木星大気大規模渦の数値モデリング 気象学会2008秋(補足資料なし)
TRANSCRIPT
木星大気大規模渦の数値モデリング
*加藤 亮平(九大院・理) 杉山 耕一朗(国立天文
台) 中島 健介(九大院・理)
発表の流れ 研究の背景 数値実験・結果 今後の課題
近年の大規模渦の変化 大赤斑の変化
(Simon-Miller et al.,2002) 大きさ:減少 風速:増加
中赤斑の出現 (Simon-Miller et al.,2006)
大規模渦を研究する新たな手がかり
大赤斑中赤斑
小赤斑(2008年 )
NASA,ESA,M.Wong and I. de Paterhttp://hubblesite.org/newscenter/archive/releases/2008/23/
赤化(2006年 )
http://science.nasa.gov/headlines/y2006/02mar_redjr.htm
1997年
2000年
大規模渦に関する先行研究: Williams(1996) 南北に交互に変わるジェットを初期に与え、それが不安定を
起こすことによって大規模な渦が生じ、長時間安定に持続した。
問題点 渦の強さ(風速、温度偏差)は次第に減少していった
原因? ジェットの風速や温度構造などの東西平均場が初期状態から変化して
いた。
ジェットや温度構造を維持する強制を加えると、ジェットから生まれる渦の振舞いがどうなるか調べる。
本研究の目的
数値実験
熱強制
運動量強制
モデルの基礎方程式系(ブジネスク流体の球面 3 次元、静水圧近似)運動方程式
連続の式(非圧縮)
温度の式
状態方程式
移流項
*対流調節
計算領域と分解能
上部で細かく 下部で荒く
180°
180°
EQ
40°S
ジェット大赤斑
水平方向
-10000km
-500km
0km
200
温度
205 (K)
中立成層
安定成層
安定度
鉛直方向
9 点
11 点
初期条件(南北鉛直断面)
latitude
-600
-400
-200
-800(km)
0
EQ40°Slatitude
-600
-400
-200
-800(km)
0
EQ40°S
東西風速 温度偏差
結果ではこの断面をお見せする南北構造:交互に変わる東西流鉛直構造:成層と同じ
ジェットと温度風バランスN=100d=100km
(基本場の温度からのずれ)
Williams(1996) と同じ
実験設定
運動量強制のみ
熱強制のみ
両方の強制
強制なし
( 日 ) 運動量強制の緩和時間
熱強制の緩和時間
結果
強制がない場合の時間発展の様子温度偏差
赤道
40°S
0 日目 618 日目 678 日目
1338 日目990 日目888 日目
1494 日目 3960 日目 5051 日目
緩和時間が 1000 日の場合温度偏差の水平分布( z= -200km, 5300 日)
温度偏差を保ったまま持続
両方の強制
熱強制
運動量強制赤道
40°S
熱強制のみ( τ=30 日)温度偏差の水平分布の時間変化
( z= -200km, 4500 日から 5500 日まで)
渦ができなくなる
温度偏差の水平分布の時間変化( z= -200km, 4500 日から 5500 日まで)
渦ができすぎる
両方の強制( τ=30 日)
大規模渦は形成・維持されるか?
△ :多数出来るが寿命は短い
( 日 ) 運動量強制の緩和時間
熱強制の緩和時間
△
△
○◎ ◎◎◎×
△△ ×
×
△
× :形成されなくなる
◎ :形成され、長期間( 5000 日以上)持続
○ :形成されるが次第に減衰
大規模渦の振る舞い(形成・維持)は強制の種類・緩和時間に強く依存する
渦の振る舞いの違いは東西平均場の違いに起因する?
東西風速
両方の強制( τ=30 日)
熱強制( τ=30 日)
△
×
0km
-800EQ
40°S
初期
維持 維持
温度偏差
5000 日後
多数出来るが寿命は短い
形成されなくなる変化 維持
渦の振る舞い
今後の課題 平均場の変化は何によって引き起こされたか?
渦による運動量・熱輸送などを調べる 異なる初期場を仮定した場合どうなるか?
ジェットの強さや鉛直構造を変えて実験してみる 線形安定性解析
モデルの改良 ブシネスク近似をやめる(「海洋モデル」から「大気モデル」
へ) 理想気体の状態方程式を採用 鉛直座標として p 座標を採用
計算結果と実際の木星大気との対応付けを可能にする