子層堆積法のための選択肢 __________ 14

真空堆積法による PEM型燃料電池用の非貴金属系金属触媒 __________________ 17

Page 3: セラミックおよびハイブリッド材料の堆積成長用材料・試薬 Material Matters v1n3 Japanese

バルク供給/スケールアップのご相談は…ファインケミカル事業部 Tel:03-5796-7340 Fax:03-5796-7345 E-mail:[email protected]

3

厚みが 1 µm未満の材料は薄膜と呼ばれ、これよりも厚い層状材料、特に電子チップ中のトランジスタよりも厚いものは厚膜と定義されます。薄膜と厚膜はどちらも、電子デバイスや光学デバイス、コンピュータのメモリチップなどの構成要素として極めて重要な役割を果たしています。また、膜の材料がセラミックである場合は、その耐薬品性や高硬度といった特性を利用して、基材や切削器具を腐食・酸化・摩耗から保護するコーティング材として用いることができます。

一般に、CVD/ALD法は無機基材上での薄膜作製に適した手法であり、溶液を用いるゾル -ゲルプロセシングは逆に、厚膜またはナノパウダーの作製に使用される手法です。また、設備にかかるコストが低いことと、適度なコンフォーマリティをもつコーティング材が得られることから、ゾル -ゲルプロセシングが CVD/ALD法の低コスト代替法して利用されることもあります。しかし、高いアスペクト比を有する構造など複雑な表面上に均一な膜を作製する場合は、ALD法が必要となるでしょう。

膜厚の制御方法は通常、堆積 /成長法の種類によって決定します。したがって、既存の CVD法では膜の成長は堆積時間に依存し、ALD法では堆積サイクル数に依存します 1-3。ゾル -ゲルプロセシングの場合、膜の形成には大きく分けて 2種類の方法があります。つまり、スピンコーティングとディップコーティングです。スピンコーティングでは、基材は角速度 wで回転され、その回転軸に沿って前駆体(ゾル)が基材表面に注がれます。形成される膜の厚み(h)は、ゾルの特性と基材の回転速度の複雑な組み合わせに左右されます。実際に膜を作製する場合は、次の半経験的な式を用いて膜厚を予測することができます。

h = AwΒ

式中、Aおよび Bは経験的に得られる係数です。一方、ディップコーティングでは、基材を溶液に浸して引き上げる動作を何度か繰り返します。1回の浸漬 -引き上げサイクルで得られる膜の厚さは、溶液の特性、すなわち粘度(h)、密度(r)、表面張力(s)に加え、引き上げの速度(n)にも左右されます 8。

h = 0.945{(nh)2/3/ (gr)1/2s1/6}

CVD/ALD法では均一性および金属純度の高い薄膜が形成されるのに対し、ゾル -ゲルプロセシングではユニークかつ簡単な方法で膜の組成と形状を変化させることができます。また、特に in situドーピングが必要な場合、ゾル -ゲルプロセシングを CVD/ALD法の低コスト代替法として利用することができます。CVD/ALD法の代替法としてゾル -ゲルプロセシングがうまく利用された例としては、シリコン薄膜トランジスタの作製が挙げられます。この例では、多結晶シリコンの堆積には液状前駆体であるシクロペンタシラン(Si5H10)が用いられました 9。得られた膜中の粒子サイズはわずか 300 nmで、CVD法で作製される膜の平均的な粒子サイズと同等でした。

化学的な堆積 /成長法は過去 10年間にわたり、新しい先端デバイスの設計・製造において非常に重要な役割を果たしています。従来、この種のアプリケーションには、分子線エピタキシー(MBE)、物理蒸着(物理気相成長 PVD)、スパッタリングといった物理的な堆積 /成長法が用いられてきました。しかし物理的な堆積 /成長法には、コンフォーマリティ(膜厚の均一性)やスループットが低い、方向に制限がある、組成の制御が困難であるなどといった欠点があります。化学的な堆積 /成長法はこうした問題を一挙に解決することが可能な手法であり、実際に利用されてもいます。また、超薄膜の形成などの新たな利点も生み出しています。ツールの表面を加工することによる機能性・耐久性の改善や、電子チップの作製を目的として無機材料を積層する場合にはこの手法が特に有効です。現在この分野では、似て非なる 2グループの手法が主流となっています。第一の手法は、化学気相成長法(CVD)および原子層堆積法(ALD)からなる、気相を利用して揮発性分子を基材表面へ運ぶ方法です。第二の手法は化学溶液堆積法またはゾル -ゲルプロセシングと呼ばれる堆積 /成長法で、液相を媒体として物質を輸送します。

この 2グループの手法は、最終的に材料を得る工程が似ているという点で根本的に類似しています。どちらの手法でも、ある化合物の分子が前駆体として基材表面に運ばれ、化学的に修飾され、任意の薄層となります。ただし、CVD/ALD法の場合は気相と気 -固界面の両方でこの前駆体の化学的変換が起こりうるのに対し、ゾル -ゲルプロセシングでは溶液内で起こるという点には注意が必要です(図 1)。CVD/ALD法の場合は通常、前駆体分子の熱転化や、他の揮発性前駆体または酸素や水素といった反応性ガスとの反応によって前駆体の修飾が起こります 1-3。一方、ゾル -ゲルプロセシングは溶液中および固相での一連の化学的変換で構成されています。こうした化学的変換の例としては、適切な溶媒中でのコロイド懸濁液の形成(ゾル)、ゲル化(ゲル)、溶媒の蒸発(乾燥)、熱処理(焼結)などが挙げられます 4-7。

Sol

Gel

Xerogel

Film

Precursor(s)

ALDCVD

ALD

ALD

CVD

CVD

Sintering

Drying

Gelation

Chemical Deposition

Solution Vacuum

図 1. セラミック膜の化学堆積 /成長の模式図

材料設計における化学的な堆積 /成長法

Dr. Viktor P. Balema Sigma-Aldrich Materials Science

化学的な堆積/成長法

Page 4: セラミックおよびハイブリッド材料の堆積成長用材料・試薬 Material Matters v1n3 Japanese

テクニカルサポート Tel:03-5796-7330 Fax:03-5796-7335 E-mail:[email protected]

gm

a-

al

dr

ic

h.

co

m/

ja

pa

n

4

ゾル -ゲルプロセシングよりも CVD法の方が明らかに適している例としては、マグネシウム・アルミニウムスピネル(MgAl2O4)の堆積が挙げられます。マグネシウム・アルミニウムスピネルは機械的強度や耐薬品性が高く、かつ密度が低いため、耐火性のアプリケーションに特に適した材料といえます。また、湿度センサや酸化物超伝導体作製時のバッファー層としての可能性も備えています。MgAl2O4薄膜の作製では、MgAl2(OPr-i)8またはMgAl2(OBu-t)8といったMg-Al前駆体を用いたCVD法での成功例があります。このアプリケーションに、類似の中間体であるMgAl2 [(OCH2CH2)N]3によるゾル -ゲルプロセシングを用いたところ、微孔質の粉末が生じました 10,11。注目すべきことに、特定のグループの前駆体(金属アルコキシドなど)は、CVD/ALD法と化学溶液堆積/ゾル -ゲルプロセシング法のどちらの方法でも、金属酸化物の薄膜およびナノ構造をうまく形成することができます 12-14。

したがって、化学気相成長法と化学溶液堆積法はその利点を最大限に利用すればどちらも優れたツールとなり、所定の寸法・形状・特性を持った様々な材料の設計を可能とします。

謝辞本稿の作成にあたって、S. Jasty博士、A. Korolev博士、M. Stender博士、S. Adam博士にご意見およびご助言をいただいたことに深く御礼申しあげます。

参考文献(1) D.M. Dobkin and M.K. Zuraw, Principles of Chemical Vapor Deposition: What’s Going on Inside the Reactor, 2003, Kluwer Academic Publishers, Boston, Dodrecht, London. (2) R. Fischer, Precursor Chemistry of Advanced Materials, 2005, Springer, New York. (3) D. Monsma, J. Becker, Material Matters, 2006, Vol. 1, No. 3, 5. (4) S.K.Young’s, Material Matters, 2006, Vol 1., No. 3, 8.(5) F. Caruso, Colloids and Colloid Assemblies: Synthesis, Modification, Organization, and Utilization of Colloid Particles, 2004, John Wiley & Sons, New York. (6) Sol-Gel Technology for Thin Films, Fibers, Preforms, Electronics, and Specialty Shapes, L.C. Klein, Ed., 1988, Noyes Publ., Park Ridge, NJ. (7) A.C.Pierre, Introduction to Sol-Gel Processing, 2002 Kulwer Academic Publishers, Boston, Dodrecht, London. (8) V. Kiisk, Optical Investigation of Metal-Oxide Films, 2006, Tartu University Press, Tartu. (9) T. Shimoda, Y. Matsuki, M. Furusawa, T. Aoki, I. Yudasaka, H. Tanaka, H. Iwasawa, D. Wang, M. Miyasaka, Y. Takeuchi, Nature, 2006, 440, 783. (10) K.F.Waldner, R.M.Laine, S. Dhumrongvaraporn, S.Tayaniphan, R.Narayanan, Chem. Mater. 1996, 8, 2850 (11) S.Mathur, M.Veith, T.Ruegamer, E.Hemmer, H.Shen, Chem. Mater. 2004, 16, 1304. (12) N. Lecerf, S. Mathur, H. Shen, M. Veith, S. Huefner, Scripta Mater. 2001, 44, 2157 (13) M. Veith, J. Chem. Soc., Dalton Trans., 2002, 2405 (14) L.G. Hubert-Pfalzgraf, Inorg. Chem. Communications 2003, 6, 102.

高純度金属アルコキシド金属 前駆体 化学式 純度(%) 製品番号 価格アルミニウム Aluminum isopropoxide Al[OCH(CH3)2]3 99.99 229407-10G ¥6,000

229407-50G ¥17,000

229407-250G ¥56,800

Aluminum-tri-sec-butoxide Al[OCH(CH3)C2H5]3 99.99 511609-5G ¥15,100

ゲルマニウム Germanium(IV) ethoxide Ge(OC2H5)4 99.95 339180-1G ¥6,000

339180-5G ¥19,900

339180-25G ¥71,200

ハフニウム Hafnium(IV) n-butoxide 99 667943-25G ¥65,000

Tetrakis(1-methoxy-2-methyl-2 propoxy)hafnium(IV) Hf(OC(CH3)2CH2OCH3)4 99.99 568171-10G ¥45,500

マグネシウム Magnesium ethoxide Mg(OC2H5)2 98 291846-5G ¥4,500

291846-100G ¥6,400

ニオブ Niobium(V) ethoxide Nb(OCH2CH3)5 99.95 339202-5G ¥10,000

339202-50G ¥54,000

スズ Tin(IV) tert-butoxide Sn(OC(CH3)3)4 99.99 494135-5G ¥15,400

494135-25G ¥50,200

タンタル Tantalum(V) ethoxide Ta(OC2H5)5 99.98 339113-10G ¥18,700

339113-100G ¥104,100

チタン Titanium(IV) isopropoxide Ti[OCH(CH3)2]4 99.999 377996-5ML ¥5,300

377996-25ML ¥12,200

377996-100ML ¥44,100

Titanium(IV) methoxide Ti(OCH3)4 99.99 463582-25G ¥67,800

タングステン Tungsten(VI) ethoxide 99 667935-2G ¥12,000

667935-10G ¥43,000

ジルコニウム Zirconium(IV) isopropoxide isopropanol complex Zr(OCH(CH3)2)4 · (CH3)2CHOH

99.9 339237-10G339237-50G

¥12,600¥45,400

Zirconium(IV) tert-butoxide electronic grade Zr[OC(CH3)3]4 99.999 560030-5G ¥16,600

560030-25G ¥55,100

化学的な堆積/成長法

Page 5: セラミックおよびハイブリッド材料の堆積成長用材料・試薬 Material Matters v1n3 Japanese

バルク供給/スケールアップのご相談は…ファインケミカル事業部 Tel:03-5796-7340 Fax:03-5796-7345 E-mail:[email protected]

5

はじめに原子層堆積法(ALD)は、複雑な 3次元表面上に完全にコンフォーマル(膜厚が均一)な堆積層を形成するコーティング技術です。コーティングが均一となる理由は、前駆体蒸気が連続的なサイクルを通じて飽和的に化学吸着する点にあります。このプロセスを図 1に図解します。図 1aで、シリコンの表面は(空気との接触で生じた)ヒドロキシル基で終端化されています。ウエハを ALD反応装置にセットし、液状のトリメチルアルミニウム(TMA)のシリンダーが連結された高速作動バルブから最初の前駆体を導入します(図 1aおよび図 1b)。前駆体は表面の層とは反応しますが、前駆体同士では反応しないため、単一の飽和単分子層が形成されます。次に TMA蒸気と反応産物のメタンを排気し、水蒸気を導入します(図 1cおよび図 1d)。これによって、酸素の飽和単分子層(図 1e)と揮発性の反応産物であるメタンが生じます(水分子は、ヒドロキシル基(OH)で覆われた不動態化表面を形成した後はそれ以上反応しないため、ここでも飽和単分子層が得られます)。最後に、メタンと水を排気します。このサイクルを、希望の厚さのコーティング層が得られるまで繰り返します(図 1f)。

a b

c d

e f

図 1a~ f. トリメチルアルミニウム(TMA)および水を前駆体として Al2O3

コーティングを形成する原子層堆積法の反応サイクル。揮発性の反応産物としてメタンが生じる。

前駆体の導入ごとに膜が飽和して単分子層となるため、コーティングの厚さは細孔の中でも基板表面でも同じになります。このため、フォトニック結晶の内部やダイナミックRAM(DRAM)キャパシタのトレンチ内、宙に浮いた微小電気機械システム(MEMS)の周囲、粒子の周囲などへの堆積も可能です。実際、当社の ALDシステムでは、アスペクト比が 1:1000を超える膜も難なく作製することが可能です。図 2に示した例では、陽極酸化処理された酸化アルミニウム基板にある直径 50 nm、深さ 50ミクロンの細孔の内部にも均一なコーティングが形成されており、図 3では半導体ナノワイヤが均一にコーティングされています。マイクロエレクトロニクス分野では、ナノメートル規模の解像度におけるALDコーティング層のリフトオフ加工を実現しました(図4)。このとき、シリコンウエハ上の ALDコーティング層のパターニングには、フォトレジストまたは電子線レジストを使用しました。金属 -絶縁体 -金属構造のキャパシタを用いて誘電特性および電気的特性を調べました。Al2O3、HfO2、ZrO2の誘電率および絶縁破壊電界値を表 1に示します。

MPI SEI 10.0 kV x85,000 100 nm WD 5 mm

k. Nielsch, Max Planck Institute, 2004

www.cambridgenanotech.com

Bottom view after depositionAI203

AI

View

Uniform deposition into 40 nm holes 50 mm deep>1:1250 aspect ratio!

13 nm

16 nm

9 nm

図 2. 陽極の酸化アルミニウム基板内部におけるコンフォーマルなコーティング層。Cambridge NanoTechの ALDシステムで処理した結果、深さ 50ミクロンの細孔の直径が 40 nmから 20 nmに均一に小さくなっている。

プロセスの条件が変動しやすいにもかかわらず、堆積層が本質的に均一であることが ALDシステムの利点です。基板上で前駆体の流速が変化しても、堆積にはあまり影響がありません。また、実際の製造工程では、完全に飽和に達するよう過剰量の前駆体が用いられることが多いため、温度変化の影響もほとんどありません。このため ALD法は、膜厚モニタで常に厚さを監視しなければならない化学気相成長法(CVD)やスパッタリングよりも、再現性が高く使いやすい方法であるといえます。ALD法のもうひとつの利点はスケール変更です。反応にはバッチリアクターが使用可能で、その場合、多数の基板を密に積み重ねます。そうすることで、すべての基板を一度で均一にコーティングすることができます。この点は、バッチの系では均一性が損なわれる CVD法や、ターゲットを見渡す必要があるために 1回に処理できる基板が 2~ 3枚に限られ、かつ非常に大きなターゲットと真空チャンバーが必要となるスパッタリングとは対照的です。

Savannah ALDシステム――原子層堆積法の優れたツール

Dr. Douwe Monsma andDr. Jill Becker

Cambridge NanoTech Inc.

Savan

nah

ALD

システム

Page 6: セラミックおよびハイブリッド材料の堆積成長用材料・試薬 Material Matters v1n3 Japanese

テクニカルサポート Tel:03-5796-7330 Fax:03-5796-7335 E-mail:[email protected]

gm

a-

al

dr

ic

h.

co

m/

ja

pa

n

6

Atomic layer deposition

Core–shell nanowire

Nanowire ZnO

Al2O3

a)

b)

Au

AI2O3

ZnO

50 nm

図 3. Cambridge NanoTechの ALDシステムで半導体ナノワイヤの周囲に成膜したコンフォーマルなコーティング層 2

ALD法の利点のまとめ

• 膜厚が堆積サイクル数で単純に決まる

• 前駆体が飽和的に化学吸着するため、広い面積でも均一で、かつ 3次元的なコンフォーマリティを有する化学量論組成の膜が得られる

• ダストの影響を比較的受けにくい(ダスト粒子の陰になる場所でも膜が成長する)

• 堆積が本質的に均一であることと原料サイズが小さいことから、スケール変更が容易

• ナノ積層および複合酸化物が成膜可能

• 低温(室温~ 400℃)での堆積が可能

• 損傷を受けやすい基板でも穏やかな堆積プロセスが可能

ALD法の前駆体の合成は盛んに行なわれているため、堆積に使用できる材料の数は急速に増加しており、アプリケーションの数も増える一方です。

Savannah ALDシステム当社の Savannah ALDシステムは、他社の ALDシステムにはないユニークな特長を備えています。反応装置の容積が小さいため、サイクル時間が短く、前駆体の使用量も抑えられています。そのため、反応装置の下に取り付ける真空ポンプや前駆体シリンダーのサイズも小さくなっています。その結果、業界最小の設置面積(通常タイプでわずか 20× 20インチ)が実現されています。小型ではありますが、最大 200 mm(Savannah 200の場合)の基板に、平均± 1%未満(Al2O3の場合)という繰り返し精度で均一な厚さの膜を作製することができます。特殊なふたを採用していますので、反応装置の高さを変更して厚い基板や大きな部品を処理することも可能です。モジュール式の加熱マニフォールドを用いることで、最大 6種類の前駆体(固体、液体、気体)を導入することができます。すべての前駆体の加熱は標準仕様となっています。最高 200℃まで加熱可能な専用の 3ウェイ ALDバルブを採用しており、様々な液体前駆体および固体前駆体が使用可能です。また、独自のストップバルブ曝露モードにより、アスペクト比が 1:1000を超える深い細孔内への堆積も簡単に行なうことができます。Savannahシリーズはグローブボッ

クス環境にも導入されており、有機フラットパネルディスプレイなど外気に触れさせることのできない基板への堆積を可能にしています。当社では標準的な Savannahシリーズに加えて、あらゆる基板サイズに対応したカスタム ALDシステムを製造しています。Savannahシリーズは製造および研究の現場で 個別的な研究開発用としても、一般的なクリーンルーム用としても活躍しています。

80 nm

10 μm

図 4. フォトレジストおよび電子線レジストを用いた種々の誘電体コーティング層の、ナノメートル規模での ALDリフトオフ加工

表 1. 同一の低温 ALD法でリフトオフ用に成膜した高 k(高誘電率)材料の特性。20 Kおよび室温(Tm)で測定。

材料 d (nm) Tm EBD (MV/cm) k QBD (mC/cm-2)

Al2O3 2.5 RT 8 9 6.4

Al2O3 10 RT 8.3 8.8 6.5

Al2O3 25 RT 8.2 8.2 6.0

Al2O3 50 RT 7.6 8.9 6.0

ZrO2 25 RT 5.6 20 9.9

ZrO2 100 RT 6 29 15.5

ZrO2 50 20 K 8.2 29 21

ZrO2 100 20 K 9.5 26 22

HfO2 10 RT 6.5 17 9.7

HfO2 25 RT 7.4 18.5 12

HfO2 25 20 K 8.4 16.3 12.1

* 絶縁破壊電界値 EBD = VBD/d(VBDは絶縁破壊電圧、dは薄膜の厚さ)、誘電率 k、絶縁破壊時の電荷密度 QBD = CVBD。

ALD法のアプリケーションと材料マイクロエレクトロニクスおよびナノエレクトロニクスの分野では、高κ誘電体(Al2O3、HfO2、ZrO2、PrxAylOz、Ta2O5、La2O3)、導電性ゲート電極(Ir、Pt、Ru、TiN)、金属配線(Cu、WN、TaN、Ru、Ir)に応用されています。特に、自然酸化膜(SiO2

など)を形成しない半導体への堆積には ALD法が不可欠であることが立証されています。

粗面や粒状表面でも均一な膜厚でコーティングできるというALD法の利点から、触媒コーティングは ALD法の重要なアプリケーションのひとつとなっています。例としては、フィルターやメンブレン、触媒(自動車触媒コンバータ用の薄くて経済的な白金層など)の内部コーティング、燃料電池のイオン交換コーティング(Pt、Ir、Co、TiO2、V2O5)などが挙げられます。

微小電気機械システム(MEMS)およびナノ電気機械システム(NEMS)も、重要な応用分野のひとつです。宙に浮いた構造や 3次元エッチング構造も、ALD法ならば簡単に均一な膜厚でコーティングすることが可能です。構造が複雑であることの多いバイオメディカルデバイスの場合でもそれは同じことで、種々の窒化物セラミックでコーティングすることができます。

Savan

nah

ALD

システム

Page 7: セラミックおよびハイブリッド材料の堆積成長用材料・試薬 Material Matters v1n3 Japanese

バルク供給/スケールアップのご相談は…ファインケミカル事業部 Tel:03-5796-7340 Fax:03-5796-7345 E-mail:[email protected]

7

光学分野では、ALD法を利用することで、光学的パラメータや厚さの均一性が大幅に向上します。さらに、基板全体をコーティングする際も基板を回転させる必要がなく、バッチプロセスを適用すればコストも削減されます。光学分野の中でも、ALD法が特に有効なのは、ナノフォトニクス、太陽電池、光集積回路、レーザー、可変誘電率ナノ積層材料、ファブリー・ペロー型フィルター、ルゲートフィルター、フリップフロップ光学フィルター、反射防止材など(Al2O3、ZnS、SnO2、Ta2O5、AlTiO、SnO2、ZnO)です。フォトニック結晶および反転オパールの場合、構造内部のコーティングに適する手法は ALD法に限られます。

また、ALD法は読み出し用磁気ヘッド(絶縁層用、主にAl2O3)やフラットパネルディスプレイの製造において商業的に利用されています。最近、ALD法が有機 ELディスプレイ(OLED)用の防湿バリア層の形成に優れていることが立証されました。

また、圧電層(ZnO、AlN、ZnS)や透明伝導体(ZnO:Al、ITO)、ガス/ pHセンサ(SnO2、Ta2O5)、耐摩耗層・固体潤滑層・耐食層(Al2O3、ZrO2、WS2)といったニッチなアプリケーションも生まれています。

ALD法は現在、多様なセラミックに加えて種々の金属(Ru、Pd、Ir、Pt、Rh、Co、Cu、Fe、Niなど)の成膜を可能にし、また、他の技術ではこれまで成し得なかった箇所の精密なコーティングを実現したことで、アプリケーションの幅を広げるとともに科学の進歩に貢献しています。

参考文献(1) K. Nielsch, Max Planck Institute, Germany, private communication. (2) Hongjin Fan, Nature Materials online, July 2006, 1. (3) Biercuk et al. Appl. Phys. Lett. 2003, 83, 2405.

Savannah ALDシステムに用いられる揮発性前駆体*

金属 前駆体 化学式 物理的状態 製品番号 価格アルミニウム Trimethylaluminum

TMAAl(CH3)3 液体、自然発火性 663301-25G ¥140,000

ハフニウム Tetrakis(dimethylamido)hafnium(IV) TDMAH

Hf[N(CH3)2]4 固体、air-sensitive 666610-25G ¥220,000

ルテニウム Bis(Ethylcyclopentadienyl)ruthenium(II) Ru(C5H4-C2H5)2 液体 679798-10G ¥266,000

タンタル Tris(diethylamido)(tert-butylimido)-tantalum(V) (CH3)3CN=Ta(N(C2H5)2)3 液体、air-sensitive 668990-10G ¥250,000

チタン Tetrakis(dimethylamido)titanium(IV) TDMAT

Ti[N(CH3)2]4 液体、air-sensitive 669008-25G ¥170,000

タングステン Bis(tert-butylimino)bis(dimethylamino)tungsten(VI) ((CH3)3CN)2W(N(CH3)2)2 液体、air-sensitive 668885-10G ¥200,000

亜鉛 Diethylzinc Zn(C2H5)2 液体、自然発火性 668729-25G ¥140,000

ジルコニウム Tetrakis(dimethylamido)zirconium(IV) TDMAZ

Zr[N(CH3)2]4 固体、air-sensitive 669016-25G ¥190,000

* Savannah ALDシステム専用のスチール製シリンダーでパッケージされています。

CVD/ALD法に使用する金属前駆体の全製品リストは、弊社ウェブサイト(sigma-aldrich.com/precursors)にてご覧ください。

完成形度が高いにもかかわらずカスタマイズが思いのままにこの標準システムは真空システムと Lab-View/PC制御システムを備えたパッケージ製品としてご提供していますが、

仕様に合わせたカスタマイズも可能です。シグマ アルドリッチは材料と前駆体の提供を通じて、研究を成功に導きます。

本システムの詳細については弊社ウェブサイト(sigma-aldrich.com/matsci)をご覧ください。

基板サイズ:最大 4インチウエハおよび最大 8インチウエハ基板温:25~ 400℃(± 0.2℃)前駆体供給源:2種類、加熱可能堆積膜の均一性:誤差 1%未満設置面積:500× 550 mm堆積:高速、高アスペクト比クリーンルーム適合性:クラス 100

ALDの成果をお届けします!高速かつ多機能なスタンドアローン型原子層堆積システムを

低価格であなたのラボへシグマ アルドリッチとその独占的パートナーであるCambridge NanoTechから、

使いやすいスタンドアローン型ALDシステムのご案内です。

Savan

nah

ALD

システム

Page 8: セラミックおよびハイブリッド材料の堆積成長用材料・試薬 Material Matters v1n3 Japanese

テクニカルサポート Tel:03-5796-7330 Fax:03-5796-7335 E-mail:[email protected]

gm

a-

al

dr

ic

h.

co

m/

ja

pa

n

8

はじめに近年、ワークショップを主催する International Sol-Gel Society1や、ゾル -ゲル分野関連の総合情報サイト(会議情報を含む)を主催する Sol-Gel Gateway2といった専門的組織によって、シリコンベースの研究が注目を集めています。加えて、Journal of Sol-Gel Science and Technology、Chemistry of Materials、Journal of Non-Crystalline Solidsなどの査読誌も、シリコンベース材料に焦点を合わせた記事を多数掲載しています。これらの組織や会議、雑誌は、学術界および産業界で生まれた主要なシリコンベース研究の大部分を取り扱っています。反応性シリコン化学に関する研究は、純シリコンおよびハイブリッド材料の製造、ヒドロシリル化、開環重合および原子移動重合、立体化学制御重合、縮合反応を重視してきました。シリコーンの反応では、ポリマーやエラストマー、セラミック、相互侵入網目構造、強化フィラー、メンブレン、マイクロリソグラフィー、光開始剤、高機能ポリマー、ゾル-ゲル法によるセラミック前駆体など、シリコン化学の主要分野を網羅する幅広い種類の材料が得られます。

ゾル -ゲル化学は以前から知られてはいましたが、広範に研究が進められるようになったのは 1970年代半ば、ゾル -ゲル反応によって金属アルコキシド溶液から様々な無機材料のネットワーク構造が得られることが示されてからのことです 3。ゾル -ゲルプロセシングは、均質かつ高純度な無機酸化物ガラスを室温で作製することが可能であるという点において、超高温を必要とした従来の方法とは一線を画しています。ガス分離、エラストマー、コーティング、積層材料といった分野での利用を目的として、ゲル成形体 4,5、紡糸繊維 6,7、薄膜 8-10、かご状分子 11,12、キセロゲル 13といった様々な製品が開発されています。無機成分を有機ポリマーに組み込むことによって、様々な特性を任意に改変できるようになっています。

ゾル -ゲルプロセシングで用いられる前駆体は、種々の反応性リガンドに囲まれた金属元素または半金属元素で構成されています。アルミン酸、チタン酸、ジルコン酸などの金属アルコキシドは水に対する反応性が高いため、前駆体として最も広く使用されています。非金属アルコキシドで最も広く用いられているのは、テトラメトキシシラン(TMOS、Aldrich製品番号 679259)やテトラエトキシシラン(TEOS、Aldrich製品番号 333859)といったアルコキシシラン類です。アルコキシシランのアルコキシ基のうち最も一般的なものはエチル基ですが、メトキシ基やプロポキシ基、ブトキシ基、その他の長鎖炭化水素アルコキシ基も用いられます。金属アルコキシドは、単独で、あるいは TEOSやアルコキシホウ酸などの非金属アルコキシドと組み合わせた形で、ゾル -ゲルプロセシングに広く用いられています。

ゾル -ゲルゾル -ゲルプロセシングはアルコキシドの加水分解と縮合という一連の反応で構成されています。その反応スキームを図1に示します。この例ではアルコキシシランを使用していますが、どの種類の金属アルコキシドでも反応は同様です。酸性、中性、または塩基性の条件下でシラン溶液に水を加えると、加水分解が始まります。

Si OHSi OR +HOH+

Alkoxysilane

Reesterification

Hydrolysis

Silanol Alcohol

ROH

(1)

Hydrolysis

Silanol

HOH+Si OH Si OH Si O Si+

Silanol Siloxane

WaterCondensation

Water

(2a)

Silanol Siloxane

++ Si O SiSi ORSi OH

Alkoxysilane

AlcoholCondensation

AlcoholysisROH

Alcohol (2b)

図 1. ゾル -ゲル反応スキーム

多く金属アルコキシドは反応速度が非常に大きいため、触媒を使用しなくても加水分解反応および重合反応が進みますが、アルコキシシランの加水分解速度はそれよりもずっと遅いため、酸性または塩基性の触媒を添加する必要があります。金属アルコキシドの反応速度を低下させる目的で、乾燥制御剤(DCCA)がしばしば用いられます 14,15。DCCAの例としては、テトラヒドロフラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、シュウ酸などが挙げられます。DCCAは反応中間体と水素結合を形成することで反応速度を低下させます。蒸発によりDCCA溶剤を除去すると、反応を進行させることができます。

利点と有用性ゾル -ゲルプロセシングがセラミック薄膜およびガラス薄膜の形成において有利であることには多くの理由があります。まず、ゾル -ゲルプロセシングはシンプルな反応であり、珍しい物質や触媒、高価な堆積用装置を必要としません。また、極端な反応条件を利用することもありません。反応は室温で起こり、反応で生じた水/アルコールを除去してゲルを「硬化」させるための適温を保つことだけを必要とします。ゾル-ゲルプロセシングで作られる材料の特性は、有機基修飾アルコキシドや腕の数の異なる半金属を用いる(たとえば、アルコキシシランの代わりにアルコキシホウ酸を用いる)ことで容易に改変することが可能です。

ゾル -ゲルプロセシングは、複合材料に使用される S2グラスファイバー(高機能ガラス繊維の一種)の修飾に広く用いられています。ゾル -ゲル薄膜によるガラス表面のコーティングは、ガラスに強度と飛散防止性を与えます。ゾル -ゲル材料はまた、既存のポリマー構造(ポリエステル 16、Nafi on® 17、Surlyn®など)を強化する目的で複合材料中でも用いられています 18。これらのアプリケーションでは、純度 97%以上のゾル -ゲルプロセシング用アルコキシシランおよびアルコキシチタン酸を、購入時の状態で使用しました。

セラミック材料のゾル -ゲル科学

Dr. Sandra Kay YoungUS Army Research Laboratory

セラミック材料のゾル-

ゲル科学

Page 9: セラミックおよびハイブリッド材料の堆積成長用材料・試薬 Material Matters v1n3 Japanese

バルク供給/スケールアップのご相談は…ファインケミカル事業部 Tel:03-5796-7340 Fax:03-5796-7345 E-mail:[email protected]

9

ゾル -ゲルネットワークの修飾上に挙げた例のようなセラミックおよび複合材料を修飾する便利な方法のひとつに、有機基修飾ケイ酸塩(ORMOSIL)の利用があります。ORMOSILは、TEOSなどの四官能性シリコンアルコキシドから誘導されます(図 2)。図中の nはシリコン原子に結合している有機基の数、fはシリコン原子に結合している反応性アルコキシ基の数を表しています。R、R'、R''はメチル基、ビニル基、ベンジル基など、有機基修飾ケイ酸塩に含まれる官能基を表しています。多くの場合、有機基にはアミン基やエポキシド基といった反応性の基が含まれているため、連続して反応させることが可能となっています。

OCH2CH3

R'

OCH2CH3SiR

OCH2CH3

R'

R"SiR

OCH2CH3

OCH2CH3

OCH2CH3SiR

OCH2CH3

OCH2CH3

OCH2CH3SiH3CH2CO

Terminating Bridging

Endcapping Network Forming

f=1,n=3 f=2, n=2

f=3, n=1 f=4, n=0

図 2. ORMOSILの官能性

シルセスキオキサンもまた、セラミックおよび複合材料の無機 -有機修飾剤として広く用いられています。架橋型シルセスキオキサン(図 3)には、炭化水素ベースで有機スペーサーとしての機能も持つ置換基(R)がひとつ含まれています。シルセスキオキサンはポリマー系に導入されることが多いため、界面の相溶性を高めるには、ポリマーの反復単位に可能な限り類似した R基を選択する必要があります。

SiR"H3CH2CO

H3CH2CO

R"OCH2CH3

OCH2CH3

R SiSiH3CH2COH3CH2CO

H3CH2CO

OCH2CH3

OCH2CH3

OCH2CH3

R Si

図 3. 6アームおよび 4アームの架橋型シルセスキオキサンの例

さらに、多数のかご状構造がゾル -ゲルプロセシングによってセラミックや複合材料に導入されています。そうした構造(多面体シルセスキオキサン(PSS)19,20、ゼオライト 21など)は材料に特有の多孔性と剛性を与えます。かご状構造の導入は、非共有結合(セラミックの構造中に材料がトラップされる)を介しても、共有結合を介しても行なうことができます。

ゾル -ゲルネットワークの研究セラミックおよび複合材料の構造におけるゾル -ゲル結合の研究には、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)や 29 Si MAS NMRなどの固相核磁気共鳴(NMR)がよく用いられます。元素組成比は、表面の場合は X線光電子分光法(XPS)で、バルク材料の場合は即発 g線中性子放射化分析法で決定されます。図 4は Nafi on構造内で重合した ORMOSILテトラエチルオルトケイ酸(T):ジエトキシジメチルシラン(D)ゾル -ゲルの FTIRデータであり、種々のシリコン結合構造が表れています 22。目立つ吸収ピークは非対称の Si-O-Si包絡線によるもので、環状成分(約 1080 cm-1)と直鎖成分(約 1030 cm-1)で構成されています。

1400 1200 1000 800 600

cm -1

sym.-CH 3

-Si-OEt

-Si-O-Si- asym.

cyclic linear

-Si-OH

-Si-C str.

-Si-O-Si-sym.

T:D 1:0

T:D 2:1

T:D 1:1

T:D 1:2

T:D 0:1

図 4. Nafion構造内で重合したテトラエチルオルトケイ酸(T):ジエトキシジメチルシラン(D)ゾル -ゲルの FTIR-ATR(全反射減衰)差スペクトル 22

0 - 20 - 40 - 60 - 80 -100 -120 -140

ppm

T:D 1:0

T:D 2:1

T:D 1:1

T:D 1:2

T:D 0:1

D unit Region

Q unit Region

D2

Q4Q3

図 5は、Nafion構造内で重合した ORMOSILテトラエチルオルトケイ酸/ジエトキシジメチルシランの固相 29 Si MAS NMRデータであり、種々のシリコン結合構造が表れています 17,21。

結論ゾル -ゲルの科学技術には、材料特性の改変に重大な影響を与える可能性があります。ゾル -ゲルプロセシングの最大の利点は、室温で利用できること、そして外気の影響を受けないことです。これらの特性のために、熱に弱い各種材料の使用が可能になるとともに、ドライボックスなど特殊装置の使用という制約からも解放されるでしょう。

参考文献(1) www.isgs.org (2) www.solgel.com (3) Nogami, M. et al. J Non-Cryst Solids 1980, 37, 191. (4) Wei, Y. et al. J Sol-Gel Sci & Tech 1996, 7, 191. (5) Mackenzie, J. D. J Non-Cryst Solids 1982, 48, 1. (6) Mascia, L. et al. Composites Part A 1996, 27A (12),1211. (7) Sakka, S. et al. J Non-Cryst Solids 1986, 82, 24. (8) Brinker, C. J. et al. J Memb Sci 1994, 94, 85. (9) Yoldas, B. E. J Non-Cryst Solids 1989, 112, 419. (10) Schmidt, H. J Non-Cryst Solids 1980, 37, 191. (11) Zusman, R. et al. Anal Biochem 1992, 201, 103. (12) Yakubovich, T. N. et al. Russian J Coord Chem 1994, 20 (10), 761. (13) Hobson, S. T. et al. Chem Mat 1997, 9, 616. (14) Brinker, C. J. J Non-Cryst Solids 1988, 100, 31. (15) Hench, L. L. et al. Chem Rev 1990, 90, 33. (16) Young, S. K. et al. Polymer 2002, 43, 6101. (17) Young, S. K. et al. Poly. Eng. & Sci. 2001, 41 (9), 1529. (18) Siuzdak, D.A. et al. J Poly Sci Part B-Polym Phy 2003, 41(1),11. (19) Shea, K. et al. J Am Chem Soc 1992, 114, 6700. (20) ChemFiles 2001, Vol. 1, No. 6. (21) Cot, L. et al. Solid State Sci 2000, 2, 313. (22) Young, S. K. Organic-Inorganic Composite Materials: Molecular Tailoring of Structure-Property Relationships PhD Thesis 1999.

セラミック材料のゾル-

ゲル科学

Page 10: セラミックおよびハイブリッド材料の堆積成長用材料・試薬 Material Matters v1n3 Japanese

テクニカルサポート Tel:03-5796-7330 Fax:03-5796-7335 E-mail:[email protected]

gm

a-

al

dr

ic

h.

co

m/

ja

pa

n

10

トリ(メトキシ)シラン H3CO Si

OCH3

OCH3

R

CH3

440175 (95%)

CH3CH2

435643 (>97%)

CHCH2

235758 (98%) 104744 (98%)

CH2

438340 (98%)

CF3CH2

91877 (97%)

OCH2

413321 (98%)

CH2 Cl

440183 (>97%)

CH2 Br

18265 (97%)

CH2 SH

175617 (95%)

CH2 NH2

281778 (97%)

CH2 HN CH3

551635 (97%)

CH2 HNNH2

O

440817 (97%)

CH2 HNNH2

104884 (97%)

HNCH2

440809 (97%)

CH2 N H2CCH3

SiOCH3

OCH3

OCH3

555150 (97%)

CH2 OO

440167 (98%)

CH2 OCH3

H2C

O

440159 (98%)

CH2(CH2)6CH3

376221 (96%)

CH2(CH2)14CH3

52360 (>85%)

CH2(CH2)16CH3

376213 (90%)

トリ(エトキシ)シラン H3CH2CO Si

OCH2CH3

OCH2CH3

R

CH2

CH2

391042 (96%)

CH2

CH3

539317 (97%)CH2

CH3

H3C

435678 (98%)CH2

29262 (>97%)

CH2

CH2

A36301 (97%)CH2

CN

125377 (97%)

CH2(CH2)3CH3

10160 (>97%)Cl

CH2

435686 (95%)

CH2 NH2

440140 (99%)CNCH2

374156 (98%)

CH2(CH2)6CH3

440213 (>96%)

CH2CH2CF2(CF2)4CF3

667420 (98%)

CH2CH2CF2(CF2)6CF3

658758 (97%)

CH2(CH2)10CH3

44237 (>95%)

その他のアルコキシシラン

H3C Si

CH3

OCH3

CH3

253006 (99%)

H3C Si

CH3

OCH2CH3

CH3

254371 (98%)

Si

CH3

OCH2CH3

OCH2CH3H3C

175595 (97%)

H3C Si

OCH3

OCH3

446203 (97%)

H3CH2CO Si

OCH2CH3

CH3

CH2

259462 (99%)

Si

OCH2CH3

484319 (97%)

H3C Si

OCH3

OCH3

CH2(CH2)6CH3

68215 (>95%)

H3C Si

CH3

OCH3

CH2(CH2)6CH3

375977 (98%)

Si

OCH2CH3

OCH2CH3

CH2(CH2)16CH3H3C

452793 (95%)

H3CH2CO Si

OCH2CH3

CH3

NH2

371890 (97%)

H2CH3CO Si

CH3

OCH2CH3

O O

435171 (97%)

H2CH3CO Si

CH3

CH3

O O

539260 (97%)

H3CO Si

CH3

OCH3

SH

446173 (95%)

H3CH2CO Si

OCH2CH3

D83532 (97%)

シラン前駆体下記製品の容量および価格は弊社ウェブサイト(sigma-aldrich.com)にてご確認ください。

セラミック材料のゾル-

ゲル科学

各製品番号ごとに、MSDS、ロット試験成績表、NMR/IRスペクトル、在庫状況、価格を公開しています。ご不明の点はテクニカルサポートへお気軽にお問い合わせください。在庫状況と価格をご覧になるには、Your Profileメニューから、1)Web language= Japanese 2)MSDS language= English 3)Country= Japanの 3つを選択して Submitしてください。(次回よりこの設定が保存されます)

Page 11: セラミックおよびハイブリッド材料の堆積成長用材料・試薬 Material Matters v1n3 Japanese

バルク供給/スケールアップのご相談は…ファインケミカル事業部 Tel:03-5796-7340 Fax:03-5796-7345 E-mail:[email protected]

11

はじめに防湿バリア層はマイクロエレクトロニクスや微小電気機械システム(MEMS)、有機 ELディスプレイ(OLED)に不可欠な要素です。この種のバリア層の加工には低温条件が必要になります。有機 -無機ハイブリッドのバリア材料にゾル -ゲルプロセシングを適用して低温で成膜することで、密封性を得ることができます。無機成分はバリア層となるよう設計され、有機成分は疎水性で水をはじき、多孔構造を塞ぎます。

私たちの目標は、電子デバイスおよび電気化学デバイスのための防湿バリア層を開発することです。バリア層には、水や水蒸気、ガスがコーティング層に浸透してデバイスと反応することを防ぐ性質が求められます。これまで、多数の低温ハイブリッド材料がゾル -ゲルプロセシングとメタクリル酸化合物を用いて合成されてきました 1,2。他のハイブリッド材料も詳細に検討されています 3,4。そのコンセプトは、ゾル -ゲルプロセシングでは低温で酸化物が生じるということにあります。この方法は特に、シリカ(ネットワーク構造として、またはナノ粒子の凝集塊として)の形成に用いられます。このハイブリッド材料作製法では、有機成分と無機成分との重合を一斉に、または逐次的に行なうことによって有機成分に酸化物を導入します。

典型的な例では、無機成分はテトラエチルオルトケイ酸(TEOS、Aldrich製品番号 333859)の加水分解と縮合重合から合成され、これらの反応で架橋酸素を含むシリカネットワークが生じます。本研究では、ビニルトリエトキシシラン(VTEOS、Aldrich製品番号 679275)を用いて、重合可能なビニル基を有する酸化物ネットワークを形成しています。この場合、無機と有機の両方のネットワークを持つ VTEOSのほうが TEOSよりも有利であるといえます。

そこで私たちは、疎水性バリア層の作製における VTEOSの有効性、および紫外線(UV)照射が VTEOS系に与える影響を分析しました。さらに、薄膜の特性を調べ、接触角を測定することで疎水性を評価しました。

合成方法バリア層コーティングの合成フローチャートを図 1に示します。まず前駆体ビニルトリエトキシシラン(VTEOS)を溶媒であるエチレングリコールモノブチルエーテル(EGMBE)と混合しました。脱イオン水および酢酸(CH3COOH)を添加した後、この溶液を 20時間撹拌しました。フリーラジカル重合の開始剤には過酸化ベンゾイル(BPO、0.1 wt%)を用いました。開始剤の添加から 4時間にわたって溶液を撹拌した後、顕微鏡用スライドガラスおよびステンレス製試片を溶液に浸漬しました。スライドガラスの浸漬と引き上げにはスクリュードライブ付きディップコーター装置を用いました。

得られた薄膜は室温で一晩乾燥させた後、70℃で 30分間熱処理しました。UV照射を行ない、その後 NaOHで洗浄して過剰のBPOを除去しました。最後に薄膜サンプルを乾燥させ、評価を行ないました。

基板がガラスであってもステンレスであっても、均一な薄膜が得られました。接触角の測定には脱イオン水を用い、測定値の計算には KSV社製の CAM Optical Contact AngleおよびPendant Drop Surface Tensionソフトウェア(バージョン3.80)を用いました。Nanoscope ™ IV走査型プローブ顕微鏡(Veeco社製)を用い、接触モードで原子間力顕微鏡(AFM)像を撮影しました。

Stir 4 hours

VTEOS +EGMBE

Stir 20 hours

Remove excess initiator with NaOH

UV irradiation (10 minutes – 2 hours)

Heat at 70 °C: 30 minutes

Dry at RT overnight

Adding BPO

Dip Coat

Dry overnight at 70 °C

H2O + CH3COOH

図 1. VTEOSを用いたゾル -ゲルプロセシングによる複合コーティング層の合成フローチャート

結果と考察2種類のサンプルを比較します。一方のコーティング層は水4 molに対し VTEOS 1 molで、他方は水 6 molに対し VTEOS 1 molの割合で作製しました。一般に、四官能性シランの加水分解に必要な水の化学量論的な量は 4 molとされていますので、6 molは過剰量といえます。これは、水 1 molが 1 molのエトキシ基を加水分解するという想定に基づいていますが、ある種の縮合重合では更なる加水分解が生じることがよくあります。

接触角の測定結果を図 2aおよび図 2bに示します。図 2aにおいて、4 molの水で作製したコーティング層上の水滴の接触角は 90.5°です。6 molの水で作製したサンプルの場合、接触角は 118.4°です。この場合、接触角が 90°よりもはるかに大きいことから、コーティング層は明らかに超疎水性であるといえます。

ビニルトリエトキシシラン(VTEOS)およびゾル -ゲルプロセシングを用いた気密バリア層の開発

Ariel Jackson, andDr. Andrei Jitianu, Professor Lisa C. Klein

Department of Materials Science and Engineering, Rutgers University

VTEO

S

のゾル-

ゲルプロセシング

による気密封止バリアの作成

Page 12: セラミックおよびハイブリッド材料の堆積成長用材料・試薬 Material Matters v1n3 Japanese

テクニカルサポート Tel:03-5796-7330 Fax:03-5796-7335 E-mail:[email protected]

gm

a-

al

dr

ic

h.

co

m/

ja

pa

n

12

図 2a. 4 molのH2Oを用いて作製したコーティング層の接触角θ:θ = 90.5°

図 2b. 6 molのH2Oを用いて作製したコーティング層の接触角θ:θ = 118.4°

目視ではサンプルが均一に見えましたが、AFMの走査像によって表面形状が明らかとなりました。4 molの水で作製したサンプルの表面粗さは約 4.71 nmでした(図 3)。表面粗さは、いわゆる「ハスの葉効果」によって疎水性を高めます。

800 nm

200

400

600 600

400

200

800 nm

800 nm 800 nm

0.0 nm

50.0 nm

図 3. 4 molの H2Oで作製したコーティング層表面の AFM像(表面粗さは4.71 nm)

減衰全反射 -フーリエ変換赤外分光法(ATR-FTIR)で測定したところ、ビニル基がコーティング層表面にあることがわかりました(スペクトルは割愛)。スペクトルは現在、詳細に解析しているところです。表面ビニル基の重合の模式図を図 4に示します。表面重合の詳細な検討も現在進行中です。

図 4. VTEOSを原料としたコーティング層のビニル基の光重合の模式図

結論VTEOSを出発物質として、ゾル -ゲルプロセシングでハイブリッドコーティング層を作製しました。6 molの水を用いて作製したコーティング層の接触角は 118.4°であり、表面は疎水性でした。この超疎水性は、ナノスケールでの表面粗さ、および表面に存在するビニル基によって説明されます。無機成分に対するゾル -ゲルプロセシング、そして有機成分に対する光重合反応という 2種類の方法でネットワークを同時に形成することが、防湿用の疎水性高密度コーティング層の低温形成に有用な方法であると私たちは提案します。

参考文献(1) A. B. Wojcik, L. C. Klein, J. Sol-Gel Science and Technology, 1995,4, 57. (2) A.B. Wojcik, L. C. Klein, J. Sol-Gel Science and Technology 1995, 5,77. (3) A. B. Wojcik, L. C. Klein, Appl. Organometallic Chem. 1997, 11,129. (4) D. Avnir, L. C. Klein, D. Levy, U. Schubert, A. B. Wojcik, The Chemistry of Organosilicon Compounds Vol. 2, Eds. Z. Rappoport, Y. Apeloig, 1998, Wiley, London, p. 2317.

VTEO

S

のゾル-

ゲルプロセシング

による気密封止バリアの作成

ナノファブリケーションの揮発性前駆体に関するさらなる情報は、Volatile Precursor foe NanoFabrication (ChemFile Vol.4 No.3)を、

シルセスキオキサンに関しては、シルセスキオキサン関連試薬(ChemFile Vol.1 No.6)をご参照ください。

日本語での関連情報は、次の URLでご提供しております。http://www.sigma-aldrich.co.jp/aldrich/MS/

また、これらカタログの英語版 PDFは以下の URLからダウンロード可能です。sigma-aldrich.com/mslit.

Page 13: セラミックおよびハイブリッド材料の堆積成長用材料・試薬 Material Matters v1n3 Japanese

バルク供給/スケールアップのご相談は…ファインケミカル事業部 Tel:03-5796-7340 Fax:03-5796-7345 E-mail:[email protected]

13

ゾル -ゲルプロセシング用成膜グレードシラン

シラン前駆体 構造 製品番号 価格Allyltrimethoxysilane

SiH3COOCH3

OCH3CH2

679267-50G ¥34,600

Butyltrichlorosilane Cl3Si CH3 679224-50G ¥19,600

[3-(Diethylamino)propyl]trimethoxysilaneSi

OCH3

OCH3

H3CON

CH3

CH3 679356-50G ¥39,800

Ethyltrichlorosilane CH3Cl3Si 679216-50G ¥2,500

Isobutyl(trimethoxy)silane CH3Cl3Si 679364-50G ¥10,300

Methyltrichlorosilane CH3Cl3Si 679208-50G ¥2,400

N-PropyltriethoxysilaneH3CH2CO Si

OCH2CH3

OCH2CH3

CH3

679321-50G ¥11,200

Pentyltrichlorosilane Cl3Si CH3 679194-50G ¥19,900

Tetramethyl orthosilicateH3CO Si

OCH3

OCH3

OCH3

679259-50G ¥11,100

Tetrapropyl orthosilicateH3CH2CH2CO Si

OCH2CH2CH3

OCH2CH2CH3

OCH2CH2CH3

679240-50G ¥12,300

Triethoxy(octyl)silaneH3CH2O Si

OCH2CH3

OH2CH3

CH3

679305-50G ¥7,000

TriethoxyphenylsilaneH3CH2CO Si

OCH2CH3

OCH2CH3

679291-50G ¥1,900

TriethoxyvinylsilaneH3CH2CO Si

OCH2CH3

OCH2CH3

CH2

679275-50G ¥3,000

TrimethoxymethylsilaneH3CO Si

OCH3

OCH3

CH3

679232-50G ¥1,900

TrimethoxyphenylsilaneSiH3CO

OCH3

OCH3

679313-50G ¥9,000

上記の成膜グレードシランの純度は 98%以上です(化学分析法による)。微量金属および不純物のプロファイルは試験成績書に記載されています。

ゾル -ゲルプロセシング用前駆体の全製品リストは、弊社ウェブサイト(sigma-aldrich.com/solgel)をご覧ください。

VTEO

S

のゾル-

ゲルプロセシング

による気密封止バリアの作成

Page 14: セラミックおよびハイブリッド材料の堆積成長用材料・試薬 Material Matters v1n3 Japanese

テクニカルサポート Tel:03-5796-7330 Fax:03-5796-7335 E-mail:[email protected]

gm

a-

al

dr

ic

h.

co

m/

ja

pa

n

14

この 10年の間、シリコン基板への受動部品の集積化や、様々な技術で得られた別々のチップ(CMOS、GaA、MEMSなど)をひとつのパッケージにする(「異種」集積化)3次元集積化・積層化といった技術が開発され、最初の大量生産が始まるに至りました。現在、国際半導体技術ロードマップには、次世代のシリコンベース集積受動部品およびシステムインパッケージ集積化に関する予測が示されています 1。

最近、これらの技術の利用した携帯電話用高集積 RFトランシーバシステムが初めて発売されました 2。中でも、Philips(現在は NXP) Semiconductors社はバックエンドのシリコンプロセシングを利用して、能動部品チップやMEMSチップなどを異種集積化するキャリアとなりうるシリコン基板に受動部品を集積化しています 3。たとえば、トランシーバ ICをこの受動部品シリコン基板にフリップチップ実装することで、配線寄生容量や占有面積を最小化することができます。このサブアセンブリを再度裏返して、標準的なリードフレームパッケージに実装します(図 1)3。

transceiver die150 µm thick

passive die300 µm thick

lead frame

flip

flipflip

Decoupling and PLL capacitors

transceiver

flip

flipflip

flip

flipflipflip

transceiver

図 1. アクティブトランシーバチップが裏返しに載った受動チップを再度裏返してリードフレームに実装する(チップは露出、モールド樹脂なし)。システムインパッケージによる「プラグアンドプレイ」型 Bluetooth無線モジュールの例(参考文献 3より引用)。

受動チップはいわゆる PICS(受動部品集積配線基板)技術で作製されますが、この技術は高 Qインダクタ、レジスタ、精密MIMキャパシタ、そして特にデカップリング・フィルタリング用の高容量密度(約 30 nF/mm2)MOSトレンチキャパシタといった受動部品の集積化に向けて開発されたものです。これらの部品は、約 1.5µmの幅と最大約 30µmの深さを持った複数のマクロ孔をドライエッチングすることで、シリコン内に作製されます。約 30 nm厚のシリコン酸化物・窒化物(ONO)誘電体を充填され、ポリシリコン/アルミニウムの上部電極を有するトレンチキャパシタは、優れた誘電破壊電圧(平均 30 V)、非常に低い漏出電流、長い寿命を示しました 4,5。

シリコンベースの受動部品およびシステムインパッケージの集積化:原子層堆積法のための選択肢

次の小型化ステップとしては、いわゆる高 k誘電体(HfO2などをベースとする)を利用して 200 nF/mm2以上という大きな電気容量密度を有するMIS型およびMIM型のトレンチキャパシタを作製することが考えられます。システムインパッケージに向かうステップのひとつに、幅 10~ 200µm、深さ最大 300µmのバイアホールのエッチングおよび銅充填(電気メッキ)があります。バイアホールとは、熱の拡散やアース、さらにはウエハの一方の面から反対の面への低インダクタンス相互導通接続を目的として設けられる、ウエハを貫通する形で材料を充填した孔のことです。このコンセプトは、3次元チップ積層化および一般的なフォームファクタの小さいシステムインパッケージ集積化へと至るものです。

容量密度の高いトレンチキャパシタの実現、および 3次元ウエハや積層チップのバイアホール形成における大きな課題のひとつは、コストと反応速度が妥当でしかも(バックエンドプロセシングの自由度のため)低温で実施できる、細孔のライニング・充填に関する有用な技術を見いだすことです。絶縁層、誘電体層、導電層(電極、シード層、銅拡散バリア層)の堆積は、均一性が極めて高く、各ステップで形成される膜の厚さが等しく、しかも低温(400℃以下)で実施できるものでなければなりません。これらを可能にする技術のひとつとして、自己制御機構という長所をもつ堆積 /成長法である原子層堆積法(ALD)が考えられます。ALD法では、基板表面を 2種類の試薬の蒸気に、たとえば Al2O3の堆積ならトリメチルアルミニウム(TMA)と水蒸気に交互に曝します。また、自己制御的な表面反応により、高アスペクト比の細孔でも(ほぼ)単層レベルの制御下で、均一なライニングまたは充填を行なうことが可能です。自己制御という特徴が本質的に均一な膜厚をもたらすことは、ダイナミック RAM(DRAM)のディープトレンチキャパシタ(アスペクト比約 60:1、許容誤差 100 nm未満)のような加工の困難なデバイスでも実証されています 6。ALD法はまた、入り組んだ構造をもつ多くのデバイス(積層チップのバイアホール、MEMS、平面導波路、多層膜光学フィルタ、拡散や酸化、腐食からの保護膜など)の製造にも寄与します。

トレンチキャパシタおよびバイアホールにおける ALD法の活用から、平面状ウエハに関連する別の課題も生じています。たとえば酸化物の ALD法の場合、トレンチ側壁の粗さが不慮の破壊電圧低下の原因となることがあります。また、界面酸化物層の形成は比誘電率の意図しない低下の原因となります(図 2)。こうした影響を最小限に抑えるには、適切に前洗浄工程(HF浸漬、リンスなど)を行なう必要があります。さらに、良好な絶縁層を作るには、細孔の深さ全体にわたって膜厚と微細構造(形状および組織)が適切かつ均一であることが必要ですが、これは必ずしも明確にわかるわけではありません。細孔の充填と空隙化では、吸着と脱離が重要な役割を果たしています。特に、所定の圧力およびマクロ孔サイズでは、気体 ALD試薬および反応産物の自由拡散を制限するような別の型の拡散(Knudsen拡散)の中で ALDプロセスが進行します。前駆体の吸着・脱離プロセスをさらに進めるには、パージステップの延長など、ガスサイクルのタイミングを最適化する必要があります 7。このような最適化を行なわなければ、理想的なナノ積層膜は得られないでしょう。

Dr. Fred Roozeboom, Philips Research and Professor Erwin Kessels, University of Technology, Eindhoven

シリコンベースの受動部品

およびシステムインパッケージ

Page 15: セラミックおよびハイブリッド材料の堆積成長用材料・試薬 Material Matters v1n3 Japanese

バルク供給/スケールアップのご相談は…ファインケミカル事業部 Tel:03-5796-7340 Fax:03-5796-7345 E-mail:[email protected]

15

電極、シード層、拡散バリア層(バイアホールにおける銅拡散防止用など)として利用する導電層のALD堆積の場合、サーマル ALD法とプラズマ支援 ALD法のどちらを選ぶかが重要な問題となります。導電性 TiN薄膜に関する実験結果から明確に実証されているように、プラズマ支援 ALD法では材料特性を向上させることが可能です 8。TiCl4ドージングをH2-N2プラズマ曝露と組み合わせて用いるプロセスでは、NH3ドージングを用いるサーマル ALD法で得られる材料の品質を大きく超えた、比抵抗に優れ不純物(C、H、Clなど)の少ない TiN薄膜が得られます。さらに、許容される材料品質という点では、サーマル ALD法では基板温度の範囲が300~ 400℃に限定されているのに対し、プラズマ支援 ALD法では 100℃という低温でも十分な材料特性が得られます。

M

I

S

polySi

Al2O3/HfO2/Al2O3

a b

interfacial SiO2

poly-Si

Al2O3

HfO2

Al2O3

SiO2

Si-substrate

図 2. サーマル ALD法で成膜された Al2O3/HfO2/Al2O3誘電体の(a)SEM断面像、および(b)高分解能 TEM像。誘電体層の上には ポリシリコン電極層がある。

プラズマ支援 ALD法で堆積された TiN薄膜をトレンチキャパシタの電極材料として利用することについてはすでに研究が行なわれています(図 3)。プラズマ支援 ALD法の利点としては、たとえば金属窒化物(TiN、TaNなど)で実証されているとおり、プラズマの組成や曝露時間をカスタマイズすることで薄膜の化学量論比を制御できるということも挙げられます。例を挙げると、有機金属前駆体(ペンタキスジメチルアミノタンタルなど)から TaNを成膜する場合、H2-N2プラズマを用いると窒素を多く含む絶縁性 TaNが得られますが、H2プラズマへの曝露時間を長くすることで低比抵抗 NaNが得られたり、逆に短くすることで大量の炭素を含む超低比抵抗の TaCN薄膜が得られたりというように、材料特性を調節することが可能です。

100 nm

TiNONO

Sipoly-Si

100 nm

TiNONO

Sipoly-Si

b

SiSiO2

Si3N4

SiO2

TiN

poly -Si

10 nm

30 nm ONO

a b

図 3. 30 nm厚の ONO誘電体層および 10 nm厚のプラズマ支援 ALD成膜TiN層からなるMOS積層の(a)SEM断面像、および(b)高分解能 TEM像。上には LPCVDで成膜した 0.3µm厚のポリシリコン層がある。

基本的に、トレンチキャパシタに用いられる酸化物/窒化物多層膜といったナノ積層材料の堆積の方法としては ALD法が最適です。入り組んだ構造をもつウエハ上での「高 k」誘電体層(Al2O3、Ta2O5、HfO2など)と導電層(TiN、TaN)の多層膜は、電気容量密度が非常に高いMIMキャパシタを実現します。成膜が困難な材料の例を図 4に示します。この TEM像は、高アスペクト比の多層膜形成に関する ALD法の性能を示しています。上述した私たちのマクロ孔では、TiCl4および NH3を前駆体としたサーマル ALD法により、20 nm Al2O3 // 25 nm TiN // 20 nm Al2O3 // 25 nm TiNからなる多層膜を深さ 35 µmの細孔内で堆積しました。ここで、Al2O3はトリメチルアルミニウムと水蒸気から 380℃で成膜され、TiNは TiCl4と NH3から 400℃で成膜されました。細孔全体にわたって、Al2O3の膜厚(20 nm)および TiNの膜厚(25 nm)の精度はどちらも 10%以内であるように見えます。

AI2O3

TiNAI2O3

Si

Silica residues(from polishing)

(a) (b)

(c) (d)

100 nm

0.5 μm 50 nm

50 nm

図 4. 深さ約 35µmの細孔内で成膜された、20 nm Al2O3 // 25 nm TiN // 20 nm Al2O3 // 25 nm TiNからなる多層膜の TEM像。a)ひとつの細孔の最上部の両側面を示している全体像、b)および c)細孔上部の像、d)細孔内の深さ約 25µmでの像。ALD法は Jusung Engineeringの H.D. Kimが実施。

200 nF/mm2を超える超高容量密度を持つキャパシタの実現は手の届くところにあり、また、バイアホール内での銅電気メッキのためのシード層や TaNなどの銅拡散防止層の成膜についても同じことがいえると結論できます。そのため、ALD法の研究が今後さらに進んで成熟し、コスト要因が減少するとすれば(シングルウエハ ALD法における低堆積速度を補うバッチ ALD法の開発)、受動部品集積および異種集積の分野における ALD法の見通しは明るいといえるでしょう。また、低温プロセシングの開発も重要です。ALD法専用の新しい前駆体化学物質が得られれば、この開発はさらに促進されると考えられます。

シリコンベースの受動部品

およびシステムインパッケージ

Page 16: セラミックおよびハイブリッド材料の堆積成長用材料・試薬 Material Matters v1n3 Japanese

テクニカルサポート Tel:03-5796-7330 Fax:03-5796-7335 E-mail:[email protected]

gm

a-

al

dr

ic

h.

co

m/

ja

pa

n

16

謝辞J. Klootwijk、W. Dekkers、M. Kaiser(以上 Philips)および S. Heil(アイントホーフェン工科大学)の各氏の技術的貢献に深く感謝いたします。

参考文献(1) ITRS Roadmap 2005 edition, Assembly and Packaging, see: www.itrs.net/Links/2005ITRS/Home2005.htm.(2) www.3d-ic.org/literature.html. (3) F. Roozeboom, A.L.A.M. Kemmeren, J.F.C. Verhoeven, F.C. van den Heuvel, J. Klootwijk, H. Kretschman, T. Frič, E.C.E. van Grunsven, S. Bardy, C. Bunel, D. Chevrie, F. LeCornec, S. Ledain, F. Murray and P. Philippe, Thin Solid Films 2006, 504, 391. (4) F.Roozeboom, A.Kemmeren, J.Verhoeven, F.van den Heuvel, H.Kretschman and T.Frič, Mat. Res.

Soc. Symp. Proc. 2003, 783, 157. (5) F. Roozeboom, A.L.A.M. Kemmeren, J.F.C. Verhoeven, F.C. van den Heuvel, J. Klootwijk, H. Kretschman, T. Frič, E.C.E. van Grunsven, S. Bardy, C. Bunel, D. Chevrie, F. LeCornec, S. Ledain, F. Murray and P. Philippe, Electrochem. Soc. Symp. Proc. 2005, 2005,16.(6) M. Gutsche, H. Seidl, J. Luetzen, A. Birner, T. Hecht, S. Jakschik, M. Kerber, M. Leonhardt, P.Moll, T.Pompl, H.Reisinger, S. Rongen, A. Saenger, U. Schroeder, B. Sell, A. Wahl and D. Schumann, Tech. Digest IEDM 2001, 18.6 (7) J. Klootwijk, A. Kemmeren, R. Wolters, F. Roozeboom, J. Verhoeven, E. van den Heuvel, in ‘Defects in Advanced High-κ Dielectric Nano-Electronic Semiconductor Devices’, (E. Gusev, ed.); Springer: Dordrecht, 2006, p. 17. (8) S.B.S. Heil, E. Langereis, F. Roozeboom, M.C.M. van de Sanden and W.M.M. Kessels, J. Electrochem. Soc. 2006,153, G956-G965.

化学気相成長法および原子層堆積法に用いられるその他の揮発性前駆体

金属 揮発性前駆体 化学式物理的状態、取り扱い上の注意

純度(%) 製品番号 価格

アルミニウム Tris(dimethylamido)aluminum(III) Al(N(CH3)2)3 固体、air/moisture -sensitive >98 469947-10G ¥25,400

ハフニウム Tetrakis(diethylamidohafnium(IV) [TDEAT]

Hf[N(CH2CH3)2]4 液体、air/moisture -sensitive 99.99455202-10G455202-25G

¥42,600¥88,400

Tetrakis(dimethylamido)hafnium(IV)[TDMAH]

Hf[N(CH3)2]4 固体、air/moisture -sensitive 99.99 455199-25G ¥75,600

Tetrakis(ethylmethylamido)hafnium(IV) Hf[N(CH3)C2H5)]4 液体、air/moisture -sensitive 99.99553123-5ML553123-25ML

¥36,200¥121,000

タンタル Tris(diethylamido)(ethylimido)tantalm(V) C2H5N=Ta(N(C2H5)2)3 液体、air/moisture -sensitive 99.99 517836-5ML ¥68,800

Tris(diethylamido)(tert-butylimido)-tantalum(V)

(CH3)3CN=Ta(N(C2H5)2)3 液体、air/moisture -sensitive 99.99 521280-5ML ¥68,500

Tris(ethylmethylamido)(tert-butylimido)tantalum(V)

(CH3)3CN=Ta(N(C2H5)CH3)3 液体、air/moisture -sensitive 99.99 J100043-5G ¥20,500

チタン Bis(diethylamido)bis-(dimethylamido)titanium(IV)

Ti(N(CH3)2)2(N(CH2CH3)2)2 液体、air/moisture -sensitive 99.99 J100026-10G ¥42,000

Titanium(IV) chloride[TICL]

TiCl4 液体、air/moisture -sensitive 99.995254312-10G254312-50G

¥5,100¥16,400

Tetrakis(diethylamido)titanium(IV) [TDEAT]

Ti[N(C2H5)2]4 液体、air/moisture -sensitive 99.999469866-5G469866-25G

¥12,300¥48,700

Tetrakis(dimethylamido)titanium(IV) [TDMAT]

Ti[N(CH3)2]4 液体、air/moisture -sensitive 99.999469858-5G469858-25G

¥11,000¥42,700

Tetrakis(ethylmethylamido)titanium(IV) [TEMAT]

Ti(N(C2H5)CH3)4 液体、air/moisture -sensitive 99.99473537-5G473537-25G

¥19,900¥79,600

CVD/ALD法に使用する金属前駆体の全製品リストは、弊社ウェブサイト(sigma-aldrich.com/precursors)をご覧ください。

シリコンベースの受動部品

およびシステムインパッケージ

Page 17: セラミックおよびハイブリッド材料の堆積成長用材料・試薬 Material Matters v1n3 Japanese

バルク供給/スケールアップのご相談は…ファインケミカル事業部 Tel:03-5796-7340 Fax:03-5796-7345 E-mail:[email protected]

17

Dr. David G. O’Neill, Dr. Radoslav Atanasoski (pictured) Alison K. Schmoeckel, George D. Vernstrom, Dennis P. O’Brien, Dr. Manish Jain, Dr. Thomas E. Wood, The 3M Company

現在、PEM型燃料電池技術では触媒として白金を使用しています。白金の代替品を模索する研究の大半は、窒素配位子を有する遷移金属化合物(ポルフィリン鉄やフタロシアニン鉄など)を用いて作られた酸素還元反応(ORR)触媒を使用するものです 1,2,3。従来の方法では、この種の触媒は、炭素担体粒子上で乾固させた遷移金属化合物を、還元雰囲気/窒素含有雰囲気下において 950℃以下の温度で熱分解することで作られます。しかし残念なことに、この触媒の ORR活性は十分ではなく、酸素活性化能を高める試み(鉄含量を高めるなど)には成功例がありません 4。Dodeletらが飛行時間型 2次イオン質量分析法(TOF-SIMS)や X線光電子分光法(XPS)などを利用して行なった分析から、良好な酸素活性化能を得るにはピリジン構造が必要であると提唱されました 5,6。

図 1. Dodeletら 6が提案する、ORR触媒活性に必要な分子種の構造

ORRに必要な非貴金属性 ORR金属触媒を合成するための新しい代替法では、必要とされている 3種類の元素(遷移金属、炭素、窒素)を真空堆積法を用いて組み合わせます 7,8。パルスアーク放電プラズマ堆積法、スパッタリング堆積法、蒸発法といったプロセス、さらにはこれらの組み合わせによって、これまでに様々な材料が作られています。これらの材料の触媒活性は、組立て後、50 cm2の燃料電池において酸素から生じた電流を測定することで決定しました。パルスアーク放電プラズマ堆積法は、鉄のワイヤを含む高純度グラファイトカソードの腐食によって炭素/鉄プラズマを生成しうるため、炭素/鉄ベースの触媒の堆積に適しています 9。本実験の計画は、堆積プロセスおよび堆積条件を幅広く変化させて、得られた材料の触媒活性を 50 cm2の試験用燃料電池において確認するというものです 10,11。燃料電池試験だけに依存しても、最も有益な変化を検討する手がかりを得ることはできませんが、かといって、触媒の挙動を一義的に規定する分析方法はまだ見出されていません。それでも、ORR触媒作用との関連が知られている材料特性を測定する性能があれば、プロセスの研究開発は大いに促進されることでしょう。

そこで私たちは、組成は同一でも加工の過程が異なる鉄ベースの触媒材料同士を互いに区別しうる、元素特異的な局所分析プローブを用いることにしました。真空堆積法で作製したC-Nx:Fe触媒を、鉄の k吸収端の広域 X線吸収微細構造(EXAFS)分析、および共鳴紫外光電子分光法(UPS)で分析し、鉄原子周辺の価電子構造を決定しました。どちらの分析方法でも、熱処理を行なったサンプルとそうでないサンプルとは明確に区別されます。

結果使用する分析方法に応じて、炭素不織布またはシリコンウエハの片方に炭素 -窒素 -鉄コーティング層を堆積し、さらに加工時の熱処理の有無によって区別しました。XPSによる表面組成の測定では、窒素および鉄の含量が変動しうることが示されました(窒素は 1~ 5%、鉄は 0.1~ 7%)。この変動幅は、分子熱分解法で得られる層の場合(窒素は 2~ 3%、鉄は 0.05%)よりもかなり大きい値です。鉄の内殻の分析から、このコーティング層に含まれる鉄が金属体でも酸化物でもないことがわかっています。しかし、ある種の炭化物相である可能性も除外できません。また、高分解能 XPSから、気相成長させた C-Nx:Feコーティング層に含まれる窒素の 1S内殻が、鉄に由来する熱分解触媒材料について報告されている、398.5 eVのピリジン性窒素成分と同じ二重項構造をもつことがわかっています 6。窒素が XPS上で鉄由来熱分解触媒と同じ特徴を示すこと、そして窒素含量および鉄含量が鉄由来熱分解触媒よりもはるかに高いということから、触媒作用で生じる電流はより大きくなると考えられます。しかし、私たちの電気化学的な燃料電池試験から得られた結果はその逆でした。直接比較することは困難ですが、表面積の大きな違いを考慮すると、気相成長させたコーティング層の ORR触媒活性は鉄由来熱分解触媒よりも低くなります。堆積中または堆積後に 650℃以上での熱処理を行なうと触媒活性は大幅に増大しましたが、その増分は熱分解分子化合物よりも小さいものでした。

真空堆積コーティング層は、XPS上では似ていても電気化学的挙動が異なるため、より詳細な材料特性の決定が必要であるといえます。窒素の 1S内殻を詳細に分析したところ、398.5 eV成分(通常はピリジン性窒素関連成分)の強度および結合エネルギーが鉄含量によって変動することがわかりました。たとえば C-Nx:Fe(7%)の場合、この成分の強度は窒素 1S内殻の総強度の 75%ですが、窒素含有炭素(鉄を含まない)の場合、総強度に対するこの成分の強度は 45%に過ぎません。鉄の含量の増加に伴ってピリジン性成分の強度が着実に増大する実際の様子が図 2のグラフで示されています。このピリジン性成分の結合エネルギーもまた、鉄含量の増加に伴って増大します。結合エネルギーの低値側へのシフトは、鉄由来熱分解触媒に関して Dodeletらが得た結果よりもはるかに小さいものの、同じ傾向を示しています 6。少量の鉄が窒素の内殻結合エネルギーにこれほど大きな影響を与えるという事実は、鉄原子と窒素原子は均一に分散しているのではなく、互いに近い位置にあるということを示唆しています。

真空堆積法による PEM型燃料電池用の非貴金属系金属触媒

真空堆積法による

非貴金属系金属触媒

Page 18: セラミックおよびハイブリッド材料の堆積成長用材料・試薬 Material Matters v1n3 Japanese

テクニカルサポート Tel:03-5796-7330 Fax:03-5796-7335 E-mail:[email protected]

gm

a-

al

dr

ic

h.

co

m/

ja

pa

n

18

N 1S Component Ratio

0

1

2

3

4

5

6

0 2 4 6 8

Fe content (at %)

Rat

io (

398e

V

Pea

k)/(

400e

V P

eak)

図 2. ピリジン性窒素に関連する、398.5 eVにおける窒素 1S内殻ピークの相対強度と鉄含量との相関

Heat treatment effect

Tran

sfo

rm m

agn

itu

de

R (Angstroms)

2 4

Without heat treatment

After heat treatment

図 3. 真空堆積法で作製した鉄触媒の K吸収端における k3重み付けフーリエ変換振幅の加熱処理前後の変化。変換の相補正は行なっていない。

図 3は真空堆積法で作製した触媒の EXAFSフーリエ変換を示しています。この変換は相補正していないため、真の値から x軸方向にわずかにシフトしています。図 3を検討すると、熱処理を行なっていない材料には 1本の主ピークがあるのに対し、熱処理を行なったサンプルでは互いに明確に分離した2本のピークがあることがわかります。このことから、堆積直後の材料の構造がかなり乱れていること、また、熱処理によって原子の秩序が向上する(ピーク幅が狭くなる)とともに、鉄原子周囲に第 2の配位殻が導入されることがわかります。光電子分光法は、触媒作用に関わるとされている、結合価電子を直接的に探索することから、C-Nx:Fe材料に固有の性質を特定しうる新たな分析方法のひとつとなっています。通常、光電子放出は元素特異的ではありませんが、共鳴光電子放出を利用することで元素特異的な知見を得ることができます。共鳴光電子放出の場合、励起光子エネルギーがわずかでも変化すると光電子強度は大きく変動するため、このことを利用して価電子密度分布上での鉄の d状態の位置を検出することができます 12。多くの人々が考えているような、触媒としての挙動における鉄の役割とその重要性は、鉄ベース触媒を理解する上での鍵となります。私たちは、共鳴法の利用による鉄の価電子の d状態検出など、光電子放出を応用したC-Nx:Fe材料の研究で成功を収めています。今後発表する予定のこうした研究では、堆積直後のコーティング層に含まれる鉄金属体の d状態はフェルミ準位近傍に存在すること、そしてフェルミ準位の 4~10 eV下方に混成の d状態が存在することが判明しています。光電子放出による研究を、VASPプログラムを用いた ab initio密度汎関数法シミュレーション 12,13

と組み合わせることで、鉄ベース ORR触媒における結合に新しい知見がもたらされる可能性があります。

結論パルスアークカソード放電プラズマ堆積法で真空堆積させた炭素 -窒素 -鉄コーティング層の特性を決定し、高温処理の効果を評価しました。XPSによる特性決定では、鉄が金属体でないこと、そして窒素 1S内殻が鉄由来熱分解触媒に見られるものと一致することがわかります。鉄の含量が窒素 1S内殻に与える影響を高分離能 XPSで調べた結果、ピリジン性窒素に関連する約 398.5 eVの窒素 1S内殻成分では、鉄原子の存在によって強度が増大し、結合エネルギーが低値側にシフトすることが示唆されました。したがって、窒素 1Sの結合エネルギーを変化させるには、鉄原子が窒素原子の近くに存在していることが必要です。

気相成長させた触媒を堆積中、または堆積後に熱処理すると、材料の触媒活性は大幅に増大します。しかし、これらの材料を熱処理の有無によって区別し、高分離能 XPSで比較しても、大きな差はみられません。鉄の k吸収端 EXAFSに関する試験では高温処理の後に原子の再配向が起こることが示されましたが、熱処理は ORRの触媒電流も増加させます。熱処理は原子の秩序を向上させ、鉄原子周囲に第 2の配位殻を導入します。共鳴紫外光電子放出法では、鉄の d電子が電子密度分布上で 2種類のエネルギー状態に位置することが示されました。鉄金属体の d状態はフェルミ準位近傍にあり、また、混成の d状態(おそらく配位子の p状態と混成したもの)がフェルミ準位の 4~ 12 eV下方に位置しています。より決定的な結論を述べるには、様々な材料についてさらに研究を進める必要があります。

EXAFSや共鳴光電子放出といった元素特異的な手法には、酸素還元反応の触媒活性を示す三元素化合物(C-Nx:Fe材料など)に含まれる所与の原子(鉄など)周辺の変化を検出できる可能性があります。すなわち、触媒活性の向上に関わる変化を検出できる可能性があるということです。これまでに気相成長によって作製した材料の ORR触媒活性は低いものでしたが、この種の材料に関する開発と理解が今後進展することによって、気相成長は低コストな触媒作成方法としての地位を確立することでしょう。

謝辞本研究の一部は米国エネルギー省(DOE)の助成を受けて行なわれました(協力協定番号 DE-FC36-03GO13106)。DOEの助成は、本稿に記載の知見に DOEによる保証を与えるものではありません。著者は、3Mの同僚たち(特に Shih-Hung Chou博士、Allen Siedle博士、Terry Pechacek氏)、ブルックヘイブン国立研究所の Xiao-Qing Yang博士とWon-Sub Soon博士、シンクロトロン放射センターの Cliff Olson博士、ミズーリ・カンザスシティー大学の David Wieliczka教授に感謝申しあげます。また、ダルハウジー大学の Jeff Dahn教授とその研究グループには有益な意見交換ができたこと、カナダ国立 INRSエネルギー・材料・電気通信研究所の Jean-Pol Dodelet博士とそのグループには本研究にサンプルをご提供いただいたことについて謝意を表します。

真空堆積法による

非貴金属系金属触媒

Page 19: セラミックおよびハイブリッド材料の堆積成長用材料・試薬 Material Matters v1n3 Japanese

バルク供給/スケールアップのご相談は…ファインケミカル事業部 Tel:03-5796-7340 Fax:03-5796-7345 E-mail:[email protected]

19

参考文献と注(1) 用語の表記:「鉄由来熱分解」とは、鉄を含有する分子(ポルフィリン鉄、フタロシアニン鉄、酢酸鉄など)を用いた触媒合成を指します。(2) N4-Macrocyclic Metal Complexes: Electrocatalysis, Electrophotochemistry & Biomimetic Electroanalysis. Edited by J. Zagal, F. Bedioui, and J. P. Dodelet, Springer 2006. (3) H. A. Gasteiger, S. S. Kocha, B. Sompalli, F. T. Wagner, Applied Cat. B: Environ., 2005, 9, 56. (4) J.-P. Dodelet in N4-Macrocyclic Metal Complexes: Electrocatalysis, Electrophotochemistry & Biomimetic Electroanalysis. Edited by J. Zagal, F. Bedioui, and J. P. Dodelet, Springer 2006. (5) F. Jaouen, M. Lefevre, J.-P. Dodelet, and M. Cai, J. Phys. Chem. B, 2006, 5553, 110. (6) F. Jaouen, S. Marcott, J.-P. Dodelet and G. Lindbergh, J. Phys. Chem. B, 2003, 1376, 107. (7) R.T. Atanasoski, Novel Approach to Non-Precious Metal Catalysts, DOE Hydrogen Program FY 2004 Progress Report (V.C.5).

(8) G. Lalande, D. Guay, J. P. Dodelet, S. A. Majetich, M.E.McHenry, Chem. Mater., 1997, 784, 9. E. Bradley Easton, Arman Bonakdarpour, and J.R. Dahn, Electrochem. and Solid-State Lett., 2006, A463, 9. (9) E.I. Tochitsky, O.V. Selifanov, V.V. Akulich, I.A. Kapustin and A.V. Stanishevskii, Surface and Coatings Technology, 1991 522, 47. (10) R.T. Atanasoski, Novel Approach to Non-Precious Metal Catalysts, DOE Hydrogen Program FY 2005 Progress Report (V.C.5). (11) R.T. Atanasoski, Novel Approach to Non-Precious Metal Catalysts, DOE Hydrogen Program FY 2006 Progress Report. (12) G. Kresse and J. Hafner, Phys. Rev. B, 47, 558 (1993); G. Kresse and J. Furthmüller, Phys. Rev. B, 1996, 11169, 54. G. Kresse and J. Furthmüller, Comput. Mater. Sci., 1996, 15, 6. G. Kresse and D. Joubert, Phys. Rev. B, 1999, 1758, 59. (13) M. Jain, S.-H. Chou, A. Siedle, J. Phys. Chem. B, 2006, 4179, 110.

高純度のグラファイトおよび鉄

材料 形態 サイズ、密度 純度(%) 製品番号 価格鉄 ワイヤ 直径0.5 mm 99.99 266248-7.5G ¥63,100

直径1.0 mm 99.99266256-3.1G266256-15.5G

¥25,000¥82,900

直径0.5 mm 99.9356832-1.5G356832-7.5G

¥4,700¥14,100

直径1.0 mm 99.9356824-6.2G356824-31G

¥6,500¥22,600

箔 0.25 mm厚 99.99338141-1.2G338141-5G

¥8,200¥24,000

0.1 mm厚 99.9356808-2G356808-8G

¥8,900¥21,000

微粒 10~40 mesh 99.999413054-5G413054-25G

¥6,500¥21,100

棒 直径6.3 mm 99.98266213-30G266213-150G

¥19,900¥77,400

グラファイト 棒 長さ150 mm、直径3 mm、低密度 99.999 496537-43.5G ¥8,300

長さ150 mm、直径3 mm、高密度 99.995 496545-60G ¥12,100

長さ150 mm、直径6 mm、低密度 99.999 496553-180.7G ¥12,000

長さ150 mm、直径6 mm、高密度 99.995 496561-240.5G ¥17,400

安全かつシンプル ・1台のコンパクトなポータブルシステムでガスの分注と保存が可能 ・レクチャーボトルを立てたまま安定に保存。転倒の危険なし ・装置の破損と怪我の危険を低減 ・アプリケーションに合わせて 4種類のモデルから選択可能 ・壁掛け設置可能

ご注文は製品名 製品番号 価格 Non-Corrosive Lecture-Bottle Station Z562599-1EA ¥172,400

High-Purity Lecture-Bottle Station Z562602-1EA ¥208,000

Lecture-Bottle Station with T-Purge Valve Z562610-1EA ¥282,000

Corrosive Lecture-Bottle Station with Cross-Purge Valve Z562629-1EA ¥549,000

Lecture-Bottle Service Station Z562637-1EA ¥96,100

お使いのガスに合わせて正しいステーションを選ぶための Station Selection Guideなど、新製品レクチャーボトル分注ステーションに関する全情報が記載されたパンフレットを、弊社ウェブサイトに公開しています。

sigma-aldrich.com/gases

シグマ アルドリッチ レクチャーボトルステーションレクチャーボトル入りのガスを分注する安全でシンプルなシステム

最も安全かつシンプルなレクチャーボトル入りガスの分注を実現します。本製品に使用されている高品質部品はすべて組立て済み、リークテスト済みですので、ご購入後すぐにご使用いただけます。使用時は本製品をレクチャーボトルとプロセス装置に接続してください(パージバルブがある場合は不活性ガス源にも接続してください)。

真空堆積法による

非貴金属系金属触媒

Page 20: セラミックおよびハイブリッド材料の堆積成長用材料・試薬 Material Matters v1n3 Japanese

A-222 SAJ 2007.9

www.sigma-aldrich.comChemistryサイトのWebカタログ

Chem Product Central をクリック!4万点の有機化学用試薬を用途・構造別に分類

本カタログに掲載の製品及び情報は2007年9月1日現在の内容であり、収載の品目、製品情報、価格等は予告なく変更される場合がございますので、予めご了承ください。製品のご注文に際し価格、在庫は弊社カスタマーサービスにお問い合わせください。また、弊社日本語サイト(sigma-aldrich.com/japan)上で「カタログ訂正」「検索」より、ご確認下さい。なお、掲載価格には消費税は含まれておりません。弊社の試薬は試験研究用のみを目的として販売されています。医薬品、家庭用その他試験研究以外の用途には使用できません。

Building Blocks

Organic Building Blocks

Heterocyclic BuildingBlocks

Amino Acid Derivatives

Unnatural Amino AcidDerivatives

Monosaccharides

Nucleosides

Chiral Building Blocks

Organometallic Reagents

Boronic Acids andDerivatives

Grignard Reagents

Reike and OrganozincReagents

Organosilicon

Organotin

Organolithium

Organoaluminum

Others

Asymmetric Synthesis

Chiral Catalysts, Ligands,and Reagents

Chiral Auxiliaries

Chiral Building Blocks

Chiral Resolution Reagents

Catalysis & Inorganic Chemistry

All Metals

Palladium

Ruthenium

Rhodium

Nickel

Platinum

Titanium

Gold

SilverCopperZinc

Aluminum

Boron

Chromium

Cobalt

Iridium

Iron

Manganese

Molydenum

Osmium

Rare Earth Metals

Rhenium

Tin

Tungsten

Vanadium

Zirconium

Phosphorus Compounds

NHC Ligands

Porphyrins

Other Ligands

Metal Scavengers

Ionic Liquids

Ammonium

Choline

Imidazolium

Phosphonium

Pyrazolium

Pyridinium

Pyrrolidinium

Sulfonium

Synthetic Reagents

Coupling

C-C Bond Formation

C-X Bond Formation(Halogen)

C-X Bond Formation(Non-halogen)

Oxidation

Reduction

Protection and Derivatization

Radical Chemistry

Phase Transfer Catalysts

Chelation/ComplexationCompounds

Lewis Acids

Organic Acids

Inorganic Acids

Phosphazene Bases

Organic Bases

Inorganic Bases

Inorganic Salts

Dehydrating Reagents

Compressed andLiquefied Gases

Specialty Synthesis

Peptide Synthesis

Carbohydrate Synthesis

Oligonucleotide Synthesis

Enzyme-Mediated Synthesis

Fluorous Synthesis

Supported Synthesis

Substructure Search Reaction DatabaseX→YBeta Version

各製品番号ごとに、MSDS、ロット試験成績表、NMR/IR スペクトル、在庫状況、価格を公開しています。ご不明の点はテクニカルサポートへお気軽にお問い合わせください。在庫状況と価格をご覧になるには、Your Profile メニューから、1)Web language=Japanese 2)MSDS language=English 3)Country=Japanの3つを選択してSubmit してください。(次回よりこの設定が保存されます)

製品名、キーワード、CAS番号、MDL番号、分子式その他の検索も、もちろん可能!