平成 22 年度地域新成長産業創出促進事業...

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平成 22 年度地域新成長産業創出促進事業 「東北地域のエネルギー特性を踏まえた産業基盤強化・ 新事業創出事業」に関する調査 (スマートグリッド編) 報告書 平成23年2月 経済産業省東北経済産業局

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平成 22 年度地域新成長産業創出促進事業

「東北地域のエネルギー特性を踏まえた産業基盤強化・

新事業創出事業」に関する調査

(スマートグリッド編)

報告書

平成23年2月

経済産業省東北経済産業局

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目次

第1章 調査の目的 -------------------------------------------------------- 1

1-1 調査の背景 ------------------------------------------------------ 1

1-2 調査の目的 ------------------------------------------------------ 2

1-3 調査の構成 ------------------------------------------------------ 5

第2章 スマートグリッドに関連する要素技術の全体像 ------------------------ 9

2-1 スマートグリッドを構成する要素技術 ------------------------------ 9

2-2 各要素技術に関連するビジネスの動向 ----------------------------- 13

2-2-1 物理層(建物・機器) ------------------------------------- 13

2-2-2 論理層(通信・情報処理) --------------------------------- 27

2-2-3 アプリケーション層(コンテンツ) ------------------------- 32

2-2-4 統合ソリューション --------------------------------------- 39

2-3 スマートグリッドに関する技術ロードマップ ----------------------- 45

第3章 全国におけるスマートグリッドに関する技術開発動向 ----------------- 47

3-1 次世代エネルギー・社会システム実証事業地域における取り組み ----- 47

3-1-1 神奈川県横浜市 ------------------------------------------- 47

3-1-2 愛知県豊田市 --------------------------------------------- 49

3-1-3 京都府けいはんな学研都市 --------------------------------- 50

3-1-4 福岡県北九州市 ------------------------------------------- 52

3-2 けいはんな地区における具体的な取り組み状況 --------------------- 56

3-2-1 関西文化学術研究都市推進機構 ----------------------------- 56

3-2-2 京都大学松山研究室 --------------------------------------- 61

3-3 北九州地区における具体的な取り組み状況 ------------------------- 67

第4章 東北地域におけるスマートグリッドに関するシーズ ------------------- 73

4-1 東北地域の地域特性とスマートグリッド --------------------------- 73

4-2 アンケート調査 ------------------------------------------------- 78

4-2-1 アンケート調査の実施概要 --------------------------------- 78

4-2-2 アンケート調査の調査結果 --------------------------------- 89

4-3 企業・研究者によるスマートグリッドに関連した取り組み ---------- 107

第5章 東北地域における今後の技術開発の方向性 -------------------------- 120

5-1 今後の取り組みの方向性 ---------------------------------------- 120

5-2 情報連絡会議の運営の方向性 ------------------------------------ 122

5-3 スマートグリッドに対応した家電・蓄電池・電気自動車の分科会 ---- 126

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5-4 エネルギー管理システムの分科会 -------------------------------- 127

5-5 スマートグリッド時代に対応した住宅・ビルの分科会 -------------- 136

第6章 研究会・情報連絡会議の報告 -------------------------------------- 150

6-1 研究会 -------------------------------------------------------- 150

6-1-1 第1回研究会 -------------------------------------------- 150

6-1-2 第2回研究会 -------------------------------------------- 153

6-1-3 第3回研究会 -------------------------------------------- 157

6-2 情報連絡会議 -------------------------------------------------- 160

6-2-1 第1回情報連絡会議 -------------------------------------- 160

6-2-2 第2回情報連絡会議 -------------------------------------- 166

参考資料 ---------------------------------------------------------------- 170

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1

第1章 調査の目的 1-1 調査の背景

太陽光発電や風力発電をはじめとした「再生可能エネルギー」の普及に伴って、系統側

と需要側を含めた電力網全体のエネルギーをコントロールする「スマートグリッド」導入

の必要性は広く認識されており、「スマートグリッド」に関連する要素技術については世界

的規模の市場拡大が確実視されている。

しかし、スマートグリッド・テクノロジーの実用化のための技術開発はようやく始まっ

たばかりである。経済産業省資源エネルギー庁では、2010 年 1 月に「次世代エネルギーシ

ステムに係る国際標準化に関する研究会」を通じて、日本のスマートグリッド技術開発に

おける「26 の重要アイテム」を特定し、国際標準化のプロセスを含めた「ロードマップ」

の作成を行っている。

ただしここでの議論は、主に国際標準化のための規格のあり方が中心であり、電力網全

体のエネルギーのコントロールに関する具体的なビジネスや中小企業における参入可能性

についてはあまり議論がなされていない。このため、特に中小企業においては参入に関心

を持つ企業も現時点では具体的な開発目標を見出せない状況となっている。

そこで本事業においては、産学官によるスマートグリッドに関する研究会や情報連絡会

議の立ち上げを図ることで、今後のスマートグリッド分野における開発課題とそこに対す

る東北地域の中小企業の参入可能性を検証し、東北地域におけるスマートグリッド・テク

ノロジー関連産業振興支援の先鞭をつけることとする。

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1-2 調査の目的

■調査のねらい

~スマートグリッドに関する「情報」と参入のための「機会」を提供することで、東北

の企業・研究機関がスマートグリッドに取り組む上での『きっかけ』を作る~

以上のような事業の趣旨を踏まえて、NRIとしては東北地方の中小企業(関連

機器メーカー・組み込みソフトウェアベンダーなど)に、スマートグリッド・テ

クノロジーに関する「①情報」と参入のための「②機会」を提供することで、東

北の企業・研究機関がスマートグリッドに取り組む上での『きっかけ』を作るこ

とを本事業の目標(ゴール)と設定する。

具体的には、本事業の終了後に「国内のスマートグリッド関連技術の開発動向に

ついて、最新情報を入手するための独自のネットワークを確立されている」と「ス

マートグリッドの要素技術開発に向けた東北地方の中小企業によるコミュニティ

が形成されている」という 2つの状況の達成を目指す。

■「①情報」の提供とその意義

「情報」については、東北地域の研究機関・大学が持つ技術シーズの状況等から、

競争力のあるスマートグリッド関連技術の開発可能性が高い技術分野を特定する。

そして可能性の高いスマートグリッド関連技術について、その「開発プレーヤー」

と「要素技術」「開発課題」を明確にし、情報連絡会議などを通じて、スマートグ

リッドに関心の高い東北の中小企業に情報を提供する。

このような情報の提供を通じて、スマートグリッドに関心の高い東北の中小企業

が、自社で開発テーマの設定する上での参考になる。また、スマートグリッド関

連技術に取り組む大手メーカー等への働きかけを通じて、共同研究を実施する上

での「きっかけ」ができる可能性もある。

■「②機会」の提供とその意義

「機会」の提供については、東北の中小企業にとって参入可能性があり、かつ市

場の大きいスマートグリッド技術の開発可能性が高い技術分野を中心に、情報連

絡会議において要素技術とその開発課題に関する情報を提供する。

このような会議運営の工夫を行うことで、東北の中小企業により事業化の可能性

が高い技術分野において、多くの情報収集と人脈形成のチャンスを創出すること

ができると考える。

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3

本事業におけるアプローチ

スマートグリッドに関心のある

東北の中小企業

①情報

②機会

中小企業にとってのメリット

自社の開発テーマの設定に役立つ

構成要素

要素技術

開発課題

開発プレーヤー 自社の技術シーズの

営業を展開できる

情報連絡会議 情報収集と人脈形成

のチャンスが生まれる

を実現最新情報を入手するための独自のネットワークを確立

東北地方の中小企業によるスマートグリッドコミュニティの形成

本事業によるきっかけづくりを通じて…

将来的には、情報連絡会議やコミュニティでの議論を踏まえて、スマートグリッド関連技術を提供する元請企業への提案を目指す

なお、本調査ではスマートグリッドに関連する要素技術の中でも、「需要側」に関連する

要素技術やビジネスモデルの在り方を調査の対象とした。その理由は以下の通りである。

供給側は、電力会社や電力会社と取引しているグループ会社・重電メーカーが、既に

ビジネスを実施しており、これから中小企業が参入することは非常に難しい。

一方で需要側は、自動車や家電等の機器やシステムが多数あり、その組み合わせ次第

で新たな参入の可能性があるためである。

特に需要側のシステムは規模が大きくなくても良いため、中小企業でも参入しやすい。

また自動車や家電についても、製品を構成する要素技術はセットメーカーでは手が回

らない部分もあるため、地域の技術力を使っていくチャンスはある。

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スマートグリッドの系統側・需要側における関連主体と今後のビジネス参入の余地

電力会社が管理 各家庭・事業所が管理

E P C O M

Engineering ProductConstructionOperationMaintenance

E P C O M

EngineeringProductConstruction Operation Maintenance

重電メーカー ゼネコン 機能子会社

サプライヤー

サプライヤー

下請け・・・ ・・・ 下請け ・・・

家電メーカー(HANなど)

メーター・給湯機メーカー

PVメーカー

蓄電池メーカー

自動車メーカー

ゼネコン

ハウスメーカー

システムベンダーシステムベンダー

家電メーカー(HANなど)

電気設備業

サプライヤー

サプライヤー

・・・

機器

部品・素材

スマートグリッドによる取引拡大の可能性があったとしても電力会社が既存に付き合っているところが中心

家電・自動車・蓄電池・発電装置の組み合わせ次第でビジネス参入の余地は相対的に大きい

ホームゲートウェイと接続

住宅 ビル

需要側を中心に、東北において技術開発のポテンシャルがある分野を抽出⇒協議会を立ち上げて、分野別に技術開発の方向性と戦略を検討

系統側 需要側

工場

HEMS BEMS FEMS通信網&電力網

監視制御装置(μEMS)

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1-3 調査の構成

本調査は、以下の内容から構成されている。

1)東北の企業・研究機関のテクノロジーマップの作成

・東北においてスマートグリッドに関連する要素技術開発に取り組んでいる企

業・研究者をデータベース化

2)スマートグリッド関連技術の技術ロードマップの作成

・スマートグリッドに関連する要素技術の全体像の把握

・上記の要素技術を活用したビジネスの国内外の動向

3)「研究会」における新事業創出の方向性の検討と「情報連絡会議」を通じた東北の企

業・研究機関に対する情報提供

4)調査のとりまとめ

調査の構成

①情報

②機会

スマートグリッドの要素技術の特定

開発課題の把握

開発プレーヤーの把握

(3)情報連絡会議を通じた「情報」と「機会」の提供

(2)スマートグリッド関連技術の開発プレーヤーの開発動向の把握(技術ロードマップ作成)

(1)東北の研究機関・企業の技術シーズの把握

アンケート調査

ヒアリング調査

(4)研究会による新事業創出の方向性の検討

支援

上記の各調査項目について、具体的には「企業アンケート調査」「研究者アンケート調

査」「ヒアリング調査」「文献調査」を通じて把握した。

1.アンケート調査

1)企業アンケート調査

東北6県に本社を置くスマートグリッドに関連する業種の企業を対象に、スマートグ

リッド分野への事業参入に対する意欲と、現在の研究開発の状況等を調査。

○データ : 東京商工リサーチデータベース

○対象業種: 製造業(電気関連機器)、通信業、情報サービス業、電気設備メンテ

ナンス業

○対象規模: 2000年以降に創業した企業は全企業、2000年より前に創業した企業

は売上高5億円以上の企業のみ

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企業アンケートの送付対象

東北6県(青森・岩手・秋田・宮城・山形・福島)JSIC中分類 企業数 JSIC小分類 企業数

23 非鉄金属製造業 9 234 電線・ケーブル製造業 927 業務用機械器具製造業 20 273 計量器・測定器・分析機器・試験機・測量機械器具・理化学機械器具製造業 20

電子部品・デバイス・電子回路製造業 281 電子デバイス製造業 43282 電子部品製造業 29283 記録メディア製造業 2284 電子回路製造業 17285 ユニット部品製造業 5289 その他の電子部品・デバイス・電子回路製造業 142

電気機械器具製造業 291 発電用・送電用・配電用電気機械器具製造業 78292 産業用電気機械器具製造業 16293 民生用電気機械器具製造業 7294 電球・電気照明器具製造業 4295 電池製造業 3296 電子応用装置製造業 20297 電気計測器製造業 15299 その他の電気機械器具製造業 8

情報通信機械器具製造業 301 通信機械器具・同関連機械器具製造業 32302 映像・音響機械器具製造業 24303 電子計算機・同附属装置製造業 36

輸送用機械器具製造業 311 自動車・同附属品製造業 80315 産業用運搬車両・同部分品・附属品製造業 2319 その他の輸送用機械器具製造業 4

通信業 371 固定電気通信業 17372 移動電気通信業 6373 電気通信に附帯するサービス業 9

情報サービス業 391 ソフトウェア業 275392 情報処理・提供サービス業 106

90 機械等修理業(別掲を除く) 26 902 電気機械器具修理業 2692 その他の事業サービス業 104 922 建物サービス業 104

1,139 1,139

28

29

30

31

37

39

32

381

238

151

92

86

2)研究者アンケート調査

東北6県の研究機関に在籍する電気関係の研究者を対象に、スマートグリッド分野

の技術開発に対する意欲と、現在の研究開発の状況等を調査。

研究者アンケートの送付対象(J-Globalの検索結果)

東北の研究機関に在籍する

専門家数(教授レベル)

電気 421名

ソフトウェア 324名

通信 57名

「J-Global」による研究者検索データベースによる絞込み(スマートグリッド分野)

独立行政法人・科学技術振興機構(JST)が提供するデー

タベース「J-Global」に掲載されている研究者のうち、「東

北地方」の研究機関で「電気」「ソフトウェア」「通信」

等に関連する研究テーマを扱っている研究者(886 人)

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3)ヒアリング調査(主要な東北の企業・研究者、国内の主要な技術開発プレーヤー)

【東北の企業・研究機関の技術シーズに関するヒアリング】

2のアンケート調査の結果を分析し、この回答者の中から、

既に研究開発・事業化に取り組んでいる企業・研究者

関心のある事業分野について技術シーズを持っている可能性のある企業

具体的な開発課題や支援ニーズを持っている企業

に、現時点で保有している技術シーズや今後検討しているスマートグリッドに関連

する取り組みを整理した。

【スマートグリッド関連技術の技術開発の動向に関するヒアリング】

経済産業省が実施する「次世代エネルギー・社会システム実証事業」における実証

実験の運営事務局や実際にスマートグリッド関連技術に携わっている開発プレーヤー

(メーカー/システムベンダー等)に対して、関連技術の技術開発の状況についてヒ

アリングを実施した。

4)研究会・情報連絡会議の設置 【研究会】 本調査を効果的・効率的に進めるため、大学・高等専門学校・業界団体・企業の有識

者 13 名により構成される「研究会」を設置する。 調査検討委員会は 3 回(2010 年 7 月、11 月、2011 年 2 月)開催した。

【情報連絡会議】 東北の企業・研究者がスマートグリッド関連技術に参入する上で参考となる情報提供

の場を設ける(毎回約 2 名のゲストスピーカーを招聘)。 情報連絡会議は 2 回(2010 年 11 月、2011 年 2 月)開催した。

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「研究会」と「情報連絡会議」の各回の議題

第 1 回(7 月) スマートグリッド分野

に関する調査の方向性

の検討

第 2 回(11 月) 東北地域におけるスマ

ートグリッドの技術開

発の状況把握

第 3 回(2 月) 国内の技術開発の動向の

報告と東北地域における

今後の産業振興の方向性

研究会

情報連絡

会議

第 1 回(11 月) スマートグリッドの全

体像と東北地域におけ

るポテンシャルの確認

第 2 回(2 月) 国内の技術開発の動向の

報告と東北地域における

今後の産業振興の方向性

【ゲストスピーカー】 国内の主要な開発プ

レーヤー

(重電メーカー・電子

部品メーカー・シス

テムベンダーなど)

【ゲストスピーカー】 先進的な取組をして

いる研究者

東北地域でスマート

グリッドに関連する

取り組み意欲のある

企業・研究者

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第2章 スマートグリッドに関連する要素技術の全体像 2-1 スマートグリッドを構成する要素技術

「スマートグリッド」とは、基本的には「系統側(電力会社側)と需要側(各家庭・事業

者側)が相互に協調しながら、電力需給の安定を維持する社会システム」を意味する。し

かし、対象となる分野が重電から家電・システムインテグレートに至るまで関連する分野

が多いこともあり、まだ共通の定義や対象となる要素技術の範囲に統一の見解はないのが

実状である。本調査では「スマートグリッド」に関連する要素技術の中でも、需要家側に

おけるエネルギー制御に関連する技術を中心にその全体像を描くとともに、今後の技術開

発に関するロードマップと現時点での技術開発動向を整理した。

■スマートグリッドを構成する要素技術の全体像

スマートグリッドを構成する主な要素技術は、以下の通りである。基本的にはスマート

メーターやパワーコンディショナー等に組み込まれたホームゲートウェイサーバーを通じ

て電気と情報を制御しながら、「エネルギーの見える化」「エネルギーの自動制御」「省エネ

ルギー」を、各種アプリケーションを通じて実現していく形態が基本形となる。

需要家におけるスマートグリッド関連技術

ホームゲートウェイサーバー

スマートメーター

系統電源

蓄電池

太陽電池

燃料電池

空調・給湯への熱提供

購入 あるいは 売電

電気自動車冷蔵庫・洗濯機

エアコン・床暖房

風呂

通信方式(無線/電力線)

給電方式(AC/DC)

携帯電話・モバイルPC

充電方式(接触/非接触)

各種家電製品

スマートタップ+センサー センサー

パワーコンディショナー

電気の流れ

情報の流れ

生活者の行動

蓄電・放電

スマートハウス・スマートビル(ZEB)・スマートファクトリー

以下に挙げるような要素技術を複数組み合わせることで、

「エネルギーの見える化」「エネルギーの自動制御」「省エネルギー」が実現。

クラウドコンピューティング(ASP等)

発電

「エネルギーの見える化・自動制御」等のアプリケーションの利用

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電気と情報を制御し、「エネルギーの見える化」「エネルギーの自動制御」「省エネルギー」

というソリューションを提供するためのシステムの体系は以下の通りである。 システムは、建物・機器をはじめとした「物理層」、通信・情報処理をはじめとした「論

理層」、ソリューションを提供するコンテンツをはじめとした「アプリケーション層」の 3層で構成されており、物理層・論理層・アプリケーション層の各素要素技術を組み合わせ

ることで、「エネルギーの見える化」「エネルギーの自動制御」「省エネルギー」のソリュー

ションを実現することができる。

需要家におけるスマートグリッド関連技術の体系

アプリケーション層

(コンテンツ)

論理層(通信・情報

処理)

物理層(建物・機器)

無線(ZigBee) / 電力通信線(PLC)

情報家電

電気自動車

空調機器

交流(AC) / 直流 (DC)

接触充電 / 非接触充電

給電方式

通信方式

充電方式

エネルギーの自動制御

セキュリティサービス

エネルギーの見える化

蓄電池/燃料電池

太陽電池

家電機器 発電機器

スマートハウス

スマートビル

建物

スマートメーター

パワーコンディショナー

制御機器

各要素技術の定義

レイヤー 要素技術 概要 物理層 (建物・機器)

情報家電 通信網や電力網に接続され、エネルギーの見える化や自動

制御にも対応した次世代型の家電機器。 電気自動車 通信網や電力網に接続され、エネルギーの見える化や自動

制御にも対応した次世代型の電気自動車。電気そのものを

運搬する「エネルギーモバイル」の役割も果たす。 空調機器 通信網や電力網に接続され、エネルギーの見える化や自動

制御にも対応した次世代型の空調機器。天候などに応じた

自動制御機能も兼ね備える。 スマート メーター

通信網と電力網に接続され、個別の家電・空調機器のエネ

ルギーの消費状況をリアルタイムに収集する計測機器。こ

れらのデータに基づいてエネルギーの見える化や自動制御

を行う。 パワーコンディ

ショナー スマートメーターと連携して、収集したエネルギーの消費

状況をリアルタイムに収集するとともに、これらのデータ

に基づいてエネルギーの見える化や自動制御を行う制御機

器。

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レイヤー 要素技術 概要 物理層 (建物・機器)

蓄電池/燃料電

池 エネルギーを一時的に蓄積して、需要と供給のバランスを

コントロールする電池。燃料電池については、自らガスを

活用して発電を行う機能も兼ね備える。 太陽電池 太陽光を活用して、電気を発電する電池。 センサー 人の動き(人感センサー)や電流の流れ(電圧センサー)

を感知する装置。 スマートタップ 電圧センサーが内蔵された端末で、コンセント部分に取り

付けて各家電機器の消費電力をリアルタイムに計測する。

また、消費電力を抑えるために各家電機器を制御すること

もできる(HEMS との連携は今後の開発課題)。 論理層 (通信・情報 処理)

交流(AC) 電圧が時間と共に変化する給電方式。トランスを使って電

圧を変えることができる。家庭用の系統電源で一般的に採

用されている給電方式である。 直流(DC) 時間が変化しても電圧は一定である給電方式。電池や太陽

光発電によって発生した直後の電力状態は、一般的に直流

となっている。 無線通信 センサーなどと組み合わせて電力消費などの情報を収集す

る際に、無線でホームゲートサーバーと通信を行う手段。

中でも ZigBee は家電向けの短距離無線通信規格の一つで、

低速で転送距離が短い代わりに安価で消費電力が少ないと

いう特徴を持つため、宅内の通信規格の主流となっている。

物理層のインターフェイスは IEEE 802.15.4 として既に規

格化されている。論理層以上については現在、ZigBee Alliance が仕様策定を行なっている。

電力線通信 (PLC)

電力線を通信回線としても利用する技術。2006 年 10 月に

総務省が、屋内に限り 2MHz から 30MHz の周波数使用を

認める項目を追加する省令改正をしたのを受けて、2006 年

12 月から高速電力線通信対応製品が流通している。

Panasonic が“HD-PLC”として標準化を推進している。 接触充電 コンセントを通じて系統電源に直接つなぐことで、2次電

池に充電する方式。 非接触充電 無線で電力を供給し、2 次電池に充電する技術。充電器に

機器を置くだけで充電できる。充電器と機器との接点がな

いため,接点の耐久性や接点不良,短絡や水分などによる

漏電の心配が少ないといったメリットがある。 アプリケーシ

ョン層 (コンテンツ)

エネルギーの見

える化 エネルギーの消費状況を家電単位でリアルタイムに把握で

きるようにするアプリケーションシステム。 エネルギーの自

動制御 消費エネルギーの目標値や家電別の優先順位を設定して、

最適な消費エネルギー量をコントロールするシステム。 セキュリティサ

ービス 自宅内に設置された家電機器の電源などを遠隔からコント

ロールするシステム。 高齢者の見守りサービスなどへの応

用も想定される。

スマートハウス 冷暖房効率の良い建材などを利用して空調機器の利用を最

小限に抑えるとともに、エネルギーの見える化・自動制御

機能を兼ね備えた省エネ型の次世代住宅。

スマートビルディング(ZEB) 冷暖房効率の良い建材などを利用して空調機器の利用を最

小限に抑えるとともに、エネルギーの見える化・自動制御

機能を兼ね備えた省エネ型の次世代ビルディング。

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具体的に、上記に挙げたような各要素技術を組み合わせることで、「エネルギーの見える

化」「エネルギーの自動制御」「省エネルギー」に関するソリューションを実現させた事例

として、以下のようなものを挙げることができる。

「エネルギーの見える化・自動制御」「省エネルギー」に関するソリューション例

事例名 要素技術 概要

マンション共用部への

人感センサー導入に

よるコスト削減

・センサー

・無線技術

・情報家電

(照明)

共用部に設置されている電灯の点灯、消灯は

タイマー操作が多く、人の歩行に関係なく夜

間は電灯が煌々とついている。これを「人が

いなくても電灯がついている=無駄な電気料

がかっている」状態を、人感センサーの設置

により解消し、電気料を軽減した。

コンビニへのスマート

センサー導入による

「増エネ」要因除外

への取組

・センサー

・無線技術

・空調機

・情報家電

(照明など)

コンビニ大手のセブンイレブンジャパンは、

各店舗に「各設備毎の電気使用量を把握」で

きるセンサーを導入し、設備の運転効率と使

い方に対する問題点を分析することで、店舗

の作業を適正化する取組を実施したところ、

空調機で約 3 割、照明・フライヤーなどで約 1

割の省エネを実現した。

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2-2 各要素技術に関連するビジネスの動向

次に、上記に挙げた各要素技術に関する具体的なビジネスの動向について、新聞・雑誌・

Webなどを通じた情報を以下のように整理した。

2-2-1 物理層(建物・機器)

1)情報家電(LED 照明・冷蔵庫など)

まず、スマートグリッドに対応した家電機器の実用化例としては、Panasonic 社の「エコ

ナビ家電」が挙げられる。Panasonic は冷蔵庫・高効率給湯器・温水洗浄便座・照明で、既

に「エコナビ家電」に分類される商品を開発している。 具体的な商品特性を見ると、冷蔵庫については「開閉センサー(スイッチ)」「照度セン

サー(フォトダイオード)」「室温センサー(温度センサー)」「庫内温度センサー(温度セ

ンサー)」の4種類のセンサーを通じて、就寝中や朝夕以外の開閉のない時間などの1日の

生活パターンを判別することで、従来の冷蔵庫よりも庫内の温度を維持しながら消費電力

を削減している。 また高効率給湯器については、入浴感知センサー(赤外線センサー)を通じて、浴室へ

の入室を検出し、設定温度まで湯船の湯を加熱する一方で、人がいない場合は、設定温度

と約1度下回らない限り、保温しないという仕組みになっている。温水洗浄便座について

も同様に、センサーがトイレへの入室を検出すると、瞬間便座ヒーターを稼働させて6秒

で適温に暖める。一方、人がいても便座が上がった状態では便座の暖房は切られる仕組み

となっている。 一方、Panasonic 以外にも LED 照明を中心に、さまざまな企業で LED 照明自体の照度

や消費電力削減のための技術開発、室内環境に応じた自動制御などの技術開発が進められ

ている。 フジコムは、無線規格「Z-WAVE」に対応し、スマートメーターでの消費電力の計測も

意識したリモコンで明るさ調整ができる LED 電球を開発した。この製品は、従来の 白熱球用のスタンドでも電球を入れ替えればそのまま使用できる点に特徴がある。 一方で、LED 照明の分野は全体的には競争が激化しており、大手セットメーカーはもち

ろん、中小企業や海外メーカーも巻き込んで価格の低下が続いている。エコポイントの対

象商品の基準が厳しくなったことで、業界トップレベルの省エネ性能を誇る製品に追い風

が吹く側面もあるものの、価格競争が相対的に緩やかな民生用以外の需要にターゲットを

絞る傾向も見られている。

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14

LED照明に関する直近1年間の動向と主な技術開発事例

事例名 概要 出所

リモコンで明

るさ調整でき

る LED 電球

フジコム(東京都八王子市、藤野功社長、042・631・3767)は、無線リモコンで明るさと色調を変えられる発光ダイオー

ド(LED)電球「LeDenQ」を 9 月に発売する。 無線規格「Z―Wave」に対応し、スマートメーターで消費電

力量を計るなど、スマートグリッド(次世代電力網)を意識

した設計にした。価格は 8000 円で年間 10 万個の販売が目

標。 電球内部に無線モジュールやアンテナ、直流交流変換器など

を搭載し、リモコン一つで最大 253 個の電球を遠隔操作でき

るようにした。白と赤の LED を搭載し昼白色から電球色ま

で色調を自由に変えられる。ホテルや小売店のディスプレー

照明などの用途を見込む。60 ワット相当の発光量だが、消

費電力は約 9 ワット。白熱灯用の器具でそのまま使用でき

る。 Z―Wave は欧米の音響・映像機器を対象にした無線ネット

ワークで先行しており、日本では 2008 年に認可され、今後

普及が拡大すると見ている。価格競争が緩やかな商業施設の

照明向けから製品を投入し、海外市場では一般消費者向けに

販売する。

2010/04/06 日刊工業新聞

LED 照明の普

及状況 LED 照明の普及を目指す NPO(特定非営利活動法人)の

LED 照明推進協議会の推計によると「15 年には従来光源(白

熱電球、蛍光灯、HID〈高輝度放電〉ランプ)の置き換わり

が進み、すべて置き換わるとすれば、約 1 兆円程度の市場規

模になる」と想定している。 シャープは 4月から液晶テレビのエコポイント対象商品の基

準が厳しくなったことで、業界トップレベルの省エネ性能を

実現している「LED AQUOS」が優位に立つ可能性が高い。

また、LED 電球利用促進のためのポイント制度変更で 4000円の LED 電球購入が従来の半分の 2000 ポイントで済むこ

とになった。 LED 電球はすでに月産 70 万個まで増産が進んでいる。東芝

は、経済産業省が 12 年までに白熱電球を蛍光ランプに切り

替える目標を掲げたのを受けて、子会社の東芝ライテック

は、3 月 17 日に一般白熱電球の製造を終了し、LED 照明の

製造を加速する。また、パナソニック電工は、世界最小級サ

イズ(埋め込み穴直径 85 ミリメートル)で 60 ワットの白熱

灯と同等に明るいLEDライトの開発に成功し 21日から発売

する。 現在、売れ筋の LED 電球の平均実売価格は 3200 円程度ま

で低下、中には 2000 円台の商品も登場、普及は加速しそう

だ。さらに、岩崎電気は、屋外向け LED 照明の新製品 16 シ

リーズを発売し、今 11 年 3 月期の販売目標を 6 万台として

いる。1 台当たりの価格は商品によって千差万別で非常に幅

広いものの、道路灯では 1 台 40 万円程度のものもある。連

結売上高 515 億円(前期推定)の同社にとって、LED 製の

道路灯・街路灯による売上増は大きなインパクトを与えそう

だ。

2010/04/13 株式新聞

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2)電気自動車

電気自動車については、既に車体自体は日本でも三菱自動車の「iMeV」と、日産自動車

の「Leaf」で本格的に実用化が始まっている。今後の主な開発課題としては、1 つめは系統・

クルマ間(V2G・G2V)や家・クルマ間(V2H)の「電力供給・蓄電の規格」、2 つめはよ

り低価格で使いやすい「急速充電器の開発」と言える。 1 つめの「電力供給・蓄電の規格」については、次世代社会システム実証事業の中でも、

豊田市・横浜市・けいはんな学研都市において、検討が行われる予定である。また、以下

の掲げる九州電力のインテリジェントハウスの実証実験の中でも、V2H の規格に関する検

討が行われている。 2 つめの急速充電器については、急速充電器の一元管理に関する技術が、業界横断的に行

われているほか、住宅・ビル・駐車場などでも、電気自動車の急速充電器を戦略的に設置

するケースが増えており、今後の普及にさらにはずみがつくものと考えられる。

急速充電器等に関する直近半年間の動向

事例名 概要 出所

急速充電器の

一元管理技術

の開発

NEC は電気自動車(EV)向け急速充電器の一元管理技術を開発

し、29 日に実証実験を始める。各機器がデータをやりとりする

通信規格を統一し、異なる機種が混在していても同一機種のよう

に扱う。実験には NEC 系の高砂製作所(川崎市)、日産自動車、

NTT ファシリティーズ、アルバックの 4 社が充電器を提供、遠

隔制御などで、課金や利用状況確認が円滑になるか確認する。環

境配慮型都市「スマートシティ」の整備に向け、早期の実用化を

目指す。今回の技術は、NEC が NTT ドコモなどと取り組んでい

るスマートグリッド(次世代送電網)向け IT 基盤の実用化事業

の一環で開発した。EV 向け急速充電器は実験に参加する4社の

ほか、富士電機ホールディングスや東京電力系の高岳製作所など

多くのメーカーが製品を用意。制御システムも複数社が提供して

いる。

2011/01/27 日経産業新聞

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事例名 概要 出所 立体駐車場に

EV 充電装置 三菱重工業子会社の三菱重工パーキング(横浜市)は 28 日、立

体駐車場に駐車中の電気自動車(EV)やプラグインハイブリッ

ド車(PHV)に自動で充電できるシステム「plug-in リフトパ

ーク」を開発し、実用化したと発表した。三菱重工パーキングは、

同社が 2001 年に製作したエレベーター式立体駐車場「元町第一

駐車場」(横浜市中区、駐車台数 90 台)を改造。建屋内に充電

装置を 1 基設置し、装置から自動車を乗せるパレット 4 台分に充

電コンセントを引いた。利用者は EV、PHV の充電ケーブルをコ

ンセントに差し込んで充電する。三菱自動車の EV「i-MiEV(ア

イミーブ)」の場合、2 時間駐車すれば 20~40 キロ走行分の充

電ができ、「ショッピングや食事を楽しんでいる間に手軽に充電

できる」(同社)のが売りモノだ。駐車場の改造費は、パレット

4 台分で計約 400 万円。工事期間は約 1 週間で、「設置の手軽さ

を武器にシェアを伸ばしたい」(同社)考えだ。同社は EV、PHVの普及度合いをにらみながら、立体駐車場の多い都市部を中心に

受注攻勢を仕掛け、12 年度には 50 台分、15 年度には 500 台分

の受注を見込む。

2011/01/29 FujiSankei Business i

戸建て住宅へ

の電気自動車

(EV)用充電

コンセントの

標準装備

積水ハウスは自社で販売する戸建て住宅に電気自動車(EV)用

の充電コンセントを標準装備する。日産自動車など自動車各社が

環境対応車を相次いで投入しているのに対応。太陽光発電システ

ムなどに続く環境配慮型の住宅設備としてアピールする。EV の

普及には充電設備の整備が課題となっており、住宅メーカーでも

後押しする動きがでてきた。同社が扱う鉄骨と木造の注文住宅

と、分譲住宅を対象に 2 月の新規契約分から適用する。標準装備

するのは 200 ボルトの屋外用コンセントで、既存の EV や今後普

及が見込まれるプラグインハイブリッド車(PHV)の充電ができ

る。住宅の購入者は1万円程度の負担増となるが、完成後に取り

付ける場合に比べ約 10 分の1に費用を抑えられるという。積水

ハウスは環境配慮型住宅の販売に力を入れており、昨年から日産

自動車など 12 社と連携して次世代送電網(スマートグリッド)

を使った最先端住宅の実証実験に取り組んでいる。環境負荷の軽

減意識が高まり、EV 用の充電設備を持つ住宅ニーズが高まると

みている。

2011/01/21 日本経済新聞電

子版ニュース

EV を活用し

たビジネスの

動向

EV 時代の到来に備え、ゲーム大手のバンダイナムコゲームスと

NEC は、EV を共同で利用する「カーシェアリング」の実証実験

を来年 1 月から始める。 マンション大手の大京も、今年 4 月以降に着工したライオンズマ

ンション・シリーズの駐車場の一部に必ず EV 用の充電設備を設

ける。 電力を大量にためられる EV の電池は、発電量が不安定な太陽光

発電などの電力を IT を活用して制御する次世代電力網「スマー

トグリッド」でも一役買うことが期待されている。日産やトヨタ

は電機メーカーや自治体などと協力して実証実験を始めた。日産

は住友商事と合弁会社を設立し、使用済みの EV の電池を再利用

することを検討している。こうしたノウハウを蓄積し、官民一体

でスマートグリッドの輸出に生かすことも期待されている。

2010/12/21 東京読売新聞

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3)空調機器

空調機器については、Panasonic が「エコナビ家電」シリーズの 1 つとして、既にエア

コンを実用化している。このエアコンは、「ひとセンサー」「日射センサー」「間取りセンサ

ー」の 3 つのセンサーによって構成されている。 「ひとセンサー」は、赤外線センサーを通じて人の有無と活動量を判断し、その検出結

果に応じて送風時間などを制御することができる。「日射センサー」は、フォトダイオード

を活用して窓からの外光を判断し、日差しが強い場合には暖房を弱めるといった制御を行

うことができる。「間取りセンサー」は、超音波の反射によって、家具の位置・壁を判断し、

家具などの障害物を超えて人に送風できるように、送風制御を変えることができる。 また直近の動向としては、プラント制御を事業として手がけている山武も、戸建住宅の

ボリュームゾーンを対象とした全館空調の新機種の開発に取り組んでいる。この背景には、

政府が住宅の省エネルギー性を高めるため、高気密・高断熱の目安となる「次世代省エネ

ルギー基準」を制定し、国内のハウスメーカーでも、この基準に適合した住宅を標準品と

して販売する動きが広まってきたことが挙げられる。 このような背景を受けて、温度センサー用感熱素子サーミスタで世界最大手の芝浦電子

のビジネスチャンスが、直近で拡大している。

空調機器に関する直近1年間の動向

事例名 概要 出所

省エネ型全館

空調システム プラント制御の山武が住宅用の空調事業に力を入れている。これ

までは床面積 50 坪以上の“豪邸”が対象の空調システムだった

が、戸建て住宅のボリュームゾーンを対象とした新機種を開発す

る。家庭の省エネ化の必要性が高まる中、産業向けに次ぐ柱に育

てる考えだ。 全館空調システムでは 1 台の室内機で家全体の冷暖房から換気、

空気清浄までこなす。部屋ごとにエアコンを設置する一般的な家

庭用空調に対して、家全体の室温を一定に保つ効果がある。例え

ば廊下や吹き抜け、トイレや脱衣所も空調できるので快適性が高

まる。 政府が住宅の省エネルギー性を高めるため、高気密・高断熱の目

安となる「次世代省エネルギー基準」を制定し、国内のハウスメ

ーカーでも、この基準に適合した住宅を標準品として販売する動

きが広まってきたため、山武でも国内の戸建て住宅の約 5 割を占

めるボリュームゾーンである 30~40 坪の家にも適した全館空調

を開発。空調性能を維持しつつ、室内機とダクトの小型化を実現

させる。 導入費用も従来は 200 万円程度と、各部屋にエアコンを設置する

場合と比べ、倍近いコストがかかっていたが、新機種ではエアコ

ンと同等程度にし、年間 3000 件の販売を狙う。

2010/12/15 日経産業新聞

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温度センサー

用感熱素子サ

ーミスタ

温度調節機能を高めたエコ給湯器やエアコン、新エネルギーによ

る発電システムを導入する住宅が増え、温度センサー用感熱素子

サーミスタで世界最大手の芝浦電子のビジネスチャンスが拡大

しつつある。エコ給湯器のきめ細かな温度調節には従来型の4倍

以上のサーミスタが搭載される。また発電システムでも電力を利

用可能な性質に変えるインバーターにサーミスタを用いた温度

監視が必要だ。すでに東京ガスなどが主導し「エネファーム」の

統一規格で総称される家庭用燃料電池システムには同社製品が

採用され、徐々にスマートハウス関連の売上が立ち始めている。

今後はスマートグリッド構想が具体化するに伴い関連収益が拡

大していくことが必至とみられる。

2010/06/29 株式新聞

4)スマートメーター

スマートメーターは、系統電力側と需要家側の電力網・通信網と接続する上でのハブに

なる役割を担う機器である。現在は分電盤から電力使用情報を収集することが一般的であ

るが、将来的には需要家側は ZigBee をはじめとした近距離無線通信を活用して、電力の使

用状況をリアルタイムに収集するとともに、電力事業者側は電力線通信(PLC)などを活

用してメーターを遠隔自動で読み取れるようになると考えられている。加えて、電力供給

状況などに応じて家庭のエネルギー需要を制御する機能(デマンドレスポンス)も兼ね備

える。 スマートメーターの高機能化は、「電子化」「無線化」「宅内機器の制御機能付加」の 3 段

階で進むと考えられている。日本は既に電力事業者側のメーター自動読み取りまでは実用

化されているが、「宅内機器の制御機能付加」は今後の課題となっている。しかしこのよう

な開発課題については、実際に次世代社会システム実証事業や電力会社が独自に行う実証

実験の中で、実際に住宅・ビルにスマートメーターを設置した実証が行われる予定となっ

ている。

スマートメーターに関する直近半年間の動向

事例名 概要 出所

次世代電力計

生産に参入 三菱電機福山製作所(福山市)の吉永徹所長は 20 日、通信機能

を備えた次世代電力計「スマートメーター」の生産に本格参入す

る方針を明らかにした。太陽光・風力発電の世界的な普及を視野

に、次世代電力網スマートグリッドの事業の確立を急ぐ同社の生

産拠点に位置付ける。福山製作所は 2008 年 10 月、所内のe工

場でスマートメーター製造に着手。09 年 1 月から関西電力、同

年 4 月から九州電力へ納入を始めた。東京電力とも共同開発して

いる。三菱電機は 10、11 年度で約 70 億円を投じ、スマートグ

リッドの実証実験設備を尼崎、和歌山、大船の 3 地区に構築する。

この成果と、国内電力会社の導入計画を踏まえ、具体的な設備投

資計画を詰める。吉永所長は「国内外で市場拡大が期待できる」

としている。

2010/12/21 中国新聞朝刊

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スマートメー

ターの実証試

四国電力は 2012 年度からスマートメーターの実証試験を始め

る。遠隔で電気使用量や通電状態などを確認でき、停電復旧の時

間短縮や検針作業の省力化も見込む。今後、スマートメーターの

機能検証を進め、12 年度をめどに同社管内の約 1000 戸の住宅を

対象に実証試験を始める。対象エリアは未定。スマートメーター

には東光東芝メーターシステムズ(東京都港区)の製品を使う。

14 年度からは、一戸建てやマンションへ段階的に取り付けを始

める計画。子会社の四国計測工業(香川県多度津町)と連携した

開発も進める。電力会社のスマートメーターの導入は 8 社目。

2010/11/04 日刊工業新聞

スマートメー

ターの導入 2008 年 9 月から関西電力は業界の先陣を切ってスマートメータ

ーの導入を開始。4 月末までに 37 万台の取り付けを終えた。こ

の特徴は本体が計量、通信、開閉と機能ごとに三つのユニットで

構成され、それぞれを独自に交換できるようにしたことだ。スマ

ートメーター導入の目的は検針業務の効率化。関電の場合、約

3000 人の検針員が毎月、各家庭のメーターの数値を視認する。

スマートメーターの当面の役割は、関電のサーバに通信で数値を

送り、この業務を自動化することだ。各家庭に太陽光発電などの

分散電源が入るスマートグリッド時代には、スマートメーターに

より大きな役割が期待される。例えば、電力中央研究所が進めて

いる「需給一体化運用・制御」の研究。これは電力の需給や天候

の情報を基に、家庭内の電気製品や蓄電池、太陽光発電などを制

御するものだ。スマートグリッド時代には、各家庭は電気の利用

者であると同時に、発電所にもなる。その電気利用量と発電量の

双方を、電力系統と一体的に制御しなければ電力系統の安定を守

れない。その際、「家庭で電力系統の情報を受信し、機器を制御

するのはスマートメーターが有力」(電中研)だ。

2010/06/01 日刊工業新聞

5)パワーコンディショナー

パワーコンディショナーについては、主な開発課題としては「電力変換効率の向上」と

「住宅・工場などのタイプに応じた製品開発」の 2 点が主なテーマである。このほか、パ

ワーコンディショナー用の電子部品(半導体など)の技術開発も、デバイスメーカーによ

って進められている状況である。また用途としては、現時点では主に太陽光発電向けの製

品の開発が大半を占めている。

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パワーコンディショナーに関する直近半年間の動向

事例名 概要 出所 三菱電機が電

力 変 換 効 率

98%の太陽光

発電向けパワ

コンを開発

三菱電機は 20 日、電力変換効率が最大 98%の太陽光発電用のパ

ワーコンディショナーを開発したと発表した。従来の業務用大型

パワコンの標準機と比べた場合、2 ポイントほど変換効率を高め

た。炭化ケイ素(SiC)を材料に使った高効率な半導体を開発し、

搭載した。3 年後をメドに業務用市場向けの製品化を目指す。 出力 5 キロワットの太陽電池と組み合わせて使うと、従来機より

も年間で 4500 円分の電力を多く供給できるという。従来の最高効

率は 97・5%だった。 SiC は半導体材料としての特性に優れており、高精度なパワーデ

バイスを作ることができるという。三菱電機では 90 年代から利用

に取り組んできた。しかし、品質を維持するのが難しいため、製

品化には至っていなかったという。

2011/01/21 日経産業新聞

集合住宅向け

パワーコンデ

ィショナー

太陽光パネルを各住戸に割り当て売電もできる物件が登場した。住

戸に電力を供給する集合住宅向け太陽光発電システムは、大きく 2つの方式がある。一つは、各住戸が太陽光パネルを所有する「戸別

方式」。もう一つは、全住戸で太陽光パネルを共有する「一括方式」

である。後者の場合は、太陽光で発電した総電力量を住戸の専有面

積などに応じて案分し、仮想的に各世帯が使用したと見なす。 タカラレーベンが採用したのは戸別方式だ。地上 6 階建て住居の

総戸数 110 戸の建物の屋上に 660 枚、総出力 132kW の太陽光パ

ネルを設置。各住戸に 6 枚、1.2kW ずつを割り当てる。パワーコ

ンディショナーと売電用の電力計を 1 台ずつ設置し、余った電力

を売電できる。太陽光パネルには三洋電機製を採用。JX 日鉱日石

エネルギーが集合住宅向けに専用のパワコンを開発した。縦

335mm、横 230mm、奥行き 159mm でマンションにも設置しや

すい。 JX エネルギーが、1 住戸当たり 1.2kW の太陽電池と同社製の小

型パワコンを組み合わせたシステムを社宅に導入したところ、「全

世帯の平均で発電した電力の約半分を売電できている」と言う。太

陽光で発電した電力の自家消費による電気代の節約と売電収入の

合計で月約 4000 円のコスト削減効果を見込む。

2010/11/08 日経エコロジ

TDK、静電容

量が高いフィ

ルムコンデン

サー投入

TDK は 14 日、静電容量が最大 75 マイクロファラッドと高いフィ

ルムコンデンサーを発売したと発表した。従来は最大 45 マイクロ

ファラッドだった。太陽電池パネルで発電した直流を交流に変換す

るパワーコンディショナーやモーターの駆動装置などへの搭載を

見込む。発売した「B3279 シリーズ」は静電容量が 2 マイクロ―

75 マイクロファラッドと広く、電圧 250 ボルトから最大 400 ボル

トまでの出力フィルターに対応する。コンデンサーは機器のノイズ

対策として使用されるが、大容量型は基板への搭載個数を減らせる

ため設計の自由度が増す。 同社は「パワコン向けなどに需要が急増しており引き合いが強い」

としている。大容量の小型フィルムコンデンサーを生産するのは世

界で数社とみられ、TDK は新製品でシェア拡大を狙う。

2010/10/15 日刊工業新聞

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事例名 概要 出所 大阪ガスと田

淵電機、燃料

電池・太陽光

発電兼用パワ

コンを共同開

大阪ガスは田淵電機と共同で、家庭用燃料電池と太陽光発電システ

ムの組み合わせに対応するダブル(W)発電パワーコンディショナ

ー(パワコン)を開発する。現状では燃料電池と太陽光発電システ

ムにそれぞれに、発電した直流を交流に変換するパワコンが必要と

なっており、業界に先駆けて一つに統合する製品開発を進める。燃

料電池に搭載しているパワコンを不要にして、コスト削減、低価格

化、小型化につなげる。大ガスが注力する W 発電の拡販を後押し

する狙い。 開発する W 発電パワコンは複数・異種の直流電圧変換装置(コン

バーター)を連動制御し、直流交流電力変換装置(インバーター)

は一つに共通化する。燃料電池と太陽光発電のそれぞれの発電量は

識別・管理し、太陽光発電の電気を売電できる電力制御機能を搭載

する。W 発電パワコンには燃料電池で発電した電気の系統への逆

潮流を防止する電力制御機能を搭載する。計画では燃料電池と太陽

光発電システムのパワコンをそれぞれ別置きした場合に比べ、体積

比で 40%削減する。

2010/10/08 日刊工業新聞

安川電機、太

陽光用パワコ

ン投入 産業

用シェア 10%狙う

安川電機は 24 日、同社初となる太陽光発電用パワーコンディショ

ナー「PV1000」を製品化したと発表した。まず 200V 3 相および

200V 単相・10 キロワットの製品を、公共・産業用向けに 9 月に

販売開始する。汎用インバーターで培った技術を活用し、同クラス

では業界最高水準の変換効率 94%以上を実現した。今後は小容量

から大容量の機種も追加し、12 年に産業用で 10%のシェアを獲得

したいとしている。 新製品では、インバーターの 3 レベル制御や、チョッパー回路の

ソフトスイッチングといった独自技術を活用し、高い変換効率を実

現した。このほか、接続箱や気象計変換器などの機能を標準で内蔵

したこと、入力電圧範囲を 100~600V に広げたことなどの特徴が

ある。

2010/08/25 電気新聞

ホンダソルテ

ッ ク が 太 陽

光、パワコン

拡充 モジュ

ールの変換効

率が向上

ホンダ子会社のホンダソルテックは、住宅用太陽電池モジュールと

パワーコンディショナーの新製品を発売した。07 年から販売して

いる製品のラインアップを拡充するもので、モジュールは最新の生

産技術を活用し、変換効率を向上させた。パワコンは定格容量 5・5 キロワットのものを投入し、幅広い顧客のニーズに応える。同社

では、今後高まる需要を背景に海外展開も推進する方針だ。 同社は銅・インジウム・ガリウム・セレン(CIGS)薄膜シリコン

太陽電池を 07 年から住宅向けに、08 年から公共・産業向けに製造

販売している。今回発売したのは 130 ワットと 120 ワットの住宅

用モジュールと定格容量 5.5 キロワットのパワコンとなる。

2010/08/12 電気新聞

パワーコンデ

ィショナー市

場の成長

民間調査会社の富士経済はこのほど、世界の太陽光発電システムや

周辺機器、製造関連消耗品などの市場に関する調査結果をまとめ

た。太陽電池の低価格化が進み需要が増加することから、2025 年

にシステム構築市場は 09 年比 6.4 倍の 18 兆 3 千億円、パワーコ

ンディショナー市場は同 8.4 倍の 3 兆 200 億円に成長すると予測

している。 足元では 09 年、ポリシリコンの価格下落で太陽電池市場は金額ベ

ースで縮小したものの、低価格化が需要を刺激し、容量ベースでは

増加した。10 年は金額ベースでも拡大する見込みで、連動して周

辺機器や消耗品も伸びるとみている。

2010/12/15 電気新聞

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6)太陽電池

太陽電池そのものの技術開発については、「シリコン系」「化合物系」「有機系」の3つに

分かれ、現在は主に「シリコン系」と「化合物系」の CIS 系・CdTE 系が実用化されてい

る状況である。各社とも「新素材への対応」と「変換効率の向上」に注力している状況で

ある。 また、太陽電池の素材開発においては、太陽電池の活用用途を広げるためにフィルムを

使った「曲がる太陽電池」の開発も進められている。 さらに、太陽電池そのものの技術開発だけでなく、太陽電池をこれまでになかった用途

に使ったビジネスモデル開発も進んでいる。例えば、昭和シェル石油が自社のガソリンス

タンドの災害対応拠点化を図るために、太陽光発電と蓄電池を組み合わせた自家発電設備

も設置するといった事例が挙げられる。また、改正省エネルギー法によって小規模な店舗

も化石燃料でつくるエネルギー消費の削減目標となったことを踏まえ、太陽電池を単独で

購入できない店舗向けに多少割高になっても太陽電池でつくった電気を小型店舗や公共施

設に供給する事例なども生まれている。

太陽電池に関する直近半年間の動向

事例名 概要 出所

高効率単結晶

太陽電池 シャープは新たに開発した高効率単結晶太陽電池の量産体制を整

える。2010 年度内をめどに大阪府堺市の太陽電池工場に年間 200メガワットクラスの生産ラインを稼働。国内外の住宅や産業分野

向けに供給する。新型太陽電池は、受光面に電極のない構造を採

用してセル表面の受光面積を広げた。また、隣接するセル間の接

続抵抗を低減させる配線技術を開発しモジュール変換効率を 17%まで高めた。薄膜型の太陽電池は大規模太陽光発電向けを中心に

拡大する。一方で住宅・産業向けは結晶型の拡販を推し進める。

今後、スマートグリッド、スマートシティといった新たな技術の

進展により、ビジネスの拡大をもくろむ。

2010/12/06 週刊住宅新聞

次世代型太陽

電池 昭島市美堀町に 3 月末、完成するリサイクル施設「環境コミュニ

ケーションセンター」に、通常の太陽電池より低価格で、発電能率

のよい次世代型太陽電池が設置される。この太陽光発電パネルは、

2002 年に打ち上げられた人工衛星「つばさ」の実証実験でも優れ

た耐久性が認められている。製造会社によると、生産工場がある宮

崎県内の学校や幼稚園では設置されている施設はあるが、都内では

初めて。センター敷地内に整備されるのは、「CIS 太陽電池」で、

パネル内にある電気を発生させる素子にシリコンではなく、特殊な

化合物を使っているため、パネルの厚さが約 100 分の 1 になり、

材料費が抑えられる。その上、年間の発電量も約 8%増えるという。

製造しているのは、太陽電池メーカー大手「ソーラーフロンティア」

(本社・港区台場)。CIS にすると、通常電力を使用する場合と比

べ、年間約 6・7 トンの二酸化炭素が削減でき、電気代が約 20 万

円節約となる。

2011/01/21 東京読売新聞

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事例名 概要 出所

災害対応型セ

ルフ給油 昭和シェル石油は 15 日、次世代型太陽電池の最新技術を導入した

災害対応型セルフ給油所「クリーン eco 新屋敷」(岡山市北区、マ

ティクスが運営)を 17 日にオープンすると発表した。ソーラーフ

ロンティア(東京都港区)が製造する CIS(銅、インジウム、セレ

ン)薄膜太陽電池を約 50 枚(出力 4 キロワット)と、電気自動車

用急速充電器(同 30 キロワット)の屋根上には光透過型 CIS 薄膜

太陽電池を設置する。給油所内で使う電力の一部を賄うと同時に、

発電性能を実証実験する。光透過型 CIS 薄膜太陽電池を発電用と

して設置するのは日本初。同給油所には屋外照明には省エネルギー

型発光ダイオード(LED)照明を導入し、二酸化炭素排出量を削

減。貯水タンク、太陽光発電と蓄電池を組み合わせた自家発電設備

も設置する。石油製品供給を安定的に継続できる災害対応型として

いる。

2010/12/16 日刊工業新聞

太陽電池で小

型店舗・公共

施設向けの電

力供給

大阪ガスは 9 月中に、太陽電池でつくった電気を小型店舗や公共

施設に供給するサービスを始める。太陽光発電パネルを店舗や施設

の屋根などに設置するが、利用者はパネルを所有せず、つくった電

気だけを購入する。大阪ガスはガスを供給する関西地区だけでな

く、関東、東海などでも事業を展開する。供給する電気の単価は電

力会社から購入するより割高になるが、数百万円の初期投資なしに

自然エネルギーを利用できる仕組みとして普及を目指す。 コンビニは 24 時間営業が主体だが、夜間は発電できないため太陽

電池でつくる電気の割合は全使用量の 5%以下になるとみられる。

通常は夜間に使用しない公民館などの場合、半分程度の電力を太陽

光発電でまかなえる例もある。不足する電気は電力会社から購入す

る。太陽光発電の利用で単価が上昇するため、電気料金は全量を電

力会社から買うより高くなるが、今年 4 月施行の改正省エネルギ

ー法では小規模な店舗も化石燃料でつくるエネルギー消費の削減

目標の対象になった。東京都のように企業の温暖化ガス排出量を規

制する制度を導入する自治体もある。 店舗オーナーや来店客などの環境意識の高まりもあり、初期投資が

不要になるサービスの需要が膨らむと大阪ガスは判断した。休日に

稼働しない学校や店舗などでは太陽電池でつくった電気の余りを

電力会社に売却して利用者の負担を軽減できる。電気料金の上昇を

大幅に抑えられるケースも出てくるという。

2010/09/27 日本経済新聞

着脱可能な薄

型シート太陽

電池

大林組は 2010 年内にも、薄型のシート状に加工した太陽電池を屋

根や壁面などに自由にはり付けて、着脱も可能とする新たな施工技

術を実用化する。イベント会場や工事現場などの仮設用として環境

対応を推し進める。また、太陽電池を敷設するには屋根の耐久性が

不足する既存工場に提案して省エネ改修を差別化する。21 日に稼

働する同社技術研究所(東京都清瀬市)新本館での実証にめどを付

け、引き合いに応じる体制を整える。 太陽電池パネルはパネルを屋根などに取り付けるために、鋼製の土

台を設置する必要がある。この土台とパネルの重量を支える耐久性

が屋上や屋根に必要で、強度不足の場合は補強工事が必要だった。

着脱式太陽電池シートは施工面に防水塗料を施し、両面ファスナー

の取り付け側(ループ)を接着する簡単な工事だけですむ。この特

徴を生かし、同社は工場の省エネ改修での活用も見据える。

2010/09/20 日刊工業新聞

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事例名 概要 出所

曲がる太陽電

池 富士電機システムズ熊本工場(南関町)製のフィルム型太陽電池の

用途を広げるため、同社と熊本大、県が共同で実施するビル壁面や

屋上などへの太陽電池設置が、熊本市の熊大工学部で始まった。出

力計 13.86 キロワットの太陽電池を取り付け、2 月中に発電試験を

スタートする。同社の太陽電池は基盤にプラスチックを使い、軽く

て曲げやすいのが特徴。既存の建物にも大規模な補強をせずに設置

できるため、壁面の活用など新たな需要につながると期待されてい

る。設置場所は、工学部研究棟 1(13 階建て)の 3~7 階の南向き

の壁面と、工学部 2 号館(3 階建て)の屋上。発電試験では太陽光

が当たりにくい壁面の発電効率や耐久性を 1 年以上かけて調べ、

同社は得られたデータを製品開発に活用する。熊大は発電した電力

を学内に構築するスマートグリッド(必要に応じて自動的に電力を

制御する送電網)に供給。蓄電池と組み合わせた効率的な制御技術

の開発を目指す。

2010/02/03 熊本日日新聞

朝刊

ソーラー駐輪

場 三洋電機は 16 日、東京都世田谷区に太陽電池とリチウムイオン電

池を組み合わせた「ソーラー駐輪場」と、電動自転車「エネループ

バイク」100 台を納入した、と発表した。受注額は約 9000 万円。

地方自治体では徳島県がソーラー駐輪場を設置し実証実験を行っ

ているが、実用化は世田谷区が初めて。今回の導入をてこに三洋は

自治体向けの提案活動を強化する。三洋は、世田谷区が運営する京

王線桜上水駅と東急田園都市線桜新町駅の駐輪場の屋根に、長さ

142 センチ、横 89 センチの太陽電池パネルを 36 枚それぞれ設置。

最大出力は 36 枚分で 7.56 キロワット。約 5 キロワット時の電力

を蓄電できるリチウムイオン電池蓄電システムを各 2 台設置し、

貸し出し用電動自転車の充電ができる。電動自転車は両駅に 40 台

ずつ導入したほか、小田急線経堂駅の駐輪場に残り 20 台を導入。

充電時間 3.5 時間で 100 キロメートル走行できる。太陽電池で発

電した電気は駐輪場の夜間照明用として取り付けた LED(発光ダ

イオード)照明にも使用する。世田谷区は今後 1 年間かけて利用

状況などを検証し、区内の他の駐輪場にも広げるかを決める。三洋

電機が世田谷区に導入したソーラー駐輪場は、太陽電池と蓄電池な

どを組み合わせた次世代電力網「スマートグリッド」推進の一環と

もいえる。

2010/03/17 FujiSankei Business i.

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7)センサー

センサーは、需要家における温度や湿度、照度、圧力などの環境に関する情報を収集し、

「見える化」や「制御」を実施する上で不可欠なツールである。既にセンサーそのものを

製造する企業は数多くあるが、技術開発の事例としては直近では旭化成エレクトロニクス

が開発した体積が 10 分の 1 の小型電流センサーなど挙げられる。このように、センサーそ

のものの開発課題は小型化や内蔵する電池の高寿命化が主なテーマとなっている。

センサーに関する直近半年間の動向

事例名 概要 出所

旭化成エレク

トロニクスに

よる小型電流

センサー

旭化成の全額出資子会社、旭化成エレクトロニクスは従来製品に

比べて体積が 10 分の 1 の小型電流センサーを開発した。基幹部

品を小型化し、構造も簡素化した。電流センサーは主に産業機械

の制御用に使われるが、今後は家電や次世代送電網のスマートグ

リッドなどに用途が拡大すると判断。2015 年にはこうした市場

向けが数百億円規模になるとみて、小型製品の投入に踏み切っ

た。新開発の電流センサーは、エアコンのような消費電力の大き

な家電への組み込みを想定する。基板上の回路の上に設置して、

電気の流れを妨げずに強さを測定する。その情報を基にモーター

などを細やかに制御することで、機器の省エネに役立てる。

2010/10/04 日経産業新聞

むしろ、センサーは前述の Panasonic のエコナビ家電のように、「既存の家電製品や制御

機器と組み合わせて、いかにこれまでになかったソリューションを提供するか」が現在の

最大の開発課題と言える。 そのような中で、オムロンはセンサーネットワークの実現に不可欠な次世代小型センサ

ー機器「スマート・センシング・モジュール(Smart Sensing Module:SSM)」を開発した

点が特筆される。これは SSM の電子回路を工夫するとともに、ソフトウェアによるアルゴ

リズムを知恵として SSM に組み込むことで、その後継続収集したデータを自律的に分析・

判断し「価値あるセンサ情報」として選定。選定された情報のみをサーバーに通信するた

め、通信頻度の最適化を実現することができる。結果として、電源の配線レス化やセンサ

機器の設置費と保守費のローコスト化を図ることができるようになった。 今後は SSM の知恵を高度化させ、SSM に学習機能を付加することや、SSM 同士の協調

により予測・判断の性能を向上させることが、次の開発課題となっている。

8)スマートタップ

スマートタップは、電力供給を受けるコンセントに取り付けて、電流・電圧をリアルタ

イムに計測することができる機器である。スマートタップは、電流・電圧を計測するセン

サーや無線通信部品、マイコンなどから構成される。 スマートタップそのものは、電流・電圧を計測するセンサーや無線通信部品、マイコン

をはじめとした既存の技術を組み合わせた機器である。これとあわせて、既に TV モニター

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などを通じてリアルタイムにエネルギー管理を行っていくためのシステムも開発されてい

る。そのシステムを活用すると、スマートタップに接続されている家電製品に異常がある

と、電流・電圧の流れ方から異常を感知して自動的に電源を切断したり、システム側から

照明の照度をコントロールすることができる。 今後は実証実験などを通じて、スマートタップから計測される生活データの分析を行い、

「QOL を落とさずに、消費電力削減のために家電機器の自動制御を行うアルゴリズム」の

開発を目指す予定である。この成果を将来的には、各メーカーが取り組んでいく HEMS と

連携させていく。

スマートタップに関する直近半年間の動向

事例名 概要 出所

マイクロ電力

計 2010 年 12 月 1 日~3 日に開催された「組込み総合技術展

(Embedded Technology 2010)」で、ルネサスエレクトロニ

クスは、家電製品に搭載する「マイクロ電力計」(「スマート

タップ」とも呼ばれる)を、「ネットワークを利用した電力監

視ソリューション」を構成する機器の一部として展示した。マ

イクロ電力計は、電圧/電流センサーに汎用マイコンを組み込

んだ電力測定部と、そこで得た電力データを送信する「ZigBee(家電向けの短距離無線通信規格)」対応の通信部から成る。

ルネサスによると、他社品に比べて小型で、電流センサーはシ

ャント抵抗方式(負荷に直列に抵抗器を挿入し、そこでの電圧

降下量で電流値を測る方式)による単純なものなので、安価に

できる可能性が高いという。このマイクロ電力計を各家電製品

に取り付けて、その情報を ZigBee 経由で HEMS コントローラ

ー(エネルギーゲートウエーとも呼ばれる)に集約して「見え

る化」する。つまり、各家電製品ごとの電力消費量を棒グラフ

などの形で分かりやすく提示することで、居住者の省エネ行動

を促すのである。

2010/12/13 日本経済新聞電

子版

家電ごとの消

費電力「見え

る化」

京都大学の松山隆司教授は 25 日、経済産業省の次世代送電網

(スマートグリッド)の実証実験の一環で、電化製品ごとの消

費電力をテレビで把握できるシステムを開発したと発表した。

すべての家電にスマートタップと呼ばれる電力の計測・制御装

置を付けることで、家庭内で無駄な電力消費が分かるようにす

る。実証実験は今年 4 月から京都市内のマンションで、来年か

らけいはんな学研都市の一戸建て住宅で実施する。実験では、

消費電力をテレビで「見える化」し、生活者にどうしたら省エ

ネとなるのか提案する。電力が余ったときに、電気自動車に充

電したりするなど、各電気機器をネットワーク経由で制御し、

昼夜間の電力消費を平準化するシステムも導入。松山教授は「消

費電力の 1 割以上の削減が期待できる」とみている。同事業に

はオムロンやロームも参加する。

2010/08/26 日本経済新聞

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2-2-2 論理層(通信・情報処理)

1)直流(DC)給電

直接給電を採用した電源システムについては、再生可能エネルギーの有効活用という観

点から、急速に取り組む企業が増加している。現在の取り組みのタイプとしては、主に「デ

ータセンター向け」「一般の住宅向け」「オフィス・工場・店舗向け」という 3 つに分類す

ることができる。 「データセンター向け」では、消費電力と CO2 削減の実現という観点からシステムベン

ダーを中心に、実際のデータセンター整備を通じた実証実験等の取り組みがスタートして

いる。 「一般の住宅向け」では、パナソニック電工と東北大学田路研究室において、直流ハウ

スを通じた実証が行われているほか、パナソニック電工は交流と直流の双方に対応したハ

イブリッド配電器具システムを試作しているところである。また、シャープや TDK も直流

ハウスのコンセプト開発に取り組んでいる。 「オフィス・工場・店舗向け」については、コクヨや竹中工務店が給電技術の開発等に

取り組んでいるところである。

直流給電に関する直近半年間の動向

事例名 概要 出所

日本無線によ

る DC 向け直

流給電システ

データセンターの IT 機器に対して直流(DC)電力を供給する

システムが普及段階を迎えている。日本無線は独自の直流給電

装置を完成。サーバーやルーターなどの機器に直流電力を供給

する。通常は交流(AC)と直流の変換を 3 回繰り返すため、そ

のつど変換損失が発生。日本無線は「FRESH HVDC」の受注

を始めた。交流電力を電圧 340―380 ボルトの直流に変換して

機器に給電する。変換効率は「95%以上」(同社)と高い。AC/DC 変換は一度ですみ、変換に伴う電力損失は 5%。直流給電

に切り替えるとセンター内の消費電力を 10―20%削減できる

という。装置を導入すれば、既存の設備を直流給電に変更でき

る。海外販売も視野に入れ、採用を目指す。データセンターは

無停電電源装置(UPS)を利用するケースが多く、機器に電力

を送るまで 3 回の AC/DC 変換が必要だった。変換損失は約

14%にもなる計算だ。

2011/01/14 日刊工業新聞

富士通コンポ

ー ネ ン ト ・

NTT ファシリ

ティーズによ

る DC 向け直

流給電システ

NTT グループはいち早く直流給電に取り組んできた。自社のデ

ータセンターへの給電を 400 ボルト程度の高電圧の直流に変

更。ケーブルの細径化などのメリットも生まれる。富士通コン

ポーネントは NTT ファシリティーズと共同でデータセンター

向けの直流電源コンセントを開発。400 ボルト程度の高電圧直

流給電での利用を想定。12 年ごろの販売を目指している。すで

に NTT は電機大手などと共同で宅内への直流給電を目指す組

織を設立。事業用に加え、住宅用途でも普及に本腰を入れる。

2011/01/14 日刊工業新聞

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なお、直流給電の実現により、IT 機器においては約 14~17%の削減が可能になる。 今後は、住宅の内部配線の一部直流化にはじまり、直流の電源コンセントの普及が見込

まれている。しかし、その実現にあたっては今後、給電する電圧の決定と安全性に関する

規格の整備、配電管理者の直流給電に対する教育などを検討していく必要がある。

2)無線(ZigBee)

無線通信は、家庭内の機器の消費電力等の情報を収集し、エネルギーの「見える化」「制

御」を実現する上で不可欠な存在である。無線通信の規格には、Wi-Fi や Z-WAVE などさ

まざまな規格が存在する。その中で ZigBee は家電向けの短距離無線通信規格の一つで、低

速で転送距離が短い代わりに安価で消費電力が少ないという特徴を持つため、宅内の通信

規格の主流となりつつある。実際に物理層のインターフェイスは IEEE 802.15.4 として既

に規格化されている。論理層以上については現在、ZigBee Alliance が仕様策定を行なって

いる。 ZigBee は、具体的に「コスト」「安定供給」「相互接続」「冗長性と利便性」「低消費電力」

という面でメリットがあり、実際に普及が進んでいる。日本でも、以下のように ZigBee の

活用を前提にした技術開発の事例が増えている。 具体的な活用事例としては、スマートフォンを活用した家庭内の各家電の消費電力の一

括管理技術の開発(日本エリクソン)、業務用携帯にあるスロットに専用の通信装置を差し

込む仕組みで、無線を使って機器を自動的に操作する技術の開発(KDDI)、テナントオフ

ィスビルの空調・照明を制御するシステム(大林組・アドソル日進)などである。

ZigBee に関する直近半年間の動向

事例名 概要 出所

スマートフォ

ンでの一括管

日本エリクソン(東京・文京、フレドリック・アラタロ社長)

は、冷蔵庫やエアコンなど家庭内の各家電の消費電力をスマー

トフォン(高機能携帯電話)で一括管理できる技術を開発した。

リアルタイムで消費電力を把握し、家電を遠隔操作できる。省

エネシステムとして家庭向けに 2 年内の商用化を目指す。開発

した技術は、コンセントに差し込む家電のプラグ部分に専用の

センサーを取り付け、消費電力を測定する。家庭内に設置した

「ホームターミナル」と呼ぶ機器が近距離無線の「ZigBee」を

使ってセンサーと通信し、消費電力のデータを集約して日本エ

リクソンのサーバーなどに送信する。データはグラフ化され、

契約者の携帯電話に送られる。契約者は、米アップルの「iPhone(アイフォーン)」などのスマートフォンの画面上で、家庭内

の各機器の電力使用量の詳細を確認できる。スマートフォンの

画面操作により、ホームターミナルを通じて、ある電力系統だ

けを停止したり、電力需要が一定水準を超えた場合、エアコン

の設定温度を自動的に上げたりといった制御もできる。

2010/08/20 日経産業新聞

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事例名 概要 出所

業務用携帯電

話への展開 KDDI は業務用携帯電話で近距離無線規格「ZigBee(ジグビ

ー)」の対応を始めた。業務用携帯にあるスロットに専用の通

信装置を差し込む仕組みで、無線を使って機器を自動的に操作

するなどの用途を見込んでいる。これに合わせて、通話をしな

がらカメラを使って動画中継できる機能も追加した。現場での

使い勝手を高めることで、新たな需要を掘り起こす考えだ。新

たに対応した「ZigBee」は次世代送電網(スマートグリッド)

での活用が有力視される通信方式。「Wi-Fi」と異なり、10

メートルほどに電波の強度が限られるのが特徴だ。同社の業務

用携帯に内蔵している「SDIO」というスロットを活用し、顧

客の要望に応じて新機能を追加できるようにした。距離を感知

して機器の入出力などコントロールをすることが可能になるた

め、例えば、部屋の空調や照明と業務用携帯を同期させておけ

ば、部屋に入った時にスイッチを入れ、部屋を出るとスイッチ

を切るといったことを自動で操作できる。パソコンと業務用携

帯を同期させれば、自分が近くにいる時しかパソコンを操作で

きないといったセキュリティーの設定にも対応できる。

2010/10/06 日経産業新聞

空調・照明制御

システム 大林組とアドソル日進(東京)は、携帯電話の赤外線通信と

ZigBee 通信を使用してテナントオフィスビルの空調・照明を制

御するシステムを共同開発した。 同システムは、赤外線の受光部を天井に設置。通常、携帯電話

の赤外線通信は数センチメートルの距離で利用されているが、

独自の技術により、一般的な事務所ビルの空調モジュール(7.2m四方)なら、どの席からでも手軽に操作できる。ウェブを経

由しないので通信料金もかからない。1 台の携帯電話で照明・

空調のスイッチオン・オフや風量調整、温度設定など複数の操

作が可能だ。また、個々の携帯電話が識別されるので、必要な

部分だけ空調・照明を作動させることもでき、省エネにつなが

る。今年 9 月に完成した同社技術研究所本館テクノステーショ

ン(東京都清瀬市)にも導入された。一方、ZigBee 無線通信を

使い、赤外線で受け取った信号を受光部から制御部へ伝達する

ことにより、通信配線や専用サーバー構築も不要となった。シ

ステム設置工事費は 1000 平方メートルあたり 300 万円程度で

済む。

2010/12/22 建設工業新聞

3)電力線通信(PLC)

電力線通信(PLC)は、電力線を通信回線としても利用する技術である。2006 年 10 月に総

務省が、屋内に限り 2MHz から 30MHz の周波数使用を認める項目を追加する省令改正を

したのを受けて、2006 年 12 月から高速電力線通信対応製品が流通している。 現在、宅内の電力線通信の規格については、Panasonic をはじめ、海外企業も含めた 20

社が参画する形で 2007 年に「HD-PLC アライアンス」を立ち上げ、Panasonic が開発した

電力線通信方式“HD-PLC”の標準化を推進している。2010 年には IEEE の標準化委員会

において承認され、国際標準規格として認められることとなった。 Panasonic 以外の取り組みとしては、中国電力とNECが、家庭用太陽光発電向け自動制

御システムにおいて、停電が発生した場合に電力会社の電線網から家庭用太陽光発電を自

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動的に遮断する際に電力線通信を活用する技術開発に取り組んでいる。ゆくゆくは電力会

社とスマートメーターの通信機能にも活用していく予定である。

電力線通信に関する直近半年間の動向

事例名 概要 出所

家庭用太陽光

発電向け自動

制御システム

への電力線通

信活用

中国電力と NEC は 6 日、共同で開発を進めている家庭用太陽光

発電向け自動制御システムの実用化試験を始めたと発表した。事

故で停電が発生した場合に電力会社の電線網から家庭用太陽光

発電を自動的に遮断する機能や、電線を使った双方向の通信機能

を備える。太陽光発電の普及を見据えた技術で、2012 年度の実

用化を目指す。開発を進めているシステムは停電時に電線網から

太陽光発電を遮断することで電力会社向けの余剰電力の送電を

止める。両社によると太陽光発電が大量に普及した場合、現在は

各家庭の太陽光発電設備で制御している送電の停止機能が安定

的に作動しなくなるおそれがある。太陽光発電からの送電が続く

と感電や設備事故につながる可能性があるという。システムは電

力会社の変電所で得た事故の情報を各家庭に設置した受信装置

に転送して電線網から自動的に遮断する。システムは PLC と呼

ばれる電線を使った双方向の通信機能を備え、メーターの自動検

針や家電の監視・制御など次世代送電網(スマートグリッド)の

基盤技術としても活用できるという。

2010/07/07 日本経済新聞

Panasonic を

中心に開発さ

れた日本発の

電力線通信規

格 HD-PLC

高速電力通信規格「HD‐PLC」が、米国電気電子学会(IEEE)

の P1901 委員会で最終承認された。同規格は電力線を使って情

報信号を送信する技術で、パナソニックが中心となって開発、推

進してきた。関係者は「日本の通信技術がフルスペックで世界標

準に入ったのは初めて」と話す。同規格の標準化によって、家電

をネットワーク化する動きが加速しそうだ。IEEE では HD-PLCとともに、米国の業界団体が推進する「HomePlug」の通信技術

を併記し、両方式を共存させるための仕様も策定した。標準技術

としては、この 2 方式のどちらかに共存方式を含める必要があ

る。すでにパナソニックでは HD-PLC の LSI 設計技術などに関

するライセンスの外部提供をスタート。標準化が決定したこと

で、2011 年初頭にも対応 LSI が、同年後半にも製品化される見

通しだ。HD-PLC は物理層の仕様としては最大で毎秒 210 メガ

ビットの通信が可能。無線 LAN などと比べて消費電力や LSI のチップ面積を抑えることができ、家電への組み込み用途に適して

いる。また屋外での使用が可能な海外ではスマートメーターなど

と組み合わせたスマートグリッドの通信技術としても有望と見

られている。

2010/10/11 日刊工業新聞

4)非接触充電

非接触充電は、無線で電力を供給して 2 次電池に充電する技術で、充電器に機器を置く

だけで充電することができる。充電器と機器との接点がないため、接点の耐久性や接点不

良、短絡や水分などによる漏電の心配が少ないといったメリットがある。 現在は、特定の機器と充電台どうしで利用されることが前提であるが、将来的には複数

機器の同時充電などが可能になる見込みである。

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非接触充電に関する技術開発の取り組みとしては、パイオニアが自動車向けに非接触充

電システムを開発しているほか、三洋電機がモバイル機器向けに、電磁誘導方式の非接触

充電システム国際規格「Qi(チー)」の開発に取り組んでいる。また、パナソニック電工も、

携帯型電子機器向け非接触充電システムを開発し、機器メーカーに提案を行っている。

非接触充電に関する直近半年間の動向

事例名 概要 出所

パイオニアの

自動車向けの

非接触充電シ

ステム

エレクトロニクスの展示会「シーテックジャパン 2010」が 5 日、

開幕した。パイオニアは自動車向けの非接触充電システムを出

展。電磁誘導方式によるもので、プラズマディスプレイの開発な

どで培ってきたインバーター技術を応用したという。充電ととも

に、無線 LAN を使ってカーナビゲーションシステムへの地図デ

ータ更新機能などを持たせる。自動車メーカーに採用を呼びかけ

ており、約 3 年後の実用化を目指す。

2010/10/6 日刊工業新聞

三洋電機のモ

バイル向け国

際規格対応の

非接触充電シ

ステム

三洋電機はモバイル機器向け電磁誘導方式非接触充電システム

の国際規格「Qi(チー)」に対応した非接触充電システムの試作

品を製作した。NTT ドコモをはじめとする複数の通信キャリア

や国内外の端末メーカーらに提供。評価を受けた後、採用が決ま

り次第、給電パッド、受電コイル内蔵二次電池などの量産に乗り

だし、販売する。三洋はモバイル機器の利便性向上に、非接触充

電が社会インフラとして普及するとみており、早ければ 2011 年

度の事業化を視野に入れる。三洋の給電パッド試作品は、縦 169ミリ×横 143 ミリ、厚さは 18 ミリメートル。中心 84 ミリメー

トル角内に送電コイルがあれば給電できる。電力伝達効率は80%程度で、充電時間は従来の AC アダプターと同等。量産時の価格

は 1 万円以下を目指す。

2010/10/2 日刊工業新聞

パナソニック

電工の携帯型

電子機器向け

非接触充電シ

ステム

パナソニック電工は携帯型電子機器向け非接触充電システムの

デモ用ユニットを完成し、機器メーカーに提案を始めた。受電デ

バイスを搭載した機器であれば、充電パッドに置くだけで充電で

きる。異なる機器でも充電器を共有でき、携帯機器を快適に利用

できる社会基盤として期待する。商品化準備を進めるとともに、

充電器の設備組み込みなど普及策も検討する。パナ電工の非接触

充電システムは、USB 給電を念頭に入力を直流 5 ボルトとし、

出力 2・5 ワットに設定。携帯ゲーム機や携帯電話、多機能携帯

端末、デジタルカメラなどへの適応を想定する。電磁調理器と同

じ電磁誘導作用で給電。受電デバイスは小型端末に搭載できるよ

う電力伝達用コイルを 30 ミリ角、厚さ 0・6 ミリメートル以内に

抑えた。電力伝達効率は約 70%で、携帯機器用の標準的な AC(交

流)アダプターの約 50%に比べてもエネルギー損失が少ない。

充電量の制御は受電デバイス側で行う。給電時の安全を確保する

には、受電デバイスを積んだ機器を充電器が認識する認証機能が

重要で、パナ電工は今後、同機能の開発を進め実用化に備える。

2010/08/3 日刊工業新聞

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2-2-3 アプリケーション層(コンテンツ)

1)エネルギーの見える化(アプリケーション)

「エネルギーの見える化」を実現するためのアプリケーション開発は、現在さまざまな

企業・研究機関によって行われているが、まだ試作段階のものが多い。ただ、多くのアプ

リケーションに共通しているのは、センサーやタップを使って家電機器ごとの電力消費量

を計測し、それらをスマートフォンや TV などの端末で表示できるようにして、まずは電力

消費に対する意識を高めることで省エネ行動を促そうという点である。 違いは収集した情報を、「見える化」以外にどのように活用するのかという点である。パ

ナソニック電工株式会社はオフィスビルのテナントやチェーン店舗向けにエネルギー(電

気・ガス)の使用量の計測とそれによる省エネ簡易診断を行う新サービスを 2010 年から開

始している。このような取り組みは、収集した情報と消費者の行動の関係を分析すること

で、電力消費量を削減するための消費者の行動について提案することで成り立つサービス

である。 山武の工場省エネルギーソリューション「ENEOPT(エネオプト)」も同様に、製造品種

別・ライン別の「原単位」を把握するとともに、原単位のバラツキの要因が「季節」「設備」

「原料」「人」などのうち何なのかを明確にすることで、エネルギーの「見える化」「最適

化」をサポートしていくサービスである。 Google も電力情報を握り、その「見える化」をコンテンツの 1 つとして付け加えること

で、最終的にはポータルサイトの利益の源泉であるトラフィックをさらに増やしていくこ

とを狙っている。

「エネルギーの見える化(アプリケーション)」に関する直近半年間の動向

事例名 概要 出所

スマート NWの実証実験

NTT 西日本は、総務省の「環境負荷軽減型地域 ICT システム基盤

確立事業」である「福岡県北九州市における ICT の技術仕様の検

証のための地域実証」の実証実験を、14 日から開始した。ICT の

積極的な利活用により、地域における環境負荷軽減の促進に資する

ICT 基盤を確立し、環境にやさしいまちづくりを支援する。実証

実験では、新しい社会インフラであり、新しい街づくりのコンセプ

トである「スマートコミュニティ構想」のうち、スマートネットワ

ークとエネルギーの見える化システムに関する実験を実施。モニタ

ー宅に設置した電力量センサーにより、モニター宅の電力使用量を

計測。計測された電力使用量データは、スマートネットワークを通

じてクラウド上のサーバーに格納され、モニターのパソコン端末だ

けでなく、スマートフォンやタブレット型端末に表示する。また、

モニター全体の電力使用量の見える化を行うことによって、各モニ

ターとモニター全体との電力使用状況の比較を可能とする。モニタ

ーの“気づき”を促すことで、それらが節電行動にどのような影響

を及ぼすかを評価する。

2011/01/17 電経新聞

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事例名 概要 出所

炭素取引クレ

ジットサービ

東京電力グループで、中古再生事業を手掛けるリビタは、川崎市の

1 棟丸ごとリノベーションマンション「リノア元住吉」で、専有部

分の電力を太陽光発電で賄うシステムを採用した。この太陽光発電

システムと共に、共用部分に導入する LED 照明で削減される二酸

化炭素排出量を、炭素クレジットとして取引して管理組合に対価が

支払われるサービスが「炭素取引クレジットサービス」だ。ファミ

リーネット・ジャパン(FNJ)が開発したエネルギーの見える化シ

ステム「ミエコ」の計測により、排出削減量の環境価値を FNJ と

リビタが共同で認証機関に申請。承認を受けた排出削減量を FNJがマンション管理組合から炭素クレジットとして買い取り、組合に

対価を支払うといった流れだ。太陽光システムと LED の導入によ

り、およそ年間 6 トンの二酸化炭素を削減でき、管理組合には年

間約 9000 円が入金される予定だ。FNJ は買い取った炭素クレジッ

トを、国の削減分として無償提供する。

2010/12/14 住宅新報

AR 技術活用

による見える

NTT ドコモは、AR(拡張現実)技術をエネルギーの見える化に活

用。AR とは端末を通じて、現実の環境に情報を合成表示する技術。

スマートフォンの人気アプリケーションソフト「セカイカメラ」

で認知度を高めつつある。同ソフトでは、街中で端末の内蔵カメ

ラを向けると、街の風景に観光案内などの情報が即座に合成され、

画面に映し出される。このように AR 技術は娯楽分野での利用が主

とみられてきたが、NTT ドコモは、これをエネルギーの見える化

に活用した。その第 1 号が、このほど横浜市のみなとみらい地区

に開設された「スマート・ネットワークプロジェクト」実証実験

施設だ。スマートフォン向け基本ソフト「アンドロイド」上で動

作するもので、建屋を設計した積水ハウスと共同開発した。例え

ばリビングでかざすと、薄型テレビとエアコンの電力使用量がリ

アルタイムに合成される。画面上の機器をタッチすればさらに詳

細な情報が表示される。電源オフを忘れがちなディスクレコーダ

ーやパソコン、トイレの照明などでは特に有効だろう。また家の

外でかざせば、太陽光発電設備と電気自動車(EV)を結ぶ線と発

電量が描画され、感覚的に充電中であることが分かる。街中でか

ざせば EV 充電ポイントを探せる機能もある。

2010/11/15 電気新聞

NTT グループ

のスマートハ

ウス向け分析

アルゴリズム

東京・有明の東京ビッグサイトで 9 日開幕した展示会「エコプロ

ダクツ 2010」の「スマートコミュニティゾーン」には、NTT グル

ープ、国際超電導産業技術研究センター(ISTEC)など計 11 のブ

ースが並んだ。NTT グループは、次世代型省エネ住宅「スマート

ハウス」向けに開発した省エネのためのアドバイスを作成する分

析アルゴリズム「エコーネ」のイメージ画面を展示した。コンセ

プトは「エネルギーの見える化」。電源タップの差し込み口ごと

に使用電力を計測、パソコン上でグラフ化する。来年度にはグル

ープ企業のサービスに組み込む考えという。携帯電話からインタ

ーネット経由で家庭内の家電の操作やドアの施錠確認ができる仕

組みも展示した。

2010/12/10 日本経済新聞

電子版セクシ

ョン

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事例名 概要 出所

パナソニック

電工のエネル

ギーの見える

化と省エネ簡

易診断

パナソニック電工株式会社はオフィスビルのテナントやチェーン

店舗向けにエネルギー(電気・ガス)の使用量の計測とそれによ

る省エネ簡易診断を行う新サービスを 2010 年 10 月 1 日より開始

すると伝えた。同サービスは、パナソニック電工が提供する、建

物のエネルギー使用量を計測し、ネットワークを利用して集中管

理を行うサービス「エネルギー見える化サービス『EnePass(エ

ネパス)』」を利用した新サービス。省エネ対策の立案には、エ

ネルギー使用量の計測が必要だが、計測機器の導入には初期投資

費用がかかることから、同社はユーザーの初期の費用負担が少な

くなるよう、エネルギー使用量の計測と省エネ簡易診断を行うサ

ービスを、月額 3 万円の定額で提供する。サービス契約期間は 6カ月から 24 カ月の間で選択できる。

2010/09/27 サーチナニュ

ース

山武の食品工

場の省エネ 製造現場でより踏み込んだ省エネ活動をするために、製造品種別、

ライン別の「原単位」の把握が必要で、原単位のバラツキの要因

が、季節、設備、原料、人などのうち何なのかを明確にし、対策

を取る必要がある。このため、省エネを実現するためには「エネ

ルギーの見える化」が必須。まず「エネルギー使用量と生産のバ

ランス」を調べる必要がある。つまり、各時点における生産に必

要なエネルギー量と実際の供給量の差を把握するのだ。これをデ

ータ化して分析すれば、生産に必要なエネルギー量が分かるとと

もに、各エネルギーを供給するための原動力設備の最適稼働が実

現できる。その結果、生産に対するエネルギー原単価を下げるこ

とができる。山武はこの点に着目して、工場省エネルギーソリュ

ーション「ENEOPT(エネオプト)」を開発した。エネオプトは

同社が生産現場で積み重ねてきた計測・制御の経験とノウハウを

生かして作り上げられた。生産プロセスにまで踏み込んだエネル

ギー計測はもちろんのこと、専門家がエネルギー製造設備、熱源

設備、クリーンルームや空調設備までくまなくチェックして、エ

ネルギーロスを導き出し、これに基づいてエネルギーの「見える

化」「最適化」をサポートしていく。

2010/10/01 月刊食品工場

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2)エネルギーの自動制御(アプリケーション)

「エネルギーの自動制御」を実現するためのアプリケーション開発も、現在さまざまな

企業・研究機関によって行われているが、まだ試作段階のものが多い。ただ、多くのアプ

リケーションに共通しているのは、センサーで得た情報をもとに、エネルギーを自動制御

するためのシステムに基づいて、照明や空調機器を制御するという点である。 このようなシステム開発は、住宅・オフィスビル・工場・倉庫などのあらゆる需要家を

対象に行われており、技術的には十分に提供可能な水準となっている。しかし、普及に至

るには価格面などでまだハードルが高い。

「エネルギーの自動制御(アプリケーション)」に関する直近半年間の動向

事例名 概要 出所

住友林業・東芝

のスマートハ

ウス用電力制

御装置

住友林業と東芝は、次世代の省エネルギー住宅「スマートハウス」

に使う電力制御装置を共同開発する。住友林業は 2011 年中に東

芝から調達する制御装置や蓄電池などを組み合わせ、スマートハ

ウス販売事業に参入する。両社が共同開発するのは、IT(情報技

術)を活用して家庭の電力消費を最適化する「HEMS(ホームエ

ネルギーマネジメントシステム)」と呼ぶシステム。電力測定装

置や情報収集装置などで構成する。モニター画面で住宅の太陽光

発電量やエネルギー消費量、蓄電量などを簡単に把握できるた

め、住人の省エネ意識が高まるという。組み合わせる機能によっ

て価格は変わるが、戸建て 1 軒あたり 20 万~30 万円に抑えたい

考え。将来は住宅内外の気温や湿度、天候などに応じてエアコン

などの家電を自動制御する機能の追加も計画している。家庭用電

源を使う EV やプラグインハイブリッド車(PHV)の充電にも対

応する予定だ。11 年に市場投入する HEMS の販売量は年間 3 千

システム程度となりそうだ。

2011/01/15 日本経済新聞

NTT ファシリ

ティーズの空

調自動制御シ

ステム

NTT ファシリティーズは、ワイヤレス温度センサーを用いて空

調機を個別に自動制御するデータセンター向け空調自動制御シ

ステム「DASH」の販売を 19 日から開始する。DASH は、デー

タセンター、サーバールーム内に張り巡らしたワイヤレス温度セ

ンサーで情報通信技術(ICT)機器の吸い込み温度のデータを収

集し、その計測値の変動に合わせて空調機を個別に自動制御する

のが特徴。各空調機の設定温度を自動的に最適化することで高効

率な稼働と省エネ化を実現する。NTT ファシリティーズの検証

によると、一般的なデータセンターに DASH を導入した場合、

10~30%の空調用消費電力量の削減効果が見込めることを確認

している。DASH によって「温度情報の見える化(自動計測)」

から「温度環境の分析・モデル化」「各空調機の個別制御」まで

の一連のプロセスを自動的に実施できるようになる。ICT ラック

にサーバーなどを増設にしても空調環境を自動制御でき、ICT ラ

ックの吸い込み温度分布などのモニタリングも可能だ。また、

DASH は学習機能を備えており、継続的なシステムの稼働を通じ

て空調制御の精度を高め、各サーバーの発熱量の変化などにも動

的に反応。より省エネ性の高い最適な空調制御を実現する。

2011/01/19 日刊建設工業 新聞

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事例名 概要 出所

清 水 建 設 が

BEMS を開発 清水建設は約 1 億 5000 万円を投じて東京都江東区にある技術研

究所の本館を改修し、「次世代型の超環境オフィス」として 10月から使い始めた。4 階の 320 平方メートルのスペースでは 30人の社員が働き、照明や空調を自動制御しながら電力消費量など

のデータを記録する。設計通りに省エネ効果を得られるのかを確

認するための実験だ。清水建設は BEMS(ビル・エネルギー・

マネジメント・システム)を進化させ、太陽光発電や蓄電池を併

用して効率的に電力を活用できるマイクログリッド(小規模分散

型電源)と各種の設備機器を一体的に制御できる「シミズ・スマ

ート BEMS」を独自に開発した。このシステムは天気予報など

から翌日の電力需要を予測。夜間に蓄熱・蓄電しておき、翌日に

エネルギー消費量がピークに達した場合には蓄えたエネルギー

を使い、電力需要を契約電力の削減目標以下に抑える。清水建設

の場合、ピークの電力を 2 割カットする目標を設定。仮に需要が

予想を超えても、設備機器の稼働状況を即時に制御して電力需要

を削減目標以下に抑え込む「デマンドレスポンス」と呼ぶ技術も

導入した。

2010/10/28 日経産業新聞

三井情報の店

舗の空調・照明

の制御サービ

三井情報は小売業向けに、自社のデータセンター(DC)から店

舗の空調設備や照明を制御・管理するサービス「ジェムツー」を

拡販する。売り場ごとにきめ細かく制御し、電気やガスの使用量

を“見える化”するため、省エネ対策と快適な店舗の維持の両立

が必要な家電量販店やホームセンターなどを開拓する。企業全体

でのエネルギー使用量の管理・報告を求める改正省エネ法などに

より、高まる環境負荷の低減ニーズを取り込む。今後 3 年間で

1000 店舗への提供を目指す。三井情報は DC で空調やセンサー

から送られてくる温度や湿度のデータを収集し、各設備を自動制

御する。空調の設定温度の変更、冷暖房や送風といった運転の切

り替えなどが可能。「空調にかかる 1 カ月の電気代を 20%程度

削減できる」(三井情報)という。二酸化炭素(CO2)の削減に

もつながる。料金は 1 店舗当たり月額 4 万 2000 円から。

2010/10/18 日刊工業新聞

シスコシステ

ムズのエネル

ギー管理サー

ビス(EMS)

伊藤忠商事とシスコシステムズは 4 日、IT を活用したエネルギ

ー管理サービス(EMS)事業を共同展開することで合意したと

発表した。伊藤忠のクラウド型省エネサービスの遠隔制御システ

ムを搭載するシスコのルーターを介し、複数拠点を自動的に省エ

ネ化するソリューション「ecoFORTE-CRE」の開発、販売促進

に取り組む。ビル全体から個々の IT 機器までを一括で監視・制

御する EMS を提供し、企業の省コスト・省エネに関するきめ細

かなニーズに応える。

2010/10/05 化学工業日報

パナソニック

電工・三洋電機

の照明・冷凍冷

蔵設備環境の

統合コントロ

ールシステム

パナソニック電工と三洋電機は、スーパーマーケットの省エネと

CO2 削減に貢献する、照明・冷凍冷蔵設備環境の統合コントロー

ルシステムを共同開発した。本システムは、パナソニック電工の

「照明環境統合コントロールシステム」と三洋電機の「店舗統合

管理システム“エコストアシステム”」を連携させることにより、

これまで各システムで個別に行っていた店内照明の高効率制御

やショーケース・冷凍機の高効率運転制御に加え、外光の明るさ

や時間帯によって店内照明とショーケース庫内照明の照度調整

を行ったり、ショーケースの温度設定を自動制御するなど、より

効率のよい「店舗まるごと」省エネソリューションを実現し、提

供する。

2010/09/29 日経速報ニュ

ースアーカイ

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事例名 概要 出所

富士ゼロック

スのビル丸ご

と省エネ新シ

ステム

富士ゼロックスは、ビルのエネルギー使用量を用途別やフロア別

に逐次計測し、在館者数の変化などと照合することで機器の運用

の無駄を見つけ出すシステムを開発した。電気使用量などの「見

える化」に加え、エネルギー消費の元となる人の動きや機器の使

い方も踏まえた詳細な省エネ分析が可能になる。同システムを活

用し、オフィス向けの新たな省エネ支援サービスにつなげる。実

証実験のため、このほど自社の研究開発拠点「R&D スクエア」

(横浜市、写真)に新システム「エネアイズ」を導入した。執務

者数が減っているのに電力消費量の落ちが鈍い時間帯など、従来

の手法では見過ごされがちだった省エネ余地を洗い出す。具体的

には、無人の週末や夜間も稼働させ続けることが多いサーバーの

電力消費の実態を新システムで明らかにできるとみている。解決

策としてサーバーの電源を在勤パターンなどに応じて自動制御

する仕組みを考案。それを顧客向けの新サービスとして展開する

ことなどを想定している。2010 年度中に新システムを活用した

新たな省エネ支援サービスの第 1 弾を具体化する計画。

2010/08/04 日経産業新聞

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3)セキュリティサービス(アプリケーション)

ここで挙げるセキュリティサービス(アプリケーション)とは、消費電力の情報などが

電力網・通信網を介してやり取りされることによる情報漏えい対策を提供するアプリケー

ションシステムを指している。 この分野の技術開発はまだ始まったばかりであるが、具体例としては東芝がセキュリテ

ィ機能を搭載したスマートメーターの開発に取り組んでおり、2012 年 3 月までに実用機を

製品化し、米国で行うスマートグリッドの実証実験で検証を行う予定である。 また、コンピューターセキュリティソフトを製造しているマカフィーは、「ホワイトリス

ト(問題ないプログラムのみを実行可能とする)」技術を活用した技術を応用して、スマー

トグリッド用のセキュリティソフトの開発に取り組んでいる。

「セキュリティサービス(アプリケーション)」に関する直近半年間の動向

事例名 概要 出所 東芝のセキュ

リティー機能

を搭載したス

マートメータ

ーの開発

東芝はセキュリティー機能を搭載したスマートメーター(次世代

電力計)を開発する。電力事業者と家庭間を双方向通信でやりと

りするため、普及に際しては、不正アクセス防止や個人情報保護

が大きな課題になっていた。相互認証や暗号化などの要素技術を

確立、標準化団体にも提案していく。2012 年 3 月までに実用機

を製品化し、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が

米国で行うスマートグリッド(次世代電力網)の実証試験に納入

する。東芝は研究開発センターが中心となり、相互認証と暗号化

処理を統合した鍵管理技術を実用化。鍵の増加による中央演算処

理装置(CPU)の負荷を減らす仕組みを採用する。まず NEDOがニューメキシコ州のロスアラモスとアルバカーキで実施する

プロジェクトへ 3 台供給し、順次増設する予定。具体的な商用化

の時期については未定。

2011/01/12 日刊工業新聞

マカフィーの

スマートグリ

ッド用セキュ

リティソフト

日本版スマートグリッド(次世代送配電網)は、議論を通じその

姿を追究している段階。しかし、エネルギーに関係する膨大なデ

ータがネットワークを介しやりとりされることには違いない。コ

ンピューターセキュリティー大手のマカフィーはこうした点に

着目。米国での実績(問題のないプログラムのみ実行可能とする

『ホワイトリスト』ソリューションを提供している。すでに現金

自動預払機(ATM)などで広く展開しており、電力設備にも応

用が可能)をもとに日本でのサービス展開を目指す。日本法人

SE 本部の兜森清忠マネジャーは各家庭にスマートメーター(次

世代電力量計)が配備される時点だけではなく、そこへ至るまで

のプロセスについてもサポートする考えを示す。

2010/07/27 電気新聞

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2-2-4 統合ソリューション

1)スマートハウス・スマートビル

○スマートハウスの定義

スマートハウスは、一般的には前述の「エネルギーの見える化」「エネルギーの自動制御」

「省エネルギー」というソリューションを提供するためのシステム(HEMS:Home Energy Management System)を具備した家を指すことが多い。 しかし HEMS によるソリューションだけでなく、地域特性や建材の性質などを活かすこ

とで、「省エネルギー」を実現した省エネ型次世代住宅(エコハウス)なども、本調査で取

り扱うスマートハウスの範囲に含めて考えていくこととする。

■民間企業による取り組み

民間企業では、ハウスメーカー・ゼネコン・ディベロッパーはもちろん、電気自動車と

いう側面で関係を有する自動車メーカーも、スマートハウス向けの HEMS の開発に取り組

んでいる。 ミサワホームは、電気・ガス・水道の使用状況と太陽電池・燃料電池による発電状況を

統合管理して、「エネルギーの見える化」「エネルギーの自動制御」機能を備えたシステム

の開発に取り組んでいる。またトヨタ自動車と、必要なエネルギーを自給できる次世代型

住宅を共同開発にも取り組もうとしている。

スマートハウスに関する技術開発事例

事例名 概要 出所 トヨタ自動車・

ミサワホームの

次世代型住宅

トヨタ自動車とミサワホームは必要なエネルギーを自給でき

る次世代型住宅を共同開発する。太陽光や太陽熱の利用で消費

量以上のエネルギーを生み出せる住宅や、家庭内のエネルギー

を自動制御するシステムを 2011 年にも実用化する。トヨタは

デンソーなどのグループ各社と省エネの自動制御システムを

開発する。「HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)」

と呼ばれ、家庭内のエネルギー消費を最適化する次世代住宅

「スマートハウス」に欠かせない。ミサワは同システムに発電

量、電気、ガス、水道の使用状況を表示する装置のノウハウを

提供する。同システムを導入すると家庭用電源で充電できるプ

ラグインハイブリッド車などに自動充電しやすくなる。HEMSはトヨタホームとミサワが活用。ミサワの次世代型住宅と組み

合わせればエネルギー自給をより実現しやすくなる。

2010/08/23 日本経済新聞

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■東北の行政・研究機関等による取り組み

「省エネルギー」を実現した省エネ型次世代住宅については、平成 21 年度に環境省が「エ

コハウスモデル事業」を実施し、全国で 20 箇所の先進的な省エネ型次世代住宅建設の取り

組みを支援している。東北地域では、山形県山形市内と福島県相馬郡飯舘村内において、

省エネ型次世代住宅のモデル整備を実施した。

「エコハウスモデル事業」の東北地域における事例 地域 提案概要 提案のポイント エネルギー特性

山形県 山形市 (実施主体: 山形県・東北

芸術工業大

学)

山形市内の新興住宅地に、良質な

住宅地景観を形成するデザインの

木造 2 階建てのモデルハウスを建

設。CASBEE-Sランクや現行の「次

世代省エネ基準」を上回る欧州レ

ベルの省エネ水準を目指すととも

に、地域森林資源の循環的利用、

太陽光発電での電力供給、ソーラ

ーシステム温水器の不足を木質バ

イオマスボイラーが補う「ハイブ

リッド型」暖房・給湯設備の導入

等を進め、再生可能エネルギー自

立型の住宅とする。

○地域性 住宅をつくる地域の循環

システムまでをも提案す

る 地域森林資源の利用 ○環境性 地域材を利用した Q1 ハ

ウス ○ライフスタイル 山形の里山の自然と調和

した家づくりの提案

1.木で家をつくる。 2.住宅を省エネルギー化

する。 3.自然のエネルギー(再

生可能エネルギー)を使

う。 の 3 点をコンセプトとし

て建築。

福島県 飯舘村 (実施主体: 福島県飯舘

村)

低炭素型田園ライフの実現のた

め、菜園・ガーデン、農作業場、

アート活動等の多様なクリエート

空間を用意し、“ 半農半Ⅹ” 型の

ライフスタイルを堪能できるエコ

田園住宅を村民参画で計画・建設

しエコ定住、移住を促す。建物だ

けでなく、ランドスケープ、緑、

菜園、庭、環境、農林地と融合す

る「までいな家(ZERO+α ハウ

ス)」の生活体験を提供し、地球に

やさしいまでいな暮らしを体感で

きる、村のエコライフ学習センタ

ー機能も果たし、までいライフの

創造に寄与する。

○地域性 地域性村づくりの基本理

念【までいライフ】は、 効率優先を見直し真の豊

かな暮らしの追求 ○環境性 生活エネルギー数値のデ

ータ化による 【までいな家】の普及 ○ライフスタイル 菜園、ガーデン、農作業

などの多様な空間で “ 半農半Ⅹ” 型ライフ

スタイル

1.水源にある村のため

「排水に配慮する」 2.輸送エネルギーを考慮

し「木質燃料にこだわる」 3.生活排熱や太陽熱など

「身の回りにあるエネル

ギーを活用する」 4.温熱環境を安定させる

ため「様々な熱を蓄える」 の 4 点をコンセプトとし

て建築。

○スマートビル(ZEB)の定義

スマートビルとは、一般的にビル全体の消費電力をマネジメントすることで環境性と経

済性を向上させるオフィスビルや複合商業ビルのことを指す。中でも、太陽光発電などの

再生可能エネルギーなどを活用して、ビル自身が使用する一次エネルギーの利用量をほぼ

ゼロに抑えることができるビルを「ZEB(Net Zero Energy Building)」と呼ぶ。 経済産業省は 2009 年 11 月、業務用のビルで省エネを進めてトータルのエネルギー使用

量ゼロを目指す ZEB 化に向けた新たなビジョンの提案や、課題とその対応策をまとめた報

告書を発表した。ビルの省エネ格付け制度や建築物のエネルギー使用量の総合評価制度な

どを盛り込み、ZEB 化を 2030 年までに新築ビル全体で実現することを提言している。

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■民間企業の取り組み

スマートビルに関する民間企業の取り組みは数多く行われているが、その中でもゼネコ

ンの取り組みが一歩先行している状況である。

建物に関するスマートオフィスの取り組みで、実用化した例としては大林組の技術研究

所における「テクノステーション」などが挙げられる。照明や空調による省エネの実現だ

けでなく、自然換気やオフィスで働く人々への環境意識にも働きかける工夫をこらしてい

る点が特徴的と言える。

大林組のスマートオフィスに関する取組

事例名 概要 出所 大林組のスマ

ートオフィス 大林組は 9 月末に東京都清瀬市にある技術研究所に技術研究

者のオフィスビル「テクノステーション」を建設した。外気

や自然光を積極的に活用して、一般的なオフィスと比べて

CO2を 55%削減できるのが特徴だ。例えば、屋根からの自然

光を反射拡散させてオフィス全体を照らす「エコロジカルル

ーフシステム」。晴れていれば机上面で 600~700 ルクスの

明るさを確保できるため、照明の消費エネルギー削減に役立

つ。屋根は開閉可能で自然換気にも利用できる。BEMS を使

い、空調などの設備を制御し、さらに BEMS からのデータを

活用して発電量や CO2削減量などをオフィス壁面に備え付け

た大型モニターに表示、オフィスで働く人の環境意識を高め

る仕組みにした。モニターは自然換気に適した条件が整った

ことも知らせる。自然換気への切り替えもあえて手動にして、

省エネを意識させるようにしている。

2010/10/28 日経産業新聞

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42

■東北の行政・研究機関等による取り組み

また、東北地域でも 2010 年春に、環境科学研究科本館東側に木造校舎「エコラボ」がオ

ープンした。「エコラボ」では、地元宮城の木材をふんだんに使った温かみのある空間の中

では、自然エネルギーを活かす様々な研究成果が応用されており、これも実質的にはスマ

ートビルの一種であると言える。

東北大学環境科学研究科の研究棟「エコラボ」の概要

1.設計の基本的な考え方 環境科学研究科のシンボル的研究施設として設計した「エコラボ」は、先端的研究も行

われることを前提として、フレキシビリティを確保した上で、現代的でシンプル・軽快な

空間となるようデザインしています。また、木造が本来もつ「暖かさ」や「柔らかさ」と

いった長所を活かしながらも、断熱性能や気密性能といった機能性も満足する建物として

設計しました。 2.エネルギー面に配慮した設計 (1)自然換気

1 階エントランスホールから上部天窓までの吹抜け(=風の道)を利用して、建物内外の

温度差による「重力換気」と風の圧力差による「風力換気」を自動で行うシステムとして

いる。夏期と中間期は建物内の熱を天窓の「自動開閉換気窓」から排出し、電気エネルギ

ーはほとんど使用していない。一方、冬期は上部の暖かい空気を、天窓の「エアスイング

ファン」から 1 階まで吹き降ろし、エントランスホールを暖める。 (2)採光・照明 エントランスホール廻りは天窓からの採光によって昼間の照明点灯は殆ど必要なく、最

新の高効率照明器具(LED 照明など)の使用で消費電力を抑えることが可能となっている。 (3)調湿効果

木材の調湿機能を活用するため、壁や天井は杉材の仕上げを基本としていますが、さら

に調湿機能のあるヌリカラット(INAX)を壁に使用して室内環境の安定を図っている。 (4)エネルギー供給 太陽光発電と蓄電池を備えるとともに、「微弱電流を蓄電し、直流のまま使っていく」点

が最大のポイントである。このような直流給電と蓄電池を組み合わせシステムで、エコラ

ボ内での効果的な太陽光エネルギー利用と交流‐直流変換によるロスを無くすことができ

る。

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43

東北大学環境科学研究科のエコラボの全景

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スマートグリッドを構成する要素技術の概要と主要メーカー・技術開発の状況

44

要素技術 概要 メーカー 技術開発・実用化の状況

物理層 情報家電 通信網や電力網に接続され、エネルギーの見える化や自

動制御にも対応した次世代型の家電機器。 パナソニックなど スマートグリッドによるエネルギーの見える

化・自動制御を前提にした家電機器は、パナソ

ニックが「エコナビ家電」として実用化が始ま

った段階。 電気自動車 通信網や電力網に接続され、エネルギーの見える化や自

動制御にも対応した次世代型の電気自動車。電気そのも

のを運搬する「エネルギーモバイル」の役割も果たす。

日産自動車 トヨタ自動車 三菱自動車など

日産自動車の「Leaf」や三菱自動車の「i-MiEV」

などが実用化された。ただし、家庭内のグリッ

ドとの連携はこれからの検討課題である。また

充電インフラの整備も発展途上。 空調機器 通信網や電力網に接続され、エネルギーの見える化や自

動制御にも対応した次世代型の空調機器。天候などに応

じた自動制御機能も兼ね備える。

NTT ファシリティー

ズ 大林組 など

オフィスビル向けに天候などに応じた自動制

御機能を持った空調機器が開発されたが、まだ

商業ベースでの実用化例はほとんどない。 スマート メーター

通信網と電力網に接続され、個別の家電・空調機器のエ

ネルギーの消費状況をリアルタイムに収集する計測機

器。これらのデータに基づいてエネルギーの見える化や

自動制御を行う。

大崎電気工業 富士電機 三菱電機 東光東芝メーターシス

テムズ など

欧米では既に自動計測機能やデマンドレスポ

ンスに対応したスマートメーターの導入が着

実に進められているが、日本では実証実験で導

入されている程度。

パワーコンデ

ィショナー

スマートメーターと連携して、収集したエネルギーの消

費状況をリアルタイムに収集するとともに、これらのデ

ータに基づいてエネルギーの見える化や自動制御を行

う制御機器。

京セラ シャープ 三洋電機 東芝 など

太陽光発電向けに既に実用化されているが、燃

料電池用や宅内の個々の家電機器の制御まで

対応しているものは現状ではまだ少ない。

蓄電池/燃料

電池

エネルギーを一時的に蓄積して、需要と供給のバランス

をコントロールする電池。燃料電池については、自らガ

スを活用して発電を行う機能も兼ね備える。

NEC トーキン ソニー 日本ガイシ 三菱重工業 など

太陽光発電とセットで徐々に普及しつつある。

太陽電池 太陽光を活用して、電気を発電する電池。 京セラ シャープ 三洋電機 など

太陽光発電の政府・地方自治体の補助金等によ

り徐々に普及しつつある。

センサー 人の動き(人感センサー)や電流の流れ(電圧センサー)

を感知する装置。 オムロン アルプス電気 TDK など

既に人の行動、電気・電圧の計測に対応した多

数のセンサーが実用化。他の機器といかに連係

させてソリューションを作り出していくのか

が今後の課題。 スマートタッ

電圧センサーが内蔵された端末で、コンセント部分に取

り付けて各家電機器の消費電力をリアルタイムに計測

する。また、消費電力を抑えるために各家電機器を制御

することもできる(HEMS との連携は今後の開発課題)。

エネルギー情報化 WG(京大松山研究室が事

務局)など

現在、エネルギー情報化 WG に参画している

企業を中心に開発が進められている。HEMSといかに連携させていくかが今後の課題であ

る。 論理層 交流(AC) 電圧が時間と共に変化する給電方式。トランスを使って

電圧を変えることができる。家庭用の系統電源で一般的

に採用されている給電方式である。

- 系統電力網で幅広く実用化されている。

直流(DC) 時間が変化しても電圧は一定である給電方式。電池や太

陽光発電によって発生した直後の電力状態は、一般的に

直流となっている。

パナソニック NTT ファシリティー

ズ コクヨ など

家電メーカー、設備メーカーなどが直流給電の

要素技術を開発しているが、今後直流給電を利

用するための電圧の規格などを調整する必要

があり、実用化にはまだ時間がかかる。 無線通信 センサーなどと組み合わせて電力消費などの情報を収

集する際に、無線でホームゲートサーバーと通信を行う

手段。中でも ZigBee は家電向けの短距離無線通信規格

の一つで、低速で転送距離が短い代わりに安価で消費電

力が少ないという特徴を持つため、宅内の通信規格の主

流となっている。物理層のインターフェイスは IEEE 802.15.4 として既に規格化されている。論理層以上につ

いては現在、ZigBee Alliance が仕様策定を行なってい

る。

KDDI 日本エリクソン ルネサスエレクトロニ

クス アドソル日進 など

ZigBee を用いた宅内の「エネルギーの見える

化・自動制御」に関するソリューションが国内

外で多数登場してきているが、アプリケーショ

ン面ではまだ圧倒的な競争優位を持った製品

は登場してきていない。

電力線通信 電力線を通信回線としても利用する技術。2006 年 10 月

に総務省が、屋内に限り 2MHz から 30MHz の周波数使

用を認める項目を追加する省令改正をしたのを受けて、

2006 年 12 月から高速電力線通信対応製品が流通してい

る。Panasonic が“HD-PLC”として標準化を推進して

いる。

パナソニック アイオーデータ バッファローなど

パナソニックを中心に開発した通信の安定

性・セキュリティの堅牢さで注目されている電

力線通信の規格「HD-PLC」が IEEE の標準

化委員会に提案され、2010 年末に正式に承認。

今後 HD-PLC を活用した商品開発が進むと考

えられる。 接触充電 コンセントを通じて系統電源に直接つなぐことで、2 次

電池に充電する方式。 - 既に実用化。

非接触充電 無線で電力を供給し、2 次電池に充電する技術。充電器

に機器を置くだけで充電できる。充電器と機器との接点

がないため,接点の耐久性や接点不良,短絡や水分など

による漏電の心配が少ないといったメリットがある。

パイオニア 三洋電機 パナソニック電工など

パイオニアが自動車向け、三洋電機が携帯電話

向け、パナソニック電工が形態型電子機器の非

接触充電の規格をそれぞれ提案している。

アプリケー

ション層 エネルギーの

見える化

エネルギーの消費状況を家電単位でリアルタイムに把

握できるようにするアプリケーションシステム。 NTT ドコモ パナソニック電工 山武 など

各社が HEMS・BEMS 開発の一環に、さまざ

まなアプリケーションを開発している段階。

エネルギーの

自動制御

消費エネルギーの目標値や家電別の優先順位を設定し

て、最適な消費エネルギー量をコントロールするシステ

ム。また、自宅内に設置された家電機器の電源などを遠

隔からコントロールすることも可能。高齢者の見守りサ

ービスなどへの応用も想定される。

住友林業・東芝 清水建設 三井情報 富士ゼロックスなど

セキュリティ

サービス

消費電力の情報などが電力網・通信網を介してやり取り

されることによる情報漏えい対策を提供するアプリケ

ーションシステム。

東芝 マカフィー など

統合ソリュ

ーション スマートハウ

冷暖房効率の良い建材などを利用して空調機器の利用

を最小限に抑えるとともに、エネルギーの見える化・自

動制御機能を兼ね備えた省エネ型の次世代住宅。

トヨタ自動車 ミサワホーム 積水ハウス など

住宅メーカー・ゼネコン・自動車メーカーが、

要素技術の組み合わせを模索しながら実証実

験を展開している段階。 スマートビル

ディング

冷暖房効率の良い建材などを利用して空調機器の利用

を最小限に抑えるとともに、エネルギーの見える化・自

動制御機能を兼ね備えた省エネ型の次世代ビル。

大林組 清水建設 など

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45

2-3 スマートグリッドに関する技術ロードマップ

スマートグリッドに関する技術ロードマップについては、NEDOから 2010年 8月に発

表された「再生可能エネルギー技術白書」の中で示されている。

この中では、スマートグリッドの技術開発における課題として「再生可能エネルギー導

入に伴う課題」と「需要家情報の利用に係る課題」の2つが大きく取り上げられており、

特に後者の方では、「需要家情報を活用したビジネスアイディアの実現にかかる課題」と「発

電から需要家までが一体となった情報通信システムの構築」の2つがクローズアップされ

ている。さらに具体的に時系列別の技術開発目標を見てみると、需要サイド(家庭・ビル)

については、2015年までは「スマートインターフェースの開発」が取り上げられている。

このように、需要家側に関連するスマートグリッドの技術開発のプロセスとして、現時

点では主に具体的なビジネスアイディアを実現させるための基盤づくり(規格の統一・調

整など)が中心であることが伺える。

再生可能エネルギー技術白書における「スマートグリッドに関する技術ロードマップ」

(出所)NEDO「再生可能エネルギー技術白書(2010年 8月発表)」

具体的な技術開発内容を見ても、需要家側の技術開発に関連する「需要家側のエネルギ

ーマネジメント技術」「先進的なインターフェイス技術」のいずれについても、現時点では

インターフェイスやプラットフォームの開発が主であり、具体的なビジネスアイディアの

ブラッシュアップはその次のフェーズという位置づけになっている。

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NEDO「スマートグリッドに関する技術ロードマップ」における具体的な技術開発内容

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第3章 全国におけるスマートグリッドに関する技術開発動向 3-1 次世代エネルギー・社会システム実証事業地域における取り組み

2010 年 4 月に経済産業省は日本型のスマートグリッドの構築に向けて実証実験を行うた

め、神奈川県横浜市・愛知県豊田市・京都府けいはんな学研都市・福岡県北九州市の4つ

の地域を「次世代エネルギー・社会システム実証地域」として選定した。加えて今後5年

間をかけて、エネルギーや関連機器を中心に通信・都市開発・交通システム・ライフスタ

イルといった切り口で、さまざまな実証を行う予定となっている。

ここでは、現在の全国における技術開発の動向を把握するため、経済産業省の次世代エ

ネルギー・社会システム実証事業の対象地域に選定された4つの地域における取組を、「次

世代エネルギー・社会システム実証マスタープラン」に基づいて、以下のように取りまと

めた。

3-1-1 神奈川県横浜市

横浜市の計画では、みなとみらい21地区・港北ニュータウン地区・横浜グリーンバレ

ー地区の主要3地区において、計 27,000kW の太陽光発電を導入するとともに、4,000 戸に

てスマートハウス・スマートビルに関する実証実験を行い、あわせて 2,000 台の次世代自

動車を導入し、実際の生活の中での使い方を検証していく計画である。 また、HEMS・BEMS・電気自動車を組み合わせた地域エネルギーマネジメントを仮想

で実証するとともに、大規模ネットワークと相互補完する電力・熱などの地域エネルギー

連携制御についても実証を行っていく。

横浜市の次世代エネルギー実証事業におけるプロジェクト

(総額 1億円以上のものを抜粋、数字の単位は億円)

タイプ プロジェクト名 実施主体 予算 神奈川県横浜市の 5 年間の実証費(総額) 740 再生可能エネルギー の大量導入

3 エリアにおける再生可能

エネルギーの導入 横浜市、東芝、パナソニッ

ク、明電舎、東京電力、東

京ガス、アクセンチュア等

195

市内福祉施設等への太陽熱

エネルギーの導入 東京ガス、アクセンチュア

等 13

ビルへの河川水ヒートポン

プの導入 東京電力、アクセンチュア

等 7

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48

省エネルギーシステ

ムの導入(家庭) 3 エリアにおける HEMSの導入

パナソニック、東芝、東京

電力、東京ガス、横浜市、

アクセンチュア等

48

集合住宅における燃料電

池、蓄電池を組み合わせた

エネルギーマネジメント

東京ガス、日産自動車、ア

クセンチュア等 18

省エネルギーシステ

ムの導入(事業者) 3エリアにおけるBEMSの

導入 アクセンチュア、明電舎、

東芝、横浜市、東京ガス等 162

蓄電池付き BEMS の導入 明電舎、NEC、アクセンチ

ュア等 6

ビル群のエネルギー制御と

地域間連係 東芝、アクセンチュア、東

京電力等 33

地域エネルギーマネ

ジメントシステムの

構築

都市廃熱を活用した高温熱

供給配管の整備調査 東京ガス等 11

地域冷暖房を活用したエネ

ルギーマネジメント 東京ガス、アクセンチュア

等 11

地域冷暖房エリアにおける

「見える化」による省 CO2

効果検証

東京電力、アクセンチュア

等 21

次世代型地域冷暖房の実現

に向けた熱源水ネットワー

ク整備

東京電力等 5

3エリアにおけるCEMSの

導入 東芝、東京電力、アクセン

チュア等 26

次世代自動車の導入 3 エリアにおける電気自動

車の大量導入と充電インフ

ラの整備

横浜市、日産自動車、東芝、

アクセンチュア等 95

充放電対応電気自動車を用

いたエネルギーマネジメン

日産自動車、日立、オリッ

クス、アクセンチュア等 45

その他 ライフスタイルの革新 横浜市、アクセンチュア、

東芝、パナソニック、東京

電力、東京ガス、横浜市金

沢団地協同組合、横浜金沢

産業連絡協議会

22

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49

3-1-2 愛知県豊田市

豊田市の計画では、豊田市内の住宅と自動車を対象に、家庭セクター(家庭+自動車)

に着目し、グローバル企業・地元有力企業・自治体で協調しながら、実生活者を巻き込ん

だ低炭素社会システムの構築を目指している。 具体的には 150 戸以上の新築住宅に太陽光パネル・蓄電池・燃料電池を設置して、エネ

ルギーマネジメントの在り方について検証を行う。また、次世代自動車を対象の全戸に導

入するとともに、バスなどの公共交通システムについても次世代自動車を用いた新しいシ

ステムを実証する。あわせて、次世代自動車のための充電スタンドをはじめとしたインフ

ラ整備についても並行して進めていく。

豊田市の次世代エネルギー実証事業におけるプロジェクト

(総額 1億円以上のものを抜粋、数字の単位は億円)

タイプ プロジェクト名 実施主体 予算 愛知県豊田市の 5 年間の実証費(総額) 227 再生可能エネルギー の大量導入・ 省エネルギーシステ

ムの導入

家庭への HEMS+VtoH の

大量導入 デンソー、トヨタ自動車、

トヨタホーム、中部電力、

東邦ガス、シャープ、KDDI、トヨタすいまいるライフ、

三菱商事

57

地域エネルギーマネ

ジメントシステムの

構築

コミュニティのエネルギー

の有効活用(ハイブリッド

型 EMS)

三菱重工業、三菱商事、豊

田市商業施設(コンビニエ

ンスストア、スーパーマー

ケット)

4

エネルギー情報マネジメン

トシステム(EDMS)の研

究開発及び実証検証

トヨタ自動車、富士通、東

芝ほか 45

次世代自動車 PHV・FC への低公害車普

及促進事業補助金の支給 国、豊田市、トヨタ自動車 10

公用車への次世代自動車の

導入(PHV100 台・FC10台)

豊田市、トヨタ自動車 4

基幹バスへの次世代自動車

の導入(FCHV1 台・HV3台・次世代 FCHV)

豊田市、トヨタ自動車 26

生活者利用拠点(商業施設)

への次世代自動車充電・蓄

三菱重工業、三菱商事、豊

田市商業施設(コンビニエ

9

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50

電設備の導入と低炭素交通

システムとの連携 ンスストア、スーパーマー

ケット) 商業施設用蓄電池付き

BEMS と商用車、EV/PHVの連携システムの実証

デンソー、豊田通商 10

水素ステーションの設置 豊田市、東邦ガス、トヨタ

自動車 6

パーソナルモビリティや次

世代自動車の共同利用 豊田市、KDDI、豊田自動織

機 3.5

交通マネジメント BRT(バス・ラピッド・ト

ランジット)の導入 国、豊田市、トヨタ自動車 12

共通 IC カード・P&R 割引

の導入 豊田市、トヨタ自動車 2.8

その他 各種インセンティブ付与に

よる生活者行動変化の検証 豊田市、トヨタ自動車、ド

リームインキュベーター、

三菱商事ほか

3

環境学習の導入 豊田市 2.6 低炭素社会モデル地区整備 豊田市、トヨタ自動車、ト

ヨタホーム、中部電力、東

邦ガス、その他公募企業

20

グローバル展開/標準化戦

略の策定 トヨタ自動車、ドリームイ

ンキュベーターほか 8

3-1-3 京都府けいはんな学研都市

けいはんな学研都市(京都府京田辺市・木津川市・精華町)の計画では、けいはんな学

研都市内の大学・業務ビル・住宅の約 900 戸を対象に、太陽光パネル・蓄電池・燃料電池

を設置するとともに、HEMS や BEMS を導入したエネルギーマネジメントを展開する。 特にけいはんな学研都市の実証実験の特徴としては、個々の機器の使用電力量をリアル

タイムで計測するとともに、必要に応じて機器の電力消費量を制御できる「スマートタッ

プ」を各家電に取り付けることで、「電力の見える化」と「電力消費の自動制御」を同時に

実現する点にある。さらに、このシステムは電力を仮想化技術で発電源を特定することも

可能で、エネルギー源とユーザーを自在に組み合わせることができる。

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51

けいはんな学研都市の次世代エネルギー実証事業におけるプロジェクト

(総額 1 億円以上のものを抜粋、数字の単位は億円)

タイプ プロジェクト名 実施主体 予算 京都府けいはんな学研都市の 5 年間の実証費(総額) 135 再生可能エネルギー の大量導入

住宅・業務ビル・大学への

再生可能エネルギーの大量

導入

都市再生機構、大和ハウス

工業、精華台プロジェクト

室(京阪電鉄、三井不動産、

野村不動産)、同志社山手サ

スティナブルアーバンシテ

ィ協議会、同志社大学、関

西文化学術研究都市推進機

構 など

65

バイオマス利用技術の開

発・実証 関西文化学術研究都市推進

機構、京都府、精華町 1

省エネルギーシステ

ムの導入 戸建住宅における太陽光発

電の効果的活用のための

HEMS の開発と実証

オムロン 4

スマートタップを用いた家

庭内ナノグリッドの実証

(オンデマンド型電力マネ

ジメントシステム、電力カ

ラーリング)

エネルギーの情報化ワーキ

ンググループ、京都府 6

施設ナノグリッドを対象と

する BEMS の開発 富士電機システムズ、古河

電気工業、古河電池 11

地域エネルギーマネ

ジメントシステムの

構築

けいはんな学研都市地域エ

ネルギーマネジメントシス

テムの開発

三菱重工業、三菱電機、オ

ムロン 12

次世代自動車の導入 EV 向け充電インフラ及び

車載装置の研究開発 三菱重工業、三菱自動車、

ルネサスエレクトロニクス 32

EV 充電ネットワークの構

築・研究開発 エネゲート、日本ユニシス 3

その他 エネルギーマネジメントシ

ステムの国際展開・標準化 三菱重工業、三菱商事ほか 2

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3-1-4 福岡県北九州市

北九州市の計画では、北九州市東田地区の住宅 200 戸、4 店舗、学校 4 校、次世代ガソ

リンスタンド 1 ヶ所を対象に、地区内の全戸にスマートメーターを設置し、家電の強制制

御・ビル内機器の制御などを実証する。また、需給状況に応じて電力料金を変動させるリ

アルタイムマネジメントを実施する。 また、再生可能エネルギーとしてはメガソーラー・風力発電を導入し、これらの新エネ

ルギーで地区内エネルギーの 10%を供給する。あわせて八幡製鉄所の配電網を基幹系統と

見立て、系統電源との役割分担を実証する。

北九州市の次世代エネルギー実証事業におけるプロジェクト

(総額 1億円以上のものを抜粋、数字の単位は億円)

タイプ プロジェクト名 実施主体 予算 福岡県北九州市の 5 年間の実証費(総額) 163 再生可能エネルギー の大量導入

タウンメガソーラーの実現 民間企業、北九州市 6 街の発展を想定したメガソ

ーラーの整備及び連結 民間企業、ナノオプトロニ

クスエナジー 35

北九州水素タウンの整備 水素供給・利用技術組合、

岩谷産業、富士電機システ

ムズ、新日本製鉄、立地企

16.5

風の道に沿った小型風力発

電の導入 九州ヒューマンメディア創

造センター、立地企業、北

九州市

1.4

工場廃熱の活用(工場廃熱

の植物工場等利用) 電源開発、カゴメ、三機工

業、北九州市 5

工場廃熱の活用(バイナリ

ー発電) 富士電機システムズ、新日

本製鉄、新日鉄エンジニア

リング

2

次世代 BDF の開発などバ

イオマスの利用拡大 北九州産業学術推進機構、

北九州市立大学、新日本製

2.5

省エネルギーシステ

ムの導入 スマートグリッドに対応し

た省エネシステムの導入 日鉄エレックス、九州ヒュ

ーマンメディア創造センタ

ー、FAIS、NTT 西日本、安

川電気、安川情報システム、

内田洋行、JX 日鉱日石エネ

9.6

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53

ルギー、東芝ライテック、

シャープ、東芝ほか スマートメーターの大量導

入 富士電機システムズ 3.3

直流電流実験集合住宅の整

備、エコビレッジ(エコ長

屋)の整備

ナノオプトロニクスエナジ

ー、シャープ、NPO 里山を

考える会 ほか

5

都市型育苗工場の整備 iTest 社、オンガエンジニア

リング、北九州市立大学、

北九州産業学術推進機構

1.5

地域気象解析・建築物内熱

気流解析とその結果に基づ

く設計・施行支援

日本 IBM、北九州市 ほか 3

地域エネルギーマネ

ジメントシステムの

構築

エネルギーマネジメントシ

ステム(HEMS・BEMS・CEMS)の構築

富士電機システムズ、日本

IBM、日鉄エレックス、新

日鉄エンジニアリング、北

九州市 ほか

11

エネルギー・水・廃棄物・

交通・安全の総合管理シス

テムの開発

日本 IBM、北九州市 6

スマートネットワークの信

頼性とセキュリティの確保 NTT 西日本、日本 IBM 4.9

省電力データセンターを核

とした地域エネルギーマネ

ジメントシステムの運用

IDC フロンティア 1

次世代自動車の導入 EV、pHV の大量導入及び

充電設備の整備 北九州市、立地企業、日産

自動車、日本 IBM 9.7

高齢者・女性にやさしい急

速充電インフラシステムの

開発

安川電機、安川情報システ

ム、北九州産業学術推進機

1.8

ITS を用いた次世代自動車

運用システムの開発検証 安川情報システム、日産自

動車、ゼンリン 3.1

交通マネジメント デマンドバス及び公共交通

機関との連結システムの開

発・導入

日本 IBM、北九州市、公共

交通機関、医療機関ほか 2

電動アシスト自転車のレン NPO 法人タウンモービルネ 1.4

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54

タサイクルシステムの導入 ットワーク北九州 エコポイント・カーボンオ

フセットシステムの開発・

導入

北九州市、市内金融機関 2

東田グリーングリッドの構

築 北九州市、立地企業 1.1

その他 エネルギー消費の見える化

によるライフスタイル変革 北九州市、JTIS、ソフトバ

ンク、内田洋行 6.4

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55

次世代エネルギー・社会システム実証事業地域(4 地域)の主な参加主体と実施内容

実証地域 主な参加主体 主な実施内容 行政 エネルギー 自動車 重電・家電など 住宅 IT・通信 その他

神奈川県 横浜市

・横浜市 ・東京電力 ・東京ガス

・日産自動車 ・東芝 ・パナソニック ・明電舎 ・日立

・NEC ・アクセンチュア ・広く市民参加を募りながら 4,000 世

帯を対象にした大規模なエネルギー

マネジメントを実施する。 ・みなとみらい 21、港北ニュータウン、

横浜グリーンバレー各エリアを中心

に、新築と既築が混在し市民が実際に

暮らす既成市街地へのシステム導入

を目指す。 愛知県 豊田市

・豊田市 ・中部電力 ・東邦ガス

・トヨタ自動車 (系列の部品

メーカー等

を含む)

・シャープ ・東芝 ・三菱重工業

・トヨタホー

ム ・富士通 ・KDDI

・ドリームインキ

ュベーター ・サークル K サン

クス

・住宅に太陽光発電と燃料電池、ヒー

トポンプ、蓄電池、次世代自動車を導

入。消費エネルギーの 6 割超の自給を

目指す。 ・詳細な行動支援を実施。生活の質を

快適に維持したまま、生活や移動にと

もなう CO2 削減を最大化する。 京都府 けいはんな

学研都市

・京都府 ・京田辺市 ・木津川市 ・精華町

・関西電力 ・大阪ガス

・三菱自動車 ・三菱重工業 ・三菱電機 ・オムロン ・古河電気工業

・大和ハウス

工業 ・都市再生機

構 ・京阪電鉄 ・三井不動産 ・野村不動産

・富士電機シ

ステムズ ・エネゲート ・日本ユニシ ス

・エネルギー情報

化ワーキンググ

ループ ・関西文化学術研

究都市推進機構

・スマートタップを用いた「電力の見

える化」に関する技術を用いて、生活

の質を快適に維持したまま電力消費

量の削減を実現させる自動制御方法

について研究を実施する。 ・エコポイントを通じて、省エネ実現

やライフスタイル変革のインセンテ

ィブを付与する。 福岡県 北九州市

・北九州市 ・JX 日鉱日

石 エ ネ ル

ギー ・電源開発 ・岩谷産業

・日産自動車 ・新日鐵 ・安川電気 ・オムロン ・東芝・ ・ライテック ・シャープ

・日本 IBM ・富士電機シ

ステムズ ・IDC フロン

ティア ・ソフトバン

ク ・NTT 西日 本

・内田洋行

・隣接する工場群にある廃熱や水素を

民生利用するとともに、建物間で電力

融通を行うなど、地域エネルギーを有

効活用するエネルギーマネジメント

を実施する。 ・地域のエネルギー需給状況に応じて

電力料金を変動させるダイナミック

プライシングを実施するとともに、家

電機器等の制御を行う。

Page 59: 平成 22 年度地域新成長産業創出促進事業 「東北地域のエネルギー特性を踏まえた産業基盤強化・ 新事業創出事業 … · 平成22年度地域新成長産業創出促進事業

56

次に、「次世代エネルギー・社会システム実証事業地域」の 4 地域の中で、主に需要家側

に関連する要素技術の開発に取り組んでおり、既に実証実験に関する取組を開始している

「けいはんな地区」「北九州地区」における具体的な取組を調査した。 3-2 けいはんな地区における具体的な取り組み状況

3-2-1 関西文化学術研究都市推進機構

けいはんな地区の各種実証事業の事務局である関西文化学術研究都市推進機構に対して、

「次世代エネルギー・社会システム実証事業」での取り組みの進捗状況と今後のスケジュ

ールに関する調査を行った。 【環境・エネルギー関連プロジェクトのこれまでの取組経緯】

・関西文化学術研究都市(けいはんな学研都市)は、1970 年代に打ち出されたローマクラ

ブの「人類の危機宣言」を契機に、「関西学術研究都市調査懇談会」において構想された

「地球規模の課題に関する科学などに先導的に取り組み、国際社会に貢献していく」研

究開発拠点であり、サ-ドステ-ジプランでは、「持続可能社会のための科学」を推進し、

展開する場所として位置付けられている。このような背景から、けいはんな学研都市で

は環境・エネルギー関連プロジェクトに特に注力をしてこれまで取組みを進めてきた。

けいはんな地区における「環境・エネルギー関連プロジェクト」のこれまでの取り組み

(出所)エネルギーの情報化WGホームページ

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57

・具体的には「けいはんな環境・エネルギー研究会」という、けいはんな地区及び関西に

立地する企業・研究機関で構成される組織があり、その中で EV(トランスポーテーショ

ン分科会)、IT(ホーム to タウンネットワーク分科会)、RE(太陽エネルギー高度利用分

科会)などの領域における新事業創出を展望してきた。また、けいはんな学研都市自体

を、環境・エネルギーの拠点地域と位置付けた『けいはんなエコシティ推進プラン』も

2009 年 12 月に策定してきた。

【次世代実証事業への応募・体制構築のプロセス】

・以上のような経緯から、2010 年 2 月末にけいはんな学研都市としてスマートグリッドの

次世代実証プロジェクトに対して応募をしたところ、4 月に全国 4 地域の実証地域の中の

1 つに選定された。 ・けいはんな学研都市の次世代実証事業における取組方針は「けいはんなの特徴・強み(国

家プロジェクトによる研究開発拠点/我が国を代表する研究機関・大学・企業の集積と

関西・京都の環境・エネルギー分野の関連企業の集積の活用)を活かし、産学公住の英

知を結集し、CO2排出の最小化を実現する地域 EMS を開発すること」である。 ・具体的なプロジェクトの進行を担う組織として、2010 年 9 月に「推進協議会」を立ち上

げ、会長を京都府が務めることとした。推進協議会には、幹事会と 8 つのワーキンググ

ループが置かれており、協議会のコアメンバーが集う幹事会は、月に 2 回程度の頻度で

開催されている。 ・また各ワーキンググループは、それぞれ 3~10 社程度で構成されており、各ワーキング

グループの事務局もリーダーとなっている企業が担当している。ワーキンググループは、

それぞれのペースで開催をされている。

けいはんな実証プロジェクトの組織体制

(出所)関西文化学術研究都市推進機構・提供資料

・幹事会のメンバーとしては、企業からは三菱重工(EV 担当)を筆頭に、三菱電機(CEMS担当)・オムロン(HEMS 担当)・富士電機システムズ(BEMS 担当)・エネゲ-ト(EV充電担当)関西電力、大阪ガスなどが参画し、そのほかに京都府・関経連・UR 都市再生

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58

機構・関西文化学術研究都市推進機構などが参画している。

【実証実験の内容】

・けいはんな学研都市の実証実験は「地域 EMS」「再生可能エネルギーの大規模導入」「ラ

イフスタイルの変革」「地域 EMS の国際展開・国際標準化」という4つで構成されてお

り、「地域 EMS」が最も大きな柱となっている。 ・「地域 EMS」に関する実証実験としては、家庭・ビル・EV による実証実験を推進する予

定である。 ・家庭については、平成 22 年度から同志社山手地区の既設住宅 100 戸において「エネルギ

-の見える化」の実証を行うとともに、消費パターンの違いによる電力消費傾向の違い

などを分析する。また、23 年度から新築住宅 10戸において、太陽光発電、蓄電池、燃料

電池、ヒートポンプ、「見える化」システム等を導入し、家庭内の最適なエネルギーマネ

ジメントシステムの開発・実証に取組む。

・ビルについては、けいはんなプラザと同志社大学において、BEMS の実証実験を平成 23年度から実施する予定である。

・EV については平成 23 年度から EV カ-シェアリング、EV タクシーや EV レンタカ-な

どを中心(100 台程度)として、充電ステ-ションのネットワ-クも含めたの地域実証を

展開する予定である。

実証プロジェクト等の相互関係と推進スケジュール

(出所)エネルギーの情報化WGホームページ

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59

・既設住宅での実験にあたっては、同志社山手地区に現在居住している約 250 戸に対して

説明会を開催の上で趣旨を説明し、現在希望を募っているところである。現時点で約 60 戸からの参加希望が得られている。また新設の 10 戸については現在、住宅メ-カ-と相

談を行っているところである。実験協力者に対するインセンティブについても検討中で

ある。

【京都エコポイント事業について】

・家庭での省エネや太陽エネルギー利用設備の設置にあたっては、インセンティブを付与

するために、京都エコポイント事業と連動させることも検討している。 ・京都エコポイント事業は、電力/ガスといった家庭のエネルギー消費の中心をなす部門

について、CO2排出削減量に応じた『エコアクション・ポイント』を 「京都 CO2削減バ

ンク(京都環境動促進協議会)」が発行し、協力店舗などで利用可能とすることにより、 家庭でのエネルギー消費・CO2 排出量の大きな削減を目指す日本初の仕組みが「京都エ

コポイントモデル事業」である。『エコアクション・ポイント』は、省エネや太陽エネル

ギー利用設備の設置によってたまる。

京都エコポイント事業の概要

(出所)STEP 精華町環境ネットワーク会議ホームページ

・現在、このような仕組みを今回の実証事業にどのように連動させるかは、検討を行って

いるところである。

Page 63: 平成 22 年度地域新成長産業創出促進事業 「東北地域のエネルギー特性を踏まえた産業基盤強化・ 新事業創出事業 … · 平成22年度地域新成長産業創出促進事業

60

【再生可能エネルギーの導入】

・けいはんな学研都市で導入をする再生可能エネルギーは、太陽光発電中心である。 ・太陽光発電については、「環境共生住宅」において、街区全戸に太陽光発電を大規模導入

(900 戸)を図る予定である。 ・バイオマスについても、現在、検討中である。 【海外との連携】

・けいはんな学研都市は、研究開発拠点として中国の中関村、韓国の大徳工業団地、台湾

の新竹科学園区などと交流を行っており、今回のスマートグリッドに関する実証実験の

内容についても、これらの研究開発拠点との情報交換を行っている。

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61

3-2-2 京都大学松山研究室

【スマートタップに関する技術概要】

・スマートタップは電源のコンセント部分に取り付ける機器で、主に個々の家電製品の電

圧・電流波形を計測するためのセンサーと、波形データを処理する CPU、電圧・電流・

電力に関するセンサー情報をサーバーに送信する無線(ZigBee 規格に対応)で構成され

ている。 ・サーバーに集められた電力消費量と電圧・電流波形をもとに、家庭内でどの家電製品が

どのくらいの電力を消費しているのかや、スマートタップに接続されているのがどのよ

うな家電かを認識したり、家電・配線の不具合・故障を自動認識したりすることを、リ

アルタイムに計測することができる。 ・これらの情報は、松山研究室で開発したプログラムを通じて、テレビ画面等を通じて見

ることができる。このプログラムはテレビ画面に向かって Wii リモコンを使うことで、

各家電の消費電力モニタリングやスイッチの ON / OFF、照度の調整を行うこともできる。 ・スマートタップ開発のきっかけは、もともとは 2000 年ごろに「21 世紀の情報通信のあ

り方」を検討する機会があり、その中で当時、脚光を浴びていた「携帯電話」の次のテ

ーマとして、「社会基盤」とりわけ「エネルギー」に注目をしたことである。その後、5年前くらいからスマートタップの構想に至り、現在では海外展開用の AC 200V 系試作モ

デルとして 6 世代目のスマートタップを開発したところである。 ・スマートタップの開発は、松山研究室と並行してエネゲート/オムロン/ローム/住友

電工/NICT など多くの企業が開発しており、それぞれの企業ごとに独自のスマートタッ

プの開発に至っている。 【実証実験の内容】

・今年度は京都市中心部のマンションにおいて、系統電源を使いながら実証実験を行って

いる。2010 年 9 月から 2 ヵ月間は、夫婦がマンションで実生活をする形で実験データの

収集を行った。直近では学生を中心にしながら、入居する人を 3 日おきに変えて、実験

データの収集・分析を行っている。 ・来年度はけいはんな学研都市の同志社山手地区内に整備される「京都力結集住宅」にお

いて、分散電源を使いながらエネルギー消費の見える化だけでなく電力カラーリング機

能を備えたオンデマンド型電力制御システムも含めた実証実験を行っていく予定である。 ・「京都力結集住宅」で導入される分散電源としては、今のところ太陽電池・燃料電池・蓄

電池の 3 種類を想定しているが、風力発電が新たに導入される可能性もある。 ・電源のタイプとしては、DC / AC の双方の実験を行う予定であるが、当面は DC / AC を

同時に使うのではなく、AC 系、DC 系に分けて実験を行う計画である。DC 系としては、

宅内は全て DC 48V を採用するが、将来的に EV を入れた実験をする場合はより高電圧

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なものが必要だと認識している。 ・スマートタップおよびシステムの開発は、主に研究員 1 名と松山研究室の大学院生 1 名、

学部生 2 名と松山先生を中心に進められている。松山研究室は、学部は電気・電子工学、

大学院は情報学に所属をしているため、エネルギーマネジメント(電気・電子工学)と

組み込みソフトウェア(情報学)の知見の双方を活かすことができる。 【今後の技術課題】

●壁面組み込み型スマートタップの開発

・現在はスマートタップを後付けで設置しているが、今年度中には壁面の 2 口コンセント

と同じサイズ、規格のスマートタップを開発し、住宅、オフィスの設備として利用する

ことを考えている。 ●オンデマンド型電力制御システム:電力消費の削減と QOL の維持を両立させるエネルギ

ーマネジメント

・またスマートタップを通じて生活パターン別の電力消費を計測することで、「電力消費を

削減しながら、QOL を落とさないオンデマンド型電力マネジメント」のあり方について

研究を進めている。 ●使いやすいインターフェースの開発

・スマートタップの情報は、現在はサーバーに集められてテレビ画面を通じて映し出され

ているが、これを「携帯電話にどう応用するのか」あるいは「テレビを使う場合は既存

の映像を見ているところにどのように割り込ませるのか」について現在研究を進めてい

る。 【エネルギーの情報化ワーキンググループの運営体制】

・松山教授は、けいはんな地区の次世代エネルギー・社会システム実証事業の中で「先導

的実証」を担当している。 ・エネルギーの情報化ワーキンググループの運営にかかる費用は、主に会費収入・松山研

究室の研究資金で賄われている。次世代エネルギー・社会システム実証事業の資金は一

切含まれていない。 ・現在、会員企業は 64 社で、会費は 1 社あたり 5 万円のため、年間 300 万円ほどの会費収

入となっている。幹事会社は置かず、企業間の関係はフラットな形になっている。また、

大学・自治体は「特別会員」という位置づけになっている。 ・エネルギーの情報化ワーキンググループの中には、さらに「タスクフォース」が設けら

れている。これは、具体的な装置、システムの開発を目指したクローズドなグループで、

実用化、製品化を目的としている。 ・具体的にはスマートタップについて、実用型のスマートタップを開発するための「タス

クフォース」が設けられている。

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63

・スマートタップの開発が一段落したので、今後は住宅メーカーやゼネコンを含めた「ユ

ーザーグループ」を立ち上げ、スマートタップの実利用展開を進めている。「ユーザーグ

ループ」は、スマートタップを盛り込んだ住宅やビルをはじめとした商品開発を進め、

各企業の海外展開のキーコンポーネントとして活用していく計画である。 ・具体的な研究開発を担う「タスクフォース」には、知的財産権の問題が出るため、必ず

NDA を締結することとしており、完全にクローズドな環境で運営されている。これに対

して「ワーキンググループ」は完全にオープンな環境としており、研究成果などの発表

も全てワーキンググループのホームページを通じて公開している。以上の内容は会則に

も盛り込まれている。 【エネルギーの情報化ワーキンググループの成果の活用】

・次世代実証事業の資金を利用しないことのメリットとしては、企業間の連携、知的財産

権や商品化活動を自由に設定することができる点である。 ・松山教授としては、「エネルギーの情報化ワーキンググループ」の取り組みやその成果を

各方面で利用してもらうことを拒むつもりはない。また「京都」や「けいはんな」だけ

に閉じるつもりはなく、ユニバーサルな技術として日本全国・世界各地に国際展開して

いかなければならないという問題意識を持っている。

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実証実験の舞台となっているマンションルームの様子

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67

3-3 北九州地区における具体的な取り組み状況

次に、北九州地区の各種実証事業の事務局である北九州市環境局に対して、「次世代エネ

ルギー・社会システム実証事業」での取り組みの進捗状況と今後のスケジュールに関する

調査を行った。 【環境・エネルギー関連プロジェクトのこれまでの取組経緯】

・北九州市は、官製八幡製鉄所が立地しかつては北九州工業地帯の中核であった八幡東田

地区に対して、『環境共生型のまちづくり』というコンセプトに基づいて、広大な工場跡

地を再開発し、高度な都市基盤と環境共生の両立を図るまちづくりを展開してきた。 ・八幡東田地区の『環境共生型のまちづくり』は、2001 年に「北九州博覧祭 2001」が開催

されたことをきっかけにスタートし、地元企業、NPO 法人、北九州市等がまちづくりの

方向性について検討を行ってきた。 ・2004 年には「八幡東田グリーンビレッジ構想」が打ち出され、熱は工場側で活用し、電

気は市街地側で活用するという「東田コジェネの導入」や「環境共生マンション」の整

備などが方針として打ち出された。この構想では既に、今回の次世代社会システム実証

事業で検証する「地域節電所」の考え方が打ち出されていた。

【次世代実証事業への応募・体制構築のプロセス】

・特に八幡東田地区は、もともと新日鉄の工場跡地だったことと、再開発当初から「東田

コジェネの導入」を前提としていたことから、域内の電力網は九州電力ではなく、新日

鉄によって供給されている。八幡東田地区の電力料金は、九州電力が提供する他の北九

州市内よりも安い。 ・次世代社会システム実証事業への応募にあたっては新エネルギー等の稼働状況に基づい

た「ダイナミックプライシング」による需要のコントロールがしやすかったことが、評

価されたポイントの1つであったと認識している。 ・ただし、上記のような特殊な環境であるがゆえに、実証事業の成果を北九州市内の他の

地区や国内に広げていくことが難しい側面もある。ただし、この点については九州電力

とも実証事業の成果を定期的に共有していく予定である。

【実証実験の内容】

・「北九州市スマートコミュニティ創造事業」では、合計で 38 の事業から構成されており、

合計で 46 企業・団体が参画している(事業ごとに参画している企業・団体が異なってい

る)。

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北九州スマートコミュニティ創造事業の参画企業・団体

・各事業は「デバイス」「制御」「管理」「運用」「統制」という 5 つのレイヤーと、「スマー

トハウス(住宅系)」「スマートオフィス、スマートストア、スマートスクール等(商業・

公共系)」「スマートファクトリー(工場系)」という 3 つの分野で分類することができる。

個々のデバイスや負荷・制御機器の上に、仕組みやシステムが乗る形で構成されている。

北九州スマートコミュニティ創造事業の全体構成

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・「北九州市スマートコミュニティ創造事業」の中で、特筆されるプロジェクトとして、以

下の 2 点が挙げられる。 ■地域節電所とシティコマンドセンター ・「北九州市スマートコミュニティ創造事業」では様々な事業を通じて実証実験を展開する

が、これらを統合する CEMS(地域エネルギーマネジメントシステム)は、「地域節電所」

という概念に基づいている。 ・地域全体のエネルギー最小化と大規模ネットワークとの相互補完を実現している。

地域節電所とダッシュボードのイメージ

■スマートメーターの大量導入 ・スマートメーターの大手メーカーである富士電機システムズの協力をえて、八幡東田地

区内の約 70 社、200 世帯にスマートメーターを導入する予定。 ・導入したスマートメーターは地域節電所と連携させて、現時点の電力料金、電力の使用

状況、省エネガイダンスなどを需要家に伝えていく。

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70

北九州スマートコミュニティ創造事業の主なプロジェクト

【実証地域内の関連施設】

・八幡東田地区にはこれまでのまちづくりの経緯から、既に住宅・商業(ショッピングセ

ンターなど)・工場・公共施設(博物館・病院など)が整備されているほか、実証用の燃

料電池向けの水素の供給パイプラインや水素ステーションなども整備されている。 ・また、省エネ効果の高いエコハウスや高断熱・高気密の環境共生マンション、燃料電池

を設置した水素利用実証住宅などの様々なタイプの次世代型住宅も立地している。 ・さらに、公共施設やインキュベーションセンターには、太陽光発電や小型風力発電など

も整備され、再生可能エネルギーを活用する環境も整いつつある。 ・このような状況から、八幡東田地区は既に北九州市の一般市街地に比べて、人口あたり

の CO2排出量が 30%削減されている状況となっている。 ■水素ステーション ・水素ステーションは、水素燃料自動車に燃料である水素を注入するための場所で、既存

のガソリンスタンドに隣接して立地している。 ・しかし、水素燃料自動車は、現在は北九州市が保有する 1 台(水素燃料のみ対応)と岩

谷産業が保有する 1 台(水素燃料とガソリンのハイブリッド)の 2 台だけであるため、

現時点では月・水・金の週 3 日しか燃料供給に対応していない。 ・水素ステーションは、夏場でも 40 度以上にならないようにスプリンクラーを完備してい

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る。 ■水素供給パイプライン ・八幡東田地区では、水素を都市ガスに変わるインフラとして活用する可能性を検証する

ため、道路の下に水素供給のパイプラインを敷設している。 ・パイプラインに使う配管は、敷設前の試験の結果、都市ガスと同じものでも問題がない

ことが実証されたため、同じものを使っている。 ・しかし、万が一、水素が漏れた時のために、水素にシクロヘキセンという物質で臭いづ

けをしている。しかし、燃料電池として使う際にはシクロヘキセンが混じると燃料とし

て活用できないため、使用する直前に活性炭でシクロヘキセンを除去してから使用して

いる。 ■水素利用実証住宅 ・水素を燃料として住宅で、実際に生活をしている(入居世帯は、主に実験協力企業の社

員とその家族)。 ・1 世帯ごとに「シクロヘキセンの脱臭装置」「燃料電池」「風呂・キッチン用の貯湯ユニッ

ト」の3つがセットになっている。 ■エコハウス ・省エネを実現するために「断熱」「気密」「蓄熱」「通風」「換気」「自然素材」などを有効

活動するとともに、太陽光・太陽熱・風・地中熱などの自然エネルギーも活用した家で

ある。 ・通常の家に比べて、CO2 を年間60%削減することができる。ただし、建造するための

コストが 7500 万円と高いため、普及にはこのコストを低減させていくことが不可欠でわ

る。 ■環境共生マンション ・約 200 世帯が住むマンションで、屋上には 170kW の太陽光発電が設置されている。 ・太陽光発電による電気は、マンションの中では共用部のみに使われており、それ以外は

全て新日鉄に売電をしている。売電をした収益はマンションの管理組合が管理をしてい

るため、共益費や修繕積立金を通常のマンションよりも抑えることが可能になる。 ・また、断熱材が通常のマンションの2倍入っているため、冬は暖かく夏は涼しい。実際

に猛暑の夏でも、シーズンの2~3回程度しかエアコンが必要なかった。 ・HEMS の導入などはまだ実施していないが、ブレーカーとエアコンを連動させた

Panasonic 製の簡易エネルギー管理システムを導入している。このシステムは、各戸の電

力使用量の上限値に近づくと警告音を発し、エアコンの電源が入っている場合は、自動

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72

的にエアコンに流れる電気を一時的に切断してくれる。このことでブレーカーの切断を

回避し、他の電力使用量が減ってきたら再びエアコンに流れる電気を復活させるという

仕組みとなっている。

【海外との連携】

・北九州市は「世界の環境首都」及び「アジアの技術首都」を都市ブランドとして構築す

ることを目指しており、CO2 排出を市内で 2005 年比 50%、アジア地域で 150%削減す

るという目標を掲げている。 ・そのため、北九州市はアジア地域の低炭素化を通じて、地域経済の活性化を図るための

中核施設として、2010 年に「アジア低炭素化センター」を開設した。 ・「アジア低炭素化センター」では、北九州市の次世代社会システム実証事業で得られた成

果を、北九州市のアジアとのネットワークを活用して、ビジネスベースで広げていくた

めの活動を支援していく予定である。

Page 76: 平成 22 年度地域新成長産業創出促進事業 「東北地域のエネルギー特性を踏まえた産業基盤強化・ 新事業創出事業 … · 平成22年度地域新成長産業創出促進事業

73

第4章 東北地域におけるスマートグリッドに関するシーズ 4-1 東北地域の地域特性とスマートグリッド

次に、東北地域におけるスマートグリッドのあり方を検討するため、はじめに東北地域

の地域特性とそれに対応するためのスマートグリッドの要素技術検討の方向性を分析する

とともに、東北地域にどのようなスマートグリッドに関するシーズがあるのかを、アンケ

ート調査等を通じて情報を収集した。 ●暖房度日地域区分 需要家におけるスマートグリッドを構成する主要な構成要素として「空調」が挙げられ

るが、この「空調」のあり方を検討する上で主要な指標の1つとして、「暖房度日地域区分」

が挙げられる。この指標は、「暖房を使用して上げる温度」の1年間の合計値を示した数値

で、寒い地域ほどこの指標の値が高くなる。 省エネ法上は、日平均気温が 18℃を下回る場合を「暖房日」とし、18℃まで暖房する場

合で、以下のように日本全国を 6 段階~10 段階に分類している。

暖房度日地域区分の定義

(出所)財団法人 建築環境・省エネルギー機構

東北地域は、暖房度日地域区分では「Ib 地域(年間 3500~4500 度日)」~「Ⅳ地域 a(年間 2000~2500 度日)」まで、合計で 4 段階の区分に所属しており、幅広い気候帯に所

属していることが伺える。

Page 77: 平成 22 年度地域新成長産業創出促進事業 「東北地域のエネルギー特性を踏まえた産業基盤強化・ 新事業創出事業 … · 平成22年度地域新成長産業創出促進事業

74

日本全国の暖房度日地域区分の分布

(出所)財団法人 建築環境・省エネルギー機構

なお、世界の中で東北地方と同じ暖房日度の分布を持つ地域は、次の通りである。 中国では西安が花巻、北京が青森と似た暖房日度の分布を示している。これに対して、

ヨーロッパではパリが仙台、ロンドン・ダブリンが秋田・花巻、ベルリンが青森と似た暖

房日度の分布を示している。また北米では、ニューヨークが秋田・花巻、シカゴ・トロン

トが青森と似た暖房日度の分布を示している。

Page 78: 平成 22 年度地域新成長産業創出促進事業 「東北地域のエネルギー特性を踏まえた産業基盤強化・ 新事業創出事業 … · 平成22年度地域新成長産業創出促進事業

75

東北地域の主要都市における暖房度日地域区分の分布

0

200

400

600

800

1000

1200

日本仙台

日本花巻

日本秋田

日本青森

(出所)BizEE (http://www.degreedays.net/)より NRI 作成

中国の主要都市における暖房度日地域区分の分布

0

200

400

600

800

1000

1200

中国上海

中国西安

中国北京

中国ハルビン

(出所)BizEE (http://www.degreedays.net/)より NRI 作成

Page 79: 平成 22 年度地域新成長産業創出促進事業 「東北地域のエネルギー特性を踏まえた産業基盤強化・ 新事業創出事業 … · 平成22年度地域新成長産業創出促進事業

76

ヨーロッパの主要都市における暖房度日地域区分の分布

0

200

400

600

800

1000

1200

ヨーロッパ

パリ

ヨーロッパ

ロンドン

ヨーロッパ

ダブリン

ヨーロッパ

ベルリン

(出所)BizEE (http://www.degreedays.net/)より NRI 作成

北米の主要都市における暖房度日地域区分の分布

0

200

400

600

800

1000

1200

北米シアトル

北米ニューヨーク

北米シカゴ

北米トロント

北米ミネアポリス

(出所)BizEE (http://www.degreedays.net/)より NRI 作成

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77

●パッシブ地域区分

暖房日度地域区分とは別の切り口から、エネルギーに関する地域特性を捉えた指標とし

て、「パッシブ地域区分(PSP(Passive Solar Potential))」が挙げられる。これは、1月

の暖房度日に対する1月の平均日射量の比をいい、地域における日射利用の可能性を示し

ている。以下の地図からも分かるように、東北地域は太平洋側と日本海側の冬の日射量の

差が大きく、日本海側では暖房に日射を利用することが難しい点を考慮する必要がある。

日本全国のパッシブ地域区分の分布

(出所)財団法人 建築環境・省エネルギー機構

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78

4-2 アンケート調査

4-2-1 アンケート調査の実施概要

アンケート調査の実施概要と回収結果は、以下の結果となった。回収数は合計で 218 件、

回収率は 12.7%となった。

アンケート調査の実施概要と回収結果

●アンケート調査の送付先

属性 主な送付先 送付数

企業 電気関連機器製造業、通信業、情報サービス業、

建物メンテナンス業 (※)

1139 件

研究者 電気、ソフトウェア、通信関連 588 件

※2000 年以降に創業した企業は全企業、2000 年より前に創業した企業は売上高5億円以上

の企業のみを抽出 ●アンケートの回収率

発送数 回収数 回収率

スマートグリッド 1722 218 12.7%

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79

(1)回答者の属性

回答者の属性としては、「企業」が 70.6%、「研究者」が 28.4%となっている。

企業

70.6%

研究者

28.4%

無回答

0.9%

回答数 %全体 218 100.0

1 企業 154 70.62 研究者 62 28.4

無回答 2 0.9

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80

(2)回答企業の設立年(問1-1・企業のみ)

回答企業の設立年としては、「2000 年以降」が 42.9%と最も多く、次いで「1970 年以前」

「1970 年代」がそれぞれ 16.9%となっている。

1970年

以前

16.9%

1970年代

16.9%

1980年代

11.0%1990年代

9.7%

2000年以降

42.9%

無回答

2.6%

回答数 %全体 154 100.0

1 1970年以前 26 16.92 1970年代 26 16.93 1980年代 17 11.04 1990年代 15 9.75 2000年以降 66 42.9

無回答 4 2.6 (3)回答企業の従業員数(問1-2・企業のみ)

回答企業の従業員数としては、「30~100 人未満」が 29.2%と最も多く、次いで「10 人未

満」が 24.0%、「100~300 人未満」が 18.8%となっている。

10人未満

24.0%

10~30人未満

13.6%

30~100人未満

29.2%

100~300人未

18.8%

300人以上

12.3%

無回答

1.9%

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81

回答数 %全体 154 100.0

1 10人未満 37 24.02 10~30人未満 21 13.63 30~100人未満 45 29.24 100~300人未満 29 18.85 300人以上 19 12.3

無回答 3 1.9 (4)回答企業の業種(問1-3・企業のみ)

回答企業の業種としては、「電子部品・デバイスメーカー」が 20.1%と最も多く、次いで

「システムインテグレーター(組込みソフトウェア以外)」が 11.0%となっている。

5.8

4.5

5.2

20.1

6.5

3.9

11.0

6.5

2.6

31.2

0% 10% 20% 30% 40%

[最終製品]業務用機械メーカー

[最終製品]家電(民生用機械)メーカー

[最終製品]自動車(輸送用機械)メーカー

[半製品・部品]電子部品・デバイスメーカー

[半製品・部品]素材・マテリアルメーカー(4

に該当しないもの)

[システム]パッケージソフトウェア

[システム]システムインテグレーター(組み

込み除く)

[システム]組み込みソフトウェア

[メンテナンス]電気設備のメンテナンス

[その他]その他

回答数 %

全体 154 100.01 [最終製品]業務用機械メーカー 9 5.82 [最終製品]家電(民生用機械)メーカー 7 4.53 [最終製品]自動車(輸送用機械)メーカー 8 5.24 [半製品・部品]電子部品・デバイスメーカー 31 20.1

5[半製品・部品]素材・マテリアルメーカー(4に該当しないもの)

10 6.5

6 [システム]パッケージソフトウェア 6 3.9

7[システム]システムインテグレーター(組み込み除く)

17 11.0

8 [システム]組み込みソフトウェア 10 6.59 [メンテナンス]電気設備のメンテナンス 4 2.610 [その他]その他 48 31.2

無回答 6 3.9

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82

1 【最終製品】業務用機械メーカー

回答企業の主力製品

・プラント機器製造 ・CCD カメラ ・電池充放電評価装置 ・小径軸受 ・業務用無線機 ・2 次電池試験・試作装置 ・血液分析装置 ・配電制御システム 2 【最終製品】家電(民生用機械メーカー)

・携帯電話の部品実装~組立 ・太陽光発電システム、エコキュート等の販売・施工 ・融永雪用コントローラ・センサ ・除雪機、農業機械、環境機器 ・携帯電話用カメラユニットの製造 ・AV 機 3 【最終製品】自動車(輸送用機械メーカー)

・カーエアコン部品 ・ドアスイッチ ・ブレーキライニング ・車載用アンテナの製造 ・コネクター検査 ・LED 完成品(バルブ) ・部品。車体フレーム、スマートキー排部品。 4 【半製品・部品】電子部品・デバイスメーカー

・ステッピングモータ ・コネクタ ・高電力抵抗器 ・IC、トランジスタ ・コンデンサ封口ゴム ・制御モジュール製品 ・キャパシタ、EMC 製品、圧電デバイス、リレー、IC カード

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・プリント配線板用銅張積層板 ・ダイオード、トランジスタ、サイリスタ、パワーIC ・コアレスモータ ・OA 機器、通信機器部品加工 ・ダイオード ・電子機器用電線・ケーブル ・PTC ヒータ ・照明用有機 EL パネル ・液晶用カラーフィルター ・民生用デバイス ・セラミックコンデンサ ・チップインダクター、ノイズフィルター ・リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池 ・電源コンセント、LED 関連装置 ・液晶セル ・リチウムイオン電池部品 ・半導体用リードフレーム ・ワイヤーハーネス ・デジタルカメラ ・ロジック LSI のパッケージング・テストサービス ・PC ハードケース ・車載のハイブリッド用のセンサの製造 5 【半製品・部品】素材・マテリアルメーカー

・自動車部品(フラッシャー、ブザー)製造 ・光ファイバー通信に使われるファラデー素子材料製造 ・金属マイボール ・小型電動機製造及び販売 ・電力線 ・高純度金属ヒ素 ・電解コンデンサ用アルミケース ・LED 用化合物半導体ウェハー 6 【システム】パッケージソフトウェア

・CMS ホームページ、予約システム、メール配信システム、ショッピングカートシステム ・ソフトウェア開発

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・給食管理システム ・医療用コンピュータシステム 7 【システム】システムインテグレーター(組み込み除く)

・生産管理システム、IT 各種機器販売 ・コンピュータ用入力装置 OZUPAD、開発/製造/販売 ・システム開発 ・業務システム開発 ・オープン系システム開発 ・トレーサビリティシステム、生産管理システム ・自治体向け内部情報・住民情報・財務会計システム ・電気機器製造業、柱上変圧器 ・システム開発 ・ネットワークカメラによる監視カメラシステムの企画・設計・メンテナンス ・コンサルから設計・開発、保守 ・医療向けシステムの開発 ・ソリューションサービス提供 ・受託ソフトウェア開発 8 【システム】組み込みソフトウェア

・オーディオ・ビデオ製品向けソフトウェア開発 ・計装盤、I/F 盤 ・車載ナビゲーションシステム ・2 輪車、4 輪者向けエンジン制御、車体制御システム用のソフトウェアの開発 ・カーナビ、カーオーディオ等製品組込みソフトウェア開発 9 【メンテナンス】電気設備のメンテナンス

・冷暖房空調設備機器 ・電力機器保護継電装置 試験・調整 10 【その他】その他

・土地管理 ・東北道(福島地区、SA、PA)24 時間清掃業(建物等も含む) ・運輸業 ・電気通信設備工事 ・印刷機用制御盤の製造

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85

・PC 等メンテナンス ・建物サービス(維持管理)他 ・ビルメンテナンス業 ・電動工具、建設機械、煙警報器、音響製品、ハイブリッド車載ハーネス ・派遣業 ・レーザープリンター用トナーカートリッジの再生と販売 ・自動車分解整備 ・建機用油圧部品 ・調査 ・観光 ・インターネット接続料金 ・ビル管理 ・石炭ガス化複合発電技術に関する研究 ・建物清掃管理、設備保守管理 ・内視鏡処置具 ・車載電装機器(車載 DVD、安全運転支援システム) ・情報サービス ・バイオマーカー分析 ・ビルメンテナンス ・web コンサルタント(web 広告) ・電力量計の製造・修理・流通 ・カメラ修理 ・web サイト制作、システム開発 ・ホームページ制作 ・電子顕微鏡、分析機器、医療機器 ・オール電化住宅の販促サービス ・施設の貸出サービス ・デザイン業務 ・ワイヤーハーネス加工品(ナビゲーション用コード、バックモニター用コード) ・通信回線 ・行政情報ネットワーク運用管理 ・清掃業務 ・制御盤、計装盤 ・通信の調査、設計、コンサルティング ・マークシート作成~読取・集計 ・空調設備のメンテナンスサービス

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(5)回答企業の売上高研究開発比率(問1-4・企業のみ)

回答企業の売上高研究開発比率としては、「0%」が 37.7%と最も多く、次いで「0~1%」

が 24.0%、「1~2%」が 10.4%、「2~3%」が 7.1%と続いた。一方で、研究開発比率が 5%以上の企業も 12%にのぼった。

37.7

24.0

10.4

7.1

3.9

1.3

6.5

5.8

3.2

0% 10% 20% 30% 40%

0%

0~1%

1~2%

2~3%

3~4%

4~5%

5~10%

10%以上

無回答

回答数 %全体 154 100.0

1 0% 58 37.72 0~1% 37 24.03 1~2% 16 10.44 2~3% 11 7.15 3~4% 6 3.96 4~5% 2 1.37 5~10% 10 6.58 10%以上 9 5.8

無回答 5 3.2

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87

(6)回答者(研究者)の研究分野(問2-1・研究者のみ)

回答者(研究者)の研究分野としては、「電子部品・デバイス」が 35.5%と最も多く、次

いで「通信ネットワーク」が 17.7%と続いた。

9.7

4.8

8.1

35.5

16.1

6.5

8.1

8.1

11.3

17.7

3.2

38.7

0% 20% 40% 60%

[パワーエレクトロニクス]電力系統関連機器

[パワーエレクトロニクス]電力システム

[素材・マテリアル]電導素材(電線・金属など)

[素材・マテリアル]電子部品・デバイス(半導体・

ディスプレイなど)

[電力機器]再生可能エネルギー機器(太陽光・風

力発電関連機器など)

[電力機器]燃料電池

[電力機器]蓄電池

[電力機器]電気自動車

[社会システム]エネルギー工学

[情報通信]通信ネットワーク

[情報通信]制御系ソフトウェア

[その他]その他

回答数 %全体 62 100.0

1 [パワーエレクトロニクス]電力系統関連機器 6 9.72 [パワーエレクトロニクス]電力システム 3 4.83 [素材・マテリアル]電導素材(電線・金属など) 5 8.1

4[素材・マテリアル]電子部品・デバイス(半導体・ディスプレイなど)

22 35.5

5[電力機器]再生可能エネルギー機器(太陽光・風力発電関連機器など)

10 16.1

6 [電力機器]燃料電池 4 6.57 [電力機器]蓄電池 5 8.18 [電力機器]電気自動車 5 8.19 [社会システム]エネルギー工学 7 11.310 [情報通信]通信ネットワーク 11 17.711 [情報通信]制御系ソフトウェア 2 3.212 [その他]その他 24 38.7

無回答 2 3.2

・物理的手法を用いた地下構造探査 その他の回答

・オープンソース、クラウド

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88

・植物分子生物学 ・医療 ・原子核物理 ・環境共生による地域振興 ・リン資源のリサイクル ・機械と人とのかかわりについて ・経済統計、情報統計学 ・ライフサイエンス ・機械設計、工学教育 ・制御理論、ロボット工学 ・日本近代文学 ・超音波計測学 ・機能性粉体製造、メカノケミストリーなど ・ロボットシステム関係 ・人・社会・情報環境を総合的な協調系として、これらが共生する世界の実現に向けた共

生コンピューティングに関する研究 ・生体の光断層画像計測 ・環境関連 ・冷蔵庫やヒートポンプ給湯器群のオンオフ制御による系統電圧、周波数制御

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89

4-2-2 アンケート調査の調査結果

(1)スマートグリッドの認知度(問3-1)

回答者のスマートグリッドの認知度としては、「スマートグリッド(次世代電力網)の概

念も含めて理解している」が 45.4%と最も多く、次いで「名称を聞いたことがあるが、概

念は理解していない」が 33.0%となった。「名称も聞いたことがない(今回初めて知った)」

は 16.1%となった。

スマートグリッド

(次世代電力

網)の概念も含

めて理解してい

45.4%

名称を聞いたこ

とがあるが、概

念は理解してい

ない

33.0%

名称も聞いたこ

とがない(今回

初めて知った)

16.1%

無回答

5.5%

回答数 %

全体 218 100.0

1スマートグリッド(次世代電力網)の概念も含めて理解している

99 45.4

2 名称を聞いたことがあるが、概念は理解していない 72 33.03 名称も聞いたことがない(今回初めて知った) 35 16.1

無回答 12 5.5

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90

■業種別の認知度(企業)

55.6

57.1

33.3

41.4

77.8

33.3

43.8

33.3

25.0

32.6

33.3

28.6

50.0

41.4

22.2

50.0

50.0

44.4

75.0

30.4

11.1

14.3

16.7

17.2

0.0

16.7

6.3

22.2

0.0

37.0

0% 20% 40% 60% 80% 100%

1 業務用機械メーカー(N=9)

2 家電(民生用機械)メーカー

(N=7)3 自動車(輸送用機械)メーカー

(N=6)4 電子部品・デバイスメーカー

(N=29)

5 素材・マテリアルメーカー(N=9)

6 パッケージソフトウェア(N=6)

7 システムインテグレーター

(N=16)

8 組み込みソフトウェア(N=9)

9 電気設備のメンテナンス(N=4)

10 その他(N=46)

1.スマートグリッド(次世代電力網)の概念も含めて理解している

2.名称を聞いたことがあるが、概念は理解していない

3.名称も聞いたことがない(今回初めて知った)

■研究テーマ別の認知度(大学)

83.3

100.0

40.0

68.2

90.0

75.0

80.0

100.0

100.0

90.9

66.7

50.0

16.7

0.0

60.0

31.8

10.0

25.0

20.0

0.0

0.0

9.1

0.0

34.6

0.0

0.0

0.0

0.0

0.0

0.0

0.0

0.0

0.0

0.0

33.3

15.4

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

1 電力系統関連機器(N=6)

2 電力システム(N=3)

3 電導素材(電線・金属など)(N=5)

4 電子部品・デバイス(半導体・ディスプレイなど)(N=22)

5 再生可能エネルギー機器

(太陽光・風力発電関連機器など)(N=10)

6 燃料電池(N=4)

7 蓄電池(N=5)

8 電気自動車(N=5)

9 エネルギー工学(N=7)

10 通信ネットワーク(N=11)

11 制御系ソフトウェア(N=3)

12 その他(N=26)

1.スマートグリッド(次世代電力網)の概念も含めて理解している

2.名称を聞いたことがあるが、概念は理解していない

3.名称も聞いたことがない(今回初めて知った)

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91

(2)スマートグリッド関連の要素技術開発への意欲(問3-2)

回答者のスマートグリッド関連の要素技術開発への意欲としては、「自前の資金を投じて

も事業化に取り組みたいと思う」が 7.8%、「行政や企業からの支援金をもらえるのであれ

ば事業家に取り組みたいと思う」が 12.4%と、約2割程度の回答者は条件が整えば技術開

発に前向きな姿勢を示した。 また「事業化に取り組むかどうかは分からないが関心はある」は 37.2%で、6割弱の回

答者はスマートグリッド関連の要素技術開発に関心を示していることがわかる。一方で、

「特に関心はない」は 36.2%となった。

自前の資金を

投じても事業化

に取り組みたい

と思う。

7.8%行政や企業か

ら支援金をもら

えるのであれば

事業化に取り組

みたいと思う

12.4%事業化に取り組

むかどうかは分

からないが関心

はある。

37.2%

特に関心はな

い。

36.2%

無回答

6.4%

回答数 %

全体 218 100.0

1自前の資金を投じても事業化に取り組みたいと思う。

17 7.8

2行政や企業から支援金をもらえるのであれば事業化に取り組みたいと思う

27 12.4

3事業化に取り組むかどうかは分からないが関心はある。

81 37.2

4 特に関心はない。 79 36.2無回答 14 6.4

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92

■業種別の要素技術開発への意欲(企業)

11.1

28.6

13.8

18.8

12.5

6.5

11.1

33.3

6.9

16.7

18.8

25.0

50.0

6.5

44.4

57.1

16.7

37.9

55.6

43.8

37.5

25.0

32.6

33.3

14.3

50.0

41.4

44.4

83.3

18.8

25.0

25.0

58.7

0% 20% 40% 60% 80% 100%

1 業務用機械メーカー(N=9)

2 家電(民生用機械)メーカー(N=7)

3 自動車(輸送用機械)メーカー(N=7)

4 電子部品・デバイスメーカー(N=29)

5 素材・マテリアルメーカー(N=9)

6 パッケージソフトウェア(N=6)

7 システムインテグレーター(N=16)

8 組み込みソフトウェア(N=8)

9 電気設備のメンテナンス(N=4)

10 その他(N=48)

1.自前の資金を投じても事業化に取り組みたいと思う

2.行政や企業から支援金をもらえるのであれば事業化に取り組みたいと思う

3.事業化に取り組むかどうかは分からないが関心はある

4.特に関心はない

■業種別の要素技術開発への意欲(大学)

16.7

33.3

4.5

22.2

20.0

20.0

28.6

27.3

33.3

50.0

33.3

22.7

33.3

40.0

20.0

57.1

9.1

11.5

33.3

33.3

40.0

50.0

33.3

50.0

20.0

40.0

14.3

63.6

33.3

42.3

0.0

0.0

60.0

22.7

11.1

50.0

20.0

20.0

0.0

0.0

33.3

46.2

0% 20% 40% 60% 80% 100%

1 電力系統関連機器(N=6)

2 電力システム(N=3)

3 電導素材(電線・金属など)(N=5)

4 電子部品・デバイス

(半導体・ディスプレイなど)(N=22)

5 再生可能エネルギー機器

(太陽光・風力発電関連機器など)(N=9)

6 燃料電池(N=4)

7 蓄電池(N=5)

8 電気自動車(N=5)

9 エネルギー工学(N=7)

10 通信ネットワーク(N=11)

11 制御系ソフトウェア(N=3)

12 その他(N=26)

1.自前の資金を投じても事業化に取り組みたいと思う

2.行政や企業から支援金をもらえるのであれば事業化に取り組みたいと思う

3.事業化に取り組むかどうかは分からないが関心はある

4.特に関心はない

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93

(3)スマートグリッド関連の要素技術の中で関心ある領域(問3-3)

回答者のスマートグリッド関連の要素技術開発の中で関心ある領域としては、「エネルギ

ー管理システム」が 24.8%で最も高い割合となり、次いで「太陽光発電機器」が 18.4%、

「蓄電池」が 17.6%、「電池自動車」が 16.0%、「スマートメーター」が 15.2%、「情報家

電」が 14.4%となった。

17.6

12.8

1.6

16.0

14.4

5.6

12.0

18.4

9.6

15.2

9.6

11.2

24.8

8.0

9.6

0% 5% 10% 15% 20% 25% 30%

[蓄電機器]蓄電池(電力貯蔵装置)

[蓄電機器]燃料電池

[蓄電機器]高効率給湯器

[蓄電機器]電池自動車

[家電]情報家電

[家電]空調設備(エアコン)

[家電]LED証明

[発電設備]太陽光発電機器

[発電設備]風力発電機器

[計測機器]スマートメーター

[制御機器]パワーコンディショナー

[システム]ホームゲートウェイサーバー

[システム]エネルギー管理システム

[サービス]メンテナンスサービス

[その他]その他 回答数 %

全体 125 100.01 [蓄電機器]蓄電池(電力貯蔵装置) 22 17.62 [蓄電機器]燃料電池 16 12.83 [蓄電機器]高効率給湯器 2 1.64 [蓄電機器]電池自動車 20 16.05 [家電]情報家電 18 14.46 [家電]空調設備(エアコン) 7 5.67 [家電]LED証明 15 12.08 [発電設備]太陽光発電機器 23 18.49 [発電設備]風力発電機器 12 9.610 [計測機器]スマートメーター 19 15.211 [制御機器]パワーコンディショナー 12 9.612 [システム]ホームゲートウェイサーバー 14 11.213 [システム]エネルギー管理システム 31 24.814 [サービス]メンテナンスサービス 10 8.015 [その他]その他 12 9.616 特に関心ある事業分野はない 0 0.0

無回答 9 7.2

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94

■業種別の関心ある要素技術(企業)

7.7

16.7

25.0

11.1

25.0

0.0

0.0

0.0

0.0

12.5

15.4

0.0

0.0

0.0

16.7

0.0

4.0

0.0

0.0

3.1

0.0

0.0

0.0

0.0

8.3

0.0

0.0

0.0

0.0

0.0

15.4

0.0

25.0

18.5

16.7

0.0

4.0

8.3

0.0

3.1

0.0

16.7

0.0

3.7

0.0

0.0

4.0

25.0

0.0

0.0

7.7

0.0

0.0

7.4

8.3

0.0

0.0

8.3

0.0

0.0

0.0

8.3

0.0

11.1

0.0

0.0

4.0

0.0

0.0

3.1

15.4

8.3

0.0

11.1

8.3

0.0

8.0

0.0

0.0

12.5

0.0

8.3

0.0

7.4

0.0

0.0

8.0

0.0

0.0

6.3

7.7

8.3

0.0

3.7

0.0

0.0

8.0

8.3

50.0

9.4

0.0

8.3

25.0

14.8

0.0

0.0

0.0

0.0

0.0

6.3

0.0

0.0

25.0

0.0

0.0

50.0

20.0

25.0

0.0

6.3

23.1

8.3

0.0

3.7

0.0

50.0

28.0

25.0

0.0

15.6

0.0

16.7

0.0

0.0

0.0

0.0

0.0

0.0

50.0

15.6

7.7

0.0

0.0

7.4

16.7

0.0

12.0

0.0

0.0

6.3

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

1 業務用機械メーカー(N=13)

2 家電(民生用機械)メーカー(N=12)

3 自動車(輸送用機械)メーカー(N=4)

4 電子部品・デバイスメーカー(N=27)

5 素材・マテリアルメーカー(N=12)

6 パッケージソフトウェア(N=2)

7 システムインテグレーター(N=25)

8 組み込みソフトウェア(N=12)

9 電気設備のメンテナンス(N=2)

10 その他(N=32)

1.蓄電池(電力貯蔵装置) 2.燃料電池 3.高効率給湯器 4.電気自動車

5.情報家電 6.空調設備(エアコン) 7.LED照明 8.太陽光発電機器

9.風力発電機器 10.スマートメーター 11.パワーコンディショナー 12.ホームゲートウェイサーバー

13.エネルギー管理システム 14.メンテナンスサービス 15.その他

■研究テーマ別の関心ある要素技術(大学)

20.0

25.0

25.0

8.3

15.0

20.0

42.9

22.2

12.5

8.7

16.7

4.0

0.0

0.0

25.0

19.4

0.0

40.0

14.3

0.0

6.3

8.7

0.0

8.0

10.0

0.0

0.0

0.0

5.0

0.0

0.0

0.0

6.3

0.0

0.0

0.0

20.0

25.0

0.0

2.8

15.0

0.0

14.3

11.1

12.5

8.7

16.7

12.0

0.0

0.0

0.0

16.7

0.0

0.0

0.0

0.0

0.0

13.0

0.0

12.0

0.0

0.0

25.0

0.0

0.0

0.0

0.0

0.0

6.3

0.0

0.0

4.0

0.0

0.0

25.0

13.9

10.0

0.0

0.0

11.1

0.0

0.0

0.0

8.0

0.0

12.5

0.0

8.3

15.0

20.0

0.0

11.1

6.3

0.0

16.7

20.0

10.0

12.5

0.0

0.0

15.0

0.0

0.0

22.2

0.0

0.0

16.7

8.0

10.0

0.0

0.0

11.1

10.0

0.0

0.0

0.0

18.8

21.7

16.7

0.0

10.0

12.5

0.0

5.6

5.0

0.0

14.3

11.1

0.0

0.0

0.0

0.0

0.0

0.0

0.0

0.0

0.0

0.0

0.0

0.0

0.0

8.7

0.0

4.0

10.0

12.5

0.0

2.8

5.0

0.0

14.3

11.1

12.5

21.7

0.0

16.0

0.0

0.0

0.0

8.3

5.0

20.0

0.0

0.0

12.5

4.3

16.7

4.0

10.0

0.0

0.0

2.8

0.0

0.0

0.0

0.0

6.3

4.3

0.0

0.0

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

1 電力系統関連機器(N=10)

2 電力システム(N=8)

3 電導素材(電線・金属など)(N=4)

4 電子部品・デバイス

(半導体・ディスプレイなど)(N=36)

5 再生可能エネルギー機器

(太陽光・風力発電関連機器など)(N=20)

6 燃料電池(N=5)

7 蓄電池(N=7)

8 電気自動車(N=9)

9 エネルギー工学(N=16)

10 通信ネットワーク(N=23)

11 制御系ソフトウェア(N=6)

12 その他(N=25)

1.蓄電池(電力貯蔵装置) 2.燃料電池 3.高効率給湯器 4.電池自動車 5.情報家電

6.空調設備(エアコン) 7.LED照明 8.太陽光発電機器 9.風力発電機器 10.スマートメーター

11.パワーコンディショナー 12.ホームゲートウェイサーバー 13.エネルギー管理システム 14.メンテナンスサービス 15.その他

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95

(4)スマートグリッド関連要素技術の中で既に開発に取り組んでいる領域(問3-4)

回答者のスマートグリッド関連の要素技術開発の中で既に開発に取り組んでいる領域と

しては、全般的に割合で見ると低いものの、「エネルギー管理システム(8.0%、10 件)」と

「蓄電池(4.0%、5 件)」が相対的に多かった。

4.0

2.4

0.0

1.6

1.6

1.6

2.4

3.2

3.2

3.2

3.2

1.6

8.0

1.6

8.0

3.2

0% 1% 2% 3% 4% 5% 6% 7% 8% 9%

[蓄電機器]蓄電池(電力貯蔵装置)

[蓄電機器]燃料電池

[蓄電機器]高効率給湯器

[蓄電機器]電池自動車

[家電]情報家電

[家電]空調設備(エアコン)

[家電]LED証明

[発電設備]太陽光発電機器

[発電設備]風力発電機器

[計測機器]スマートメーター

[制御機器]パワーコンディショナー

[システム]ホームゲートウェイサーバー

[システム]エネルギー管理システム

[サービス]メンテナンスサービス

[その他]その他

特に関心ある事業分野はない

回答数 %全体 125 100.0

1 [蓄電機器]蓄電池(電力貯蔵装置) 5 4.02 [蓄電機器]燃料電池 3 2.43 [蓄電機器]高効率給湯器 0 0.04 [蓄電機器]電池自動車 2 1.65 [家電]情報家電 2 1.66 [家電]空調設備(エアコン) 2 1.67 [家電]LED証明 3 2.48 [発電設備]太陽光発電機器 4 3.29 [発電設備]風力発電機器 4 3.210 [計測機器]スマートメーター 4 3.211 [制御機器]パワーコンディショナー 4 3.212 [システム]ホームゲートウェイサーバー 2 1.613 [システム]エネルギー管理システム 10 8.014 [サービス]メンテナンスサービス 2 1.615 [その他]その他 10 8.016 特に関心ある事業分野はない 4 3.2

無回答 81 64.8

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96

(5)国・地方自治体等の競争的資金の活用意向(問3-5-1)

スマートグリッド関連技術に関心を持つ主体のうち、国・地方自治体等の競争的資金を

「活用していきたい」とする人々は 51.2%、「活用するつもりはない」とする人々は 37.6%となった。

活用していきた

51.2%

活用するつもり

はない

37.6%

無回答

11.2%

回答数 %

全体 125 100.01 活用していきたい 64 51.22 活用するつもりはない 47 37.6

無回答 14 11.2 (6)共同研究の形態(問3-5-2)

スマートグリッド関連技術に関心を持つ主体が、今後スマートグリッド関連技術に関す

る技術開発の共同研究を実施する際の形態としては、「共同研究の実施(双方の研究者が参

画して研究開発活動を実施)」が 34.4%を占め、次いで「技術指導」が 9.6%となった。

4.0

34.4

4.0

9.6

3.2

0.0

0% 10% 20% 30% 40%

委託研究の実施(研究資金を提供し、研究を

委託)

共同研究の実施(双方の研究者が参画して

研究開発活動を実施)

研究者の派遣・受け入れ

技術指導

大学発ベンチャーへの支援・参画

その他

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97

回答数 %全体 125 100.0

1 委託研究の実施(研究資金を提供し、研究を委託) 5 4.0

2共同研究の実施(双方の研究者が参画して研究開発活動を実施)

43 34.4

3 研究者の派遣・受け入れ 5 4.04 技術指導 12 9.65 大学発ベンチャーへの支援・参画 4 3.26 その他 0 0.0

無回答 65 52.0 (7)スマートグリッド関連技術の技術開発上の課題(問3-6)

スマートグリッド関連技術を技術開発する上での課題としては、「研究開発に必要な人材

や共同研究パートナーを確保できない」が 40.0%と最も多く、次いで「研究開発のための

資金調達が難しい」が 34.4%、「顧客ニーズを把握しづらい(ニーズ情報が不足)」が 26.4%となった。

40.0

12.0

19.2

26.4

20.0

4.8

10.4

6.4

34.4

2.4

15.2

4.8

4.8

2.4

7.2

6.4

4.0

0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35% 40% 45%

[ヒト(人材確保・人材育成 など)]研究開発に必要な

優秀な人材や共同研究パートナーを確保ができない

[ヒト(人材確保・人材育成 など)]研究開発に必要な

人材の育成方法が分からない

[モノ・情報(技術シーズの発掘・ニーズの把握 な

ど)]技術動向や特許等の技術に関する情報を入手し

づらい(シーズ情報が不足)

[モノ・情報(技術シーズの発掘・ニーズの把握 な

ど)]顧客ニーズを把握しづらい(ニーズ情報が不足)

[モノ・情報(技術シーズの発掘・ニーズの把握 な

ど)]技術を活用した新製品の販路開拓が難しい

[モノ・情報(技術シーズの発掘・ニーズの把握 な

ど)]大学の研究に関する情報を入手しづらい

[モノ・情報(技術シーズの発掘・ニーズの把握 な

ど)]行政の支援策に関する情報を入手しづらい

[モノ・情報(技術シーズの発掘・ニーズの把握 な

ど)]研究開発に必要な実証実験を行う場所がない

[カネ(研究開発資金の獲得)]研究開発のための資

金調達が難しい

[ネットワーク]同業種企業とのネットワークが不足し

ている

[ネットワーク]異業種企業とのネットワークが不足し

ている

[ネットワーク]大学や研究機関とのネットワークが不

足している

[ネットワーク]商社等、関連するサービス事業者との

ネットワークが不足している

[ネットワーク]金融機関とのネットワークが不足して

いる

[ネットワーク]行政や研究開発支援機関とのネット

ワークが不足している

[その他]その他

特に課題はない

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98

回答数 %全体 125 100.0

1[ヒト(人材確保・人材育成 など)]研究開発に必要な優秀な人材や共同研究パートナーを確保ができない

50 40.0

2[ヒト(人材確保・人材育成 など)]研究開発に必要な人材の育成方法が分からない

15 12.0

3[モノ・情報(技術シーズの発掘・ニーズの把握 など)]技術動向や特許等の技術に関する情報を入手しづらい(シーズ情報が不足)

24 19.2

4[モノ・情報(技術シーズの発掘・ニーズの把握 など)]顧客ニーズを把握しづらい(ニーズ情報が不足)

33 26.4

5[モノ・情報(技術シーズの発掘・ニーズの把握 など)]技術を活用した新製品の販路開拓が難しい

25 20.0

6[モノ・情報(技術シーズの発掘・ニーズの把握 など)]大学の研究に関する情報を入手しづらい

6 4.8

7[モノ・情報(技術シーズの発掘・ニーズの把握 など)]行政の支援策に関する情報を入手しづらい

13 10.4

8[モノ・情報(技術シーズの発掘・ニーズの把握 など)]研究開発に必要な実証実験を行う場所がない

8 6.4

9[カネ(研究開発資金の獲得)]研究開発のための資金調達が難しい

43 34.4

10[ネットワーク]同業種企業とのネットワークが不足している

3 2.4

11[ネットワーク]異業種企業とのネットワークが不足している

19 15.2

12[ネットワーク]大学や研究機関とのネットワークが不足している

6 4.8

13[ネットワーク]商社等、関連するサービス事業者とのネットワークが不足している

6 4.8

14[ネットワーク]金融機関とのネットワークが不足している

3 2.4

15[ネットワーク]行政や研究開発支援機関とのネットワークが不足している

9 7.2

16 [その他]その他 8 6.417 特に課題はない 5 4.0

無回答 17 13.6

・具体的な研究テーマが見つかりにくい。 その他の回答

・国家研究費がとぼしいこと、予算の打ち切りが多発。 ・担当者 2~3 名が組になって、研究室や企業開発担当者からヒアリングする。実体がつか

めていない。実体を把握するために 5000 万円ぐらいかけても良いのではないか。 ・技術力が不足している。 ・これらの技術を利用した商品を市場へ広く普及させていくための課題として、コスト支

援、法制面(消防法等)の整備が考えられる。 ・実際の施設への対応運用についての情報が不足している。 ・システムの設計コンセプトの理念が明確でない。

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99

(8)スマートグリッドについて知りたいこと(問3-7)

スマートグリッドについて知りたいこととしては、「スマートグリッドの要素技術の全体

像」が 34.9%と最も多く、次いで「国内の技術開発の進捗状況」が 25.7%、「スマートグリ

ッドの市場規模とその推移」が 23.4%となった。

34.9

25.7

11.9

12.8

1.4

8.3

23.4

10.1

3.2

17.0

0% 10% 20% 30% 40%

スマートグリッドの要素技術の全体像

国内の技術開発の進捗状況

国内の主要な開発プレーヤー

海外の技術開発の進捗状況

海外の主要な開発プレーヤー

スマートグリッド関連の国内の法規制

スマートグリッドの市場規模とその推移

需要家のスマートグリッドに対する意識

その他

特に知りたいことはない

回答数 %全体 218 100.0

1 スマートグリッドの要素技術の全体像 76 34.92 国内の技術開発の進捗状況 56 25.73 国内の主要な開発プレーヤー 26 11.94 海外の技術開発の進捗状況 28 12.85 海外の主要な開発プレーヤー 3 1.46 スマートグリッド関連の国内の法規制 18 8.37 スマートグリッドの市場規模とその推移 51 23.48 需要家のスマートグリッドに対する意識 22 10.19 その他 7 3.210 特に知りたいことはない 37 17.0

無回答 19 8.7

・医学・医療との接点を求める企業の有無 その他の意見

・国際的な標準化の方向 ・スマートグリッドの重要性はよく理解しているが、自分の専門とはかなり異なるので、

当面大きな関心はない。 ・スマートグリッドをささえる基盤発電技術の重要度 ・スマートグリッドと社会の関係

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100

■スマートグリッドについて知りたいこと(スマートグリッドに関連する研究開発や投資

への意向別)

41.2

29.6

48.7

28.6

47.1

37.0

36.8

13.0

23.5

22.2

15.8

5.2

19.7

2.6

5.9

0.0

1.3

1.3

17.6

14.8

13.2

1.3

23.5

11.1

30.3

26.0

11.8

14.8

6.6

14.3

0.0

7.4

2.6

3.9

5.9

0.0

3.9

42.9

0 10 20 30 40 50 60

1.自前の資金を投じても事業化に取り

組みたいと思う。

2.行政や企業から支援金をもらえるの

であれば事業化に取り組みたいと思う

3.事業化に取り組むかどうかは分から

ないが関心はある。

4.特に関心はない。

1.スマートグリッドの要素技術の全体像 2.国内の技術開発の進捗状況

3.国内の主要な開発プレーヤー 4.海外の技術開発の進捗状況

5.海外の主要な開発プレーヤー 6.スマートグリッド関連の国内の法規制

7.スマートグリッドの市場規模とその推移 8.需要家のスマートグリッドに対する意識

9.その他 10.特に知りたいことはない

%

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101

(9)スマートグリッドに関する協議会への参加意向(問3-8-1)

スマートグリッドに関する協議会への参加意向としては、「日程・時間が合えば参加して

みたい」が 44.5%、「ぜひ参加してみたい」が 12.4%となり、過半数の回答者が参加意向を

持っていることが分かった。一方で「参加してみたいと思わない」という回答者は、34.9%となった。

ぜひ参加してみ

たい

12.4%

日程・時間が合

えば参加してみ

たい

44.5%

参加してみ

たいと思わ

ない

34.9%

無回答

8.3%

回答数 %全体 218 100.0

1 ぜひ参加してみたい 27 12.42 日程・時間が合えば参加してみたい 97 44.53 参加してみたいと思わない 76 34.9

無回答 18 8.3

64.7

25.9

11.5

0.0

29.4

66.7

67.9

26.3

5.9

7.4

20.5

73.7

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

自前の資金を投じても事業化に取り組みたいと思う(N=17)

行政や企業から支援金をもらえるのであれば事業化に取り組

みたいと思う(N=27)

事業化に取り組むかどうかは分からないが関心はある(N=78)

特に関心はない(N=76)

ぜひ参加してみたい 日程・時間が合えば参加してみたい 参加してみたいと思わない

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102

(10)関心のあるテーマ別の勉強会(問3-8-2)

スマートグリッドの協議会の中で開催されるテーマ別の勉強会について、関心があるテ

ーマとしては、「スマートグリッドに接続する家電・自動車・電池に関する勉強会」が 37.9%と最も多く、次いで「スマートグリッドに接続された住宅/建物に関する勉強会(ソフト

ウェア)」が 31.5%、「スマートグリッドに接続された住宅/建物に関する勉強会(ハード

ウェア)」が 28.2%、「電力網・通信網の情報セキュリティの確保に関する勉強会」が 26.6%となった。

24.2

28.2

31.5

37.9

18.5

26.6

17.7

21.0

18.5

5.6

0% 10% 20% 30% 40%

電力系統に関する勉強会

スマートグリッドに接続された住宅/建物に

関する勉強会(ハードウェア)

スマートグリッドに接続された住宅/建物に

関する勉強会(ソフトウェア)

スマートグリッドに接続する家電・自動車・電

池に関する勉強会

情報家電の規格の統合に関する勉強会

電力網・通信網の情報セキュリティの確保に

関する勉強会

機器等のメンテナンスサービスの開発に関

する勉強会

エネルギーデータなどを活用したサービス開

発に関する勉強会

蓄電池・燃料のリサイクルに関する勉強会

その他

回答数 %

全体 124 100.01 電力系統に関する勉強会 30 24.2

2スマートグリッドに接続された住宅/建物に関する勉強会(ハードウェア)

35 28.2

3スマートグリッドに接続された住宅/建物に関する勉強会(ソフトウェア)

39 31.5

4スマートグリッドに接続する家電・自動車・電池に関する勉強会

47 37.9

5 情報家電の規格の統合に関する勉強会 23 18.5

6電力網・通信網の情報セキュリティの確保に関する勉強会

33 26.6

7機器等のメンテナンスサービスの開発に関する勉強会

22 17.7

8エネルギーデータなどを活用したサービス開発に関する勉強会

26 21.0

9 蓄電池・燃料のリサイクルに関する勉強会 23 18.510 その他 7 5.6

※問3-8-1で、選択肢1・2を選択した方のみ集計

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103

・スマートグリッドによるストレス低減、効果 その他の回答

・部品・機器・システムの階層構造の理解と国家政策。 ・農業水産分野へのスマートグリッド対応 ・一般生活を送る人と最先端技術とのかかわり ・大規模施設、公共施設に対するスマートグリッドの導入 (11)スマートグリッドの技術開発の支援策の方向性(問3-9)

スマートグリッドの技術開発の支援策の方向性にとしては、「研究開発に対する資金援助

(運転資金の融資・研究開発に対する補助など)」が 42.4%と最も多く、次いで「産学官ネ

ットワークの形成支援(スマートグリッドに関する産学連携交流会、勉強会など)」が 35.2%と続いた。

35.2

16.8

42.4

14.4

8.8

8.8

0% 10% 20% 30% 40% 50%

産学官ネットワークの形成支援

(スマートグリッドに関する産学連携交流会、勉強会

など)

研究開発成果に対する事業化支援

(ビジネスマッチング、コーディネーターの派遣 など)

研究開発に対する資金援助

(運転資金の融資・研究開発に対する補助 など)

人材育成に関する支援

(研究開発人材育成のための専門研修 など)

その他

公的支援には全般的に関心がない

回答数 %全体 125 100.0

1産学官ネットワークの形成支援(スマートグリッドに関する産学連携交流会、勉強会など)

44 35.2

2研究開発成果に対する事業化支援(ビジネスマッチング、コーディネーターの派遣 など)

21 16.8

3研究開発に対する資金援助(運転資金の融資・研究開発に対する補助 など)

53 42.4

4人材育成に関する支援(研究開発人材育成のための専門研修 など)

18 14.4

5 その他 11 8.86 公的支援には全般的に関心がない 11 8.8

※問3-2で、選択肢1・2・3を選択した方のみ集計

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・業界のつながり 「産学官ネットワークの形成支援」に関する具体的な意見

・スマートグリッドという言葉を押しつけて理解させようと努力するのではなく、やさし

い日本語で意味と伝えるべき。 ・「スマートグリッドによるストレス低減・効果」というテーマに関心ある企業と大学の仲

介を求む ・大学に要求される研究案件の明確化 ・まだよく理解できておりません。 ・異業種間の交流、勉強会を通し、ビジネスチャンスをつかむ機会の創出と、新しいビジ

ネスの創造 ・東北としての独自で先進性のある構想作りを期待する。 ・勉強会開催のための資金援助 ・実用化・普及までのロードマップ説明 ・勉強会の実施。スマートグリッドの PR 活動。産業クラスターの形成。 ・これらの取組みによって生まれてくる技術、総合システムを実地試験する場の提供。 ・産学連携交流会などを通して、技術研究開発と生産、製造の協力できるシステムを作っ

てほしい。 ・スマートグリッド、スマートエネルギーに関連した電気、機械などの産学協会の横断的

支援会 ・スマートグリッドなど環境負荷の軽減を目的とした学術学会による研究会設立や国際会

議の開催 ・基礎研究が多いので産官学も重要である。 ・特に、企業の開発技術動向の現状での情報をいただきたい。 ・発電、蓄電効率の学習~形になるまでの体制 ・米国と異なり日本では国土も狭く、四季が明確です。全国統一的なシステムの構築に加

えて、さらに東北としては日照時間が雪などの要因を考えて特化した技術開発用が必要

に思います。 ・どんなネットワークがあるのか。どのように利用や相談できるか。 ・スマートグリッドの必要性(何ができるか、なぜ必要か)、効果、費用など、幅広い事の

講演会等の開催。 ・地域性を活用したスマートグリッドの研究開発、地熱温度差、発熱、ソーラー発熱。 ・次世代送配電システム制度検討会 ・WiMAX などの特小無線等の実証実験 ・スマートグリッド関連標準化動向(国内/海外)" ・京都大学のグループのような活動が実用的なレベルでできるとよいと思います。

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・実用化するための相手さがし 「研究開発成果に対する事業化支援」に関する具体的な意見

・実際に事業化できる体系作り ・成果に対してのビジネスマッチング ・地域経済の発展につながる活動を期待する ・技術開発に必要な資金援助 ・現有技術の横展開のためのマッチング ・特許等に関するアドバイス ・事業化にあたっての資金援助 ・これらシステムの早期実現に向けた海外で実証テストする支援 ・製品化への支援、販売力の強化、NPO 化等 ・マーケット情報を得る上でも、マッチング等が必要 ・大学での研究資金激減に伴い、基礎研究が進展しない。資金援助が切望される。 ・事業家支援(アライアンス・パートナー/カスタマーのコーディネート)

・研究開発~生産立ち上げまでの資金 「研究開発に対する資金援助」に関する具体的な意見

・個別の要素技術の研究開発に対する資金援助。 ・銀行から企業、大学の研究室への融資制度を強化する。 ・計測機器等に対する借与 ・事業化にあたっての資金援助 ・低酸素社会での電力系統の更なる品質向上、コスト低減に対する研究に取り組んでもら

いたい。 ・太陽電池を始め、エネルギーを作る、変換する、貯蔵するための個々の要素技術には積

極的な研究開発補助を期待する。 ・これらシステム早期実現に向けた早期資金援助。 ・スマートグリッド技術に重点を置いた援助金を設けて、技術開発→実証実験→実用化の

それぞれのフェーズに重点的な資金援助を行ってほしい。 ・長期的な資金援助(3~5 年) ・グリーン ICT に対する理論から応用に関する補助を期待します。 ・スマートグリッドにような社会にとって重要な基盤整備は、10 年、20 年と長期化が想定

されるため、研究開発を支える長期支援が必要だと思う。 ・研究開発資金の援助がないと、実験道具の購入等に苦慮している。 ・半導体→FPD と移行してきた技術分野を、スマートグリッド(情報家電)に展開する開

発・研究支援 ・研究資金

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・研究アイディアを具体化するための基本的な研究資金の提供 ・試作が終わってから量産までの設備費用及び売るための援助 ・研究開発に対する資金援助

・スマートグリッドの意味・意義を普及させる施策をとるべきと考えます。 「人材育成に対する支援」に関する具体的な意見

・開発人員を確保できるような制度もしくは公知。 ・人を育てることが重要。 ・若手研究者への支援プログラム等を期待する。 ・人材バンクを設立することで、人材の確保、支援を期待する。 ・専門領域の知識が必要なので、人材育成必要。 ・学生達の就職支援のための企業とのマッチングを目指した専門技術を望みます。 ・研究会を開催するための資金 ・勉強会又は研修会(各地方都市などで、定期的な開催)

・今迄もこの様な取り組みはなされているが、実際に成功した実例があまりないので、取

り組む事への不安の方が大きい。

「その他」に関する具体的な意見

・特にありません ・県の同様なプロジェクトなど、他の活動の関係を明確にして活動していただきたい。 ・一般の人の理解のもとで進めること ・国際的な標準化においてリーダーシップをとること ・需要家に対する補助。 ・インフラの整備計画や法制度に関する情報提供 ・マーケティング支援(市場性・販路) ・どんな事業でも公的支援は調査研究や技術開発に片寄っていると思う。次世代の産業を

育てるには、実用化や普及に向けて営業開発や初期導入者への支援もしなければ、「絵に

描いた餅」に終わると思う。 ・世界情勢から見た日本の進むべき方向 ・まず自社基盤の安定化、そしてから。 ・スマートグリッドとは何であるか現時点で、判然としないが、供給者と消費者の双方向

通信を活用した電気エネルギーの利用システムであると捉えると、長期的視点で社会に

どのようなインパクトをもたらすのかを予測・調査する研究は継続的に行う必要があり、

そのような研究の支援が重要ではないかと思う。

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4-3 企業・研究者によるスマートグリッドに関連した取り組み

次に、アンケート調査などで回答を得られた企業・研究者を中心に、東北地域の企業・

研究機関の中で、具体的に「スマートグリッドに関連した要素技術の開発に取り組んでい

る企業・研究者」の情報を収集した。

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1)ブルーマウステクノロジー

1.概要 会社名 株式会社ブルーマウステクノロジー 代表者名 三浦 武

事業内容 低速電力線通信のモジュールおよび通信

ミドルウエアの研究開発と通信システム

URL www.bluemouse.asia

主要製品 空間マウス OZUPAD、電力線通信モジュールとミドルウエア

住所 〒036-8103 青森県弘前市川先 2-2-2 樋川ビル2階(弘前事務所)

電話/FAX 0172-55-0160/0172-56-0199 E-mail [email protected]

設立年月日 平成 14 年 4 月 従業員数 4

2.スマートグリッドに関連する技術開発 【取り組みの概要】 ・照明設備の省エネルギーと電力消費量の見える化を実現する、低速電力線通信(PLC)モジ

ュールと通信用ミドルウエアおよびアプリケーションシステムの設計、製作をしている。 ・会社創設前から、IC メーカ-大手のルネサスエレクトロニクス(株)と低速 PLC のアプリ

ケーション開拓を行ってきた。 イスラエルのベンチャーが開発したノイズに極めて強い

PLC である。 弊社は、この PLC 用 IC を応用して、機器組み込み用のPLCモジュー

ルと通信の信頼性を高めるためのミドルウエア開発を行ってきた。 ・低速PLCは通信速度が最大 7.5Kbps ですが、搬送周波数が低いため、屋内、屋外で使

えて信号到達距離も長いという特徴がある。照明制御、スマート電力メータ、セキュリ

ティー、エネルギー管理などの用途に応用することも可能である。

【現在の技術開発の状況】 ・PLC のシステム開発にあたっては、通信の要となるミドルウエア部分を弊社でおこない、

アプリケーション、ハードウエアなどは、アライアンスを組む日本、台湾の技術会社と

共同で進めている。 ・また PLC を用いたソリューションとして、大規模店舗内の照明制御システムと。植物工

場の照明や環境制御システムを共同開発中である。

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2)東北大学 松岡研究室

1.概要 研究者名 松 岡 隆 志 URL http://www.matsuoka-lab.imr.tohoku.ac.jp/ 研究テー

マ名

グリッドパリティを超越する窒化物シリコン融合太陽電池

住所 〒980-8577 宮城県仙台市青葉区片平 2-1-1 電話/F

AX

電話 022-215-3067

FAX 022-215-2302

E-mail [email protected]

2.スマートグリッドに関連する技術開発内容 【取り組みの概要】 グリッドパリティを超越できる 1m2級の超大面積と 40%を超える超高効率とを兼ね備えた

太陽電池を、安全で環境にやさしい材料だけを用いて実現するためのボトルネックにチャ

レンジする。この太陽電池の概念は、太陽光スペクトルの有効利用が可能な窒化物半導体

と、マクロスケールの安価なシリコン多結晶の融合からなる。 【現在の技術開発の状況】 ・窒化物半導体の基本的な成長技術をすでに確立しており、現在、太陽光スペクトルのう

ちの赤外域を吸収できる InN の高品質化技術の開発中。 ・キャスティング法による多結晶シリコンの製作技術をすでに確立しており、現在、結晶

方位の配向制御技術開発中(弊所 結晶物理学部門 宇佐美准教授 担当)。 【主な開発課題】 ・窒化物半導体:InN の高品質化 ・多結晶シリコン:結晶の配向性制御技術(弊所 結晶物理学部門 宇佐美准教授 担当)

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3)東北大学 白鳥研究室

1.概要 研究者名 白鳥則郎 URL http://www.shiratori.riec.tohoku.ac.jp/index-j.html

研究テーマ名 広域分散地域を一体化し人と自然環境が共生するための ICT システムの開発

住所 仙台市青葉区片平2丁目1-1

電話/FAX 022(217)5453/022(217)5414 E-mail [email protected]

2.スマートグリッドに関連する技術開発内容 【取り組みの概要】 ・栗原グリーンプロジェクト:宮城県栗原市において、生活拠点や都市機能が広域に分散

する地域(広域分散型地域コミュニティ)を一体化し人の暮らしと自然環境が共生する

ICT システムを構築するための地域実証を行う。 【現在の技術開発の状況】 ・下記の主な開発課題に対して、システム設計および開発、予備実験、実証実験を行って

いる。 ・平成 23 年 3 月までに検証・評価を行い,通信プロトコル等の技術規格/仕様の提案を行

う予定。 【主な開発課題】 ・スマートグリッドネットワークと地域ネットワークの統合制御のための技術規格の開発 ・生活支援ネットワークシステムの技術規格の開発 ・ICT システム消費エネルギー監視のための IPv6-MIB の開発 ・行政アクセス支援ネットワークシステムの技術規格の開発 ・建物消費エネルギー監視のためのネットワーク管理システムの開発 ・太陽光発電システムのエネルギー監視システムの開発

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4)秋田県立大学 下井研究室

1.概要 研究者名 下井 信浩 URL http://www.akita-pu.ac.jp/system/mise

/bio_intelligence/imech_robo/top/index.htm

研究テーマ名 構造物の無電源ヘルスモニタリング

住所 由利本荘市土谷字海老の口 84-4 秋田県立大学 システム科学技術学部

電話/FAX 0184-27-2116 E-mail [email protected]

2.スマートグリッドに関連する技術開発内容 【取り組みの概要】 ・橋梁及び建築物等の老朽化や震災等の影響による安全強度に関するセンサを無電源化す

る技術を実現し、これらの情報伝達手段である ICT システムに関する電力供給も計測場

所毎にオリジナルの圧電素子等を用いた発電方式を利用している。 【現在の技術開発の状況】 ・橋梁等のヘルスモニタリングにおいて、センサの電源はセンサ毎に乾電池や 100V 電源を

5V に A/D 変換する必要がある。また、システム全般の供給電力も電源回路を現地に構築

する煩雑な作業を実施している。さらに長期の計測においては、電源と計測器との距離

が長いためにリ-ド線の抵抗による供給電力の減衰される損失が大きい問題がある。 【主な開発課題】 ・無電源安全評価センサの開発。 ・圧電素子ジェネレ-タを用いた ICT 送信技術の開発。 ・小電力型通信システムの開発

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5)東北大学 山本研究室

1.概要 研究者名 山本悟 URL www.caero.mech.tohoku.ac.jp

研究テーマ名 数値タービン、超臨界流体シミュレータの研究開発、数値流体力学

住所 仙台市青葉区荒巻字青葉 6-6-01

電話/FAX 022-795-6988 E-mail [email protected]

2.スマートグリッドに関連する技術開発内容 【取り組みの概要】 ・スマートグリット自体の研究ではなく、スマートグリットの根底を支えている基盤発電

技術の研究開発、特にガスタービン、蒸気タービン、最近ではソーラーサーマル発電用

タービン技術の要素研究も始めた。 【現在の技術開発の状況】 ・蒸気タービン流動解析ソフトウェア、「数値タービン」はすでに、三菱重工、東芝で実用

化されている。来年度は、さらに日立製作所、東京大学、岩手大学などが参加した、 「数値タービンコンソーシアム」を立ち上げる予定。 【主な開発課題】 ・スマートグリットにおけるコア技術は、スマートメーターなどを用いた電力のインテリ

ジェントな制御による有効利用であることは間違いないが、忘れがちなのは、その根底

を支えているものは、原子力発電であり、また自然エネルギーの変動量を補てんしてい

るのは火力発電(石炭火力やコンバインドサイクル)である。電力供給のすべてを自然

エネルギーでまかなうことは不可能。あいにく、日本における自然エネルギー発電量は

まだ 1%程度である。今後この数字を 10%程度以上に増やす必要はあり、その鍵をにぎ

るのが、太陽光発電や太陽熱発電であることも確か。特に家庭におけるこれらの発電を

増やすことにより、スマートグリットも重要なものになることは間違いない。 ・研究室として関連するテーマとしては、太陽熱発電における効率的なタービン開発。水

のみならず、二酸化炭素やアンモニアなどの媒体を用いたタービン技術の実現性につい

て研究が必要。特に、超臨界二酸化炭素を用いたタービンは、環境に無害であり小型化

が可能であると予想しており、将来的な家庭での利用もあり得る。

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6)東北大学 高橋研究室

1.概要 研究者名 高橋秀幸 URL

研究テーマ名 広域分散地域を一体化し人と自然環境が共生するための ICT システムの開発

住所 仙台市青葉区片平2丁目1-1

電話/FAX 022(217)5455/022(217)5414 E-mail [email protected]

2.スマートグリッドに関連する技術開発内容 【取り組みの概要】 ・栗原グリーンプロジェクト:宮城県栗原市において,生活拠点や都市機能が広域に分散

する地域(広域分散型地域コミュニティ)を一体化し人の暮らしと自然環境が共生する

ICT システムを構築するための地域実証を行う。 【現在の技術開発の状況】 ・下記の主な開発課題に対して、システム設計および開発、予備実験、実証実験を行って

おります。 ・平成 23 年 3 月までに検証・評価を行い,通信プロトコル等の標準化へ向けて、技術規格

/仕様の提案を行う予定です。 【主な開発課題】 ・スマートグリッドネットワークと地域ネットワークの統合制御のための技術規格の開発 ・生活支援ネットワークシステムの技術規格の開発 ・ICT システム消費エネルギー監視のための IPv6-MIB の開発 ・行政アクセス支援ネットワークシステムの技術規格の開発 ・建物消費エネルギー監視のためのネットワーク管理システムの開発 ・太陽光発電システムのエネルギー監視システムの開発

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7)山形大学 平中研究室

1.概要 研究者名 山形大学 平中幸雄 URL eatz.yz.yamagata-u.ac.jp

研究テーマ名 スマートコンセントとクロスレイヤー通信

住所 山形県米沢市城南4-3-16

電話/FAX 0238-26-3322 E-mail [email protected]

2.スマートグリッドに関連する技術開発内容 【取り組みの概要】 ・将来的に電気製品すべてに相互通信機能が必要になると考えているが、そのための統一

的で且つ柔軟性を持つ通信標準、とくにデータ表現に関する標準の確立が必要と考えて

いる。 ・その標準の条件を明確にするとともに、標準確立に時間のかかりそうな電気製品及び末

端電力制御機器について実験をしながら、実際的な提案をしていこうとしている。 【現在の技術開発の状況】 ・大電流機器の増加によって回路ブレーカのトリップ頻度が高まっているが、その対策と

して、機器使用電流の予測、複数電源系統の選択接続、電流余裕不足時の使用待機など

を行う 2 回路 3 機器接続可能なスマートコンセントを製作した。現在、分散配置した複

数のスマートコンセント間で、協調動作をするための相互通信の実験を行っている。 ・このスマートコンセントは、通信機能を持たない従来の電気製品を電力使用調整のネッ

トワークに参加させるアダプターとして機能するが、この研究を通して得られた成果を、

将来の電気製品に応用することを考えている。 【主な開発課題】 ・電力使用量制御方式の設計と実現

電力使用量調整を対象に、階層化集中管理型と分散協調型の 2 方式について、具体的

通信データを含めた実現をはかる。通信データの表現形式として汎用通信フォーマット

と呼ぶ XML 同様の表現方法を採用し、設計を行っている。 ・電力調整クロスレイヤー通信の設計と実現

電力供給と需要は異なる管理階層にあり、電力系統と電気機器は異なる技術階層にあ

る。しかし、電力利用調整のためには、これらの階層を超えるクロスレイヤー通信を使

って協調する必要がある。このクロスレイヤー通信では、共通に理解できる情報表現も

必要で、その具体的な検討を実験をしながら行う。

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8)山形大学 松田研究室

1.概要 研究者名 松田圭悟 URL http://chemistry.yz.yamagata-u.ac.jp/

labo/matsuda-labo.html

研究テーマ名 省エネルギー型化学プロセスの構築

住所 山形県米沢市城南 4-3-16

電話/FAX 0238-26-3742 E-mail [email protected]

2.スマートグリッドに関連する技術開発内容 【取り組みの概要】 ・化学プラントのエネルギー統合や熱交換ネットワーク構築によるグッリド化の取り組み

や,コプロダクション,ピンチテクノロジーなどを展開 【現在の技術開発の状況】 ・複数のシステムのインテグレーションにより,従来比 60%を達成 【主な開発課題】 ・熱,物質,水などのピンチについて

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9)山形大学 門叶研究室

1.概要 研究者名 門叶秀樹(とかない ひでき) URL

研究テーマ名 流体、伝熱工学における効率化

住所 山形県米沢市城南 4-3-16

電話/FAX 0238-26-3151/0238-26-3152 E-mail [email protected]

2.スマートグリッドに関連する技術開発内容 【取り組みの概要】 ・物体後流域の乱れを用いた伝熱促進 (気流が物体に当たった時に生じる後流域の乱れを利用して効率よく冷やす) 【現在の技術開発の状況】 ・ 【主な開発課題】 ・

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10)NTTファシリティーズ

1.概要 会社名 株式会社NTTファシリティーズ 代表者名 沖田 章喜

事業内容 建築設計 / 設備工事 / ビル管理・メン

テナンス / 通信事業サービス

URL http://www.ntt-f.co.jp/

主要製品 メガソーラ、GreenITy Buildig、100 年BCP、Fデータセンタ、高機能ビルマネジ

メント、グリーンコンサルティング

住所 東京都港区芝浦 3-4-1 グランパークタワー

電話/FAX 0120-72-73-74 E-mail

設立年月日 1992 年 12 月 1 日 従業員数 5500 名

会社名 株式会社NTTファシリティーズ

東北支店

代表者名 川越 祐司

住所 仙台市若林区五橋 3-2-1 NTT 五橋第 2 ビル

電話/FAX 022-214-3551 E-mail

2.スマートグリッドに関連する技術開発

【取り組みの概要】

・ スマートグリッド及びデータセンターに対応する直流電源コンセントを開発 ・ 通信ネットワーク対応型電気自動車用急速充電器を商品化 ・ オフィスビルのスマート化に着手 ①スマート BEMS によるエネルギーの最適制御 ②熱供給会社との情報連携(熱) ③電気事業者との情報連携(電気) ④グリーン建物設計(LED、タスクアンビエント照明の導入) ⑤その他(EV 用充電インフラの導入、太陽光発電システムの導入(屋上、空きスペース、

建物壁面など)、蓄電池の導入 等 ・電力メーター情報の有効活用によるマンション入居者の省エネ・省コストの促進

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11)清水建設

1.概要 会社名 清水建設株式会社 代表者名 宮本 洋一

事業内容 総合建設業 URL www.shimz.co.jp

主要製品

住所 東京都港区芝浦 1-2-3 シーバンス S 館

電話/FAX 03-5441-1111 E-mail

設立年月日 1804 年(文化元年)創業 従業員数 11,369 人

2.スマートグリッドに関連する技術開発 【取り組みの概要】 ・マイクログリッド ・シミズ・スマート・BEMS(ビルエネルギーマネジメントシステム) ・スマートビル、ZEB ・スマートワークプレイス 【現在の技術開発の状況】 ・上記商品の拡張機能について技術開発(デマンドレスポンスなど) 【開発課題】 ・CO2削減と快適性の両立

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第5章 東北地域における今後の技術開発の方向性 5-1 今後の取り組みの方向性

■地域規模のスケールで検討していくべきテーマ領域の存在

スマートグリッドは、電力網と通信網を有効に使いながら、エネルギーの利用をコント

ロールすることで低炭素化・省エネ化の実現を目指すものであり、そのためにはさまざま

な要素技術を組み合わせていく必要がある。 スマートグリッドを構成する要素の中には、通信インフラ、OS・ミドルウェア、重電

機器のように世界規模のスケールを持つものがある一方で、住宅、ビル、空調、メンテナ

ンスのように地域の実状に応じて地域規模のスケールで展開していくべきビジネスも存在

する。 前者のような世界規模のスケールを持つビジネスについては、「オールジャパン」で規格

の標準化等を推進していく必要がある一方で、後者のような地域規模のスケールで展開し

ていくべきビジネスも、地域のニーズを汲み取った生活しやすいスマートコミュニティを

実現する上で不可欠と言える。このような地域規模のスケールこそ、「東北で検討すべきテ

ーマ領域」であり、東北の中小企業や研究機関で取り組むべきテーマではないか。

スマートコミュニティのスケールと構成要素との関係

コミュニティのスケール

世界規模

国家規模

地域規模

ビジネスのスケール

物理層(機器、建物)

論理層(通信、情報処理)

アプリケーション層(ソフトウェア、サービス)

通信インフラ

OS・ミドルウェア(HEMS・BEMSFEMSなど)

電気自動車

情報家電・センサー

重電機器

住宅・ビル 空調

アプリケーション(HEMS・BEMSFEMSなど)

メンテナンス トレーニング

(人材育成)

電力インフラ

リサイクル(蓄電池など)

東北で検討すべきテーマ領域

地域特性に応じた各要素技術のベストミックス

■需要家側のニーズを見据えた地域の中小企業等による技術開発の必要性

実際に、日本はさまざまな地域特性を持つ地域を抱えているため、需要家側のニーズの

バリエーションも多種多様である。中でも東北地域は、亜寒帯から温帯までの幅広い気候

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121

を持つとともに、太平洋側と日本海側では降水のパターンも大きく異なる。最終的なスマ

ートグリッドの普及は、需要家側のニーズを捉えることが不可欠であることを考えると、

スマートグリッドの規格・プロトコルの議論と並行して、地域特性に応じたソリューショ

ンやビジネスモデルの議論を進める必要がある。 そのような議論の中で、地域の中小企業が果たす役割は大きい。大手企業は潜在需要が

見えない場合、単独で投資をして技術開発に取り組むには大きなリスクを抱える。一方で

既に地域特性を理解し、それに対応しうるソリューションを持っている地域の中小企業に

とっては、このようなリスクは大きく低減される。 ■産学官連携を通じた川上・川下マッチングとプロジェクトメイキング

以上を踏まえると、需要家側のニーズを捉えたソリューションやビジネスモデルを開発

する上では、大手企業と地域の中小企業のマッチング(川上・川下マッチング)を通じて、

産学官で技術開発に取り組むことが最適な選択肢と言える。 今後、東北地域においてスマートグリッド関連産業の振興を図る上では、まずは今年度

実施した研究会と情報連絡会議の取り組みをさらに推進し、テーマ別に設置した分科会の

活動の中で適宜、川上・川下マッチングが展開できる環境整備を行うことが重要と言える。

その上で、国や地方自治体等の技術開発支援事業を活用しながら、着実に継続して成果を

出せる体制を構築していく必要がある。 そのためには、引き続き全国の大手企業の技術開発に関する取組を分析し、その中で東

北のシーズと合致する大手企業の開発課題やニーズを継続的に把握していくことが不可欠

と言える。

本年度の調査の結論と今後の取り組みの方向性

事業概要 スマートグリッド分野における技術開発課

題の把握と中小企業の参入可能性の検証

研究会・情報連絡会議を通じた産学官連携体制の構築

結論 中小企業は、地域ごとに異なる需要家側

のニーズを捉えたソリューション開発に可能性がある。

また、スマートグリッド化を見越したメンテナンス・コンサルティングなどのサービス開発にも可能性がある。

こうした領域は、現時点では需要が顕在化していないことから、大手企業が単独で投資をするにはリスクが高い。

こういった市場を獲得するためには、今から大手企業も巻き込んだビジネスアイディアの開発に取り組む必要がある。

平成22年度事業の取り組みと成果

地域の中小企業による

スマートグリッド関連産業の振興

今後必要な取り組み

川上・川下マッチング

プロジェクトメイキング

展開会/マッチングイベント勉強会/講演会事例視察

補助事業等を活用したフィールド実証試作開発

必要な調査事業

全国における技術開発動向の継続的な把握

川下企業(大手セットメーカー等)の技術開発課題の把握

東北の地域特性を踏まえた独自の開発課題と技術シーズの発掘

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5-2 情報連絡会議の運営の方向性

情報連絡会議は今年度の取り組みを踏まえて、来年度は「スマートグリッド協議会」と

それらを構成する 3 つの「分科会」(スマートグリッド化に対応した家電・蓄電池・電気自

動車に関する分科会/エネルギー管理システムに関する分科会/スマートグリッド時代に

対応した住宅・ビルに関する分科会)を中心に活動を展開していく。 「分科会」は、スマートグリッドを構成する要素技術を「モノ」「システム」「インフラ」

という 3 つの観点で活動を展開していくこととするが、必要に応じてさらに専門特化した

分科会・ワーキンググループの設置、あるいは 3 つの分科会の情報を連絡するための会議

も適宜、検討していく。 ■分科会の体制イメージ

各分科会の体制イメージは以下の通りである。それぞれの分科会は、学識者や業界団体

の代表者が務める「分科会長」を筆頭に、東北に立地する企業・研究機関、全国レベルの

大手企業などの関係者(40~50 名)で構成する。またスマートグリッド研究会の委員 13名も、各自がいずれかの分科会に所属して各分科会の「コアメンバー」として分科会の運

営をコーディネートする立場に回ることとする。

分科会の構成メンバーのイメージ

分科会長

コアメンバー

メンバー

学識者や業界団体の代表者を想定。

分科会発足当初は、スマートグリッド研究会の委員を想定。徐々に他のメンバーをコアメンバーに引き上げていく。

東北に立地する企業・研究機関、全国レベルの大手企業で、スマートグリッドに関心の高い方を想定。

参画を促す

全体で30~50社程度の参画を想定

また分科会の活動は、「外部も含めた幅広いネットワークを形成するための活動」と「本

気で取り組むコアメンバーのみを引き上げながら取り組んでいく活動」の 2 タイプに分け

て活動を展開していくこととする。

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分科会の活動のタイプ

外部も含めた幅広いネットワークを形成するための活動

分科会長

コアメンバー

メンバー

本気で取り組むコアメンバーのみを引き上げながら取り組んでいく活動

・勉強会/講演会・展示会/イベント・事例視察 など

・フィールド実証・試作開発

活動の流れとしては、当初は各分科会のテーマに関する先進技術開発事例の勉強会を中

心に、「外部も含めた幅広いネットワークを形成するための活動(勉強会/講演会、展示会

/イベントなど)」を通じて、分科会メンバー間での交流を深めていく。

そのような活動を通じて今後、各分科会の中で技術開発に取り組む上でのテーマの整

理・棚卸しを行い、必要に応じてより専門分化した新たな分科会の新設なども検討してい

く。

ある程度、テーマが整理できた段階で、今度は「本気で取り組むコアメンバーのみを引

き上げながら取り組んでいく活動」を展開していくため、主要な研究テーマとそれらに取

り組むメンバー間の役割分担を整理し、今競争的資金への応募や川上・川下ネットワーク

の構築のための下地を作ることとする。

分科会の取組内容とスケジュールのイメージ

0年目(22年度) 1年目・2年目(23年度・24年度)

スマートグリッドに関する要素技術の全体像の調査(技術ロードマップなど)

上記内容の情報連絡会議

を通じた周知

協議会・分科会の設置準備

協議会・分科会の立ち上げ各分科会テーマに関連する国内外の技術開発動向に関する勉強会各分科会で今後技術開発に取り組むテーマの棚卸し

競争的資金等への応募を通じた技術開発の促進スマートグリッドに関連する川上・川下ネットワークの構築

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■分科会の構成メンバー

また、協議会発足当初の各分科会の構成メンバーは以下の通りである。

分科会の構成は以下に縛られることなく、各分科会での新規参入メンバーの関心や研究

テーマの状況に応じて、「それぞれの分科会からより専門特化した分科会・ワーキンググル

ープなどを機動的に作り出していく」

こととする。

(1)スマートグリッド化に対応した家電・蓄電池・電池自動車に関する分科会(モノ)

・分科会長 : 田路 和幸(東北大学大学院 環境科学研究科長)

・分科会コアメンバー: 保田 和成(有限会社エボテック 代表取締役)

古川 柳蔵(東北大学大学院 環境科学研究科准教授)

広川 正彦(TDK株式会社)

・想定メンバー : 家電メーカー

自動車メーカー

電子デバイスメーカー

(2)エネルギー管理システムに関する分科会(システム)

・分科会長 : 門田 浩(財団法人組込みシステム技術協会 専務理事)

・分科会コアメンバー: 保田 和成(有限会社エボテック 代表取締役)

岩瀬 次郎(会津大学 産学イノベーションセンター長)

佐藤 淳 (鶴岡工業高等専門学校 教授)

平山 雅之(IPAソフトウェアエンジニアリングセンター)

・想定メンバー : 家電メーカー

システムインテグレーター

組み込みソフトウェアベンダー

(3)スマートグリッド時代に対応した住宅・ビルに関する分科会(インフラ)

・分科会長 : 内海 康雄(仙台高等専門学校 副校長)

・分科会コアメンバー: 村上 英明(オムロン株式会社)

神本 正行(弘前大学 北日本新エネルギー研究センター)

・想定メンバー : ゼネコン・ディベロッパー

システムインテグレーター

ハウスメーカー

電気・設備工事業者

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■各分科会の活動方針

○分科会としての定例会議を年間 4 回ほど開催する(四半期に 1 回ずつ)。 ○そのほか、オプションで「ミッション派遣(視察など)」「展示会参加」「講演会」などを

実施する。 ○ある程度、実証すべき技術シーズが見えた段階で、分科会メンバーの一部が参加する形の

具体的な実証事業に積極的にアプローチする。 例)-次世代エネルギー・社会システム実証地域(小地域版) -戦略的基盤技術高度化支援事業 -地域イノベーション創出研究開発事業 -バイオマス・再生可能エネルギー地域利活用促進事業(農林水産省) -総合特区(内閣府) ○あわせて、日本・世界でスマートグリッドの要素技術開発に取り組むグローバル企業の開

発課題に関する情報を収集。これらをもとに、東北の企業・研究機関との「川上・川下

マッチング」を実施する。

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5-3 スマートグリッドに対応した家電・蓄電池・電気自動車の分科会

東北大学の田路教授を分科会長とする「スマートグリッドに対応した家電・蓄電池・電

気自動車の分科会」では、まずは分科会に参加するメンバー企業との意見交換を皮切りに

活動をスタートさせていく。 分科会としての活動方針の主なポイントは以下の通りである。

【活動方針】 本来ならば 3 つの分科会は統合しているのがあるべき姿であるが、まずはスマートグ

リッドに取り組む上での「切り口」として、このような分科会の形態とした。 スマートグリッドに関連する機器やデバイスの共同研究については、これまでも東北

の地場企業と取り組んできている。 スマートグリッドに関連する機器やデバイスが今後どのように発展し、それがどのよ

うにライフスタイルの変化に結びついていくのか、を考えないと京都大学の松山先生

の研究以上に発展させることは難しいだろう。 本分科会だけで充足できない部分については、ぜひ他の分科会と強調して進めていき

たい。まずは議論をスタートすることが重要だと認識している。 【想定される活動スケジュール】 第 1 回研究会開催(6 月ごろ)

分科会長より、本分科会の目的と目標の説明。 その後、参加企業の有するシーズ確認(各企業20分程度で発表) 必要に応じて分科会長が各企業を見学(具体的なシーズの確認を行う)

第 2 回研究会開催(9 月ごろ)

分科会長からのプロジェクト提案もしくは、現有プロジェクトに参入可能かの意

見交換 第 3 回研究会以降

具体的プロジェクトの立案と検討

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5-4 エネルギー管理システムの分科会

話題いろいろ(1)

無線で家庭の電力管理 100万世帯にスマートメーター2011年2月3日日経新聞

総務省が12年夏にスマートメーター専用の周波数帯915-928MHzを割り当てる方針を固めたことを受け、電力各社は情報技術を使って電力を効率的に供給する次世代送電網(スマートグリッド)の実現に向け、2012年度から家庭の電力消費を無線通信で常に把握できる次世代電力計(スマートメーター)を本格導入する。

12年度中に約100万世帯に設置する。20年をメドに全国の約5000万世帯に普及させる計画だ。

一方でこういう決定も・・・ 2010/11/27日本のUHF帯RFID周波数の割り当て変更方針決定

(2012年より915MHz~928MHzへ)

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話題はいろいろ(2)

Ipv4枯渇!

2月3日JPNIC

主導権争い?

2月12日日経産業

新しいデバイス

2月22日NEC

第2分科会のミッション

エネルギー管理システムに関する分科会

スマートグリッド時代における住宅やビルでのエネルギー管理のソフトウェアのあり方について、パワーコンディショナーやスマートメーターの技術開発の動向を勉強会などを通じて把握しながら、東北の企業や研究者が現在開発しているエネルギー管理システムを持ち寄り、新たに技術開発の余地がある分野について検討を行う。

問題とお願い きわめて実務的であり、社団法人の責任者が東京からリモートコント

ロールは困難

ぜひ、地元関係者のあいだで実質リーダーを

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第2分科会メンバー(敬称略)

分科会長 門田 浩((社)組込みシステム技術者協会 専務理事)

分科会コアメンバー

保田 和成(有限会社エボテック 代表取締役)

岩瀬 次郎(会津大学 産学イノベーションセンター長)

佐藤 淳 (鶴岡工業高等専門学校 准教授)

平山 雅之(IPAソフトウェアエンジニアリングセンター)

委嘱検討中

清尾 克彦 (Cyber大学教授、M2M研究会主査)

太田 寛(日本マイクロソフト 組込みエヴァンジェリスト)

富士通様(会津工場)

岩本 正美(匠ソリューションズ 代表取締役)

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日本のスマートエナジー

CO2削減に象徴される環境改善

要は省エネ?

特に家庭での削減効果が大きい

EOD:Energy on Demand?

情報とエネルギーの連携

基本は需要者(地域、工場、ビル、家庭)と供給側(電力会社)の通信

CEMS/FEMS/BEMS/HEMS

M2M、膨大な端末数でIPv6が活躍?

交通インフラ連携、給電スタンドなど

背中を押す何かが必要・・規制がビジネスを生むという主張も

クラウドサービス

ビジネス構造概観 インフラ系

住宅系

家庭内系

情報サービス系

ビジネスチャンスPlayer

電力系インテグレータ?

住宅メーカーインテグレータ

家電・情報機器

共通デバイスモジュール

ビジネス期待値単価

インフラ系

家庭内の道具

地域・住宅

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東北地域でスマグリPJ

客は誰

海外?

国内(SMGは新成長戦略5分野の中心の一つ)

Playerは誰

東北の組込み、IT企業

今できることは何

技術領域の特定、深耕、PJ化

例:最適制御

実証実験必要(技術面だけではない)

様々な川下企業との協力必須

SME/Gに関わる技術・事業領域

大分類 領域 特徴 標準 その他

電力系統系

送電系統広域監視技術(WASA)

広域監視制御システム

通信モデル等 高信頼性

系統用蓄電池技術 配電、ビルなどの最適制御

通信モデル、IF SCADA適用?

配電網管理技術 配電自動化システム、

日本では不要?

需要系 デマンドレスポンス 需要最適化 XEMS クラウドも

需要側蓄電池 化学、燃料? モデル、IF 参入障壁高い?

電気自動車 モーター制御、消費電力最小化

自動車会社主導?

参入障壁高い?

高度測定技術基盤(AMI)

SM MDMS 等 通信、セキュリティ(認証)

ECHOネット(IEC62480)

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デマンドレスポンス

領域名称 対象 特徴 既存規格、デバイス、その他

DRネットワーク XEMS外部 M2M、そしてインターネット

HEMS 家庭 データ、通信、デバイスIF

Zigbee、PLC等など、ECHOnet

BEMS ビル規模(店舗) ネット構成、通信・デバイスIF

BACnet、IEC61580 CIM

FEMS 工場

CEMS 地域? 外部ネットIF XX建設など業者主導?

AMI(Advanced-Metering-Infra)

既存の技術が一体化

計量機器

通信方式、プロトコル

広域アクセスと近距離アクセス

セキュリティ

認証を含む

上記の管理システム(MDMS)

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組込み注目分野

組込みシステム技術高信頼性技術セキュリティ技術

統合システム

Android

スマートエナジ・グリッド

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進め方:一般論では何も生じない

鍵となる技術、標準を学習

実証実験想定モデルの概要構築

参画企業の強みを技術領域にマッピング

不足技術に関しては地元事業者を招聘

実証実験に向けたモデルの構築

23年度活動の概要 前半 勉強会 (計画中)

第一回 仙台 6月

SMG/E標準化動向

スマートエナジー関連デバイス 富士通さん(ルネサス)

第二回 仙台 7月 M2Mと通信技術 清尾さん、保田さん

電流センサーとAD変換、 Zigbeeについて

高信頼性設計実装技術 程、兼本先生

第三回 会津大学 9月 クラウドサービス、データマネージメント

医療クラウドサービス、FEMS事例研究、佐藤先生、岩瀬先生、太田さん

第四回 10月 川下企業のニーズ検討

後半

実証実験モデルの検討 川下領域の選択、実験で何を明らかにするか

川下企業との連携による方針検討

報告書作成

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5-5 スマートグリッド時代に対応した住宅・ビルの分科会

東北地域のエネルギー特性を踏まえた産業基盤強化・新事業創出事業

スマートグリッド研究会 第2回情報連絡会議

第3分科会「スマートグリッド時代に対応した住宅・ビル」

の趣旨と活動計画

内海康雄 仙台高等専門学校

村上英明 オムロン株式会社

神本正行 弘前大学

スマートグリッド時代に対応した住宅・ビルに関する分科会

• 分科会長 内海康雄(仙台高等専門学校)• コアメンバー 村上英明(オムロン株式会社)

神本正行(弘前大学)• 想定する参加メンバー

ゼネコン・ディベロッパーシステムインテグレーターハウスメーカー計測・デバイス、電気・設備工事業者など

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内 容

• 背景など– 住宅・ビルが利用するエネルギーとその課題

– スマートグリッドとインフラストラクチュア

• 分科会の活動案– 活動の方針

– 分科会で取り扱う主なテーマ

– 住宅・ビルに関する要素とシステム

– 分科会の活動スケジュール

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(1)分科会の体制

・分科会長 : 内海 康雄(仙台高等専門学校 副校長)

・分科会コアメンバー: 村上 英明(オムロン株式会社 スマートコミュニティプランナー)

神本 正行(弘前大学 北日本新エネルギー研究センター)

(2)分科会で取り扱う主なテーマ

※メンバーから出される想定テーマなどを箇条書きで整理

作り手、使い手、低炭素化、コスト、BIM、エネルギー・シミュレーション、etc. テーマ1: スマートグリッド時代における住宅やビルのハードウェアのあり方

スマートハウス、ZEB(ネットゼロエネルギービル)

スマートシティ、スマートコミュニティ、エコシティ マイクログリッド 東北福祉大学

低炭素化社会へのアプローチ

• 電化された社会– エネルギー需要のほとんどに電気を使う

– 実現性が高い?

• 水素を利用する社会– 燃料電池

• 再生可能なエネルギーを利用する社会– 太陽、風、地中熱、地熱、波、河川など

• バイオエネルギーを利用する社会– バイオマス

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住宅・ビルが利用するエネルギーとその課題

• 民生部門の炭素排出量の伸びが産業・輸送部門より大きい

• 原子力発電の稼働率向上と増設– 30%が原子力発電、2008年度稼働率60%

• 再生可能電源の増加– 全発電量の10%– ダム式水力発電、太陽光、風力、バイオマス、地熱、小規模水力など

• そのほか– 火力発電所の効率改善、天然ガスの利用、自動車の性能向上、高効率給湯器など

住宅・ビルのエネルギーの使い方

• エネルギーのベストミックス

– 電力、ガス、石油など

• 電源のベストミックス

– 発電を原子力のみに頼れるのか

– 天気まかせの太陽光・風力による発電

– 再生可能熱(太陽熱、地中熱・地熱)の利用

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スマートグリッドとインフラ

• ビル・建物はエネルギー需要側にある

• インフラを構成する要素とシステム– センサー、情報処理、インターネット

Ex. グリーンデバイス

• システムを企画・計画・設計・構築・管理– 高効率化による需要量の減少– ピークカット 需要の平準化→ スマートメータの必要性Ex.電力需要管理(DSM: Demand-side Management)

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活動の方針

•各テーマの設定

社会と参加者のニーズに合わせて各テーマの検討項目を掲げ、絞り込みを行う

•活動形態

勉強会、現場視察、R&Dプロジェクトの立ち上げ、助成申請等を行う

•担当者各テーマの担当(メイン、サブ)を割り当てる

分科会で取り扱う主なテーマ

情報連絡会議のアンケートで希望が出された分科会のテーマ○スマートグリッドに接続された住宅/建物に関する勉強会(ハードウェア)

【東北独自のスマートハウスの開発】これまでの一般住宅との構造設計の違いエコ・省エネ住宅の実用化空調、微弱エネルギーの活用、エネルギーの高効率利用、蓄電技術、DC家電

高気密・高断熱住宅に適した省エネ型冷暖房システムの検討寒冷地における最適なハードウェアの選定と規格化スマートハウス

【スマートハウスと電力網の連携技術】自然エネルギーを含めたFEMS・HEMSの最適制御方式、家庭内無線機器に対する効率的低消費電力化方法、家庭内の蓄電制御方式(安定化供給)配電網・送電網との連携方法ホームゲートウェイとなりうる(サーバー機能を持ちうる)家電電気自動車のバッテリーを活用した充電・放電技術マイクログリッド

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テーマ1: スマートグリッド時代における住宅やビルのハードウェアのあり方

1)作り手と使い手シーズとニーズ、それらのマッチング

2)低炭素化、省エネルギー、コスト、快適性個別、均衡したあるいはすべて同時の実現

3)BIM (Building Information Modeling, 建物情報モデル化) 建物・設備の3次元・属性等のデータ利用,共通インターフェース提供

4)エネルギー・シミュレーション各国では設計時にシミュレーション・ツールの予測計算を義務化しつつある

5)スマートな建物(単体)スマートハウス、ZEB(ネットゼロエネルギービル)の実例・展望

6)面としてのスマートな建物群スマートシティ、スマートコミュニティ、エコシティの実例・展望

7)小規模なスマートグリッドマイクログリッド 例.東北福祉大学キャンパス

8)その他

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テーマ2: 東北の地域特性に合わせた空調システム

1)東北地域の地域特性平成21年度報告書に自然エネルギーのポテンシャル等の記述あり

2)自然エネルギーの利用方法冷熱源 雪、地盤など 例.八幡平市りんどう栽培地中熱の利用 クールチューブなど 例.岩手県立大学太陽エネルギー 例.大潟、 風力エネルギー

3)FEMS・HEMSの最適制御方式家庭内無線機器に対する効率的低消費電力化方法家庭内の蓄電制御方式(安定化供給)

4)東北地区のHEMS国交省の推進してきた高断熱・高気密住宅、空調設備、微弱エネルギー活用、エネルギー高効率利用、蓄電技術、DC家電等を総合化した制御運転

5)その他

テーマ3: エネルギー・コンサルティングの現状

1)法制度各国のエネルギーに関する法律、建物・空調機器など関連の法律例.省エネルギー法

2)関連規格ISO、IEEE(http://smartgrid.ieee.org/standards)などJIS、NIST、ANSI、CENなど

3)エネルギー・コンサルタントESCO事業の現状、供給側、需要側、etc.

4)その他

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住宅・ビルの空調システム

住宅・ビルに関する要素とシステム 1/2

環境の測定・街区スケール以上の気象・室内の温熱・空気環境

システム制御の実行・シナリオに基づくシステム稼働・気象やスケジュール変更等へ対応

システムのシナリオの作成・必要エネルギーの予測計算・機器の最適制御計算

関連技術・機器・規格・気象・室内の測定センサー

・温熱・空気環境の評価指標の測定

関連技術・機器・規格・街区の気象予測

・建物モデル作成と必要エネルギー量計算・個別機器の最適制御・クリマアトラス(都市気候図)

関連技術・機器・規格・個別機器の制御用通信

・使用・管理者への情報可視化・制御盤、GIS、ICT

関連する人材・チーム育成・PBL人材育成事業・国際インターンシップ

・事業化のマップ・知的財産マップ

各種コーディネータ目利き・制度間つなぎ、知的財産など

地域再生人材創出拠点の形成PBLによる組込みシステム技術

者の養成

ISO規格、学会規格:風量測定、換気量測定

・運営・管理の体制整備・すべての項目をカバー

ソフトウェア開発実装技術開発

全体の活動のコーディネート

住宅・ビルに関する要素とシステム 2/2

• 開発には広い分野の専門家が必要

– 建物の熱・空気についての知識

理論、実験、シミュレーション

– 設備の制御

最適制御アルゴリズム

– ソフトウェア、組み込みシステムの開発

シミュレーションツール、CAD、DB、GIS、ユーザ・インターフェースなど

– 各種関連規格

省エネルギー法、ISO規格など

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製品化・事業化チームの構成• 事業化には開発より多くの専門家が必要

– 全体のマネージメント

– 営業 技術を含む

– 対象建物への設備機器の製作

– 設置工事

– 現場での調整業務

– 管理業務

– 熱・空気、設備制御の技術的な専門家

– 規格・基準等への対応

– 知的財産への対応

→ 関連する産学官金の研究会

分科会の活動スケジュール

勉強会・ワークショップを年4回程度行う

第1回 分科会の概要とテーマの洗い出し

第2回 各テーマの役割分担の決定

第3回 各テーマについての活動報告

第4回 年度の最終報告へ向けて作業

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第1回 分科会の概要とテーマの洗い出し

・文献・事例の収集と読み合わせ・有識者の講演会・見学会・市場調査 規模、関連する業務形態・各要素技術に関する特許調査・参入方法・テーマの絞り込みと各テーマ内で扱う項目の列挙・メンバー間の役割分担

テーマ1 メイン( )サブ( )テーマ2 メイン( )サブ( )テーマ3 メイン( )サブ( )

・資料収集等の活動開始・年間計画案の作成

第2回 各テーマの役割分担の決定

・取り扱うテーマの具体的な内容の確認

分科会幹事・各テーマ幹事が検討

・調査・収集した資料の説明と勉強

・各テーマの今後の方向性・活動形態の検討

→第3回以降の活動内容の詳細と担当を決める

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第3回 各テーマについての活動報告

・各テーマに関する検討状況の報告

第4回 年度の最終報告へ向けて作業

・年度の活動報告の作成

・来年度の活動計画に対する検討

参画を求めていきたい企業・研究機関

1)インフラの発注者、請け負う立場例.ゼネコン、サブコン

2)躯体・設備の設計・施工・管理・改修を行う立場3)関連機器・システムを製作・販売するメーカー

例.センサー、各種設備、制御機器4)設備・システムの運営・管理を行う立場5)エネルギー・コンサルタント

全体をインテグレートする業務形態が必要6)そのほか

⇒第1回、第2回において、参加者のネットワークなどを通じて連絡先・連絡方法を検討する。

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ターゲットとする競争的資金

1)経産省 地域イノベーション創出事業など

2)国交省 地球温暖化対策関連の助成など

3)環境省 地球温暖化対策費など

4)文科省 科学研究費補助金など

5)宮城県 KCみやぎ関連の助成

6)仙台市 産業振興事業団関連の助成

7)そのほか

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連携を模索していきたい外部提携先○日本雪工学会 冷熱源としての雪氷の利用○日本建築学会東北支部 建築・建築設備の全般○空気調和・衛生工学会東北支部 建築設備の全般○建築設備技術者協会東北支部 建築設備の全般

→ 東北地域の情報収集、現実に何ができるか

○ローレンスバークレー国立研究所(米国)、フランス国立建築研究所、ラ・ロシェル大学(フランス)、環境科学院(中国)→ 各国の情報、各国への事業展開の可能性

○IEEE(スマートグリッドの国際会議が年1,2回)、LONMARK(世界的な通信制御プロトコル)、ASHRAE(通信制御プロトコルBACnet)、REHVA(EUの工場・建物の設備全般)、アムステルダム市等の先進的取り組みをする自治体

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第6章 研究会・情報連絡会議の報告 6-1 研究会

6-1-1 第1回研究会

第 1 回研究会は、2010 年 7 月 27 日に開催され、合計 12 名の委員と国の行政機関・東北

各県の担当者など、約 40 名が参加する中で開催された。 主な議題としては、各委員のスマートグリッドに関連する取組のご紹介のほか、研究会

の目標と調査全体の内容と方法が挙げられる。 ■開催概要 日 時:平成 22 年 7 月 27 日(火)13:30~15:30 場 所:東北大学工学部環境科学研究科 エコラボ 1 階会議室 ■議事次第 1.開会 2.委託者挨拶 (東北経済産業局資源エネルギー環境部長) 3.研究会設置要綱及び委員紹介 4.委員長挨拶 5.討議 1)研究会の目標について ①資料説明 ②意見交換 2)調査全体の内容と方法について ①資料説明 ②意見交換 6.事務連絡 7.閉会 ■参加した委員 ・岩瀬 次郎 会津大学 理事 ・内海 康雄 仙台高等専門学校 副校長(研究・産学連携担当)・地域イノベーション

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センター長 教授 ・神本 正行 弘前大学 北日本新エネルギー研究センター 教授 ・佐伯 尚志 株式会社東芝 電力流通事業部スマートグリッド統括推進部 スマート

グリッド技術担当グループ長 ・佐藤 淳 鶴岡工業高等専門学校 電気工学科 准教授 ・田路 和幸 東北大学大学院環境科学研究科 教授 ・樋口 祐治 東北電力株式会社 研究開発センター 研究企画課長 ・平山 雅之 IPA(情報処理推進機構) ソフトウェアエンジニアリングセンター

研究員 ・広川 正彦 TDK株式会社 テクノロジーグループ デバイス開発センター パワ

ーデバイス開発部 主査 ・古川 柳蔵 東北大学大学院環境科学研究科 准教授 ・村上 英明 オムロン株式会社 スマートコミュニティ推進部 スマートコミュニテ

ィプランナー ・保田 和成 有限会社エボテック 代表取締役 ■議事概要 《検討目的について》

・スマートグリッドは低炭素社会の実現に寄与する技術である。しかしスマートグリッド

の定義や意味、関連技術については、未だに詳しく知られていないのが現状である。

・東北地域においても、関連企業や技術の有無、関連データ等の知識自体がないため、本

調査と研究会での検討を通じて、東北地域におけるスマートグリッド産業のポテンシャ

ルについて検討していきたい。

・新事業に進出するには、自社のリソースを棚卸しして何ができるのかを見極めることが

第一歩である。そのためのツールとしてシーズマップの作成を行う。次に開発目標が必

要であり、そのために技術ロードマップの作成を行う。具体的にどのような技術が 2、3

年後に必要とされるのか。実現の可否に関わらず必要となる技術の可視化を行いたいと

考えている。

・さらに、これらの成果を普及させることが必要となる。企業であれば、社長がトップセ

ールスをかけて自社の事業を引っ張っていくことも必要である。情報連絡会議はそれを

促進する目的で実施する。情報連絡会議では、関係者が一同に会して情報交流すること

で、アライアンスの裾野を拡大できるような環境を作る。

《検討対象について》

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・供給側は東芝や電力会社がビジネス化している。一方、需要側は自動車や家電等の機器

やシステムが多数ある。こうした種類や数が多いところを如何にビジネスチャンスにつ

なげていくかが重要である。

・需要側のシステムは規模が大きくなくても良いため、中小企業でも参入しやすい。自動

車や家電がスマート化することでユーザーにどのくらいのメリットが生じるかがビジネ

ス上重要になる。セット(情報家電など)を構成する要素技術は、セットメーカでは手

が回らないため、地域の技術力を使っていくチャンスはある。

・中小企業は、パワーサプライから下流の部分にしか参入できない。スマートメーターに

ついては国内でも動きがあるものの、基本的にはGE等の海外メーカーの試験場にされ

ている。安定供給が実現している日本でメーターが開発できれば世界に売れるものにな

る。

・「家庭内設備」か「電力側の設備」か、は分けて考えるべきである。スマートメーターは

「電力側の設備」に属する。家庭内の電力計測はスマートメーターで行ってもよいが、

分電盤でも計測はできる。米国では電力側が行っている。スマートメーターは使っても

使わなくてもいいが、持主である電力会社の意向に拠る。

《東北における要素技術把握のためのアンケート調査について》

・アンケートで「スマートグリッド」という単語を使うと、知らない人は関係ないと感じ

てしまう。「スマートグリッド」という単語を使わずに隠れた技術を吸い上げることが望

ましい。本研究会ですらイメージさえ定義できていないが、概念だけを示して、低炭素

社会に貢献しそうな自社の技術は何か、という聞き方をすると、意外といい技術が出て

くるのではないか。

・挙げられている技術は最初から関連性が深い技術に限定されている。本当の狙いは低炭

素社会の実現であり、そのためには IT 技術等を活用することも想定される。「貢献でき

る技術は何か」という聞き方にすべきである。

・CO2 削減が実現する必要がある。なおかつ、地域、企業が参加しやすく、ビジネスチャ

ンスがあるものでなくてはならない。それらを汲み取れるアンケートが必要である。

・アンケート調査票を各県に対して投げて、検討してもらってはどうか。

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6-1-2 第2回研究会

第 2 回研究会は、2010 年 11 月 11 日に開催され、合計 12 名の委員に加えてオブザーバ

ーが 1 名参加されるとともに、国の行政機関・東北各県の担当者などを含めた約 40 名が参

加する中で開催された。 主な議題としては、関係機関からのスマートグリッドに関する情報提供のほか、東北地

域におけるスマートグリッドの要素技術開発の動向に関する調査の報告、情報連絡会議及

び来年度以降の分科会設置が挙げられる。 ■開催概要 日 時:平成 22 年 11 月 11 日(木)14:30~18:00 場 所:仙台第 2 合同庁舎 8 階 関東・東北産業保安監督部会議室 ■議事次第 1.開会 2.委託者挨拶(東北経済産業局資源エネルギー環境部長) 3.関係機関からのスマートグリッドに関する情報提供 4.討議 1)東北地域における要素技術開発の動向について ①資料説明 ②意見交換

2)情報連絡会議及び来年度以降の分科会設置について ①資料説明 ②意見交換

5.事務連絡 6.閉会 ■参加した委員 ・岩瀬 次郎 会津大学 理事 ・内海 康雄 仙台高等専門学校 副校長(研究・産学連携担当)・地域イノベーション

センター長 教授 ・神本 正行 弘前大学 北日本新エネルギー研究センター 教授 ・佐伯 尚志 株式会社東芝 電力流通事業部スマートグリッド統括推進部 スマート

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グリッド技術担当グループ長 ・佐藤 淳 鶴岡工業高等専門学校 電気工学科 准教授 ・田路 和幸 東北大学大学院環境科学研究科 教授 ・樋口 祐治 東北電力株式会社 研究開発センター 研究企画課長 ・平山 雅之 IPA(情報処理推進機構) ソフトウェアエンジニアリングセンター

研究員 ・広川 正彦 TDK株式会社 テクノロジーグループ デバイス開発センター パワ

ーデバイス開発部 主査 ・古川 柳蔵 東北大学大学院環境科学研究科 准教授 ・村上 英明 オムロン株式会社 スマートコミュニティ推進部 スマートコミュニテ

ィプランナー ・保田 和成 有限会社エボテック 代表取締役 (オブザーバー) ・門田 浩 社団法人組み込みシステム技術者協会 専務理事 ■議事概要 《スマートグリッドを構成する要素技術について》

・スマートグリッドを構成する要素技術については、電気に関連するものだけでなく、熱

やガスもあるのではないか。

・さらに、エネルギーの流れを考えると貯蔵が必要になる。貯蔵は蓄電池だけではなく、

燃料電池・バイオマス関連機器・熱などを有効活用することで、バッファとする考え方

もあるのではないか。

・単に羅列するだけではなく、個別の要素技術の相互関係についても示す必要がある。例

えばデバイスとシステムは、実際に技術開発を行う上では、階層構造や相互関係が明確

になっている必要がある。したがって、概念的な階層・相互関係まで分かるようなまと

め方ができないか。「システムとしてつながるためにどういうスペックが必要か」「どこ

につながってどう使われるか」が分かるようなまとめ方が必要である。 ・「スマートグリッド」という言葉は、あまりこの委員会には適さない。「スマートグリッ

ド」は、そもそもアメリカのメチャクチャな電力網を正す話にすぎない。 ・系統の規模が大きければ大きいほど参入できる人は少ない。逆に系統の規模がマイクロ

グリッドくらいになってくると参入できる人は多くなる。したがって、地場企業の参入

を考えるともっと粒度が小さいところを目指す議論になってくるが、そういう議論に果

たして「スマートグリッド」という言葉を使うべきか疑問である。

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《スマートグリッドにおける IT の重要性》

・また、エネルギーの流れを管理・制御するためには、情報のやり取りが必要である。こ

のようなことから、計測も含めて IT が不可欠である。したがって、パワーエレクトロニ

クスも重要である。パワコンはいろいろな要素技術を含んでいる。

・「システム」レベルで需要・供給をきちんと制御できることになると、IT が非常に絡んで

くる。また、EV でも「システム」は不可欠である。階層的に要素技術をまとめないと IT業界は興味を失ってしまうと思った。

・要素技術だけでなく、システム・パッケージのレベルで商売するというのも目指さない

と勝算がないのではないか。 ・システムインテグレーターが、一番キーになってくるのではないかと思う。要素技術や

エネルギーデータを整理できるのは、インテグレーターしかいない。 ・ローカルシステムを開発する上では、いろいろな地域特性に基づいた要求が来て、事業

を上手くまわせないことが多い。このような時にローカル企業をうまく利用することで、

上手く事業をまわせる。 《要素技術を分かりやすく伝えるための工夫について》

・スマートグリッドを知らない人が多いため、どのように啓蒙するのかが重要である。「ス

マートグリッド」という言葉の中でも、「スマート」というキーワードが全ての要素技術

につながっている。そういうものをいかに伝えていくのかが重要である。 ・「スマートグリッド」に全く関心のない企業は、そもそも情報連絡会議に出てこない。ど

の分野が自分たち該当するというのをどう見せるかが重要だと思う。 ・ロードマップを作成する際、グローバルの観点を考えた時に「熱」を使った方が有利な

地域、「水力」を使う地域、などの特性がある。必ず東北地域と同じ環境条件があるとこ

ろがある。その市場をピックアップして、ロードマップの中で検討してほしい。 《分科会の運営について》

・今後の東北地域におけるスマートグリッド関連産業の振興を推進するために、来年度に

「スマートグリッド協議会」を立ち上げ、その中にテーマ別の分科会を設置する方向で

検討していきたい。 ・研究会に参加していらっしゃるメンバーが、各分科会の中核メンバーにも参画していた

だければと考えている。分科会長については今、事務局としてはテーマ別に、田路先生、

門田様、内海先生にお願いをして、それ以外の委員の皆様が 1~3 個の分科会にそれぞれ

所属していただければと考えている。 ・次の 2 月の研究会までに 1 度、分科会ごとにたたき台となる活動計画の案をいただけれ

ば幸いである。それを受けて、2 月に第 3 回研究会でたたき案を議論し、それを 2 月末の

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情報連絡会議で地場企業の皆様に発表をして、最終的な協議会の構成メンバーを募ると

いう流れになる。

分科会のテーマと分科会長の案 1)スマートグリッド化に対応した家電・蓄電池・電池自動車に関する分科会(モノ)

分科会長: 田路 和幸氏 (東北大学環境科学研究科 教授) スマートグリッドに対応した「情報家電」などの最新の技術開発動向を、大手家電メー

カーなどを講師として招いてレビューをすることで、新たに技術開発の余地がある分野に

ついて検討を行う。また、このような勉強会をきっかけに、最終的には一部のメンバーに

よる大手家電メーカーや東北の企業・大学との共同研究につなげる。 2)エネルギー管理システムに関する分科会(システム)

分科会長: 門田 浩氏 (組み込みシステム技術者協会 専務理事) スマートグリッド時代における住宅やビルでのエネルギー管理のソフトウェアのあり方

について、パワーコンディショナーやスマートメーターの技術開発の動向を勉強会などを

通じて把握しながら、東北の企業や研究者が現在開発しているエネルギー管理システムを

持ち寄り、新たに技術開発の余地がある分野について検討を行う。 3)スマートグリッド時代に対応した住宅・ビルに関する分科会(インフラ)

分科会長: 内海 康雄氏 (仙台高等専門学校 副校長(研究・産学連携担当)) スマートグリッド時代における住宅やビルのハードウェアのあり方について、東北の地

域特性に合わせた空調システムとの連携も考慮しながら、中央で検討されているスマート

ハウスや ZEB(ネットゼロエネルギービル)での議論も踏まえながら検討を行う。 《分科会のテーマ設定について》

○「クラウド」と「アプリ」の取り扱い ・スマートグリッドは、データの集まりから「見える化」になる。本当は、スマートグリ

ッドに関連する IT としては「クラウド」と「アプリ」は一体であるべきだが、これらが

全て「エネルギー管理システム」の中に入ってしまうと、範囲が広すぎてしまう。 ⇒「クラウド」や「アプリ」は、最初はエネルギー管理の中で考えていくということで

良いと思う。 ○保守・メンテナンス・サービスの分科会の必要性 ・将来的には保守やメンテナンス、サービスが必ず必要になる。しかも、こういう分野は

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投資がいらなくて参入できるものなので、そういったところを将来的には考えていく必

要があるだろう。 ・アンケートをもう一度見直すと、サービス・メンテナンスも結構な割合で回答がある。

したがって、3 つの分科会の中でもこのようなサービス・メンテナンスの話題は取り扱っ

ていく必要はあると思う。 ○人材育成の分科会の必要性 ・分類は適切だが、システムインテグレーターのような解析を行えるような人を育成する

ものも入れていく必要がある。あわせてサービスの育成もやっていくべきだ。 ・人材育成は非常に重要である。スマートグリッドと言っても、人口や建物の密度も地域

によって大きくことなり、それに伴って求められるスマートグリッド像は異なるはずで

ある。そういった地域の多様性に対応していくための人材育成が必要と考える。 ○テーマ設定 ・最初はこのくらいのテーマの分け方で、議論も多少発散をしてもいいが、徐々に本命に

なるベクトルの絞り込みが必要だと考える。 ・今回ご提示いただいた分科会テーマは、一番は「モノ」、二番は「システム」、三番は「イ

ンフラ」だと認識している。技術ロードマップもそういう風に捉えられるといいと思う。 ・最初はぼやけていた方が、参画する方は入りやすいので、始まってから徐々にブラッシ

ュアップしていけばいい。少しずつ分科会の枠組みを変えていく必要もあると思う。 ・範囲が広いので、進め方を検討する上で既存のものでうまくいっている事例を勉強した

方がいいのではないか。その次にそれを全部乗っけるようなプラットフォームの議論が

出てくるはずである。そのプラットフォームと要素技術の関係を明確にしていくと良い

のではないか。 6-1-3 第3回研究会

第3回研究会は、2011 年 2 月 8 日に開催され、合計 11 名の委員(うち 1 名は代理出席)

が参加するとともに、国の行政機関・東北各県の担当者などを含めた約 40 名が参加する中

で開催された。 主な議題としては、技術ロードマップ・報告書の内容の確認、分科会の活動計画に関す

る意見交換、来年度の活動予定の確認が挙げられる。 ■開催概要 日 時:平成 23 年 2 月 8 日(火)14:30~16:30

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場 所:仙台第 2 合同庁舎 8 階 関東・東北産業保安監督部会議室 ■議事次第 1.開会 2.委託者挨拶 3.討議

1)技術ロードマップ・報告書について ①資料説明 ②意見交換

2)分科会とその活動計画について ①資料説明 ②意見交換

3)来年度の活動について ①グリーンデバイス関連産業集積促進事業等との連携について ②本研究会の来年度の予算について 4)分科会ごとの活動計画のブラッシュアップ

4.事務連絡 5.閉会 ■参加した委員 ・岩瀬 次郎 会津大学 理事 ・内海 康雄 仙台高等専門学校 副校長(研究・産学連携担当)・地域イノベーション

センター長 教授 ・佐藤 淳 鶴岡工業高等専門学校 電気工学科 准教授 ・田路 和幸 東北大学大学院環境科学研究科 教授 ・樋口 祐治 東北電力株式会社 研究開発センター 研究企画課長 ・平山 雅之 IPA(情報処理推進機構)ソフトウェアエンジニアリングセンター研究員 ・広川 正彦 TDK 株式会社 テクノロジーグループ デバイス開発センター パワー

デバイス開発部 主査 ・村上 英明 オムロン株式会社 スマートコミュニティ推進部 スマートコミュニテ

ィプランナー ・保田 和成 有限会社エボテック 代表取締役 ・門田 浩 社団法人組み込みシステム技術者協会 専務理事

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(代理出席) ・荻田 能弘 株式会社東芝 スマートコミュニティ事業開発部 スマートコミュニテ

ィ事業開発第一担当 主務 ■議事概要 《技術ロードマップ・報告書について》

・スマートグリッドの各要素技術の標準化の動向に関して、もう少し詳細に調べる必要が

あるのではないか。いくら東北の地場企業や研究者向けの内容といっても、標準化の動

向は、それを推し進めるプレーヤーの思惑が絡んでいるものであり、サーベイすること

は大いに有意義と考える。 →そのテーマは今回の調査で実施するよりも、来年度以降において、もう少し分科会の具

体的な方向性が定まってから、必要な部分に対して重点的に調査を実施すべきではない

か。 ・東北地域がどのような地域特性を持つ地域であり、そこで開発した社会システムが、世

界のどの地域に展開可能であるのか、を示す資料・データを追加してもらえると良いの

ではないか。 《分科会の活動計画について》

・個々にどのような技術を持っている人が、どのような関心で各分科会に参加しているの

かを見ながら、活動を展開していく必要があると思う。 ・また、分科会の設定自体は中小企業の人たちに分かりやすくなっていると思うが、最終

的には各分科会どうしの協力が不可欠である。 ・ターゲットとする事業領域は、一般消費者向けの家電よりも事業所(ビル・工場)など

の方が、実用化した時に価格が下がりにくいのではないか。 ・「これを買いたい」と思わせるものを作らないと価格勝負になってしまう。「オンリーワ

ン」を東北で見いだしていく必要があるだろう。それでも最後は社会システムを変えら

れるようなものを作りたい。 《来年度の活動計画について》

・来年度は、グリーンデバイス・MEMSと連携をしながら、スマートグリッドの研究会

を展開していく。できれば川上・川下ネットワーク会議もやっていきたい。 ・来年度は 5~6 月ごろから活動を展開していく予定である。

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6-2 情報連絡会議

6-2-1 第1回情報連絡会議

第1回情報連絡会議は、2010 年 11 月 26 日に開催され、スマートグリッドに関心の高い

企業・研究者・行政機関の関係者など、約 200 名が参加する中で開催された。 初めに、経済産業省情報経済課より経済産業省のスマートコミュニティ政策に関する全

体像について解説があった後、スマートグリッドの技術開発に取り組んでいる東芝・オム

ロン各社の取り組みの説明があった。その上で、2010 年 9 月に実施したアンケート調査結

果を報告し、東北地域のスマートグリッドに関連する要素技術開発の動向について情報提

供を行った。 後半は、前半の基調講演・取組事例の紹介などを踏まえ、東北地域においてスマートグ

リッドを産業化していく上での課題とポテンシャル、取り組みの方向性についてパネルデ

ィスカッションを行った。 ■開催概要 日 時:平成 22 年 11 月 26 日(金)13:30~16:30 場 所:仙台市青年文化センター シアターホール ■議事次第 1.開会 2.主催者挨拶 東北経済産業局 資源エネルギー環境部長 山本 昭 3.基調講演 「スマートグリッドの技術開発の動向とビジネスチャンス」

~スマートコミュニティ政策について~ 経済産業省 商務情報政策局 情報経済課 総括係長 岡本 元

4.取組事例発表 1)「スマートグリッド・スマートコミュニティの全体像と今後期待される要素技術

とソリューション」 株式会社東芝スマートコミュニティ事業開発部課長代理 佐伯 尚志

2)「スマートグリッド時代における新たな社会システムの可能性」 オムロン株式会社スマート・コミュニティ・プランナー 村上 英明 5.アンケート結果発表

「東北の企業・研究機関による技術開発の動向」 株式会社野村総合研究所社会産業コンサルティング部 横山 大輔

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6.パネルディスカッション

「東北地域産業のスマートグリッド市場への参入の可能性を探る」 コーディネーター :田路 和幸(東北大学大学院環境科学研究科長) パネリスト :佐伯 尚志(株式会社東芝)

村上 英明(オムロン株式会社) 門田 浩(社団法人組込みシステム技術協会専務理事)

7.閉会 交流会 : 1 階カフェレストラン「けやきの杜」 ■議事概要(パネルディスカッション) ≪スマートグリッドの要素技術普及の難しさと可能性≫ ・スマートグリッドの発展は、携帯電話の成り立ちとの類似性が感じられる。新興国では

固定電話が普及していなかったため、いきなり携帯電話が導入され、それが普及した。

スマートグリッドも新興国ではゼロから作り上げることが可能ではないかと考えている。 ・また、ビジネスの広がりという点では、インターネットに似ている。例えば、一定以上

のインフラ整備が必要である点や地域から家庭に広がるものであることなどである。 ・技術的には「○MES」についての議論がなされているが、実態としては M2M である。

インフラだけを見れば交通インフラや給電スタンドが挙げられるが、要は需要家と供給

側の通信が実態である。このままでは「皆でやるぞ」という流れにはならないだろう。

マスキー法が車の革新を起こして EV につながったように、「スマート××」を一気に広

げる何かが必要である。 ・ビジネスチャンスは、インフラから家電まで様々である。逆に、東北の企業はどこに強

みを持っているのかについて、今後の勉強会で探っていきたい。お客さんもプレイヤー

も何ができるかを知らないことが多いため、実証実験が必要となる。 ・資本力のない企業には対応が難しい。それに対応する手段の 1 つはコンソーシアムの形

成である。また、支援制度があれば、大企業と一緒にビジネスを作っていくことができ

るだろう。 ・普及という観点においては、必ずしもハイスペックである必要はないという意見がある。

一方で、本日の議論にもあったようにハイスペックが求められている側面もある。ゼロ

から新築するのではなく、既存のものをリフォームすることで対応できないだろうか。 ・既築のものを建て替えて全てが新築になるまでの間には、それを補完する技術が必要で

ある。ポイントはライフスタイルを変えることである。 ・機器が少しずつ入れ替わる必要がある。家側を最新にしようとすると、配線の問題もあ

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るだけでなく、個人の投資意欲とそぐわないという問題もある。配線の不要な無線技術

を用いると改造しなくてはならない部分が減るだろう。ビルについては、通常、企業が

所有しているので、まとまって改造することはある。 ≪自然エネルギー活用のために必要な要素技術≫ ・スマートグリッドでは、小さい発電所が各家庭に造られるイメージになる。自然エネル

ギーを活用するために必要な技術はどのようなものか。 ・一般的には逆潮流の問題が指摘されている。群馬県太田市で太陽光パネルの実証を行っ

た際、逆潮流が発生した。潮流制御には、負荷だけでなく余剰電力の使い方も連動させ

る必要がある。 ・蓄電池の存在は大きい。夜間電力を輸出するといったことも検討するべきである。IT で

コントロールするのであれば、HEMS+クラウド、CEMS+クラウドが一番良い。ただ

し、誰がクラウドを担うのかが課題となる。 ・自然エネルギーの導入は難しい。技術的な問題がある。要素技術はかなり確立できてき

たが、それらを連携させることに難しさがある。 ・日本は個別製品では省エネが進んでいる。逆潮流の問題は需要を増やしてどうするかを

検討すべきである。余れば貯蔵すれば良い。系統に影響する場合は、電圧抑制、負荷予

測をして電力と家庭、ビルをつなげればよい。 ・個々の機器をつないだものを最適化するというところまでいかないと、自然エネルギー

の有効活用は難しい。制度面に関しては、太陽光パネルの導入に補助金を付けていたが、

欧州では既に導入ではなく、太陽光による発電電力の消費に対して補助をつけるように

なった。制度に関してもどのようにバランスさせるかが課題である。 ≪スマートグリッドシステムの適性規模≫ (会場からの意見) ・全体像の話は分かりやすかった。ただし、スマートグリッドに馴染みのない方は、住宅

の話から、建物、コミュニティー、さらには世界というように、話が大きくなっていく

中で、自分の身を置く範囲がわからなくなっている人もいるだろう。ニーズが見えにく

い、全体像がつかみにくいということは講演者の話からも理解できるが、それでも適正

な規模というものはあるだろう。メンテナンスのために人を置くとしても、わざわざ東

京から来させることはない。ちょっとした対応が可能な距離というものがある。どのよ

うな大きさが相応しいのかを知りたい。 (パネラーの回答) ・健康、エネルギー、交通インフラ機器も踏まえたインセンティブの設計が必要である。

社会福祉や交通施策などを検討する上での 1 つの単位は行政区画であり、行政区画はス

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マートグリッドの規模に近いと考えている。また逆に、それを超えて提供されるサービ

スは考えづらい。当面は行政区画の規模で起こってくるのではないかと思っている。 ・情報の融合で新しい付加価値が生まれるという話をしたが、エネルギーと健康に関する

データを合わせると高齢者の見守りが可能になる。交通インフラのデータと組み合わせ

ると交通施策に使える。統合すると付加価値が生まれてきやすいサイズという意味での

範囲だということを付け加えたい。 ・コンセプトを考えるのか、ビジネスを考えるのかで規模は異なる。海外や国内 4 地域に

ついては、都市づくりという観点での範囲になっている。ここには電気、ガス、水道、

通信等が入ってくる。ビジネスの場合は、ユーザーとサプライヤという規模が適正範囲

となる。電気や水道は遠くまで届けることができるためその範囲は広範になるが、熱は

近くまでしか届けられないため、小さいコミュニティが対象範囲となる。 ≪スマートグリッドを構成する要素技術への質問≫ (会場からの質問) ・パワコン、DC ハウスとはいかなるものかを聞きたい。デンソーが HEMS に力を入れて

きているという話も聞いているが、それに関して意見があったら教えてほしい。 (パネラーの回答) ・パワコンの議論が多いのは、直流の利用が増えてきたことが背景にある。家庭では PC を

はじめ、インバータで交直変換した直流を使っている。家電の半分くらいは直流である。

これまでに数多くの技術検証はなされてきたが、事業性については模索中である。 ・なぜ DC かと言えば、太陽光発電をはじめとする発電機を使わない発電が全て直流だか

らである。既存の電力システムは交流であり、その中で機器を使うためにインバータで

直交変換している。変換ロスが少ないものが良いインバータだが、PC のように半導体を

含む機器は、デジタル機器は全て直流を使う。自然エネルギーを使うという意味では、

変換ロスがなくなるという利点はある。ただし、電気料金が安いため、多少の変換ロス

では経済的に負担が少ない。しかし、それこそが省エネ化であり、それを見える化する

ために DC ハウスを作った。高圧直流を交流にして伝送しているのは、あくまでもアー

ク放電を防ぐためであり、低電圧における直流の有効性は既に検証されている。したが

って、高圧直流を扱うことこそがこれからの技術である。東北大では直流配電盤、直流

スイッチを研究しており、一度見てほしい。 ・HEMS を導入する背景には EV の普及がある。現在の EV は、走行距離が短く、一晩充

電しなくてはならないというデメリットがあるが、住宅と接続して電力調整できるとい

う観点ではメリットがある。モーターコントロールにおける電力供給技術は、コンバー

タの高度化にも通じるため、応用が可能だと考えられているのだろう。

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≪スマートグリッドの技術開発に対する中小企業参入の可能性≫ (会場からの質問) ・4 地域の実証実験に参画している企業は全て大手である。東北地域で行うにあたり、中小

企業は自分たちの席があるのか、参入できるのかという不安がある。大手企業が中小企

業に期待するところは何か。 (パネラーの回答) ・研究会の目的でもあるが、まずはコミュニケーションを取りたいと考えている。大手企

業にくっ付いて行くのではなく、東北地域の企業が協力することでイノベーションが出

ればいいと考えている。東北大学がリーダーシップを取らないといけないが、産学が一

緒になり、それを行政が支援するという形を作っていけると良い。「スマート××」を生

み出すには、全体絵を描きながら 2030 年、2050 年を迎えないといけない。今はスター

ト地点にいるが、今後は新しいライフスタイルを作っていかないと、本当の低炭素社会

は実現しない。 ・スマートグリッド、スマートコミュニティの概念の中で、インフラについては電力情報

の NW 化が促進されることが一番大きい影響である。例えば、電力の使い方を見ている

と機械がいつ壊れるかがわかる。NW 上で得ることができるようになる情報と、普段の

事業の情報とを組み合わせることで、人の役に立つことが実現でき、新たしいライフス

タイルに訴求できる。地域だからこそ見える地域の情報というものもある。独自のビジ

ネスモデルが構築できれば、それを環境や気象といった条件が近い他都市に展開できる

という夢もある。電力情報軸で考えるのもありではないか。 ・東北大学では 6 月に HEMS を導入したが、勤務状況が分かるくらい個人で波があること

がわかった。情報を悪用しようとすると大変危険であることも感じている。良い面をう

まく使いこなしていくべきである。 ・最終的にはライフスタイルの議論に行きつく。個人個人によってベストなスマートグリ

ッド、スマートコミュニティのあり方があり、そこに上手く合わせることがビジネスチ

ャンスにつながりそうである。 ≪スマートグリッド協議会と分科会の立ち上げについて≫ ・今後の東北地域におけるスマートグリッド関連産業の振興を推進するために、東北経済

産業局では来年度に「スマートグリッド協議会」を立ち上げ、その中にテーマ別の分科

会を設置する方向で検討していく予定である。 ・分科会は、発足当初は東北大学の田路先生を分科会長とした「スマートグリッド化に対

応した家電・蓄電池・電池自動車に関する分科会(モノ)」、組み込みシステム技術者協

会の門田氏を分科会長とした「エネルギー管理システムに関する分科会(システム)」、

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仙台高等専門学校の内海先生を分科会長とした「スマートグリッド時代に対応した住

宅・ビルに関する分科会」の 3 つで構成される。これから各分科会の来年度の活動計画

を策定し、来年 2 月に開催される情報連絡会議の場で詳細を発表させていただきたい。 ・来年度は、分科会を通じたテーマごとの勉強会と並行しながら、並行してスマートグリ

ッドの要素技術開発やスマートコミュニティに関連する地域実証の補助事業のためのプ

ロジェクトメイキングも並行して進めていきたい。また来年度から再来年度にかけて、

全国レベルの大手企業と東北の中小企業の「川上・川下マッチング」などについても企

画をしていく予定である。

分科会のテーマと分科会長の案 1)スマートグリッド化に対応した家電・蓄電池・電池自動車に関する分科会(モノ)

分科会長: 田路 和幸氏 (東北大学環境科学研究科 教授) スマートグリッドに対応した「情報家電」などの最新の技術開発動向を、大手家電メー

カーなどを講師として招いてレビューをすることで、新たに技術開発の余地がある分野に

ついて検討を行う。また、このような勉強会をきっかけに、最終的には一部のメンバーに

よる大手家電メーカーや東北の企業・大学との共同研究につなげる。 2)エネルギー管理システムに関する分科会(システム)

分科会長: 門田 浩氏 (組み込みシステム技術者協会 専務理事) スマートグリッド時代における住宅やビルでのエネルギー管理のソフトウェアのあり方

について、パワーコンディショナーやスマートメーターの技術開発の動向を勉強会などを

通じて把握しながら、東北の企業や研究者が現在開発しているエネルギー管理システムを

持ち寄り、新たに技術開発の余地がある分野について検討を行う。 3)スマートグリッド時代に対応した住宅・ビルに関する分科会(インフラ)

分科会長: 内海 康雄氏 (仙台高等専門学校 副校長(研究・産学連携担当)) スマートグリッド時代における住宅やビルのハードウェアのあり方について、東北の地

域特性に合わせた空調システムとの連携も考慮しながら、中央で検討されているスマート

ハウスや ZEB(ネットゼロエネルギービル)での議論も踏まえながら検討を行う。

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6-2-2 第2回情報連絡会議

第2回情報連絡会議は、2011 年 2 月 24 日に開催され、スマートグリッドに関心の高い

企業・研究者・行政機関の関係者など、約 130 名が参加する中で開催された。 初めに、京都大学情報学研究科の松山隆司教授より京都府けいはんな地区の次世代エネ

ルギー・社会システム実証事業地域の一事業でもある「エネルギー情報化ワーキンググル

ープ」での取り組みについてご紹介いただいた。次に、東北大学環境科学研究科の岩田和

之様より「コンパクトシティとスマートグリッド」というテーマで、スマートグリッドの

要素技術の普及と都市形態との関係について取り組んでいる研究をご紹介いただいた。 続いて、事務局よりスマートグリッド研究会での取り組み内容を紹介させていただいた

後、各分科会長より分科会の現時点での活動計画についてご提示いただいた後、分科会場

ごとに分かれて、分科会に関心のある企業・研究機関どうしの意見交換会を実施した。 ■開催概要 日 時:平成 23 年 2 月 24 日(木)13:30~17:30 場 所:仙台市青年文化センター 交流ホール ■議事次第 1.開会 2.主催者挨拶 東北経済産業局長 豊國 浩治 3.基調講演 「エネルギーの情報化による持続可能なスマートコミュニティの実現」

京都大学大学院 情報学研究科教授 松山 隆司 氏 4.特別講演

「コンパクトシティとスマートグリッド」 東北大学大学院環境科学研究科 岩田 和之 氏 5.調査結果発表及び情報連絡会議分科会の概要説明

株式会社野村総合研究所 社会産業コンサルティング部 横山 大輔 東北大学大学院環境科学研究科長 田路 和幸 氏 組込みシステム技術者協会 専務理事 門田 浩 氏 仙台高等専門学校副校長 内海 康雄 氏

休憩 15 分 (各分科会の会場へ移動)

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6.企業・研究機関との意見交換 ① スマートグリッド化に対応した家電・蓄電池・電池自動車に関する分科会 ・座長:田路 和幸 氏 ② エネルギー管理システムに関する分科会 ・座長:門田 浩 氏 ③ スマートグリッド時代に対応した住宅・ビルに関する分科会 ・座長:内海 康雄 氏

7.閉会 交流会 : 1 階カフェレストラン「けやきの杜」 (17:00~18:30)

■議事概要(各分科会における意見交換) ① スマートグリッド化に対応した家電・蓄電池・電池自動車に関する分科会 ≪分科会の活動方針≫ ・分科会において、具体的なプロジェクト化を目指していきたい。報告書の作成だけは無

意味。これまで、スマートコミュニティに関して国の事業などで多くの地域で取り組ん

でいる。東北らしいプロジェクトを立ち上げていきたい。メーカーのみならず、銀行や

商社の方とともに、検討を進めていきたい。 ・元東京大学教授の安井先生が「エコ・プレミア」という話をしているが、新しいライフ

スタイルと結び付けていくことが必要。蓄電池も単にエネルギーを蓄積するだけでは駄

目で、新しい付加価値を生み出していくことが必要。 ・東北大学では、20KW の蓄電池と、DC24V・48V の配線を保有しているので、これを活

用することで検討するのも良いと考えている。電池は、車や家だけでなく、もっといろ

いろな展開があると考えている。2 年後には、東北から新しい何かが生まれればよいと思

っている。 ≪今後の分科会の進め方≫ ・次回は、東北大学エコハウスで「東北エコハウス」の紹介と大潟村で TDK が取り組んで

いる「直流グリッドシステム」の紹介を考えている。 ・「スマートグリッド」というワードではなく、実業の部分から、徐々に検討していくのが

良いと思っている。それの積み上げによって、スマートグリッドにもつながっていき、

東北地域の産業のボトムアップに繋がっていけばよいと考えている。 ・このように、参加者が好きに発言し、意見交換をしてもらうことで、ビジネスが生まれ

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ると思う。今後は、このような会合をしてお互いに知り合って、プロジェクト化させて

いきたいと思っている。5 月頃に次の会合を開催する予定なので、ぜひ参加をお願いした

い。 ② エネルギー管理システムに関する分科会 ≪参加メンバーのタイプ≫ ・分科会のメンバーは大きく、「明確な興味を持って分科会に参加している方」と「情報収

集を目的に参加している方」の2種類がいる。我々の分科会では、情報収集目的でも構

わないと考えている。 ≪今後、技術開発の対象とすべき領域≫ ・対象領域としては家電製品もいいが BEMS あたりが狙い目ではないかと、京都大学の松

山先生と話していた。いろいろなデバイスメーカー・半導体メーカーもこの分野に取り

組んでいる。できれば川下企業を巻き込んで取り組んでいきたいと考えている。 →家電がないのは少し淋しい。個人的な認識としては、家電だろうが工場だろうが基本的

な構造はあまり変わらないと考える。問題はどういうところに、どのような要素技術が

使われるかである。例えば、クラウドにつながらる仕組みを定式化するし、それを家や

工場に適用する際の違いをどのように吸収するか、それぞれのオブジェクトにどう対応

するか、というまとめがあるとうれしい。 →おっしゃる通り、上位概念の整理ではなく、もう少し現場目線に近いまとめがあると良

いかもしれない。 ・スマートグリッドの目標は「電力利用の最適化を図ること」と逆に「電力供給の最適化

を図ること」の 2 点に尽きると考えている。利用の最適化については、「見える化」をし

ようという主張が多いが、単に人間の特性に期待するだけでは難しいだろう。人間の特

性に期待せず、技術的に解決すべきであり、そのために自動的に制御することを考える

べきである。制御するにはセンサーが必要であるが、これは組み込み技術の世界である。

もう 1 つ省エネについては、掃除機を使うとどのくらいの電力を消費するかが分かるの

はいいが、「その効率がどのくらいいいか」「新しい製品に替えたらどのくらい得をする

か」も分かるようにし、買い替えの際に補助金が出るといった外からのインセンティブ

も必要である。 ≪今後の分科会の進め方≫ ・提案した活動内容について、来年度の前半はスマートグリッドの要素技術に関する勉強

会を開催し、その中で講師も交えて議論をしていくことで、さらにソリューションのイ

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メージを明確にしていきたい。そして、競争的資金が獲得できるくらいの粒度が見えて

きた段階で、提案をしていくという流れを作りたい。 ・分科会は、第 1 回~第 4 回まではスマートグリッドの要素技術を学んで交流してから、

次のステージに進む方が良さそうだと思う。実務に入ると必ず温度差が生じるため、ま

ずは情報収集だけで構わない。今日の結果は一度整理して共有する。 ・次回はおそらく 6 月頃に仙台で開催予定であるが、その際にお呼びする勉強会の講師に

ついても提案をほしい。優先順位としては、できれば東北地域の方が良く、次に手広く

スマートグリッドに取り組んでいる方ということになるだろう。 ③スマートグリッド時代に対応した住宅・ビルに関する分科会 ≪取組の方向性≫ ・住宅・ビルに関する分科会の方向性としては、以下の5点である。

①東北らしさを考えたい ②人口密度のさらなる低下など、日本の将来像を織り込んでいきたい ③要素技術をいかに組み合わせるのかを考えていきたい ④実証実験も可能であれば行いたい。ただし必ずしも実証ではなく、プラニングでも 良いでだろう

⑤活動計画に記載した3つのテーマで検討を進めることとしたい。 ・そのほか、「分科会参加申込書」に各社がやりたいと考えるテーマを記載して頂き、事務

局側で整理することで今後の活動の参考としていく。 ≪取組に対する各種意見≫ ・新築住宅ではなく、既存住宅などにアドオンできるシステムを開発したい。 ・PC 等を使うことなく、高齢者などにも容易に利用可能なシステムとしたい。また、その

ようなシステム構築のための提言を行いたい ・スマートグリッドの各要素技術を雪下ろし・排雪に利用できないか。 ・地域に住む人の要求・ニーズに沿った検討がよいのではないか ・開発目標が定義されていないのが現状である ・仙台駅東の区画整理事業用地での検討ができないだろうか

(面開発への適用は難しいという意見あり)

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参考資料

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スマートグリッドをはじめとした 低炭素社会の実現に向けた技術開発に関するアンケート

平成 22年 9月

東北経済産業局エネルギー課 (実施担当:㈱野村総合研究所)

東北経済産業局では、今後のスマートグリッド

◎本アンケートの目的 1

本アンケート調査は、低炭素社会に貢献する技術(特にスマートグリッドに関係する要

素技術)開発の方向性を検討していくために、同分野に関連する企業や大学等の研究者の

皆さまが、現在取り組んでいる技術開発の内容を把握することを目的に実施するものです。

皆様の忌憚のないご意見を賜りたく、ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。

分野における開発課題やその分野に対

する東北地域産業の同市場への参入促進に向けた取り組みを行っているところです。

本アンケートは、株式会社東京商工リサーチが提供するデータベースに掲載されている

東北地方の民間企業と、独立行政法人科学技術振興機構(JST)が提供するデータベー

スに掲載されている研究者の皆さまに送付させていただいております。

◎本アンケートの発送対象

本アンケート票にご記入頂いた内容は、統計的な処理を行うことのみに用い、個別の情

報を公表することはございません。また、ご回答いただいた内容については秘密を厳守し、

本調査の目的以外には一切使用いたしません。

◎ご回答結果の取扱い

ご回答いただいた後、本アンケート票と一緒に同封しました返送用封筒(切手不要)に

封入し、

◎ご回答およびご返送の期限

平成 22 年9月 17日(金)までにご投函をお願い申し上げます。

本アンケートは、東北経済産業局エネルギー課より委託を受けた下記の機関が、事務処

理を実施しております。本調査の内容および回答方法等についての疑問点、ご質問などが

ございましたら、下記にお問い合わせください。

◎本アンケートに関するお問い合わせ先

(株)野村総合研究所 社会産業コンサルティング部 横山、小松、原 〒100-0005 東京都千代田区丸の内 1-6-5 丸の内北口ビル

TEL:03-5533-2975 FAX: 03-5533-2885

E-mail: [email protected]

ご回答者のご連絡先 貴社名

所在地

部署・役職名 ご回答者名

電話番号 ( ) -

E-mail

1 系統側(電力会社側)と需要側(各家庭・事業者側)が相互に協調しながら、電力需給の安定を維持シ

ステムであるが、関連する分野が多いこともあり、まだ共通の定義はない。

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問1 貴社の概要についてお伺いします

※以下の設問は、企業の方のみお答えください。

問1-1 貴社の設立年について該当するものに○をつけてください(○は1つだけ

※現在の法人形態になった時期をお選びください。

)。

1.1970年以前 2.1970年代 3.1980年代

4.1990年代 5.2000年以降

問1-2 貴社の常時雇用する従業者数について該当するものに○をつけてください (○は

1つだけ

※「常時雇用する従業者」とは、常時雇用者(正社員、準社員、アルバイト等の呼称にかかわらず1

ヶ月を超える雇用契約者と平成 20 年 10 月及び 11 月中にそれぞれ 18 日以上働いた雇用者)を指

します。なお、貴社で主として給与を支払っている他社からの出向者も含みますが、人材派遣業者

からの派遣従業者は、派遣企業の従業者となりますので含まれません。

)。

1.10人未満 2.10~30人未満 3.30~100人未満

4.100~300人未満 5.300人以上

問1-3 貴社の業種について該当するものに○をつけ、主力製品の欄に具体的な製品・サー

ビス内容をご記入ください。(○は1つだけ

業種番号 主力製品

(年間売上高が最も多い製品・サービス内容)

最終製品 1 業務用機械メーカー

2 家電(民生用機械)メーカー

3 自動車(輸送用機械)メーカー

半製品・部品 4 電子部品・デバイスメーカー

5 素材・マテリアルメーカー

(4に該当しないもの)

システム 6 パッケージソフトウェア

7 システムインテグレーター

(組み込み除く)

8 組み込みソフトウェア

メンテナンス 9 電気設備のメンテナンス

その他 10 その他

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問 1—4 貴社の売上高に占める研究開発費用の割合として、該当する番号に1つ○をつけて

ください。(○は1つだけ

1.0% 2.0~1%

3.1~2% 4.2~3%

5.3~4% 6.4~5%

7.5~10% 8.10%以上

問2 貴殿の研究テーマの概要についてお伺いします

※以下の設問は、企業以外に所属する研究者の方のみお答えください。

問 2-1 貴殿の研究テーマ

その概要をご記入ください(該当する研究テーマが複数ある場合は全てご記入くだ

さい)。

について以下の選択肢の中から該当するものを選択し、備考欄に

研究テーマ 概要

パワーエレク

トロニクス

1 電力系統関連機器

2 電力システム

素材・マテリ

アル

3 電導素材(電線・金属など)

4 電子部品・デバイス

(半導体・ディスプレイなど)

電力機器 5 再生可能エネルギー機器

(太陽光・風力発電関連機器など)

6 燃料電池

7 蓄電池

8 電気自動車

社会システム 9 エネルギー工学

情報通信 10 通信ネットワーク

11 制御系ソフトウェア

その他 12 その他

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問3 低炭素社会に貢献する技術開発についてお伺いします

■低炭素社会を実現するための要素技術

低炭素社会を実現するための主要な要素技術としては、2008 年に経済産業省が発表した

「Cool Earth-エネルギー革新技術計画(Cool Earth21)」において、下記のように規定さ

れており、現在、国内ではさまざまな低炭素社会への貢献を目的とした技術開発が行われ

ています。

■低炭素社会対応の要素技術を組み合わせてできる「スマートグリッド」

しかし、中でも「電力網」と「通信網」を連携させ、系統側(電力会社側)と需要側(各

家庭・事業者側)が相互に協調しながら、電力需給の安定を維持しながら省エネや CO2 排

出の削減を図るための『スマートグリッド(次世代電力網)』が、今後の成長産業として注

目されています。『スマートグリッド(次世代電力網)』は、上記のように Cool Earth21 で

規定された要素技術によって構成されています。 なお、『スマートグリッド(次世代電力網)』が日本でも注目されるようになった背景に

は、太陽光発電と蓄電池の普及により需要側から系統側に流れ込む電力量がこれまでより

も増加し、電力需給の安定化を保つ新たなシステムが必要になったことがあげられます。

電力会社が管理 各家庭・事業所が管理

住宅 ビル

系統側 需要側

工場

HEMS BEMS FEMS通信網&電力網

監視制御装置(μEMS)

スマートグリッド(次世代電力網)に

関係する要素技術

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■「スマートグリッド」によって新たに生まれる事業機会

「電力網」と「通信網」が連携した【次世代電力網】が実現することで、例えば以下の

ような事業機会が新たに発生するものと考えられます。

スマートグリッド(次世代電力網)によって生まれる新たな事業機会(例)

産業 事業機会 例 製造業 スマートグリッドに対応した家

電・発電装置の開発 情報家電・太陽光パネル 蓄電池・プラグインハイブリッド車

ソフトウェア業 スマートグリッドに対応したエ

ネルギー管理システムの構築 エネルギー管理システム・ホームゲ

ートウェイサーバー サービス業 スマートグリッドを活用した新

たな電力のサービスの提供 会社から自宅の電源をコントロー

ルできるサービス メンテナンス業 スマートグリッドの保守・管理 建物・電力関連機器のメンテナンス

低炭素社会実現のためのスマートグリッド(次世代電力網)の需要側における要素技術

(出所)経済産業省「産業構造ビジョン 2010」

問 3-1 貴社/貴殿は上記のようなスマートグリッド(次世代電力網)について、ご存じで

したか?該当する番号に○印をお付けください(○は1つだけ

)。

1.スマートグリッド(次世代電力網)の概念も含めて理解している 2.名称を聞いたことがあるが、概念は理解していない 3.名称も聞いたことがない(今回初めて知った)

問 3-2 貴社/貴殿はスマートグリッド(次世代電力網)について、自社で関連する技術開

発や事業化に取り組みたいと考えますか?該当する番号に○印をお付けください

(○は1つだけ

)。

1.自前の資金を投じても事業化に取り組みたいと思う。 2.行政や企業から支援金をもらえるのであれば事業化に取り組みたいと思う

3.事業化に取り組むかどうかは分からないが関心はある。

4.特に関心はない。 ⇒問 3-7にお進みください

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問 3-3 貴社/貴殿にとって、スマートグリッド(次世代電力網)の関連技術の中で、関心

のある事業分野はどこですか?解答欄にページ下にある選択肢番号を記入の上、選

択した事業分野の中でも特に関心のある領域をご記入ください(3つまで

)。

■解答欄 選択肢番号 特に関心のある領域(自由記入) 問 3-4 貴社/貴殿が、スマートグリッド(次世代電力網)の関連技術の中で既に事業化に

向けて研究開発に取り組んでいる事業分野はどこですか?解答欄に番号を記入の上、

具体的な研究開発の内容・共同研究の相手をご記入ください(3つまで

)。

■解答欄 事業分野 (選択肢番号)

実際に取り組んでいる研究テーマ (自由記入)

共同研究の相手 (自由記入)

13 エネルギー管理システムのインターフェイス 大学名・研究室名

問 3-3・問 3-4の選択肢番号

【蓄電機器】 1.蓄電池(電力貯蔵装置) 2.燃料電池 3.高効率給湯器 4.電池自動車 【家電】 5.情報家電 6.空調設備(エアコン) 7.LED証明 【発電設備】 8.太陽光発電機器 9.風力発電機器 【計測機器】 10.スマートメーター

【制御機器】 11.パワーコンディショナー 【システム】 12.ホームゲートウェイサーバー 13.エネルギー管理システム 【サービス】 14.メンテナンスサービス 【その他】 15.その他 16.特に関心ある事業分野はない

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問 3-5 貴社/貴殿が上記のようなスマートグリッド(次世代電力網)の技術開発における

産学官連携について、以下の質問にお答えください。

1)貴社/貴殿は、スマートグリッド(次世代電力網)の技術開発に、国や地方自治体等

の競争的資金を活用していきたいとお考えですか?該当する番号に○印をお付けくだ

さい(○は1つだけ

)。

1.活用していきたい (→活用したい競争的資金名: )

2.活用するつもりはない

2)貴社/貴殿は、どのような研究機関/企業と共同研究を行いたいですか?また、その

際の具体的なテーマと共同研究のパートナーに期待する役割は何ですか?解答欄に共

同研究したい相手、研究テーマ・開発課題をご記入の上、パートナーに期待する役割

として選択肢番号をご記入ください(3つまで

■解答欄 共同研究をしたい相手 (企業・研究機関名を記入)

研究テーマ・開発課題 (内容を記入)

役割 (選択肢番号)

スマートメーターメーカー 蓄電池内蔵型スマートメーターの開発 2

1. 委託研究の実施(研究資金を提供し、研究を委託)

2. 共同研究の実施(双方の研究者が参画して研究開発活動を実施)

3. 研究者の派遣・受け入れ

4. 技術指導

5. 大学発ベンチャーへの支援・参画

6. その他 (具体的に: )

問 3-6 貴社/貴殿にとって、スマートグリッド(次世代電力網)の関連技術の研究開発や

事業化を推進していく上での課題は何ですか?該当する番号に○印をお付けください(○

は3つまで

)。

【ヒト(人材確保・人材育成 など)】 1.研究開発に必要な優秀な人材や共同研究パートナーを確保ができない

2.研究開発に必要な人材の育成方法が分からない

【モノ・情報(技術シーズの発掘・ニーズの把握 など)】 3.技術動向や特許等の技術に関する情報を入手しづらい(シーズ情報が不足)

4.顧客ニーズを把握しづらい(ニーズ情報が不足)

5.技術を活用した新製品の販路開拓が難しい

6.大学の研究に関する情報を入手しづらい

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7.行政の支援策に関する情報を入手しづらい

8.研究開発に必要な実証実験を行う場所がない

【カネ(研究開発資金の獲得)】

9.研究開発のための資金調達が難しい

【ネットワーク】

10.同業種企業とのネットワークが不足している

11.異業種企業とのネットワークが不足している

12.大学や研究機関とのネットワークが不足している

13.商社等、関連するサービス事業者とのネットワークが不足している

14.金融機関とのネットワークが不足している

15.行政や研究開発支援機関とのネットワークが不足している

【その他】

16.その他( )

17.特に課題はない

問 3-7 貴社/貴殿が今、スマートグリッド(次世代電力網)について知りたいことは何で

すか?該当する番号に○印をお付けください(○は2つまで

)。

1.スマートグリッドの要素技術の全体像

3.国内の主要な開発プレーヤー

5.海外の主要な開発プレーヤー

7.スマートグリッドの市場規模とその推移

2.国内の技術開発の進捗状況

4.海外の技術開発の進捗状況

6.スマートグリッド関連の国内の法規制

8.需要家のスマートグリッドに対する意識

9.その他 ( )

10.特に知りたいことはない

問 3-8 東北経済産業局では現在、研究会を立ち上げて東北におけるスマートグリッド(次

世代電力網)の事業機会を検討しています。またこの結果に基づいて来年度からス

マートグリッド(次世代電力網)に関心のある事業者を集めた協議会を結成し、テ

ーマ別に勉強会などを開催していく予定です。

1)貴社/貴殿は、スマートグリッド(次世代電力網)に関する協議会に参加してみたい

と思いますか?該当する番号に○印をお付けください(○は1つだけ

1.ぜひ参加してみたい

2.日程・時間が合えば参加してみたい

3.参加してみたいと思わない

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2)協議会では、以下のようなテーマ別の勉強会を実施していく予定です。貴社/貴殿は、

どのような勉強会に参加したいと思いますか?該当する番号に○印をお付けください

(○はいくつでも

1.電力系統に関する勉強会

2.スマートグリッドに接続された住宅/建物に関する勉強会(ハードウェア)

3.スマートグリッドに接続された住宅/建物に関する勉強会(ソフトウェア)

4.スマートグリッドに接続する家電・自動車・電池に関する勉強会

5.情報家電の規格の統合に関する勉強会

6.電力網・通信網の情報セキュリティの確保に関する勉強会

7.機器等のメンテナンスサービスの開発に関する勉強会

8.エネルギーデータなどを活用したサービス開発に関する勉強会

9.蓄電池・燃料のリサイクルに関する勉強会

10.その他 ※具体的なテーマアイディアをお書きください。

( )

問 3-9 貴社/貴殿では、今後、スマートグリッド(次世代電力網)の研究開発を支援する

施策として、どのような取り組みを充実させるべきだとお考えですか。該当する

番号に○をつけるとともに、どのような取り組みが必要なのかをご記入ください

(○はいくつでも

)。

選択肢 (○はいくつでも)

具体的に提供してほしい取り組み (自由にご記入ください)

1.産学官ネットワークの形成支援

(スマートグリッドに関する産学

連携交流会、勉強会など)

2.研究開発成果に対する事業化支援

(ビジネスマッチング、コーディ

ネーターの派遣 など)

3.研究開発に対する資金援助

(運転資金の融資・研究開発に対

する補助 など)

4.人材育成に関する支援

(研究開発人材育成のための専門

研修 など)

5.その他

6.公的支援には全般的に関心がない

アンケートは以上です。ご協力ありがとうございました。