sdmogikoku.sakura.ne.jpsdmogikoku.sakura.ne.jp/26_kouki_bg.docx  · web...

34
2014 年年年年年 「」 Refugee problem 1

Upload: buidiep

Post on 05-Feb-2018

213 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: sdmogikoku.sakura.ne.jpsdmogikoku.sakura.ne.jp/26_kouki_BG.docx  · Web viewその他、申請者には「庇護申請給付法」が適応され、14歳以上には月額40ユーロ(約6,520円)14歳未満には20ユーロ(約3,260

2014年後期会議「難民問題」

Refugee problem

1

Page 2: sdmogikoku.sakura.ne.jpsdmogikoku.sakura.ne.jp/26_kouki_BG.docx  · Web viewその他、申請者には「庇護申請給付法」が適応され、14歳以上には月額40ユーロ(約6,520円)14歳未満には20ユーロ(約3,260

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)http://www.unhcr.or.jp/ref_unhcr/world/africa/drc2005.htmlウガンダに避難するコンゴ共和国難民の様子。コンゴには帰還出来ていない難民が約 40万人おり、UNHCRによる支援事業が行われている。(ちなみに、UNHCRの元事務所長緒方貞子氏は、模擬国連の創始者でもある。)

文責・舘岡明里、BG班一同

はじめに

2

Page 3: sdmogikoku.sakura.ne.jpsdmogikoku.sakura.ne.jp/26_kouki_BG.docx  · Web viewその他、申請者には「庇護申請給付法」が適応され、14歳以上には月額40ユーロ(約6,520円)14歳未満には20ユーロ(約3,260

このたび 2014年度後期会議の会議監督(ディレク)を務めさせていただくことになりました、二年生の舘岡明里です。初めての経験ですので、至らぬところが多いことと思

いますが、前期以上に充実した会議を行えるよう努力致しますので、皆様ご協力お願い

します。

さて、この度の議題は「難民問題(Refugee problem)」です。SFチックだったシミュレーションや前期の議題と違い、いかにも国際問題という感じですね。

現在(2013年度末時点)、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)による支援対象となっている難民は世界に約 400万人存在しています。私たちが普通に生活できるのも政府の法的・政治的保護によるところが大きいでしょう。しかし、こうしている間にもこ

の地球上のどこかで政府からの保護が受けられず、故郷を追われて逃げ続けている人々

がいるのです。

このような人々に対して各国及び国際機関は援助を行わねばなりませんが、その難民

保護の最も重い負担を追っているのは、先進国ではなく、貧しい発展途上国であるのが

現状です。この不平等をどう改善していくかが今回の会議の鍵となることと思います。

「難民問題」はオーソドックスな議題ではありますが、難民の発生原因や各国の事情は

実に様々であり、一筋縄では解決できない問題です。難民保護の緊急性や支援の必要性を

認識しつつ、自国の立場をよく確認し、大使(デリ)全員が納得の行く議決ができること

を期待しています。

今年で二年生は引退となるので、今年度のフルメンバーで会議をするのはこれが最後

です。二年生はこれまで先輩方から学んだことや、去年や前期の反省点を踏まえて、悔

いのない会議にしましょう。

一年生は前期でだいたいの会議の流れはつかめたことと思います。後期では一年生が

主体となってWPやDRを作っていくこととなるので、二年生から交渉の技術を学び、こ

れからの仙台模擬国連を引っ張っていく力をつけましょう。

この会議を通じて仙台模擬国連がより一層成長できることを願います。

最後に、BG 作成に協力してくださった皆様へ深く感謝いたします。ありがとうござい

ました。

2014年仙台模擬国連後期会議 会議監督二年 舘岡明里

目次3

Page 4: sdmogikoku.sakura.ne.jpsdmogikoku.sakura.ne.jp/26_kouki_BG.docx  · Web viewその他、申請者には「庇護申請給付法」が適応され、14歳以上には月額40ユーロ(約6,520円)14歳未満には20ユーロ(約3,260

第一部 知識編…………………………………………………6

第一章 難民問題概要 ………………………………………………6

難民とは

   (1)政治難民と経済難民

   (2)長期化難民   (3)庇護申請者     (4)国内避難民難民認定 (1)制度について

   (2)難民認定者数・申請者数

第二章 解決策……………………………………………………11

恒久的解決とならないもの

  難民キャンプ

恒久的解決

  自発的帰還  第一次庇護国定住  第三国定住

主なアクター

  ①送出国  ②一次庇護国  ③第三国  ④ドナー国

第三章 難民に関する主な取り決め…………………………………13

1951年 難民の地位に関する条約(難民条約)

アフリカにおける難民問題の特殊な側面を規定するアフリカ統一機構条約(OAU難民条約)

1984年 カルタヘナ宣言

1967年 難民議定書

世界難民の日

シェンゲン協定

ダブリン条約

4

Page 5: sdmogikoku.sakura.ne.jpsdmogikoku.sakura.ne.jp/26_kouki_BG.docx  · Web viewその他、申請者には「庇護申請給付法」が適応され、14歳以上には月額40ユーロ(約6,520円)14歳未満には20ユーロ(約3,260

第四章 難民問題に取り組む主な国際機関……………………………20

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)国連難民基金(UNREF)国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)国連人道問題調整事務所(OCHA)国際移住帰還(IOM)赤十字国際連合(ICRC)

第二部 論点編 ………………………………………………24

第一章 恒久的解決のために ………………………………………24

第二章 「難民」の定義 ……………………………………………28

第三章 難民の支援…………………………………………………30

第三部 各国編 ………………………………………………31

対立構造モデル

議題解説

参考文献・参考サイト

5

Page 6: sdmogikoku.sakura.ne.jpsdmogikoku.sakura.ne.jp/26_kouki_BG.docx  · Web viewその他、申請者には「庇護申請給付法」が適応され、14歳以上には月額40ユーロ(約6,520円)14歳未満には20ユーロ(約3,260

第一部 知識編第一章 難民問題概要○難民とは難民とは「人種、宗教、国籍、政治的意見やまたは特定の社会集団に属するなどの理由

で、自国にいると迫害を受けるかあるいは迫害を受ける恐れがあるために他国に逃れ

た」人々と定義されている。現在、難民とは、政治的な迫害のほか、武力紛争や人権侵害

などを逃れるために国境を越えて他国に庇護を求めた人々をさすようになっている。

2014年 6 月に UNHCR 本部が発表した年間統計報告書によると、2013年末の時点で、紛争、迫害や、人権侵害のため移動を強いられた人(難民・国内避難民・庇護申請者)の数

は 5120万人に上り、統計史上最大とされる。そのうち約 1670万人が難民である。2012年末時点での強制移動は 4520万人で、わずか 1年間で 600万人増加したことにな

るが、数が急増した主な要因はシリア紛争である。長引く紛争によって 250万人が難民となり、650万人が国内避難民となった。(2013年末時点)2013年末の主要な難民発生国はアフガニスタン(約 256万人)、シリア(約 247万人)、ソマリア(約 112万人)で、主要な難民受け入れ国はパキスタン(約 160万人)、イラン(約 86万人)、レバノン(約 86万人)、ヨルダン(約 64万人)、トルコ(約 61万人)である。世界の難民申請は 74%が欧州に集中しているが、その負担を各国がどう分け合うのか議

論は進んでいない。

難民の発生要因に関しては、プッシュ要因(出身国・地域での押し出し要因。具体的に

は戦争、人権侵害、政治的迫害、貧困など)とプル要因(受入国・受入地における誘因)があるとするプッシュ・プル理論と、根源的要因・近接要因・介入要因の 3つが存在するという理論がある。後者の理論において、根源的要因としては、民主化のレベル、経済発展の

レベル、国内民族問題、近隣諸国との外交関係など、近接要因としては、人権侵害とその

程度、政治的緊張度、失業率、国境紛争などがある。また、介入要因には、民族浄化政策

外国での移民ネットワークの存在、近隣諸国の難民庇護・受入体制の存在などの促進要因

と国際的な融和・仲介努力の存在、近隣諸国の難民受け入れ制限などの抑制要因があげら

れている。

(1)政治難民と経済難民

難民は政治難民と経済難民とに区別される。

難民は人種的、思想的理由による難民も政治的理由と結びつくことが多いが、そのよう

な難民を政治難民という。1951年に締結された難民条約は、政治難民の保護を目的とし

6

Page 7: sdmogikoku.sakura.ne.jpsdmogikoku.sakura.ne.jp/26_kouki_BG.docx  · Web viewその他、申請者には「庇護申請給付法」が適応され、14歳以上には月額40ユーロ(約6,520円)14歳未満には20ユーロ(約3,260

ている。

世界人権宣言第 14 条には「人はすべて、迫害からの避難所を他国において求めまた享

有する権利を有する」と規定されており、イタリア、ドイツ、フランス、旧ソ連、中国

などのように憲法に政治難民の保護規定を設けている国もある。

経済難民は、国内での経済的不満や生活困窮、さらには深刻な飢餓から逃れるために、

主として、第三世界から先進諸国に脱出する人々をいう。1951年難民条約の定義する

「難民」に当てはまらないと解するのが一般的であり、経済難民はしばしば嫌悪感を

持って見られる。1989年には民主化革命を契機に東欧諸国からの西欧諸国への経済難民

が急増し、折からの景気後退と重なり、ドイツを中心に外国人排斥運動が高まる要因と

なった。

(2)長期化難民

長期化難民とは、パレスチナ難民救済機関(UNRWA)のマンデート下におかれたパレ

スチナ難民を除き、国籍国外の途上国に五年以上滞在する 2万 5000人以上の難民集団を

指す。この定義に従うと、世界中に 620万人の長期化難民が存在し、38の状況が確認さ

れる。このうち最多はアフリカの 22である。それに対し中央アジア・南西アジア・北ア

フリカおよび中東では 8つの状況が確認され、230万人もの長期化難民が存在し、単位

当たりの数の多さが目立つ。(2003年時点)長期化難民の 73%はUNHCR等の国際機関の援助下にある。

当初、UNCHRの難民問題への取り組みは、第二次世界大戦によって生じた難民を念頭

においたものであったが、その後もイデオロギーや民族・宗教などに起因する紛争が世

界各地で勃発し、難民問題が大規模化した。長期化する難民状況において、自主帰還、庇

護国への定着、そして、第三国定住を統合した包括的な取り組みにより、恒久的な解決策

を見出すことをゴールとし、このゴールのもとでの主な目的は、自主帰還の条件を改善

し、難民の帰還を持続的なものとしていくことにある。暫定的対応として、難民の自立促

進が重要な手段となる。

(3)庇護申請者

庇護申請者とは他国において難民認定など国際的保護の申請を行っている人で、まだ難

民の地位を得ていない人のことをさす。多くの国家は庇護申請者に対しては責任を負わ

ない姿勢を示す。

UNHCRの統計によると 2013年度の庇護申請者は約 1200万人。庇護申請者の出身国

は多い順にシリア、ロシア、アフガニスタン、イラク、セルビアとなる。シリアの庇護

申請者が多いのはシリア紛争が原因とされる。

庇護申請者の中にはボート・ピープルと呼ばれる人々が含まれる。

7

Page 8: sdmogikoku.sakura.ne.jpsdmogikoku.sakura.ne.jp/26_kouki_BG.docx  · Web viewその他、申請者には「庇護申請給付法」が適応され、14歳以上には月額40ユーロ(約6,520円)14歳未満には20ユーロ(約3,260

ボート・ピープルとはインドシナ(ベトナム・ラオス・カンボジア)難民の俗称であり、

小舟で祖国を脱出する難民のことである。

当初は国家の社会主義体制への移行により、迫害を受ける恐れのある人々、新体制にな

じめない人々がほとんどであったが、のちに出稼ぎ目的のボート・ピープルが流出する

ようになった。彼らは経済難民であるにもかかわらず、難民条約で保護が規定されてい

る政治的難民を装って不法に入国する、偽装難民とされる。そのため、ボート・ピープル

流出防止のため実効的措置、ODP(合法出国計画)の促進、ボート・ピープルに対するスク

リーニング(難民認定作業)の実施を行うことなどを定めた 1989年に CPA(包括的行動計

画)が採択された。これによって 1989年 9 月までにボート・ピープルの第一次庇護国がスクリーニングを

導入したため、ボート・ピープルの流出は著しく減少した。

(4)国内避難民

国内避難民(IDP)とは国内での移動を余儀なくされた人々のことをさす。難民とは国境

を超えないという点で異なる。UNHCRの統計によると 2013年度の紛争などによる国内

避難民の総数は約 3330万人である。そのうち、UNHCR支援対象となったのは約 2390万人で、前年より約 630万人増加している。

実のところ、国内避難民のおかれた窮状は、国境を越えた「正規の難民」以上といえる。

難民であれば、国境を超えることで一応、迫害の恐怖から逃れ、庇護国、または再定住先

の国で一定の保護と安全を享受することができるのに対して、国内避難民の場合は、国境

の内側にあってその身体に対する攻撃、性暴力、誘拐などの高度な危険に依然としてなお

晒されており、かつ、避難所や食料、医療サービスを奪われる頻度が高いからである。

現在、国内避難民は一応 UNHCRによる援助の対象となってはいるが、これは国際的な法源を持たない不安定なものである。国内避難民の発生原因や境遇が難民と酷似している

以上、国内避難民には難民法上の待遇が認められるのが望ましいが、「国内避難民」と認

定するための明確に認知された定義は存在しない。(※1)現行の難民法を国内避難民へ

適用させる上で、常に立ちはだかるのは「国境を越えた」という条件である。この条件

はUNHCRの設立(1950年)および難民条約の採択(1951年)の際、戦後の新しい難民保護

体制をともかく立ち上げるうえで設定せざるを得なかったものなので、絶対視すること

は適当ではない。しかし、この区別がなお決定的な意味をもっているといわざるをえな

いのであり、難民法がそのまま国内避難民の事態に適用されうると考えることはできな

い。

以上のように、国内避難民は難民と同様の原因で発生し、難民以上の苦境にあるのに、

難民法の適用を受けず、より一般的な人権法・人道法上の多くの被保護者の一人として扱

われているにすぎない。

そのような状況で、2009年にアフリカ諸国が採択し、2012年に施行された「アフリ

8

Page 9: sdmogikoku.sakura.ne.jpsdmogikoku.sakura.ne.jp/26_kouki_BG.docx  · Web viewその他、申請者には「庇護申請給付法」が適応され、14歳以上には月額40ユーロ(約6,520円)14歳未満には20ユーロ(約3,260

カにおける国内避難民の保護と援助に関するアフリカ連合条約(AU国内避難民条約、ま

たはカンパラ条約)」(※2)は唯一の国内避難民に対する国際機関の活動に法的根拠を

与えるものと言える。

※1なお、国連の「国内避難に関する指導原則」(Guiding Principle on Internal Displacement )によれば、「国内避難民は、特に武力紛争や常態化した暴力状態、人権侵害、自然災害または人災の結

果、またはそれを避けるために、住居あるいは常居所から逃れることもしくは離れることを強いられた

か余儀なくされた人又は集団であり、国際的に認知された国境を越えていないもの」とされる。

※2 第三章の同名項目に詳細

○難民認定

(1)制度について

難民認定制度とは、難民である外国人が、難民認定申請を行い、認定を受けることで、

難民条約に規定する難民としての保護を受けることができる制度である。ここでいう難

民とは、難民条約第 1 条又は議定書第 1 条の規定により定義される難民を意味し、それは、

「人種、宗教、国籍、特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由として

迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために国籍国の外にい

る者であって、その国籍国の保護を受けることができないか又はそれを望まない者」と

される。

難民認定手続きの際には外国人がこの難民の地位に該当するかどうかが審査されるこ

ととなる。ここでは偽装難民の問題があるが、いわゆる難民を装って難民制度を利用し

ようとするものである。これらを真の難民と区別するため、または自国の安全保障上害

を及ぼす者を排除するため、難民認定は慎重さを要するので、審査は長期に亘ることが

多い。

難民の認定を受けた外国人は,数多くの権利および利益を与えられている。難民が庇護

国より期待できる待遇の基準は、国際難民法と人権法の組み合わせを基盤としており、多

くの権利は慣習国際法上も認められている。これらの権利および利益は以下のものを含

む。

受け入れ国における難民の身体的安全への脅威に対する保護。

庇護国において制限無く裁判へのアクセスができること。

食料、衣服、住居と医療を含む基本的な身体的・物的需要に対応した支援。

移動の自由。

十分な教育へのアクセス。少なくとも初等教育が受けられること。

できる限り早く庇護国において近しい家族の構成員と再統合できること。

9

Page 10: sdmogikoku.sakura.ne.jpsdmogikoku.sakura.ne.jp/26_kouki_BG.docx  · Web viewその他、申請者には「庇護申請給付法」が適応され、14歳以上には月額40ユーロ(約6,520円)14歳未満には20ユーロ(約3,260

とりわけ弱い立場にある難民の保護のための特別措置。たとえば、女性や少女の

難民は、性別・ジェンダーを理由とした暴力を被るより高い危険にさらされてい

るため、特別な保護措置が必要となる

 

(2)難民認定者数、申請者数 2011年当時の世界の難民認定申請者数は 860,654人、そのうち 770,328が認定されて

いる。

 各国ごとに見ていくと、アメリカやイギリスなどと比較して、日本は圧倒的に申請者

に対する認定者数が少ない。これは日本の難民認定審査が厳しいことを意味するが、こ

れに関して国際的に問題視された事例があり、日本に保護を求めており、国連難民高等弁

務官事務所から難民であると認められていたトルコ国籍のクルド難民の親子2名を本国

に強制的に送還した件である。ここで、このように国連の難民援助機関である国連難民高

等弁務官事務所の権限により、難民の地位を認定された人をマンデート難民という。ただ

し、マンデート難民だからといって、自動的に他国で難民の地位を得ることにはならな

い。

この件が問題視された要因が、ノン・ルフールマンの原則の存在である。

ノン・ルフールマンの原則とは、庇護希望者は地位の判断がなされる前に送還・追放さ

れてはならない、ということを指す。これは難民保護の礎石と言われ、明示的に難民条

約第 33 条(1)に規定されている。

ノン・ルフールマンの原則は、国際慣習法の規範へと発展したため、これは、難民条

約・議定書の締約国でない国さえも拘束する。また、国際的・地域的な人権法は、各国が

その他の基本的人権が侵害される重大な危険性のある国へ個人を送還することを抑止して

いる。

ノン ルフールマンの原則への例外は非常に限定的ながら存在し、そのような状況とは・ 、

ある難民が滞在国の安全に非常に深刻な将来的危険をもつ場合である。これはたとえば

その国の憲法、領土の保全、独立、対外的平和への脅威を与える場合、または特に深刻な

性質の犯罪(たとえば、殺人、強姦、武装強盗)に関して有罪が確定している場合である。

国連難民高等弁務官事務所がマンデート難民と認定している難民を強制的に送還したと

いうことは、国際慣習法であるノン・ルフールマン原則に違反する可能性がある。国連

難民高等弁務官事務所がマンデート難民と認定している難民を本人の意思に反して強制的

に本国に送還した行為は、日本にいるその他の多くのマンデート難民および難民申請者

に、次は自分かもしれないという恐怖を拡げ、トルコ出身の申請者だけでなく日本に保

護を求めてきた他国の申請者に対しても、入国管理局への不信や不安を拡げている。

10

Page 11: sdmogikoku.sakura.ne.jpsdmogikoku.sakura.ne.jp/26_kouki_BG.docx  · Web viewその他、申請者には「庇護申請給付法」が適応され、14歳以上には月額40ユーロ(約6,520円)14歳未満には20ユーロ(約3,260

第二章 解決策

○恒久的解決とならないもの

難民の子どもや家族にとっての理想的な解決方法は、安全で人間らしい保証をされて自

分の家へ帰ることである。しかし、実際は国の情勢が安定しない限り無事に自分の家に

帰るということは困難である。そこで、難民が発生した場合、難民受け入れ国の要請に応

じて難民キャンプが設置されており、そこでは難民に住む場所や食べ物、水、その他

様々な生活用品が提供されている。また、教育面でも子どもたちに読み書きや計算を教

えるだけでなく、スポーツなど様々な遊びの場を提供している。

しかしながら、難民キャンプには様々な問題が溢れている。たとえば、難民が発生した

場所の気候や地理的条件によっては、テントが列をなしているところもあれば木や布、

竹やビニールで覆っただけのキャンプもある。また、人口が過密したキャンプでは犯罪

や暴力も起こりやすく、特に女性や子どもたちの立場が弱い状態にある。先述した教育

についても、教師はボランティアから募っているため質や人数が保証できないこと、家

事の手伝いや文化的・宗教的理由から学校に通えない子どもがいる地域があるなど課題は

多い。そのため、難民キャンプは一時的な解決手段でしかないのである。

○恒久的解決

 先述した通り、難民の一番の願いは自分の国に戻ることである。そこで、UNCHR(国連難民高等弁務官事務所)は難民の自発的帰還を推奨している。それには難民が安定した

環境で生活を再建できるように、本国の全面参加や国際社会からの援助が不可欠である。

UNHCRでも情報収集や物資の提供、安全の確認や紛争の和解活動など多くのサポートを

行ってきた。

 自発的帰還は最も有効な解決手段だが、必ずしも実現できるとは限らない。そのよう

な場合、難民の庇護が可能な隣国(第一次庇護国)に定住するという道もある。だが、周

辺諸国だけで大量の難民をすべて受け入れるということはそれぞれの国に大きな負担を

課すことになる。そこで、受け入れに合意した第三国に定住してもらう第三国定住制度

11

Page 12: sdmogikoku.sakura.ne.jpsdmogikoku.sakura.ne.jp/26_kouki_BG.docx  · Web viewその他、申請者には「庇護申請給付法」が適応され、14歳以上には月額40ユーロ(約6,520円)14歳未満には20ユーロ(約3,260

が発足した。この第一次庇護国や第三国では難民の自発的帰還を支援する取り組みが行わ

れており、特に第三国定住制度は難民問題に関する負担を国際社会において適正に分担す

るという観点から重視されている。

○主なアクター

① 送出国

 難民となった人々の出身国または国籍国。難民となる人々は、送出国から他国へと

逃れて保護を求めることとなる。

しかしながら、送出国側にとって自国からの難民の保護は必ずしも喜ばしいものではな

い。

送出国政府にとって、難民は自国政府を攻撃する「反徒」である場合があるからだ。その

ような攻撃者が、保護されることについて苦言を呈する国もある。また、自国難民を受

け入れる国に対し、外交的圧力をかけるケースも存在する。

② 一次庇護国

 難民が第三国へと移動する前の段階で難民を庇護する国。出身国から逃れてきた難民の

多くは、庇護を求めた国においても危険な状況下で生活していたり、その庇護国では対

応できない事情を持ち合わせていたりする。そのような場合、難民は受け入れに同意し

た別の庇護国(第三国)へと移動することとなり、難民が第三国へと移動する前に最初に保

護を求めた国は一次庇護国と呼ばれる。

 一次庇護国は、送出国と地理的に隣接しているために、難民の流入に関して裁量を働か

せることが基本的にできない。一方で難民の処遇を決定する権限を有するが、一次庇護国

の多くが難民を隔離区域に居住させるなど、難民の自由に制約を課している。難民の庇護

は国家の権利であり、難民個人の権利では無いとするスタンスがとられ、人権侵害的と

も見なせる。

 また、一次庇護国は難民とともに難民を取り巻く事情が流入してくることによる、安全

保障上の問題にも直面する。そのため国境管理政策や難民隔離・保護は難民問題の解決だ

けではなく、自国の防衛上の問題でもある。

③ 第三国

 すでに母国から一次庇護国へと逃れて難民となっているが、その一次庇護国では危険

な状況下にあるなどして保護を受けられない人を受け入れる国。第三国では難民受け入

れに際し、自国内での居住を認め、出身国や一次庇護国において生じている難民の人権侵

害・人道危機的状況を解消することに貢献する。一次庇護国で保護を受けられない難民は、

第三国へ移動することにより、長期的に定住することが可能となる。UNHCRが関わる難

12

Page 13: sdmogikoku.sakura.ne.jpsdmogikoku.sakura.ne.jp/26_kouki_BG.docx  · Web viewその他、申請者には「庇護申請給付法」が適応され、14歳以上には月額40ユーロ(約6,520円)14歳未満には20ユーロ(約3,260

民のうち約 1%のみが UNHCRから第三国定住申請書を受け入れ国側に提出している。第

三国として最も多くの難民を受け入れているのはアメリカであり、以降カナダ、オース

トラリアと続く。

 第三国は送出国から地理的に離れているために、自国の裁量により難民流入をコント

ロールすることができる。これにより第三国では難民の取り巻く事情の流入という問題

は生じない。しかしそれは政情や人権保護の安定した先進国で難民が保護を受けること

を難しくし、一次庇護国たる途上国との負担の差を一層広げるものとなる。

④ ドナー国

送出国や一次庇護国のみならず、難民問題に従事する国際機関などに資金的な援助・協

力を行う国のこと。(※3)ドナー国は難民の背景的事情や、自国内の少数民族保護の観

点から、自国での難民受け入れは難しいと主張する。しかし、主に一次庇護国たる途上国

からしばしばそれは責任逃れであると非難される。同時に、自発的帰還や庇護国定住に

より問題を解決させようとすることは、ドナー国側の経費削減のためであり、難民問題

に関する負担を他に任せる狙いがあるのではと、途上国から先進国であるドナー国へは

疑念の声が上げられる。

※3 UNHCRに対する寄付金額上位(2013年)(数値はアメリカ$)

1. アメリカ      1,041,707,2252. 日本        252,939,1023. EU         213,490,5144. イギリス      161,152,5315. スウェーデン    128,910,2596. ドイツ       116,617,7887. クウェート     112,356,7628. デンマーク      86,486,3609. オランダ       85,568,68710. ノルウェー      80,177,98811. カナダ        75,231,99812.オーストラリア    57,522,35213.スイス        45,866,32914.個人(オランダ)   35,610,29715.個人(スペイン)   29,394,706

16.フィンランド      27,163,70217.フランス        24,320,66818. ベルギー        19,569,24419.個人(オーストラリア) 18,870,38320.個人(日本)      18,702,76721.個人(イタリア)    17,254,72922.個人(UAE)      14,263,99723. アイルランド      13,030,63124. ロシア         12,000,00025. サウジアラビア     11,523,75426. イタリア        10,531,93627. イラク         9,965,81228.ルクセンブルグ      9,740,26029.個人(ドイツ)     9,149,96030.個人(カタール)    8,738,406

13

Page 14: sdmogikoku.sakura.ne.jpsdmogikoku.sakura.ne.jp/26_kouki_BG.docx  · Web viewその他、申請者には「庇護申請給付法」が適応され、14歳以上には月額40ユーロ(約6,520円)14歳未満には20ユーロ(約3,260

Contributions to UNHCR For Budget Year 2013 As at 31 December (UNHCR)2013 www.unhcr.org/51c991a79.html

第三章 難民問題に関する主な取り決め

○1951年 難民の地位に関する条約(難民条約)

第二次世界大戦後の 1948年に「世界人権宣言」が採択され、庇護を求める権利と全て

の人間は差別されずに基本的人権を享受できるという旨が確認された。さらに、第二次世

界大戦によって急増した難民を緊急保護する必要性が生じたが、戦前に取り決められてい

た特定の難民集団に関する協定は適用範囲が限定されていたために不十分であった。

 このような背景から、難民の保護を保障し、難民問題を解決するためには国際的な強調

が必要であるという認識に基づいて、1951年に「難民の地位に関する条約」が採択され

た。この条約と 1967年に採択された「難民の地位に関する議定書」を合わせて「難民条

約」と呼ぶ。

 難民条約は、難民の法的地位について一般的基準で規定するものとしては、今のところ

最も包括的なものであり、難民の取り扱いに関する最小限の人道的基準を設定し、庇護を

提供する際に政治的な理由で難民認定の基準を変更することがないようにしているとい

う点で重要なものである。

 難民条約の第 1 条では「人種、宗教、国籍もしくは特定の社会的集団の構成員であるこ

とまたは政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を

有するために、国籍国の外にいる者であって、その国籍国の保護を受けることができな

い者またはそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まない

者」(第 1 条抜粋)と定義されている。

 その他には、「脅威にさらされていた領域から直接来た難民であって許可なく当該締

約国の領域に入国しまたは許可なく当該締約国の領域内にいるものに対し、不法に入国し

または不法にいることを理由として刑罰を科してはならない。」 (第 31 条抜粋)や、「締

約国は、難民を、いかなる方法によっても、人種、宗教、国籍もしくは特定の社会的集団

の構成員であることまたは政治的意見のためにその生命または自由が脅威にさらされる

おそれのある領域の国境へ追放しまたは送還してはならない。」 (第 33 条抜粋)などの難民に対して保障されている権利や「すべての難民は、滞在する国に対し、特に、その国

の法令を遵守する義務及び公の秩序を維持するための措置に従う義務を負う。」(第 2 条)といった難民が負う義務について、第 46 条までにわたって規定されている。

14

Page 15: sdmogikoku.sakura.ne.jpsdmogikoku.sakura.ne.jp/26_kouki_BG.docx  · Web viewその他、申請者には「庇護申請給付法」が適応され、14歳以上には月額40ユーロ(約6,520円)14歳未満には20ユーロ(約3,260

○アフリカにおける難民問題の特殊な側面を規定するアフリカ統一

機構条約(OAU難民条約)

OAU難民条約では、1951年難民条約での難民の定義に加えて、第 1 条 2項において「外部からの侵略、占領、外国の支配または出身国もしくは国籍国の一部もしくは全体に

おける公の秩序を著しく乱す事件の故に出身国または国籍国外に避難所を求めるため常居

所地を去ることを余儀なくされた者」も難民に含めている。

1951年の難民条約では、「迫害を受けるおそれがある」者を難民と定義していたが、

それでは 1960年代半ば以降に頻発した内乱や独立戦争によって故国を失った人々が含ま

れずアフリカの実情に合ったものとは言えなかった。

そこで、1969年に、社会不安による避難でも難民と認定されるようにするために、難

民の定義に「外部からの侵略、占領、外国の支配または出身国もしくは国籍国の一部もし

くは全体における公の秩序を著しく乱す事件」によって本国を離れなければならない者

が含まれるようにした、OAU難民条約をアフリカ統一機構(OAU)が独自に採択した。

○アフリカにおける国内避難民の保護と援助に関するアフリカ連合

条約(AU国内避難民条約、またはカンパラ条約)

AU国内避難民条約は、紛争・自然災害などによって避難を余儀なくされた人々を保護

と支援の対象としている。この条約は国家が国内避難民に対して責任を負う事は認めつつ、

国単位、地域単位で国内避難民を出さないような取り組みを行うと同時に、すでに存在す

る国内避難民の保護と支援を求めている。

AU国内避難民条約は 2009年 10 月にアフリカ連合による会議の場で採択され、その

後アフリカ連合に属する 54 カ国のうち 37 カ国が署名した。しかし AU国内避難民条約

が施行されるには、一定の条件があった。それは 54 カ国のうち、最低でも 15 カ国が批

准しなければいけないというものだ。2012年 11 月 6 日、スワジランドが新たに批准し、

12 月 6 日施行の運びとなった 。

AU国内避難民条約に批准した国は、条約に定められた条項を国内法に反映させ、実行

に移していくことが求められる。条約の策定に携わったUNHCRは、批准国の国内法に

カンパラ条約がうまく反映されるよう支援を行って行く。

世界に目を移すと、2011年末時点で 2640万もの人々が自分たちの住む国の中で避難

を余儀なくされている。国境を越えた難民の数が 1520万人 であることを考慮すると、

15

Page 16: sdmogikoku.sakura.ne.jpsdmogikoku.sakura.ne.jp/26_kouki_BG.docx  · Web viewその他、申請者には「庇護申請給付法」が適応され、14歳以上には月額40ユーロ(約6,520円)14歳未満には20ユーロ(約3,260

国内避難民の数がいかに多いかわかる。しかしながら、これまで国際的な法的枠組みの

推進は国境を越えた難民にばかり向けられてきた。

施行に際してグテーレス国連難民高等弁務官は歴史的進展であるとしてこのように評価

した。

「これは歴史的な転換点であり、その影響力はアフリカ国内にとどまらない。今も世界

中で国内避難民は増え続けている。カンパラ条約によってアフリカは、国内避難民の保

護と支援における法的枠組み推進の先導的な役割を担うことになる。」

国際法源を持たなかった国内避難民への援助に対して、アフリカでこのような試みが

なされたことは、国内避難民問題解決に向けた大きな一歩となる。

○1984年 カルタヘナ宣言

1984年のカルタヘナ宣言は、コロンビアで開かれた「中米、メキシコ及びパナマにお

ける難民の国際的保護に関する専門家会議-法的人道的問題」と題する会議で採択された

これは、これまで築かれてきた難民についての国際合意の集大成ともいえる。そして、

法的拘束力は持たないものの、中米地域の難民政策の基礎となり、多くの国の国内法に受

容されている。

難民に関するカルタヘナ宣言

結論 3 中米地域における大規模な難民の移動から得た経験を考慮して、OAU 条約(第 1 条第

2項)の先例及び米州人権委員会の報告で採用された原則に留意しながら、適切である限

り、またこの地域の事情に照らして、難民の概念の拡大を考える必要がある。したがっ

て、この地域で適用するために勧告すべき難民の定義または概念は、1951年の「条約」

及び 1967年の「議定書」の要素を含むだけでなく、一般化された暴力、外国からの侵喀、

国内紛争、大規模な人権侵害または公の秩序を著しく乱すその他の事情によって、生命、

安全または自由を脅かされたために自国から逃れた人々をも難民に含めるものである。

○1967年 難民議定書

1951年の難民条約では、都合よく解釈されてきた「難民」の概念について一応の基準

を設け、難民の人権保護と、難民問題解決のための国際協力を発展させた。さらにそこか

ら時間的制約を撤廃しすべての難民を保護対象とする、難民議定書が作られた。しかし、

この議定書および難民条約における難民の定義である「迫害の恐怖」を受けている者と

いう基準はあまりに狭く、本当の保護を必要としている人々の実情をつかみきれてはい

なかった。以下にその条文を記載する。

16

Page 17: sdmogikoku.sakura.ne.jpsdmogikoku.sakura.ne.jp/26_kouki_BG.docx  · Web viewその他、申請者には「庇護申請給付法」が適応され、14歳以上には月額40ユーロ(約6,520円)14歳未満には20ユーロ(約3,260

この議定書の締約国は、

1951年 7 月 28 日にジュネーブで作成された難民の地位に関する条約(以下「条約」と

いう)が、1951年 1 月 1 日前に生じた事件の結果として難民となった者にのみ適用され

ることを考慮し、

条約が採択された後新たな事態により難民が生じたこと及びこれらの難民が条約の適用

を受けることができないことを考慮し、

1951年 1 月 1 日前という制限を考慮に入れない場合に条約の定義に該当することとなる

すべての難民に等しい地位を与えることが望ましいと考えて、

次のとおり協定した。

 

第 1 条

 1 この議定書の締約国は、2に定義する難民に対し、条約第 2 条から第 34 条

までの規定を適用することを約束する。

 2 この議定書の適用上「難民」とは、3の規定の適用があることを条件として、

条約第 1 条を同条A(2)の「1951年 1 月 1 日前に生じた事件の結果として、かつ」及び

「これらの事件の結果として」という文言が除かれているものとみなした場合に同条の

定義に該当するすべての者をいう。

 3 この議定書は、この議定書の締約国によりいかなる地理的な制限もなしに適

用される。ただし、既に条約の締約国となっている国であって条約第 1 条B(1)(a)の規定

を適用する旨の宣言を行っているものについては、この宣言は、同条B(2)の規定に基づ

いてその国の義務が拡大されていない限り、この議定書についても適用される。

第 2 条【締約国の機関と国際連合との協力】

 1 この議定書の締約国は、国際連合難民高等弁務官事務所またはこれを承継す

る国際連合の他の機関の任務の遂行に際し、これらの機関と協力することを約束するも

のとし、特に、これらの機関のこの議定書の適用を監督する責務の遂行に際し、これら

の機関に便宜を与える。

 2  この議定書の締約国は、国際連合難民高等弁務官事務所またはこれを承継

する国際連合の他の機関が国際連合の権限のある機関に報告することのできるよう、要請

に応じ、次の事項に関する情報及び統計を適当な様式で提供することを約束する。

(a) 難民の状態 (b) この議定書の実施状況

(c) 難民に関する現行法令及び難民に関して将来施行される法令

第 3 条【国内法令に関する情報】

この議定書の締約国は、国際連合事務総長に対し、この議定書の適用を確保するために制

17

Page 18: sdmogikoku.sakura.ne.jpsdmogikoku.sakura.ne.jp/26_kouki_BG.docx  · Web viewその他、申請者には「庇護申請給付法」が適応され、14歳以上には月額40ユーロ(約6,520円)14歳未満には20ユーロ(約3,260

定する法令を送付する。

第 4 条【紛争の解決】

この議定書の解釈または適用に関するこの議定書の締約国間の紛争であって他の方法に

よって解決することができないものは、いずれかの紛争当事国の要請により、国際司法

裁判所に付託する。

第 5 条【加入】

この議定書は、条約のすべての締約国並びにこれらの締約国以外の国であって国際連合ま

たはいずれかの専門機関の加盟国であるもの及び国際連合総会によりこの議定書に加入

するよう招請されるものによる加入のために開放しておく。加入は、加入書を国際連合

事務総長に寄託することによって行う。

第 6 条【連邦条項】

 この議定書の締約国が連邦制または非単一制の国である場合には、次の規定を適用する。

(a) 第 1 条 1の規定により適用される条約の規定であってこれらの規定の実施が

連邦の立法機関の範囲内にあるものについては、連邦の政府の義務は、連邦制をとってい

ないこの議定書の締約国の義務と同一とする。

(b) 第 1 条 1の規定により適用される条約の規定であってこれらの規定の実施が、

邦、州、または県の立法権の範囲内にあり、かつ連邦の憲法制度上、邦、州または県が立

法の措置をとることを義務づけられていないものについては、連邦の政府は、邦、州ま

たは県の適当な機関に対し、できる限り速やかに、好意的な意見を付してその規定を通報

する。

(c) この議定書の締約国である連邦制の国は、国際連合事務総長を通じてこの議

定書の他の締約国から要請があったときは、第 1 条 1の規定により適用される条約の規

定の実施に関する連邦及びその構成単位の法令及び慣行についての説明を提示し、かつ、

立法その他の措置によりこれらの規定の実施が行われている程度を示す。

第 7 条【留保及び宣言】

1 いずれの国も、この議定書への加入の際に、第 4 条の規定について及び第 1条の規定による条約のいずれかの規定の適用(条約の第 1 条、第 3 条、第 4 条、第 16 条

1及び第 33 条の規定の適用を除く)について留保を付することができる。ただし、条約

の締約国がこの条の規定に基づいて付する留保については、その効果は、条約の適用を

受ける難民には及ばない。

2 条約第 42 条の規定に基づいて条約の締約国が条約の規定に付した留保は、

撤回されない限り、この議定書に基づく義務についても有効なものとする。

18

Page 19: sdmogikoku.sakura.ne.jpsdmogikoku.sakura.ne.jp/26_kouki_BG.docx  · Web viewその他、申請者には「庇護申請給付法」が適応され、14歳以上には月額40ユーロ(約6,520円)14歳未満には20ユーロ(約3,260

3 1の規定に基づいて留保を付した国は、国際連合事務総長にあてた通告によ

り、いつでも当該留保を撤回することができる。

4 条約の締約国であってこの議定書に加入するものが条約第 40 条 1または 2の規定により行った宣言は、この議定書についても適用があるものとみなす。ただし、

当該条約の締約国がこの議定書に加入する際に国際連合事務総長に対して別段の通告をし

た場合は、この限りではない。同条 2及び 3並びに条約第 44 条 3の規定は、この議定書

について準備する。

第 8 条【効力発生】

1 この議定書は、6番目の加入書が寄託された日に効力を生ずる。

2 この議定書は、6番目の加入書が寄託された後に加入する国については、そ

の加入書が寄託された日に効力を生ずる。

第 9 条【廃棄】

1 この議定書のいずれの締約国も、国際連合事務総長にあてた通告により、い

つでもこの議定書を廃棄することができる。

2 廃棄は、国際連合事務総長が 1の通告を受領した日の後 1年で当該通告を

行ったこの議定書の締約国について効力を生ずる。

第 10 条【国際連合事務総長による通報】

国際連合事務総長は、第 5 条に規定する国に対し、この議定書の効力発生の日並びにこの

議定書に関する加入、留保、留保の撤回、廃棄、宣言及び通告を通報する。

第 11 条【国際連合事務局への寄託】

中国語、英語、フランス語、ロシア語及びスペイン語をひとしく正文とするこの議定書

の本書は、国際連合総会議長及び国際連合事務総長が署名した上、国際連合事務局に寄託

する。国際連合事務総長は、その認証謄本を国際連合のすべての加盟国及びこれらの加盟

国以外の国で第 5 条に規定するものに送付する。

○世界難民の日

2000年 12 月 4 日、国連総会で、毎年 6 月 20 日を 「世界難民の日」(World Refugee Day)とする旨が決議された。この日は、もともと OAU(アフリカ統一機構)難民条約の

発効を記念する「アフリカ難民の日」(Africa Refugee Day)であったが、改めて、難民の保護と援助に対する世界的な関心を高め、UNHCRをはじめとする国連機関や NGO(非政府組織)による活動に理解と支援を深める日にするため、制定された。この日を記

19

Page 20: sdmogikoku.sakura.ne.jpsdmogikoku.sakura.ne.jp/26_kouki_BG.docx  · Web viewその他、申請者には「庇護申請給付法」が適応され、14歳以上には月額40ユーロ(約6,520円)14歳未満には20ユーロ(約3,260

念して、数々の組織や団体が難民支援にかかわるキャンペーンを展開する。

○シェンゲン協定

シェンゲン協定は加盟国相互の通行自由化と手続き簡素化を目的とした共通滞在協定。

加盟地域内全ての滞在日数が累積カウントされる。加盟国は 2012年 4 月現在でフランス、

ドイツ、イタリアなど EU 加盟国を中心とする 26か国である。この協定により域内での

人の自由な往来が可能となったというメリットがある一方で、域外からの移民の急増に

どう対処するかという問題が浮上している。特に 2011年に始まった中東・北アフリカ地

域の民主化革命を機に、一部の EU 加盟国に海を渡って庇護希望者が押し寄せる事態と

なった。

その中心が地中海にあるイタリアのランペドゥーザ島で、イタリア政府はチュニジアか

らの難民に仮滞在許可証を発行して対処した。これにより、仏語圏であるチュニジアか

らの多くの難民がシェンゲン協定に基づいて、フランスへ入国しようとしたため、フラ

ンスは治安維持のため一時イタリアとの国境を閉鎖するという措置を取った。また、デ

ンマークも移民の大量流入を懸念して、国境における無作為の車両検査や旅券審査を復活

させる意向を示すなど、このように各国が任意の対応をとることで、シェンゲン体制を

揺るがしかねない状況が生まれた。こうした動きに対応するため、EUでは域内に大量に

移民や難民が発生した場合に協定によって廃止されていた出入国審査の復活を承認するこ

とを決定した。しかしこの決定は、域内移動の自由を保障した EUの理念に反するという

批判の声もあがっている。難民の受け入れには社会保障などの負担や失業者の増加など

の問題が付きまとうので、難民締め出しの結果移動の自由が犠牲になったというのが現

状である。

○ダブリン条約

この条約はシェンゲン協定を更に補足するものとして、欧州域外からの難民に対する

対応を共通化するためのものであり、 1990 年に締結された。この条約は加盟国すべて

を「安全な第三国」(庇護希望者が経由した国のうちその者の出身国とその者が現に滞在

している国を除く、迫害や拷問を受ける恐れのない国)とみなしている。その上で、加

盟国のどの国が難民申請の判断を行う責任を有するかを定め、別の国へ移動した庇護申請

者をその国へ送り返すことを認めている。ここで責任を有する加盟国とは、原則として

加盟国中で庇護希望者が最初に足を踏み入れた国家である。難民申請審査を行う責任を有

する国を明確化することで、各国による庇護希望者のたらい回し( in orbit)を防止する

と同時に、庇護希望者が必ず一つの加盟国(だけ、難民申請者にとっては厳しい内容)で

20

Page 21: sdmogikoku.sakura.ne.jpsdmogikoku.sakura.ne.jp/26_kouki_BG.docx  · Web viewその他、申請者には「庇護申請給付法」が適応され、14歳以上には月額40ユーロ(約6,520円)14歳未満には20ユーロ(約3,260

難民申請を行うことを保障できると考えられた。この条約は移民難民の庇護の申請や認定

の条件をめぐり対立しがちなヨーロッパ各国の政策を調整し調和させるためのもので

あった。

第四章 難民問題に取り組む主な国際機関

○国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)国連難民高等弁務官事務所(UNHCR: United Nations High Commissioner for

Refugees)は世界各地にいる難民の保護と支援を行なう国連機関である。UNHCRは国連総会によって創設され、1951年にスイスのジュネーブを拠点に活動を開始した。当初

は第二次世界大戦後の後遺症がまだ残るヨーロッパにおいて、100万人以上の難民の援助を行なっていた。

その後数十年間、世界各地で国を追われた人々が増えるにつれ、暫定機関であった

UNHCRは、その存続期間を 5年ごとに延長してきた。2003年 12 月、国連総会はその

存続期限を撤廃することを決定し、UNHCRは難民問題が解決するまでの恒久的機関と

なった。

UNHCRにとっての支援対象者は難民だけではなく、庇護希望者や帰還民、無国籍者、さ

らに国内避難民の一部も含まれる。

1951年の「難民の地位に関する条約(難民条約)」は、UNHCRの事務所規定の主旨を

強く反映している。UNHCRの最も重要な任務は、難民を国際的に保護することであるが、

それは難民の基本的人権の尊重を確保するということである。それには難民が庇護を求

める可能性や、誰も迫害の恐れのある国に自分の意思に反して送還されないということ

を保障することも含む。UNHCRは難民に関する国際的な諸規定の批准を促進し、国際法

の遵守を監督する一方、故郷を追われた人々に対して食糧や水、住居、医療支援などの物

的支援も行っている。難民問題解決に向けて、UNHCRでは 3通りの恒久的解決策を追求

している。「自発的帰還」が最も好ましい解決策であるが、それが可能でない場合は、難

民が最初に庇護を求めた国での「庇護国での定住」、あるいは「第三国定住」として新た

な国にて生活を再スタートする支援を行っている。

UNHCRは、冷戦終結後、世界的各地で続発する紛争により、劇的に増加した国内避難

民への支援を国連事務総長により限定的に要請された。国内避難民とは国境を越えていな

いことから、国際条約で難民として保護されることがない。しかし、難民と国内避難民

の苦境は同質であることが多く、共通の支援対策を執ることが最も現実的であることも

多い。これは国内避難民が帰還する難民と地理的に同じ場所にいて、両方が同じ支援の必

要性に直面するような帰還事業において、特に顕著であり、2005年に国連とその専門機

21

Page 22: sdmogikoku.sakura.ne.jpsdmogikoku.sakura.ne.jp/26_kouki_BG.docx  · Web viewその他、申請者には「庇護申請給付法」が適応され、14歳以上には月額40ユーロ(約6,520円)14歳未満には20ユーロ(約3,260

関は、国内避難民の問題を打開するため協調性と統一性を確保することを合意した。この

新たな「協調的なアプローチ」のもと、UNHCRは国内避難民の保護や緊急シェルター支

援、およびキャンプの調整運営を担う。UNHCRは 1970年代以降、30以上の国内避難

民支援事業に参加している。活動地域は、ティモール、スリランカ、ウガンダ、コンゴ

民主共和国、コロンビア、アフガニスタンなどをはじめ、最近ではスーダンのダルフー

ル地方にて支援活動を実施している。現在、UNHCRは世界中で約 1547万人の国内避難

民を支援している。

○国連難民基金(UNREF) 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が財政問題に直面した際、1954年の総会決議で創設されたもの。創設時は「国連難民緊急基金」という名称であったが、後に「国連難

民基金(UNREF:United Naitions Refugee Fund)」として知られるようになる。 当初国連は、UNHCRに対し、わずかに事務所の管理行政費を国連予算として認めるの

みであり、難民高等弁務官は各国政府や世論に資金的懇請を行えないこととなっていた。

UNHCRが追加的な行動をするためには総会の決議を経ることが必要であった。

しかし、難民問題解決のためには「法的保護のみならず、物質的援助の継続も重要であ

ること」、「地理的に重い負担を強いられている国が存在し、援助が必要であること」

の認識が世界に広まり、UNREFの創設が認められるに至った。これにより難民問題解決

に際し各国政府に懇請し、資金を得ることができるようになった。

 また、1957年には 50万ドル弱の「緊急基金」が創設され、難民高等弁務官に柔軟な

権限が与えられた。これにより緊急事態に際し、わざわざ総会を介して基金の懇請を行

う必要がなくなり緊急事態に迅速に資金を工面できるようになった。

.

○国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)国連パレスチナ難民救済事業機関(UNREF:United Nations Relief and Works

Agency for Palestine Refugees in the Near East)は、パレスチナ難民のための救済

事業を行うことを目的に、1949年に総会によって設立され、1950年 5 月に活動を開始

した。パレスチナ難民問題の合意による解決が未だに見られないことから、その活動期

限は定期的に更新されている。UNRWAは、中東に住む 480万人の登録パレスチナ難民

に教育、保健、救済、社会福祉など、主に基礎的なサービスを提供している。その中には

ヨルダン、レバノン、シリア、それにガザ地区と東エルサレムを含む西岸にある 58 カ所

の難民キャンプに住むおよそ 140万人の難民が含まれる。公式に指定されたキャンプ地

の中で小規模金融を運営し、インフラ整備を行っている。UNRWAは、2000年以来、現

22

Page 23: sdmogikoku.sakura.ne.jpsdmogikoku.sakura.ne.jp/26_kouki_BG.docx  · Web viewその他、申請者には「庇護申請給付法」が適応され、14歳以上には月額40ユーロ(約6,520円)14歳未満には20ユーロ(約3,260

在の危機がガザや西岸に住むもっとも脆弱な難民に与える影響を軽減するために、緊急

人道援助を行っている。また、2006年以来レバノンで紛争の影響を受けた難民の緊急の

ニーズにも対応している。

UNRWAの活動は、ガザとヨルダンのアンマンにある 2つの本部から支援を受ける。

事務局長は総会へ直接報告し、23 カ国からなる諮問委員会の支援を受ける。諮問員会は

オーストラリア、ベルギー、カナダ、デンマーク、エジプト、フィンランド、フランス、

ドイツ、アイルランド、イタリア、日本、ヨルダン、レバノン、オランダ、ノルウェー、

サウジアラビア、スペイン、スウェーデン、スイス、シリア、トルコ、イギリス、アメ

リカから構成される。欧州共同体、アラブ連盟、パレスチナ解放機関(PLO)はオブザー

バーとして出席する。UNRWAの通常の、また緊急の活動はほとんどすべて援助国の任意

の拠出によってまかなわれる。現在の 2年間の予算請求額のおよそ 2.5 パーセントが国

連の通常予算から割り当てられる。ほとんどの拠出は現金で行われるが、5 パーセントは

物資で行われ、ほとんどが難民のための食糧である。

○国連人道問題調整事務所(OCHA)国連人道問題調整事務所 (OCHA:Office for the Coordination of Humanitarian

Affairs ) は、国連事務総長が直接率いる国連事務局の一部として、自然災害や紛争など

により、最も弱い立場におかれている人々の、いのちと尊厳を守るため、国連総会決議

46/182によって設立された。

「Coordination Saves Lives-コーディネーションでいのちを救う」をモットーに、各

国政府や他の国連機関、赤十字、そして国際 NGO等と連携し、緊急・人道支援活動の具

体的調整、必要な資源の動員、円滑かつ効果的に支援活動を進めるためのコミュニケー

ションと情報管理、啓発・理解促進、そして国際的な人道課題に関する政策形成を担って

いる。

OCHA自体が支援物資を配給や医療などのサービスを提供することはないが、支援を

必要とする国毎に様々な人道ニーズやプライオリティを把握し、包括的かつ戦略的な対応

計画を取りまとめる作業を担当している。加えて世界各地の最新の人道状況を報告するこ

とで最善の情報を行き渡せ、被災者自身も含め、皆がベストの意思決定が出来るようサ

ポートする。

  一方で、国内で避難を余儀なくされている人々や、戦火に巻き込まれた一般市民を護

るため、声なき声の代弁者となることも OCHAの使命である。人道性、中立性、公平性

そして独立性という人道原則を護持し、時に困難な状況にあっても、国際人道コミュニ

ティーの中で決断力、リーダーシップを発揮し、必要な説明責任を果たしていくことも

求められている。

23

Page 24: sdmogikoku.sakura.ne.jpsdmogikoku.sakura.ne.jp/26_kouki_BG.docx  · Web viewその他、申請者には「庇護申請給付法」が適応され、14歳以上には月額40ユーロ(約6,520円)14歳未満には20ユーロ(約3,260

OCHAの本部はニューヨークとジュネーブに置かれているが、2013年現在 50箇所以上の現地事務所で約 2,000名のスタッフが現地に根ざした活動を展開する。また、

OCHAの活動資金は約 95%が任意拠出金に依存している。

○国際移住帰還(IOM)国際移住機関(IOM:International Organization for Migration)は、世界的な人の

移動(移住)の問題を専門に扱う独立した国際機関である。 IOMの前身は、1951年に主として欧州からラテンアメリカ諸国への移住を支援するため設立された欧州移住政府間

委員会(ICEM)である。この欧州移住政府間委員会は、その活動範囲を当初の欧州・ラ

テンアメリカから徐々に世界各国へと拡大し、1980年には移住政府間委員会(ICM)へ

の名称変更がなされ、更に 1989年 11 月の憲章改正を経て現在に至り、本部は、ジュ

ネーブに置かれている。

IOMは世界各地で、紛争や自然災害、あるいは気候変動によって引き起こされる人の

移動(非自発的移住)に対応する支援活動を実施する。紛争や災害後の緊急フェーズでは

避難民の登録、援助物資の輸送や避難民の移送、医療機関への患者の移送、仮設住居の提

供などが活動の中心であり、復興への移行期には、避難民の帰還と生計手段の回復を中心

に、紛争や災害の影響を受けた地域の再生と安定を支援する。紛争や災害に限らず、困難

な状況にある移民に対して、希望に応じた母国帰還やその後の生活再建のための人道支援

も行う。

○赤十字国際連合(ICRC)赤十字国際委員会(ICRC: International Committee of the Red Cross)は、1863年に創設され、戦争や武力紛争の犠牲を強いられた人々に対して人道的保護と支援を行う、公

平にして中立、かつ独立した機関で、本部はスイスのジュネーブにある。

ICRCは紛争の際に、各国赤十字社・赤新月社、国際赤十字・赤新月社連盟との連絡調整

を行う。 また、国際社会から法的な権限を与えられている。その権限は次の条約と規約

に基づいている。一つは 1949年のジュネーブ諸条約であり、ICRCは武力紛争中に、捕

虜を訪問すること、救援活動を行うこと、家族の再統合をはかることなどの人道的活動を

行う永久的な権利を認められている。 また、国際赤十字・赤新月運動規約は、ジュネー

ブ諸条約が適用されない国内紛争でも ICRCが同様の活動を行えることを認めている。運

動規約は赤十字・赤新月国際会議によって採択される。この国際会議は4年ごとにジュ

ネーブ条約締結国によって開かれ、規約には準法的地位が付加される

24

Page 25: sdmogikoku.sakura.ne.jpsdmogikoku.sakura.ne.jp/26_kouki_BG.docx  · Web viewその他、申請者には「庇護申請給付法」が適応され、14歳以上には月額40ユーロ(約6,520円)14歳未満には20ユーロ(約3,260

第二部 論点編

第一章 恒久的解決のために国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の統計によると、2013年末の時点で、世界の難民・国内避難民の数は約 5120万人に上った。第二次世界大戦以降、5000万人を超えるのは初めてのことである。

難民問題の恒久的解決策とされているものには、自発的帰還、第一次庇護国定住、第三

国定住の3つがある。これらの解決策は、それぞれに優劣があるわけではなく、難民や

その出身国、および庇護国の状況などを鑑みて、最も適切と思われるものが選択される

必要がある。

第一節 自発的帰還

多くの難民にとって、出身国への帰還が一番の望みであることは言うまでもない。

2011年に自発的帰還をした難民は推定 53万人、過去 10年では推定 910万人にも及ぶ。しかしながら、現在存在する難民の出身国は、アフガニスタンやシリア、ソマリアなど、

今なお激しい紛争が続く地域が多く、難民たちが帰還するのに適した状況に改善される

までには長い時間がかかることが予想される。というのも、一時的に帰還が可能な状態

となっても、再び紛争などで出身国を追われることになるようでは、適切に帰還が果た

されたとは言えないからである。恒久的解決策としての自発的帰還を実現するためには

帰還が持続可能なものとなることが絶対条件である。

 難民の帰還を持続的なものにするためには、安全と尊厳の下で、難民が自発的に帰還を

果たす必要がある。安全の下での帰還とは、法的安全(恩赦や身の安全、統一された運用

差別がないこと、帰還時に迫害や刑罰を受ける恐怖からの解放に対する公的保証)、身体

的安全(武力攻撃からの保護、地雷のない帰還ルート、少なくとも自分の領域がはっきり

と区画されている定住地など)、物質的安全(土地・生計を立てる手段へのアクセスな

ど)の条件が満たされている状況で行われる帰還のことを指す。尊厳の下での帰還とは、

虐待を受けない、恣意的に家族と切り離されないなど、難民が完全に自らの権利を回復さ

せた状態での帰還を指す。これらの二つを満たしたうえで、難民が自身の意思で帰還を

果たすことが、持続的な帰還には不可欠である。難民の自由意思による帰還の尊重は、難

民条約 33 条において所謂 ノン・ルフールマンの原則 として定められている。「 」 上記の条件を満たし、帰還を持続的なものにするためには、難民の出身国や庇護国、そ

して難民に対する国際的な支援が不可欠である。具体的には、紛争の解決に向けた和平交

渉の促進、恩赦や人権保障などによる法的安全の確保、難民に出身国の情報を与え、自主

帰還を推奨するなど、様々な形での支援が考えられる。

25

Page 26: sdmogikoku.sakura.ne.jpsdmogikoku.sakura.ne.jp/26_kouki_BG.docx  · Web viewその他、申請者には「庇護申請給付法」が適応され、14歳以上には月額40ユーロ(約6,520円)14歳未満には20ユーロ(約3,260

 第二節 第一次庇護国定住 難民の中には、出身国への帰還を夢見つつも、終わる見込みがない紛争、帰還後に再び

迫害を受けることへの恐れなどが要因となり、長期に亘り庇護国での生活を続けている

人々が少なくない。また、庇護国で生まれた難民は、両親の出身国とは何らの繋がりを持

たないため、無国籍者として扱われる危険性がある。国籍はいわば「権利のための権

利」であり、国籍がなければそもそもの人権保障が受けられない。そんな難民たちに開

かれているのが、第一次庇護国定住の道である。

 第一次庇護国定住は、難民の庇護国での永住権取得、または帰化に向けた法的・経済

的・社会文化的プロセスである。法的側面とは、難民が永住権取得や帰化に繋がるような

国民が受けているのと同様の権利を与えられることである。経済的側面とは、難民が庇

護国あるいは人道団体からの支援に依存せず、独立して経済活動が行えるようになるこ

とである。また、社会文化的側面とは、難民が庇護国住民との交流を通して、自らの文化

を保持したままに、差別や敵意を受けずに生活できるということを指す。庇護国からの

合意の上にこれらが達成されて初めて、第一次庇護国定住が果たされたと言うことが出

来る。UNHCRの概算では、過去 10年間でおよそ 1100万人の難民が第一次庇護国定住

を果たした。

 しかしながら、第一次庇護国定住を望む全ての難民がそれを実現できるわけではない。

第一次庇護国定住の前提条件として、庇護国による正式な難民認定を受けていること、難

民が庇護国において自立して生活していけるような支援があることが挙げられる。現在

世界には、難民条約の定義にあてはまる所謂「条約難民」ではないが、実質的に難民と同

等の生活を送っている人々が数多く存在する。庇護国において難民認定を受けられなけ

れば、当然その庇護国からは永住権の取得および帰化の権利を受けることは困難となる。

難民条約の採択から半世紀以上経った今、難民の定義について見直し、より実質に見合っ

た難民認定が行われるようにならなければならない。

 第一次庇護国定住には他にも大きな問題がある。すなわち、往々にして庇護国も難民の

出身国同様に発展途上国であるということである。現在多くの難民が発生しているのは

中央アジアやアフリカなど、発展途上国が多い地域であり、その上難民の多くは出身国

の隣国へ庇護を求めて移動する。そのため、難民が多く流入してくる発展途上国は重い経

済的負担を負うこととなる。

また、安全保障上の問題も生じる。難民の発生要因は紛争や政治混乱であることが多い

が、難民とともにそうした事情が流入し、一次庇護国が問題に巻き込まれることもある。

例えば、難民自身が混乱の当事者ならば一次庇護国と出身国との間に緊張関係が生じる。

こうした緊張は冷戦下では顕著であった。近年の小型武器の蔓延や紛争の泥沼化は、難民

と兵士の境界を不明瞭にし、難民の越境が紛争の越境となる懸念を大きくした。さらに、

26

Page 27: sdmogikoku.sakura.ne.jpsdmogikoku.sakura.ne.jp/26_kouki_BG.docx  · Web viewその他、申請者には「庇護申請給付法」が適応され、14歳以上には月額40ユーロ(約6,520円)14歳未満には20ユーロ(約3,260

移動した難民と庇護国住民との間に軋轢が生じ、治安が不安定化する懸念もある。 

地理的隣接関係により、難民受け入れを拒否できない一次庇護国は、難民を隔離するな

どして自国の安全保障を行おうとするが、これは難民個人の権利を認めないことでもあ

り、人権上問題がある。

以上のような理由により、一次庇護国では難民との関わりの度合いを下げるため、恒久

的解決にならない「一時定住」を好む傾向にあるのが現状である。

この他にも一次庇護国には様々な懸念がある。(※4)この状況を打開するためには、

次節で解説する第三国定住が推し進められる必要があるだろう。

※4難民受け入れ・定住に伴う、庇護国の懸念

①難民の政治的動機の支援になる 難民の定住容認は難民たる原因への政治的支援となる。難民が独立を要求すれば送出国から避難され、自発的帰還が困難になる。②自国の受け入れ能力に比べて難民の規模が大きすぎる。③ 定住はプル要因となる 一度定住を認めると、他の難民の逃亡を勇気づけることになり、②の問題が生じる。④ 困窮する自国民より難民の保護を優先することへの疑問。⑤財政支出の困難⑥自国の開発への影響 自国とは場違いなニーズを持つ難民は、開発計画の優先順位を狂わせる。⑦先進国への疑念 一次庇護国定住により、難民問題を解決させようとすることは、先進国が自国の難民援助の経費を削減したいためではないか。(現にww2時の比較的軽い難民の負担さえも、欧州国家は同化・統合を拒否し、海外定住という形での解決に任せ、自分たちは責任を負わなかった。)

小泉康一 著「『難民』とは何か」より三一書房(1998年)p120 表(一部省略・追加)

第三節 第三国定住

 出身国への帰還も第一次庇護国定住も不可能、あるいは望まない難民は、第三国定住を

選択することができる。第三国定住は、国際連帯が目に見える形で表れたものであり、

各国がお互いの責任を共有するのに役立ち、第一次庇護国への影響を小さくすることが

できると考えられる。

 第三国定住を行うための前提条件として、「UNHCRによる難民認定を受けていて、か

つ他の恒久的解決策が実現され得ない」ということが要求される。その他にも、「法的・

身体的保護、拷問・暴力からの保護、医療、年齢・性別により危機に瀕する可能性があ

る」ことなどを、UNHCRでは第三国定住が行われるための条件として設定している。

 第三国定住は難民問題を解決するための非常に有力な手段であることは間違いない。し

27

Page 28: sdmogikoku.sakura.ne.jpsdmogikoku.sakura.ne.jp/26_kouki_BG.docx  · Web viewその他、申請者には「庇護申請給付法」が適応され、14歳以上には月額40ユーロ(約6,520円)14歳未満には20ユーロ(約3,260

かしながら、現在第三国として難民を受け入れている国は僅か 21ヶ国に留まり、その受け入れ認定基準も厳しい。2011年にUNHCRが各国に向けて難民受け入れの検討を仰ぐ

べく提出した難民の候補も、およそ 92000人と、難民全体の 1 パーセントにすぎない。

これはやはり、難民の受け入れに積極的な先進国が少ないということが最も大きな要因

だろう。また、現在受け入れをしている国も、受け入れ枠をもっと拡大する必要がある

と言えよう。

 そうは言っても、難民の受け入れというのは受け入れ国側にとっても容易なことでは

ない。自国とは文化・言語・宗教が全く異なる人々を大量に受け入れれば、自国民との軋

轢も生じ得るであろうし、受け入れた難民たちが自国に適応できるような支援をする必

要も出てくる。現在主に受け入れをしている欧米諸国においては、これらの支援に加え、

難民たちに自国民と同様の権利を与えるということが行われているようであるが、こら

から新たに受け入れ国となる国々もそのようなフォローが出来なければ、新たな人生を

始めるために移住してきた難民たちを再び苦しめるような事態にもなりかねない。出身

国を離れるという大きな決断をした難民たちがよりよい人生を送ることができるために

は、UNHCRを主体として、各国が協力体制を築き、難民問題の解決に向けて積極的に取

り組むことが不可欠ではないだろうか。

  

一方で、送出国自体にとって難民保護は必ずしもありがたいものではない。1970年代末には、アフガニスタンはパキスタンに亡命した「反徒」に UNHCRが援助することについて苦言を呈した。アフガニスタン政府に対して攻撃を行う人々へ援助することは難

民条約、国連憲章と矛盾すると彼らは考える。同じくソマリアに流入したエチオピア難

民への援助に関して、エチオピア政府は政府へ砲撃を行う破壊者や、単なる遊牧民を都合

よく難民として援助すべきでないと主張する。

最近では中国が、ネパールに逃亡するチベット難民に対し、ネパール政府が保護を行

うことに対し圧力を与えている。それに関して、今年 2014年 4 月に国際人権団体ヒュー

マン・ライツ・ウオッチ(HRW)が報告書を出している。

HRWのブラッド・アダムスアジア担当部長は、「ネパールは自国が負う法的義務に反

し…中国の圧力に屈し、国境を越えてくるチベット人の受け入れを制限している。さら

に、すでに国内にいる難民の行動への取り締まりを強化している」と指摘する。

 このように送出国側は、自国からの難民が保護されることに関して全面的に肯定する

ことは出来ない。この送出国側からの視点も視野に入れながらも、人権侵害行為などの難

民送出原因を防ぐよう働きかけることが、保護を行う各国や国際機関に求められること

である。

第二章 「難民」の定義

28

Page 29: sdmogikoku.sakura.ne.jpsdmogikoku.sakura.ne.jp/26_kouki_BG.docx  · Web viewその他、申請者には「庇護申請給付法」が適応され、14歳以上には月額40ユーロ(約6,520円)14歳未満には20ユーロ(約3,260

 *「知識編第一章○難民とは」の項目も参照のこと

1951年難民条約の第 1 条で、難民とは「人種、宗教、国籍もしくは特定の社会的集団

の構成員であることまたは政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に

理由のある恐怖を有するために、国籍国の外にいる者であって、その国籍国の保護を受

けられない者またはそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望

まない者」と定義されている。しかし、60年以上前の条約による定義が、今日の保護を

必要とする人々をカバー出来ているとは必ずしも言えない。

 例として、いわゆる「国内避難民」の保護の問題が上げられる。国内避難民は基本的に

難民条約による保護の対象にはならない。「国内避難民」とは、様々な理由により移動を

余儀なくされながらも、「国境線を超えなかった人々」のことである。

国境を越えた避難者達は、難民であると認定されれば第二の国で安全に暮らすことが

でき、さらに明確な国際法や条約によって保護される。

一方で、国内避難民の場合、避難先でも同じ国の国民であり続けるため、主権国家であ

る出身国政府に支援の責任が存在する。国内避難民を生み出すような国家は、紛争や災害

などにより政府に国内の人々を保護する能力が、著しく低下した状態にあるため、適当

な保護が受けられない。さらに「当該国政府自体が、国内避難民を生み出す行動をしてい

る」、または「国内避難民への支援をしようとしない」というケースもある。このよう

な場合は、国際人権法、国際人道法が保護の根拠であるが、当該国が国際法を尊重しない

可能性が高く、保護・支援をすることが出来ない。

現在、国内避難民は一応 UNHCRによる援助の対象となってはいる。しかし、これは国際的な法源を持たず、さらには国内避難民と認定し、国際機関や各国が対応を行う上での

明確な定義が存在しないということは、知識編で述べた通りである。

いかなる国連機関も法的根拠を持って、単独で国内避難民を保護・支援する任務も資源

も持たない。そのため、機関間常設委員会(ISAC)は、2005年に、それぞれの機関が人道危機に応えて資源をプールする協働モデルを開発した。機関間常設委員会には、 常設メ•ン バ ー と し て , FAO , OCHA , UNDP , UNFPA , UN-HABITAT,UNHCR , UNICEF , WFP , WHO が 参 加 し , そ の 他 ,

ICRC , ICVA ( International Council of Voluntary Agencies ) , IFRC , Inter Action,IOM,OHCHR,World Bankなど国内外の人道支援関連機関が参加している。

このように国内避難民を保護・支援するために対策が練られているが、そもそも国内避

難民の定義を国際的に明確化し、彼らを保護する単独の機関を設立することが、抜本的解

決となるのは事実である。また、難民条約に関しても国内避難民も難民と同様な扱いを受

けることを明記した条項を設けるように改正すべきという見解もある。

 経済難民についても議論がある。経済難民とは、1970年代から 80年代にかけて国内

29

Page 30: sdmogikoku.sakura.ne.jpsdmogikoku.sakura.ne.jp/26_kouki_BG.docx  · Web viewその他、申請者には「庇護申請給付法」が適応され、14歳以上には月額40ユーロ(約6,520円)14歳未満には20ユーロ(約3,260

での経済的不満や生活困窮,さらには深刻な飢餓から逃れるために、主として第三世界か

ら先進諸国に脱出する人々のことである。経済難民は、難民条約によって保護の対象と

なっている「条約難民」ではなく、難民として認定されることは難しいのが現状である。

今日、条約によって保護の対象となっている「政治難民」と「経済難民」の区別はます

ます難しいものになっている。経済難民であるにも関わらず、政治難民を称して違法に

保護を受けようとする者たちが後を絶たない。条約上保護が必要とされる真の難民を一

次庇護国・第三国が受け入れる上で、障害となるのはこの「偽装難民」の存在である。

20世紀末にはボート・ピープルと呼ばれる出稼ぎ目的のインドシナ難民たちが偽装難民

にあたり、問題となっていた。

 難民と認定されるためには、難民認定申請をしなければならないが、このような庇護

申請者は、条約による保護の対象にならない。

これまで述べたように偽装難民や自国の安全保障上の問題のため、難民認定審査には厳

格性が要される。条約により、「保護」と「援助」を与えねばならない難民は、一次庇護

国・第三国といった受け入れ国にとっては負担でしかなく、大量の「難民を自称するも

の」をそのまま受け入れては、自国の援助力の限界を迎えてしまう。これを防ぐため、

条約を字義通り受け取り、難民受け入れに関して抑制的政策に出る。厳しい認定基準を設

け、「偽装難民」を真の難民と峻別し、自国の受け入れ難民数を制限しなければならない。

この審査の精微性のため、庇護申請者の身分が確定するまでは長期間を要する。例えば

日本では審査に半年から一年もの時間がかかる。そのため長期に亘り、庇護申請者は適法

に働くことが出来ず、難民に与えられる援助を受けられないでいる。

 

難民と認定された者であっても、保護が完全では無いという現状がある。保護の状況

は難民が逃れた国によって大きな格差が生じる。2011年現在、UNCHR 統計報告では、

難民の 80%を途上国が受け入れているというデータがある。先進国の中では、難民に対

する批判的感情が高まっており、国際支援において深刻な偏りが出ている。経済的・社会

的に発展していない国に、難民の受け入れというさらなる負担がかかっているのが現状

である。最も難民を受け入れているパキスタンでは 190万人の難民が受け入れられてお

り、一人当たり実質国内総生産(GDP)1米ドルに対し、難民 710人を受け入れている一方、

先進国の中で最も多く難民を受け入れているドイツでは、59万 4000人の難民が受け入

れられているが、1人当たり実質GDP1米ドルに対し 17人である。また、一次庇護国たる途上国は送出国と地理的隣接のため受け入れに選択の余地がない

国である。そのため、自国の安全保障上難民居住地を制限し、行動の自由を奪わねばなら

ない。一次庇護国ではこのように「難民」は保護するが、難民たる個人の権利は認めない。

一方で、第三国たる先進国では、難民は国内で自由に居住することが出来る。

途上国へ逃れた難民の多くは、難民キャンプで生活している。難民キャンプでの生活

30

Page 31: sdmogikoku.sakura.ne.jpsdmogikoku.sakura.ne.jp/26_kouki_BG.docx  · Web viewその他、申請者には「庇護申請給付法」が適応され、14歳以上には月額40ユーロ(約6,520円)14歳未満には20ユーロ(約3,260

は、最低限の衣食住と安全を保障してくれる場所ではあるが、衛生状態の悪さによる伝染

病の蔓延や満足な教育が受けられないことなど様々な問題がある。

以上のことから分かるように、先進国と途上国では難民保護の実情に落差が生じている。

保護を必要としながらも、難民として支援の対象となることが出来ない人々がいる一方、

「難民」の定義に当てはまる人々でも、全員平等な保護を受けられている訳ではないの

である。

第三章 難民の支援多くの難民を受け入れている一次庇護国は、送出国の隣にあることが多く、大部分は開

発途上国である。現在、世界の 5 分の 4の難民を開発途上国が受け入れていると言われて

おり、経済的・社会的に発展していない国に、難民の受け入れという更なる負担がか

かっているのが現状である。また、大量の難民流入によって経済的、社会的、あるいは

政治的不安定を抑えることが困難となる場合も考えられる。

そこで、先進国には一次庇護国へのインフラ整備や生活維持費等の技術的・金銭的支援

をすることにより難民の生命身体の保護に貢献することが求められる。 

難民が直面する安全上の問題には様々な形態がある。社会的、文化的な構造や規範の崩

壊、家族構成員や共同体の支援体制からの離脱とその喪失、そして犯罪と暴力の加害者の

不処罰は、難民、特に女性と子どもをとりわけ弱い立場にするものである。難民女性と子

どもは強姦、誘拐、人身取引、保護・証明書・支援を引き換えにした性的な行為の要求な

ど、特殊な虐待を受けることが往々にしてある。難民の子ども、特に少女については性

的搾取、暴行または虐待を受ける危険性がさらに高い。難民キャンプが武力紛争の近隣地

域にある場合には、青少年を含む子どもの難民は、しばしば武装集団や国の軍隊の強制的

な徴集の対象になりやすい。流入する難民の集団、難民キャンプ、難民居住地域における

武装分子の混在は、上記の問題を悪化させ、さらに難民、受け入れ国そして受け入れ社会

に とって深刻な安全上の問題を作り出す。難民、難民キャンプそして難民受け入れ地域

の安全を確保し、さらに庇護の文民敵性格を維持するために、各国としては、技術的な支

援と資源の充当を必要とする。

しかしながら、難民を「患者」のように扱い、保護し身の回りの世話をするのみでは、

難民の自立を妨げる。「難民援助は、社会の不正義による犠牲者を人間社会も正規の一員

へと回復させる人道援助である。」という視点が重要である。故に仕事や農業計画を通じ、

難民が自給できるよう支援する必要がある。だが、これには(1)庇護国への同化を進行

させ、自発的帰還を妨げる、(2)職と耕地が十分に無い、という問題がある。(1)は余所者には早く祖国へ帰ってもらいたいという庇護国の思惑が関係し、(2)は一次庇護

国の大部分が途上国である故の根本的な問題である。

31

Page 32: sdmogikoku.sakura.ne.jpsdmogikoku.sakura.ne.jp/26_kouki_BG.docx  · Web viewその他、申請者には「庇護申請給付法」が適応され、14歳以上には月額40ユーロ(約6,520円)14歳未満には20ユーロ(約3,260

 UNHCRは第三国定住を受け入れる国の数を増やし、第三国定住をさらに効果的・計画

的に利用し、より多くの難民がその利益を享受できるようにすることにより、難民の保

護の強化に努めるとしている。しかし、最新のテクノロジーに触れることや都市化・工

業化の影響を目の当たりにする機会が限られていただろう難民が、先進国に適応するの

は非常に困難である。自国より大幅に先進的な異国で生活することになるため、住いの

確保や公共交通機関の利用法から、馴染みのない複雑な教育制度、所得補助制度、保健制

度を的確に利用する方法まで、多くの知識を提供する必要がある。また、言語の習得にも

努めなければならない。

さらに、受け入れ先では少数派となる難民は、帰属感やアイデンティティ確立の面で

も課題に直面する。受け入れ国での理解が得られず、場合によっては強い差別や敵意の対

象となり、難民の身体的安全感や自己肯定感がさらにダメージを受けかねない。これは、

文化的・宗教的慣行の違いや人種的特徴がはっきりしている第三国定住難民にとっては大

きな問題となる可能性がある。そうした精神的問題に関してのサポートも難民問題に対

する上での重要事項である。

第三部 各国編

・アフガニスタン

 アフガン難民は世界で最も長期化している難民問題の一つである。タリバン政権の圧

政と数年にわたる干ばつが重なり、最も多い時で 600万人以上のアフガン人がパキスタ

ンやイランに避難し、難民となった。2001年の同時多発テロを契機に、英米軍によるア

フガニスタンへの攻撃によりタリバン政権が崩壊した後、治安が回復しつつある地域へ

のアフガン難民の帰還が始まった。2002年からの 10年間で国連年民高等弁務官事務所(UNHCR)などの支援により、570万人以上のアフガン難民がアフガニスタンに帰還した。

しかし、そのうち、約 6割が帰還後も生活再建上の困難から脱却できずにいる。イラン

とパキスタンには、帰還できないアフガン難民が約 256万人滞在している。

包括的、地域的なアフガン難民問題の取り組みが実現しなければ、今後さらなる難民の増

加や治安の悪化につながる危険性がある。こうした現状の打開を目指し、アフガニスタ

ン、イラン、パキスタン 3か国政府とUNHCRは、2012年 5 月にアフガン難民の戦略的

解決へ向けた国際会議を開催。国ごとの枠を超えた連携に焦点を当てた複数年(2012~2014)の地域戦略の採択に合意した。この地域戦略は自主的帰還の原則を踏まえ、アフガ

ニスタンにおける持続可能な再統合、さらに難民受注国であるパキスタンとイランへの

支援の重要性に焦点を当てている。

32

Page 33: sdmogikoku.sakura.ne.jpsdmogikoku.sakura.ne.jp/26_kouki_BG.docx  · Web viewその他、申請者には「庇護申請給付法」が適応され、14歳以上には月額40ユーロ(約6,520円)14歳未満には20ユーロ(約3,260

・オーストラリア

 オーストラリアには、スリランカからの難民が庇護を求めてやってくる。かつては難

民認定を自国で行わずに、領土であるナウル共和国やパプアニューギニアで行っていた

が、その一種の隔離政策は収容状況の酷さから国際非難に会い、2007年に第一次ラッド

政権によって廃止が決定された。しかし昨年、ラッド首相は、就任 3週間目に、「今、こ

の時点からオーストラリアにボートで到着した庇護希望者には、難民としてオーストラ

リアに定住する機会はない」と明言した。難民を受け入れない姿勢は、国際社会の非難を

よそに現アボット政権にも受け継がれている。しかし、オーストラリアは難民条約とそ

れを補完する議定書に加入しているため、難民保護は義務として遂行される必要がある。

・バングラデシュ

 バングラデシュは,当初,難民の流出国であったが,後に難民の受入国になるという

経緯を持つ。ミャンマー北部のラカイン州に住むロヒンギャ系住民(世界の難民総数に比

すれば少数だが,地理的類似性及び信仰を同じくするにもかかわらずバングラデシュに

融合することのない人々)は、ミャンマーでの政治的迫害が原因で 1948年からバングラ

デシュに難民として流入し続けている。

バングラデシュは、ロヒンギャ系住民の難民 2万 8千人を、コックスバザール地区に

位置するキャンプ 2か所で受け入れている。1991~1992年には約 25万人のロヒン

ギャ系住民がバングラデシュに流入しており、現在残っているのはこのうちの一部の

人々である。しかし、その他にも未登録の難民は約2 0万人いるといわれており、合法

的身分を持たずに国内で暮らしている。かつてバングラデシュ政府は、彼らの職業従事

を禁じていたが、次第に寛容になり、2007年、キャンプ内のシェルター建設に難民が従

事する許可をした。しかし、依然として難民の大半は外部からの援助に頼って生活して

いる。

・ボスニア・ヘルツェゴビナ

 ボスニア・ヘルツェゴビナは、旧ユーゴスラヴィア連邦を構成した共和国の一つで

あったが、1992年に同共和国内の独立をめぐって民族間で紛争が勃発し、1995年 12月にデイトン和平合意が成立するまで、各民族間による戦闘が繰り広げられ、死者 20万人、難民・避難民 200万人が出た。現在、クロアティア、セルビア、モンテネグロといった西バルカン諸国とともに、か

つての民族紛争によって難民生活を送っている人々を、再び紛争が起きないようそれぞ

れの民族ごとにうまく地域を振り分けつつ再居住させようと模索している。クロアティ

33

Page 34: sdmogikoku.sakura.ne.jpsdmogikoku.sakura.ne.jp/26_kouki_BG.docx  · Web viewその他、申請者には「庇護申請給付法」が適応され、14歳以上には月額40ユーロ(約6,520円)14歳未満には20ユーロ(約3,260

アからの難民約 6,000人が避難生活を続けているが、法的な制約から受け入れ先地域で

の定住は進んでいない。ボスニアが送出している難民の数は 2014年 1 月現在 26,800人ほどであり、10万人が国内避難民として生活を続け故郷に帰還することができず、うち

7,000人がいまだ集合住宅センターに身を寄せている。

・ブラジル

ブラジルでは、法務省の国家難民審議会のデータによると 2014年 5 月現在で、79ヶ国からの 5208人の難民がおり、そのうち最も多いのはコロンビア人で、1154人いる。また、国内での難民申請はこの数年で急激に増えていて、2010年度は 566 件(受理件数

126 件)だったが、2013年度は 5256 件(受理件数 649 件)と 10倍近くになり、申請を受

理された件数が認められなかった件数を初めて超えた。この難民急増は中東、アフリカ、

南米大陸の各地で起きている政治不安、世界におけるブラジルの存在感の高まりが原因と

考えられている。

ブラジルは 1951年に採択された国際条約「難民の地位に関する条約」に、1997年に加入した。「第三国定住」も受け入れている。コロンビア人難民を受け入れているのは、

隣国エクアドルで難民として生活している 5万 5千人以上のコロンビア人の第三国定住

を受け入れることで、エクアドルに協力することを目的としている。

・ブルガリア

 現在の難民の数はおよそ 4300人、庇護申請者は 4600人であり、受け入れ難民の数は

あまり多くない。近年、シリア内戦で急増する難民の受け入れ問題が深刻さを増してい

て、トルコなど周辺国の受け入れは限界に近い。難民らは欧州に期待し、その最東端のブ

ルガリアへとさらに国境を越えが、経済危機に苦しむ同国は対応しきれず、国境警備を

強化し始めた。2013年にUNHCRはブルガリアの急増するシリア難民を支援するプロ

グラム(不法移民数の減少,ブルガリア国民の安全の保障,庇護申請者のための施設での

秩序,治安,人間的な生活条件の保障,ブルガリア領域における難民数の減少,難民の自

活及び効率的でやかな統合,難民問題を解決するための追加的な外部財源の確保,社会と

の効果的な対話の7つの目的を掲げている。また,国境管理を強化し,内務省の1,40

0名以上の職員が管理にあたること,難民の権利のない不法移民の国外追放を迅に行うこ

と,閉鎖式の収容施設を建設すること,難民申請手続の進行をより迅に行うこと等の政策

も含まれている)を発表している。

・カナダ

34

Page 35: sdmogikoku.sakura.ne.jpsdmogikoku.sakura.ne.jp/26_kouki_BG.docx  · Web viewその他、申請者には「庇護申請給付法」が適応され、14歳以上には月額40ユーロ(約6,520円)14歳未満には20ユーロ(約3,260

難民受け入れ認定数は年間でおよそ 160,00人であり、庇護申請者はおよそ 22,000人で、受け入れ難民の数は世界的にも多いほうである。政府は、難民を受け入れる際、定住

開始から 3年から 5年以内に自立できると思われる人を受け入れており、定住のための

プログラムも 3年から 5年以内の自立を目標としたものが組まれている。このプログラ

ムは移民・難民共に分け隔てがない。受け入れられた難民は、連邦政府により各州に割り

振られるが、ケベック州に関しては、連邦政府と独自の取り決めがあり、難民を振り分

ける際にも、受け入れる難民を選ぶ権限等が与えられている。

・チャド

  難民の数はおよそ 430,000人であり、庇護申請者はおよそ 300人である。受け入れ

難民の数はかなり多く、人口当たりの数を考えても、世界的にとても多くなっている。

2003年から続くダルフールの人道危機に対し、国際社会は、武装勢力とスーダン政府の

和平交渉を後押しし、アフリカ連合軍は治安維持活動を続けてきた。このような努力にも

かかわらず、村の襲撃・略奪事件は後を絶たず、治安は一向に回復せず、民兵の襲撃によ

り殺害された人の数は数十万人に上ると言われている。ダルフールからチャド東部への

避難を強いられた人の数は 28万 5000人、スーダン国内で避難生活を送る国内避難民の

数は 260万人に達していることに加え、チャド南部にもまた、中央アフリカ共和国から

逃れてきた難民が数多くいる。

・チリ

チリは比較的安定した民主国家であったが、1973年にアウグスト・ピノチェト将軍が、

民主的に選挙で選ばれたサルバドル・アジェンデ大統領の政府を武力攻撃。 このクーデ

ターの直後から、合法的な政治活動の抑圧とともに、前社会主義政府の支持者に対する何

万人にも及ぶ大量逮捕が行われた。 拷問や行方不明、殺人が、軍事政権が成立してから

の最初の数ヶ月で拡大し、死者 4000人を超え、大多数が短期拘禁者だったものの逮捕者

は約 6万人と推定されている。この影響でチリ国内では難民が多く発生した。一方で、近

年は難民を受け入れる側にシフトチェンジしており、第三国定住制度も定着しつつある。

・中国

 中国国内にやってきた難民の数は約 30万人、庇護申請者の数は約 400人であり、対して中国からの難民の数は約 20万人、庇護申請者は約 25,000人である。しかし、中国に

やってきた難民はほぼベトナムからの人々で、彼らがみな中国政府の保護を受けている

35

Page 36: sdmogikoku.sakura.ne.jpsdmogikoku.sakura.ne.jp/26_kouki_BG.docx  · Web viewその他、申請者には「庇護申請給付法」が適応され、14歳以上には月額40ユーロ(約6,520円)14歳未満には20ユーロ(約3,260

ことを考慮すると、難民送出国サイドに位置するとするのが妥当であろう。

中国からの難民が生まれる原因は中国政府と民族自治区の軋轢によるところが大きい。

特に問題となっているのがチベット自治区である。チベットと中国政府は歴史的に騒乱

を繰り返しており、政府はチベットに対し弾圧的支配を繰り返してきた。結果生じるの

がチベット難民であり、チベット難民は総計 13万人を超えるとされている。なお、チベット亡命政府がインドのダラムサラにおいて成立している。越境にはヒマラヤ越えを

しなければならないが、チベット-インドのルートは険しく、より安全なチベット-ネ

パールのルートを選ぶものも多い。一方中国政府は、チベット難民の保護対し、ネパー

ル政府に圧力を与えていると、国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)が報告している。

また政府は近年ウイグル自治区への支配も強めており、今後のウイグル自治区情勢に

も注目していく必要があろう。

・コロンビア

 コロンビアでは麻薬組織やテロ組織などと政府軍との武力衝突が激しく、テロ・誘拐・

殺人などが日常的に行われているため、国内で多くの避難民が発生している。中でも南

米最大級のゲリラ部隊であるコロンビア革命軍 (FARC)との戦闘によるところが大きい。

FARCと政府の和平はついに平行線のままで終わり、政府は大規模な掃討作戦を行った。

掃討作戦によって首領を失った FARCはふたたび政府との和平交渉の座についている。

とはいえ中心部を離れればいまだゲリラやテロが横行しているようで、日常的な戦闘や

テロによって、国内避難民は総人口の約 9 分の 1にあたる 536万人にのぼる。現在も不安定な状況が続いているため、難民の援助も制限されている。受け入れ難民は少なく、

コロンビアからの難民は約 40万人である。

・デンマーク

デンマークは、面積が約 43,000k㎡(九州とほぼ同じ)の本土と世界最大の島グリー

ンランド、フェロー諸島からなり、総人口は約 538万人(日本の約 4%)で、うち約 8%

が外国生まれの人々及びその次世代の人々で占められている。

 1960年から 74年にかけて国内の労働力不足を補うために、トルコやユーゴスラビア等

から大量に外国人の受け入れを行い、また、50年代のハンガリー 難民、70年代のベトナ

ム難民等をはじめとして、難民の受け入れも人道配慮に基づき積極的に行ってきた。70

年代のヨーロッパの景気後退による国内の 失業率の高まりとともに労働力の受け入れは

減少したが、既に国内にいる外国人が家族を呼び寄せたり、次世代が誕生したりするな

どして外国人人口は増加の一途 をたどった。

36

Page 37: sdmogikoku.sakura.ne.jpsdmogikoku.sakura.ne.jp/26_kouki_BG.docx  · Web viewその他、申請者には「庇護申請給付法」が適応され、14歳以上には月額40ユーロ(約6,520円)14歳未満には20ユーロ(約3,260

 しかし、外国人受入数の増加に社会が対応しきれず、言語能力等が低いためにデンマー

ク社会に適応できず就職もできない外国人が増えて深刻な社会問題に発展したため、2002

年以降は外国人の受入数を減らし、「数より質」の外国人政策を採るようになった。現在、

難民及び移民には、デンマーク社会での自 立を目標とし、語学教育を中心とした教育プ

ログラム等が提供されている。難民の受け入れに関して、デンマークは、(1) UNHCR等

との合意により、難民の出身国やデンマーク社会への適応の可能性、人道上配慮すべき事

情等を考慮して滞在国で審査を行い、一定の枠内で受け入れるクオータ(割り当て)制に

よる難民と、(2) デンマーク国内で庇護を、申請した者を個別審査により、難民条約上の

難民、条約上の難民にはあたらないが帰国後に死刑や拷問等を受ける可能性がある者、戦

争や災害により国際的保護を必要とする者として、受け入れている。また、難民認定申請

者や難民の定住許可者への社会的支援制度もとられている。

・エジプト

エジプトは、近隣にシリア、パレスチナ、ソマリア、スーダンなどの難民排出国を抱

えており、国内に多くの難民が流入している。中でも、最近はシリア内戦に伴うシリア

難民が多数流入している。その一方で、エジプト国内の政情も決して安定しているとは

言えず、2013年 7 月に起こった軍事クーデター以後、エジプト国内ではイスラム勢力排

斥の動きもあり、エジプトからトルコなどにシリア難民が再流出する例も存在している。

・エチオピア

1977年の「アフリカの角」地域の戦闘では、ソマリア人とエチオピア人 300万人が避難。1984年エチオピア大飢饉。死者は数十万人にのぼり、これを上回る数の人々が

スーダン、ソマリア、ジブチに避難した。1993年にはエチオピアとエリトリア間で紛争

が勃発する。2000年に入っても 5 月にエチオピアとエリトリアが再び開戦するなど紛争

がやむ気配は見られなかったが、PKOの介入で 2001年に停戦する。それに伴い難民も

帰還を開始した。一時は数百万人規模の難民も、庇護申請者含め十数万人規模まで落ち着

いた。

数年来エチオピアは難民を庇護する側にまわっており、今年 7 月末の時点で難民 62万9718人を保護し、アフリカの最大の難民受け入れ国としてケニアをうわまわった。今年

1 月時点で 40万人強であった保護者の数が一気に増大した主な原因は、2013年 12 月半

ばに起きた南スーダンでの紛争で、2014年初めからエチオピアに難民 18万 8000人が流入した。現在、エチオピア国内には 24万 7000人の南スーダン出身の難民が存在し、

最大の難民人口となっている。ソマリア人(24万 5000人)とエリトリア人(9万 9000人)がそれに続いている。過去 7か月で、エリトリア人約 1万 5000人と、ソマリア人

37

Page 38: sdmogikoku.sakura.ne.jpsdmogikoku.sakura.ne.jp/26_kouki_BG.docx  · Web viewその他、申請者には「庇護申請給付法」が適応され、14歳以上には月額40ユーロ(約6,520円)14歳未満には20ユーロ(約3,260

3000人以上が同様にエチオピアに到着している。

・フィンランド

 フィンランドでの難民受け入れには、UNHCRの提案に基づき、難民の出身国、滞在国、

フィンランド社会への定着の可能性等を考慮した上で受け入れ人数枠を設けての受け入

れ(クオータ制)と、個別審査による受け入れとがある。

 フィンランドの国際的保護の考え方はジュネーブ条約(1951年の難民条約)よりも広

く、難民認定者、クオータ難民及び難民の家族についても難民として捉えられ滞在許可が

与えられる。また、自国において、死刑、拷問、暴力的に人権の尊厳が損なわれる虞のあ

る人へも滞在許可が与えられる。

(1)クオータ制

 クオータ制によって受け入れられる難民の受け入れ人数とそれに伴う予算については、

議会で決められ、具体的な受け入れ難民の出身国、滞在国については、UNHCRの提案に基づいて、外務省、内務省、労働省、財務省の大臣レベルの作業グループによって決定さ

れる。

 対象者の選考は、労働省、移民局、治安警察の担当者からなる調査団が難民滞在地に赴

いて面接調査を行い、それぞれの省庁がフィンランド入国後の定着の可能性、庇護の必要

性、フィンランド国内における治安への影響等を総合的に判断した上で決定される。

(2)個別審査

 庇護(難民認定)申請者は、国境または空港などの上陸地において、あるいは入国後の

場合は警察署において難民認定申請をする。その後、移民局がタブリン条約(EU 加盟国

の中で庇護申請の審査担当国を決定するための共通基準を確立した条約)に基づきフィン

ランド国内で難民審査をするか否かを決定する。フィンランド国内で難民審査をしない

との決定を受けた者は、難民審査を担当する国(通常は当該申請者が EU 加盟国のなかで

最初に上陸した国)へ移送される。

・フランス

フランスは第二次世界大戦後、欧州諸国や旧植民地の北アフリカから大量の移民を受け

入れ、多くは安価な労働力としてフランス経済の復興と成長を支えた歴史がある。2006年に「移民受け入れの抑制」、「移民選別の促進」、「移民の社会統合」が三つの柱とな

る新移民法が制定され、質の高い移民受け入れには寛大な一方、非合法移民については厳

しく取り締まる方針となった。なお、フランスで滞在許可を受け永続的に定住を考えて

いる外国人は、移民の社会統合の一環として「受け入れ・統合契約(以下、CAI 契約)」

38

Page 39: sdmogikoku.sakura.ne.jpsdmogikoku.sakura.ne.jp/26_kouki_BG.docx  · Web viewその他、申請者には「庇護申請給付法」が適応され、14歳以上には月額40ユーロ(約6,520円)14歳未満には20ユーロ(約3,260

が義務化されており、認定難民も対象者に入っている。また、庇護申請については、

2003年に「庇護権に関する法律」を大幅に改定し、手続を合理化して審査期間の短縮が

なされるようになった。難民受け入れの予算は、雇用社会連帯及び住居省の一部局である

人口及び移民局(以下、DPM)が管理を行い、民間団体へ難民受け入れ業務の委託につ

いての権限を持っており、委託を受けた民間団体が実際の支援を行っている。

 フランスでは、DPM から業務委託を受けた民間団体が申請者支援を行っており、

CADAと呼ばれる庇護申請者受け入れ施設を運営している。2007年現在、フランス全土

に 269の施設があり、収容能力は 19,410人で、入所者に対し申請手続、生活面などの

サポートや財政支援を行っている。教育に関しては 6歳から 16歳までは義務教育である

ため、申請者もこの年齢の子どもは地元の学校へ無料で通学できる。一方、庇護申請者の

就労は禁止されており、申請者向けの職業技術訓練や就職あっせん等の支援活動は原則実

施されていない。医療面については 2000年から実施された普遍的医療給付制度法により

公的医療保険に加入できない申請者においても、一定の手続を踏めば自己負担額なしで医

療を受けることができるようになった。

・ドイツ

1953年に庇護申請手続きが法制化されて以降、ドイツの難民受け入れは大きな変化が見

られる。法制化以降の約 20年間は共産主義政権下の東欧諸国からの申請者が多く、その

後も庇護申請者は増加の一途をたどった。そして、ついに 1992年には約 44万人のピー

クに達した。この状況を受けて、申請者数の増加を抑える法改正が行われた結果、その後

数字は減少に転じている。しかし、依然として申請者数上位 4番目の国として位置してい

る。

 現在ドイツは、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の第三国定住プログラムに基づく

受け入れは行っておらず、庇護申請手続きに基づく受け入れによってのみ難民を受け入

れている。

 難民を含む外国人の受入政策については、連邦内務省が所管しており、実施等に係る部

分は連邦移民・難民庁の所管となっている。

 庇護申請者は、割り当てられた第一次受入施設に原則として 3 カ月まで滞在でき、その

後は第二次受入施設に移動する。受入施設では、住居を始め、食料、生活必需品など様々

な支援を受けられます。食事は施設に併設されている食堂でとるか、各棟に設置されて

いるキッチンで自炊をすることもできる。部屋は家族、未婚者、未成年者、女性など、そ

れぞれ専用の部屋が用意され、1人部屋から家族部屋までサイズも異なる。

 その他、申請者には「庇護申請給付法」が適応され、14歳以上には月額 40ユーロ(約

6,520円)14歳未満には 20ユーロ(約 3,260円)が支給される。語学教育面では、申

請者に対する公的なドイツ語教育が提供されていないが、施設によっては NGO 団体等が

39

Page 40: sdmogikoku.sakura.ne.jpsdmogikoku.sakura.ne.jp/26_kouki_BG.docx  · Web viewその他、申請者には「庇護申請給付法」が適応され、14歳以上には月額40ユーロ(約6,520円)14歳未満には20ユーロ(約3,260

教室を開いている。医療面では、入所開始後 2週間は保険局から派遣される医師により、検便、血液(AIDS、性病、肝炎)検査等の健康診断が行われ、さらに X線検査が必要とされる申請者は外部の医療施設で検査を受けることができる。その他、重度な精神病(ト

ラウマ、鬱病等)を患っている者は外部の精神社会センターに送られ、カウンセリング

を受けることが可能である。

・アイスランド

 アイスランドは、面積約 10.3k㎡(日本の約 27%)、総人口約 29.4万人(日本の約

0.23%)の小国ながら、1956年より毎年 20人から 30人の割合で、国連難民高等弁務

官事務所(UNHCR)の第三国定住プログラムによる計画的受け入れ(クオータ制)を

行ってきた。  一方、個別審査に基づき難民とした認定された人は、1955年に同国が難民条約に加入して 以降、これまで 1人となっており、実質的にはクオータ難民の受

け入れのみとなっている。

 アイスランドでは、難民や移民の家族ばかりが集まって住むような地域を作らず、地

元住民とのかかわりやコミュニティーへの参加を促す努力が行われており、「支援家族

(supporting family)」と呼ばれる難民の生活を支援する家族(1難民家族に対して 3家族)を公募で採用し、難民の定住促進を行う政策をとっている。

 アイスランドの難民受け入れには、クオータ制と個別審査によるものとがある。

(1)クオータ制

 1995年に難民受入業務を行う政府の専門機関として難民評議会(Refugee Council)が設置されて以降、2005年までの間、ほぼ毎年約 20人が受け入れられている。受入人

数・地域は、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)等と協議の上、難民評議会が検討し、最終的には同評議会の提案に基づき、政府が決定する。アイスランドが受け入れるク

オータ難民については、欧州連合(EU)などから「欧州地域からのキリスト教徒の受け

入れに偏重しているのではないか」との指摘があったこともあり 2005年は、コソボ自

治区(イスラム教徒)及びコロンビア(中南米地域)からの難民を受け入れることが決定

されている。

(2)個別審査

 アイスランドで庇護を求める者は、国境警察や地方警察などに庇護(難民認定)申請を

行う。警察は、外国人が他国を経由してアイスランドに来た場合、アイスランドが審査

をするべきか等を判断する形式審査を行い、形式審査を通過した者は難民該当性を審査す

る実質審査に入る。実質審査は、アイスランド移民局( Icelandic Directorate of Immigration)が行う。アイスランド移民局の決定に不服があった場合、申請者は法務省

(Ministry of Justice)に異議の申し立てを行うことができる。

 

40

Page 41: sdmogikoku.sakura.ne.jpsdmogikoku.sakura.ne.jp/26_kouki_BG.docx  · Web viewその他、申請者には「庇護申請給付法」が適応され、14歳以上には月額40ユーロ(約6,520円)14歳未満には20ユーロ(約3,260

・インド

インドは難民条約に加入していないが、1960年代から受け入れているチベット難民

(中 国)をはじめ、スリランカ、ミャンマー、ブータン、アフガニスタン、バングラデ

シュなどから長年にわたって難民を受け入れており、独自の政策で難民の保護・支援を

行っている。 また、他の政治問題に違わず、難民問題については基本的に当事国同士で

の問題解決を望んでおり、第三者の介入を忌避している。そのため、現在のところ、

UNHCRとインド政府との間には公式の直接の窓口はないとのことである。

・インドネシア

 難民受け入れ数 3,000人強、庇護申請者数 7000人、送出難民数 15,000人弱と受け入

れ送出ともに大規模な動きはないものの、若干送出難民数のほうが上回っているという

状況である。インドネシアからの難民の出どころは貧困や 1998年~2001年にかけてのポソ宗教紛争、2004年のスマトラ島沖地震の影響が残っているのではないかと考えられ

る。

また、インドネシア国内では受け入れ難民に対する法整備が進んでおらず、本来行わ

れるべき難民の保護ができていないという現状にある。

イラン、イラクといった中東地域、アフリカ、東南アジアの貧困地域からの難民が一

度インドネシアにやってくるが、より経済的に豊かなマレーシアやオーストラリアへの

渡航を計画するものが多いようである。

・イラン

 イランでは、アフガニスタンの治安の悪化によって 150~200万人のアフガン難民が

避難しており、それに対してイランは安定した援助を提供し続けている。1979年から始まったアフガニスタンでの紛争によって祖国を追われたアフガン難民の数は、最も多い

時で 600万人を超え、イランでも 300万人以上の人々が難民として生活していた。国連の統計によると、2002年から 2013年までの間に 91万人以上のアフガン難民が母国に

帰還を果たしたが、不安定な情勢の影響により、イランには今も登録されているだけで

約 84万人、不法に滞在している人も入れると数百万のアフガン難民が滞在していると言

われている。2002年よりイラン第二の都市であり、多くのアフガン難民を抱えるマ

シャッド市やイランの首都であるテヘランは数多くの難民を抱え、その数はイラン国内

で最多の推定 25万人に上るとされていて、2014年 6 月の時点で、イランに暮らしてい

る外国人難民の数は、95万人であり、このうち 3万 2000人がイラク人であり、残りは

アフガン人となっている。

41

Page 42: sdmogikoku.sakura.ne.jpsdmogikoku.sakura.ne.jp/26_kouki_BG.docx  · Web viewその他、申請者には「庇護申請給付法」が適応され、14歳以上には月額40ユーロ(約6,520円)14歳未満には20ユーロ(約3,260

・イラク

いわゆる「アラブの春」以降、現在緊迫している中東情勢にあって、20年以上前から難民問題を抱えているのがイラクである。1991年開戦の湾岸戦争では 140万人がイラ

ンへの難民となり、40万人がトルコへ向かった。しかしこのときトルコ政府は難民受け

入れを拒否したため人々はイラク領内を出ることができず、国内避難民となった。その

後の治安回復によって帰還した難民もいたが、2003年にイラク戦争が勃発したため難民

はさらに増えることとなった。この時 190~200万人がシリアやヨルダンへの難民と

なった。フセイン政権打倒後もゲリラ戦が展開され治安は悪化する一方であったが 2006年の正式政権発足や米軍治安維持部隊増派などを経て、2011年には米軍が完全撤退するまでに治安回復。

現在難民の数は約 40万人にまで落ち着いているが、国内避難民の数は約 95万人と依然として多い。さらに、昨今話題に上っているイスラム国(IS)活動拠点の一つとなってお

り、今後、難民や国内避難民の増加が予想されることに留意しなければならない。

・アイルランド

アイルランドは、1956年に難民の地位に関する条約(難民条約)に加入した。同条約

加入時のアイルランドは、難民の受け入れをほとんど行っていなかった。難民の地位に

関する条約加入後、アイルランドは、1956年にハンガリー、1973年にチリ、1979年以降はベトナムなどから国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のプログラムに基づき海

外から難民を受け入れたが、アイルランド国内において庇護を求める人はほとんどいな

かった。むしろ、アイルランドは、1990年代、積極的な外資誘致政策を実施し、ハイテ

ク産業等を中心に著しい経済成長を遂げるまで英国や米国への移民排出国として知られて

いた。しかし、経済成長に伴い、1992年に 39人だった庇護申請者は急増し、2002年には過去最高の 11,638人がアイルランドで申請を行った。2002年以降、欧州諸国一般

に見られるように申請者の数は減少傾向にある。2005年には 4,320人が申請を行い、

966人が難民として認定されている。

・イタリア

イタリアでは難民受け入れ制度として UNHCRの第三国定住プログラムを導入してお

らず、庇護申請手続きに基づく受け入れのみを行っている。移民送出国としての歴史が長

く、移民受け入れ国に転換したのは比較的最近の現象である。

イタリアにおける庇護申請は主に東欧諸国からだったが、近年アフリカ諸国からの申

42

Page 43: sdmogikoku.sakura.ne.jpsdmogikoku.sakura.ne.jp/26_kouki_BG.docx  · Web viewその他、申請者には「庇護申請給付法」が適応され、14歳以上には月額40ユーロ(約6,520円)14歳未満には20ユーロ(約3,260

請が目立つようになった。イタリアは移民および庇護申請者が混合型で入ってくるのが

特徴であるため、外国人の地位を明確にし、保護対象者の法的権利を広げると同時に不法

移民を取り締まることを難民政策の基本方針としている。また、イタリアにおいては難

民基本法が存在せず、庇護の権利および難民の地位はイタリア共和国憲法および 1951年の難民条約を基本に保障され、移民法の一部に規定される。

 新たなる法の施行、EUの指令等により、イタリアの難民受け入れ制度は大きく変化を

遂げ、以前は決定を下すまでに多くの時間を有したことから、庇護申請者は不安定な立場

に長く置かれる等、多くの弊害を生んでいたが、現在は、審査機関の増設を主な理由に審

査期間の短縮化が実現され、状況の改善が見られるようになった。

03年の難民認定(庇護)申請は 17193 件で、1270 件が難民認定され、673 件が人道的

配慮による保護を受けている。難民認定率は 02年が 4.9%だったの対し、03年は 7.3%

と増加して いる。 

・日本

日本は 1981年に難民 条約を批准した。翌年、出入国管理及び難民 認定法が施行され、

条約に基づく難民の認定 が開始されるなど難民受け入れ制度の確立は進めている。また

かつては 1975年以降発生したインドシナ難民の受け入れも行った。更に 2009年にはパ

イロットケースとして第三国定住としての難民受け入れの実施を決定した。しかし、難

民の受け入れ数は欧米諸国と比べると非常に少なく、事実上の難民受け入れは進んでいな

い。

・ヨルダン

ヨルダンの人口の 7割強を占めるのはパレスチナ系住民である。元々彼らは中東戦争が

原因で国外から流入した難民である。そのため、難民の子孫によって構成される国と

言っても過言ではない。近年、隣国のシリアで内戦が激化しており、シリアから多くの

難民が流入している。其の難民庇護政策として、ヨルダン政府はザータリ難民キャンプ

を設置した。そこで、政府は海外諸国の支持を受けながら、水資源確保、インフラ整備、

衛生環境整備などを行っている。しかし、ヨルダンにとってシリア難民が深刻なのは、

60万人の難民のうち、難民キャンプに住んでいるのはわずかに 10万人に過ぎず、シリ

ア難民の大多数は、アンマンをはじめ、ヨルダン国内のあらゆるところに住んでいるこ

とである。キャンプではなく街中に住んだ数十万人のシリア難民は、安い賃金で職を探

し始めるが、失業率が 20%とも 30%ともいわれる中で仕事を探しているヨルダン人に

とっては実に迷惑である。

さらにこの数十万人の街中に住む難民が住むところも探すので、家賃は高騰する。貧し

43

Page 44: sdmogikoku.sakura.ne.jpsdmogikoku.sakura.ne.jp/26_kouki_BG.docx  · Web viewその他、申請者には「庇護申請給付法」が適応され、14歳以上には月額40ユーロ(約6,520円)14歳未満には20ユーロ(約3,260

いヨルダン人にとっては賃金が下がり、家賃が高騰する。まさに踏んだり蹴ったりとい

うものである。大人だけではなく、一年間に 10万人ちかく増えたシリア難民の子供を受

け入れるために、ヨルダンの学校は、以前のように朝と夕方の二部制に戻さなければな

らなくなった。

また、ヨルダンでは常に水が不足気味となり、エネルギーも完全に足りなくなっている。

・ケニア

ケニアでは、2007年末に行われた大統領選挙後の混乱で、暴動を行うものと治安部隊

の衝突で国内に多数の難民が発生した。2008年には、国連の仲介を受け、内乱は終息し、

難民は少なくなった。その反面、隣国のソマリアで内戦が勃発し、また、大干ばつも発

生したため、ソマリアから非常に多くの難民が流入した。ソマリア内戦は終息の気配が

なく、現在も続いているため、ケニアへの難民の流入が続いている。ケニア政府は、難

民キャンプを設置し、仮設住居建設、水資源確保、治安維持などを行っているが、あまり

にも難民の数が多く、整備が追いついていないのが現状である。ケニアには、ケニア難

民法が存在し、それに基づいて難民認定を行っている。

・レバノン

 レバノンは、過去の内戦によって多くの難民を発生させたが、現在では、レバノン難

民は少なくなってきた。その一方で、隣国のシリアで内戦が激化したため、シリア難民

がレバノン国内に多数流入している。レバノンはその難民を積極的に受け入れ、難民

キャンプを設置し、水資源、インフラ、衛生環境などを整備してきた。しかし、その流

入難民の数は他国と比較しても数が飛び抜けて多く、対応が追いついていないという現

状がある。

・ニュージーランド

ニュージーランドにおける難民受け入れは、第二次大戦後のポーランドからの避難民

の受け入れに始まり、50年代後半から 70年代にかけては、ハンガリーやチェコスロバ

キア、旧ソ連などから多数の避難民を受け入れた。1970年代から 2008年までに約35000人の難民を受け入れている。制度面においては、UNHCRの第三国定住プログラ

ムに基づく受け入れを 1987年に導入し、国内での庇護申請手続に基づく受け入れと並行

して行われている。また、クオータ難民への支援として初期定住支援と定住先での支援

が行われている。さらに、クオータ難民は入国から 5年後には市民権申請が可能となり、

そのほとんどが受理・認定されている。

44

Page 45: sdmogikoku.sakura.ne.jpsdmogikoku.sakura.ne.jp/26_kouki_BG.docx  · Web viewその他、申請者には「庇護申請給付法」が適応され、14歳以上には月額40ユーロ(約6,520円)14歳未満には20ユーロ(約3,260

・パキスタン

 パキスタンでは、2010年に発生した大洪水に伴う多数の難民が発生した。ただし、パ

キスタンにおける難民問題で特筆すべきは、パキスタンが最大のアフガン難民受入国で

あるという点である。国内が安定しないアフガニスタンからは、多くの難民が流れ込ん

でいる。パキスタンは国連の支持などを受けて、難民保護や難民の本国への帰還をサ

ポートしてきたが、その一方で、まだふるさとに帰ることができないアフガン難民も存

在する。

・大韓民国

 大韓民国では、今現在目立った難民は確認されていない。しかし、韓国と北朝鮮間での

内戦が再発した場合、韓国国内でも難民が大量に発生する可能性が高い。2011年 12 月

29 日には、アジア地域で初となる独立した難民保護法が議員立法によって国会で可決さ

れた。この法律は、弁護士や通訳人を付ける権利や家族統合の権利、申請中の生活保障、

第三国定住による難民の受け入れを定めている。また、韓国では今現在、北朝鮮からの脱

北者が数は多くないながらも流入している。そのため、2013年に韓国難民法が制定され、

これに基づいて難民受け入れ認定を行っている。

・ロシア

第一次世界大戦やロシア革命に端をなす難民の発生によって、ロシアからは大量の難民

が流出していた。しかし、中東で紛争や今年発生したウクライナ問題ではロシアは多く

の難民の受け入れを許可している。とりわけウクライナ問題では多数の難民が発生し、

その多くがロシア連邦に流入しており、その数は 48万人にもなるとされる。こうした事態を受けて、ロシアでは入国したウクライナ人のための、難民認定手続簡略化法案がロ

シア連邦下院に提出された。また、ロシア政府は一時滞在外国人の割り当てを増やし、多

くの難民が滞在許可証を受け取れるようにした。こうしたロシアの一連のウクライナか

らの難民受け入れに関する取り組みは、国連から高く評価されている。しかし、本格的

な難民受け入れ制度は依然として確立していない。

・スペイン

 長年にわたってさまざまな資格の難民を受け入れてきた実績はあるものの、公式な第

三国定住プログラムをまだ確立していない国であったスペインは 2008年以降、第三国定

45

Page 46: sdmogikoku.sakura.ne.jpsdmogikoku.sakura.ne.jp/26_kouki_BG.docx  · Web viewその他、申請者には「庇護申請給付法」が適応され、14歳以上には月額40ユーロ(約6,520円)14歳未満には20ユーロ(約3,260

住制度の採用がなされ新たなプログラムが採用され、活動に変化が見られている。

99年から 01年にかけて難民認定(庇護)申請者数は、8000人から 9500人の間で推移

していたが、02年における申請者数は 6309人と減少した。申請の 60% から 70%が形

式審査段階で申請不受理又は不認定となり、実質審査に移行する者は全申請者の 4%に満

たない。現在、アフリカ、特に北アフリカからの申請者の増加が見られる傾向にある。

難民認定率は 4%である。条約難民は、庇護法第 2 条第 2項により、スペイン国民と同様

の社会保障上の権利を有するが、条約難民に対する特別な定住支援措置は講じられていな

いのが現状である。

スペインでは第三国定住難民は受け入れセンター(難民と庇護希望者両方のために設け

られたもの)に収容され、ニーズの水準に応じて最長 6ヵ月間そこに滞在することがで

きる。滞在中は、宿泊施設、食事、衣料、靴、医薬品、移動手段、そして「当座の出費」

用の小額の補助金が提供される。受け入れセンターから退所するとアパート賃貸手当お

よび食費手当が支給される。

 

・スウェーデン

スウェーデンは、地域機構(北欧評議会(NC)、欧州連合(EU)など)や国際機関との協力・連携を図っており、難民受け入れについては、個別申請に基づく難民や人道的理由から庇

護を必要とする者の受け入れ、さらには、UNHCRの第三国定住プログラム(クオータ制)による難民の受け入れを非常に積極的に行っている。スウェーデンに対する難民申請数

はヨーロッパの中で最多であり、難民受け入れの拒絶率は最も低くなっている。また、

2013年にはシリアからの難民申請者の全員を受け入れることも発表した。難民の受け入

れに関しては移民庁が、定住後の支援等については統合庁がその実務を担っている。

・スイス

スイスは人口比で、受け入れ難民数が多い国の 1つである。第三国定住プログラムが

確立している。

2011年、中東で起こった民主化運動「アラブの春」の影響で、スイスでは難民申請者数

が 2年前の 1万 5567人からほぼ倍増し、3万人に達した。人口比では、スイスはマルタ、

ルクセンブルク、スウェーデンに続き、4番目に多く難民を受け入れている。しかしこれ

らの難民は経済難民であり、法律上、貧困や失業などの理由では難民と認定し難いため、

2011年には難民申請者のうち、8割の受け入れが拒否された。

・トルコ

トルコは難民条約の締結国の一つである。しかしながら、難民の定義をヨーロッパから

46

Page 47: sdmogikoku.sakura.ne.jpsdmogikoku.sakura.ne.jp/26_kouki_BG.docx  · Web viewその他、申請者には「庇護申請給付法」が適応され、14歳以上には月額40ユーロ(約6,520円)14歳未満には20ユーロ(約3,260

逃れてきた人に限定しており、ヨーロッパ以外からの庇護希望者については UNHCRが審査を行っている。トルコの法律は、国境を越えてトルコ国内に到達した庇護希望者の

みに言及しており、国際基準に反して、陸海の国境や空港は領域でないと主張して、難民

としての保護を必要とする多くの人びとを保護していない。また、トルコの庇護に関す

る規則においては、庇護申請をする権利が保障されてはいるものの、その実態はこの権

利が侵害されることが多くなっているなど、トルコは難民の保護に関して問題が多い。

UNHCRは、2014年に入ってから 2万人を超えるシリア難民がトルコに到着したと 2 月

11 日に発表した。この難民流入は 2013年以来最大の数字となっている。トルコでは

2014年 1 月の初めに 22番目のキャンプを開いたが、政府はさらなる流入に備えて、新

たなキャンプの設置を検討しているが、これらの事情により、トルコにおける難民対応

への負荷はさらに大きくなっている。

現在、UNHCRは、トルコ国内外に緊急支援物資を備蓄して、必要に応じて政府による支

援を補う準備をしている。

・イギリス

イギリスは 1954年に難民の地位に関する条約を批准し、第二次世界大戦時のポーラン

ド難民や 1970年代からのベトナム難民、1990年代後半にはコソボ難民を保護してきた。

難民と庇護申請に関する法律が 1980年代末の個別庇護申請者数の増大を受けて 1993年に整備され、1996年に不服申立て制度の改革として審判制度が導入された。難民認定制

度は簡素・迅速化を目指して改正が重ねられている。庇護申請者への支援としては、庇護

申請者支援部局が業務委託した民間団体を通じて、生活に困窮している庇護申請者に対し

て住居や生活費を提供している。

難民認定申請数は 2002年の 84,130 件をピークに 2005年は 25,710 件(扶養家族を

含めると総計 30,840人)に減少した。難民認定者数はピークの 2001年 13,490 件から

2005年は 2,225 件へ、在留特別許可数は 2001年 21,600 件から 2005年 2,930 件へと

推移した。また、英国はクオータ制度を導入し、2004年より UNHCRとのパートナー

シップによる第三国定住プログラムを開始した。

・アメリカ

アメリカ合衆国の難民受け入れ政策は 1980年の難民法に基づいている。1975年から約 256万人の難民を受け入れ、年平均受け入れ数は約 89,600人(2005年時点)である。

アメリカ合衆国の受け入れは 2通りあり、第一は第三国定住プログラムである。受

け入れの対象となるのは、在外にあって①UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)より

47

Page 48: sdmogikoku.sakura.ne.jpsdmogikoku.sakura.ne.jp/26_kouki_BG.docx  · Web viewその他、申請者には「庇護申請給付法」が適応され、14歳以上には月額40ユーロ(約6,520円)14歳未満には20ユーロ(約3,260

依頼のあった者や在外米国公館によって特定された者、②国務省等によって選ばれる特別

な配慮を必要とするグループに属する者、③米国内にいる家族との統合を希望する者で、

いずれも国土安全保障省市民権・移民サービス局による審査を経た者である。世界各地か

ら受け入れる難民の上限や各地域別の受入数などは、国務省人口・難民・移住局が各地域

のニーズの調査や取りまとめを担当し、各関係省庁や機関(連邦機関や民間団体等)と協

議を行った上で、最終的に大統領が決定する。第三国定住により受け入れられた難民に対

する入国後 30 日間の支援は国務省人口・難民・移住局の予算が充てられる。

第二は国内の庇護審査プログラムで、既に国内に身柄がある場合は国土安全保障省市民

権・移民サービス局に対して庇護申請を行い、庇護申請者は国内に 7ヵ所ある庇護事務所

で庇護を受けることができるかどうかの審査を受けることとなる。

・EU

EUは欧州共通移民政策というものを採っている。EUは移民・難民問題を共通の問

題と考え、入国管理・統合政策・差別除去・不法移民対策・加盟国民及び第三国民の

雇用格差解消など、多面的に共通政策策定に向けた取り組みに尽力している。EUは旧共産圏や紛争地域からの亡命者などを手厚く保護・救済してきたのだが、移民・難

民は各国の財政負担を重くさせ、自国民との間に文化的摩擦が生じ、特定の地域から

の難民の場合は社会不安を招くケースがあるなど、問題も存在する。

48

Page 49: sdmogikoku.sakura.ne.jpsdmogikoku.sakura.ne.jp/26_kouki_BG.docx  · Web viewその他、申請者には「庇護申請給付法」が適応され、14歳以上には月額40ユーロ(約6,520円)14歳未満には20ユーロ(約3,260

○対立構造モデル(例)←発展途上国                              先進国→ 

49

Page 50: sdmogikoku.sakura.ne.jpsdmogikoku.sakura.ne.jp/26_kouki_BG.docx  · Web viewその他、申請者には「庇護申請給付法」が適応され、14歳以上には月額40ユーロ(約6,520円)14歳未満には20ユーロ(約3,260

○議題解説 今回の議題、「難民問題(Refugee problem)」は古くから世界が抱え続けている問題である。グローバル化が進み、人の移動が活発になった現代において、難民問題はもは

や当事国限りの問題では無く、世界共通の問題として解決しなければならなくなった。

近年、シリアなど中東での紛争、ウクライナ情勢など地域問題の加熱が連日取り上げられ

ている。それに伴い発生する、大量の難民への対応は将来にわたり世界が抱える喫緊の

問題である。難民問題はこれからグローバル社会を生きていく私たちにとって、看過し

がたい議題である。

・設定会議

第 69会期国連総会本会議

(General Assembly of the United Nations of the 69th session)

・アウトオブアジェンダについて

 アウトオブアジェンダとは、今回の会議において、「模擬国連の便宜上あえて議論し

ない問題」である。実際の国連会議では取り扱われていても、議論を円滑に行うために

論点の一部を取り上げないのである。

難民の発生原因は実に様々であり、地域紛争や国家間の戦争、政治・外交の問題が複雑

に絡み合っている。難民問題の解決のためには、それら原因を排除することが先決では

ある。しかし、今回の会議では「一次庇護や第三国定住などの定住政策、または自発的帰

還の支援を通した難民問題の恒久的解決」を強調し、極力根本に立ち返ることは避けたい。

無数にある発生原因を一つずつ取り上げていては、議論の停滞を招きかねないからだ。

 交渉の上で各国の抱える難民問題の背景知識を持つことは重要だが、必要以上に根本原

因たる紛争問題や各国の政府事情に立ち入り、議論を混乱させることの無いようにした

い。

参考文献・参考サイト

50

Page 51: sdmogikoku.sakura.ne.jpsdmogikoku.sakura.ne.jp/26_kouki_BG.docx  · Web viewその他、申請者には「庇護申請給付法」が適応され、14歳以上には月額40ユーロ(約6,520円)14歳未満には20ユーロ(約3,260

知識編

アジア・太平洋人権情報センター:ニュース・イン・ブリーフ

http://www.hurights.or.jp/archives/newsinbrief-ja/section3/2014/03/2013-2.html移民はなぜスウェーデンを目指すのか

http://www.e.yamagata-u.ac.jp/~oshiro/CPME/20140616shimizu.pdf#search='外務省:わかる!国際情勢 難民問題とは?

http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/wakaru/topics/vol70/国際移住機関(IOM)http://www.iomjapan.org/国際広報センター

http://www.unic.or.jp/国際保健通信 

square.umin.ac.jp/ihf/news/1997/1222.htm国際労働法務事務所

http://krh-office.com/visa/refugee.html国連人道問題調整事務所(OCHA)http://www.unocha.org/japan/国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)www.unhcr.or.jp/html/index.htmlhttp://www.unhcr.or.jp/ref_unhcr/unhcr/index.html国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)「UNHCR、アフリカの国内避難民保護における歴史

http://www.unhcr.or.jp/html/2012/12/webstory-20121206.html「国内避難民と国際法」 島田征夫 編著 信山社 2005年政府広報オンライン 日本で自立を目指す第三国定住難民に理解と支援を

http://www.gov-online.go.jp/useful/article/201201/5.html赤十字国際委員会(ICRC)http://jp.icrc.org/難民支援協会 

www.refugee.or.jphttp://square.umin.ac.jp/ihf/news/1997/1222.htmhttp://www.unhcr.or.jp/protect/treaty/giteisho.htmlhttp://www.unhcr.or.jp/event/info/http://www.japanforunhcr.org/wrd2014/http://eumag.jp/question/f0412/

51

Page 52: sdmogikoku.sakura.ne.jpsdmogikoku.sakura.ne.jp/26_kouki_BG.docx  · Web viewその他、申請者には「庇護申請給付法」が適応され、14歳以上には月額40ユーロ(約6,520円)14歳未満には20ユーロ(約3,260

http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/300/87033.htmlhttp://coe21-policy.sfc.keio.ac.jp/ja/wp/WP53.pdfhttp://www.unhcr.or.jp/info/pdf/ref_113.pdfhttp://www.ritsumei.ac.jp/acd/gr/gsce/ce/2010/mh01.pdfhttp://www.refugee.or.jp/jar/report/announce/2005/01/18-0000.shtml難民事業本部

http://www.rhq.gr.jp/japanese/know/i-nanmin.htm難民問題の恒 久的解決としての難民定 着の可能性 ‐ザンビ アの事例とともに ‐

www.seikei.ac.jp/university/bungaku/teachers/20080124.pdfContributions to UNHCR For Budget Year 2013 As at 31 December (UNHCR)2013www.unhcr.org/51c991a79.htmlOsaka University Knowledge Archive 難民と国内避難民をめぐる最近の UNHCRの動きー強制移動のサイクルの観点からー

http://ir.library.osaka-u.ac.jp/dspace/bitstream/11094/10189/1/21-6_n.pdf#search='SWI swissinfo.chスイスの難民事情

http://www.swissinfo.ch/jpn/ スイスの難民事情 /33809702 「UNHCRの機能及び権限とその拡大について」 三橋弘一

m-repo.lib.meiji.ac.jp/.../daigakuinkiyohou_17_235.pdfUNHCR-Japan 基本情報 恒久的解決策

http://www.unhcr.or.jp/html/durablesolutions.htmlUNHCR-Japan 基本情報 難民キャンプでの生活

http://www.unhcr.or.jp/ref_unhcr/camp/camp_01.html

論点編

外務省,http://www.mofa.go.jp 外務省 日本の国際協力 緊急・人道支援 国際機関を通じた援助 用語説明

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jindo/jindoushien2_2y.html国連広報センター

http://www.unic.or.jphttp://www.unic.or.jp/activities/humanitarian_aid/protection_support/国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)http://www.unhcr.or.jphttp://www.unhcr.or.jp/html/index.html

52

Page 53: sdmogikoku.sakura.ne.jpsdmogikoku.sakura.ne.jp/26_kouki_BG.docx  · Web viewその他、申請者には「庇護申請給付法」が適応され、14歳以上には月額40ユーロ(約6,520円)14歳未満には20ユーロ(約3,260

http://www.unhcr.or.jp/protect/treaty/index.htmlhttp://www.unhcr.or.jp/protect/j_protection/protection.htmlhttp://www.unhcr.or.jp/html/2011/06/ws110620-2.html「人権」の国際化、難民・国内避難民・無国籍者、人間の安全保障 廣瀬和子 著 - 2011https://www.jstage.jst.go.jp/article/tits/16/8/16_8_8_89/_pdf内閣府 国際平和協力本部事務局(PKO) @PKOなう! 第 51回 難民と国内避難民

http://www.pko.go.jp/pko_j/organization/researcher/atpkonow/article051.html法務省 難民認定審査の処理期間の公表について

http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri03_00029.htmlAAR Japan 特定非営利活動法人 難民を助ける会 

http://www.aarjapan.gr.jp/AFPBB NEWS チベット難民を「不当に処遇」、人権団体がネパールを批判

http://www.afpbb.com/articles/-/3011618

「『難民』とは何か」小泉康一 著 三一書房 1998年「難民問題のグローバル・ガバナンス」中山裕美 著 東信堂 2014年

各国編

朝日新聞DIGITALhttp://www.asahi.com/articles/DA3S10924083.html外務省 

http://www.mofa.go.jp/mofaj/index.html韓国難民法施行規則 http://www.jlnr.jp/refugeelaw/refugee-law_korea/korea-refugee-act-2012_rules-2013_j.pdf国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)http://www.unhcr.or.jp/sp/http://www.unhcr.org/cgi-bin/texis/vtx/home国連難民高等弁務官事務所・日本委員会

http://www.japanforunhcr.org/act/a_america_columbia_01.html難民事業本部

http://www.rhq.gr.jp/http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40998http://www.japanforunhcr.org/act/a_asia_bangla_01.htmlhttp://www.japanforunhcr.org/act/a_asia_afgan_01.html

53

Page 54: sdmogikoku.sakura.ne.jpsdmogikoku.sakura.ne.jp/26_kouki_BG.docx  · Web viewその他、申請者には「庇護申請給付法」が適応され、14歳以上には月額40ユーロ(約6,520円)14歳未満には20ユーロ(約3,260

http://www.japanforunhcr.org/act/a_europe_balkan_01.htmlhttp://www.huffingtonpost.jp/amnesty-international-japan/austraria_b_5670534.htmlhttp://www.japanforunhcr.org/act/a_asia_afgan_n_08.htmlhttp://www.japanforunhcr.org/act/a_mena_iraqi_01.htmlhttp://www.rhq.gr.jp/japanese/hotnews/data/67.htmwww.rhq.gr.jp/japanese/hotnews/data/pdf/49.pdfwww.senshu-u.ac.jp/seikatu/kenshou/ando.pdfhttp://www.amnesty.or.jp/human-rights/topic/refugee_and_migrant/turkey.htmlhttp://www.rhq.gr.jp/japanese/hotnews/data/69.htmhttp://rhq.gr.jp/japanese/hotnews/data/60.htmhttps://kotobank.jp/word/%E6%AC%A7%E5%B7%9E%E5%85%B1%E9%80%9A%E7%A7%BB%E6%B0%91%E6%94%BF%E7%AD%96-181162http://eumag.jp/behind/d1113/http://jp.rbth.com/society/2014/08/01/49459.htmlhttp://jp.rbth.com/society/2014/07/09/48_49039.htmlhttp://japanese.ruvr.ru/news/2014_10_05/278212040/http://jp.ibtimes.com/articles/48922/20130909/540525.htmhttp://www.unhcr.or.jp/html/2011/02/ws110211.htmlhttp://rhq.gr.jp/japanese/hotnews/data/pdf/55.pdfhttp://www.rhq.gr.jp/japanese/hotnews/data/pdf/79.pdfhttp://www.rhq.gr.jp/japanese/hotnews/data/58.htmhttp://www.unhcr.or.jp/protect/pdf/resettlement-workbook.pdfhttp://www.swissinfo.ch/jpn/%E3%82%B9%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%81%AE%E9%9B%A3%E6%B0%91%E4%BA%8B%E6%83%85/33809702http://www.swissinfo.ch/jpn/%E9%9B%A3%E6%B0%91%E5%8F%97%E3%81%91%E5%85%A5%E3%82%8C-eu%E3%81%A8%E8%B6%B3%E4%B8%A6%E3%81%BF%E6%8F%83%E3%81%88/7296140 

54