霞ヶ浦におけるケイ素濃度の長期上昇と 懸濁物質及び湖底底質からの...

27
霞霞霞霞霞霞霞霞霞霞霞霞霞霞霞霞霞霞 霞霞霞霞霞霞霞霞霞霞霞霞霞 霞霞霞霞霞 霞霞霞霞 霞霞霞霞霞霞霞霞霞霞霞霞霞霞 () Arai H, Fukushima T, Komatsu K (in press) Japanese Journal of Limnology: DOI 10.1007/s10201-011-0358-0 地地地 FS 地地地

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地球研  FS 勉強会. 霞ヶ浦におけるケイ素濃度の長期上昇と 懸濁物質及び湖底底質からの ケイ素溶出. 荒居博之(筑波大学生命環境科学研究科). Arai H, Fukushima T, Komatsu K (in press) Japanese Journal of Limnology : DOI 10.1007/s10201-011-0358-0. 水界生態系におけるケイ素. 珪藻( SiO 2 の被 殻)  ⇒ ケイ素は必須元素 沿岸域へのケイ素流出の減少 - PowerPoint PPT Presentation

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Page 1: 霞ヶ浦におけるケイ素濃度の長期上昇と 懸濁物質及び湖底底質からの ケイ素溶出

霞ヶ浦におけるケイ素濃度の長期上昇と懸濁物質及び湖底底質からの

ケイ素溶出

荒居博之(筑波大学生命環境科学研究科)

Arai H, Fukushima T, Komatsu K (in press) Japanese Journal of Limnology: DOI 10.1007/s10201-011-0358-0

地球研  FS 勉強会

Page 2: 霞ヶ浦におけるケイ素濃度の長期上昇と 懸濁物質及び湖底底質からの ケイ素溶出

水界生態系におけるケイ素珪藻( SiO2 の被殻)  ⇒ ケイ素は必須元素沿岸域へのケイ素流出の減少 (Humborg et al. 1997; Duan et al. 2007; Li et al. 2007)

ダムの増加 ⇒ 珪藻の堆積

☆ 他の栄養元素(窒素、リン)に比べて観測例少                           ( 河川環境

管理財団、 2007)

 ⇒ ケイ素動態の知見不足

N

P 珪藻

Si 堆積

Si 補給(風化溶出)

ダム・湖沼

非珪藻(有害種)

沿岸域

珪藻

Page 3: 霞ヶ浦におけるケイ素濃度の長期上昇と 懸濁物質及び湖底底質からの ケイ素溶出

1980 ~ 2007 年度の毎月の定期観測に基づくデータベースを使用

☆ 溶存態ケイ素濃度 *1 ( DSi ; 比色法により測定)☆ 生物態ケイ素濃度( BSi ; 珪藻濃度 *2× 平均的な珪藻のケイ素

密度)☆ 鉱物態ケイ素濃度( LSi ; 全ケイ素 *1 -溶存態・生物態ケイ

素)

 湖心のケイ素濃度の長期変化

* 1: 霞ヶ浦河川事務所の観測による* 2: 国立環境研究所の観測による

霞ヶ浦湖心における溶存態・生物態・鉱物態ケイ素濃度の年平均値の変化

上昇1980 1985 1990 1995 2000 20050

2

4

6

8

10

12

Sili

con

conc

entr

atio

n (m

g l-1

)

DSi: +, p < 0.001 BSi: +, p < 0.001 LSi: +, p < 0.001

DSi1980 年代: 1.3 mg

l-1

2000 年代: 4.0 mg l-1

Page 4: 霞ヶ浦におけるケイ素濃度の長期上昇と 懸濁物質及び湖底底質からの ケイ素溶出

広域で上昇傾向だが、流入河川の河口付近では上昇せず 流入河川の DSi 濃度は、 1994 年度と 2007 年度で増加

傾向なし

国立環境研究所によって観測された、過去 30 年間の霞ヶ浦の DSi 濃度の時間的・空間的分布

0

5

10

15

20

25

April2005

April2000

April1995

April1990

April1985

April1980

Dis

tanc

e fr

om B

1 (k

m)

B3

B2B1

C3

C2

C1

mis

sing

valu

e

DSi

ICP

(mg

l-1)

04812

0

5

10

15

20

25

Dis

tanc

e fr

om A

1 (k

m)

A2

A3

A4

A1

02.0

4.0

6.0

8.0

10.0

12.0

April1995

April1990

April1985

April1980

April2005

April2000

C1

0 5 10 15 20 25

April

2005A

pril2000

April

1995A

pril1990

April

1985A

pril1980

Distance from B1 (km)

B3

B2

B1

C3

C2

C1

missingvalue

DSiICP

(mg l-1)

0

4

8

12

濃度上昇と同時期に底質由来の懸濁物質( SS )増加     ⇒ SS 中の珪藻被殻からのケイ素溶出?

内部負荷?

Page 5: 霞ヶ浦におけるケイ素濃度の長期上昇と 懸濁物質及び湖底底質からの ケイ素溶出

懸濁物質( SS )からのケイ素溶出実験

水温

底質採取地点A3 B3 C1

水C1 B0

蒸留水 1℃ 15℃ 25℃

SS 濃度

(mg l-

1)

50 200100 350

霞ヶ浦の湖水・底質サンプリング

溶出実験(ろ過した湖水中で底質を攪拌、暗所・好気的条件)

2008 年 8 月:A3 、 B3 、 C1   同 11 月: B02009 年 6 月: C1   同 10 月: C1

採水・ろ過(実験開始時、 1 週間後まで 1 ~ 2 日間隔、 1 カ月後まで 2~ 7 日間隔)

分析(吸光光度法で溶存態ケイ素濃度を定量)

混合水

Page 6: 霞ヶ浦におけるケイ素濃度の長期上昇と 懸濁物質及び湖底底質からの ケイ素溶出

湖心

底質・湖水サンプリング地点

Page 7: 霞ヶ浦におけるケイ素濃度の長期上昇と 懸濁物質及び湖底底質からの ケイ素溶出

①  懸濁物質( SS )濃度

ケイ素溶出への影響因子

底質採取地点によるケイ素溶出速度の違いは小さい( ±20% 以内)

→  湖心( C1 )の底質のケイ素溶出速度で湖沼全体を代表

湖水中のケイ素溶出速度は蒸留水中より大きい

→ 水中のカチオンによる触媒効果?

(Loucaides et al. 2008)

溶存態ケイ素濃度は SS 濃度にほぼ比例

SS 濃度と溶存態ケイ素濃度の関係

SSd

dRSS

t

C ・C: 溶存態ケイ素濃度 (mg l-1)t: 時間 (day)SS: SS 濃度 (g l-1)RSS: ケイ素溶出速度 (mg g-

1 day-1)0 100 200 300 400

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

solid: distilled water open: lake water

Day 1 Day 7 Day 28

DSi

(m

g l-1

)

SS (mg l-1)

Page 8: 霞ヶ浦におけるケイ素濃度の長期上昇と 懸濁物質及び湖底底質からの ケイ素溶出

②  吸着

ケイ素溶出への影響因子

吸着平衡時、

吸着

珪藻被殻の溶解

γ = 0.12 l g-1

溶存態ケイ素濃度とケイ素溶出速度の関係

①  懸濁物質( SS )濃度

α: 底質へのケイ素吸着量 (mg g-1 )β: 底質中の生物態ケイ素 (mg g-1 )

tSS

SS

t

C

d

d

1d

d

SSd

dRSS

t

C ・

ttSS

t

C

d

d

d

d

d

d

C

溶存態ケイ素濃度は SS 濃度にほぼ比例

C: 溶存態ケイ素濃度 (mg l-1)t: 時間 (day)SS: SS 濃度 (g l-1)RSS: ケイ素溶出速度 (mg g-1 day-1)

1010010101

01 CttSS

CC

0 5 10 15

-0.4

0.0

0.4

0.8

1.2

y = 0.17

Days 0-1 Days 7-28

y = 0.86 - 0.12 x

r2 = 0.68

DSi

rel

ease

rat

e (m

g g-1

day-1

)

DSi (mg l-1)

0 ~ 1 日目のケイ素溶出速度は、水中の溶存態ケイ素濃度と負の相関

1 日目以降はケイ素濃度に依存せず→  実験開始時は非平衡、 1 日後以降は吸着

平衡

Page 9: 霞ヶ浦におけるケイ素濃度の長期上昇と 懸濁物質及び湖底底質からの ケイ素溶出

aTee1d

da

T

a

kt BASS

SS

t

C

BASS

SS

t

C kt

e1d

d

ケイ素溶解速度は 1 週間後まで減少

→  溶けやすい新鮮な珪藻被殻が 1週間程度で溶け切った?

新鮮な珪藻被殻の溶解速度

比較的古い珪藻被殻の溶解速度

ケイ素溶出への影響因子

ケイ素溶解速度の変化

③  珪藻被殻

水温とケイ素溶解速度の関係a = (4.1–4.4)×103 K

ケイ素溶解速度は水温と正の相関

④  水温

A = 1.1–1.4 mg g-1 day-1

k = 1.2–1.3 day-1

B = 0.16–0.24 mg g-1 day-1

T: 水温 (K)

0 10 20 300.0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

C1, June 2009 C1, October 2009

Sampling site & date of the used lake waters and sediments

BSi

dis

solu

tion

rat

e (m

g g-1

day

-1)

day

y = 1.4 exp(- 1.2 x) + 0.24

r2 = 0.91

y = 1.1 exp(- 1.3 x) + 0.16

r2 = 0.87

270 280 290 3000.00

0.05

0.10

0.15

0.20

0.25

Day 7 - 28

y = 1.6× 105 exp (- 4.4× 103/ x)

r2 = 0.96

Day 3 - 7

y = 9.3× 104 exp (- 4.1× 103/ x)

r2 = 0.99

Day 1 - 3

y = 3.6× 105 exp (- 4.3× 103/ x)

r2 = 1.00

BSi

dis

solu

tion

rat

e (m

g g-1

day

-1)

Water temperature (K)

Page 10: 霞ヶ浦におけるケイ素濃度の長期上昇と 懸濁物質及び湖底底質からの ケイ素溶出

湖底底質からのケイ素溶出実験霞ヶ浦の湖水・底質サンプリン

グ溶出実験(ろ過した湖水中で底質を静置、暗所・好気的条

件)

分析(吸光光度法で溶存態ケイ素濃度を定量)

15℃

15℃ ★ 実験開始から 90 日目、 104

日目に水を入れ替え

採水・ろ過(実験開始時、 1 カ月後まで 2 ~ 7 日間隔、その後は200 日後まで 10 回程度)

1℃ 1℃

25℃

25℃

25℃

★ ★

2009 年 6月: C1   同 10月: C1

底質の厚さ   2 cm 4 cm 6 cm

水量 700 ml

Page 11: 霞ヶ浦におけるケイ素濃度の長期上昇と 懸濁物質及び湖底底質からの ケイ素溶出

溶存態ケイ素濃度は時間をかけて一定値(平衡濃度 Ce )へと漸近

溶存態ケイ素濃度の変化(a) 水を入れ替えない場

水温と平衡濃度の関係

ケイ素溶出への影響因子

270 275 280 285 290 295 3000

10

20

30

y = 4.9× 10-4 exp (0.036 x)

r2 = 0.86

Equ

ilib

rium

con

cent

rati

on o

f di

ssol

ved

Si (

mg

l-1)

Water temperature (K)

平衡濃度 Ce は水温の関数

0 50 100 150 2000

5

10

15

20

25

30 a

Water temperature & sediment thickness

1oC, 2 cm

15oC, 2 and 4 cm (averaged)

25oC, 6 cm

DSi

(m

g l-1

)

day

y = 11.7 - 6.53 exp (-x/37.9), r2 = 0.99

y = 14.9 - 9.97 exp (-x/15.3), r2 = 1.00

y = 25.3 -19.2 exp (-x/23.8), r2 = 0.99

Page 12: 霞ヶ浦におけるケイ素濃度の長期上昇と 懸濁物質及び湖底底質からの ケイ素溶出

CR T 036.043bottom e10×.9410×9.4

「平衡濃度と水中のケイ素濃度の差」とケイ素溶出速度の関係

ケイ素溶出への影響因子

新しい水に入れ替えると、ケイ素溶出速度は実験開始時程度にまで回復

→  溶出速度の減少は主に水質変化に起因

ケイ素溶出速度は、「平衡濃度 Ce と水中のケイ素濃度 Cの差」と相関

→  溶出速度は濃度勾配によって律速(拡散)

溶存態ケイ素濃度の変化(b) 90 、 104 日目に水を入れ替えた

場合

C

CeR’bottom: ケイ素溶出速度(g m-2 day-1)T: 水温 (K)Ce: 平衡濃度 (mg l-1)

0 50 100 150 2000

5

10

15

20

25

30 bD

Si (

mg

l-1)

day

1oC, 4 cm

25oC, 2 cm

25oC, 4 cm

0 5 10 15 20 250.0

0.1

0.2

0.3

0.4

y = 4.9× 10-3 x, r2 = 0.73

1oC

15oC

25oC

DSi

rel

ease

rat

e (g

m-2

day

-1)

Difference between DSi concentration and

equilibrium concentration (DSie - DSi, mg l-1)

Page 13: 霞ヶ浦におけるケイ素濃度の長期上昇と 懸濁物質及び湖底底質からの ケイ素溶出

霞ヶ浦の溶存態・生物態ケイ素収支の推定

年スケールでは

流入 流出

湖底底質からの溶出

SS からの溶出

湖水中の物質量の変化

SROOIMM BSiDSiDSiBSiDSi

ARRRRR bottomSSbottomSS

溶出 堆積

ΔM: 湖水中の物質量変化 (g y-1)IDSi: 溶存態ケイ素流入負荷量 (g y-1)ODSi: 溶存態ケイ素流出負荷量 (g y-1)OBSi: 生物態ケイ素流出負荷量 (g y-1)R: 溶存態ケイ素溶出負荷量 (g y-1)RSS: 懸濁物質からのケイ素溶出負荷量 (g y-1)Rbottom: 湖底底質からのケイ素溶出負荷量 (g y-

1)S: 生物態ケイ素総堆積負荷量 (g y-1)A: 湖面積 (m2)Z: 生物態ケイ素純堆積負荷量 (g y-1)

0BSiDSi MM

データベース 室内溶出実験

RZROOIS BSiDSiDSi

生物態ケイ素総堆積負荷量

生物態ケイ素純堆積負荷量

Jan-1 Mar-1 May-1 Jul-1 Sep-1 Nov-1 Jan-10

50

100

150

200

250

300

2005

Inor

gani

c S

S (

mg

l-1)

2004

15.29815.273ee1d

da

T

a

kt BASS

SS

t

C

Page 14: 霞ヶ浦におけるケイ素濃度の長期上昇と 懸濁物質及び湖底底質からの ケイ素溶出

霞ヶ浦の溶存態・生物態ケイ素収支

 インプット:河川流入( 60 ~ 70% )、底質からの溶出( 30 ~40% ) アウトプット:珪藻の堆積( 70 ~ 90% )、河川流出( 10 ~30% )  2000 年代における SS からのケイ素溶出量     =溶存態ケイ素流出負荷量の増加分( 3.0×109 g y - 1 )の30 ~ 100%  SS からのケイ素溶出負荷量 = 湖内の全溶出負荷量の 20 ~ 40%

DSi 0.9×109 gBSi 0.3×109 g

流入DSi (8–12)×109 g y-1

流出 2×109 g y-1

DSi 1.4×109 g y-1

BSi 0.4 ×109 g y-1

堆積・埋没 (6–10)× 109 g y-1

1980 年代

DSi 2.7×109 gBSi 0.7 ×109 g

流入DSi (8–12)×109 g y-1

流出 6×109 g y-1

DSi 4.4×109 g y-1

BSi 1.2 ×109 g y-1

4×109 g y-1 ............ 湖底底質からの溶出 ...……..... 4×109 g y-1

2000 年代

堆積・埋没 (2–6)×109 g y-1

0 g y-1 ……..…........ 懸濁物質 (SS) からの溶出 …… ..... (1–3)×109 g y-1

Page 15: 霞ヶ浦におけるケイ素濃度の長期上昇と 懸濁物質及び湖底底質からの ケイ素溶出

200

150

100

50

00 20 40 60

Biogenic Si (mg g-1)

Mas

s de

pth

(g m

-2)

2005 2007 2009

底質中の生物態ケイ素の鉛直分布

底質コア1980 年~ 2007年: (1.9 ~2.5)×1011 g

収支残差1980 年~ 2007年: 2.3×1011 g

Page 16: 霞ヶ浦におけるケイ素濃度の長期上昇と 懸濁物質及び湖底底質からの ケイ素溶出

まとめ① 霞ヶ浦の底質・湖水を用いた室内実験の結果、

現地のケイ素上昇の 30 ~ 100% を懸濁物質からのケイ素溶出で説明できた。

② 懸濁物質からのケイ素溶出量は、湖底底質からの溶出量の 2 ~ 4 倍程度であった。

③ データベースから推定された過去 30 年間の霞ヶ浦のケイ素収支は、底質中の生物態ケイ素堆積量と比較的よく一致した。

Page 17: 霞ヶ浦におけるケイ素濃度の長期上昇と 懸濁物質及び湖底底質からの ケイ素溶出

湖沼底質中の色素分析による藻類組成変化の復元

Page 18: 霞ヶ浦におけるケイ素濃度の長期上昇と 懸濁物質及び湖底底質からの ケイ素溶出

藻類は種に固有な光合成補助色素 (carotenoids) を有する

珪藻Diatom

s渦鞭毛藻

Dinoflagellates

クリプト藻Cryptophyt

es

緑藻 Green algae

alloxanthindiatoxanthin

luteinzeaxanthin

peridinin

fucoxanthin

藍藻 Cyanobacteri

a

底質中の色素を特定藻類の生物指標 (biomarker) として解析 ( 例えば Soma et al. 1995)

湖沼において、底質中での色素の分解速度やその色素間での違いを評価した研究は少ない。

Page 19: 霞ヶ浦におけるケイ素濃度の長期上昇と 懸濁物質及び湖底底質からの ケイ素溶出

霞ヶ浦木崎湖

諏訪湖琵琶湖研究対象湖沼と底質コア採取地点

霞ヶ浦 (2009 年 7 月 ) 、諏訪湖及び木崎湖 ( 同年 9 月 ) ではダイバーがアクリル筒を用いて ( 上図 ) 、琵琶湖 (2010年 7 月 ) では不攪乱柱状採泥器を用いて行われた。

Page 20: 霞ヶ浦におけるケイ素濃度の長期上昇と 懸濁物質及び湖底底質からの ケイ素溶出

■色素分析■

凍結乾燥試料150 mg

+アセトン 4 ml

450 nm

655 nm

HPLC で試料中の色素を分離 (参考 : Gijsbert et al. 1992)→ フォトダイオードアレイ UV検出器で検出

超音波処理 (2 分 )濾過  (0.2 μmフィルター )濃縮 (約 20倍、窒素ガス使用 )

alloxanthindiatoxanthinluteinzeaxanthin

peridinin fucoxanthin

min

phaeophorbide achlorophyll a phaeophytin a

■底質堆積速度の推定■

霞ヶ浦、諏訪湖、木崎湖・・・見かけ密度のピークを過去の洪水記録と照合して推定 (Fukushima et al. 2010)琵琶湖・・・太井子・奥田 (1989) の報告値 (0.52 kg m-2 y-1) を引用

chl-a 分解産物

■検証用データ■

過去 30 年間の霞ヶ浦湖心 *1 ( 水深 0 ~ 2 m 、月 1 回 )及び琵琶湖今津沖中央 *2 ( 水深 0.5 m 、月 1 ~ 2 回 ) における水中藻類濃度及び chlorophyll a 濃度を使用

*1: 国立環境研究所、 *2: 滋賀県琵琶湖環境科学研究センター

Page 21: 霞ヶ浦におけるケイ素濃度の長期上昇と 懸濁物質及び湖底底質からの ケイ素溶出

200

150

100

50

00 2 4 6 8 10

L. Kasumigaura L. Suwa L. Kizaki

Zeaxanthin (μ g gTOM-1)

Mas

s de

pth

(kg

m-2

)

200

150

100

50

00 2 4 6 8 10 12 14

Diatoxanthin (μ g gTOM-1)

Mas

s de

pth

(kg

m-2

)

L. Kasumigaura L. Biwa L. Suwa L. Kizaki

200

150

100

50

00 1 2 3 4

Lutein (μ g gTOM-1)

Mas

s de

pth

(kg

m-2)

200

150

100

50

00 10 20 30 40 50

Fucoxanthin (μ g gTOM-1)

Mas

s de

pth

(kg

m-2)

200

150

100

50

00 10 20 30 40 50

Fucoxanthin (μ g gTOM-1)

Mas

s de

pth

(kg

m-2

)

200

150

100

50

00 2 4 6 8

Alloxanthin (μ g gTOM-1)

Mas

s de

pth

(kg

m-2

)

200

150

100

50

00 2 4 6 8

Alloxanthin (μ g gTOM-1)

Mas

s de

pth

(kg

m-2

)

200

150

100

50

00 1 2 3 4

Peridinin (μ g gTOM-1)

Mas

s de

pth

(kg

m-2)

200

150

100

50

00 1 2 3 4

Peridinin (μ g gTOM-1)

Mas

s dep

th (k

g m

-2)

200

150

100

50

00 20 40 60 80 100

Biogenic Si (mg g-1)

Mas

s de

pth

(kg

m-2

)

200

150

100

50

00 20 40 60 80 100

Chlorophyll a (μ g gTOM-1)

Mas

s de

pth

(kg

m-2)

120-160μ g gTOM-1

200

150

100

50

00 50 100 150 200

Phaeophytin a (μ g gTOM-1)

Mas

s de

pth

(kg

m-2

)

240μ g gTOM-1

200

150

100

50

00 10 20 30 40 50

Phaeophorbide a (μ g gTOM-1)

Mas

s de

pth

(kg

m-2

)

98μ g gTOM-1

200

150

100

50

00 10 20 30 40 50

Phaeophorbide a (μ g gTOM-1)

Mas

s de

pth

(kg

m-2)

98μ g gTOM-1

多くの色素は深度とともに減少傾向 (p < 0.05)

底質中色素の鉛直分布

Page 22: 霞ヶ浦におけるケイ素濃度の長期上昇と 懸濁物質及び湖底底質からの ケイ素溶出

30 25 20 15 10 5 0

-32

-30

-28

-26Diatoxanthin / diatoms

Dia

toxa

nthi

n in

sed

imen

ts (μ

g g-1

)

/ dia

tom

s in

wat

erco

lum

n (μ

m3 m

-3)

(nat

ural

loga

rith

mic

sca

le)

Lake Kasumigaura

y = - 5.7× 10-3 x - 31, r2 < 0.01 Lake Biwa

y = - 9.7× 10-3 x - 29, r2 < 0.01

Years after sedimentation

30 25 20 15 10 5 0

-32

-30

-28

-26

Lake Biwa

y = - 0.11 x - 26, r2 = 0.59

Fucoxanthin / diatoms

Fuc

oxan

thin

in s

edim

ents

g g-1

)

/ dia

tom

s in

wat

erco

lum

n (μ

m3 m

-3)

(nat

ural

loga

rith

mic

sca

le) Lake Kasumigaura

y = - 2.5× 10-2 x - 30, r2 = 0.14

Years after sedimentation

30 25 20 15 10 5 0

-32

-30

-28

-26Lutein / green algae

Lut

ein

in s

edim

ents

g g-1

)

/ gre

en a

lgae

in w

ater

colu

mn

(μm

3 m-3)

(nat

ural

loga

rith

mic

sca

le) Lake Kasumigaura

y = - 4.6× 10-2 x - 28, r2 = 0.22 Lake Biwa

y = - 6.3× 10-2 x - 29, r2 = 0.44

Years after sedimentation

30 25 20 15 10 5 0

-32

-30

-28

-26Alloxanthin / cryptophytes

Allo

xant

hin

in s

edim

ents

g g-1

)

/ cry

ptop

hyte

s in

wat

erco

lum

n (μ

m3 m

-3)

(nat

ural

loga

rith

mic

sca

le)

Lake Kasumigaura

y = - 3.9× 10-2 x - 28, r2 = 0.11 Lake Biwa

y = - 3.4× 10-2 x - 26, r2 = 0.19

Years after sedimentation

30 25 20 15 10 5 0

-32

-30

-28

-26Peridinin / dinoflagellates

Per

idin

in in

sed

imen

ts (μ

g g-1

)

/ din

ofla

gella

tes

in w

ater

colu

mn

(μm

3 m-3)

(nat

ural

loga

rith

mic

sca

le)

Lake Biwa

y = - 2.6× 10-2 x - 28, r2 < 0.01

Years after sedimentation

30 25 20 15 10 5 0-12

-10

-8

-6

-4Chlorophyll a

Chl

orop

hyll a

in s

edim

ents

g g-1

)

/ chl

orop

hyll a

in w

ater

colu

mn

(μg

m-3)

(nat

ural

loga

rith

mic

sca

le) Lake Kasumigaura

y = - 5.3× 10-2 x - 10, r2 = 0.65 Lake Biwa

y = - 0.16 x - 5.7, r2 = 0.85

Years after sedimentation

dX/dt = – kX と仮定 ⇒ X = X0 exp (– kt)

LN (X/A) = LN[X/ aX0] = – kt – LN(a)

X: 底質中色素濃度 (μg g-1)X0: 初期色素濃度 (μg g-1)A: 水中藻類濃度 (μm3 m-3)a: 係数 (g μm3 μg-1 m-3 )k: 分解速度係数 (y-1)

30 25 20 15 10 5 0

-32

-30

-28

-26

Car

oten

oids

in s

edim

ents

g g-1

)

/ phy

topl

ankt

on in

wat

erco

lum

n (μ

m3 m

-3)

(nat

ural

loga

rith

mic

sca

le)

Zeaxanthin / cyanobacteria

Lake Kasumigaura

y = - 5.3× 10-2 x - 28, r2 = 0.11

Years after sedimentation

霞ヶ浦、琵琶湖における底質中色素濃度と対応藻類の水中濃度の比の分布

色素の分解速度はdiatoxanthin (10-3 y-1) < 他の色素 (10-2 y-1)  < chlorophyll a (10-2–10-1 y-1)

Page 23: 霞ヶ浦におけるケイ素濃度の長期上昇と 懸濁物質及び湖底底質からの ケイ素溶出

データベースとの比較によって得られた分解速度の平均値を適用

全藻類 増加 (p < 0.05)

chlorophyll a 増加 (p < 0.001)

藍藻 減少、珪藻 増加 (p < 0.05)

chlorophyll a 減少 (p < 0.05)

藍藻、緑藻 減少 (p < 0.001)

chlorophyll a 減少 (p < 0.001)

霞ヶ浦における過去 30 年間の藻類量分布

検証用データ(水中藻類デー

タベース)

底質中色素濃度と Soma et al. (1993) の藻類色素 /chlorophyll a比から推定

1980 1990 2000 20100

1x1013

2x1013

3x1013

others

Phy

topl

ankt

on c

ell v

olum

e (μ

m3 m

-3)

0.0

2.0x104

4.0x104

6.0x104

8.0x104

chlorophyll a

Chl

orop

hyll

a in

wat

er c

olum

n (μ

g m

-3)

1980 1990 2000 20100

50

100

150

200

250

300

350

Con

cent

ratio

ns (μ

g gT

OM

-1)

Lake Kasumigaura

chlorophyll a found in the coresChl-a estimated using carotenoids in the cores

cyanobacteria diatoms green algae cryptophytes

1980 1990 2000 20100

20

40

60

80

100

120

Con

cent

rati

ons

(μg

gTO

M-1

)

chlorophyll a + phaeophytine a + phaeophorbide aChl-a estimated using carotenoids in the cores

cyanobacteria diatoms green algae cryptophytes

Page 24: 霞ヶ浦におけるケイ素濃度の長期上昇と 懸濁物質及び湖底底質からの ケイ素溶出

クリプト藻 増加 (p < 0.05)

藍藻 減少 (p < 0.05)

珪藻 増加 (p < 0.01)

藍藻、緑藻 減少 (p < 0.001)

珪藻、クリプト藻 増加 (p < 0.01)

Cyanobacteria

41%Diatoms39%

Green algae10%

Cryptophytes6%

Others4%

1980s

CyanobacteriaDiatoms

Green algae

19%

66%

7%7%

1%

2000s

Cyanobacteria

Diatoms

Green algae

Cryptophytes

Others

Cyanobacteria

56%Diatoms

16%

Green algae22%

Cryptophytes6%

1980s

Cyanobacteria

Diatoms

Green algae

Cryptophytes

47%

30%

16%

7%

2000s

Cyanobacteria

Diatoms

Green algae

Cryptophytes

Cyanobacteria

41%Diatoms

37%

Green algae16%

Cryptophytes6%

1980s

Cyanobacteria

Diatoms

Green algae

Cryptophytes

43%

35%

15%

7%

2000s

Cyanobacteria

Diatoms

Green algae

Cryptophytes

霞ヶ浦における平均的な藻類組成割合

データベースとの比較によって得られた分解速度の平均値を適用

検証用データ(水中藻類デー

タベース)

底質中色素濃度と Soma et al. (1993) の藻類色素 /chlorophyll a比から推定

Page 25: 霞ヶ浦におけるケイ素濃度の長期上昇と 懸濁物質及び湖底底質からの ケイ素溶出

データベースのない地域における過去の藻類組成変化の推定

底質中色素、色素 /chlorophyll a 比及び色素分解速度から推定された諏訪湖、木崎湖の過去の藻類量変化

諏訪湖:珪藻の量・割合 増加藍藻・緑藻の量・割合 減少

木崎湖:珪藻の割合 増加藍藻・緑藻・クリプト藍の量 減少

⇒ 花里・朴 (2008) の報告と整合1960 1970 1980 1990 2000 2010

0

100

200

300

400

Con

cent

ratio

ns (μ

g gT

OM

-1)

Lake Suwa Chl-a estimated using carotenoids in the cores cyanobacteria diatoms green algae cryptophytes dinoflagellates

1960 1970 1980 1990 2000 20100

100

200

300

400

Con

cent

rati

ons

(μg

gTO

M-1

)

Lake Kizaki

Page 26: 霞ヶ浦におけるケイ素濃度の長期上昇と 懸濁物質及び湖底底質からの ケイ素溶出

① 色素の分解速度は diatoxanthin ( ~ 10-3 y-1) < 他の色素 ( ~ 10-2 y-1) < chlorophyll a (10-2–10-1 y-1)であった。

② 分解速度を評価することで、過去の藻類組成割合の変化傾向をよりよく推定できた。

まとめ

Page 27: 霞ヶ浦におけるケイ素濃度の長期上昇と 懸濁物質及び湖底底質からの ケイ素溶出

参考文献DeMaster (1981) Geochim Cosmochim Acta 45:1715–1732Duan S, Xu F, Wang LJ (2007) Biogeochemistry 85:215–234Fukushima T, Kamiya K, Onda Y, Imai A Matsushige K (2010) Fundam Appl

Limnol, Arch Hydrobiol 177:177–188Humborg C, Ittekkot V, Cociasu A, Bodungen B (1997) Nature 386:385–388Li M, Xu K, Watanabe M, Chen Z (2007) Estuar Coast Shelf Sci 71:3–12Loucaides S, Van Cappellen P, Behrends T (2008) Limnol Oceanogr 53:1614–

1621Kraay G, Zapata M, Veldhuis MJW (1992) J Phycol 28:708–712Soma Y, Imaizumi T, Yagi K, Kasuga S (1993) Can J Fish Aquat Sci 50:1142–1146Soma Y, Tanaka A, Soma M (1995) Geochemical Journal 29:107–113河川環境管理財団 (2007) 河川におけるケイ酸など無機溶存物質の流出

機構に関する研究太井子・奥田 (1989) 京都大学防災研究所年報 32:259–278花里・朴 (2008) 日本プランクトン学会報 55:48–51