統計教育における 携帯端末の利用
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統計教育における 携帯端末の利用. 寺尾 敦 青山学院 大学社会情報学部 [email protected] Twitter: @ aterao. 大学教育で の携帯端末の利用. 2009 年 5 月,青山学院大学社会情報学部は iPhone を全学生に配布 (毎年継続中) . iPhone を活用した教育の研究を始めた . 2010 年度からは,科学研究費補助金を受け,「携帯 端末 を活用した新しい大学教育の探求」の研究を行っている. 研究 代表者:寺尾敦,課題番号: 22500934 統計学 教育での携帯端末の活用例を話す.. トピック. - PowerPoint PPT PresentationTRANSCRIPT
大学教育での携帯端末の利用• 2009 年 5 月,青山学院大学社会情報学部
は iPhone を全学生に配布(毎年継続中).– iPhone を活用した教育の研究を始めた.
• 2010 年度からは,科学研究費補助金を受け,「携帯端末を活用した新しい大学教育の探求」の研究を行っている.– 研究代表者:寺尾敦,課題番号: 22500934
• 統計学教育での携帯端末の活用例を話す.
2011/7/25 2心理統計教育におけるウェブの活用
トピック• インタラクティブな講義の実現– ウェブに用意された質問への回答から,学生
の理解変化をモニタリングし,学生にフィードバックすることができる.
• セカンドモニタとしての携帯端末– スマートフォン( iPhone など) をセカンドモ
ニタとして使用することで, PC モニタが小さいという問題を解決することができる.
• Ustream での授業配信2011/7/25 3心理統計教育におけるウェブの活用
1.インタラクティブな講義の実現
• ウェブに用意された質問に学生が回答することで,インタラクティブな講義を実現する.
回答送信簡易集計結果・データ
フィードバック2011/7/25 4心理統計教育におけるウェブの活用
「統計入門」での授業実践1• 無作為抽出について考慮されていない新
聞投書意見をとりあげ,どれぐらい同意できるかをたずねた.
• 無作為抽出について学習する前後の2回,同じ質問を行い,変化をフィードバックした.
• 学術的関心:無作為抽出について学習することで,それに関連した実際的問題を批判的に検討できるようになるか?
2011/7/25 5心理統計教育におけるウェブの活用
参加者• 青山学院大学社会情報学部1年生必修科
目「統計入門」の受講登録者 86 名のうち,授業中に行った2回の質問にいずれも回答した 40 名.
2011/7/25 6心理統計教育におけるウェブの活用
材料• 2008 年 11 月 24 日朝日新聞 声・主張面に
掲載された投書意見「庶民の本音は給付金ほしい」– 大阪府寝屋川市 主婦 66 歳– 自分と周囲の人は定額給付金に賛成– 63% が反対という世論調査は信じられない– 身近な人とのおしゃべりの中に本当の気持ち
が出るのではないか
2011/7/25 7心理統計教育におけるウェブの活用
手続き• 新聞投書を A4 の紙に印刷して,授業の最初
に学生に配布した.• 投書した人の考えにどれくらい同意できるか
を,6件法で回答.回答理由を記述.– 「正解」の選択肢はないということが注意された.
• PC あるいは iPhone から回答を送信.株式会社ネットマンが開発した,携帯端末を活用した授業システム C-Learningを利用した.
2011/7/25 8心理統計教育におけるウェブの活用
手続き• 回答後,テキストをまとめたパワーポイン
トスライドを用いて,無作為抽出の概念と方法について講義(およそ 20 分)を行った.– テキスト:ホーエル『初等統計学』– 新聞投書への言及なし
• 講義後に,投書意見への同意の程度を,再び6件法で回答.回答理由を記述.– 「正解」の選択肢はないということが注意され
た.
2011/7/25 9心理統計教育におけるウェブの活用
結果• 「非常に同意できる」を1点,以下1点刻みで,「まったく同意できない」を6点と点数化.
• 無作為抽出について学習後には,「同意しない」方向への変化が生じた.– 学習前:平均 2.3 標準偏差 1.0– 学習後:平均 2.8 標準偏差 1.3– 学習による変化(差得点):平均 0.5 標準偏差 1.2
–差得点の 95% 信頼区間:下限 0.09 上限 0.862011/7/25 10心理統計教育におけるウェブの活用
非所に同意
できる
同意できる
やや同意
できる
あまり同意
できない
同意できない
まったく同意できない
0
2
4
6
8
10
12
14
16
18
学習前 学習後
度数
N = 402011/7/25 11心理統計教育におけるウェブの活用
2011/7/25 12心理統計教育におけるウェブの活用
2011/7/25 13心理統計教育におけるウェブの活用
この実践のまとめ• ウェブに用意された質問への回答から,学生
の理解変化をモニタリングし,学生にフィードバックすることができる.– リアルタイムの形成的評価ができる.– PC 教室でなくても,携帯端末があればよい.– 自由記述データの即時分析(データマイニング)
とフィードバックも可能(テスト学会で報告予定)
• 分析に用いるデータの収集や,簡単な心理学実験の実施も可能.
2011/7/25 14心理統計教育におけるウェブの活用
2. セカンドモニタとしての携帯端末
• PC 教室のモニタは小さく,複数のウィンドウを切り替えながらの操作はわずらわしい.– 説明文書を読みながらの実習など
• iPhone をセカンドモニタとして活用する.– 授業資料をウェブに用意して, iPhone からアクセ
ス.– iPhone の利点:教材閲覧に十分な画面の大きさ.
小型で邪魔にならない.すぐれた操作性.– 資料を印刷しなくてよい.欠席学生への資料配布
を考えなくてよい.2011/7/25 15心理統計教育におけるウェブの活用
「統計入門」での授業実践2• エクセルを用いたデータ分析の実習• 学生は以下の2条件それぞれで度数分布
表を作成.いずれがよかったかを回答した.–シングルモニタ: PC の画面でエクセルと 説明文書 PDF の両方を表示
– デュアルモニタ: PDF を iPhone で表示. PC モニタではエクセルを全画面表示.
2011/7/25 16心理統計教育におけるウェブの活用
• 学術的関心:統計学の授業での,セカンドモニタとしてのスマートフォン( iPhone )の使用は,学生にどれほど支持されるだろうか?こうした使用法は有望なのか?
2011/7/25 17心理統計教育におけるウェブの活用
1年目( 2009 年)の実践研究• 参加者:– 「統計入門」受講者 86 名のうち,第3回の講義
( 2009 年 10 月 13 日)に出席し, iPhone を所持していた 58 名.
• 材料:– Microsoft Excel 2007 を用いて,度数分布表とヒス
トグラムを作成する手順を示した PDF 文書を作成.– シングルモニタ条件:文書を学生の PC に配信.– デュアルモニタ条件: iPhone のブラウザでアクセ
ス. (株)ネットマンの C-Learning を使用.
2011/7/25 18心理統計教育におけるウェブの活用
• 手続き:– 学生は度数分布表を2回作成.1回はシングルモニタ条件,もう1回はデュアルモニタ条件.経験する条件の順序はカウンターバランスをとった.
– 2条件を比較する質問項目に回答.質問項目は C-Learning に用意.学生は PC あるいは iPhone からアクセスして回答.
2011/7/25 19心理統計教育におけるウェブの活用
• 質問項目:– PDF の閲覧がしやすいのはどちらか?( PC vs.
iPhone )–エクセルの操作がしやすいのはどちらか?–次の機会ではどちらを使うか?その理由は?
2011/7/25 20心理統計教育におけるウェブの活用
結果( 2009 年)
およそ4割の学生が iPhone を支持
PDF閲覧 Excel操作 次回使用0
102030405060708090
100
7464 62
2636 38
PC iPhone
支持割合(%)
2011/7/25 21心理統計教育におけるウェブの活用
実践研究(1年目)の結果• iPhone を支持した学生の多くは,ウィン
ドウを切り替える必要がなく,エクセル操作がしやすい点を支持理由とした.– 「 Excel を全面に表示したまま作業できるか
ら」– 「 iPhone なら操作の仕方を見ながらパソコン
を操作できるからやりやすい」
2011/7/25 22心理統計教育におけるウェブの活用
実践研究(1年目)の結果• PC を支持した学生は, iPhone よりも文字
が大きいこと,操作の慣れ, iPhone での無線 LANアクセスの手間を指摘した.– 「 iPhone は画面が小さくて見にくかったし画
面がでてくるのに時間がかるため」– 「パソコンのほうが慣れているので使いやすい
ため」 – 「 iPhone は画面が小さくて目がちかちかして非常に疲れるし,起動や設定に時間がかかりすぎていらいらする」
2011/7/25 23心理統計教育におけるウェブの活用
考察• セカンドモニタとしての iPhone の使用は
40% ほどの学生の支持を得た. iPhone 導入の意味は十分にあったと考える.
• しかし,支持率をもう少し高くすることはできないか?
• 注目した点:学生はなぜ「画面が小さい」と言うのか?– 小さければ拡大すればよい.
2011/7/25 24心理統計教育におけるウェブの活用
考察• 画面をスクロールしたり,拡大したりして,
必要な情報を適切に表示させることが,そもそも面倒.–余分な操作なく,ひとつの画面から必要な情
報が得られるべき.• 教材のレイアウトを改善する必要
2011/7/25 25心理統計教育におけるウェブの活用
Word 2007 で作成した文書を PDF にした教材をiPhone のブラウザで表示した画面.
2011/7/25 26心理統計教育におけるウェブの活用
教材 PDF の一部を拡大した画面.必要な情報が一画面に収められていない.
2011/7/25 27心理統計教育におけるウェブの活用
2年目( 2010 年)の実践研究• Spatial Contiguity Principle: 対応する文と絵
は近くに配置すると,学習が促進される.– Mayer (2009) による,マルチメディア学習で
のデザイン原理のひとつ.• この原理にしたがって,教材レイアウトを改善した.–ひとまとまりの操作に必要な情報が,ひとつ
の画面に収まるようにする.
2011/7/25 28心理統計教育におけるウェブの活用
PowerPoint 2007 で作成した文書を PDF にした教材をiPhone のブラウザで表示した画面.
2011/7/25 29心理統計教育におけるウェブの活用
• 参加者:– 「統計入門」受講者 96 名のうち,第2回の講義
( 2010 年 9 月 28 日)に出席し, iPhone を所持していた 67 名.
• 材料:– Microsoft Excel 2007 を用いて,度数分布表とヒス
トグラムを作成する手順を示した PDF 文書を作成.– シングルモニタ条件:文書を学生の PC に配信.– デュアルモニタ条件: iPhone のブラウザでアクセ
ス. (株)ネットマンの C-Learning を使用.
2011/7/25 30心理統計教育におけるウェブの活用
• 手続き:– 学生は度数分布表を2回作成.1回はシングルモニタ条件,もう1回はデュアルモニタ条件.経験する条件の順序はカウンターバランスをとった.
– 2条件を比較する質問項目に回答.質問項目は C-Learning に用意.学生は PC あるいは iPhone からアクセスして回答.
2011/7/25 31心理統計教育におけるウェブの活用
• 質問項目:– PDF の閲覧がしやすいのはどちらか?( PC vs.
iPhone )–エクセルの操作がしやすいのはどちらか?–次の機会ではどちらを使うか?その理由は?
2011/7/25 32心理統計教育におけるウェブの活用
結果( 2010 年)
およそ7割の学生が iPhone を支持
PDF閲覧 Excel操作 次回使用0
102030405060708090
100
30 30 27
70 70 73
PC iPhone
支持割合(%)
2011/7/25 33心理統計教育におけるウェブの活用
考察• 教材改善の効果は劇的であった.– マルチメディア学習のデザイン原理にした
がった. Spatial Contiguity Principle• 2010 年は,無線 LAN 使用の設定や C-
Learning へのアクセスにとまどった学生が少なかった.このことも,セカンドモニタとしての iPhone の支持率を引き上げた要因かもしれない.
2011/7/25 34心理統計教育におけるウェブの活用
この実践のまとめ• PC 教室での統計学の授業で,スマート
フォン( iPhone など) をセカンドモニタとして使用することで, PC モニタが小さいという問題を解決することができる. – 教材はウェブに用意.端末にダウンロードす
ることも可能.–ペーパーレスの講義– iPad のようなタブレット端末なら,なおよ
い?
2011/7/25 35心理統計教育におけるウェブの活用
3. Ustream での授業配信• Ustream の利用により,手軽に授業配信を
行うことが可能になった.– PC 画面と音声の配信なら,費用も手間もほとんどかからない.
• Ustream Producer を用いて配信した動画は,自動的に iPhone でも閲覧可能となる.–だたし,大学の LAN 環境によって
は, Ustream Producer による配信ができない場合もある.
2011/7/25 36心理統計教育におけるウェブの活用
「社会統計」での授業実践• Ustream のチャンネル aoyamassi を作成.– 「社会統計」および「社会統計演習」の授業
を配信.– いずれは他の授業,他の教員にも広げたい.
• 大学の LAN 環境が Ustream Producer での配信を許さないため,授業後に自宅から配信を行っている.– 2010 年度は, SCFH DSF を利用しての授業配信
も実施.この方法はたいていの環境で可能.
2011/7/25 心理統計教育におけるウェブの活用 37
PC での授業の視聴
2011/7/25 心理統計教育におけるウェブの活用 38
PC での授業の視聴(フルスクリーンモード)
2011/7/25 心理統計教育におけるウェブの活用 39
iPhone アプリでの検索
2011/7/25 心理統計教育におけるウェブの活用 40
iPhone アプリでの授業の視聴
2011/7/25 心理統計教育におけるウェブの活用 41
この実践のまとめ• Ustream の利用により,手軽に授業配信を
行うことが可能になった.• Ustream Producer を用いて配信した動画は,
自動的に iPhone でも閲覧可能となる.
2011/7/25 心理統計教育におけるウェブの活用 42
トピック• インタラクティブな講義の実現– ウェブに用意された質問への回答から,学生
の理解変化をモニタリングし,学生にフィードバックすることができる.
• セカンドモニタとしての携帯端末– スマートフォン( iPhone など) をセカンドモ
ニタとして使用することで, PC モニタが小さいという問題を解決することができる.
• Ustream での授業配信2011/7/25 43心理統計教育におけるウェブの活用
謝辞• 紹介した実践・研究は,科学研究費補助金
(研究代表者:寺尾敦,課題番号:22500934 )による支援を受けています.
• 統計学教育の実践・研究は,科学研究費補助金(研究代表者:山田剛史,課題番号: 20530595 )による支援を受けています.
2011/7/25 心理統計教育におけるウェブの活用 44
相模大野高校 国松稔之先生作成 「ドア開けロボ」
ありがとうございました
2011/7/25 45心理統計教育におけるウェブの活用