私は診療所をこう良くする

地域医療研修 ＠高野山

和歌山県立医科大学付属病院初期臨床研修医

中下 優

No blame culture（つるし上げの場にしない！）

グランド・ルール

Praise culture（しっかり褒めてあげて！）

研修内容

• 外来診療の見学

• 事務所での業務

• 乳幼児検診業務

• 訪問診療・看護

• 通所リハビリ

• 南山苑での回診

• 検査業務(尿検査、血液検査、内視鏡など)

• 消防署での研修

研修内容

▶︎外来診療

• 扱う疾患、年齢層の幅広さに圧倒される。

Ex)交通外傷、乳児湿疹、潜水病、ウニ刺傷

▶︎訪問看護

• 地元愛の強いこの地域での役割

• 遠方にいる家族への状況説明の難しさ

Ex)一人での生活はもう…

研修内容

▶︎消防署研修

20日の１日間のみ

出動：１件 （紀北分院への転院搬送）

• 長時間にわたる転院搬送の大変さを実感。

傷病者の管理、記録、車酔い…

• 訓練にも参加させていただき、貴重な経験ができました。

高野山地域研修で気になった点

①高次医療機関への搬送について

主に、山間部へき地医療における

ヘリ搬送の役割の大きさに注目して。

②夜間受診者数の少なさ

業務の効率化、システム改善が必要？

赤字経営から診療所存続問題へ繋がる心配

①山間部へき地医療におけ るヘリ搬送の役割

• 高野山での医療において、２・３次医療機関との連携は重要であり、転院搬送は少なくない。

• 研修中、高次医療機関での加療を要した救急症例を経験した。

• 初期診療から転院搬送に関わり、当地域における施設間連携の大切さを痛感した。

症例80歳代 女性

【主訴】火災で逃げ遅れた

【現症】意識清明 やや嗄声である印象

バイタル HR：85bpm BP：143/85 RR:16回/分SpO2：93％（リザーバー10L/分） BT:35.3℃

顔面 頭髪・鼻毛は焼け焦げている

皮膚露出部に煤の付着あり 明らかな熱傷なし

呼吸音 清 ラ音なし

両手指先端に発赤あり

気道熱傷

診断

• 口腔・咽頭内に

スス付着

• 嗄声

• ラ音聴取• 気管支ファイバースコープによる診断を推奨

初期治療

• 予防的な早期

気管挿管を考慮

• 輸液

• 高度救命救急センターでの加療を考慮

• ステロイド投与は推奨されない（死亡率は改善されない）

熱傷診療ガイドライン［改訂第２版2015］より

ファイバー所見診断：気道熱傷

処置：気管挿管の方針

鼻腔・口腔内〜喉頭に

煤の付着（＋）

喉頭蓋に発赤と軽度腫脹あり

ヘリ搬送決定までの流れ

救急車

県ドクターヘリ 大阪ドクヘリ

２次医療機関

３次医療機関への搬送決定

ヘリ搬送

防災ヘリ

受け入れ困難

転院搬送

出動中

管理困難

防災ヘリ

• ヘリの機能上あるいは運営システム上、

出動するまでに、ドクターヘリより多くのステップが必要で、時間を要する。

• 患者の転院搬送には医師の同乗が必要。

• ヘリ運航状況や同乗医師の確認/ピックアップの必要性の検討・調整など必要。

防災ヘリ以外に…

• 県ドクターヘリを待つという選択は？

→緊急度の高い出動要請が入る可能性はゼロではない。

• 現場でドクヘリ要請？診療所で処置優先？

→キーワードによるヘリ要請や診療所での処置を最優先する案もあるが、ケースバイケース？

ヘリ搬送のメリット

◎搬送時間 短縮挿管・鎮静管理下での搬送は困難

◎医療介入まで迅速に！高度救命救急センターでの集中治療

診療所で？

３次病院で？

症例を振り返って

▶︎緊急ヘリ搬送時のシミュレーション

広範囲熱傷、指肢切断、急性大動脈解離、

脳梗塞など症例ごとに。

• 診療所・消防など施設間での連携強化

• あらゆる可能性を考慮しながら

• 各部署の役割分担

• 実際に体を動かしてみる

• 意識下挿管セット作成etc.

②夜間受診者の少なさ

• 高野山の夜が平和であれば言うことなし！

• 業務効率化、医師当直の必要性を疑問視

• ひいては診療所存続に関わる問題であれば、放ってはおけない！

• 高野山の住民の方々が不便・不安を感じる結果にはなってほしくない！

コスト面において…

• いまある設備で収益を見込める事業は？

高野山ならではの

人間ドック！

人間ドック 〜１泊検査入院〜

• 観光気分で！

• ダイエットがてら

• 精進料理が食べられる？

• 宗教体験・ヨガ教室も？

診療所への利点

• 診療所のベッド活用

• 検査機器の稼働率↑

• 当直医師の活用

• 地域産業の活性化

最後に

• 短い期間でしたが、ありがとうございました。

• 廣内先生、田中先生はじめ看護師、事務職員の方々に感謝致します。

• 充実した日々を送ることができ、貴重な経験を沢山させていただきました。

• 高野山のことがより一層大好きになりました。ぜひまた診療所にお邪魔させてください！

ご清聴ありがとうございました。