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June 20152015 年 6月発行号

Special feature on auction highlightsエスト・ウェストニュース

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吉原治良「無題」　50 × 60.8 cm

奈良美智「水をあげようよ Give You Water」

236 万香港ドル（約 3,776 万円）

草間彌生「Infinity-Nets」 212 万 4 千香港ドル（約 3,398 万 4 千円）

斉白石（款）「秋中図」

177 万香港ドル（約 2,832 万円）

奈良美智「Mumps」

165 万 2 千香港ドル（約 2,643 万 2 千円）

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斉白石（款）「老当宜壮」　　 129万8千香港ドル（約 2,076 万 8 千円）

斉白石「春江図」　 1,840 万円

仇英「唐貴人遊楽図絵巻」　　 1,552 万 5 千円

藤田嗣治「岩窟の母子像」　 90 万香港ドル（約 1,440 万円）

斎藤義重「作品」　 88 万 5 千香港ドル（約 1,416 万円）

パテック・フィリップ　　　

呉昌碩「梅石図」　 70 万 8 千香港ドル（約 1,132 万 8 千円）

山口長男「黒」　　　　　 64 万 9 千香港ドル（約 1,038 万 4 千円）

カルティエ

白雪石「灕江一曲千峰秀」　 977 万 5 千円

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2015スプリングセール東京・香港

高額落札ランキング吉原治良「無題」

259 万 6 千香港ドル（約 4,153 万 6 千円）1

* 1 香港ドルを 16 円とした参考価格

※東京セール

※東京セール

※東京セール

534 ロット落札率 84%総額約 3 億 2,470 万円

365 ロット落札率 73％総額約 5 億 7,900万円

東京

香港

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13.43 ct ダイヤモンドホワイトゴールド腕時計

ダイヤモンドホワイトゴールドネックレス "C ドゥカルティエ"

76 万 7 千香港ドル（約 1,227 万 2 千円）

64 万 9 千香港ドル（約 1,038 万 4 千円）

5月 24日（日）ルネッサンス・ハーバービュー・ホテル香港

4 月18 日（土）エスト・ウェスト五反田セールルーム

June 20152015 年 6 月発行号


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Hong Kong Auction

具体美術の父、吉原治良の優品が落札最高額を記録

具体美術の父である吉原治良の 68 年アクリル作品「無題」は東京下見会時から多くの問い合わせを受けており、今回、日本やヨーロッパからはるばる作品を見に来られたコレクターもいたほど。オークションが開始されるや否や電話ビッドと会場の競りが重なり、またたく間に落札予想価格の中値を突破、会場のビッダーからは、これから更に伸びていくことを予想した緊張感がパドルを挙げる動きから伝わってくる。会場と海外からの電話ビッドの応戦が繰り広げられ、ざわつきと高揚感が混在し、会場のボルテージは最高潮に達した。会場のビッダーが噛みしめるようにパドルを挙げ、それに被せるようにオーバービッドしてくる電話の先のビッダー。両者からは、吉原の優品ならばいくらまで競ってでも欲しいと言わんばかりの迫力が伝わってくる。結果、落札予想価格が 130 万～ 200 万香港ドルのところ、上値を大幅に超える 259 万 6 千香港ドル（約 4,154 万円）で電話ビッダーが勝利を収めた。落札を告げるハンマーの音が会場に鳴り響いた瞬間、会場は落札者と日本を代表する作家への敬意を込めた拍手喝采に沸き、結果的に本作はスプリングセール香港における落札最高額を記録した。

続いて、斎藤義重の「作品」が登場。ドリルを使用した、最も「斎藤らしい」本作には、世界各国から問い合わせが相次ぎ、落札予想価格を大きく上回る88万5千香港ドル（約1,416万円）で落札された。十数年前から戦後美術を扱うギャラリストが下見会にて本作の前に立ち止まり、長い間作品を鑑賞していた姿は印象的である。その他、山口長男、平賀敬、菅井汲も予想を上回る価格で落札されていき、元永定正の「しろい

しかくからふたつ」の落札予想価格からの伸び率は 4 倍を数え、8 万 8,500 香港ドル（約 142 万円）で落札された。そしてサイズは小ぶりながらも躍動感溢れる白髪一雄の油彩作品「或る場面」には、会場と電話のビッドが重なり、50万 7,400 香港ドル（約 812 万円）で落札。また、言わずもがなの草間彌生人気はなおも健在であり全ての作品が順当に落札されていった。通常、競りの所要時間は 70 ロット程度で 1 時間と数えることが平均的であるが、今回、戦後美術の作家作品計 36 点で1 時間を超える白熱の競りが展開されたことは、この分野に注がれる注目度の高さを物語る。

白髪一雄「或る場面」　33.5 × 24.3 cm 落札予想価格 30万 - 50万香港ドル

落札価格 50万7,400 香港ドル　約812万円

元永定正「しろいしかくからふたつ」　24.2 × 33.3 cm 落札予想価格 2万 - 3万香港ドル

落札価格 8 万 8,500 香港ドル　約142 万円

斎藤義重「作品」　73 × 60 cm 落札予想価格 25万 - 35 万香港ドル

落札価格 88万5 千香港ドル　約1,416 万円

5月 24日（日）ルネッサンス・ハーバービュー・ホテル香港

今回のスプリングセール香港は、同日にジュエリー＆ウォッチと中国絵画のセールも開催されたため、幅広いお客様にご参加頂き、会場は常に華やぎをみせていた。地元香港の絵画コレクターの方々はもちろん、中国本土や台湾からの新規のお客様、欧米のギャラリスト、また、過去 2 年間のシンガポールセールで親睦を深めた愛好家の方々など、これまでエスト・ウェストが顧客拡大の為に力を入れてきた地域の方々に数多く来場していただいた。

欧米で活躍した中国抽象絵画作家の先駆者、Z. ウーキー及び C. テーチュンの作品から幕を開けた近代・現代美術のオークション。今回のハイライトとなった日本戦後美術を始め、日本が誇る国際的アーティスト、奈良美智の作品や前回に続き好結果を残したアメリカン・ポップアート、終盤には巨匠・藤田嗣治や 16 世紀～ 19 世紀の貴重なヨーロッパ絵画も登場するなど、片時も目の離せないラインナップとなった。全129 ロットの落札総額は 2,174 万 1,160 香港ドル（約 3 億 4,786万円）という好成績で上半期セールのフィナーレを迎える事ができた。

市場の確立から拡大へ－日本戦後美術の再評価

今回のセールで最も注目を集めたのは 36 点の日本戦後美術の作品群である。会場のスペースを大きく使い大胆に展示された作品の数々は迫力があり独特の空間を演出していた。近年、具体美術などの日本戦後美術の再評価が著しく、なかでも白髪一雄、田中敦子などのアーティストは「億超えの作家」として国際市場を牽引している。1990 年からこの分野を先駆的に紹介してきたエスト・ウェストとしては、今回のスプリングセール香港で、12 人の日本戦後美術作家を香港とい

う国際的な市場で特集する事ができ、一部の具体派の作家だけではなく、確かな実力を持った日本の戦後美術作家への評価の確立に一歩近づくことができたといえる。日本の抽象美術の先駆者であるオノサト・トシノブからオークションは始まった。下見会でも香港在住のコレクターから

「50 年代のオノサトの作品は初めて見た！」という感嘆の声もあがるほど、代表的な作風である幾何学的なパターンに移行する前の 1954 年制作の作品は市場に出てくることは極めて稀である。4 作品の内３作品が落札予想価格を大幅に超えて落札され、「五つの丸」は小品ながら予想価格下値の 3 倍近い 8 万 8,500 香港ドル（約 142 万円）で落札されるなど滑り出しは好調。

続く、山田正亮の作品が登場すると明らかに会場の雰囲気に変化が表れる。去年秋の香港セールで山田の 1963 年の大型の油彩作品が予想価格の 3 倍以上となる 50 万 7,400 香港ドル（当時のレートで約 760 万円）で落札されるなど、山田に対する市場評価の変化は記憶に新しい。その期待を踏まえた今季のセールでは、Work シリーズの制作に着手した 1956年から 76 年までの計 10 点が出品、その全てが予想価格の上値を大幅に超えて落札され、山田に対する市場の評価を確信することとなった。中でも、市場ではなかなか目にする事のない1960年のストライプの作品2点は世界各国のコレクターから電話ビッドが相次ぎ、結果的に「作品 C.24」は 16 万 5,200香港ドル（約 264 万円）、「作品 Cp.54」は 11 万 2,100 香港ドル（約 179 万円）と、それぞれ下値の 5.5 倍と 7.5 倍での落札価格を記録。今回、10 点の山田作品の落札額は、下値に対して約 4 倍となり、これまで 1980 年代から山田の実力を確信し、紹介をし続けたエスト・ウェストとしては大変誇らしく、また喜ばしい結果であった。

絵画全体で 82％の高落札率市場の声が結果を生みだす

山田正亮「作品 C.24」　33 × 24 cm 落札予想価格 3 万 - 5 万香港ドル

落札価格 16万5,200 香港ドル　約264万円

香港オークション

近代・現代美術

現地メディアも注目！代表・関敬による

5月12日（火）、香港のギャラリー「3812 Art Space」にて、

現地プレス向けアートトークを開催いたしました。

弊社代表・関敬による、日本戦後美術・具体の作家につ

いて、出品作品の展示とともに行われたレクチャーは、吉

原治良、白髪一雄、斎藤義重、山田正亮など国際的な

注目を集める作家について、香港の取材陣を惹きつける

貴重な機会となりました。

アートトーク i n 香港

* 日本円は 1 香港ドルを 16 円とした参考価格




セール終盤、16 世紀～ 19 世紀のヨーロッパ人画家による油彩画でオークションは華やかに終焉を迎えた。H. ロリミエの「花かごを持つ子どもの肖像」はその出来の良さと成り行き品という好条件もあり上値の 4 倍に近い 11 万８千香港ドル（約 189 万円）で落札された。また、巨匠レンブラントの弟子、F. ボルの「預言者」は古い作品来歴が来場者の目に留まり、結果、21 万 2,400香港ドル（約 340 万円）で落札された。

更なる飛躍へ－中華系アーティスト

今季セールのスターターとして優良な結果を残した中国抽象絵画作家、Z・ウーキーと C. テーチュンの作品群。特に C. テーチュンのユニークピースのセラミック作品 2 点の叙情的な表現は大変人気が高く、両作品とも予想価格を超えての落札。加えて注目を集めたのは近年人気の T. ハイウェン。墨の濃淡表現と共に描かれた中央の赤い玉模様がアクセントとなる「コンポジション」は予想価格上値を超えて 9 万 4,400 香港ドル（約 151 万円）で落札され、会場を大いに賑わせた。今後もエスト・ウェストでは欧米で活躍した中華系アーティストの動向に注目していきたい。


奈良美智「水をあげようよ Give You Water」　100 × 100 cm

C. テーチュン「Plat C2 - 2002」52 × 53.5 cm 落札予想価格 20 万 - 30 万香港ドル

落札価格 23 万 6 千香港ドル　約 378 万円

P. ジェンキンス「Phenomena Green Blue West」150 × 290 cm 落札予想価格 50 万 - 80 万香港ドル

落札価格 59 万香港ドル　約 944 万円

H. ロリミエ「花かごを持つ子どもの肖像」　101.4 × 82 cm 落札予想価格 2 万 - 3 万香港ドル

落札価格 11 万 8 千香港ドル　約 189 万円

日本現代美術の旗手奈良美智の７作品登場

特に今季のセールでは画家の成長の軌跡が見られる 90 年代の作品が一堂に会したラインナップであったため、多くの方々が足を止め、作品に目を奪われる光景が見られた。オークションでは戦後美術からの勢いに乗り、今回のトップロットである「水をあげようよ Give You Water」が 236 万香港ドル（約3,776 万円）で落札され、近代・現代美術のカタログ表紙を飾った「Mumps」は 165 万2 千香港ドル（約 2,643 万円）で共に個人コレクターに落札されていった。現在、香港初となる個展「無常人生 LIFE IS ONLY ONE」が Hong Kong Asia Society で開催されていることもあり、下見会でもこれまで以上に熱い視線が注がれていた奈良美智。今後ますます香港をはじめとするアジア諸地域でその存在が一般的に知られることとなり、彼のオリジナリティや唯一無二の世界観が新しいコレクターを生み出すことになるだろう。

欧米の人気作家の作品が次々登場

セールの後半はより一層バラエティーに富んだラインナップが登場。P. ジェンキンスの「Phenomena Green Blue West」はダイナミックな描画と圧倒的な大きさで下見会でも来場者を魅了し、また欧米のギャラリーや美術館からも問い合わせが相次ぐなどオークション前から期待値の高かった作品のひとつ。オークションでは電話ビッド同士が激しく競り合い、59万香港ドル（約 944 万円）という結果に。続く A. ウォーホルのシルクスクリーンは欧米系のビッダーが強い存在感を見せつけたのに対して、G. リヒターや R. リヒテンシュタインなどの作品に、地元香港、そして中国本土のコレクターより多くの質問が寄せられ、思い思いに作品の鑑賞を楽しんでいる様子が印象的であった。

ひときわ盛り上がりを見せたのは J. クーンズの「バルーン・ヴィーナス・フォー・ドンペリニョン」。去年のオータムセール香港でオークションに出品されるや否や、またたく間にスターロットとなった本モデルに対して、今季も多くの問い合わせが寄せられた。電話ビッダーと会場のテンポの良い競りが続き、上値を大幅に上回る33万400香港ドル（約529万円）で電話のビッダーに軍配が上がった。

ピカソのセラミック作品は出品数が少なかったものの、その根強い人気を示す結果となった。プリミティブな表現がピカソらしい「女性型ランプ」は電話ビッドが重なり落札予想価格の 2倍となる 21 万 2,400 香港ドル（約 340 万円）を記録し、会場から拍手が沸き起こった。近年続いた強力な個人コレクターのセラミック収集がひと段落したことにより、その強力なコレクターの存在を敬遠し、遠巻きに見ていた多くのコレクターたちが今回になって徐々に戻ってくる姿が見られたことは大変喜ばしい。

乳白色の肌が美しい藤田嗣治の「岩窟の母子像」は東京下見会での注目や問い合わせが際立ち、アフターセールで早々に日本人コレクターのもとに旅立つことになった。

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2015 年スプリングセール香港の東洋美術部門では、日本の個人収蔵家による 58 ロットの中国近現代絵画が登場。コレクションには 45 点もの汪亜塵の作品群をはじめ、中国近代作家の中でも最も評価の高い呉昌碩、実業家でありながら画家としてすぐれた業績を残した王一亭、中央美術学院院長や中国美術家協会副主席を歴任し現代中国画壇の第一人者である呉作人などの作品が揃い、その全てが成り行きで出品された。

下見会では香港をはじめ、中国、台湾などの中国書画に関心の高い愛好家が来場。真っ直ぐに気に入った作品に向かう方もいれば、最初から最後まで一つ一つ丹念に作品をチェックする熱心な愛好家もいるなど、思い思いに作品と対峙する多くの来場者により下見会は賑わいをみせた。初めて訪れる方々も多く、新規の参加者に期待がもたれた。

オークションの序盤では、下見会で最も注目された作品のひとつ、呉昌碩の「梅石図」が 20 万香港ドルから競りがスタートすると、会場は白熱。瞬く間に競り上がり、オークションニアがハンマーを打ち鳴らした時には 70 万 8 千香港ドル（約 1,133 万円）となり、会場にいるコレクターに落札された。同じく呉昌碩の「多子圖」、王一亭の「鍾馗」も会場の愛好家によって順当に落札されていく。続いて、汪亜塵の得意とする植物と動物を題材とした作品群も好調。最初に登場した様々な動物や植物や魚が描かれた 23 図の画帳「亜塵画帖」は会場での競り合いにより、落札予想価格下値の 6.5 倍に迫る 12 万 9,800香港ドル（約 208 万円）、24 図の画帳

「亜塵鹿苑画冊」も予想価格下値の約 7.5 倍となる 11 万 2,100香港ドル（約 179 万円）で落札。その後の掛け軸も来場した中華圏のビッダーを中心としてオークションは進行し、45点中 35 点が予想価格を超えて落札された。

そして、オークションのトリを飾るにふさわしく、大いに会場を盛り上げたのは、予想価格を設定しない 8ロットの成り行き作品である。すべて 5,000 香港ドルからスタートし、斉白石（款）「老当宜壮」は 129 万 8千香港ドル（約 2,077 万円）、同じく斉白石（款）「秋中圖」は 177 万香港ドル（約 2,832 万円）まで競りあがるなど、8 ロットの落札総額は 449 万8,160 香港ドル（約 7,197 万円）にまで達した。結果として来場した中華圏愛好家同士の競り合いにより、58 ロット中57 ロットが落札、その内の半分以上は新規のコレクターによって落札され、中国書画の落札総額は 758 万5,630 香港ドル（約 1 億 2,137 万円）となった。

中国経済の陰りが囁かれる中であるが、本セールでその影響を感じる事はなかった。中国バブルと呼ばれる急速な高度経済成長の始まりから数年が経ち、中国の美術品であればあらゆるものが高額となった時期は過ぎた。しかし一方で、毎年のように中国美術品が驚異的な高値で落札され、オークションレコードが更新されており、優品に対する価格の高騰は現在も進行している。

中国国内のコレクターは書画・骨董に対し、バブル崩壊にも強い確実な資産だとして蒐集していることも要因の一つである。このため、中国の名品が大量に眠っているとされる日本の書画・骨董市場に中華系コレクターが殺到し、日本から中国へ作品が戻っていく状況が加速している。今回のように日本人蒐集家の持っていた中国書画が中華圏でオークショ

ンにかけられることはまさにこの流れに即した機会であったと言える。中国美術に対する買い手の競争は未だ激化しており、今後も日本にある優品は香港市場で求められていくだろう。

白熱した競り合いに息をのむ会場

落札率 98％を記録

斉白石（款）「秋中図」　102.7 × 34 cm

スターサファイアダイヤモンドプラチナリングは 57.54ct の大きさと満足度の高いエスティメイトが最大の魅力となり、今回一番多くの問い合わせをいただき、落札予想価格下値から 4.4 倍の伸びを見せ 17 万 7 千香港ドル（約 283 万円）で落札。

高級時計では風防に 13.43ct のダイヤモンドを使用し、受注生産で作られた世界に１つしかないパテックフィリップのダイヤモンドホワイトゴールド腕時計がとりわけ多くの注目を集めた。シンプルなデザインの中に気品が漂うその姿で多くの愛好家を魅了したこのタイムピースは、熱心な香港のバイヤーによって 76 万 7 千香港ドル（約 1,227 万円）で落札されることとなった。

今回 3 点出品された急須や盃などの純金製品は、落札予想価格圏内で順当に落札され、香港市場における純金製品の需要を再確認した。定期的に大規模の国際的な宝飾展が行われ、世界中からバイヤーが集まる世界屈指の宝飾市場を保有する香港。今回のスプリングセール香港でも、熱気にあふれた下見会の様子や、落札者の約半分が香港以外の国から参加されていることなどからもこの地がいかに巨大な市場であるかが分かる。エスト・ウェストの香港セールが重要な宝飾品の仕入れの場としても定着していく事を期待しながら、秋に開催されるセールでも世界中のコレクターの好奇心をくすぐるような魅力的な品をご紹介できるよう取り組んでいきたい。

例年と比べても多彩な品揃えで多くの優品が集まった宝飾部門。今回の新たな試みとして、東京と香港の下見会に加え、より多くのお客様にご覧頂けるよう、5 月に 2 週にわたって特別内覧会を東京で開催した。これまで以上にゆっくりとご覧いただける機会を設けたことで、実際に身に着けて輝きや重さなどを吟味して頂き、直接好みを伺いながらお客様に合った商品選びをお手伝いできる場を提供する事ができ、お客様との距離を縮めながら現況の需要や今後の課題を探る良い機会となった。

香港下見会期間中は天候に恵まれず客足が伸びないことを危惧していたが、幸いにも杞憂に終わった。結果的に二日間ともに多くのお客様にご来場いただき、宝飾品のブースは特に賑わいを見せ、一時は全スタッフの半数以上が対応に追われるほどの混雑ぶり。ジュエリーセールでは出来る限り会場でビッドしようとする愛好家たちの姿が特徴的だが、今回のセールでは東京での特別内覧会の効果もあってか、日本から電話ビッドで参加されるコレクターも少なくなかった。

ジュエリーセールならではの華やかな雰囲気の中スタートした今回のオークションで、最も注目を集めたのは、バランスよく配色された光彩が美しい 5 点のブラックオパールダイヤモンドプラチナリング。競りが始まった途端、会場のいたるところからパドルが挙がり、会場は一気に熱気に包まれた。会場での激しい競り合いの結果、ほぼすべて落札予想価格下値の2 ～ 3 倍以上の価格まで競りあがり、高額になったものでは、落札予想価格 2 万 8 千～ 3 万 8千香港ドルのところ、 9 万 4,400香港ドル（約 151 万円）と、予想を大きく上回る結果となった。

ブラックオパールに続いて盛り上がりを見せたのは、依然として中華圏の

愛好家の間で人気の高い珊瑚。特に珊瑚の中でも深みのある赤「血赤珊瑚」の人気が高く、26mm という珊瑚の大きさが目を惹くダイヤモンドプラチナリングは落札予想価格

8 万～ 13 万香港ドルのところ、 9 万 4,400 香港ドル（約 151 万円）

で落札された。

オークション開始直前までにぎわう下見会宝飾都市・香港の熱気健在


Jewellery & Watchesジュエリー＆ウォッチ日本人収蔵家による中国書画コレクション




を受けて順当に落札され、著名作家の作品は変わらず根強い人気を誇った。日本美術からは蒐集家が戦前に集めた、初代歌川広重を中心とした浮世絵コレクションが全て成り行きで登場。その希少な出品から、下見会では来場者が殺到し、期間中の 3 日間は毎日下見に訪れる熱心な愛好家の姿もみられた。オークションでは日本人コレクターが競り合う中、中華系のコレクターも参加し激しいビッドの応酬が繰り広げられた。落札予想価格は低めに設定されていたものの、肉筆春画、伊東深水の新版画を含む 48 ロット全てが落札予想価格を超えて落札された。

続いて明治から昭和の七宝コレクションでも日本人コレクターと中華系コレクターが競り合う形となった。鶴と桜の図が美しく施された「七宝間取四季草花鳥図花瓶一対」は落札予想価格下値の 8 倍を超えて 345 万円、龍と鳳凰が施された「七宝間取龍凰蝶文花瓶一対」は予想価格下値の約 10 倍となる 195 万 5 千円で落札された。七宝は図柄が精巧で美しく、見て分かり易い作品にビッドが集中し、予想価格を大幅に超える作品が多数出

たため、今後の動向が期待される分野となった。その他、小倉遊亀が淡い色調で美しく描いた「乙女椿」が 379 万 5 千円、黒田辰秋の「黒漆松半月卓一双」、「拭漆欅円盆」も日本人愛好家により落札され、実力のある日本人作家の確かな人気を示した。今回は日本の美術品に対して中華系の愛好家が競りに参入する場面が多く、最近の東京セールでの特徴となっている。特に浮世絵と七宝のコレクションではほぼ全ての作品にこれらの人々のパドルが挙げられ、日本国内のコレクターと激しく競り合い、本セールの好結果の要因となった。前回のオータムセール東京では、柴山象嵌や七宝など数点の日本の工芸作品が中華系コレクターによって落札されたが、今回はその傾向がより顕著にみられた。今日まで銀瓶や鉄瓶、一部の金工作品に限られていた中華系コレクターの興味が広がり、今後も日本の上質な美術品の価値の見直しに期待がもてるセールとなった。

香港セールに先立ち 2015 年 4 月 18 日に五反田セールルームに於いて開催された 2015 年スプリングセール東京。オークションのスタートを切る東洋部門はおもに中国美術と日本美術で構成された。

中国美術からは巨匠・斉白石の山水画をはじめとした近代絵画、中国・チベット・ネパールの鎏金仏や唐卡（タンカ）を中心とした仏教美術、唐三彩や明の龍泉青磁、青花などの古陶磁器、硯や筆筒などの古文具、その他、玉器や鼻煙壷や銅鏡などが出品された。日本美術からは 100 枚を超える歌川広重の浮世絵コレクションや日本の伝統工芸である七宝コレクションを中心に、小倉遊亀、堂本印象などによる近代絵画、黒田辰秋の民芸作品、近代陶磁器や伊万里、清水焼などの古陶磁器が揃った。それらに加え、ここ数回の東京オークションでは驚異的な高額落札の記録を出している香木や象牙、銀製品などあわせて253 ロットのバリエーション豊かな作品が競売にかけられ、落札率 82％、落札総額は 1 億 9,266 万円と、この分野の落札予想価格下値の 2 倍を超える好結果となり、昨年からの勢いを見せつけた。

オークションはこれまでに記録的な高落札が続出している香木からスタート。今回も 16 ロットの伽羅・沈香の全てが落札。その内の 13 ロットが予想価格を遥かに上回り落札された。象牙作品「象牙仙女象」と「象牙彩色置物 2 点」はいずれも予想価格下値の 4 倍を超えて落札、銀製品からは「純銀金仕上風炉釜」にビッドが集まり 276 万円と高値で落札され、これらの希少な作品に対しての人気は勢いを増すばかりである。

中国美術は目玉のひとつである唐代の三彩馬俑が 402 万 5 千円で落札。35 ロット出品された仏教美術は 34 点が落札され、その内、男女の仏が抱き合った姿の歓喜仏である銅鎏金勝樂金剛雙身像が 207 万円、綠度母藥師佛唐卡は落札予想価格下値の 30 倍を超える 920 万円、釋迦牟尼唐卡は落札予想価格下値のなんと 40 倍を超える805 万円で落札されるなど会場は驚きと熱気に包まれた。中国絵画からは表紙を飾った仇英の「唐貴人遊楽図絵巻」が 1,552 万5 千円で落札されると白雪石が得意とする桂林の風景を描いた「灕江一曲千峰秀」は 977 万 5 千円と予想価格を大きく超えた。本セールのトップロットである斉白石が故郷を描いた希少な一枚

「春江図」も 1,840 万円で落札、林風眠の「山水画」、程十發の「迎賓図」も国内外から集まった中華系コレクターの相次ぐ応札

白雪石「灕江一曲千峰秀」　95 × 145 cm

魅力あるコレクションに落札率 82％

唐三彩馬俑　h56.5 × w56.5 cm

小倉遊亀「乙女椿」　46 × 57.5 cm

Tokyo Auction

4 月18 日（土）エスト・ウェスト五反田セールルーム東京オークション

東洋美術

七宝間取四季草花鳥図花瓶一対

中国絵画、仏教美術、浮世絵・七宝コレクション




全 281 ロットで東京セールの総ロット数の約半分を占めた西洋装飾美術は、1984 年の創立当初からエスト・ウェストが得意としてきた分野。サロンのような優雅な雰囲気の会場でお迎えした下見会には、常連の日本人愛好家だけでなく、海外から毎回ご来場されるコレクターの方々など多くの皆様にご来場頂いた。オークションでは毎回書面入札や電話ビッドで参加される欧米のコレクターにもご参加頂き、30 周年記念であった昨年オータムセール東京での好調な流れを継ぎ、安定した人気を見せた。

前回のオータムセール東京で落札予想価格の上値を超える高額落札が続いたことも記憶に新しいヴィエナスタイルの「貴婦人肖像画ビジュー装飾絵皿」から幕を開けたオークション。その華やかさとクオリティの高い緻密な絵付けで、下見会場で連日多くのお客様から注目を集めていた本作品は 5 点共に会場で激しく競り合いいずれも予想価格 35 万～ 55 万円のところ上値を超える高額落札が続き、特に内２点は 92 万円での落札となった。他にもヴィエナスタイルやドレスデンの魅力的な絵皿はいずれも上値を超える高額落札が続き、また18 世紀後半の優雅なフランス宮廷趣味を表したセーヴルの花と天使文絵皿（ 12 枚）も 230 万円で落札など需要の高さを示す結果となった。続く K.P.M. ベルリンやフッチェンロイターなどの陶板には事前の書面入札も多く集まり、順調に競り落とされていく。最終的に 14 点中 11 点が上値を超え、特に大型で完成度の高い逸品 KPM 陶板「エフタの娘」が、落札予想価格 420 万～ 620 万円の上値を大きく越える 920 万円で落札され、会場は大いに盛り上がった。

クオリティの高い西洋陶磁器など室内調度品への需要の高さは良質のセーヴル、ヴィエナスタイルの飾り壺でも見られた。高さ 130cm を超える大型の作品から高さ 50cm 程度

のペアの飾り壺などそれぞれ異なる魅力を備えた 12 ロットのラインナップは、女神と天使の絵付け、金彩とコバルトのコントラストが美しいセーヴルスタイル「コバルト女神文蓋付飾り壺」（ペア）が落札予想価格 45 万～ 65 万円のところ 138 万円での落札となるなど、いずれも会場で激しく競り合った結果、落札予想価格の上値を超えるロットが続いた。

クオリティ高い作品の需要優品の競演にビッド集まる

KPM ベルリン「エフタの娘」65 × 51.8 cm

西洋装飾美術

今回の浮世絵コレクションでは、同シリーズ・同タイトルの作品がセットで出品されています。一見、同じもののように見えますが、よく見比べると背景の色が違ったり、服の模様が違ったり、中には図柄自体が変わっているものまである事がわかります。そもそも浮世絵は、絵師が下絵を描き、彫師が版木を彫り、摺師が版木に色をつけて摺りますが、人気が出て売れ行きが良い図柄は途中で再版する事になります。版木は浮世絵を制作するにつれて磨り減っていくので、しだいに線や色のシャープさが失われる事になります。また、はじめは絵師が意図したままの構図や色彩で作られますが、再版されるごとに絵師の影響力が弱まり、効率化のために図柄が一部シンプルなものに変更されたり、色も違いが出たりするようになります。作品をよく見比べると背景の色や着物の模様が違ったり、図柄自体が変わっているところまであります。同じタイトルの作品でもそのような違いがあるのでコレクターにとっては別の作品なのです。両方ともオリジナルですが、最初に摺られたものは「初摺り」と呼ばれ、一部修正を加えて摺り直したものは「後摺り」と呼ばれており、その様々な部分の違いを探すことも浮世絵コレクターを惹きつけてやまない魅力となっています。

浮世絵の "初摺り" と "後摺り"しょ　ずあとず

初摺り

後摺り

1

2 34

PICK UP!作品解説

東海道五捨三次「戸塚」では「初摺り」と「後摺り」の変更点を見る事が出来ます。①人物が馬を「降りる」から「乗る」に変更、②店に壁ができている、③家など遠景の表現が変更、④雲が省略されている、など。

今季からの新たな試みとして、Ustream のサイト上でオークション風景のリアルタイム配信を始めました。動画の配信サービスという点では YouTube と同じですが、リアルタイムという点がこのシステムの利点です。オークション中のみの配信となりますが、一つの画面に作品の写真や落札予想価格、オークショニア、現在の価格などが表示され、動画と共に音声も配信されます。オークションに興味はあるものの実際に参加したことの無かった方や、香港でのオークションがどのように開催されているのかご興味のある方等々、エスト・ウェストのオークションをより身近に感じて頂く事が出来る新サービスです。

また、オークションで電話ビッドを申し込まれている方々や、途中から会場で競りを予定されている方々は、Ustream を利用することで、お手持ちのスマートフォンやノートパソコンなどからもオークションの状況を確認し、自身の競るロットがあとどれくらいで始まるのかを予測できるため、待ち時間を有効にご活用頂けます。皆様方の用途にあった活用方法を見出して頂ければ幸いです。

ユーストリーム

オークション中継はじめました！

アクセスはエスト・ウェストのウェブサイトまたは下記ページより！

www.ustream.tv/channel/est-ouest-auctions

歌川広重　東海道五捨三次「戸塚」

※インターネットによる入札「エスト・ウェストライブビッド」に参加をご希望の方は、別途事前登録が必要となりますのでご注意下さい。エスト・ウェストライブビッド詳細はウェブサイト（www.est-ouest.co.jp）をご覧ください。




アール・ヌーヴォー、アール・デコのガラス作品全体でみると昨年2014 年 10 月のオータムセール東京から特徴的である中華圏の新規コレクターの本格参入は、今回も顕著であった。ガレ、ドームなどのガラス作品の中でも、特に大型作品を好むなどの特徴も見られたのが非常に興味深い。また、エスト・ウェストが長らく行っているアジアや欧米への広告宣伝によって、ビッダーの好奇心を刺激する作品であれば世界中のコレクターが反応する点も証明された。特に R. F. ラルシュの出世作として名高い鍍金ブロンズランプ

他にもまたたく間に落札予想価格 450 万～ 650 万円の上値を大きく越え 805 万円で落札されたマイセン「スノーボールティーセット」を筆頭に、テーブルウェアの落札率は 100％と堅調。欧米の老舗ブランド、ゴーハム、クリストフルのカトラリーは人気を集め、いずれも予想価格の上値を超えて落札されて行くなど根強い人気を示した。長い歴史と伝統により培われてきた高いクオリティを持った、華やかで美しい西欧のテーブルウェアの需要が、中国、香港など中華圏で高まり続けている事を証明する結果となった。

アール・ヌーヴォーでは銀箔のペルル・メタリックと葡萄の蔓のようなアプリカシオンが美しいガレ「葡萄文花瓶」が予想価格 100 万～ 150 万円のところ上値を超える 172 万 5 千円、ガレ初期のエナメル作品「昼顔文鉢」が予想価格 80 万～140 万円のところ、126 万 5 千円、ガレの美しいマルケトリ作品「すみれ文花瓶」が予想価格350万～ 550万円のところ 437万円で落札など、特に初期の優品が高い伸び率を示した。他にも深いえんじ色とライムグリーンのコントラストが美しいドーム「川の中の魚文花

瓶」が予想価格 180 万～ 280 万円のところ 195 万 5 千円と全体的に堅調な結果を残す中、ドーム作品の中では特徴的な魅力を備えた逸品が特に高額で落札される傾向となった。今回特にエスト・ウェストの顧客の中にも多くのコレクターがおり、根強い人気のラリックの香水瓶コレクションでは書面や電話でのビッドが重なり、出品作品全て落札予想価格の下値を上回る落札結果となった。まず、オークションへ登場すること自体が大変珍しい「ファレーヌ」が落札予想価格の上値を超える 92 万円、「花の中へ」も同じく上値を超える 57 万 5 千円、「シクラメン」は、下値の 2 倍以上となる約 51 万 8 千円での落札となり会場は大いに盛り上がり、ラリック人気、また特にラリックの香水瓶人気を見せつける結果となった。

L. イカール「コンコルド広場のパリジェンヌ」　60 × 92 cm

ルネ・ラリック香水瓶コレクション

E. ガレ「すみれ文花瓶」h23.5 × w10.5 × d8.5 cm

マイセンスノーボールティーセット（10 点）

「ロイ・フラー」はフランスの美術雑誌に広告を掲載したことから、海外より多くの問い合わせが寄せられ、予想価格 100 万～150万円のところ結果的に230万円での高額落札となった。

他には今回のカタログの表紙にもなり、カタログが海外、特にヨーロッパの顧客の元に届くや否や問い合わせが多く寄せられた時祷書は、日本で入手することが大変難しい希少価値の高い逸品で、その保存状態の良さや挿絵の美麗さがコレクターの注目を集め、下見会中にもこのためだけに来場されるお客さまがいたほど。また、欧米への広告宣伝の効果もあってか、海外のコレクター、美術業者が鋭く反応。多くの問い合わせが寄せられ、オークション当日は会場と海外からのビッドと会場が競り合う形となり最後は会場で落札。落札予想価格 250 万～ 350 万円のところ、上値を超える 379 万 5 千円での落札となり、会場は大いに盛り上がった。絵画ではイカールの油彩「コンコルド広場のパリジェンヌ」が落札予想価格 180 万～ 280 万円のところ 207 万円で落札されたのを筆頭に、37 ロット中 81％と順当な落札率を見せた。

西洋装飾美術及び近代・現代絵画全体の総落札額は、落札予想価格の下値の合計を越え、1 億 3,401 万 4,100 円となり、落札率も 86％と好成績。YouTube のエスト・ウェストチャンネルで美しいさえずりの動画を公開、下見会でも多くの来場者の注目を集めたシンギングバードなど、日本ではまだあまり馴染みのない作品を含め、バラエティに富んだ魅力的な作品を今後もご紹介していきたい。

R. F. ラルシュ「ロイ・フラー」h45 × w23.5 × d23 cm

国内外のコレクターが集中　　　アール・ヌーヴォー、アール・デコ

時祷書 h10.1 × w8.1 × d3 cm

エスト・ウェストのウェブサイトトップページで動画を公開していることをご存知でしょうか。エスト・ウェストは YouTube 上にチャンネルを持っており、出品作品のご紹介だけでなく、オークションや下見会の様子などの動画を配信しております。本来であれば作品は下見会で実物をご覧頂くのがベストなのですが、諸々の事情で来られない方にも、紙のカタログやオンラインカタログなど 2 次元のフォーマットでは伝えきれない音や立体感など作品の魅力を余すことなくお伝えする為に動画を作成しております。

今回の東京セールに出品されたシンギングバードは、鳴き声の美しさもさることながら、小鳥がケージの中で羽ばたき、くるくると回る愛らしい姿を YouTube で紹介、大きな反響を頂きました。また、沈香・伽羅が出品された際にはこれらの作品が水に沈む様子や、大型の彫刻作品なども正面だけでなく様々な角度からの動画をご紹介できるようになりました。今後もさらに魅力的な作品を YouTube上でご紹介して参りますので、エスト・ウェストチャンネルを是非チェックしてください。

チャンネル登録をいただくと、今後 YouTube にアクセスした時に、エスト・ウェストチャンネルが新しくアップロードした動画をお知らせしてくれます。是非ご登録ください。また新作動画がアップされる度に Facebook ページに動画を投稿しております。Facebook のアカウントをお持ちの方は、こちらも合わせてエスト・ウェストをフォロー頂ければ幸いです。

エスト・ウェストチャンネルのご案内

愛らしい鳴き声と生きているように動き回る姿に視聴回数が重なったシンギングバードの動画

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4 月に開催された東京セールの落札率は 84% を数え、前回の2014 年オータムセールの落札率 76％に比べ高い数字を記録した。落札ロット数の地域別内訳（図 1）では日本が約半数となる 49% のシェアを占め、次に中国が 44% と僅差に迫ると、

香港、シンガポール、台湾とアジア勢が続く。この日本の存在感は、エスト・ウェストが創立当初から扱う、アール・ヌーヴォー、アール・デコ期のガレ、ドーム、ラリックの作品に対する常連の日本人愛好家が多く落札していることや、小倉遊亀らの近代日本人作家への高い支持を受けたことなどに起因し、その背景として株価の回復による富裕層の美術市場への関心の高まりがある。中国人愛好家と激しく競り合う日本人愛好家の姿はリーマンショック以前の勇姿と重なり、日本美術市場の復調の兆しをも感じさせた。

一方で既述のグラフを落札金額ベースに再構築させると（図 2）、中国が 62% と首位に上り、日本は 33% と大幅にシェア率を減らす結果に。今季の東京セールの落札額のトップ 3 は斉白石、仇英、白雪石と中国巨匠作家の作品が続き、これら高額品の落札を占める中華系ビッダーの落札

2006 年頃から始まった世界的な現代アートバブルの影響を受け、2007 年には日本や中国などのアジアの現代アートも高騰。アニメーションの手法を取り入れた若手作家達の作品に投資家が殺到し数々のトレードが繰り広げられた結果、作品の価値は 1 か月後には何倍、1 年後には何十倍にも跳ね上がった。2008 年のリーマンショックにより価格は暴落、プライマリーギャラリーを通じて徐々に実力と価値を上げていく元来のプロセスを踏まないまま、急激に価格が高騰してしまった幾多の若手作家は価格を保つ事が出来ずに市場から姿を消し、今もなお国際市場の評価を維持しているのは奈良を始めとする一握りの作家だけになってしまった。経済が落ち着きをみせる中国でも、好景気によって数年前からアジアの現代アートを牽引したが、バブルによって極端に価格が値上がった作家たちは時代と共に淘汰され、今季のセールに出品された一部の中国人作家たちの結果はその事実を示していた。一方で、実力のある Z. ウーキーや C. テーチュン、サン・ユーなどの秀逸な作家に対する世界規模の争奪戦は現在も繰り広げられている。日本の戦後美術も同様に、実力以上の価値が付いてしまった作家は、ある程度の消費がなされた後に加熱したブームとともに淘汰され、今後確かな実力をもつ作家たちとの間に線引きがなされていくことになるだろう。アートは慣習や様々な時代や文化によって異なるテイストに影響され、その価値が変化するもの。アートの商業的価値はその時代の趣向次第であるが、アートがアートたり得る「普遍性」を持った作家や作品は、時代の流れや流行に左右されることなく、然るべき時に価値づけられ、評価されるものである。エスト・ウェストは、過去 30 年以上にわたって世界の美術市場の動向をつかみ、現代の美術史を体現してきた。アートの本質的な意義を見据えつつ、物質的な利益追求をも共有するのがオークションハウスの役割である。マーケットでいま何が求められ、いくらするのか、ということに対して無知であってはならないが、いつの時も本当に実力のある作家や作品を見極める慧眼は持っていなければならない。

単価の高さに因るものであるが、その存在感は年々強まっている。東京セールでの中華系ビッダーによる落札ロット数の推移をみると、2014 年 4 月では 22％だったのが、2014年 10 月には 36％に増え、今回は 44％に上るなど右肩上がり。また、関心を示すジャンルの幅が急速に拡大しており、華やかなヴィエナスタイルの絵皿やセーブルスタイルの飾り壷などの西洋陶磁器、ガレ、ドームの大型作品に加え、日本の七宝作品や浮世絵などにも数多く入札するなど、今後どの様なジャンルの作品に目が向けられるのか、中華勢の動向が注目される。

続いて、5 月に開催された香港セールの落札額の地域別内訳（左図）を見てみると、チャートは国際色豊かな様相を呈す。これは創立以来一貫して世界市場に目を向けてきたエスト・ウェストならではの特徴であり、現地香港を始め、中国、台湾、韓国、シンガポール、アメリカ、イギリス、フラン

ス、ベルギー、ブラジルなど実に多様な国の参加者によって構成されている。2008 年の香港初進出や台湾や北京での特別下見会、2013 年に初開催したシンガポールオークションなど積極的に海外でオークション事業を展開してきたことでつながった縁も多い。更なるグローバル化の波に備え、今季の東京及び香港セールでは、インターネットを通じてビッドを可能とするエスト・ウェストライブビッドを導入。国内外の同業他社同士の競争も激化するなかで差異化をはかり、参加者層の裾野を広げていくことが今後の生き残りの鍵となるだろう。

アートマーケットの現在に話を移すと、今年 5 月にパブロ・ピカソの「アルジェの女たち（バージョン "O"）」が約 215億 2,380 万円で落札され、オークション史上最高額落札絵画作品となった事は記憶に新しい。「Beauty, Money, Power」という言葉に象徴されるように、美術品は嗜好を満足させる調度品としてだけでなく、投資の可能性を有する商業的価値、そして美術品を保有するという社会的ステイタスを併せ持つ。かつての閉塞的なアートコミュニティは開かれたアートマーケットに姿を変え、美術品の価格は高騰、毎年のように驚異的なオークションレコードが更新されている。世界の美術市場を調査する欧州美術財団（TEFAF）の 2014 年の統

景気回復に後押しされる日本勢存在感を強める中華系ビッダー

2015 スプリングセール総評計レポートによると、世界の美術品の総売上高は 510 億ユーロ（日本円にしておよそ 7.1 兆円）を超え、2013 年から 7％の増加で過去最高額を記録するなど、世界の美術市場は今後も増大が予想される。

具体やもの派を中心とした日本の前衛的な戦後美術に対する世界的な関心の高まりは、昨年 6 月の白髪一雄の 5億 4,590 万円オークションレコードにより一気に加速し拡大した。今年 4 月には田中敦子の1993 年のアクリル作品が 1 億 1,284 万円を記録し、新たな「億超え作家」の仲間入りを果たすなど、国際マーケットの中で日本の戦後美術が一つのムーブメントとして脚光を浴びている。エスト・ウェス

トは日本の戦後美術を 1990 年からオークションで紹介しはじめ、2008 年に進出した香港でもその普及や啓蒙に力を注いできた思い入れのある分野。市場の評価が伴わない不遇の時代を経て、実力がある作家に対して正当な評価がなされつつある現状はとても喜ばしい。しかし、昨今の国際市場では投資的な意味合いも強く、「次なる白髪、次なる具体」を追い求めるあまり、日本の戦後作家であれば実力の有無に関わらず、マーケットに引っ張り出されていることに対してある種の恐れを感じていることもまた事実である。

日本 28％

中国 19％

2015 スプリングセール香港

※ 2015 スプリングセール香港

※ 2015 スプリングセール東京

台湾 1％韓国 0.3％シンガポール 7.7％

欧州・北南米12％

香港32％

落札額地域別内訳

山口長男「黒」　120 × 91 cm 落札予想価格 40万 - 60万香港ドル

落札価格 64 万 9千香港ドル　約1,038 万円

日本 33％日本 49％

中国 62％中国 44％

2015 スプリングセール東京

台湾 1％台湾 1％シンガポール 1％シンガポール 1％

香港 3％香港 5％

落札ロット数地域別内訳落札額地域別内訳図1 図2

エスト・ウェストライブビッド好発進！およそ 1 年前に開発がスタートした、インターネットを通じたオークション参加システム、エストウェストライブビッドは開始早々、興味を持たれたお客様からの登録が相次ぎ、期待と緊張をもって当日を迎えました。初めて実際の運用が行われたスプリングセール東京では、浮世絵や版画にビッドがありましたが、会場で競られるパドルの多さ、そしてその展開の速さになかなか落札することができませんでしたが、問題なく参加されている様子でしたのでほっとしました。初めて落札できたときには、システムや参加方法の整備など、前々から準備を進めてきた努力が実ったと感じ、スタッフ一同嬉しく思いました。香港セールではジュエリーへの入札で会場と競り合う場面が多数みられ、充実した競り合いを繰り広げました。多くのロットで会場と競り合うことを想像しつつ、参加しやすいように工夫を重ねて参ります。（小島）

斉白石「春江図」　146 × 46 cm 落札予想価格 2 千万 - 3 千万円

落札価格 1,840 万円

エスト・ウェストライブビッド詳細は弊社ウェブサイトまで！ www.est-ouest.co.jp

ムーブメントとしての日本戦後美術

香港から世界へ、グローバル化が進む香港のいま


Special feature on auction highlights エスト・ウェストニュース

2015 オータムセール東京・香港開催

お持ちのコレクションをより良い市場で出品しませんか？

アドヴァンスシステム出品作品に対する融資制度もご用意しておりますお気軽にご相談ください

買い取りも可携帯電話から 03-5791-3131

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エスト・ウェストオークションズ株式会社

東京オフィス〒 141-0022東京都品川区東五反田 2-5-15　Tel 03 5791 3131　　Fax 03 5791 3133

香港オフィス 25/F., China Resources Building, 26 Harbour Road, Wanchai, HONG KONG Tel +852 3977 2131　　Fax +852 3977 2033

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2015 年下半期、秋のオークションを東京・香港で開催いたします。無限のニーズを掘り起こすエスト・ウェストのオークションに、作品を預けてみませんか？ご連絡、ご相談をお待ちしております。

東京：10 月 17 日（土）エスト・ウェスト五反田セールルーム

作品募集締切　東京：9 月 5 日（土）　香港：10 月上旬

香港：11 月下旬

近代・現代美術、エコール・ド・パリ、日本・アジア戦後美術、西洋装飾美術、日本美術、中国古美術、東南アジア美術ジュエリー＆ウォッチ、純金製品、香木、象牙、ヴィンテージワイン etc...

白髪一雄　油彩、キャンバス　41 × 32 cm 1961 年

出品作品募集中

top 高額落札ランキング 15 · 2015-07-24 · june 2015 215年6月発行号...

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