まるでオールドローズのような気品ある八重咲き

‘ヴァンサンカン’シリーズ松原園芸さんのペチュニア

群馬県生まれ。千葉大学大学院卒業。農学博士。千葉大学環境健康フィールド科学センターで助教を務めた後、かねてからの希望であった実家の花栽培農家を継ぐ。新たな花色や花形を目指して育種研究に取り組み、オリジナル品種の開発に力を注ぐ。特に花色の研究においては国内の第一人者で、新進気鋭の個人育種家として園芸業界の注目を集めている。

松まつばら

原 紀き

嘉よし

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春から晩秋まで花が咲き続けるペチュニアは、パンジー＆ビオラが終わった後の主役を担う一年草です。毎年、新しい品種が登場し、どれを選ぼうかワクワクするほど品種が豊富に揃っています。中でもセンスのよさで注目を浴びているのが松原園芸さん育種のペチュニアです。今回はその中から優雅な花色が魅力の‘ヴァンサンカン’シリーズをピックアップ!松原紀嘉さんに育種の秘話を教えていだたきます。

　

豊富に品種が揃うペチュニアですが、花色や形、さ

らに草姿、大きさ、耐環境性に違いがあり、品種ごと

にその特徴がまったく異なっていたりします。その違

いが、いろいろな品種を育てる楽しみの一つでもあり

ます。花壇や庭にボリュームいっぱい植えるのであれ

ば、はっきりくっきりした色合いの品種を選んだり、

ちょっとおしゃれな鉢で育てるのであれば、アンティ

ークな色合いの品種を選んだりと、植える場所や使い

方によってどんな品種を選んでいこうか、考えるだけ

でワクワクしてきますよね。

　

私も自分がワクワクするような品種を生み出したい

な〜と思い、毎年、交配して新品種づくりにチャレン

ジしています。そんな新品種を生み出すためにどんな

ことをしているか、ちょっとだけ教えちゃいます！

　

まず、花の色はどうやって作り出すのか？この問題

が新品種づくりの一番重要なポイントになるのですが、

私は交配する時に、どんな色が出てくるのか大体見当

をつけて交配しています。例えば、紫系の色合いが作

りたいと思っていたら、これとこれを交配すれば、そ

の子どもに紫系の花が咲くだろうと想定して交配する

わけです。そうすると、ねらっている花色を効率よく

生み出すことができます。私の本業は育種よりも生産

がメインなので、生産の隙す

き

間ま

の時間に交配して品種づ

くりをしなければなりません。そのため、いかに効率

よく、目的の花色を作り出せるかというのが重要にな

ってくるわけです。では、どうしてそんなことができ

るのか。それは、花の色合いを作り出す色素の合成メ

カニズムと遺伝関係を知っているからなのです。そん

なことを知っているのは、よっぽどのマニアか大学の

研究者レベルの方だけかもしれませんが…。

みどりのヴェールライムグリーンの中心がほんのりピンクの珍しい花色。

ブルーピコティーこれまでのペチュニアにはない甘い香りが楽しめるのが特徴。

ラベンダーヴェール涼しげでエレガントな花色。花から甘い香りが漂う。

さくらヴェールサクラが咲いたような優しく華やかな色合いが魅力。

ねらっている花色を効率よく作り出すには…

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ワインのヴェールを使った寄せ植え。カラーリーフや小花と一緒に寄せ植えアレンジをすると、シックな八重咲きがいい雰囲気を醸し出してくれる。

　

今回、ご紹介するペチュニア‘ヴァンサンカン’シ

リーズは、どうやって生まれたのかについてご紹介し

ます。‘ヴァンサンカン’シリーズは、見ての通り八

重咲きの豪華な花をしています。でも、もうちょっと

よ〜く見てみてください。じつは‘ヴァンサンカン’

のこだわりの一番のポイントは花形なんです。さっき

まで花色の話をしておきながら何ですが、‘ヴァンサ

ンカン’では、花形にこだわって育種を進めてきまし

た。どのあたりがこだわりかというと…その前にまず、

一般的な八重咲きのペチュニアを思い浮かべてみてく

ださい。八重咲きのペチュニアの花は、花弁が反り返

るように咲いていきますよね。あれはあれでどーんと

豪華な印象を感じますが、私は豪華さより上品さに重

点を置いたペチュニアを作り出したいと考えていまし

た。八重の花といえば、バラを思い浮かべるかと思い

ますが、バラはとても上品な八重咲きがほとんどです。

同じ八重の花でもペチュニアとバラの違いはどこにあ

るのだろうかと考えていた時、花弁の反り返りだ、と

思ったのです。そこから、八重咲きで花弁が反り返ら

ず、包み込むような花弁になるようにペチュニアの開

発を進めていきました。そうしてできあがったのが、

この‘ヴァンサンカン’シリーズなのです。八重咲き

のペチュニアでありながら、外側の花弁が包み込むよ

うに咲き、気品あふれるオールドローズのような花形

をしています。もちろん、花形だけでなく、上品な八

重咲きにマッチするような優しい色合いを作り出しま

した。

　

ところで、品種名の｢

ヴァンサンカン｣

ってどうい

う意味かご存じでしょうか。フランス語で「25歳」と

いう意味です。25歳くらいの優しく清楚なお嬢さん、

そのお嬢さんがドレスを着飾って華やかに踊る、とい

ったイメージから‘ヴァンサンカン’と名づけました。

そんな上品な八重咲きの品種の中に、じつは一つだけ

例外の品種があります。それが‘ブルーピコティー’

です。この品種は花弁が反り返る従来タイプの八重咲

きなのですが、ものすごく甘い香りがするのです。つ

まり、この‘ブルーピコティー’だけ、花姿の気品で

はなく、花の香りの上品さで‘ヴァンサンカン’シリ

ーズの仲間入りをしており、これまでのペチュニアに

はない優雅な香りを楽しめる品種となっております。

　

毎年、ある程度どんなものを作り出そうかと、ねら

いを絞って交配するのですが、時にはセレンディピテ

ィ（偶然の産物）で思いも寄らないすてきな品種が生

まれることもあります。そんな品種もいつかご紹介し

たいと思います。

いちごのヴェール包み込むような花弁の雰囲気はまるでバラのような上品さ。

ワインのヴェール深みのあるブラックカラーの個性的な花色。

‘さくらヴェール’の鉢仕立て。6号サイズの鉢が小さく見えるくらい大きく育ってくれる。

二次選抜試験の様子。一次選抜で残った系統を同時に少量生産して、耐病性、耐暑性、開花性、早晩性、草姿、生産性などの評価をする。ここで優秀な系統が、翌年、新品種として生産される。

ラベルの立っている列ごとに交配組み合わせが違うタネをまいている。一度にいろいろな組み合わせを行って、たくさんの品種が生み出せるようにしている。

花が上品に見えるのは花弁が反り返らないから

優雅で涼しげな花色! 八重咲きペチュニア・ヴァンサンカン

ペチュニア●ナス科の一年草　●学名／Petunia X hybrida●日照／日なた　●用途／庭植え、鉢植え●花期／4月下旬〜11月上旬（中間地目安）●草丈／10〜25㎝　●耐寒性／弱

25お届け規格

９㎝ロングポット苗ご注文締切商品のお届け

4/204/中～5/中このページの商品

◆マークの説明やご注文に関しては「ご利用ガイド」をご覧ください。◆�写真はイメージです。お届け商品に写真内の器などはつきません。※�文中に記述のある薬剤の登録内容は2019年12月時点のものです。ご使用に際しては、必ず登録の有無をご確認ください。

ラベンダーヴェール申込番号 862-025-05

1組（6株）3,060円淡いラベンダーカラーの花弁が折り重なり、やわらかな雰囲気を醸し出します。草姿は半這

はい

性せい

。この品種は、ほんのり甘く香ります。

ブルーピコティー

ブルーとホワイトのコントラストがきれいな豪華な八重咲き。これまでのペチュニアにはない甘い香りがするのも特徴。特に夕方4時以降の時間帯に一番香ります。耐病性、耐環境性に優れ、とても丈夫。草姿は半立性。2019〜2020年 ｢ジャパンフラワーセレクション｣ の鉢物部門、春審査会にて ｢フレグランス特別賞｣ を受賞。

申込番号 862-025-04 1組（6株）3,060円

さくらヴェール申込番号 862-025-06 1組（6株）3,060円優しいピンクの色合いは、まるでサクラが咲いたような春らしさを感じさせます。草姿は半這性。2019〜2020年 ｢ジャパンフラワーセレクション｣ のガーデニング部門、夏秋審査会にて ｢モーストジョイ特別賞｣ を受賞。 ｢モーストジョイ特別賞｣ は気分をデザインする品種、楽しい気分をもたらしてくれる品種に授与されます。

みどりのヴェール

ライムグリーンの花弁に花の中心がほんのりピンクに色づくとても珍しい色合い。草姿は半立性。花弁の重なりが美しく、耐病性もある優れた品種。2019〜2020年 ｢ジャパンフラワーセレクション｣ のガーデニング部門、夏秋審査会にて入賞。

申込番号 862-025-03 1組（6株）3,060円

申込番号 862-025-01

1組（6株）3,060円

いちごのヴェール

ピンク色の花弁にローズカラーのベイン模様が入る花色。花弁の包み込む雰囲気は、このシリーズでナンバーワンです。草姿は立性。

ワインのヴェール申込番号 862-025-02

1組（6株）3,060円ワインのような深い色合いのブラックカラー。花弁の表面が特殊な色合いで、少し光沢感が出ます。草姿は立性。

■植え付け

　

ポットでそのままにしておくと、根づま

りや根腐れを起こして、花が咲かなくなっ

てしまいます。大きく育てて楽しみたい方

は、５〜６号サイズの鉢に植え替えてくだ

さい。使用する培養土は、市販の花苗用土

で十分に育ってくれます。

■置き場所

　

必ず直射日光の当たる屋外へ置いてくだ

さい。日当たりが悪かったり、日の当たる

時間が短かったりすると、花が咲かなくな

ります。

■水やりと施肥

　

水やりは土の表面が乾いたらたっぷりと

与えてください。植え替え後に緩効性の置

き肥を適量与えると、生育がよくなります。

また、生育期（4〜10月）には1週間に一

度、水やりの代わりに花苗用の液肥を薄め

たものを与えると、生育がよくなります。

■株姿が乱れてきたら…

　

株の大きさが植え替えた鉢よりも大きく

なってきたら、3分の2くらいの大きさに

切り戻しをすると、さらにボリューム満点

に育っていきます。

■病害虫の注意

　

八重咲きの花は、花がらが自然に落ちな

いので、こまめに終わった花を摘んでくだ

さい。花がらが残ったままだと、病気の発

生のもとになります。また、気温が高くな

ってくると、アブラムシやアザミウマなど

の害虫が出てきます。市販のベストガード

粒剤やオルトラン粒剤などを株の周りに置

き、事前に防除するとよいでしょう。

ペチュニアをきれいに

長く咲かせるには…