サービスブランド構築のための「商標」戦略 修正版

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実例から学ぶネーミングと 商標登録の際の注意点 2013年3月4日 特許業務法人 浅村特許事務所 弁理士 大塚 一貴

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Page 1: サービスブランド構築のための「商標」戦略 修正版

実例から学ぶネーミングと  商標登録の際の注意点  

 2013年3月4日  

特許業務法人 浅村特許事務所  弁理士 大塚 一貴  

Page 2: サービスブランド構築のための「商標」戦略 修正版

本日の講義内容 �  1.商標が活用されるのはどのような場面か      実例を通じて商標問題に関連するリスクとその防止法学ぶ�

�  2.商標選定(ネーミング)の際に考慮すべきことは何か      ブランド構築の中心として強い商標権を得るための様々な    ポイントを学ぶ�

�  3.商標の権利化にはどのような手法があるのか、    商標権はどのように管理すべきか      登録制度に基づく商標の権利化の仕組み、商標権の維持    管理のポイントを学ぶ�

Page 3: サービスブランド構築のための「商標」戦略 修正版

1.商標が活用されるのはどのような場面か  

商品とサービス(役務)に使用する商標の違い  

� 商品:被服  商標:えり札等に付す�

商品:アプリ、音楽  商標:包装等に付す�

役務:アプリ、音楽の       インターネット提

供  商標:どのように使用?  

Page 4: サービスブランド構築のための「商標」戦略 修正版

1.商標が活用されるのはどのような場面か

商品�商標� 役務�物を介して�商標�

商品への商標の使用� サービス(役務)への商標の使用�

例)カフェサービス1:コップに商標を付す         〃    2:前記コップで飲み物を提供する         〃    3:商標付エスプレッソマシンを展示する     クリーニングサービス:クリーニング済み衣服に商標を付す     ネットバンキング:操作画面に商標を表示する     各種サービス広告:雑誌、ウェブ等に広告掲載する �

Page 5: サービスブランド構築のための「商標」戦略 修正版

1.商標が活用されるのはどのような場面か 事例1 �

<A社の使用している商標等>�・ホームページ名「旅んこ玉っち」�・ドメイン名「tabitama.net」�

<A社のサービス概要>�・ネット上のホテル、旅館の予約サービス�・ホテル、旅館の所在地、宿泊値段等の � サービス内容をネット上で提供�

<B社の商標登録>�1.商標「旅のたまご」�  役務「広告、宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ」  2.商標「たびたま/tabitama」�  役務「広告」�

判例  東京地裁平成17.03.31  平成15(ワ)21451    結論:  ‐請求棄却  判断理由等:  ‐商標が類似しない。  ‐A社のサービスは、    「宿泊施設の提供の契約の    媒介又は取次ぎ」に該当。    A社のサービスは、    「広告」には該当しない。 �

Page 6: サービスブランド構築のための「商標」戦略 修正版

1.商標が活用されるのはどのような場面か 事例2  �

<A社2の使用している商標等>�・ホームページ上の表示「Careerjapan.jp」、「DISCO  CAREER  JAPAN.JP」�・ドメイン名「disco-­‐careerjapan.jp」�

<A社のサービス概要>�・ウェブサイトにおける求人情報の提供  ・同サイトで採用希望企業の情報を整理編集し閲覧できるように提供�

<A社の商標登録>�

1.商標「  CAREER  JAPAN  」�  役務「求人情報の提供,職業のあっせん,電子計算機通信ネット        ワークによる求人情報の提供および職業のあっせん 」    <B社の商標登録>  2.商標「Career-­‐Japan」�  役務「電子計算機通信ネットワークによる広告の代理,広告文の作成」�

判例  東京地裁平成16.04.20  平成14(ワ)13569  結論:  ‐A社はHPサイトで提供する    業務に商標を使用しては    ならない(差止請求認容)。  判断理由等:  ‐HP上の商標が類似する。  ‐A社の後者のサービスは、    「電子計算機通信ネット    ワークによる広告の代理」    と同一ないし類似する。 �

Page 7: サービスブランド構築のための「商標」戦略 修正版

1.商標が活用されるのはどのような場面か � 事例3  <A社の使用商標等>  ・ホームページ上の表示:「クルマの110番」、「自動車の119番」  ・メタタグとして、「<meta  name=“description”content=“クルマの110番。   輸入、排ガス、登録、車検、部品・アクセサリー販売等、クルマに関   する何でも弊社にご相談下さい。”>」と記載。   (メタタグ:ウェブサイトのトップページを表示する為のhtmlファイル)    <A社のサービス概要>  車両整備全般、板金塗装全般等を業    <B社の商標登録>  商標:    役務「自動車の修理又は整備」  

判例  東京地裁平成17.12.08  平成16(ワ)12032  結論:  ‐損害賠償請求認容。  判断理由等:  ‐HP上の商標が類似する。  ‐A社の商標の使用行為は、B社    の役務の広告に当たる。 �

Page 8: サービスブランド構築のための「商標」戦略 修正版

商標保護�リスクを排除するのみならず�

文言等を取引において積極的コントロール�

Page 9: サービスブランド構築のための「商標」戦略 修正版

2.商標選定(ネーミング)の際に考慮すべきことは何か

� 商標の保護の対象になるサービスは、「独立して取引の対象となる、他人のために行う労務又は便益」である。   *商標を使用するサービスが保護の対象となるものかを確認すべき。    � サービスに対して商標は「物を介して」使用する。   *商標の使用場面を具体的に想定すべき。    

� 登録要件との関係で他人が似た商標を登録し難い構成にできるようにする。  

 

Page 10: サービスブランド構築のための「商標」戦略 修正版

2.商標選定(ネーミング)の際に考慮すべきことは何か

1.商標で保護できる対象となる役務の特定し、  ↓  

2.商標の使用態様を考慮し、  ↓  

3.主な登録要件を考慮して選定    <主な登録要件>  ・自他役務の識別力があること  ・役務の質の誤認を生じさせないこと  ・既存の商標登録(出願)と同一・類似範囲でないこと   (自己の商標が登録された場合に他人の商標に対する類似範    囲が狭くならないような構成を検討する。)  �

Page 11: サービスブランド構築のための「商標」戦略 修正版

2.商標選定(ネーミング)の際に考慮すべきことは何か

類似の  判断基準�

外観�

称呼�観念�

Page 12: サービスブランド構築のための「商標」戦略 修正版

2.商標選定(ネーミング)の際に考慮すべきことは何か  主な登録要件の側から検討すると同時に、「他人の商標に対する類似範囲が狭くならないような構成を検討」することで、登録を受けることができた場合に強い商標権となる。    1.文字と図形の要素は一体性がない限り原則切離して検討。   *ネーミングでは通常、文字からなる商標を検討するが、スマートフォン、     電子タブレット等の普及も相まって、画面上の省スペースで表示できるロゴ     (多くの場合図形要素を含むロゴ)の重要性も高まっている。    2.外国言語文字を使用する場合、通常の日本人が認識す      るの発音と、本来の発音との対応関係が自然であるか確認。    3.商標として保護を求めたい文字等の要素が「要部」(識別    のポイントになる部分)といえるか確認。  

Page 13: サービスブランド構築のための「商標」戦略 修正版

2.商標選定(ネーミング)の際に考慮すべきことは何か

 文字と図形の要素の分離  <Facebook,  Inc.の商標登録例>    (1)文字商標の登録例       (2)図形要素を含む商標                         の登録例  【第5035555号】        【第5499070号】      FACEBOOK    【第5499071号】   フェースブック                        �

Page 14: サービスブランド構築のための「商標」戦略 修正版

2.商標選定(ネーミング)の際に考慮すべきことは何か

外国言語文字を使用する場合、通常の日本人が認識するの発音と、本来の発音との対応関係    <外国言語文字商標で自然な称呼が認識しにくい例>    (1)外国言語文字商標例  (2)対応する日本語商用例  【第5491908号】    【第4921036号】  「Ameba」           「アメーバ」    *前記商標登録はサーバーエージェント社のものであるが    同社以外に、アメーバ商標を京セラ社も出願、登録している。  

Page 15: サービスブランド構築のための「商標」戦略 修正版

2.商標選定(ネーミング)の際に考慮すべきことは何か

 商標として保護を求めたい文字等の要素が「要部」(識別  のポイントになる部分)といえるか    <要部にはならない要素の代表例>  ・「○○21」(数字部分は原則識別力なし)  ・「TOKYO○○」(地名は原則識別力なし)  ・「SUPER○○」(単に質を表すような表示)  ・「TANAKA○○」(ありふれた氏)  ・「#」、「JP」(極めて簡単でありふれた標章。簡単な記号、           アルファベット1,2文字の商標)  

Page 16: サービスブランド構築のための「商標」戦略 修正版

2.商標選定(ネーミング)の際に考慮すべきことは何か

商標として保護を求めたい文字等の要素が「要部」(識別  のポイントになる部分)といえるかの一つのメルクマール       暗示的�

商標と役務の関係性:     ×             △            ○        記憶や連想のし易さ:      ×             ○            △        商標としての登録性:      ○            △~○          ×        �

Page 17: サービスブランド構築のための「商標」戦略 修正版

3.登録制度に基づく商標の権利化の仕組み

Page 18: サービスブランド構築のための「商標」戦略 修正版

3.登録制度に基づく商標の権利化の仕組み

Page 19: サービスブランド構築のための「商標」戦略 修正版

3.登録制度に基づく商標の権利化の仕組み(国内)

Page 20: サービスブランド構築のための「商標」戦略 修正版

3.登録制度に基づく商標の権利化の仕組み(海外)

出願人�

本国官庁(受理官庁)�

国際事務局�

A国� B国� C国  未加盟   A国� B国� C国�

外国  代理人�

外国  代理人�

外国  代理人�

出願人�

     国際登録出願の方法  (マドリッド協定議定書の加盟国のみ)�

直接出願の方法�

いずれの出願方法による場合でも各国の登録要件は各国の法律に基づく。 �

Page 21: サービスブランド構築のための「商標」戦略 修正版

3.商標権の維持管理のポイント

� 使用義務の履行   ‐正当理由なく   ‐継続して3年間登録商標を指定役務等に使用しないと、     ‐第三者が取消審判を請求した場合取消されます。  

� 希釈化防止  

� 業務の拡大に応じた指定役務等の見直し �

Page 22: サービスブランド構築のための「商標」戦略 修正版

     

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