石川金沢の人材育成とsdgs 基調講演 蟹江憲史

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2030年へ向けた国際目標 地域から考える 1 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 教授 国連大学サスティナビリティ高等研究所 シニアリサーチフェロー 環境研究総合推進費戦略課題(S-11)『持続可能な開発目標とガバナンスに関す る総合的研究- 地球の限られた資源と環境容量に基づくポスト2015年開発・成長 目標の制定と実現へ向けて 』プロジェクトリーダー 蟹江憲史

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Page 1: 石川金沢の人材育成とSDGs 基調講演 蟹江憲史

2030年へ向けた国際目標 を

地域から考える

1

慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 教授

国連大学サスティナビリティ高等研究所 シニアリサーチフェロー

環境研究総合推進費戦略課題(S-11)『持続可能な開発目標とガバナンスに関する総合的研究- 地球の限られた資源と環境容量に基づくポスト2015年開発・成長

目標の制定と実現へ向けて –』プロジェクトリーダー

蟹江憲史

Page 2: 石川金沢の人材育成とSDGs 基調講演 蟹江憲史

17 goals 169 associated targets Indicators to be decided in March 2016

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POST2015(S-11)の目標 環境研究総合推進費戦略課題(S-11)『持続可能な開発目標とガバナンスに関する総合的研究- 地球の限られた資源と環境容量に基づくポスト2015年開発・成

長目標の制定と実現へ向けて –』

1. 【SDGs設定へ向けた提案】2015年以降の開発・成長目標(Post-2015 Agenda)としてのSDGs及びその評価指標のオプション及び実施シナリオを、科学的根拠に基づいて提示し、世界レベル、地域レベル、日本をはじめとした国家レベル、さらにはローカルレベルやセクターレベルでのSDGs設定に貢献する。

2. 【21世紀型持続可能な開発の再定義】資源・環境制約のもとでの21世紀型の持続可能な成長・開発のためのヴィジョンや方向性を科学的根拠に基づいて提示する。

3. 【新たなコミュニティー創出】研究における環境(コミュニティー)と開発(コミュニティー)の融合

4. 【国際発信】国際的研究ネットワークを確立し、その中心となる拠点を構築する。

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コア研究グループ (S-11研究分担者)

国際共同研究チーム

国内アドバイザリーボード・専門委員等

(推進費) 国際アドバイザリー

ボード

各テーマ毎アドバイザー(peer review、任意設置)

ENBチーム

タイミング・コンテンツへのアドバイス

ゲスト(例:ジェフリーサックス、国連ワーキンググループ共同議長

等)

協力研究プロジェクト IRF、Bhutan Project, WEF,

ICSU etc.

アジア開発銀行(ADB)、JICA、S-6、S-10等との連携

政策担当者 環境省・外務省・国連等

外部連携

Page 5: 石川金沢の人材育成とSDGs 基調講演 蟹江憲史

S-11

PL蟹江 (慶應大学)

テーマ1 資源環境制約下の開発・成長の方向性と目標及び効果的ガバナンスの提示

【統括班】 慶應大学 蟹江 憲史

サブテーマ1 全体統括及び目標・指標と ガバナンスの総合的提示 慶應大学 蟹江 憲史

サブテーマ2

持続可能な開発目標とその実現に資するボトムアップ事例の検討 東工大 阿部 直也

サブテーマ3 目標や指標の定量的オプションや

シナリオの提示 (株)イー・コンザル 榎原 友樹

サブテーマ4

資源・エネルギー・食糧・水等の複合目標及び指標の検討

(独法)国立環境研究所 亀山 康子

テーマ2

資源環境制約の観点からの 目標と指標の提示

九州大学 馬奈木 俊介

サブテーマ1

Beyond GDP目標と指標の提示

九州大学 馬奈木 俊介

サブテーマ2

資源・環境制約下での開発及び成長実現のための目標や指標の提示

関西大学 鈴木 政史

サブテーマ3

地球システムからの制約の検討(生物資源に焦点をあてた検討) 立命館大学 橋本 征二

サブテーマ4

地球システムからの制約の検討(鉱物資源に焦点をあてた検討) 東京大学 村上 進亮

テーマ3

開発の観点からの目標と指標の提示 東京大学 北村友人

サブテーマ1

教育分野におけるポスト・ミレニアム 開発目標と指標の提示 東京大学 北村友人

サブテーマ2

保健・健康・衛生に関する分野におけるポスト・ミレニアム開発目標と指標の提示

長崎大学 山本 太郎

サブテーマ3

経済開発分野におけるポスト・ミレニアム 開発目標と指標の提示 関西大学 春日 秀文

テーマ4

持続可能な開発目標実現のための

ガバナンスの研究

(公財)地球環境戦略研究機関(IGES) 森 秀行

サブテーマ1

持続可能な開発目標実施のためのマルチレベル・ガバナンスのあり方の検討

IGES 森 秀行

サブテーマ2

国連を中心とした持続可能な開発のガバナンスの検討

国際連合大学高等研究所 山田 高敬

サブテーマ3

効果的資金メカニズムの検討 慶應義塾大学 小林 光 京都大学 森 晶寿

ENB委託

サブテーマ4

水、エネルギー等社会の存続に関する領域におけるポスト・ミレニアム開発目

標と指標の提示 東京大学 鎗目 雅

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Page 6: 石川金沢の人材育成とSDGs 基調講演 蟹江憲史

1992年 環境と開発に関する国連会議(UNCED:地球サミット)

⇒「環境と開発に関するリオ宣言」「アジェンダ21」の採択

⇒「気候変動枠組み条約(UNFCCC)」「生物多様性条約(CBD)」の採択

⇒「地球環境ファシリティ(GEF)」「国連持続可能な開発委員会(UNCSD)」の創設

2002年 持続可能な開発に関する世界首脳会議

(WSSD:ヨハネスブルグ・サミット)

⇒「ヨハネスブルグ実施計画」の採択

1972年 国連人間環境会議 (ストックホルム会議)

1987年 『ブルントランド委員会報告書 (Brundtland Report)

-Our Common Future-』

2012年 国連持続可能な開発会議 (UNCSD, Rio+20)

環境と開発に関連した国際動向 ミレニアム開発目標に関連した国際動向

1995年 世界社会開発サミット

2000年 国連ミレニアムサミット

⇒「ミレニアム宣言」の採択

⇒「ミレニアム開発目標(MDGs)」の検討、採択(2001年)

2015年以降の「開発」アジェンダ/持続可能な開発目標(SDGs)

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Transforming Our World

The 2030 Agenda for Sustainable Development

Page 7: 石川金沢の人材育成とSDGs 基調講演 蟹江憲史

17 goals 169 associated targets Indicators to be decided in March 2016

「開発」から「持続可能な開発」へ

Page 8: 石川金沢の人材育成とSDGs 基調講演 蟹江憲史

持続可能な開発目標

目標 1. あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる

目標 2. 飢餓を終わらせ、食糧安全保障および栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する

目標 3. あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する

目標 4 . すべての人々への包括的かつ公平な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する

目標 5. ジェンダー平等を達成し、すべての女性および女子のエンパワーメントを行う

目標 6. すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する

目標 7. すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な現代的エネルギーへのアクセスを確保する

目標 8 . 包括的かつ持続可能な経済成長、およびすべての人々の完全かつ生産的な雇用とディーセント・ワーク(適切な雇用)を促進する

目標 9. レジリエントなインフラ構築、包括的かつ持続可能な産業化の促進、およびイノベーションの拡大を図る

目標 10. 各国内および各国間の不平等を是正する

目標 11. 包括的で安全かつレジリエントで持続可能な都市および人間居住を実現する

目標 12. 持続可能な生産消費形態を確保する

目標 13. 気候変動およびその影響を軽減するための緊急対策を講じる

目標 14. 持続可能な開発のために海洋資源を保全し、持続的に利用する

目標 15. 陸域生態系の保護・回復・持続可能な利用の推進、森林の持続可能な管理、砂漠化への 対処、ならびに土地の劣化の阻止・防止および生物多様性の損失の阻止を促進する

目標 16. 持続可能な開発のための平和で包括的な社会の促進、すべての人々への司法へのアクセス提供、およびあらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包括的な制度の構築を図る

目標 17. 持続可能な開発のための実施手段の強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する

Page 9: 石川金沢の人材育成とSDGs 基調講演 蟹江憲史

SDGsとは?

• 2012年のリオ+20(国連持続可能な開発会議)により設定が合意された国際目標

• ポスト2015年開発アジェンダ(ミレニアム開発目標後の国際目標)に統合

• 2013年~2014年 国連でのオープンな作業部会(OWG)による国際交渉

• 2014年の国連総会でOWG提案採択(17目標、169ターゲット)

• 2015年 ポスト2015年開発目標交渉

• 2015年9月国連総会にて採択

9

• 『目標 – ターゲット – 指標』の 三重構造

• 進捗状況のモニタリングと評価を実施(法的義務はなし)

• 2030年を目指した目標

• グローバルな性質ですべての国に普遍的に適用可能

• 様々な国別の状況、能力、開発レベルや政策及びその優先順位を考慮

Page 10: 石川金沢の人材育成とSDGs 基調講演 蟹江憲史

SDGsの長所と短所(特徴)

長所

包摂性:「誰一人取り残されない」

普遍性:先進国・途上国共に適用

多様性:目標値は(世界全体の達成目標を視野に入れた上で)国レベルで設定可。指標は地域・国レベルで補完される。

統合性:経済、社会及び環境の3つの次元が統合へ。

行動性:具体的行動の実施へ。

短所

多すぎる目標(17 Goalsと169 Targets)

理解が容易ではない。

先進国における関心が低い。

法的拘束力がない。

10

Page 11: 石川金沢の人材育成とSDGs 基調講演 蟹江憲史

MDGsの残された課題の達成

地球システムの限界からもたらされる新たな課題

社会的な持続可能性(衡平性、公平性等)

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ミレニアム開発目標(MDGs)

- 2015年の国際開発目標 -

12

外務省ホームページより

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13 ポストMDGs=MDGsで未達成の課題 外務省ホームページより

Page 14: 石川金沢の人材育成とSDGs 基調講演 蟹江憲史

MDGsの残された課題の達成

地球システムの限界からもたらされる新たな課題

社会的な持続可能性(衡平性、公平性等)

Page 15: 石川金沢の人材育成とSDGs 基調講演 蟹江憲史

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Planetary Boundaries -地球システムの境界-

Rockström et al (2009)

気候変動

成層圏オゾン の減少

大気中の エアロゾル負荷

海洋の酸性化

生物化学的循環

淡水利用量 の増大

土地利用変化

生物圏の変化

窒素負荷

リン負荷

遺伝的多様性 の減少

種・生態系 多様性の減少

新しい化学物質 の増加

Steffenら、2015, Scienceより作成

15

⇒ 環境問題の「質」の変化 身近な環境問題から これにプラスして地球変動の課題へ Cf.「人類世(anthropocene)」(Crutzen 2002)

限界を超えた危険な状態 限界を超えつつある状態 限界内で安全な状態 限界が不明

Page 16: 石川金沢の人材育成とSDGs 基調講演 蟹江憲史

16

2014.8.21 Hiroshima

Phillipine 12 Nov. 2013

2015.9.10 Kinugawa

Page 17: 石川金沢の人材育成とSDGs 基調講演 蟹江憲史

17 限りある資源をいかに分け合いながら共存するか?

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2030年へ向けたSDGsのチャレンジ

1. MDGsの残された課題(human well-being)

2. 地球システムの限界からもたらされる新たな課題(気候変動の植生・健康への影響など)

– 問題の相互関係・相互作用(規模や範囲を超えて): ある国での原因が他の国での影響に

3. ガバナンス:多様なステークホルダー – 多様な課題解決

– 新たな考え・アイディア・ネットワーク

– ステークホルダーの巻き込み

David Griggs, Mark Stafford-Smith, Owen Gaffney, Johan Rockstrom, Marcus C Ohman, Priay Shyamsundar, Will Steffen, Gisbert Glaser, Norichika Kanie and Ian Noble, ‘Sustainable Development Goals for People and Planet.’ Nature (Vol 495, 21 March 2013).

国家を超えた 21世紀型の問題解決

Page 19: 石川金沢の人材育成とSDGs 基調講演 蟹江憲史

目標設定に起因するガバナンス – 新たなガバナンス戦略へ

SDGsのためのガバナンスは 法的「レジーム」を補完する可能性

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国際レジーム (UNFCCC, CBD, etc) – ルールに基づくメカニズム

目標 – 野心レベルの提示(aspiration) 実施メカニズムは なし モニタリングと評価のみがメカニズム

元来野心的なものも、近年は困難に直面 (Copenhagen, etc)

できることをプレッジする「ボトムアップ」傾向に

• 野心レベルを向上 • 統合的アプローチ推進

• 条約に含まれない課題をハイライト(ex. SCP)

ギャップを埋めるガバナンス

Page 20: 石川金沢の人材育成とSDGs 基調講演 蟹江憲史

SDGsの今後の課題

1. 実施メカニズム(制度) 1. 「誰も置き去りにしない」 格差解消、そのためには統合的解決が必要

2. 新たなグローバルガバナンスの仕組み 気候変動COPなどの法的枠組みの限界→「目標によるガバナン

ス」の挑戦

国連の仕組みとしてハイレベルで政治的指針

国や地域でのテーラーメードの実施

→ 課題:統合的な(横断的)課題解決の制度を作れるか

2. フォローアップとレビュー(評価)

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Page 21: 石川金沢の人材育成とSDGs 基調講演 蟹江憲史

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経済・社会・環境の3側面を統合することが実施には必要に

環境

社会

経済

持続可能な開発

将来の世代の欲求を満たしつつ、現在の世代の欲求も満足させるような開発

20世紀型 持続可能な開発 (MDGs型)

21世紀型 持続可能な開発

現在及び将来の世代の人類の繁栄が依存している地球の生命維持システムを保護しつつ、現在の世代の欲求を満足させるような開発

David Griggs et al. ‘Sustainable Development Goals for People and Planet.’ Nature (Vol 495, 21 March 2013).

Page 22: 石川金沢の人材育成とSDGs 基調講演 蟹江憲史

Links among SDG’s

GSDR 2015

Page 23: 石川金沢の人材育成とSDGs 基調講演 蟹江憲史

2013 TIME 1950 1900

現時点

現代人の思考・制度のベース

‘Sustainable Development Goals for People and Planet.’ Nature (Vol 495, 21 March 2013). By David Griggs, Mark Stafford-Smith, Owen Gaffney, Johan Rockstrom, Marcus C Ohman, Priay Shyamsundar, Will Steffen, Gisbert Glaser, Norichika Kanie and Ian Noble 23

パラダイムを変える起爆剤として期待されるSDGs

SDGs時代の「持続可能な開発」 ⇒地球システムの許容範囲内で開発・成長を続けること ⇒「経済」「社会」「環境」の持続性の統合

Page 24: 石川金沢の人材育成とSDGs 基調講演 蟹江憲史

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日本にも関係するSDGs:多様なレベルでのガバナンスメカニズムが必要

国連レベルのみならず、地域や国内レベルでのSDGs設定、実施、フォローアップとレビューが必要

地域・国家レベルのSDGs策定及び実施 国レベルでのSDGsはどうあるべきか? 実施メカニズムをどうするか?

ステークホルダー参加メカニズムはどう構築するか?

社会、経済、環境面の政策統合メカニズムをどう作るのか?司令塔は誰/どこが担うのか?

国連レベルでの実施 実施メカニズムをどう設定するか?

グローバルレベルと地域、国レベルをつなぐメカニズムはどうすればよいのか?

Page 25: 石川金沢の人材育成とSDGs 基調講演 蟹江憲史

政策ツールとしての持続可能な開発目標

25 http://globalgoals.org/

1. 例えば持続可能な消費生産は目標12以外にも関係(例:エネルギー選択(目標7)、食料廃棄物削減(目標2)、実施(目標17))。したがって、実施や各国別SDGs設定には課題間のリンクが重要に。 ⇒ 政策の連関を確保するためのチェックリスト

2. The Multi-stakeholder Forum on Science Technology and Innovation for the SDGsやHLPFといったメカニズムを通じ、日本

の政策パッケージや技術を世界的に広めるためのツールとしての可能性

Page 26: 石川金沢の人材育成とSDGs 基調講演 蟹江憲史

日本版

SDGs Japanese SDGs

2000年に採択され、 2015年に達成期限を迎えたミレニアム開発目標(MDGs) は、貧困と飢餓の撲滅、初等教育の普及ジェンダーの平等推進など途上国の経済社会開発に主眼を置いていた。これまでのMDGs実施の結果、乳幼児死亡率の削減やマラリアの蔓延の防止などの課題について大きな前進がみられたが、貧困の撲滅など達成できなかった課題も残されている。加えて、近年では気候変動や生物多様性の保護という環境の問題や、持続的な経済成長や雇用という経済の問題、人権や社会的な平等という社会の問題も増加してきた。 このような背景を受けて、2012年に開催された国連持続可

能な開発会議(Rio+20)では、MDGsが達成し切れなかった課題を補完するような持続可能な開発目標(SDGs) を設定することが決定した。 その後、約3年間の議論の結果、2015年9月の国連サミットにおいてSDGsが決定されることとなった。17の目標と169のターゲットで構成されるSDGsは、貧困、農業、健康と福祉、教育、ジェンダー、水、エネルギー、都市問題、持続可能な消費と生産、生態系の保護、またそのための手法についての目標が含まれており、地球システム維持に関する課題を包括的に扱う国際アジェンダである。

持続可能な開発目標(SDGs) とは

日本版SDGs提案の背景と目的

日本版SDGs提案のプロセス

国連SDGsと既存の国内目標

の照合

専門家によるブレインストーミング

日本版SDGs案(たたき台)

の作成

ステークホルダーとの対話

2015年9月の国連総会での決定後、SDGsは各国が中心となり、実施およびその進捗の計測が行われることになる。各国版のSDGsをどのように構成し、実施するかは、各国の優先順位を勘案し、各国が決定することが政治的に決まっている。一方、持続可能な開発の実現のためには、環境・経済・社会の各側面を統合して実施することが重要であることが国連文書等でも認識されており、科学的見地からもその重要性が強調されている。 こうしたことから、本提案は、環境・経済・社会の諸領域のなかで統合的解決が必要な分野について、日

本にとっての政策的優先順位を鑑みたうえで、SDGsの再構成を行った。この6分野が日本が統合的に進めるべきSDGsである。これらの目標実施に関しては、当該分野の国連SDG(例えば水の場合目標6)のみに終始するものではなく、いくつか他の目標のなかに関連するSDGが含まれている。したがって、日本版SDGsを実施すれば、そうした多岐にわたる国連目標やターゲットが自動的に達成されることになる。一方それらに含まれない国連目標やターゲットに関しては、これまでの政策枠組みの延長により達成可能である。

持続可能な開発目標(SDGs) 目標1: あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を撲滅する 目標2: 飢餓を撲滅し、食糧安全保障および栄養改善を

実現し、持続可能な農業を促進する 目標3: あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を

確保し、福祉を促進する 目標4: すべての人々に、包括的かつ公平な質の高い教

育を保証し、生涯学習の機会を促進する 目標5: ジェンダー平等を達成し、すべての女性および

女子のエンパワーメントを図る 目標6: すべての人々に、水と衛生の利用可能性と持続

可能な管理を確保する 目標7: すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能

な現代的エネルギーへのアクセスを確保する 目標8: 持続的、包括的かつ持続可能な経済成長、すべ

ての人々の完全かつ生産的な雇用とディーセント・ワーク(適切な雇用)を促進する

目標9: レジリエントなインフラの構築、包括的かつ持続可能な産業化の推進およびイノベーションの促進を図る

目標10:国内および国家間の不平等を是正する 目標11:包括的、安全、レジリエントかつ持続可能な都市

および人間居住を実現する 目標12:持続可能な消費と生産(SCP)の形態を確保する 目標13:気候変動およびその影響に取り組むための緊急対

策を講じる 目標14:持続可能な開発のために、海洋資源を保全し、持

続的に利用する 目標15:陸域生態系の保護・回復・持続可能な利用の推進、

森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・防止および生物多様性の損失の阻止に取り組む

目標16:持続可能な開発のために平和で包括的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスの提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包括的な制度を構築する

目標17:持続可能な開発のために、実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する

ドラフト版

Page 27: 石川金沢の人材育成とSDGs 基調講演 蟹江憲史

Target 1.1

Target 1.2

Target 1.3

Target 1.4

食料

食料生産における環境負荷の低減

農産品の持続可能性情報へのアクセス

食料の安定供給と地方再生の実現

気候変動への適応と種子・遺伝子の保全

Target 3.1

Target 3.2

Target 3.3

エネルギー

効率的なエネルギー利用

再生可能エネルギーの普及拡大

エネルギーリテラシーの向上と、エネルギー自治

Target 2.1

Target 2.2

Target 2.3

Target 2.4

Target 2.5

水資源の循環、需給バランスの確保

水環境の改善と生態系の保全・再生

あらゆるリスクに備えた水の安定的供給と節水

水リテラシーの向上

世界の水問題解決への貢献

Target 4.1

Target 4.2

健康 健康長寿命社会の実現

こころの健康の維持と薬物乱用の防止・治療の促進

Target 6.1

Target 6.2

Target 6.3 Target

6.4

教育

教育への公正なアクセスの推進

持続可能な開発のための教育(ESD)の推進

教育および社会におけるインクルージョンの推進

地球規模課題解決のための高等教育・研究分野の国際協力の推進

Target 5.1

Target 5.2

Target 5.3

格差・働き方

公平で質の高い医療・介護・福祉サービスの確保

経済的・社会的格差に起因する出産障壁の撤廃

公平で安心して働ける労働環境の整備

国連のSDGsとの関連 分野 目標

ドラフト版

Page 28: 石川金沢の人材育成とSDGs 基調講演 蟹江憲史

配慮製品提供

責任

購入

コンサル

協力

事業創出

パートナー

コンサル

協力

責任投資

広告

表彰

支援

表彰

支援

表彰

啓発

情報提供

政策支援

コンサル

協力

政策提言

支援 啓発

啓発

責任投資

支援

支援

SDGsJapan プラットフォーム

中央

省庁

地方

行政

消費者

投資家

企業

NPO/

NGO

研究者

メディア

共通ロゴ スローガン

いま起きつつあること:CSRからSDGsへの関心

SDGsコンサルティング

SDGsタスクフォース

MASAHIRO KAWATEI@HAKUHODO

Page 29: 石川金沢の人材育成とSDGs 基調講演 蟹江憲史

2030年アジェンダの効果的な実施に向けた特徴

地域レベルでの相互学習やベスト・プラクティスの共有が奨励

Technology Facilitation Mechanismの設置。以下の3つで構成。

United Nations Interagency Task Team on Science, Technology and Innovation for the SDGs

Multistakeholder Forum on Science, Technology and Innovation for the SDGs

オンライン・プラットフォーム

GAのもとのHLPFがポリシーガイダンスを与える(4年に一度、次回は2019年)

HLPFで実施状況の情報交換など。HLPFのレビューにはcivil societyやprivate sectorのレポートも含まれうる。

29

Page 30: 石川金沢の人材育成とSDGs 基調講演 蟹江憲史

2.フォローアップとレビュー

国別にターゲットや実施をテーラーメード

国別でのターゲット設定、補完的指標設定が想定

国別報告書による包括的レビューの実施

国レベル及びサブ・ナショナルレベルにおいて以下を奨励

アジェンダ実施への対応

定期的かつ包括的レビューの実施

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Page 31: 石川金沢の人材育成とSDGs 基調講演 蟹江憲史

日本で対応すべき課題 1. 実施へ向けた「司令塔」設立 既存の枠組で対応出来ない横断的課題(災害対応、食料廃棄物、雇用や地方創生等)への対応【政治的権威が必要】

国内政策としての課題と国際政策としての課題

2. ベストプラクティス(政策・産業)の国際的推進 ベストプラクティスの国際普及による日本の成長と、国際的評価向上による日本の地位向上

3. 2030目標の普及推進 特に、SDGsは経済成長戦略であるという認識醸成 地方創生のような既存政策の強化にも有用

4. 政府ー企業ーNGO等のパートナーシップ促進 多様な政策レベルでの包括的実施が重要

31