ベゼスダ・システムの運用 - 公益社団法人 愛知県 …ˆ¤定:asc-us(mild...
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藤田保健衛生大学病院での運用
藤田保健衛生大学病院の病理部では2009年4月1日よりベゼスダシステム判定を取り入れた運用を行っている。
1.ベゼスダシステム導入時期
2.運用方法
従来の日母分類に加えベセスダシステム判定を併記すると同時に、標本の評価(適正・不適正)を記載するようにした。
各施設の主な判定方法
ベゼスタシステム判定 陰性・疑陽性・陽性判定 日母分類
子宮頸部スメア 子宮頚管スメア 外陰部スメア 膣壁スメア 断端スメア
施設1
施設2
施設3
施設4
施設5
施設6
施設7
施設8
施設9
施設10
施設11
施設12
施設13
病理細胞研究班の13施設での判定方法
ベセスダシステム判定の読み方
ベセスダシステム判定
NILM
ASC-US
ASC-H
LSIL
HSIL
SCC
AGC
Adenocarcinoma
other malig
ニルム or ネガティブ
読みかた
アスク・ユーエス
アスク・ハイ
アデノカルチノーマ
アザー・マリグ
ロー・シル
ハイ・シル
エスシーシー
エージーシー
日母分類
細胞所見
ベセスダシステム判定
標本の評価
日母分類
細胞所見
1)判定に
ベセスダシステム判定.
2)細胞所見欄に
①標本評価
②Pap判定
③細胞所見 を記載
2009年4月以前の記載例
藤田保健衛生大学病院病理部での結果記載例
ベセスダシステム導入後
べセスタシステム判定と日母分類あるいは陽性・疑陽性・陰性判定の併記
日母分類のみ記載
ベセスタシステム判定のみ記載
婦人科細胞診の判定記載方法
ベセスタシステム判定と日母分類あるいは陽性・疑陽性・陰性判定の併記
9/13施設(69%)
日母分類のみの記載
3/13施設(23%)
ベセスダシステム判定のみ記載
1/13施設(8%)
未定
ない未定
7/9施設(78%)
ベセスダシステム判定への完全移行について
2/9施設(22%)
ない
尚、ベセスダシステムへの完全移行を予定している施設は0施設であった。
※ベセスダシステム判定と日母分類
あるいは陽性・疑陽性・陰性判定
併記の施設9施設のうち
Conventional(従来法)Conventional(従来法)
13/13施設(100%)
Liquid Based Cytology(LBC:液状化細胞診):0施設
Conventionalと Liquid Based Cytologyの併用:0施設
検体(婦人科スメア)の塗抹方法について
場合によって再検する
ほとんど再検しない
必ず再検する
不適正検体の場合の再検について
場合によって再検
8/11施設(62%)
※回答施設数:11施設
ほとんど再検しない
2/11施設(18%)
必ず再検する
1/11施設(10%)
5%以内
5%以上
ASC-USの割合について
5%以内
9/12施設(75%)
5%以上
3/12施設(25%)
※回答施設数:12施設
ベセスダシステム2001ではASC-USは全報告の5%程度が努力目標とある。
(ASC-US相当の判定を含む)
細胞診による経過観察
HPVテスト
その他
ASC-USと判定した場合の処置について
細胞診による経過観察
7/12施設(59%)
HPVテスト
4/12施設(33%)
その他
1/12施設(8%)
※回答施設数:12施設
ASC-USと判定した患者様の臨床的背景は様々である。
1)妊娠時あるいは検診におけるスクリーニング検査として.
2)dysplasia の follow up として.
3)他院での細胞診判定の確認として.
3)癌の放射線治療あるいは化学療法の効果判定として.
など・・・
以上の臨床的背景を考慮して、その後の処置を行っている。
1)細胞診による経過観察
2)生検による確認
3)HPVテスト
本院でのHPVテストの施行率は20/60件(33.3%)であった。
細胞判定の記載例(施設Ⅰ) NILM:陰性
表層細胞と中層細胞が主体に出現しています。
扁平上皮化生細胞がみられます。
異型細胞はみられません。
日母分類ではClassⅠにあたります。
ASC-US
表層細胞と中層細胞が主体に出現し、
一部に核の濃縮や多核細胞がみられます。
HPV感染を考えます。
日母分類ではClassⅡにあたります。
HSIL
傍基底型のN/C比の高い細胞が出現してます。
クロマチンの増量や核形不整がみられます。
severe dysplasiaを考えます。
日母分類ではClassⅢbにあたります。
3)日母分類
2)コメント
1)ベセスダシステム判定 標本の適否は「不適正」時にのみ記載
判定:ClassⅠ
診断:(空欄)
所見:PC: WBC(+),RBC(+),Bac(+),Col(+)
表層~中層細胞主体
判定:ClassⅢa
診断:Mild dysplasia,suspected.(ASC-US)
所見:PC: WBC(+),RBC(+),Bac(+),Col(+)
少数ながら中層細胞に核腫大、クロマチン増量傾向がみられます。異型は弱く数も少ないが、
mild dysplasia が疑われます。Follow up お願いします。
判定:ClassⅢb
診断:Severe dysplasia(HSIL)
所見:PC: WBC(+),RBC(+),Bac(+),Col(+)
核腫大、クロマチン増量する中層細胞を集塊でみとめます。
Severe dysplasia を考えます。組織診で確認してください。
細胞判定の記載例(施設Ⅱ) 1)日母分類
2)ベセスダシステム判定
3)出現細胞
4)所見
標本の適否の記載なし
確定診断:NILM
no evidence of malignant cells
標本の適否:適正
細胞所見:粘液、好中球、表層~中層扁平上皮細胞などを認める。
成分量 neutro(1+) Histiocyte(+-) Squamous cell(1+) superficial cell(1+) intermediate cell(1+)
確定診断:ASC-US
Atypical squamous metaplasia
標本の適否:適正
細胞所見:好中球が多数見られる中、核腫大、軽度クロマチン増量した核異型細胞がみられる。経過観察をお願いします。
成分量 neutro(2+) Histiocyte(+-) Squamous cell(1+) superficial cell(1+) intermediate cell(1+)
確定診断:HSIL
Severe dysplasia
標本の適否:適正
核腫大、クロマチン増の傍基底型の核異常細胞を認める。Severe dysplasiaを考える像。生検をお願いします。
細胞判定の記載例(施設Ⅲ) 1)ベセスタシステム判定
2)臨床診断
3)標本の適否
4)細胞所見 5)成分量
ベセスタシステム判定のみで日母分類の記載はない。
標本:適正
判定:ASC-US(Mild atypical squamous cell)
日母分類:ClassⅢa
コメント:軽度核異型細胞が少数認められます。
Follow up お願いします。
標本:適正
判定:NILM(No tumor cell)
日母分類:ClassⅡ
コメント:Metaplasia+,WBC+認めます。
細胞判定の記載例(施設Ⅳ) 1)標本の適否
2)ベセスタシステム判定
3)日母分類
4)細胞所見
標本:適正
判定:HSIL
日母分類:ClassⅢb
コメント:Severe dysplasia~CISが疑われます。
生検で確認してください。
表層型扁平上皮細胞(+)扁平上皮化生細胞(+)
細胞診断:ClassⅡ NILM
細胞所見:空欄(カンジダやトリコモナスなどをみとめたら記載する)
判定区分:検体適正
中層型扁平上皮細胞(+)好中球(+)
細胞診断:ClassⅢa ASC-US
細胞所見:核の腫大したAtypical cellをみとめます。ASC-USに相当する所見です。
判定区分:検体適正
中層型扁平上皮細胞(+)
細胞診断:ClassⅢb HSIL
Severe dysplasia
細胞所見:傍基底型主体のDysplastic cellをみとめます。Severe dysplasiaに相当する所見です。
判定区分:検体適正
細胞判定の記載例(施設Ⅴ) 1)出現細胞
2)日母分類 3)ベセスダシステム判定
4)細胞所見
5)標本の適否
細胞判定の記載例(施設Ⅵ)
細胞判定:NILM (no evident of atypical cell)
標本:適正
日母分類:ClassⅠ
コメント:表層から中層型扁平上皮細胞を認めます。
細胞判定:ASC-US(Atypical sqamous cells)
標本:適正
日母分類:ClassⅡ~Ⅲa
コメント:異型扁平上皮細胞が見られます
細胞判定:HSIL( severe dysplasia )
標本:適正
日母分類:Ⅲb
コメント:傍基底型の核異常細胞が見られます.
1)ベセスダシステム判定
2)標本の適否
3)日母分類
4)細胞所見
日母分類からベゼスダシステムに移行したことで発生している問題点
1)婦人科以外から問い合わせがあった。
2)LSIL,HISILへの診断分類は、困難が少ないように思うが、ASC-US
は、診断者で最も相違が多いと思う。
3)検体不適正が多くなった。
4)放射線治療後の細胞変化をどこにいれていいかわからない。
また、今まで mild to moderate dysplasia で Ⅲa としていた症例では、
HSIL、 LSIL どちらにすべきか悩む。
5)ASC-USと判定が技師や指導医間で統一されていない.
ベゼスタシステムでの報告様式へ移行したことで発生している婦人医との問題点
1)臨床医との知見の摺合せはなされておらず、どのように解釈されて
いるかは疑問。また、ベゼスタシステムの結果がHPV検査には反映
されていないようである。
2)ClassⅡのASC-USとした症例が、すべて経過観察になってしまった。
3)ベゼスダシステムのみの報告だと、日母分類との扱いの違いをどう理
解したらよいか自分で決めれない婦人医もいる
ベゼスタシステムでの報告様式へ移行(あるいは併記)したことで以前の日母分類(あるいはその他の分類)での報告様式と比較してよくなったと感じる点
1)中等度・高度の区別が無くなったためあまり問題視されなくなった。
またHSILとするので、生検等にされるので、我々としては結果が
比較できるため精度管理に役立っている。
2)検体適否基準が明確に表示されるようになったため、不適正検体の
場合、表記しやすくなった。
3)日母分類では拾い得なかった dysplasia とは言えない、意義不明の
異型細胞をASCとして記載できるようになった。
4)ASC-USやASC-Hに相当する細胞のように異型性の可能性を示唆す
ことが可能になったこと。
5)標本の不適正に関して臨床に説明し,その後,不適正標本が減った.