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GRASP による みクリーク する 23 2 (0724306T) 大学

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卒 業 論 文

 GRASPによる最大重みクリーク抽出に関する研究 

平成 23 年 2 月

 猪谷 直人 (0724306T) 

指 導 教 官 山口 一章 准教授

神 戸 大 学 工 学 部

電 気 電 子 工 学 科

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内容梗概

最大重みクリーク問題とは,グラフの各頂点に重みが与えられたとき,グラフの全ての

頂点の中から重みの和が最大となるクリークを求める問題である.この問題はパターン認

識やバイオフォマティクスなどへの応用が知られている.

本論文では,これまでに提案された最大重みクリーク問題に対する近似解法を参考に,

新たにメタヒューリスティクスとして GRASP(貪欲ランダム適用型探索法)を適用し近

似性能の向上を試みた近似解法を提案する.GRASPは,貪欲ランダム構築法を繰り返し

適用し,さらに得られた解に局所探索を行うことによって解を改善する手法である.本論

文では局所探索として,1-opt局所探索法を用いた.最大重みクリーク問題に GRASPを

適用し,近似解を求める場合,解の構成作業にランダム性が加わる.提案法では,従来法

を参考に最大重みクリークを構成する上で重要度が高いと思われる順に候補系列を並び替

え,その上位 k 以内からランダムに頂点を選択した.

提案した貪欲ランダム構築法と貪欲ランダム適応型探索法について,頂点数,辺密度,

頂点の重みの上限値が設定されたランダムグラフを入力として計算機実験を行い,最大重

みクリークの近似値,計算時間を求め,結果を考察した.ランダム性を与える範囲である

k の値のスケジューリングによって,解の精度が変化し,計算機実験においてグラフに応

じて最適な k の値が異なることが確認された.また,1-opt局所探索法を適用することで

大きく解を改善する場合もみられたが,規模の大きなグラフの探索には大きく時間がか

かってしまうという問題点も見受けられた.

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目次

第 1章 まえがき 1

第 2章 関連研究 3

2.1 貪欲法による極大なクリークの抽出 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 3

2.2 最長路による頂点系列の並び替え . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 4

2.3 k-opt局所探索法 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 4

第 3章 提案法 7

3.1 貪欲ランダム構築法 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 7

3.2 局所探索 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 9

3.3 GRASP(貪欲ランダム適応型探索法) . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 10

第 4章 計算機実験 13

4.1 実験方法 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 13

4.2 結果及び考察 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 13

4.2.1 スケジューリングによる比較 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 13

4.2.2 ループ回数による比較 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 18

第 5章 あとがき 21

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第 1章

まえがき

無向グラフ G = (V,E)において,C ⊆ V なる C の任意の二頂点間に辺が存在すると

き,C をクリークという.Gに存在するクリークのうちで,最も頂点数の多いものを最大

クリークと呼び,また,Gの各頂点に重みが与えられたとき,クリークに含まれる頂点の

もつ重みの合計が最も大きいものを最大重みクリークと呼ぶ.

最大クリーク問題とは,与えられたグラフ中から頂点数が最大となるクリークを求める

問題であり,NP-困難な組合せ最適化問題の一つである.最大クリーク問題は符号理論,

パターン認識,バイオ情報処理など様々な分野に応用される [1],[2].

最大重みクリーク問題とは,グラフの各頂点に重みが与えられたとき,グラフの中から

重みの和が最大となるクリークを求める問題である.

最大クリーク問題と最大重みクリーク問題はいずれも NP困難であり,大規模な問題の

最適解を現実的な時間で求めるアルゴリズムは存在しないと考えられている.

そこで,できるだけ高い近似率を持った近似解を計算するための様々な発見的手法につ

いての研究が行われている [3]∼[6].このような発見的手法のなかに,貪欲アルゴリズム

や局所探索法などがある.

組み合わせ最適化問題に対する高性能な近似解法の多くは,メタ戦略 [7]に基づくアル

ゴリズムであり,一般的に,大域的及び局所的な探索処理をバランス良く備えている.特

に,局所的な探索処理を担う代表例は,局所探索法 (近傍探索法)であり,現在の解の近傍

の中から良好な近傍解への移動を繰り返す方法である.局所探索法は NP-困難な問題の

近似解を得る有効な一方法として,これまで多くの組み合わせ最適化問題に対して優れた

方法が提案されてきた [8].

本論文では,これまでに提案された最大重みクリーク問題に対する近似解法を参考に,

新たなメタヒューリスティクスとして GRASP(貪欲ランダム適応型探索法)[9]を適用し,

近似性能の向上を試みたアルゴリズムを提案する.

本論文の構成を以下に示す.第 2章では,関連研究について述べる.第 3章では提案手

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法について説明する.第 4章ではランダムに作成したグラフを入力として実験を行った結

果を示す.最後に,第 5章にまとめと今後の課題について述べる.

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第 2章

関連研究

2.1 貪欲法による極大なクリークの抽出

グラフGにおいて,頂点 vに隣接する頂点の集合をNG(v),また頂点集合 Sの全ての頂

点にに隣接する頂点の集合を NG(S)と表記する. あるクリーク C において NG(C) = ∅であれば C は極大である.したがって,任意のクリーク C に対して NG(C)に含まれる

頂点を C に一つ加えるという操作を,NG(C) = ∅となるまで続けることで極大なクリーク C を構成することができる.この考え方に基づいた,貪欲法により極大クリークを構

築するアルゴリズムを図 2.1に示す.

入力:グラフ G = (V,E)

出力:極大なクリーク C

(1): S ← V , C ← ∅(2): S 6= ∅となるまで (2.1)~(2.3)を繰り返す

(2.1): 最も評価の高い頂点 v ∈ S を選ぶ

(2.2): C ← C ∪ {v}(2.3): S ← S ∩ NG(v)

(3): C を出力

図 2.1: 貪欲法による極大なクリークの構成

このアルゴリズムは手順 (2.1)において,どのように頂点の評価をするかによって得ら

れる近似解の精度に影響を及ぼす.頂点の評価方法の一つとして,2.2に文献 [10]による

手法を説明する.

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2.2 最長路による頂点系列の並び替え

文献 [10]により,最大重みクリークに含まれる可能性が高いと思われる順に頂点系列を

並び替えるアルゴリズムが提案されている.図 2.2にそのアルゴリズムを示す.

入力:グラフの G = (V,E),各頂点 v の重み w(v) > 0

出力:V の系列 Π = [v1, v2,…, v|V |],上界 a(・)

(1)   Π ←  ∅(2)  各 v ∈ V に a(v) ← w(v)

(3)   S0 ← V

(4)   while (S 6= ∅)(5)     a(v)が最小の v ∈ Si−1 を選ぶ

(6)     Si ← Si−1 − vi とし,vi を Πの末尾に挿入

(7)     u ∈ N(vi)に対し,a(u) ← a(vi) + w(u)

(8)   end while

図 2.2: 最大重みクリークを効率よく抽出するための頂点系列の生成

このアルゴリズムでは,最大重みクリークを構成する上で評価の高い頂点が系列の先頭

にくるように並び替えられる.文献 [10]のアルゴリズムは,系列の先頭の頂点を選び,そ

れに隣接する部分グラフについても同様に頂点を選んでいくことで極大なクリークを抽出

し,それを近似解としている.

図 2.3に動作例を示す.

2.3 k-opt局所探索法

局所探索法の一つとして,k-opt局所探索法が知られている.k-opt局所探索法は,各

反復において,現在のクリーク (解)を対象に複数個の頂点を連鎖的に追加・削除する動

作により構成され,現在の解からそれらの操作によって生成可能な解の集合を改めて近傍

ととらえることで,局所探索を行うアルゴリズムである.

k-opt近傍は,グラフ Gにおける任意のクリーク C が与えられたとき,C 内の頂点の

集合αを C から削除し,異なる頂点の集合βを C \αに対して追加する操作を同時に行うことで到達可能なクリーク集合と定義される.k-opt近傍とは |α |と |β |の和が k

以下のものを指す.

大きな kの設定値に対して近傍探索が可能であれば,一般に精度の高い解が求まると予

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測されるが,k の値を大きくするほど,近傍のサイズ及び計算時間が急激に増大する [8].

実用的には固定された k の値は一般に小さく設定せざるを得ない.

提案法で用いた 1-opt局所探索法は,暫定解 C 内の頂点を一つ削除することで現れる

1-opt近傍から,C の極大化を行い,解の改善を促す手法である.

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(a)初期状態               (b)v4を削除,v2,v3,v5の重み更新

       

(c)v1を削除,v2,v3の重み更新     (d)v5を削除,v2の重み更新   

(e)v3を削除,v1の重み更新,図のように系列が並べ替えられる

図 2.3: 最長路による頂点系列の生成動作例

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第 3章

提案法

3.1 貪欲ランダム構築法

以下に,従来の最長路法により頂点系列を重要度の高いと思われる順に並べ替えたの

ち,貪欲ランダム構築法を繰り返し適用することにより更なる近似解の向上を試みた手法

を示す.極大なクリークを構成する際に選択する頂点にランダム性を加え,繰り返し極大

なクリークの構成を行っている.

貪欲ランダム構築法を一回適用しただけでは,通常の貪欲解法を大幅に上回る効果は期

待できない (むしろ平均的には悪くなる傾向がある).この手法の特徴はアルゴリズム内に

ランダム性が組み込まれている点にあり,貪欲ランダム構築法を繰り返し適用することに

よって,解に多様性を持たせる.図 3.1に貪欲ランダム構築法のアルゴリズムを示す.

入力:グラフ G = (V,E)

出力:極大なクリーク C

(1): S ← V , C ← ∅(2): S から頂点系列 Πを生成

(3): Π 6= ∅となるまで (3.1)~(3.3)を繰り返す

(3.1): 頂点系列 Πの上位 k 位の中からランダムに v ∈ S を選ぶ

(3.2): C に選択された v を加える

(3.3): 選択された v,および v と隣接しない頂点を Πから削除

(4): 得られた極大なクリーク C を出力

図 3.1: 貪欲ランダム構築法による極大なクリークの構成

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図 3.1のアルゴリズムを一回適用しただけでは大幅な解の改善を見込めない.このアル

ゴリズムを,設定した条件を満たすまで繰り返し実行することにより,解に多様性を持た

せ,得られた最良の解を出力する.図 3.2に貪欲ランダム構築法を繰り返し適応する最大

重みクリーク問題に対する近似解法アルゴリズムを示す.

入力:暫定解 C

出力:最良解 C∗(1): C∗ ← 貪欲解法によって得られた暫定解 C

(2): while (終了判定基準を満たすまで)

(3): 図 3.1のアルゴリズムを実行

(4): C ∗の重み < C の重みであれば,C∗ ← C

(5): end while

(6): 得られた最良の解 C∗を出力

図 3.2: 貪欲ランダム構築法のループ

これらのアルゴリズムは図 3.1の手順 (3.1)において,どのように並び替えられた頂点

系列を用いるか,ランダム性をどの程度反映させるかによって得られる近似解の精度が変

わる.そこで従来の文献 [10]にある最長路法により頂点系列 Πを並べ替えた後,Πの上

位 k 位のうちからランダムに頂点を選択し,極大クリークの構成を行う.

また,文献 [10]では,一つの頂点を選択する毎に現れる誘導部分グラフについて,最長

路法を用いて系列の並び替えを行い,系列の先頭にある頂点を選択して極大クリークを抽

出している.

提案手法では,頂点選択方式にランダム性が組み込まれているので毎回頂点系列を並び

替える必要性はあまり高くない.アルゴリズムの高速化を図り,短時間で多くの試行回数

を確保するため,図 3.1の手順 (2)で頂点系列を並び替え,以降現れる誘導部分グラフに

ついてもその系列をそのまま用いている.

また,図 3.1において Πの上位 k 位からランダムに頂点を選択する際,精度を高める

ため,k の範囲ををループ回数などに対応させた変数に指定した.Πには,系列の先頭か

ら評価の高い順に系列が並べられているので,ループ回数,頂点数が大きく,暫定クリー

クの大きさが小さいほど,ランダム性を与える kの範囲を大きくした方が,より良好な解

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を探索する可能性が高まると考えられる.

頂点集合の中から選択された頂点に隣接しない頂点を削除した後の頂点数を n, ループ

回数を t,極大クリークを求める際に頂点を解に加えた回数を sとすると,

k =logx(t + 1) ×

√n√

s(3.1)

となる k に値を設計した.この k の値に 0 ∼ 1までの乱数を掛け,それの整数を取っ

た値を k′ とし,候補系列 Πの先頭から k′ 番目の頂点を選択した.

3.2 局所探索

GRASP(貪欲ランダム適応型探索法)は,貪欲ランダム構築法を繰り返し適用し,さら

に得られた暫定解に局所探索 (近傍探索)を適用することによって解を改善する手法であ

る.提案手法では,文献 [8]にある,1-opt局所探索法を最大重みクリーク問題に対して

用いた.

グラフ G における任意のクリーク C が与えられたとき,1-opt 近傍は,一つの頂点

v ∈ V \ {C} を C に追加,もしくは一つの頂点 v ∈ C を C から削除することで到達可

能なクリークの集合と定義される.1-opt近傍を有する局所探索法を 1-opt局所探索法と

呼ぶ.

提案手法では,図 3.1 の貪欲ランダム構築法で得られた現在のクリーク (暫定解) に含

まれる全ての頂点 v1∼|C| ∈ C に対して,頂点を一つ削除して極大なクリークの再構成を

行うという作業を行った.図 3.3に,1-opt局所探索法のアルゴリズムを示す.

貪欲ランダム構築法で極大クリークを構成する際,高速化を図るため,誘導部分グラ

フに関しては頂点系列の再整列を行っていなかった.しかし,図 3.3の手順 (6)において

は,既に構成されているクリークの全ての頂点と隣接しない頂点は系列から削除されてい

る.極大クリークを構成する上で判別すべき残りの頂点数は大幅に減少しているため,最

長路法による頂点系列の再整列にさほどの時間がかからない.よって精度の向上を図るた

め,ここでは極大クリークを構成する際,一つ頂点を解に加える毎に残りの頂点系列の再

整列を行っている.

図 3.4に最大重みクリーク問題に対する 1-opt局所探索法の基本動作例を示す.

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入力:グラフ G = (V,E),暫定解 C

出力:最良解 C∗(1): C∗ ← C(貪欲ランダム構築法によって得られた暫定解)

(2): i = 1,…, |C|に対して (3) ∼ (7)を実行

(3): C の中から頂点を一つ削除 C ′ ← C − vi ∈ C

(4): S ← V

(5): C ′ の全ての頂点と隣接する頂点以外を S から削除

(6): (5)で残った頂点と C ′ から貪欲法により極大クリーク C′′を生成

(7): C ∗の重み < C′′の重みであれば,C∗ ← C

′′

(8): 得られた最良の解 C∗を出力

図 3.3: 1-opt局所探索法

3.3 GRASP(貪欲ランダム適応型探索法)

ここでは,最大重みクリーク問題に対して,GRASP(貪欲ランダム適応型探索法)を適

応した手法について述べる.GRASPの基本方針は,貪欲ランダム構築法を繰り返し適用

し,さらに得られた解に何らかの局所探索法を適用することによって改善する事である.

本論文では,貪欲ランダム構築法を最大重みクリーク問題に繰り返し適用し,さらに得

られた解に 1-opt局所探索法を行って更なる近似解の改善を試みた.

貪欲ランダム構築法をループさせることによって近似解を求めた場合と比較すると,局

所探索を行うことにより計算時間は増大する.特に頂点数が多く,辺密度が高い複雑なグ

ラフにおいては局所探索に多大な計算時間がかかる.しかし,複雑なグラフに対して,単

に貪欲ランダム構築法をループさせるだけでは到達することの難しい近似精度の高い局所

解を探索することが可能になると考えられる.

図 3.5に貪欲ランダム適応型探索法を適応した最大重みクリーク問題に対する近似解法

のアルゴリズムを示す.

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(a)初期解を v1,v2,v3とする       (b)クリークに含まれる頂点を一つ削除  

             

   

  (c)残った v2,v3と隣接している頂点で       (d)暫定解の更新がある限り  

   極大クリークを再構成し,解の更新が      探索を続行 (暫定解に含まれる

   あればそれを新たな解とする.         頂点を一つ削除し極大クリーク

                       を再構成)      

       

(e)初期解より大きな,重み 21のクリークを抽出

図 3.4: 1-opt局所探索法基本動作例

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入力:暫定解 C

出力:最良解 C∗(1):     C∗ ← C(図 3.1の貪欲ランダム構築法によって得られた暫定解)

(2):   while (終了判定基準を満たすまで)

(3):     C ←図 3.1の貪欲ランダム構築法によって得られた暫定解

(4):     C ∗の重み < C の重みであれば,C∗ ← C

(5):       while (解の改善がなくなるまで)

(6):         C を入力として図 3.3のアルゴリズムにより局所探索,極大クリーク C′′を生成

(7):         C ∗の重み < C′′の重みであれば,C∗ ← C

′′

(8):       end while

(9):   end while

(10):  得られた最良の解 C∗を出力

図 3.5: GRASP(貪欲ランダム適応型探索法)

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第 4章

計算機実験

4.1 実験方法

最大クリーク問題,最大重みクリーク問題に対するアルゴリズムの評価にはランダムグ

ラフがよく用いられる.本実験には,性能評価に使用されることの多い各頂点の重みが

1 ∼ 10の整数値であるランダムグラフを使用した.

頂点数が 100 ∼ 1000 で辺密度が 0.1 ∼ 0.9及び各頂点の重みが 1 ∼ 10 の整数値から

なるランダムグラフに対して,提案手法のアルゴリズムを実行し,近似最大重みクリーク

値,計算時間の平均を求めた.

使用計算機の OSは Linux,プログラミング言語は Javaである.

4.2 結果及び考察

4.2.1 スケジューリングによる比較

提案手法の貪欲ランダム構築法を繰り返し適応することにより,近似最大重みクリーク

値の改善を試みた図 3.2 のアルゴリズムによる手法と,それに局所探索を組み込んだ図

3.5のアルゴリズムによる手法に対して,アルゴリズムの終了判定条件をループ回数に設

定した.

貪欲ランダム構築法を適用するうえで,図 3.2の手順 (2)における k の値のスケジュー

リングの違いによって,解の精度が変わる.k の値は 9ページ式 3.1のように設計し,式

中の xの値を変化させることによって解に与える影響を調べた.ループ回数は 10000回,

プログラムの実行上限時間を 10秒に設定した.

それぞれの手法による実験結果を表 4.1,表 4.2,表 4.3に示す.計算時間の単位は秒で

ある.最も近似解が良かったものに*を付けた.最大重みクリーク問題において,近似解

は厳密解の値に近いほど性能が良いと言える.近似解が厳密解を上回ることはないので,

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近似解は値が大きいほど性能が良い.

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表 4.1: 貪欲ランダム構築法のスケジューリング別近似最大重みクリーク値及び計算時間 (1)

x = 25 x = 27 x = 211 x = 225

頂点数 辺密度 厳密解 重み 時間 重み 時間 重み 時間 重み 時間100 0.1 29 *29 0.05 *29 0.05 *29 0.06 *29 0.05100 0.2 38 *38 0.07 *38 0.07 *38 0.07 *38 0.07100 0.3 45 *45 0.06 44 0.06 44 0.07 31 0.06100 0.4 59 *59 0.07 *59 0.07 *59 0.08 49 0.06100 0.5 65 *64.98 0.1 64 0.09 64 0.1 59 0.09100 0.6 80 *80 0.1 *80 0.1 79.56 0.1 74 0.1100 0.7 108 107.68 0.11 *108 0.11 106.04 0.11 99 0.11100 0.8 134 131.06 0.13 *132.38 0.13 131 0.14 125 0.13100 0.9 199 193.46 0.17 *194 0.17 *194 0.18 *194 0.18

200 0.1 34 *30 0.06 *30 0.07 29 0.06 26 0.06200 0.2 43 *43 0.07 40 0.07 40 0.08 38 0.07200 0.3 55 *55 0.15 *55 0.15 *55 0.16 46 0.14200 0.4 60 *60 0.17 59.66 0.17 57 0.18 55 0.16200 0.5 74 *74 0.16 *74 0.17 68 0.17 68 0.15200 0.6 98 95.94 0.16 *96 0.16 95.92 0.17 86 0.16200 0.7 124 121.64 0.17 *123.74 0.17 123.3 0.18 114 0.17200 0.8 172 163.72 0.21 166.14 0.21 *168.84 0.21 165 0.21200 0.9 272 248.96 0.28 252.7 0.29 *255.26 0.3 255 0.29

300 0.1 39 *39 0.07 37 0.07 37 0.08 28 0.07300 0.2 51 *51 0.16 *51 0.15 *51 0.16 44 0.15300 0.3 65 *65 0.14 *65 0.14 64.84 0.14 57 0.14300 0.4 75 *73.76 0.13 73 0.12 71 0.13 64 0.13300 0.5 102 *96.1 0.13 94.96 0.13 86 0.14 85 0.13300 0.6 114 112.38 0.14 *114 0.14 *114 0.15 106 0.14300 0.7 147 139.68 0.16 *140.1 0.16 138 0.17 138 0.16300 0.8 206 191.94 0.21 *193.74 0.21 193.66 0.21 189 0.21300 0.9 294.48 0.32 298.26 0.32 *302.32 0.33 285.78 0.31

400 0.1 37 *37 0.15 *37 0.16 *37 0.17 36 0.15400 0.2 51 *49 0.12 *49 0.11 *49 0.13 42 0.1400 0.3 61 *60.02 0.11 60 0.11 60 0.11 60 0.1400 0.4 77 *75.04 0.11 75 0.11 75 0.12 75 0.11400 0.5 91 *89.52 0.13 87.5 0.13 87 0.14 78 0.12400 0.6 117 110.8 0.15 113.8 0.15 *114 0.16 101 0.15400 0.7 152 144.34 0.19 146.5 0.19 *147.06 0.2 146 0.19400 0.8 196.76 0.25 202.32 0.25 *205.54 0.26 195.36 0.25400 0.9 314.54 0.39 321.76 0.39 326.68 0.4 *327 0.39

500 0.1 38 *36 0.14 *36 0.12 35.98 0.13 35 0.13500 0.2 52 *51 0.1 *51 0.1 *51 0.11 43 0.1500 0.3 66 65.1 0.11 *65.16 0.11 63 0.11 57 0.11500 0.4 79 77.96 0.13 *78 0.12 73 0.13 72 0.13500 0.5 99 96.6 0.15 *97.08 0.15 94.64 0.15 85 0.15500 0.6 123 *116.5 0.18 116.08 0.17 116 0.19 116 0.17500 0.7 161 146.3 0.22 *147.44 0.22 146.58 0.23 144 0.21500 0.8 203.14 0.29 206.26 0.29 *209.28 0.29 208.88 0.28500 0.9 330.82 0.46 335.34 0.46 341.1 0.47 *342.46 0.45

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16

表 4.2: 貪欲ランダム構築法のスケジューリング別近似最大重みクリーク値及び計算時間 (2)

x = 25 x = 27 x = 211 x = 225

頂点数 辺密度 厳密解 重み 時間 重み 時間 重み 時間 重み 時間600 0.1 46 *46 0.11 *46 0.1 *46 0.11 38 0.11600 0.2 55 *55 0.1 *55 0.11 54 0.11 54 0.1600 0.3 67 *66 0.12 *66 0.12 *66 0.13 59 0.12600 0.4 89 *81.06 0.15 81 0.14 81 0.15 70 0.14600 0.5 102 *96.8 0.17 *96.8 0.17 95 0.18 90 0.16600 0.6 134 124.94 0.2 *126.42 0.2 125.14 0.21 115 0.2600 0.7 158.52 0.25 *160.22 0.25 159.28 0.25 150 0.24600 0.8 217.08 0.33 221.1 0.33 *221.74 0.33 212 0.32600 0.9 355.56 0.52 361.44 0.52 *367.66 0.52 362.08 0.52

700 0.1 45 *45 0.1 *45 0.1 39 0.11 37 0.1700 0.2 57 *57 0.11 *57 0.11 *57 0.12 45 0.1700 0.3 70 *67 0.13 *67 0.13 66 0.14 64 0.12700 0.4 91 *82.54 0.16 80.86 0.16 80 0.16 77 0.15700 0.5 108 103.06 0.19 *104 0.18 *104 0.19 *104 0.18700 0.6 133 126.66 0.22 127.44 0.22 *127.78 0.23 119 0.21700 0.7 164.42 0.28 *165.22 0.28 164.78 0.28 163 0.27700 0.8 223.18 0.37 229.32 0.36 *232 0.38 227.28 0.36700 0.9 375.02 0.59 381.28 0.59 *390.2 0.61 386.34 0.59

800 0.1 45 *45 0.1 *45 0.1 44 0.11 44 0.1800 0.2 56 *55 0.12 *55 0.12 *55 0.13 48 0.12800 0.3 72 *72 0.15 *72 0.14 *72 0.15 *72 0.14800 0.4 92 *85.24 0.17 84.84 0.17 80.36 0.18 79 0.16800 0.5 109 107.38 0.2 107.74 0.2 *107.86 0.21 100.72 0.2800 0.6 139 129.12 0.25 132.52 0.24 *133.48 0.25 123.52 0.24800 0.7 165.72 0.3 167.68 0.3 *167.7 0.31 160.26 0.3800 0.8 231.88 0.4 235.34 0.4 *237.8 0.4 234.8 0.39800 0.9 385.06 0.64 390.02 0.65 *397.64 0.65 394.66 0.64

900 0.1 45 *45 0.11 44.06 0.11 44 0.11 40 0.1900 0.2 59 *58.94 0.13 54 0.13 54 0.13 52 0.13900 0.3 70 *69.54 0.16 68.16 0.16 67 0.17 64 0.15900 0.4 91 88.42 0.19 *90.12 0.19 86.2 0.19 79 0.18900 0.5 110 106 0.22 *107.58 0.22 105.3 0.22 105 0.21900 0.6 133.1 0.27 134.24 0.27 *134.58 0.28 125.32 0.26900 0.7 172.12 0.33 175.7 0.33 *176.98 0.34 168 0.33900 0.8 235.7 0.44 240.22 0.44 *242.42 0.44 234.76 0.43900 0.9 400 0.71 406.14 0.71 413.16 0.72 *424.8 0.71

1000 0.1 44 *41.26 0.11 41 0.11 40 0.12 40 0.111000 0.2 59 *59 0.14 *59 0.15 *59 0.14 53 0.131000 0.3 75 73.84 0.17 *73.88 0.17 71.38 0.17 70 0.161000 0.4 93 *90.1 0.2 90 0.2 90 0.21 88 0.191000 0.5 115 *109.28 0.24 108.38 0.23 107.18 0.24 106 0.231000 0.6 135.68 0.29 *137.46 0.29 136.54 0.29 132 0.281000 0.7 173.84 0.36 175.76 0.35 *177.28 0.37 174.46 0.351000 0.8 238.96 0.47 242.82 0.48 *246.5 0.48 241.06 0.471000 0.9 407.38 0.77 416.26 0.78 427.98 0.79 *442.36 0.77

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17

表 4.3: 貪欲ランダム適応型探索法のスケジューリング別近似最大重みクリーク値及び計算時間

x = 25 x = 27 x = 211 x = 225

頂点数 辺密度 厳密解 重み 時間 重み 時間 重み 時間 重み 時間100 0.1 29 *29 0.14 *29 0.14 *29 0.12 *29 0.12100 0.3 45 *45 0.2 *45 0.2 44 0.18 41 0.18100 0.5 65 *65 0.37 *65 0.36 *65 0.35 62 0.33100 0.7 108 *108 0.72 *108 0.7 *108 0.7 102 0.6100 0.9 199 *199 1.97 *199 1.98 *199 2 *199 2.01

400 0.1 37 *37 0.36 *37 0.33 *37 0.33 36 0.35400 0.3 61 *61 0.6 *61 0.57 60.82 0.54 60 0.51400 0.5 91 *90.44 1.23 89.16 1.24 87.62 1.14 79 1.04400 0.7 152 149.16 2.77 *149.22 2.8 149.2 2.75 146 2.71400 0.9 335.64 10 337.28 10 *337.8 10 332.2 10

700 0.1 45 *45 0.4 *45 0.39 *45 0.37 *45 0.37700 0.3 70 *68 0.9 *68 0.88 *68 0.87 65 0.79700 0.5 108 105.4 2.11 *105.52 2.05 104 2.01 104 2.02700 0.7 172.56 5.22 173.58 5.29 *174.62 5.29 163.6 5.32700 0.9 399.18 10 401.8 10 *402.88 10 401.34 10

1000 0.1 44 *44 0.52 *44 0.51 *44 0.47 40 0.431000 0.3 75 *74.58 1.34 74 1.31 73 1.3 70 1.261000 0.5 115 *114.28 3.29 113.68 3.26 111.2 3.26 106 3.041000 0.7 181.26 7.94 181.96 7.97 *182.42 7.92 182 7.881000 0.9 432.74 10 435.02 10 439.58 10 *447.76 10

どちらの手法も,xの値の違いによる計算時間の差はほぼみられなかった.

ランダム性のスケジューリングにおいて,xの値を大きくした場合,すなわち 9ページ

式 3.1の値をループ回数に応じて緩やかに大きくなるよう設定した方が,辺密度の高い複

雑なグラフに対してより良い近似解が求まる傾向があることが確認できた.

しかし,辺密度の低いグラフに対しては xの値が小さい場合の方がより良い近似解を出

力しており,入力のグラフに応じてスケジューリングを変更することで,性能の向上が期

待できる.

また,1-opt局所探索法を組み込んだ手法では,どのグラフにおいても図 3.2の手法と

くらべ,解が改善されていることが確認できた.特に、辺密度の高い入力に対して大きく

改善がみられたが,探索に時間がかかるという問題点も見受けられた.

xの値が小さい場合,図 3.2の手法では,xの値が大きい場合に比べ,辺密度の高いグ

ラフに対しての解の値は大幅に下回っている.一方,図 3.5の手法では,解に大幅な差異

は生じておらず,x の値が小さい場合に 1-opt 局所探索が有効に作用していることがわ

かる.

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4.2.2 ループ回数による比較

終了判定条件であるループ回数を 1000,4000,7000,10000回に設定し,3.5の貪欲ラ

ンダム適応型探索法を実行した結果の平均を表 4.4,4.5に示す.なお,ここでは 9ページ

式 3.1において x = 27 に設定した.

1-opt局所探索法を実行することにより,規模の小さなグラフでは,少ないループ回数

でも良好な解を探索している.ループ 1000回 ∼10000回の場合を比べても,近似解にそ

れほど大きな差はみられなかった.よって規模の小さなグラフに対しては,大きなループ

回数に設定して時間をかける必要はない.

規模の大きなグラフに対しては,ループ回数により近似解の精度に差がみられたが,

ループ回数を多くするほど計算時間は大きく増大しており,時間がかかる割に解の探索は

上手くいっていないといえる.

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表 4.4: 貪欲ランダム適応型探索法におけるループ回数別近似最大重みクリーク値及び計算時間 (1)

1000ループ 4000ループ 7000ループ 10000ループ頂点数 辺密度 厳密解 重み 時間 重み 時間 重み 時間 重み 時間100 0.1 29 29 0.07 29 0.11 29 0.12 29 0.14100 0.2 38 38 0.09 38 0.13 38 0.15 38 0.16100 0.3 45 44 0.08 45 0.15 45 0.15 45 0.19100 0.4 59 59 0.1 59 0.16 59 0.19 59 0.24100 0.5 65 65 0.13 65 0.22 65 0.28 65 0.35100 0.6 80 80 0.12 80 0.26 80 0.36 80 0.5100 0.7 108 108 0.14 108 0.35 108 0.53 108 0.72100 0.8 134 131 0.19 132.8 0.47 133.4 0.73 133.7 1.1100 0.9 199 199 0.28 199 0.86 199 1.42 199 1.96

200 0.1 34 32 0.09 32 0.14 32 0.15 32 0.19200 0.2 43 43 0.1 43 0.16 43 0.18 43 0.23200 0.3 55 55 0.18 55 0.27 55 0.33 55 0.42200 0.4 60 60 0.16 60 0.31 60 0.38 60 0.46200 0.5 74 72.8 0.2 74 0.38 74 0.5 74 0.64200 0.6 98 98 0.21 98 0.43 98 0.65 98 0.88200 0.7 124 122.7 0.22 124 0.62 124 0.95 124 1.29200 0.8 172 170 0.32 170 0.98 170.2 1.57 170 2.15200 0.9 272 267.9 0.65 266.3 2.28 271.1 3.91 269.4 5.5

300 0.1 39 39 0.09 39 0.18 39 0.2 39 0.22300 0.2 51 51 0.22 51 0.3 51 0.36 51 0.42300 0.3 65 63.2 0.15 65 0.28 65 0.39 65 0.46300 0.4 75 74.4 0.15 75 0.3 75 0.43 75 0.57300 0.5 102 102 0.19 102 0.5 102 0.71 102 0.99300 0.6 114 113.4 0.22 114 0.64 114 1.05 114 1.43300 0.7 147 139.9 0.27 140 0.85 141.6 1.41 141.8 2.01300 0.8 206 198.6 0.41 199.3 1.44 200.8 2.39 200.4 3.3300 0.9 308.8 0.93 312.7 3.51 314.4 6.14 313.6 8.67

400 0.1 37 37 0.2 37 0.26 37 0.29 37 0.32400 0.2 51 49 0.12 49 0.21 49 0.31 49 0.36400 0.3 61 60.8 0.13 61 0.32 61 0.45 61 0.62400 0.4 77 75 0.13 75 0.32 75 0.5 75 0.68400 0.5 91 87.9 0.2 88 0.54 88.3 0.87 88.9 1.25400 0.6 117 115.7 0.25 116.5 0.81 116.9 1.38 116.9 1.85400 0.7 152 146.8 0.34 148.5 1.2 149.1 1.98 149.1 2.79400 0.8 205 0.54 207.8 1.92 207.8 3.23 207.7 4.59400 0.9 332.6 1.32 335.2 5.02 338.1 8.84 336 12.53

500 0.1 38 38 0.15 38 0.22 38 0.27 38 0.33500 0.2 52 51.1 0.1 51.8 0.23 52 0.33 52 0.43500 0.3 66 63 0.13 63 0.29 64.2 0.47 65.4 0.64500 0.4 79 78 0.16 78 0.4 78 0.63 78 0.85500 0.5 99 99 0.19 99 0.6 99 0.89 99 1.28500 0.6 123 123 0.29 123 0.96 123 1.6 123 2.28500 0.7 161 149.9 0.41 152 1.44 153.4 2.45 153.6 3.5500 0.8 214.2 0.69 214.4 2.52 215.2 4.31 214.5 6.21500 0.9 345.2 1.73 353 6.83 353.1 11.76 354.8 17

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表 4.5: 貪欲ランダム適応型探索法におけるループ回数別近似最大重みクリーク値及び計算時間 (2)

1000ループ 4000ループ 7000ループ 10000ループ頂点数 辺密度 厳密解 重み 時間 重み 時間 重み 時間 重み 時間600 0.1 46 46 0.12 46 0.21 46 0.26 46 0.34600 0.2 55 55 0.12 55 0.25 55 0.35 55 0.5600 0.3 67 66 0.15 66 0.38 66 0.58 66 0.8600 0.4 89 83.2 0.16 83 0.48 84.4 0.78 84.5 1.09600 0.5 102 98.4 0.23 101.6 0.75 102 1.21 102 1.77600 0.6 134 125.2 0.33 126.7 1.14 127.2 1.93 127.2 2.71600 0.7 162 0.48 164.1 1.77 166.1 2.97 167.6 4.27600 0.8 224.6 0.82 226.5 3.12 229.4 5.36 229.5 7.59600 0.9 381.7 2.17 381.8 8.33 381.8 14.4 383.4 20.6

700 0.1 45 45 0.1 45 0.22 45 0.28 45 0.42700 0.2 57 57 0.11 57 0.3 57 0.46 57 0.62700 0.3 70 68 0.15 68 0.39 68 0.62 68 0.85700 0.4 91 80 0.22 82.7 0.61 83.9 0.97 84.7 1.39700 0.5 108 104 0.28 104.4 0.88 104.6 1.45 105.2 2.06700 0.6 133 127.3 0.39 130.8 1.39 130.2 2.36 130.4 3.35700 0.7 168.6 0.59 170.5 2.16 172.9 3.71 171.9 5.21700 0.8 232.6 1 234.7 3.81 238.8 6.65 238 9.32700 0.9 400.1 2.73 404.4 10.86 403.2 18.72 405.2 26.76

800 0.1 45 44 0.11 45 0.23 45 0.34 45 0.42800 0.2 56 55 0.13 55 0.32 55 0.46 55 0.63800 0.3 72 72 0.16 72 0.48 72 0.74 72 1.04800 0.4 92 83.7 0.22 85 0.69 85 1.17 85 1.58800 0.5 109 106.6 0.32 108 1.06 108 1.74 108 2.39800 0.6 139 135.7 0.45 136.4 1.62 135.9 2.77 136 3.95800 0.7 169.1 0.65 171.8 2.42 174.3 4.21 173.9 5.91800 0.8 246.4 1.16 247.8 4.48 251.1 7.85 248.9 10.94800 0.9 405.5 3.11 410.7 12.13 411.4 21.22 417.7 30.71

900 0.1 45 44 0.1 44.5 0.23 45 0.34 45 0.49900 0.2 59 56 0.13 56 0.34 58.1 0.53 58.7 0.77900 0.3 70 69 0.16 70 0.49 70 0.79 70 1.11900 0.4 91 87.3 0.22 91 0.69 90.1 1.14 91 1.62900 0.5 110 104.4 0.36 109.4 1.21 108.4 1.99 108.7 2.89900 0.6 132.8 0.5 135 1.82 135.2 3.13 136.8 4.36900 0.7 177.4 0.79 180.1 2.85 183.3 4.94 184.5 7.16900 0.8 247.9 1.32 249.3 5.1 250.5 8.84 252.4 12.52900 0.9 424 3.62 429.2 14.35 434 24.74 433 35.7

1000 0.1 44 44 0.11 44 0.28 44 0.39 44 0.511000 0.2 59 59 0.14 59 0.35 59 0.55 59 0.771000 0.3 75 73 0.2 73.5 0.58 73.8 0.95 74 1.311000 0.4 93 90 0.26 91 0.88 92 1.43 91.9 2.041000 0.5 115 109.3 0.4 111.4 1.38 113.5 2.28 114.1 3.331000 0.6 138.6 0.56 142.8 2.09 141.4 3.56 142.8 5.11000 0.7 179.7 0.85 181.4 3.25 181 5.6 182.4 7.971000 0.8 247 1.46 251.8 5.65 253.3 9.78 253 14.091000 0.9 433.6 4.12 437.4 16.14 437.4 28.04 440 39.99

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第 5章

あとがき

本論文では,最大重みクリーク問題に対して,貪欲ランダム構築法を用いた近似解法

と,さらに 1-opt局所探索法を適用して解の改善を試みた貪欲ランダム適応型探索法によ

る近似解法を提案した.また,提案した貪欲ランダム構築法と貪欲ランダム適応型探索法

を用いた近似解法において,解を構成する上での頂点選択方式にランダム性を加える際の

適切な尺度,ループ回数による解の改善の模様を考察した.

最大重みクリーク問題に GRASP を適用し近似解を求める場合,解の構成作業にラン

ダム性が加わる.提案法では,3.1にあるように,候補系列中の上位 k 位からランダムに

頂点を選択するが,k の値をどのように変化させるかで解の精度に差異がみられた.計算

時間には k の値の違いによる差はみられなかった.

頂点の選択範囲 kをループ回数に応じて大きく変化させた場合,辺密度の低い規模の小

さなグラフにおいて厳密解に近い良好な近似解が得られた.また,k の範囲をループ回数

に応じて小さく変化させた場合は,辺密度の低いグラフにおいてあまり良い近似解を得る

ことができなかった.しかし,辺密度の高い複雑なグラフに対しては,前述の場合に比べ

良好な結果が得られた.

貪欲ランダム構築法に 1-opt局所探索を組み込んだ手法では,どのグラフにおいても解

が改善された.貪欲ランダム構築法では,頂点の選択範囲 k をループ回数に応じて大き

く変化させた場合は,高い辺密度のグラフに対して良好な解が得られなかった.しかし,

1-opt局所探索による解の改善効果は,k をループ回数に応じて小さく変化させた場合よ

りも大きく,局所探索が有効に作用していることが確認された.しかし,局所探索に多く

の時間がかかってしまうという問題点も見受けられた.また,貪欲ランダム適応型探索法

を用いた手法では,ループ回数を低く設定しても規模の小さいグラフにたいしては厳密解

に到達しており,大きなループ回数に設定して時間をかける必要はないと考えられる.

グラフの特徴に応じて最適なランダム性のスケジューリングが異なるため,入力のグラ

フに応じてスケジューリングを変更することで,多くのグラフに対して有効な結果を求め

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ることが可能になると考えられる.

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謝辞

本研究を進めるにあたり,有意義な討論と御指導をいただいた,神戸大学工学部電気電

子工学科,増田澄男教授,山口一章准教授に深く感謝いたします.

また,いろいろ手助けしていただいた,電子情報数理研究室の院生,ならびに学部生の

方々に深く感謝いたします.

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