はじめに 有限要素法プログラムabaqus による2次元弾性応力解析 はじめに...

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1 機 械 要 素 の 応 力 解 析 はじめに 各種機械や構造物を設計するとき、その構成部材が通常の使用内で破壊しないように材 質や形状寸法が決定される。負荷による変形の大きさや破壊は部材内に生じる応力(単位 面積当たりに作用する内力)によって評価される。つまり、垂直応力あるいはせん断応力 が材料固有のある限界値に達すると破壊や永久変形が生じると考える。したがって、応力 解析は設計上、非常に重要な問題である。 一般に機械に用いられる部品(機械要素)の形状、作用する負荷、支持条件などは、お およそ材料力学で扱ったものより複雑である。このような材料力学により応力や変形を評 価することが困難な問題の解析に適用される手法として、実験的に解析する方法と計算機 (コンピュータ)を用いた数値解析がある。 実験的に解析する方法としてひずみゲージ法や光弾性法が代表的に知られている。ひず みゲージ法は、実部材表面上で測定したい箇所にひずみゲージを接着し、直接的に部材表 面上のひずみを測定し、応力に換算する。2次元面の応力、ひずみ分布を測定するには大 きな労力が必要である。一方、光弾性法は部材の表面の応力分布が得られ、複雑形状によ って起こる応力集中の領域とその応力値を測定することができるのが特徴である。3次元 光弾性法によれば、表面のみならず内部の応力分布も得られる。しかし、光弾性の性質を 利用するために光弾性体である透明樹脂製の模型を用いるモデル実験であり、実部材の形 状、負荷、支持条件などの再現に課題がある。 計算機を用いた数値解析の中で、最も広く用いられるのが有限要素法(Finite Element MethodFEM)である。近年の計算機の進歩によって、機械工学の分野においては、設計、 製造に CADCAM が普及し、より複雑形状な機械要素において最適な設計条件や性能予 測が必要になる中、FEM CAE Computer Aided Engineering:計算機支援工学)として欠 かすことができない重要なツールとなっている。 1.目的 実験手法(光弾性実験)と数値解析手法(FEM)により比較的簡単な形状の部材の二次 元弾性応力解析を行い、機械要素や構造部材に生ずる応力や変形の評価方法を学ぶ。また、 光弾性実験法および有限要素法の基礎、特徴を理解する。 2.有限要素法の基本概念 現実の物体は、すべての点で力のつり合いと変形の連続を満たしているが、有限要素法 では解析対象領域を適当な形状と寸法の有限要素(本解析では四辺形)の集合により物体 を近似する。図1の例で示すように節点で複数の要素がつながっている。すなわち、それ ら要素は節点だけで互いに結合され力を伝えると仮定する。解析対象を要素に分割したも のを有限要素メッシュ(finite element mesh)とよぶ。要素内の変形様式(変位分布)を仮定

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Page 1: はじめに 有限要素法プログラムABAQUS による2次元弾性応力解析 はじめに ここでは、ABAQUS/CAE(Student Edition)を使って2次元弾性応力解析の手順を説明する。解析は、(1)円板の直径方向圧縮、(2)円孔を有する帯板の引張の

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機 械 要 素 の 応 力 解 析

はじめに

各種機械や構造物を設計するとき、その構成部材が通常の使用内で破壊しないように材

質や形状寸法が決定される。負荷による変形の大きさや破壊は部材内に生じる応力(単位

面積当たりに作用する内力)によって評価される。つまり、垂直応力あるいはせん断応力

が材料固有のある限界値に達すると破壊や永久変形が生じると考える。したがって、応力

解析は設計上、非常に重要な問題である。

一般に機械に用いられる部品(機械要素)の形状、作用する負荷、支持条件などは、お

およそ材料力学で扱ったものより複雑である。このような材料力学により応力や変形を評

価することが困難な問題の解析に適用される手法として、実験的に解析する方法と計算機

(コンピュータ)を用いた数値解析がある。

実験的に解析する方法としてひずみゲージ法や光弾性法が代表的に知られている。ひず

みゲージ法は、実部材表面上で測定したい箇所にひずみゲージを接着し、直接的に部材表

面上のひずみを測定し、応力に換算する。2次元面の応力、ひずみ分布を測定するには大

きな労力が必要である。一方、光弾性法は部材の表面の応力分布が得られ、複雑形状によ

って起こる応力集中の領域とその応力値を測定することができるのが特徴である。3次元

光弾性法によれば、表面のみならず内部の応力分布も得られる。しかし、光弾性の性質を

利用するために光弾性体である透明樹脂製の模型を用いるモデル実験であり、実部材の形

状、負荷、支持条件などの再現に課題がある。

計算機を用いた数値解析の中で、最も広く用いられるのが有限要素法(Finite Element

Method、FEM)である。近年の計算機の進歩によって、機械工学の分野においては、設計、

製造に CAD、CAM が普及し、より複雑形状な機械要素において最適な設計条件や性能予

測が必要になる中、FEM は CAE(Computer Aided Engineering:計算機支援工学)として欠

かすことができない重要なツールとなっている。

1.目的

実験手法(光弾性実験)と数値解析手法(FEM)により比較的簡単な形状の部材の二次

元弾性応力解析を行い、機械要素や構造部材に生ずる応力や変形の評価方法を学ぶ。また、

光弾性実験法および有限要素法の基礎、特徴を理解する。

2.有限要素法の基本概念

現実の物体は、すべての点で力のつり合いと変形の連続を満たしているが、有限要素法

では解析対象領域を適当な形状と寸法の有限要素(本解析では四辺形)の集合により物体

を近似する。図1の例で示すように節点で複数の要素がつながっている。すなわち、それ

ら要素は節点だけで互いに結合され力を伝えると仮定する。解析対象を要素に分割したも

のを有限要素メッシュ(finite element mesh)とよぶ。要素内の変形様式(変位分布)を仮定

Page 2: はじめに 有限要素法プログラムABAQUS による2次元弾性応力解析 はじめに ここでは、ABAQUS/CAE(Student Edition)を使って2次元弾性応力解析の手順を説明する。解析は、(1)円板の直径方向圧縮、(2)円孔を有する帯板の引張の

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図1 引張を受ける円孔を有する帯板の幾何形状と荷重条件、有限要素メッシュ

すれば、節点に作用する力(節点力)を節点変位の関数として表すことができる。この変

位法では、節点力が未知の節点変位の連立一次方程式として表され、その係数は要素の材

料特性、座標値等により定められる。一般に物体内部のつり合っている節点では節点力の

合計は0であり、外力が与えられた節点での値は既知であるので、連立方程式を解くこと

により、節点変位が求められる。一般に、近似解の精度は要素(および節点)の数が増え

るほど改善されるが、それにともない計算時間が長くなる。

3.境界条件の導入

多くの機械要素は図2に示すように対称形状を持ち、対称な負荷を受けることが多い。

この場合、対称性より、図の斜線部分のみを解析すればよい。

図2 形状、負荷の対称性

図2の場合の境界条件は次のように与えられる。

変位境界条件:OA に沿って u(x方向の変位)=0、OB に沿って v(y方向の変位)=0

負荷境界条件:円孔上および BC に沿って外力=0、AC 上で与えられる外力の値

O

C

B

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4.FEM 解析

4.1 ソフトウェア

現在、多くの汎用有限要素法ソフトウェアが開発され市販されている。それぞれ解析対

象、機能やグラフィックユーザーインターフェイスに特徴がある。本解析では、構造解析、

応力解析において代表的な FEM ソフトである ABAQUS(Student Edition)を用いる。

4.2 解析問題

解析対象として、図3に示すような比較的簡単な形状で負荷も単純な円板の直径方向圧

縮と円孔を有する帯板の引張りの二次元弾性解析を行う。それぞれの問題に対して、その

対称性から解析領域および変位と負荷の境界条件を考慮しなければならない。

円柱の直径方向圧縮 有孔帯板の引張り

図3 解析問題

4.3 解析手順

ここでは,FEM 解析の大まかな手順を示す.解析に用いる材料特性、解析条件、実際に

使用する ABAQUS の操作手順の詳細は別に示す.

① 解析対象のモデル(形状)の作成

② 材料特性値の定義

③ 要素特性の定義と選定

④ モデルの要素分割

⑤ 各要素の系全体へのアセンブリ(集合化)

⑥ 変位境界条件の設定

⑦ 負荷境界条件の設定

⑧ 解析実行

⑨ 解析結果の表示

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5.解析結果と考察

通常、解析結果はコンピュータのディスプレイ上に応力分布やひずみ分布の等高線(コ

ンターcontour 図)などで可視化できる。図4に垂直応力σyのコンター図の例を示す。応

力の分布が詳細にわかる。

図4 垂直応力σyのコンター図

(1)解析結果の応力の分布をコンター図として出力する。

(2)応力分布について考察しなさい。

・分布の状況、平均の応力値と比較してどのような状態なのかなど

・破壊の危険部位、どのような破壊が予想されるかなど

6.研究課題

(1)応力分布からどのような知見が得られ、それらをどこでどのように活用するか述

べなさい。

(2)有限要素法の特徴を述べなさい。

7.参考文献

例えば、 山田貴博(訳)、有限要素法 ABAQUS(Student Edition)付 丸善

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有限要素法プログラム ABAQUSによる2次元弾性応力解析

はじめに

ここでは、ABAQUS/CAE(Student Edition)を使って2次元弾性応力解析の手順を説明する。

解析は、(1)円板の直径方向圧縮、(2)円孔を有する帯板の引張の二つを取り上げる。一般に

汎用有限要素法ソフトは、使用する単位系は指定されていない。これにより相対的な解析が可能

である。解析者が正しく統一された単位系を想定すればよい。本解析では、以下の単位を想定し

て解析を進める。

長さ: mm、 力: N 、 応力: N/mm2=MPa

準備

ABAQUS/CAE(Student Edition)が起動したら、「セッションの開始」ダイアログボックスの

「モデルデータベースの作成」を選択して開始状態にする。

1.円板の直径方向圧縮

図1に円板の直径方向圧縮の幾何および荷重条件を示す。モデ

ルや荷重条件の対称性を利用すると、全体の 1/4領域だけをモデ

ル化すればよいことがわかる。

円板の直径d=50 mm

円板の厚さt= 5 mm とし、

材質はエポキシ樹脂として、その材料特性値は

縦弾性係数(ヤング率)E=4000 MPa

ポアソン比 ν=0.38

とする。また、圧縮荷重 P=1000 N とする。

図1 円板の直径方向圧縮の幾何

1.1 モデルの作成

モデルデータベースにモデルを作成する。モデルツリーの「Model-1」と表示されている「モ

デル」の上でマウスを右クリックし、「名前の変更」を選択。表示されたダイアログボックスに

compression(例として)と入力し、「OK」をクリック。以下の操作は compression モデルに対

して行われる。

1.2 パートの作成

2次元平面のジオメトリ(幾何)を作成する。

(1)モデルツリーの「パート」をダブルクリック。

(2)ダイアログボックスで「名前」を circle plateと入力、「モデリング空間」を 2次元平面、

「タイプ」を変形体、「ベースフィーチャ」をシェル、

「近似サイズ」に 200を入力し、「続ける」クリック。

(3)「スケッチャー」ツールボックスの右上にある、「円の作成」ツールを選択し、ビューポー

ト上の円の中心となる点(0,0)をクリックし、円の半径位置(25,0)をクリック。

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円が書けたら右クリック「作業のキャンセル」で終了。プロンプトエリアの「完了」をク

リックして「スケッチャー」を終了。

右上の 1/4領域を残してそれ以外の領域を削除する。

(4)「パートモジュール」のメニューから「形状」→「切り取り」→「押し出し」を選択。

「スケッチャー」ツールボックスの右上にある、「直線の作成」ツールを選択し、一続きの

閉じた直線で削除領域を囲み、右クリック「作業のキャンセル」、プロンプトエリアの「完

了」をクリックして終了すると、解析領域の「パート」ができる。

1.3 材料特性の定義

(1)モデルツリーの「材料特性」をダブルクリック。

(2)ダイアログボックスで「名前」を epoxyと入力、メニューから「機械的」→「弾性」→

「弾性」を選択、「ヤング率」に 4000、「ポアソン比」に 0.38を入力。

(3)「OK」をクリックで終了。

1.4 要素特性の定義と割り当て

1.3 で定義した材料特性を適用する要素特性を定義し,これを「パート:circle plate」に割り

当てる.

定義:

(1)モデルツリーの「要素特性」をダブルクリック。

(2)ダイアログボックスで「名前」を plateSectionと入力し,「カテゴリ」から「ソリッド」,

「タイプ」の一覧から「均質」,「続ける」をクリック.

(3)「要素特性の編集」ダイアログボックスで「材料特性」として「epoxy」,

「平面応力/ひずみ要素厚の値」で5を入力,「OK」をクリック.

割り当て:

(1)モデルツリーの「circle plate」と名づけた「パート」を展開(+印をクリック).

(2)「要素特性の割り当て」をダブルクリックする。ビューポート上で要素特性を割り当てるパ

ート領域をクリックすると,選択領域がハイライト表示される.

(3)プロンプトエリアの「完了」をクリックして終了.「要素特性割り当ての編集」ダイアログ

ボックスですでに定義した要素特性「plateSection」を選択し,「OK」をクリック.

1.5 モデルのメッシュ分割

1.4で要素特性を定義し,それを割り当てた「circle plate」を選択する要素で分割する.

(1)「circle plate」の下にある「メッシュ」をダブルクリック.

(2)「メッシュモジュール」のメニューから「メッシュ」→「コントロール」を選択。

(3)「メッシュコントロール」ダイアログボックスで「要素形状」から「四辺形」,

「テクニック」から「構造」を選択.「OK」をクリックして終了.

要素タイプの選択:

(1)メニューから「メッシュ」→「要素タイプ」を選択.

(2)「要素タイプ」ダイアログボックスで「要素ライブラリ」から「Standard」,

「ジオメトリ次数」から「2次」,「ファミリ」から「平面応力」を選択.「OK」をクリック

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して終了. 「パート:circle plate」に CPS8R 要素が選択される.

要素分割:

(1)メニューから「シード」→「パート」を選択,「全体シード」ダイアログボックスの「近似

全体サイズ」に 2.0 を入力,「OK」をクリック.プロンプトエリアの「完了」をクリック

して終了.ここで,節点が必ず配置される場所を正方形で,おおよそ節点が配置される場

所を丸印で表される.

(2)メニューから「メッシュ」→「パート」を選択,プロンプトエリアの「はい」をクリック

するとメッシュ分割される.

1.6 モデルのアセンブリ

要素分割された「パート:circle plate」をアセンブリする.

(1)モデルツリーの「アセンブリ」を展開し,「インスタンス」をダブルクリック.

(2)「インスタンスの作成」ダイアログボックスでパート「circle plate」を選択し,「OK」をク

リック.

1.7 解析条件の設定

弾性解析であるので静的解析ステップを設定する.

(1)モデルツリーの「ステップ」をダブルクリック,「ステップの作成」ダイアログボックスで

「プロシージャタイプ:一般」から「Static,General」を選択,「続ける」をクリック.

(2)「ステップの編集」ダイアログボックスで「基本」タブの説明に Circle plate under

compression と入力. 「OK」をクリック.

1.8 境界条件の設定

変位と荷重の境界条件を設定するために,設定箇所の定義し,必要な条件を設定する.

集合の定義:

(1)モデルツリーの「アセンブリ」の下の「集合」をダブルクリック,「集合の作成」ダアログ

ボックスで「名前」を leftと入力,「タイプ」はジオメトリを選択し,「続ける」をクリック.

ビューポート上でモデルの左側エッジ(稜線)をクリックして選択し,プロンプトエリアの

「完了」をクリック.

(2)同様の手順でモデルの底辺を bottomとして「集合」を定義する.

(3)同様の手順でモデルの頂上の点を topとして「集合」を定義する.

変位境界条件の設定:

(1)モデルツリーの「境界条件」をダブルクリック,「境界条件の作成」ダイアログボックスで

「名前」を leftと入力,「ステップ」として「Step-1」を選択,「カテゴリ」から「機械的」,

「選択されたステップに対するタイプ」は「対称/反対称/完全固定」を選択, 「続ける」.

(2)プロンプトエリアの「集合」をクリック,「領域の選択」ダイアログボックスで leftを選択

し,「ビューポート内で選択をハイライトする」のチェックを有効にすれば選択されたエッ

ジがハイライト表示される.

(3)「続ける」をクリック,「境界条件の編集」ダイアログボックスで「XSYMM」を選択し,「OK」

をクリックして終了すると,設定されたエッジに沿って記号が表示される.

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(4)同様に bottomとしたエッジに「YSYMM」の条件を設定する.

荷重境界条件の設定:

(1)モデルツリーの「荷重」をダブルクリック,「荷重の作成」ダイアログボックスで

「名前」を compressionと入力,「ステップ」として「Step-1」を選択,「カテゴリ」から「機

械的」,「選択されたステップに対するタイプ」から「集中力」を選択, 「続ける」.

(2)プロンプトエリアの「集合」をクリック,「領域の選択」ダイアログボックスで topを選択

すると,荷重作用点がハイライト表示される.

(3)「続ける」をクリック,「荷重の編集」ダイアログボックスで CF1に 0,CF2に-1000を入

力し,「OK」をクリックして終了すると,指定された点にベクトルが表示される.

1.9 解析ジョブ(解析の単位)の作成と投入(実行)

(1)モデルツリーの「ジョブ」をダブルクリック,「ジョブの作成」ダイアログボックスで

「名前」を circle-plateと入力,一覧から「compression」を選択し,「続ける」.

(2)「ジョブの編集」ダイアログボックスではそのまま「OK」をクリック.

(3)モデルツリーの「ジョブ」を展開し,circle-plateと名づけた「ジョブ」の上で右クリック

して「ジョブの投入」を選択して,計算を実行させる.

1.10 解析結果の表示

(1)ジョブが問題なく完了したら,ステータス表示は「完了」となり,解析結果を結果表示モ

ジュールを使って表示させることができる.

(2)ジョブ名を右クリックして「結果」を選択し,応力分布のコンター図を作成する.

(3)メニューから「結果」→「フィールド出力」,表示させる出力変数を選択して,所要の結果

を得る.

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2.円孔を有する帯板の引張

図2に幾何および荷重条件を示す。モデルや荷重条件の対称

性を利用すると、全体の 1/4 領域だけをモデル化すればよい

ことがわかる。

円孔の直径d= 10 mm

帯板の厚さt= 5 mm

帯板の幅 b= 50 mm

帯板の長さl=60 mm、

材質はエポキシ樹脂として、その材料特性値は

縦弾性係数(ヤング率)E=4000 MPa

ポアソン比 ν=0.38

とする。

負荷条件として引張応力σy=2 MPa(P = 500N)とする。

図2 円孔帯板の引張の幾何

2.1 モデルの作成

モデルデータベースにモデルを作成する。モデルツリーの「Model-1」と表示されている「モ

デル」の上でマウスを右クリックし、「名前の変更」を選択。表示されたダイアログボックスに

tension(例として)と入力し、「OK」をクリック。以下の操作は tensionモデルに対して行われ

る。

2.2 パートの作成

2次元平面のジオメトリ(幾何)を作成する。

(1)モデルツリーの「パート」をダブルクリック。

(2)ダイアログボックスで「名前」を plateと入力、「モデリング空間」を 2次元平面、

「タイプ」を変形体、「ベースフィーチャ」をシェル、

「近似サイズ」に 300を入力し、「続ける」クリック。

(3)「スケッチャー」ツールボックスの右上にある、「直線の作成:矩形(4ライン)」ツールを選

択し、ビューポート上に矩形の最初のコーナーとなる点(-25,-30)をクリックし、反対

のコーナーとなる点(25,30)をクリック。

(4)「スケッチャー」ツールボックスの右上にある、「円の作成」ツールを選択し、ビューポー

ト上の円の中心となる点(0,0)をクリックし、円の半径位置(5,0)をクリック。円

が書けたら右クリック「作業のキャンセル」で終了。プロンプトエリアの「完了」をクリ

ックして「スケッチャー」を終了。

右上の 1/4領域を残してそれ以外の領域を削除する。

(5)「パートモジュール」のメニューから「形状」→「切り取り」→「押し出し」を選択。

「スケッチャー」ツールボックスの右上にある、「直線の作成」ツールを選択し、一続きの

閉じた直線で削除領域を囲み、 右クリックで「作業のキャンセル」、 プロンプトエリア

の「完了」をクリックして終了すると、解析領域の「パート」ができる。

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2.3 材料特性の定義

(1)モデルツリーの「材料特性」をダブルクリック。

(2)ダイアログボックスで「名前」を epoxyと入力、メニューから「機械的」→「弾性」→

「弾性」を選択、「ヤング率」に 4000、「ポアソン比」に 0.38を入力。

(3)「OK」をクリックで終了。

2.4 要素特性の定義と割り当て

2.3で定義した材料特性を適用する要素特性を定義し,これを「パート: plate」に割り当てる.

定義:

(1)モデルツリーの「要素特性」をダブルクリック。

(2)ダイアログボックスで「名前」を plateSection と入力し,「カテゴリ」から「ソリッド」,

「タイプ」の一覧から「均質」,「続ける」をクリック.

(3)「要素特性の編集」ダイアログボックスで「材料特性」として「epoxy」,

「平面応力/ひずみ要素厚の値」で5を入力,「OK」をクリック.

割り当て:

(1)モデルツリーの「plate」と名づけた「パート」を展開(+印をクリック).

(2)「要素特性の割り当て」をダブルクリックして,ビューポート上で要素特性を割り当てるパ

ート領域をクリックすると,選択領域がハイライト表示される.

(3)プロンプトエリアの「完了」をクリックして終了.「要素特性割り当ての編集」ダイアログ

ボックスですでに定義した要素特性「plateSection」を選択し,「OK」をクリック.

2.5 モデルのメッシュ分割

2.4 で要素特性を定義し,それを割り当てた「plate」を適切な要素で分割する.まず、要素分

割を適切に制御するために,以下の操作で「パート: plate」を対角上で 2分割する.

(1)「plate」の下にある「メッシュ」をダブルクリック.メニューから「ツール」→「パーテ

ィション」を選択. 「パーティションの作成」ダイアログボックスでタイプとして「フ

ェイス」,方法として「スケッチ」を選択.

(2)「スケッチャー」ツールボックスの右上にある、「直線の作成:結合」ツールを選択し、孔

の中心と板の右上を結ぶ直線を作成.

(3)右クリック「作業のキャンセル」で終了。プロンプトエリアの「完了」をクリックして「ス

ケッチャー」を終了。

メッシュコントロールの割り当て(メッシュ分割の方法を指定):

(1)「メッシュモジュール」のメニューから「メッシュ」→「コントロール」を選択。

(2)メッシュコントロールを割り当てるパート領域をビューポート上でクリックして選択する

と,選択領域がハイライト表示される. プロンプトエリアの「完了」をクリック。

(3)「メッシュコントロール」ダイアログボックスで「要素形状」から「四辺形」,

「テクニック」から「構造」を選択.「OK」をクリック。

(4)同様にもう一つのパート領域もメッシュコントロールを割り当てる。

(5)プロンプトエリアの「完了」をクリックして終了。

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要素タイプの選択:

(1)メニューから「メッシュ」→「要素タイプ」を選択.

(2)要素タイプを割り当てる領域をビューポート上でクリックして選択すると,選択領域がハ

イライト表示される. プロンプトエリアの「完了」をクリック。

(3)「要素タイプ」ダイアログボックスで「要素ライブラリ」から「Standard」,

「ジオメトリ次数」から「2次」,「ファミリ」から「平面応力」を選択.「OK」をクリック。

「パート:circle plate」に CPS8R要素が選択される.

(4)同様にもう一つの領域も要素タイプを割り当てる。

(5)プロンプトエリアの「完了」をクリックして終了。

要素分割:

(1)メニューから「シード」→「パート」を選択,「全体シード」ダイアログボックスの「近似

全体サイズ」に 2.0 を入力,「OK」をクリック.プロンプトエリアの「完了」をクリック

して終了.ここで,節点が必ず配置される場所を正方形で,おおよそ節点が配置される場

所を丸印で表される.

(2)メニューから「メッシュ」→「パート」を選択,プロンプトエリアの「はい」をクリック

するとメッシュ分割される.

2.6 モデルのアセンブリ

要素分割された「パート:plate」をアセンブリする.

(1)モデルツリーの「アセンブリ」を展開し,「インスタンス」をダブルクリック.

(2)「インスタンスの作成」ダイアログボックスでパート「plate」を選択し,「OK」をクリッ

ク.

2.7 解析条件の設定

弾性解析であるので静的解析ステップを設定する.

(1)モデルツリーの「ステップ」をダブルクリック,「ステップの作成」ダイアログボックスで

「プロシージャタイプ:一般」から「Static,General」を選択,「続ける」をクリック.

(2)「ステップの編集」ダイアログボックスで「基本」タブの説明に plate with hole under tension

と入力. 「OK」をクリック.

2.8 境界条件の設定

変位と荷重の境界条件を設定するために,設定箇所の定義し,必要な条件を設定する.

集合とサーフェスの定義:

(1)モデルツリーの「アセンブリ」の下の「集合」をダブルクリック,「集合の作成」ダアログ

ボックスで「名前」を leftと入力,「タイプ」はジオメトリを選択し,「続ける」をクリック.

ビューポート上でモデルの左側エッジ(稜線)をクリックして選択し,プロンプトエリアの

「完了」をクリック.

(2)同様の手順でモデルの底辺を bottomとして「集合」を定義する.

(3)「アセンブリ」の下の「サーフェス」をダブルクリック,「サーフェスの作成」ダイアログ

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ボックスで「名前」を pullと入力,「続ける」をクリック,モデルの上辺を選択し,プロン

プトエリアの「完了」をクリック.

変位境界条件の設定:

(1)モデルツリーの「境界条件」をダブルクリック,「境界条件の作成」ダイアログボックスで

「名前」を leftと入力,「ステップ」として「Step-1」を選択,「カテゴリ」から「機械的」,

「選択されたステップに対するタイプ」は「対称/反対称/完全固定」を選択, 「続ける」.

(2)プロンプトエリアの「集合」をクリック,「領域の選択」ダイアログボックスで leftを選択

し,「ビューポート内で選択をハイライトする」のチェックを有効にすれば選択されたエッ

ジがハイライト表示される.

(4)「続ける」をクリック,「境界条件の編集」ダイアログボックスで「XSYMM」を選択し,「OK」

をクリックして終了すると,設定されたエッジに沿って記号が表示される.

(5)同様に bottomとしたエッジに「YSYMM」の条件を設定する.

荷重境界条件の設定:

(1)モデルツリーの「荷重」をダブルクリック,「荷重の作成」ダイアログボックスで

「名前」を tension と入力,「ステップ」として「Step-1」を選択,「カテゴリ」から「機械

的」,「選択されたステップに対するタイプ」から「圧力」を選択, 「続ける」.

(2)プロンプトエリアの「サーフェス」をクリック,「領域の選択」ダイアログボックスで pull

を選択すると,サーフェスがハイライト表示される.

(3)「続ける」をクリック,「荷重の編集」ダイアログボックスで大きさに -2.0 を入力し,「OK」

をクリックして終了すると,指定されたサーフェスにベクトルが表示される.

2.9 解析ジョブ(解析の単位)の作成と投入(実行)

(1)モデルツリーの「ジョブ」をダブルクリック,「ジョブの作成」ダイアログボックスで

「名前」を plate-holeと入力,一覧から「tension」を選択し,「続ける」.

(2)「ジョブの編集」ダイアログボックスではそのまま「OK」をクリック.

(3)モデルツリーの「ジョブ」を展開し,plate-hole と名づけた「ジョブ」の上で右クリック

して「ジョブの投入」を選択して,計算を実行させる.

2.10 解析結果の表示

(1)ジョブが問題なく完了したら,ステータス表示は「完了」となり,解析結果を結果表示モ

ジュールを使って表示させることができる.

(2)ジョブ名を右クリックして「結果」を選択し,応力分布のコンター図を作成する.

(3)メニューから「結果」→「フィールド出力」,表示させる出力変数を選択して,所要の結果

を得る.

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機 械 要 素 の 応 力 解 析

はじめに

各種機械や構造物を設計するとき、その構成部材が通常の使用内で破壊しないように材

質や形状寸法が決定される。負荷による変形の大きさや破壊は部材内に生じる応力(単位

面積当たりに作用する内力)によって評価される。つまり、垂直応力あるいはせん断応力

が材料固有のある限界値に達すると破壊や永久変形が生じると考える。したがって、応力

解析は設計上、非常に重要な問題である。

一般に機械に用いられる部品(機械要素)の形状、作用する負荷、支持条件などは、お

およそ材料力学で扱ったものより複雑である。このような材料力学により応力や変形を評

価することが困難な問題の解析に適用される手法として、実験的に解析する方法と計算機

(コンピュータ)を用いた数値解析がある。

実験的に解析する方法としてひずみゲージ法や光弾性法が代表的に知られている。ひず

みゲージ法は、実部材表面上で測定したい箇所にひずみゲージを接着し、直接的に部材表

面上のひずみを測定し、応力に換算する。2次元面の応力、ひずみ分布を測定するには大

きな労力が必要である。一方、光弾性法は部材の表面の応力分布が得られ、複雑形状によ

って起こる応力集中の領域とその応力値を測定することができるのが特徴である。3次元

光弾性法によれば、表面のみならず内部の応力分布も得られる。しかし、光弾性の性質を

利用するために光弾性体である透明樹脂製の模型を用いるモデル実験であり、実部材の形

状、負荷、支持条件などの再現に課題がある。

計算機を用いた数値解析の中で、最も広く用いられるのが有限要素法(Finite Element

Method、FEM)である。近年の計算機の進歩によって、機械工学の分野においては、設計、

製造に CAD、CAM が普及し、より複雑形状な機械要素において最適な設計条件や性能予

測が必要になる中、FEM は CAE(Computer Aided Engineering:計算機支援工学)として欠

かすことができない重要なツールとなっている。

1.目的

実験手法(光弾性実験)と数値解析手法(FEM)により比較的簡単な形状の部材の二次

元弾性応力解析を行い、機械要素や構造部材に生ずる応力や変形の評価方法を学ぶ。また、

光弾性実験法および有限要素法の基礎、特徴を理解する。

2.光弾性実験の概要

2.1 光弾性実験装置

図1は光弾性実験装置を示す.光源部からフィルタ,絞りを通り出た光を視野レンズで

平行光線にした光を偏光子(偏光レンズ)と 1/4 波長板で偏光にして,負荷を与えた光弾

性試験片に垂直入射し,1/4波長板と偏光子を通して光弾性縞を測定するものである.図2

に円板の直径方向圧縮の光弾性縞を示す.明と暗から成る縞が見られる.負荷を大きくし

ていくと縞の数が増えていくのがわかる.試験片は光弾性材料(透明エポキシ樹脂など)

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で作られた光弾性モデルであり,これに荷重を加えて,モデル内の応力分布の様相を測定

するものである.

図1 光弾性実験装置

(a) 荷重 30kgfの等色線 (b) 荷重 60kgfの等色線 (c) 荷重 90kgfの等色線

図2 円板の圧縮の光弾性縞の例

2.2 光弾性効果

無応力状態の光学的に等方な透明材料(光弾性材料)に外力を加えると,異方性すなわ

ち複屈折性を帯びる.これを光弾性効果という.図3は主応力σ1とσ2の応力状態の光弾性

材料に光が入射したときの複屈折性を相対的光路差 Jで示したものである. すなわち,入

射した光は主応力の方向に振動する二つの平面偏光と

なって進み,かつ両者の速度 v1と v2が異なるので相対

的な位相の差δが生じる.無負荷の状態のモデルの屈折

率を n0,負荷後における主応力σ1,σ2の方向に振動す

る平面偏光の屈折率をそれぞれ n1,n2とすれば,次の関

係式が成り立つ.

n1 ― n0=c1σ1+c2σ2

n2 ― n0=c1σ2+c2σ1 から 図3 主応力σ1、σ2と相対

n1 ― n2=(c1-c2)(σ1-σ2)=c(σ1-σ2) 的光路差Jの関係

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ここで c1,c2および c(=c1-c2)は材料,温度,使用光の波長により定まる光弾性定数であ

る.

屈折率は,真空中(空気中)の光の速度 v0とその物質中の速度 v1,v2の比で与えられる

から,モデルの厚さを tとすれば相対的光路差 Jは,

J=t(v0/v1-v0/v2)=t(n1-n2)=t c(σ1-σ2)

光弾性実験では単色光を使用するので,単色光の波長λを用いて,J/λ=N を用いる.す

なわち,光路差をλの何倍にあたるかで計量する.このようなNを縞次数あるいはフリン

ジ数(fringe order)といい,次式のようになる.

N=(c/λ)t(σ1-σ2)=αt(σ1-σ2)

この式は光弾性実験の最も基本になる式で,Nが計測できれば主応力差が求められること

になる.ここで,α=c/λは光弾性(応力)感度と呼ばれる.

3.光弾性感度αの検定

等色線から主応力差を知るためには,光弾性感度αを測定する必要がある.ここでは,

円板の直径に沿って圧縮する実験から求める.図4に示すように直径D=2R、厚さ tの円

板に中心Oを通り直角の xy 軸をとり、y 軸方向の直径に集中荷重Wを加えるとき、円板中

心Oにおける主応力は弾性理論より、

σ1=σx=2W/πtD

σ2=σy=-6W/πtD

よって σ1-σ2=8W/πtD

したがって、αは、

α=N/t(σ1-σ2)=πDN/8W=(πD/8)・(N/W) (mm/N)

円板の中央において、縞次数と荷重との関係を求め、図5のような感度検定曲線からαは

求まる。

図4 円板の圧縮 図5 感度検定曲線の例

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4.円板圧縮の等色線の測定

部材内に生じている応力分布を示すために、等色線図からただちに主応力差分布が得ら

れる。本実験では、等色線図を観察し、主応力差分布の様相を知ることにより応力分布を

考察する。

・ 円板圧縮の荷重Wが( )kgfのときの等色線図をスケッチする。

・ 等色線図から、x軸上におけるフリンジ分布図を作図する。これにより x軸上の主応力

差分布がわかる。

5.考察

円板圧縮の x 軸上の主応力差分布から主応力分布の状態を推定し、主応力分布について

考察、検討する。

6.研究課題

(1)FEMによる応力解析から得られた応力分布と比較する。

(2)光弾性実験の特徴を述べなさい。

(3)主応力について述べなさい。

7.参考文献

例えば、 山田貴博(訳)、有限要素法 ABAQUS(Student Edition)付 丸善