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腎機能代替療法 Renal Replacement TherapyRRT(前編) 総論・準備・プライミングまで 1 JSEPTIC CE教材シリーズ 対象:レベル1 ICUで働く新人CE13年目程度)

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Page 1: Renal replacement therapy - JSEPTIC | 特定非営利活 1章 RRT総論 第1章の到達目標 ・RRTの目的、適応を説明することができる ・RRTの原理を説明することができる

腎機能代替療法 Renal Replacement Therapy(RRT)

(前編)

総論・準備・プライミングまで

1

JSEPTIC CE教材シリーズ 対象:レベル1

ICUで働く新人CE(1~3年目程度)

Page 2: Renal replacement therapy - JSEPTIC | 特定非営利活 1章 RRT総論 第1章の到達目標 ・RRTの目的、適応を説明することができる ・RRTの原理を説明することができる

もくじ

第1章 RRT総論 1-1 RRTの目的 1-2 RRTの原理 1-3 RRTの種類 1-4 透析効率 1-5 RRTの注意点 第2章 CRRTの準備 2-1 使用物品 2-1-1 血液浄化装置 2-1-2 回路 2-1-3 血液濾過器 2-1-4 補充液・透析液 2-1-5 抗凝固剤

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第3章 プライミング 3-1 プライミングの目的 3-2 プライミング手順・注意点

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第1章 RRT総論

第1章の到達目標 ・RRTの目的、適応を説明することができる ・RRTの原理を説明することができる ・RRTの注意点を説明することができる

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1-1. RRTの目的

RRTは腎機能を代行する治療である RRTの代行する腎機能は、電解質、体液量の調節の破たん状態である。 よって、電解質補正、体液量調整、有害物質の除去が目的となる。 例えば・・・ ①高カリウム血症 ②体液量の過剰・肺うっ血(除水) ③高度の代謝性アシドーシス ④尿毒症症状

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1-1.RRTの臨床的な意義

1)浮腫や肺水腫の軽減、 輸液スペースの確保

急性肺水腫

(うっ血性心不全に伴うものを含む)や全身浮腫、輸液スペースの確保

適応

2)電解質バランスのサポート

適応

急性腎不全に伴う血液の 電解質濃度異常、アシドーシス

3)尿毒素、病態関連物質の除去*

腎不全、多臓器不全*、 重症急性膵炎*、劇症肝炎* (保険適応)

適応

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AKI

敗血症 多臓器不全

急性肝不全 急性膵炎

急性循環不全 急性呼吸不全

AKI(急性腎傷害)は、敗血症、多臓器不全、急性肝不全、急性呼吸不全、急性循環不全、急性膵炎、熱傷、外傷、術後等の疾患又は病態から移行する。 AKIやCKD(慢性腎臓病)における腎代替手段としてRRTを使用する。

RRT

1-1.RRTの対象(腎機能の破綻には様々な原因がある)

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1-1.RRTの適応

開始基準に関してのエビデンスは少ないが、報告されている研究では ①乏尿 ②尿毒症(高尿素窒素、クレアチニン血症) ③高カリウム血症 ④溢水 ⑤代謝性アシドーシス が一般臨床に即している。 ※絶対適応 その他の治療に反応しない ①pH<7.2の代謝性アシドーシス ②カリウム>6.5mEq/Lの高カリウム血症 相対的基準 ①乏尿が6~12時間続くもの ②尿毒症(BUN>60~80mEq/L) ③溢水 7

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1-2. RRTの原理

1. 体液の質的・量的異常に対する物理的原理

1)拡散(diffusion) 溶質の濃度差での移動(均一になろうと高い方から低い方へ、拡散の速度は分子量に反比例し、濃度差が大きい程速い。 2)濾過(ultrafiltration) 半透膜の片方に陽圧(陰圧)をかけ、膜孔より小さい物質を通過させることができる。

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1)拡散(diffusion)

※拡散の規定因子 ①溶質の分子量 ②溶質の濃度勾配 ③膜の要素(厚さ、膜孔、面積)

http://www.frca.co.uk/Documents/194%20Renal%20replacement%20therapy%20in%20critical%20care.pdf

※効率よい拡散が行われる条件 ①溶質の分子量が小さく ②溶質の濃度差が大きい

③膜の表面積が大きく、膜抵抗が小さい

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2)濾過(ultrafiltration)

http://www.frca.co.uk/Documents/194%20Renal%20replacement%20therapy%20in%20critical%20care.pdf

※濾過の規定因子 ①膜間圧力差(TMP) ②ふるい係数 ③膜の性能(限外濾過率 : UFR)

※効率よい限外濾過が行われる条件 ①TMPを高くする ②ふるい係数が大きい ③UFRの高い膜の使用

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IRRT (Intermittent Renal Replacement Therapy)

CRRT(Continuous Renal Replacement Therapy )

SLED(Sustained Low Efficiency Dialysis)

HD HDF HF

CHD CHDF CHF

High flow CRRT

1-3.RRTの種類

短時間で生体腎の何十倍もの効率で浄化する。

HD HDF HF

IRRTに対し、大幅に透析効率を落とし、 24時間持続緩徐に施行する。

透析効率をIRRTの1/2程度に減らし、2倍の治療時間(8~12時間)で行う。 11

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IRRT(HD)とCRRT(CHD)の効率の違い

HD CHD

血液量(mL/min) 200 60~100

透析液流量 (置換液量)

500ml/min 500ml/h

≒8.3mL/min

治療時間(原則) 4時間 24時間継続

※HDとCHDでの透析液流量は60倍の差がある。

CHDの場合

60~100/min

8.3mL/min

※一般的な設定値

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1-3.CRRTの種類

CHD CHDF CHF

物質除去原理 拡散 拡散+濾過 濾過

除去物質分子量 2万~3万 1000以下

ほとんど不可能 やや可能 可能

可能 可能

小分子量の除去能 透析液流量の増加で血液流量と同等まで増加可能

透析液流量の増加で血液流量と同等まで増加可能

血液流量の305以

下の範囲で増加可能(後希釈)

回路の特長 濾過膜に置換液を対向流で流して

いる

CHDの回路に補液が注入される

濾過膜の後ろに補液が注入される

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1-4.透析効率

• 透析効率をコントロールするためには、以下の項目の検討が必要である。

・透析液量(置換液量)

・血液流量

・膜面積

IRRTでは、各項目を上げると透析効率は上がるが、CRRTではどうなるか?

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1-4.透析液量(置換液量)による CRRTのクリアランスの比較

効率は、透析液量(置換液量)に依存する。 透析液量(置換液量)が同じであれば、CHFが最も効率が良い。

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1-4.血液流量、膜面積による クリアランスの比較

CL(クリアランス)は以下の式で表わさせる。

※QB:血液流量 QD:透析液流量

KoA:(総括物質移動面積係数)

KoAのAは膜面積となる

= 1-exp[KoA(1/QB-1/QD)]

QB/QD-exp[KoA(1/QB-1/QD)] CL QB×

CLは、QB、QD、KoAの3つのうち最も小さいものを超えないとなる。

CRRTは透析液流量が極端に小さいため、効率は血液流量、膜面積に依存しない。

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1-4.血液流量、膜面積の決定条件

血液流量、膜面積は変更する必要が無い!?

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CRRTは透析液流量が極端に小さいため、効率は血液流量、膜面積に依存しない。

そんなことはありません

• 膜面積は、プライミングボリューム(PV)と透水性能(限外濾過速度)が変わる。

• プライミングボリューム(PV)が異なれば、同じ血液流量では、血液の回路通過時間が違う。

血液流量と膜面積は、患者の状態、予定設定条件によって選択されるべきである。

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1-5. RRTの注意点

①除水、電解質の是正どちらが早急に効果を得たいか治療目的を把握し、最適なRRTを選択する。

②抗凝固剤の投与化にあるため、易出血傾向にあるためACT、APTTの管理を行う。出血を助長することを考えておく。 ③Hbが低い時、回路内のプライミングに用いた生理食

塩水が体内に入ることにより、さらに血液が希釈されて血液粘調度やカテコラミンレベルが損なわれ、さらに血圧の低下を招くことがある。

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第1章 チェックテスト

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RRTは(①)を代行する治療である RRTの代行する腎機能は、電解質、体液量の調節の破たん状態である。 よって、(②)、(③)、(④)が目的となる。

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1-1. RRTの目的

RRTは腎機能を代行する治療である

RRTの代行する腎機能は、電解質、体液量の調節の破たん状態である。

よって、電解質補正、体液量調整、有害物質の除去が目的となる。 例えば・・・

①高カリウム血症

②体液量の過剰・肺うっ血(除水)

③高度の代謝性アシドーシス

④尿毒症症状 20

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第1章 チェックテスト

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1. 体液の質的・量的異常に対する物理的原理

1)(①) 溶質の(②)での移動(均一になろうと高い方から低い方へ)、拡散の速度は分子量に反比例し、(②)が大きい程速い。 2)(③) 半透膜の片方に陽圧(陰圧)をかけ、膜孔より小さい物質を通過させることができる。

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1-2. RRTの原理

1. 体液の質的・量的異常に対する物理的原理

1)拡散(diffusion) 溶質の濃度差での移動(均一になろうと高い方から低い方へ)、拡散の速度は分子量に反比例し、濃度差が大きい程速い。 2)濾過(ultrafiltration) 半透膜の片方に陽圧(陰圧)をかけ、膜孔より小さい物質を通過させることができる。

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第1章 チェックテスト

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抗凝固剤の投与下にあるため、(①)にあるため(②)、(③)の管理を行う。出血を助長することを考えておく。

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1-5. RRTの注意点

①除水、電解質の是正どちらが早急に効果を得たいか治療目的を把握し、最適なRRTを選択する。

②抗凝固剤の投与化にあるため、易出血傾向にあるためACT、APTTの管理を行う。出血を助長することを考えておく。 ③Hbが低い時、回路内のプライミングに用いた生理食塩水

が体内に入ることにより、さらに血液が希釈されて血液粘調度やカテコラミンレベルが損なわれ、さらに血圧の低下を招くことがある。

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第2章の到達目標 ・CRRTの使用物品を準備できる

第2章 CRRTの準備

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2-1 使用物品

①装置 ②回路 ③ヘモフィルタ ④補充液・透析液 ⑤抗凝固剤 ⑥バスキュラーアクセスカテーテル

一般的な回路構成 一般的な構成では以下の装置、物品、薬剤が必要となる。

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東レ社製装置 旭メディカル社製装置

2-1-1.血液浄化装置

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2-1-1.各社 血液浄化装置 一覧

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2-1-2.基本回路構成

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30, 45, 68, 88

200

30

Dry

EOG

ポリエーテルスルホン(PES)

0.4,0.8,1.1,1.5

JMS (JUNKEN)

フロースター

20, 35, 45, 65, 90, 125

200

15

Dry

γ線

セルロース トリアセテート(CTA)

0.3,0.5,0.7, 1.1,1.5*,2.1*

*Sシリーズはなし

ニプロ

UTフィルター

Wet

γ線

22, 38, 58

30

200(03のみ240)

ポリメチルメタクリレート(PMMA)

0.3,0.6,1.0

東レ (東レ・メディカル)

ヘモフィールCH

53, 67, 85 26, 47, 69,

97 PV(mL)

200 225 内径(μm)

40 45 膜厚(μm)

Wet Wet Wet/Dry

γ線

ポリスルホン

(PS)

0.8,1.0,1.3

東レ (東レ・メディカル)

ヘモフィールSHG

γ線

ポリスルホン(PS)

0.3,0.7,1.0,1.3

旭化成メディカル

エクセルフロー

膜面積(m2)

膜素材

滅菌

製販元 (販売元)

製品名

2-1-3.血液濾過器

膜に求められる性能は、透水性能と除去性能、抗血栓性能と生体適合性である。

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2-1-3.膜材質の特徴

• 透過性、透水性に優れ、長時間使用でも劣化が少ない

• PVPのアレルギーに注意する

PS

(ポリスルホン)

• 蛋白吸着量が多い(サイトカイン吸着)

• 生体適合性に優れるが、濾過量が多いとライフタイムが短くなる

PMMA

(ポリメチルメタクリレート)

• 親水性で抗血栓性に優れる

• 濾過をかけると早期に目詰まりしやすい

CTA

(セルローストリアセテート)

• 透過性、透水性に優れる

• 環境ホルモン様物質がPSに対し少ない

PES

(ポリエーテルスルホン)

• 抗血栓性、濾過性能に優れる

• 現在は日本で販売はない

PAN

(ポリアクリロニトリル) 31

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CRRTで使用する血液濾過器はどれ?

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透析用膜

血漿分離膜

CRRT用膜

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2-1-4.補充液・透析液

名称 Na K Ca Mg Cl 重炭酸 酢酸 ブドウ糖

サブラッドBS 140 2 3.5 1 111 35 3.5 100

HFソリタ 140 2 3.5 1 111 35 3.5 100

サブパック 140 2 3.5 1 111 35 3.5 100

サブラッドBSG 140 2 3.5 1 111.5 35 0.5 100

※長期になるほどRRTでは上記の組成

に血液中の電解質値は近づく。注意点は、K値も2.0mEq/Lに近づくので注意。

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2-1-5.抗凝固剤

薬剤名 メシル酸ナファモスタット 低分子ヘパリン 未分画ヘパリン

作用機序 凝固因子の多段階抑制、血小板凝集抑

制 主に抗Xa作用

AT-Ⅲを介した抗トロンビン作用

特長 半減期が8分と短い 出血助長作用は軽

度 安価で最も広く使用さ

れる

投与量 例)5%ブドウ糖液で溶解し20~40mg/hr

で開始

例)5~10IU/kg/hrで開始

例)500IU/hr程度で開始

モニタリング方法 ACT? APTT? ACT、APTTは無効 APTT、ACT

分子量 540 4000~6000 5000~30000

半減期(分) 8分 120~180 60~90

コスト 高額 中 安価

注意点 アナフィラキシー、高カリウム血症、顆粒

球減少

10IU/kg/hrを超える

と出血性合併の可能性があり、モニタリングが簡便でない

出血増悪、AT-Ⅲ欠乏症での効果弱、HITの

発現 34

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2-1-6.バスキュラーアクセスカテーテル

サイドホールタイプ エンドホールタイプ

35

大腿静脈 鎖骨下静脈 内頸静脈

挿入 容易 難 容易

挿入時の合併症 まれ 血気胸 頸動脈穿刺

カテーテル長 20㎝以上 15㎝ 15㎝(右)、20㎝(左)

挿入部位

カテーテルタイプ

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第2章 チェックテスト

正解はこちらへ 36

CRRTで使用する血液濾過器はどれ?

(①)

(②)

(③)

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CRRTで使用する血液濾過器はどれ?

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透析用膜

血漿分離膜

CRRT用膜

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第3章 プライミング

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第3章の到達目標

• プライミングの目的が説明できる

• プライミングの注意点が説明できる

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3-1.プライミングの目的

• プライミングは2つの目的で行われる。

・回路洗浄 ・回路内充填

• プライミング液は、生理食塩水等の電解質輸液で行う。

• 使用するプライミング液の後半は、抗凝固剤を添加した生理食塩水を用いる。

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3-2.プライミング手順・注意点

回路洗浄

洗浄は使用直前に行うこと。洗浄後放置すると、汚染の危険性等が高くなる。臨床使用開始が遅れた場合には、再度洗浄すること。

40

生理食塩液500mL以上を用いて、中空糸内側(血液側)を洗浄する。 血液濾過器を生理食塩液を血液側からろ過により500mL以上流し、洗浄を行う。

回路内充填

プライミングは抗凝固薬を添加した500mLの生理食塩液

または5%ブドウ糖液を用いて実施する。

プライミング完了・チェック

回路内に気泡が無いか、接続に問題ないかを確認する。

機器の詳細設定も各病院の初期設定になっているか確認する。

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第3章 チェックテスト

正解はこちらへ 41

• プライミングは2つの目的で行われる。

・(①) ・(②)

• プライミング液は、生理食塩水等の電解質輸液で行う。

• 使用するプライミング液の後半は、(③)を添加した生理食塩水を用いる。

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3-1.プライミングの目的

• プライミングは2つの目的で行われる。

・回路洗浄 ・回路内充填

• プライミング液は、生理食塩水等の電解質輸液で行う。

• 使用するプライミング液の後半は、抗凝固剤を添加した生理食塩水を用いる。

42

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第3章 チェックテスト 正解はこちらへ

43

回路(①)

(①)は使用直前に行うこと。(①)後放置すると、汚染の危険性等が高くなる。臨床使用開始が遅れた場合には、再度(①)すること。

43

生理食塩液(②)mL以上を用いて、(③)(血液側)を洗浄する。 血液濾過器を生理食塩液を(④)により(②)mL以上流し、洗浄を行う。

回路内充填

プライミングは(⑤)を添加した500mLの生理食塩液

または5%ブドウ糖液を用いて実施する。

プライミング完了・チェック

回路内に(⑥)が無いか、(⑦)に問題ないかを確認する。

機器の詳細設定も各病院の(⑧)になっているか確認する。

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3-2.プライミング手順・注意点

回路洗浄

洗浄は使用直前に行うこと。洗浄後放置すると、汚染の危険性等が高くなる。臨床使用開始が遅れた場合には、再度洗浄すること。

44

生理食塩液500mL以上を用いて、中空糸内側(血液側)を洗浄する。 血液濾過器を生理食塩液を血液側からろ過により500mL以上流し、洗浄を行う。

回路内充填

プライミングは抗凝固薬を添加した500mLの生理食塩液

または5%ブドウ糖液を用いて実施する。

プライミング完了・チェック

回路内に気泡が無いか、接続に問題ないかを確認する。

機器の詳細設定も各病院の初期設定になっているか確認する。

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ポストテスト Q.下記の表について①~⑦について空欄を埋めて下さい

正解はこちら

45

RRTの目的は、(①)、(②)、(③)である。

プライミングの目的は、(④)、(⑤)であり、

実際のプライミング時には、血液濾過器の(⑥)(血液側)と血液側から(⑦)に生理食塩水流し、洗浄を行う。

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CRRTで使用する血液濾過器は?

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ポストテスト Q.下記の表について①~⑦について空欄を埋めて下さい

RRTの目的は、電解質補正、体液量調整、有害物質の除去である。

プライミングの目的は、回路洗浄、回路内充填であり、

実際のプライミング時には、血液濾過器は中空糸内部(血液側)と血液側からろ過側に生理食塩水流し、洗浄を行う。

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ポストテスト CRRTで使用する血液濾過器は?

CRRT用

IRRT用

PE用 (血漿分離器)

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