情報産業・職業論 四情報産業・職業論 四第第 22 部 ①部 ① -2-2著作権の法廷著作権の法廷

赤尾 晃一赤尾 晃一

Opening ThemeCHEMISTRY『約束の場所』2006.10.4

詞・曲詞・曲 // 槇原敬之 槇原敬之 「夢は時間を裏切らない　時間も夢「夢は時間を裏切らない　時間も夢

を決して裏切らない」を決して裏切らない」のサビのサビ「未来は夢を裏切らない」の「未来は夢を裏切らない」の CDCD 帯帯松本零士が『銀河鉄道松本零士が『銀河鉄道 999999 』の台』の台

詞を無断引用だとクレーム詞を無断引用だとクレーム「時間は夢を裏切らない　夢も時間「時間は夢を裏切らない　夢も時間

をを (( 決して決して ) ) 裏切ってはならない」裏切ってはならない」

「銀河鉄道 999 」 エターナル編第１話 (1996 年初出 ) ほか

『銀河鉄道『銀河鉄道 999999 』エターナ』エターナル篇ル篇「時間は夢を裏切らない」は「時間は夢を裏切らない」は基基

本モチーフで台詞も繰り返し変本モチーフで台詞も繰り返し変奏されているため，「槇原敬之奏されているため，「槇原敬之が知らないはずはない」とが知らないはずはない」と

　松本零士は怒　松本零士は怒　り心頭に発す　り心頭に発す

劇場版 (1998 年 3 月公開 )

完全否定完全否定槙原は盗作を完全否定槙原は盗作を完全否定『銀河鉄道『銀河鉄道 999999 』を個人的な好みか』を個人的な好みか

ら一度も読んだことがない。盗作のら一度も読んだことがない。盗作の汚名を着せられた」と訴えた。騒動汚名を着せられた」と訴えた。騒動でＣＭ放送休止のダメージも受け，でＣＭ放送休止のダメージも受け，逆に松本氏に「謝ってほしい」とし逆に松本氏に「謝ってほしい」とした。『銀河鉄道～』の題名自体が宮た。『銀河鉄道～』の題名自体が宮沢賢治からのパクリではないか，と沢賢治からのパクリではないか，ともも

時間は夢を裏切らない。だから，時間は夢を裏切らない。だから，夢も時間を裏切ってはならない夢も時間を裏切ってはならない (( 松松本本 ))–世代を超えて長い時間をかけて夢を繋げば，世代を超えて長い時間をかけて夢を繋げば，

どんな大きな夢も実現できる。そのためにどんな大きな夢も実現できる。そのためには，次世代に夢を繋げる必要があるは，次世代に夢を繋げる必要がある

夢は時間を裏切らない　時間も夢夢は時間を裏切らない　時間も夢を決して裏切らないを決して裏切らない (( 槇原槇原 ))–実現困難な大きな夢であっても，実現する実現困難な大きな夢であっても，実現する

ために努力していこう。どんなに時間がかために努力していこう。どんなに時間がかかっても，たとえ世代を超えてでも，夢はかっても，たとえ世代を超えてでも，夢はいつか必ず実現できるいつか必ず実現できる

争点争点類似性類似性–較対象となる表現が一見して「似ている」較対象となる表現が一見して「似ている」

だけでは不十分で，著作物中のだけでは不十分で，著作物中の創作性のあ創作性のある箇所が再生されていることが必要る箇所が再生されていることが必要

依拠性依拠性–表現そのものに対する依拠 ○表現そのものに対する依拠 ○–アイデアに対する依拠 アイデアに対する依拠 ××–「インスピレーションを得たが，表現と「インスピレーションを得たが，表現と

しては別物で，著作権侵害は存在しない」しては別物で，著作権侵害は存在しない」判断も判断も

訴訟訴訟

松本零士，槇原敬之ともに民事で提松本零士，槇原敬之ともに民事で提訴。 『因果応報』の教えを分かりや訴。 『因果応報』の教えを分かりやすく伝えたものすく伝えたもの (( 槇原槇原 ))

20082008 年年 44 月月 /7/7月，公判月，公判20082008 年年 1212 月，東京地裁は「盗用の月，東京地裁は「盗用の事実は認められない」と名誉毀損を事実は認められない」と名誉毀損を認め，松本側に認め，松本側に 220220万円の支払いを万円の支払いを命じた命じた

和解松本側の控訴を受け，知的財産

権高等裁判所は和解を勧告盗用を指摘したことを松本が陳

謝すること，歌詞について異議を述べないことなどで合意し，和解金は発生しないという

事実上は，松本零士側の敗訴 ?

著作権の法理著作権の法理親告罪親告罪であるである–侵害を申し立てられるのは，権利者本人の侵害を申し立てられるのは，権利者本人の

みみ (( 第三者は何の力をも持たない第三者は何の力をも持たない ))

権利者の許容度によって差が生じる権利者の許容度によって差が生じる–同様の行為でも，権利者同様の行為でも，権利者 AAは笑って許し，は笑って許し，

権利者権利者 BBは激怒することがありうるは激怒することがありうる

損害の算定方法が難しく，権利者の損害の算定方法が難しく，権利者の立場により「名誉の相場」が異なる立場により「名誉の相場」が異なる–「謝罪」を表明することを求めるケースも「謝罪」を表明することを求めるケースも多い多い

著作権の裁判著作権の裁判民事民事 (( 著作権侵害著作権侵害 // 名誉毀損名誉毀損 ))–損害賠償・慰謝料を要求し提訴損害賠償・慰謝料を要求し提訴–判決が下る判決が下る //和解を促される和解を促される

刑事刑事–著作権者が警察著作権者が警察 //検察に「告発」検察に「告発」–受理されれば「事件」となる受理されれば「事件」となる–起訴起訴 //書類送検書類送検 ((略式命令略式命令 )/)/ 不起訴不起訴–判決判決 ((懲役懲役 //罰金→国庫罰金→国庫 //賠償金賠償金 // 無罪無罪 ))

アイデアは保護されないアイデアは保護されない著作権で保護されるのは「具体的な著作権で保護されるのは「具体的な

表現」のみ。その表現を導き出した表現」のみ。その表現を導き出したアイデアアイデア (( 発想発想 )) は保護されないは保護されない–アイデアを保護するのは「特許権」アイデアを保護するのは「特許権」

先行者が多数いる中で，「まったく先行者が多数いる中で，「まったくの無の無 ((ゼロゼロ )) から生まれた新奇性に富から生まれた新奇性に富む表現」はありえない。先行者からむ表現」はありえない。先行者からの触発の触発 (( インスパイアインスパイア )) が表現の核にが表現の核に

論文・リポートはリミッ論文・リポートはリミックスクス論文・リポートは先行文献論文・リポートは先行文献 (web(webテキストテキスト )) を読み，論点に沿ってを読み，論点に沿って引用し，少しの考察を付加した引用し，少しの考察を付加したリミックスリミックス

著作権法著作権法 3232条（引用）条（引用）–公正な慣行に合致公正な慣行に合致するものであり，かするものであり，か

つ，報道，批評，研究その他の引用のつ，報道，批評，研究その他の引用の目的上目的上正当な範囲内正当な範囲内で行なわれるもので行なわれるものでなければならないでなければならない

「正当な範囲」の解釈「正当な範囲」の解釈–著作物を引用する著作物を引用する必然性があ必然性があること ること –質的にも量的にも、質的にも量的にも、引用先が「主」、引用引用先が「主」、引用

部分が「従」の関係部分が「従」の関係にあること。引用部分にあること。引用部分を独立して「作品」として成立しないこと を独立して「作品」として成立しないこと

–本文と引用部分が明らかに区別できること本文と引用部分が明らかに区別できること。。段落を変える，『』かぎかっこを使用 段落を変える，『』かぎかっこを使用

–引用元が公表された著作物引用元が公表された著作物 ((誰でもアクセス誰でもアクセスできるできる )) であること であること

–出所を明示する出所を明示すること（著作権法第こと（著作権法第 4848条）条）

コピペの愚コピペの愚WikipediaWikipediaの引用の引用–ただし，誰が書いても同じにしか書けないただし，誰が書いても同じにしか書けない

「事実の記述」はある。創作性のない表現「事実の記述」はある。創作性のない表現や情報（データ）そのものや情報（データ）そのもの

原文の一部を修正し使用原文の一部を修正し使用 (( パクリパクリ ))–てにをは，語順，文末表現などてにをは，語順，文末表現など

原文の引用部から「孫引用」する原文の引用部から「孫引用」する原文の「と考える」という考察部を，原文の「と考える」という考察部を，

あたかも自分の考察として引用あたかも自分の考察として引用

オリジナリティオリジナリティリポートで学生のリポートで学生のオリジナリティオリジナリティ

((独創性独創性 )) はまったく期待していないはまったく期待していない–作文・小論文との大きな違い作文・小論文との大きな違い

「学んだ「学んだ //調べたことの報告」なの調べたことの報告」なので，引用が多くなるのは当たり前で，引用が多くなるのは当たり前–複数の文献からの引用が複数の文献からの引用が 9090％超でも％超でも OK?OK?

しかし，引用の手続きは正当であるしかし，引用の手続きは正当であるべきべき ((＝研究の基本的姿勢＝研究の基本的姿勢 ))